説明

椅子

【課題】椅子の身体支持部を衛生的に保ち、且つ身体を安定的に保持できる椅子を提供する。
【解決手段】背凭れ部と、座部3と、フットレスト2に夫々身体支持部31,41を有する椅子において、前記椅子は、前記背凭れ部4とフットレスト2が座部3に対して回動することで、前記身体支持部31,41が収納される収納状態と、前記背凭れ部4とフットレスト2の少なくとも一方が座部3に対して回動することで、身体支持部31,41が使用可能となる展開状態とを有しており、前記収納状態は、前記フットレスト2が座部3を支持し、前記座部3が背凭れ部4を支持し、前記背凭れ部4の身体支持部31,41と座部3の身体支持部31,41が当接した状態であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背凭れ部と座部とフットレストを収納状態と展開状態に状態変形できる椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面に置かれるベース部(座部と背凭れ部)と、表側に着座面、裏側に身体を置くための載置面を有する可動上部(フットレスト)とを備えた椅子であって、着座面を上向きにした椅子状態から載置面を上向きに露出させる展開状態へ状態変更可能となるように、可動上部がベース部に連結された椅子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、床面に置かれ使用者の脚部を収容するフットレストと、フットレストに連結され、少なくとも使用者の臀部を支持する身体受け部とを備えた椅子であって、身体受け部の使用者の身体を置くための載置面は、フットレストの上部に位置する収納状態から載置面が上向きに露出する展開状態へ状態変更可能となるように、身体受け部がフットレストに回動可能に連結された椅子が提案されている(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−211144号公報
【特許文献2】特開2010−148815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の椅子は、展開状態のときには、左肘掛け部5及び背凭れ部6の上面5a、6aは床面(設置面)に当接しており、当該左肘掛け部5及び背凭れ部6が可動上部3を下方から支持するようになっている。収納状態のときには、床面(設置面)に当接した左肘掛け部5及び背凭れ部6の上面5a,6aが被施療者に触れることとなり、衛生上問題があるといえる。また、ベース部が背凭れ部と座部を一つとした構成となっているため、収納状態であっても全長が長くなってしまう。
また、展開状態において、左肘掛け部5及び背凭れ部6の上面5a、6aは床面(設置面)に当接しているが、着座面3bの箇所は床面に当接することができず、強い力が上部よりかかったときに、不安定となってしまう。
また、特許文献2記載の椅子は、身体支持面の上部又は側部に床に当接する支持部を有しており、身体と接触する可能性があり、衛生上問題があると言える。
【0005】
そこで本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、身体支持部を衛生的に保ち、且つ安定的に身体を保持できる椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
背凭れ部と、座部と、フットレストに夫々身体支持部を有する椅子において、前記椅子は、前記背凭れ部とフットレストが座部に対して回動することで、前記身体支持部が収納される収納状態と、前記背凭れ部とフットレストの少なくとも一方が座部に対して回動することで、身体支持部が使用可能となる展開状態とを有しており、前記収納状態は、前記フットレストが座部を支持し、前記座部が背凭れ部を支持し、前記背凭れ部の身体支持部と座部の身体支持部が当接した状態であることを特徴とする。このような構成とすることで、背凭れ部と座部の身体支持部は互いに当接して収納されるため、身体支持部に埃等がたまらず、身体支持部を衛生的に保つことができる。
また、このような構成とすることで、展開状態のバリェーションを多くしつつも、収納状態ではコンパクトにすることができる。
【0007】
また、前記収納状態において、フットレストの身体支持部は床面方向を向いていることが好ましい。このような構成とすることで、フットレストの身体支持部は、収納時に床面に向かって保持され、埃等がたまりにくく、衛生的である。
【0008】
