植栽コンクリート
【課題】水過剰条件下や塩類集積土壌に設置された場合であっても手間をかけずに植物の生育を促進することができる植栽コンクリートを提供する。
【解決手段】普通コンクリート又はモルタルを含み、厚さ方向に複数の貫通孔を有する下層と、下層上に形成され、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートを有する植生層と、を備える、植栽コンクリートとする。
【解決手段】普通コンクリート又はモルタルを含み、厚さ方向に複数の貫通孔を有する下層と、下層上に形成され、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートを有する植生層と、を備える、植栽コンクリートとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽コンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境への関心が高まりを見せており、環境負荷の低減はもとより自然環境との調和やうるおい、ゆとりのある生活環境の創造に向けて様々な試みが行われている。その一つに植栽コンクリートの採用がある。植栽コンクリートとは、コンクリート上に直接植生が可能なコンクリートであり、コンクリート構造物に緑を取り入れる技術の一つである。
【0003】
そもそも土壌は砂、粘土といった様々な粒径を持つ粒子に腐植が加わって形成される多孔質体であり、水分と空気が適度に保持されかつ養分供給機能を有することから陸上植物の生育を支えることが出来る。また、適度な物理的硬度によって植物体やトラクター車輪を支えるなど植物生育や農作業の場として多様な機能を有している。
【0004】
しかし、自然条件下で生成された土壌の性質は母材や粘土の種類、粒度組成及び腐植含量、あるいは堆積様式や風化程度の違いによって幅広く変動しており、多孔質としての土壌の特性は必ずしも理想的でない場合が多い。加えて土地の利用目的によって土壌に要求される性質はかなり異なってくる。それゆえ、土壌のある種の機能が使用目的によっては不十分な場合に、適当な多孔質体を加えることによってそれを補い強化することが必要になる。このことは裏返すと普通骨材コンクリートの持つ空隙量や強アルカリ性、透水係数、強度などを、多孔質鉱物の混入により、植生可能ないわゆる植栽コンクリートに調製が可能になることを示している。植物の良好な生育には、光、水、空気、土壌の四要素が必要である。普通コンクリートと植物の植生に適する土壌との比較表を表1に示した。普通コンクリートは植物にとって決して望ましい生育の場ではないことが理解できる。
【0005】
【表1】
【0006】
一方で植栽コンクリートあるいは緑化コンクリートと呼ばれるものは、必要な力学的性能を兼ね備えるため連続した空隙を保持したポーラスコンクリートを骨格にしており、この連続空隙に植物が根を張ることが出来るものである。特に空隙部に土、種子、保水材、保肥材等の植生基材を充填した植栽コンクリートは道路の法面や護岸等に敷設し緑化する手段として注目されており、ポーラスコンクリートに緑化効果を積極的に付与する様々な方法が提案されている(特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−272142号公報
【特許文献2】特開平9−195290号公報
【特許文献3】特開平10−219694号公報
【特許文献4】特開2000−23562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術の植栽コンクリートは通気性や通水性あるいは保水性が悪く植物の根が伸張する空間も非常に狭い領域に限られる。また、植生基材と地盤との間にコンクリートが介在するため、地盤に含まれる水に溶け込んだ肥効成分等が植生基材に供給されることはない。したがって、植生基材の水分はどうしても不足しがちになる。そのため、たとえ植え付けが可能な植物であっても灌水を頻繁に行わなければならず手間がかかる。
【0009】
また一方で過剰な開拓や潅漑が行われたところでは、土中水分の蒸発量が地下への浸透量を上回ったときに、塩類集積による、いわゆる塩類高濃度障害が発生する。塩類集積とは、耕作地の土壌表層に塩類が集積することである。土壌の塩類集積が進むことによって作物の収穫量が低下、もしくは収穫出来なくなる現象を指して塩害と言うこともある。主に干拓地や乾燥地における開拓による潅漑や水利用の変化が、塩類集積の原因となる。塩類集積が深刻化した場合、地表面の所々に白い塩類の結晶が視認出来るようになる。その事後対策としては湛水による塩類の除去、深耕、客土による塩類濃度の希釈、吸肥力や耐塩性の強い作物の栽培、塩類汚染土壌の圃場外への持ち出しなどが挙げられるが、多くの費用と時間が必要になる。このような問題は国内にとどまらず、カザフスタンや中国北東部、タイの一部などで多く見られ、深刻となっている。
【0010】
本発明は上述した各事情を考慮してなされたもので、水過剰条件下や塩類集積土壌に設置された場合であっても手間をかけずに植物の生育を促進することができる植栽コンクリートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明について説明する。
【0012】
本発明は、普通コンクリート又はモルタルを含み、厚さ方向の貫通孔を複数有する下層と、該下層上に形成され、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートを有する植生層とを備える植栽コンクリートを提供することによって上記課題を解決する。
【0013】
本発明の植栽コンクリートにおいて、下層の貫通孔が、下層の底面1平方メートル当たり5個以上15個以下備えられており、貫通孔の開口部の合計面積が、下層の底面に対する面積比で5%以上40%以下であることが好ましい。下層の「底面」とは、略板状である下層のうち、植生層が備えられる側とは反対側の面を意味する。また、「貫通孔の開口部の合計面積」とは、下層の底面にある、全ての貫通孔の開口部面積の合計を意味する。かかる形態とすることによって、適度な強度(圧縮強度、曲げ強度)を確保しつつ、水過剰条件下や塩類集積土壌に設置された場合であっても手間をかけずに植物の生育を促進することができる植栽コンクリートとすることができる。
【0014】
また、本発明の植栽コンクリートにおいて、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートが下層の貫通孔内に充填されていることが好ましい。かかる形態とすることによって、後に説明するように、本発明の植栽コンクリートの強度を確保しやすくなる。
【0015】
また、本発明の植栽コンクリートにおいて、植物生育促進微生物を植生層に固定化することが好ましい。かかる形態とすることによって、植栽コンクリートにおいて、極めて安定的に植物の生育の促進効果が得られる。この現象は地上部のみならず植物の根部でも再現性良く認められ、本構造を持つ植栽コンクリートは、極めて効率よく植栽コンクリートの緑化日数を短縮化できる。また、植物生育促進微生物の耐久細胞(乾燥・低温・高温などの不良条件になったときに、細胞膜を厚くしたり、生理機能を休眠させるなどして、不良条件下でも生存できるようになった微生物)を植生層に固定化することがより好ましい。乾燥・低温・高温などの不良条件でも植物生育促進微生物を植生層に固定化することによる効果を発揮できるからである。
【0016】
さらに、本発明の植栽コンクリートにおいて、アレロパシーを持つ植物の種子を植生層に固定することが好ましい。なお、「アレロパシー(他感作用)」とはある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだりする作用である。かかる形態とすることによって、植栽コンクリートは、固定化されたアレロパシーを持つ植物種子の発芽率の低下を招くことなく他の雑草を寄せ付けないために、植生が豊かな空間の創出が容易に図られる。また、ある種の雑草がはびこることによる生態系の破壊による郷土種の絶滅や花粉症の発生を低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、十分な強度(圧縮強度、曲げ強度)を持ち、通水性が高く、同時に保水性・保肥性も備え、水過剰ストレスから植物を防除するとともに、塩類集積土壌でも植物の栽培が可能であり、さらには、通気性が高く、植物の根の十分な伸長空間を備える植栽コンクリートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】1つの実施形態にかかる本発明の植栽コンクリートを概略的に示す上面図(a)、厚さ方向の断面図(b)及び下面図(c)である。
【図2】植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層へのセンチピートグラス種子の固定率との関係を示すグラフである。
【図3】植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスの発芽率との関係を示すグラフである。
【図4】植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスの草丈との関係を示すグラフである。
【図5】植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスのクロロフィル含量との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスの生育(草丈)との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスの刈込収量との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスのスパット値(SPAD値)との関係を示すグラフである。
【図9】塩類集積土壌(NaCl2%添加区)における本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とでのトラップされるNa含有率とトールフェスクの栽培日数との関係を示すグラフである。
