説明

植毛装置および方法並びに結果物としての植毛ピース

弾性材料よりなるベースシート(11)を伸張させた状態にして、針(41a)の往復動によりヘアセグメントの中間部を捕捉し、該中間部に形状保持性の屈曲部(30a)を形成する。屈曲部はベースシートの一面に残置されて第一接着層(111)により該一面に固着され、屈曲部の両端から延長する一対の長いヘア延長部(30b)は、針の上昇時にベースシートを突き破って形成した穴(11a)を通過してベースシートの他面側に引き出される。所定本数のヘアセグメントを上記のようにしてベースシートに植毛し且つ固着した後、ベースシートの伸張状態を解除または緩和してその弾性により収縮させるとともに上記穴を縮径させた後、ベースシートの上記一面を全面的に覆う第二接着層(112)を形成して人の皮膚に対する取付面とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本願発明は概してかつら製造に関し、より詳しくは植毛装置および方法に関する。本発明はまた、多数のヘアセグメントが薄いベース上に植毛且つ固定されてなる、使い捨て型であっても良い製品ないし部品に関する。このような製品は総かつら(wig)、部分かつら(hairpiece)、禿隠し(toupee)等として認識されている。しかしながら、本発明による製品は、頭部、腕、臑などあらゆる人体の皮膚部分に装着可能である。我々がこの明細書において単に「総かつら(wig)」という用語を使用したとき、それはしばしば人体の皮膚のあらゆる部分に装着または付着するために多数のヘアセグメントが植毛且つ固定されたあらゆる種類の製品を包含する。
背景の技術
従来のかつらは手作業による高価なものであった。使い捨て型のかつらを製造するという発想はなかった。
手作業によるかつらは、従来、立体形状に成形された比較的厚手のベースに人工毛のセグメントを2つ折りにして一つ一つ人手により縫い付けていた。2つ折りにした1本の人工毛セグメントをベースに植毛すると、あたかも2本の毛が植毛されたかのように見える。2万本の毛が植え付けられたかつらを製造するためには、このような手間のかかる作業を1万回繰り返して行わなければならない。このことは勿論、かつら製造のための時間とコストを大幅に上昇させる。
我々が使い捨て型のかつらを製造しようとした当初の試行において、ベース裏面に塗布または噴霧により粘着剤を付与して、人体の皮膚に接着するための粘着層を形成しようとした。しかしながら、このようにして形成した粘着層は比較的厚く、しかもその厚さが均等ではなかった。このようなかつらを使用すると、かつらのベースの縁と人の皮膚との間の境界がきわめて簡単に観察されてしまうので、彼または彼女がかつらを装着していることが誰からもすぐに見破られてしまう。
我々は他の試行として、人皮程度の厚さの極薄のベースシートを用いてみた。しかしながら、一対の針の通過によって形成された隣接する二つの穴の間において薄いベースシートが簡単に裂けてしまって連続したスリットを形成し、植毛が実行できなくなるという事態が頻発した。
これは、植毛プロセスにおいて過度のテンションが薄いベースシートにかかり、二つ折りにした人工毛がベースシートから離れる方向に引っ張られたときにその根元によって薄いベースシートが裂けてしまうことによる。
他の問題は、不均一な厚さの粘着層は、かつらを人の皮膚に装着したときにベースシートに皺がよりやすく、彼または彼女がかつらを装着していることが見破られてしまう可能性がある、ということにある。
さらに他の問題は、二つ折りにした人工毛の中間部を単にかつらベースに結着しただけであるとそれがベースに沿って寝た状態になりやすいということである。これではいかにもかつらであるかのように見えてしまうので好ましくない。
【発明の開示】
したがって、本願発明の主要な目的は従来のかつら製造システムにおける不利欠点を解消することである。
本発明の他の目的は、多数のヘアセグメントが強固に植毛された植毛ピースをリーズナブルなコストで製造することである。
本発明のさらに他の目的は、使い捨て型の植毛ピースを製造することである。
本発明のさらに別の目的は、人の皮膚のあらゆる部分に装着したときに地毛に見えるような植毛ピースを製造することである。
本発明のさらに別の目的は、薄いベースシートに対してヘアセグメントを実質的に直立した状態に植毛することができる新規な装置および方法を提供することである。
これらのおよび他の目的達成のため、本願発明の一つの視点によれば、弾性材料よりなるベースシートを所定位置に供給する第一供給ユニットと、上記ベースシートを上記所定位置にて伸張させるベース伸張ユニットと、所定長のヘアセグメントを上記ベースシートの第一の側に供給する第二供給ユニットと、上記ベースシートの第二の側の下方に原点を持つフック状先端部を備えた少なくとも二つの針であって、該フック状先端部は上記針の上昇移動の間に上記ベースシートを貫通して穴を形成し且つ上記ベースシートの上記第一の側を超える位置に達し、また、該フック状先端部は上記ベースシートの上記第一の側において上記ヘアセグメントの中間部を捕捉し、上記穴を通過して下降して上記ベースシートの上記第二の側を超える位置に達して、上記フック状先端部で捕捉した上記ヘアセグメント中間部を上記ベースシートの上記第一の側に残置させながらその両端から延びる一対の長いヘア延長部を上記穴に挿通させて上記ベースシートの上記第二の側の下方に延長させるよう働くところの上記針と、上記ベースシートの上記第一の側で上記針のフック状先端部に捕捉された上記ヘアセグメント中間部に形状保持性の屈曲部を与えるヘアカールユニットと、上記ベースシートの上記第一の側の上に残置されている上記ヘアセグメントの上記屈曲部の各々に第一の接着剤を付与して各屈曲部を包囲する第一接着層を形成する第一接着剤付与手段と、上記第一接着層を含む上記ベースシートの上記第一の側の全面に第二の接着剤を付与して第二の接着層を形成する第二接着剤付与手段と、を備え、上記針、ヘアカールユニットおよび第一接着剤付与手段は上記ベースシートが上記ベース伸張ユニットにより伸張状態に維持されている間に動作し、所定本数の上記ヘアセグメントが上記針によって上記ベースシートに植毛され且つ上記第一接着層によりこれに固着された後に上記ベースシートの伸張状態が解除または緩和され、その後第二接着剤付与手段による第二接着層の形成が行われることを特徴とする植毛装置が提供される。
一実施形態において、上記第一供給ユニットは上記ベースシートを裏返しにした状態で供給し、上記第二供給ユニットは上記ヘアセグメントを上記ベースシートの裏面上に供給する。
他の実施形態において、上記第二供給ユニットは、連続無端状のヘア素材を上記ベースシートと略平行に延長する状態で供給する手段と、該手段により所定長の連続無端状ヘア素材が供給されたときにカットして上記所定長のヘアセグメントを得るカッタとを有してなる。
上記第二供給ユニットは、対向して設けられた一対の逆三角形フレームであってそれらを通過して上記ヘアセグメントが略平行に延長するところの該一対のフレームを備えたヘアキャッチャを有して成り、該一対のフレームの間に上記針のフック状先端部の挿入を許容するためのスペースが設けられているものとして構成することができる。好ましくは、上記ヘアキャッチャは、上記針の往復動に同調して垂直軸を中心として回転可能および揺動可能である。
