説明

植物に対する病害抵抗性誘導活性を有する組成物およびその製造方法

本発明は、環境負荷が少なく、かつ、優れた防除作用を有する植物原料由来の両親媒性物質を有効成分として含んでなる、植物病害抵抗性誘導組成物およびその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
技術分野
本発明は、環境負荷が少なく、かつ、優れた防除作用を有する植物病害抵抗性誘導組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
背景技術
農作物の病害を防除する方法においては、殺菌剤および侵入阻害剤などの化学農薬が主として用いられており、これらの化学農薬は、植物病原菌に対する殺菌作用を有する化学物質や病原菌の感染機能を阻害する薬剤などを有効成分としている。しかしながら、このようなタイプの農薬は標的生物以外にも少なからず影響を及ぼすと考えられ、使用者に対する安全性、農作物への残留に起因する作物の安全性への影響、環境に対する負荷などが懸念されている。さらには、このような化学農薬を継続的に使用することにより、薬剤に対する耐性菌の発生を促すことも明らかとなっている。
【0003】
また、土壌伝染性の病原菌が原因となる土壌病害においては、土壌中に生息する病原菌に対して殺菌剤では効力が及ばないことから、土壌消毒剤が用いられている。これらの土壌消毒剤の使用は、殺菌剤よりも深刻な環境問題を生じること、人体への安全性などへの影響も大きいことなどが懸念されており、有用土壌菌も死滅させるため地力の低下に繋がるともいわれている。
【0004】
このため、化学農薬などに過度に依存しない、自然循環機能を活かした持続的な農業生産技術の確立が求められている。この目的を達成するために、環境に調和した病害防除剤の開発することが検討されている。そして、環境調和型の病害防除剤と考えられる農業資材の一つとして、植物が本来有している病害への抵抗力を高めることにより防除するタイプの農薬(抵抗性誘導型農薬)が挙げられる。この抵抗性誘導型農薬は病原菌およびその他の生物を含めた環境への影響は少ないと推定されている。これまでに実用化された抵抗性誘導型農薬としては、プロベナゾール、バイオン、およびチアジニルが挙げられ、いずれもイネいもち病防除剤として日本では農薬登録されている。また、これらの抵抗性誘導型農薬は、植物病原菌に対して直接作用しないことから、これら薬剤に対する耐性菌の出現はこれまでに報告されておらず、今後も薬剤耐性に関する問題が生じる可能性は低いと考えられている。さらには、病害に対する植物の抵抗反応というのは一部の病害を除いて基本的に共通であるため、抵抗性誘導剤によって抵抗性が誘導される作物は複数の病害に対して防除効果を示すという特徴がある。
【0005】
上記の実用化された抵抗性誘導型農薬以外に、植物の病害抵抗性を誘導する物質としては、ファイトアレキシンを誘導する多糖体分解物(特開平5−331016号公報)、ジャスモン酸の誘導体(特開平11−29412号公報)、およびサリチル酸(Delaney TP, Science , 1994, 266, 1247-1250)、アラキドン酸(Bostock M. Science , 1981, 212, 349-360)などが報告されている。また植物由来の成分として、コメ糠由来の成分と食酢との配合物(特開2001−61344号公報)、醤油油(特開2002−293709号公報)などが病害抵抗性を誘導することがこれまでに示されている。一方、病害に対して実用的な防除効果を発揮させるためには、抵抗性誘導物質によって病害抵抗反応の一部を活性化するのみでは、十分とはいえないことも知られている。
【0006】
また、糸状菌由来のセレブロシド類は、イネいもち病などイネに対する病害抵抗性誘導作用を示すことが示されている(特許第2846610号公報、WO98/47364号公報、WO03/020032号公報)。セレブロシド類はスフィンゴ脂質の一種で、セラミドの一級アルコールに単糖がグリコシド結合した化合物である。スフィンゴ脂質は多くの生物種において膜の構成成分として普遍的に存在しているが、病害抵抗性誘導作用を有するスフィンゴ糖脂質は糸状菌に特徴的な9位メチル分枝などを持ったセレブロシド類であることが明らかとなっている(Koga J. et al. J. Biol. Chem., 1998, 48(27), 31985-31991、Umemura K. et al. Plant Cell Physiol., 2000, 41(6), 676-683)。
【0007】
セレブロシド類による病害防除作用としては、植物病原菌由来のセレブロシドによるイネ病害防除効果(特許第2846610号公報、WO98/47364号公報)、および糸状菌由来のセレブロシドによる種々の作物に対する病害防除(WO03/020032号公報)が知られている。これらはいずれも植物病原菌を含めた糸状菌類に特有な9位メチル分枝を持ったセレブロシドを有効成分とするものである。
【0008】
