説明

植毛ブラシ検査キット、及びこれを用いた拭き取り検査方法

【課題】検査対象への接触面積を確保して菌の採取率を上げ、容易に希釈液へ菌をリリースする植毛ブラシ拭取り棒を提供する。
【解決手段】
植毛ブラシ拭取り棒11は、長手部材11aと、長手部材11aの先端に設けられる平板部材11cと、平板部材11cの表面に静電植毛される複数の繊維11fとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の製造加工に使用する器具、器材ならびに食品取扱器具及び食品取扱者などが清潔かつ衛生的であるかを検査するために用いられる植毛ブラシ検査キット、及びこれを用いた拭き取り検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の品質レベルの指標として、一般細菌数や大腸菌群数がある。食品衛生法では規格基準があり、都道府県の条例でも指導基準がある。これら基準及び目標の数値をクリアしているかを知るためには、食品を取り扱う食品取扱器具、器材及び食品取扱者の手指などの菌の有無や量を調べる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2003−344232号公報
【特許文献2】特許公開2008−32541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記菌の有無や量を調べるためには、食品取扱器具及び食品取扱者の手指など(以下、「検査対象」という)に直接スタンプする方法と、減菌水(希釈液)でぬらした綿棒で検査対象を拭取る方法とがある。後者の方法に用いられる綿棒は、棒状のベースに長い極細繊維束が巻き付けられて形成され、容器中の希釈液に浸っている。綿棒の綿球は、極細繊維の間の空隙の毛細管現象で吸水性を保つことによって、菌を採取するようにしている。
【0005】
従来の綿棒は、綿球の適度な湿り気を持った状態で希釈液から取り出され、検査対象を拭取るために使用される。綿棒は希釈液に戻され、容器が揺動されると、綿球からの菌が希釈液中に解離(リリース)される。その後、希釈液が検査培地に注入され、所定温度で一定時間培養した後の色や紫外線に対する光学的反応を用いて、菌の有無が判定される(定性検査法)。また、シャーレやフィルム培地に希釈液が一定量分注された後、所定温度で一定時間培養した後のコロニー(菌の集落)が観察されて、検査対象における菌量が推定される(定量検査法)。
【0006】
しかしながら、綿球の表面は曲面であるため、一拭きしたのでは綿球の一部しか検査対象に触れない。このため、検査対象から菌を十分に拭取ることが難しいという問題があった。また、綿球は極細繊維束を巻き付けて形成されているため、容器の揺動では菌を希釈液中に解離させることが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、検査対象への接触面積を確保して菌、微生物及び微粒子などを十分に拭取り、これらを容易に希釈液へリリースする植毛ブラシ拭取り棒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、長手部材と、長手部材の先端に設けられる平板部材と、平板部材の表面に静電植毛される複数の繊維とを備える植毛ブラシ拭取り棒が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様では、従来の綿球の代わりに、母材の平板部材の表面に複数の繊維を静電植毛した。平板部材の平面の繊維によって検査対象を拭取れるため、検査対象への接触面積を確保でき、菌を十分に拭取ることができる。また、平面上に静電植毛された繊維の間に菌が採取されるため、従来の綿球の繊維の間の菌よりも、容易に希釈液へ菌をリリースすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、植毛ブラシ検査キットを示す部分断面図である。
【図2】図2は、第1のキャップと植毛ブラシ拭取り棒との部分断面図である。
【図3】図3は、第1のキャップと植毛ブラシ拭取り棒との部分断面図である。
【図4】図4は、図2の検体採取部分のIV−IV線断面図である。
