説明

椅子型マッサージ機

【課題】大腿部の背面側を伸長するストレッチを行うことができる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】被施療者が着座する座部1と、該座部1に着座した被施療者の上半身を後方から支持しつつリクライニング動作可能に設けられた背凭れ部3と、該座部1の前部に上下回動可能に設けられた脚載部2と、該背凭れ部3をリクライニング動作させるアクチュエータ40と、該背凭れ部3内に設けられて昇降動作及び前後動作可能であり、被施療者の上半身を後方から施療する施療機構7と、前記アクチュエータ40及び施療機構7の動作を制御する制御部6とを備えた椅子型マッサージ機である。前記制御部6は、前記脚載部2を上方に回動させた状態で、前記アクチュエータ40による背凭れ部3の起立動作に連動して前記施療機構7を上昇動作及び前進動作させ被施療者の上半身を前屈させる前屈動作を行うよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持しつつリクライニング動作可能な背凭れ部と該背凭れ部に設けられた施療機構とを有する椅子型マッサージ機に関し、特に被施療者に対して大腿部の背面側を伸長するストレッチを施すことのできる椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持しリクライニング動作が可能な背凭れ部とを備える椅子型マッサージ機が多数知られている。このような椅子型マッサージ機では、背凭れ部内に昇降動作及び前後動作可能な施療機構が設けられ、施療機構の前進動作に同期させて背凭れ部を後方へ倒すことによって、被施療者の背筋を伸張した状態で、より強いマッサージを施療機構により行うことを意図したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−143779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被施療者に対する施療としては、被施療者に上半身を前屈させる感覚を与える動作の実現も要望されている。特に被施療者が脚を伸ばした状態で上半身を前屈することで、大腿部の背面側が伸張されて柔軟になりストレッチ感を得ることができる。しかしながら、上記特許文献1に開示されたものをはじめとする従来の椅子型マッサージ機にあっては、被施療者の背筋を伸長するストレッチは可能であるが、大腿部の背面側を伸長するストレッチを実現できるものではない。
【0005】
そこで本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、大腿部の背面側を伸長するストレッチを行うことができる椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持しつつリクライニング動作可能に設けられた背凭れ部と、該座部の前部に上下回動可能に設けられた脚載部と、該背凭れ部をリクライニング動作させるアクチュエータと、該背凭れ部内に設けられて昇降動作及び前後動作可能であり、被施療者の上半身を後方から施療する施療機構と、前記アクチュエータ及び施療機構の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記脚載部を上方に回動させた状態で、前記アクチュエータによる背凭れ部の起立動作に連動して前記施療機構を上昇動作及び前進動作させ被施療者の上半身を前屈させる前屈動作を行うよう制御することを特徴とする。このような構成とすることにより、背凭れ部の起立動作、施療機構の上昇動作、及び施療機構の前進動作が相まって、着座した被施療者の上半身を前方へ前屈させる感覚を与えることができる。しかも、被施療者の脚部を伸ばした状態で前屈動作が行われるため、脚部(特に大腿部)の背面側が伸長されるストレッチを施すことができる。
【0007】
また、前記脚載部は、被施療者の脚部を押圧する脚押圧部を備え、前記制御部は、前記脚押圧部により被施療者の脚部を押圧した状態で、前記アクチュエータ及び施療機構を駆動して前記前屈動作を行うよう制御することが好ましい。このような構成とすることにより、前屈動作を行う際に被施療者の脚部が屈曲して膝が浮いてしまうことを防止することができ、効果的に脚部(特に大腿部)の背面側を伸長することができる。
【0008】
また、前記背凭れ部は、被施療者の上腕部を側方から押圧する上腕押圧部を備え、前記制御部は、前記上腕押圧部により被施療者の上腕部を側方から押圧した状態で、前記アクチュエータ及び施療機構を駆動して前記前屈動作を行うよう制御することが好ましい。このような構成とすることにより、前屈動作を行う際に、背凭れ部の起立動作や施療機構の前進動作に伴って、被施療者の身体全体が前方に移動してしまうことを防止することができ、効果的に脚部(特に大腿部)の背面側を伸長することができる。
【0009】
また、前記座部は、被施療者の臀部乃至大腿部を側方から押圧する座押圧部を備え、前記制御部は、前記座押圧部により被施療者の臀部乃至大腿部を側方から押圧した状態で、前記アクチュエータ及び施療機構を駆動して前記前屈動作を行うよう制御することが好ましい。このような構成とすることにより、前屈動作を行う際に、背凭れ部の起立動作や施療機構の前進動作に伴って、被施療者の身体全体が前方に移動してしまうことを防止することができ、効果的に脚部(特に大腿部)の背面側を伸長することができる。
【0010】
また、被施療者が着座する座部と、該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持しつつリクライニング動作可能に設けられた背凭れ部と、該座部の前部に上下回動可能に設けられ略水平位置まで上昇した脚載部と、該背凭れ部をリクライニング動作させるアクチュエータと、該背凭れ部内に設けられて昇降動作及び前後動作可能であり、被施療者の上半身を後方から施療する施療機構と、被施療者の肩位置を検出する肩位置検出センサと、前記アクチュエータ及び施療機構の動作制御、並びに前記肩位置検出結果に基づいて所定の特定部位の算出を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記アクチュエータによる背凭れ部の起立動作に連動して前記施療機構の下降動作を開始させる第一予備動作と、前記第一予備動作に加え、前記施療機構の前記特定部位への到達に連動して該施療機構の前進動作を前記第一予備動作に引続いて開始させる第二予備動作と、前記背凭れ部の起立動作中に、該施療機構の上昇動作を前記第二予備動作に引続いて開始させ被施療者の上半身を前屈させる前屈動作とを行うよう制御することが好ましい。このような構成とすることにより、前屈動作を行う前に第一及び第二予備動作によって被施療者の姿勢を適正な姿勢に矯正することができ、効果的に脚部(特に大腿部)の背面側を伸長することができる。また、前屈動作は背凭れ部が所定位置まで起立した状態から開始することが望ましいが、第一及び第二予備動作によって、背凭れ部が所定位置まで起立する時間を確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被施療者にとって上半身の前屈動作によって脚部の背面側を伸長されるストレッチ感が得られるような椅子型マッサージ機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[全体構成]
