説明

椅子式のマッサージ装置

【課題】足台を下腿の長さに応じて伸長変位させながら、脚載部をふくらはぎのマッサージしたい位置に適合して変位でき、下腿の個人差とは無関係に誰でもがふくらはぎ、くるぶし、足裏などのマッサージを好適に行なえる椅子式のマッサージ装置を提供する。
【解決手段】背もたれ4と、座部2と、脚載部5と、脚載部5を支持するベース枠27と、足台6を備えている。脚載部5とべース枠27との間、足台6とべース枠27との間に、脚載部5および足台6を伸縮操作する第1・第2の伸縮機構を設ける。第1伸縮機構は、脚載部5のフレーム18とべース枠27との間に設けられる第1ガイド構造と、モーター53を駆動源とするフレーム駆動構造とで構成する。第2伸縮機構は、足台6の台枠22とべース枠27との間に設けられる第2ガイド構造と、台枠22を伸長待機位置へ向かって復帰付勢するばね61とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部の前側に下腿を支持する脚載部と足台とが設けてある椅子式のマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマッサージ装置において、使用者の下腿の長さに応じて脚載部と足台を伸縮させることは、特許文献1および特許文献2に公知である。特許文献1のマッサージ装置では、脚載部を2個の脚保持部材で構成し、これらの脚保持部材と足台とを伸縮構造で伸縮可能としている。伸縮構造は、固定レールでスライド案内される可動レールと、可動レールを退入付勢するばねと、脚保持部材および足台を伸縮操作するリンク機構とで構成してある。2個の脚保持部材は固定レールに沿って転動変位でき、足台は可動レールの突端に固定してある。
【0003】
特許文献2のマッサージ装置においては、座部と脚載部をスライド体で連結し、脚載部を座部に対してスライド伸縮可能としている。また、足台と脚載部とをスライド体で連結し、足台を脚載部に対してスライド伸縮可能としている。脚載部および足台は、それぞれ専用のばねで退縮する向きに移動付勢してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−8258号公報(段落番号0019、図6、図7)
【特許文献2】特許第4009648号公報(段落番号0015〜0016、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のマッサージ装置によれば、使用者の下腿の長さに応じて脚保持部材と足台を伸縮変位できるが、使用者によっては各脚保持部材の変位位置を、ふくらはぎやくるぶしなどのマッサージしたい位置に適合できないことがある。これは、ふくらはぎやくるぶしの位置が下腿の長さに概ね比例することを前提にして、2個の脚保持部材を足台の伸長量に比例してリンク機構で伸長変位させるためである。特許文献2のマッサージ装置によれば、脚載部と足台を個別にスライド操作できるものの、足台の伸長動作に連動して脚載部をスライド変位させるので、必ずしも脚載部を好適な位置に変位できるとは限らず、この場合にも脚載部をマッサージしたい位置に適合できないことがある。
【0006】
本発明の目的は、足台を下腿の長さに応じて伸長変位させながら脚載部をマッサージしたい位置に適合して変位でき、したがって、下腿の個人差とは無関係に誰でもがふくらはぎ、くるぶし、足裏などのマッサージを好適に行なえる椅子式のマッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマッサージ装置は、背もたれ4と座部2を有する椅子本体と、座部2の前側に配置される脚載部5と、脚載部5を支持するべース枠27と、脚載部5の下端に配置される足台6と、脚載部5と足台6のそれぞれに設けられるマッサージ体20・24を備えている。脚載部5のフレーム18とべース枠27との間に、脚載部5を伸長待機位置と伸長位置との間で伸縮操作する電動式の第1伸縮機構を設ける。足台6の台枠22とべース枠27との間に、足台6を伸長待機位置と伸長位置との間で伸縮操作する第2伸縮機構を設ける。以て、脚載部5と足台6とを第1伸縮機構と第2伸縮機構で独立して伸縮変位できることを特徴とする。