一方、植物由来のセレブロシドには、スフィンゴシン塩基部分が多様な分子種により構成されているセレブロシドが存在することが知られている(Kaul, K. et al., Plant Physiol.,1975, 55, 120-129、Ohnishi M. et al., Biochim. Biophys. Acta, 1983, 752, 416-422、Imai H. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 1997, 61, 351-353、Imai H. et al., Plant Physiol. , 2000, 157, 453-456)。
【0009】
また、植物由来のスフィンゴ脂質の生理機能はまだ十分に解明されていない段階であるが、低温馴化(Uemura, M. et al., Plant Physiol. , 1994, 104, 479-496、Uemura, M. et al., Plant Physiol. , 1995, 109, 15-30)や、乾燥ストレス(Norverg, N. et al., Biochim. Biophys. Acta , 1991, 1066, 257-260)、子実体誘導作用(Kawai, G. et al.,J. Biol. Chem., 1986, 261, 779-784)、気孔の開閉調節(Ng C. et al., Nature, 2001, 410, 596-599、Coursol S. et al., Nature, 2003, 423, 651-653)などに関連することが報告されている。一方、これまでに植物由来のスフィンゴ脂質が病害抵抗性と関連しているとの報告はない。
【0010】
また、消費者の食品に対する安全性志向の高まりによって、化学合成された農薬を用いずに栽培された有機農産物の需要が増加している。また、環境への負荷は少ないと考えられている従前の抵抗性誘導型農薬も、化学合成された農薬であり、有機農産物の栽培には使用することができない。一方、農林水産省が示すガイドラインによれば、天然の有用鉱物資材、植物、動物およびそれらから摘出、抽出、または調製した天然物質は、農薬取締法に基づき農薬として登録される必要はあるが、病害虫防除用などの農薬として使用することができるとされている。したがって、使用者および消費者に対して安全であり、有機栽培などにもに使用可能な農業資材を提供するため、天然物由来でありかつ抵抗性誘導型である防除剤を創出することが望まれるといえる。
【発明の概要】
【0011】
本発明者らは、今般、植物に含まれる両親媒性物質が優れた植物病害抵抗性誘導活性を有し、種々の植物病害に対する顕著な防除作用を有するとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
従って、本発明は植物病害抵抗性誘導組成物およびその製造方法の提供をその目的としている。
【0012】
そして、本発明による植物病害抵抗性誘導組成物は、植物由来の両親媒性物質を有効成分として含んでなるものである。
【0013】
また、本発明による植物病害抵抗性誘導組成物の製造方法は、植物原料から、両親媒性物質を、水、界面活性剤、および有機溶媒からなる群から選択される2以上の物質の混合溶媒または有機溶媒により抽出し、この抽出により得られた抽出液を濃縮し、抽出液中に含まれる植物の生理阻害物質を沈殿除去することを含んでなる。
【0014】
本発明による植物病害抵抗性誘導組成物は、植物または植物加工品をその原料とするものであり、従って、農産物の生産者および消費者に対して安全な農薬として有利に使用することができる。さらに、本発明による植物病害抵抗性誘導組成物は、持続な農業生産技術や有機栽培に使用することが可能な環境調和型農業資材であり、これを用いることにより環境への負荷を低減することができる。
【発明の具体的説明】
【0015】
本発明において「両親媒性物質」とは、極性基と疎水基とを併せ持った分子をいい、臨界ミセル濃度において疎水基が疎水結合により集合し、極性基が表面になるようなミセルを形成することで水への溶解性が向上することを特徴とする。また、本発明において「単純脂質」とは、脂肪酸と各種アルコールとのエステルをいう。また、本発明において「複合脂質」とは、分子中にP(リン)、S(硫黄)、含窒素塩基または糖を含んでなる脂質をいう。また、本発明において「リン脂質」とは、分子内にリン酸エステルまたはホスホン酸エステルを有する脂質ををいう。また、本発明において「糖脂質」とは、分子内に糖を有する脂質をいう。また、本発明において「スフィンゴ脂質」とは、スフィンゴシンをはじめとする長鎖塩基を含む脂質をいい、ここで、この鎖長は好ましくは炭素数14〜24であり、より好ましくは18である。また、本発明において「グリセロ脂質」とはグリセロールを含む脂質をいう。
【0016】
本発明による病害抵抗性誘導組成物は、植物由来の両親媒性物質を有効成分として含んでなることを特徴とする。本発明における両親媒性物質は、単純脂質または複合脂質を単独で含むことも組み合わせて含むこともできる。したがって、本発明の好ましい態様によれば、両親媒性物質は、単純脂質、複合脂質、またはこれらの混合物である。