以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図であり、図2は本発明
の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体構成を示す前方から見た正面図である。
この椅子型マッサージ機は、脚部フレーム5aを有するベース部5と、使用者を着座させる座部1と、座部1及びベース部5の前側に設けられ使用者の脚を載せる脚載部2と、使用者が凭れる背凭れ部3と、左右の腕を載せる左右の肘掛け部4L,4Rとを備えた椅子型である。ベース部5は、床面に置かれ床面に対して固定状態となる。なお、本明細書において、座部1に着座した使用者が正面を向いて、その前方が「前」であり、後方が「後」であり、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭側が「上」であり、腰側が「下」であり、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0013】
[リクライニング機構の構成]
図1に示すように、背凭れ部3は、ベース部5に対して、座部1側の左右水平軸心回りに回動可能であり、座部1と背凭れ部3との間に設けられた背凭れ部用アクチュエータ40(図7参照)によって、その上部が前後にリクライニング動作可能となっている。背凭れ部3を最も起立させた状態においては、背凭れ部3の前面は座部1の座面(上面)に対して略垂直であり、最も後傾させた状態においては、背凭れ部3の上面(起立時の前面)は座面(上面)に対して略水平である。脚載部2は、ベース部5に対して、座部1側の左右水平軸心回りに回動可能であり、座部1と脚載部2との間に設けられた脚載部用アクチュエータ50(図7参照)によって、その下部が上下に揺動可能となっている。脚載部2を最も下降させた状態においては、脚載部2の脚載置面2aは座部1の座面(上面)に対して略垂直であり、最も上昇させた状態においては、脚載部2の脚載置面2aは座面(上面)に対して略水平である。背凭れ部用アクチュエータ40と脚載部用アクチュエータ50は、伸縮動作する直動式アクチュエータであり、駆動部41,51を介して後述する制御部6からの指示に基づいて駆動される。
【0014】
背凭れ部用アクチュエータ40の近傍には、背凭れ部3の座部1に対する角度を検出する角度検出センサとして、背凭れ部が最も起立した状態(最起状態)と最も後倒した状態(最倒状態)を検出する背凭れ部用リミットセンサ42が設けられている(図5参照)。脚載部用アクチュエータ50の近傍には、脚載部2の座部1に対する角度を検出する角度検出センサとして、脚載部2が最も上昇した状態(最上状態)と最も下降した状態(最下状態)を検出する脚載部用リミットセンサ52が設けられている(図5参照)。この背凭れ部用リミットセンサ42、及び載部用リミットセンサ52による検出結果は制御部6に与えられる。
【0015】
[背凭れ部の構成]
図1において、背凭れ部3には、マッサージ具として、詳細は後述する中央の施療機構7、エアセルよりなる左右の背中押圧部8L,8R及び左右の上腕押圧部9L,9Rが設けられている。施療機構7は、背凭れ部3内を昇降動作及び前後動作するように構成されており、また、揉み玉からなる施療子7a、施療子7aを取り付けているアーム部(図3参照)7bが揺動することによって、施療子7aに揉みや叩き等のマッサージ動作を実行させる。施療機構7の昇降動作、前後動作、及びマッサージ動作は、後述する施療機構7内に設けられた昇降用モータM1、進退駆動部13、揉み用モータM2、及び叩き用モータM3を駆動することによって行われる(図2〜4参照)。
【0016】
左右の背中押圧部8L,8Rは、背凭れ部3の左右側部に設けられている。座部1の下方にエアポンプ及びバルブ等(図示せず)を有する給排気装置60であるマッサージ用給排気装置60aが設けられており、このマッサージ用給排気装置60aから空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。押圧部8L,8Rの膨張方向は、背凭れ部3に凭れている被施療者の背中の左右部を前方へ押す方向である。
【0017】
背凭れ部3の左右両側部には、前方へ突出している突出壁14が設けられている。突出壁14は被施療者の上腕側面に対向する位置に設けられている。この突出壁14の被施療者側(左右方向の内側)に、前記上腕押圧部9L,9Rが設けられている。この押圧部9L,9Rは、マッサージ用給排気装置60aから空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。押圧部9L,9Rの膨張方向は、被施療者を左右両側から挟む方向で、かつ、被施療者の上腕を前方から後方へ押し付ける方向である。
施療機構7の昇降動作及び前後動作、施療子7aのマッサージ動作、並びに背中押圧部8L,8R及び上腕押圧部9L,9Rの動作は、後述する制御部6からの指示に基づいて行われる。
【0018】
[座部、脚載部の構成]
図2において、座部1には、マッサージ具として、エアセルよりなる左右の座押圧部10L,10Rが左右両側に設けられている。この押圧部10L,10Rはマッサージ用給排気装置60aから空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。押圧部10L,10Rの膨張方向は、内側が固定端であり外側が自由端となるように構成されているため、被施療者の臀部乃至大腿部の側部を左右両側から挟む方向である。
【0019】