【0008】
前記足台6は足裏が当接可能に構成してある。第1伸縮機構は、フレーム18とベース枠27との間に設けられて、フレーム18を往復スライド自在に案内支持する第1ガイド構造と、モーター53を駆動源にしてフレーム18を往復駆動操作するフレーム駆動構造とで構成する。第2伸縮機構は、台枠22とベース枠27との間に設けられて、台枠22を往復スライド自在に案内支持する第2ガイド構造と、台枠22を伸長待機位置へ向かって復帰付勢するばね61とで構成する。
【0009】
第1ガイド構造は、フレーム18に設けた左右一対のスライド軸45と、ベース枠27に設けられて、スライド軸45を移行案内する複数組のガイドローラー47とで構成する。第2ガイド構造は、台枠22に設けた左右一対のスライド軸62と、ベース枠27に設けられて、スライド軸62を移行案内する複数組のガイドローラー67とで構成する。第1・第2の両ガイド構造のスライド軸45・62を平行に隣接配置する。
【0010】
脚載部5に、左右一対の下腿溝19を前向きに開口する状態で凹み形成する。第1伸縮機構のフレーム駆動構造は、モーター53と、モーター53で回転駆動される送りねじ軸54と、送りねじ軸54に噛み合う雌ねじ体55とで構成し、雌ねじ体55をベース枠27に設けたブラケット32に固定する。一対の下腿溝19を左右に区分する隔壁21内にモーター53を配置する。
【0011】
第1ガイド構造のガイドローラー47と第2ガイド構造のガイドローラー67とを、ローラーブラケット48とローラー軸49を共用する状態で一体に形成する。
【0012】
第2伸縮機構のばね61の一端を台枠22に掛止し、他端はフレーム18に掛止する。第1伸縮機構のモーター53の動作状態を制御する制御手段82を備えている。以て、足台6で足を受け止めた状態において、脚載部5を往復駆動して足裏に作用する押圧力を変化させるマッサージ態様が制御手段82に設定してある。
【0013】
脚載部5に設けたマッサージ体はエアセル20で構成する。エアセル20に膨張用空気を供給する空気供給源80と、空気供給源80からエアセル20への給排気状態を制御する分配装置81と、分配装置81および前記モーター53の作動状態を統合して制御する制御手段82とを備えている。脚載部5を足側からひざ側へ向かって移動させる状態において、エアセル20を膨縮させてふくらはぎのマッサージと、足裏のマッサージとを行なうマッサージ態様が制御手段82に設定してある。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマッサージ装置では、座部2の前側に配置される脚載部5のフレーム18とべース枠27との間に、脚載部5を伸縮操作する電動式の第1伸縮機構を設けた。また、足台6の台枠22とべース枠27との間に、足台6を伸縮操作する第2伸縮機構を設けた。このように、脚載部5と台枠22をベース枠27に対して個別に伸縮できるマッサージ装置によれば、脚載部5を電動式の第1伸縮機構で足台6の位置とは無関係に任意位置へ変位できる。したがって、本発明のマッサージ装置によれば、下腿における「ふくらはぎ」や「くるぶし」の位置の個人差に対応しながら、脚載部5の位置を自由に変更してマッサージを行なうことができ、ふくらはぎ、あるいはくるぶしなどのマッサージを誰もが好適に行なえる。
【0015】
モーター53を駆動源とするフレーム駆動構造と第1ガイド構造とで第1伸縮機構を構成し、台枠22を復帰付勢するばね61と第2ガイド構造とで第2伸縮機構を構成するマッサージ装置によれば、座部2に着座して足台6をばね61の張力に抗しながら足で踏み出すことにより、下腿の長さに応じた位置へ足台6を伸長させることができる。さらに、足台6を伸長させた状態のままで、脚載部5をフレーム駆動構造で伸縮操作して、脚載部5をモーター53の動力で使用者が望む位置へ変位操作できる。したがって、使用者は足台6を伸長させたのち、足台6の位置を基準にして脚載部5を変位させて、ふくらはぎの任意の部分をマッサージでき、従来のマッサージ装置に比べて、脚載部5によるマッサージ位置の自由度を拡大できる。さらに、足裏を当接できるように足台6を構成するので、足台6で足を受け止めた状態において、足載部5の位置を変位させて、ばね61の張力の変化に見合う力を足裏に作用させることができる。つまり、足載部5の位置を変位することによって、足裏に作用する力を大小に変更して、使用者の好みに適合した力を足裏に作用させることができる。しかも、使用者はコントローラーを操作してモーター53を稼動するだけで、楽にしかも円滑に脚載部5を変位できる。
