説明

植物の開花時期制御方法

【課題】外来遺伝子を高い誘導倍率で誘導発現し得る誘導性システムを用いて、開花時期制御に関わる外来遺伝子を誘導発現させ、形質転換植物の開花時期を銅イオン依存的に制御する方法等を提供すること。
【解決手段】 銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子をコードする塩基配列を含有する遺伝子構築物(但し、前記転写因子が銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有する。)が導入されてなる植物に銅イオンを接触させることによって前記植物の開花時期を制御する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学物質による植物の開花時期制御方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物の開花時期は、通常、品種特有の内的要因の他、日長時間や気温、栄養状態などの外的要因により決定される。このため、植物の開花時期を制御するためには、現状、環境を調節できる特別な施設を利用する必要があり、光照射装置や温度調節装置等の設備費及び照明費や空調費等、コスト面の問題がある。また、品種により播種時期や栽培地が限定され、生産性の向上に大きな障害となっている。
【0003】
近年、植物の開花時期制御に関わる遺伝子(例えば、非特許文献1参照)が多数同定され、これらの遺伝子を導入して開花時期を改変した形質転換植物が作製されている。それらの多くは恒常的に発現する構成的プロモーターを用いて開花時期制御に関わる外来遺伝子を発現させたものである。
【0004】
開花時期制御に関わる外来遺伝子を誘導発現して形質転換植物の開花時期を制御するには、誘導倍率が高く厳密な制御が可能な誘導性システムが必要である。即ち、非誘導条件においては目的とする外来遺伝子の発現を低く抑え、誘導条件においては目的とする外来遺伝子の発現を活性化できる誘導性システムが必要である。誘導性システムのひとつとして知られている銅イオン誘導性システム(例えば、非特許文献2参照)は、誘導剤が安価で施用しやすく野外での使用が可能である。しかしながら、従来知られている銅イオン誘導性システムは、例えば非特許文献3に述べられているように、銅イオン誘導性システムは、非誘導条件における外来遺伝子の発現を十分に低く抑えることができない、誘導条件における外来遺伝子の発現が十分に活性化できない、誘導剤である銅イオンを高濃度で長時間処理する必要があり薬害が顕著となる等の問題があった。
【0005】
【非特許文献1】Kobayashi Y et al、1999、Science 286、1960-1962
【非特許文献2】Mett VL et al、1993、Proc Natl Acad Sci 90、4567-4571
【非特許文献3】Padidam M、2003、Current Opin Plant Biol 6、169-177
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
開花時期制御に関わる外来遺伝子を誘導発現して形質転換植物の開花時期を制御するには、誘導倍率が高く厳密な制御が可能な誘導性システムが必要である。本発明では、外来遺伝子を高い誘導倍率で誘導発現し得る誘導性システムを用いて、開花時期制御に関わる外来遺伝子を誘導発現させ、形質転換植物の開花時期を銅イオン依存的に制御する方法等を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる状況下鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.下記の遺伝子構築物が導入されてなる植物に銅イオンを接触させることを特徴とする前記植物の開花時期を制御する方法(以下、本発明誘導発現方法と記すこともある。);
遺伝子構築物;
銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子をコードする塩基配列を含有する遺伝子構築物。前記転写因子が銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有する。:
