説明

椅子型マッサージ機

【課題】 フットレストを左右方向へ移動可能とすることにより、例えば、左右方向へスライド可能とし、又は左右方向へ傾倒可能とすることにより、被施療者の骨盤のストレッチ等、これまでになかった態様の施療を可能とする椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】 被施療者が着座する座部2と、該座部2の前方に設けられた右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bとを備え、該右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bは、移動機構50によって左右方向へ移動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部に着座した被施療者の身体部位を施療する椅子型マッサージ機に関し、特に、被施療者の下腿を左右へスライドさせ、又は傾倒させることにより施療することが可能な椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の椅子型マッサージ機の多くは、主として被施療者の背中及び肩に対して押圧刺激を与える構成となっていたが、近年においては、これらに加えて被施療者の脚に対しても押圧刺激を与えて施療することができる椅子型マッサージ機が開発されている。
【0003】
この種の椅子型マッサージ機の例として、下記特許文献1又は特許文献2に開示された構成を有するものがある。即ち、特許文献1に係る椅子型マッサージ機の場合、座部及び背凭れ部を有する椅子本体と、座部の前側に配置されて椅子本体に取り付けられたフットレストとを備えた構成になっている。フットレストは、幅方向の両側部分に側壁を有すると共に幅方向の中央部分に中央壁を有しており、一方の側壁と中央壁との間に形成される凹状支持部には一方の脚部が挿入され、他方の側壁と中央壁との間に形成される凹状支持部には他方の脚部が挿入されるようになっている。そして、各側壁と中央壁との対向箇所にはエアセル(空気袋)が設けられ、このエアセルは、空気の給排によって膨張及び収縮する。従って、フットレストの2つの凹状支持部に挿通された両脚は、エアセルによって押圧マッサージされる。
【0004】
また、特許文献2に係る椅子型マッサージ機の場合は、座部の前側に配置されて椅子本体に取り付けられたフットレストが、その上部を基点として下部が前後(又は上下)へ回動可能になっている。そして、空気の給排により膨張及び収縮するエアセルにより、脚に対して押圧マッサージすることが可能であり、加えて、フットレスト自体を回動させることにより、膝の屈伸運動を行うことも可能な構成となっている。
【特許文献1】特許第3012780号公報
【特許文献2】特開2002−238963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1,2に開示された椅子型マッサージ機を含め、従来の椅子型マッサージ機が備えるフットレストの動作に関していえば、座部の前側にて前後方向(上下方向)へ回動可能となっているか、又は、空気袋の膨張及び収縮によって下腿を押圧マッサージ可能となっているものであり、被施療者の下腿に対して限定された種類の施療しか行えないものばかりであった。
【0006】
そこで本発明は、フットレストを左右方向へ移動可能とすることにより、例えば、左右方向へスライド可能とし、又は左右方向へ傾倒可能とし、これまでになかった態様の施療を可能とする椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る椅子型マッサージ機は、被施療者が着座する座部と、該座部の前方に設けられた右側フットレスト及び左側フットレストとを備え、該右側フットレスト及び左側フットレストは、左右方向へ移動可能に構成されている。
【0008】
このような構成とすることにより、被施療者の下腿を上半身に対して左右方向へ移動させることができ、骨盤のストレッチや膝のストレッチなど、椅子型マッサージ機においてこれまでになかった態様の施療を行うことが可能である。なお、ここでいう「下腿」とは、被施療者の脚(大腿部から足先までの部分)のうち、膝から足首までの部分をいうものとする。
【0009】
また、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストを互いに近接及び離反するようスライドさせるスライド機構を更に備えていてもよい。このような構成とすることにより、被施療者の左右の下腿を近接及び離反させることができる。従って、股関節にストレッチを行うことが可能である。
【0010】
また、前記スライド機構を更に備え、該スライド機構は、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの間に介在されて空気の給排によって左右方向へ膨張及び収縮する空気袋と、左右方向へ延びるガイドレールと、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの夫々に取り付けられて前記ガイドレールに沿って移動するローラとを有していてもよい。このような構成とすることにより、簡単な構成によって右側フットレスト及び左側フットレストを近接及び離反させるスライド機構を実現することができる。
【0011】
また、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストを左右方向へ傾倒させる傾倒機構を更に備えていてもよい。このような構成とすることにより、被施療者の左右の下腿を左右へ傾倒させることができる。従って、膝のストレッチや骨盤のストレッチを行うことが可能である。
【0012】
また、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストを傾倒させる傾倒機構を更に備え、該傾倒機構は、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの間の上部及び下部に介在されて空気の給排によって左右方向へ膨張及び収縮する空気袋と、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの夫々に対応する円弧状部分を有するガイドレールと、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの夫々に取り付けられて前記ガイドレールに沿って移動するローラとを有していてもよい。このような構成とすることにより、簡単な構成によって右側フットレスト及び左側フットレストを傾倒させる傾倒機構を実現することができる。
【0013】