【0016】
左右一対のスライド軸45と複数組のガイドローラー47で第1ガイド構造を構成し、左右一対のスライド軸62と複数組のガイドローラー67で第2ガイド構造を構成するマッサージ装置によれば、脚載部5および足台6をぐらつきのない状態で伸縮変位できる。また、両スライド軸45・62を平行に隣接配置することにより、脚載部5および足台6のガイド構造をフレーム18および台枠22とベース枠27との間に集約配置して、脚載部5および足台6の伸縮機構を簡素化できる。
【0017】
モーター53と、送りねじ軸54と、雌ねじ体55とでフレーム駆動構造を構成し、雌ねじ体55をベース枠27に設けたブラケット32に固定するマッサージ装置においては、脚載部5の側にモーター53を配置する必要がある。このようなフレーム駆動構造において、先のモーター53を一対の下腿溝19を左右に区分する隔壁21の内部に配置すると、モーター53が邪魔になるのを防止でき、外観上の体裁も同時に向上できる。また、隔壁21の内部空間にモーター53を配置するので、モーター53が脚載部5の後面へ大きく突出することもなく、したがって、脚載部5を上下に旋回操作する旋回機構を備えた既存のマッサージ装置であっても、支障なくフレーム駆動構造を付加できる。
【0018】
第1ガイド構造のガイドローラー47と第2ガイド構造のガイドローラー67とを、ローラーブラケット48とローラー軸49を共用する状態で一体に形成すると、ガイドローラー47・67を一体化して、脚載部5および足台6のガイド構造を簡素化しコンパクト化できる。脚載部5と足台6を個別に伸長操作できる機能を付加できるにもかかわらず、ガイド構造を簡素化できる分だけ、マッサージ装置の製造コストを削減できる。
【0019】
第2伸縮機構のばね61の一端を台枠22に掛止し、他端がフレーム18に掛止してあるマッサージ装置において、足台6で足を受け止めた状態において、脚載部5を往復駆動するマッサージ態様を実行すると、足台6と脚載部5の上下間隔が変化し、その分だけばね61が伸縮変形してばね圧が変化する。したがって、先のマッサージ態様においては、脚載部5を往復駆動することで足裏に作用する押圧力を変化させ、足裏に作用する圧迫感を大小に異ならせて、マッサージを行なうことができる。
【0020】
脚載部5に設けたマッサージ体をエアセル20で構成し、エアセル20の動作状態とモーター53の作動状態を制御手段82で統合して制御するマッサージ装置において、所定のマッサージ態様を実行すると、足裏に加えてふくらはぎのマッサージも併行して行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】脚載部および足台を伸縮変位させる伸縮機構を示す正面図である。
【図2】マッサージ装置の側面図である。
【図3】マッサージ装置の正面図である。
【図4】伸縮機構および旋回機構を示す縦断側面図である。
【図5】伸縮機構を示す分解正面図である。
【図6】図1におけるA−A線断面図である。
【図7】図1におけるB−B線断面図である。
【図8】フレーム駆動構造を示す縦断側面図である。
【図9】足台用の牽制構造を示す縦断側面図である。
【図10】脚載部および足台の使用例を示す側面図である。
【図11】足載部および足台のエアセルの制御構造の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例) 図1ないし図10は本発明に係る椅子式のマッサージ装置の実施例を示す。マッサージ装置は、図2に示すように、床面に載置される機台1と、機台1の上部に設けられる座部2およびひじ掛3と、座部2の後部に配置される倒伏自在な背もたれ4と、座部2の前側に配置される脚載部5と、脚載部5の下端に配置される足台6などで椅子状に構成してある。機台1、座部2、ひじ掛3、および背もたれ4で椅子本体を構成している。図3に示すように座部2およびひじ掛3の内部には、上腿および前腕をマッサージするエアセル10・11が設けてあり、背もたれ4の内部には、背中をマッサージする4個のエアセル12と、もみ玉13を備えたマッサージ装置14が設けてある。背もたれ4の左右両側に配置した肩受部7の内部にも、肩および上腕をマッサージするエアセル15が設けてある。
