説明

椅子型マッサージ機

【課題】伸縮距離を大きくとることができ、かつ、軽量・小型であって低コストで実現することができるフットレストを備えた椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】使用者が着座する座部2と、使用者の脚部を支持し脚部の長手方向に伸縮可能なフットレスト4を有する椅子型マッサージ機1である。前記フットレスト4は、前記座部2に連結された固定部11と、前記固定部11に設けられ、該固定部11に対して移動可能な移動部12と、前記固定部11と前記移動部12との相対距離を変更する伸縮機構14と、を有している。前記伸縮機構14は、脚部の長手方向に伸縮動作することによって前記移動部12を移動させる駆動部15と、前記駆動部15の伸縮距離よりも前記移動部12の移動距離が大きくなるように該駆動部15の伸縮動作を該移動部12に伝達する伝達部16と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が着座する座部と、使用者の脚部を支持し脚部の長手方向に伸縮可能なフットレストを有する椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の脚部を支持するフットレストを備え、このフットレストが脚部の長手方向へ伸縮可能である椅子型マッサージ機が知られている。このような椅子型マッサージ機のフットレストの一例として、座部に連結されるとともに第一の当接部を有する固定部と、固定部に対して移動可能に設けられるとともに第一の当接部と対向した第二の当接部を有する移動部と、第一の当接部と第二の当接部の間にエアの給排気により膨張収縮するエアセルとを備え、このエアセルの膨張収縮により移動部を固定部に対して移動可能に構成される(例えば、特許文献1参照)。
また、このような椅子型マッサージ機のフットレストの他の例として、座部に連結されるとともにラックを有する固定部と、固定部に対して移動可能に設けられるとともにラックを有する移動部と、各ラックに係合するよう各ラック間に介在して設けられるとともにモータの動力により回転されるピニオンとを備え、このピニオンの回転により移動部を固定部に対して移動可能に構成される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−328256号公報
【特許文献2】特開2008−206719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示された椅子型マッサージ機のフットレストにおいては、固定部に対する移動部の移動距離はエアセルの伸縮距離と同等であり、移動部の伸縮距離を大きくするためには固定部に設けるエアセルを伸縮距離の大きいものとする必要があり、フットレストが大型化してしまう。
また、上記特許文献2に開示された椅子型マッサージ機のフットレストにおいては、フットレストの伸縮機構が固定部と移動部に設けられたラックと、モータの出力軸が減速機を解して回転軸に固着されたピニオンとにより構成されているため、フットレストが高コスト化したり大型化してしまう。
【0005】
そこで本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、伸縮距離を大きくとることができ、かつ、軽量・小型であって低コストで実現することができるフットレストを備えた椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使用者が着座する座部と、使用者の脚部を支持し脚部の長手方向に伸縮可能なフットレストを有する椅子型マッサージ機において、前記フットレストは、前記座部に連結された固定部と、前記固定部に設けられ、該固定部に対して移動可能な移動部と、前記固定部と前記移動部との相対距離を変更する伸縮機構と、を有し、前記伸縮機構は、脚部の長手方向に伸縮動作することによって前記移動部を移動させる駆動部と、前記駆動部の伸縮距離よりも前記移動部の移動距離が大きくなるように該駆動部の伸縮動作を該移動部に伝達する伝達部と、を有していることを特徴とする。
このような構成とすることにより、伝達部により駆動部の伸縮距離よりも移動部の移動距離を大きくすることができるので、小型で伸縮距離の大きいフットレストを提供することができる。
【0007】
また、前記駆動部は、エアの給排気によって膨張収縮するエアセルで構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、収縮時の前記エアセルは略平坦となるため、エアセルをフットレストに設けるスペースを小さくしても、エアセルの伸張スペースを大きく確保することができる。また、モータ等で移動部を移動させる場合に比べてフットレストを軽量化できる。
【0008】
また、前記伝達部は、前記固定部における脚部の長手方向両端部に設けられた一対の固定プーリと、前記固定部における前記一対の固定プーリ間に設けられ、前記駆動部の伸縮動作に連動して移動する移動プーリと、前記一対の固定プーリと前記移動プーリに巻装されたロープ部材と、を有し、前記移動部は、前記ロープ部材の所定位置に連結されていることが好ましい。
また、前記ロープ部材は、該ロープ部材と前記移動部とを連結する連結部を有し、前記移動部は、前記移動プーリの脚部の長手方向における一方側への移動に連動して前記連結部が脚部の長手方向における他方側へ移動することによって移動可能とされていることが好ましい。
また、前記ロープ部材は、前記一対の固定プーリの内の一の固定プーリと前記移動プーリとに掛け渡され、かつ、前記一対の固定プーリの内の他の固定プーリと前記移動プーリとに掛け渡され、かつ、前記一の固定プーリと前記他の固定プーリとに掛け渡されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、移動プーリの移動によってフットレストの伸縮を行うことができる。また、移動部は移動プーリに巻装されたロープ部材に連結されているため、ピニオンに係合するラックに移動部が連結されている場合のようにギア飛びの恐れがなく、フットレストの高い加工精度や強度が要求されない。
【0009】
また、前記ロープ部材は、前記固定プーリ及び前記移動プーリに張設されるよう該ロープ部材の一端と他端が付勢部材により連結されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、ロープ部材を固定プーリ及び移動プーリに弛みなく巻装することができ、円滑にフットレストの伸縮を行うことがきる。