上記ヘアカールユニットは、上記ヘアセグメントと上記ベースシートの上記第一の側との間で作用するヒータを備え、該ヒータは、上記針のフック状先端部に捕捉された上記ヘアセグメントが下降するときに上記ヘアセグメントの中間部と接触し、上記ヘアセグメントの中間部を加熱して部分的に溶融または軟化させ、硬化したときに変形しない所定形状を有する上記屈曲部を形成する構成とすることができる。
上記第二接着剤付与手段は好ましくは転写によって上記第二の接着剤を付与する。
本装置は、さらに、上記針と同調して作動して、上記ベース伸張ユニットにより伸張状態に保持されている上記ベースシートを持ち上げて上記穴を閉じないように保持し、これにより上記針のフック状先端部が上記ヘアセグメントを捕捉した後に原点復帰するときに上記針のフック状先端部が上記穴に円滑に入り込み且つ通過できるようにするためのベースリフト部材を備えることができる。
本装置は、また、さらに、上記ヘアセグメントを捕捉した上記針のフック状先端部が上記ベースシートから離れた後に上記穴に補修液を注入するための穴補修ユニットを備えることができる。
本願発明のもう一つの視点によれば、弾性材料よりなるベースシートを伸張させ、上記ベースシートに針のフック状先端部を貫通させて穴を形成し、上記ベースシートの第一の側を超えた位置まで針を移動させ、上記針を上記ベースシートの第二の側の方に位置する原点に復帰させ、その間にヘアセグメントの中間部を上記針のフック状先端部で捕捉し、上記針のフック状先端部が上記ヘアセグメントを捕捉した後であって且つ上記ヘアセグメントを捕捉した上記針のフック状先端部が上記穴を通過する前に、上記ヘアセグメントの中間部に形状保持性屈曲部を与えるように上記ヘアセグメントを変形させ、上記ベースシートの上記第一の側において上記形状保持性屈曲部のまわりに第一の接着剤による第一接着層を点状に形成し該第一接着層にて上記形状保持性屈曲部を上記ベースシートの上記第一の面に固着し、上記ヘアセグメントの中間部に形成した上記形状保持性屈曲部が上記穴の間において上記ベースシートの上記第一の側に残置されるとともに、上記形状保持性屈曲部の両端から延長する一対の長いヘア延長部が上記穴を通過して上記ベースシートの上記第二の側を超えるような状態で、所定本数の上記ヘアセグメントが上記ベースシートに植毛され且つ固着されるまで、上記針移動、針復帰、ヘアセグメント変形および屈曲部固着の各ステップを繰り返して行い、上記ベースシートの伸張状態を解除または緩和して上記ベースシートをその弾性により収縮させるとともに上記穴を縮径させた後、第二接着剤を付与して上記ベースシートの上記第一の側を全面的に覆う第二接着層を形成して人の皮膚に対する取付面とする各ステップよりなることを特徴とする植毛方法が提供される。
上記針移動は、上記ベースシートの第二の面の側の下方に位置する上記原点から上記針を上昇させ、上記針復帰は上記針を上死点から上記原点の方向に下降させる。また上記針移動は、上記ベースシートの第二の面の側の上方に位置する上記原点から上記針を下降させ、上記針復帰は上記針を下死点から上記原点の方向に上昇させる。
上記第一接着層は、上記ヘアセグメント変形ステップにより上記形状保持性屈曲部を形成すると略同時またはその直後に上記第一の接着剤を該形状保持性屈曲部に塗布することにより形成することができる。あるいは、上記第一接着層は、上記針の上昇により上記ベースシートに形成された上記穴の間であって該ベースシートの上記第一の側に上記第一の接着剤を予め塗布しておき、上記針復帰ステップにより上記形状保持性屈曲部が該ベースシートの該第一の側に接触したときに該形状保持性屈曲部に転移させることによって形成しても良い。
本願発明のもう一つの視点によれば、弾性材料からなる薄いベースシートと、各ヘアセグメントの中間部が一対の穴の間において上記ベースシートの裏面側に残置される形状保持性屈曲部を与えるとともに、該屈曲部の両端から延長する一対の長いヘア延長部が上記穴を通過して上記ベースシートの外面側から離れるような状態で上記ベースシート上に所定本数植毛されたヘアセグメントと、各々が上記ヘアセグメントの上記屈曲部上に重なってこれを上記ベースシートの裏面に固着している点状の第一接着層と、上記第一接着層を含む上記ベースシートの裏面を全面的に覆い、人の皮膚への取付のための平坦な表面を有する第二接着層と、を有することを特徴とする植毛ピースが提供される。
本願発明による植毛ピースの一実施形態によれば、上記ベースシートは平面状シートである。また、上記ベースシートは無色透明であって良い。
上記第一接着層を形成する接着剤の主成分は上記ベースシートの材料と同一であることが好ましい。一例として、上記ベースシートはがウレタン系材料から成り、上記第一接着層を形成する接着剤がウレタン系接着剤からなる。
上記第二接着層を形成する接着剤の主成分は、上記第一接着層を形成する接着剤の主成分とは異なるものであることが好ましい。一例として、上記第一接着層を形成する接着剤がウレタン系接着剤から成り、上記第二接着層を形成する接着剤がアクリル系接着剤からなる。
上記第二接着剤は転写により形成されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
本発明の他の目的および利点は添付図面を参照しながら下記記述を読解することによって理解することができるであろう。
図1は本発明の実施形態としてのヘアピースの一例を概略的に示すものであり、図1(A)は該ヘアピースの斜視図、図1(B)は図1(A)中のB部分を示す拡大縦断面図、図1(C)は図1(B)中のC部分をさらに拡大して示す図であり、
図2は図1のヘアピース製造における植毛処理を示し、図2(A)は人工毛をベースシートに結着するステップを示す説明図、図2(B)は第一接着剤により人工毛をベースシートに固着する次のステップを示す説明図であり、
図3は本発明の実施形態としてのヘアピース製造装置および方法の処理フローをA部分拡大図と共に示す説明図であり、
図4は図3の装置のベースシート供給ユニットを示す正面図であり、
図5は図3の装置のテンション付与/位置決めユニットの一例を概略的に示し、図5(A)は平面図、図5(B)は正面図、図5(C)はベースシートをローラで伸張させる要領を示す平面図であり、
図6は図3の装置に用いられるヘッドユニットを示し、図6(A)は正面図、図6(B)は左側面図であり、
図7は該ヘッドユニットの背面図であり、
図8は図3の装置に用いられる針アセンブリを示す正面図であり、
図9は図8中IX部を拡大して示し、図9(A)は正面図、図9(B)は右側面図、図9(C)は平面図であり、
図10は図3の装置に用いられるヘアキャッチャを人工毛植毛ステップとともに示す図であって、図10(A)は人工毛が針に捕捉されたときのヘアキャッチャと針との間の位置関係を示す側面図、図10(B)は図10(A)と同じ位置関係を示す正面図、図10(C)は別の位置関係として人工毛を捕捉した針が上死点から下降してヒータノズルにより人工毛の中間部に形状保持性の屈曲部を形成したときの位置関係を示す正面図、図10(D)はさらに別の位置関係として針が下死点に到達したときの位置関係を示す正面図であり、
図11は図3の装置に用いられるヘア方向付けユニットの作用を示し、図11(A)は該ユニットと人工毛との間の初期の関係を示す説明図、図11(B)はそれらの間に引き続いて生ずる関係であって植毛された人工毛を所定方向に方向付けすることにより、次の植毛処理においてベースシートに対して針がスムースに挿入および離脱することを許容するべく、ベースシートの下方に大きなスペースを形成したときの該関係を示す説明図であり、
