説明

森林地立体画像生成方法

【課題】 平面的なカラー写真を用いないで、森林の各樹木に立体感があって、かつ表層下の状況も一目で把握させることができる森林地立体画像生成方法を得る。
【解決手段】
DEMを記憶したデータベース10とDSMを記憶したデータベース11とDHMデータ作成部12とDSM赤色立体画像作成部14とレースケール画像化部16と緑系色画像化部18と乗算部23等を備えて、樹木の樹木高に応じた色をその樹木に割りあてた画像(樹高区分図)を作成して、これを立体的にした森林地立体画像と称する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、森林地立体画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オルソフォト画像というのは、視覚的なアピールが高いことから近年は様々なシステムに利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、樹木の頂点をDEM(Digital Elevation Model)、DSM(Digital Surface Model)を用いて求め、この頂点をオルソフォト画像の樹木に表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−111724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オルソフォト画像は、航空機で撮影した表層の写真を正射投影図に幾何変換した平面的なカラー写真画像である。このため、樹木、建物、道路、地面、草地などの違いについて、視覚的に容易に判断することができる。
【0006】
しかしながら、オルソフォト画像は撮影時の太陽高度の関係から、地形や地物などによる影が生じたり、複数写真の接合部のずれが発生したりするため、見えない箇所が生じることがある。また、接合による色調の違いがあり、見栄えの悪い場合がある。
【0007】
さらに、地物の倒れ込み等により、位置ずれや見えない場所が発生し、とくに山岳部における小さな谷に樹木が繁茂している場合には、平面的なカラー写真であるため、判読が困難になる。
【0008】
一方、樹木はほとんどが同系色(例えば緑)であることから、尾根部であっても樹種や樹高について容易には判断できず、オルソフォト画像を用いると山岳地域においては立体感に欠けると共に、表層下の地形状況を容易に把握することができない。
【0009】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、平面的なカラー写真を用いずに、森林の各樹木に立体感を持たせた樹高区分立体図、また表層下の地形状況も一目で把握させることができる森林地立体画像の生成方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の森林地立体画像生成方法は、
コンピュータが、
所定範囲のDEMデータを第1の記憶手段に記憶するステップと、
前記所定範囲のDSMデータを第2の記憶手段に記憶するステップと、
所定の植物高を基準にしこの植物高が高い程に色が濃くなる色値が割りあてられ、かつ前記所定の植物高を基準にして植物高が低いほどに緑が淡くなる色値が割りあてられた色変換テーブルを記憶するステップと、
前記第1の記憶手段のDEMデータと前記第2の記憶手段のDSMデータとの差分画像をDHMデータとして生成するステップと、
前記DHMデータの各格子のz値を読込み、このz値と前記色変換テーブルとを比較してその色変換テーブルに基づく色値を前記DHMデータの格子に割り付けることで植物高に応じた植物高色区分画像データを生成するステップと、
前記第1の記憶手段のDSMデータの各格子を着目点とし、この着目点毎に一定範囲を定義して地上開度、地下開度、斜度を求め、地上開度が大きい程に明るい色を、地下開度が大きい度に暗い色を、斜度が大きい程に赤が強調された色を、各々割り付けたDSM赤色立体画像データを生成するステップと、
前記DSM赤色立体画像データを灰色化したDSM立体灰色画像データを生成するステップと、
前記DSM立体灰色画像データと植物高色区分画像データとを乗算して植物高に応じた色で植物の樹冠の各々を立体的に見せる森林地立体画像データを生成するステップと
を行なうことを要旨とする。
【0011】
また、本発明の森林地立体画像生成方法は、
コンピュータが、
所定範囲のDEMデータを第1の記憶手段に記憶するステップと、
