説明

椅子型マッサージ機

【課題】 被施療者の体格や好みの姿勢に応じて適切に腕部を支持可能なアームレストを備える椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】 椅子型マッサージ機1が備えるアームレスト4は、肘置き部10とベース部9とを有し、上下方向へ延びる回動軸部15aを中心として、肘置き部10がベース部9に対して幅方向へ回動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部と、前記座部に着座した被施療者の腕部を支持するアームレストとを備える椅子型マッサージ機に関し、特に、被施療者の体格や好みの姿勢に応じて適切に腕部を支持可能なアームレストを備える椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部と、前記座部に着座した被施療者の腕部を支持すべく前後方向に長寸のアームレストとを備える椅子型マッサージ機が多数提案されている。このような椅子型マッサージ機の中には、被施療者の体格に応じて位置調整ができるように、アームレストが可動になっているものも存在する(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−128290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、座部に着座した被施療者がアームレストに腕部を載置した場合に、この被施療者がリラックスするのに好適だと感じる腕部の姿勢は人それぞれである。例えば、肘から手先に至る前腕部が真っ直ぐ前後方向に沿った姿勢でリラックスできる者もいれば、手先に比べて肘を外側に位置させた姿勢でリラックスできる者もおり、このような違いは、被施療者の体格や好みに起因するものである。しかしながら、上記特許文献1に開示された椅子型マッサージ機では、左右のアームレストはそれぞれ幅方向へ平行移動するのみであり、被施療者の肘に対応する部分のみ、又は手先に対応する部分のみを外側へ移動させて位置調整できるものではない。従って、このようなアームレストでは、被施療者がリラックスするのに好適と感じられる腕部の姿勢を、必ずしも適切に支持することはできない。
【0004】
そこで本発明は、上述したような被施療者の体格や好みの姿勢に応じて適切に腕部を支持可能なアームレストを備える椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る椅子型マッサージ機は、被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部と、前記座部に着座した被施療者の腕部を支持するアームレストとを備え、該アームレストは、前記座部の側方にて該座部に沿って前方へ延設されており、上下方向へ延びる軸芯を中心として幅方向へ回動可能に構成されている。
【0006】
このような構成とすることにより、アームレストによって支持される被施療者の肘位置又は手先位置などを、椅子型マッサージ機の幅方向に調整可能となるため、被施療者の体格や好みの姿勢に応じて適切に腕部を支持することができる。
【0007】
また、前記アームレストは、前記背凭れ部の側方位置から前記座部に沿って前方へ延設された構成となっていてもよい。このような構成とすることにより、アームレストによって被施療者の肘を支持した状態でこのアームレストを幅方向に位置調整することができる。
【0008】
また、前記軸芯は前記アームレストの前部を通るように設定され、該アームレストは、前記軸芯を中心として後部が回動可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、被施療者の肘の支持位置を調整可能となる。特に、被施療者にとって適切な肘位置は、体格によって左右方向(椅子型マッサージ機の幅方向)に異なりやすいため、このような構成は好適である。
【0009】
また、前記アームレストは、被施療者の腕部が載置される肘置き部と、該肘置き部の下方に設けられたベース部とから構成され、該ベース部に対して前記肘置き部が前記軸芯を中心として回動可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、ベース部を含むアームレスト全体を回動させる必要がなく、肘置き部のみを容易に回動させることができる。なお、肘置き部としては、被施療者の肘のみでなく、肘から手先に至る前腕の一部分が載置されるものであってもよい。
【0010】
また、前記肘置き部は、前記軸芯が通る貫通孔と、該貫通孔を中心とする円弧状に形成されたガイド孔とを有し、前記ベース部は、上方へ向けて突設されて前記肘置き部の貫通孔に挿通される回動軸部と、上方へ突設されて前記肘置き部のガイド孔に挿通されるガイド突起とを有していてもよい。このような構成とすることにより、回動軸部を中心として、ガイド突起に挿通されるガイド孔を有する肘置き部を回動可能となるため、正確な回動動作を実現することができる。
【0011】
また、前記アームレストは、前記肘置き部に配設されたエアセルと、該エアセルに一端が接続されて該エアセルへエアを供給するチューブとを更に有し、前記ベース部が有する回動軸部は内部通路を有する円筒状を成し、前記チューブは前記回動軸部の前記内部通路を通って前記肘置き部側から前記ベース部側へ延設されていてもよい。このような構成とすることにより、肘置き部に配設されたエアセルへエアを供給するチューブを、回動軸部の内部通路を介して下方のベース部側へ容易に延設することができる。
【0012】
また、前記背凭れ部は前記座部に対して傾倒可能に構成されており、前記アームレストは前記背凭れ部の傾倒動作に伴って前後方向へ移動するように構成されていてもよい。このような構成とすることにより、腕部に対する幅方向の支持位置を適切に調整可能とするのみでなく、背凭れ部が傾倒したときにおいても腕部を適切に支持することができる。
【0013】
また、前記アームレストは、前記背凭れ部の傾倒動作に伴って前記軸芯を中心として幅方向へ回動可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、背凭れ部の起立時と傾倒時との夫々に適した幅方向位置で、被施療者の腕部を支持することができる。
【0014】
また、前記肘置き部は、前記ベース部に対して前後方向へスライド可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、被施療者の体格や好みに応じて、更に被施療者の腕部の前後方向位置についても肘置き部を調整して適切に支持することができる。
【0015】
また、前記肘置き部は、被施療者の腕部が収容される内側ケースと、該内側ケースを外方から覆う外側ケースとから構成され、前記内側ケースが前記外側ケースに対して前後方向へスライド可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、外側ケースについては前後方向に動かない構成とすることができる。従って、被施療者が着座するときや、着座状態から起立するときに、外側ケースに手を掛けて身体を支持しながら移動することができる。
【0016】
また、前記アームレストは、前記肘置き部を支持すべく前後方向へ延びるクランクシャフトを更に有し、該クランクシャフトは、前後方向へ延びる軸芯を有する枢支部と、該枢支部に対してオフセットして設けられたオフセット部とから構成されており、前記肘置き部は、載置された被施療者の腕部を施療する施療部を具備すると共に、前記オフセット部に支持され、前後方向へ延びる前記軸芯回りへの前記クランクシャフトの回動に伴って回動するように構成されていてもよい。このような構成とすることにより、肘置き部に載置された腕部に対して行う施療部による施療位置を、被施療者の体格や好みに応じて変更することができる。
【0017】
また、前記枢支部が有する前記軸芯は、前記肘置き部に載置された被施療者の腕部の断面を通るように設定されていてもよい。このような構成とすることにより、この軸芯を中心として肘置き部を被施療者の腕部の回りに回動させることができるため、腕部の周部の所望位置に施療部を対向させてこの位置を適切に施療することができる。
【0018】
また、前記アームレストは、被施療者の腕部が載置される肘置き部と、該肘置き部の下方に設けられたベース部とから構成され、且つ前記軸芯は前記肘置き部の前後方向の略中央部を通るように設けられており、前記ベース部に対して前記肘置き部が前記軸芯を中心として回動可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、被施療者の前腕の姿勢(特に、左右の前腕が前方へ開く角度)を調整可能となっている。しかも、軸芯が肘置き部の前後方向の略中央部を通るように設定されているため、軸芯から肘置き部の前後端までの寸法が小さくなり、その結果、肘置き部を軸芯の回りに大きな角度で回動させた場合であっても、肘置き部が幅方向へ突出する寸法を比較的小さく抑えることができる。更に、ベース部を含むアームレスト全体を回動させる必要がなく、肘置き部のみを回動させるので、被施療者はこれを容易に回動させることができる。