また、前記椅子の座部は、収納状態と、展開状態で座部の高さが変更され、展開状態の座部の位置は、収納状態の座部の位置より低いことが好ましい。このような構成とすることで、展開時(使用時)には座面の位置が低くなり、安定性が増す。
【0009】
また、前記椅子は、前記背凭れ部と座部との間、前記座部とフットレストとの間に回動機構を有しており、前記座部とフットレストの回動機構は、少なくとも2以上の関節を有しており、前記関節と関節の間には、所定長さを有する中間接続部を有していることが好ましい。このような構成とすることで、前記座部とフットレストを展開させたときに、関節が1つの回動機構と比べて、座部とフットレストの距離をあけることができ、座部とフットレストが近づきすぎて、使用者が窮屈に感じることを軽減できる。
【0010】
また、前記椅子の展開状態は、前記収納状態から、前記背凭れ部のみが、前記座部に対して展開した第一展開状態と、前記収納状態から、前記フットレストのみが、前記座部に対して展開した第二展開状態と、前記収納状態から、前記背凭れ部が、前記座部に対して展開し、且つ前記フットレストが、前記座部に対して展開した第三展開状態と、があることが好ましい。このような構成とすることによって、複数の展開状態を選択的に使用できる。
【0011】
また、前記椅子の背凭れ部と座部とフットレストが夫々有する身体支持部の少なくとも一方に施療部を有することが好ましい。このような構成とすることで、使用者は椅子のみならず、マッサージ機として使用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、座面とフットレストを清潔に保つことができ、展開時であっても安定的に身体を保持することができる椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一実施形態に係る収納状態における椅子の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る第一展開状態における椅子の全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る第二展開状態における椅子の全体構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る第三展開状態における椅子の全体構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の椅子の収納方法と展開方法を示す側面図であり、図5(a)は、収納状態における椅子の側面図であり、図5(b)は、展開途中における椅子の側面図であり、図5(c)は、展開状態における椅子の側面図である。
【図6】本発明の椅子の使用状態を示す側面図であり、図6(a)は、収納状態における椅子の使用状態を示す側面図であり、図6(b)は、第一展開状態における椅子の使用状態を示す側面図であり、図6(c)は、第二展開状態を示す側面図であり、図6(d)は、第三展開状態を示す側面図である。
【図7】本発明の椅子の座部とフットレストの間にある第一回動機構を示す図であり、図7(a)は、距離調節部が収縮している側面図であり、図7(b)は、距離調節部が収縮している正面図であり、図7(c)は、距離調節部が伸長している側面図であり、図7(d)は、距離調節部が伸長している正面図である。
【図8】本発明の椅子の背凭れ部と座部の間にある第二回動機構を示す図であり、図8(a)は、第二回動機構の高さ調節機構と距離調節機構の両方が動作していない図であり、図8(b)は、第二回動機構の高さ調節機構が動作した図であり、図8(c)は、第二回動機構の距離調節機構が動作した図であり、図8(d)は、第二回動機構の高さ調節機構と距離調節機構の両方が動作した図である。
【図9】本発明の椅子のフットレスト高さ調節機構の図である。
【図10】本発明の椅子の他の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[全体構成]
以下、本発明の第一実施形態に係る椅子について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る収納状態における椅子の全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る第一展開状態における椅子の全体構成を示す斜視図である。図3は、本発明の第一実施形態に係る第二展開状態における椅子の全体構成を示す斜視図である。図4は、本発明の第一実施形態に係る第三展開状態における椅子の全体構成を示す斜視図である。図5は、本発明の椅子の収納方法と展開方法を示す図である。
【0015】