【図5】図5は、長手部材の屈曲部分の斜視図である。
【図6】図6は、希釈液容器の部分断面図である。
【図7】図7は、第2のキャップの外観図である。
【図8】図8は、第2のキャップを上から見た平面図である。
【図9】図9は、第2実施形態の第1のキャップと植毛ブラシ拭取り棒との部分断面図である。
【図10】図10は、第2実施形態の第1のキャップと植毛ブラシ拭取り棒との部分断面図である。
【図11】図11は、第3実施形態の屈曲部分の斜視図である。
【図12】図12は、第4実施形態の屈曲部分の斜視図である。
【図13】図13は、第5実施形態の植毛ブラシ検査キットを示す部分断面図である。
【図14】図14は、第5実施形態の第2のキャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、植毛ブラシ拭取り拭取り棒、植毛ブラシ検査キット、及び植毛ブラシ拭取り検査棒の採取力を調整する方法の本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
まず、植毛ブラシ検査キット1の概略を説明する。図1は、第1実施形態の植毛ブラシ拭取り棒11が装着される植毛ブラシ検査キット1を示す部分断面図である。図1では、左半分が植毛ブラシ検査キット1の断面を示し、右半分が植毛ブラシ検査キット1の外観を示す。
【0013】
植毛ブラシ検査キット1は、第1のキャップ10と、第1のキャップ10と一体成型される植毛ブラシ拭取り棒11と、希釈液容器12と、第2のキャップ13(自立部)とを有する。
【0014】
第1のキャップ10は、後述する希釈液容器12の上端開口部12bに着脱可能に装着され、植毛ブラシ拭取り棒11の大部分が希釈液容器12内の希釈液に浸っている。第2のキャップ13は、後述する希釈液容器12の縮径部12cに着脱可能に装着され、希釈液容器12外部への希釈液の漏出が防止される。後述する第2のキャップ13の形状により、植毛ブラシ検査キット1は自立可能である。
【0015】
検査対象の菌の有無や量を調べる者(以下、「検査者」という)は、第1のキャップ10を希釈液容器12から取り外し、植毛ブラシ拭取り棒11を希釈液容器12から取り出す。植毛ブラシ拭取り棒11の検体採取部分11b(一部点線で示す)で検査対象が拭取られ、植毛ブラシ拭取り棒11が希釈液中に戻される。検査者が植毛ブラシ検査キット1を揺らすと、菌が検体採取部分11bから希釈液中に解離される。その後、第2のキャップ13が希釈液容器12から取り外され、滴下された希釈液中の菌の有無や量が調べられる。
【0016】
次いで、植毛ブラシ拭取り棒11の詳細を説明する。図2は第1のキャップ10と植毛ブラシ拭取り棒11との詳細を示し、平板部材11cの側面側から見た部分断面図である。図2では、左半分が第1のキャップ10及び植毛ブラシ拭取り棒11の断面を示し、右半分が第1のキャップ10及び植毛ブラシ拭取り棒11の外観を示す。図3は、第1のキャップ10と植毛ブラシ拭取り棒11との詳細を示し、平板部材11cの上面側からみた部分断面図である。図3では、左半分が第1のキャップ10及び植毛ブラシ拭取り棒11の断面を示し、右半分が第1のキャップ10及び植毛ブラシ拭取り棒11の外観を示す。図4は、図2のIV−IV線断面図である。図5は、長手部材11aの屈曲部21aの斜視図である。
【0017】
植毛ブラシ拭取り棒11は、長手部材11aと、長手部材11aの先端に設けられる検体採取部分11bとを有する。
【0018】
長手部材11aは、第1のキャップ10から延びる細長の部分である。長手部材11aの断面は円形や楕円形などの様々な形状であり得る。長手部材11aは所定の長さを有し、このことによって、第1のキャップ10が希釈液容器12に装着された際に、検体採取部分11bが、希釈液容器12の希釈液中に十分に浸される(図1)。長手部材11aは、後述する屈曲部分21aを有する。
【0019】
検体採取部分11bは、長手部材11aと連続する平板部材11cと、平板部材11cの表面に整列する複数の極細の繊維11gとを有する。第1のキャップ10、長手部材11a及び平板部材11cは、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの共重合合成樹脂)などの成型用樹脂を用いて一体成型されているが、これに限定されない。
