説明

椅子

【課題】座体の高さ等を調節する操作機構を、支基ベースの上面に取付けられる上カバーの下面に組付け、支基ベースの構造を簡素化するとともに、メンテナンス等を容易とする。
【解決手段】ロック付ガススプリングにより伸縮可能な脚柱の上端に、座体を支持する支基を設け、この支基に、ガススプリングのロックを解除させる操作機構33や背凭れロック機構34を設けてなる椅子において、支基を、支基ベースと、その上面に取付けられる上カバー8とからなるものとし、この上カバー8の下面に、操作機構33や背凭れロック機構34を、支持部材41、47、56等をもって保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚柱の上端に設けた支基に、座体の高さ調節用のガススプリングを作動させる操作機構や、背凭れの傾動をロックしたり、ロックを解除したりする背凭れロック機構を設けてなる椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
座り心地を向上するために、座体の高さや背凭れの前後位置等を調節しうるようにした椅子は、例えば特許文献1及び2に記載されているものがある。
【特許文献1】特開2004−33449号公報
【特許文献2】特開2005−177180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1及び2に記載されている椅子は、いずれも、座体の高さを調節したり、背凭れの前後位置及び傾動強さ等を調節したりする操作機構や調節機構を、脚柱の上端に固着した支基ベース(支持体)の上面に集約して組付け、それらを、支基ベースに取付けた上カバーにより覆っている。
【0004】
そのため、支基ベースの形状が複雑となり、その製造コストが増大するとともに、支基ベース上の狭いスペースに、多数の部品を集約して組付けなければならないので、組付けが面倒となり、作業効率が悪くなる。
【0005】
また、支基ベースの組付工程と、操作機構や調節機構の組付工程とを、1つの組立てライン上で同時に行う必要があるため、組立効率も悪い。
さらに、操作機構や調節機構が支基ベースに組付けられていると、部品の変換やメンテナンス等を行う際の作業性が悪くなる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、座体の高さや背凭れの位置を調節する操作機構やロック機構を、支基における上カバーの下面に集約して組付可能とし、支基ベースの構造を簡素化してコスト低減を図るととともに、組付時の作業効率や組立効率を向上させうるようにし、かつ部品の交換やメンテナンス等も容易に行いうるようにした椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)ロック付ガススプリングにより伸縮可能な脚柱の上端に、座体を支持する支基を設け、この支基に、前記ガススプリングのロックを解除させる操作機構を設けてなる座体の高さ調節可能な椅子において、前記支基を、支基ベースと、その上面に取付けられる上カバーとからなるものとし、この上カバーの下面に、前記操作機構を、支持部材をもって保持する。
【0008】
(2)上記(1)項において、操作機構が、左右方向を向き、中間部が支持部材により上カバーの下面に回動可能に支持された操作杆と、この操作杆と平行をなして近接するように、上カバーの下面に左右方向の中間部が、支持板をもって受止され、一側端部を操作杆に設けた押動ロッドにより上向きに押動することにより、他端部が下向きに回動してガススプリングの上端に設けたロック解除杆を押動しうるようにした作動杆とを備える。
【0009】
(3)上記(1)項において、支基に、背凭れの傾動をロックしたり、ロックを解除したりする背凭れロック機構を設けてなるものにおいて、この背凭れロック機構も、上カバーの下面に、支持部材をもって保持する。
【0010】
(4)上記(3)項において、背凭れロック機構が、操作機構の操作杆の反対側において左右方向を向き、中間部が支持部材により上カバーの下面に回動可能に支持された操作杆と、この操作杆の後方において上カバーの下面に脱落不能かつ前後に移動可能に支持され、支基ベースに前後に回動可能に枢支された背凭れ支持杆と支基ベースとの間に設けた隙間に後方より係脱可能なロック部材と、このロック部材に後端が係止され、かつ前端を前記背凭れロック機構の操作杆に連係することにより、この操作杆の回動操作によりロック部材を前後方向に移動させうる側面視凸円弧状の作動ばねとを備えるものとする。