【0019】
また、前記アームレストは、前記肘置き部及び前記ベース部の何れか一方に設けられて前記軸芯を中心とする円弧状を成して平面視で前記肘置き部の前部及び後部に対応する位置に設けられたガイド孔と、他方に固定されて前記ガイド孔に挿通されるガイド突起とを有していてもよい。このような構成とすることにより、肘置き部の前後端の回動動作を安定して適切にガイドすることができる。
【0020】
また、前記肘置き部は、エアの給排気により膨縮して被施療者の腕部を押圧するエアセルと、前記ガイド孔よりも前記軸芯に近接する位置に設けられた配管孔とを有し、前記エアセルへエアを給排気するためのエアチューブが前記配管孔を通じて配設されるよう構成されていてもよい。このような構成とすることにより、肘置き部の前後端に比べて回動時の動作範囲の小さい軸芯近傍に設けた配管孔を通じてエアチューブが配設されるため、肘置き部の回動に伴ってエアチューブが近傍の構成物に強く接触するのを抑制でき、エアチューブの摩耗を低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、被施療者の体格や好みの姿勢に応じて適切に腕部を支持可能なアームレストを備える椅子型マッサージ機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係るマッサージ装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、椅子型マッサージ機1は、被施療者が着座する座部2と、被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部3と、被施療者の腕部を支持するアームレスト4と、被施療者の脚部を支持するフットレスト5とから主として構成されている。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、座部2に着座した被施療者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0023】
[全体構成]
座部2は、基台2aの上部に設けられた座フレーム2b(図1にその一部を図示)の上部に、略平坦に形成されたクッションが配設されて構成されている。このクッションは、ウレタンフォーム、スポンジ、又は発泡スチロール等の内装材が、ポリエステル製の起毛トリコット、合成皮革、又は天然皮革等から成る外装カバーによって覆われることにより構成されている。
【0024】
座部2の前側には、被施療者の膝から足先に至る下腿部を施療するためのフットレスト5が配設されている。このフットレスト5は側面視で略L字形状を成し、膝から足首に至る部分であって主に脹脛(ふくらはぎ)に対応する上側フットレスト5aと、足首から足先に至る部分に対応する下側フットレスト5bとを、右脚と左脚とにそれぞれ対応して備えている。
【0025】
座部2の後側には、被施療者の上半身を支持する背凭れ部3が設けられている。この背凭れ部3は、被施療者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ機1に着座した際に該成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で縦長の略長方形を成している。そして、この背凭れ部3の上部には、該背凭れ部3により上半身を支持された被施療者の頭部に対応して枕部6が配設されている。
【0026】
また、背凭れ部3内には長方形状の背フレーム3aが内蔵されており、この背フレーム3aは、その下端部から若干上方の位置にて、座部2下方に設けられた座フレーム2b(図2参照)により回動自在に枢支されている。一方、背フレーム3aの下端部にはエアシリンダ等から成る直動式アクチュエータ3b(図8も参照)の一端が接続され、その他端は座フレーム2bの前部に接続されている。従って、直動式アクチュエータ3bが伸縮することにより、背凭れ部3は枢支位置を中心に上部が前後方向へ回動自在になっており、特に、直動式アクチュエータ3bが縮小することによって後方へ傾倒可能になっている。
【0027】
更に、背凭れ部3内には施療子7aを有する機械式のマッサージ機構7が収容されている。このマッサージ機構7は、上下方向へ延びる図示しないガイドレールに沿って背凭れ部3の長手方向に往復動可能となっており、制御部100(図8参照)からの指示によって被施療者の上半身に対して揉み、叩き、ローリング等のマッサージを実行可能になっている。
【0028】
座部2及び背凭れ部3の両側方には、座部2に着座した被施療者の腕部を支持するアームレスト4が、背凭れ部3の側方位置から座部2に沿って前方へ延設されるようにして配設されている。後に詳述するが、このアームレスト4は、上部の肘置き部10とその下部のサイドカバー11とから構成され、肘置き部10は、起立した状態の背凭れ部3における上下方向の中央部分より若干上方位置から、下方且つ前方へと向かって座部2の前端近傍に至るまで延設されており、被施療者の手先から肘を経由して上腕及び肩に至るまでを支持可能に構成されている。
【0029】
上述した座部2、背凭れ部3、アームレスト4、及びフットレスト5には、それぞれ適宜位置にエアセルが配設されている。このエアセルは、座部2の下方に配設されたポンプ32等から成る給排気装置35(図8参照)に可撓性のチューブ34(図8参照)を介して接続されており、この給排気装置35からの給排気によって膨張及び収縮するように構成されている。従って、座部2に着座した被施療者の各部を、膨縮するエアセルによって押圧施療できるようになっている。
【0030】
[アームレストの構成]
次に、アームレスト4の構成について更に詳細に説明する。図2は、アームレスト4の構成を説明するための分解斜視図である。図2に示すようにアームレスト4は、上下割りに構成された肘置き部10と、この肘置き部10の下方に設けられたベース部9とから主として構成され、更にこのベース部9は、座部2の側方を覆うサイドカバー11と、肘置き部10及びサイドカバー11を座フレーム2bに取り付けるための取付プレート12とから主に構成されている。
【0031】
まず座フレーム2bは、背凭れ部3の枢支位置から前方へ延びる側部フレーム13を有し、該側部フレーム13には側面視で矩形状を成す側部プレート13aがその上端部にて接続されている。また、この側部プレート13aの対角位置、即ち前側上部及び後側下部には、外側方へ向かって突出する第1ガイド突起13bが設けられている。なお、側部フレーム13の先端部13cには、フットレスト5の上部に設けられた枢軸(図示せず)を支持すべく枢支孔13dが形成されている。
【0032】
一方、取付プレート12は、側方へ主面が向けられたメインプレート14と、該メインプレート14の上部に設けられ、主面が上方へ向けられて肘置き部10を支持するための上部プレート15とを有している。
【0033】
メインプレート14は、後部から前部へ向かうに従って上下方向の幅寸法が大きくなっており、後端部には、背フレーム3aの上下方向略中央部分から外側方へ向けて突設された枢軸3cが挿通される枢支孔14aが形成されている。また、メインプレート14の前部には略円弧状の長孔から成る2つの第1ガイド孔14bが貫通して形成されている。このようなメインプレート14は、後端部の枢支孔14aが背フレーム3aの枢軸3cに挿通され、且つ座フレーム2bに設けられた第1ガイド突起13bが第1ガイド孔14bに挿通されることによって、座フレーム2bに取り付けられる。
【0034】
また、取付プレート12が有する上部プレート15は、幅寸法が小さく前後方向に長寸のプレート状を成し、前端部には上方へ突設された回動軸部15aが設けられ、後部には同様に上方へ突設された第2ガイド突起15bが設けられている。回動軸部15aは円筒状を成して内部通路15c(図5も参照)を有しており、この内部通路15cを通じて上部プレート15の上方空間とメインプレート14の外側方に位置する下方空間とを連通している。
【0035】
このような取付プレート12のメインプレート14には、外側方からサイドカバー11が取り付けられる。サイドカバー11は、側面視でメインプレート14より若干大きく、このメインプレート14の全てを覆う寸法を有し、中央部分が外側方へ向かって突出するように若干膨らんだ形状となっている。従って、サイドカバー11がメインプレート14に取り付けられると、両者の間には、後述するバルブ33(図5参照)を収容するバルブスペース12a(図5参照)が形成される。
【0036】
また、サイドカバー11の前部には、取付プレート12を前方から覆うべく前側壁部11aが設けられている。そして、この前側壁部11aの内側部分(椅子型マッサージ機1における幅方向の内側部分)には、座フレーム2bが有する側部フレーム13の前端部との干渉を避けるべく切欠部11bが形成されている。
【0037】
また、上記取付プレート12の上部プレート15には、上方から肘置き部10が取り付けられる。肘置き部10は、平面視で上部プレート15より若干大きく、この上部プレート15の全てを覆う寸法を有し、相対的に下側に位置する下側ケース17と、この下側ケース17に対して上方から取り付けられる上側ケース18とを有している。
