説明

椅子型マッサージ機

【課題】身体の左右両側の領域でかつ身長方向で異なる二箇所の部位に対して同時にマッサージを行うことができる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】座部3と、背もたれ部4とを備え、背もたれ部4の内部に左側と右側に振り分けて左右一対のガイド通路6a,6bが配置されている。これに対応して、各ガイド通路に移動自在とされた左右一対のマッサージユニット8a,8bが設けられている。マッサージユニット8a,8bのそれぞれには、被施療者をマッサージするためのマッサージ具が搭載されている。これらのマッサージユニット8a,8bは移動機構によって、各ガイド通路に沿ってそれぞれ独立して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
背もたれ部にマッサージユニットが昇降自在に設けられている椅子型マッサージ機として従来知られているものに、例えば特許文献1、特許文献2に示しているものがある。これらはマッサージユニットによるマッサージ領域を左右方向に変更することができる。
つまり、特許文献1及び特許文献2に記載されている椅子型マッサージ機では、四個の施療子を一組として有している単一のマッサージユニットが背もたれ部内に設けられており、このマッサージユニットにおいて一組の施療子が背中に対して左の領域又は右の領域に移動することによって、マッサージ領域が左右のどちらかに変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−262264号公報(図8参照)
【特許文献2】特開平10−337315号公報(図6参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の椅子型マッサージ機では、一組の施療子によるマッサージ領域が左右のどちらか一方に変更されるのみであるため、背中の左右片側領域の特定の一箇所だけしかマッサージすることができないという問題点を有している。
そこでこの発明は、身体の左右両側の領域でかつ長手方向(身長方向)で異なる二箇所の部位に対して同時にマッサージを行うことができる椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するためのこの発明の椅子型マッサージ機は、座部と、この座部の後端部から立設された背もたれ部と、この背もたれ部の内部において左右方向に複数に振り分けて配置されかつ当該背もたれ部の長手方向に沿って延設された複数のガイド通路と、被施療者をマッサージするためのマッサージ具が搭載されかつ前記各ガイド通路に移動自在に設けられた複数のマッサージユニットと、これらのマッサージユニットを前記各ガイド通路に沿ってそれぞれ独立して移動させる移動機構とを備えている。
【0006】
この構成によれば、背もたれ部の内部においてガイド通路が左右方向に複数に振り分けられて配置されており、これに対応してマッサージユニットが設けられている。そして、移動機構は、マッサージユニットのそれぞれを各ガイド通路に沿って独立して移動させることができる。このように各マッサージユニットを独立して移動させることで、身体の左右方向で複数の領域のそれぞれでかつ長手方向で異なる複数箇所の部位に対しても同時にマッサージすることができる。
【0007】
また、前記ガイド通路は、前記背もたれ部の内部だけではなく前記座部の内部にも連続して延設されており、前記マッサージユニットは前記移動機構によって前記座部の領域にも移動可能となっているのが好ましい。
これによれば、マッサージユニットは座部の領域へ移動可能となり、座部においてマッサージを行うことができる。
【0008】
また、前記座部の前端部に脚載せ部が設けられ、前記ガイド通路は、前記背もたれ部及び座部の内部だけでなく前記脚載せ部の内部にも連続して延設されており、前記マッサージユニットは前記移動機構によって前記脚載せ部の領域にも移動可能となっているのが好ましい。
これによれば、マッサージユニットは脚載せ部の領域へ移動可能となり、脚載せ部においてマッサージを行うことができる。
つまりこの構成によれば、背もたれ部、座部及び脚載せ部にわたる内部においてガイド通路が左右方向に複数に振り分けられて連続的に延設されることとなり、移動機構は、マッサージユニットのそれぞれを各ガイド通路に沿って独立して移動させ、背もたれ部、座部及び脚載せ部に択一的に対応させることができる。
【0009】
また、この発明の椅子型マッサージ機は、座部と、この座部の後端部から立設された背もたれ部と、この背もたれ部の内部において上下方向に複数に振り分けて配置されかつ当該背もたれ部の左右方向に沿って延設された複数のガイド通路と、被施療者をマッサージするためのマッサージ具が搭載されかつ前記ガイド通路に移動自在に設けられた複数のマッサージユニットと、このマッサージユニットを前記ガイド通路に沿ってそれぞれ独立して移動させる移動機構とを備えている。
【0010】
この構成によれば、背もたれ部の内部においてガイド通路が上下方向に複数に振り分けられて配置されており、このガイド通路に移動自在とされてマッサージユニットが設けられている。そして、移動機構は、マッサージユニットをガイド通路に沿ってそれぞれ独立して移動させることができる。このようにマッサージユニットを独立して移動させることで、身体の上下複数の部位のそれぞれでかつ異なる左右方向の領域に対して同時にマッサージすることができる。
【0011】
また、一つのガイド通路にある前記マッサージユニットのマッサージ具を他のガイド通路に進入させて当該マッサージ具によるマッサージ領域を切り替えるための領域変更機構を、更に備えているのが好ましい。
この領域変更機構によれば、一つのガイド通路にあるマッサージユニットが有するマッサージ具を他のガイド通路に進入させて当該マッサージ具によるマッサージ領域を切り替えることができる。このため、被施療者の身体の左右方向の一領域において長手方向で異なる複数箇所の部位に対して同時にマッサージを行うことが可能となる。
【0012】
また、前記各椅子型マッサージ機において、前記マッサージユニットは、複数個の施療子と、これら施療子を互いに接近又は離反させる駆動機構と、これら施療子が接近又は離反する方向を変更させる角度調整機構とを有しているのが好ましい。
この構成によれば、複数の施療子を接近又は離反させることで、挟み揉みによるマッサージが可能となる。そして、角度調整機構により、複数の施療子によって行われる挟み揉みの方向を上下左右に変更できる。
【0013】
また、前記マッサージユニットは、前記ガイド通路に沿って移動するためのモータを搭載しているのが好ましい。
