説明

棚構造

【課題】壁面等へ着脱可能に取り付けられる棚構造において、意図しないで棚が脱落するのを確実に防止する。
【解決手段】棚本体1に、下方を開放したスリット4を間に挟む係合片3,3から成る係合部2を設けると共に、スリット4下方の抜け止め位置と、支持体10がスリット4から離脱するのを許容する開放位置との間で移動可能な停止部22を有するロック部材20を設ける。ロック部材20には、抜け止め位置にしたときに、棚本体1の係止受け部6に係止する係止突起23を設ける。抜け止め位置に在るロック部材30は、停止部22により支持体10がスリット4から離脱するのを阻止して、棚本体1の脱落を防止する。ロック部材20を、必要に応じ開放位置へ移動させれば、棚本体1を支持体10から容易に取り外せる。その結果、棚本体1及び取付面の清掃が簡単且つ確実になり衛生性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚を、壁面等の取付面へ着脱可能に設置するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、浴室Yには、浴槽N、鏡M、水栓器具Sのほか、石鹸・シャンプー・リンス・ブラシ等の小物を置くための棚Tを壁面に設置することが一般に行なわれる。例示する浴室Yは、棚Tの下方に水栓器具Sを配置するレイアウトを採用している。このため、棚Tの下面側を清掃しにくいという問題が有った。
【0003】
そこで、棚Tの清掃を容易にするため、棚Tを壁面へ着脱可能に取り付ける技術が、特許文献1に記載されている。特許文献1では、壁面へねじ込んだトラスタッピンビスを支持部材とし、その頭部に、棚本体部の背面側に形成した係止凹部を、上方から下方へ向けて嵌め込むことにより、棚を壁面に設置することができる。そして、棚本体部を壁面に沿って上方へスライド移動させれば、容易に取り外すことができるとされている。(特許文献1[0024]参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−82284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の棚構造は、棚本体部に上向きの力が加わると壁面から簡単に外れてしまうので、棚に手や足等をぶつけたときに、意図せずに棚を脱落させてしまうおそれが有った。
【0006】
本発明は、壁面等の取付面に対し着脱可能に棚を設置することができ、使用時には何らかの力が加わったとしても容易には脱落することがなく、且つ、必要時には簡単に取り外すことが可能な棚構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明が採用した棚構造の特徴とするところは、壁面等の取付面に固定した支持体に、棚本体の背面部に形成した係合部を係合させることにより、棚を取付面へ着脱可能に設置する構造において、棚本体の係合部を、下方を開放したスリットを間に挟んで設けた係合片から成るものとし、支持体を、棚本体のスリット内に収納される部分と、スリットの幅寸法よりも幅広であって係合片に当接する部分とを有するものとし、棚本体に、スリットの開放部下方に位置して支持体がスリットから離脱するのを阻止する停止部を備えたロック部材を設け、当該ロック部材を、停止部が、支持体がスリットから離脱するのを阻止するスリット下方の抜け止め位置と、支持体がスリットから離脱するのを許容するスリットから離れた開放位置との間で移動可能であるように構成したことである。
【0008】
前記において取付面とは、部屋の壁面のほか、ドアや扉の表面、浴槽エプロンの表面、収納キャビネット等の大型家具の表面、柱の表面など、各種起立面を対象とすることが考えられる。また、ロック部材の停止部を移動させる態様としては、回動させる態様や、スライド(平行移動)させる態様が考えられる。
【0009】
前記棚構造におけるロック部材は、停止部をスリット下方の抜け止め位置に位置させたときに、当該ロック部材の適所に形成した係止突起が、棚本体に設けた係止受け部に係止して、停止部が抜け止め位置に位置する姿勢を保持するように構成することが望ましい。
【0010】