【0023】
脚載部5はフレーム18を基体にして構成してあり、その前部にふくらはぎを受け止める左右一対の下腿溝19が、前向きに開口する状態で凹み形成してある。下腿溝19の対向周面のそれぞれには、ふくらはぎをマッサージするエアセル(マッサージ体)20が設けてある。図3に示すように一対の下腿溝19は、横断面がコ字状の隔壁21を共有する状態で左右に区分してある。足台6は台枠22を基体にして構成してあり、その上面に足を受け止める左右一対の足受溝23が、上向きに開口する状態で凹み形成してある。足受溝23の対向周面と溝底のそれぞれには、くるぶし、および土踏まずをマッサージするエアセル(マッサージ体)24が設けてある。台枠22の後端下部には、床面で受け止められる車輪25が組み付けてある(図4参照)。
【0024】
脚載部5は、機台1の前部に密着する旋回待機位置(図2に実線で示す状態)と、座部2の前端下部に設けた旋回軸26の回りに上方旋回操作される旋回位置(図2に想像線で示す状態)とに姿勢変更できる。そのために、先の旋回軸26の回りに上下旋回可能に支持されるべース枠27と椅子本体との間に、べース枠27を介して脚載部5を上下旋回操作する旋回機構を設けている。旋回軸26は機台1の前面上部に固定したブラケット28で支持してある。
【0025】
図5に示すように、べース枠27は左右一対のチルトアーム30と、両チルトアーム30を橋絡する状態で固定される4個の桟体31とで構成してあり、両チルトアーム30の上端が、先に説明した旋回軸26で旋回可能に軸支してある。上側2個の桟体31の前面の左右中央にはブラケット32が固定され、ブラケット32の背面一側にはローラー受板33が固定してある。また、下側2個の桟体31の前面の左右には、後述するガイドローラー47が組み付けてあり、一方のガイドローラー47の一側近傍に光センサー34が固定してある。チルトアーム30は金属管材で、桟体31は四角筒状のチャンネル材で形成してある。
【0026】
図4に示すように旋回機構は、機台1の内部に配置されるモーターシリンダー37と、モーターシリンダー37で旋回操作される操作アーム38とで構成してある。モーターシリンダー37は、モーター動力で雌ねじ体を回転駆動し、雌ねじ体で操作ねじ軸39を出退操作する。操作アーム38は、先の旋回軸26の下方に設けた揺動軸40で前後揺動可能に支持してあり、その先端にローラー41が回転自在に軸支してある。ローラー41は、ローラー受板33を介してべース枠27を押し上げ操作する。操作ねじ軸39の突端は、操作アーム38の下部に連結してある。
【0027】
使用者の好みや下腿の長さに応じて脚載部5や足台6を伸縮変位させるために、脚載部5のフレーム18とべース枠27との間に第1伸縮機構を設け、足台6の台枠22とべース枠27との間に第2伸縮機構を設けている。第1伸縮機構は、脚載部5の背面側に位置するフレーム18とベース枠27との間に設けられる第1ガイド構造と、後述するモーター53を駆動源にしてフレーム18を往復駆動操作するフレーム駆動構造とで構成する。
【0028】
図5に示すようにフレーム18は、上下一対の横枠44と、両横枠44の側端寄りに固定される左右一対のスライド軸45と、両スライド軸45の間に固定されるモーターベース46などで構成してある。スライド軸45は金属管材で形成してあり、このスライド軸45と、ベース枠27に配置したガイドローラー47とで第1ガイド構造を構成している。図6および図7に示すようにガイドローラー47は、ベース枠27に固定されるコ字状のローラーブラケット48と、ローラーブラケット48の対向壁の前後および上下に軸支される4個のローラー軸49と、ローラー軸49で軸支される前後一対のローラー50とで構成する。ローラー50の周面には、スライド軸45の周面を受け止める凹溝が周回状に形成してある。