【0011】
(5)上記(4)項において、背凭れロック機構の操作杆を、操作機構の操作杆と同軸をなすように支持する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、脚柱に設けたガススプリングのロックを解除させる操作機構を、支基における上カバーの下面に、支持部材により保持して組付けたことにより、支基ベースに操作機構を組付けた従来のものに比して、支基ベースの構造が簡素化し、製造コストを低減することができる。
【0013】
また、支基ベース上の狭いスペースに多くの部品を組付ける必要がなく、しかも、脚柱に支基ベースを組付けたり、支基ベースに背凭れ等を組付ける工程と、上カバーに操作機構を組付ける工程とを分離し、別工程で行いうるので、予め操作機構を組付けておいた上カバーを支基ベースの上面に固定するのみの簡単な作業で、操作機構の支基への組付けが完了し、組立効率が向上する。
さらに、上カバーを支基ベースより取外すだけで、操作機構の部品交換やメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、操作機構を構成する部材の部品点数が少ないので、上カバーへの操作機構の組付けが容易であり、かつ操作杆と作動杆とは、平行をなして近接しているので、上カバーの部材支持部の占有領域を最小限とすることができ、上カバーの前後寸法を小さくしうるとともに、構造も簡素化するので、製造コストが低減される。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、背凭れロック機構も、上カバーの下面に組付けることにより、2つの機構が上カバーに集約され、支基ベースの構造をより簡素化しうるとともに、両機構の支基への組立効率やメンテナンス性も良好となる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、背凭れロック機構を構成する各部材を、操作機構と干渉しないようにして、上カバーの下面に組付けることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、ガススプリングの操作機構と背凭れロック機構の操作杆同士が同軸をなすように支持されているので、上カバーの両操作杆の支持部を左右対称で同形状とすることができ、上カバーの製造が容易となる。
また、両操作杆を、同一形状の支持部材により支持しうるので、コスト低減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用したリクライニング椅子の一実施形態を示す正面図、図2は、同じく側面図で、椅子(1)は、先端にキャスタ(2)が取付けられた放射方向を向く5本の脚杆(3)を有する脚体(4)と、その中心に立設された脚柱(5)と、この脚柱(5)の上端に前端部中央が取付けられた支基(6)とを備えている。
【0019】
支基(6)は、脚柱(5)の上端に固着された、上面が開口する箱状の支基ベース(7)と、その上面を覆う、下面が開口された箱状の上カバー(8)とからなっている。
【0020】
図3に示すように、脚柱(5)及びそれに固着された支基ベース(7)は、脚柱(5)内に収容されたロック付きガススプリング(9)のロック解除杆(9a)を、後記する操作機構(33)により押動させることにより、上下位置調節可能となっている。
【0021】
(10)(10)は、左右1対の背凭れ支持杆で、側面視概ねくの字形をなすとともに、下端には、内向き水平の枢軸部(10a)が連設されている。
【0022】
左右の背凭れ支持杆(10)の上端に固着された左右方向を向く背凭れ支持部材(11)(11)の上端の上向突出片(図示略)には、背凭れ(12)における左右両側の下端部が嵌合され、図示しないねじにより固着されている。
【0023】
支基ベース(7)の前端には、斜め前上方を向くとともに、前方に向かうにしたがって外側方に拡開する平面視枠状の座支持フレーム(13)が一体的に連設され、この座支持フレーム(13)における左右の前端部上面には、図3及び図4に示すように、左右両側面に前後方向を向く1対の外向コ字状のガイド溝(14a)(14a)を有するガイド部材(14)が、ボルト(15)により固着されている。