また、前記右側フットレスト及び左側フットレストは夫々空気袋を有し、該空気袋は、膨張及び収縮することによって被施療者の脚を把持可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、被施療者の脚を把持した状態で、右側フットレスト及び左側フットレストをスライド動作又は傾倒動作させることができる。この場合、右側フットレスト及び左側フットレストの動作に対して被施療者の被把持部をより確実に追従動作させることができるため、より一層の施療効果を期待することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フットレストを左右方向へ移動可能とすることにより、例えば、左右方向へスライド可能とし、又は左右方向へ傾倒可能とすることにより、被施療者の骨盤のストレッチ等、これまでになかった態様の施療を可能とする椅子型マッサージ機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は、椅子型マッサージ機の全体の構成を示す斜視図である。図1に示す如く、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1は、被施療者が着座する座部2と、その被施療者の上半身を支持する背凭れ部3と、脚を支持するフットレスト4と、腕部を支持するアームレスト(肘掛け部)5とから主として構成されている。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、座部2に着座した被施療者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0017】
座部2は、その下部に基台2aを有するフレーム構造14(図2参照)が設けられ、その上部に、上面が座面2bとして用いられるように略平坦に形成されたクッション部2cが配されて構成されている。クッション部2cは、ウレタンフォーム,スポンジ,又は発泡スチロール製の内装材(図示せず)が前記基台の上面に載置されており、更にこれをポリエステル製の起毛トリコット,合成皮革,又は天然皮革等からなる外装材(カバー)にて覆って構成されている。
【0018】
座部2は、その下部に基台2aを有するフレーム構造14が設けられ、その上部に、上面が座面2bとして用いられるように略平坦に形成されたクッション部2cが配されて構成されている。クッション部2cは、ウレタンフォーム,スポンジ,又は発泡スチロール製の内装材(図示せず)が前記基台の上面に載置されており、更にこれをポリエステル製の起毛トリコット,合成皮革,又は天然皮革等からなる外装材(カバー)にて覆って構成されている。
【0019】
上記座部2が有するクッション部2cは、左右方向へ傾倒可能になっている。図2は、クッション部2cを傾倒させる構成を模式的に示す椅子型マッサージ機1の正面図であり、図2(a)は傾倒前の椅子型マッサージ機1の構成、図2(b)はクッション部2cを傾倒させた状態の椅子型マッサージ機1の構成を示している。なお、図2においてはフットレスト4を省略して示している。
【0020】
図2に示すように、クッション部2cの下部には、平面視で矩形を成す板材2dが設けられている。また、フレーム構造14の上部は平坦に形成されており、フレーム構造14の上面とクッション部2c下部の板材2dとの間には、2つの空気袋2e,2eが左右に配されている。これらの空気袋2e,2eは、座部2又は背凭れ部3に内蔵されたポンプ及びバルブ等からなる給排気装置9(図9参照)にエアホース(図示せず)によって接続されており、該給排気装置9からの給排気によって膨張及び収縮することが可能になっている。従って、右側の空気袋2eを膨張させると、クッション部2cは、その右側が上となるように傾斜し、左側の空気袋2eを膨張させると、左側が上となるようにクッション部2cは傾斜する。
【0021】
座部2の前側には、被施療者の足首及び脹脛(ふくらはぎ)をマッサージするためのフットレスト4が配設されている。かかるフットレスト4は、被施療者の右脚及び左脚をそれぞれ支持すべく、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを夫々独立に備えている。
【0022】
右側フットレスト4aは、被施療者の右脚のうち下腿(即ち膝から足首までの部分)を支持する右側下腿支持部10Aと、足(即ち足首から足先までの部分)を支持する右側足支持部11Aとを、一体的にして有している。そして、詳しくは後述するように、右側下腿支持部10Aは、略凹状を成して右下腿を支持する右側下腿支持壁10aに複数の空気袋が設けられた構成となっており、右側足支持部11Aは、略凹状を成して前記右側下腿支持壁10aの下部に連続して設けられて右足を支持する右側足支持壁11aに複数の空気袋が設けられた構成となっている。
【0023】
同様に、左側フットレスト4bは、被施療者の左脚のうち下腿を支持する左側下腿支持部10Bと、足を支持する左側足支持部11Bとを一体的にして有している。そして、左側下腿支持部10Bは、略凹状を成して左下腿を支持する左側下腿支持壁10bに複数の空気袋が設けられた構成となっており、左側足支持部11Bは、略凹状を成して前記左側下腿支持壁10bの下部に連続して設けられて左足を支持する左側足支持壁11bに複数の空気袋が設けられた構成となっている。
【0024】
これらの空気袋も、給排気装置9(図9参照)にエアホース(図示せず)によって接続されていて、該給排気装置9からの給排気によって膨張及び収縮するように構成されている。従って、座部2に着座した被施療者の脚をフットレスト4が支持した状態で、空気袋を膨張及び収縮させることにより、被施療者の下腿及び足に対して押圧刺激を与えることができるようになっている。
【0025】
また、座部2の後ろ側には被施療者の上半身を支持する背凭れ部3が設けられている。この背凭れ部3は、被施療者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ機1に着座した際に、該成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で略長方形をなしている。
【0026】
背凭れ部3には、着座した被施療者の上半身を左右へ捻る背捻り部3aが設けられている。該背捻り部3aは、背凭れ部3に設けられた2つの空気袋3b,3bを有している。これらの空気袋3bは、背凭れ部3に凭れかけた被施療者の背部に沿って上下方向に長寸を成し、背部の右側部分及び左側部分に夫々対応して設けられている。これらの空気袋3bも給排気装置9(図9参照)にエアホース(図示せず)を介して接続されており、該給排気装置9からの給排気によって膨張及び収縮できるようになっている。そして、右側の空気袋3bが膨張すると、被施療者の背部の右側を前方へ押し出し、被施療者の上半身を左側へ捻らせ、左側の空気袋3bが膨張すると、被施療者の背部の左側を前方へ押し出し、被施療者の上半身を右側へ捻らせることができる。
【0027】