これにより、マッサージユニットはガイド通路を自走することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、マッサージユニットをそれぞれ独立して移動させることができ、身体の左右方向で複数の領域のそれぞれでかつ長手方向で異なる複数箇所の部位に対して同時にマッサージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の椅子型マッサージ機の実施の一形態を示す後方からの斜視図である。
【図2】この椅子型マッサージ機の側面図である。
【図3】この椅子型マッサージ機の背面図である。
【図4】この椅子型マッサージ機の底面図である。
【図5】マッサージ機を搭載しているマッサージユニットの実施の一形態を示す斜視図である。
【図6】マッサージ機の要部を示す斜視図である。
【図7】マッサージ機の断面側面図である。
【図8】マッサージ機を背面側から見た図である。
【図9】揉み駆動機構が有している駆動手段の一部を示した図である。
【図10】本発明のマッサージ機が備えている機構の概略ブロック図である。
【図11】領域変更機構の機能を説明するための概略図である。
【図12】領域変更機構の変形例を示す概略図である。
【図13】本発明の椅子型マッサージ機の他の実施の形態を示す背面図である。
【図14】本発明の椅子型マッサージ機の別の実施の形態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の椅子型マッサージ機の実施の一形態を示す後方からの斜視図であり、図2はその側面図である。また、図3はこの椅子型マッサージ機の背面図であり、図4はその底面図である。
この椅子型マッサージ機は、上面が被施療者を着座させる座面3aとされた座部3と、この座部3の後端部から立設された背もたれ部4と、座部3の前端部に設けられた脚載せ部5と、座部3の左右両側に設けられて座部3と背もたれ部4と脚載せ部5とを床面に対して支持している左右一対の脚部16とを備えている。なお、本発明において、座部3に着座した被施療者の左手側を「左」とし、右手側を「右」としている。
【0017】
背もたれ部4は被施療者の上半身、つまり腰部から肩部、さらには頭部までを支持することができ、座部3は被施療者の臀部から大腿部を支持することができる。そして、脚載せ部5は被施療者の膝から脚先部分を支持することができる。脚載せ部5は特に被施療者の左右各脚のふくらはぎの背面側に当接して脚を支持することができる。
【0018】
この椅子型マッサージ機は、被施療者(患部)に対してマッサージするためのマッサージ具が搭載されているマッサージユニット8と、このマッサージユニット8を移動させるために設けられたガイド通路6とを備えている。
具体的には、椅子型マッサージ機は、ガイド通路6として左右一対のガイド通路6a,6bを備えており、これに対応して、左右一対のマッサージユニット8a,8bを備えている。一対のガイド通路6a,6bは、背もたれ部4の内部に左側と右側に振り分けて配置されており、ガイド通路6a,6bのそれぞれは、背もたれ部4の長手方向(上下方向)に沿って延設されている。そして、マッサージユニット8a,8bのそれぞれは、ガイド通路6a,6bのそれぞれにガイドされて移動自在とされている。
【0019】
また、図1〜図4の椅子型マッサージ機において、左右一対のガイド通路6a,6bは、背もたれ部4の内部だけではなく座部3の内部にも連続して延設されている。これにより、マッサージユニット8a,8bは座部3の領域にも移動可能となっている。さらに、このガイド通路6a,6bは、背もたれ部4及び座部3の内部だけでなく脚載せ部5の内部にも連続して延設されている。これにより、マッサージユニット8a,8bは脚載せ部5の領域にも移動可能となっている。
そして、椅子型マッサージ機が備えている移動機構9(図10参照)が、これらのマッサージユニット8a,8bを各ガイド通路6a,6bに沿ってそれぞれ独立して移動させることができる。
【0020】
ガイド通路6a,6bについて具体的に説明する。ガイド通路6a,6bは、背もたれ部4の上部から座部3を経て脚載せ部5の下部まで連続しており、相互が平行とされて設けられている。これにより、マッサージユニット8a,8bのそれぞれを前記上部から前記下部まで連続的に移動させることができる。
ガイド通路6a,6bのそれぞれは、図2において、背もたれ部4の内部においてその長手方向にまっすぐに延伸している第一ガイド部51と、座部3の内部においてその長手方向にまっすぐ延伸している第二ガイド部52と、脚載せ部5の内部においてその長手方向にまっすぐ延伸している第三ガイド部53とを有しており、さらに、第一ガイド部51と第二ガイド部52との間を連結している湾曲状の第一連結ガイド部54と、第二ガイド部52と第三ガイド部53との間を連結している湾曲状(屈曲状)の第二連結ガイド部55とを有している。つまり、ガイド通路6a,6bは、背もたれ部4から脚載せ部5まで連続して一続きとされている。
【0021】
そして被施療者に対してマッサージを施すマッサージ具はマッサージユニット8に搭載されている。図5はこのマッサージ具を搭載しているマッサージユニットの実施の一形態を示す斜視図である。なお、一対のマッサージユニット8a,8bの一方に一つのマッサージ具7が搭載され、他方に別の一つのマッサージ具7が搭載されている。そして、両マッサージ具7は同一のものとされている。
【0022】
図5において、マッサージユニット8はフレーム28を有しており、このフレーム28に前記マッサージ具7が搭載されている。フレーム28のほぼ矩形状の本体部分28bの四隅にはそれぞれローラ30が回転自在に取り付けられており、これらローラ30が回転することで前記ガイド通路6a,6bに沿ってマッサージユニット8は移動することができる。つまり、ガイド通路6a,6bのそれぞれは左右に一対のガイド溝57a,57b(図1参照)を有しており、マッサージユニット8の左右のローラ30がこれらガイド溝57a,57bを走行する。ガイド溝57a,57bは断面コ字形とされており、背もたれ部4から脚載せ部5まで連続して一続きとされている。
【0023】
マッサージユニット8に搭載されているマッサージ具7は複数の施療子1a,1b,2を備えている。そして、これら施療子1a,1b,2が取り付けられている側が被施療者側となるようにして、マッサージユニット8はガイド通路6にガイドされた状態で椅子本体に取り付けられている。
図1〜図4において、座部3、背もたれ部4及び脚載せ部5のそれぞれにおいて、被施療者側に開口部56が形成されている。開口部56は背もたれ部4の背もたれ面4aから座部3の座面3aを経て脚載せ部5の脚載せ面5aにわたって連続している一つの長穴として形成されている。また、開口部56は左右一対のガイド通路6a,6bの両者にわたって左右幅方向に開口している。