【図10】塩類集積土壌(NaCl2%添加区)における本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とでの生育したトールフェスクのスパット値(SPAD値)の栽培日数推移を示すグラフである。
【図11】発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とにおける土壌中のNaCl濃度と栽培開始から30日後のトールフェスクの刈取り収量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、1つの実施形態にかかる本発明の植栽コンクリート100を概略的に示す上面図(a)、厚さ方向の断面図(b)及び下面図(c)である。なお、図1には、植栽コンクリート100の上部に覆土30が盛られた形態を例示している。
【0021】
図1に示すように、植栽コンクリート100は、下層10と植生層20とを備えており、地中に埋設して用いられる。以下、下層10及び植生層20の構成について説明する。
【0022】
<植生層20>
植生層20に含まれる植生基材には通気性、通水性あるいは保水性を備えさせる必要がある。また、植生層20は強度を保ちながら植物の根の伸張空間を増大させて植物の良好な生育環境を有する層でなければならず、灌水の手間を省くことができるものであることが好ましい。すなわち、植生層20は、(1)灌水によって表面クラスト(固化)を形成せず、種子の発芽を阻害しない。(2)過剰灌水や多少の乾燥によっても障害が発生しないように、排水性と通気性が良くかつ、保水性にも富む。などの要件を満たす必要がある。こうした要件を満たす植生層20は、多量の粗大孔隙と適量の保水(毛管)孔隙を併せ持つ必要がある。
【0023】
上記のような観点から、植生層20は、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートを有している。ゼオライトは団粒構造が発達し、粗粒で内部孔隙に富むため、植生基材として有効である。植生層20が植生基材としてゼオライトを含むことにより、植生基材の通気空間や通水空間が連続して一体となり、かくして通気性や通水性が向上する。
【0024】
また、ゼオライトは高い塩基交換容量を持っており、肥効成分(硝酸態窒素、カリウムイオン、ナトリウムイオン、塩素イオンなど)の土壌溶液への溶解と濃度上昇を抑えることができる。そのため、植生層20は、高い保肥力を有する。さらに、ゼオライト自体の持つ高い塩基交換容量のため、塩害土壌での緑化が可能になる。
【0025】
また、ゼオライトを用いることにより、ゼオライト担体自体を肥料成分吸着担体として、さらには微生物吸着担体としての有効性も保持できる。すなわち、多孔質体は各種孔型をもつ内部孔隙に富み、比表面積が大きい資材であることから各種物質の吸着、保持性能が高く有用微生物の担体として多面的に利用出来る。肥料と多孔質体を混用する目的は、肥料成分の化学変化や溶脱を抑制して持続的な肥効を得ること、ならびに土壌培地中溶液の成分濃度を低め種子発芽や根伸張への障害を回避するためである。こうした目的のためには陽イオン交換容量の大きいゼオライトは有効である。
【0026】
例えば、ゼオライトは、土壌病害菌を抑制したり植物の生育を促進したりする植物生育促進微生物を固定化できる担体としても有効である。植物生育促進微生物は現在まで数多く見いだされているが、これらの添加効果は、実験室では得られても実際の畑ではほとんどの場合に得られていない。これは土壌中に投入された植物生育促進微生物の住処(担体)やエサが無いため、植物生育促進微生物が土着の微生物に負けてしまうからである。植生層20に含まれたゼオライトに植物生育促進微生物を固定化し、エサとともに投入することにより、植物生育促進微生物を実際の土壌中で働かせて安定した効果を得ることが出来る。すなわち、植生層20(ゼオライト)に植物生育促進微生物を固定化することにより、極めて安定的に植物の生育の促進効果を得られる。この現象は地上部のみならず植物の根部でも再現性良く認められ、本構造を持つことによって、極めて効率よく植栽コンクリート100の緑化日数を短縮化することができる。
【0027】
上記植物生育促進微生物としては、有害な土壌病原菌を防除する微生物や、植物に必要な養分・植物ホルモンを合成する微生物、植物の養分吸収を助ける微生物などを用いることができ、例えば、トリコデルマ菌、アグロバクテリウム・ラジオバクター、シュードモナス・フルオレッセンス、パスツーリア・ペネトランス、根粒菌、アゾスピラム菌などを用いることができる。
【0028】
植物生育促進微生物の固定化は、例えば、増粘剤を用いて行うことができる。より具体的には、増粘剤と水と適当量の植物生育促進微生物とを混合したスラリーを植生層20(ゼオライト)の間隙に充填し、真空ポンプで吸引減圧することによって、植生層20に植物生育促進微生物を吸着させることが出来る。当該増粘剤としては、少量の添加で液体が高い粘性をもつ薬品を用いることができる。このような増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロースなどを挙げることができる。
【0029】
また、植生層20(ゼオライト)には、アレロパシー(他感作用)を持つ植物の種子を固定することが好ましい。アレロパシーとは、ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだりする作用である。本作用により植栽コンクリート100を設置したところには雑草が繁茂せず、アレロパシーを持つ植物のみが生育する。
【0030】
多自然型川づくりの進捗に伴い、河川堤防ではコンクリート護岸に変わり、植生護岸等が近年数多く実施されるようになり、植生が豊かな空間の創出が図られてきた。しかし、一方で外来種等の雑草の異常繁茂により、治水機能の阻害や生態系の破壊など大きな問題が生じている箇所も見受けられるようになり大きな環境問題となっている。植生層20(ゼオライト)にアレロパシーを持つ植物の種子を固定することにより、当該植物の発芽率の低下を招くことなく、他の雑草を寄せ付けないために、植生が豊かな空間の創出が容易に図られる。また、ある種の雑草がはびこることによる生態系の破壊による郷土種の絶滅や花粉症の発生の低減化が植栽コンクリート100を設置することにより可能になる。
【0031】
アレロパシーを持つ植物の種子の固定化は、上記植物生育促進微生物と同様にして行うことができる。また、アレロパシーを持つ植物の種子と植物生育促進微生物とを同時に固定化することもできる。
【0032】
植物の種子を固定するための増粘剤としてキサンタンガムを用いた場合には、種子を植生層に強固に固定し、種子の発芽率及び植物の生育を良好に保つために、キサンタンガムの濃度(キサンタンガム水溶液に含まれるキサンタンガムの質量%濃度。以下同じ。)を0.8%以上1.2%以下とするのが好ましい。
【0033】
アレロパシーを持つ植物としては、センチピードグラス(暖地型西洋芝草)、トールフェスク(寒地型イネ科牧草)、へアリーベッチなどを用いることができる。
【0034】
上述したように、植物生育促進微生物とアレロパシーを有する植物の種子とを植生層20(ゼオライト担体)に固定化することによって、当該植物の根張りが良好となるとともに、雑草が生えず当該植物のみが良好に生育する。
【0035】
植生層20は、例えば、結合材を含むペーストと骨材とゼオライト粉末とを混合して硬化させることによって得られる。
【0036】
ペーストに用いる結合材としては、ポーラスコンクリートの結合材として使用可能な結合材を特に限定されることなく用いることができる。例えば、セメント、特にポルトランドセメントを用いることが好ましい。結合材は、水等と混合してペーストとした後で下記骨材やゼオライト粉末と混合してもよいが、結合材の一部としてゼオライト粉末を混和し、これをペーストとして用いてもよく、この場合は、ペーストと骨材とに加えて、別途ゼオライト粉末を混合する必要はない。
【0037】
骨材としては、ポーラスコンクリートの骨材として使用可能な骨材(粗骨材、細骨材)を特に限定されることなく用いることができる。例えば、砕石、珪砂、珪藻土、廃材等を用いることができる。一方で、吸水、保水性等の機能を付与する観点からは、ゼオライトを骨材として用いることが好ましい。この場合のゼオライトの種類は特に限定されず、人工的に合成したもののほか、天然に産出されるゼオライトをそのまま用いることもできるが、塩害土壌での緑化を目的とする場合には、イオン交換容量の高いクリノプチロライト系天然ゼオライト、モルデナイト系天然ゼオライト、又は、これらの混合系天然ゼオライトを用いることが好ましい。これにより植生層20として好適に用いられるポーラスコンクリートとすることができる。
【0038】
骨材の粒径は、通常の粗骨材や細骨材と同様とすることができる。すなわち、粗骨材として、5mm以上25mm以下、好ましくは5mm以上15mm以下の粒径を有するものを用い、細骨材として、5mm以下、好ましくは3mm以上5mm以下の粒径を有するものを用いることができる。また、骨材における細骨材率(全骨材の絶対容積に対する細骨材の絶対容積の比)は、20%以上60%以下とすることが好ましく、50%とすることが特に好ましい。これにより、ポーラスコンクリートの強度を向上させることができる。
【0039】
ゼオライト粉末は、ポーラスコンクリート製造時の混和材として機能する。特にゼオライト粉末を分散媒等に分散させてスラリーとして用いることが好ましい。ゼオライト粉末は、細骨材よりも小さな粒径を有するものであって、粒径0.5mm以下、好ましくは粒径0.1mm以下、特に好ましくは粒径0.08mm以下のものを用いることができる。ゼオライトの種類は特に限定されず、人工的に合成したもののほか、天然に産出されるゼオライトをそのまま用いることもできる。分散媒は、ゼオライト粉末を分散可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば水を用いることができる。尚、上述の通り、結合材の一部としてゼオライト粉末を混和し、これをペーストとして用いた場合は、当該ペーストと骨材とに加えて、別途ゼオライト粉末を混合する必要はない。ゼオライト粉末をポーラスコンクリートに混和することで、ポゾラン反応によって硬化後の強度を増加させることができ、また、ポーラスコンクリートにおけるペーストのチキソトロピーを向上させ、品質が安定し、ポーラスコンクリート製造時に結合材量を増加させても、ダレや目詰まり等を防ぐことができる。
