説明

植付作業機

【課題】マーカアームを上下揺動させるために支持部材に設けられた回動部材及び電装品を、カバー体によって覆って保護するにあたって、該カバー体の形状を簡素化できる植付作業機を提供することを課題としている。
【解決手段】マーカアーム36を支持部材41に支持し、マーカアーム36の下方揺動を規制する規制部43と、規制部43を回動部材43を介して上下回動作動させる電動アクチュエータ44と、回動部材46の回動位置を検出する検出センサ47とを備え、前記マーカアーム36を下方側に付勢する付勢部材42により、マーカアーム36を規制部43とともに上下揺動する植付作業機であって、マーカアーム36及び規制部43を支持部材41の前面側に配置するとともに、電動アクチュエータ44及び検出センサ47を含む電装品55並びに回動部材46を支持部材41の後面側に配置し、回動部材46及び電装品55を覆って保護するカバー体48を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電動アクチュエータにより上下回動するマーカアームを備えた植付作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場に次工程の植付基準線を形成するマーカを圃場面から持上げ可能にするように、マーカのマーカアームを上下揺動可能に支持部材に支持し、マーカアームと当接して該マーカアームの下方揺動を規制する規制部と、規制部を上下回動作動させる回動部材と、回動部材を介して規制部を上下回動駆動させる電動アクチュエータと、回動部材の所定の上下回動位置を検出する検出センサとを備え、前記マーカアームを下方側に付勢して規制部と当接させる付勢部材を設けることにより、マーカアームを規制部とともに上下揺動する構造としたことを特徴とする特許文献1に記載の植付作業機が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−187579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の植付作業機は、付勢部材の付勢力に抗したマーカアームの上方揺動が許容され、圃場面に沿ってマーカが上下動するので、凹凸を有する圃場面に連続的な植付基準線を効率的に引くことが可能になる他、単一の支持部材にマーカアーム、規制部、回動部材、電動アクチュエータ及び検出センサを集中的に配置しているため、支持する部材を別に設ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。
しかし、保護する必要性が高い電動アクチュエータ及び検出センサを含む電装品並びに回動部材を、カバー体によって覆って保持する場合、電装品及び回動部材が、支持部材の前後両面に亘り設置されているため、支持部材の前後を跨ぐような複雑な形状にカバー体を成形する必要がある他、マーカアームの揺動範囲を確保するために、カバー体に切欠きを形成する必要もあり、その分コストを低く抑えることが困難になる。
【0005】
本発明は、マーカアームを上下揺動させるために支持部材に設けられた回動部材及び電装品を、カバー体によって覆って保護するにあたって、該カバー体の形状を簡素化できる植付作業機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、第1に、圃場に次工程の植付基準線を形成するマーカを圃場面から持上げ可能にするように、マーカのマーカアーム36を上下揺動可能に支持部材41に支持し、マーカアーム36と当接して該マーカアーム36の下方揺動を規制する規制部43と、規制部43を上下回動作動させる回動部材46と、回動部材46を介して規制部43を上下回動駆動させる電動アクチュエータ44と、回動部材46の所定の上下回動位置を検出する検出センサ47とを備え、前記マーカアーム36を下方側に付勢して規制部43と当接させる付勢部材42を設けることにより、マーカアーム36を規制部43とともに上下揺動する構造とした植付作業機であって、マーカアーム36及び規制部43を支持部材41の前面側に配置するとともに、電動アクチュエータ44及び検出センサ47を含む電装品55並びに回動部材46を支持部材41の後面側に配置し、回動部材46及び電装品55を覆って保護するカバー体48を設けたことを特徴としている。
【0007】
第2に、前記支持部材41の前面に設けた取付部57にカバー体48を取り付けることによって回動部材46及び電装品55の前後が、カバー体48及び支持部材41によってカバーされることを特徴としている。
【0008】
第3に、植付作業を行う植付部27が支持された左右方向の横フレーム22の上方に回動部材46及び電装品55を配置し、該横フレーム22によって、回動部材46及び電装品55の下方を覆ったことを特徴としている。
【0009】