そして、この開口部56にマッサージ具7の施療子1a,1b,2が対応し、当該施療子1a,1b,2が動作することによって、被施療者に対してマッサージを施すことができる。なお、この開口部56は図示しない布製などの弾性のあるカバー部材によって覆われている。
【0024】
マッサージユニット8a,8bをガイド通路6a,6bに沿って移動させる移動機構9(図10参照)について具体的に説明する。移動機構9は図示しないがモータなどを有する駆動部を備えており、椅子型マッサージ機が備えている制御手段10からの動作信号に基づいて動作することができる。
具体的な構成は、図示しないが例えば、モータを含む移動機構9をマッサージユニット8(図5参照)のそれぞれに搭載させ、各マッサージユニット8が自走する構成とすることができる。つまり、図5において、四個の前記ローラ30の少なくとも一つは図示しない走行用のモータによって回転駆動するように構成されており、このローラ30がガイド通路6a,6bの前記ガイド溝57a,57bを走行駆動することによって、マッサージユニット8は移動することができる。この場合において、ローラ30の外周面に歯が形成されてピニオンを構成している。また、ガイド溝57a,57bにこのピニオンが噛み合うラック部が形成されている。そして、マッサージユニット8に搭載したモータの回転を減速機構を介して前記ピニオンに伝達し、ピニオンを回転させることでマッサージユニット8をガイド通路6に沿って移動させている。
【0025】
以上の実施の形態によれば、この椅子型マッサージ機は、図1において、背もたれ部4、座部3及び脚載せ部5の内部に左側と右側に振り分けて配置されかつこれらの各部にわたって連続的に延設された左右一対のガイド通路6a,6bと、被施療者をマッサージするためのマッサージ具7が搭載されかつ各ガイド通路6a,6bに移動自在に設けられた左右一対のマッサージユニット8a,8bと、これらのマッサージユニット8a,8bを各ガイド通路6a,6cに沿ってそれぞれ独立して移動させる移動機構9(図10参照)とを備えている。これによれば、移動機構9が各マッサージユニット8a,8bを独立して移動させることができ、身体の左右両側の領域のそれぞれでかつ長手方向で異なる二箇所の部位に対しても同時にマッサージすることが可能となる。
【0026】
例えば、図示しないが、左右一対のマッサージユニット8a,8bのうちの左側の一方を、背もたれ部4の領域に存在させている状態で、右側の他方を座部3の領域に存在させることができる。この場合、椅子型マッサージ機は被施療者に対して、一方のマッサージユニット8aが背中の左側部を、他方のマッサージユニット8bが臀部から大腿部の右側部をマッサージすることができる。
または、一対のマッサージユニット8a,8bのうちの左側の一方を、背もたれ部4又は座部3の領域に存在させている状態で、右側の他方を脚載せ部5の領域に存在させることができる。この場合、椅子型マッサージ機は被施療者に対して、一方のマッサージユニット8aが背中の左側部、又は、臀部から大腿部の左側部を、そして、他方のマッサージユニット8bが右脚の例えばふくらはぎをマッサージすることができる。
【0027】
つまり本発明の構成によれば、移動機構9は、左右一対のマッサージユニット8a,8bのそれぞれを各ガイド通路6a,6bに沿って独立して移動させ、背もたれ部4、座部3及び脚載せ部5に択一的に対応させることができる。このようにマッサージユニット8a,8bのそれぞれを独立して移動させることで、身体の左右両側の領域のそれぞれでかつ長手方向で異なる二箇所の部位に対しても同時にマッサージを行うことができる。
【0028】
また、本発明の椅子型マッサージ機は、左右一対のマッサージユニット8a,8bのうちのいずれか一方のマッサージユニットのマッサージ具7を、他方のガイド通路6に進入させて当該マッサージ具7によるマッサージ領域を切り替えるための領域変更機構を更に備えている。図11は、この領域変更機構の機能を説明するための概略図である。
図11に示しているように、領域変更機構は、一方のガイド通路6a側に存在していた一方のマッサージユニット8aを、移動機構9(図10参照)の働きにより他方のガイド通路6b側へ移動させることによって、一方側にあった前記マッサージユニット8aのマッサージ具7を、他方側のガイド通路6bへ進入させる構造とされている。これによりマッサージユニット8aのマッサージ領域を一方側から他方側へ切り替えている。
【0029】
この領域変更機構を構成するために、背もたれ部4の上部及び下部のそれぞれ、又は、背もたれ部4の上部と脚載せ部5の下部のそれぞれにおいて、左右のガイド通路6a,6bは湾曲部を介して繋がっており、マッサージユニット8a,8bは、両ガイド通路6a,6b間を相互移動することができる。これにより、図11のように、左側のガイド通路6aに存在していた一方のマッサージユニット8aを右側のガイド通路6bの上部に位置させ、右側のガイド通路6bの下部に他方のマッサージユニット8bを位置させることができる。また、反対に、右側のガイド通路6bに存在していたマッサージユニット8bを左側のガイド通路6aに位置させることもできる。
【0030】
このように領域変更機構によれば、被施療者の背中の左右片側領域の一方において長手方向で異なる二箇所の部位に対して同時にマッサージを行うことができる。つまり、図11では被施療者の背中の右側領域の上下二箇所の部位に対して同時にマッサージを行うことができる。
また、左右のガイド通路6a,6bのそれぞれは、背もたれ部4から脚載せ部5まで連続しているため、被施療者の上半身から脚の範囲のうちの左右片側領域の一方側において長手方向で異なる二箇所の部位(例えば背中の右側部と右ふくらはぎ部)に両マッサージユニット8a,8bを位置させ、当該二箇所の部位に対して同時にマッサージを行うことができる。
【0031】
図13は、本発明の椅子型マッサージ機の他の実施の形態を示す背面図である。図3で示した前記実施の形態では二列のガイド通路6a,6bを有している構成とされているが、図13に示している実施の形態では、三列のガイド通路6a,6b,6cを有している構成とされている。そして、ガイド通路6a,6b,6cのそれぞれにマッサージユニット8a,8b,8cが設けられている。その他の構成については同様とされている。なお、図13の実施の形態においても、前記と同様の領域変更機構を設けることができ、これによって、一つのガイド通路にあるマッサージユニットのマッサージ具を、他のガイド通路に進入させて当該マッサージ具によるマッサージ領域を切り替えることができる。
【0032】
また、本発明において、ガイド通路の数は以上の実施の形態に制限されるものではなく、ガイド通路は、背もたれ部4の内部において左右方向に複数に振り分けて配置され、かつ、当該背もたれ部の長手方向に沿って延設されたものとすることができる。さらには、そのガイド通路は、背もたれ部のみならず、座部の内部や脚載せ部の内部にも連続して延設されており、マッサージユニットは移動機構によって座部の領域や、脚載せ部の領域にも独立して移動可能とすることができる。