本発明における単純脂質は、好ましくはトリグリセリド、ジグリセリド、またはモノグリセリドなどであり、より好ましくはジアシルグリセロールである。
また、本発明における複合脂質は、好ましくはリン脂質および/または糖脂質である。そして、リン脂質は、好ましくはグリセロリン脂質またはスフィンゴリン脂質であり、より好ましくはホスファチジルコリンである。また、糖脂質は、好ましくはグリセロ糖脂質またはスフィンゴ糖脂質であり、より好ましくはセレブロシドである。
【0017】
また、本発明の一つの態様によれば、複合脂質はスフィンゴ脂質である。このようなスフィンゴ脂質の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる:
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、および
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン。
上記化合物は、単独でまたは二以上の化合物の組み合わせとして本発明による植物病害抵抗性誘導組成物に用いることができる。
【0018】
また、本発明の好ましい態様によれば、スフィンゴ脂質は4,8−スフィンガジエニン類であり、このような4,8−スフィンガジエニン類の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる:
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、および
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン。
上記化合物は、単独でまたは二以上の化合物の組み合わせとして本発明による植物病害抵抗性誘導組成物に用いることができる。
【0019】
また、本発明の別の態様によれば、両親媒性物質は、セレブロシド、ホスファチジルコリン、スルファチド、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、およびジアシルグリセロールからなる群から選択される少なくとも一つのものである。また、本発明の別の好ましい態様によれば、両親媒性物質は、少なくともスフィンゴ脂質、グリセロ脂質、およびジアシルグリセロールを含む混合物である。また、本発明の別の好ましい態様によれば、両親媒性物質は、少なくともセレブロシド、ホスファチジルコリン、およびジアシルグリセロールを含んでなる混合物である。
【0020】
また、本発明における両親媒性物質は、好ましくは油糧作物、穀実類、および豆類から選択される少なくとも一つの植物から得られるものである。そして、本発明における両親媒性物質の植物原料としては、植物をそのまま用いてもよく、食品の製造過程における副産物などの植物加工品を用いてもよい。したがって、本発明の好ましい態様によれば、両親媒性物質の植物原料は、トウモロコシ、ナタネ、ゴマ、ダイズ、コメ、コムギ、およびオオムギからなる群から選択される少なくとも一つのものである。また、本発明の別の好ましい態様によれば、両親媒性物質の植物原料は、コーンブラン、グルテンミール、ナタネかす、ゴマかす、ダイズかす、米ぬか、および小麦ふすまからなる群から選択される少なくとも一つのものである。
【0021】
また、本発明による植物病害抵抗性誘導組成物の製造方法にあっては、植物原料から両親媒性物質を抽出する際、抽出溶媒として、水、界面活性剤、および有機溶媒からなる群から選択される2以上の物質の混合溶媒を用いるか、または有機溶媒を単独で用いることができる。したがって、本発明の好ましい態様によれば、両親媒性物質は、植物原料から、水、界面活性剤、および有機溶媒からなる群から選択される2以上の物質の混合溶媒または有機溶媒により抽出するものである。そして、この抽出にあっては、植物原料を、上記混合溶媒または有機溶媒中に浸漬させ、攪拌することが好ましい。
【0022】
抽出に用いる混合溶媒としては、例えば、有機溶媒に適量の水を添加した溶媒、 有機溶媒と界面活性剤とを適当な比率にて含んでなる溶媒、または水および界面活性剤からなる溶媒などを挙げることができる。そして、抽出において界面活性剤を用いる場合、界面活性剤を含む混合溶媒をまず調製し、この混合溶媒中に植物原料を浸漬させて攪拌してもよく、界面活性剤を含まない溶媒中にて植物原料を浸漬させて攪拌した後、この溶媒中に界面活性剤を添加してもよい。そして、本発明の好ましい態様によれば、混合溶媒は水および界面活性剤からなるものである。ここで、界面活性剤は、水に対して、好ましくは1%(w/w)未満、より好ましくは0.1〜0.5%(w/w)となるように添加する。
【0023】