脚載部2には、には、マッサージ具として、エアセルよりなる左の脚押圧部11L及び右の脚押圧部11Rと、エアセルよりなる左の足裏押圧部12L及び右の足裏押圧部12Rが設けられている。左の脚押圧部11Lは、相互が対向した対のエアセルを有し、右の脚押圧部11Rは、相互が対向した対のエアセルを有している。この押圧部11L,11R,12L,12Rは、マッサージ用給排気装置60aから空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。押圧部11L及び押圧部11Rそれぞれの膨張方向は、被施療者の脚(脹脛乃至足首)を左右両側から挟む方向であり、押圧部12L及び押圧部12Rそれぞれの膨張方向は、被施療者の足裏を下方から上方へ押上げる方向である。座押圧部10L,10R、脚押圧部11L,11R、及び足裏押圧部12L,12Rの動作は、後述する制御部6からの指示に基づいて行われる。
【0020】
[施療機構の構成]
図3は本発明の実施の形態に係る施療機構が最後位置まで後退している状態の側面図であり、図4は本発明の実施の形態に係る施療機構が最前位置まで前進している状態の側面図である。
施療機構7は、上下方向に沿って背凭れ部3内に設けられた左右一対のガイドレール(図2参照)15に沿って昇降動作可能に設けられている移動機枠16と、この移動機枠16に対して前後動作可能に設けられている駆動ユニット17とで構成されている。駆動ユニット17は、その上部が移動機枠16の支軸16aに枢支された固定端とされ下部が自由端とされているため、上部を支点として支軸16a回りに下部が移動機枠16に対して、最後位置(図3の状態)R1から最前位置(図4の状態)R2の間を前後に揺動するよう構成されている。
【0021】
駆動ユニット17には、揉み用モータM2及び叩き用モータM3(図2参照)によって駆動される駆動アーム7b1と、駆動アーム7b1に揺動可能に連結されている支持アーム7b2と、支持アーム7b2に支持され被施療者に「揉み」や「叩き」を行う施療子7aとが設けられている。なお、駆動アーム7b1と支持アーム7b2とでアーム部7bが構成されている。アーム部7bには駆動アーム7b1に対する支持アーム7b2の揺動角度を検出する肩位置検出センサ18が設けられており、支持アーム7b2が駆動アーム7b1に対して所定角度になったときの施療機構(支持アーム7b2)7の昇降位置を被施療者の肩位置P7と判別する。この肩位置検出センサ18による検出結果は制御部6に与えられる。
【0022】
また、移動機枠16と駆動ユニット17の間にはエアセルよりなる進退駆動部13が介在して設けられている。この進退駆動部13は、移動機枠16の上部に設けられた給排気装置60である進退用給排気装置60bから空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。この進退駆動部13の膨張方向は、被施療者の背中を前方へ押す方向である。進退駆動部13の膨張収縮により、駆動ユニット17は移動機枠16に対して、上部を支点として下部が最後位置R1から最前位置R2の間を前後方向に揺動するように前後動作する。また、本発明の実施の形態の施療機構7は、制御部6が給排気装置60の駆動部61を制御して進退駆動部13の膨張度を適宜調節することにより、移動機枠16に対して駆動ユニット17を任意の前後位置(例えば後述する所定の第一前後位置r1や第二位置r2)で保持することができるよう構成されている。
【0023】
また、移動機枠16の左右両側部にはガイドレール15に取り付けられたラック(図示せず)と噛合するピニオン(図示せず)が設けられており、このピニオンに減速機構を介して連結される昇降用モータM1の駆動により施療機構7はガイドレール15に沿って上下方向に昇降動作する。昇降用モータM1の近傍には、モータの回転数を検出し施療機構7の上下位置を検出する昇降位置検出センサ(図5参照)19が設けられている。また、ガイドレール15の内部には施療機構7の上下方向における可動範囲の上限位置と下限位置を検出する上限リミットセンサ20と下限リミットセンサ21が設けられている。これら昇降位置検出センサ19、上限リミットセンサ20、及び下限リミットセンサ21による検出結果は制御部6に与えられる。
【0024】
[制御部の構成]
図5は本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機のブロック図である。
制御部6はCPU、メモリ(RAM)、及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなマイコンよりなり、駆動する各部分の動作制御等のための制御処理を行う。この制御部6は座部1の下方に配置され、被施療者が操作することのできる操作部70、及び時間の計測を行うタイマー71に接続されている。また、制御部6は前述した肩位置検出センサ18、昇降位置検出センサ19、上限リミットセンサ20、下限リミットセンサ21、背凭れ部用リミットセンサ42、及び脚載部用リミットセンサ52に接続されており、その検出結果が記憶装置に記憶される。更に、制御部6は駆動部41,51,61に接続されており、駆動部41には背凭れ部用アクチュエータ40が、駆動部51には脚載部用アクチュエータ50が、駆動部61には給排気装置60(マッサージ用給排気装置60a及び進退用給排気装置60b)が接続されている。駆動部41,51は制御部6からの指示に従って駆動信号を出力し、この駆動信号によって背凭れ部用アクチュエータ40、脚載部用アクチュエータ50は伸縮駆動される。駆動部61も同様に、制御部6からの指示に従って駆動信号を出力し、この駆動信号によって給排気装置60を駆動させる。給排気装置60には可撓性のチューブを介して上述した進退駆動部13、各押圧部8〜12に接続されて、これらに対して互いに独立して給排気することができるようになっている。また、昇降用モータM1、揉み用モータM2、及び叩き用モータM3も、制御部6に接続された駆動部(図示せず)を介して駆動される。
【0025】
[前屈動作を含むマッサージプログラムの構成]
次に図6〜8を用いて本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の前屈動作を含むマッサージプログラムについて説明する。
図6は前屈動作を含むマッサージプログラムの一部(途中)のステップを示している説明図であり、図7は前屈動作を含むマッサージプログラムを実行するフロー図であり、図8は被施療者の背面(背凭れ部への当接部位)の形状を示す模式図である。図6に示しているステップにおいては、後述する第4ステップS4〜第6ステップS6のステップを示しており、マッサージプログラムの前側から順に(左から順に)第4ステップS4、第5ステップS5、第6ステップS6が進行する。
【0026】