図12は図3の装置に用いられる電磁弁を示し、図12(A)は斜視図、図12(B)は回路図であり、
図13(A)−(D)はベースシートに弛みを順次に形成する手法を説明するための図であり、
図14は人工毛が所定ピッチで植毛されたベースシートを示す斜視図であり、
図15(A)−(B)は新たなベースシートに対する人工毛植毛処理を再開させるための装置準備として人工毛が植毛されたベースシートを移動させる手法を説明するための平面図であり、
図16は針の往復動に同期して揺動するヘアキャッチャおよび進退するヒータノズルの位置関係を示す側面図であり、
図17は図3の装置に用いられるベースリフト部材であって、針の往復動に同期して作動することにより穴の近くの位置でベースシートを持ち上げ、針下降時に針が穴を通過できるようにするための該ベースリフト部材を示す拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本願発明の実施形態としての使い捨て型ヘアピースおよびその製造装置・方法について添付図面を参照して以下に詳述する。同一の機能を有する要素および部分には図面を通じて同一の符号を付して示し、その説明を繰り返さない。
最初に本発明の基本的概念について説明する。ベースシート11は弾性材料で形成され、伸張時に伸び、伸張状態が解除されたときに元の状態に戻る。注意すべきことは、ベースシート11は図面において裏返し状態、すなわち裏面が上面側、外面が下面側に示されていることである。供給されたベースシート11は伸張される。次いで、各人工毛30はカーリングないし変形ステップによる処理を受け、人工毛30の中間部分に形状保持性の屈曲部30aを形成する。図2(A)に示すように、各人工毛30の中間屈曲部30aはベースシート11の裏面側に位置し、一方、屈曲部30aの両端から延長する一対の長いヘア延長部30b,30bはベースシート11の外面に向けて、またさらにそれを超えて引き出される。次いで、図2(B)に示すように、ベースシート11の伸張状態を維持しながら、接着剤を各人工毛30の中間屈曲部30aに付与して第一接着層111を形成して、中間屈曲部30aをベースシート11の裏面に強固に接合する。これらのステップが、図14に示すように所定本数の人工毛30がベースシート11に植毛されるまで繰り返される。次いで、図1(C)に示すように、別の接着剤をベースシート11の裏面全体に付与して平滑表面を有する第二接着層112を形成する。第一接着層111はベースシート11上の各屈曲部30aの位置に点状に形成される。第一接着層111は第二接着層112によって完全に覆われる。第二接着層112にはセパレータ113が積層されるが、使用に際してはこのヘアピースを人の皮膚に装着するために剥離して第二接着層112を露出する。
図1(A)−(C)は本願発明による使い捨て型ヘアピースの一例を示す。この例では、ベースシート11は、人の皮膚の角質層の厚さと同等である20−30ミクロン厚の無色透明のポリウレタン薄シートから作られている。各人工毛30はアクリル繊維などの熱可塑性樹脂から作られている。各人工毛30は二つ折りにされてその中央部にカールした屈曲部30aが形成されている。屈強部30aはその形状を実質的に保持するように形成され、図示のようにU字形の底部に似た形状であって良い。人工毛30は図2(A)に示すような態様、すなわち屈曲部30aがベースシート11の裏面側に横たわり、一対の長いヘア延長部30b,30bが所定間隔離れて形成された穴11a,11aを通って延長するような態様で、ベースシート11に結着されている。ヘア延長部30b,30bはベースシート11の外面を超えてさらに延長する。接着剤の「膨らみ」ないし層111はポリウレタン系接着剤からなり、人工毛30の各屈曲部30aを取り囲んでこれをベースシート11の裏面側に固着する。第一接着層111が点状に形成されたベースシート11の裏面全体にアクリル系接着剤からなる接着層112が形成される。
本願発明による使い捨て型ヘアピース製造装置および方法について詳述する。まず、図3を参照して、ベースシート11をベースシート供給源1からテンション付与/位置決めユニット2に水平状態で供給する。ベースシート11はたとえば0.03mm厚の、たとえばポリウレタンからなる無色透明の平面状シートである。ベースシート11は無端連続シートとしてシートロール13に巻かれている。図4に示すように、シートロール13はモータ15により駆動され、無端状のベースシート11を巻き出してコンベアテーブル21に送る。符号17はシートロール13の脱落を防止するためのストッパである。
図5はテンション付与/位置決めユニット2を示す。テンション付与/位置決めユニット2は、二次元平面上を互いに直交するXおよびY方向に所定ピッチP(第14図)で移動自在であるコンベアテーブル21を備える。コンベア移動テーブル21は、いずれも図示しないX軸およびY軸方向の駆動モータによって間欠駆動されて、たとえば1mmである所定ピッチでX、Y方向に移動する。テーブル21が所定位置に止まっている間に、テーブル21上に供給されたベースシート11上に人工毛30を供給する。その後、テーブル21は次の人工毛植毛処理を行うための別の位置に移動する。これを所定数の人工毛30がベースシート11に植毛されるまで繰り返す。
テーブル21の4隅には、テーブル21上の所定位置に供給されたベースシート11にテンションを掛けて伸張させるためのテンションロール23が設けられている。各テンションロール23は、対向する一対のテンションニップローラ24,25と、ニップローラ24,25を正逆回転駆動するテンションモータ26(26a,26b,26c,26d)を有する。符号27はユニット2のベースシート供給側ないし入口に対向配置された一対の送り出しローラ(その上方の一つだけが図5(A)に示されている)を指し、モータ27a(図15)により所定方向に回転駆動されてベースシート11をテーブル21に供給する。符号28はユニット2のベースシート排出側ないし出口に対向配置された一対の排出ローラ(その上方の一つだけが図5(A)に示されている)を指し、モータ28a(図15)により両方向に回転駆動される。弛みセンサ29が送り出しローラ27の上流側に設けられ、ユニット2に供給されるベースシート11の弛みを検出する。
人工毛供給ユニット3は各々連続する人工毛30を備えたボビン31A,31B,31C,31D(以下符号31で総称することがある)を有し、人工毛30をベースシート11上に供給する。各ボビン31には異なる色の人工毛が巻かれている。各ボビンは図示しない個別のモータにより回転して、所定長だけ人工毛30を送り出す。人工毛30は個別の真空発生器32(32a,32b,32c,32d)の作動によって供給される。真空発生器32の一つがもう一つの下流側真空発生器33と共働して、選択した色の人工毛30を対応する一つのボビン31から所定長だけ巻き出す。各ボビン31は個別の配管35a,35b,35c,35dに接続され、これら個別の専用配管はすべて単一の配管35に接続されている。人工毛30はこれら専用配管35a,35b,35c,35dのうちの一つを通り、次いで共通配管35を通って人工毛植毛ユニット4に供給される。図3に示すように、専用配管35a,35b,35c,35dの出口と共通配管35の入口との間に、図示しないモータによって駆動される揺動可能なヘアカッタ34が設けられて、ボビン31から植毛ユニット4への搬送中に人工毛30を所定長にカットする。カッタ34が人工毛30の各搬送路を横切って揺動可能とするため、専用配管35a,35b,35c,35dの出口と共通配管35の入口との間には隙間が設けられている。人工毛30は配管35を通って無端状の状態でユニット4に供給された後、所定長にカットされる。