【0010】
また、前記固定部は、前記駆動部により脚部の長手方向へ押動される押動部を有し、前記移動プーリは、前記押動部に連結され、該押動部の移動に連動して脚部の長手方向へ移動可能とされていることが好ましい。
このような構成とすることにより、駆動部により押動部を押すことでフットレストを脚部の長手方向へ伸縮させることができる。
【0011】
また、前記伝達部は、前記固定部に脚部の長手方向に伸びて設けられた第1ラックと、前記移動部に脚部の長手方向に伸びて設けられた第2ラックと、前記第1ラック及び前記第2ラックに係合し、該第1ラックを転動するピニオンと、を有し、前記ピニオンは、該ピニオンに可動であるよう軸止されたピニオン軸を有し、前記ピニオン軸を脚部の長手方向へ摺動させて前記ピニオンを転動させることによって、前記移動部を前記固定部に対して移動可能とされていることが好ましい。
このような構成とすることにより、駆動部によりピニオン軸を摺動させることでフットレストを脚部の長手方向へ伸縮させることができるので、駆動部としてエアセル等の脚部の長手方向へ伸縮するものを採用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、伸縮距離を大きくとることができ、かつ、軽量・小型であって低コストで実現することができるフットレストを備えた椅子型マッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る椅子型マッサージ機を左側方から見た平面図であり、フットレストが下降しかつ収縮した状態を示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る椅子型マッサージ機を左側方から見た平面図であり、フットレストが上昇しかつ伸長した状態を示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを上方から見た平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを前方から見た平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを上方から見た平面図であり、フットレストの内部構造を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを右側方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを上方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを右側方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図である。
【図9】(a)は本発明の第3実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを右側方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図であり、(b)は本発明の第3実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを前方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図である。
【図10】(a)は本発明の第4実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを右側方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図であり、(b)は本発明の第4実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを前方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[全体構成]
以下、本発明の第1実施形態に係る椅子型マッサージ機の全体構成について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る椅子型マッサージ機を左側方から見た平面図であり、フットレストが下降しかつ収縮した状態を示した図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る椅子型マッサージ機を左側方から見た平面図であり、フットレストが上昇しかつ伸長した状態を示した図である。
この椅子型マッサージ機1は、座部2と、座部2の後部に連結された背凭れ部3と、座部2の前部に連結されたフットレスト4を有している。また、この椅子型マッサージ機1は、座部2の両側に配置された肘掛け部5と、座部2から下方に延びる支持脚部6とを有している。
なお、本明細書における方向の概念は、フットレスト4を上昇させた状態における椅子型マッサージ機1の座部2に着座した使用者が正面を向いて、その前方が「前」であり、後方が「後」であり、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭側が「上」であり、腰側が「下」であり、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0015】
背凭れ部3は、リクライニング可能であり、図1の起立した状態から後方へ倒れることができるとともに、任意の位置で停止できるように構成されている。この背凭れ部3のリクライニングは、電動モータ、流体シリンダ、又はエアセル等(図示せず)により自動的に行われる。
フットレスト4は、座部2の前部に対して水平方向の軸まわりに上下回動可能に連結されて、座部2に対する位置(角度)を任意に変更可能とされており、図1の下降状態から上方に回動して図2の上昇状態になることができる。また、図2の上昇状態から下方に回動すれば図1の下降状態に戻る。フットレスト4の上下回動は、フットレスト4(より具体的には後述する固定部11)の後部(背面)に設けられた回動駆動部7としての回動用エアセル7aにエアを給排気して膨脹収縮させることによって行われ、回動用エアセル7aが膨脹すると図2に示すようにフットレスト4が上昇し、回動用エアセル7aが収縮するとフットレスト4が下降する。この回動用エアセルへのエアの給排気は、座部の下方に設けられたポンプ及びバルブ等を有したエア給排気装置8によって行われる。なお、この回動駆動部7は、流体シリンダ又は電動モータ等(図示せず)によって構成することもできる。