さらに前記ロック部材は、上端が棚本体へ回動自在に支持される起立部と、起立部の下端側に起立部に対し垂直方向へ突出するように設けられた停止部とから成るものとし、起立部を棚本体に対し回動させることによって、停止部をスリット下方の抜け止め位置とスリットから離れた開放位置との間を移動させることが可能であるように構成すると共に、停止部をスリット下方の抜け止め位置に位置させたときに棚本体の係止受け部に係止する係止突起を、当該停止部に設けるように構成してもよい。
但し、必要ならば、係止突起を、ロック部材の起立部側に形成することを妨げるものではない。
【0011】
さらに、このロック部材における起立部の上端側に左右方向を軸心とする円柱状の回動軸を設け、当該回動軸を棚本体に設けた軸受部に回動自在に収納させることにより、当該ロック部材を棚本体に対し回動自在に支持するものとすると共に、上記回動軸の先端側の端面に回動軸の直径よりも小径の突出部を形成し、当該突出部の先端を上記軸受部の内表面に当接又は近接させるようにしてもよい。
【0012】
なお、前記ロック部材における起立部の下端面に、指先の触覚で認識できる立体構造を設けることが考えられる。ここで立体構造とは、突起やエンボス等の凸構造、溝やディンプル等の凹構造、波形状や櫛歯状等の凹凸構造などが考えられる。
【0013】
ところで本発明に係るロック部材の形態は、前述した起立部と停止部とを垂直に構成して回動自在としたもののほか、棚本体に対して、板状または棒状のものを平行移動(スライド)させる形態とすることも考えられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る棚構造によれば、壁面等の取付面に固定した支持体に棚本体の係合部を係合させることにより、棚を取付面へ着脱可能に設置する構造において、スリットの開放部下方に位置して支持体がスリットから離脱するのを阻止する停止部を有するロック部材を設けたので、棚本体に予定外の力が加わったとしても、棚本体が支持体から脱落するのを阻止できる。従って、意図せずに棚が外れる事故を防止することができる。
【0015】
またロック部材の停止部を、スリット下方の抜け止め位置とスリットから離れた開放位置との間で移動可能としたので、棚の設置後、必要に応じ、ロック部材を開放位置へ移動させることにより、棚本体を支持体から容易に取り外すことが可能である。その結果、棚本体の特に下面及び背面、取付面における棚の取付個所など、棚本体を設置したままでは清掃しにくい個所の清掃を簡単且つ確実に行えるので、衛生性が格段に向上する。
【0016】
なお本発明に係る棚構造は、浴室・シャワー室・洗面所・台所など、水を使用するために汚れが付着しやすい環境に適用したときに利点が大きいが、居室等の一般的な部屋に適用することも可能であり、適用対象を特に制限するものではない。
【0017】
前記ロック部材に係止突起を形成し、この係止突起を、棚本体に設けた係止受け部に係止させることにより、停止部が抜け止め位置に位置する状態を保持するように構成した場合は、ロック部材が意図せずに移動することが阻止されるので、棚本体の抜け止め機能をより確実にできる。
【0018】
前記ロック部材を、起立部と停止部とから成るものとし、起立部を棚本体に対し回動させることによって、停止部をスリット下方の抜け止め位置とスリットから離れた開放位置との間を移動可能であるように構成した場合は、ロック部材の移動操作が非常に容易になる。従って、棚本体の抜け止め機能を発揮させた状態と、棚本体を取り外し可能な状態との切替が簡単である。
【0019】
また停止部に設けた係止突起を、抜け止め位置に位置させたときに、棚本体の係止受け部に係止させることにより、ロック部材が意図しないで移動するのを阻止するので、抜け止め機能が確実に発揮される。
【0020】
前記ロック部材における起立部の上端側に設けた回動軸の先端側の端面に、回動軸の直径よりも小径の突出部を形成し、回動軸を棚本体の軸受部に収納せしめたときに、上記突出部が軸受部の内表面に当接又は近接するように構成した場合は、ロック部材の左右方向のがたつきを押さえることが可能となる。
また、突出部を回動軸よりも小径とすることで、軸受部の内表面との接触面積が小さくなるから、ロック部材の回動時に発生する摩擦力を小さくして、回動抵抗の増大を抑えることができる。