【0033】
図14は、本発明の椅子型マッサージ機の別の実施の形態を示す背面図である。
この椅子型マッサージ機は、図3で示した実施の形態と同様に、座部3と、この座部3の後端部から立設された背もたれ部4とを備えている。しかし、この椅子型マッサージ機では、背もたれ部4に設けられているガイド通路は、当該背もたれ部4の内部において上下方向に複数に振り分けられて複数配置され(6a,6b,6c…)、かつ、当該背もたれ部4の左右方向に沿って延設されている構造である。
そして、この椅子型マッサージ機はマッサージユニット8a,8bを備えており、このマッサージユニット8a,8bのそれぞれには、前記実施形態と同様の被施療者をマッサージするためのマッサージ具が搭載されており、かつマッサージユニット8a,8bのそれぞれはガイド通路6a,6b,6c…に移動自在に設けられている。そして、前記実施形態と同様に、椅子型マッサージ機が備えている移動機構によって、このマッサージユニット8a,8bをガイド通路6a,6b,6c…に沿って移動させることができる。
【0034】
この図14の実施の形態においても、前記の領域変更機構を設けることができ、これによって、一つのガイド通路、例えばガイド通路6aにあるマッサージユニット8aのマッサージ具を、他のガイド通路(ガイド通路6b)に進入させて当該マッサージ具によるマッサージ領域を切り替えることができる。これを具体的に説明すると、これら複数のガイド通路6a,6b,6c…は湾曲部を介して繋がっており、複数のガイド通路6a,6b,6c…によって一条の連続した蛇行状通路が構成されている。そして、マッサージユニット8a(8b)は、この蛇行状通路に沿って移動(自走)することができ、蛇行状通路のうちの一つのガイド通路からその隣のガイド通路へ移動することができる。そして、所望の位置に停止して被施療者に対してマッサージ動作を行わせることができる。
【0035】
図1から図4に示した実施の形態において、左右一対のマッサージユニット8a,8bにそれぞれ搭載されているマッサージ具7について説明する。この実施の形態では、左右の両者は同じマッサージ具7とされているため、一方についてのみ説明する。図6はマッサージ具の要部を示す斜視図であり、図7はマッサージ具の断面側面図である。なお、図13及び図14に示した椅子型マッサージ機に設けられるマッサージユニットについても、同様の構成とすることができる。
このマッサージ具7は被施療者をマッサージするための施療子(揉み玉)を備えている。本発明の施療子は、複数個の第一施療子と、この第一施療子より少ない個数の第二施療子とからなっている。なお、図に示している施療子は、二個の第一施療子1a,1bと、一個の第二施療子2とからなる。そして、本発明のマッサージ具7は、これら第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる揉み駆動機構11を備えている。
【0036】
二個の第一施療子1a,1bは隣り合わせで並んで配設されており、第二施療子2はこれら第一施療子1a,1bと対向して設けられている。これにより、揉み駆動機構11が第一施療子1a,1b及び第二施療子2を互いに接近又は離反させる動作を行わせることによって、第一施療子1a,1bは人の手の親指以外の指(人差し指と中指)に見立てられるとともに、第二施療子2は親指に見立てられ、これら三個の施療子によって挟み揉みによるマッサージが可能となる。つまり人の手によるマッサージにより近似した好適なマッサージを行うことができる。また、第一施療子1a,1bと第二施療子2とは異なる大きさの略球形とされており、第一施療子1a,1bが第二施療子2よりも大きくされている。
また、軸心C1の方向に沿って施療子を見た場合において、第一施療子1aの動作方向と、第一施療子1bの動作方向とは、平行とすることもできる。
【0037】
揉み駆動機構11について具体的に説明する。
図7において、揉み駆動機構11は、平らなプレート状の本体部分29aを有しているベース部材29を備えており、この本体部分29aから複数の突出部材20が突出して設けられている。図示している揉み駆動機構11では、前記施療子の数に対応して三本の突出部材20を備えている(図6参照)。各突出部材20はまっすぐな円柱部材とされており、基端部側がベース部材29に取り付けられている。
そして、この突出部材20の先端部側に前記第一施療子1a,1b及び第二施療子2の内の一つがそれぞれ揺動自在として枢着されている。これにより、突出部材20の突出方向が被施療者側へ向かう方向とされており、さらに、その突出方向(軸心方向)は、ベース部材29が有している平板状の本体部分29aの面に垂直な方向、すなわち、ベース部材29の法線方向(軸心C1方向)に平行な方向とされている。
【0038】
なお、図6と図7において、一対の第一施療子1a,1bはそれぞれ第一の固定部材17aの中央部に固定されており、この固定部材17aがその一端部において突出部材20bの先端部に揺動自在に枢着されている。そして、第二施療子2は第二の固定部材17bの中央部に固定されており、この固定部材17bがその一端部において突出部材20aの先端部に揺動自在に枢着されている。
【0039】
更に、揉み駆動機構11はプレート状(平板状)の移動ベース39を備えている。移動ベース39は前記ベース部材29と前記複数の施療子との間で被施療者側へ進退自在に設けられており、その方向に駆動される。この移動ベース39の進退駆動の方向は前記軸心C1に平行な方向とされており、進退駆動は、揉み駆動機構11が備えている駆動手段11aによって行われる。なお、前記突出部材20a,20bは移動ベース39をその板厚方向に貫通している。そして、移動ベース39が突出部材20a,20bにガイドされてスムーズに直線移動するように構成することができる。
【0040】
図8はこのマッサージ具7を背面側(施療子と反対側)から見た図であり、図9は前記駆動手段11aの一部を示した図である。図7と図8と図9において、前記駆動手段11aは、モータ41と、ベース部材29の背面に回転自在に支持されている回転軸42と、この回転軸42と一体回転するカム43とを有しており、モータ41の回転によって回転軸42及びカム43が回転駆動するように構成されている。そして、移動ベース39の裏面39a側に設けられた当接子44に、回転するカム43が接触することによって移動ベース39がベース部材29に対して接近離間する動作をし、これが移動ベース39の前記進退駆動となる。なお、モータ41と回転軸42との動力伝達はベルトによって行われている。また、前記モータ41をギヤードモータとするのが好ましい。