【0024】
左右のガイド部材(14)には、座体(16)における合成樹脂よりなる座板(17)の前端部の両側部下面が、それに一体形成された前後方向を向くスライド部材(18)(18)における下面のあり溝状のスライド溝(18a)を、上記両ガイド溝(14a)に摺動可能に嵌合することにより、前後方向に移動可能に支持されている。
【0025】
座板(17)の左右両側の後端部に一体的に上向突設された左右1対の座支持片(19)(19)の上端は、左右の背凭れ支持部材(11)に枢着され、これにより、座体(16)の後端は、左右の背凭れ支持杆(10)により回動可能に吊支されている。
【0026】
図3に示すように、支基ベース(7)の上面の凹部内の中央には、左右方向を向く内筒(20)と、それよりも大径かつ短寸の外筒(21)と、それらの間に固着されたトーションゴム(22)とからなる公知のゴムトーションユニット(23)が、外筒(21)が回り止めされて収容されている。
【0027】
図5に示すように、ゴムトーションユニット(23)における内筒(20)の両側端部には、左右の背凭れ支持杆(10)の枢軸部(10a)の内端部が外嵌され、それらにピン(24)を圧入することにより、互いに相対回転不能に連結されている。
【0028】
これにより、左右の背凭れ支持杆(10)及びそれに取付けられた背凭れ(12)には、内筒(20)がトーションゴム(22)を円周方向に弾性変形させる際に生じるねじり抵抗により、付勢力が付与される。
なお、ゴムトーションユニット(23)は、背凭れ支持杆(10)が常時前向きに付勢されるように、内筒(20)に初期付勢力を付与した状態で組付けられている。
【0029】
左右の背凭れ支持杆(10)における枢軸部(10a)の内端部外周面の上半部には、枢軸部(10a)の軸線と直交する方向を向くフランジ状の突部(25)が一体的に形成され、その前方への突出部の下面と後方への突出部の下面には、前限用被ストッパ段部(25a)と、それよりも若干上方に位置する後限用被ストッパ段部(25b)とが形成されている。
【0030】
前限用被ストッパ段部(25a)は、支基ベース(7)の左右両側部上面の凹部(26)内に前後方向に移動可能に遊嵌され、支基ベース(7)の下面より挿入したボルト(27)により固定された前限用ストッパ部材(28)の上面に、常時当接するとともに、後限用被ストッパ段部(25b)は、支基ベース(7)の後部上面の後限用ストッパ面(29)に当接しうるようになっている。これにより、背凭れ支持杆(10)と背凭れ(12)の前後方向への最大傾動量が規制される。
【0031】
前限用被ストッパ段部(25a)が前限用ストッパ部材(28)の上面に当接したとき、後限用被ストッパ段部(25b)と後限用ストッパ面(29)との間には、後方に開口する隙間(S)が形成されるようになっている。
【0032】
図6及び図7は、上記上カバー(8)を下方より見た分解斜視図と底面図を示す。
【0033】
上カバー(8)の下面は、皿状に上方に凹ませてあり、その左右両側部の中央に形成された半円状の凹溝(30)を、上記左右の背凭れ支持杆(10)の枢軸部(10a)に上方から回動可能に嵌合し、かつ四隅部に設けた挿通孔(31)より挿入したボルト(図示略)を、支基ベース(7)の上面のめねじ孔(32)に螺合することにより、上カバー(8)は支基ベース(7)の上面に着脱可能に取付けられる。
【0034】
上カバー(8)の下面には、上記ガススプリング(9)のロック解除杆(9a)を押動させて脚柱(5)を伸縮させ、座体(16)の高さを調節するためのガススプリング操作機構(33)と、背凭れ支持杆(10)の傾動をロックしたり、ロックを解除したりして、背凭れ(12)の前後位置を調節する背凭れロック機構(34)とが、次のようにして組付けられている。
【0035】
ガススプリング操作機構(33)は、外側端に操作ハンドル(35)を有する左右方向を向く操作杆(36)と、この操作杆(36)の内端に前向きに突設された押動ロッド(37)と、この押動ロッド(37)と直交する左右方向を向き、外側端部が押動ロッド(37)により上向きに押動可能な、中間部に前後方向を向く回動軸(38)を有する作動杆(39)と、作動杆(39)の内側端に圧嵌された、上記ガススプリング(9)のロック解除杆(9a)を押動可能な上下方向を向くプッシュロッド(40)とを備えている。
