説明

椅子型マッサージ機

【課題】 被施療者の首部に対し、押圧施療のみではなく伸長させるストレッチ施療を受けることができる椅子型マッサージ機を提供すること。
【解決手段】 被施療者が着座する座部2と、この座部2に着座した被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部3と、この背凭れ部3の上部に設けられた枕部7と、前記座部2に着座した被施療者の肩部の上面に対向して左右位置に設けられた肩右エアセル23、肩左エアセル24と、前記座部2に着座した被施療者の首部に対向して設けられた頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21とを備え、前記肩右エアセル23、肩左エアセル24を左右位置で互いに独立して駆動制御すると共に、前記頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21を左右位置で互いに独立して駆動制御する制御部60を具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部に座った被施療者を施療する椅子型マッサージ機に関し、特に、着座した被施療者の首部へ効果的なストレッチ施療が行える椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者が着座する座部と、この座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部とを備える椅子型マッサージ機が多数知られている。このような椅子型マッサージ機の中には、座部に着座した被施療者の首肩部を指圧的にマッサージする押圧マッサージ子を備えたマッサージユニットを、施療袋の膨張・収縮動作で前傾姿勢、後傾姿勢、押出姿勢に変更させることにより首肩部に対応した押圧マッサージ子を一体的に移動させ、これらの押圧マッサージ子で、被施療者の首肩部に対して揉み上げ、揉み下げなどのマッサージをするようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の椅子型マッサージ機の場合、首部と肩部とに対応して設けられた押圧マッサージ子によって、被施療者の右側又は左側の肩部と首部に対して同時に押圧マッサージを行うようになっている。
【0003】
また、首肩部の双方を指圧的にマッサージする押圧マッサージ子を備えさせた姿勢変更板を、姿勢制御袋で前傾姿勢、押出姿勢に姿勢制御して被施療者の首肩部に対してマッサージをするようにしたものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の椅子型マッサージ機の場合、首部と肩部とに対応して設けられた押圧マッサージ子によって、被施療者の右側又は左側の肩部と首部に対して同時又は交互に押圧マッサージを行うようになっている。
【特許文献1】特開平11−235369号公報
【特許文献2】特開平11−244347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載された発明では、被施療者の肩部から首部にかけての施療としては、左右位置において同時に押圧したり交互に押圧するような押圧施療しか行われていない。
【0005】
そこで、本発明は、被施療者の首部に対し、押圧施療のみではなく伸長させるストレッチ施療を受けることができる椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部と、該背凭れ部の上部に設けられた枕部と、前記座部に着座した被施療者の肩部の上面に対向して左右位置に設けられた肩施療具を有する肩施療部と、前記座部に着座した被施療者の首部又は頭部に対向して設けられた首施療具を有する首施療部とを備え、前記肩施療具を左右位置で互いに独立して駆動制御すると共に、前記首施療具を独立して駆動制御する制御部を具備していることを特徴とする。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「首施療具」は、座部に着座した被施療者の首部から頭部にかけて施療する施療具をいう。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における方向の概念は、座部に着座した被施療者から見たときの方向の概念と一致するものとする。これにより、座部に着座した被施療者の右位置又は左位置において互いに独立して駆動制御される肩施療具と首施療具とによって被施療者の肩部と首部又は頭部を独立して押圧することができるので、被施療者の肩部を押圧した状態で頭部を傾倒させて、被施療者の肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を受けることができる。
【0007】
また、前記制御部は、前記左右位置のいずれか一方の肩施療具を一定時間膨張させた後、該肩施療具を膨張させたまま前記首施療具を一定時間膨張させる機能を具備していてもよい。これにより、被施療者の左右の肩部のいずれか一方に対して、肩施療具で肩部を押圧して位置保持した状態で首施療具で首部又は頭部を押圧することができ、被施療者の肩部を押えた状態で頭部を傾倒させて肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を受けることができる。
【0008】
さらに、前記首施療具は、座部に着座した被施療者の頭側部に対向する左右位置に設けられた頭側部施療具を有し、前記制御部は、該頭側部施療具を左右位置で互いに独立して駆動制御する機能を具備していてもよい。これにより、被施療者の頭側部を左右位置から押圧して頭部を左右に傾倒させることができるので、首左右部を伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。
【0009】
また、前記肩施療具は、給排気によって膨張及び収縮する第1エアセルを有し、前記頭側部施療具は、給排気によって膨張及び収縮する第2エアセルを有し、前記第1エアセルは、外側部分を基端部として内側部分が被施療者の肩部の上面に向けて膨張し、前記第2エアセルは、内側部分を基端部として外側部分が被施療者の頭側部に向けて膨張するように構成されていてもよい。これにより、被施療者の肩部内側を第1エアセルで押えながら、第2エアセルで頭側部を外方向から押圧して頭部を横向きに傾倒させることができ、肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を、エアセルのクッション性を有効に利用して緩やかに受けることができる。
【0010】
さらに、前記第2エアセルは、内側部分に対して外側部分が上方に位置するように傾斜配置されていてもよい。これにより、被施療者の首部から頭部を斜め下向きに押圧することができ、被施療者の頭部を斜めに傾倒させることがスムーズに行える。
【0011】
その上、前記首施療具は、座部に着座した被施療者の首部の後面に対向して設けられた首後面施療具を有し、前記制御部は、該首後面施療具を独立して駆動制御する機能を具備していてもよい。これにより、被施療者の首部の後面を押圧して後頭部を持上げることにより頭部を後方(顎を上げる方向)へ倒すことができるので、首部の前部を伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。
【0012】
さらに、前記首後面施療具は、給排気によって膨張及び収縮する第3エアセルを有し、該第3エアセルは上側部分を基端部として下側部分が被施療者の首部に向けて膨張するように構成されていてもよい。これにより、第3エアセルの膨張によって被施療者の首部後面の下部を押圧して後頭部を持上げることができるので、首部の前部を効果的に伸長させるストレッチ施療を、エアセルのクッション性を有効に利用して緩やかに受けることができる。