【0016】
図1及び図2に示すように、背凭れ部3には、マッサージ部9が設けられている。背凭れ部3のマッサージ部9は、モータ駆動の施療子(揉み玉)を備えたものであり、叩き・揉み・振動などのマッサージを使用者に施すことができる。座部2の上面にも、マッサージ部10が設けられている。座部のマッサージ部10は、エアの給排気によって膨脹収縮し、使用者に押圧マッサージを施すマッサージ用エアセル10aによって構成されている。この座部のマッサージ用エアセル10aは、使用者の臀部及び大腿に押圧マッサージを施すよう前後に2つ配置されている。この座部のマッサージ用エアセル10aへのエアの給排気は、前述した座部の下方に設けられたエア給排気装置8によって行われる。
【0017】
フットレスト4は、座部2の前部に上下方向に回動可能に後端が連結された固定部11と、固定部11に対して使用者の脚部の長手方向に移動可能に設けられた移動部12と、移動部12の上部に固着された使用者の脚部を収容する脚保持部13とを有している。固定部11は、後述する固定部11と移動部12の相対距離を変更する伸縮機構14を有しており、この伸縮機構14は、移動部12を固定部11に対して移動させる駆動部15としての伸縮動作する駆動用エアセル15aと、駆動部15の伸縮動作を移動部12に伝達する伝達部16とにより構成されている。フットレスト4(脚保持部13)にも、マッサージ部17が設けられている。フットレストのマッサージ部17は、エアの給排気によって膨脹収縮し、使用者の脚部又は足部に押圧マッサージを施すマッサージ用エアセル17aによって構成されている。このフットレストのマッサージ用エアセル17aへのエアの給排気は、前述した座部の下方に設けられたエア給排気装置8によって行われる。
【0018】
以下、本発明の第1実施形態に係る椅子型マッサージ機のフットレストの詳細について、図面に基づいて説明する。図3は上昇させた状態のフットレストを上方から見た平面図であり、図4は上昇させた状態のフットレストを前方から見た平面図であり、図5は上昇させた状態のフットレストを上方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図であり、図6は上昇させた状態のフットレストを右側方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図である。なお、図3〜図6におけるフットレスト4は、脚保持部13を省略して図示している。
【0019】
[固定部の構成]
図3〜図5に示すように、固定部11は、平板状の上部材18と、上部材18に対して下方に所定間隔を有して配置される平板状の下部材19と、上部材18の前端から下方へ立設され上部材18の前端と下部材19の前端を連結する前部材20と、上部材18の後端から下方へ立設され上部材18の後端と下部材19の後端を連結する後部材21とを有している。
【0020】
この前部材20及び後部材21についてより詳細に説明すると、図5に示すように、前部材20は左右に所定間隔を有して一対設けられており、後部材21も左右に前部材20と同様の間隔を有して一対設けられている。また、この固定部11は、この左右一対の前部材20,20及び後部材21,21の両内側部から立設され、脚の長手方向に延びる平板状の左右一対の中間部材22,22と、この両中間部材22,22の下部に設けられた後述する伝達部16のロープ部材32を取付ける(固定する)ための取付け部分23aが設けられた平板状の取付け部材23とを有している(図6も参照)。なお、左右一対の中間部材22,22は左右に所定間隔を有して設けられている。
【0021】
これら上部材18、下部材19、左右一対の前部材20,20、及び左右一対の後部材21,21によって、外側方が開放された左右一対の第1空間S1,S1が形成されており、上部材18、取付け部材23(図6も参照)、及び左右一対の中間部材22,22によって、両第1空間S1,S1の間に介在するように上方が開放された第2空間S2が形成されている。
この上部材18についてより詳細に説明すると、上部材18の上部には、脚部の長手方向に延設される凸状のガイド部G1が設けられており、このガイド部G1に後述する移動部12に設けられた凹状の被ガイド部G2が嵌合することによって、移動部12の脚部の長手方向への移動がガイドされる。また、上部材18には、第2空間S2(両中間部材22,22の間)に対応する箇所に上下方向に貫通する脚部の長手方向へ長寸の開口部18aが設けられている。
【0022】
図4に示すように、下部材19の下部(裏面)には、前述した回動用エアセル7aが当接しており、この回動用エアセル7aが膨張すると下部材19を押し上げてフットレスト4を上昇させ、回動用エアセル7aが収縮するとフットレスト4を自重により下降させる。なお、回動用エアセル7aは下部材19に対して離反可能に当接している。
中間部材22の上部(表面)には、移動部12の脚部の長手方向における位置を検出する検出部24として機能するリミットスイッチ等よりなる検出体25が設けられている。この検出体25は、フットレスト4が最も収縮した状態の移動部12の位置を検出する後端検出体25aと、フットレスト4が最も伸長した状態の移動部12の位置を検出する前端検出体25bとで構成されている。後端検出体25aは中間部材22の後部に設けられ、前端検出体25bは中間部材22の前部に設けられている。
【0023】
[移動部の構成]
図3に示すように、移動部12は、左右一対の前後方向に延設される側部材26,26とこの左右の側部材26,26を連結する左右方向に延設される2つの横部材27,27とによって平板状に構成されている。なお、この横部材27は1つでも3つ以上であってもよい。左右一対の側部材26,26の下部(裏面)には、前述した凸状のガイド部G1に噛合する脚部の長手方向へ延設される凹状の被ガイド部G2が設けられており(図4も参照)、固定部11に対して移動部12が安定して脚部の長手方向へ移動可能となっている。後側の横部材27の下部(裏面)には、前述した検出体25によって移動部12の位置が検出される検出部24として機能するリミットスイッチを押動するドグ等よりなる被検出体25cが設けられている。
【0024】
[駆動部の構成]
図5に示すように、この左右の第1空間S1,S1には、駆動部15である蛇腹状に構成され膨張収縮する駆動用エアセル15aと、後述する伝達部16に連結され、駆動部15によって押動されて脚部の長手方向へ移動可能とされている押動部28と、膨張することによって駆動用エアセル15aの収縮(フットレストの収縮)を付勢する復帰部29である蛇腹状に構成された復帰用エアセル29aとが、それぞれ左右一対設けられている。