【0040】
ゼオライト粉末を含むスラリー中には、さらに界面活性剤を含ませることが好ましい。具体的には、ポリカルボン酸系やスルホン酸系等の減水剤、高性能減水剤や高性能AE減水剤等の高分子界面活性剤を用いる。これにより、ポーラスコンクリートの結合材に混和できる粉末量を増加させることができ、ポーラスコンクリートにおけるペーストのコンシステンシーの改善やポゾラン反応のさらなる向上に結びつき、ポーラスコンクリートの強度向上に繋がる。
【0041】
スラリーにおけるゼオライト粉末濃度は、質量%濃度で好ましくは30%以上90%以下、特に好ましくは50%以上70%以下となるように調整される。また、スラリーにおける界面活性剤の濃度は、質量%濃度で好ましくは3%以上10%以下、特に好ましくは7%となるように調整される。
【0042】
上記の他に、必要に応じて化学混和剤等を混合してもよい。化学混和剤としては、コンクリートの製造において用いられている公知の化学混和剤(減水剤等)を用いることができる。
【0043】
植生層20を作製する際、上記ペーストと、骨材と、ゼオライト粉末とを(或いは、ゼオライト粉末を結合材として含むペーストと、骨材とを)所定の比率で混合して混合物とする。該混合物中において、練り混ぜ水と結合材(ゼオライト粉末を含む)との質量比は、20%以上40%以下とすることが好ましい。また、混合物中における、ペーストと骨材との絶対容積比は26%以上とし、36%以上とすることが好ましく、44%以上とすることが最も好ましい。ペーストと骨材との絶対容積比の上限は、50%程度とし、48%以下とすることが好ましい。さらに、ゼオライト粉末の混和率は、結合材全体における絶対容積率として、5%以上50%以下、好ましくは10%以上30%以下とする。このような比率で結合材等を混合することで、硬化後のポーラスコンクリートの強度をより一層向上させることができる。
【0044】
上記混合を行う方法や手段については、特に限定されるものではないが、例えば、オムニミキサー等により練り混ぜることで上記ペースト等が混合され、ポーラスコンクリート(混合物)とされる。
【0045】
上記のようにして混合した後、得られた混合物を硬化させることによって、植生層20を得ることができる。硬化する際には、従来公知の手段、方法を用いることができ、例えば外部振動機等を用いて混合物を締固め、水中や蒸気等で養生を行う等により、混合物を硬化させることができる。
【0046】
<下層10>
下層10は、普通コンクリート又はモルタルを含み、厚さ方向の貫通孔11、11、…を複数有する層である。
【0047】
下層10が貫通孔11、11、…を有していることによって、植栽コンクリート100の通水性を向上させることができる。すなわち、植栽コンクリート100を設置した際に、その下部にある土壌からの水分を吸収することができ、さらにその水分を上層部の植生層20に浸透させ、最上部の覆土30に到達させることができる。このような構造により、植物の根はその植物が根付いた植生層20の植生基材のみならず、隣接する植生基材にも根を伸張させていくことができる。また、上記のようにして植生層20に水分が浸透することによって、灌水の手間を省くことが出来る。さらに、貫通孔11、11、…によって通水性が向上されていることにより、植栽コンクリート100を水過剰条件下に設置した場合でも植生層20において植物の生育が可能になる。さらに、貫通孔11、11、…により水分通過機能が高まっているにもかかわらず、実施例に記載の通り、植栽コンクリート100を塩類集積土壌に設置した場合でも、塩類が覆土30に上昇蓄積するのを防ぐことができる。これは、ゼオライトの高いイオン交換容量によるものと考えられる。
【0048】
また、下層10は植栽コンクリート100の強度を確保する機能も備えている。上記効果を発揮させつつ植栽コンクリート100の強度を確保するためには、ゼオライトを含むポーラスコンクリートで貫通孔11、11、…を充填することが好ましい。貫通孔11、11、…の大きさや数は、植栽コンクリート100に備えさせるべき強度との兼ね合いなどによって適宜決定される。例えば、貫通孔11、11、…が下層10の厚さ方向に中心軸を有する円柱状であり、貫通孔11、11、…にゼオライトを含むポーラスコンクリートが充填されている場合、植栽コンクリート100に十分な強度を備えさせつつ、上記効果を発揮させるためには、貫通孔11、11、…が、下層10の底面1平方メートル当たり1個以上300個以下備えられており、貫通孔11、11、…の開口部の合計面積が、下層10の底面に対する面積比で5%以上40%以下であることが好ましい。
【0049】
下層10は、例えば、結合材を含むペーストと骨材とを混合して硬化させることによって得られる。ペースト中の結合材、骨材の詳細は、上記植生層20と同様とすることができるため、ここでは説明を省略する。ただし、下層10には、骨材として粒状ゼオライト以外のもの(砕石等)が含まれる。すなわち、植生層20と下層10とは異なる骨材により構成される。また、下層10を作製する際にも、上記のようにして植生層20を作製する場合と同様に、結合材の一部として予めゼオライト粉末を含ませてペーストとしてもよく、或いは、ペースト及び骨材に加えて、別途ゼオライト粉末を混和してもよい。また、ゼオライト粉末はスラリー状とされて用いられてもよい。ゼオライト粉末やスラリーの詳細については、上記植生層20の作製方法と同様とすることができるため、ここでは説明を省略する。下層10を構成する混合物を混合する方法や硬化させる方法についても、上記植生層20の作製方法と同様とすることができるため、ここでは説明を省略する。
【0050】
貫通孔11、11、…の形成方法は特に限定されず、上記の手順で板状体を作製した後に貫通孔11、11、…を打ち抜いてもよく、予め貫通孔11、11、…を有する下層10の形状に対応した型枠を用意し、上記の手順で貫通孔11、11、…を有する下層10を作製しても良い。
【0051】
<植栽コンクリート100>
下層10と植生層20とを一体とすることによって、植栽コンクリート100とすることができる。下層10と植生層20とを一体とする方法は、特に限定されるものではないが、例えば、型に下層10を打ち込み、その上に植生層20を打ち込んだ後、当該二層をフレッシュ状態で結合させることにより、或いは、植生層20の硬化後に下層10を打ち込むことにより、二層を一体とすることができる。ただし、下層10を硬化させた後、表面のレイタンスをグラインダー等で取り除いた後、植生層20を打ち込むことが好ましい。このとき、貫通孔11、11、…に植生層20を構成する材料を充填することが好ましい。貫通孔11、11、…にゼオライトを含むポーラスコンクリートを充填することが容易になるからである。
【実施例】
【0052】
以下に、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0053】
(下層の作製)
結合材の一部として普通ポルトランドセメントを用い、これと、一般的にコンクリート用細骨材として用いられる表2に示される砕砂(密度2.80、吸水率0.56%)、練混ぜ水、高性能減水剤(花王社製マイティ150)及びAE補助剤(花王社製AE101)を混合し、表3に示された配合によってモルタルミキサ(株式会社丸東製作所CB−34)で3分間練混ぜた。その後練混ぜた混合物を、型枠(幅300×300mm、厚さ60mm)に厚さ20mmとなるよう打ち込み、外部振動機(エクセン社製インバータ付きテーブルバイブレータTV500x500・KM250−2Px2)を用いて締固めた。下層の貫通孔は、型枠に混合物を打ち込む際に、型枠内部に厚さ20mm、直径100mmまたは200mmの発泡スチロールを設置し、その周囲に混合物を打ち込み、1日の型枠内養生の後に発泡スチロールを取り除くことによって形成した。なお、貫通孔は、直径100mmの場合は4カ所(正方形の四隅の位置)に形成し、直径200mmの場合は中心に1カ所だけ形成した。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
表3において、Wは練混ぜ水を、Cは普通ポルトランドセメントを、ZPは表2の天然ゼオライト粉末を、CSは表2の砕砂を、SPは上記高性能減水剤を、AEは上記AE補助剤を意味する。また、W/Bは練混ぜ水と結合材との質量比を、ZP混和率は結合材全体におけるZPの絶対容積率を示している。
【0057】
(植生層の作製と下層との一体化)
以下の手順で植生層を直接打ち込んで植生層と下層と一体化し、本発明の植栽コンクリートを作製した。
【0058】
植生層は、結合材の一部として早強ポルトランドセメントを用い、これと、表2に示される骨材を混合し、オムニミキサー(チヨダマシナリー社製OM−10A又はOM30E)で1分間練り混ぜ、その後、練り混ぜ水、AE補助剤、高性能減水剤(花王社製マイティ150)及び表2に示される混和材をさらに混合し、オムニミキサーで3分間練り混ぜた。その後、練り混ぜた混合物を、型枠内に打ち込んで硬化した下層10の上に直接打ち込んで、外部振動機(エクセン社製インバータ付きテーブルバイブレータTV500x500・KM250−2Px2)を用いて締固め、下層と植生層とを一体化させた。なお、下層の貫通孔内には植生層を構成する混合物を充填した。その後、水中にて26日間養生させ供試体を複数作製した。各供試材にかかる結合材、骨材、及び混和材の種類及び比率については、表4で示されるものとした。尚、ゼオライト粉末はスラリー上(ZPL)を用いた。また、本実施例においては、混和材ZPは、結合材の一部を構成するものとして換算する。
【0059】
【表4】
【0060】