【0013】
また、前記座部に着座した被施療者の腕部を支持する肘掛け部を左右位置に備え、該肘掛け部は、被施療者の腕部を施療する第4エアセルを有し、前記制御部は、該左右位置の第4エアセルをそれぞれ独立して駆動制御する機能を具備していてもよい。これにより、肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を行いつつ、一方又は両方の腕部に対しても押圧施療を受けることができる。
【0014】
さらに、前記座部に着座した被施療者の脚部を左右位置から施療する第5エアセルを備え、前記制御部は、該左右位置の第5エアセルをそれぞれ独立して駆動制御する機能を具備していてもよい。これにより、肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を行いつつ、一方又は両方の大腿部に対しても押圧施療を受けることができる。
【0015】
また、前記背凭れ部に凭れた被施療者の背中を左右位置から施療する背施療具を備え、前記制御部は、該左右位置の背施療具をそれぞれ独立して駆動制御する機能を具備していてもよい。これにより、肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を行いつつ、一方又は両方の背中を押圧して身体を捻るような施療を受けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上説明したような手段により、座部に着座した被施療者に対して、肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる椅子型マッサージ機を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る椅子型マッサージ機を前方から見た全体斜視図であり、図2は、図1に示す椅子型マッサージ機を後方から見た全体斜視図である。この実施の形態では、枕部が背凭れ部とは別体で構成され、この枕部に肩施療部と首施療部とが設けられた例を説明する。また、これら肩施療部と首施療部とに設けられる施療具として、エアセルを例に説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、上記したように座部2に着座した被施療者から見たときの方向の概念と一致するものとし、図1に示す椅子型マッサージ機1の矢印x1を上方向、逆向きに示された矢印x2を下方向、矢印y1を前方向、逆向きに示された矢印y2を後方向と規定し、椅子型マッサージ機1の左右方向の中心へ向かう矢印z1を内方向、逆向きに示された矢印z2を外方向と規定する。
【0018】
[全体構成]
図1,2に示すように、椅子型マッサージ機1は、被施療者が着座する座部2と、被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部3と、被施療者の腕部を支持する肘掛け部4(アームレスト)と、被施療者の脚部を支持する脚載置部5(フットレスト)とを備えている。背凭れ部3の前面上部には、上下方向に位置調整自在に設けられた枕部7が別体で備えられている。また、肘掛け部4には、被施療者の腕全体を外側から覆うように形成された腕カバー部6が設けられている。
【0019】
上記背凭れ部3は、被施療者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ機1に着座した際にその身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で縦長の略長方形を成している。そして、この背凭れ部3の上部に、この背凭れ部3により上半身を支持された被施療者の頭部に対応して上記枕部7が配設されている。背凭れ部3は、座部2の後部において回動可能に取り付けられており、図示しないリクライニング機構によって、図1の起立状態から後方へ倒れたリクライニング状態へ傾くことができる。背凭れ部3の内部には、施療子8aを有する機械式のマッサージ機構8が収容されている。このマッサージ機構8は、上下方向へ延びる図示しないガイドレールに沿って背凭れ部3の上下方向に往復動可能となっており、制御部60からの指示によって被施療者の上半身に対して揉み、叩き、ローリング等のマッサージが実行可能となっている。この上下方向に往復動するマッサージ機構8の両側部には、背凭れ部3に凭れた被施療者の背中(背筋左右部)を施療する背施療具である背右エアセル25(第6エアセル)と背左エアセル26(第6エアセル)とが配設されている。これらの肩右,肩左エアセル25,26は、その内方向z1の端部が給気時に膨張しない基端部25a,26aとなっており、外方向z2の端部が膨張する展開部25b,26bとなっている。
【0020】
また、上記脚載置部5は、座部2の前部において水平方向の軸中心周りに回動可能に取り付けられており、図示しない昇降機構によって、図1の降下状態から前方へ突出した上昇状態へ動くことができる。
【0021】
さらに、上記腕カバー部6は、肘掛け部4に載せた被施療者の腕部を、手先から肘を経由して上腕に至るまでを覆うような形状に形成されている。この腕カバー部6の内部には、座部2に着座した被施療者の肩部外側に対応する位置で、肩部近傍を側方から施療する肩横エアセル30と、被施療者の上腕を掴む保持エアセル31と、前腕を施療する腕エアセル32とが配設されている。以下の説明では、右側の腕カバー部6内に設けられた肩横エアセル30、保持エアセル31、腕エアセル32をまとめて腕右エアセル36(第4エアセル)といい、左側の腕カバー部6内に設けられた肩横エアセル30、保持エアセル31、腕エアセル32をまとめて腕左エアセル37(第4エアセル)という。また、座部2の両側部には、大腿部を施療する脚エアセル33が配設されている。以下の説明では、座部2の右側に設けられた脚エアセル33を脚右エアセル38(第5エアセル)といい、左側に設けられた脚エアセル33を脚左エアセル39(第5エアセル)という。さらに、この椅子型マッサージ機1には、座部2や脚載置部5にも、施療具としてのエアセル34,35が設けられている。
【0022】
これらのエアセル30〜35は、座部2の下方に設けられた図示しないエアポンプを有するエアユニットと接続されており、エアポンプによるエアセルの膨張動作によって被施療者に対して押圧施療を施すことができる。なお、エアセルを設けた上記構成は一例であり、個数や配置は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
一方、上記枕部7はカバー部材10で覆われており、前面視において全体として左右方向に長く、かつ下方に向けて広がるように形成されている。この枕部7は、背面が背凭れ部3の前面に沿う平面状に形成され、被施療者の両肩に沿う左右一対の肩施療面11と、前方に向けて突出するように形成された前面12と、被施療者の後頭部、首部を支える支持部13とを有している。肩施療面11は、内側から外側に向かって広がり、かつ被施療者の肩部に沿うように内側へ向かうに従って上方に傾斜している。支持部13は、高いクッション性を有し、下中央部に向かって窄むように形成されている。以上のように形成された枕部7により、被施療者が頭部及び首部を支持部13にあてがってリラックスした姿勢で施療を受けることができるようになっている。
【0024】
また、枕部7の背面上縁には、布状の上エプロン14が設けられ、この上エプロン14は、枕部7の位置から背凭れ部3の挿通部17を通って背凭れ部3の後側で垂れ下がっている。この上エプロン14の後側端部には、左右方向に延びる錘15が固定されている。枕部7の背面下縁には布状の下エプロン16が設けられ、この下エプロン16は、背凭れ部3の前面で垂れ下がっている。