【0041】
図5と図6と図7において、更に、揉み駆動機構11は、移動ベース39と第二施療子2との間、及び、移動ベース39と第一施療子1a,1bとの間にそれぞれ設けられているリンク部材22a,22bを備えている。具体的に説明すると、第一施療子1a,1b側において、リンク部材22bは直線部材とされており、その一端部が移動ベース39の周縁部の一部に揺動自在に枢着されており、その他端部が第一施療子1a,1bのそれぞれを固定している固定部材17aの他端部に揺動自在に枢着されている。
また、第二施療子2側において、リンク部材22aは直線部材とされており、その一端部が移動ベース39側に揺動自在に枢着されており、その他端部が第二施療子2を固定している固定部材17bの他端部に揺動自在に枢着されている。なお、このリンク部材22aは、後述する回転リンク23に揺動自在に枢着されており、当該回転リンク23を介して移動ベース39に対して揺動自在とされている。
以上より、第一と第二の各施療子をそれぞれ固定している固定部材17b,17aは、ベース部材29から被施療者側に突出している突出部材20a,20bに揺動自在として枢着されているとともに、進退駆動する移動ベース39側のリンク部材22a,22bとも枢着されている。
【0042】
以上のように構成された揉み駆動機構11によれば、前記駆動手段11aによって移動ベース39が被施療者側に進退直線運動することができ、前記リンク部材22a,22bは、この移動ベース39の進退直線運動を第一施療子1a,1b及び第二施療子2の揺動運動に変換することができる。
さらに、この揉み駆動機構11によれば、一台の移動ベース39の進退駆動によって複数個の施療子を同時に揺動させることができ、これら施療子によって挟み揉みによるマッサージを行わせることができる。また、移動ベース39の進退運動をリンク部材22a,22bを介して各施療子の揺動運動に変換しているため、各施療子(固定部材17a,17b)の揺動軸心の方向を変更することによって、各施療子の揺動方向を任意にかつ簡単に設定できる。さらに、施療子の数を三個よりも増加させても共通の一台の移動ベース39から動力が得られるため、施療子の数が増えても構造の簡素化が可能となる。
さらに、各施療子は突出部材20a,20bとリンク部材22a,22bの双方に枢着された状態で支持され揺動運動を行う構造であり、前記駆動手段11aは歯車を有していないため、歯車を有している機構とは異なって歯車間のバックラッシュに伴う施療子の揺動範囲のずれが発生することを防ぐことができる。
【0043】
さらに、本発明のマッサージ具7は、第一施療子1a,1b及び第二施療子2が互いに接近又は離反することによって挟み揉みによるマッサージ運動を行うように駆動する前記揉み駆動機構(第一駆動機構)11以外に、第二駆動機構12を備えている。この第二駆動機構12は、第二施療子2がこの接近又は離反以外のより複雑なマッサージ運動を行うように駆動する。
第二駆動機構12によって第二施療子2に行わせるこの複雑なマッサージ運動は、被施療者(人体)に対して第二施療子2を円軌道に沿って回転させる捏ね揉み動作とすることができる。具体的には、第二施療子2が先端部に取り付けられている突出部材20aは自転軸とされており、この捏ね揉み動作は、この自転軸20aの軸心C2(図7)回りの自転によって行われる運動から得られるものである。この構成によれば、捏ね揉み動作をさせるための構造が簡素化できる。なお、自転軸20aは前記突出部材であるため、当該自転軸20aは移動ベース39の進退方向に延びている部材であり、自転軸20aの軸心C2とベース部材29の軸心C1とは平行となる。
なお、第二施療子2の円軌道は、マッサージ機の基準軸心C1(軸線)と平行な軸線回りの場合と、当該基準軸心C1と交差する傾いた軸線回りの場合とがある。これは、軸受(転がり軸受)23dの中心線を軸心C1に対して傾けた状態としているためである。そして、この円軌道を傾いた軸線回りとした場合、被施療者の身体に対する第二施療子2の距離を変化させることができるため、当該第二施療子2によるマッサージ力(押圧力)を変化させることができる。
【0044】
図7に示しているように、第二施療子2が枢着されているこの自転軸20aはベース部材29及び移動ベース39を貫通している。そして、自転軸20aは、ベース部材29及び移動ベース39のそれぞれに取り付けられた転がり軸受が介在してこれらに対して自転自在とされており、かつ、自転軸20aはベース部材29に軸心C2方向の移動が規制されて取り付けられている。なお、移動ベース39は自転軸20aに対して軸心C2方向へ移動自在とされている。
そして、自転軸20aの第二施療子2側と反対側である基端部には傘歯車45が固定されており、第二駆動機構12が有している傘歯車48に前記傘歯車45を噛合させ、第二駆動機構12が傘歯車48を回転駆動させることによって、自転軸20aを自転させることができる。すなわち、第二駆動機構12は自転軸20aを自転させる回転駆動機構となる。
【0045】
第二駆動機構12の構造をさらに説明すると、第二駆動機構12は、図7と図8において、モータ46と、ベース部材29の背面に回転自在に支持されている回転軸47とを有しており、前記傘歯車48がこの回転軸47と一体回転するように構成されている。したがって、モータ46の回転によって回転軸47及び傘歯車48が回転駆動することで、自転軸20aがその軸心C2(回転軸心)回りに自転し、自転軸20aの先端部側に固定部材17bを介して取り付けられている第二施療子2が、軸心C2を中心として回転する。また、前記モータ46をギヤードモータとするのが好ましい。
【0046】
なお、第二施療子2を固定している固定部材17bは自転軸20aのみならず、前記のとおり移動ベース39側に揺動自在に取り付けられているリンク部材22aにも枢着されている。したがって、第二施療子2を軸心C2回りに回転させるために、移動ベース39上に回転自在とされている回転リンク23が設けられており、この回転リンク23にリンク部材22aが枢着されている。そして、これら回転リンク23とリンク部材22aとともに第二施療子2と自転軸20aが回転する。すなわち、回転リンク23は、移動ベース39と進退運動はともにするが、同移動ベース39に対して軸心C2を中心として相対回転可能となるように移動ベース39に連結されている。