【0020】
平板部材11cは、その厚み方向における上面11dと、上面11dの反対側の下面11eと、側面11fとを有する。平板部材11cは、下面11eと長手部材11aが延びる方向(軸方向)とが所定の角度α(鋭角)を成すように(図2)、長手部材11aと連続する。
【0021】
上面11d及び下面11eは、同じ大きさの楕円形状である(図3)。但し、上面11d及び下面11eのそれぞれの長径及び短径は厳密に同じである必要はない。側面11fは、上面11d及び下面11eの外周の外側に湾曲した面である(図4)。
【0022】
複数の繊維11gの各々は、一定の短さの繊維である(図2―4)。複数の繊維11gにはナイロンなどの繊維素材が用いられるがこれに限定されない。ここで、複数の繊維11gの平板部材11cの各面への付着方法を説明する。まず、上面11d、下面11e及び側面11fの全ての面に接着剤が塗布される。接着剤が塗布された後、これら各々の面に直角になるように、複数の繊維11gが静電気力で整列して付着される(以下、「静電植毛」という)。
【0023】
長手部材11aは、平板部材11cとの接続部に、上述の屈曲部分21aを有する(図2、3)。この屈曲部分21aには波形状が成型される(図5)。波形状の凹部及び凸部は、平板部材11cと平行な方向で、長手部材11aが延びる方向に直角に延びる(直角な向きである)。このような形状により、屈曲部分21aは、長手部材11aの他の部分よりも弾力性を持つ。よって、検体採取部分11bは、下面11e側から押されると、上面11d側(図2の矢印A)に屈曲しやすい。
【0024】
希釈液容器12の詳細を説明する。図6は、希釈液容器12の部分断面図である。図6では、左半分が希釈液容器12の断面を示し、右半分が希釈液容器12の外観を示す。
【0025】
希釈液容器12は、円筒の収容空間12aと、収容空間12aの上端開口部12bと、上端開口部12bの反対側に設けられる縮径部12cと、縮径部12cに形成される下端開口部12dとを有する。
【0026】
収容空間12aは所定の容量を有し、このことによって、第1のキャップ10が希釈液容器12に装着された際に、植毛ブラシ拭取り棒11が収容空間12a内で十分に延在できる(図1)。収容空間12aは、希釈液容器12の揺動により検体採取部分11bからの菌を解離させる程度の希釈液を収容している。
【0027】
縮径部12cは、上端から下端にいくにつれて、その半径が小さくなっている。縮径部12cには、後述する第2のキャップ13が装着される。
【0028】
下端開口部12dは、縮径部12cの下端に設けられる。下端開口部12dには、後述する第2のキャップ13の栓部13eが嵌合し、これにより縮径部12cからの希釈液の漏出が防止される。
【0029】
第2のキャップ13の詳細を説明する。図7は、第2のキャップ13の外観図である。図8は、上からみた第2のキャップ13の平面図である。
【0030】
第2のキャップ13は、容器側開口部13aと、本体13bと、平坦部13cと、4つのリブ13dと、栓部13eとを有する。
【0031】
容器側開口部13aは、第2のキャップ13の上端に形成されている。本体13bは、縮径部12dを収容する部材であり、容器側開口部13aから下端にいくにつれて、その半径が小さくなっている(図7)。本体13bの内部形状は縮径部12dの外部形状と適合する。円盤状の平坦部13cの中心で、本体13bの下端と接続する。平坦部13cの半径は、容器側開口部13aの半径よりも大きい(図7)。
【0032】
4つのリブ13dは、本体13bの外側で、十字の4方向でそれぞれ設けられる(図8)。4つのリブ13dの各々は、平坦部13cの上面から延びて本体13bを支える。但し、4つのリブ13dは厳密に十字の4方向でなくてもよく、また他の複数個のリブ13dが設けられてもよい。
【0033】
このような本実施形態の植毛ブラシ検査キット1は、以下のようにして使用することができる。
【0034】