【0025】
被施療者が枕部7の位置を下げたいときには、枕部7や下エプロン16を把持し下方へ引っ張る。この枕部7は、被施療者が背凭れ部3に凭れる際に、枕部7の背面下縁に設けられた下エプロン16が、被施療者と背凭れ部3との間に挟まれるので、任意の位置に下げた枕部7の位置を固定してずれを防止することができる。枕部7の位置を上げたいときは、枕部7を浮かすなどし、枕部7を背凭れ部3から離すと、錘15の重量により上方へ移動する。このような構成で、枕部7を上下方向に位置調整可能としている。
【0026】
[肩・首施療部の構成]
図3は、図1に示す椅子型マッサージ機の枕部を示す正面図であり、図1に示す枕部7からカバー部材10等を取り除いた状態で示している。図示するように、枕部7は、上記カバー部材10に覆われた枕本体50を備え、この枕本体50の中央部51には、座部2に着座した被施療者の頭側部の左右位置に、この頭側部から首側部にかけて対向するように首施療部の頭側部施療具として左右一対の頭(首)側部エアセル20,21(第2エアセル)が配設されている。また、枕本体50の中央部51には、座部2に着座した被施療者の首部の後部に対向して首部を施療する首施療部の首後面施療具としての首後面エアセル22(第3エアセル)が配設されている。これら頭(首)側部エアセル20,21、首後面エアセル22は、蛇腹状のエアセルが採用されている。頭(首)側部エアセル20,21は、共に、内側部分(即ち、内方向z1の端部)に対して外側部分(即ち、外方向z2の端部)が上方に位置するように傾斜配置されている。また、この頭(首)側部エアセル20,21は、その内方向z1の端部が給気時に膨張しない基端部20a,21aとなっており、外方向z2の端部が膨張する展開部20b,21bとなっている。一方、首後面エアセル22は、上方向x1の端部が給気時に膨張しない基端部22aとなっており、下方向x2の端部が膨張する展開部22bとなっている。これらの頭(首)側部エアセル20,21、首後面エアセル22は、給気することによって略扇状に膨張すると共に排気したときには平坦な形状に収縮する。
【0027】
従って、被施療者が座部2に着座しているときに頭(首)側部エアセル20,21に給気すると、被施療者の頭側部を内方向z1へ向って若干下向きに押圧するので、左右のいずれか一方に給気すれば頭側部を斜め下向きに押圧して被施療者の頭部を左右方向へ傾倒させることができる。また、両方に給気すれば頭側部を前方下向きに押圧して被施療者の頭部を前方下向きに傾倒させることができる。また、被施療者が座部2に着座しているときに首後面エアセル22に給気すると、首部の下部を前方上向きに押圧して被施療者の顎を上げさせ、被施療者の首部前部を伸長させることができる。
【0028】
さらに、肩施療面11(図1)に対応する本体底部52には、被施療者の肩部の上面に対向する位置でその肩部を上方から施療する肩施療部の肩施療具として左右一対の肩エアセル23,24(第1エアセル)が配設されている。これらの肩エアセル23,24は、外方向z2の端部が給気時に膨張しない基端部23a,24aとなっており、内方向z1の端部が膨張する展開部23b,24bとなっている。この肩エアセル23,24も、給気することによって略扇状に膨張すると共に排気したときには平坦な形状に収縮する。従って、被施療者が座部2に着座しているときにこの肩エアセル23,24に給気すると、肩を上方内側(肩部のうちの首部に近い部分)から下方外側(肩部のうちの首部から遠い部分)へ向けて伸長するように押圧することができるので、被施療者の肩部を保持及び下方外側へ向って伸長させることができる。
【0029】
[椅子型マッサージ機の機能]
図4は、図1に示す椅子型マッサージ機1の機械的な機能を説明するためのブロック図である。図4に示す制御部60は、CPU,ROM,RAM,及び計時装置等から構成されており、各種の制御プログラムを実行し、接続された施療ユニットやエアセルの施療動作を制御している。また、制御部60は、駆動部61を介してマッサージ機構8(図1)に施療動作をさせる施療機構62、及びバイブレータ機構63等が接続されており、これらも制御している。さらに、制御部60には、被施療者が操作するリモートコントローラ64が接続されている。
【0030】
制御部60は、駆動部61を介して給排気装置65に接続されている。駆動部61は、制御部60からの指示に従って駆動信号を出力し、この駆動信号によって給排気装置65を駆動させる。給排気装置65は、電磁弁等の切替バルブ及びエアポンプ等によって構成されている。この給排気装置65は、肩右エアセル23にエアホースで接続された制御弁70、肩左エアセル24にエアホースで接続された制御弁71、頭(首)右エアセル20にエアホースで接続された制御弁72、頭(首)左エアセル21にエアホースで接続された制御弁73、首後エアセル22にエアホースで接続された制御弁74、背右エアセル25にエアホースで接続された制御弁75、及び背右エアセル26にエアホースで接続された制御弁76、その他のエアセルにエアホースで接続された制御弁(図示しない)に、それぞれエアホースで接続され、これらに対して互いに独立して給排気することができるようになっている。
【0031】
従って、被施療者がリモートコントローラ64を操作するか、又は制御部60の判断により、制御部60から駆動部61へ指示が出力されると、給排気装置65からの給排気によって、肩右エアセル23、肩左エアセル24、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21、及び首後エアセル22が互いに独立して制御され、各エアセル20〜24を、それぞれ独自に膨張・収縮させる。なお、制御部60に接続されたリモートコントローラ64によるマッサージ機1の動作指示としては、施療機構や各エアセルを動作させる制御モードが複数用意されており、各種の施療モードやマニュアルモード等を実行できるようになっている。
【0032】
このように構成された本実施の形態のマッサージ機1によれば、以下のように、被施療者の肩部から首部にかけて伸長させる多様な施療パターンでストレッチ施療をすることができ、被施療者は高い施療効果を得ることができる。以下、施療パターンを説明する。
【0033】
[施療パターン]
図5〜図12は、椅子型マッサージ機1による施療パターンの一例を示す各エアセルの膨張・収縮の動作説明図であり、縦軸は各制御弁のオン/オフ状態を示し、横軸は時間を示している。図13(a)〜図18(b)は、これらの各施療パターンにおける施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図であり、一点鎖線で囲む部分のエアセルが膨張・収縮させるエアセルを示している。これらの図の各エアセルは、カバーを除いた状態で模式的に示している。以下、代表的な施療パターンを、それぞれの図面に基いて説明する。
【0034】
(施療パターン1)
図5,図13(a)に示すように、この施療パターン1は、被施療者の首右部に対して首ストレッチを行うパターンである。制御部60は、肩右エアセル23に給気してこれを膨張させた後、この肩右エアセル23を膨張させたまま、頭(首)右エアセル20に給気してこれを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23を収縮させた後、頭(首)右エアセル20を収縮させる。
【0035】
この施療パターン1によれば、被施療者は右肩が押圧され、右肩が保持及び伸長された状態で頭右部が押されるので、右肩が浮かないよう保持及び伸長されたままで頭部が左側に傾倒させられ、首右部から肩右部にかけて伸長させるストレッチ施療を受けることができる。
【0036】
(施療パターン2)