【0036】
操作杆(36)は、図8にも示すように、操作杆(36)の内端部に挿入された、外周の一部にスリット状の割り溝を有する支持部材(41)を、上カバー(8)における右方の前端寄りの側端部下面の凹部(42)に嵌挿したのち、支持部材(41)に連設された後方を向く取付片(41a)を、ボルト(43)をもって上カバー(8)の下面にねじ止めすることにより、上カバー(8)の下面に、支持部材(41)をもって回動可能に保持された状態で組付けられている。
【0037】
上カバー(8)のやや中央寄りの前端部下面には、上記作動杆(39)を取付けるための支持片(44)(45)が、前後に若干離間して突設され、後部の支持片(45)には、後面が閉塞された正面視下向U字状の支持溝(46)が形成されている。
【0038】
作動杆(39)は、その回動軸(38)を、上記支持片(45)の支持溝(46)に、作動杆(39)の外側端部が押動ロッド(37)の上方に位置するように回動可能に嵌合したのち、両支持片(44)(45)の下端に当接させた支持板(47)の前端部を、前部の支持片(44)にボルト(48)をもって固定することにより、回動軸(38)を中心として上下に揺動しうるように、上カバー(8)の下面に組付けられている。
【0039】
なお、この組付後において、上カバー(8)を支基ベース(7)の上面に取付けた際、プッシュロッド(40)の下端が、ガススプリング(9)のロック解除杆(9a)の上端と近接して対向するようになっている。従って、操作ハンドル(35)を図6において上向きに回動させると、押動ロッド(37)により作動杆(39)が揺動させられて、プッシュロッド(40)が図6において下方に移動することにより、ロック解除杆(9a)の上端が押動され、ガススプリング(9)のロックが解除させられる。
【0040】
上記背凭れロック機構(34)は、外側端に操作ハンドル(50)を有する長寸の操作杆(51)と、この操作杆(51)の内端部に固着された前方に長い左右1対の回動片(52)(52)と、上向きに凸円弧状に湾曲するワイヤ状の左右1対の作動ばね(53)(53)と、左右1対のロック部材(54)(54)とを備えている。
【0041】
操作杆(51)は、上記ガススプリング操作機構(33)側の操作杆(36)と同様、中間部に挿入された支持部材(41)を、上カバー(8)の左方の側端部下面の凹部(42)に嵌挿し、取付片(41a)(図8参照)をボルト(43)により固定することにより、上カバー(8)の下面に、右方の操作杆(36)と同軸をなすように回動可能に組付けられている。
【0042】
左右の作動ばね(53)の後端の外向折曲片(53a)は、それぞれ左右のロック部材(54)の中間部の左右方向を向く嵌合孔(図示略)に嵌合され、また同じく前端の内向折曲片(53b)は、左右の回動片(52)の前端部の嵌合孔(図示略)に嵌合されている。これにより、左右の回動片(52)と左右のロック部材(54)とは、作動ばね(53)を介して連係され、操作ハンドル(50)を図6において下方に回動操作したとき、ロック部材(54)は、作動ばね(53)により前方に移動させられるようになっている。
【0043】
左右のロック部材(54)は、上カバー(8)の後端部の左右両側部下面に突設した支持片(55)(55)の下面に当接され、正面視倒立L字状をなす保持板(56)(56)の後端部を、ボルト(57)をもって上カバー(8)の下面に固定することにより、上カバー(8)の下面に前後方向に移動可能に組付けられている。
【0044】
この組付時において、作動ばね(53)は、上カバー(8)の下面に設けた前後方向を向くガイド溝(58)に遊嵌されるようになっている。
【0045】
(59)は、クリックばね(ねじりコイルばね)で、左右方向の一方の足片(59a)を、上カバー(8)の前端部下面にボルト(60)により固定した係止片(61)の裏面に係止するとともに、他方の足片(59b)を、左方の回動片(52)の前端下部に嵌合して係止することにより、操作ハンドル(50)を、ほぼ水平をなす非操作位置と、下向きの操作位置とに節度感をもって回動させることができる。
【0046】