前記所定範囲のDSMデータを第2の記憶手段に記憶するステップと、
所定の植物高を基準にしこの植物高が高い程に色が濃くなる色値が割りあてられ、かつ前記所定の植物高を基準にして植物高が低いほどに緑が淡くなる色値が割りあてられた色変換テーブルを記憶するステップと、
前記第1の記憶手段のDEMデータと前記第2の記憶手段のDSMデータとの差分画像をDHMデータとして生成するステップと、
前記DHMデータの各格子のz値を読込み、このz値と前記色変換テーブルとを比較してその色変換テーブルに基づく色値を前記DHMデータの格子に割り付けることで植物高に応じた植物高色区分画像データを生成するステップと、
前記第2の記憶手段のDEMデータの各格子を着目点とし、この着目点毎に一定範囲を定義して地上開度、地下開度、斜度を求め、地上開度が大きい程に明るい色を、地下開度が大きい度に暗い色を、斜度が大きい程に赤が強調された色を、各々割り付けたDEM赤色立体画像データを生成するステップと、
前記DEM赤色立体画像データを黄色に変換したDEM黄色化赤色立体画像データを生成するステップと、
前記DHMデータの各格子を着目点とし、この着目点毎に一定範囲を定義して地上開度を求め、この地上開度を各々の格子に割り付けたDHM地上開度画像データを生成するステップと、
前記DEM赤色立体画像データとDEM黄色化赤色立体画像データとDHM地上開度画像データとを合成した森林地立体画像を生成するステップと
を行なうことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、平面的なカラー写真を用いなくとも、森林の各樹木に立体感があって、かつ表層下の地形状況も一目で把握させることができる森林地立体画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態1の森林地立体画像作成装置の概略構成図である。
【図2】RGB変換テーブルの説明図である。
【図3】RGB変換テーブルの説明図である。
【図4】DSM赤色立体画像の説明図である。
【図5】灰色化したDSM赤色立体画像の説明図である。
【図6】緑系色画像を説明する説明図である。
【図7】森林地立体画像を説明する説明図である。
【図8】RGBテーブル20aを用いた場合のDSM赤色立体画像(ア)を説明する説明図である。
【図9】RGBテーブル20aを用いた場合の灰色化したDSM赤色立体画像(イ)を説明する説明図である。
【図10】RGBテーブル20aを用いた場合のDHM画像に緑系を割り付けた画像(ウ)を説明する説明図である。
【図11】(イ)と(ウ)の乗算結果の画像を説明する説明図である。
【図12】本実施の形態2の森林地立体画像作成装置の概略構成図である。
【図13】本実施の形態2の動作を説明するフローチャートである。
【図14】地上開度、地下開度の説明図である。
【図15】オルソ画像とDHM地上開度画像との比較を説明する説明図である。
【図16】オルソフォト画像と赤色立体化画像の比較を説明する説明図である。
【図17】DEM黄色味赤色立体画像の説明図である。
【図18】オルソフォト画像と本実施の形態2の森林地立体画像の比較を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に示す本実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0015】
本実施の形態はカラー画像をオルソフォト画像とし、航空機によって山岳部を撮影した画像として説明する。
【0016】
実施の形態1の森林地立体画像生成装置は、樹木(草含む)の樹木高に応じた色をその樹木に割りあてた画像(樹高区分図ともいう)を作成して、これを立体的に見せる(森林地立体画像と称する)。なお、樹木に割りあてられる色は地域の植生状況に応じた色を割りあてる。例えば、高木あるいは壮齢林については暗い緑色系、亜高木あるいは幼齢林は明るい緑系色が好ましい。
【0017】
また、春、夏は緑系色、秋は茶色、朱色系(但し、針葉樹は緑系)を割り当ててもかまわない。
【0018】
森林地立体画像の生成方法の概略は、航空機によって得たレーザデータに基づいて生成したDEMとDSMの差からDHMを作成する。そして、このDHMに、深緑―緑―淡い緑―白のカラーテーブルを対応させて樹高段彩図を作成する。
【0019】
さらに、これに立体感を持たせるために、DSMの赤色立体地図をグレースケール化した画像を合成する。
【0020】
すなわち、樹高区分立体図は森林の下層にある地盤を表現せず、DSMの赤色立体地図をグレースケール化して緑色系の高度段彩によって表現する。