第4に、マーカアーム36の最下方揺動位置を定める下限ストッパ56を、支持部材41の前面側に一体的に形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、保護する必要が高い回動部材及び電装品を支持部材の後面側にまとめて配置し、これをカバー体で覆っているため、支持部材の前後の両面側に電装品が振分け配置されている場合のように、支持部材を前後で跨ぐような形状にカバー体を成形する必要がなく、カバー体の形状を簡素化できる他、マーカアームの揺動範囲を避けてカバー体を配置することも容易であるため、カバー体にマーカアームの揺動範囲を確保する切欠き等を形成する必要もない。
【0011】
また、前記支持部材の前面に設けた取付部にカバー体を取り付けることによって回動部材及び電装品の前後が、カバー体及び支持部材によってカバーされれば、回動部材及び電装品の前方をカバーする部材を支持部材の他に別途用意する必要がなく、部品点数を減少させて構造を簡略化できるとともに、カバー体によって回動部材及び電装品の前面側まで覆う必要がなく、カバー体の形状をより簡素化することができる。また、支持部材の前面にカバー体の取付部を設けているので取付が容易である。
【0012】
また、植付作業機を行う植付部が支持された左右方向の横フレームの上方に回動部材及び電装品を配置し、該横フレームによって、回動部材及び電装品の下方を覆えば、回動部材及び電装品の下方側をカバーする部材を横フレームの他に別途用意する必要がなく、部品点数を減少させて構造を簡略化できるとともに、カバー体によって回動部材及び電装品の下方を覆う必要がなく、カバー体の形状をより簡素化することができる。
【0013】
なお、マーカアームの最下方揺動位置を定める下限ストッパを、支持部材の前面側に一体的に形成すれば、マーカアームの最下方揺動位置を定める下限ストッパを支持部材とは別体で形成する必要がなく、構成が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の植付作業機を適用した乗用田植機の側面図である。
【図2】植付作業機の正面図である。
【図3】揺動機構を示す要部側面図である。
【図4】揺動機構の内部側の配置構成を示す要部側面図である。
【図5】揺動機構を示す要部正面図である。
【図6】揺動機構の内部側の配置構成を示す要部正面図である。
【図7】マーカ装置の作業状態を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示する例に基づき、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の移植作業機を適用した乗用田植機の側面図であり、図2は、植付作業機の正面図である。本乗用田植機は、前輪1及び後輪2をそれぞれ左右一対で備えた走行機体3と、昇降リンク4を介して走行機体3の後部側に昇降自在に連結された植付作業機6と、後輪2の後方に配置されて植付作業機6の前方で圃場の整地を行う整地作業機7と、走行機体3の側方に配設され後方に下降傾斜して走行機体の前方の予備苗を植付作業機6側に後方搬送する前後方向の予備苗載台8とから構成されている。
【0016】
前記走行機体3の前部にボンネット9で開閉自在にカバーされたエンジン(図示しない)が搭載されており、該ボンネット9の前端中央には上下方向のセンターマーカ11が立設されている。
【0017】
ボンネット9の後方には、該ボンネット9の後端に近接するように、ステアリングハンドル10が操向操作可能に配され、このステアリングハンドル10の所定距離だけ後方には、オペレータが着座する座席12が設けられ、該ステアリングハンドル10の側方(さらに具体的には左側方)には、揺動操作可能に走行変速レバー16が支持され、ステアリングハンドル10と座席12との間の低い位置には、床面となるフロアステップ14が形成されている。なお、該走行変速レバー16は、揺動操作によって前後進切換を行うとともに、前進及び後進時の走行変速操作を行うように構成されている。
【0018】
前記整地作業機7は、植付作業機6側に回転駆動可能に支持された左右方向のロータ軸17と、側面視正多角形状の角柱状(図示する例では六角形状)に構成された複数の左右方向の整地ロータ18とを備えている。複数の整地ロータ18は、左右方向に整列配置された状態でロータ軸17に軸装され、ロータ軸17と一体回転するように構成されている。また、側面視で整地ロータ18の上方側から後方側に至る範囲を覆うように後方下側に向かって湾曲した整地ロータカバー21が設けられている。
【0019】
前記植付作業機6は、上記昇降リンク4にローリング自在に支持された左右方向に延びる角柱状の金属製の横フレーム22における左右対称箇所に、それぞれ上方に延びる金属製の縦フレーム23を突設することによりフレーム部24を構成している。該横フレーム22側には、前方に向かって上方に急傾斜する上述の苗載台26が支持されている他、この苗載台26の下方には、該苗載台26上の苗を掻取って圃場に植付ける植付部27及び圃場に接地させて植付深さを定める接地フロート28等が左右に複数並列配置されている。さらに、該横フレーム22の左右両側には、次の植付工程の指標を圃場面に線状に形成するマーカ装置29が設けられている。