【0021】
前記ロック部材における起立部の下端面に、指先の触覚で認識できる立体構造を設けた場合は、指先で触ることによりロック部材の位置を把握できるから、目視できない位置でのロック部材の回動操作を容易且つ確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る棚構造の第1の実施形態に関するものであって、棚本体、支持体、ロック部材を分離して示す正面側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る棚構造の第1の実施形態に関するものであって、図(A)は棚本体を背面側から見た斜視図、図(B)は支持体との係合部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明に係る棚構造の第1の実施形態に関するものであって、図(A)はロック部材を開放位置とした状態の棚本体の要部を示す斜視図、図(B)はロック部材を抜け止め位置とした状態の棚本体の要部を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る棚構造に用いるロック部材の一例を示すものであって、図(A)は上面側から見た斜視図、図(B)は下面側から見た斜視図である。
【図5】本発明に係る棚構造に用いるロック部材の一例を示すものであって、図(A)は正面図、図(B)は左側面図、図(C)は左側面断面図である。
【図6】本発明に係る棚構造の第1の実施形態に関するものであって、図(A)は、棚本体、支持体、ロック部材を分離して示す側面断面図、図(B)は、ロック部材を開放位置に位置させて、棚本体を支持体に係合させた状態を示す側面断面図、図(C)は棚本体を支持体に係合させたのち、ロック部材を抜け止め位置へ移動させた状態を示す側面断面図である。
【図7】本発明に係る棚構造の第2の実施形態に関するものであって、図(A)は、棚本体とスライド式ロック部材とを分離した状態の要部の正面側から見た斜視図、図(B)は、棚本体にロック部材を装着した状態の正面側から見た要部の斜視図、図(C)はロック部材を抜け止め位置に位置させた状態の棚本体の要部の側面断面図である。
【図8】壁面に棚を設置した浴室の一例を示す斜視図である。
【0023】
[第1の実施形態]
本発明の一実施形態を、図1〜6に基づいて説明する。なお本発明の棚構造は、例えば図8に示すような浴室Yの壁面に設置した棚Tに適用する場合を想定しているが、浴室以外への応用を妨げるものではない。
【0024】
図1に示す如く、本発明に係る棚構造は、棚本体1、壁面等の取付面に固定される支持体10、及び、棚本体1が支持体10から脱落するのを阻止するためのロック部材20より構成される。
【0025】
棚本体1は、上面部1cが物品の載置面とされ、背面部1bに、図2に示すような支持体10との係合部2が設けられる。また背面部1bの上縁に、設置時に取付面との間で排水溝を形成するための凹部1dが、所望により形成される。正面部1aの形状は特に限定されるものではなく、所望に応じた適宜形態を採用すればよい。また棚本体1の寸法についても、設置環境に応じた最適な大きさを選択すればよい。棚本体1の材質は、比較的剛性が高いことが望ましく、また水回り環境に適用する場合は耐水性を有することが必要であり、例えばプラスチック、ステンレス、アルミニウムなどで製作される。
【0026】
図2(A)に例示するように、棚本体1の背面部1bに形成する係合部2,2は、左右に適当な間隔を置いて少なくとも2つ配置することが望ましい。図2(B)に拡大して示す如く、本例では係合部2を、間にスリット4を挟むように対向して設けた係合片3,3で構成した。この係合片3,3は、背面部1bの上縁から下方へ伸びるように棚本体1と一体成形されている。スリット4は、下方側が開放部4aとなされ、後述するように、支持体10の小径部11a(図6参照)を収納可能になされている。なお本例では、係合片3,3の強度を高めるため、その左右側縁部に補強面部3aを一体形成し、これら係合片3と補強面部3aとで、下側を開放させた収納空間を形成するように構成してある。
【0027】