【0038】
下側ケース17は、前後方向に長寸を成し、主に被施療者の肘から手先までの前腕部を支持する前腕支持面17aと、主に肘から肩へ至る上腕を支持する上腕支持面17bと、前腕支持面17aの左右の側部から上方へ小寸法だけ立設された側壁面17cとを有している。このうち上腕支持面17bは、前腕支持面17aの後端から延設されており、且つ後部が前部に比べて上方に位置するように傾斜している。
【0039】
前腕支持面17aの前部には、上下方向に貫通する回動軸受孔19が形成され、この回動軸受孔19には、取付プレート12の上部プレート15が有する回動軸部15aが下方から挿通可能になっている。また、前腕支持面17aの後部には、回動軸受孔19を中心とする円弧状の長孔を成す第2ガイド孔20が形成され、この第2ガイド孔20には、取付プレート12の上部プレート15が有する第2ガイド突起15bが下方から挿通可能になっている。
【0040】
また、肘置き部10の上側ケース18は、下側ケース17と同様に前後方向に長寸を成し、その前側部分18aにおいては下方に開口し、これよりも後方に位置する後側部分18bにおいては下方及び内側方に開口した形状となっている。そして、この上側ケース18が上方から下側ケース17に取り付けられると、上側ケース18の前側部分18aの左右の下端部が、下側ケース17の左右の側壁面17cの上端部に接合され、上側ケース18の後側部分18bの外側の下端部が、下側ケース17の外側の側壁面17cの上端部に接合される。
【0041】
その結果、図1に示すように円筒状を成す前部ケース10aと、これより後側に位置して内側(椅子型マッサージ機1の幅方向の内側)に挿脱口10cを有する後部ケース10bとから成る肘置き部10が構成される。このような肘置き部10により、その前部ケース10aによって被施療者の腕部(特に、手先)が外周囲から覆われ、後部ケース10bによって被施療者の腕部(特に、前腕及び上腕)が下方及び外側方から覆われる。更に、後部ケース10bの内側に形成された挿脱口10cを通じ、肘置き部10の内外へ腕部を挿脱自在となっている。
【0042】
更に、下側ケース17の前端部には下方に窪んだ切欠部17dが形成され、上側ケース18の前端部にも上方に窪んだ切欠部18dが形成されている。そして、下側ケース17に上側ケース18が取り付けられると、これらの切欠部17d,18dによって1つの通気孔21(図1参照)が形成され、この通気孔21を通じて肘置き部10の内外が連通されている。
【0043】
このような肘置き部10は、図2に示すように、肘置き部10が有する回動軸受孔19及び第2ガイド孔20に、取付プレート12が有する回動軸部15a及び第2ガイド突起15bが夫々挿通するようにして、取付プレート12に上方から取り付けられる。そして、このような取付プレート12への肘置き部10の取り付けと、既に説明したようなサイドカバー11の取付プレート12への取り付けとによって、本実施の形態に係るアームレスト4は構成されている。
【0044】
[アームレストの幅位置調整]
このようなアームレスト4は、肘置き部10がベース部9に対して左右方向へ移動可能になっている。図3は、肘置き部10の動作を説明するための平面図であり、背凭れ部3に最も近い位置(第1位置)にあるときの肘置き部10を太い二点鎖線で示し、移動により背凭れ部3から最も離隔した位置(第2位置)にあるときの肘置き部10を細い二点鎖線で示している。
【0045】
図3に示すように肘置き部10は、第1位置においては平面視においてベース部9(サイドカバー11及び取付プレート12)の全てを覆うようにして、前後方向に長手方向が一致するよう配置されている(太い二点鎖線で示す肘置き部10参照)。この肘置き部10は、その前部において回動軸受孔19に回動軸部15aが挿通されることによって、この回動軸部15aにより枢支されている。また、肘置き部10が有する円弧状の第2ガイド孔20には第2ガイド突起15bが挿通されている。従って、肘置き部10は、その前部が回動軸部15aに枢支された状態で、第2ガイド孔20内を第2ガイド突起15bが移動できる範囲内でその後部が左右方向へ移動可能となっている(細い二点鎖線で示す第2位置での肘置き部10参照)。
【0046】
このように、本実施の形態に係る肘置き部10は、前部を中心として後部がベース部9に対して左右方向(即ち、椅子型マッサージ機1の幅方向)へ、第1位置から第2位置に至る範囲で位置調整可能となっているため、椅子型マッサージ機1に着座した被施療者は、その体格や好みに応じ、所望する位置に肘置き部10を調整することにより、リラックスした姿勢をとることが可能である。
【0047】
また、このような肘置き部10の位置調整動作は、内部に腕部を載置した状態で被施療者の手動によって行うことができるが、機械的に自動で行うことも可能である。図8は、椅子型マッサージ機1の機械的な機能を説明するためのブロック図である。ここに示すように椅子型マッサージ機1は制御部100を備えており、この制御部100は座部2の下方などに搭載され、被施療者が操作することのできるリモートコントローラ101(図1も参照)に接続されている。
【0048】
制御部100には、駆動部110を介してモータ120に接続されている。このモータ120は取付プレート12に固定され、その出力軸には図示しないピニオンギヤが取り付けられている。また、肘置き部10の後部下面には、歯列が椅子型マッサージ機1の幅方向に沿うようにして図示しないラックが取り付けられ、このラックに前記ピニオンギヤが噛合している。
【0049】
従って、制御部100からの指示によって駆動部110が出力する駆動信号によりモータ120が回転すると、ピニオンギヤの回転に伴ってラックが左右方向へ移動し、このラックと共に肘置き部10もベース部9に対して左右方向へ移動できるようになっている。このような肘置き部10の自動的な位置調整動作は、被施療者がリモートコントローラ101を操作することによって実行させることも可能であり、また、予め設定された条件に基づいて制御部100の判断により適宜実行させることも可能である。
【0050】
なお、既に説明したように本実施の形態に係るアームレスト4は、平面視したときに背凭れ部3の側方位置から座部2に沿って前方へ延設された構成となっている。このような構成により、被施療者の手先から上腕及び肩にかけての腕全体を支持でき、この支持状態で幅方向への位置調整が可能となっている。即ち、幅方向へ移動させて位置調整した後も、腕全体を支持可能となっている。しかしながら、アームレスト4の構成はこれに限られるものではなく、前後方向の寸法はこれより短いものに設定することもでき、その場合であっても本発明を適用して上述したのと同様の作用効果を奏することができる。
【0051】
[アームレストの前後動]
ところで、図1を用いて既に説明したように、背凭れ部3は起立した状態から後方へ傾倒可能になっており、上述したアームレスト4は、背凭れ部3に連動して前後方向へ移動可能になっている。図4は、背凭れ部3とアームレスト4との連動動作を説明するための椅子型マッサージ機1の側面図であり、(a)は背凭れ部3が起立した状態を示し、(b)は背凭れ部3が後傾した状態を示している。
【0052】
図4(a)に示すように、アームレスト4は、取付プレート12の後端部の枢支孔14aが背フレーム3aの枢軸3cに挿通されることによって、背凭れ部3の長手方向中央付近に枢支されている。また、アームレスト4は、取付プレート12の前部に形成された2つの第1ガイド孔14bに、座フレーム2bの第1ガイド突起13bが挿通されることによって、第1ガイド孔14bの開口範囲内で可動な状態で座フレーム2bに支持されている。
【0053】
そして、図4(a)に示す背凭れ部3の起立状態で、アームレスト4の肘置き部10が有する上腕支持面17b(図2も参照)は、背凭れ部3の前面側方位置から下方且つ前方へ向かう傾斜面を成し、前腕支持面17a(図2も参照)は、上腕支持面17bの先端から若干下方へ向かいつつ前方へ向かう傾斜面を成している。従って、背凭れ部3が起立した状態の椅子型マッサージ機1に着座した被施療者の腕部は、前腕支持面17a及び上腕支持面17bによって自然な姿勢の状態で支持されるようになっている。
【0054】
次に、図4(b)に示すように背凭れ部3が後傾すると、枢軸3cに支持されたアームレスト4の後部が背凭れ部3と共に後方且つ下方へと移動し、これに伴って第1ガイド突起13bによる第1ガイド孔14bの挿通位置も移動する。その結果、アームレスト4は、若干後方へ移動しつつ後部が下方へ移動して前上がりの姿勢へ変位する。
【0055】
このときアームレスト4の肘置き部10が有する上腕支持面17bは、背凭れ部3の前面に沿った若干前傾した傾斜面を成しており、前腕支持面17aは、上腕支持面17bの先端から前方へ向かいつつ若干上方へ向かうように後傾した傾斜面を成している。従って、背凭れ部3が後傾した状態の椅子型マッサージ機1に仰向けに支持された被施療者の腕部は、前腕支持面17a及び上腕支持面17bによって自然な姿勢の状態で支持されるようになっている。
【0056】