【0020】
植付作業時、座席12から見て、指標と前記センターマーカ11とが重なるように走行機体3を前進走行させながら、植付作業を行うことにより、走行機体3の前進走行方向に延びる植付条列に等間隔毎に苗が順次植付けられていく。すなわち、指標は、次工程の走行機体3の走行位置を示す走行基準線となるとともに、次工程の苗植付位置を示す植付基準線になる。ちなみに、指標に沿った前進走行によって走行機体3が圃場の植付条列方向端部側まで達すると、その場でUターンして現指標の隣の指標(次の植付工程の指標)に移動し、該指標に沿って走行機体3の前進走行させ、前記次の植付工程を開始する。さらに付加えると、一回の植付工程で、等間隔に設定された複数の植付条列にまとめて苗が植付けられ、現植付工程→次の植付工程→次の次の植付工程→・・・と作業を進めることにより、圃場に等間隔毎に設定された植付条列に順次苗を植付けていく。
【0021】
なお、前記各植付部27は、上記横フレーム22側に固定されて後方側に向かって延設されるプランタケース31と、該プランタケース31の後方側に取付けられて乗用田植機の機体側から伝動される動力によって回転するロータリケース32と、その両端側にそれぞれ設けられるプランタアーム33と、該プランタアーム33に取付けられ且つロータリケース32の回転によって苗載台26から苗を掻取って圃場に植付ける植付爪34とから構成されている。
【0022】
以上により、本乗用田植機は、植付作業時の機体旋回等により荒れた圃場に上記整地ロータ18を接地させて回転駆動させることにより圃場の整地を行い、植付作業機6を用いて整地後の圃場に苗を植付ける。
【0023】
次に、図2乃至7に基づき、前記マーカ装置について詳述する。
図3は、揺動機構を示す要部側面図であり、図4は、揺動機構の内部側の配置構成を示す要部側面図であり、図5は、揺動機構を示す要部正面図であり、図6は、揺動機構の内部側の配置構成を示す要部正面図であり、図7は、マーカ装置の作業状態を示す要部正面図である。前記マーカ装置29は、横フレームの左右両端側に配置されるマーカアーム36と、該マーカアーム36の先端に回転自在に支持される車輪状のマーカ(図示しない)と、基端側を支点にマーカアーム36全体が左右方向に上下揺動するように該マーカアーム36を前記横フレーム22の左右端側に支持する揺動機構37とを備えている。
【0024】
上記マーカ装置29は、揺動機構37を介してマーカアーム36を左右外側に下方揺動させることにより、マーカが走行機体3及び植付作業機6の外側側方に振出されて圃場面に接地するようにマーカアーム36が左右方向を向いた振出姿勢に切換えるとともに、揺動機構37を介してマーカアーム36を左右内側に上方揺動させることにより、マーカが植付作業機6の側部側に収容されるようにマーカアーム36が上下方向を向いた収納姿勢に切換える。ちなみに、振出姿勢に切換えられたマーカ装置29のマーカが、走行機体3の前進走行に伴って回転作動し、次の植付工程の指標を圃場面に引いていく。
【0025】
前記縦フレーム23には、左右の縦フレーム23上端側同士を左右に連結する連結ロッド38が設けられており、該連結ロッド38の左右両側には、それぞれ上記マーカ装置29のマーカが収納姿勢に切換えられた際に、マーカアーム36を保持して下方揺動できないように固定する保持アーム39が取付けられている(図2参照)。このようにマーカアーム36を固定することにより、作業時以外のときに不測にマーカが機体側方に振出されることを防止することができる。
【0026】
前記揺動機構37は、横フレーム22の前面側にボルト固定されて、側面視で前記苗載台26と略平行となるように前方上方側に向かって延設されるプレート状の支持ブラケット(支持部材)41と、前記マーカアーム36を下方側に付勢する引張スプリング(付勢部材)42と、下方側に付勢されるマーカアーム36の下方揺動を規制する規制部43と、マーカアーム36を上方揺動させる電動モータ(電動アクチュエータ)44と、上記規制部43を左右方向に上下回動させるセクタギヤ(回動部材)46と、マーカアーム36が所定位置に上下揺動されたことを検出する検出センサである上方位置検出スイッチ47A及び下方位置検出スイッチ47Bと、電動モータ44及び上記2つの位置検出スイッチ47A,47Bを上方側から覆うカバー体48とを備えている。
【0027】
支持ブラケット41の後面上部の左右内側寄り位置には、該支持ブラケット41に一体的に設けられた支持プレート45を介して、前記電動モータ44、前記上方位置検出スイッチ47A及び下方位置検出スイッチ47Bを含む電装品55が集中的に配置されている一方で、支持ブラケット41の後面上部の左右外側寄り位置には、セクタギヤ46が左右回動自在に取付支持されている。電動モータ44の動力を入力されるギヤボックス50の1つのギヤ(図示しない)に、セクタギヤ46が常時噛合うことにより、電動モータ44の動力がセクタギヤ46に伝動される構造になっている。