【0025】
この押動部28は、両中間部材22,22の外側面からそれぞれ一対立設され、駆動部15によって脚部の長手方向に押動される第1押動面28aを有する平板状に構成されている。すなわち、この第1押動面28aは、前部材20の内側面20a(脚部の長手方向における座部側の面)に対向する方向に設けられている。さらに、押動部28は、復帰部29によって脚部の長手方向に押動される後部材21の内側面21a(脚部の長手方向における足先側の面)に対向する第2押動面28bが設けられている。
【0026】
この駆動用エアセル15aは、駆動用エアセル15aの前端部(脚部の長手方向における足先側)が前部材20の内側面20aに当接して固着されており、駆動用エアセル15aの後端部(脚部の長手方向における座部側)が押動部28における第1押動面28aに当接して固着されている。この駆動用エアセル15aへのエアの給排気は、前述した座部2の下方に設けられたエア給排気装置8によって行われる。この駆動用エアセル15aが膨張すると、押動部28が脚部の長手方向における座部側へ移動し、駆動用エアセル15aが収縮すると、押動部28が脚部の長手方向における足先側へ移動する。
【0027】
この復帰用エアセル29aは、復帰用エアセル29aの後端部(脚部の長手方向における座部側)が後部材21の内側面21aに当接して固着されており、復帰用エアセル29aの前端部(脚部の長手方向における足先側)が押動部28における第2押動面28bに当接して固着されている。この復帰用エアセル29aへのエアの給排気は、前述した座部2の下方に設けられたエア給排気装置8によって行われる。この復帰用エアセル29aが膨張すると、駆動用エアセル15aを収縮する方向へ付勢する。
【0028】
[伝達部の構成]
固定部11における第2空間S2には、駆動用エアセル15aの伸縮動作を移動部12に伝達する伝達部16が設けられている。この伝達部16は、固定部11の前端部と後端部に支持され、回転可能であるように固定部11に軸止されている前後一対の固定プーリ30,30と、両固定プーリ間30,30に介在し、脚部の長手方向へ摺動可能かつ回転可能であるように固定部11に軸止されている移動プーリ31と、両固定プーリ30,30と移動プーリ31に巻装されている繊維ロープ、ワイヤロープ、チェーン、又はベルト等よりなるロープ部材32とによって構成されている。
【0029】
以下に各プーリについてより具体的に説明する。
図5及び図6に示すように、固定プーリ30は、左右の中間部材22,22間にプーリ軸38が回転可能に軸止されており、移動プーリ31の摺動及び回転に従動して回転するメインプーリ30aと、ロープ部材32の所定位置を取付け部材23の下部(裏面)へとガイドするサブプーリ30bとによって構成されている。メインプーリ30aとサブプーリ30bは左右方向に並設されており、それぞれのプーリ軸38は同軸であるが、サブプーリ30bはプーリ軸38に遊嵌されており、プーリ軸38に対して自由に回転可能である。なお、本発明の第1実施形態においては、視認性を考慮して、メインプーリ30aを大径としサブプーリ30bを小径としているが、メインプーリ30aとサブプーリ30bの径の大小関係は問わず、どちらが大きくてもよいし同じ径であってもよい。
【0030】
図5及び図6に示すように、移動プーリ31は、左右の中間部材22,22間にプーリ軸39が脚部の長手方向に摺動可能に軸止されており、また、移動プーリ31は、プーリ軸39に遊嵌されており、プーリ軸39に対して自由に回転可能であるよう構成されている。このプーリ軸39は、両中間部材22,22の側部に脚部の長手方向に沿って設けられた左右方向に貫通するガイド孔33に挿通され、プーリ軸39の左右両端部が、両中間部材22,22の外側部から軸受け部34を介して押動部28の内側部が連結されている。この軸受け部34は、プーリ軸39の前方及び後方に位置する箇所に左右内側方に延設されてガイド孔33に挿通される規制部35を有しており、プーリ軸39が回転不能とされている。従って、駆動用エアセル15aが伸縮動作して押動部28を脚部の長手方向へ押動されることにより、押動部28の移動に連動して移動プーリ31は脚部の長手方向へ移動される。
【0031】
以下にロープ部材についてより具体的に説明する。なお、後側(座部側)の固定プーリ30を「一の固定プーリ30A」、前側(足先側)の固定プーリ30を「他の固定プーリ30B」と称して説明するが、前側(足先側)の固定プーリ30を「一の固定プーリ30A」、後側(座部側)の固定プーリ30を「他の固定プーリ30B」としてもよい。
図6に示すように、ロープ部材32は、このロープ部材32の所定位置が取付け部分23aを介して取付け部材23の下部に固定されており、取付け部分23aから一の固定プーリ30A(一のサブプーリ30bA)に掛け渡されて巻装され、続いて、一の固定プーリ30A(一のサブプーリ30bA)から移動プーリ31に掛け渡されて巻装されている。続いて、ロープ部材32は、移動プーリ31から一の固定プーリ30A(一のメインプーリ30aA)に掛け渡されて巻装され、続いて、一の固定プーリ30A(一のメインプーリ30aA)から他の固定プーリ30B(他のメインプーリ30aB)に掛け渡されて巻装されている。続いて、ロープ部材32は、他の固定プーリ30B(他のメインプーリ30aB)から移動プーリ31に掛け渡されて巻装され、続いて、移動プーリ31から他の固定プーリ30B(他のサブプーリ30bB)に掛け渡されて巻装されている。続いて、他の固定プーリ30B(他のサブプーリ30bB)から取付け部分23aを介して取付け部材23の下部に固定されている。すなわち、このロープ部材32は、一の固定プーリ30Aと移動プーリ31とに掛け渡され、かつ、一の固定プーリ30Aと他の固定プーリ30Bとに掛け渡され、かつ、他の固定プーリ30Bと移動プーリ31とに掛け渡されており、取付け部分23aを介して環状に構成されている。また、ロープ部材32が固定プーリ30及び移動プーリ31に張設されるようバネ等よりなる付勢部材36がロープ部材32に介在して設けられている。
【0032】
ロープ部材32の所定位置には、このロープ部材32と移動部12とを連結する連結部37が設けられており、この連結部37は固定部11に設けられた開口部18aから第2空間S2外部へ露出している。連結部37は、ロープ部材32の一の固定プーリ30A(一のメインプーリ30aA)と他の固定プーリ30B(他のメインプーリ30aB)とが掛け渡されている部分に設けられている。すなわち、連結部37は、両固定プーリ30,30間に掛け渡されている部分の内の上側の方のロープ部材32に設けられている。