植毛ユニット4が図6〜図9に示されている。このユニット4は、ベースシート11の下方に配置された針アセンブリ41と、針アセンブリ41に対向してベースシート11の上方に配置されたヘッドユニット42を備える。図8および図9に示すように、針アセンブリ41は往復運動する針シャフト41eを有する。図9(C)に最良に示されるように、一対の針41a,41aが針シャフト41eの頂部に所定間隔をおいて取り付けられている。たとえば針41a,41aの中心軸間に1mmの間隔が設けられる。各針41aは鋭角端部41bを備えた細長い極細針体を有する。鋭角端部41bの外側縁にはカッタ41cが備えられ、針上昇時に針41aがベースシート11を突き破って穴11aを形成することに用いられる。鋭角端部41bの内側縁は人工毛30の中央部を係止・捕捉・帯同するための係止フック41dを与えている。
図9に示すように、針シャフト41eは、モータ49a(図3)によって昇降駆動されるホルダ41fに収容されている。さらに、針シャフト41e自身がシリンダ41mによってホルダ41fに対して昇降移動可能である。針シャフト41eに対向して、シリンダ41gにより昇降移動可能な支持部材41hが設けられる。支持部材41hの上端には、内側に傾斜する端部ないしベースリフト部材41jを備えた直立アームを有する水平延長ベースサポータ41iが連結されている。サポータ41iは針41aが上死点から下降を始めるのとほぼ同時に上昇し始め、針上昇中に針41aによりベースシート11に形成された穴11aの近くの領域においてベースシート11を上端部41jで上方に押し上げる。これにより図17に良く示すように穴11aが拡がる。すなわち、ベースシート11がベースサポータ41iにより支持されて、下降する針41aがベースシート11に係合することを防止し、隣接する二つの穴11a,11a間の領域でベースシート11が引き裂かれてしまうことを防止する。人工毛30を伴う針41aが上死点から下死点に向けて下降移動する途中で針41aがベースシート11に衝突すると、二つの隣接する穴11a,11aの間でベースシート11が引き裂かれて連続するスリットを形成し、人工毛の植毛が実行できなくなる。
図6および図7を参照して、ヘッドユニット42はポスト43と該ポスト43の下端にあるヘアキャッチャ44とを備える。ヘッドユニット42はモータ42aにより駆動されてベースシート11の面上を振り子のように揺動し、所定の円弧を描く。別のモータ42bは上方ディスク43を回転し、これによりキャッチャ44を含むヘッドユニット42がポスト43の垂直軸の回りを回転する。符号42cはヘッドユニット42の取付のためのフレームを指す。エンコーダよりなる回転角度センサ48aはヘッドユニット42の揺動円弧における回転角度ないし位置を検出する。もう一つの、これもエンコーダよりなる回転角度センサ48bはヘッドユニット42の軸回転における回転角度ないし位置を検出する。針シャフト41eの昇降移動のためにモータ49aが設けられ、別のモータ49bがモータ42bと同期して作動することにより下方ディスク41kを回転させ、かくして針41aを備えた針シャフト41eがポスト43の垂直軸の回りを回動する。図6において人工毛30はベースシート11に向けて矢印で示す方向(X)に供給される。
図10に最良に示されるように、キャッチャ44は対向する一対の逆三角形フレーム44A,44Bを備え、各フレームは人工毛30の挿通を許容するための内部空間44d(第6図(B))を有する。各フレーム44A,44Bは上方水平辺44bと該上方水平辺44bの両端から延長して下端にて交差して下方頂点44cを形成する一対の斜辺44a,44aとからなる。人工毛30は、配管35の出口近くに配置されたノズル37(図3)から排出された後に、キャッチャフレーム44A,44Bに略水平状態に支持され、それらキャッチャフレーム44A,44Bに囲まれた内部空間44dを通って延長する。フレーム44A,44Bは方形状のボス45に固定され、該ボスは下端にそれぞれ半球状の足45bを備えた4つの伸縮ロッド45aを有する。足45bは、ロッド45aがシリンダ45cにより駆動されて図7に仮想線で示すように下降したときにベースシート11に圧接し、ベースシート11の伸張状態を維持する。
微細孔(図示せず)を備えたノズル46がヒータ46cに接続される。ヒータ46cは外気を所定温度に加熱して熱気とし、これをノズル46の微細孔を介して、ヘアキャッチャ44のフレーム44A,44B間で針41a,41aのフック状先端部41d,41dに捕捉された人工毛30の中間部に向けて吹き付ける。ヒータ46cはシリンダ46bに接続されており、かくしてノズル46は図6(B)および図7に示す待機位置から図10(A)に示す作動位置に向けて水平方向に伸張することができる。図7中の符号47は、シリンダ47aとノズル47bとを備えた補修液供給ユニットを指す。ノズル47bはシリンダ47aによって駆動可能であり、図7に示すようにキャッチャフレーム44A,44Bの下端頂点44cの近くに伸び、各穴11aを補修するための補修液をベースシート11に供給する。
図11は、人工毛30が既に植毛されたベースシート11の下方に配置されたチェーンコンベア51を含むヘア方向付けユニット5を示す。コンベア51は、所定間隔で配置された複数の係合バー52と、係合バー52の配置間隔より大きな所定間隔で配置された複数の保持バー53を有する。コンベア51は矢印で示される方向に間欠駆動される。コンベア51が回動すると、図11(A)に示すように植え付けられた人工毛30が係合バー52によって係合されて所定方向(すなわちこの実施形態では右方向)を向き、次いで図11(B)に示すように保持バー53によって人工毛30を束ねた状態で保持される。これによって針41a,41aの垂直移動に対する邪魔をなくし、次の植毛処理に備える。
図12に示すのは電磁弁(3位置クローズドセンターダブルソレノイド)39aであり、エアコンプレッサ39に同期して作動し、真空発生器32,33を作動させる。
図13〜図17を参照して上記装置の作用について詳述する。まず、送り出しローラ27とテンションニップローラ24,25との間の位置においてたるみTを設け(図13(A))、次いで排出ローラ28を回転させてベースシート11を送り出す(図13(B))。このときまではテンションニップローラ24,25は互いに離れている。次いでニップローラ24,25を閉としてそれらの間にベースシート11を挟み、再度送り出しローラ27とテンションニップローラ24,25との間の位置においてたるみTを設ける(図13(C))。次いで排出ローラ28を逆方向に回転駆動してテンションニップローラ24,25と排出ローラ28との間に別のたるみTを設ける(図13(D))。たるみT、Tの合計量はコンベアテーブル21を所定量移動させるのに十分なものでなければならない。図13(A)−(D)においてセンサ29の斜線部は検知可能領域を示す。ベースシート11はこれらの図面において左から右に供給される。
