説明

植林用ブロック

【課題】
雑草を抑制すると共に、雑草の刈り払いの際に苗木まで切断してしまう恐れを無くす。
【解決手段】
辺12の略中央部に設けた第1の切欠14を有する第1のブロック部材10と、辺22の略中央部に設けた第2の切欠24を有する第2のブロック部材とで、植林された苗木を囲み、第1の切欠14とで第2の切欠24とで、苗木用孔を形成して苗木を雑草から保護すると共に、植林用ブロック及びその中心の苗木を容易に目測できるようにすることで苗木の誤切断を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植林用のブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
植林のため原野や伐採跡地に植えた小さな苗木は、植林後数年間は、その周囲の雑草を刈り払う必要がある。雑草の刈り払いにはエンジンを具えた草刈機が用いられており、苗木が小さい場合、雑草と苗木を判別して、雑草のみを刈り払う方法がとられている。
一方、草刈りの手間を省くために、植林の際に苗木の回りにシートやフィルムを張る方法なども知られている(例えば、特許公開2000−93012など)。
【0003】
しかしながら、苗木が小さい場合、苗木が雑草の中に紛れて判別がし難く、エンジンを具えた草刈機で誤って苗木まで切断する危険性があった。
一方、シートやフィルムを安定的に設置するためには、多数の杭でしっかり止める必要があり、この杭打ち作業に相当の労力が必要になるという課題があった。
【特許文献1】特開平5−219804号公報
【特許文献2】特開2000−93012号公報
【特許文献3】実開平5−91365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、苗木の成長の妨げとなる雑草が生える点と、その雑草を刈り払う際に苗木まで切除してしまう恐れがある点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、植林された苗木の位置を目視で確認しやすくすると共に、雑草を生えにくくするために、苗木の周囲を複数個のブロック部材からなるブロックで囲むようにすることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の植林用ブロックは、複数のブロック部材を植林した苗木の周囲に置くだけで、雑草の抑制が可能であり、万一ブロック周囲の雑草が苗木周囲までつたっても、ブロック自体が目視で容易に見つかるので、エンジンを具えた草刈機での雑草の刈り払いでも苗木を誤って切ってしまうことがほとんどないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
雑草を抑制し苗木の位置を確認しやすくするという目的を、複数のブロックを組合せることにより実現した。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明植林用ブロックの平面図である。符号10は、第1のブロック部材で、20は、第2のブロック部材である。なお、本実施例では、ブロック部材を半ドーナツ形として2つ示しているが、これに限らず、形状は多角形を分割した形であってもよいし、個数は3つ以上の複数個であってもよい。
【0009】
第1のブロック部材10は、例えばコンクリートからなり、厚さは1〜5cmが、重さは1〜5kgが好ましい。厚さと重さは、耐久性、運搬性及び強風に対する安定性の点を考慮して定められる。厚さ1cm未満又は重さ1kg未満では雑草を押さえる力や強風時の安定性が不足するし、厚さ5cm超又は重さ5kg超では運搬性が低下するため好ましくない。
【0010】
第1のブロック部材10は、半ドーナツ状であり、第1の辺(または弦)12の略中央部には、第1の切欠14が設けられている。この第1の切欠14の周囲には、雨水を集めるための段差16と1つ以上の通水孔18(孔の内径1cm程度)が設けられている。第1の辺12の長さ、即ち本発明ブロックの外径は20〜40cmが好適であり、30cm程度が視認性、運搬性の点から最適である。外径が20cm未満では雑草の中での視認性が不足し、外径が40cmを超えると大きくて、重くて運搬性が低下するため好ましくない。またブロック部材の色は、視認性の点から白色系、黄色系、赤色系、青色系などが好適である。
【0011】
第2のブロック部材20は、半ドーナツ状であり、第2の辺(または弦)22の略中央部には、第2の切欠24が設けられている。この第2の切欠24の周囲には、雨水を集めるための段差26と1つ以上の通水孔28(孔の内径1cm程度)が設けられている。なお、本実施例では第2のブロック部材20と第1のブロック部材10は、180度回転しているが、同一の形状である。
【0012】