図9は、ガススプリング操作機構(33)及び背凭れロック機構(34)の各構成部材を組付けた後の上カバー(8)を、支基ベース(7)の上面に固定した際における図5と同じ部位の縦断側面図で、操作ハンドル(50)の非操作時を示している。
【0047】
この際には、上カバー(8)の後端部下面に組付けられたロック部材(54)は、操作杆(51)及び回動片(52)が回動しないため、作動ばね(53)の付勢力により、後限に位置し、後限用被ストッパ段部(25b)と後限用ストッパ面(29)との間の隙間(S)より後方に退避している。
【0048】
従って、背凭れ支持杆(10)及び背凭れ(12)は、前限用被ストッパ段部(25a)と後限用被ストッパ段部(25b)とが、それぞれ前限用ストッパ部材(28)と後限用ストッパ面(29)の上面と当接する範囲内で、前後方向にリクライニングすることができる。
【0049】
操作ハンドル(50)を下向きに回動すると、図10に示すように、操作杆(51)及び回動片(52)が側面視反時計方向に回動することにより、作動ばね(53)が前方に引っ張られ、ロック部材(54)は前方に移動する。これにより、背凭れ(12)が前限まで移動しているときに、ロック部材(54)の前端部が隙間(S)内に進入し、背凭れ支持杆(10)の前後方向の回動がロックされるため、背凭れ(12)のリクライニングも不能となる。
【0050】
なお、図示は省略するが、上カバー(8)を支基ベース(7)に取付けた状態で、ガススプリング操作機構(33)側の操作ハンドル(35)を上向きに回動すると、上述したように、操作杆(36)の押動ロッド(37)が上向きに回動し、作動杆(39)におけるプッシュロッド(40)が下向きに移動して、ガススプリング(9)のロック解除杆(9a)を押動することにより、座体(10)の高さを調節することができる。
【0051】
以上説明したように、上記実施形態の椅子(1)においては、座体(16)の高さを調節するためのガススプリング操作機構(33)を構成している操作杆(36)や作動杆(39)は、上カバー(8)の下面にボルト(43)(48)により固定された支持部材(41)と支持板(47)に保持されて落下が防止され、また背凭れ(12)の傾動をロックまたはロック解除して、その前後位置を調節する背凭れロック機構(34)を構成している操作杆(51)やロック部材(54)等も、上カバー(8)の下面にボルト(43)(57)により固定された支持部材(41)と保持板(56)により落下が防止されているので、ガススプリング操作機構(33)及び背凭れロック機構(34)を構成する全ての部材を、上カバー(8)の下面に集約して組付けることが可能となる。
【0052】
その結果、支基ベース(7)に各部材を集約して組付けた従来のものに比して、その構造が簡素化し、製造コストを低減することができる。
また、支基ベース(7)上の狭いスペースに多くの部品を組付ける必要がないので、組付けが容易となり、作業効率が向上する
【0053】
さらに、脚体(3)に支基ベース(7)を組付けたり、支基ベース(7)上にゴムトーションユニット(23)や背凭れ支持杆(10)を組付ける工程と、上カバー(8)にガススプリング操作機構(33)及び背凭れロック機構(34)を組付ける工程とを別々に行うことが可能となるので、全ての部材を予め別工程で組付けておいた上カバー(8)を、単に支基ベース(7)の上面に固定するだけで、ガススプリング操作機構(33)や背凭れロック機構(34)の支基(6)への組付けが完了し、組立効率が向上する。
【0054】
上カバー(8)を支基ベース(7)より取外すだけで、ガススプリング操作機構(33)や背凭れロック機構(34)の部品交換やメンテナンスを行いうるので、それらの作業性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を適用したリクライニング椅子の一実施形態を示す正面図である。
【図2】同じく、側面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う要部の平面図である。
【図4】図2のIV−IV線拡大縦断後面図である。
【図5】図3のV−V線拡大縦断側面図である。
【図6】上カバーとそれに組付けられる部材を下方より見分解斜視図である。