本例の支持体10は、円筒状の主部11と、主部11を取付面に固定するための釘12又はネジ等の固定具と、釘12等を目隠しするためのキャップ13とより成る。主部11は、図6に示す如く、大径の頭部11aと、取付面に当接する小径の首部11bとから成り、頭部11aの直径はスリット4の幅寸法よりも大きく、首部11bの直径はスリット4の幅寸法よりも小さくなるように設定されている。支持体10の材質は、耐荷重強度が高いプラスチックや金属などが使用される。なお支持体10の形状は、スリット4の幅寸法よりも大きい部位とスリット4の幅寸法よりも小さい部位とを有するのであれば、円筒形状に限定されるものではなく、他の適当な形態を採用することも可能である。
【0028】
ロック部材20は、図3に示す如く、棚本体1の下面側に装着され、必要に応じ棚本体1を支持体10から取り外せる開放位置(図3(A)参照)と、棚本体1の脱落を阻止する抜け止め位置(図3(B)参照)との間の位置移動を、容易に回動操作できるように構成したものである。本実施形態のロック部材20は、図4及び図5に示すように、起立部21と、この起立部21の下端付近に、起立部21に対し垂直方向へ突出するように設けた停止部22とから成る。従って、当該ロック部材20は、側面方向の断面がほぼL字形を呈するように構成されている。
【0029】
起立部21の上端側には、左右方向を軸心とする円柱状の回動軸25,25が設けられる。また、この回動軸25の先端側の端面に、当該回動軸25の直径よりも小径の突出部26,26が形成されている。
なお本例では、回動軸25を、左右方向に連続するものではなく、間欠的に省略部分を設ける形態となした。かかる構成により、本発明の棚構造を浴室に適用した場合、ロック部材20と、これが装着される棚本体1の軸受部7(図6参照)との間で水を溜まらせにくくできる効果がある。また、軸受部7との接触面積が少なくなるから、ロック部材20の回動操作時の摺動抵抗を減らせる利点が得られる。
【0030】
起立部21の下端面には、複数の凸部27など、指先の触覚で認識できる立体構造が設けられる。これは、棚本体1の下面側でロック部材20の回動操作を行なうに際し、目視することができなくても、指先でこの立体構造(凸部27)に触れることで、ロック部材20の位置を容易に把握できるようにするためである。
【0031】
停止部22は、2つの突起23,24を有している。一方は、停止部22をスリット4下方の抜け止め位置に位置させたときに、棚本体1に設けた係止受け部6(図6参照)に係止する係止突起23である。この係止突起23は、停止部22の一部を切り欠いて、弾性的に揺動可能に成した支持片23aの先端部に形成されている。
【0032】
もう一方の突起24は、停止部22の先端部に形成したものであり、停止部22をスリット4下方の抜け止め位置に位置させたときに、その先端がスリット4下方の開放部4aに位置するよう設定されている。(図6(C)参照)
【0033】
次に、本発明に係る棚構造の構築手順を、図6を参照して説明する。まず、壁面等の取付面における棚の取付予定個所に、棚本体1の係合部2,2の形成位置に合わせて、支持体10を固定する。本例では、主部11に挿通させた釘12を、取付面の所定位置に打ち込んだのち、キャップ13を嵌着すればよい。
【0034】
他方、棚本体1には、あらかじめロック部材20を回動自在に装着しておく。これは、図6(A)に示す如く棚本体1の下面側に形成した軸受部7に、ロック部材20の起立部21上端に設けた回動軸25を収納させることによりなされる。本例では、棚本体1の上面部1cの下面において、背面部1bの係合片3からは若干の距離を置いた位置に係止壁6aを垂設し、この係止壁6aと棚本体上面部1cとで囲まれた隅部領域を軸受部7となしてある。軸受部7は、棚本体上面部1cの下面及び係止壁6aの上端近くに形成した保持凸部7a,7bを有しており、この保持凸部7a,7bの間隔が、ロック部材20の回動軸25を挿入可能な寸法に設定されている。従ってロック部材20は、図6(A)に示す如く、所定の傾斜姿勢としたときに、回動軸25を軸受部7に対し着脱することが可能であり、起立部21を鉛直方向(係止壁6aとほぼ平行な方向)に起立させた抜け止め位置となる姿勢のときは、回動軸25が軸受部7から容易には離脱することがないように構成されている。