上記混合溶媒における界面活性剤としては、非イオン系(「ノニオン系」ともいう。)界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、これらを単独または2種類以上混合して用いることができる。ここで、非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、またはポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが挙げられ、アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、スルホン酸塩、またはアルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられ、カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩などが挙げられる。さらに本発明にあっては、食品添加物として用いられる界面活性剤を使用することが安全性面から好ましく、具体的には、プロピレングリコール脂肪酸エステル、コンドロイチン硫酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ソルビトール、マンニトール、および有機酸モノグリセライド(例えば、コハク酸モノグリセライド、クエン酸モノグリセライドなど)などが挙げられる。
【0024】
抽出に用いる有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、ヘキサン、石油エーテル、エチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、またはアセトンなどが挙げられる。さらに、本発明における有機溶媒は、抽出効率のよい溶媒として酢酸エチルまたはクロロホルムが好ましく、有機農産物の栽培に使用可能な農業資材として用いる場合にはエタノールまたはメタノールが好ましい。
【0025】
また、抽出方法は、上記のように有機溶媒や界面活性剤を用いて抽出する方法の他に、超臨界流体による方法、循環多段式加圧による方法(例えば、特許第3212278号や特許第3212940号)などを用いることができる。また、抽出の歩留まりを良くするため、残渣に残存している有効成分を再抽出する操作、すなわち、固液分離して得られた残渣に、再び抽出用の溶媒を加えて再抽出する操作を行ってもよい。
【0026】
また、抽出条件は、植物原料の性状、使用する有機溶媒および界面活性剤の種類などに応じて適切な条件で行うことが好ましいが、抽出時の液温は、好ましくは15〜80℃であり、より好ましくは25〜60℃である。
【0027】
また、本発明にあっては、植物病害抵抗性誘導組成物は、好ましくは上記抽出により得られた抽出液を濃縮し、植物の生理阻害物質を沈殿除去することにより得られる。この濃縮により、組成物中の有効成分の含有率を高めるとともに、植物の生理阻害物質を沈殿除去することが可能となる。ここで、植物の生理阻害物質とは、作物に処理した際に茎葉組織に対してクロロシス(黄白化)を引き起し、作物の生長を抑制する物質をいう。
【0028】
濃縮において、有効成分である両親媒性物質の含有率が高まることにより、本発明による植物病害抵抗性誘導組成物は、親和作用をより強く示すことが可能となり、したがって、より強い展着作用を示すことができる。この展着作用が十分強く発揮される有効成分の濃度としては、好ましくは0.001〜0.4%(w/w)であり、より好ましくは0.01〜0.1%(w/w)である。このような有効成分の濃度においては、散布時における葉への展着性や、浸根処理時への吸収がよくなるため、有効成分である両親媒性物質の植物体への展着性および浸透移行性を高めることができる。すなわち、本発明による植物病害抵抗性誘導組成物は、展着作用を示すことから、施用時の展着剤の添加が不要、または少量を添加するのみでよく、この点からも環境への負荷を軽減することが可能となる。したがって、本発明の好ましい態様によれば、植物病害抵抗性誘導組成物は、両親媒性物質の含有量が0.001〜0.4%(w/w)である。
【0029】
濃縮は、フリーズドライ、減圧濃縮、加熱蒸留など、通常実施される濃縮方法が適用できるが、高温での濃縮は好ましくないため、減圧濃縮により行うことが好ましく、加熱蒸留する場合は、最高品温を80℃以下として濃縮する。また、濃縮は、目安としては体積比で好ましくは1/2〜1/40、より好ましくは1/4〜1/12に減容するとよく、両親媒性物質の含量が、植物病害抵抗性誘導組成物に対して0.001〜0.4%(w/w)となるように濃縮することが好ましい。
【0030】
そして、本発明による製造方法は、好ましくは濃縮にて得られた濃縮液から植物病害抵抗性誘導組成物を単離することをさらに含んでなる。単離方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜用いることが可能であり、例えば、濃縮液を濾取する手法などが挙げられる。
【0031】
本発明による植物病害抵抗性誘導組成物の剤型は液剤、粉剤、粒剤、乳剤、水和剤、油剤、エアゾール、フロアブル剤等の農薬としての何れの使用形態でも良く、施用の為の薬剤の形態、その使用形態、施用方法は特に限定されるものではない。
【0032】