植毛ブラシ拭取り棒11の長手部材11aと検体採取部分11bとが希釈液容器12内に収容され、希釈液に浸っている(図1)。希釈液容器12の縮径部12cには第2のキャップ13が装着されている。検査者は、第1のキャップ10を希釈液容器12から外し、植毛ブラシ拭取り棒11を希釈液容器12から取り出す。
【0035】
複数の繊維11gは、上述のように整列して平板部材11cに静電植毛されている。また、複数の繊維11gは一定の長さであり、複数の繊維11g間で水分が保持される。よって、検体採取部分11bの水分量は平板部材11c上の広い範囲で一定であり、植毛ブラシ拭取り棒11では、安定した菌採取率を得ることができる。
【0036】
検査者は第1のキャップ10を掴み、検体採取部分11bを用いて検査対象を拭取る。屈曲部分21aの形状により、検査者は下面11eを検査対象に押し付け、検体採取部分11bを上面11dの方向(図2の矢印A)に屈曲させる。この状態で検査対象を拭取ることにより、下面11eの全体の繊維11gで検査対象からの菌を採取することができる。よって、従来の綿棒の綿球よりも検査対象への接触面積を確保でき、検査対象からの菌を十分に拭取ることができる。
【0037】
屈曲部分21aの形状により、上面11dの方向(図2の矢印A)よりも、長手部材11aと直交する方向(図3の矢印B)では、検体採取部分11bの長手部材11aに対する剛性が強い。よって、検査対象をこすって菌を採取する必要がある場合には、上面11d及び下面11eの短径方向に垂直な側面11fを使用して、菌を採取することができる。
【0038】
検体採取部分11bの母材は平板部材11cであるため(図2、4)、平板部材11cの厚さの範囲内の間隙であれば、検体採取部分11bは入り込むことができる。よって、厚みが小さい間隙内でも、上面11d及び下面11eと検査対象との接触面積を保ったまま、検査体象から菌を採取することができる。
【0039】
検体採取部分11bによって菌が採取された後、検査者は、第1のキャップ10を希釈液容器12に装着して、植毛ブラシ拭取り棒11を希釈液容器12へ戻す。検査者は植毛ブラシ検査キット1を揺動し、複数の繊維11gから希釈液中に菌を解離させる。
【0040】
ここで、検査対象からの菌は、整列した一定の短さの複数の繊維11gの間に保持されている。よって、植毛ブラシ検査キット1の揺動により、複数の繊維11g間から菌を容易に希釈液中に解離させることができる。複数の繊維11g間に残る検査対象からの菌は、従来の綿球に残る菌よりも非常に少なくなる。
【0041】
上記揺動の後、第2のキャップ13が縮径部12cに嵌められた状態で、植毛ブラシ検査キット1が鉛直方向で立てられる(図1)。ここで、縮径部12cが本体13bに覆われ、その外側が4つのリブ13dによって支えられる。よって第2のキャップ13の形状により、植毛ブラシ検査キット1の自立が助けられる。また、4つのリブ13dを上記のように配置したため、第2のキャップ13の重さを大きく変えることなく、本体13bを支え、植毛ブラシ検査キット1の自立を助けることができる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態の植毛ブラシ拭取り棒11の詳細を説明する。第1実施形態とは、平板部材21cの形状が異なる。図9は、第1のキャップ10と植毛ブラシ拭取り棒11との詳細を示し、平板部材11cの側面側から見た部分断面図である。図9では、左半分が第1のキャップ10及び植毛ブラシ拭取り棒11の断面を示し、右半分が第1のキャップ10及び植毛ブラシ拭取り棒11の外観を示す。図10は、第1のキャップ10と植毛ブラシ拭取り棒11との詳細を示し、平板部材11cの上面側から見た部分断面図である。図10では、左半分が第1のキャップ10及び植毛ブラシ拭取り棒11の断面を示し、右半分が第1のキャップ10及び植毛ブラシ拭取り棒11の外観を示す。
【0043】
本実施形態では、平板部材21cが矩形である。上面21dと下面21eとが長方形であり、側面21fが平行四辺形である。平板部材21cは、上面21d側と下面21e側とに、それぞれ4つの頂点11hを有する。但し、平板部材21cは厳密に矩形である必要はなく、複数の頂点を有する他の立体形状でもよい。
【0044】