まず、被施療者が操作部70に設けられている操作スイッチ(図示せず)を操作して、前屈動作を含むマッサージプログラムの実行を開始させる。制御部6に前記操作スイッチの入力信号が与えられると、制御部6が背凭れ部用リミットセンサ42によって最倒状態が検出されるまで背凭れ部用アクチュエータ40を収縮させて背凭れ部3を後傾させ、脚載部用リミットセンサ52によって最上状態が検出されるまで脚載部用アクチュエータ50を伸長させて脚載部2を上昇(上方回動)させる(第1ステップS1)。
【0027】
脚載部用リミットセンサ52によって最上状態が検出され、背凭れ部用リミットセンサ42によって最倒状態が検出されると、第1ステップS1に引続いて、制御部6が施療機構(肩位置検出センサ18)7に被施療者の肩位置検出を実行させる(第2ステップS2)。この肩位置検出は、施療機構7を初期位置(収納位置)である上限位置からガイドレール15に沿って下降させ、下限リミットセンサ21によって施療機構7の下限位置到達が検出された後に、昇降用モータM1の回転方向を反転させ施療機構7をガイドレール15に沿って上昇させる間に行われ、施療機構7の上昇動作過程における支持アーム7b2の揺動角度の変化を肩位置検出センサ18によって検出されることにより行われる。この肩位置検出センサ18によって検出される所定の第一特定部位Paは、肩位置における上部に存在する肩中兪と称されるツボ位置P2である。
【0028】
第2ステップS2に引続いて、制御部6が被施療者の首位置から腰位置までの範囲における所定の特定部位を含む複数のツボ位置P1〜P11を、肩位置検出結果に基づいて算出して記憶する(第3ステップS3)。すなわち、被施療者の首位置に存在する天柱と称されるツボ位置P1、肩位置の上部に存在する肩中兪と称されるツボ位置P2、肩位置の下部に存在する大杼と称されるツボ位置P3、背中位置の上部から下部にかけて順に存在する肺兪、厥陰兪、心兪、膈兪と称されるツボ位置P4〜P7、腰位置の上部から下部にかけて順に存在する肝兪、胆兪、脾兪、胃兪と称されるツボ位置P8〜P11が算出される。図8に示すように、背中位置における上下方向中央位置より若干下方に位置する所定の第二特定部位Pbに存在するツボ位置である心兪P6は、被施療者の背面が後方に最も突出している部位であり、背中位置における上下方向下端部に位置する所定の第三特定部位Pcに存在するツボ位置である膈兪P7は、被施療者の背面が前方に凹み始める部位であり、腰位置における上下方向上端部に位置する所定の第四特定部位Pdに存在するツボ位置である肝兪P8は、被施療者の背面が前方へ所定量凹んでいる部位である。
なお、本発明の実施の形態では11箇所のツボ位置P1〜P11を算出しているが、上記した全てのツボ位置を算出する必要はなく、肩位置であるP1又はP2の少なくともいずれか1箇所を検出し、当該検出結果に基づいて被施療者の背面(背凭れ部3に当接する部位)の凹凸形状を算出できればよい。
【0029】
第3ステップS3に引続いて、制御部6が施療範囲の上端位置であるツボ位置P1まで施療機構7を上昇させてから施療機構7の下降を開始させ、同時に背凭れ部3の起立動作を開始させる(第4ステップS4)。なお、第4ステップS4における施療機構7の下降の開始と背凭れ部3の起立動作の開始のタイミングを完全に一致させなくてもよい。第4ステップS4は後述する前屈動作を行う前の予備動作(第一予備動作)として行われ、前屈動作を行う前に被施療者の姿勢を適正な姿勢に矯正し、且つ背凭れ部3が所定位置(所定の第一位置Q1)まで起立する時間を確保する役割を担っている。
【0030】
第一予備動作である第4ステップS4において、施用機構7が第三特定部位(膈兪P7)Pcに到達したことを昇降位置センサ19によって検出されると、制御部6は進退駆動部13の膨張を開始させて駆動ユニット17の移動機枠16に対する前進動作を開始させ、同時に上腕押圧部9L,9R、脚押圧部11L,11R、及び足裏押圧部12L,12Rの膨張を開始させる(第5ステップS5)。従って、第5ステップS5においては、制御部6からの指示により給排気装置60からエアセルよりなる進退駆動部13及び各押圧部9,11,12に空気の供給が開始され、施療機構7が被施療者側に前進動作し、各押圧部9,11,12が被施療者の各部位を押圧又は保持する。この第5ステップS5においては、背凭れ部3の起立動作は、第4ステップS4において背凭れ部3が所定の第一位置Q1まで起立した状態から継続して実行される。
なお、第5ステップS5における施療機構7の前進動作の開始と各押圧部9,11,12の膨張開始のタイミングを完全に一致させなくてもよいし、前記動作(施療機構7の前進動作、上腕押圧部9の膨張動作、脚押圧部11の膨張動作、及び足裏押圧部12の膨張動作)の全てを行う必要はなく、少なくともいずれか1つの動作を行えばよい。第5ステップS5は後述する前屈動作を行う前の予備動作(第二予備動作)として行われ、第一予備動作と同様に被施療者の姿勢を適正な姿勢に矯正し、且つ背凭れ部3が所定位置(所定の第二位置Q2)まで起立する時間を確保する役割を担っている。また前記役割に加えて、第二予備動作は、施療機構7が所定の第一前後位置r1まで前進する時間を確保し、且つ施療機構7の前進動作によって被施療者の身体が前方へ位置ずれすることを防止する役割を担っている。
【0031】
以下に第5ステップS5に引続いて実行される第6ステップS6について説明する。
第二予備動作である第5ステップS5において、施療機構7が施療範囲の下限位置(胃兪P11)に到達したことを昇降位置センサ19、及び下限リミットセンサ21によって検出されると、制御部6は昇降用モータM1の回転方向を反転させ、施療機構7の上昇動作を開始させる(第6ステップS6−1)。この第6ステップS6−1においては、背凭れ部3の起立動作は、第5ステップS5において背凭れ部3が所定の第二位置Q2まで起立した状態から、背凭れ部用リミットセンサ42によって最起状態を検出されるまで継続して実行される。また、進退駆動部13の前進動作は、第5ステップS5において施療機構7が所定の第一前後位置r1まで前進した状態から、前記第一前後位置r1より前方である所定の第二前後位置r2に到達するまで継続して実行される。また、上腕押圧部9、脚押圧部11、及び足裏押圧部12の膨張動作は、第5ステップS5において所定量膨張した状態から継続して実行される。
なお、第6ステップS6−1における、前記動作(施療機構7の前進動作、上腕押圧部9の膨張動作、脚押圧部11の膨張動作、及び足裏押圧部12の膨張動作)の全てを継続して実行する必要はなく、少なくとも施療機構7の前進動作を継続して実行すればよい。また、図6においては、所定の第二前後位置r2を最前位置R2よりも後方に設定しているが、所定の第二前後位置r2を最前位置R2に設定してもよい。また、施療機構7の前後位置は、制御部6が進退駆動部13の最後位置R1からの膨張動作時間をタイマー71によって計測することにより制御される。