また、本発明の好ましい態様によれば、植物病害抵抗性誘導組成物は植物防除剤として用いられるものである。そして、本発明の別の態様によれば、本発明による植物病害抵抗性誘導組成物により目的植物を処理する工程を含んでなる、植物病害の防除方法が提供される。
【0033】
上記防除方法において、目的植物を処理する手段としては、散布処理、浸根処理、潅注処理、潅水処理などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、作物のステージや作物の栽培方式に合わせて、上記の処理手段を組み合わせることにより、より薬効の効力や持続期間を効果的なものとすることができる。また、本発明による病害抵抗性誘導組成物の処理濃度および処理回数は、作物種、作物の生育程度、地上病害や土壌病害などの植物病害の発病様式、および病原菌の密度などの発病圧などに応じて適宜選択することができる。
【0034】
本発明の植物病害抵抗性誘導組成物により処理できる目的作物としては、栽培植物すべてが含まれ、例えば、穀類(イネ、オオムギ、コムギ、トウモロコシなど)、ナス科植物(トマト、ナスなど)、ウリ科植物(キュウリ、メロン、カボチャなど)、マメ科植物(エンドウ、ダイズなど)、アブラナ科植物(ダイコン、ハクサイ、キャベツなど)、バラ科植物(イチゴ、リンゴ、ナシなど)などが挙げられる。また、上記目的作物は、本発明による植物病害抵抗性誘導組成物の植物原料とは別の植物であることが好ましい。例えば、処理される目的作物がイネの場合には、本発明による植物抵抗性誘導組成物の原料はイネ以外の植物原料が有効とされる。
【0035】
また、植物の一般的な病害抵抗反応は病原菌に対して非特異的であるを考えられていることから、上記作物の対象病害としては、糸状菌を原因とする植物病害すべてが挙げられ、例えば、レタス根腐れ病、トマト萎凋病、コムギ赤かび病、メロンつる割り病、イチゴうどん粉病、キュウリ炭そ病、キャベツ立枯病、ホウレンソウ褐斑病、ダイズ紫斑病、ナスうどんこ病、ネギさび病、およびイネもち病が挙げられる。さらに、本発明による植物抵抗性誘導組成物は、空気伝染性の地上病害および土壌伝染性の土壌病害のいずれにも有効である。
【0036】
以下、実施例をもって本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
実施例1:病害抵抗性誘導組成物の製造
各種植物原料は、必要に応じてパワーミル(昭和技研株式会社製、卓上パワーミルP−02)による粉砕を行い、スクリーン目開き1.0mmを用いて粉砕品とした後、以下の工程に供試した。
【0038】
(1)抽出
有機溶媒を用いた抽出法では、植物粉末原料1kgに対して、6リットルの99.5%エタノールを加え、室温下で撹拌しながら抽出を行った。18時間抽出を行った後、固液分離によりエタノール抽出液と残渣とを得た。
【0039】
また、界面活性剤を用いた抽出法では、植物粉末原料1kgに対して12リットルの水に浸漬、膨潤させたのち、各種界面活性剤を試験内容に応じて、0.1%、0.3%、0.5%、1.0%の終濃度になるように添加し、室温下で攪拌しながら18時間抽出を行った。そして、遠心分離(2,000×g、20分間)により不溶物を除去することにより、界面活性剤抽出液を得た。
【0040】
(2)濃縮・単離
上記抽出工程にて得られたエタノール抽出液については、ロータリーエバポレーター(旭製作所製、ARE-20V)を用いて減圧下で、もとの体積の約1/12まで濃縮した。濃縮後、得られたエタノール抽出液を室温まで冷却し、さらに液中に生じた沈殿をNo.2ろ紙(商標;ADVANTEC、Toyo Roshi Kaisha, Ltd.製)を用いて除き、約400mLの濃縮液を得た。
【0041】
また、上記抽出工程にて得られた界面活性剤抽出液については、上記と同様にロータリーエバポレーターを用いて減圧下にて濃縮・乾固した。得られた乾固画分に400mLのエタノールを加えて溶解させ、不溶性の物質をNo.2ろ紙を用いて除き、界面活性剤抽出濃縮液を得た。
【0042】
実施例2
本発明による病害抵抗性誘導組成物の病害防除効果を調べるために、イネいもち病に対する防除試験を実施した。まず、イネ(品種:あきたこまち)の催芽種子を1ポットあたり8粒播種して人工気象室で栽培し、本葉3〜4葉齢の段階において各種試料サンプル(ポットあたり2mL)を茎葉散布処理した(ここで、1区あたり4ポットとした)。陽性対照にあっては、セレブロシドB溶液(セレブロシドB濃度:10ppm)を同様に散布処理し、陰性対照区にあっては、水の散布処理を行った。そして、散布液が葉面上で乾燥する迄、約1時間放置した後、再び栽培室内で栽培した。なお、セレブロシドBとしては、Umemuraらの方法(Plant Cell Physiology, 2000, 41, 676-683)により分離精製した標品(セレブロシドB濃度 2mg/mL溶液)を用いた。
【0043】