【0035】
なお本例では、ロック部材20を棚本体1の軸受部7に装着したときに、回動軸25の先端に形成した小径の突出部26が、軸受部7の内面に当接又は近接するように設定されている。これにより、ロック部材20が左右にがたつくのを抑えることができると共に、の回動時の摺動抵抗が増大するのを回避している。
【0036】
続いて図6(B)に示すように、停止部22が支持体10に接触しないよう、ロック部材20をやや傾斜させた姿勢(開放位置)に保持し(図3(A)参照)、棚本体1を取付面に固定した支持体10へ上方から装着して、係合部2のスリット4内へ、支持体10の首部11bを収納させる。その結果、支持体10の頭部11aと取付面との間に、係合部2の係合片3が挟持されることになる。
【0037】
引き続き、図6(C)に示す如く、ロック部材20を取付面側へ向かって押し込み、停止部22がスリット4下方の開放部4aを閉止する位置(抜け止め位置)となるまで回動させる(図3(B)参照)。このとき、停止部22の係止突起23が、弾性的に若干揺動して、係止壁6aの下端に設けた係止受け部6に係止することにより、ロック部材20の抜け止め位置を保持するように機能する。
【0038】
また、停止部22先端の突起24は、取付面と支持体10の頭部11aとの間の空間に進入して、首部11bの近傍に位置する。これにより、棚本体1に上向きの強い力が作用したとしても、突起24の先端が、支持体10の頭部11a及び首部11bに当接して、ロック部材20が開放位置へ回動するのを阻止する。このため、当該ロック部材20は、抜け止め状態の維持が確実である。
【0039】
必要に応じ、棚本体1を取り外すときは、抜け止め位置に在るロック部材20を取付面から遠ざかる方向へ回動させて、図6(B)に示す開放位置まで移動させたのち、棚本体1を上方へ引き上げる。これにより、容易に支持体10から分離することができる。
【0040】
ロック部材20を開放位置へ回動させるに当たっては、起立部21の下端に指を引っかけて、棚本体1の正面部1a側へ引っ張ればよい。このとき、起立部21の下端には、突出部27等の立体構造を形成してあるから、ロック部材20の位置を手探りで把握することができる。それ故、棚本体1下側の目視できない位置でも、上述の作業を円滑に行なうことが可能である。
【0041】
ところで、棚本体1を取付面に設置するための支持体10及び係合部2の組数は、少なくとも2組有ればよい。棚の耐荷重強度を高めるため、支持体10及び係合部の組み合わせを3組以上設けた場合、ロック部材20を左右2個所の係合部2,2に対し設け、残りの係合部については、ロック部材を省略しても差し支えない。例えば図1に示すように、4つの支持体10を使用する場合、左右端側の支持体10,10に対応する係合部2,2については、図2(B)に示す構造を採用し、中央側の支持体10,10に対応する係合部5,5については、図2(A)に示す構造を採用することが考えられる。すなわち、適宜間隔を置いて対向配置した2つの係合片5a,5aそれぞれを、支持体10の左側又は右側の半分だけに係合する形態とし、係合片5a。5a間は直線状のフランジ部5bとなした。これにより係合片5a,5a間を広く開放することができるので、この係合部5,5の領域の清掃が非常に容易になる。
【0042】
また本例では、ロック部材20を抜け止め位置に保持するための係止突起23を、停止部22に設けたが、これを起立部21に設けることも可能である。この場合、例えば、起立部21の左右側縁部に係止突起を設け、これを係止させ得るような適宜形状の係止受け部を、棚本体に設ければよい。
【0043】
[第2の実施形態]
図7に本発明に係る棚構造の異なる実施形態を示す。この実施形態は、ロック部材30を棚本体1に対しスライド(平行移動)させることにより、抜け止め位置と開放位置との切替を行なうよう構成したものである。本例のロック部材30は、主要部が図7(A)に示す如き板状の形態であり、その一端部に、例えば厚みを大きくした操作部31が設けられる。他方、棚本体1には、ロック部材30のスライド動作を案内するため、ロック部材30の左右側縁部を保持する溝8を備えたコ字形のガイド9を、左右に対向させて配設した。また、棚本体上面部1cの下面に係止壁6aを垂設し、その下端を係止受け部6と成した。