また背凭れ部3の両側部には、座部2の基台に固定支持されたアームレスト5が設けられている。このアームレスト5は、背凭れ部3の両側部から前方へ延びていて、被施療者が椅子型マッサージ機1に着座したときに、肘置きとして用いることができるようになっている。また、左右のアームレスト5において対向する部分には、空気袋5aが設けられている。この空気袋5aも、給排気装置9(図9参照)に、エアホースを介して接続されており、該給排気装置9からの給排気によって膨張及び収縮するように構成されている。これにより、座部2に着座した被施療者の脚のうち腿部に対し、押圧刺激を与えることができると共に、腿部を左右から把持することができる。
【0028】
上述した背凭れ部3及びフットレスト4は、座部の後部近傍及び前部近傍で夫々枢支されており、これらの枢支位置を中心として前後方向あるいは上下方向へ回動可能になっている。図3は、図1に示す椅子型マッサージ機1の背凭れ部3及びフットレスト4について、前記回動動作を可能とする回動構造を説明する側面図である。
【0029】
図3に示すように、座部2の下部に設けられたフレーム構造14は、側面視で略矩形枠状を成し、その上側後部には左右方向へ延びる枢軸14aが設けられている。この枢軸14aには背凭れ部3の下部が支持され、その結果、背凭れ部3はこの枢軸14aを中心として上部が前後方向へ回動可能となっている。また、フレーム構造14内には直動式アクチュエータ15が設けられている。この直動式アクチュエータ15は、長寸棒状を成してそれ自身が伸縮可能に構成されており、長手方向が椅子型マッサージ機1の前後方向に沿うようにして設けられている。そして、直動式アクチュエータ15は、その前端部がフレーム構造14の前部にて枢支され、後端部が背凭れ部3の下端部にて枢支されている。従って、直動式アクチュエータ15を駆動して伸縮させることにより、背凭れ部3は枢軸14aを中心として、その上部が前後方向へ回動することとなり、リクライニング角度を変更することができる。
【0030】
一方、フットレスト4(右側フットレスト4a及び左側フットレスト4b)は、背部に支持フレーム17が設けられ、その上部に左右方向へ延びる枢軸14bが設けられている。フットレスト4は、この枢軸14bによってフレーム構造14の上部前側部分にて支持されている。また、フレーム構造14内であって、上述した直動式アクチュエータ15の下方には直動式アクチュエータ16が設けられている。この直動式アクチュエータ16は、長寸棒状を成してそれ自身が伸縮可能に構成されており、長手方向が椅子型マッサージ機1の前後方向に沿うようにして設けられている。そして、直動式アクチュエータ16は、その前端部がフットレスト4の支持フレーム17にて枢支され、後端部がフレーム構造14の下部にて枢支されている。従って、直動式アクチュエータ16を駆動して伸縮させることにより、フットレスト4は枢軸14bを中心として、その下部が前後(上下)方向へ回動できるようになっている。
【0031】
次に、フットレスト4の構成について更に詳しく説明する。なお、以下の記載においては、説明の便宜上、フットレスト4を座面2bの前端から略鉛直下方へ延ばした状態(即ち、直動式アクチュエータ16を最も縮めた状態)について説明する。図4は、図1に示すフットレスト4の構成を示す斜視図であり、図5はフットレスト4の正面図、図6はフットレスト4の平面図である。
【0032】
図4に示すようにフットレスト4は、右側フットレスト4a、左側フットレスト4b、及びこれらを左右方向へ移動させる移動機構50(図5及び図6においては図示を省略している)から主として構成されている。また、右側フットレスト4aは、一体に構成された右側下腿支持壁10a及び右側足支持壁11aに、複数の空気袋が設けられて成る右側下腿支持部10A及び右側足支持部11Aを有し、左側フットレスト4bは、一体に構成された左側下腿支持壁10b及び左側足支持壁11bに、複数の空気袋が設けられて成る左側下腿支持部10B及び左側足支持部11Bを有している。ここで、図4からも分かるように、右側下腿支持部10Aと左側下腿支持部10Bとは対称的な構成となっており、右側足支持部11Aと左側足支持部11Bとは対称的な構成となっている。従って、以下では重複する説明を省略するため、主に右側フットレスト4aが有する右側下腿支持部10A及び右側足支持部11Aについて説明する。
【0033】
図4に示すように、右側下腿支持部10Aが有する右側下腿支持壁10aは、被施療者の右下腿を左右の外側から支持する側壁30と、背面側から支持する後壁31と、左右の内側から支持する内壁32とを有しており、前方及び上下端が開放された凹状溝部を形成するように構成されている。外壁30と内壁32とは、前後方向の寸法が略同一になっており、被施療者の下腿の厚み(フットレスト4に脚を載置させたときの前後方向寸法)と略同一寸法となっている。
【0034】
図5及び図6に示すように、右側下腿支持壁10aの各所には空気袋が設けられている。具体的には、右側下腿支持壁10aの外壁30における内壁32に対向する面には空気袋34が設けられ、後壁31の前面には空気袋35が設けられている。空気袋34,35は基端部と展開部とを有し、展開部は基端部を中心として蛇腹状に展開することが可能になっている。そして、空気袋34,35は、略扁平な状態から給気されたときに扇状に膨張することが可能となっている。後壁31に設けられた空気袋35は、その基端部を左右方向の外方へ向けて配設され、外壁30に設けられた空気袋34は、その基端部を後方へ向けて配設されている(図6参照)。
【0035】
これら右側下腿支持壁10aに設けられた空気袋34,35は、被施療者の右下腿(特に、脹脛(ふくらはぎ))の施療に用いられ、空気袋34,35の外面は、右下腿の後部及び外側部を夫々押圧する押圧面34a,35aを成している。そして、図6に示すように空気袋34,35は、給気されると夫々の押圧面34a,35aが近接するように扇状に膨張し、被施療者の下腿をこれら押圧面34a,35aによって挟んで押圧マッサージできるようになっている。
【0036】
また、右側下腿支持壁10aと空気袋34,35によって右側下腿支持部10Aが構成されており、外壁30に設けられた空気袋34と内壁32によって、被施療者の下腿を支持することも可能になっている。なお、内壁32における外壁30に対向する面にも空気袋34と同様の空気袋を設けてもよい。
【0037】
一方、図4乃至図6に示すように、右側足支持部11Aが有する右側足支持壁11aは、被施療者の足(足首から足先までの部分)を左右の外側から支持する外壁40と、背面側から主に踵を支持する後壁41と、左右の内側から主に踵を支持する内壁42と、足底を支持する底壁43とを有しており、前方及び上方が夫々開放された凹状に構成されている。
【0038】
右側足支持壁11aの外壁40は、右側下腿支持壁10aの外壁30よりも前方へ延設され、底壁43と略同一の前後方向寸法を有している。右側足支持壁11aの内壁42は、右側下腿支持壁10aの内壁32と、前後方向寸法が略同一になっている。また、右側足支持壁11aが有する前記外壁40,後壁41,内壁42は、右側下腿支持壁10aが有する外壁30,後壁31,内壁32の夫々の下部に、略面一となるように接続されており、右側下腿支持壁10a及び右側足支持壁11aは一体的に形成されている。