【0033】
[移動部の移動について]
以下に移動部の移動について説明する。
駆動用エアセル15aが収縮した状態からエアを給気されて膨張すると、移動プーリ31が押動部28の移動に連動して脚部の長手方向における座部側へ移動する。そして、ロープ部材32の連結部37が設けられている一の固定プーリ30Aのメインプーリ30aAと他の固定プーリ30Bのメインプーリ30aBとが掛け渡されている部分が、他の固定プーリ30Bのメインプーリ30aBに巻き取られていき脚部の長手方向における足先側へ移動する。すなわち、駆動用エアセル15aが膨張するとフットレスト4が伸長する。一方、駆動用エアセル15aが膨張した状態からエアを排気されて収縮すると、移動プーリ31が押動部28の移動に連動して脚部の長手方向における足先側へ移動する。そして、ロープ部材32の連結部37が設けられている一の固定プーリ30Aのメインプーリ30aAと他の固定プーリ30Bのメインプーリ30aBとが掛け渡されている部分が、一の固定プーリ30Aのメインプーリ30aAに巻き取られていき脚部の長手方向における座部側へ移動する。すなわち、駆動用エアセル15aが収縮するとフットレスト4が収縮する。なお、駆動用エアセル15aの収縮に同期させて復帰用エアセル29aを膨張させるよう制御すれば、迅速にフットレスト4を収縮させることができる。そして、移動部12の移動距離(フットレスト4の伸縮距離)は、移動プーリ31の移動距離(駆動用エアセル15aの伸縮距離)の2倍となる。すなわち、フットレスト4の伸縮距離は、駆動用エアセル15aの伸縮距離よりも大きくなっている。
【0034】
以下、本発明の第2実施形態に係る椅子型マッサージ機について、図面に基づいて説明する。第2実施形態が上記第1実施形態と異なる点は、伝達部16における固定プーリ30及び移動プーリ31が複数設けられている点である。なお、以下に説明する第2実施形態において、伝達部16以外の構成は第1実施形態と同様であり、伝達部16についても第1実施形態と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
【0035】
本発明の第2実施形態を代表して、固定プーリ及び移動プーリを左右に2つずつ並設した伝達部の構成を図7及び図8に基づいて説明する。図7は本発明の第2実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを上方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図であり、図8は本発明の第2実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを右側方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図である。
【0036】
図7に示すように、固定プーリ50は、メインプーリ51aとサブプーリ51bを有する第1固定プーリ51と、第1固定プーリ51に隣接して配置される第1固定プーリ51と同軸であるメインプーリのみを有する第2固定プーリ52とによって構成されている。この第1固定プーリ51のメインプーリ51a及び第2固定プーリ52は、左右の中間部材22,22間にプーリ軸53が回転可能に軸止されて移動プーリ54の摺動及び回転に従動して回転するよう構成され、第1固定プーリ51のサブプーリ51bは、プーリ軸53に遊嵌されてプーリ軸53に対して自由に回転可能であるよう構成されている。サブプーリ51bは、第1実施形態で説明したように、ロープ部材32の両端部を取付け部材23の下部(裏面)へとガイドする。すなわち、複数の固定プーリの内、いずれか1つの固定プーリがサブプーリを有していればよく、その他の固定プーリはメインプーリのみで構成されている。なお、本発明の第2実施形態においては、視認性を考慮して、第2固定プーリ52を大径とし第1固定プーリ51を小径としているが、第1固定プーリ51と第2固定プーリ52の径の大小関係は問わず、どちらが大きくてもよいし同じ径であってもよい。
【0037】
図8に示すように、移動プーリ54は、第1固定プーリ51のサブプーリ51b以外のプーリを介することなくロープ部材32によってサブプーリ51bと連結される第1移動プーリ55と、第1移動プーリ55に隣接して配置される第1移動プーリ55と同軸である第2移動プーリ56とによって構成されている。この第1及び第2移動プーリ55,56は、左右の中間部材22,22間にプーリ軸57が脚部の長手方向に摺動可能に軸止されており、また、プーリ軸57に遊嵌されておりプーリ軸57に対して自由に回転可能であるよう構成されている。このプーリ軸57は、両中間部材22,22の側部に脚部の長手方向に沿って設けられた左右方向に貫通するガイド孔33に挿通され、プーリ軸57の左右両端部が、両中間部材22,22の外側部から軸受け部34を介して押動部28の内側部が連結されている。この軸受け部34は、プーリ軸57の前方及び後方に位置する箇所に左右内側方に延設されてガイド孔33に挿通される規制部35を有しており、プーリ軸57が回転不能とされている。従って、駆動用エアセル15aが伸縮動作して押動部28を脚部の長手方向へ押動されることにより、押動部28の移動に連動して第1及び第2移動プーリ55,56は共に脚部の長手方向へ移動される。
【0038】
以下にロープ部材についてより具体的に説明する。以下、第1実施形態と同様に、後側(座部側)の固定プーリ50を「一の固定プーリ50A」、前側(足先側)の固定プーリ50を「他の固定プーリ50B」と称して説明するが、前側(足先側)の固定プーリ50を「一の固定プーリ50A」、後側(座部側)の固定プーリ50を「他の固定プーリ50B」としてもよい。