食品取扱器具、器材では、平坦な場所よりもコーナーや溝などに菌が多く存在する傾向にある。上記8つの頂点11hを使用することにより、検査対象である食品取扱器具のコーナーや溝などの菌を的確に採取することができる。
【0045】
(第3実施形態)
第3実施形態の植毛ブラシ拭取り棒の詳細を説明する。第1実施形態とは、屈曲部分31aの形状が異なる。図11は、屈曲部分31aの斜視図である。
【0046】
屈曲部分31aは、長手部材11aが延びる方向に直角に延びる複数の溝を有する。これらの溝は、長手部材11aの上面11d側に形成される。このような屈曲部分31aは長手部材11aの他の部分よりも弾力性を持ち、検体採取部分11bは、下面11e側から押されると、上面11d側(図2の矢印A)に屈曲しやすい。よって、第1実施形態と同様に、検査対象からの菌を十分に拭取ることができる。
【0047】
(第4実施形態)
第4実施形態の植毛ブラシ拭取り棒の詳細を説明する。第1実施形態とは、屈曲部分41aの形状が異なる。図12は、屈曲部分41aの斜視図である。
【0048】
屈曲部分41aは、平板部材11cの厚み方向と同一の方向で、長手部材11aの他の部分よりも薄く形成される。このような屈曲部分41aは長手部材11aの他の部分よりも弾力性を持ち、検体採取部分11bは、下面11e側から押されると、上面11d側(図2の矢印A)に屈曲しやすい。よって、第1実施形態と同様に、検査対象からの菌を十分に拭取ることができる。
【0049】
(第5実施形態)
第5実施形態の第2のキャップ13の詳細を説明する。第1実施形態とは、第2のキャップ23の形状が異なる。図13は、本実施形態の第2のキャップ13を有する植毛ブラシ検査キット1を示す部分断面図である。図13では、左半分が拭取り検査具1の断面を示し、右半分が植毛ブラシ検査キット1の外観を示す。図14は、本実施形態の第2のキャップ13の詳細を示す断面図である。
【0050】
第1実施形態と同様に、第2のキャップ13は、希釈液容器12の下側に設けられ、植毛拭取り検査具1の自立を助ける形状である(図14)。第2のキャップ23は、第1実施形態の4つのリブ13c及び平坦部13dを有さず、スカート部13f及び間隙13gを有する(図14)。
【0051】
スカート部13fは、本体13bから延びて本体13bの周囲に配置される。間隙13gは、本体13bとスカート部13fとの間に形成される。スカート部13fの半径は、容器側開口部13aの半径よりも大きくなっている。
【0052】
本実施形態では、本体13bから延びて、その周囲に配置されるスカート部13fを形成した。これにより、縮径部12dが本体13b、スカート部13fによって支えられる。よって、第1実施形態と同様に、第2のキャップ13の形状により、植毛ブラシ検査キット1の自立が助けられる。スカート部13fと本体13bとの間を間隙13fにしたため、第1実施形態と同様に、第2のキャップ23の重さを大きく変えることもない。
【0053】
以上に本発明の幾つかの実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲における各請求項に記載の発明の範囲内において様々に変形可能である。たとえば、希釈液容器12自体にスカート状のリブを設けて、植毛ブラシ検査キット1の自立を助けてもよい。また、複数の繊維11gの長さや、太さや、植毛密度の少なくとも1つを変化させ、又はこれらの組み合わせにより検体採取部分11bの菌の採取能力を変えてもよい。例えば、複数の繊維11gの長さを長くすること、複数の繊維11gの太さを細くすること、又は複数の繊維11gの植毛密度を高くすることにより、複数の繊維11g間の採取量が増える。上記各実施形態を組み合わせて、植毛ブラシ検査キット1を構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 植毛ブラシ検査キット
10 第1のキャップ
11 植毛ブラシ拭取り検査棒
11a 長手部材
11b 検体採取部分
11c 平板部材
11d 上面
11e 下面
11f 側面
11g 繊維
12 希釈液容器
12a 収容空間
12b 上端開口部
12c 縮径部
13 第2のキャップ