図5(A)−(C)に示すように、コンベアテーブル21上でベースシート11はテンションニップロール24,25間に挟まれて皺のない伸張状態とされる。植毛処理は図示しないコンピュータである制御ユニットに記憶された所定プログラムにしたがって制御され、植毛ピッチP、ベースシート11に供給すべき人工毛30の配色などを決定する。人工毛30の配色は各ボビン31A−31Dから巻き出す毛の組み合わせを任意に決定することによって行う。例えばボビン31Aからの毛を50%、ボビン31Bからの毛を30%、ボビン31Cからの毛を15%、ボビン31Dからの毛を5%のように組み合わせることによってユニット4によって植毛されるべき人工毛30を所定の色とすることができる。
人工毛30は、ユニット4による植毛処理を開始する前に既にベースシート11上に供給されている。これは制御ユニットからの命令に応答して駆動される真空発生器32,33により人工毛30をユニット4に向けて吸引することによって行われる。より詳しく言うと、ボビン31Aに巻かれた特定の色の人工毛30を選択すべき場合は、真空発生器32の電磁弁39a(図12(A),図12(B))のポート<1−A>と<2−A>をオンとし、ボビン31Aを回転させるためのモータをオンとする。ボビン31Bに巻かれた別の色の人工毛30を選択すべき場合は、真空発生器32の電磁弁39aのポート<1−B>と<2−B>をオンとし、ボビン31Bを回転させるための別のモータをオンとする。ボビン31Cに巻かれたさらに別の色の人工毛30を選択すべき場合は、真空発生器32の電磁弁39aのポート<3−A>と<4−A>をオンとし、ボビン31Cを回転させるためのさらに別のモータをオンとする。ボビン31Dに巻かれたさらに別の色の人工毛30を選択すべき場合は、真空発生器32の電磁弁39aのポート<3−B>と<4−B>をオンとし、ボビン31Dを回転させるためのさらに別のモータをオンとする。人工毛30が所定長に達したことを光電管などからなる図示しないセンサが検知したとき、カッタ34でカットする。図3および図5(A)−(C)に示すように、所定長の人工毛セグメント30がベースシート11上に供給される。
人工毛の植毛処理は次のようにして行われる。まず、図5(A)−(C)に示すように、テンション付与/位置決めユニット2に供給されたベースシート11をテーブル21上で伸張させ、人工毛30の供給を待つ。テーブル21を所定位置にセットする。連続無端状の人工毛30がキャッチャ44に供給されると、シリンダ45cの駆動によりロッド45aが図7に仮想線で示す位置に下降し、ベースシート11の伸張状態を維持する。既述したようにベースシート11は既にユニット2により伸張状態とされており、所定数の人工毛30がベースシート11に植毛且つ固着されるまで伸張状態が維持される。キャッチャ44に支持された連続無端状の人工毛30はカッタ34(図3)で所定長にカットされ、これが伸張状態のベースシート11に供給される。図6(B)に示すように、人工毛セグメント30は略水平すなわちベースシート11の面と平行にキャッチャ44を通って延長している。ヘッドユニット42がモータ42bにより駆動されてポスト43の垂直軸の回りを回転する。同時に、モータ49bがモータ42bと同期駆動することにより、針41a,41aを備えた針シャフト41eがヘッドユニット42と同方向に回転し始める。後述するようにして人工毛30の中間部30aを捕捉した針41a,41aを回転させることにより、つむじを形成することができる。
次いで、図16に示すように、ヘッドユニット42がモータ42aにより駆動されて振り子のように揺動する。ヘッドユニット42はまず反時計回り(図16において)に矢印−R方向に揺れる。ヘッドユニット42の揺動中心Oは、針41a,41aが上昇中にベースシート11を突き破ったときに形成される穴11aからずれた位置にある。ヘッドユニット42が−R方向に揺れて針位置から離れている間に、針41a,41aが上昇してベースシート11を突き刺し、図10(A),(B)に示すようにヒータノズル46がキャッチャ44とベースシート11との間に入り込む。針41a,41aが上死点すなわちレベルHに到達した直後、モータ42aが反転してヘッドユニット42を矢印+R方向に揺動させる。ヘッドユニット42が中心線Oを超えると、キャッチャ44を通って延長している人工毛30が各針41aのフック状先端41dに捕捉される。ヘッドユニット42がさらに+R方向に揺動してS位置に達すると、ベースサポータ41iが上昇を始める。ヘッドユニット42がさらに+R方向に揺動してT位置に達すると、針41a,41aが下降し始める。ヘッドユニット42の揺動振幅は、その一つの死点位置がUで示されているところの機械的な最大振幅の範囲内において任意に定めることができる。
ベースサポータ41iはヘッドユニット42がS位置に達したときに上昇し始め、ヘッドユニット42がT位置に達するまで上昇し続ける。このとき、図17に最良に示すように、ベースサポータ41iの上端41jがベースシート11、より詳しくは穴11a近くの領域11bを押し上げて、穴11aが閉じないように保持する。これにより、既に人工毛30を抱えた針41a,41aがその下降移動中にベースシート11に引っかかることなく穴11aを通過できるようにしている。
穴11aは針41aが上昇中にベースシート11を突き刺したときに形成されるものであるから、針41aの径に対応した非常に小さな径の穴である。針41aは、その下降移動中に人工毛30を捕捉した後、同じ穴11aを通過しなければならない。しかし、非常に薄い材質であるベースシート11は針41aの下降移動を干渉しがちである。もしもベースシート11が針のフック状先端41dに係合ないし引っ掛けられてしまうと、薄いベースシート11が穴11a,11a間で簡単に引き裂かれてしまい、これら二つの穴が連続して一つのスリットとなり、人工毛30をベースシート11に植毛することが不可能となる。ベースサポータ41iはベースシート11を強制的に持ち上げ、針下降移動中の針41aの進入および通過を許容するに十分な大きさに穴11aを閉じずに維持するので、上記を防止することができる。
図10(A),(B)に詳しく示すように、針41a,41aのフック状先端41d,41dは、それらが上死点レベルHから下降する間に、キャッチャ44に間隔をおいて設けられたフレーム44A,44Bの間で人工毛30を係着する。針41a、41aがさらに下降すると、図10(C)に示すように人工毛30は少しずつフレーム44A,44Bから抜け出し、ついにはそれらから離脱する。図10(C)に示す時点で、下降する針41a,41aに既に捕捉されている人工毛30の中間部にヒータノズル46が接触し、中間屈曲部30aを形成する。次いでヒータノズル46は図16に示す待機位置に待避する。既述のように、人工毛30を伴う針41a,41aはベースサポータ41iによって拡げられた穴11a,11aを通過するので、フック状先端部41d,41dも円滑且つ正確に通過することができる。したがって、図10(D)に示すように、針41a,41aが下死点すなわちレベルLに復帰したとき、ヘア延長部30b,30bは既に穴11a,11aを通ってベースシート11の外面側を超えており、一方、中間の屈曲部30aは穴11a,11aの間でベースシート11の裏面側に残されている。かくして人工毛30がベースシート11上の所定位置に結着される。ホルダ41fの下端が所定の下方限界位置に達したことをセンサ(図示せず)が検知すると、ヘッドユニット42はその揺動および軸回転の両方における原点位置に復帰する。留意すべきことは、既述したように、人工毛30の中間部は、既に人工毛30を係合した針41a、41aが下降移動する途中でヒータノズル46と接触し、該中間部に、U字の丸みを帯びた底部のような特定の形状を維持する屈曲部30aを形成すると言うことである。
