説明

椅子型マッサージ機

【課題】 被施療者の腕部から肩先にかけて効果的にマッサージできる椅子型マッサージ機を提供すること。
【解決手段】 被施療者が着座する座部と、この座部に着座した被施療者が腕部を載せる肘掛け部4とを有し、この肘掛け部4は、座部に着座した被施療者の前腕部、上腕部、及び肩部の下方と外方とに相対位置が定まった腕部支持壁21を備え、この腕部支持壁21は、被施療者側に腕部を挿入可能な開口24と、この開口24から腕部支持壁21に沿って位置させた被施療者の腕部を施療する施療部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部に着座した被施療者の腕部にマッサージを行うことができる椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子型マッサージ機には、背凭れ部に被施療者の背中をマッサージするマッサージ手段が設けられ、座部に被施療者の臀部をマッサージする施療手段が設けられ、脚載部(フットレスト)に脚部をマッサージする施療手段が設けられている。
【0003】
一方、近年では、座部に着座した被施療者の腕や肩甲骨付近をマッサージする施療手段を備えさせるようにしたものがある。例えば、腕を載せる肘掛け部となる保持部を備えさせ、この保持部に、上腕を保持する第1保持部分と前腕を保持する第2保持部分とを有するようにし、これらの保持部分に保持した上腕と前腕とを施療する施療部を各保持部分に備えさせたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の従来技術として、背骨付近を施療する施療子の両側部に肩甲骨付近を施療する空気式のマッサージ具を設け、このマッサージ具の膨張収縮で被施療者の肩甲骨付近を押圧マッサージするようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−310683号公報
【特許文献2】特開2000−325416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の発明では、被施療者が着座時に前腕を第1保持部分に保持すると共に上腕を第2保持部分に保持することとなるが、これら別々の保持部分に上手く腕を保持するには慣れが必要となる。また、これらの保持部分は、背凭れ部の傾倒前後において保持部分のなす角度を変化させるようにしているが、そのためには保持部分を支持するための構造が複雑になり、多くの費用を要する。
【0006】
さらに、前記特許文献2の発明では、被施療者の肩甲骨付近のマッサージはできるが、上腕部から肩先にかけての部分のマッサージができない。この部分には、肩ぐうや肩りょう等のツボがあり、マッサージしたいという要望がある。
【0007】
そこで、本発明は、被施療者の腕部から肩先にかけて効果的にマッサージできる椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者が腕部を載せる肘掛け部とを有し、該肘掛け部は、座部に着座した被施療者の前腕部、上腕部、及び肩部の下方と外方とに相対位置が定まった腕部支持壁を備え、該腕部支持壁は、被施療者側に腕部を挿入可能な開口と、該開口から腕部支持壁に沿って位置させた被施療者の腕部を施療する施療部とを備えている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中において、「腕部」とは、人体における肩から手先側の部分をいい、上腕部、前腕部、手首より先の手部を含む概念として用いる。また、「肩部」とは、上腕部から肩先にかけての部分として用いる。さらに、「施療」と「マッサージ」とは同義語として用いる。前記施療部には、エアセルによる押圧マッサージ手段や、施療子による押圧マッサージ手段等が採用される。これにより、被施療者の腕部全体をマッサージする施療部を、相対位置が定まった腕部支持壁にまとめて設けることができ、組立て等の作業性向上を図ることができる。また、椅子型マッサージ機に着座した自然の姿勢で腕部をマッサージすることができる。しかも、前腕部、上腕部、肩部にかけて腕部を押圧マッサージする場合には、その反力を腕部支持壁で確実に支持して効果的なマッサージをすることができる。
【0009】
また、前記腕部支持壁は、前腕部と上腕部とが位置する部分の外側壁面の上部に、被施療者の腕部の外側から上側に向けて延びる延設部を有していてもよい。これにより、被施療者の腕部を上側からマッサージする場合に反力を延設部で安定して受けて、被施療者の腕部を効果的にマッサージすることができる。
【0010】
さらに、前記腕部支持壁は、前腕部と上腕部とが位置する部分に下側壁面を有し、該下側壁面は、上腕部が位置する部分に後側に向けて上向き傾斜の傾斜壁を備えていてもよい。これにより、被施療者が上腕部を傾斜壁に載せてリラックスした姿勢でマッサージをすることができる。
【0011】
また、前記下側壁面は、内側に上向きに隆起する隆起部を前後方向に備えていてもよい。これにより、被施療者の腕部を下側の内側からマッサージする場合の反力を隆起部で安定して受けて、効果的なマッサージをすることができる。
【0012】