【0039】
図5及び図6に示すように、右側足支持壁11aの各所にも空気袋が設けられている。具体的には、右側足支持壁11aの外壁40における内壁42に対向する面には2つの空気袋44,45が前後に配置され、このうち後ろ側の空気袋45に対向するようにして、内壁42における外壁40に対向する面には1つの空気袋46が設けられている。そして、右側足支持壁11aと空気袋44〜46によって右側足支持部11Aが構成されている。更に図6に示すように、底壁43には空気袋47,48が前後に配置され、これら空気袋47,48の間にはバイブレータ49が設けられている。
【0040】
図5に示すように、外壁40の前部に設けられた空気袋44は、被施療者の足の甲に対応して設けられており、空気袋34,35と同様に基端部及び展開部を有して扇状に膨張可能である。そして、空気袋44は基端部を下方に向けて配設され、給気されると、外面が成す押圧面44aが底壁43へ近接するように扇状に膨張し、被施療者の足の甲を押圧面44aによって押圧マッサージすると共に把持できるようになっている。
【0041】
また、図6に示すように、外壁40及び内壁42において対向して配設された空気袋45,46は、被施療者の踵に対応して設けられており、空気袋34,35と同様に基端部及び展開部を有して扇状に膨張可能である。そして、空気袋45,46は、共に基端部を後方に向けて配設され、給気されると、夫々の外面が成す押圧面45a,46aが互いに近接するように扇状に膨張し、被施療者の踵を左右から挟持するようにして押圧マッサージすると共に把持できるようになっている。
【0042】
底壁43に設けられた空気袋47,48は、上述した空気袋34,35とは異なり蛇腹部分を有しておらず、扁平な状態から給気されることによって略楕円状に膨張するよう構成されている。また、バイブレータ49は、例えばDCサーボモータの出力軸に偏芯質量を取り付けたような構成のものであり、駆動することによって微振動を発生することができるようになっている。このような空気袋47,48が給排気されることによって、被施療者の足底を押圧マッサージすることができ、バイブレータ49の駆動により振動刺激を与えることができる。
(実施例1)
図7は、上述したような右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを左右方向へ移動させる移動機構50の構成を説明するための模式図であり、移動機構50として、左右方向へスライドさせることができるスライド機構51とフットレスト4とを背面視したときの構成を図示している。
【0043】
図7に示すように、スライド機構51は、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bの後方に配された支持フレーム17を有している。この支持フレーム17は、左右方向へ延びる上部フレーム17aと、該上部フレーム17aの左右の端部から下方へ延びる縦フレーム17b,17bとから構成されている。上部フレーム17aの左右の端部からは枢軸14b(図3参照)が突設されている。更に、左右の縦フレーム17bの上部間及び下部間には、左右方向へ延びるガイドレール60が架設されている。
【0044】
一方、右側フットレスト4aと左側フットレスト4bとの間には空気袋61が配されている。この空気袋61は給排気装置9(図9参照)にエアホース(図示せず)を介して接続されており、給排気装置9からの給排気によって膨張及び収縮することができるようになっている。また、右側フットレスト4aの後部には、上部の左右に1つずつと下部の左右に1つずつの合計4つのガイドローラ62が取り付けられている。同様に、左側フットレスト4bの後部にも、上部の左右に1つずつと下部の左右に1つずつの合計4つのガイドローラ62が取り付けられている。
【0045】
これらのガイドローラ62は何れもガイドレール60に沿って左右方向へ転動可能に構成されている。そして、右側フットレスト4aにおいて左側の上下に取り付けられた2つのガイドローラ62と、左側フットレスト4bにおいて右側の上下に取り付けられた2つのガイドローラ62との間が、コイルバネ63によって夫々接続されている。このコイルバネ63は、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを互いに近接する方向へ付勢している。
【0046】
このような構成を成すスライド機構51は、空気袋61への給排気によって、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを左右方向へスライド可能になっている。図8は、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bのスライドしている状況を説明するための平面図である。
【0047】
図8(a)に示すように、空気袋61へ給気していないときは、コイルバネ63によって右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bが近接した状態となっている。次に、図8(b)に示すように、空気袋61へ給気すると、該空気袋61はコイルバネ63の付勢力に抗って膨張し、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bは離反する方向へ押される。すると、各ガイドローラ62がガイドレール60に沿って左右方向の外方へ向かって転動し、その結果、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bは、互いに離反する左右方向の外方へ移動する。更に、この状態から空気袋61への給気を止めて自然排気を行うと、コイルバネ63の付勢力によって右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bが近接する方向へ移動し、図8(a)の状態に戻る。
【0048】
図9は、上述したような椅子型マッサージ機1の機能を説明するためのブロック図である。図9に示すように椅子型マッサージ機1は、制御部70を備えている。この制御部70は、座部2の下部などに搭載されており、被施療者が操作する操作部71に接続されている。また、制御部70には、駆動部72〜74が接続されている。
【0049】