図8に示すように、ロープ部材32は、このロープ部材32の所定位置が取付け部分23aを介して取付け部材23の下部に固定されており、取付け部分23aから一の第1固定プーリ51A(一のサブプーリ51bA)に掛け渡されて巻装され、続いて、一の第1固定プーリ51A(一のサブプーリ51bA)から第1移動プーリ55に掛け渡されて巻装されている。続いて、ロープ部材32は、第1移動プーリ55から一の第1固定プーリ51A(一の第1メインプーリ51aA)に掛け渡されて巻装され、続いて、一の第1固定プーリ51A(一の第1メインプーリ51aA)から第2移動プーリ56に掛け渡されて巻装されている。続いて、ロープ部材32は、第2移動プーリ56から一の第2固定プーリ52Aに掛け渡されて巻装され、続いて、一の第2固定プーリ52Aから他の第2固定プーリ52Bに掛け渡されて巻装されている。続いて、ロープ部材32は、他の第2固定プーリ52Bから第2移動プーリ56に掛け渡されて巻装され、続いて、第2移動プーリ56から他の第1固定プーリ51B(他の第1メインプーリ51aB)に掛け渡されて巻装されている。続いて、ロープ部材32は、他の第1固定プーリ51B(他の第1メインプーリ51aB)から第1移動プーリ55に掛け渡されて巻装され、続いて、第1移動プーリ55から他の第1固定プーリ51B(他のサブプーリ51bB)に掛け渡されて巻装されている。続いて、他の第1固定プーリ51B(他のサブプーリ51bB)から取付け部分23aを介して取付け部材23の下部に固定されている。
【0039】
すなわち、このロープ部材32は、一の第1固定プーリ51Aと第1移動プーリ55とに掛け渡され、かつ、一の第1固定プーリ51Aと第2移動プーリ56とに掛け渡され、かつ、一の第2固定プーリ52Aと第2移動プーリ56とに掛け渡され、かつ、一の第2固定プーリ52Aと他の第2固定プーリ52Bとに掛け渡され、かつ、他の第2固定プーリ52Bと第2移動プーリ56とに掛け渡され、かつ、他の第1固定プーリ51Bと第2移動プーリ56とに掛け渡され、かつ、他の第1固定プーリ51Bと第1移動プーリ55とに掛け渡され、取付け部分23aを介して環状に構成されている。また、ロープ部材32が固定プーリ50及び移動プーリ54に張設されるようバネ等よりなる付勢部材36がロープ部材32に介在して設けられている。なお、本発明の第2実施形態においては、第1実施形態と同様に、付勢部材36によってロープ部材に張力を与えている。
【0040】
ロープ部材32の所定位置には、このロープ部材32と移動部12とを連結する連結部37が設けられており、この連結部37は固定部11に設けられた開口部18aから第2空間S2外部へ露出している。連結部37は、ロープ部材32の一の第2固定プーリ52Aと他の第2固定プーリ52Bとが掛け渡されている部分に設けられている。すなわち、連結部37は、両第2固定プーリ52A,52B間に掛け渡されている部分のロープ部材32に設けられている。
【0041】
[移動部の移動について]
以下に移動部の移動について説明する。
駆動用エアセル15aが収縮した状態からエアを給気されて膨張すると、第1及び第2移動プーリ55,56が押動部28の移動に連動して脚部の長手方向における座部側へ移動する。そして、ロープ部材32の連結部37が設けられている一の第2固定プーリ52Aと他の第2固定プーリ52Bとが掛け渡されている部分が、他の第2固定プーリ52Bに巻き取られていき脚部の長手方向における足先側へ移動する。すなわち、駆動用エアセル15aが膨張するとフットレスト4が伸長する。一方、駆動用エアセル15aが膨張した状態からエアを排気されて収縮すると、第1及び第2移動プーリ55,56が押動部28の移動に連動して脚部の長手方向における足先側へ移動する。そして、ロープ部材32の連結部37が設けられている一の第2固定プーリ52Aと他の第2固定プーリ52Bとが掛け渡されている部分が、一の第2固定プーリ52Aに巻き取られていき脚部の長手方向における座部側へ移動する。すなわち、駆動用エアセル15aが収縮するとフットレスト4が収縮する。なお、駆動用エアセル15aの収縮に同期させて復帰用エアセル29aを膨張させるよう制御すれば、迅速にフットレスト4を収縮させることができる。そして、移動部12の移動距離(フットレストの伸縮距離)は、移動プーリ54の移動距離(駆動用エアセルの伸縮距離)の4倍となる。すなわち、フットレスト4の伸縮距離は、駆動用エアセル15aの伸縮距離よりも大きくなっている。このように、固定プーリ50と移動プーリ54の個数を共に第1実施形態のn倍すると、フットレスト4の伸縮距離は、駆動部15の伸縮距離に対して2n倍となる。
【0042】
以下、本発明の第3実施形態に係る椅子型マッサージ機について、図面に基づいて説明する。第3実施形態が上記第1実施形態と異なる点は、伝達部16についてラックピニオン方式を採用している点である。なお、以下に説明する第3実施形態において、伝達部16以外の構成は第1実施形態と同様であり、伝達部16についても第1実施形態と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
【0043】
本発明の第3実施形態に係る伝達部の構成を図9に基づいて説明する。図9(a)は本発明の第3実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを右側方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図であり、図9(b)は本発明の第3実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを前方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図である。
【0044】
固定部11における第2空間S2には、駆動用エアセル15aの伸縮動作を移動部12に伝達する伝達部16が設けられている(図5参照)。図9(a)及び図9(b)に示すように、この伝達部16は、固定部11(具体的には下部材19の上部)に設けられている脚部の長手方向に伸びる第1ラック60と、移動部12の下部に設けられている脚部の長手方向に伸びる第2ラック61と、第1ラック60及び第2ラック61に係合し、第1ラック60上を転動するピニオン62とによって構成されている。すなわち、ピニオン62は固定部11に支持されており、第1ラック60及び第2ラック62によって上下方向から挟まれるように位置してこれらラック60,61と係合している。
【0045】