【0032】
つまり、第6ステップS6−1は、少なくとも施療機構7の上昇動作、施療機構7の前進動作、及び背凭れ部3の起立動作を含み、且つこれら3つの動作が制御部6によって連動して動作されるよう構成された動作ステップであり、着座した被施療者の上半身を前方へ前屈させる前屈動作である。この前屈動作は、被施療者の脚部を前方へ伸ばした状態で行われるため、脚部(特に大腿部)の背面側が伸長されるストレッチを施すことができる。
【0033】
更に第6ステップS6は、前記前屈動作である第6ステップS6−1に引続いて行われ、施療機構7を所定時間T1の間、所定の上下位置で昇降動作を停止させる動作(第6ステップS6−2)と、所定時間T1経過後に、施療機構7が施療範囲の下限位置(胃兪P11)に到達したことを昇降位置センサ19、及び下限リミットセンサ21によって検出されるまで施療機構7を下降させる動作(第6ステップS6−3)とを含んでいる。なお、本発明の実施の形態における施療機構7の昇降動作を停止させる所定の上下位置とは、被施療者の背面が最も後方に突出している部位である第二特定部位(心兪P6)Pbである。この第6ステップS6は、施療機構7の下限位置到達が下限リミットセンサ21によって所定回数検出されるまで繰返し実行される。第6ステップS6が所定回数行われると、この前屈動作を含むマッサージプログラムが終了され、制御部6は駆動部61を介して給排気装置60を制御して、進退駆動部13及び各押圧部9,11,12に供給された空気を排気させる(第7ステップS7)。また、施療機構7の昇降動作を停止させる所定時間T1は、制御部6に接続されたタイマー71によって計測され、その計測結果が制御部6に与えられる。
なお、この第6ステップS6において、施療機構7を所定の上下位置で昇降動作を停止させる動作を行わず、前記前屈動作の直後(施療機構7が心兪P6への到達直後)に施療機構7を下降させる動作を行ってもよい。
【0034】
以上説明した通り、本発明の実施の形態における前屈動作を含むマッサージプログラムは、背凭れ部3の起立動作及び脚載部2の上昇動作(第1ステップS1)、被施療者の肩位置検出(第2ステップS2)、被施療者のツボ位置算出(第3ステップS3)、第一予備動作(第4ステップS4)、第二予備動作(第5ステップS5)、及び前屈動作を含む動作(第6ステップS6)で構成されており、第6ステップS6は前屈動作(第6ステップS6−1)、施療機構7の昇降動作を停止させる動作(第6ステップS6−2)、及び施療機構7を下降させる動作(第6ステップS6−3)で構成されている。
【0035】
[背筋伸ばし動作を含むマッサージプログラムの構成]
次に図9〜10を用いて本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の背筋伸ばし動作を含むマッサージプログラムについて説明する。
図9は背筋伸ばし動作を含むマッサージプロラムのステップを示している説明図であり、図10は背筋伸ばし動作を含むマッサージプログラムを実行するフロー図である。図9に示しているステップにおいては、前記した前屈動作を含むマッサージプログラムの実行完了(第7ステップS7完了)後に引続いて実行される後述する第8ステップS8〜第9ステップS9のステップを示しており、マッサージプログラムの前側から順に(左から順に)第8ステップS8、第9ステップS9が進行する。
【0036】
前述した第7ステップS7終了時には、背凭れ部3は最起状態であり、脚載部2は最上状態であり、施療機構7の上下位置は施療範囲の下限位置(胃兪P11)であり、施療機構7の前後位置は最後位置R1であり、各押圧部9,11,12は収縮状態である。
第7ステップS7に引続いて、制御部6が施療範囲の下限位置(胃兪P11)から施療機構7の上昇動作及び前進動作、背凭れ部3の後傾動作、並びに上腕押圧部9L,9R、脚押圧部11L,11R、及び足裏押圧部12L,12Rの膨張動作を同時に開始させる(第8ステップS8の一部である第8ステップS8−1)。この第8ステップS8は、施療機構7が施療範囲の上限位置(天柱P1)に到達するまで行われ、この間に背凭れ部3は所定位置(所定の第三位置Q3)まで後傾する。この第8ステップS8は、第8ステップS8−1の開始から所定時間T2経過後に開始され、進退駆動部13の膨張動作を停止して施療機構(駆動ユニット17)7を所定の第二前後位置r2で保持させる動作(第8ステップS8−2)を含んでいる。前記所定時間T2は、制御部6に接続されたタイマー71によって計測され、その計測結果が制御部6に与えられる。
なお、第8ステップS8における上記した施療機構7の上昇動作及び前進動作、背凭れ部3の後傾動作、並びに上腕押圧部9L,9R、脚押圧部11L,11R、及び足裏押圧部12L,12Rの膨張動作の開始タイミングを完全に一致させなくてもよいし、各押圧部9,11,12全ての膨張動作を開始させる必要はなく、少なくともいずれか1つの押圧部の膨張動作を開始させればよい。
【0037】
つまり、第8ステップS8は、少なくとも施療機構7の上昇動作、施療機構7の前進動作、及び背凭れ部3の後傾動作、押圧部の膨張動作を含み、且つこれら4つの動作が制御部6によって連動して動作されるよう構成された動作ステップであり、着座した被施療者の上半身を上下に伸長する背筋伸ばし動作である。この背筋伸ばし動作は、背凭れ部3の後傾動作によって被施療者の上半身は背凭れ部3に対して下方へ移動させられ、施療機構7の上昇動作によって被施療者の上半身は背凭れ部3に対して上方へ移動させられ、更に各押圧部9,11,12により被施療者の身体を椅子型マッサージ機に保持した状態で施療機構7の前進動作によって被施療者の上半身を仰け反らせられるので、被施療者の背筋が身長方向に伸長される(引っ張られる)ストレッチを施すことができる。
【0038】
第8ステップS8において、施療機構7が施療範囲の上限位置(天柱P1)に到達したことを昇降位置センサ19、及び上限リミットセンサ20によって検出されると、第8ステップS8に引続いて、制御部6が昇降用モータM1の駆動を停止し、施療機構7を施療範囲の上限位置で保持させる(第9ステップS9)。この第9ステップS9においては、背凭れ部3の後傾動作は、第8ステップS8において背凭れ部3が所定の第三位置Q3まで後傾した状態から継続して実行され、施療機構7の前進動作の停止は、第8ステップS8において施療機構7が所定の第二前後位置r2まで前進して保持された状態から継続して実行され、上腕押圧部9、脚押圧部11、及び足裏押圧部12の膨張動作は、第8ステップS8において所定量膨張した状態から継続して実行される。この第9ステップS9は、背凭れ部用リミットセンサ42によって最倒状態が検出されるまで行われる。