このような背凭れ部3の傾倒動作は、制御部100によって制御される。図8に示すように、椅子型マッサージ機1が備える制御部100には、駆動部111を介して直動式アクチュエータ3b(図1も参照)が接続されている。従って、被施療者がリモートコントローラ101を操作するか、又は制御部100の判断により、制御部100からの指示に従って駆動部111が出力する駆動信号によって直動式アクチュエータ3bが伸縮すると、背凭れ部3が前後方向に起伏動し、これに伴ってアームレスト4も前後方向に移動する。
【0057】
また、制御部100は、背凭れ部3の傾倒動作と既に説明したアームレスト4の幅方向への位置調整動作とを連動させるよう制御することも可能である。即ち、制御部100は、背凭れ部3を傾倒動作させる直動式アクチュエータ3bと、アームレスト4を幅方向へ移動させるモータ120とに夫々接続されているため、背凭れ部3及びアームレスト4を連動させるよう制御可能である。
【0058】
例えば、背凭れ部3の起立時(直動式アクチュエータ3bの伸長時)にアームレスト4が背凭れ部3に最も近接する第1位置(図3参照)にある状態から、制御部100からの指示によって直動式アクチュエータ3bを縮小し、背凭れ部3を後傾させる場合、直動式アクチュエータ3bを縮小させつつモータ120を駆動してアームレスト4を第2位置(図3参照)へ向かって背凭れ部3から外側方へ離隔させるように移動させることができる。
【0059】
逆に、背凭れ部3の起立時にアームレスト4が背凭れ部3から最も離隔する第2位置にある状態から、制御部100からの指示によって直動式アクチュエータ3bを縮小し、背凭れ部3を後傾させる場合、直動式アクチュエータ3bを縮小しつつモータ120を駆動してアームレスト4を第1位置へ向かって背凭れ部3へ接近するように移動させることができる。
【0060】
なお、後傾状態にある背凭れ部3を起立させる場合には、上述したのと逆の動作によって背凭れ部3の起立動作とアームレスト4の移動動作とを連動させることが可能であることは言うまでもない。また、図4を用いて説明したように、背凭れ部3の傾倒動作とアームレスト4の前後移動動作とは、機構的に連動して実行される構成となっているため、上述したように制御部100によって背凭れ部3の傾倒動作とアームレスト4の幅方向の移動動作とを連動させた場合には、これと同時にアームレスト4の前後移動動作も連動して実行されることとなる。
【0061】
このように、背凭れ部3の傾倒動作とアームレスト4の幅方向への移動動作とを連動させることにより、背凭れ部3の起立時と後傾時とのそれぞれにおいて、被施療者の腕部がとりうる自然な姿勢を維持可能なように、自動的にアームレスト4の位置調整を行うことができる。
【0062】
ところで、図4(b)に示すように、背凭れ部3が後傾してアームレスト4が後方へ移動すると、座フレーム2bが有する側部フレーム13の先端部13cがアームレスト4より前方へ突出する。アームレスト4のサイドカバー11は、取付プレート12を前方からも覆うように前側壁部11aが設けられているため、この前側壁部11aと側部フレーム13の先端部13cとの干渉が問題となるが、本実施の形態に係るサイドカバー11は、既に説明したようにその内側部分に切欠部11bが形成されているため、側部フレーム13の先端部13cは、この切欠部11bを通るようになっており、両者の干渉が回避されている。
【0063】
[給排気構造]
図5は、アームレスト4に設けられた施療用のエアセルへ給排気を行うための構成を示す側面図である。図5に示すように、アームレスト4が有する肘置き部10には、その内壁面に沿って複数のエアセル30が配設されている。より具体的には、このエアセル30は、肘置き部10内に載置された腕部の手先を上下方向から押圧施療するエアセル30aと、前腕のうち手首側を上下及び外側方から押圧施療するエアセル30bと、前腕のうち肘側を上下及び外側方から押圧施療するエアセル30cと、上腕を上下から押圧施療すると共に挟持可能なエアセル30dと、上腕の上方に位置する肩側部(肩ぐう近傍)を外側方から押圧施療するエアセル30eとを有し、これらエアセル30a〜30eは肘置き部10内の所定位置に前方から順に配設されている。
【0064】
一方、図2でも示したように、肘置き部10の前部に形成された回動軸受孔19は、筒状を成す回動軸部15aにより貫通されており、この回動軸部15aの内部通路15cを通じて、肘置き部10内とサイドカバー11及び取付プレート12に挟まれたバルブスペース12aとが連通している。このバルブスペース12aには、座部2の下方に設けられたポンプ32(図8参照)からの給排気量を調整するバルブ33が配設され、このバルブ33は取付プレート12に支持されている。そして、各エアセル30a〜30eとバルブ33とは、回動軸部15aの内部通路15cを介して配設された可撓性のチューブ34によって連通するように接続されている。
【0065】
このように、各エアセル30a〜30eとバルブ33とを接続するチューブ34を、回動軸部15aの内部通路15cに通す構成としているため、肘置き部10及び取付プレート12の他の箇所に、チューブ34を通すための別途の貫通孔を形成する必要がない。また、チューブ34が通されるのが、肘置き部10の幅方向移動時に回動中心となる回動軸部15aの内部通路15cであるため、肘置き部10の移動動作によってチューブ34の位置が変更されるなどの影響がなく好都合である。
【0066】
なお、下側ケース17の前腕支持面17aや上腕支持面17bに設置される各エアセル30a〜30eの夫々の近傍に、チューブ34を通すための貫通孔を形成してもよい。
【0067】
また、図8に示すように、上述したポンプ32及びバルブ33から成る給排気装置35は、駆動部112を介して制御部100に接続されている。従って、制御部100からの指示で駆動部112が出力した駆動信号により、ポンプ32及びバルブ33が駆動し、各エアセル30a〜30eへの給排気が独立して行われる。これにより、各エアセル30a〜30eは膨張及び収縮し、肘置き部10内に載置された被施療者の腕部を押圧施療可能となっている。
【0068】
[肘置き部の腕回りの回動]
図6は、肘置き部10を腕部の回りに回動させる構成を示す模式的な斜視図である。図6に示す肘置き部10は、外側ケース40とこの外側ケース40内に収容されて被施療者の腕部が載置される内側ケース41とを備えている。このうち外側ケース40は、既に説明した下側ケース17と上側ケース18とが上下に接合された如くの構造となっており、被施療者の手先を外周囲から覆う前部ケース10aと、上腕を下方及び外側方から覆う後部ケース10bとを有し、更にこの後部ケース10bには腕部を内外に挿脱自在な挿脱口10cを有している。なお、図6に示す外側ケース40において、図1に示した肘置き部10と同様の構成を成す部分には対応する同一の符号を付している。
【0069】
外側ケース40は、手先から肩に至るまでの腕部を覆うように構成されているのに対し、内側ケース41は、手先から肘に至る前腕を覆う構成となっている。より詳しくは、内側ケース41は前後方向に延びる略円筒状を成しており、その前側部分である前部ケース41aは手先を外周囲から覆うよう構成されている。また、この前部ケース41aより後側に位置する後部ケース41bは、手首から肘に至る部分を下方及び外側方から覆うよう構成され、内側部には腕部を挿脱自在な挿脱口41cが形成されている。
【0070】
この内側ケース41の内壁面には、図5にて示したようなエアセル30a〜30cが配設され、エアセル30aによって手先を上下方向から押圧施療し、エアセル30bによって前腕のうち手首近傍を上下及び外側方から押圧施療し、エアセル30cによって前腕のうち肘近傍を上下及び外側方から押圧施療するようになっている。なお、外側ケース40には図2に示したのと同様の上腕支持面17bが備えられており、この上腕支持面17bには図5にて示したようなエアセル30d,30eが配設され、夫々上腕及び肩側部を押圧施療可能になっている。
【0071】
また、外側ケース40内には、前後方向へ延びるクランクシャフト43が配設されている。このクランクシャフト43は、長寸の角棒状部材から成り、その両端に設けられて互いに同軸芯状を成す枢支部43aと、これら枢支部43aの間にオフセットして設けられたオフセット部43bと、枢支部43a及びオフセット部43b間を接続する2つの同長のリンク部43cとから構成されている。このようなクランクシャフト43は、前後の枢支部43aが外側ケース40の所定箇所にて回動自在に枢支され、両枢支部43aが有する同一の軸芯43dを中心に回動可能となっている。
【0072】
また、オフセット部43bには、内側ケース41が前後方向へスライド可能に支持されている。即ち、内側ケース41の下面には前後方向へ長寸の軸受部41dが取り付けられており、この軸受部41dには、前後方向に貫通する断面矩形の第3ガイド孔41eが形成されている。この第3ガイド孔41eに角棒状のオフセット部43bが挿通され、軸受部41dはオフセット部43bに沿って前後方向へスライド可能となっている。このようにオフセット部43bは、軸受部41dを介して内側ケース41を支持すると共に、内側ケース41のスライド方向(前後方向)を規制するガイドロッドの機能も果たしている。