回転リンク23についてさらに説明すると、自転軸20aを挿通している取付部23aと、リンク部材22aと枢着されている枢着部23bとを有している。取付部23aは円筒形状の部分23cを有しており、その内周面では自転軸20aと摺動自在であり、その外周面に軸受23d(転がり軸受)が外嵌している。そして、移動ベース39において、自転軸20aを挿通させる貫通孔の一部に軸受孔39bが形成されており、この軸受孔39b内に前記軸受23dを嵌入している。また、前記貫通孔の一部にスライドブッシュ39eが嵌入されており、このスライドブッシュ39eは自転軸20aに、当該自転軸20aが当該スライドブッシュ39aに対して摺動回転可能となるようにして、外嵌している。これにより、回転リンク23は自転軸20a(軸心C2)を中心として移動ベース39に対して回転自在となる。そして、自転軸20aに枢着されている第二施療子2(固定部材17b)と移動ベース39上に設けられた回転リンク23の枢着部23bとが、リンク部材22aで連動連結されている。
【0047】
以上によれば、固定部材17bとリンク部材22aとを介して自転軸20aと連結されている回転リンク23は、移動ベース39に対して相対回転可能となるように構成されているため、当該自転軸20aはその軸心C2回りに自転することができる。これにより、第二駆動機構12が第二施療子2を枢着している自転軸20aを自転させることができ、当該第二施療子2は回転動作し被施療者に対して捏ね揉みによるマッサージを行うことができる。
また、移動ベース39の進退駆動によって回転リンク23は当該移動ベース39とともに進退運動し、第二施療子2を固定している固定部材17bと回転リンク23とがリンク部材22aで連動連結されているため、第二施療子2を自転軸20aとの枢着軸心(枢着軸25)を中心として揺動させることができ、当該第二施療子2は第一施療子1a,1bとの共働きにより被施療者に対して挟み揉みによるマッサージを行うことができる。
【0048】
また、移動ベース39の軸受孔39bの軸心及び回転リンク23の円筒形状の部分23cの軸心は、軸心C2に対して傾斜する構造である。つまり、軸受23dの中心線を軸心C2及び軸心C1に対して傾けた状態としている。したがって、回転リンク23は、軸心C2に傾斜した軸線回りに回転することができる。これによれば、自転軸20aの回転によって、第二施療子2を軸心C2回りに回転させながら、第二施療子2とベース部材29との間の距離が変化することとなり、第二施療子2による被施療者に対する接触強さ(押圧強さ)が変化する。
【0049】
以上、第一駆動機構11と第二駆動機構12とによれば、第一施療子1a,1b及び第二施療子2は互いに接近又は離反する動作をし、さらに、第二施療子2がこの接近又は離反以外のより複雑なマッサージ運動、すなわち捏ね揉みによるマッサージ運動を行うことができる。したがって、このマッサージ具7は被施療者に対して変化に富んだマッサージが可能となる。
【0050】
さらに、このマッサージ具7は、第一施療子1a,1b及び第二施療子2の接近又は離反によって被施療者を挟み込む通常の揉み動作を行いながら、第二施療子2が被施療者に対して捏ね揉み動作をすることができるので、同じ患部に対して挟み揉み動作と捏ね揉み動作による複合的なマッサージを行うことができる。そして、マッサージ具7がこの複合的なマッサージを施療子に行わせるために、第一及び第二駆動機構11,12を同時に動作させる制御手段10を備えている(図10参照)。なお、図10は本発明のマッサージ具7が備えている機構の概略を示しているブロック図である。つまり、制御手段10は、第一及び第二駆動機構11,12が有しているモータ41,46(図8参照)のそれぞれに対して動作信号を与えることができる。
【0051】
本発明のマッサージ具7が備えているさらに他の機構について説明する。
図5において、被施療者をマッサージするための施療子1a,1b,2が搭載されている前記ベース部材29は、それ自身が揺動することができるプレート状の可動ベースとされている。つまりこのマッサージ具7は、この可動ベース29を揺動自在に支持しているレベリング用の第一支持部材26を備えており、更に、この第一支持部材26を回転自在に支持しているローリング用の第二支持部材27を備えている。
【0052】
第一支持部材26は、可動ベース29をその面内方向の軸心C3回りに揺動自在に両端支持している。この面内方向の軸心C3は可動ベース29の表面上、裏面上又はこれらに平行な面上に存在している。
第二支持部材27は、この第一支持部材26を前記可動ベース29の法線方向の軸心回りに回転自在に支持している。なお、この法線方向の軸心が前記軸心C1とされている。
そして、マッサージ具7は、更に、可動ベース29を第一支持部材26に対して揺動させるためのレベリング駆動機構31と、第一支持部材26を第二支持部材27に対して回転させるためのローリング駆動機構32とを備えている。
【0053】
これらの構成を具体的に説明すると、可動ベース(前記ベース部材)29は円板状の本体部分29aを有しており、前記軸心C1がこの本体部分29aの中心において直交する方向に通っている。また、可動ベース29は、180°離れて対向するように本体部分29aに固定されている一対のフランジ部29bを有している。そして、この各フランジ部29bにおいて、可動ベース29は第一支持部材26に前記軸心C3を中心として揺動自在に取り付けられている。
【0054】
第一支持部材26は、軸心C1を中心として可動ベース29を内側に取り囲んでいる環状部材とされている。第一支持部材26の内周面側に180°離れて設けられた一対の取付部(図示せず)に、可動ベース29の前記一対のフランジ部29bが、軸心C3を中心線とするピン部材(図示せず)を介して取り付けられている。
第二支持部材27は、軸心C1を中心として第一支持部材26に外嵌している環状部材とされている。そして、第一支持部材26の外周部と第二支持部材27の内周部との間に形成されているガイド凹凸部(図示せず)によって、第一支持部材26は第二支持部材27に対して回転摺動自在とされている。そして、第二支持部材27はマッサージユニット8が備えているフレーム28にアーム部27aを介して取り付けられている。
これにより、施療子を搭載している可動ベース29は、当該可動ベース29の面内方向の軸心C3回りに揺動自在とされ、かつ、可動ベース29に直交する軸心C1回りに回転自在とされる。
【0055】
前記ローリング駆動機構32は、モータ33で回転駆動される円柱状の第一巻き掛け部材34と、この第一巻き掛け部材34と第一支持部材26との間に架設されているワイヤ35とを有している。そして、ワイヤ35は第一巻き掛け部材34の回転によって第一支持部材26を軸心C1回りに回転させることができる。モータ33と第一巻き掛け部材34側との動力伝達はベルトによって行われている。なお、モータ33と第一巻き掛け部材34とはマッサージユニット8のフレーム28側に、第一支持部材26側とは離れて取り付けられている。