【0021】
なお、使用するカラーテーブルは、地域の植生や季節を考慮した色とする。一見したところ、オルソフォトと類似しているが、森林の樹高や森林の樹冠の状況などの構造を反映させているのでわかりやすい。たとえば樹木としての高さを持たない芝生は灰色になる。太陽の影となる斜面についてもわかりやすく表現できる。同様に、雲影がないという利点があるため、植生判読等に活用することが可能である。
【0022】
また、地形を反映させるときは、DEMの赤色立体地図を彩度とコントラストを下げて合成する(実施の形態2で説明する)。
【0023】
<実施の形態1>
図1は本実施の形態1の森林地立体画像作成装置の概略構成図である(樹高区分立体画像作成装置ともいう)。
【0024】
なお、本実施の形態では夏の森林エリア(草地、道路を含む)の森林地立体画像の生成として説明する。
【0025】
図1に示すように、DEMを記憶したデータベース10と、DSMを記憶したデータベース11と、DHMデータを作成するDHMデータ作成部12と、DHMデータが記憶されるメモリ13と、DSM(表層モデル)データを赤色立体画像にするDSM赤色立体画像作成部14と、DSM赤色立体画像が記憶されるメモリ15と、DSM赤色立体画像を灰色画像(グレースケール画像ともいう)に変換するグレースケール画像化部16と、グレースケール画像が記憶されるメモリ17(DSM赤色グレースケール画像ともいう)と、DHM画像を指定の地域のRGB変換テーブル20iに基づいて緑系色画像に変換する緑系色画像化部18と、緑系色画像が記憶されるメモリ19と、DSM赤色グレースケール画像と緑系色画像とを乗算する乗算部23と、乗算結果の画像である樹高区分画像が記憶されるメモリ24と、各部を制御するコントローラ部25と、表示部26等を備えている。
【0026】
さらに、緯度経度が割り付けられた地図を記憶したデータベース28と、地図表示処理部29とを備えている。この地図表示処理部29は、データベース28の地図を表示部26に表示し、図示しないマウス又はキーボードが選択した地域の地図を画面に表示する。
【0027】
前述のDEM(Digital Elevation Model:地形モデル)は、航空機によるレーザ計測によって得られた建物や樹木などを取り除いた地盤データであり、それぞれのレーザデータの同じ標高値を結んだ等高線図を作成し、この等高線図に対してTINを作成して地面を復元し、TINと各格子点の交わる点の高さを求めて得たものである。
【0028】
つまり、DEMデータメッシュ構造(0.2m、0.5mなど)を有しており,対象範囲を格子で覆い,格子点毎に地物の標高値が割り付けられたものを指す。
【0029】
DSM(Digital Surface Model:数値表層モデル)は、航空機によるレーザ計測や、ステレオ写真による自動マッチング技術により得たものである。
【0030】
DSMはメッシュ構造(0.2m、0.5mなど)を有しており,対象範囲を格子で覆い,格子点毎に地物の標高値が割り付けられたものを指す。
【0031】
すなわち、DEM、DSMは、最小単位をピクセル(小さな正方体:x,y)とし、そのピクセル毎に高さzが割り付けられている。
【0032】
DHMデータ作成部12は、地図表示部29が現在表示している地域に対応するDSMをデータベース10から読込むと共にDEMとデータベース11に記憶されている同じ地域のDSMを読込み、両方の差分データを生成し、これをDHMデータとしてメモリ13に記憶する。
【0033】
DSM赤色立体画像作成部14は、データベース11のDSMを読み込み、このDSMを元に、傾斜、地上開度、地下開度の3つのパラメータを求め、平面分布をグレースケール画像とし、地上開度と、地下開度の差分画像をグレイに、傾斜を赤のチャンネルに入れて擬似カラー画像(赤色立体化画像)して、これをメモリ15に記憶する。つまり、尾根や山頂部分が白っぽく、谷や窪みが黒っぽく、急斜な部分ほど赤く表現する。これによって、1枚の画像でも立体感が得られる。
【0034】
グレースケール画像化部16は、メモリ15の赤色立体化画像をグレースケール化画像に変換して、これをDSM赤色グレースケール画像としてメモリ17に記憶する。
【0035】
緑系色化部18は、キーボード又はマウスを操作して入力された地域(例えば富士山のA地域又はB地域)に対応するRGBテーブル20i(20a、20b・・又は20j)を引き当てる。そして、メモリ13のDHM画像の各々のメッシュデータの標高値zを読み込み、このz値に対応する緑系のRGB値をそのメッシュに割り付けた緑系色画像をメモリ19に記憶する。