駆動部72は、図示しないポンプ及び電磁弁を有する給排気装置9に接続され、該給排気装置9は、座部2に設けた各空気袋2e,2e(図2参照)、背凭れ部3に設けられて背捻り部3aを成す空気袋3b,3b(図1参照)、アームレスト5に設けられた空気袋5a(図1参照)、フットレスト4に設けられた各空気袋34,35,44〜48(図4及び図5参照)、及びスライド機構51に設けられた空気袋61の夫々と、エアホースを介して接続されている。駆動部72は、制御部60からの指示に従って給排気装置9を駆動し、空気袋2e,3b,5a,34,35,44〜48,61のうちの1又は複数を選択的に膨張及び収縮させることができる。また、駆動部73は、フットレスト4の足支持部11a,11bに設けられたバイブレータ49(図5参照)に接続されており、駆動することによって該バイブレータ9に振動を発生させることができる。
【0050】
駆動部74は、座部2の下部に設けられた直動式アクチュエータ15,16(図2参照)に接続されている。従って、駆動部64が駆動することにより、直動式アクチュエータ15を伸縮させて背凭れ部3のリクライニング角度を変更することができ、直動式アクチュエータ16を伸縮させた場合には、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを前後方向(又は上下方向)へ回動させることができる。
【0051】
このような駆動部72〜74の駆動によって行われる各部の動作は、制御部70からの信号によって制御されており、どのような動作を実行させるかは、被施療者が操作部71を操作することによって決定することができるようになっている。
【0052】
上述したような椅子型マッサージ機1によれば、座部2に着座した被施療者に対し、例えば股関節のストレッチを行うことができる。図14は、椅子型マッサージ機1によって実現可能な被施療者へのストレッチに関し、ストレッチ時の被施療者の姿勢により説明するための模式図である。
【0053】
図14(a)に示すように、座部2に着座した被施療者は、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bによって右下腿及び左下腿が夫々支持され、右下腿及び左下腿は比較的近接した状態となっている。ここで、椅子型マッサージ機1の駆動部72により給排気装置9が駆動され、右側フットレスト4aと左側フットレスト4bとの間に設けられた空気袋61が給気されると、図14(b)に示すように右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bが左右の外方へ離反する。その結果、被施療者の左右の下腿が開かれ、股関節のストレッチが行われる。本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1によれば、このような下腿の開閉動作を繰り返し、股関節のストレッチを効果的に行うことができる。
(実施例2)
図10は、移動機構50の他の構成として、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを傾倒動作させることのできる傾倒機構52を示す模式図であり、傾倒機構52とフットレスト4とを背面視したときの構成を図示している。
【0054】
図10に示すように、傾倒機構52は、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bの後方に配された支持フレーム17を有している。この支持フレーム17は、実施例1に示したものと同様に、左右方向へ延びる上部フレーム17aと、該上部フレーム17aの左右の端部から下方へ延びる縦フレーム17b,17bとを備え、更に、左右の縦フレーム17b,17b間に架設されて左右方向へ延びる下部フレーム17cを備えている。
【0055】
また、左右の縦フレーム17bの夫々には、長手方向が湾曲したガイドレール80が取り付けられている。左右のガイドレール80は、互いに同一の中心点を有する円弧状を成し、左右の縦フレーム17b,17b間の距離を直径とする円周に沿って延びている。また、本実施の形態における各ガイドレール80の長さは、前記中心点に対する中心角が約120度となる寸法となっている。
【0056】
一方、右側フットレスト4aと左側フットレスト4bとの間には、2つの空気袋81,81が上下に配されている。何れの空気袋81も、給排気装置9(図9参照)にエアホース(図示せず)を介して接続することにより、該給排気装置9からの給排気によって膨張及び収縮することができるようになっている。また、右側フットレスト4aと左側フットレスト4bとの間には、2つのコイルバネ83,83が設けられている。一方のコイルバネ83は、右側フットレスト4aの左側面上部と左側フットレスト4bの右側面上部との間に介在されて両者を接続し、他方のコイルバネ83は、右側フットレスト4aの左側面下部と左側フットレスト4bの右側面下部との間に介在されて両者を接続している。そして、上下のコイルバネ83は、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを、互いに近接する方向へ付勢している。
【0057】
また、右側フットレスト4aの後部には、縦に3つのガイドローラ84が取り付けられている。これらのガイドローラ84は、何れも右側のガイドレール80に沿って転動可能に構成されており、ガイドレール80の長手方向に略同一間隔で配設されている。同様に、左側フットレスト4bの後部には、縦に3つのガイドローラ84が取り付けられている。これらのガイドローラ84は左側のガイドレール80に沿って転動可能に構成されており、ガイドレール80の長手方向に略同一間隔で配設されている。
【0058】
このような構成を成す傾倒機構52は、空気袋81への給排気によって、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを左右方向へ傾倒可能になっている。図11は、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bの傾倒している状況を説明するための図面である。
【0059】
まず、図10に示すように、空気袋81へ給気していないときは、コイルバネ83の付勢力によって右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bが近接し、共に直立した状態(傾倒していない状態)となっている。次に、図11(a)に示すように、上側の空気袋81へのみ給気すると、該空気袋81は上側のコイルバネ83の付勢力に抗って膨張する。すると、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bは、下部が近接した状態のまま上部が離隔するため、右側フットレスト4aは上部が右側に位置するように傾倒し、左側フットレスト4bは上部が左側に位置するように傾倒する。従って、全体的に見ると、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bは、上方へ開くように傾倒することとなる。
【0060】