なお、第9ステップS9の施療機構7の昇降動作の停止時間において、揉み用モータM2や叩き用モータM3を駆動して、施療機構7に揉みや叩きを行わせてもよい。
【0039】
第9ステップS9において、背凭れ部用リミットセンサ42によって背凭れ部3が最倒状態であることが検出されると、この背筋伸ばし動作を含むマッサージプログラムが終了され、制御部6は昇降用モータM1を駆動して施療機構7を施療範囲の下限位置まで下降させ、また駆動部61を介して給排気装置60を制御して、進退駆動部13及び各押圧部9,11,12に供給された空気を排気させる(第10ステップS10)。
【0040】
[背筋反らし動作を含むマッサージプログラムの構成]
次に図11〜12を用いて本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の背筋反らし動作を含むマッサージプログラムについて説明する。
図11は背筋反らし動作を含むマッサージプロラムの一部(途中)のステップを示している説明図であり、図12は背筋反らし動作を含むマッサージプログラムを実行するフロー図である。図11に示しているステップにおいては、前記した背筋伸ばし動作を含むマッサージプログラムの実行完了(第10ステップS10完了)後に引続いて実行される後述する第11ステップS11〜第15ステップS15のステップを示しており、マッサージプログラムの前側から順に(左から順に)第11ステップS11〜第15ステップS15が進行する。
【0041】
前述した第10ステップS10終了時には、背凭れ部3は最倒状態であり、脚載部2は最上状態であり、施療機構7の上下位置は施療範囲の下限位置(胃兪P11)であり、施療機構7の前後位置は最後位置R1であり、各押圧部9,11,12は収縮状態である。
以下に第10ステップS10に引続いて実行される第11ステップS11について説明する。まず、第10ステップS10に引続いて、制御部6が背凭れ部3の起立動作、並びに上腕押圧部9L,9R、及び脚押圧部11L,11Rの膨張動作を開始させる(第11ステップS11−1)。続いて、制御部6が第11ステップS11−1の開始から所定時間T3経過したことをタイマー71によって検出されると、施療範囲の下限位置(胃兪P11)から施療機構7の上昇動作を開始させる(第11ステップS11−2)。第11ステップS11−2において、施療機構7が所定の第四特定部位(肝兪P8)Pdまで到達したことを昇降位置検出センサ19によって検出されると、制御部6が施療機構7の上昇動作を停止し、進退駆動部13を駆動させ施療機構(駆動ユニット17)7の前進動作を開始させる(第11ステップS11−3)。上記したように、第11ステップS11は上記の3つのステップから構成されており、背凭れ部3が所定位置(所定の第四位置Q4)まで起立したことを背凭れ部用リミットセンサ42及びタイマー71によって検出されるまで行われ、この間に施療機構7は所定の第三前後位置r3まで前進する。
なお、第11ステップS11における上記した背凭れ部3の起立動作、施療機構7の上昇動作及び前進動作、並びに上腕押圧部9L,9R、及び脚押圧部11L,11Rの膨張動作の開始タイミングを一致させてもよいし、開始する順序を上記順序と異ならせてもよい。また、各押圧部9,11全ての膨張動作を開始させる必要はなく、少なくともいずれか1つの押圧部の膨張動作を開始させればよい。
【0042】
第11ステップS11において、背凭れ部3が所定位置(所定の第四位置Q4)まで起立したことを背凭れ部用リミットセンサ42及びタイマー71によって検出されると、第11ステップS11(第11ステップS11−3)に引続いて、制御部6が背凭れ部用アクチュエータ40、及び脚載部用アクチュエータ50を駆動させ、背凭れ部3の第四位置Q4からの後傾動作、及び脚載部2の最上状態からの下降動作を開始させる(第12ステップS12)。この第12ステップS12においては、施療機構7の昇降動作の停止は、第11ステップS11において施療機構7が第四特定部位Pdまで上昇して保持された状態から継続して実行され、施療機構7の前進動作は、第11ステップS11において施療機構7が所定の第三前後位置r3まで前進した状態から所定の第二前後位置r2に到達するまで継続して実行され、上腕押圧部9、及び脚押圧部11の膨張動作は、第11ステップS11において所定量膨張した状態から継続して実行される。この第12ステップS12は、背凭れ部用リミットセンサ42によって最倒状態が検出されるまで行われ、この間に脚載部2は所定の上下位置q1まで下降する。
【0043】
つまり、第12ステップS12は、少なくとも所定の第四特定部位(被施療者の背面が前方へ所定量凹んでいる部位)Pdでの施療機構7の前進動作、背凭れ部3の後傾動作、及び脚載部2の下降動作を含み、且つこれら3つの動作が制御部6によって連動して動作されるよう構成された動作ステップであり、着座した被施療者の上半身を仰け反らせる背筋反らし動作である。この背筋反らし動作は、脚載部2の下降動作によって被施療者の下半身を含む身体が下方及び前方へ引っ張られながら、背凭れ部3の後傾動作によって被施療者の上半身を背凭れ部3に対して下方へ移動させられ、更に腰位置での施療機構7の前進動作によって被施療者の腰部が上方に押上げられるので、被施療者の背筋が仰け反らせられるストレッチを施すことができる。しかも、施療機構7の上下位置が所定の第四特定部位(被施療者の背面が前方へ所定量凹んでいる部位)Pdで保持されているため、施療機構7が第四特定部位Pdで引っかかり、脚載部2の下降動作に伴い被施療者の身体が前方へ移動してしまうことを防止することができる。また、前記背筋反らし動作に各押圧部9,11の膨張動作を加えることにより、被施療者の上半身が上腕押圧部9L,9Rによって保持され、被施療者の下半身(脚部)が脚押圧部11L,11Rによって保持された状態で背筋反らし動作が行われるため、被施療者の身体が身長方向に伸長される(引っ張られる)感覚を与えることができる。
【0044】