表4において、Wは練混ぜ水を、Cは早強ポルトランドセメントを、ZPは表2の天然ゼオライト粉末を、ZAは表2の天然ゼオライト細骨材を、ZGは表2の天然ゼオライト粗骨材を、SPは上記高性能減水剤を、AEは上記AE補助剤を意味する。また、W/Bは練混ぜ水と結合材との質量比を、p/aはペーストと骨材の絶対容積比を、s/aは細骨材率を、ZP混和率は結合材全体におけるZPの絶対容積率を示している。
【0061】
上記のようにして作製した植栽コンクリートの植生層に、植物生育促進微生物(植物生育促進糸状菌:Plant Growth Promoting Fungus。以下、「PGPF」という。)と、センチピートグラス種子とを固定化した。具体的には、キサンタンガム水溶液50mlにPGPF0.45gを混合し、さらに適当量のセンチピートグラス種子を混和したものを植生層上に散布した後、密封して真空ポンプで吸引減圧し、PGPFとセンチピートグラス種子を植生層に吸着させた。
【0062】
図2に、植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層へのセンチピートグラス種子の固定率との関係を示した。キサンタンガムの濃度が1.0%以上である場合、極めて強固にセンチピートグラス種子を固定化することができた。尚、「固定率」とは、植栽コンクリートを木槌で10回たたき、固定化に用いた種子の質量と、落下した種子の質量とを測定・比較することにより求めたもの((固定化に用いた種子の質量−落下した種子の質量)/固定化に用いた種子の質量)である(以下同じ。)。
【0063】
図3に、植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスの発芽率との関係を示した。図3から明らかなようにキサンタンガムの濃度が1.0%である場合、栽培7日目において生育の遅延が若干見られるものの栽培14日目において80%以上の発芽率を示した。尚、「発芽率」とは、固定化した種子の数と、発芽した種子の数を測定・比較することによって求めたもの(発芽した種子の数/固定化した種子の数)である(以下、同じ)。
【0064】
図4に、植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスの草丈との関係を示した。キサンタンガムの添加により草丈に悪い影響が出ることはなかった。尚、キサンタンガムの濃度が1.0%である場合が最良であった。
【0065】
図5に、植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスのクロロフィル含量との関係を示した。栽培28日目において、キサンタンガムの濃度が1.0%である場合が最も良好であった。
【0066】
上記のようにして作製した本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所(設置区)と設置しない場所(無設置区)とを設けて、以下に説明するようにして、本発明の植栽コンクリートがセンチピートグラスの水ストレスと、生育(草丈)、刈込収量、及びスパット値(SPAD値:葉緑素量の推定値)との関係に与える影響を評価した。
【0067】
図6に、設置区と無設置区とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスの生育(草丈)との関係を示し、図7に、設置区と無設置区とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスの刈込収量との関係を示し、図8に、設置区と無設置区とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスのスパット値(SPAD値)との関係を示した。
【0068】
センチピートグラス種子が発芽して草丈15cmに到達した時点で第1回目の刈り込みを行い草丈7cmに、さらに草丈10cmに到達した時点で第2回目の刈り込みを行い草丈5cmに調整した本発明の植栽コンクリートを用いて、その後20日間の水ストレス処理を行った。処理当日に土壌の最大容水量の60%量を給水、その後全く給水しなかった乾燥環境にさらした場合(pF2.9以上)及び給水量をpF2.9になるように中位の乾燥ストレスを与えた場合、さらに給水量を土壌pF1.4以下のような水分過多に設定した区で試験を行ったところ処理後10日目から処理区間に明らかな差が認められた。すなわち無設置区は草丈、収量及びスパット値とも明らかに低い値を示し、処理20日目には枯死した。一方で設置区は過剰な土壌水分条件にもかかわらず処理10日目から草丈、収量及びスパット値とも高い値を示した。また、植栽コンクリート内部の空隙に新しい根が侵入し、新たな新芽も観察された。
【0069】
センチピートグラス種子に代えてトールフェスク種子を用いた(キサンタンガムの濃度は1%)以外は上記本発明の植栽コンクリートと同様にして、他の本発明の植栽コンクリートを作製した。当該他の本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所(設置区)と設置しない場所(無設置区)とを設けて、以下に説明するようにして、本発明の植栽コンクリートの設置がトールフェスク種子の生育における塩類ストレスの軽減に及ぼす影響を評価した。
【0070】
図9に、塩類集積土壌(NaCl2%添加区)における設置区と無設置区とでのトラップされるNa含有率とトールフェスクの栽培日数との関係を示し、図10に、塩類集積土壌(NaCl2%添加区)における設置区と無設置区とでの生育したトールフェスクのスパット値(SPAD値)の栽培日数推移を示し、図11に、設置区と無設置区とにおける土壌中のNaCl濃度と栽培開始から30日後のトールフェスクの刈取り収量との関係を示した。
【0071】
土壌中のNaCl濃度が0%、1%、2%である下層土壌を用意し、該下層土壌上に本発明の植栽ブロックを設置した場所(設置区)と設置しない場所(無設置区)とを設けた。設置区及び無設置区に、さらに土壌(上層土壌)を充填した後、1日おきに下層土壌から給水し、30日間(明期:暗期=12時間:12時間)、30℃、RH30%に設定した人工気象機内に放置し、下層土壌から上層土壌へのNaClの蓄積量を調べた。その結果、図9に示すように、設置区では下層土壌から上層土壌へのNaClの移動は抑制された。NaCl2%添加区では設置区において栽培30日後でも初期のNaCl含量2%の1/10程度のNaCl0.2%に抑えられた。一方、無設置区においては、NaCl1.0%を含有しており、本発明の植栽コンクリートによる塩類トラップ効果が明確になった。
【0072】
さらにその時のスパット値を比較すると、図10に示すように、設置区では、NaCl2%添加区でありながら極めて安定したスパット値を示した。一方、無設置区ではその低下が著しく設置区と比較してスパット値が40%程も低下した。
【0073】
栽培30日後の刈取り収量を比較すると、図11に示すように、NaCl2%添加区では設置区と無設置区との差が60%にも及び無設置区には著しい塩害が確認された。一方で、設置区においてはNaCl0%区と比較してもせいぜい6%程度の減少にとどまっており、本発明の植栽コンリートの効果が顕著に認められた。
【0074】
上記本発明の植栽コンクリートと同様(用いたキサンタンガムの濃度は1%)の植栽コンクリートAと、センチピートグラス種子に代えてケンタッキーブルーグラス種子を用いた以外は植栽コンクリートAと同様にして作製した植栽コンクリートBと、PGPFを添加していない以外は植栽コンクリートAと同様にして作製した植栽コンクリートCと、PGPFを添加していない以外は植栽コンクリートBと同様にして作製した植栽コンクリートDとを用意した。これらの植栽コンクリートA〜Dを既耕地畑培養土に設置したときの芝草生育に及ぼす影響を発芽率、草丈、クロロフィル濃度、スパット値及びイオン(N、P、K、Ca、Mg)含有量について比較した。その結果を表5に示した。表5において、対照区はPGPFを添加していない区を意味し、PGPF添加区は、PGPFを添加した区を意味する。
【0075】
【表5】
【0076】
表5に示したように、供試土壌として既耕地畑培養土を用いたとき、ケンタッキーブルーグラス及びセンチピードグラスの発芽率及び栽培25日目までの生育には、対照区とPGPF添加区とにおいて顕著な差は見られなかった。一方、ケンタッキーブルーグラスの草丈10cmに刈り込み後15cmに再生するまでの日数は対照区は7日であったのに対して、PGPF添加区では5日に短縮できた。さらに草丈15cmに達してから7cmに刈り込み後(2回目刈込後)草丈が10cmに達するまでの日数及びこの時点でのクロロフィル濃度は、対照区に比べてPGPF添加区が高い値を示した。センチピードグラスにおいても同様の生育差が認められた。
【符号の説明】
【0077】
10 下層
11 貫通孔
20 植生層
30 覆土
100 植栽コンクリート
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽コンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境への関心が高まりを見せており、環境負荷の低減はもとより自然環境との調和やうるおい、ゆとりのある生活環境の創造に向けて様々な試みが行われている。その一つに植栽コンクリートの採用がある。植栽コンクリートとは、コンクリート上に直接植生が可能なコンクリートであり、コンクリート構造物に緑を取り入れる技術の一つである。
【0003】
そもそも土壌は砂、粘土といった様々な粒径を持つ粒子に腐植が加わって形成される多孔質体であり、水分と空気が適度に保持されかつ養分供給機能を有することから陸上植物の生育を支えることが出来る。また、適度な物理的硬度によって植物体やトラクター車輪を支えるなど植物生育や農作業の場として多様な機能を有している。
【0004】