次いで、補修液供給ユニット47のシリンダ47aが作動してノズル47bを下げ、そこから補修液を穴11a,11aに滴下する。補修液による穴11a,11aの補修後、ノズル47bを図7に示す待避位置に待避させ、ロッド45aを図7に実線で示す上方位置に復帰させてベースシート11から離す。針41a,41aに注油して次の人工毛の植毛に備える。
一方、針41a,41aの移動に同期してコンベア51を間欠駆動し、図11(A),(B)に示す矢印方向に回動させる。コンベア51がこの方向に移動するにつれて、既に植毛された人工毛30がバー52,53に捉えられ、右方向に流れる。このような人工毛の方向付け処理は人工毛30がベースシート11に未固定状態で植え付けられる毎に行われ、ベースシート11の下方に次回の人工毛植毛処理において針41a,41aがベースシート11方向に上昇移動することを許容するための十分なスペースを確保する。
人工毛30は、屈曲部30aに付与した接着剤によってベースシート11に固着される。屈曲部30aに対する接着剤の付与は、前述のヒータノズル46による屈曲部30形成と略同時またはその直後に、図示しない細管から第一接着剤を屈曲部30に向けて滴下することによって行う。このとき、ベースシート11の伸張状態は依然として維持されたままである。滴下した接着剤は、屈曲部30aを包囲するとともにベースシート11裏面との間の隙間g(図1(C))にも入り込んで第一接着層111となり、屈曲部30aをベースシート11裏面に対して強固に接着する。また、一部の接着剤は上方より穴11aにも入り込み、ベースシート11の伸張状態を解除したときに、人工毛30を縮径した穴11aに対して強固に接着する(図2(B))。
第一接着層111は第一接着剤を人工毛30の屈曲部30aに対して部分的ないし点状に形成される。これはベースシート材料の弾性を阻害しないので、第一接着剤付与後にベースシート11に対するテンションを解除したときに、ベースシート11が十分に収縮することを許容する。また、伸張状態のベースシート11に対して付与される接着剤は、閉じないように保持されている穴11aにも付着され、または入り込み、伸張状態解除後に縮径する穴11aに対して人工毛30を強固に接合する。さらに、ベースシートと共に、まだ完全には硬化していない第一接着剤も収縮するので、屈曲部30aのまわりでのベースシート単位面積当たりの接着材料が増加し、接着強度をさらに増大させる。
第一接着層ないし膨らみ111はベースシート、11の材質と同じ主原料の接着剤よりなることが好ましい。たとえば、ベースシート11がポリウレタン製であり、第一接着層111の接着剤がポリウレタン系接着剤である。ポリウレタン系接着剤塗布後に紫外線照射すると、該接着剤が溶融するだけでなくポリウレタン製のベースシート11も少なくとも部分的に溶融または軟化するので、第一接着層111がベースシート11に部分的に融合して、人工毛30がベースシート11に強固に接合されることを確実にする。同時に第一接着層111の高さを低くするので、完成したヘアピースの全体厚を小さくすることができる。
以上のようにして1本(見かけ上2本)の人工毛30の植毛処理が完了する。
次いで、テーブル21をたとえば1mmの所定ピッチPでXまたはY方向(図14)に移動させた後に、上記と同様にして別の人工毛30を植毛する。XおよびY方向のテーブル21の移動は制御された順序で行われ、人工毛30をベースシート11上にX,Y両方向において所定ピッチPで植毛する。XおよびY方向において隣接する人工毛30間の植毛ピッチPはテーブル21の間欠移動量に依存する。植毛ピッチPはX,Y方向で異なっても良い。また、Xおよび/またはY方向における植毛ピッチPは一定でなくても良く、これによって自然毛に似た良好な外観を与え得る。
上記の処理を所定の植毛ピッチPでのテーブル21移動毎に繰り返して行い、所定本数の人工毛30をベースシート11に植毛し且つ第一接着層111によりそこに強固に固着させた後、ベースシート11の伸張状態を解除する。
次いで、図1(B),(C)に示すように第二接着剤をベースシート11の裏面全体に付与し、第一接着層111を完全に被覆するとともに、セパレータ113に被覆される実質的に平滑な面を与える第二接着層112を形成する。
第二接着層112は初期タックが比較的低いいわゆる柔らかい粘着剤からなる。したがって、この粘着剤を、第一接着層111を各中間屈曲部30a上に形成した後のベースシート11の裏面全体に付与したとき、第一接着層111の盛り上がりから滑り落ち、したがって第二接着層112を図1(B),(C)に示すように非常に薄く、しかしながら均一な厚さで平滑表面を有するものとして形成することができる。
第二接着層112は転写によって形成されるため、非常に小さいが均等な厚さを持ってベースシート11の裏面を全面的に覆うものとなる。したがって、このヘアピースを人の皮膚に装着したときに、ベースシートと人の皮膚との間の境界が目立たず、正に地毛のように見える。
第二接着層112をベースシート11の裏面全体に積層形成した後、排出ローラ28を回転始動して、図15(A)に示すように、所定本数の人工毛30が植毛・固着されたベースシート11aを排出する。次いで、図15(B)に示すように、別のベースシート11bをテンション付与/位置決めユニット2に既述の要領にて供給する。
上述の実施形態によるヘアピースを人の皮膚に装着した場合、第二接着層112が人の皮膚に全面で直接的に接触する。したがって、ベースシート11の特定の点または領域にテンションが掛かったときでも、それがベースシート11の全般に亘って分散され、ヘアピースが人の皮膚から離脱することを防止する。
上記した実施形態の装置および方法により製造されるヘアピースにおいては、各人工毛30がヒータノズル46に接触し、それによって変形およびカールして中央部に形状保持性の屈曲部30aを有するものとなる。形状保持性屈曲部30aは人工毛植毛処理完了後にベースシート11の裏面上に残り、その後第一接着層111によってベースシート11の裏面に強固に固着される。また、屈曲部30aは、前述のように、その両端部において穴11a,11aに強固に固着される。したがって、このようにしてベースシート11に植毛・固定された人工毛30はベースシート11の外面に横たわることなく、該外面に対して直立した方向に延長する。これにより該ヘアピースを人の皮膚に装着したときに自然な外観を与えることに成功している。
粘着層の転写により形成される第二接着層112は非常に小さく且つ均一な厚さと、人の皮膚にフィットする平滑で平坦な表面を有する。このヘアピースを人の皮膚に装着すると、人の皮膚の一部として同化する。一旦装着したヘアピースは所定位置を維持する。彼または彼女が実際にヘアピースを装着しているということに対して特別な注意を払うことなく、掻いたり、ブラシをかけたり、洗髪したり、泳いだりすることができる。ヘアピースは人の皮膚に密着するので、自然毛に対して良好な親和性を発揮する。このことは、このヘアピースを、人の皮膚の頭部やその他のあらゆる部分の無毛部を隠すための禿隠しとしても好適に使用し得ることを意味している。ヘアピース上の人工毛は周囲の自然毛に溶け込むので誰も違和感を持たない。人の皮膚に対して隙間なしに装着されるこのヘアピースは拳などで叩いても不自然な反響音を発しない。これらの理由により、ヘアピース装着者はあらゆる精神的ストレスおよび不快感から解放される。