図1〜図4に示すように、本発明の第一実施形態に係る椅子1は、使用者Aの脚部を保持することができるフットレスト2と、使用者Aの臀部を支持することができる座部3と、使用者Aの背中を支持する背凭れ部4を備えている。 図1に示す椅子1は、後述する図2〜4に示す展開状態の椅子1から背凭れ部4とフットレスト2を収納した収納状態である。図1に示す、本発明の第一実施形態に係る椅子1は、展開状態において、使用者Aの脚部を保持することができるフットレスト2と、使用者Aの臀部を支持することができる座部3と、使用者Aの背中を支持する背凭れ部4を備えている。
本発明の収納状態において、背凭れ部4は座部3に当接し、座部3はフットレスト2に当接して収納されている。このとき、フットレスト2は、当接した状態の背凭れ部4と座部3を支持することとなる。
【0016】
図1及び図2に示すように、第一展開状態において、背凭れ部4は、座部3に対して回動可能に連結して構成されており、所定の角度で固定され、身体を支持する。背凭れ部4は、収納状態と第一展開状態に状態変化させることが可能であり、背凭れ部4と座部3は展開によって、背凭れ部4の身体支持部41と座部3の身体支持部31が使用可能となる。また、座部下面32は床面Fになく、フットレスト2の上部にある。この際フットレスト2のみが床面Fに接している。
【0017】
図1及び図3に示すように、第二展開状態において、フットレスト2は、座部3に対して回動可能に連結して構成されており、座部3の前方位置まで回動し、身体を支持する。
第二展開状態では、背凭れ部4と座部3が当接し、フットレスト2が、座部3に対して展開することで、フットレスト2の身体支持部21が使用可能となる。また、この際に、座部下面32とフットレスト2は床面Fと当接している。
【0018】
図1及び図4に示すように、第三展開状態において、背凭れ部4は、座部3に対して回動可能に連結して構成されており、所定の角度で固定され、身体を支持し、フットレスト2は、座部3に対して回動可能に連結して構成されており、座部3の前方位置するまで回動し、身体を支持する。
第三展開状態では、背凭れ部4及びフットレスト2は座部3に対する展開によって、夫々の身体支持部21,31,41が使用可能となる。また、この際に、座部下面32とフットレスト2は床面Fと当接している。
【0019】
なお、本明細書における方向の概念は、第一〜第三の展開状態においては、座部3の身体支持部31に着座した使用者Aが正面を向いて、その前方が「前」であり、後方が「後」であり、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭側が「上」であり、腰側が「下」であり、収納状態においては、展開状態における座部3の方向を基準として椅子全体の方向を規定する。その他の場合は適宜説明するものとする。
【0020】
[フットレストの構成]
図3及び図4に示すように、フットレスト2は、下肢を保持すべく、凹状に形成されており、第一床当接面22を有する側壁24,第二床当接面23を有する底壁25,底壁25に設けられた身体支持部21,施療部26を有している。
また、フットレスト2はクッション材と合成皮革等のカバーに覆われており、後述する施療部26に対応する位置にポケット等よりなる施療子収納部(図示せず)が設けられている。なお、施療子収納部は、面ファスナー等で位置を固定する構成としてもよい。
【0021】
フットレスト2の第一床当接面22は、側壁24の上部に設けられており、身体支持部21の左右両端に設けられている。第一床当接面22は、フットレスト2を収納した際に、床面Fへと接触し、身体支持部21は床面Fを向き、フットレスト2を展開した際には、身体支持部21とともに上方を向くことなる。また、収納状態では、身体支持部21は床方向を向くので、埃や塵がたまらず、身体支持部21(又は施療部26)の衛生が保たれる。
【0022】
フットレスト2の第二床当接面23は、フットレスト2の収納時に、座部下面32と当接しており、展開時に、床面Fと当接する。
また、図9に示すように、第二床当接面23は、高さ調節機構27を有していてもよく、座部3の座面(身体支持部31)に対する高さを調節できるようにしてもよい。高さ調節機構27は、第二床当接面側に設けられており、アクチュエータ27aにより、フットレスト2が有する身体支持部21の高さが調節されるようになっている。
【0023】
フットレスト2の側壁24は、身体支持部21の左右両端に設けられている。側壁24の高さは、身体支持部21及び施療部26よりも高く設けられており、収納時に身体支持部21及び施療部26が床面Fに当接しない程度の高さである。