しかし、自然条件下で生成された土壌の性質は母材や粘土の種類、粒度組成及び腐植含量、あるいは堆積様式や風化程度の違いによって幅広く変動しており、多孔質としての土壌の特性は必ずしも理想的でない場合が多い。加えて土地の利用目的によって土壌に要求される性質はかなり異なってくる。それゆえ、土壌のある種の機能が使用目的によっては不十分な場合に、適当な多孔質体を加えることによってそれを補い強化することが必要になる。このことは裏返すと普通骨材コンクリートの持つ空隙量や強アルカリ性、透水係数、強度などを、多孔質鉱物の混入により、植生可能ないわゆる植栽コンクリートに調製が可能になることを示している。植物の良好な生育には、光、水、空気、土壌の四要素が必要である。普通コンクリートと植物の植生に適する土壌との比較表を表1に示した。普通コンクリートは植物にとって決して望ましい生育の場ではないことが理解できる。
【0005】
【表1】
【0006】
一方で植栽コンクリートあるいは緑化コンクリートと呼ばれるものは、必要な力学的性能を兼ね備えるため連続した空隙を保持したポーラスコンクリートを骨格にしており、この連続空隙に植物が根を張ることが出来るものである。特に空隙部に土、種子、保水材、保肥材等の植生基材を充填した植栽コンクリートは道路の法面や護岸等に敷設し緑化する手段として注目されており、ポーラスコンクリートに緑化効果を積極的に付与する様々な方法が提案されている(特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−272142号公報
【特許文献2】特開平9−195290号公報
【特許文献3】特開平10−219694号公報
【特許文献4】特開2000−23562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術の植栽コンクリートは通気性や通水性あるいは保水性が悪く植物の根が伸張する空間も非常に狭い領域に限られる。また、植生基材と地盤との間にコンクリートが介在するため、地盤に含まれる水に溶け込んだ肥効成分等が植生基材に供給されることはない。したがって、植生基材の水分はどうしても不足しがちになる。そのため、たとえ植え付けが可能な植物であっても灌水を頻繁に行わなければならず手間がかかる。
【0009】
また一方で過剰な開拓や潅漑が行われたところでは、土中水分の蒸発量が地下への浸透量を上回ったときに、塩類集積による、いわゆる塩類高濃度障害が発生する。塩類集積とは、耕作地の土壌表層に塩類が集積することである。土壌の塩類集積が進むことによって作物の収穫量が低下、もしくは収穫出来なくなる現象を指して塩害と言うこともある。主に干拓地や乾燥地における開拓による潅漑や水利用の変化が、塩類集積の原因となる。塩類集積が深刻化した場合、地表面の所々に白い塩類の結晶が視認出来るようになる。その事後対策としては湛水による塩類の除去、深耕、客土による塩類濃度の希釈、吸肥力や耐塩性の強い作物の栽培、塩類汚染土壌の圃場外への持ち出しなどが挙げられるが、多くの費用と時間が必要になる。このような問題は国内にとどまらず、カザフスタンや中国北東部、タイの一部などで多く見られ、深刻となっている。
【0010】
本発明は上述した各事情を考慮してなされたもので、水過剰条件下や塩類集積土壌に設置された場合であっても手間をかけずに植物の生育を促進することができる植栽コンクリートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明について説明する。
【0012】
本発明は、普通コンクリート又はモルタルを含み、厚さ方向の貫通孔を複数有する下層と、該下層上に形成され、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートを有する植生層とを備える植栽コンクリートを提供することによって上記課題を解決する。
【0013】
本発明の植栽コンクリートにおいて、下層の貫通孔が、下層の底面1平方メートル当たり5個以上15個以下備えられており、貫通孔の開口部の合計面積が、下層の底面に対する面積比で5%以上40%以下であることが好ましい。下層の「底面」とは、略板状である下層のうち、植生層が備えられる側とは反対側の面を意味する。また、「貫通孔の開口部の合計面積」とは、下層の底面にある、全ての貫通孔の開口部面積の合計を意味する。かかる形態とすることによって、適度な強度(圧縮強度、曲げ強度)を確保しつつ、水過剰条件下や塩類集積土壌に設置された場合であっても手間をかけずに植物の生育を促進することができる植栽コンクリートとすることができる。
【0014】
また、本発明の植栽コンクリートにおいて、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートが下層の貫通孔内に充填されていることが好ましい。かかる形態とすることによって、後に説明するように、本発明の植栽コンクリートの強度を確保しやすくなる。
【0015】
また、本発明の植栽コンクリートにおいて、植物生育促進微生物を植生層に固定化することが好ましい。かかる形態とすることによって、植栽コンクリートにおいて、極めて安定的に植物の生育の促進効果が得られる。この現象は地上部のみならず植物の根部でも再現性良く認められ、本構造を持つ植栽コンクリートは、極めて効率よく植栽コンクリートの緑化日数を短縮化できる。また、植物生育促進微生物の耐久細胞(乾燥・低温・高温などの不良条件になったときに、細胞膜を厚くしたり、生理機能を休眠させるなどして、不良条件下でも生存できるようになった微生物)を植生層に固定化することがより好ましい。乾燥・低温・高温などの不良条件でも植物生育促進微生物を植生層に固定化することによる効果を発揮できるからである。
【0016】
さらに、本発明の植栽コンクリートにおいて、アレロパシーを持つ植物の種子を植生層に固定することが好ましい。なお、「アレロパシー(他感作用)」とはある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだりする作用である。かかる形態とすることによって、植栽コンクリートは、固定化されたアレロパシーを持つ植物種子の発芽率の低下を招くことなく他の雑草を寄せ付けないために、植生が豊かな空間の創出が容易に図られる。また、ある種の雑草がはびこることによる生態系の破壊による郷土種の絶滅や花粉症の発生を低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、十分な強度(圧縮強度、曲げ強度)を持ち、通水性が高く、同時に保水性・保肥性も備え、水過剰ストレスから植物を防除するとともに、塩類集積土壌でも植物の栽培が可能であり、さらには、通気性が高く、植物の根の十分な伸長空間を備える植栽コンクリートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】1つの実施形態にかかる本発明の植栽コンクリートを概略的に示す上面図(a)、厚さ方向の断面図(b)及び下面図(c)である。
【図2】植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層へのセンチピートグラス種子の固定率との関係を示すグラフである。
【図3】植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスの発芽率との関係を示すグラフである。
【図4】植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスの草丈との関係を示すグラフである。
【図5】植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスのクロロフィル含量との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスの生育(草丈)との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスの刈込収量との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスのスパット値(SPAD値)との関係を示すグラフである。
【図9】塩類集積土壌(NaCl2%添加区)における本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とでのトラップされるNa含有率とトールフェスクの栽培日数との関係を示すグラフである。
【図10】塩類集積土壌(NaCl2%添加区)における本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とでの生育したトールフェスクのスパット値(SPAD値)の栽培日数推移を示すグラフである。
【図11】発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所と設置しない場所とにおける土壌中のNaCl濃度と栽培開始から30日後のトールフェスクの刈取り収量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、1つの実施形態にかかる本発明の植栽コンクリート100を概略的に示す上面図(a)、厚さ方向の断面図(b)及び下面図(c)である。なお、図1には、植栽コンクリート100の上部に覆土30が盛られた形態を例示している。
【0021】
図1に示すように、植栽コンクリート100は、下層10と植生層20とを備えており、地中に埋設して用いられる。以下、下層10及び植生層20の構成について説明する。
【0022】
<植生層20>
植生層20に含まれる植生基材には通気性、通水性あるいは保水性を備えさせる必要がある。また、植生層20は強度を保ちながら植物の根の伸張空間を増大させて植物の良好な生育環境を有する層でなければならず、灌水の手間を省くことができるものであることが好ましい。すなわち、植生層20は、(1)灌水によって表面クラスト(固化)を形成せず、種子の発芽を阻害しない。(2)過剰灌水や多少の乾燥によっても障害が発生しないように、排水性と通気性が良くかつ、保水性にも富む。などの要件を満たす必要がある。こうした要件を満たす植生層20は、多量の粗大孔隙と適量の保水(毛管)孔隙を併せ持つ必要がある。
【0023】
上記のような観点から、植生層20は、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートを有している。ゼオライトは団粒構造が発達し、粗粒で内部孔隙に富むため、植生基材として有効である。植生層20が植生基材としてゼオライトを含むことにより、植生基材の通気空間や通水空間が連続して一体となり、かくして通気性や通水性が向上する。