【0028】
また、上記電装品55及びセクタギヤ46は、横フレーム22から前方上方側に向かって延設される支持ブラケット41の後面側に配置されているため、その下方側が横フレーム22によってカバーされ、その前方側が支持ブラケット41によって覆われる。
【0029】
前記規制部43は、支持ブラケット41の前後の面を貫通した状態で該支持ブラケット41に回動自在に軸支された前後方向の回動軸49の前端部に取付固定され、この回動軸49の後端側には、セクタギヤ46が取付固定されている。すなわち、支持ブラケット41の前面に配置された規制部43と、支持ブラケット41の後面に配置されたセクタギヤ46とは、前後方向の前記回動軸49の軸回りに一体で上下回動するように、支持ブラケット41にそれぞれに支持されている。言換えると、セクタギヤ46は一体で規制部43を左右方向に上下回動するように構成され、電動モータ44は、セクタギヤ46を介して規制部46を上下回動駆動させる。
【0030】
規制部43の構成をさらに具体的に説明すると、該規制部43は、回動軸49と反対側の端部である先端部が後側(マーカアーム36側)に屈曲形成されたL字状の当接部材51から構成されている。
【0031】
また、棒状のマーカアーム36の基端側には、基端方向が開放され且つ前後で対向するようにコの字状に屈曲形成された基端部材52が設けられている。該基端部材52は、側面視で当接部材51と支持ブラケット41の前面側との間に配置されるとともに、該基端部材52に上記前後方向の回動軸49の中途部が回動自在に挿通されている。言換えると、マーカアーム36は、前後方向の回動軸49を支点に、該回動軸49の軸回りに上下揺動自在に支持され、規制部43及びセクタギヤ46に対して回動自在に支持ブラケット41側に支持されている。
【0032】
さらに、該構成において、下方揺動したマーカアーム36の基端部(基端部材近傍)は、当接部材51の先端部に当接し、これによって、マーカアーム36の下方揺動が規制される。
【0033】
前記基端部材52における回動軸49のさらに基端寄り位置には、前後一対の開放端部の間に架設固定された前後方向の規制ピン53が設けられている。また、該規制ピン53には、引張スプリング42の一端側が係合されており、該引張スプリング42の他端側は、横フレーム22における規制ピン53側よりも植付作業機6の左右内側寄りに位置する箇所に取付けられている(図6参照)。このため、引張スプリング42の付勢力により基端部材52の規制ピン53が左右内側に引張られ、これに伴ってマーカアーム36が下方揺動側に付勢される。
【0034】
このように上下揺動自在に取付けられたマーカアーム36は、常時引張スプリング42による下方側への付勢(振出姿勢側への付勢)によって、規制部43と当接し、規制部43とともに、回動軸49の軸回りに上下揺動される。この際、マーカアーム36の引張スプリング42の弾性力に抗した上方揺動は許容されるため、圃場面の凹凸に合せてマーカが上下動し、該圃場面に連続的な線状の指標を形成せしめる。また、マーカアーム36と、規制部43との回動支点が同軸上に配置されることにより、より少ないスペースでマーカアーム36及び規制部43を配置することができる。
【0035】
前記セクタギヤ46の可動方向両端側には、セクタギヤ46の円弧状の歯形成箇所が延長されるように突出する接当部54,54が一体的に形成されている。ちなみに、マーカ装置29を振出姿勢に切換える位置まで、セクタギヤ46が回動された際、一方側の接当部54が、下方位置検出スイッチ47Bに接当して該下方位置検出スイッチ47BをON作動(検出作動)させるとともに、マーカ装置29を収納姿勢に切換える位置まで、セクタギヤ46が回動された際、他方側の接当部54が、上方位置検出スイッチ47Aに接当して該上方位置検出スイッチ47AをON作動(検出作動)させるように、2つの位置検出スイッチ47A,47Bの位置が定められている。
【0036】
すなわち、この2つの位置検出スイッチ47A,47Bは、マイコン等の制御装置にマーカの可動範囲の上限と下限とを検出させる検出手段として、機能している。このように規制部43を回動させるセクタギヤ46に、2つの位置検出スイッチ47A,47Bを検出作動させる部材を一体形成しているため、別部材を設ける必要がなく、部品点数が削減できる。
【0037】
前記支持ブラケット41の前面側は、前記揺動軸49が貫通する位置の下側である支持ブラケット41の略中央部に、マーカアーム36の下限位置を定める下限ストッパ56が一体形成されている。該下限ストッパ56は、支持ブラケット41の前面側から前方側に向かって円柱状に張出すとともに中央が穿設され、円筒状に突設した箇所の下側から左右外側にかけて円弧状に切欠くことにより構成されており、該円弧状の切欠きによって下側に形成される段差部56aが形成されている(図5乃至7参照)。
【0038】