ピニオン62は、固定部11(具体的には左右の中間部材22,22間)にピニオン軸63が脚部の長手方向に摺動可能に軸止されており、また、ピニオン62は、ピニオン軸63に遊嵌されており、ピニオン軸63に対して自由に回転可能であるよう構成されている。このピニオン軸63は、両中間部材22,22の側部に脚部の長手方向に沿って設けられた左右方向に貫通するガイド孔33に挿通され、ピニオン軸63の左右両端部が、両中間部材22,22の外側部から軸受け部34を介して押動部28の内側部が連結されている。この軸受け部34は、ピニオン軸63の前方及び後方に位置する箇所に左右内側方に延設されてガイド孔33に挿通される規制部35を有しており、ピニオン軸63が回転不能とされている。従って、駆動用エアセル15aが伸縮動作して押動部28が脚部の長手方向へ押動されることにより、押動部28の移動に連動してピニオン62は脚部の長手方向へ第1ラック60上を移動(転動)される。そして、ピニオン62が第1ラック60上を転動することにより、このピニオン62に係合している第2ラック61を有する移動部12が固定部11に対して脚部の長手方向へ移動可能とされている。
【0046】
[移動部の移動について]
以下に移動部の移動について説明する。
駆動用エアセル15aが収縮した状態からエアを給気されて膨張すると、ピニオン62が押動部28の移動に連動して脚部の長手方向における足先側へ移動(転動)する。そして、このピニオン62に係合している第2ラック61を有する移動部12が固定部11に対して脚部の長手方向における足先側へ移動する。すなわち、駆動用エアセル15aが膨張するとフットレスト4が伸長する。一方、駆動用エアセル15aが膨張した状態からエアを排気されて収縮すると、ピニオン62が押動部28の移動に連動して脚部の長手方向における座部側へ移動する。そして、このピニオン62に係合している第2ラック61を有する移動部12が固定部11に対して脚部の長手方向における座部側へ移動する。すなわち、駆動用エアセル15aが収縮するとフットレスト4が収縮する。なお、駆動用エアセル15aの収縮に同期させて復帰用エアセル29aを膨張させるよう制御すれば、迅速にフットレスト4を収縮させることができる。そして、移動部12の固定部11に対する移動距離(フットレスト4の伸縮距離)は、ピニオン62(ピニオン軸63)の第1ラック60に対する移動距離に第2ラック61のピニオン62(ピニオン軸63)に対する移動距離が加わるため、ピニオン62の移動距離(駆動用エアセル15aの伸縮距離)の2倍となる。すなわち、フットレスト4の伸縮距離は、駆動用エアセル15aの伸縮距離よりも大きくなっている。
【0047】
以下、本発明の第4実施形態に係る椅子型マッサージ機について、図面に基づいて説明する。第4実施形態が上記第3実施形態と異なる点は、伝達部16における歯数の異なるピニオンが複数設けられている点である。なお、以下に説明する第4実施形態において、伝達部16以外の構成は第1実施形態と同様であり、伝達部16についても第3実施形態と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
【0048】
本発明の第4実施形態を代表して、歯数の異なるピニオンを左右に2つ並設した伝達部16の構成を図10に基づいて説明する。図10(a)は本発明の第4実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを右側方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図であり、図10(b)は本発明の第4実施形態に係る上昇させた状態のフットレストを前方から見た平面図でありフットレストの内部構造を説明する図である。
【0049】
固定部11における第2空間S2には、駆動用エアセル15aの伸縮動作を移動部12に伝達する伝達部16が設けられている(図5参照)。図10(a)及び図10(b)に示すように、この伝達部16は、固定部11(具体的には下部材19の上部)に設けられている脚部の長手方向に伸びる第1ラック70と、移動部12の下部に設けられている脚部の長手方向に伸びる第2ラック71と、第1ラック70に係合して第1ラック70上を転動する第1ピニオン72と、第2ラック71に係合し第2ラック71上を転動する第1ピニオン72とは歯数の異なる第2ピニオン73とによって構成されている。なお、本発明の第4実施形態においては、第1ピニオン72と第2ピニオン73を一体に形成しているが、第1ピニオン72と第2ピニオン73を別個に形成してもよく、すなわち、歯数の異なる複数のピニオンを一体に形成しても別個に形成してもよい。
【0050】
図10(a)及び図10(b)に示すように、ピニオンは、固定部11に設けられた第1ラック70と係合する第1ピニオン72と、移動部12に設けられた第2ラック71と係合する第1ピニオン72より歯数が多く第1ピニオン72と同軸である第2ピニオン73とによって構成されている。第1ピニオン72は、第2ピニオン73よりも小径とすることにより、第2ラック71と上下方向に所定距離を有して第2ラック71に係合しないよう構成されている。また、第2ピニオン73は、第1ラック70に左右方向において第2ピニオン73に対応する箇所に凹部70aを設けることにより、第1ラック70に係合しないよう構成されている。この第1及び第2ピニオン72,73は、左右の中間部材22,22間にピニオン軸74が脚部の長手方向に摺動可能に軸止されており、また、ピニオン軸74に遊嵌されておりピニオン軸74に対して自由に回転可能であるよう構成されている。このピニオン軸74は、両中間部材22,22の側部に脚部の長手方向に沿って設けられた左右方向に貫通するガイド孔33に挿通され、ピニオン軸74の左右両端部が、両中間部材22,22の外側部から軸受け部34を介して押動部28の内側部が連結されている。この軸受け部34は、ピニオン軸74の前方及び後方に位置する箇所に左右内側方に延設されてガイド孔33に挿通される規制部35を有しており、ピニオン軸74が回転不能とされている。従って、駆動用エアセル15aが伸縮動作して押動部28が脚部の長手方向へ押動されることにより、押動部28の移動に連動して第1ピニオン72は脚部の長手方向へ第1ラック70上を移動(転動)される。そして、第1ピニオン72が第1ラック70上を転動することにより、第1ピニオン72と共に移動する第2ピニオン73に係合している第2ラック71を有する移動部12が、固定部11に対して脚部の長手方向へ移動可能とされている。
【0051】
[移動部の移動について]
以下に移動部の移動について説明する。