第1および第2の切欠14,24によって、苗木用孔(内径3〜6cm程度が好適)が形成され、この苗木用孔に苗木の根元が入るように、第1および第2のブロック部材10,20を配置して、植林用ブロックを構成する。第1および第2のブロック部材10,20は平板状に限らず、苗木根元の土の盛り上がりにすり合わせ易いように、苗木用孔側を上方に膨らませたが好適である。また、ブロック部材の組み合わせ部分に隙間が生じないように、辺12と辺22の部分には段差を設けて上下に重なる部分を設けたが好適である。
【0013】
本発明の植林用ブロックは、植林した苗木の周囲に置くだけで、雑草の抑制が可能となる。万一、ブロック周囲の雑草が苗木周囲までつたっても、ブロック自体が目視で容易に確認できるので、エンジンを具えた草刈機での雑草刈り払いに際して、苗木を誤切断することはほとんどなくなるという効果がある。
【0014】
本発明の植林用ブロック部材の材質は、特に限られることはないが、コンクリート、レンガ、石膏、陶磁器、木、紙、合成樹脂などを用いることができる。要は、遮光性があって、目視による確認が容易なものであれば良い。繰り返して利用をする場合の材質は、コンクリートやレンガ、陶磁器が好適である。いわゆる使い捨ての1回だけ使用の場合は、溶解性のある石膏や生分解性を有する木、紙、生分解性プラスチックなどが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の植林用ブロックをコンクリートや石膏などで、外径30cm程度の大きさ、1個の重量1〜5kg程度で作成すれば、原野や伐採跡地などへ容易に搬入でき、植林に際して簡単に設置できる。
設置したブロックの直下部分は雑草が抑制され、ブロックの周囲の雑草が伸びても植林した苗木と雑草の判別はブロックの存在により容易になるため草刈作業の能率が高くなる。また、杉やヒノキなどの伝統的な植林は傾斜が大きい土地でもなされるが、そのような場合は通水孔に生分解性のある杭(割り箸など)を打ち込めばブロックを地面に固定することができる。このようにして植林用ブロックを使用することにより、傾斜や雑草など阻害要因が多い原野や伐採跡地における植林事業を容易かつ効率的にし、植林した木によって森を作るという林業に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の植林用ブロックの平面図である。
【図2】設置状況を横から見た断面図である。
【符号の説明】
【0017】
10 第1のブロック部材
12 第1の辺
14 第1の切欠
16 雨水を集める段差
18 通水孔
20 第2のブロック部材
22 第2の辺弦
24 第2の切欠
26 雨水を集める段差
28 通水孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1辺の略中央部に設けた第1の切欠を有する第1のブロック部材と、1辺の略中央部に設けられ、前記第1の切欠とで苗木用孔を形成する第2の切欠を有する第2のブロック部材とを備えたことを特徴とする植林用ブロック。
【請求項2】
請求項1の第1および第2のブロック部材は、略半ドーナツ形又は多角形を分割した形であることを特徴とする植林用ブロック。
【請求項3】
請求項1の第1及び第2のブロック部材は、繁茂した雑草の中にあっても容易に視認できる程度の大きさがあり、かつ足元の不安定な野外でも素手で容易に持ち運べる程度の大きさであることを特徴とする植林用ブロック。
【請求項4】
請求項1の第1及び第2のブロック部材は、山林原野に設置するため、強風でも動かない程度の重さと設置部分の雑草の生長を抑制できる程度の重さがあり、それでいて足元の不安定な野外でも素手で容易に持ち運べる程度の重さであることを特徴とする植林用ブロック。
【請求項5】
請求項1の第1及び第2のブロック部材は、繁茂した雑草の中にあっても容易に視認できるよう白色系、黄色系などの明るい色、又は赤色系、青色系などの鮮やかな色であることを特徴とする植林用ブロック。
【請求項6】
請求項1の第1及び第2のブロック部材は、設置した上面の途中に集水のための段差ラインを設け、その段差の下段部分に複数の小穴をあけて、苗木の根元やブロックの真下にも効果的に雨水を誘導できることを特徴とする、またこの小穴はブロックを傾斜地に設置する場合にすべり止め用の杭を打ち込む穴としても利用できることを特徴とする植林用ブロック。
【請求項7】
請求項1の第1及び第2のブロック部材は、設置時に隙間が生じにくくするために、ブロック部材が一部重なるように辺に適当な段差をつけることを特徴とする植林用ブロック。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−236316(P2007−236316A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65012(P2006−65012)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(306005284)
【Fターム(参考)】