13a 容器側開口部
13b 本体
13c 平坦部
13d リブ
13e 栓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛ブラシ拭取り棒あって、
長手部材と、
前記長手部材の先端に設けられる平板部材と、
前記平板部材の表面に静電植毛される複数の繊維とを備えることを特徴とする植毛ブラシ拭取り棒。
【請求項2】
前記平板部材は、
前記平板部材の厚み方向における上面と、
前記上面の反対側の下面と、
側面とを備え、
前記下面は、前記長手部材の軸方向と鋭角を成すことを特徴とする請求項1に記載の植毛ブラシ拭取り棒。
【請求項3】
前記上面及び前記下面が、楕円形状であることを特徴とする請求項2に記載の植毛ブラシ拭取り棒。
【請求項4】
前記平板部材が矩形であることを特徴とする請求項2に記載の植毛ブラシ拭取り棒。
【請求項5】
前記長手部材は、前記平板部材との接続部に形成される屈曲部分を備え、
前記屈曲部分は波形状であり、
前記波形状の凹部及び凸部は、前記平板部材と平行な方向で、且つ前記長手部材の軸方向に直角な向きであることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の植毛ブラシ拭取り棒。
【請求項6】
前記長手部材は、前記平板部材との接続部に形成される屈曲部分を備え、
前記屈曲部分は、前記長手部材の軸方向に直角な向きの溝を有し、
前記溝は、前記上面側に形成されることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の植毛ブラシ拭取り棒。
【請求項7】
前記長手部材は、前記平板部材との接続部に形成される屈曲部分を備え、
前記屈曲部分は、前記屈曲部分の他の部分よりも、前記厚み方向で薄いことを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の植毛ブラシ拭取り棒。
【請求項8】
植毛ブラシ検査キットであって、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の植毛ブラシ拭取り棒と、
前記植毛ブラシ拭取り棒と希釈液とを収容する希釈液容器と、
前記希釈液容器の端部に設けられ、前記植毛ブラシ検査キットを自立させる自立部とを備えることを特徴とする植毛ブラシ検査キット。
【請求項9】
前記希釈液容器は、
前記希釈液を収容し、その内部で前記長手部材、前記平板部材及び前記複数の繊維が収納される収容部と、
前記収容部の下端部に設けられる縮径部とを備え、
前記自立部は、前記希釈液容器のキャップであり、
前記縮径部を収容する本体と、
前記本体の下端に設けられる円盤状の平坦部と、
前記平坦部の上面から延びて前記本体を支える複数のリブとを有し、
前記本体は、前記平坦部の中心に接続されることを特徴とする請求項8に記載の植毛ブラシ検査キット。
【請求項10】
前記希釈液容器は、
前記希釈液を収容し、その内部で前記長手部材、前記平板部材及び前記複数の繊維が収納される収容部と、
前記収容部の下端部に設けられる縮径部とを備え、
前記自立部は、前記希釈液容器のキャップであり、
前記縮径部を収容する本体と、
前記本体から延び、前記本体の周囲に配置されるスカート部とを有することを特徴とする請求項8に記載の植毛ブラシ検査キット。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の植毛ブラシ拭取り棒の採取力を調整する方法であって、
前記複数の繊維の長さ、太さ、植毛密度の少なくとも1つを変化させることによって、前記複数の繊維の間への検体の採取能力を変化させることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−21953(P2012−21953A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162041(P2010−162041)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(504293632)株式会社エムケイメディカル (5)
【Fターム(参考)】