さらに、前記下側壁面は、外側から内側に向けて上向きに傾斜した壁面であってもよい。これにより、被施療者が座部に着座したときに、外側から内側に徐々に上がった壁面により、より自然体で腕部を肘掛け部に載せることができ、しかも、腕部を下側の内側からマッサージする場合に腕部を包み込むようにしてマッサージすることができる。
【0013】
また、前記腕部支持壁は、前部に被施療者の手部を囲う筒状部を備えていてもよい。これにより、座部に着座する被施療者が筒状部を持ちながら容易に着座又は起立することができる。しかも、筒状部の内側に施療手段を設ければ、手部をマッサージすることもできる。
【0014】
その上、前記筒状部の前部に通気穴を備えてもよい。これにより、マッサージ中の手部における通気性を良くし、より快適にマッサージを行うことができる。
【0015】
さらに、前記施療部は、前記腕部支持壁に沿って位置させた被施療者の腕部を該腕部支持壁に保持して押圧するエアセルを備えていてもよい。これにより、被施療者の腕部を腕部支持壁で確実に保持し、エアセルによる腕部の押圧マッサージを安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上説明したような手段により、費用の増加を抑えて、被施療者の腕部から肩先にかけて広い範囲を効果的にマッサージできる椅子型マッサージ機を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る椅子型マッサージ機の斜視図であり、図2は、図1に示す椅子型マッサージ機の肘掛け部を内側上部から見た状態を示す斜視図、図3は、図2に示す肘掛け部の上半部を内側から見た側面図、図4は、図3に示すIV−IV断面図、図5は、図3に示すV−V断面図、図6は、図4に示す断面の変形例を示す断面図、図7は、図2に示す肘掛け部を外側から見た側面図である(但し、施療部は模式的に示している)。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における方向の概念は、座部に着座した状態の被施療者が前側を向いた状態の概念と一致するものとする。
【0018】
図1に示すように、椅子型マッサージ機1は、被施療者が着座する座部2と、座部2の後側に設けられた背凭れ部3と、座部2の両側部に設けられた肘掛け部4(アームレスト)と、座部2の前側に設けられた脚載部5(フットレスト)とを備えている。座部2は、下側に設けられた基台6の上部に配置されており、基台6は両側部に設けられたベース7で支持されている。基台6には、操作リモコン8が設けられている。また、この椅子型マッサージ機1には、ヘッドレスト9が設けられている。
【0019】
上記背凭れ部3は、座部2に着座した被施療者の上半身を支持すべく、被施療者の身体の一部が外部にはみ出さない大きさで形成されており、前面視が縦長の略長方形状に形成されている。背凭れ部3の下端部は、基台6の後部に設けられた水平方向の軸(図示略)によって支持されており、この軸を中心に回動して前後方向にリクライニング可能となっている。この背凭れ部3の内部には、着座した被施療者の背中に叩き、揉み、振動等のマッサージを施すマッサージ機構10が設けられている。また、座部2には、エアの給排によって膨張、収縮して被施療者の臀部や太股に押圧マッサージを施すエアセル11を備えたマッサージ機構が設けられている。基台6には、制御装置12が設けられている。
【0020】
上記脚載部5は、座部2の前部に設けられた水平方向の保持軸15によって、座部2の前側で回動可能に支持されている。脚載部5は、基台6に設けられた直動形アクチュエータ(図示略)により、脚載部5の脚先側が矢符Mで示すように座部2の前側で上下方向(角度)に回動自在となっている。この実施の形態の脚載部5には、脹脛保持部17と足裏保持部18とが備えられており、これら脹脛保持部17と足裏保持部18とには、被施療者の脹脛と足とに押圧マッサージを施すエアセル19,20が設けられている。
【0021】
そして、図2,3に示すように、上記肘掛け部4は、座部2に着座した被施療者の前腕部、上腕部、及び肩部の下方と外方とに相対位置が定まった腕部支持壁21を備えている。この腕部支持壁21は、被施療者の腕部の下方に位置する下側壁面22と、外方に位置する外側壁面23とを有しており、断面が略L字状に形成されている。この実施の形態では、被施療者の前腕部、上腕部、及び肩部までを一体的に形成することにより、相対位置が定まった腕部支持壁21が形成されている。また、この外側壁面23の内側に位置する被施療者側には、座部2に着座した被施療者が腕部を挿入することができる開口24が形成されている。この開口24は、被施療者の前腕部が位置する部分から肩部にかけて形成されている。
【0022】
さらに、上記下側壁面22には、被施療者の上腕部が位置する後部に、後側に向けて上向きに傾斜した傾斜壁25が設けられている。この傾斜壁25は、座部2に着座した被施療者の上腕部を載せやすいような傾斜角度で設けられている。この傾斜壁25と上記下側壁面22とには、後述する配管64〜67を上下方向に通すための複数個の配管穴71が設けられている。
【0023】