従来のかつらの多くはネット状のベースシートを頭部などに被り、該ベースシートに植毛された人工毛を彼または彼女の自毛と結着させる方式のものであった。これに対し、本発明によるヘアピースは第二接着層112を介して皮膚に直接被着するので、人の皮膚のあらゆる部分に適用することができる。装着時に地毛に負担がかかることもない。無毛陰部にも被着可能である。
人工毛30は、人工毛30を係止したフック状先端部41dを持った針41a,41aが下降する間にキャッチャ44の対向フレーム44A,44Bから抜け出る。次いで、針のフック状先端部41dとともに穴11a,11aを通過するが、中間屈曲部ないし毛根部30aはベースシート11の裏面側に残る。針がさらに下降すると、図10(D)に示すように、人工毛30は針のフック状先端部41dによる係合から離脱する。この要領による処理により、穴11a,11a間でベースシート11が引き裂かれてしまうリスク無しに、植毛がスムーズに行われる。
針のフック状先端部41dに係止された人工毛30が穴11a,11aを通過しようとするとき、人工毛30はキャッチャ44とベースシート11との間に入り込んだヒータノズル46と接触し、その中間部に形状保持性屈曲部30aを確実に形成する。より詳しくは、針41a,41aの下降移動に伴い、針41a,41aに捕捉された人工毛30は最初にノズル46に接触する。次いで、ノズル46が離れた後に中間屈曲部30aがベースシート11の裏面上に軟着地する。このように人工毛30が二段階の緩和された移動を行うことにより、屈曲部30aがベースシート11に着地したときにベースシート11にかかる負荷を低減し、ベースシート11が穴11a,11a間で引き裂かれることを防止する。このことは、ベースシート11が極端に薄いシートであることを考えると非常に重要なことである。
人工毛30の中間部がヒータノズル46によって加熱されて屈曲部30aを有する所定形状にカールないし変形され、該屈曲部が毛根部としてベースシート11の裏面に残る。したがって、人工毛30がベースシート11に確実に結着される。
ヘアキャッチャ44の各フレーム44A,44Bは下端頂点44cで連結される一対の斜辺44a,44aを有している。これにより、フレーム44A,44Bの中空内部44dに供給された人工毛30は斜辺44a,44aの一つに沿って滑り落ちて最終的に下端頂点44cで保持されるので、人工毛30の位置決めを的確に行うことができる。本願発明によると、人工毛30は微細な針41a,41aによって極薄のベースシート11上に植え付けられる。人工毛30の適切な位置決めは高精度に植毛処理を行う上での重要な要素の一つである。
人工毛30をベースシート11に実際に植え付ける前に、ベースサポータ41iが上昇してベースシート11の穴11a,11aの列の近傍領域11bを押し上げ、穴11a,11aを閉じないように保持する(図17)。ベースシート11はベースサポータ41iに支持されて、下降する針41aがベースシート11に係合することを防止する。もしも針のフック状先端部41dが針下降移動中にベースシート11に衝突すると、ベースシート11は穴11a,11a間で引き裂かれてしまい、植毛を実行不能にする。
本発明によれば、人工毛の植毛ピッチPを人の自然毛のピッチと同等に厳密に制御することができる。これによってヘアピース製造の機械化および自動化を可能にする。自動化された製造によっても不良品の発生率はきわめて小さい。
本願発明は上記した実施形態に制限されるものではなく、添付の請求の範囲によって定義される発明の範囲内において様々な変形・改変・変更が可能である。
たとえば、ベースシートは、伸張時に伸び、伸張状態が解除されたときに縮むことを許容するに十分な弾性があればその材質を問わない。ベースシートの伸張にはあらゆる好適な手段を使用することができる。弛みT、Tを設けることは望ましいが必ずしも必要でない。
既述した実施形態では、ベースシートの伸張状態を維持したままで第一接着層を形成し、伸張状態を完全に解除した後に第二接着層を形成しているが、ベースシートの伸張状態を完全に解除せず、ベースシートの伸張状態を緩和した状態で第二接着層を形成することを妨げず、その場合にも既述したと同様の作用効果が得られる。
毛根部として機能する中間屈曲部は所望形状に形成することができる。図面には丸みを帯びた屈曲部が示されているが角張ったものであっても良い。ヒータノズルを人工毛に接触させてこれをカールさせる場合、屈曲部の形状はヒータノズルの上面形状に依存する。人工毛をカールさせるのは別の手法によって行っても良い。たとえば、人工毛の供給経路の下方に配置したヒータノズルを上昇させ、上方の固定面との間に人工毛の中間部を圧接することによって該人工毛中間部をカールさせ、屈曲部を形成しても良い。人工毛の供給経路の下方にバーを固定配置し、上方からヒータノズルを下降させてバーとの間に人工毛の中間部を圧接することによって該人工毛中間部をカールさせ、屈曲部を形成しても良い。ヒータノズルに代えて、外周面が所定温度に昇温される筒状のヒータバーを用いても良い。
第一および第二接着層を形成するための接着剤材料は任意に選択可能である。図示の実施形態では一対の針で人工毛植毛処理を行っているが、より多数の針を用いても良い。ベースシートに植毛するヘアセグメントは必ずしも人工毛でなくても良く、天然毛を用いても良い。人工毛を用いる場合、その材質は任意である。ヘアセグメントが供給される側はベースシートに対して任意であり、ベースシートをその裏面が下方に向くように供給しつつ、該ベースシートの下方にヘアセグメントを供給しても良い。
【産業上の利用可能性】
本発明は多数のヘアセグメントが薄いベース上に植毛且つ固定されてなる、使い捨て型であっても良い製品ないし部品に活用することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材料よりなるベースシートを所定位置に供給する第一供給ユニットと、
上記ベースシートを上記所定位置にて伸張させるベース伸張ユニットと、
所定長のヘアセグメントを上記ベースシートの第一の側に供給する第二供給ユニットと、
上記ベースシートの第二の側の下方に原点を持つフック状先端部を備えた少なくとも二つの針であって、該フック状先端部は上記針の上昇移動の間に上記ベースシートを貫通して穴を形成し且つ上記ベースシートの上記第一の側を超える位置に達し、また、該フック状先端部は上記ベースシートの上記第一の側において上記ヘアセグメントの中間部を捕捉し、上記穴を通過して下降して上記ベースシートの上記第二の側を超える位置に達して、上記フック状先端部で捕捉した上記ヘアセグメント中間部を上記ベースシートの上記第一の側に残置させながらその両端から延びる一対の長いヘア延長部を上記穴に挿通させて上記ベースシートの上記第二の側の下方に延長させるよう働くところの上記針と、
上記ベースシートの上記第一の側で上記針のフック状先端部に捕捉された上記ヘアセグメント中間部に形状保持性の屈曲部を与えるヘアカールユニットと、
上記ベースシートの上記第一の側の上に残置されている上記ヘアセグメントの上記屈曲部の各々に第一の接着剤を付与して各屈曲部を包囲する第一接着層を形成する第一接着剤付与手段と、
上記第一接着層を含む上記ベースシートの上記第一の側の全面に第二の接着剤を付与して第二の接着層を形成する第二接着剤付与手段と、を備え、
上記針、ヘアカールユニットおよび第一接着剤付与手段は上記ベースシートが上記ベース伸張ユニットにより伸張状態に維持されている間に動作し、所定本数の上記ヘアセグメントが上記針によって上記ベースシートに植毛され且つ上記第一接着層によりこれに固着された後に上記ベースシートの伸張状態が解除または緩和され、その後第二接着剤付与手段による第二接着層の形成が行われる、植毛装置。