【0073】
一方、内側ケース41の下方であって例えばバルブスペース12aには、内側ケース41を回動させるためのエアセル30fと、このエアセル30fを上下から挟む上側挟持プレート45及び下側挟持プレート46とが設けられている。上側挟持プレート45は取付プレート12に固定されており、下側挟持プレート46は、その一方の側辺部分46aに設けられた支持軸46bが上側挟持プレート45に枢着されている。従って、下側挟持プレート46は支持軸46bを中心に回動自在となっており、上側挟持プレート45へ接近する方向(閉方向)と離隔する方向(開方向)とに開閉自在となっている。
【0074】
更に、下側挟持プレート46における一方の側辺部分46aと、その対辺に位置する他方の側辺部分46cとには、それぞれ適度な伸縮性を有するベルト47a,47bの下端部が接続されている。そして、一方の側辺部分46aに接続されたベルト47aの上端部は、内側ケース41の外側部に接続され、他方の側辺部分46cに接続されたベルト47bの上端部は、内側ケース41の内側部に接続されている。
【0075】
また、図8に示すように上述したエアセル30fは、ポンプ及びバルブ等から成る給排気装置121に可撓性のチューブ34を介して接続され、この給排気装置121は、駆動部113を介して制御部100に接続されている。なお、この給排気装置121は、既に説明した給排気装置35と別体にする必要はなく、給排気装置35によって給排気装置121の機能を兼ねることもできる。
【0076】
このような構成の肘置き部10では、被施療者によるリモートコントローラ101の操作又は制御部100の判断により、該制御部100からの指示に従って駆動部113から出力された駆動信号によって給排気装置121が駆動すると、エアセル30fへの給排気が行われ、該エアセル30fは膨張及び収縮する。エアセル30fが収縮状態から給気されて膨張すると、下側挟持プレート46を下方へ押動する。すると、下側挟持プレート46の他方の側辺部分46cに下端部が接続されたベルト47bが下方へ引っ張られ、該ベルト47bの上端部が接続された内側ケース41は、軸芯43dを中心として正面視で反時計回りに回動することとなる。
【0077】
逆に、エアセル30fが膨張状態から排気されて縮小すると、下側挟持プレート46は上方へ移動する。すると、下側挟持プレート46の他方の側辺部分46cに下端部が接続されたベルト47bにかかっていた張力が緩められ、他方のベルト47aの張力によって内側ケース41は正面視で時計回りに回動することとなる。
【0078】
従って、内側ケース41を軸芯43d回りに回動させて位置調整することにより、被施療者の腕部に対し、周方向の所望位置を適切にエアセル30a〜30cによって押圧施療することができる。また、エアセル30a〜30cのうち1つ又は複数を膨張させた状態で、内側ケース41を回動させることにより、腕部を押圧した状態でその押圧箇所を腕部の周方向へ移動させ、いわゆる擦りマッサージを行うことができる。更に、このような擦りマッサージを行いつつ、微量のエアを給排気することにより、腕部に対して擦り揉みマッサージをすることも可能である。
【0079】
また、上述したように図6に示す肘置き部10は、内側ケース41がオフセット部43bに沿って前後方向へスライド可能である。従って、被施療者の体格や好みに応じて、エアセル30a〜30cの腕部に対する位置を、腕部の長手方向に沿って調整可能となっている。なお、上述した説明ではクランクシャフト43として断面矩形のものについて説明したが、これに限らず他の断面形状のものであってもよい。例えば、断面が多角形、楕円形、又は長円形のものでもよく、これらの場合には第3ガイド孔41eの開口断面もこれらに整合する形状とすればよい。このようにクランクシャフト43が円形断面でなければ、オフセット部43bを第3ガイド孔41eに挿通するだけで、オフセット部43bの周方向に回動しないように内側ケース41を支持することができる。
【0080】
[肘置き部の腕回りの回動の他の態様]
図7は、肘置き部10を腕部の回りに回動させる他の構成を示す模式的な斜視図である。図7に示す肘置き部10は、クランクシャフト43の回転中心である軸芯43dとオフセット部43bとの離隔寸法が前部と後部とで異なるように構成されている。即ち、前後の枢支部43aとオフセット部43bとを接続するリンク部43cが、前側のリンク部43cに比べて後側のリンク部43cの方が長寸になっている。また、図6ではエアセル30f、上下の挟持プレート45,46、及びベルト47a,47bによって内側ケース41を回動させる構成としていたが、図7に示す肘置き部10はこれに換えて、クランクシャフト43の後側の枢支部43aにモータ50の出力軸50aが接続されている。なお、図7に示す肘置き部10が備えるその他の構成は、図6に示す肘置き部10の対応する構成と同様であるため、対応する構成に同一の符号を付して当該構成についての説明は省略する。
【0081】
このような肘置き部10の場合も、図6に示した肘置き部10と同様の作用効果を奏する。これに加え、後側のリンク部43cが前側のリンク部43cよりも長寸になっているため、モータ50の駆動によってクランクシャフト43が軸芯43d回りに回動すると、内側ケース41は前部に比べて後部の方がより大きな径で回動する。従って、このような内側ケース41に載置された被施療者の腕部は、手先側の部分に比べて肘側の部分がより大きな径で回動することとなる。
【0082】
また、図7に示すように上述したモータ50は、アームレスト4の後部に収容されている。アームレスト4の後部には、外側ケース40が有する上腕支持面17bの下方位置に、アームレスト4の前部に比べて余剰スペース4aが確保しやすくなっている。従って、モータ50をクランクシャフト43の後端の枢支部43aに接続すべく、アームレスト4の後部に設けることにより、この余剰スペース4aをモータ50の収容スペースとして活用することができる。
【0083】
なお、図6及び図7に示した腕回りへの回動が可能な肘置き部10についても、図3に示したように幅方向へ回動させることが可能である。即ち、図6及び図7に示す肘置き部10は、図1乃至5を用いて説明した構成と容易に組み合わせることができるため、上述したようにクランクシャフト43に支持された内側ケース41を腕部回りに回動させることができると共に、回動軸受孔19(図6及び図7参照)に挿通された回動軸部15aを中心にして肘置き部10の後部を幅方向へ回動させることが可能である。更に、直動式アクチュエータ3bの動作と、モータ120の動作と、エアセル30f又はモータ50の動作とを連動させるように制御部100を構成することにより、背凭れ部3の傾倒動作、肘置き部10の幅方向への位置調整動作、及び内側ケース41の腕部回りへの回動動作を互いに連動させることも可能である。
【0084】
[椅子型マッサージ機の他の構成]
図9は、他の椅子型マッサージ機の構成を示す全体斜視図である。図9に示すように、この椅子型マッサージ機201は、被施療者が着座する座部202と、被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部203と、被施療者の腕部を支持するアームレスト204と、被施療者の脚部を支持するフットレスト205とから主として構成されている。
【0085】
座部202は、基台202aの上部に設けられた座フレームの上部に、略平坦に形成されたクッションが配設されて構成されている。この座部202の前側には、被施療者の下腿部を施療するためのフットレスト205が配設されている。また、座部202の後側には、被施療者の上半身を支持する背凭れ部203が設けられている。この背凭れ部203は、被施療者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ機201に着座した際に該成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で縦長の略長方形を成している。この背凭れ部203の左右の側部からは、対面配置された板状の体側施療板203cが前方へ延設されており、この体側施療板203cは、背凭れ部203に支持された被施療者の上半身の側部(特に、肩及び上腕)に外方から対向するようになっている。また、この背凭れ部203の上部には、図1の椅子型マッサージ機1と同様に、該背凭れ部203により上半身を支持された被施療者の頭部に対応して図示しない枕部が配設される。
【0086】
また、図示は省略するが、図9に示す椅子型マッサージ機201にも、図1の椅子型マッサージ機1と同様に、長方形状の背フレーム、座フレーム、直動式アクチュエータ、機械式のマッサージ機構、及び制御部などを備えており、背凭れ部203は前後方向へ回動自在であってマッサージ機構による各種のマッサージが実行可能になっている。
【0087】
座部202及び背凭れ部203の両側方には、座部202に着座した被施療者の腕部を支持するアームレスト204が配設されている。後に詳述するが、このアームレスト204は、上部の肘置き部210とその下部のベース部211とから構成され、ベース部211は、背凭れ部203の側方位置から座部202に沿って前方へ延設されるようにして配設され、肘置き部210はベース部211の上部前寄りの位置に配設されている。