2.銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子が、銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域及び転写活性化領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有する、前項1記載の方法:
3.銅イオンにより活性化される第一の転写因子が、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子であることを特徴とする前項1〜2のいずれかに記載の方法:
<転写因子群>
(1)真核生物由来の転写因子
(2)酵母由来の転写因子
(3)酵母ACE1由来の転写因子
4.第一の転写因子とは異なる転写因子が、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子であることを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の方法:
<転写因子群>
(1)ウイルス由来の転写因子
(2)シンプレックスウイルス属に属するウイルス由来の転写因子
(3)単純ヘルペスウイルス由来の転写因子
(4)単純ヘルペスウイルス由来のVP16転写因子
5.開花時期制御に関わる外来遺伝子が、下記の外来遺伝子群から選ばれてなる外来遺伝子であることを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の方法:
<外来遺伝子群>
(1)植物由来の遺伝子
(2)被子植物由来の遺伝子
(3)双子葉植物由来の遺伝子
(4)アブラナ科植物由来の遺伝子
(5)シロイヌナズナ由来の遺伝子
(6)シロイヌナズナFT由来の遺伝子
6.記の遺伝子構築物が、銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子をコードする塩基配列の上流に、プロモーターを付加され構築されてなる遺伝子構築物であることを特徴とする前項1〜5のいずれかに記載の方法:
7.植物の開花時期を制御するための遺伝子構築物であって、
(a)銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子であって、前記転写因子が、銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有する、前記転写因子をコードする塩基配列と、
(b)前記転写因子により転写を誘導され且つ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子を発現する遺伝子発現カセットと
を有するように構築可能に調製されてなることを特徴とする遺伝子構築物(以下、本発明遺伝子構築物と記すこともある。):
8.銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子が、銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域及び転写活性化領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域を含有する、前項7記載の遺伝子構築物:
9.銅イオンにより活性化される第一の転写因子が、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子であることを特徴とする前項7又は8に記載の遺伝子構築物:
<転写因子群>
(1)真核生物由来の転写因子
(2)酵母由来の転写因子
(3)酵母ACE1由来の転写因子
10.第一の転写因子とは異なる転写因子が、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子であることを特徴とする前項7〜9のいずれかにに記載の遺伝子構築物:
<転写因子群>
(1)ウイルス由来の転写因子
(2)シンプレックスウイルス属に属するウイルス由来の転写因子
(3)単純ヘルペスウイルス由来の転写因子
(4)単純ヘルペスウイルス由来のVP16転写因子
11.開花時期制御に関わる外来遺伝子が、下記の外来遺伝子群から選ばれてなる外来遺伝子であることを特徴とする前項7〜10のいずれかに記載の遺伝子構築物:
<外来遺伝子群>
(1)植物由来の遺伝子
(2)被子植物由来の遺伝子
(3)双子葉植物由来の遺伝子
(4)アブラナ科植物由来の遺伝子
(5)シロイヌナズナ由来の遺伝子
(6)シロイヌナズナFT由来の遺伝子