【0036】
乗算部23は、メモリ19の緑系色画像とメモリ17のグレースケール画像とを乗算した画像を標高値区分画像(森林地立体画像ともいう)としてメモリ24に記憶する。
【0037】
コントローラ部25は、データベース10、データベース11、各メモリのデータを該当の各部に出力させたり、メモリの画像データを表示部26に表示する制御を行なう。
【0038】
なお、前述のDHMデータ作成部12、赤色立体画像作成部14、グレースケール画像化部16、緑系色画像化部18乗算部23、コントローラ部25はROMに記憶されたプログラムであり、RAMに記憶されてCPUによって実行される。
【0039】
前述のRGB変換テーブルについて説明する。RGB変換テーブル20iは地域毎に設けられている。
【0040】
図2は富士山南西山麓地域の樹高20m前後の人工林が多く分布するような地域での色づかいとして用いるRGB変換テーブルの説明図であり、樹高値に対してRGB値が対応させられている。
【0041】
例えば図2(a)に示すように、
(1)樹高値0m〜2.99mでは、R,G、B値は「255」が割りあてられている。
【0042】
(2)樹高値3m〜4.99mでは、R値は「165」、G値は「149」、B値は「5」が割りあてられている。
【0043】
(3)樹高値5m〜9.99mでは、R値は「185」、G値は「217」、B値は「2」が割りあてられている。以下図2を参照のこと。
【0044】
また、図2(b)には図2(a)の実際の色が示されている。図2(b)においては、標高0m〜2.99mでは白となり、3m〜4.99mではオレンジ色に近い色、18m以上では深い緑(最も濃い緑)が割りあてられている。
【0045】
図3は渡良瀬川上流足尾地区で山腹工を施工した荒廃地の色づかいに対して用いるRGB変換テーブルの説明図であり、樹高値に対してRGB値が対応させられている。
【0046】
例えば、図3(a)に示すように、
(1)樹高値0m〜2.99mでは、R,G、B値は「255」が割りあてられている。
【0047】
(2)樹高値3m〜4.99mでは、R値は「250」、G値は「230」、B値は「44」が割りあてられている。
【0048】
(3)樹高値5m〜9.99mでは、R値は「211」、G値は「249」、B値は「0」が割りあてられている。以下図3を参照のこと。
【0049】
また、図3(b)には図3(a)の実際の色が示されている。図3(b)においては、標高0m〜2.99mでは白となり、3m〜4.99mでは少し濃い黄緑色、18m〜19.9mでは緑が割りあてられており、20m以上では最も濃い緑が割りあてられている。
【0050】
すなわち、地域に存在する樹木高さに応じて、樹高値が高くなるに従って白→淡い緑→緑→深い緑となるカラーテーブルにされている。
【0051】
このテーブルの作成に当たっては現地における植生調査を実施して、樹木高に応じた適正な色値を決めている。
【0052】
(詳細説明)
本実施の形態1ではメモリ13には、DSMとDEMとの差分であるDHM(建物や、樹木のデータのみ)が記憶されているとして説明する。
【0053】
DSM赤色立体画像作成部14は、指定された地域のDSMをデータベース11から読込んで、各メッシュ(ピクセル又は画素ともいう)毎に、そのメッシュを着目点とし、この着目点から一定範囲(例えば1m)の8方向の地上開度、地下開度、斜度を求め、地上開度が大きい程に明るい色を、地下開度が大きい度に暗い色を、斜度が大きい程に赤が強調された色を、各々割り付けたDSM赤色立体画像を生成してメモリ15に記憶する(図4参照)。
【0054】
そして、グレースケール画像化部16はメモリ15のDSMに基づくDSM赤色立体画像を白黒画像に変換してメモリ17に記憶する(図5参照)。
【0055】
このように、DSM赤色立体画像を白黒化しても、赤色立体画像は高さが低いほど黒っぽく、急斜な部分ほど赤く表現されているので、傾斜部分は傾斜が強いほど黒っぽくなり、頂きは白になる(図5参照)。
【0056】
一方、緑系色化部18は、メモリ13のDHMデータを読込み、指定された地域(本実施の形態では渡良瀬川上流足尾地区)に対応するRGB変換テーブル20bを引き当てる。本実施の形態ではRGB変換テーブル20bが渡良瀬川上流足尾地区である。
【0057】