【0029】
図8においてフレーム駆動構造は、モーターベース46に固定されるモーター(ギヤードモーター)53と、モーター53で回転駆動される送りねじ軸54と、送りねじ軸54に噛み合う雌ねじ体55とで構成する。送りねじ軸54の一端はモーター53の出力部に連結され、他端はモーターベース46に固定した軸受56で軸支してある。雌ねじ体55の左右両側には連結軸57が突設してあり、これらの連結軸57を図6に示すようにベース枠27に固定したブラケット32の連結溝58に係合することにより、雌ねじ体55がブラケット32と一体化してある。
【0030】
上記のように、雌ねじ体55をブラケット32と一体化すると、モーター53で送りねじ軸54を正逆いずれかへ回転駆動するとき、モーター53および送りねじ軸54が雌ねじ体55に対して上下移動する。これにより、脚載部5をベース枠27に対して伸長待機位置と最大伸長位置との間で伸縮操作することができる。図4に示すように、モーターベース46に固定したモーター53は、モーターベース46の前方に大きく突出するが、先に説明した隔壁21で囲まれる空間の内部にモーター53を配置すると、モーター53が邪魔になるのを防止でき、外観上の体裁も同時に向上できる。
【0031】
第2伸縮機構は、足台6の下面に配置される台枠22とベース枠27との間に設けられて、台枠22を往復スライド自在に案内支持する第2ガイド構造と、台枠22を復帰付勢するばね61とで構成する。
【0032】
図5に示すように台枠22は金属管材を素材にして形成してあり、垂直に延びる左右一対のスライド軸62と、スライド軸62の下端に連続して前向きに折り曲げられるコ字枠63とで、側面から見てL字枠状に形成する。図4に示すようにコ字枠63には、底板64と補強桟65、および車輪25を軸支する車輪枠が固定してある。スライド軸62と、ベース枠27に配置したガイドローラー67とで第2ガイド構造を構成している。
【0033】
図6および図7に示すようにガイドローラー67は、先に説明したガイドローラー47とローラーブラケット48、および4個のローラー軸49を共用する状態で構成してあり、前後一対のローラー68を4個のローラー軸49で遊転自在に支持して構成する。このように、ローラーブラケット48およびローラー軸49を共用することによりガイドローラー47・67を一体化してガイド構造を簡素化し、コンパクト化できる。また、ローラー50・68を共通するローラー軸49で軸支することにより、第1ガイド構造のスライド軸45と、第2ガイド構造のスライド軸62とを近接配置して、平行な姿勢で案内支持できる。各ローラー68の周面には、スライド軸62の周面を受け止める凹溝が周回状に形成してある。
【0034】
ばね61は引っ張りばねで形成してあり、全体がスライド軸62の内部に収容されて、その下端がスライド軸62に固定したピン69に掛止され、上端がフレーム18の上側の横枠44に掛止してある(図1参照)。このように台枠22をばね61で移動付勢することにより、足台6が脚載部5の下面に密着する伸長待機位置へ向かって台枠22の全体を復帰操作できる。また、ばね61の上端を上側の横枠44に掛止するので、脚載部5の伸縮位置とは無関係にばね61を伸縮変位でき、したがって足台6をより軽い力で伸長変位できる。
【0035】
因みに、ばね61の上端がベース枠27に固定してある場合には、脚載部5が伸長変位するときにばね61が撓み変形するのを避けられず、その分だけ足台6を伸長変位させるときに大きな力を要することになる。横枠44には、スライド軸62に内嵌する短寸のガイド筒70が固定してあり、このガイド筒70によって伸長待機状態のスライド軸62の振れを規制できる。足台6が伸長限界を越えて伸長操作されるのを防ぐために、図9に示すようにフレーム18の下側の横枠44と補強桟65との間に牽制ベルト71を設けている。
【0036】