また、図4に示すように、外側壁面23は、上向きに延びた後に被施療者の腕部Aの外側から腕上に向けて延びる延設部26が形成されている。この実施の形態の延設部26は、外側壁面23を外側から内側に向けて湾曲させることにより形成されている。さらに、上記下側壁面22の内側には、上向きに隆起する隆起部27が形成されている。この隆起部27は、図2,3に示すように、被施療者の前腕部が位置する部分に形成されている。なお、隆起部27は、開口24から腕部を挿入するのに邪魔にならない程度に外側壁面よりも十分に低く形成されている。
【0024】
さらに、この実施の形態では、図4に示すように下側壁面22をほぼ水平に形成しているが、図6に示すように、外側から内側に向けて上向きに傾斜した壁面としてもよい。このように下側壁面22を傾斜した壁面とすることにより、座部2に着座して下側壁面22に腕部Aを載せた被施療者は、より自然な姿勢でマッサージをすることができる。また、下側壁面22を傾斜した壁面とすることにより、被施療者の腕部の上面を外側に傾けることができる。そのため、前腕部の上面外側付近に存在する手三里のツボに十分な押圧マッサージをすることができる。
【0025】
また、図2,3に示すように、腕部支持壁21の前部には、被施療者の手部を囲うように筒状に形成された筒状部28が設けられている。この筒状部28は、前記開口24の前端を被施療者の前腕部と手部との間付近とし、その前部に設けられている。この筒状部28を含めて、腕部支持壁21の全体が一体的に形成され、その外観は全体が滑らかな曲面で連続するように形成されている。この筒状部28の前部には、通気用の通気穴29が設けられており(図1参照)、筒状部28の内部に位置させる被施療者の手部における通気性を良くして、快適なマッサージができるようにしている。
【0026】
そして、このように形成された腕部支持壁21の内側に、被施療者の腕部を施療する施療部30が設けられている。この実施の形態における施療部30は、被施療者の肩部をマッサージする肩施療部31と、上腕部を施療する上腕施療部32と、前腕を施療する前腕施療部33と、手部を施療する手施療部34とが設けられている。
【0027】
肩施療部31には、被施療者の肩部を外側壁面23側から押圧する第1エアセル35が設けられている(図4,図5)。この第1エアセル35は、外側壁面23に設けられた傾斜座36によって被施療者の肩部に斜め上方から接するように配置され、座部2に着座した被施療者の肩部に向けて上端側が膨出するように設けられている。第1エアセル35の上端側を膨出させることで、被施療者の肩部を背凭れ部3に押付けることができ、第1エアセル35で押圧する肩部(施療する部分)を逃がさず効果的なマッサージを行うことができる。この実施の形態では、第1エアセル35を2重にして、肩ぐう等のツボに十分な押圧マッサージをすることができるようにしている。この第1エアセル35には、図1に示すようにカバー37が被せられ、被施療者の肩部とソフトに接するようにしている。
【0028】
上腕施療部32には、傾斜壁25に設けられたサポート部材38に第2エアセル39と第3エアセル40とが設けられている。外側壁面23側に設けられた第2エアセル39は、上端側が膨出するように設けられており、上腕部を上側から下向きに押圧するようになっている。傾斜壁25から内向きに設けられた第3エアセル40は、上端側が内側から上向きに延びるように設けられており、上腕部を内側から外側壁面23に向けて包み込んで押圧することにより上腕部を保持するようになっている。この第3エアセル40は、被施療者の腕部を腕部支持壁21に保持するための機能を備えた保持用エアセルである。しかも、これら第2エアセル39と第3エアセル40とを膨出させて上腕部を押圧すれば、上腕部に効果的な押圧マッサージをすることができる。これらの第2,第3エアセル39,40も、図1に示すようにカバー41が被せられ、被施療者の腕部とソフトに接するようにしている。
【0029】
前腕施療部33には、下側壁面22側に第4エアセル42,43が、外側壁面23側に第5エアセル44,45が、この外側壁面23の上部の延設部26側に第6エアセル46,47が設けられており、この例では、前腕部の前後方向にそれぞれ設けられている。このように前後方向にそれぞれ設けることにより、後述するように背凭れ部3の角度が変更されて前腕部の位置が前後方向にずれたとしても、いずれかのエアセルで押圧マッサージができるようにしている。また、被施療者の個人差による様々な腕部の長さにも対応できる。下側壁面22側に設けられた第4エアセル42,43は、内側が膨出するように設けられており、前腕部を内側から上向きに押圧するようになっている。この第4エアセル42,43は、下側壁面22の内側の隆起部27により、上向きで外側に向けて前腕部を押圧するので、外側壁面23との間で被施療者の前腕部に十分な押圧マッサージをするようにしている。外側壁面23側に設けられた第5エアセル44,45は、後側に位置する第5エアセル44は後端側が膨出するように、前側に位置する第5エアセル45は前端側が膨出するように設けられており、前腕部を前後から内側に押圧するようになっている。外側壁面23の延設部26側に設けられた第6エアセル46,47は、上端側が膨出するように設けられており、前腕部を上側から下向きに押圧するようになっている。この第6エアセル46,47は、延設部26によって内側下方に向けて前腕部を押圧するので、上記第4エアセル42,43とによって被施療者の前腕部に十分な押圧刺激を与えてマッサージをすることができる。しかも、上記第6エアセル46,47を2重にして、手の三里等のツボに十分な押圧マッサージをするようにしている。これらの第4エアセル42,43、第5エアセル44,45、第6エアセル46,47は、図1に示すように、腕部の前後方向に設けられたエアセルに一つのカバー48,49,50がそれぞれ被せられ、被施療者の腕部とソフトに接するようにしている。