駆動用エアセル15aが収縮した状態からエアを給気されて膨張すると、第1及び第2ピニオン72,73が押動部28の移動に連動して脚部の長手方向における足先側へ移動(転動)する。そして、第2ピニオン73に係合している第2ラック71を有する移動部12が固定部11に対して脚部の長手方向における足先側へ移動する。すなわち、駆動用エアセル15aが膨張するとフットレスト4が伸長する。一方、駆動用エアセル15aが膨張した状態からエアを排気されて収縮すると、第1及び第2ピニオン72,73が押動部28の移動に連動して脚部の長手方向における座部側へ移動する。そして、第2ピニオン73に係合している第2ラック71を有する移動部12が固定部11に対して脚部の長手方向における座部側へ移動する。すなわち、駆動用エアセル15aが収縮するとフットレスト4が収縮する。なお、駆動用エアセル15aの収縮に同期させて復帰用エアセル29aを膨張させるよう制御すれば、迅速にフットレスト4を収縮させることができる。そして、移動部12の固定部11に対する移動距離(フットレスト4の伸縮距離)は、第1ピニオン72(ピニオン軸74)の第1ラック70に対する移動距離に第1ピニオン72と第2ピニオン73の歯数比による第2ラック71の移動距離が加わるため、ピニオンの移動距離(駆動用エアセル15aの伸縮距離)よりも大きくなる。すなわち、フットレスト4の伸縮距離は、駆動用エアセル15aの伸縮距離よりも大きくなっている。そして、この第1ピニオン72の歯数と第2ピニオン73の歯数との関係を用いて、移動部12の固定部11に対する移動距離(フットレスト4の伸縮距離)とピニオンの移動距離(駆動用エアセル15aの伸縮距離)の関係は、第1ピニオン72と第2ピニオン73の歯数比に応じて種々に設定することができる。
【0052】
また、本発明の椅子型マッサージ機は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。
例えば、フットレスト4の収縮を付勢する復帰部29として、第1実施形態に示した復帰用エアセル29aに代えて、前部材20と押動部28とを連結し、押動部28を脚部の長手方向前方(フットレスト4を収縮する方向)へ付勢するバネ部材等としてもよい。
また、フットレスト4が有する脚保持部13は、第1実施形態に示した脚保持部13に代えて、使用者の脹脛から足先までを収容する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、伸縮距離を大きくとることができ、かつ、軽量・小型であって低コストで実現することができるフットレストを備えた椅子型マッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
4 フットレスト
7 回動駆動部
8 エア給排気装置
11 固定部
12 移動部
14 伸縮機構
15 駆動部
16 伝達部
28 押動部
29 復帰部
30 固定プーリ
31 移動プーリ
32 ロープ部材
36 付勢部材
37 連結部
50 固定プーリ
54 移動プーリ
60 第1ラック
61 第2ラック
62 ピニオン
70 第1ラック
71 第2ラック
72 第1ピニオン
73 第2ピニオン
S1 第1空間
S2 第2空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する座部と、使用者の脚部を支持し脚部の長手方向に伸縮可能なフットレストを有する椅子型マッサージ機において、
前記フットレストは、
前記座部に連結された固定部と、
前記固定部に設けられ、該固定部に対して移動可能な移動部と、
前記固定部と前記移動部との相対距離を変更する伸縮機構と、
を有し、
前記伸縮機構は、
脚部の長手方向に伸縮動作することによって前記移動部を移動させる駆動部と、
前記駆動部の伸縮距離よりも前記移動部の移動距離が大きくなるように該駆動部の伸縮動作を該移動部に伝達する伝達部と、
を有していることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記駆動部は、エアの給排気によって膨張収縮するエアセルで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記伝達部は、
前記固定部における脚部の長手方向両端部に設けられた一対の固定プーリと、
前記固定部における前記一対の固定プーリ間に設けられ、前記駆動部の伸縮動作に連動して移動する移動プーリと、
前記一対の固定プーリと前記移動プーリに巻装されたロープ部材と、
を有し、
前記移動部は、前記ロープ部材の所定位置に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記ロープ部材は、該ロープ部材と前記移動部とを連結する連結部を有し、
前記移動部は、前記移動プーリの脚部の長手方向における一方側への移動に連動して前記連結部が脚部の長手方向における他方側へ移動することによって移動可能とされていることを特徴とする請求項3に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記ロープ部材は、
前記一対の固定プーリの内の一の固定プーリと前記移動プーリとに掛け渡され、
かつ、前記一対の固定プーリの内の他の固定プーリと前記移動プーリとに掛け渡され、
かつ、前記一の固定プーリと前記他の固定プーリとに掛け渡されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記ロープ部材は、前記固定プーリ及び前記移動プーリに張設されるよう該ロープ部材の一端と他端が付勢部材により連結されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
前記固定部は、前記駆動部により脚部の長手方向へ押動される押動部を有し、
前記移動プーリは、前記押動部に連結され、該押動部の移動に連動して脚部の長手方向へ移動可能とされていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項8】
前記伝達部は、
前記固定部に脚部の長手方向に伸びて設けられた第1ラックと、
前記移動部に脚部の長手方向に伸びて設けられた第2ラックと、
前記第1ラック及び前記第2ラックに係合し、該第1ラックを転動するピニオンと、
を有し、
前記ピニオンは、該ピニオンに可動であるよう軸止されたピニオン軸を有し、
前記ピニオン軸を脚部の長手方向へ摺動させて前記ピニオンを転動させることによって、前記移動部を前記固定部に対して移動可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−183942(P2010−183942A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28122(P2009−28122)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】