先に説明したように、脚載部5はモーター53を駆動源とするフレーム駆動構造で駆動するが、脚載部5の現在の変位量を検出するために、ベース枠27とフレーム18との間にセンシング構造を設けている。図5および図6においてセンシング構造は、ベース枠27に固定される光センサー34と、フレーム18のモーターベース46に固定される帯板状のセンシング枠73とで構成する。光センサー34は、投光部74と受光部75とを対向配置して構成してある。センシング枠73の板面には、投光部74から照射される検知光の通過を許す検知穴76の一群が一定間隔おきに直線列状に形成してある。
【0037】
脚載部5がベース枠27に対して上下動するとき、センシング枠73はフレーム18と共に上下動して、投光部74から照射される検知光を検知穴76を介して受光部75に受光させ、あるいは隣接する検知穴76の間の壁面によって検知光を遮断する。したがって、フレーム18の伸縮待機位置を基準にして、受光部75が出力した受光信号をカウントすることにより、脚載部5の現在位置を特定することができ、さらに脚載部5が伸縮ストロークの始端および終端の限界位置まで移行していることを特定できる。
【0038】
次に、主として脚載部5および足台6の動作を説明する。マッサージ装置を使用するときは、使用者は座部2に着座し、適当な角度で後傾させた背もたれ4に背中をあずけ、両腕をひじ掛3に載せる。さらに下腿を脚載部5の左右の下腿溝19にあてがい、足を足台6の足受溝23に踏み込んだ状態でマッサージを行なう。このとき、図示していないコントローラーを操作してモーターシリンダー37を駆動することにより、脚載部5を背もたれ4の後傾姿勢に適合するように旋回変位できる。また、足台6をばね61の付勢力に抗して踏み出し操作することにより、使用者の下腿の長さに適合した位置まで足台6を伸長変位できる。さらに、コントローラーを操作してモーター53を駆動することにより、図10に示すように脚載部5を使用者のふくらはぎの位置に適合して昇降変位できる。
【0039】
図11に足載部5および足台6のエアセル20・24の制御構造を示す。そこでは、エアセル20・24に膨張用空気を供給する空気供給源80と、膨張用空気のエアセル20・24への給排気状態を切り換える分配装置81と、分配装置81の作動状態を制御する制御手段82とが設けてある。制御手段31は、座部2、ひじ掛3背もたれ4および肩受部7の設けたエアセル10・11・12・17などの動作状態も一括して制御しており、さらに、足載部5を昇降操作する第1伸縮機構や、足載部5旋回操作する旋回機構、あるいは背もたれ4のリクライニング機構も一括して制御している。図示していないが、分配装置81は各エアセルに対応して設けられる電磁弁の一群で構成してあり、各電磁弁を給気状態と排気状態とに切り換えることにより、各エアセルを膨張させ、あるいは収縮させることができる。
【0040】
上記のように、本発明のマッサージ装置では、脚載部5を椅子本体でベース枠27を介して支持し、脚載部5のフレーム18および足台6の台枠22を、それぞれベース枠27に対して第1伸縮機構と第2伸縮機構で個別に伸縮変位できるようにした。このように、脚載部5と台枠22をベース枠27に対して個別に伸縮変位できるマッサージ装置によれば、座部2に着座した状態で足台6を踏み出し操作することにより、足台6を使用者の下腿の長さに応じて伸長変位でき、その状態のままで脚載部5を使用者がマッサージしたい位置まで変位操作できる。したがって、下腿における「ふくらはぎ」や「くるぶし」の位置の個人差とは無関係に、誰でもがふくらはぎ、くるぶし、足裏などのマッサージを好適に行なえる。必要があれば、脚載部5のエアセル20によって強く押圧される位置を、ふくらはぎの上下方向にずらして、好みの位置でマッサージを行なうことができる。脚載部5の旋回角度の違いによって、座部2から前方へ突出する下腿の突出量に違いが生じるが、その場合にも脚載部5を好みの位置まで伸縮変位させて、ふくらはぎやくるぶしを好適にマッサージできる。
【0041】
また、本発明のマッサージ装置によれば、以下のマッサージ態様で足裏やふくらはぎのマッサージを行なえる。そのひとつは、足台6で足を受け止めた状態において、脚載部5を上下に往復駆動するマッサージ態様である。足台6を復帰付勢するばね61の上端はフレーム18の横枠44に掛止してある。そのため、足を足台6で受け止めた状態において脚載部5を上下に往復駆動すると、足台6と脚載部5の上下間隔が変化し、その分だけばね61が伸縮変形しばね圧が変化する。したがって、足台6で足を受け止めた状態において脚載部5を上下に往復駆動するマッサージ態様を実行することにより、足裏に作用する押圧力を変化させて、足裏のマッサージを行なうことができる。