このように、構成することで、フットレスト2が有する身体支持部21は床面Fに当接せず、身体支持部21(又は施療部26)を清潔にしておくことができる。
【0024】
フットレスト2の身体支持部21は、底壁25の第二床当接面23の反対の面に設けられている。身体支持部21は、下肢を振り分ける分離丘28をその中央に有しており、下肢の長手方向に施療部26を有している。施療部26は、エアの給排気によって、膨張収縮するエアセル26aである。エアセル26aは、左右の側壁24の内側面24a及び分離丘28の左右側面に設けられている。
【0025】
[座部の構成]
座部3は、身体支持部31、施療部33、リモートコントロール装置(図示せず)、電源スイッチ、エア給配装置、座部3とフットレスト2を接続する第一回動機構5と、座部3と背凭れ部4を接続する第二回動機構6を有している。
また、座部3はクッション材と合成皮革等のカバーに覆われており、施療部のエアセルに対応する位置にポケット等よりなる施療子収納部(図示せず)が設けられている。なお、施療子収納部は、面ファスナー等で位置を固定する構成としてもよい。
【0026】
座部3の身体支持部31は、略凹状をしており、緩やかにカーブを描くように形成されている。
また、座部3の身体支持部31は、施療部33を有している。
【0027】
座部3の施療部33は、被施療者の臀部及び大腿部を側方から押圧する側方施療部33aと臀部を下方から押圧する臀部押圧部33bを有している。前記施療部33は、エアの給排気によって、膨張収縮するエアセルである。臀部及び大腿部を押圧するエアセルは、身体への距離調節用のエアセルと施療用のエアセルを有している。身体への距離調節用のエアセルは、エアセルとエアセルの端部にバンドが設けられており、エアセルの膨張量を規制し、バンドの長さによって、膨張方向を変えることができる。臀部押圧部のエアセルは、尾てい骨付近を押圧するよう配置されている。
【0028】
座部3の側部には、リモートコントロール装置(図示せず)がつながれており、近傍に電源スイッチ(図示せず)が配置されている。
【0029】
座部3は、座部3とフットレスト2を回動可能に接続する第一回動機構5を有している。前記第一回動機構5は、複数の関節を有する多関節の回動機構である。図5に示すように、第一回動機構5は、座部接続部53とフットレスト接続部52と中間接続部51と回動角度調整部55を有しており、座部3とフットレスト2の位置を調節できるように構成されている。
座部接続部53とフットレスト接続部52は、中間接続部51を介して接続されており、夫々回動可能となっている。
【0030】
また、中間接続部51は、所定長さを有しており、前記所定長さは、収納状態における、座部接続部53からフットレスト接続部52までの長さが好ましい。このような構成とすることで、展開時において、座部3とフットレスト2の距離をあけることができ、座部3とフットレスト2が近づきすぎて、使用者が窮屈に感じることを軽減できる。また、座部下面32とフットレスト2の第二床当接面23は、床を傷つけないようにクッション材が設けられている。このため、座部接続部53とフットレスト接続部52は、クッション材の厚みよって、接続部から接続部までの距離が開いてしまう。この状態で、座部接続部53とフットレスト接続部52をつなごうとすると、展開状態では、容易に夫々の接続部を繋ぎ合わせることができるが、収納状態では、クッション材の厚みによって、夫々の接続部をつなぎ合わせることが困難である。よって、中間接続部51はクッション材の厚みを考慮した所定長さを有していることが好ましい。
【0031】
また、中間接続部51は、距離調節部51aを有しており、座部3とフットレスト2の距離を適切な位置に調整可能となっていることが好ましい。
また、距離調節部51aは、調節した距離を保持するロック機構51bが設けられている。
【0032】
また、回動角度調整部55は、調整した角度を保持するロック機構55aを有しており、フットレスト2の高さ(角度)も調節可能となっている。このような構成とすることで、フットレスト2と座部3の位置を調節でき、フットレスト2と座部3の高さを調整できる。 また、フットレスト2の高さ調節については、別途高さ調節機構27を設けてもよい。図9に示すように、高さ調節機構27は、フットレスト2の第二床当接面23に設けられていてもよく、エアセル27aなどで、フットレスト2の身体支持部21と座部3の身体支持部31の高さが同じになるように調節してもよい。
【0033】