12.銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子をコードする塩基配列の上流に、プロモーターを付加され構築されてなる遺伝子構築物であることを特徴とする前項7〜11のいずれかに記載の遺伝子構築物:
13.前項7〜12のいずれかに記載の遺伝子構築物が導入されてなることを特徴とする形質転換植物(以下、本発明形質転換植物と記すこともある。):
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、開花時期制御に関わる外来遺伝子が導入されてなる形質転換植物について、銅イオン依存的に開花時期の制御を行う方法等を提供することが可能となる。その結果、環境や播種時期、栽培地に左右されず、所望する時期に開花を誘導できるようになり、ニーズを的確に捉えた計画的な収穫や出荷、Fハイブリッド種子の効率的な生産、遺伝子組換え作物からの遺伝子流出防止、葉菜類や根菜類の効率的な生産、花卉の生産性向上、世代間隔の短縮化による品種改良の効率化、収量増加等が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明遺伝子構築物は、植物において、化学物質により開花時期制御に関わる外来遺伝子を誘導発現させ、植物の開花時期を制御するために利用することができる。当該遺伝子構築物は、
(a)銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子(以下、本転写因子と記すこともある。)であって、前記転写因子が、銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有する、前記転写因子をコードする塩基配列と、
(b)前記転写因子により転写を誘導され且つ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子(以下、本開花制御遺伝子と記すこともある。)を発現する遺伝子発現カセットと、
を有するように構築可能に調製すればよい。このようにして、本発明遺伝子構築物を得ることができる。尚、遺伝子発現カセットとは、宿主細胞中で本開花制御遺伝子等の構造遺伝子が発現可能な一つのユニットである。具体的には例えば、構造遺伝子の上流にプロモーターを、構造遺伝子の下流にターミネーターを付加したものである。
【0010】
本発明遺伝子構築物は、前記(a)及び前記(b)の各要素を有するように構築可能に調製すればよい。即ち、1つのベクター上に前記(a)及び前記(b)の各要素を有するように構築してもよいし、また2つのベクター上の、1つのベクターとして前記(a)の要素を有するように構築し、且つ、他の1つのベクターとして前記(b)の要素を有するように構築してもよい。
このようなベクターの構築は、通常の遺伝子工学的手法を用いて行えばよい。尚、2つのベクターとして構築する場合には、例えば、前記(a)を第一ベクターとして構築し、また前記(b)を第二ベクターとして構築してもよい。
【0011】
本発明遺伝子構築物としては、好ましくは、本転写因子をコードする塩基配列の上流に任意のプロモーターを付加され構築されてなる遺伝子構築物等を挙げることができる。当該プロモーターとしては、例えば、後述するような通常使用されるプロモーター等を挙げることができる。
また更に、本発明遺伝子構築物としては、好ましくは、任意のターミネーターを本転写因子をコードする塩基配列の下流に付加され構築されてなる遺伝子構築物等を挙げることができる。当該ターミネーターとしては、例えば、NOSターミネーター、CR16ターミネーター(特開2000-166577)、ダイズ種子グリシニンターミネーター(特開06-189777)等を挙げることができる。
【0012】
本発明遺伝子構築物を、例えば、宿主植物へ導入し、当該遺伝子構築物の誘導発現を行う。本発明遺伝子構築物の宿主植物への導入は、宿主植物夫々に適用可能な方法に応じて、通常の遺伝子工学的手法を用いて行えばよい。
具体的には例えば、前記(a)及び前記(b)の各要素を有するように構築した1つのベクターを用いて本発明遺伝子構築物を導入してもよいし、前記(a)を有するように構築した第一ベクターと前記(b)を有するように構築した第二ベクターを混合して本発明遺伝子構築物を導入してもよい。また、第一ベクター又は第二ベクターのいずれかを用いて本発明遺伝子構築物の一部を導入した宿主植物に、再度、他方のベクターを用いて残りの本発明遺伝子構築物を導入してもよい。さらに、第一ベクターを用いて本発明遺伝子構築物の一部を導入した個体と第二ベクターを用いて本発明遺伝子構築物の一部を導入した個体とを交配してもよい。第二ベクターを複数種類構築して本発明遺伝子構築物の一部を導入することで、複数種類の開花時期制御に関わる外来遺伝子を同時に誘導発現することも可能である。