【0024】
また、ゼオライトは高い塩基交換容量を持っており、肥効成分(硝酸態窒素、カリウムイオン、ナトリウムイオン、塩素イオンなど)の土壌溶液への溶解と濃度上昇を抑えることができる。そのため、植生層20は、高い保肥力を有する。さらに、ゼオライト自体の持つ高い塩基交換容量のため、塩害土壌での緑化が可能になる。
【0025】
また、ゼオライトを用いることにより、ゼオライト担体自体を肥料成分吸着担体として、さらには微生物吸着担体としての有効性も保持できる。すなわち、多孔質体は各種孔型をもつ内部孔隙に富み、比表面積が大きい資材であることから各種物質の吸着、保持性能が高く有用微生物の担体として多面的に利用出来る。肥料と多孔質体を混用する目的は、肥料成分の化学変化や溶脱を抑制して持続的な肥効を得ること、ならびに土壌培地中溶液の成分濃度を低め種子発芽や根伸張への障害を回避するためである。こうした目的のためには陽イオン交換容量の大きいゼオライトは有効である。
【0026】
例えば、ゼオライトは、土壌病害菌を抑制したり植物の生育を促進したりする植物生育促進微生物を固定化できる担体としても有効である。植物生育促進微生物は現在まで数多く見いだされているが、これらの添加効果は、実験室では得られても実際の畑ではほとんどの場合に得られていない。これは土壌中に投入された植物生育促進微生物の住処(担体)やエサが無いため、植物生育促進微生物が土着の微生物に負けてしまうからである。植生層20に含まれたゼオライトに植物生育促進微生物を固定化し、エサとともに投入することにより、植物生育促進微生物を実際の土壌中で働かせて安定した効果を得ることが出来る。すなわち、植生層20(ゼオライト)に植物生育促進微生物を固定化することにより、極めて安定的に植物の生育の促進効果を得られる。この現象は地上部のみならず植物の根部でも再現性良く認められ、本構造を持つことによって、極めて効率よく植栽コンクリート100の緑化日数を短縮化することができる。
【0027】
上記植物生育促進微生物としては、有害な土壌病原菌を防除する微生物や、植物に必要な養分・植物ホルモンを合成する微生物、植物の養分吸収を助ける微生物などを用いることができ、例えば、トリコデルマ菌、アグロバクテリウム・ラジオバクター、シュードモナス・フルオレッセンス、パスツーリア・ペネトランス、根粒菌、アゾスピラム菌などを用いることができる。
【0028】
植物生育促進微生物の固定化は、例えば、増粘剤を用いて行うことができる。より具体的には、増粘剤と水と適当量の植物生育促進微生物とを混合したスラリーを植生層20(ゼオライト)の間隙に充填し、真空ポンプで吸引減圧することによって、植生層20に植物生育促進微生物を吸着させることが出来る。当該増粘剤としては、少量の添加で液体が高い粘性をもつ薬品を用いることができる。このような増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロースなどを挙げることができる。
【0029】
また、植生層20(ゼオライト)には、アレロパシー(他感作用)を持つ植物の種子を固定することが好ましい。アレロパシーとは、ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだりする作用である。本作用により植栽コンクリート100を設置したところには雑草が繁茂せず、アレロパシーを持つ植物のみが生育する。
【0030】
多自然型川づくりの進捗に伴い、河川堤防ではコンクリート護岸に変わり、植生護岸等が近年数多く実施されるようになり、植生が豊かな空間の創出が図られてきた。しかし、一方で外来種等の雑草の異常繁茂により、治水機能の阻害や生態系の破壊など大きな問題が生じている箇所も見受けられるようになり大きな環境問題となっている。植生層20(ゼオライト)にアレロパシーを持つ植物の種子を固定することにより、当該植物の発芽率の低下を招くことなく、他の雑草を寄せ付けないために、植生が豊かな空間の創出が容易に図られる。また、ある種の雑草がはびこることによる生態系の破壊による郷土種の絶滅や花粉症の発生の低減化が植栽コンクリート100を設置することにより可能になる。
【0031】
アレロパシーを持つ植物の種子の固定化は、上記植物生育促進微生物と同様にして行うことができる。また、アレロパシーを持つ植物の種子と植物生育促進微生物とを同時に固定化することもできる。
【0032】
植物の種子を固定するための増粘剤としてキサンタンガムを用いた場合には、種子を植生層に強固に固定し、種子の発芽率及び植物の生育を良好に保つために、キサンタンガムの濃度(キサンタンガム水溶液に含まれるキサンタンガムの質量%濃度。以下同じ。)を0.8%以上1.2%以下とするのが好ましい。
【0033】
アレロパシーを持つ植物としては、センチピードグラス(暖地型西洋芝草)、トールフェスク(寒地型イネ科牧草)、へアリーベッチなどを用いることができる。
【0034】
上述したように、植物生育促進微生物とアレロパシーを有する植物の種子とを植生層20(ゼオライト担体)に固定化することによって、当該植物の根張りが良好となるとともに、雑草が生えず当該植物のみが良好に生育する。
【0035】
植生層20は、例えば、結合材を含むペーストと骨材とゼオライト粉末とを混合して硬化させることによって得られる。
【0036】
ペーストに用いる結合材としては、ポーラスコンクリートの結合材として使用可能な結合材を特に限定されることなく用いることができる。例えば、セメント、特にポルトランドセメントを用いることが好ましい。結合材は、水等と混合してペーストとした後で下記骨材やゼオライト粉末と混合してもよいが、結合材の一部としてゼオライト粉末を混和し、これをペーストとして用いてもよく、この場合は、ペーストと骨材とに加えて、別途ゼオライト粉末を混合する必要はない。
【0037】
骨材としては、ポーラスコンクリートの骨材として使用可能な骨材(粗骨材、細骨材)を特に限定されることなく用いることができる。例えば、砕石、珪砂、珪藻土、廃材等を用いることができる。一方で、吸水、保水性等の機能を付与する観点からは、ゼオライトを骨材として用いることが好ましい。この場合のゼオライトの種類は特に限定されず、人工的に合成したもののほか、天然に産出されるゼオライトをそのまま用いることもできるが、塩害土壌での緑化を目的とする場合には、イオン交換容量の高いクリノプチロライト系天然ゼオライト、モルデナイト系天然ゼオライト、又は、これらの混合系天然ゼオライトを用いることが好ましい。これにより植生層20として好適に用いられるポーラスコンクリートとすることができる。
【0038】
骨材の粒径は、通常の粗骨材や細骨材と同様とすることができる。すなわち、粗骨材として、5mm以上25mm以下、好ましくは5mm以上15mm以下の粒径を有するものを用い、細骨材として、5mm以下、好ましくは3mm以上5mm以下の粒径を有するものを用いることができる。また、骨材における細骨材率(全骨材の絶対容積に対する細骨材の絶対容積の比)は、20%以上60%以下とすることが好ましく、50%とすることが特に好ましい。これにより、ポーラスコンクリートの強度を向上させることができる。
【0039】
ゼオライト粉末は、ポーラスコンクリート製造時の混和材として機能する。特にゼオライト粉末を分散媒等に分散させてスラリーとして用いることが好ましい。ゼオライト粉末は、細骨材よりも小さな粒径を有するものであって、粒径0.5mm以下、好ましくは粒径0.1mm以下、特に好ましくは粒径0.08mm以下のものを用いることができる。ゼオライトの種類は特に限定されず、人工的に合成したもののほか、天然に産出されるゼオライトをそのまま用いることもできる。分散媒は、ゼオライト粉末を分散可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば水を用いることができる。尚、上述の通り、結合材の一部としてゼオライト粉末を混和し、これをペーストとして用いた場合は、当該ペーストと骨材とに加えて、別途ゼオライト粉末を混合する必要はない。ゼオライト粉末をポーラスコンクリートに混和することで、ポゾラン反応によって硬化後の強度を増加させることができ、また、ポーラスコンクリートにおけるペーストのチキソトロピーを向上させ、品質が安定し、ポーラスコンクリート製造時に結合材量を増加させても、ダレや目詰まり等を防ぐことができる。
【0040】
ゼオライト粉末を含むスラリー中には、さらに界面活性剤を含ませることが好ましい。具体的には、ポリカルボン酸系やスルホン酸系等の減水剤、高性能減水剤や高性能AE減水剤等の高分子界面活性剤を用いる。これにより、ポーラスコンクリートの結合材に混和できる粉末量を増加させることができ、ポーラスコンクリートにおけるペーストのコンシステンシーの改善やポゾラン反応のさらなる向上に結びつき、ポーラスコンクリートの強度向上に繋がる。
【0041】
スラリーにおけるゼオライト粉末濃度は、質量%濃度で好ましくは30%以上90%以下、特に好ましくは50%以上70%以下となるように調整される。また、スラリーにおける界面活性剤の濃度は、質量%濃度で好ましくは3%以上10%以下、特に好ましくは7%となるように調整される。
【0042】
上記の他に、必要に応じて化学混和剤等を混合してもよい。化学混和剤としては、コンクリートの製造において用いられている公知の化学混和剤(減水剤等)を用いることができる。
【0043】
植生層20を作製する際、上記ペーストと、骨材と、ゼオライト粉末とを(或いは、ゼオライト粉末を結合材として含むペーストと、骨材とを)所定の比率で混合して混合物とする。該混合物中において、練り混ぜ水と結合材(ゼオライト粉末を含む)との質量比は、20%以上40%以下とすることが好ましい。また、混合物中における、ペーストと骨材との絶対容積比は26%以上とし、36%以上とすることが好ましく、44%以上とすることが最も好ましい。ペーストと骨材との絶対容積比の上限は、50%程度とし、48%以下とすることが好ましい。さらに、ゼオライト粉末の混和率は、結合材全体における絶対容積率として、5%以上50%以下、好ましくは10%以上30%以下とする。このような比率で結合材等を混合することで、硬化後のポーラスコンクリートの強度をより一層向上させることができる。