図5,図13(b)に示すように、この施療パターン2は、被施療者の首左部に対して首ストレッチを行うパターンである。制御部60は、肩左エアセル24に給気してこれを膨張させた後、この肩左エアセル24を膨張させたまま、頭(首)左エアセル21に給気してこれを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩左エアセル24を収縮させた後、頭(首)左エアセル21を収縮させる。
【0037】
この施療パターン2によれば、被施療者は左肩が押圧され、左肩が保持及び伸長された状態で頭左部が押されるので、左肩が浮かないよう保持及び伸長させたまま頭部が右側に傾倒させられ、首左部から肩左部にかけて伸長させるストレッチ施療を受けることができる。
【0038】
(施療パターン3)
図5,図14に示すように、この施療パターン3は、被施療者の首前部に対する首ストレッチを主として行うパターンである。制御部60は、肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24を膨張させたまま、首後エアセル22に給気してこれを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23、肩左エアセル24を収縮させた後、首後エアセル22を収縮させている。そして、一定時間経過後に、再び肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24を膨張させたまま、首後エアセル22に給気してこれを膨張させると共に、これらを膨張させたまま、頭(首)右エアセル20を膨張させた後、頭(首)左エアセル21を膨張させ、一定時間経過後に頭(首)右エアセル20を収縮させた後、肩右エアセル23、肩左エアセル24を収縮させると共に、頭(首)左エアセル21と首後エアセル22とを収縮させている。
【0039】
しかも、これらの給排気動作を、肩右エアセル23、肩左エアセル24とエアセル20〜22とでオーバーラップさせながら行うことにより、断続的ではなく各部の施療が滑らかに連なるようにしている。つまり、制御部60は、肩右エアセル23、肩左エアセル24が膨張する時間帯の長さを略同一とし、かつ頭(首)右エアセル20と頭(首)左エアセル21と首後エアセル22とを膨張させる時間帯の一部をオーバーラップさせることで、各部の施療が重なりながら滑らかに連なるようにしている。
【0040】
この施療パターン3によれば、被施療者は両肩部が押圧され、両肩が保持及び伸長された状態で、首後部が押されて後頭部が持上げられることにより、両肩が浮かないように保持及び伸長させたまま頭部が後方(顎を上げる方向)へ傾倒させられるので、首前部を伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。その上、両肩を保持及び伸長させ、さらに顎を上げさせた状態で、頭右部と頭左部とが交互に押圧されて頭部が左右に傾倒させられるので、首部の左右部を交互に伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。
【0041】
(施療パターン4)
図6,図15に示すように、この施療パターン4は、被施療者の首後部に対する首ストレッチを主として行うパターンである。制御部60は、肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24を膨張させたまま、頭(首)右エアセル20と頭(首)左エアセル21とに給気してこれらを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23、肩左エアセル24を収縮させた後、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21を収縮させている。そして、一定時間経過後に、再び肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24を膨張させたまま、頭(首)右エアセル20と頭(首)左エアセル21とに給気してこれらを膨張させている。その後、頭(首)左エアセル21の排気と給気とを行うと共に、頭(首)右エアセル20の排気と給気とを行っている。また、一定時間経過後に肩右エアセル23、肩左エアセル24を収縮させると共に、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21を収縮させている。しかも、これらの給排気動作を、肩右エアセル23、肩エアセル24と頭(首)エアセル20,21とで所定時間オーバーラップさせながら行うことにより、断続的ではなく滑らかに施療箇所が移動するようにしている。
【0042】
この施療パターン4によれば、被施療者は両肩部を押圧され、両肩部が保持及び伸長された状態で、頭左右部が押されて頭部が前方下向きに傾倒させられることにより、両肩が浮かないように保持及び伸長されたまま頭部が前方下向き(顎を引く方向)へ傾倒させられるので、首後部を伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。その上、両肩を保持及び伸長させ、さらに顎を引かせた状態で、頭右部と頭左部とが交互に押圧されて頭部が左右に傾倒させられるので、首部の左右部を交互に伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。
【0043】
以上のように、施療パターン1,2によれば首左右部の伸長が可能であり、施療パターン3によれば首前部の伸長が可能であり、施療パターン4によれば首後部の伸長が可能である。従って、施療パターン1〜4によれば、肩右エアセル23、肩左エアセル24、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21、首後エアセル22を互いに独立して制御することにより、被施療者の肩部を押圧して上半身の位置を保持した状態としつつ、被施療者の首部に対して多様なストレッチ施療が可能となり、被施療者は高い施療効果を得ることができる。
【0044】
(施療パターン5)
図7,図16(a)に示すように、この施療パターン5は、上記施療パターン1を行いながら被施療者の右腕部を施療するパターンである。制御部60は、肩右エアセル23に給気してこれを膨張させると共に、同時に腕右エアセル36に給気してこれを膨張させた後、これら肩右エアセル23と腕右エアセル36を膨張させたまま、頭(首)右エアセル20に給気してこれを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23と腕右エアセル36とを収縮させた後、頭(首)右エアセル20を収縮させている。この施療パターン5では腕右エアセル36の全てのエアセルを同時に膨張させるようにしているが、腕右エアセル36の各エアセルを腕先側から順に膨張させたり、一部のみを膨張させるようにしてもよい。
【0045】
この施療パターン5によれば、被施療者は右肩と右腕とが押圧された状態で頭右部が押されて頭部が左側に傾倒させられるので、首右部に対して肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を受けると共に右腕に対して押圧施療がなされ、被施療者は右腕を押圧施療しながら首右部及び肩右部を伸長させるようなストレッチ施療を受けることができる。
【0046】
また、この施療パターン5において、肩右エアセル23を膨張させることなく、腕右エアセル36を膨張させた状態で頭(首)右エアセル20を膨張させるようにしてもよい。この場合には、被施療者の右腕部から首右部にかけて伸長させるようなストレッチ施療を受けることができる。特に、腕右エアセル36の腕先側にあるエアセル(腕エアセル32)のみを膨張させた状態で頭(首)右エアセル20を膨張させるようにすれば、右腕部の先から首右部にかけて伸長させることができるので望ましい。