座部3は、座部3と背凭れ部4を回動可能に接続する第二回動機構6を有している。図8に示すように、前記第二回動機構6は、座部接続部63と背凭れ部接続部64と回動角度調整部65と距離調節部66と高さ調節機構67を有しており、座部3と背凭れ部4の位置を調節できるように構成されている。また、距離調節部66には、調節した距離を保持するロック機構66aが設けられている。高さ調節機構67は、被施療者の背中に合せて、その高さが変更できるようになっている。高さ調節機構67は、従来から使用されているような、調整スロットと歯止掛合部を設けて長さを調節するような構成であってもよい。
【0034】
座部3は、内部が空洞になっており、エア給配装置を有している。
エア給配装置は、制御部、電磁弁を有している。これにより、背凭れ部4,座部3,フットレスト2の夫々の施療部42,33,26へと夫々給気される。
【0035】
[背凭れ部の構成]
背凭れ部4は、身体支持部41、施療部42、取っ手(図示せず)を有している。
【0036】
背凭れ部4の身体支持部41は、被施療者の背中を保持すべく、形成されている。背凭れ部4の身体支持部41は、収納状態において、座部3の身体支持部31と対向するように構成されている。また、背凭れ部4はクッション材と合成皮革等のカバーに覆われており、後述する施療部42のエアセルに対応する位置にポケット等よりなる施療子収納部(図示せず)が設けられている。なお、施療子収納部は、面ファスナー等で位置を固定する構成としてもよい。
【0037】
背凭れ部4の施療部42は、被施療者の背中を押圧すべく、左右に配置されている。左右の施療部42は、身体の首側に回動支点を有しており、腰側が扇状に膨張する。前記施療部42は、エアの給排気によって、膨張収縮するエアセルであってもよい。
【0038】
背凭れ部4の取っ手は、背凭れ部4の上部に設けられる。取っ手は、芯材を内部に有しており、合成皮革等で覆われている。この取っ手をもって、背凭れ部4を上部に引き上げることで、背凭れ部4が展開し、フットレスト2が展開するので、収納状態から展開状態へ状態変更しやすくなっている。
【0039】
[収納状態と展開状態について]
次に、図5及び図6に基づいて、本発明の収納方法と展開方法について説明する。
図5は本発明の椅子の収納方法と展開方法を示す側面であり、図5(a)は、収納状態における椅子の側面図であり、図5(b)は、展開途中における椅子の側面図であり、図5(c)は、展開状態における椅子の側面図である。図6は、本発明の椅子の使用状態を示す側面図であり、図6(a)は、収納状態における椅子の使用状態を示す側面図であり、図6(b)は、第一展開状態における椅子の使用状態を示す側面図であり、図6(c)は、第二展開状態を示す側面図であり、図6(d)は、第三展開状態を示す側面図である。
【0040】
図5(a)に示す収納状態では、背凭れ部4は、座部3に対して回動可能となっており、背凭れ部4の身体支持部41と座部3の身体支持部31が対向するように構成されている。背凭れ部4の身体支持部41と座部3の身体支持部31が当接している。
また、フットレスト2は、座部3に対して回動可能となっており、座部下面32とフットレスト2の第二床当接面23とが対向し、フットレスト2の第一床当接面22が床面Fへと対向するように構成されている。座部下面32とフットレスト2の第二床当接面23とが当接し、フットレスト2の第一床当接面22が床面Fへ当接している。このような状態で収納することで、夫々の身体支持部21,31,41が隠された状態となり、身体支持部21,31,41に埃等がたまらない。
【0041】
図5(b)に示す展開途中の図では、背凭れ部4の身体支持部41と座部3の身体支持部31が離間するように展開し、座部下面32とフットレスト2の第二床当接面23と離間するように展開し、座部3の下方よりフットレスト2が前方へ引き出されるようになっている。
また、収納される際には、背凭れ部4の身体支持部41と座部3の身体支持部31が当接し、座部下面32とフットレスト2の第二床当接面23が当接するように回動する。
【0042】
図6に示す展開状態は、前記収納状態から、前記背凭れ部4のみが、前記座部3に対して展開した第一展開状態と、前記収納状態から、前記フットレスト2のみが、前記座部3に対して展開した第二展開状態と、前記収納状態から、前記背凭れ部4が、前記座部3に対して展開し、且つ前記フットレスト2が、前記座部3に対して展開した第三展開状態とがある。
【0043】
図6(a)に示す収納状態では、使用者Aが背凭れ部4の背面43に着座した状態が示されている。収納状態において、背凭れ部4の背面43へと着座することで、背凭れ部4のない簡易な椅子として使用が可能である。
【0044】