第12ステップS12において、背凭れ部3が最倒状態となったことを背凭れ部用リミットセンサ42によって検出されると、第12ステップS12に引続いて、制御部6が脚載部用アクチュエータ50の駆動を停止し、脚載部2を所定の上下位置q1で保持させる(第13ステップS13)。この第13ステップS13においては、背凭れ部3の後傾動作は、第12ステップS12において背凭れ部3が最倒状態まで後傾した状態で停止され、脚載部2の下降動作は、第12ステップS12において脚載部2が所定の上下位置q1まで下降した状態で停止され、施療機構7の昇降動作、及び前進動作の停止は、第12ステップS12において施療機構7が所定の第四特定部位Pdで保持され、且つ所定の第二前後位置r2で保持された状態から継続して実行され、上腕押圧部9、及び脚押圧部11の膨張動作は、第12ステップS12において所定量膨張した状態から継続して実行される。この第13ステップS13は、所定時間T4経過するまで行われる。
【0045】
以下に第13ステップS13に引続いて実行される第14ステップS14について説明する。第13ステップS13において、所定時間T4経過したことをタイマー71によって検出されると、第13ステップS13に引続いて、制御部6が背凭れ部用アクチュエータ40、脚載部用アクチュエータ50、及び昇降用モータM1を駆動して、背凭れ部3の起立動作、脚載部2の上昇動作、及び施療機構7の下降動作を開始させる(第14ステップS14−1)。この第14ステップS14−1は脚載部用リミットセンサ52によって最上状態が検出されるまで行われ、この間に背凭れ部3は所定の第四位置Q4まで起立する。続いて、第14ステップS14−1において、施療機構7が施療範囲の下限位置(胃兪P11)まで到達したことを昇降位置検出センサ19によって検出されると、制御部6が施療機構7の上昇動作を停止し、進退駆動部13を駆動させ施療機構(駆動ユニット17)7の前進動作を開始させる(第14ステップS14−2)。続いて、制御部6が第14ステップS14−2の開始から所定時間T5経過したことをタイマー71によって検出されると、施療範囲の下限位置(胃兪P11)から施療機構7の上昇動作を開始させる(第14ステップS14−3)。続いて、第14ステップS14−3において、施療機構7が所定の第四特定部位(肝兪P8)Pdまで到達したことを昇降位置検出センサ19によって検出されると、制御部6が施療機構7の上昇動作を停止し、進退駆動部13を駆動させ施療機構(駆動ユニット17)7の前進動作を開始させる(第14ステップS14−4)。上記したように、第14ステップS14は上記の4つのステップから構成されており、脚載部2が最上状態まで上昇したことを脚載部用リミットセンサ52によって検出されるまで行われ、この間に背凭れ部3は所定の第四位置Q4まで起立し、施療機構7は所定の第三前後位置r3まで前進する。
【0046】
第14ステップS14において、脚載部2が最上状態となったことを脚載部用リミットセンサ52によって検出されると、第14ステップS14に引続いて、制御部6が背凭れ部用アクチュエータ40、及び脚載部用アクチュエータ50を駆動させ、背凭れ部3の第四位置Q4からの後傾動作、及び脚載部2の最上状態からの下降動作を開始させる(第15ステップS15)。この第15ステップS15においては、施療機構7の昇降動作の停止は、第14ステップS14において施療機構7が所定の第四特定部位(肝兪P8)Pdまで上昇して保持された状態から継続して実行され、施療機構7の前進動作は、第14ステップS14において施療機構7が所定の第三前後位置r3まで前進した状態から所定の第二前後位置r2に到達するまで継続して実行され、上腕押圧部9、及び脚押圧部11の膨張動作は、第14ステップS14において所定量膨張した状態から継続して実行される。この第15ステップS15は、背凭れ部用リミットセンサ42によって最倒状態が検出されるまで行われ、この間に脚載部2は所定の上下位置q1まで下降する。
【0047】
この第15ステップS15が完了すると、第13ステップ(第13ステップS13−1)S13に戻って第13ステップS13〜第15ステップS15が繰返し実行される。なお、第13ステップS13〜第15ステップS15の繰返しは、第15ステップS15における背凭れ部3の最倒状態への到達が背凭れ部用リミットセンサ42によって所定回数検出されるまで実行される。第13ステップS13〜第15ステップS15が所定回数行われると、この背筋反らし動作を含むマッサージプログラムが終了され、制御部6は駆動部61を介して給排気装置60を制御して、進退駆動部13及び各押圧部9,11に供給された空気を排気させる(第16ステップS16)。
【0048】
また、本発明の椅子型マッサージ機は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。
例えば、図3,4に示したエアセルよりなる進退駆動部13に代えて、移動機枠16に前後方向に沿って設けられたラックと、駆動ユニット17に設けられ前記ラックと噛合するピニオンと、該ピニオンに減速機構を介して接続されたモータ(進退用モータ)とで構成される進退駆動部を採用してもよい。前記ラックピニオン方式の進退駆動部を採用した場合は、進退用モータの回転に連動してピニオンが回転し、該ピニオンがラック上を走行することにより、駆動ユニット17が移動機枠16に対してラックに沿って前後に進退動作させることができる。
また、脚載部2の揺動機構としては、脚載部用アクチュエータ50に代えて、手動式の回動機構を採用してもよい。
また、マッサージ用給排気装置60aと進退用給排気装置60bは単一の給排気装置60に共通化してもよい。この場合の単一の給排気装置60は座部1の下方に配置することができる。
また、上限リミットセンサ20及び下限リミットセンサ21に代えて、又は加えて、背凭れ部3の任意の位置(リクライニング角度)を検出可能な角度検出センサを背凭れ部用アクチュエータ40の近傍に設けてもよい。前記角度センサを採用した場合、背凭れ部3の位置(傾倒角度)に基づいて施療機構7の動作を制御することも可能である。すなわち、背凭れ部3が所定の第一位置Q1まで起立したことを前記角度センサによって検出されると、制御部6が施療機構7の前進動作を開始させ、且つ上腕押圧部9、脚押圧部11、及び足裏押圧部12の膨張動作を開始させるよう制御し、背凭れ部3が所定の第二位置Q2まで起立したことを前記角度センサによって検出されると、制御部6が昇降用モータM1の回転方向を反転させて施療機構7の上昇動作を開始させるよう制御することもできる。
また、第6ステップS6を複数回繰返し行う制御処理に関し、施療機構7の下限位置到達回数を下限リミットセンサ21によりカウントする制御処理に代えて、第6ステップS6の実行時間を制御部6に接続されたタイマー71により計測する制御処理を採用してもよい。