【0013】
本発明遺伝子構築物の導入方法としては、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、ウイルスベクター法等の各種の公知方法を用いることができる。
【0014】
宿主植物には、農業上及び園芸上重要な種、ゲノム解析等遺伝学上有用な種等が挙げられる。例えば、ダイズ、エンドウ、インゲン、アルファルファ、ミヤコグサ、クローバ、ピーナッツ、スイートピー、クルミ、チャ、ワタ、コショウ、キュウリ、スイカ、カボチャ、メロン、ダイコン、ナタネ、キャノーラ、テンサイ、レタス、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、シロイヌナズナ、タバコ、ナス、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、キクイモ、トマト、ホウレンソウ、アスパラガス、ニンジン、ゴマ、エンダイブ、キク、フウロウソウ、キンギョソウ、カーネーション、ナデシコ、ニチニチソウ、ブバルディア、カスミソウ、ガーベラ、トルコキキョウ、チューリップ、ストック、スターチス、シクラメン、ユキノシタ、ノースポール、スミレ、バラ、サクラ、リンゴ、ブドウ、イチゴ、ウメ、ミカン、ボケ、サツキ、ツツジ、ナンヨウアブラギリ、キャッサバ、アブラヤシ、ココヤシ、オリーブ、リンドウ、コスモス、アサガオ、ヒマワリ、イチョウ、スギ、ヒノキ、ポプラ、マツ、セコイア、オーク、ヤナギ、ユーカリ、ケナフ、スイレン、トチュウ、ブナ、ヒマ、サトウキビ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、トウモロコシ、ソルガム、シバ、トールフェスキュー、スイッチグラス、ススキ、ネギ、タマネギ、ニンニク、ユリ、オニユリ、ラン、グラジオラス、パイナップルである。
【0015】
本発明誘導発現方法は、本発明形質転換植物に銅イオンを接触させることを特徴とする。当該接触方法等としては、例えば、本発明形質転換植物を培地で生育させたり水耕栽培したりする場合には、培地や栄養溶液への銅イオンの混合する(具体的には例えば、銅イオン濃度1μM〜24mM)等の方法を挙げることができる。また、本発明形質転換植物を土壌で栽培する場合には、土壌や本発明形質転換植物の茎葉への銅イオンの散布(具体的には例えば、銅イオン量1nmol/個体〜2.4mmol/個体、銅イオン濃度1μM〜24mM)等の方法が挙げられる。宿主植物の種類や使用場面に応じて適宜選択することが望ましい。本発明誘導発現方法では、銅イオンを本開花制御遺伝子を誘導発現させたい植物の細胞の中に浸透させればよく、施用する銅イオンを錯体にする等製剤を工夫したり、ボルドー(住友化学)、ジーファイン(八洲化学)、トモノZボルドー(トモノアグリカ)、リドミルプラス(日本農薬)、ハイカッパー(住化武田農薬)、クプラビットホルテ(バイエルクロップサイエンス)、コサイドボルドー(デュポン)、キノンドー(アグロカネショウ)、ヨネポン(米澤化学)等、農業用途に使用される銅剤や、グルコン酸銅(和光純薬)等、食品添加物用途に使用される銅剤を所望の濃度に調整して用いてもよい。また施用に際して展着剤等を混合してもよい。
前記銅イオンの本発明形質転換植物への接触は、通常の農業用の有害生物防除剤(殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植調剤等)や肥料と混合して行うことができる。また、本発明形質転換植物への潅水を兼ねて行うこともできる。
【0016】
使用される本転写因子は、銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子(即ち、本開花制御遺伝子)の転写を誘導する。当該転写因子は、銅イオンが存在しない状態においては不活性型であり本開花制御遺伝子の転写を実質的に誘導しないが、銅イオンが存在する状態においては活性型に変化し本開花制御遺伝子の転写を誘導することができる。