図6(b)に示す第一展開状態は、背凭れ部4のみを展開させた状態である。背凭れ部4は、座部3に対して回動可能となっており、背凭れ部4の身体支持部41と座部3の身体支持部31が離間するように展開した状態である。座部下面32は、フットレスト2の第二床当接面23と当接し、フットレスト2の第一床当接面22が床面Fへ当接する。この際、フットレスト2の身体支持部21は、床面Fと対向しており、使用しない身体支持部21は埃等がたまらないようになっている。
さらに、座部3は床面Fより高い位置にあり、座部下面32は床面Fと当接しない。この状態は使用者Aが、膝を曲げて着座するようになっており、通常の椅子としても使用することが可能である。また、座部3及び背凭れ部4に設けた施療部33,42によって、使用者Aに施療を施すことが可能である。
【0045】
図6(c)に示す第二展開状態は、フットレスト2のみを展開させた状態である。背凭れ部4の身体支持部41と座部3の身体支持部31が当接し、座部下面32とフットレスト2の第二床当接面23とが床面Fに接するよう展開した状態である。この状態は、使用者Aが、足を伸ばして着座するようになっている。また、フットレスト2に設けた施療部26によって、使用者Aに施療を施すことができので、フットマッサージャーとして使用することができる。
フットレスト2は、展開した状態で、高さを調節するようにしてもよく、距離を調節ができるものが好適である。
【0046】
図6(d)に示す第三展開状態は、背凭れ部4とフットレスト2を展開させた状態である。さらに詳しく説明すると、背凭れ部4の身体支持部41と座部3の身体支持部31が離間するように背凭れ部4を展開させ、座部下面32とフットレスト2の第二床当接面23とが床面Fに接するようフットレスト2を展開した状態である。
座部下面32とフットレスト2の第二床当接面23は、収納状態においては、相互に当接し、第三展開状態においては、いずれも床面Fに当接するようになっている。この第三展開状態は被施療者が膝を伸ばして着座するようになっており、座椅子型のマッサージチェアとしての使用が可能であり、座部3とフットレスト2が床面Fに当接し、安定的に使用者を保持できる。
【0047】
[回動機構について]
次に図7及び図8に基づいて、本発明の回動機構について説明する。図7は本発明の椅子の座部とフットレストの間にある第一回動機構を示す図であり、図7(a)は、距離調節部が収縮している側面図であり、図7(b)は、距離調節部が収縮している正面図であり、図7(c)は、距離調節部が伸長している側面図であり、図7(d)は、距離調節部が伸長している正面図である。図8は本発明の椅子の背凭れ部と座部の間にある第二回動機構を示す図であり、図8(a)は、第二回動機構の高さ調節機構と距離調節機構の両方が動作していない図であり、図8(b)は、第二回動機構の高さ調節機構が動作した図であり、図8(c)は、第二回動機構の距離調節機構が動作した図であり、図8(d)は、第二回動機構の高さ調節機構と距離調節機構の両方が動作した図である。なお、図8では、フットレスト2及び回動機構5を省略して図示している。
該椅子1は、座部3とフットレスト2の間に第一回動機構5を設けており、背凭れ部4と座部3の間に第二回動機構6を設け、収納状態と展開状態を可能にしている。
【0048】
図7に示す、座部3とフットレスト2の第一回動機構5は、座部接続部53とフットレスト接続部52、距離調節部51aよりなっている。座部接続部53の端部は、距離調節部51aの端部と枢着されており、回動可能となっている。フットレスト接続部52の端部は、距離調節部51aの端部と枢着されており、回動可能となっている。距離調節部51aは、板状の部材であり、その端部には座部接続部53とフットレスト接続部52が設けられている。距離調節部51aの板状部材は、コの字状の板材を重ねて形成されており、その内部にはロック機構51bとコイルバネが配置されている。この距離調節部51aによって、座部3とフットレスト2の距離を適切な位置に調整し可能となっている。
また、第一回動機構5を設けることで、距離調整が可能となるため、使用者Aが窮屈に感じることを軽減できる。
【0049】
図8に示す、背凭れ部4と座部3の第二回動機構6は、回動角度調整部65を有しており、回動角度調整部65は、ロック機構を有している。この構成によって、回動角度が調節できるようになっている。該回動角度調整部65は、従来から採用されているような、ラチェット方式でもよく、手動自動を問わない。これによって背凭れ部4と座部3は第二回動機構6より、収納状態と展開状態に状態変化する。