逆に、図10の状態から下側の空気袋81へのみ給気すると、該空気袋81が下側のコイルバネ83の付勢力に抗って膨張し、図11(b)に示すように、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bは、下方へ開くように傾倒することとなる。また、図11(a),(b)に示す何れの状態であっても、空気袋81への給気をやめて自然排気を行うと、空気袋81はコイルバネ83の付勢力によって収縮し、図10に示す状態へと戻ることとなる。
【0061】
椅子型マッサージ機1の座部2に被施療者が着座した状態で、傾倒機構52により上記のようにフットレスト4を動作させた場合、図14(c),(d)に示すような被施療者への施療を行うことができる。即ち、図11(a)に示すように傾倒機構52を駆動し、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを上方が開くように傾倒させた場合、図14(c)に示すように被施療者の脚は足が近接した状態で膝が左右へ離隔するような姿勢とされる。また、図11(b)に示すように傾倒機構52を駆動し、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを下方が開くように傾倒させた場合、図14(d)に示すように被施療者の脚は膝が近接した状態で足が左右へ離隔するような姿勢とされる。そして、図14(c),(d)に示す2つの姿勢を繰り返すことにより、被施療者の膝や骨盤に対してストレッチを行うことができる。
【0062】
なお、本実施例2に係る傾倒機構52によっても、上下の空気袋81,81を同一タイミングで膨張及び収縮させることにより、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを、実施例1に示したように左右方向の外方へスライドさせることが可能である。
(実施例3)
図12は、移動機構50の更に他の構成として、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを傾倒動作させることのできる傾倒機構53を示す模式図であり、傾倒機構53とフットレスト4とを背面視したときの構成を図示している。なお、図12に示す傾倒機構53は、実施例2に係る傾倒機構52と共通する構成を有している。従ってここでは、実施例2に係る傾倒機構52とは異なる構成を中心として説明する。
【0063】
図12に示すように、傾倒機構53は右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bの後方に配された支持フレーム17を有している。この支持フレーム17は、実施例2に係る傾倒機構52と同様に上部フレーム17aと左右の縦フレーム17bと下部フレーム17cとを有し、更に本実施例3においては、左右の縦フレーム17bの間に中央フレーム17dが設けられている。この中央フレーム17dは、その上部が上部フレーム17aに接続され、下部が下部フレーム17cに接続され、左右の縦フレーム17bと平行に配されている。
【0064】
また、本実施例3の傾倒機構53は4つの空気袋91〜94を備えている。このうち2つの空気袋91,92は、右側フットレスト4aの左側面と中央フレーム17dの右側面との間にて上下に配されており、残る2つの空気袋93,94は、左側フットレスト4bの右側面と中央フレーム17dの左側面との間にて上下に配されている。即ち、図12において、右上に空気袋91、右下に空気袋92が夫々配され、これらと中央フレーム17dを挟んで反対側の左上に空気袋93、左下に空気袋94が夫々配されている。これらの空気袋91〜94は、給排気装置9(図9参照)にエアホースを介して接続することにより、該給排気装置9からの給排気によって膨張及び収縮することができるようになっている。
【0065】
また、各空気袋91〜94に対応するようにして、右側フットレスト4aと中央フレーム17dとの間の上下にはコイルバネ95,95が設けられ、左側フットレスト4bと中央フレーム17dとの間の上下にはコイルバネ96,96が設けられている。前者のコイルバネ95は、右側フットレスト4aを中央フレーム17dに近接する方向(左方向)へ付勢し、後者のコイルバネ96は、左側フットレスト4bを中央フレーム17dに近接する方向(右方向)へ付勢している。
【0066】
更に、傾倒機構53は、左右の縦フレーム17bに対し、実施例2で説明したものと同様の円弧状のガイドレール80が取り付けられており、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bには、このガイドレール80に沿って転動するガイドローラ84が取り付けられている。
【0067】
このような構成を成す傾倒機構53は、空気袋91〜94への給排気によって、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを左右方向へ傾倒可能になっている。図13は、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを共に一方へ傾倒させた状況を説明するための図面である。
【0068】
まず、図12に示すように、何れの空気袋91〜94へも給気していないときは、コイルバネ95,96の付勢力によって右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bが近接し、共に直立した状態(傾倒していない状態)となっている。次に、図13に示すように、右下の空気袋92と左上の空気袋93とへのみ給気すると、これらの空気袋92,93は、対応するコイルバネ95,96の付勢力に抗って膨張する。すると、右側フットレスト4aは、その下部が中央フレーム17dから右側へ離隔するように傾倒し、左側フットレスト4bは、その上部が中央フレーム17dから左側へ離隔するように傾倒する。従って、全体的に見ると、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bは、下部が上部に比べて左側へ位置するように、即ち、図13に示す背面視で反時計回り方向へ傾倒することとなる。また、図13に示す状態から各空気袋92,93への給気をやめ、自然排気を行うと、空気袋92,93の夫々はコイルバネ95,96の付勢力によって収縮し、図12に示す状態へと戻ることとなる。
【0069】
また、右上の空気袋91と左下の空気袋94とへのみ給気した場合には、全体的に見ると、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bは、下部が上部に比べて右側へ位置するように、即ち、背面視で時計回り方向へ傾倒することとなる。なお、この場合においても、空気袋91,94への給気をやめて自然排気を行うと、空気袋91,94の夫々はコイルバネ95,96の付勢力によって収縮し、図12に示す状態へと戻ることとなる。
【0070】