因みに、転写因子は、通常、DNA結合領域と転写活性化領域とを有している。転写活性化領域は、宿主植物の細胞内において、RNAポリメラーゼ複合体のメディエーターをリクルートし、標的遺伝子の転写を活性化するはたらきを有する。本発明誘導発現方法及び本発明遺伝子構造物において、本転写因子は、銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有する。また、本転写因子は、銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域及び転写活性化領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有していてもよい。本転写因子に、第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域を含有させることにより、目的とする外来遺伝子の発現の誘導倍率を高める効果を実現し得る。本発明形質転換植物の開花時期を制御するためには、本開花制御遺伝子の発現の誘導倍率は高いほど好ましい。
【0017】
本転写因子としては、前述のように、例えば、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子を挙げることができる。
<転写因子群>
(1)真核生物由来の転写因子
(2)酵母由来の転写因子
(3)酵母ACE1由来の転写因子
また例えば、candida glabrataのAMT1(Thorvaldsen JL et al、1993、J Biol Chem 268、12512-12518)、Yarrowia lipolyticaのCRF1(Garcia S、2002、J Biol Chem 277、37359-37368)、トウモロコシのSOD遺伝子群を銅イオン依存的に誘導発現させる転写因子(Ruzsa SM et al、2003、Biochemistry 42、1508-1516)等を挙げることができる。
【0018】
使用される植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子(即ち、本開花制御遺伝子)は、開花を促進する遺伝子であってもよく、開花を遅延する遺伝子であってもよく、使用目的に応じて適宜選択することが望ましい。即ち、本発明誘導発現方法における「開花時期の制御」とは、本開花制御遺伝子の性質によって、「開花の促進」と「開花の遅延」との両方を意味する。例えば、以下にシロイヌナズナ由来の遺伝子を挙げるが、他の植物種でもこれらの相同遺伝子が一部同定されている。具体的には、例えば、シロイヌナズナ由来FT遺伝子(Kobayashi Y et al、1999、Science 286、1960-1962)の相同遺伝子が、イネでHd3a遺伝子(Tamaki S et al、2007、Science 316、1033-1036)として同定されている。この他にも、アサガオ、ミカン、ポプラ、オオムギ、ブドウ、リンゴ等でも同様に相同遺伝子が同定されている。また、シロイヌナズナ由来FT遺伝子以外にも、開花時期制御に関わる遺伝子は多くの植物種で多数同定されている。これらの開花制御に関わる遺伝子は、植物種を越えて機能するものも存在する。導入対象の植物種由来の遺伝子を利用することが好ましいが、他の植物種由来の遺伝子でも開花時期を制御できれば、植物種に限定されることはない。
開花を促進する遺伝子としては、例えば、FT、CO、GI、SOC1、AGL24、LD、FCA、FUL、LFY、AP1、TSF、FD等を挙げることができるが、さらに任意の開花を促進する遺伝子が含まれる。また、後述のような開花を遅延する遺伝子の優勢劣性変異やアンチセンス遺伝子及びRNAiを誘発する遺伝子をも挙げることができる。より好ましくは、例えば、光周期依存的促進経路、自立的促進経路、春化依存的促進経路、ジベレリン依存的促進経路などの開花時期決定に関わる夫々の経路を統合する遺伝子であるFT、SOC1、LFY等を利用することが望ましい。より好ましくは、フロリゲンの原因遺伝子であるFT及びその相同遺伝子を利用することが望ましい。
開花を遅延する遺伝子としては、例えば、FLC、FRI、PIE1、TFL2、VIP1-7、LHY、SVP、SPA、CDF1等を挙げることができるが、さらに任意の開花を遅延する遺伝子が含まれる。また、前述のような開花を促進する遺伝子の優勢劣性変異やアンチセンス遺伝子及びRNAiを誘発する遺伝子をも挙げることができる。より好ましくは、例えば、光周期依存的促進経路、自立的促進経路、春化依存的促進経路、ジベレリン依存的促進経路などの開花時期決定に関わる夫々の経路を統合する遺伝子であるFT、SOC1、LFY等の優勢劣性変異やアンチセンス遺伝子及びRNAiを誘発する遺伝子を利用することが望ましい。より好ましくは、フロリゲンの原因遺伝子であるFT及びその相同遺伝子の優勢劣性変異やアンチセンス遺伝子及びRNAiを誘発するを利用することが望ましい。