【0088】
上述した座部202、背凭れ部203、アームレスト204、及びフットレスト205には、それぞれ適宜位置にエアセルが配設されている。例えば、座部202の上面各所、背凭れ部203の両側部前面や左右の体側施療板203cの対向面、アームレスト204の肘置き部210、フットレスト205における内壁面等にエアセルが設けられている。これらのエアセルは、図1の椅子型マッサージ機1と同様に座部202の下方に配設されたポンプ等から成る給排気装置(図示せず)に可撓性のチューブを介して接続されており、この給排気装置からの給排気によって膨張及び収縮するように構成されている。従って、座部202に着座した被施療者の各部を、膨縮するエアセルによって押圧施療できるようになっている。
【0089】
次に、このような椅子型マッサージ機201のアームレスト204の構成について説明する。図10は、右側のアームレスト204の一部分を拡大して示す斜視図であり、主に肘置き部210及びその近傍を拡大して示している。また、図11は、図10に示したアームレスト204の分解斜視図、図12は、図10に示したアームレスト204の右側面図である。なお、左右のアームレスト204は互いに対称的な構成となっているため、以下では右側のアームレスト204の構成についてのみ説明する。
【0090】
図10に示すように、アームレスト204が有するベース部211は、前後方向へ伸びるその上面が側面視で円弧状を成しており(図12も参照)、その前部に肘置き部210が取り付けられている。肘置き部210は、前後両端部が開口した筒体を更に左右方向の内方部分も開口した如くの構成となっており、より詳しくは、平面視で略矩形状の下板部210aと、該下板部210aの外縁部に立設された矩形状の側板部210bと、該側板部210bの上端から左右方向の内方へ延設して下板部210aの上方に対向配置された上板部210cとを有してこれらが一体成形された構成となっている。また、上板部210cは、側板部210bに接続される外側部分が、肘置き部210内に載置される被施療者の前腕の外面形状に沿うように曲面に形成されており、更に、載置された前腕の前部と後部とでの上下寸法の違いに対応して、下板部210aとの離隔寸法が後部から前部へ向かうに従って小さくなるように構成されている(図12も参照)。
【0091】
下板部210aには、その前後と中央との3箇所に下方へ窪んだ凹部220a〜220cが形成されている。この凹部220a〜220cは、平面視で左右方向へ長寸を成しており、下板部210aの左右方向の中央部から内側縁部にまで達している。そして、各凹部220a〜220cにおける左右方向の外側端部(即ち、下板部210aにおける左右方向の中央付近)には、上下方向へ貫通する貫通孔221a〜221cが形成されている(図11参照)。また、中央の凹部220bと後側の凹部220cとの間には、下板部210aの内側縁部から外側縁部へ左右方向へ伸びる溝部222が形成されており、この溝部222における左右方向の中央部にも、エアチューブ223(図12参照)を通すべく上下方向へ貫通してその径が比較的大きな配管孔222a(図11参照)が形成されている。更に、側板部210bの内壁にも、比較的大きな開口面積を有する凹部224が形成されている。
【0092】
図11に示すように、このような肘置き部210は、該肘置き部210に固定される上側ブラケット230とベース部211に固定される下側ブラケット231とを介してベース部211に取り付けられる。このうち上側ブラケット230は平面視で前後方向に若干長寸の矩形板状を成し、肘置き部210の下板部210aよりも一回り小さい外形寸法を有している。この上側ブラケット230には、肘置き部210の下板部210aに形成された貫通孔221a〜221cに対応する貫通孔230a〜230cと、エアチューブ223(図12参照)を通すべく下板部210aの配管孔222aに対応して設けられた配管孔230dとが形成されている。また、この上側ブラケット230は左右対称の構成となっており、左側のアームレスト204でも使用可能となっている。
【0093】
下側ブラケット231は、上側ブラケット230より若干大きな矩形板状を成す主面板232と、該主面板232の内側縁部から下方へ伸びる内側下垂板233と、主面板232の外側縁部から下方へ伸びる外側下垂板234とから構成されている。主面板232には、肘置き部210の下板部210aの中央に形成された貫通孔221bと上側ブラケット230の中央に形成された貫通孔230bとに対応する貫通孔232bが形成されている。また、主面板232の前部及び後部には、下板部210aの前部及び後部に形成された貫通孔221a,221cと上側ブラケット230の前部及び後部に形成された貫通孔230a,230cとに対応する位置に、前記貫通孔232bを中心とする円弧状のガイド孔232a,232cが形成されている。そして、これら下側ブラケット232に形成された貫通孔232b及びガイド孔232a,232cの周縁部は、主面板232の他の領域部分よりも若干上方へ突出するように盛り上がった形状となっている。
【0094】
また、下側ブラケット231の前側のガイド孔232aと中央の貫通孔232bとの間、及び後側のガイド孔232cと中央の貫通孔232bとの間には、エアチューブ223(図12参照)を通すべく2つの配管孔232dが形成されている。これら前後の配管孔232dは、中央の貫通孔232bに対して対称的に配設されており、右側のアームレスト204においては後側の配管孔232dが、肘置き部210及び上側ブラケット230の配管孔222a,230dに対応して設けられている。なお、上記説明と以下の説明とからも分かるように、下側ブラケット231は前後に対称的な構成となっており、前後を逆にすることによって左側のアームレスト204の下側ブラケットとして用いることができる。そして、上述した前後の配管孔232dのうち前側の配管孔232dは、左側のアームレスト204にてこの下側ブラケット231を用いる場合に、エアチューブ223を通すために用いられる。
【0095】
また、下側ブラケット231の内側下垂板233は、上記主面板232と同じ前後方向寸法を有する板状を成し、左右方向へ貫通する3つのボルト孔233a〜233cが前後方向に等間隔で並ぶようにして形成されている。外側下垂板234は、前後方向の寸法が比較的小さい板状を成し、主面板231の外側縁部における前端部と後端部とから下方へ延設され、夫々に左右方向へ貫通するボルト孔234a,234bが形成されている(図12も参照)。
【0096】
更に、ベース部211の上部には、その前後方向の前側位置において周辺部分よりも窪んで形成された取付凹部235が形成されている。この取付凹部235は、肘置き部210に比べて若干大きい前後方向寸法を有しており、第1底面240と、これより若干下方に位置する第2底面241とを有している。第1底面240は、下側ブラケット231が取り付けられたときにその下面と直接的に接触する部分であり、下側ブラケット231の外縁部近傍と前端及び後端の各部位に対応する領域に形成されている。一方、第2底面241は、第1底面240によって外方及び前後方向から囲まれるようにして設けられており、下側ブラケット231が取り付けられたときに、そのガイド孔232a,232c、貫通孔232b、及び配管孔232dの全てが平面視で含まれる領域を有している。そして、下側ブラケット231の配管孔232dに対応する配管孔241aが形成されている。ベース部211は内部が中空に構成されており、前記配管孔241aはベース部211の内外を連通している。
【0097】
また、取付凹部235は、上記第1底面240の前端及び後端から夫々上方へ伸びる前壁面242及び後壁面243を有している(図12も参照)。これら前壁面242及び後壁面243は、肘置き部210の前後方向寸法より大きい距離を隔てて対向配置されている。そして、前壁部242は上方へ向かうに従って前方へ向かう前傾面を成し、後壁部243は上方へ向かうに従って後方へ向かう後傾面を成している。
【0098】
更に、取付凹部235は、ベース部211の内側面よりも外方へ窪んで位置する内側壁面244と、ベース部211の外側面よりも内側へ窪んで位置する外側壁面245(図12も参照)とを有している。このうち内側壁面244は、下側ブラケット231の内側下垂板233に対応して形成されており、内側下垂板233のボルト孔233a〜233cに対応するボルト孔244a〜244cが形成されている。外側壁面245は、下側ブラケット231の前後の外側下垂板234に対応して形成されており、外側下垂板234のボルト孔234a,234bに対応するボルト孔(図示せず)が形成されている。
【0099】
上述したような肘置き部210、上側ブラケット230、下側ブラケット231、及びベース部211は、次のようにして組み立てられている。即ち、図11に示すように、肘置き部210の下方に上側ブラケット230を配置し、更にその下方に下側ブラケット231を配置する。このとき、肘置き部210の貫通孔221a〜221cと上側ブラケット230の貫通孔230a〜230cとを一致させると共に、上側ブラケット230の中央の貫通孔230bと下側ブラケット231の中央の貫通孔232bとを一致させ、更に上側ブラケット230の前後の貫通孔230a,230cが平面視で下側ブラケット231の前後のガイド孔232a,232c内に位置するようにする。