【0044】
上記混合を行う方法や手段については、特に限定されるものではないが、例えば、オムニミキサー等により練り混ぜることで上記ペースト等が混合され、ポーラスコンクリート(混合物)とされる。
【0045】
上記のようにして混合した後、得られた混合物を硬化させることによって、植生層20を得ることができる。硬化する際には、従来公知の手段、方法を用いることができ、例えば外部振動機等を用いて混合物を締固め、水中や蒸気等で養生を行う等により、混合物を硬化させることができる。
【0046】
<下層10>
下層10は、普通コンクリート又はモルタルを含み、厚さ方向の貫通孔11、11、…を複数有する層である。
【0047】
下層10が貫通孔11、11、…を有していることによって、植栽コンクリート100の通水性を向上させることができる。すなわち、植栽コンクリート100を設置した際に、その下部にある土壌からの水分を吸収することができ、さらにその水分を上層部の植生層20に浸透させ、最上部の覆土30に到達させることができる。このような構造により、植物の根はその植物が根付いた植生層20の植生基材のみならず、隣接する植生基材にも根を伸張させていくことができる。また、上記のようにして植生層20に水分が浸透することによって、灌水の手間を省くことが出来る。さらに、貫通孔11、11、…によって通水性が向上されていることにより、植栽コンクリート100を水過剰条件下に設置した場合でも植生層20において植物の生育が可能になる。さらに、貫通孔11、11、…により水分通過機能が高まっているにもかかわらず、実施例に記載の通り、植栽コンクリート100を塩類集積土壌に設置した場合でも、塩類が覆土30に上昇蓄積するのを防ぐことができる。これは、ゼオライトの高いイオン交換容量によるものと考えられる。
【0048】
また、下層10は植栽コンクリート100の強度を確保する機能も備えている。上記効果を発揮させつつ植栽コンクリート100の強度を確保するためには、ゼオライトを含むポーラスコンクリートで貫通孔11、11、…を充填することが好ましい。貫通孔11、11、…の大きさや数は、植栽コンクリート100に備えさせるべき強度との兼ね合いなどによって適宜決定される。例えば、貫通孔11、11、…が下層10の厚さ方向に中心軸を有する円柱状であり、貫通孔11、11、…にゼオライトを含むポーラスコンクリートが充填されている場合、植栽コンクリート100に十分な強度を備えさせつつ、上記効果を発揮させるためには、貫通孔11、11、…が、下層10の底面1平方メートル当たり1個以上300個以下備えられており、貫通孔11、11、…の開口部の合計面積が、下層10の底面に対する面積比で5%以上40%以下であることが好ましい。
【0049】
下層10は、例えば、結合材を含むペーストと骨材とを混合して硬化させることによって得られる。ペースト中の結合材、骨材の詳細は、上記植生層20と同様とすることができるため、ここでは説明を省略する。ただし、下層10には、骨材として粒状ゼオライト以外のもの(砕石等)が含まれる。すなわち、植生層20と下層10とは異なる骨材により構成される。また、下層10を作製する際にも、上記のようにして植生層20を作製する場合と同様に、結合材の一部として予めゼオライト粉末を含ませてペーストとしてもよく、或いは、ペースト及び骨材に加えて、別途ゼオライト粉末を混和してもよい。また、ゼオライト粉末はスラリー状とされて用いられてもよい。ゼオライト粉末やスラリーの詳細については、上記植生層20の作製方法と同様とすることができるため、ここでは説明を省略する。下層10を構成する混合物を混合する方法や硬化させる方法についても、上記植生層20の作製方法と同様とすることができるため、ここでは説明を省略する。
【0050】
貫通孔11、11、…の形成方法は特に限定されず、上記の手順で板状体を作製した後に貫通孔11、11、…を打ち抜いてもよく、予め貫通孔11、11、…を有する下層10の形状に対応した型枠を用意し、上記の手順で貫通孔11、11、…を有する下層10を作製しても良い。
【0051】
<植栽コンクリート100>
下層10と植生層20とを一体とすることによって、植栽コンクリート100とすることができる。下層10と植生層20とを一体とする方法は、特に限定されるものではないが、例えば、型に下層10を打ち込み、その上に植生層20を打ち込んだ後、当該二層をフレッシュ状態で結合させることにより、或いは、植生層20の硬化後に下層10を打ち込むことにより、二層を一体とすることができる。ただし、下層10を硬化させた後、表面のレイタンスをグラインダー等で取り除いた後、植生層20を打ち込むことが好ましい。このとき、貫通孔11、11、…に植生層20を構成する材料を充填することが好ましい。貫通孔11、11、…にゼオライトを含むポーラスコンクリートを充填することが容易になるからである。
【実施例】
【0052】
以下に、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0053】
(下層の作製)
結合材の一部として普通ポルトランドセメントを用い、これと、一般的にコンクリート用細骨材として用いられる表2に示される砕砂(密度2.80、吸水率0.56%)、練混ぜ水、高性能減水剤(花王社製マイティ150)及びAE補助剤(花王社製AE101)を混合し、表3に示された配合によってモルタルミキサ(株式会社丸東製作所CB−34)で3分間練混ぜた。その後練混ぜた混合物を、型枠(幅300×300mm、厚さ60mm)に厚さ20mmとなるよう打ち込み、外部振動機(エクセン社製インバータ付きテーブルバイブレータTV500x500・KM250−2Px2)を用いて締固めた。下層の貫通孔は、型枠に混合物を打ち込む際に、型枠内部に厚さ20mm、直径100mmまたは200mmの発泡スチロールを設置し、その周囲に混合物を打ち込み、1日の型枠内養生の後に発泡スチロールを取り除くことによって形成した。なお、貫通孔は、直径100mmの場合は4カ所(正方形の四隅の位置)に形成し、直径200mmの場合は中心に1カ所だけ形成した。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
表3において、Wは練混ぜ水を、Cは普通ポルトランドセメントを、ZPは表2の天然ゼオライト粉末を、CSは表2の砕砂を、SPは上記高性能減水剤を、AEは上記AE補助剤を意味する。また、W/Bは練混ぜ水と結合材との質量比を、ZP混和率は結合材全体におけるZPの絶対容積率を示している。
【0057】
(植生層の作製と下層との一体化)
以下の手順で植生層を直接打ち込んで植生層と下層と一体化し、本発明の植栽コンクリートを作製した。
【0058】
植生層は、結合材の一部として早強ポルトランドセメントを用い、これと、表2に示される骨材を混合し、オムニミキサー(チヨダマシナリー社製OM−10A又はOM30E)で1分間練り混ぜ、その後、練り混ぜ水、AE補助剤、高性能減水剤(花王社製マイティ150)及び表2に示される混和材をさらに混合し、オムニミキサーで3分間練り混ぜた。その後、練り混ぜた混合物を、型枠内に打ち込んで硬化した下層10の上に直接打ち込んで、外部振動機(エクセン社製インバータ付きテーブルバイブレータTV500x500・KM250−2Px2)を用いて締固め、下層と植生層とを一体化させた。なお、下層の貫通孔内には植生層を構成する混合物を充填した。その後、水中にて26日間養生させ供試体を複数作製した。各供試材にかかる結合材、骨材、及び混和材の種類及び比率については、表4で示されるものとした。尚、ゼオライト粉末はスラリー上(ZPL)を用いた。また、本実施例においては、混和材ZPは、結合材の一部を構成するものとして換算する。
【0059】
【表4】
【0060】
表4において、Wは練混ぜ水を、Cは早強ポルトランドセメントを、ZPは表2の天然ゼオライト粉末を、ZAは表2の天然ゼオライト細骨材を、ZGは表2の天然ゼオライト粗骨材を、SPは上記高性能減水剤を、AEは上記AE補助剤を意味する。また、W/Bは練混ぜ水と結合材との質量比を、p/aはペーストと骨材の絶対容積比を、s/aは細骨材率を、ZP混和率は結合材全体におけるZPの絶対容積率を示している。
【0061】
上記のようにして作製した植栽コンクリートの植生層に、植物生育促進微生物(植物生育促進糸状菌:Plant Growth Promoting Fungus。以下、「PGPF」という。)と、センチピートグラス種子とを固定化した。具体的には、キサンタンガム水溶液50mlにPGPF0.45gを混合し、さらに適当量のセンチピートグラス種子を混和したものを植生層上に散布した後、密封して真空ポンプで吸引減圧し、PGPFとセンチピートグラス種子を植生層に吸着させた。
【0062】
図2に、植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層へのセンチピートグラス種子の固定率との関係を示した。キサンタンガムの濃度が1.0%以上である場合、極めて強固にセンチピートグラス種子を固定化することができた。尚、「固定率」とは、植栽コンクリートを木槌で10回たたき、固定化に用いた種子の質量と、落下した種子の質量とを測定・比較することにより求めたもの((固定化に用いた種子の質量−落下した種子の質量)/固定化に用いた種子の質量)である(以下同じ。)。
【0063】
図3に、植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスの発芽率との関係を示した。図3から明らかなようにキサンタンガムの濃度が1.0%である場合、栽培7日目において生育の遅延が若干見られるものの栽培14日目において80%以上の発芽率を示した。尚、「発芽率」とは、固定化した種子の数と、発芽した種子の数を測定・比較することによって求めたもの(発芽した種子の数/固定化した種子の数)である(以下、同じ)。
【0064】