なお、上述の開花時期制御に関わる遺伝子の詳細については、総説(Kobayashi Y and Weigel D、2007、Genes Dev 21、2371-84、及びPutterill J et al、2004、Bioessays 26、363-373等)に記載されている。
【0019】
本開花制御遺伝子としては、前述のように、例えば、下記の本開花制御遺伝子から選ばれてなる外来遺伝子を挙げることができる。
<外来遺伝子に係る塩基配列群>
(1)植物由来の遺伝子
(2)被子植物由来の遺伝子
(3)双子葉植物由来の遺伝子
(4)アブラナ科植物由来の遺伝子
(5)シロイヌナズナ由来の遺伝子
(6)シロイヌナズナFT由来の遺伝子
【0020】
本開花制御遺伝子には、好ましくは、その上流に、前記の本転写因子が銅イオン存在下において転写を誘導しうる塩基配列からなるプロモーター領域(以下、本プロモーター領域と記すこともある。)が連結される。誘導条件下における宿主細胞中で、本開花制御遺伝子が発現可能であればよい。好ましくは、例えば、酵母のMRE配列(Mett VL et al、1993、Proc Natl Acad Sci 90、4567-4571)等を含むようなものを挙げることができる。具体的には、通常使用されるプロモーター領域に存在するTATA配列の上流に、酵母のMRE配列等を繰返し配置してなるものが挙げられる。尚、本開花制御遺伝子とその上流のプロモーター領域との間に、任意の外来遺伝子の5’−非翻訳領域を連結する必要はなく、例えば、実質的に直結されていてよい。
【0021】
尚、前記の通常使用されるプロモーターは、構成的プロモーターでもよいし、組織特異的プロモーターや、ある刺激により転写が誘導される誘導性プロモーターでもよい。使用場面に応じて適宜選択することが望ましい。
構成的プロモーターとしては、例えば、CaMV 35Sプロモーター、PG10-90(特開09-131187)、ユビキチンプロモーター(国際公開01/094394)、アクチンプロモーター(国際公開00/070067)等を挙げることができる。また、組織特異的プロモーターとしては、例えば、ダイズ種子グリシニンプロモーター(特開06-189777)、プロラミンプロモーター(国際公開2004/056993)、インゲンマメ種子ファゼオリンプロモーター(国際公開91/013993)、ナタネ種子ナピンプロモーター(国際公開91/013972)、シロイヌナズナSultr2;2プロモーター(Takahashi H et al、2000、Plant J 23、171-82)、アグロバクテリウムrolCプロモーター(Almon E et al、1997、Physiol 115、1599-1607)等を挙げることができる。
【0022】
第一の転写因子とは異なる好ましい転写因子としては、例えば、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子を挙げることができる。
<転写活性化領域に係る塩基配列群>
(1)ウイルス由来の転写因子
(2)シンプレックスウイルス属に属するウイルス由来の転写因子
(3)単純ヘルペスウイルス由来の転写因子
(4)単純ヘルペスウイルス由来のVP16転写因子(Triezenberg SJ et al、1988、Genes Dev 2(6)、718-29)
また例えば、GAL4転写因子(Gill G、Ptashne M、1987、Cell 51(1)、121-126)、転写活性化能力を有する人工的に合成されたペプチドAH(Ansari AZ et al、2001、Chem Biol 8(6)、583-592)等を挙げることもできる。
【0023】
本発明誘導発現方法で使用される遺伝子構築物は、例えば、前述のような本発明遺伝子構築物である。また、本発明誘導発現方法で使用される転写因子は、前述のような本転写因子であり、銅イオンにより活性化するものである。また、本発明誘導発現方法で使用される植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子は、前述のような本開花制御遺伝子であり、銅イオンで活性化される転写因子により転写を誘導される。また、本発明誘導発現方法で使用される転写活性化領域は、前述のような本転写活性化領域であり、銅イオンで活性化される転写因子に含有されてなる。