ここで、前記マーカアーム36の基端部材52に設けた規制ピン53は、基端部材52を貫通して支持ブラケット41の前面側に突出しており(図3及び図4参照)、該規制ピン53の突出部が上記の下限ストッパ56の段差部56aと当接することにより、上下揺動するマーカアーム36の下限位置が決定される。
【0039】
上述の構成により、支持ブラケット41の前面側に、マーカアーム36、基端部材52、規制部43、及び引張スプリング42等が配置され、支持ブラケット41の後面側には、電装品55、及びセクタギヤ46が配置されているため、圃場の泥水等が付着することを防止するカバー体48は、側面視で支持ブラケット41と、その支持ブラケット41の後面側に配置された部材を上方から覆うように取付けられている(図4参照)。
【0040】
具体的には、支持ブラケット41の後面側に配置された電装品55が、正面視で支持ブラケット41から上方左右内側に張出すようにして取付けられているため(図6参照)、前記カバー体48は、電装品55及びセクタギヤ46を覆うことができるように、下方側が開放される滑らかな箱状に形成されるとともに、左右方向が支持ブラケット41よりも幅広に形成されている。
【0041】
また、支持ブラケット41の前面側には、カバー体48を支持ブラケット41側にボルト固定するための一対の固定穴57(取付部)が設けられ、該カバー体48の前面側は下側からU字型の切欠部58が形成されるとともに、該切欠部58の近傍であって且つカバー体48の中間部に、カバー体48を支持ブラケット41側の固定孔57にボルト固定するための挿通孔59が穿設されている(図6参照)。
【0042】
当該構成により、支持ブラケット41の後面側に配置した電動モータ44、セクタギヤ46、及び位置検出スイッチ47等からなる電装品等は、左右両側面側と後方側と上方側とがカバー体48によって覆われ、前方側がカバー体48及び支持ブラケット41により覆われ、下方側が横フレーム22及び支持ブラケット41により覆われるため、電装品等に圃場の泥水等が付着することによる故障等をより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0043】
36 マーカアーム
41 支持ブラケット(支持部材)
42 引張スプリング(付勢部材)
43 規制部
44 電動モータ(電動アクチュエータ)
46 セクタギヤ(回動部材)
47a 上方位置検出スイッチ(検出センサ,位置検出センサ)
47b 下方位置検出スイッチ(検出センサ,位置検出センサ)
48 カバー体
56 下限ストッパ
57 固定穴(取付部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に次工程の植付基準線を形成するマーカを圃場面から持上げ可能にするように、マーカのマーカアーム(36)を上下揺動可能に支持部材(41)に支持し、マーカアーム(36)と当接して該マーカアーム(36)の下方揺動を規制する規制部(43)と、規制部(43)を上下回動作動させる回動部材(46)と、回動部材(46)を介して規制部(43)を上下回動駆動させる電動アクチュエータ(44)と、回動部材(46)の所定の上下回動位置を検出する検出センサ(47)とを備え、前記マーカアーム(36)を下方側に付勢して規制部(43)と当接させる付勢部材(42)を設けることにより、マーカアーム(36)を規制部(43)とともに上下揺動する構造とした植付作業機であって、マーカアーム(36)及び規制部(43)を支持部材(41)の前面側に配置するとともに、電動アクチュエータ(44)及び検出センサ(47)を含む電装品(55)並びに回動部材(46)を支持部材(41)の後面側に配置し、回動部材(46)及び電装品(55)を覆って保護するカバー体(48)を設けた植付作業機。
【請求項2】
前記支持部材(41)の前面に設けた取付部(57)にカバー体(48)を取り付けることによって回動部材(46)及び電装品(55)の前後が、カバー体(48)及び支持部材(41)によってカバーされる請求項1記載の植付作業機。
【請求項3】
植付作業を行う植付部(27)が支持された左右方向の横フレーム(22)の上方に回動部材(46)及び電装品(55)を配置し、該横フレーム(22)によって、回動部材(46)及び電装品(55)の下方を覆った請求項1又は2記載の植付作業機。
【請求項4】
マーカアーム(36)の最下方揺動位置を定める下限ストッパ(56)を、支持部材(41)の前面側に一体的に形成した請求項1乃至3の何れかに記載の植付作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−244932(P2012−244932A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118747(P2011−118747)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】