【0047】
(施療パターン6)
図7,図16(b)に示すように、この施療パターン6は、上記施療パターン2を行いながら被施療者の左腕部を施療するパターンである。制御部60は、肩左エアセル24に給気してこれを膨張させると共に、同時に腕左エアセル37に給気してこれを膨張させた後、これら肩左エアセル24と腕左エアセル37を膨張させたまま、頭(首)左エアセル21に給気してこれを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩左エアセル24と腕左エアセル37とを収縮させた後、頭(首)左エアセル21を収縮させている。なお、この施療パターン6でも腕左エアセル37の全てのエアセルを同時に膨張させるようにしているが、腕左エアセル37の各エアセルを腕先側から順に膨張させたり、一部のみを膨張させるようにしてもよい。
【0048】
この施療パターン6によれば、被施療者は左肩と左腕が押圧された状態で頭左部が押されて頭部が右側に傾倒させられるので、首左部に対して肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を受けると共に左腕に対して押圧施療がなされ、被施療者は左腕を押圧施療しながら首左部及び肩左部を伸長させるようなストレッチ施療を受けることができる。
【0049】
また、この施療パターン6においても、肩左エアセル24を膨張させることなく、腕左エアセル37を膨張させた状態で頭(首)左エアセル21を膨張させるようにしてもよい。この場合には、被施療者の左腕部から首左部にかけて伸長させるようなストレッチ施療を受けることができる。この施療パターン6でも、特に、腕左エアセル37の腕先側にあるエアセル(腕エアセル32)のみを膨張させた状態で頭(首)左エアセル21を膨張させるようにすれば、左腕部の先から首左部にかけて伸長させることができるので望ましい。
【0050】
(施療パターン7)
図8,図17(a)に示すように、この施療パターン7は、被施療者の首前部と大腿部とを施療するパターンである。制御部60は、肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させると共に、同時に脚右エアセル38、脚左エアセル39に給気してこれらを膨張させた後、これら肩右エアセル23、肩左エアセル24、脚右エアセル38、脚左エアセル39を膨張させたまま、首後エアセル22に給気してこれを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23、肩左エアセル24と脚右エアセル38、脚左エアセル39とを同時にを収縮させた後、首後エアセル22を収縮させている。
【0051】
この施療パターン7によれば、被施療者は肩部と大腿部とが押圧された状態で首後部が押されて後頭部が持上げられるので、首前部を伸長させるストレッチ施療を受けることができると共に、大腿部に対して両側方から押圧施療を受けることができる。しかも、被施療者の肩部に加え大腿部も押圧された状態で首後部を押圧するので、身体が浮上がることなく後頭部を持上げることができ、効果的な首前部のストレッチ施療を受けることができる。なお、この施療パターン7では、脚右エアセル38、脚左エアセル39へ同時に給気して両大腿部を同時に押圧施療しているが、一方に給気して左右一方を押圧施療するようにしても、両方に時間差を設けて給気して押圧施療が左右位置で所定時間オーバーラップするようにしてもよく、給気パターンはこの例に限定されるものではない。
【0052】
(施療パターン8)
図8,図17(b)に示すように、この施療パターン8は、被施療者の首後部と大腿部とを施療するパターンである。制御部60は、肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させると共に、同時に脚右エアセル38、脚左エアセル39に給気してこれを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24、脚右エアセル38、脚左エアセル39を膨張させたまま、頭(首)右エアセル20と頭(首)左エアセル21とに給気してこれらを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23、肩左エアセル24と同時に脚右エアセル38、脚左エアセル39を収縮させた後、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21を収縮させている。
【0053】
この施療パターン8によれば、被施療者は肩部が押圧された状態で頭左右部が押されて頭部が前方に傾倒させられるので、首後部を伸長させるストレッチ施療を受けることができると共に、大腿部に対しても両側方から押圧施療を受けることができる。しかも、被施療者の肩部に加え大腿部も押圧された状態で頭左右部を押圧するので、身体が前方へ押し出されることなく頭部を前方に傾倒させて、効果的な首後部のストレッチ施療を受けることができる。なお、この施療パターン8でも、脚右エアセル38、脚左エアセル39へ同時に給気して両大腿部を同時に押圧施療しているが、一方に給気して左右一方を押圧施療するようにしても、両方に時間差を設けて給気して押圧施療が左右位置でで所定時間オーバーラップするようにしてもよく、給気パターンはこの例に限定されるものではない。
【0054】
(施療パターン9)
図9,図18(a)に示すように、この施療パターン9は、被施療者の首前部と両腕部及び大腿部を施療するパターンである。制御部60は、肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させると共に、同時に腕右エアセル36、腕左エアセル37と脚右エアセル38、脚左エアセル39とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24、腕右エアセル36、腕左エアセル37、脚右エアセル38、脚左エアセル39を膨張させたまま、首後エアセル22に給気してこれを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23、肩左エアセル24と、腕右エアセル36、腕左エアセル37、脚右エアセル38、及び脚左エアセル39とを同時に収縮させた後、首後エアセル22を収縮させている。
【0055】
この施療パターン9によれば、被施療者は肩部と両腕部及び両大腿部が押圧されて身体が保持された状態で首後部が押されて後頭部が持上げられるので、身体が浮上がることなく頭部が後方(顎を上げる方向)へ傾倒させられて首前部を伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。しかも、首前部の施療を受けつつ、両腕部と両大腿部とに対しても押圧施療を受けることができる。
【0056】
(施療パターン10)
図9,図18(b)に示すように、この施療パターン10は、被施療者の首後部と両腕部及び両大腿部を施療するパターンである。制御部60は、肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させると共に、同時に腕右エアセル36、腕左エアセル37と脚右エアセル38、脚左エアセル39とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24、腕右エアセル36、腕左エアセル37、脚右エアセル38、脚左エアセル39を膨張させたまま、頭(首)右エアセル20と頭(首)左エアセル21とに給気してこれらを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23、肩左エアセル24と、腕右エアセル36、腕左エアセル37、脚右エアセル38、及び脚左エアセル39とを同時に収縮させた後、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21を収縮させている。