試料処理3日後、イネいもち病菌(学名:Magnaporthe grisea レース007株)の分生胞子懸濁液の噴霧接種による強制感染を行った。噴霧接種後、暗所、加湿条件下に36時間放置することにより、いもち病菌の感染を促した。その後、被検植物を人工気象室に移して栽培し、接種6日後に各区の第3本葉に発生した罹病性病斑数を測定することにより防除価を算出した。なお、防除価は以下の式に従って算出した。
【0044】
【数1】

【0045】
各種植物原料を用いて実施例1の方法により調製したエタノール抽出濃縮液の100倍希釈液についての防除効果を表1に示した。米ぬか以外の植物原料のエタノール抽出濃縮液は、その防除効果に差は認められるが、いずれも防除作用を示した。
【0046】
【表1】

【0047】
また、食品添加物の界面活性剤(ノニオン系)である0.3%DKエステルSS(第一工業製薬株式会社製)を用いて、各種植物原料を実施例1の方法により製した界面活性剤抽出濃縮液の50倍希釈液についての防除効果を表2に示した。エタノール抽出濃縮液の場合と同様に、米ぬか以外の植物を原料とする界面活性剤抽出濃縮液は防除効果を示した。
【0048】
【表2】

【0049】
さらに、界面活性剤の種類および濃度による有効成分の抽出効率を簡便に比較するため、各界面活性剤抽出濃縮液についてイネのファイトアレキシン誘導能を調べた。イネファイトレキシンとしては、これまでにモミラクトン、オリザレキシン、サクラネチン、およびファイトカサンが報告されているが、イネのいもち病に対する耐性と高い相関を示すモミラクトンおよびファイトカサンを指標にすることにより病害抵抗性誘導能を測定した( Koga J, Ann. Phytopathol. Soc. Jpn. (1998) 64, 97-101、Umemura K, Biosci. Biotechnol. Biochem. (2003)67, 899-902)。具体的には、界面活性剤としてDKエステルSSおよびS−215(食品添加物のノニオン系界面活性剤、三菱化学フーズ株式会社製)を用い、種々の濃度条件下にて抽出された界面活性剤抽出濃縮液の50倍希釈液についてファイトアレキシン誘導能を測定した。結果は表3に示される通りであった。ここで、この結果はセレブロシドB(10ppm)を用いて処理した時の活性を100とした場合の相対値として示した。
【0050】
【表3】

【0051】
界面活性剤を添加せずに抽出操作を行った場合、各種病害抵抗性誘導作用を示す活性成分はほとんど抽出されなかった。一方、界面活性剤の濃度を上げることにより活性成分の抽出効率が増大する傾向が認められた。しかしながら、界面活性剤の濃度が1.0%以上では抽出効率のさらなる向上は見られず、後工程の濃縮における抽出液の粘性の増加、濃縮に要する時間の増大、操作性の低下などの現象が認められた。
【0052】
また、各界面活性剤(0.5%添加)の抽出効率を比較するため、コーンブランを原料として抽出した場合の結果を表4にまとめた。表4における病害抵抗性誘導活性値とは、各界面活性剤抽出濃縮液の50倍希釈液についてのファイトアレキシン誘導能を示す値であり、セレブロシドBの10ppm処理時の活性100とした場合の相対値である。
【0053】
【表4】

【0054】
実施例3:レタス根腐れ病防除試験
(1)方法
本葉が3枚展開したレタス(品種:パトリオット)の苗を、実施例1により調製したエタノール抽出濃縮液の100倍希釈液を用いて、浸漬処理、潅注処理、または茎葉散布処理した。この処理後、汚染土(希釈平板法により、1g土当たりレタス根腐れ病菌( Fusarium oxysporum f. sp. lactucae )レースSB1−1株が3×10CFUの菌密度に調整されたものである)にレタス苗を移植することにより接種処理を行った。陽性対照として、セレブロシドB溶液(セレブロシドB濃度:10ppm)を用いた。
移植してから21日経過した後、内部病徴による発病調査を実施し、各試験液の防除効果を調べた。ここで、発病指数としては、発病が無い場合を0とし、維管束の1/3未満が変色した場合を1、維管束の1/3〜2/3が変色した場合を2、維管束の2/3以上が変色した場合を3とした。さらに、防除価は以下に示される式に従って算出した。
【0055】
【数2】

【0056】
(2)結果
結果は表5に示される通りであった。いずれの植物原料由来のエタノール抽出濃縮液を用いた場合であっても防除効果が認められた。さらに、浸漬処理、潅注処理、および散布処理のいずれの方法でも防除効果が認められ、浸漬処理が最も高い防除価を示す傾向が認められた。
【0057】
【表5】

【0058】
実施例4:トマト委凋病防除試験
(1)方法
本葉が4枚展開したトマト(品種:ポンテローザ)の苗を、エタノール抽出濃縮液の50倍または100倍希釈液を用いて36時間浸漬処理した。ここで、上記エタノール抽出濃縮液は実施例1の方法により調製した。その後、上記トマトの苗を、汚染土(トマト委凋病菌(Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici )レースJ−1株の菌密度を3×10CFU/gに調整したものである)に移植して接種処理を行った。陽性対照として、セレブロシドB溶液(セレブロシドB濃度:5ppmまたは10ppm)を用いた。