そして、緑系色化部18は、DHMのメッシュ毎に、そのメッシュに割り付けられている樹木高を読込み、この樹木高に対応するRGB値をRGB変換テーブル20bから読込む。そして、この読込んだRGB値を各メッシュに割りあてることで、図6に示す緑系色画像を得る。
【0058】
図6に示すように緑系色画像には、高い樹木ほど濃い緑となり、低い樹木(芝生)は白っぽくなる、
そして、乗算部23がメモリ17のグレースケール画像(図5)とメモリ19の緑系色化画像(図6)とを乗算して図7に示す立体的な樹高区分画像(緯度経度が割りあてられているので森林地立体地図ともいう)を得ている。
【0059】
すなわち、DSM赤色グレースケール画像は赤色立体画像を灰色したものであるから、白黒でも立体感がある。この画像に地域の植生高(樹木、草地、道路、山肌含む)に応じた緑系の色を割り付けた画像を重ねているので、図7に示すように平面的なカラー画像であるのにも係わらず尾根、谷等が立体感がある。
【0060】
すなわち、森林地立体地図は、航空レーザ計測データ取得時の植生(植物)の高さに応じた色を割りあてて、その高さを強調しているので、1枚でもより立体的である。
【0061】
さらに、地盤の凹凸も強調されているので、1枚でも樹木分布状況が立体的である。
【0062】
なお、RGBテーブル20aを用いた場合の画像については、図8、図9、図10、図112に示す。図8はRGBテーブル20aを用いた場合のDSM赤色立体画像(ア)を示し、図9はRGBテーブル20aを用いた場合の灰色化したDSM赤色立体画像(イ)を示し、図10はDHM画像に緑系を割り付けた画像(ウ)を示し、図11は(イ)と(ウ)の乗算結果の画像を示している。
【0063】
広い地域においても本実施の形態による手法を用いると、樹木高に応じた色が割り付けられて、かつ地盤の状況がわかる立体画像となる。
【0064】
<実施の形態2>
実施の形態2は、森林の下層にある地盤も表現し、また、DEMの赤色立体地図を黄色化して用いる。
【0065】
図12は本実施の形態2の森林地立体画像作成装置の概略構成図である。図において実施の形態1と同様な符号を付しているものは説明を省略する。図13は本実施の形態2の動作を説明するフローチャートである。
【0066】
実施の形態2のカラー画像立体視覚化装置は、データベース10のDEMを用いて赤色立体画像(DEM赤色立体画像という)を生成するDEM赤色立体画像作成部30と、DEM赤色立体画像が記憶されるメモリ31と、メモリ31のDEM赤色立体画像に黄色味を施したDEM黄色味赤色立体画像を得る色調変更部32と、DEM黄色味赤色立体画像が記憶されるメモリ33と、メモリ13のDHMの地上開度データ(DHM地上開度データ)を得る地上開度計算部36と、地上開度データが記憶されるメモリ37と、メモリ19の緑系色化画像とメモリ37のDHM地上開度データとを合成した森林地立体化画像を得る合成部34と、森林地立体化画像が記憶されるメモリ35等を備えている。
【0067】
DEM赤色立体画像作成部30は、データベース10のDEMの各メッシュ毎に、一定距離(50m)までの範囲に含まれる領域において、地上開度データと地下開度データとを求めて、両方の差分をグレイに、傾斜が強いほど濃い赤色にしたDEM赤色立体化画像を生成して、これをメモリ31に記憶する。
【0068】
色調変更部32は、メモリ31のDEM赤色立体化画像の各メッシュに黄色の色調を施す。この黄色に色を割り当てるのは、フォトショップを用いてオペレータが色合いを見ながら、黄土色になる色を見つけ、カラーバランスという設定に数値を入力する。この設定値数値を画像の地域に対応させてメモリ(図示せず)に記憶し、以後はこの地域が入力されると、メモリからこの黄色にする数値を読み出してDEM赤色立体画像を黄色化するようにするのが好ましい。
【0069】
地上開度計算部36は、データベース13のDHMのメッシュ毎(着目点ともいう)に、一定距離(5m)までの範囲に含まれる領域において、8方向毎に地形断面を生成し、平均化した地上開度データを得る。
【0070】
合成部34は、メモリ19の緑系色化画像とメモリ37のDEM地上開度データとメモリ33に記憶されたDEM黄色味赤色立体画像とを合成し(S12)、これを森林地立体画像としてメモリ35に記憶する。
【0071】
なお、実施の形態でも各メモリ、各部を制御するコントローラ部を備えているが実施の形態では省略して説明する。
【0072】
なお、前述のDEM赤色立体画像作成部30、色調変更部32、地上開度計算部36、合成部34等はROMに記憶されたプログラムであり、RAMに記憶されてCPUによって実行される。
【0073】