【0057】
この施療パターン10によれば、被施療者は肩部と両腕部及び両大腿部が押圧されて身体が保持されたた状態で頭左右部が押圧されて頭部が前方(顎を引く方向)へ傾倒させられるので、頭左右部の押圧時に身体が移動することなく首後部を伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。しかも、首部の施療を受けつつ、両腕部と大腿部とに対しても押圧施療を受けることができる。
【0058】
以上のように、施療パターン5〜10によれば、肩右エアセル23、肩左エアセル24、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21、首後エアセル22を互いに独立して制御すると共に、腕右エアセル36、腕左エアセル37、脚右エアセル38、脚左エアセル39を独立して制御することで、上述した施療パターン1〜4による被施療者の首部に対するストレッチ施療と共に、他の部位に対しても多様な施療が行われて、被施療者は高い施療効果を得ることができる。
【0059】
(施療パターン11)
図10,図19(a)に示すように、この施療パターン11は、被施療者の首右部に対する首ストレッチに加えて背を反らす又は背を捻るように施療するパターンである。制御部60は、肩右エアセル23に給気してこれを膨張させた後、この肩右エアセル23を膨張させたまま、頭(首)右エアセル20に給気してこれを膨張させ、これら肩右エアセル23と頭(肩)右エアセル20を膨張させたまま、背右エアセル25を膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23を収縮させた後、頭(首)右エアセル20と背右エアセル25とを収縮させている。
【0060】
この施療パターン11によれば、被施療者は右肩が押圧され、右肩が保持及び伸長された状態で頭右部と背右部とが押されるので、右肩が浮かないよう保持及び伸長されたままで頭部が左側に傾倒させられると共に背中の右部が押されて背が反らされるように捻られるので、首右部から肩右部、背右部にかけて背を捻るように伸長させるストレッチ施療を受けることができる。
【0061】
(施療パターン12)
図10,図19(b)に示すように、この施療パターン12は、被施療者の首左部に対して首ストレッチに加えて背を反らす又は背を捻るように施療するパターンである。制御部60は、肩左エアセル24に給気してこれを膨張させた後、この肩左エアセル24を膨張させたまま、頭(首)左エアセル21に給気してこれを膨張させ、これら肩左エアセル24と頭(肩)左エアセル21を膨張させたまま、背左エアセル26を膨張させている。そして、一定時間経過後、肩左エアセル24を収縮させた後、頭(首)左エアセル21と背左エアセル26とを収縮させている。
【0062】
この施療パターン12によれば、被施療者は左肩が押圧され、左肩が保持及び伸長された状態で頭左部と背右部とが押されるので、左肩が浮かないよう保持及び伸長させたままで頭部が右側に傾倒させられると共に背中の左部が押されて背が反らされるように捻られるので、首左部から肩左部、背右部にかけて背を捻るように伸長させるストレッチ施療を受けることができる。
【0063】
(施療パターン13)
図11,図20に示すように、この施療パターン13は、被施療者の首前部に対する首ストレッチに加えて背を反らす又は背を捻るように施療するパターンである。制御部60は、肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24を膨張させたまま、首後エアセル22に給気してこれを膨張させ、これら肩右エアセル23、肩左エアセル24、首後エアセル22を膨張させたまま、背右エアセル25と背左エアセル26とに給気してこれらを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23、肩左エアセル24を収縮させた後、首後エアセル22と背右エアセル25及び背左エアセル26を収縮させている。そして、一定時間経過後に、再び肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24を膨張させたまま、首後エアセル22に給気してこれを膨張させると共に、これらを膨張させたまま、頭(首)右エアセル20を膨張させた後、頭(首)左エアセル21を膨張させ、一定時間経過後に頭(首)右エアセル20を収縮させた後、肩右エアセル23、肩左エアセル24を収縮させると共に、頭(首)左エアセル21と首後エアセル22とを収縮させている。
【0064】
しかも、これらの給排気動作を、肩右エアセル23、肩左エアセル24とエアセル20〜22とでオーバーラップさせながら行うことにより、断続的ではなく各部の施療が滑らかに連なるようにしている。つまり、制御部60は、肩右エアセル23、肩左エアセル24が膨張する時間帯の長さを略同一とし、かつ頭(首)右エアセル20と頭(首)左エアセル21と首後エアセル22とを膨張させる時間帯の一部をオーバーラップさせることで、各部の施療が重なりながら滑らかに連なるようにしている。
【0065】
この施療パターン13によれば、被施療者は両肩部が押圧され、両肩が保持及び伸長された状態で、首後部が押されて後頭部が持上げられることにより、両肩が浮かないように保持及び伸長させたまま頭部が後方(顎を上げる方向)へ傾倒させられるので、首前部を伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。しかも、首前部へのストレッチ施療と同時に両背部が押されて背が反らされるので、背中から後頭部にかけての長い範囲を伸長させるストレッチ施療を受けることができる。その上、両肩を保持及び伸長させ、さらに顎を上げさせた状態で、頭右部と頭左部とが交互に押圧されて頭部が左右に傾倒させられるので、首部の左右部を交互に伸長させるストレッチ施療も効果的に受けることができる。
【0066】
(施療パターン14)
図12,図21に示すように、この施療パターン14は、被施療者の首後部に対する首ストレッチに加えて背を反らす又は背を捻るように施療するパターンである。制御部60は、肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24を膨張させたまま、頭(首)右エアセル20と頭(首)左エアセル21とに給気してこれらを膨張させ、これら肩右エアセル23、肩左エアセル24、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21を膨張させたまま、背右エアセル25と背左エアセル26とに給気してこれらを膨張させている。そして、一定時間経過後、肩右エアセル23、肩左エアセル24を収縮させた後、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21と背右エアセル25、背左エアセル26とを収縮させている。そして、一定時間経過後に、再び肩右エアセル23と肩左エアセル24とに給気してこれらを膨張させた後、これらの肩右エアセル23、肩左エアセル24を膨張させたまま、頭(首)右エアセル20と頭(首)左エアセル21とに給気してこれらを膨張させている。その後、頭(首)左エアセル21の排気と給気とを行うと共に、頭(首)右エアセル20の排気と給気とを行っている。また、一定時間経過後に肩右エアセル23、肩左エアセル24を収縮させると共に、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21を収縮させている。しかも、これらの給排気動作を、肩右エアセル23、肩エアセル24と頭(首)エアセル20,21とで所定時間オーバーラップさせながら行うことにより、断続的ではなく滑らかに施療箇所が移動するようにしている。