【0030】
手施療部34には、外側壁面23側から下側壁面22側と、筒状部28の上部とに向けて押圧する第7エアセル51,52が設けられている。これらの第7エアセル51,52は、内側が膨出するように設けられており、手部を上下方向から押圧するようになっている。これらの第7エアセル51,52も2重にして、手部に十分な押圧マッサージをするようにしている。
【0031】
このように、この実施の形態では、腕部支持壁21に沿って位置させた被施療者の腕部を施療する施療部30が、エア式の施療子であるエアセル35,39,40,42〜47,51,52によって構成されている。なお、上記上腕施療部32の第2エアセル39と、前腕施療部33の外側壁面23側に設けられた第5エアセル44,45は、必ずしも設置しなくてもよい。
【0032】
図7に示すように、この実施の形態における施療部30はエア式で構成されているため、上記各エアセル35,39,40,42〜47,51,52(図では模式的に示す)への空気の給排を行うための制御弁ユニット55(電磁弁ユニット)が肘掛け部4の下部を形成する案内部56に設けられた取付板57に並設されている。案内部56は、肘掛け部4を基台6に支持すると共に、背凭れ部3の角度変更に対応して、基台6側に設けられたガイドピン58に案内溝59が案内されて肘掛け部4の角度を変更する機能を備えている。このように、背凭れ部3の角度に応じて肘掛け部4の角度と位置を変更することにより、肘掛け部4の各施療部31〜34の位置が被施療者の腕部の位置に対応するように移動する。特に、肩部をマッサージする肩施療部31は、常に背凭れ部3に凭れた被施療者の肩部(例えば、肩ぐう等のツボ)と対向するように移動して効果的な押圧マッサージができるようになっている。上記案内部56の外側には、化粧カバー72が設けられている(図4)。
【0033】
この実施の形態では、上記肩施療部31の第1エアセル35と、上腕施療部32の外側壁面23側に設けられた第2エアセル39と、上腕施療部32の内側に設けられた第3エアセル40とが、同一の制御弁60によって給排されている。また、前腕施療部33の後側に位置する、下側壁面22側に設けられた第4エアセル42と、外側壁面23側に設けられた第5エアセル44と、延設部26側に設けられた第6エアセル46とが、同一の制御弁61によって給排されている。さらに、前腕施療部33の前側に位置する、下側壁面22側に設けられた第4エアセル43と、外側壁面23側に設けられた第5エアセル45と、延設部26側に設けられた第6エアセル47とが、同一の制御弁62によって給排されている。また、手施療部34に設けられた第7エアセル51,52は、同一の制御弁63によって給排されている。これら4系統の制御弁60〜63は、上記基台6に設けられた制御装置12(図1)によって制御される。
【0034】
図示するように、これら4系統の制御弁60〜63は、肘掛け部4の下部に並設され、各制御弁60〜63とエアセル35,39,40,42〜47,51,52とが配管64〜67によって接続されている。また、これらの制御弁60〜63にエアを給排する分岐部68が、取付板57に取付けられている。この分岐部68は、各制御弁60〜63と配管69で接続されており、この分岐部68の全配管69と連通する配管70が、基台6側に接続されている。このように、肘掛け部4に相対位置が定まった腕部支持壁21を備えさせることにより、この実施の形態のように施療部にエアセル35,39,40,42〜47,51,52を採用した場合には肘掛け部4の内部に配管系統を容易にまとめることができ、基台6側との配管70を大幅に簡素化することができる。また、配管64〜67も、相対位置が変化しない腕部支持壁21の下側壁面22と傾斜壁25とに設けられた、各エアセル35,39,40,42〜47,51,52に近接した位置の上記配管穴71を通して容易に設けることができる。
【0035】
以上のように構成された椅子型マッサージ機1によれば、座部2に着座した被施療者は腕部を肘掛け部4の開口24から腕部支持壁21に沿うように挿入すれば、被施療者の前腕部、上腕部、及び肩部の下方と外方とに相対位置が定まった腕部支持壁21によって腕部を自然な姿勢で支持することができる。また、その状態で各施療部31〜34によって肩部、上腕部、前腕部、及び手部をマッサージすることができるので、被施療者の肩部から腕部にかけて効果的なマッサージを行うことができる。しかも、腕部支持壁21は、各部位の相対位置が定まっているので、マッサージの姿勢が変化しても位置調整等を要することなく、この腕部支持壁21に載せた腕部と肩部とを自然な姿勢で効果的にマッサージすることができる。