【図7】同じく、上カバーに、操作機構と背凭れロック機構を組付けた状態の底面図である。
【図8】図7のXIII−XIII線縦断側面図である。
【図9】支基ベースに上カバーを取付けた後の図5と同部位の縦断側面図である。
【図10】同じく、背凭れロック機構を操作して背凭れの傾動をロックしたときの縦断側面図である。
【符号の説明】
【0056】
(1)リクライニング椅子
(2)キャスタ
(3)脚杆
(4)脚体
(5)脚柱
(6)支基
(7)支基ベース
(8)上カバー
(9)ガススプリング
(9a)ロック解除杆
(10)背凭れ支持杆
(10a)枢軸部
(11)背凭れ支持部材
(12)背凭れ
(13)座支持フレーム
(14)ガイド部材
(14a)ガイド溝
(15)ボルト
(16)座体
(17)座板
(18)スライド部材
(18a)スライド溝
(19)座支持片
(20)内筒
(21)外筒
(22)トーションゴム
(23)ゴムトーションユニット
(24)ピン
(25)突部
(25a)前限用被ストッパ段部
(25b)後限用被ストッパ段部
(26)凹部
(27)ボルト
(28)前限用ストッパ部材
(29)後限用ストッパ面
(30)凹溝
(31)挿通孔
(32)めねじ孔
(33)ガススプリング操作機構
(34)背凭れロック機構
(35)操作ハンドル
(36)操作杆
(37)押動ロッド
(38)回動軸
(39)作動杆
(40)プッシュロッド
(41)支持部材
(41a)取付片
(42)凹部
(43)ボルト
(44)(45)支持片
(46)支持溝
(47)支持板
(48)ボルト
(50)操作ハンドル
(51)操作杆
(52)回動片
(53)作動ばね
(53a)外向折曲片
(53b)内向折曲片
(54)ロック部材
(55)支持片
(56)保持板
(57)ボルト
(58)ガイド溝
(59)クリックばね
(59a)(59b)足片
(60)ボルト
(61)係止片
(S)隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック付ガススプリングにより伸縮可能な脚柱の上端に、座体を支持する支基を設け、この支基に、前記ガススプリングのロックを解除させる操作機構を設けてなる座体の高さ調節可能な椅子において、前記支基を、支基ベースと、その上面に取付けられる上カバーとからなるものとし、この上カバーの下面に、前記操作機構を、支持部材をもって保持したことを特徴とする椅子。
【請求項2】
操作機構が、左右方向を向き、中間部が支持部材により上カバーの下面に回動可能に支持された操作杆と、この操作杆と平行をなして近接するように、上カバーの下面に左右方向の中間部が、支持板をもって受止され、一側端部を操作杆に設けた押動ロッドにより上向きに押動することにより、他端部が下向きに回動してガススプリングの上端に設けたロック解除杆を押動しうるようにした作動杆とを備えるものとした請求項1記載の椅子。
【請求項3】
支基に、背凭れの傾動をロックしたり、ロックを解除したりする背凭れロック機構を設けてなるものにおいて、この背凭れロック機構も、上カバーの下面に、支持部材をもって保持してなる請求項1記載の椅子。
【請求項4】
背凭れロック機構が、操作機構の操作杆の反対側において左右方向を向き、中間部が支持部材により上カバーの下面に回動可能に支持された操作杆と、この操作杆の後方において上カバーの下面に脱落不能かつ前後に移動可能に支持され、支基ベースに前後に回動可能に枢支された背凭れ支持杆と支基ベースとの間に設けた隙間に後方より係脱可能なロック部材と、このロック部材に後端が係止され、かつ前端を前記背凭れロック機構の操作杆に連係することにより、この操作杆の回動操作によりロック部材を前後方向に移動させうる側面視凸円弧状の作動ばねとを備えるものとした請求項3記載の椅子。
【請求項5】
背凭れロック機構の操作杆を、操作機構の操作杆と同軸をなすように支持してなる請求項4記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−282892(P2007−282892A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114456(P2006−114456)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】