【0100】
そして、この状態で上下の端部にネジが切られた支持シャフト250を、夫々の中央に位置する貫通孔221b,230b,232bに挿通し、上方及び下方へ突出した支持シャフト250の端部にワッシャを介してナット(図示せず)を螺合させる。更に、支持シャフト250と同様の構成を有する2本のガイドシャフト(ガイド突起に相当)251,252を、前側の貫通孔221a,230a及びガイド孔232aと、後側の貫通孔221c,230c及びガイド孔232cとに夫々挿通し、上方及び下方へ突出したガイドシャフト251,252の端部にワッシャを介してナット(図示せず)を螺合させる。なお、支持シャフト250とガイドシャフト251,252とに上下方向からナットを螺合させるに際しては、下側ブラケット231に対して肘置き部210及び上側ブラケット230が左右方向へ円滑に可動な程度に、上下のナット間の距離が調整されている。
【0101】
このようにして一体化された肘置き部210、上側ブラケット230、及び下側ブラケット231は、ベース部211の取付凹部235に上方から組み付けられる。このとき、下側ブラケット231が有する内側下垂板233のボルト孔233a〜233cと、取付凹部235が有する内側壁面244のボルト孔244a〜244cとを一致させると共に、下側ブラケット231が有する外側下垂板234のボルト孔234a,234bと、取付凹部235が有する外側壁面245のボルト孔(図示せず)とを一致させる。そして、これらの全てのボルト孔にボルトを挿着することにより、肘置き部210がベース部211の上部に取り付けられる。この際、ベース部211の上面(取付凹部235の前後の部分の上面)より下方へ窪んだ取付凹部235に肘置き部210を取り付けているため、肘置き部210の下板部210aの上面とベース部211の上面とが略面一になる。従って、被施療者が前腕を、肘置き部210内に位置させた状態でアームレスト204に載置したときに、肘置き部210の下板部210aの上面とベース部211の上面とによって前腕を支持することができる。
【0102】
なお、取付凹部235の第2底面241が第1底面240よりも一段低く形成されているため、下側ブラケット231の下方に突出する支持シャフト250及びガイドシャフト251,252がベース部211の上面(即ち、第2底面241)と接触しないようになっている。また、上述したように下側ブラケット231のガイド孔232a,232c及び貫通孔232b近傍部分が上方へ突出し、換言すればこの近傍部分の下面が上方へ窪んでいる。従って、各シャフト250〜252の下端に螺合するナットはこの窪みに収容されるため、各シャフト250〜252と下側のナットとの螺合位置は、第2底面241から比較的離れた上方に位置することとなる。その結果、各シャフト250〜252の下端位置も第2底面241から離れた上方に位置させることができ、より一層ベース部211の第2底面241と接触しにくくなっている。
【0103】
また、本実施の形態では、上述したようにガイドシャフト251,252が肘置き部210に対して固定して設けられ、ガイド孔232a,232cがベース部211に対して固定して設けられた構成について説明しているが、これとは逆に、ガイドシャフト251,252がベース部211に対して固定して設けられ、ガイド孔232a,232cが肘置き部210に対して固定して設けられた構成としてもよい。
【0104】
図12に示すように、このようにベース部211に取り付けられた肘置き部210には複数のエアセル255a〜255cが取り付けられる。即ち、肘置き部210の下板部210aの上面にはエアセル255aとエアセル255bとが取り付けられ、上板部210cの下面にはエアセル255cが取り付けられる。このうち下板部210aに設けられたエアセル255aは前後方向に長寸を成し、その上面の前部と後部とに計2つのエアセル255bが載置されており、上板部210cに設けられたエアセル255cは、上板部210c下面の前部と後部とに計2つ設けられている。また、これらのエアセル255a〜255cには、図示しない給排気装置からのエアを供給する3本のエアチューブ223が接続される。このエアチューブ223は、肘置き部210、上側ブラケット230、下側ブラケット231、及びベース部211の夫々に形成された配管孔222a,230d,232d,241a(図11参照)を通ってベース部211の内部空間から引き出されて各エアセル255a〜255cまで延設される。このうちエアセル255cに接続されるエアチューブ223は、下板部210aに形成された溝部222及び側板部210bに形成された凹部224(図11参照)を通って夫々延設される。なお、図12ではエアセル255a,255b,255cに接続される3本のエアチューブ223が、配管孔222a,230d,232d,241aを通って肘置き部210内へ導入された構成を示しているが、1本のエアチューブ223を配管孔222a,230d,232d,241aを経て肘置き部210内へ導入し、この肘置き部210内で1本のエアチューブ223を5本に分岐させるよう構成してもよい。
【0105】
これらのエアセル255a〜255cは、図示しない給排気装置からエアを給排気することによって膨張及び収縮し、肘置き部210内に載置された被施療者の前腕を、上下方向から押圧可能になっている。また、側板部210bの内壁面にもエアセルを設け、該エアセルと給排気装置とをエアチューブで接続して、このエアセルを膨張及び収縮させることによって被施療者の前腕を外側方から押圧可能に構成してもよい。なお、図11に示す支持シャフト250及びガイドシャフト251,252の上端及びこれらに螺合した上側のナットは、肘置き部210がベース部211に組み付けられた状態で、肘置き部210の下板部210aに形成された凹部220a〜220c内に埋没した状態となる(図10参照)。従って、各シャフト250〜252やナットとエアセル255aとの接触が防止されている。
【0106】
図13は、上記肘置き部210の回動態様について説明するための平面図である。図13に示すように、ベース部211に取り付けられた肘置き部210は、前後方向の中央に位置する支持シャフト250を中心として、前部及び後部が左右方向へ回動可能になっている。従って、座部202に着座して肘置き部210内に前腕を載置した被施療者は、自分の好みに合った向きに肘置き部210を回動して向きの調整をすることができる。
【0107】
この際、前後に配設されたガイドシャフト251,252が、下側ブラケット231に形成されたガイド孔232a,232cに沿って案内されるため、肘置き部210は安定的に回動可能となっている。また、肘置き部210の回動範囲は、ガイドシャフト251,252及びガイド孔232a,232cによって設定されているため、例えば、肘置き部210が図13に示す状態から90度回動して左右方向に沿うように向いてしまうなどというようなことがない。
【0108】
また、図13からも分かるように、本実施の形態に係るアームレスト204の場合、該肘置き部210の長手方向が前後方向(即ち、ベース部211の長手方向)と一致している状態のとき、前側のガイドシャフト251は、支持シャフト250に対して前方位置より若干内側に設けられ、ガイド孔232aにおける左右方向の内側に位置して外側に大きな可動範囲を有している。換言すれば、ガイドシャフト251と共に支持シャフト250回りに回動する肘置き部210の前部は、図13に示す状態から内側へ向かう場合よりも外側へ向かう場合の方がより大きな角度で回動可能になっている。逆に、後側のガイドシャフト252は、支持シャフト250に対して後方位置より若干外側に設けられ、ガイド孔232cにおける左右方向の外側に位置して内側に大きな可動範囲を有している。換言すれば、ガイドシャフト252と共に支持シャフト250回りに回動する肘置き部210の後部は、図13に示す状態から外側へ向かう場合よりも内側へ向かう場合の方がより大きな角度で回動可能になっている。
【0109】
総じて言えば、図13に示すように肘置き部210がその長手方向を前後方向と一致させている状態から、平面視したときに肘置き部210の回動範囲は、その前部が左右方向の外側へ向かう場合(図13に示す右側のアームレスト204が有する肘置き部210では、時計回りに回動する場合)の方が、内側へ向かう場合よりも大きくなっている。従って、肘置き部210に前腕を載置した被施療者は、前腕を前後方向に伸ばして載置した状態から、手先側部分を肘側部分に対して外方へ向かわせる方向へ、肘置き部210の向きを広い範囲で調整可能となっている。これにより、背凭れ部203を後傾させたときに、被施療者はリラックスしやすいより自然な姿勢をとることができる。
【0110】