【0059】
(2)結果
実施例3と同様の発病調査を移植後24日目に実施し、各試験液の防除効果を調べた。結果は表6に示される通りであった。いずれの植物原料由来のエタノール抽出濃縮液においても防除効果が認められた。
【0060】
【表6】

【0061】
実施例5:コムギ赤かび病防除試験
(1)方法
明治製菓(株)農場(住所:小田原市栢山800)において栽培されたコムギ(品種:農林61号)を用いて防除試験を実施した。1試験区は10m2とし、散布処理では、試験液を1試験区あたり150L/10aの割合で用いた。この散布処理は、各試験区につき、穂孕み期、出穂期、および傾穂始期の計3回実施した。また、感染処理として、自然発病を促すために畝間に麦藁を敷き、スプリンクラーによる散水を行って過湿条件とした。試験液としては植物原料由来のエタノール抽出濃縮液の50倍希釈液を用い、陽性対照としてはトリフミン水和剤(日本曹達株式会社製)の1000倍希釈液を用いた。
【0062】
(2)結果
結果は表7に示される通りであった。ここで、防除価は、赤かび病が発病した穂の発病率に基づき算出した。被検植物と同一原料であるコムギを原料とするエタノール抽出濃縮液以外は、すべて防除効果が認められた。
【0063】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来の両親媒性物質を有効成分として含んでなる、植物病害抵抗性誘導組成物。
【請求項2】
前記植物が、油糧作物、穀実類、および豆類からなる群から選択される少なくとも一つのものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記両親媒性物質の植物原料が、トウモロコシ、ナタネ、ゴマ、ダイズ、コメ、コムギ、またはオオムギからなる群から選択される少なくとも一つのものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記両親媒性物質の植物原料が、コーンブラン、グルテンミール、ナタネかす、ゴマかす、ダイズかす、米ぬか、および小麦ふすまから選択される少なくとも一つのものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記両親媒性物質が、単純脂質、複合脂質、またはこれらの混合物である、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
前記複合脂質が、リン脂質および/または糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、セレブロシド、グリセロ糖脂質、あるいはホスファチジルコリンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記複合脂質が、1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−4−ヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3,4−ジヒドロキシ−スフィンガニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−4−ヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3,4−ジヒドロキシ−4−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3,4−ジヒドロキシ−8−スフィンゲニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−4−ヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシミリストイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシパルミトレイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシステアロイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシオレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシバセオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリノレンオイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシアラキドニル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシベヘノイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン、および
1−−β−グルコシル−−2’−ヒドロキシリグノセロイル−3,4−ジヒドロキシ−4,8−スフィンガジエニン