椅子型マッサージ機1の座部に被施療者が着座した状態で、傾倒機構53により上記のようにフットレスト4を動作させた場合、図14(e)に示すような被施療者への施療を行うことができる。即ち、図13に示すように傾倒機構53を駆動し、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを共に一方へ傾倒させた場合、図14(e)に示すように、被施療者の右下腿及び左下腿が何れも一方へ傾倒させられ、骨盤のストレッチや腰の捻りストレッチを行うことができる。
【0071】
なお、本実施例3に係る傾倒機構53によっても、各空気袋91〜94を同一タイミングで膨張及び収縮させることにより、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを、実施例1に示したように左右方向の外方へスライドさせることが可能である。更に、右側の空気袋91,92のみ、又は左側の空気袋93,94のみを同一タイミングで膨張及び収縮させた場合には、右側フットレスト4a又は左側フットレスト4bのみを左右の外方へスライドさせることも可能である。この場合は、被施療者の右脚又は左脚のみを左右の外方へ開くように移動させるストレッチが可能である。
【0072】
また、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1は、図2に示したように空気袋2e,2eを備え、これらを膨張及び収縮させることによって座部2のクッション部2cを左右へ傾倒させることができるようになっている。従って、傾倒機構53によって右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを一方へ傾倒させると共に、座部2のクッション部2cも一方へ傾倒させることが可能である。具体的には、図13に示すように右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを、背面視で反時計回り方向へ傾倒させると共に、空気袋2eを膨張させてクッション部2cを背面視で反時計回り方向へ傾倒させることができる。これにより、被施療者の骨盤や腰部分へのストレッチ効果の向上が期待できる。
【0073】
また、椅子型マッサージ機1の背凭れ部3に設けた背捻り部3aを動作させることにより、被施療者の全身的なストレッチを行うことが可能である。即ち、例えば図12に示した傾倒機構53により、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを背面視で反時計回り方向へ傾倒させると共に、空気袋2eを膨張させてクッション部2cを背面視で反時計回り方向へ傾倒させ、被施療者の下半身を背面視で反時計回り方向へ捻らせる。これと同時に、背捻り部3aが有する左側の空気袋3bを膨張させることにより、被施療者の上半身を左半身が前方に位置するように(右側を向くように)捻らせる。このようにすることにより、図14(f)に示すように、被施療者の上半身と下半身とが相反する方向へ捻られるため、全身的な捻りマッサージ、その中でも特に腰部への捻りマッサージを効果的に行うことができる。
【0074】
また、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1にあっては、例えば、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bを背面視で反時計回り方向へ傾倒させると共に、空気袋2eを膨張させてクッション部2cを背面視で時計回り方向へ傾倒させ、更に、背捻り部3aが有する右側の空気袋3bを膨張させることも可能である。この場合、被施療者の下腿は左側へ傾倒し、尻部は右下がりとなり、上半身は左向きになるよう捻られることとなるため、やはり全身的な捻りマッサージを行うことができる。
【0075】
更に、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1は、下腿支持部10A,10B及び足支持部11A,11Bを備えている。従って、これらにより下腿、足の甲、踵などを把持した状態で、図14(b)〜(f)に示したような被施療者へのストレッチを行うことも可能である。この場合には、被施療者の下腿、足の甲、踵の何れか一又は複数を把持しつつ、各ストレッチを行うこととなるため、右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bの動作に対し、被施療者の下腿を適切に追従させることができ、ストレッチ効果の更なる向上を期待することができる。
【0076】
なお、上述した説明では下腿支持部10A,10B及び足支持部11A,11Bが、空気袋34,35,44〜48の膨張によって下腿、足の甲、踵などを「把持」する、と説明しているが、この場合の「把持」とは、各空気袋34,35,44〜48に対して対応する身体部位が完全に固定される程度に把持されている状態のみを意味するのではなく、相対的な多少の位置ずれが生じる状態をも含むものとする。結局、身体部位が「把持」されるとは、当該身体部位に対して位置ずれをある程度制限できる態様で当接している状態をいうものとする。
【0077】
ところで、上述した説明では右側フットレスト4a及び左側フットレスト4bが、空気袋34,35,44〜48の何れか一又は複数を膨張させることにより、被施療者の下腿、足の甲、踵などを把持して支持することととしているが、これに限られず、例えば空気袋を用いずとも下腿等を支持できるようにすることも可能である。
【0078】
図15は、他の構成を成すフットレスト104を示す斜視図であり、本実施の形態に係る図1に示す椅子型マッサージ機1においてフットレスト4に換えて適用可能なものを示している。このフットレスト104は、一体に構成された右側下腿支持壁110a及び右側足支持壁111aを有する右側フットレスト104aと、一体に構成された左側下腿支持壁110b及び左側足支持壁111bを有する左側フットレスト104bとを備えている。
【0079】
右側下腿支持壁110aは、被施療者の右下腿を左右の外側から支持する側壁130と、背面側から支持する後壁131と、左右の内側から支持する内壁132とを有し、前方及び上下端が開放された凹状溝部を形成するように構成されている。右側足支持壁111aは、被施療者の足を左右の外側から支持する外壁140と、背面側から主に踵を支持する後壁141と、左右の内側から支持する内壁142と、足底を支持する底壁143とを有しており、前方及び上方が夫々開放された凹状に構成されている。そして、右側下腿支持壁110aの外壁130及び内壁132と、右側足支持壁111aの外壁140及び内壁142とは、何れも前後方向の寸法が略同一であって、底壁143の前後方向の寸法と略同一になっている。また、右側足支持壁111aが有する外壁140,後壁141,内壁142は、右側下腿支持壁110aが有する外壁130,後壁131,内壁132の夫々の下部に、略面一となるように接続されており、右側下腿支持壁110aと右側足支持壁111aとは一体的に構成されている。
【0080】