【0067】
この施療パターン14によれば、被施療者は両肩部を押圧され、両肩部が保持及び伸長された状態で、頭左右部が押されて頭部が前方下向きに傾倒させられることにより、両肩が浮かないように保持及び伸長させたまま頭部が前方下向き(顎を引く方向)へ傾倒させられるので、首後部を伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。しかも、首後部へのストレッチ施療と同時に両背部が押されて背が反らされるので、背中から首部にかけての長い範囲を伸長させながら首後部を伸長させるストレッチ施療を受けることができる。その上、両肩を保持及び伸長させ、さらに顎を引かせた状態で、頭右部と頭左部とが交互に押圧されて頭部が左右に傾倒させられるので、首部の左右部を交互に伸長させるストレッチ施療も効果的に受けることができる。
【0068】
以上のように、施療パターン11,12によれば、首左右部の伸長と共に背を反らせ又は捻るように施療することが可能であり、施療パターン13によれば首前部の伸長と共に背を反らして長い範囲を伸長させることが可能であり、施療パターン14によれば首後部の伸長と共に背を反らして伸長させることが可能である。従って、施療パターン11〜14によれば、肩右エアセル23、肩左エアセル24、頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21、首後エアセル22、背右エアセル25、及び背左エアセル26を互いに独立して制御することにより、被施療者の肩部を押圧して上半身の位置を保持した状態としつつ、被施療者の首部に対する多様なストレッチ施療と共に背を反らせたり捻るような施療が可能となり、被施療者はより高い施療効果を得ることができる。なお、上記施療パターン13,14においては背右エアセル25と背左エアセル26とを同時に膨張/収縮させているが、これら背右エアセル25と背左エアセル26とを交互に膨張/収縮させるようにしてもよい。また、これらの施療パターンにおいて、上記腕右エアセル36、腕左エアセル37、脚右エアセル38、及び脚左エアセル39による施療を加えれば、他の部位に対しても多様な施療が行われて、被施療者は高い施療効果を得ることができる。
【0069】
また、上記実施の形態に加え、上記首前部ストレッチと組合せてローリング機能によって被施療者の身体を反らせることにより、被施療者の全身をより反らすようにしてもよい。さらに、首前部ストレッチ及び首後側ストレッチと組合せてマッサージ機構8によるもみ/たたき動作を行うようにすれば、首前部と首後部のストレッチによって筋肉が伸長した背中に対して、もみ/たたき等のマッサージを行うので、より効果的なマッサージが可能となる。また、首前部ストレッチに組合せて背凭れ部3をリクライニングさせて全身ストレッチを行うことにより、全身をより反らしたマッサージができる。しかも、首右部ストレッチ及び首左部ストレッチと組合せて腰や座を押圧マッサージすることにより、上半身をより捻るようなマッサージができる。さらに、上記首ストレッチに加えて座揺れ機構(図示せず)によって座部2を左右方向に揺らすようにして、全身をマッサージするようにしてもよい。
【0070】
以上のように、上記椅子型マッサージ機1によれば、被施療者の肩部を押圧することにより上半身の位置を保持及び肩部を伸長させた状態で、首部を伸長させるストレッチ施療を効果的に受けることができる。また、この施療と同時に背中を押圧することにより、被施療者の背を反らせたり捻るような動作を与えて首部を伸長させるストレッチ施療をより効果的に受けるようにすることもできる。
【0071】
なお、上述した施療パターン1〜10は椅子型マッサージ機1による施療動作の一例を示したものであり、制御部60によって、各エアセル20〜24、36〜39への給排気タイミングや膨張持続時間、複数のパターンの組合せ、及び繰り返し等は適宜設定することができ、上述した施療パターンに限定されるものではない。例えば、上記施療パターン1〜10の各エアセルの膨張時間長さ、収縮時間長さは、例えば、2秒、3秒、・・10秒・・等を選択することができ、施療パターンの周期を変更したり、また、各エアセルの膨張強さを互いに異なる強さに変更して、被施療者を押圧する強さが各エアセル間で異なるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では首施療具を頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21、首後エアセル22で構成しているが、頭(首)右エアセル20と頭(首)左エアセル21のみや、首後エアセル22のみ、その他の構成であってもよい。しかも、上記実施の形態における頭(首)右エアセル20、頭(首)左エアセル21、首後エアセル22、肩右エアセル23、及び肩左エアセル24等は各々2個で構成することも可能であり、各エアセル20〜24の数等も上記実施の形態に限定されるものではない。
【0073】
さらに、上記実施の形態では、各施療具としてエアセルを例に説明したが、各施療具は施療子等の他の施療具であってもよく、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0074】
また、上述した実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、被施療者の肩部から首部にかけて伸長させるストレッチ施療を行いたい椅子型マッサージ機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施の形態に係る椅子型マッサージ機を前方から見た全体斜視図である。
【図2】図1に示す椅子型マッサージ機を後方から見た全体斜視図である。
【図3】図1に示す椅子型マッサージ機の枕部を示す正面図である。
【図4】図1に示す椅子型マッサージ機の機械的な機能を説明するためのブロック図である。
【図5】施療パターン1〜3における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図6】施療パターン4における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図7】施療パターン5,6における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図8】施療パターン7,8における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図9】施療パターン9,10における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図10】施療パターン11,12における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図11】施療パターン13における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図12】施療パターン14における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図13(a)】施療パターン1における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図13(b)】施療パターン2における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図14】施療パターン3における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