【0042】
他のマッサージ態様では、脚載部5を上下に往復駆動しながら、エアセル20を膨縮させる。このマッサージ態様では、足を足台6で受け止めた状態において、脚載部5が足側からひざ側へ向かって間欠的に移動するように、モーター53の動作状態を制御手段82でする。さらに、先のモーター53を停止させた状態において、下側一対のエアセル20と上側一対のエアセル20を記載順に膨縮させて、ふくらはぎをマッサージする。脚載部5が上昇限界位置まで移動したら、脚載部5を再び下降限界位置まで移動して、ふくらはぎを足側からひざ側へ向かって繰り返しマッサージする。このマッサージ態様においても、上記のマッサージ態様と同様に、足裏に作用するばね61のばね圧を変化させて、足裏のマッサージを行なうことができる。
【0043】
さらに、上記のように脚載部5を上下に往復駆動しながらエアセル20を膨縮させるマッサージ態様においては、上下のエアセル20を膨張ないし半膨張状態にした状態で、脚載部5を足側からひざ側へ向かって連続して上昇させ、ふくらはぎを上下のエアセル20で上向きに擦るようにしてマッサージを行なうことができる。
【0044】
上記の実施例では、モーター53の回転動力を送りねじ軸54と雌ねじ体55で往復動力に変換したが、その必要はない。例えば、ラックとピニオンを変換要素にして、あるいはタイミングベルトとタイミングプーリーを変換要素にして、モーター53の回転動力を往復動力に変換することができる。脚載部5および足台6に設けるマッサージ体20・24はエアセルである必要はなく、皮膚表面を擦るマッサージ要素や、ふくらはぎや足裏を機械的に揉みほぐすマッサージ要素であってもよい。足台6に設けられるマッサージ体24はエアセルである必要はなく、動力で駆動されるマッサージ体や、足裏に圧迫刺激を与えるための非駆動型の突起状のマッサージ体であってもよい。第2伸縮機構はばね61で復帰付勢する必要はなく、手動で足台6の位置を変位操作してもよい。また、第2伸縮機構を第1伸縮機構と同様にモーターを駆動源にして自動的に伸縮することができる。
【符号の説明】
【0045】
2 座部
4 背もたれ
5 脚載部
6 足台
18 フレーム
19 下腿溝
20 エアセル(マッサージ体)
22 台枠
23 足受溝
24 エアセル(マッサージ体)
26 旋回軸
27 ベース枠
45 スライド軸
47 ガイドローラー
53 モーター
54 送りねじ軸
55 雌ねじ体
61 ばね
62 スライド軸
67 ガイドローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれ(4)と座部(2)を有する椅子本体と、
前記座部(2)の前側に配置される脚載部(5)と、
前記脚載部(5)の下端に配置される足台(6)と、
スライド軸(62)が設けられ、該スライド軸(62)により伸長待機位置と伸長位置との間で伸縮可能な前記足台(6)の台枠(22)と、
前記台枠(22)を移動付勢することにより、前記足台(6)を伸長待機位置へ向かって復帰操作可能にするばね(61)と、
前記脚載部(5)と前記足台(6)のそれぞれに設けられるマッサージ体(20・24)とを備え、
前記ばね(6)が、前記スライド軸(62)の内部に収容されていることを特徴とする椅子式のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−232202(P2012−232202A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195058(P2012−195058)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2008−97157(P2008−97157)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】