図4に、植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスの草丈との関係を示した。キサンタンガムの添加により草丈に悪い影響が出ることはなかった。尚、キサンタンガムの濃度が1.0%である場合が最良であった。
【0065】
図5に、植生層にセンチピートグラス種子を固定化するために用いたキサンタンガムの濃度と植生層に固定化されたセンチピートグラスのクロロフィル含量との関係を示した。栽培28日目において、キサンタンガムの濃度が1.0%である場合が最も良好であった。
【0066】
上記のようにして作製した本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所(設置区)と設置しない場所(無設置区)とを設けて、以下に説明するようにして、本発明の植栽コンクリートがセンチピートグラスの水ストレスと、生育(草丈)、刈込収量、及びスパット値(SPAD値:葉緑素量の推定値)との関係に与える影響を評価した。
【0067】
図6に、設置区と無設置区とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスの生育(草丈)との関係を示し、図7に、設置区と無設置区とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスの刈込収量との関係を示し、図8に、設置区と無設置区とにおける水ストレス(水分過多)とセンチピートグラスのスパット値(SPAD値)との関係を示した。
【0068】
センチピートグラス種子が発芽して草丈15cmに到達した時点で第1回目の刈り込みを行い草丈7cmに、さらに草丈10cmに到達した時点で第2回目の刈り込みを行い草丈5cmに調整した本発明の植栽コンクリートを用いて、その後20日間の水ストレス処理を行った。処理当日に土壌の最大容水量の60%量を給水、その後全く給水しなかった乾燥環境にさらした場合(pF2.9以上)及び給水量をpF2.9になるように中位の乾燥ストレスを与えた場合、さらに給水量を土壌pF1.4以下のような水分過多に設定した区で試験を行ったところ処理後10日目から処理区間に明らかな差が認められた。すなわち無設置区は草丈、収量及びスパット値とも明らかに低い値を示し、処理20日目には枯死した。一方で設置区は過剰な土壌水分条件にもかかわらず処理10日目から草丈、収量及びスパット値とも高い値を示した。また、植栽コンクリート内部の空隙に新しい根が侵入し、新たな新芽も観察された。
【0069】
センチピートグラス種子に代えてトールフェスク種子を用いた(キサンタンガムの濃度は1%)以外は上記本発明の植栽コンクリートと同様にして、他の本発明の植栽コンクリートを作製した。当該他の本発明の植栽コンクリートを土壌に設置した場所(設置区)と設置しない場所(無設置区)とを設けて、以下に説明するようにして、本発明の植栽コンクリートの設置がトールフェスク種子の生育における塩類ストレスの軽減に及ぼす影響を評価した。
【0070】
図9に、塩類集積土壌(NaCl2%添加区)における設置区と無設置区とでのトラップされるNa含有率とトールフェスクの栽培日数との関係を示し、図10に、塩類集積土壌(NaCl2%添加区)における設置区と無設置区とでの生育したトールフェスクのスパット値(SPAD値)の栽培日数推移を示し、図11に、設置区と無設置区とにおける土壌中のNaCl濃度と栽培開始から30日後のトールフェスクの刈取り収量との関係を示した。
【0071】
土壌中のNaCl濃度が0%、1%、2%である下層土壌を用意し、該下層土壌上に本発明の植栽ブロックを設置した場所(設置区)と設置しない場所(無設置区)とを設けた。設置区及び無設置区に、さらに土壌(上層土壌)を充填した後、1日おきに下層土壌から給水し、30日間(明期:暗期=12時間:12時間)、30℃、RH30%に設定した人工気象機内に放置し、下層土壌から上層土壌へのNaClの蓄積量を調べた。その結果、図9に示すように、設置区では下層土壌から上層土壌へのNaClの移動は抑制された。NaCl2%添加区では設置区において栽培30日後でも初期のNaCl含量2%の1/10程度のNaCl0.2%に抑えられた。一方、無設置区においては、NaCl1.0%を含有しており、本発明の植栽コンクリートによる塩類トラップ効果が明確になった。
【0072】
さらにその時のスパット値を比較すると、図10に示すように、設置区では、NaCl2%添加区でありながら極めて安定したスパット値を示した。一方、無設置区ではその低下が著しく設置区と比較してスパット値が40%程も低下した。
【0073】
栽培30日後の刈取り収量を比較すると、図11に示すように、NaCl2%添加区では設置区と無設置区との差が60%にも及び無設置区には著しい塩害が確認された。一方で、設置区においてはNaCl0%区と比較してもせいぜい6%程度の減少にとどまっており、本発明の植栽コンリートの効果が顕著に認められた。
【0074】
上記本発明の植栽コンクリートと同様(用いたキサンタンガムの濃度は1%)の植栽コンクリートAと、センチピートグラス種子に代えてケンタッキーブルーグラス種子を用いた以外は植栽コンクリートAと同様にして作製した植栽コンクリートBと、PGPFを添加していない以外は植栽コンクリートAと同様にして作製した植栽コンクリートCと、PGPFを添加していない以外は植栽コンクリートBと同様にして作製した植栽コンクリートDとを用意した。これらの植栽コンクリートA〜Dを既耕地畑培養土に設置したときの芝草生育に及ぼす影響を発芽率、草丈、クロロフィル濃度、スパット値及びイオン(N、P、K、Ca、Mg)含有量について比較した。その結果を表5に示した。表5において、対照区はPGPFを添加していない区を意味し、PGPF添加区は、PGPFを添加した区を意味する。
【0075】
【表5】
【0076】
表5に示したように、供試土壌として既耕地畑培養土を用いたとき、ケンタッキーブルーグラス及びセンチピードグラスの発芽率及び栽培25日目までの生育には、対照区とPGPF添加区とにおいて顕著な差は見られなかった。一方、ケンタッキーブルーグラスの草丈10cmに刈り込み後15cmに再生するまでの日数は対照区は7日であったのに対して、PGPF添加区では5日に短縮できた。さらに草丈15cmに達してから7cmに刈り込み後(2回目刈込後)草丈が10cmに達するまでの日数及びこの時点でのクロロフィル濃度は、対照区に比べてPGPF添加区が高い値を示した。センチピードグラスにおいても同様の生育差が認められた。
【符号の説明】
【0077】
10 下層
11 貫通孔
20 植生層
30 覆土
100 植栽コンクリート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
普通コンクリート又はモルタルを含み、厚さ方向の貫通孔を複数有する下層と、
前記下層上に形成され、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートを有する植生層と、
を備える、植栽コンクリート。
【請求項2】
前記下層の前記貫通孔が、前記下層の底面1平方メートル当たり1個以上300個以下備えられており、
前記貫通孔の開口部の合計面積が、前記下層の底面に対する面積比で5%以上40%以下である、請求項1に記載の植栽コンクリート。
【請求項3】
骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートが前記貫通孔内に充填されている、請求項1又は2に記載の植栽コンクリート。
【請求項4】
植物生育促進微生物を前記植生層に固定化した、請求項1〜3のいずれかに記載の植栽コンクリート。
【請求項5】
アレロパシーを持つ植物の種子を前記植生層に固定した、請求項1〜4のいずれかに記載の植栽コンクリート。
【請求項1】
普通コンクリート又はモルタルを含み、厚さ方向の貫通孔を複数有する下層と、
前記下層上に形成され、骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートを有する植生層と、
を備える、植栽コンクリート。
【請求項2】
前記下層の前記貫通孔が、前記下層の底面1平方メートル当たり1個以上300個以下備えられており、
前記貫通孔の開口部の合計面積が、前記下層の底面に対する面積比で5%以上40%以下である、請求項1に記載の植栽コンクリート。
【請求項3】
骨材又は混和材としてゼオライトを含むポーラスコンクリートが前記貫通孔内に充填されている、請求項1又は2に記載の植栽コンクリート。
【請求項4】
植物生育促進微生物を前記植生層に固定化した、請求項1〜3のいずれかに記載の植栽コンクリート。
【請求項5】
アレロパシーを持つ植物の種子を前記植生層に固定した、請求項1〜4のいずれかに記載の植栽コンクリート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−34628(P2012−34628A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177681(P2010−177681)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年2月8日 国立大学法人 秋田大学工学資源学部土木環境工学科発行の「平成21年度 修士論文・卒業論文概要集」に発表
【出願人】(391002007)福田ヒューム管工業株式会社 (5)
【出願人】(598096991)学校法人東京農業大学 (85)
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年2月8日 国立大学法人 秋田大学工学資源学部土木環境工学科発行の「平成21年度 修士論文・卒業論文概要集」に発表
【出願人】(391002007)福田ヒューム管工業株式会社 (5)
【出願人】(598096991)学校法人東京農業大学 (85)
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【Fターム(参考)】
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