更に、エアチューブ223が挿通される配管孔222a,230d,232d,241aは、後側の貫通孔221c,230c及びガイド孔232cよりも、肘置き部210の回動中心となる支持シャフト250に近接して設けられているため、肘置き部210の回動に伴うエアチューブ223の位置ずれが少なくなっている。従って、肘置き部210の回動時に、エアチューブ223が下側ブラケット231の配管孔232dの周縁部と接触して摩耗が生じるのを抑制することができる。
【0111】
なお、図11に示したように下側ブラケット231は、ガイド孔232a,232cの近傍及び貫通孔232bの近傍が上方へ突出しており、肘置き部210と共に回動する上側ブラケット230と下側ブラケット231との接触面積は、これらの上方への突出部分の上端部に限定される。このように両ブラケット230,231間の接触面積が少なくなっているため、肘置き部210の回動時の抵抗を低減し、円滑に回動可能にもなっている。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、被施療者の体格や好みの姿勢に応じて適切に腕部を支持可能なアームレストを備える椅子型マッサージ機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す椅子型マッサージ機が備えるアームレストの構成を説明するための分解斜視図である。
【図3】アームレストが有する肘置き部の動作を説明するための平面図であり、背凭れ部に最も近い位置(第1位置)にあるときの肘置き部を太い二点鎖線で示し、移動により背凭れ部から最も離隔した位置(第2位置)にあるときの肘置き部を細い二点鎖線で示している。
【図4】背凭れ部とアームレストとの連動動作を説明するための椅子型マッサージ機の側面図であり、(a)は背凭れ部が起立した状態を示し、(b)は背凭れ部が後傾した状態を示している。
【図5】アームレストに設けられた施療用のエアセルへ給排気を行うための構成を示す側面図である。
【図6】肘置き部を腕部の回りに回動させる構成を示す模式的な斜視図である。
【図7】肘置き部を腕部の回りに回動させる他の構成を示す模式的な斜視図である。
【図8】椅子型マッサージ機の機械的な機能を説明するためのブロック図である。
【図9】他の椅子型マッサージ機の構成を示す全体斜視図である。
【図10】右側のアームレストの一部分を拡大して示す斜視図であり、主に肘置き部及びその近傍を拡大して示している。
【図11】図10に示したアームレストの分解斜視図である。
【図12】図10に示したアームレストの右側面図である。
【図13】肘置き部の回動態様について説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0114】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
4 アームレスト
4a 余剰スペース
5 フットレスト
10 肘置き部
11 サイドカバー
12 取付プレート
15a 回動軸部
15b 第2ガイド突起
15c 内部通路
19 回動軸受孔
30 エアセル
34 チューブ
40 外側ケース
41 内側ケース
43 クランクシャフト
43a 枢支部
43b オフセット部(ガイドロッド)
43c リンク部
43d 軸芯
50 モータ
100 制御部
120 モータ
201 椅子型マッサージ機
204 アームレスト
210 肘置き部
211 ベース部
232a,232c ガイド孔
250 支持シャフト
251,252 ガイドシャフト(支持突起)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部と、前記座部に着座した被施療者の腕部を支持するアームレストとを備え、
該アームレストは、前記座部の側方にて該座部に沿って前方へ延設されており、上下方向へ延びる軸芯を中心として幅方向へ回動可能に構成されていることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記アームレストは、前記背凭れ部の側方位置から前記座部に沿って前方へ延設された構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記軸芯は前記アームレストの前部を通るように設定され、該アームレストは、前記軸芯を中心として後部が回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記アームレストは、被施療者の腕部が載置される肘置き部と、該肘置き部の下方に設けられたベース部とから構成され、該ベース部に対して前記肘置き部が前記軸芯を中心として回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記肘置き部は、前記軸芯が通る貫通孔と、該貫通孔を中心とする円弧状に形成されたガイド孔とを有し、前記ベース部は、上方へ向けて突設されて前記肘置き部の貫通孔に挿通される回動軸部と、上方へ突設されて前記肘置き部のガイド孔に挿通されるガイド突起とを有することを特徴とする請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記アームレストは、前記肘置き部に配設されたエアセルと、該エアセルに一端が接続されて該エアセルへエアを供給するチューブとを更に有し、
前記ベース部が有する回動軸部は内部通路を有する円筒状を成し、前記チューブは前記回動軸部の前記内部通路を通って前記肘置き部側から前記ベース部側へ延設されていることを特徴とする請求項5に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
前記背凭れ部は前記座部に対して傾倒可能に構成されており、前記アームレストは前記背凭れ部の傾倒動作に伴って前後方向へ移動するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項8】
前記アームレストは、前記背凭れ部の傾倒動作に伴って前記軸芯を中心として幅方向へ回動可能に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項9】
前記肘置き部は、前記ベース部に対して前後方向へスライド可能に構成されていることを特徴とする請求項4乃至8の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項10】
前記肘置き部は、被施療者の腕部が収容される内側ケースと、該内側ケースを外方から覆う外側ケースとから構成され、前記内側ケースが前記外側ケースに対して前後方向へスライド可能に構成されていることを特徴とする請求項9に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項11】
前記アームレストは、前記肘置き部を支持すべく前後方向へ延びるクランクシャフトを更に有し、該クランクシャフトは、前後方向へ延びる軸芯を有する枢支部と、該枢支部に対してオフセットして設けられたオフセット部とから構成されており、
前記肘置き部は、載置された被施療者の腕部を施療する施療部を具備すると共に、前記オフセット部に支持され、前後方向へ延びる前記軸芯回りへの前記クランクシャフトの回動に伴って回動するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項12】
前記枢支部が有する前記軸芯は、前記肘置き部に載置された被施療者の腕部の断面を通るように設定されていることを特徴とする請求項11に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項13】
前記アームレストは、被施療者の腕部が載置される肘置き部と、該肘置き部の下方に設けられたベース部とから構成され、且つ前記軸芯は前記肘置き部の前後方向の略中央部を通るように設けられており、前記ベース部に対して前記肘置き部が前記軸芯を中心として回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項14】
前記アームレストは、前記肘置き部及び前記ベース部の何れか一方に設けられて前記軸芯を中心とする円弧状を成して平面視で前記肘置き部の前部及び後部に対応する位置に設けられたガイド孔と、他方に固定されて前記ガイド孔に挿通されるガイド突起とを有することを特徴とする請求項13に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項15】
前記肘置き部は、エアの給排気により膨縮して被施療者の腕部を押圧するエアセルと、前記ガイド孔よりも前記軸芯に近接する位置に設けられた配管孔とを有し、前記エアセルへエアを給排気するためのエアチューブが前記配管孔を通じて配設されるよう構成されていることを特徴とする請求項14に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−45421(P2009−45421A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326369(P2007−326369)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】