また、第4ステップS4から第6ステップS6までの間における施療機構7の昇降動作に加えて、揉み用モータM2や叩き用モータM3を駆動して施療子7aに「揉み」や「叩き」を同時に行わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、大腿部の背面側を伸長するストレッチを行うことができる椅子型マッサージ機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る施療機構が最後位置まで後退している状態の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る施療機構が最前位置まで前進している状態の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機のブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る前屈動作を含むマッサージプログラムの一部(途中)のステップを示している説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る前屈動作を含むマッサージプログラムを実行するフロー図である。
【図8】被施療者の背面の形状を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る背筋伸ばし動作を含むマッサージプログラムのステップを示している説明図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る背筋伸ばし動作を含むマッサージプログラムを実行するフロー図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る背筋反らし動作を含むマッサージプログラムの一部(途中)のステップを示している説明図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る背筋反らし動作を含むマッサージプログラムを実行するフロー図である。
【符号の説明】
【0051】
1 座部
2 脚載部
3 背凭れ部
6 制御部
7 施療機構
8 背中押圧部
9 上腕押圧部
10 座押圧部
11 脚押圧部
12 足裏押圧部
13 進退駆動部
18 肩位置検出センサ
19 昇降位置検出センサ
20 上限リミットセンサ
21 下限リミットセンサ
40 背凭れ部用アクチュエータ
42 背凭れ部用リミットセンサ
50 脚載部用アクチュエータ
52 脚載部用リミットセンサ
60 給排気装置
M1 昇降用モータ
M2 揉み用モータ
M3 叩き用モータ
Pa 所定の第一特定部位(肩中兪)
Pb 所定の第二特定部位(心兪)
Pc 所定の第三特定部位(膈兪)
Pd 所定の第四特定部位(肝兪)
Q1 所定の第一位置
Q2 所定の第二位置
Q3 所定の第三位置
Q4 所定の第四位置
q1 所定の上下位置
R1 最後位置
R2 最前位置
r1 所定の第一前後位置
r2 所定の第二前後位置
r3 所定の第三前後位置
T1 所定時間
T2 所定時間
T3 所定時間
T4 所定時間
T5 所定時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が着座する座部と、
該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持しつつリクライニング動作可能に設けられた背凭れ部と、
該座部の前部に上下回動可能に設けられた脚載部と、
該背凭れ部をリクライニング動作させるアクチュエータと、
該背凭れ部内に設けられて昇降動作及び前後動作可能であり、被施療者の上半身を後方から施療する施療機構と、
前記アクチュエータ及び施療機構の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記脚載部を上方に回動させた状態で、前記アクチュエータによる背凭れ部の起立動作に連動して前記施療機構を上昇動作及び前進動作させ被施療者の上半身を前屈させる前屈動作を行うよう制御することを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記脚載部は、被施療者の脚部を押圧する脚押圧部を備え、
前記制御部は、前記脚押圧部により被施療者の脚部を押圧した状態で、前記アクチュエータ及び施療機構を駆動して前記前屈動作を行うよう制御することを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記背凭れ部は、被施療者の上腕部を側方から押圧する上腕押圧部を備え、
前記制御部は、前記上腕押圧部により被施療者の上腕部を側方から押圧した状態で、前記アクチュエータ及び施療機構を駆動して前記前屈動作を行うよう制御することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記座部は、被施療者の臀部乃至大腿部を側方から押圧する座押圧部を備え、
前記制御部は、前記座押圧部により被施療者の臀部乃至大腿部を側方から押圧した状態で、前記アクチュエータ及び施療機構を駆動して前記前屈動作を行うよう制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
被施療者が着座する座部と、
該座部に着座した被施療者の上半身を後方から支持しつつリクライニング動作可能に設けられた背凭れ部と、
該座部の前部に上下回動可能に設けられ略水平位置まで上昇した脚載部と、
該背凭れ部をリクライニング動作させるアクチュエータと、
該背凭れ部内に設けられて昇降動作及び前後動作可能であり、被施療者の上半身を後方から施療する施療機構と、
被施療者の肩位置を検出する肩位置検出センサと、
前記アクチュエータ及び施療機構の動作制御、並びに前記肩位置検出結果に基づいて所定の特定部位の算出を行う制御部とを備え、
前記制御部は、
前記アクチュエータによる背凭れ部の起立動作に連動して前記施療機構の下降動作を開始させる第一予備動作と、
前記第一予備動作に加え、前記施療機構の前記特定部位への到達に連動して該施療機構の前進動作を前記第一予備動作に引続いて開始させる第二予備動作と、
前記背凭れ部の起立動作中に、該施療機構の上昇動作を前記第二予備動作に引続いて開始させ被施療者の上半身を前屈させる前屈動作とを行うよう制御することを特徴とする椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−63847(P2010−63847A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235787(P2008−235787)
【出願日】平成20年9月13日(2008.9.13)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】