【0024】
本発明形質転換植物は、上述のように、本発明遺伝子構築物が導入されてなる形質転換植物である。
【0025】
本発明の応用例として、以下のようなことを挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。本開花制御遺伝子が開花を促進する遺伝子の場合、開花を促進する遺伝子への変異導入やRNAi、開花を遅延する遺伝子の過剰発現等により開花が起こり難い又は全く開花しない植物へ本発明遺伝子構築物を導入することで、より厳密に開花を制御することが可能となる。反対に、本開花制御遺伝子が開花を遅延する遺伝子の場合、開花を遅延する遺伝子への変異導入やRNAi、開花を促進する遺伝子の過剰発現等により開花が早期に起こる植物へ本発明遺伝子構築物を導入することで、より厳密に開花を制御することが可能となる。
【0026】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に夫々開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
実施例1 (導入ベクターの作製)
(1)転写因子遺伝子発現カセットの構築
YPD培地(1% 酵母エキス、2% ポリペプトン、2% グルコース)中、30℃で2日間振とう培養した出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae strain AH22)から、ゲノムDNA抽出キット「Genとるくん」(タカラバイオ)を用いてゲノムDNAを抽出した。抽出されたゲノムDNAを鋳型に、2種の特異的プライマー(ACE1-1F、ACE1-1RC)を用いてPCRを行うことにより、ACE1転写因子遺伝子を増幅した。増幅されたACE1転写因子遺伝子を、pBI221(Clontech)のGUS遺伝子と置換し、p35S-ACE1-NOSを作製した。次に、p35S-ACE1-NOSに含まれるNOSターミネーターを、CR16ターミネーター(特開2000-166577)に置換し、p35S-ACE1-CRを作製した。
【0029】
NASC(Nottingham Arabidopsis Stock Centre)より購入した組換えシロイヌナズナ種子(No.N70016)を改変MS寒天培地(MS無機塩類、B5ビタミン、2% ショ糖、0.8% 寒天)に播種した。23℃で3週間生育させた組換えシロイヌナズナの本葉から、植物ゲノムDNA抽出キット「DNeasy Plant mini kit」(QIAGEN)を用いてゲノムDNAを抽出した。抽出されたゲノムDNAを鋳型に、2種の特異的プライマー(VP16-1F、VP16-1RC)を用いてPCRを行うことにより、単純ヘルペスウイルスのVP16転写因子の転写活性化ドメイン(VP16AD)遺伝子を増幅した。増幅されたVP16AD遺伝子を、pCR2.1(Invitrogen)にTAクローニングし、pCR2.1-VP16ADを作製した。pCR2.1-VP16ADを鋳型に、2種の特異的プライマー(VP16-2F、VP16-2RC)を用いてPCRを行い、VP16AD遺伝子内のSacIサイトに変異を導入し、pCR2.1-VP16AD(dSacI)を作製した。その後、pCR2.1-VP16AD(dSacI)を鋳型に、2種の特異的プライマー(VP16-3F、VP16-3RC)を用いてPCRを行うことにより、VP16AD(dSacI)遺伝子の5’末端にXhoIサイトを付加し3’末端にSacIサイトを付加した。また、pCR2.1-VP16AD(dSacI)を鋳型に、2種の特異的プライマー(VP16-4F、VP16-3RC)を用いてPCRを行うことにより、VP16AD(dSacI)遺伝子の5’末端にBglIIサイトを付加し3’末端にSacIサイトを付加した。
【0030】
p35S-ACE1-CRを鋳型に、2種の特異的プライマー(ACE1-1F、ACE1-2RC)を用いてPCRを行うことにより、ACE1転写因子遺伝子の終始コドンを除去しXhoIサイトを付加した。3’末端にXhoIサイトを付加したACE1転写因子遺伝子の下流に、5’末端にXhoIサイトを付加したVP16AD(dSacI)遺伝子を読み枠が合うように連結し、p35S-ACE1/VP16AD-CRを作製した。また、p35S-ACE1-CRを制限酵素BglII及びSacIで処理し、ACE1AD遺伝子を切り出した。ACE1AD遺伝子を切り出したACE1DBD転写因子遺伝子の下流に、5’末端にBglIIサイトを付加したVP16AD(dSacI)遺伝子を読み枠が合うように連結し、ACE1AD遺伝子と置換、p35S-ACE1DBD/VP16AD-CRを作製した。