そして、ワイヤ35は第一巻き掛け部材34から、第二支持部材27に形成されている一方の筒状のガイド部50a内を通って、第一支持部材26の外周面に形成された凹溝26bに軸心C1を中心とするように巻き掛けられ、他方の筒状のガイド部50b内を通り、前記第一巻き掛け部材34に巻き掛けられている。したがって、第一巻き掛け部材34が正回転又は逆回転することによって、ワイヤ35は第一支持部材26を軸心C1回りに一方向又は他方向へ回転駆動させることができる。
【0056】
前記レベリング駆動機構31は、モータ36で回転駆動される円柱状の第二巻き掛け部材37と、この第二巻き掛け部材37と可動ベース29との間に架設されているワイヤ38とを有している。そして、ワイヤ38は第二巻き掛け部材37の回転によって可動ベース29を軸心C3回りに揺動させることができる。モータ36と第二巻き掛け部材37側との動力伝達はベルトによって行われている。なお、モータ36と第二巻き掛け部材37とはマッサージユニット8のフレーム28側に、可動ベース29側とは離れて取り付けられている。
そして、ワイヤ38は第二巻き掛け部材37から、第一支持部材26に形成されている一方の筒状のガイド部49a内を通って、可動ベース29の一方のフランジ部29bの外周面に形成された凹溝29dに軸心C3を中心とするように巻き掛けられ、他方の筒状のガイド部49b内を通り、第二巻き掛け部材37に巻き掛けられている。したがって、第二巻き掛け部材37が所定角度について正回転又は逆回転することによって、ワイヤ38は可動ベース29を軸心C3回りに一方向又は他方向へ揺動させることができる。
【0057】
そして、前記レベリング駆動機構31によれば、可動ベース29を第一支持部材26に対して揺動させることができ、被施療者に対して第一及び第二施療子の高さが変化するレベリング動作が可能となる。このレベリング動作による可動ベース29の軸心C3回りの揺動角度は、フレーム28に対して可動ベース29が水平となる状態(図3の状態)を基準とすると、一方へ10°〜20°揺動し、他方へ10°〜20°揺動することができる。
【0058】
また、前記ローリング駆動機構32によれば、第一支持部材26を第二支持部材27に対して回転させることができ、被施療者に対して第一及び第二施療子を回転させるローリング動作が可能となる。したがって、このマッサージ具7は、施療子を多様な方向へ移動させることができる。また、ローリング駆動機構32による可動ベース29の軸心C1回りの回転は、前記軸心C3とマッサージユニット8の移動方向とが平行である状態(図3の状態)を基準とすると、一方向へ180°回転させることができ、他方向へ180°回転させることができる。
そして、レベリング駆動機構31及びローリング駆動機構32は、図10に示しているように、制御手段10による制御によって動作することができる。つまり、制御手段10は、レベリング駆動機構31及びローリング駆動機構32が有しているモータ33,36のそれぞれに対して動作信号を与えることができる。
【0059】
前記ローリング駆動機構32が有しているその他の機能としては、ベース部21を貫く方向に向く軸心C1回りに当該ベース部21を回転させることで、第一及び第二施療子が接近または離反する挟み方向を調整する角度調整機構14としての機能がある。なお、前記ベース部21は、可動ベース29とこれを支持している第一支持部材26とからなる。
この角度調整機構14は、ベース部21を軸心C1回りに所定角度について回転させることで、第一施療子1a,1bと第二施療子2との両者による挟み方向を変更することができ、所望の方向に調整することができる。
すなわち、モータ33を回転させ、ベース部21を所定角度だけ一方向又は他方向に回転させることで実現できる。なお、ベース部21の回転角度や回転方向は制御手段10からの制御信号によって制御される。
【0060】
そして、この角度調整機構14によれば、第一及び第二施療子によって行われる挟み揉みの方向を左右のマッサージユニット8a,8b毎に異ならせることができる。これにより、例えば、一つのマッサージユニット8aを被施療者の右腰部に対応させ、他のマッサージユニット8bを被施療者の左肩部に対応させた場合に、これら二箇所において挟み揉みの方向を異ならせることができる。例えば、右腰部では左右方向の挟み揉みとし、左肩部では上下方向の挟み揉みとすることができ、身体の部位に応じた好ましいマッサージが可能となる。
【0061】
また、このマッサージ具7によって行われるその他の動作としては、施療子を搭載している可動ベース29を、マッサージユニット8のフレーム28に対して揺動させる二つの動作がさらにある。
具体的には、図5において、可動ベース29を第一支持部材26を介して支持している第二支持部材27は、そのアーム部27aによって、フレーム28が有している第一フレーム28aに、フレーム28側から被施療者側へまっすぐな軸心C4回り揺動自在に支持されている。そして、この第二支持部材27を第一フレーム28aに対して揺動駆動させる駆動手段(図示せず)が、マッサージユニット8に搭載されている。これにより、マッサージユニット8の移動方向の仮想の直線を跨ぐ方向にマッサージ具7は揺動(旋回)することができる。これ旋回駆動機能により、マッサージユニット8のフレーム28の位置を変更しないで、マッサージ具7を変位させてマッサージ位置の変更が可能となる。
【0062】
さらに、前記第一フレーム28aは、ローラ30が取り付けられている第二フレーム28bに、軸心C5回りに揺動自在に支持されている。軸心C5は、前記軸心C4及び前記マッサージユニット8の移動方向である仮想の直線に直交する方向とされている。そして、この第一フレーム28aを第二フレーム28bに対して揺動駆動させる駆動手段(図示せず)が、マッサージユニット8に搭載されている。これにより、第一及び第二施療子を搭載しているベース部21を被施療者に対して接近又は離反させることができ、当該第一及び第二施療子の被施療者に対する押圧度合いを調整することができる。すなわち、これにより指圧調整機構15を構成することができる。
【0063】
そして図12は、本発明の椅子型マッサージ機が備えている領域変更機構の変形例を示す概略図である。図12は背もたれ部4を背もたれ面側から見た図である。この領域変更機構は、図11に示した領域変更機構と同様に、左右一対のマッサージユニット8a,8bのうちのいずれか一方のマッサージユニットのマッサージ具7を、他方のガイド通路に進入させて当該マッサージ具7によるマッサージ領域を切り替えることができる。
図12に示している領域変更機構は、一方のガイド通路側に存在していた一方のマッサージユニットのマッサージ具7を、左右方向に揺動させることによって、他方のガイド通路側へ移動させる構造とされている。つまり、この領域変更機構は、図5に示したように、マッサージ具7の第二支持部材27が前記軸心C4回りに揺動駆動される前記旋回駆動機能によって実現されている。
【0064】