(動作説明)
DHMデータ作成部12は、地図表示部29が現在表示している地域に対応するDSMをデータベース10から読込み(S1)、データベース11に記憶されている同じ地域のDEMを読込む(S2)。
【0074】
そして、両方の差分データを生成し(S3)、これをDHMデータとしてメモリ13に記憶する(S4)。
【0075】
次に、緑系色化部18はメモリ13のDHMデータを読込み、指定された地域に対応するRGB変換テーブル20iを引き当て、DHMのメッシュ毎に、そのメッシュに割り付けられている樹木高を読込み、この樹木高に対応するRGB値をRGB変換テーブル20iから読込む。そして、この読込んだRGB値を各メッシュに割りあてることで樹木高に応じた緑色系の緑系色画像(樹高段彩図ともいう)を得て(S5:図6参照)、メモリ19に記憶する(S6)。この緑系色画像は、高い樹木ほど濃い緑となり、低い樹木(芝生、草地)は透明色となる。
【0076】
一方、地上開度計算部36は、データベース13のDHMのメッシュ毎(着目点ともいう)に、一定距離(5m)までの範囲に含まれる領域において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線(図14の(a)のL1)の傾斜の最大値(鉛直方向から見たとき)を求める。このような処理を8方向に対して行なって平均化したデータを地上開度データ(着目点からLの範囲を8方向を見たときの平均角度:高いところにいるかを判定するための指標)としてメッシュ毎に求め、DHM地上開度データとしてメモリ37に記憶する(S8)。なお、傾斜の角度は天頂からの角度(平坦なら90度、尾根や山頂では90度以上、谷底や窪地では90度以下)である。
【0077】
また、地上開度は、周囲から突き出ている地点ほど大きくなり、山頂や尾根では大きな値をとり、谷や窪地では小さい。
【0078】
例えば、地上開度データの開度に応じてグレースケールを割りあてた画像にすると図15に示すようになる。なお、図15は(a)にオルソ画像を示し、(b)にグレースケールを割りあてたDHM地上開度を示している。
【0079】
一方、DEM赤色立体画像作成部30は、データベース10のDEMの各メッシュ毎に、一定距離(50m)までの範囲に含まれる領域において、地上開度データと地下開度データとを求めて、両方の差分をグレイに、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することにより、根や山頂部分を白っぽく、また谷や窪地を黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。このような表現の組み合わせにより、1枚でも立体感のある画像(赤色立体化画像:図16参照)を生成して、これをメモリ31に記憶する(S9)。図16(a)にはオルソフォト画像を示し、図16(b)には赤色立体化画像を示している。
【0080】
前述の地下開度データは、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体)に空気層を押し当てた立体(図14の(b))を裏返した反転DEMデータ(図14の(c))の当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点C(一番深い所に相当する)を結ぶ直線L2と、水平線とがなす角度を求める。この角度を8方向に渡って求めて平均化したのを地下開度と称している。
【0081】
次に、色調変更部32は、メモリ31のDEM赤色立体画像に黄色を割りあてて、オレンジ系の画像に変更する(S10:図17)。そして、これをDEM黄色味赤色立体画像としてメモリ33に記憶する(S11)。
【0082】
そして、合成部19は、メモリ19の緑系色化画像とメモリ37のDEM地上開度データとメモリ33に記憶されたDEM黄色味赤色立体画像とを合成し(S12)、これを森林地立体画像としてメモリ35に記憶する(S13:図18参照)。
【0083】
図18(a)には同じ地域のオルソフォト画像を示し、図18(b)には本実施の形態2の森林地立体画像を示している。図18(b)に示すように、地盤の凹凸がより強調されているので森林の下の谷、窪み、尾根が立体感をもって見える。また、森林は、その領域凹凸、樹木高によって緑系で強調されているので、立体感がより強調されている。
【0084】
従って、図18(a)に示すオルソフォト画像に比べて本実施の形態2の森林地立体画像の方が立体感がある。
【符号の説明】
【0085】