【0044】
棚本体1の抜け止めを行なうには、棚本体1の背面部1bの係合部2を、取付面に固定した支持体10に係合させたのち、ロック部材30を、ガイド9,9の溝8,8間へ挿入したのち、取付面へ向かって、操作部31がガイド9に当接する位置(抜け止め位置)まで押し込む。これにより、ロック部材30が前進し、その先端部を支持体10の主部11の下方に位置させる。棚本体1に上向きの力が作用したときには、ロック部材30が支持体10に衝突して、棚本体1の脱落を阻止する。棚本体1を取り外すときには、ロック部材30を溝8,8から引き抜けばよい。
【0045】
なお本例では、ロック部材30の上面適所に突起32を設け、抜け止め位置まで前進させたときに、この突起32が係止壁6aの下端を潜り抜けて、係止受け部6に係止するように設定した。これにより、抜け止め位置に在るロック部材30の後退を阻止して、意図せずに棚本体1が支持体10から外れるのを防止する。
【符号の説明】
【0046】
1…棚本体 1a…正面部 1b…背面部 1c…上面部 2…係合部 3…係合片 4…スリット 4a…スリット開放部 5…係合部 5a…係合片 5b…フランジ部 6…係止受け部 6a…係止壁 7…軸受部 8…溝 9…ガイド 10…支持体 11…主部 11a…頭部(大径部) 11b…首部(小径部) 12…釘(固定具) 13…キャップ 20…ロック部材 21…起立部 22…停止部 23…係止突起 24…突起 25…回動軸 26…突出部 27…凸部(立体構造) 30…ロック部材 31…操作部 32…係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面等の取付面に固定した支持体に、棚本体の背面部に形成した係合部を係合させることにより、棚を取付面へ着脱可能に設置する構造において、
棚本体の係合部は、下方を開放したスリットを間に挟んで設けた係合片から成るものとし、
支持体は、棚本体のスリット内に収納される部分と、スリットの幅寸法よりも幅広であって係合片に当接する部分とを有するものとし、
棚本体に、スリットの開放部下方に位置して支持体がスリットから離脱するのを阻止する停止部を備えたロック部材を設け、
当該ロック部材は、停止部を、支持体がスリットから離脱するのを阻止するスリット下方の抜け止め位置と、支持体がスリットから離脱するのを許容するスリットから離れた開放位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とする棚構造。
【請求項2】
前記ロック部材は、停止部をスリット下方の抜け止め位置に位置させたときに、当該ロック部材の適所に形成した係止突起が、棚本体に設けた係止受け部に係止して、停止部が抜け止め位置に位置する姿勢を保持するように構成されている請求項1に記載の棚構造。
【請求項3】
前記ロック部材は、上端が棚本体へ回動自在に支持される起立部と、起立部の下端側に起立部に対し垂直方向へ突出するように設けられた停止部とから成り、
起立部を棚本体に対し回動させることによって、停止部をスリット下方の抜け止め位置とスリットから離れた開放位置との間を移動可能であるように構成され、
停止部をスリット下方の抜け止め位置に位置させたときに棚本体の係止受け部に係止する係止突起を、当該停止部に設けた請求項2に記載の棚構造。
【請求項4】
前記ロック部材における起立部の上端側に左右方向を軸心とする円柱状の回動軸が設けられ、
当該回動軸を棚本体に設けた軸受部に回動自在に収納させることにより、当該ロック部材が棚本体に対し回動自在に支持され、
上記回動軸の先端側の端面に回動軸の直径よりも小径の突出部が形成され、当該突出部の先端を上記軸受部の内表面に当接又は近接させた請求項3に記載の棚構造。
【請求項5】
前記ロック部材における起立部の下端面に、指先の触覚で認識できる立体構造を設けた請求項3又は4に記載の棚構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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