具体的には、図12において、右側のガイド通路6bに存在しているマッサージユニット8bのマッサージ具7を、左側のガイド通路6a側へ軸心C4を中心として略90°揺動させることによって、当該マッサージ具7を左側のガイド通路6aへ進入させている。すなわち、右側のマッサージユニット8bのフレーム28の位置を変更しないで、マッサージ具7を左方向に揺動させることで変位させ、マッサージ領域を右側から左側へ切り替えている。これにより、例えば、図12に示しているように、右側のガイド通路6bの存在している一方のマッサージユニット8bのマッサージ具7を左側のガイド通路6aの上部に進入させて位置させ、当該左側のガイド通路6aの下部に他方のマッサージユニット8aのマッサージ具7を位置させることができる。また、図示しないが、反対に、左側のガイド通路6aに存在しているマッサージユニット8aのマッサージ具7を右側のガイド通路6bに進入させて位置させることもできる。
【0065】
なお、本発明において、以上の実施の形態では、図1においてマッサージユニット8が脚載せ部6の領域まで移動する形態を説明したが、それ以外であってもよい。例えば、椅子型マッサージ機の別の実施の形態としては、図示しないが、背もたれ部の内部においてのみ、左側と右側に振り分けて左右一対のガイド通路が設けられたものがある。このガイド通路のそれぞれは、背もたれ部4の長手方向(身長方向)に沿って延設されている。そして、上記のマッサージ具が搭載されかつ各ガイド通路に移動自在に設けられた左右一対のマッサージユニットを備えている。そして、移動機構によって、これらのマッサージユニットを各ガイド通路に沿ってそれぞれ独立して移動させることができる。これによれば、各マッサージユニットを独立して移動させることで、身体の上半身(腰部から上)の左右両側の領域のそれぞれでかつ長手方向で異なる二箇所の部位に対しても同時にマッサージすることができる。
【0066】
また、さらに別の実施の形態としては、図示しないが、左右一対のガイド通路が、背もたれ部の内部、及び、背もたれ部の内部から座部3の内部にも連続して延設されており、左右一対のマッサージユニットがそれぞれ、移動機構によって座部の領域にも移動可能となっているものがある。つまり、背もたれ部と座部とについて、左側と右側に振り分けて左右一対のガイド通路が設けられている。これによれば、各マッサージユニットは座部の領域へ移動可能となり、座部においてマッサージを行うことができる。つまり、各マッサージユニットを独立して移動させることで、身体の上半身から臀部及び大腿部までの左右両側の領域のそれぞれでかつ長手方向で異なる二箇所の部位に対しても同時にマッサージすることができる。
また、これら二つの別の実施の形態において、座部の前端部に脚載せ部がさらに設けられたものであってもよい。
【0067】
さらに、マッサージ具7は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、施療子を三個以上としてもよい。例えば第一施療子を四個として、単一の第二施療子とともに、五本指の人の手と見立てるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1a,1b 第一施療子
2 第二施療子
3 座部
4 背もたれ部
5 脚載せ部
6a,6b,6c ガイド通路
7 マッサージ具
8a,8b,8c マッサージユニット
9 移動機構
14 角度調整機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、
この座部の後端部から立設された背もたれ部と、
この背もたれ部の内部において左右方向に複数に振り分けて配置されかつ当該背もたれ部の長手方向に沿って延設された複数のガイド通路と、
被施療者をマッサージするためのマッサージ具が搭載されかつ前記各ガイド通路に移動自在に設けられた複数のマッサージユニットと、
これらのマッサージユニットを前記各ガイド通路に沿ってそれぞれ独立して移動させる移動機構と、
を備えていることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記ガイド通路は、前記背もたれ部の内部だけではなく前記座部の内部にも連続して延設されており、前記マッサージユニットは前記移動機構によって前記座部の領域にも移動可能となっている請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記座部の前端部に脚載せ部が設けられ、前記ガイド通路は、前記背もたれ部及び座部の内部だけでなく前記脚載せ部の内部にも連続して延設されており、前記マッサージユニットは前記移動機構によって前記脚載せ部の領域にも移動可能となっている請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
座部と、
この座部の後端部から立設された背もたれ部と、
この背もたれ部の内部において上下方向に複数に振り分けて配置されかつ当該背もたれ部の左右方向に沿って延設された複数のガイド通路と、
被施療者をマッサージするためのマッサージ具が搭載されかつ前記ガイド通路に移動自在に設けられた複数のマッサージユニットと、
このマッサージユニットを前記ガイド通路に沿ってそれぞれ独立して移動させる移動機構と、
を備えていることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項5】
一つのガイド通路にある前記マッサージユニットのマッサージ具を他のガイド通路に進入させて当該マッサージ具によるマッサージ領域を切り替えるための領域変更機構を、更に備えている請求項1〜4のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記マッサージユニットは、複数個の施療子と、これら施療子を互いに接近又は離反させる駆動機構と、これら施療子が接近又は離反する方向を変更させる角度調整機構と、を有している請求項1〜5のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
前記マッサージユニットは、前記ガイド通路に沿って移動するためのモータを搭載している請求項1〜6のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−235190(P2011−235190A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188071(P2011−188071)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【分割の表示】特願2006−157131(P2006−157131)の分割
【原出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】