12 DHMデータ作成部
14 DSM赤色立体画像作成部
16 グレースケール画像化部
18 緑系色画像化部
23 乗算部
30 DEM赤色立体画像作成部
32 色調変更部
34 合成部
36 地上開度計算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
所定範囲のDEMデータを第1の記憶手段に記憶するステップと、
前記所定範囲のDSMデータを第2の記憶手段に記憶するステップと、
所定の植物高を基準にしこの植物高が高い程に色が濃くなる色値が割りあてられ、かつ前記所定の植物高を基準にして植物高が低いほどに緑が淡くなる色値が割りあてられた色変換テーブルを記憶するステップと、
前記第1の記憶手段のDEMデータと前記第2の記憶手段のDSMデータとの差分画像をDHMデータとして生成するステップと、
前記DHMデータの各格子のz値を読込み、このz値と前記色変換テーブルとを比較してその色変換テーブルに基づく色値を前記DHMデータの格子に割り付けることで植物高に応じた植物高色区分画像データを生成するステップと、
前記第1の記憶手段のDSMデータの各格子を着目点とし、この着目点毎に一定範囲を定義して地上開度、地下開度、斜度を求め、地上開度が大きい程に明るい色を、地下開度が大きい度に暗い色を、斜度が大きい程に赤が強調された色を、各々割り付けたDSM赤色立体画像データを生成するステップと、
前記DSM赤色立体画像データを灰色化したDSM立体灰色画像データを生成するステップと、
前記DSM立体灰色画像データと植物高色区分画像データとを乗算して植物高に応じた色で植物の樹冠の各々を立体的に見せる森林地立体画像データを生成するステップと
を行なうことを特徴とする森林地立体画像生成方法。
【請求項2】
前記色変換テーブルを記憶するステップは、
最小のz値には白を割り当てることを特徴とする請求項1記載の森林地立体画像生成方法。
【請求項3】
前記色変換テーブルは、
地域に応じた植物の種類に応じて、その植物高と色値とが対応させられていることを特徴とする請求項1又は2記載の森林地立体画像生成方法。
【請求項4】
コンピュータが、
所定範囲のDEMデータを第1の記憶手段に記憶するステップと、
前記所定範囲のDSMデータを第2の記憶手段に記憶するステップと、
所定の植物高を基準にしこの植物高が高い程に色が濃くなる色値が割りあてられ、かつ前記所定の植物高を基準にして植物高が低いほどに緑が淡くなる色値が割りあてられた色変換テーブルを記憶するステップと、
前記第1の記憶手段のDEMデータと前記第2の記憶手段のDSMデータとの差分画像をDHMデータとして生成するステップと、
前記DHMデータの各格子のz値を読込み、このz値と前記色変換テーブルとを比較してその色変換テーブルに基づく色値を前記DHMデータの格子に割り付けることで植物高に応じた植物高色区分画像データを生成するステップと、
前記第2の記憶手段のDEMデータの各格子を着目点とし、この着目点毎に一定範囲を定義して地上開度、地下開度、斜度を求め、地上開度が大きい程に明るい色を、地下開度が大きい度に暗い色を、斜度が大きい程に赤が強調された色を、各々割り付けたDEM赤色立体画像データを生成するステップと、
前記DEM赤色立体画像データを黄色に変換したDEM黄色化赤色立体画像データを生成するステップと、
前記DHMデータの各格子を着目点とし、この着目点毎に一定範囲を定義して地上開度を求め、この地上開度を各々の格子に割り付けたDHM地上開度画像データを生成するステップと、
前記DEM赤色立体画像データとDEM黄色化赤色立体画像データとDHM地上開度画像データとを合成した森林地立体画像を生成するステップと
を行なうことを特徴とする森林地立体画像生成方法。
【請求項5】
前記色変換テーブルを記憶するステップは、
最小のz値には白を割りあてることを特徴とする請求項4記載の森林地立体画像生成方法。
【請求項6】
前記色変換テーブルは、
地域に応じた植物の種類に応じて、その植物高と色値とが対応させられていることを特徴とする請求項4又は5記載の森林地立体画像生成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−54499(P2013−54499A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191605(P2011−191605)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【Fターム(参考)】