従って、一体的に構成された右側下腿支持壁110a及び右側足支持壁111aから成る右側フットレスト104aを全体視すると、縦長中空の直方体において上面と前面とを除去したような構成となっている。そして、外壁130,140と内壁132,142との離隔距離は、好ましくは被施療者の下腿及び足の左右方向寸法と略同一か、又はそれより若干大きくなっている。また、左側フットレスト104bは、右側フットレスト104aと左右対称な構成となっているため、ここでの詳細な説明は省く。
【0081】
このような構成を成すフットレスト104の場合、外壁130,140及び内壁132,142が比較的大きく前方へ延びており、底壁143に足を載置したときの被施療者の下腿及び足を、左右及び後方から支持することができる。なお、このようなフットレスト104に対しても、例えば、外壁130,140、後壁131,141、内壁132,142等に空気袋を設けてもよく、この場合には、給気してこれらの空気袋を膨張させることによって、被施療者の下腿及び足をより一層確実に支持することが可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、フットレストを左右方向へ移動可能とすることにより、例えば、左右方向へスライド可能とし、又は左右方向へ傾倒可能とすることにより、被施療者の骨盤のストレッチ等、これまでになかった態様の施療を可能とする椅子型マッサージ機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】椅子型マッサージ機の全体の構成を示す斜視図である。
【図2】座部が有するクッション部を傾倒させる構成を模式的に示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図3】図1に示す椅子型マッサージ機の背凭れ部及びフットレストの回動構造を説明する側面図である。
【図4】図1に示すフットレストの構成を示す斜視図である。
【図5】図1に示すフットレストの正面図である。
【図6】図1に示すフットレストの平面図である。
【図7】右側フットレスト及び左側フットレストを左右方向へ移動させる移動機構の構成を説明するための模式図であり、移動機構として、左右方向へスライドさせることができるスライド機構とフットレストとを背面視したときの構成を図示している。
【図8】図7に示すスライド機構により、右側フットレスト及び左側フットレストがスライドしている状況を説明するための平面図である。
【図9】椅子型マッサージ機の機能を説明するためのブロック図である。
【図10】移動機構の他の構成として、右側フットレスト及び左側フットレストを傾倒動作させることのできる傾倒機構を示す模式図であり、傾倒機構とフットレストとを背面視したときの構成を図示している。
【図11】図10に示す傾倒機構により右側フットレスト及び左側フットレストが傾倒している状況を説明するための図面である。
【図12】移動機構の更に他の構成として、右側フットレスト及び左側フットレストを傾倒動作させることのできる傾倒機構を示す模式図であり、傾倒機構とフットレストとを背面視したときの構成を図示している。
【図13】図12に示す傾倒機構により右側フットレスト及び左側フットレストを共に一方へ傾倒させた状況を説明するための図面である。
【図14】椅子型マッサージ機によって実現可能な被施療者のストレッチ時の姿勢を模式的に示した図面である。
【図15】他の構成を成すフットレストを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
4 フットレスト
4a,104a 右側フットレスト
4b,104b 左側フットレスト
10A 右側下腿支持部
10B 左側下腿支持部
10a,110a 右側下腿支持壁
10b,110b 左側下腿支持壁
11A 右側足支持部
11B 左側足支持部
11a,111a 右側足支持壁
11b,111b 左側足支持壁
2e,3b,5a,34,35,44〜48 空気袋
50 移動機構
51 スライド機構(移動機構)
52,53 傾倒機構(移動機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が着座する座部と、該座部の前方に設けられた右側フットレスト及び左側フットレストとを備え、該右側フットレスト及び左側フットレストは、左右方向へ移動可能に構成されていることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記右側フットレスト及び前記左側フットレストを互いに近接及び離反するようスライドさせるスライド機構を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記スライド機構は、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの間に介在されて空気の給排によって左右方向へ膨張及び収縮する空気袋と、左右方向へ延びるガイドレールと、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの夫々に取り付けられて前記ガイドレールに沿って移動するローラとを有していることを特徴とする請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記右側フットレスト及び前記左側フットレストを左右方向へ傾倒させる傾倒機構を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記傾倒機構は、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの間の上部及び下部に介在されて空気の給排によって左右方向へ膨張及び収縮する空気袋と、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの夫々に対応する円弧状部分を有するガイドレールと、前記右側フットレスト及び前記左側フットレストの夫々に取り付けられて前記ガイドレールに沿って移動するローラとを有していることを特徴とする請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記右側フットレスト及び左側フットレストは夫々空気袋を有し、該空気袋は、膨張及び収縮することによって被施療者の脚を把持可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の椅子型マッサージ機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−29661(P2008−29661A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207564(P2006−207564)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】