からなる群から選択される少なくとも一つのものである、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記単純脂質がジアシルグリセロールである、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
前記両親媒性物質が、セレブロシド、ホスファチジルコリン、スルファチド、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、およびジアシルグリセロールからなる群から選択される少なくとも一つのものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記両親媒性物質が、少なくともスフィンゴ脂質、グリセロ脂質、およびジアシルグリセロールを含む混合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記両親媒性物質が、少なくともセレブロシド、ホスファチジルコリン、およびジアシルグリセロールを含む混合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記両親媒性物質が、植物原料から、水、界面活性剤、および有機溶媒からなる群から選択される2以上の物質の混合溶媒または有機溶媒により抽出されたものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記両親媒性物質が、前記抽出により得られた抽出液を濃縮し、植物の生理阻害物質を沈殿除去することにより得られる、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記混合溶媒が水および界面活性剤からなる、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤が、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、またはこれらの混合物から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤が、プロピレングリコール脂肪酸エステル、コンドロイチン硫酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ソルビトール、マンニトール、および有機酸モノグリセライドからなる群から選択される少なくとも一つのものである、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、またはこれらの混合物から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
前記抽出が15〜80℃にて行われる、請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
前記濃縮が80℃以下にて行われる、請求項13に記載の組成物。
【請求項20】
前記両親媒性物質の含有量が0.001〜0.4%(w/w)である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の植物病害抵抗性誘導組成物。
【請求項21】
植物防除剤として用いられる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の植物病害抵抗性誘導組成物。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物により目的植物を処理する工程を含んでなる、植物病害の防除方法。
【請求項23】
植物原料から、両親媒性物質を、水、界面活性剤、および有機溶媒からなる群から選択される2以上の物質の混合溶媒または有機溶媒により抽出し、
前記抽出により得られた抽出液を濃縮し、該抽出液中に含まれる植物の生理阻害物質を沈殿除去すること
を含んでなる、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物の方法。
【請求項24】
前記濃縮にて得られた濃縮液から前記組成物を単離することをさらに含んでなる、請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
前記両親媒性物質の含量が、前記組成物に対して0.001〜0.4%(w/w)となるように濃縮することを特徴とする、請求項23または24に記載の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/041671
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515197(P2005−515197)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016237
【国際出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【Fターム(参考)】