また第2回動機構6は、背凭れ部4の高さを調節する高さ調節機構67と、背凭れ部4と座部3の距離を調節する距離調節部66を有している。高さ調節機構は67、背凭れ部4を上方向に引き上げることで、背凭れ部4の高さが変更される様になっている。この構成は、背凭れ部4の内部に円筒形状の筒を設け、回動機構6の背凭れ部4への接続端を筒内へ挿通するような、従前知られるスライド機構などでもよい。背凭れ部4の高さを使用者に合せて変更ができるようになっている。
このような構成とすることで、使用者Aが窮屈に感じることを軽減できる。
【0050】
図10は、本発明の他の実施形態係る椅子の側面図である。図10のように、前記座部3の第一回動機構5と第二回動機構6を、夫々対角上に設けてもよい。第一回動機構5は、座部下面32側の端に設けられており、第二回動機構6は、座部3の身体支持面31側の端に回動機構が設けられている。
この実施例では、座部下面32とフットレスト2の第二床当接面23にクッション材を設けない。このような構成とすることで、本願の効果を達成しながらも、構成を簡素化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、フットレストと座部,背凭れ部を折畳める椅子において、座面とフットレストを清潔に保つことができ、展開時であっても、安定的に身体を保持することができる椅子に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 椅子
2 フットレスト
3 座部
4 背凭れ部
5 第一回動機構
6 第二回動機構
21,31,41 身体支持部
22 第一床当接面
23 第二床当接面
24 側壁
25 底壁
27 高さ調節機構
28 分離丘
32 座部下面
51 中間接続部
52 フットレスト接続部
53 座部接続部
55 回動角度調整部
63 座部接続部
64 背凭れ部接続部
65 回動角度調整部
66 距離調節部
67 高さ調節機構
A 使用者
F 床面




【特許請求の範囲】
【請求項1】
背凭れ部と、座部と、フットレストに夫々身体支持部を有する椅子において、
前記椅子は、
前記背凭れ部とフットレストが座部に対して回動することで、前記身体支持部が収納される収納状態と、
前記背凭れ部とフットレストのいずれかが座部に対して回動することで、身体支持部が使用可能となる展開状態とを有しており、
前記収納状態は、
前記フットレストが座部を支持し、
前記座部が背凭れ部を支持し、
前記背凭れ部の身体支持部と座部の身体支持部が当接した状態であることを特徴とする椅子。

【請求項2】
前記収納状態において、フットレストの身体支持部は床面方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。

【請求項3】
前記椅子の座部は、
収納状態と、展開状態で座部の高さが変更され、
展開状態の座部の位置は、収納状態の座部の位置より低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子。

【請求項4】
前記椅子は、
前記背凭れ部と座部との間、座部とフットレストとの間に回動機構を有しており、
前記座部とフットレストの間の回動機構は、少なくとも2以上の関節を有しており、
前記関節と関節の間には、所定長さを有する中間接続部を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の椅子。

【請求項5】
前記椅子の展開状態は、
前記収納状態から、前記背凭れ部が、前記座部に対して展開した第一展開状態と、
前記収納状態から、前記フットレストが、前記座部に対して展開した第二展開状態と、
前記収納状態から、前記背凭れ部が、前記座部に対して展開し、前記フットレストが、前記座部に対して展開した第三展開状態と、
があることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の椅子。

【請求項6】
前記椅子の背凭れ部と座部とフットレストが夫々有する身体支持部の少なくともいずれかに施療面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の椅子。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−200317(P2012−200317A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65514(P2011−65514)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】