【0036】
また、この実施の形態では、肘掛け部4の下部にエア配管64〜67を集中させることにより、この肘掛け部4をユニットとして基台6とは別に組むことができ、肘掛け部4と基台6とを異なる場所で製作したり、これらを接続する作業を簡略化することができ、組立て等の作業性を大幅に向上させることができる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、被施療者の前腕部、上腕部、及び肩部までを一体的に形成することにより相対位置が定まった腕部支持壁21を形成しているが、相対位置が定まった構成であれば、これらを別体で構成してもよい。
【0038】
また、上記実施の形態では、施療部30にエア式のエアセルを採用しているが、施療部30はバイブレータ等であってもよく、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0039】
さらに、前述した実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る椅子型マッサージ機は、費用の増加を抑えて被施療者の腕部の広い範囲を効果的にマッサージしたいマッサージ機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態に係る椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】図1に示す椅子型マッサージ機の肘掛け部を内側上部から見た状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示す肘掛け部の上半部を内側から見た側面図である。
【図4】図3に示すIV−IV断面図である。
【図5】図3に示すV−V断面図である。
【図6】図4に示す断面の他の例を示す断面図である。
【図7】図2に示す肘掛け部を外側から見た側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…椅子型マッサージ機
2…座部
3…背凭れ部
4…肘掛け部
6…基台
21…腕部支持壁
22…下側壁面
23…外側壁面
24…開口
25…傾斜壁
26…延設部
27…隆起部
28…筒状部
29…通気穴
30…施療部
31…肩施療部
32…上腕施療部
33…前腕施療部
34…手施療部
35…第1エアセル
39…第2エアセル
40…第3エアセル
42,43…第4エアセル
44,45…第5エアセル
46,47…第6エアセル
51,52…第7エアセル
55…制御弁ユニット
56…案内部
58…ガイドピン
59…案内溝
60〜63…制御弁
68…分岐部
70…配管
A…腕部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者が腕部を載せる肘掛け部とを有し、
該肘掛け部は、座部に着座した被施療者の前腕部、上腕部、及び肩部の下方と外方とに相対位置が定まった腕部支持壁を備え、
該腕部支持壁は、被施療者側に腕部を挿入可能な開口と、該開口から腕部支持壁に沿って位置させた被施療者の腕部を施療する施療部とを備えていることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記腕部支持壁は、前腕部と上腕部とが位置する部分の外側壁面の上部に、被施療者の腕部の外側から上側に向けて延びる延設部を有している請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記腕部支持壁は、前腕部と上腕部とが位置する部分に下側壁面を有し、該下側壁面は、上腕部が位置する部分に後側に向けて上向き傾斜の傾斜壁を備えている請求項1又は請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記下側壁面は、内側に上向きに隆起する隆起部を前後方向に備えている請求項3に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記下側壁面は、外側から内側に向けて上向きに傾斜した壁面である請求項3又は請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記腕部支持壁は、前部に被施療者の手部を囲う筒状部を備えている請求項1〜5のいずれか1項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
前記筒状部の前部に通気穴を備えている請求項6に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項8】
前記施療部は、前記腕部支持壁に沿って位置させた被施療者の腕部を該腕部支持壁に保持して押圧するエアセルを備えている請求項1〜7のいずれか1項に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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