【請求項2】
上記第一供給ユニットは上記ベースシートを裏返しにした状態で供給し、上記第二供給ユニットは上記ヘアセグメントを上記ベースシートの裏面上に供給する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
上記第二供給ユニットは、連続無端状のヘア素材を上記ベースシートと略平行に延長する状態で供給する手段と、該手段により所定長の連続無端状ヘア素材が供給されたときにカットして上記所定長のヘアセグメントを得るカッタとを有してなる、請求項1記載の装置。
【請求項4】
上記第二供給ユニットは、対向して設けられた一対の逆三角形フレームであってそれらを通過して上記ヘアセグメントが略平行に延長するところの該一対のフレームを備えたヘアキャッチャを有してなり、該一対のフレームの間に上記針のフック状先端部の挿入を許容するためのスペースが設けられている、請求項1記載の装置。
【請求項5】
上記ヘアキャッチャは、上記針の往復動に同調して垂直軸を中心として回転可能および揺動可能である、請求項4記載の装置。
【請求項6】
上記ヘアカールユニットは、上記ヘアセグメントと上記ベースシートの上記第一の側との間で作用するヒータを備え、該ヒータは、上記針のフック状先端部に捕捉された上記ヘアセグメントが下降するときに上記ヘアセグメントの中間部と接触し、上記ヘアセグメントの中間部を加熱して部分的に溶融または軟化させ、硬化したときに変形しない所定形状を有する上記屈曲部を形成する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
上記第二接着剤付与手段が粘着転写によって上記第二の接着剤を付与するものである、請求項1記載の装置。
【請求項8】
さらに、上記針と同調して作動して、上記ベース伸張ユニットにより伸張状態に保持されている上記ベースシートを持ち上げて上記穴を閉じないように保持し、これにより上記針のフック状先端部が上記ヘアセグメントを捕捉した後に原点復帰するときに上記針のフック状先端部が上記穴に円滑に入り込み且つ通過できるようにするためのベースリフト部材を備える、請求項1記載の装置。
【請求項9】
さらに、上記ヘアセグメントを捕捉した上記針のフック状先端部が上記ベースシートから離れた後に上記穴に補修液を注入するための穴補修ユニットを備える、請求項1記載の装置。
【請求項10】
弾性材料よりなるベースシートを伸張させ、
上記ベースシートに針のフック状先端部を貫通させて穴を形成し、
上記ベースシートの第一の側を超えた位置まで針を移動させ、
上記針を上記ベースシートの第二の側の方に位置する原点に復帰させ、その間にヘアセグメントの中間部を上記針のフック状先端部で捕捉し、
上記針のフック状先端部が上記ヘアセグメントを捕捉した後であって且つ上記ヘアセグメントを捕捉した上記針のフック状先端部が上記穴を通過する前に、上記ヘアセグメントの中間部に形状保持性屈曲部を与えるように上記ヘアセグメントを変形させ、
上記ベースシートの上記第一の側において上記形状保持性屈曲部のまわりに第一の接着剤による第一接着層を点状に形成し該第一接着層にて上記形状保持性屈曲部を上記ベースシートの上記第一の面に固着し、
上記ヘアセグメントの中間部に形成した上記形状保持性屈曲部が上記穴の間において上記ベースシートの上記第一の側に残置されるとともに、上記形状保持性屈曲部の両端から延長する一対の長いヘア延長部が上記穴を通過して上記ベースシートの上記第二の側を超えるような状態で、所定本数の上記ヘアセグメントが上記ベースシートに植毛され且つ固着されるまで、上記針移動、針復帰、ヘアセグメント変形および屈曲部固着の各ステップを繰り返して行い、
上記ベースシートの伸張状態を解除または緩和して上記ベースシートをその弾性により収縮させるとともに上記穴を縮径させた後、
第二接着剤を付与して上記ベースシートの上記第一の側を全面的に覆う第二接着層を形成して人の皮膚に対する取付面とする各ステップよりなる植毛方法。
【請求項11】
上記針移動は、上記ベースシートの第二の面の側の下方に位置する上記原点から上記針を上昇させ、上記針復帰は上記針を上死点から上記原点の方向に下降させる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
上記針移動は、上記ベースシートの第二の面の側の上方に位置する上記原点から上記針を下降させ、上記針復帰は上記針を下死点から上記原点の方向に上昇させる、請求項10記載の方法。
【請求項13】
上記ヘアセグメント変形ステップにより上記形状保持性屈曲部を形成すると略同時またはその直後に上記第一の接着剤を該形状保持性屈曲部に付与することにより上記第一接着層を形成する、請求項10記載の方法。
【請求項14】
上記針の上昇により上記ベースシートに形成された上記穴の間であって該ベースシートの上記第一の側に上記第一の接着剤を予め付与しておき、上記針復帰ステップにより上記形状保持性屈曲部が該ベースシートの該第一の側に接触したときに該第一の接着剤を該形状保持性屈曲部に転移させることにより上記第一接着層を形成する、請求項10記載の方法。
【請求項15】
弾性材料からなる薄いベースシートと、
各ヘアセグメントの中間部が一対の穴の間において上記ベースシートの裏面側に残置される形状保持性屈曲部を与えるとともに、該屈曲部の両端から延長する一対の長いヘア延長部が上記穴を通過して上記ベースシートの外面側から離れるような状態で上記ベースシート上に所定本数植毛されたヘアセグメントと、
各々が上記ヘアセグメントの上記屈曲部上に重なってこれを上記ベースシートの裏面に固着している点状の第一接着層と、
上記第一接着層を含む上記ベースシートの裏面を全面的に覆い、人の皮膚への取付のための平坦な表面を有する第二接着層と、を有する植毛ピース。
【請求項16】
上記ベースシートが平面状シートである、請求項15記載の植毛ピース。
【請求項17】
上記ベースシートが無色透明である、請求項15記載の植毛ピース。
【請求項18】
上記第一接着層を形成する接着剤の主成分が上記ベースシートの材料と同一である、請求項15記載の植毛ピース。
【請求項19】
上記ベースシートがウレタン系材料からなり、上記第一接着層を形成する接着剤がウレタン系接着剤からなる、請求項15記載の植毛ピース。
【請求項20】
上記第二接着層を形成する接着剤の主成分が上記第一接着層を形成する接着剤の主成分とは異なるものである、請求項15記載の植毛ピース。
【請求項21】
上記第一接着層を形成する接着剤がウレタン系接着剤からなり、上記第二接着層を形成する接着剤がアクリル系接着剤からなる、請求項15記載の植毛ピース。
【請求項22】
上記第二接着剤が転写により形成されたものである、請求項15記載の植毛ピース。

【国際公開番号】WO2004/089135
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505327(P2005−505327)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005138
【国際出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【出願人】(592191896)株式会社プロピア (16)
【Fターム(参考)】