図15】施療パターン4における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図16(a)】施療パターン5における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図16(b)】施療パターン6における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図17(a)】施療パターン7における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図17(b)】施療パターン8における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図18(a)】施療パターン9における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図18(b)】施療パターン10における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図19(a)】施療パターン11における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図19(b)】施療パターン12における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図20】施療パターン13における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【図21】施療パターン14における施療位置を示す椅子型マッサージ機の正面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
4 肘掛け部
5 脚載置部
6 腕カバー部
7 枕部
20 頭(首)右エアセル(第2エアセル)
21 頭(首)左エアセル(第2エアセル)
22 首後エアセル(第3エアセル)
23 肩右エアセル(第1エアセル)
24 肩左エアセル(第1エアセル)
25 背右エアセル(第6エアセル)
26 背左エアセル(第6エアセル)
36 腕右エアセル(第4エアセル)
37 腕左エアセル(第4エアセル)
38 脚右エアセル(第5エアセル)
39 脚左エアセル(第5エアセル)
60 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部と、該背凭れ部の上部に設けられた枕部と、前記座部に着座した被施療者の肩部の上面に対向して左右位置に設けられた肩施療具を有する肩施療部と、前記座部に着座した被施療者の首部又は頭部に対向して設けられた首施療具を有する首施療部とを備え、
前記肩施療具を左右位置で互いに独立して駆動制御すると共に、前記首施療具を独立して駆動制御する制御部を具備していることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記制御部は、前記左右位置のいずれか一方の肩施療具を一定時間膨張させた後、該肩施療具を膨張させたまま前記首施療具を一定時間膨張させる機能を具備している請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記首施療具は、座部に着座した被施療者の頭側部に対向する左右位置に設けられた頭側部施療具を有し、
前記制御部は、該頭側部施療具を左右位置で互いに独立して駆動制御する機能を具備している請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記肩施療具は、給排気によって膨張及び収縮する第1エアセルを有し、前記頭側部施療具は、給排気によって膨張及び収縮する第2エアセルを有し、
前記第1エアセルは、外側部分を基端部として内側部分が被施療者の肩部の上面に向けて膨張し、
前記第2エアセルは、内側部分を基端部として外側部分が被施療者の頭側部に向けて膨張するように構成されている請求項3に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記第2エアセルは、内側部分に対して外側部分が上方に位置するように傾斜配置されている請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記首施療具は、座部に着座した被施療者の首部の後部に対向して設けられた首後面施療具を有し、
前記制御部は、該首後面施療具を独立して駆動制御する機能を具備している請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
前記首後面施療具は、給排気によって膨張及び収縮する第3エアセルを有し、該第3エアセルは上側部分を基端部として下側部分が被施療者の首部に向けて膨張するように構成されている請求項6に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項8】
前記座部に着座した被施療者の腕部を支持する肘掛け部を左右位置に備え、
該肘掛け部は、被施療者の腕部を施療する第4エアセルを有し、
前記制御部は、該左右位置の第4エアセルをそれぞれ独立して駆動制御する機能を具備している請求項1〜7のいずれか1項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項9】
前記座部に着座した被施療者の脚部を左右位置から施療する第5エアセルを備え、
前記制御部は、該左右位置の第5エアセルをそれぞれ独立して駆動制御する機能を具備している請求項1〜8のいずれか1項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項10】
前記背凭れ部に凭れた被施療者の背中を左右位置から施療する背施療具を備え、
前記制御部は、該左右位置の背施療具をそれぞれ独立して駆動制御する機能を具備している請求項1〜9のいずれか1項に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【図14】
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【図15】
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【図16(a)】
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【図16(b)】
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【図17(a)】
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【図17(b)】
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【図18(a)】
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【図18(b)】
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【図19(a)】
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【図19(b)】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−178341(P2009−178341A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20116(P2008−20116)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】