【0031】
ACE1-1F:5'-atggatccatggtcgtaattaacggg-3'(配列番号1)
ACE1-1RC:5'-tggagctcttattgtgaatgtgagttatg-3'(配列番号2)
ACE1-2RC:5'-aactcgagttgtgaatgtgagttatgcg-3’(配列番号3)
VP16-1F:5'-acggctccaccgaccgacgtc-3'(配列番号4)
VP16-1RC:5'-ctacccaccgtactcgtcaattc-3'(配列番号5)
VP16-2F:5'-ggacgaactccacttagacgg-3'(配列番号6)
VP16-2RC:5'-ccgtctaagtggagttcgtcc-3'(配列番号7)
VP16-3F:5'-tactcgagtcaacggctccaccgaccgacgt-3'(配列番号8)
VP16-3RC:5'-aagagctcttacccaccgtactcgtcaattccaag-3'(配列番号9)
VP16-4F:5'-taagatctatcaacggctccaccgaccgacgt-3'(配列番号10)
【0032】
(2)sGFP遺伝子発現カセットの構築
プラスミドCaMV35S-sGFP(S65T)-NOS3'(「植物の細胞を観る実験プロトコール」 福田裕穂他監修、1997年、秀潤社、ISBN 4-87962-170-6)からsGFP遺伝子を切り出し、アダプター(NS-1F、NS-1RC)を使用して、pBI221のGUS遺伝子と置換、p35S-sGFPを作製した。p35S-sGFPに含まれるCaMV35Sプロモーターの-830bpから-91bpまでの領域を、合成オリゴヌクレオチド(MRE-1F、MRE-1RC)に置換し、pMRE/35S(-90)-sGFPを作製した。
pMRE/35S(-90)-sGFPを制限酵素EcoRVで処理した後、「Calf intestine Alkaline Phosphatase」(タカラバイオ)で脱リン酸化した。そこへ、「Blunting Kination Ligation kit」(タカラバイオ)を用いて平滑末端化及びリン酸化した合成オリゴヌクレオチド(MRE-1F、MRE-1RC)を挿入することで、MRE配列を順向きに2回繰返して配置させた。得られたMRE配列の2回繰返し部分を切り出し、上記と同様の方法で平滑末端化し、再度EcoRVサイトに挿入した。これにより、MRE配列を順向きに4回繰返して配置させたpMRE4/35S(-90)-sGFPを作製した。
【0033】
さらに、pBI221を鋳型に、2種の特異的プライマー(46bp-1F、46bp-1RC)を用いてPCRを行うことにより、CaMV35Sプロモーターの-46bpから-1bpまでの領域を含むDNA断片を増幅した。増幅されたDNA断片を、pMRE4/35S(-90)-sGFPの4回繰返し配置させたMRE配列の下流に位置するCaMV35Sプロモーターの-90bpから-1bpまでの領域と置換し、pMRE4/35S(-46)-sGFPを作製した。
他方では、CaMV35Sプロモーターの-90bpから-1bpまでの領域に存在するas-1サイト(Benfey PN & Chua NH、1990、Science 250、959-966)に変異が導入された配列と置換した。まず、NASCより購入した組換えシロイヌナズナ(No.N70016)からゲノムDNAを抽出した。抽出されたゲノムDNAを鋳型に、2種の特異的プライマー(90m-1F、90m-1RC)を用いてPCRを行うことにより、as-1サイトに変異を持つ35S(-90m)配列をpCR2.1(Invitrogen)にTAクローニングし、pCR2.1-35S(-90m)を作製した。pCR2.1-35S(-90m)を鋳型に、2種の特異的プライマー(90m-2F、90m-2RC)を用いてPCRを行うことにより、5’末端にEcoRVサイトを付加し3’末端にXbaIサイトを付加した。得られたDNA断片を、pMRE4/35S(-90)-sGFPの4回繰返し配置させたMRE配列の下流に位置するCaMV35Sプロモーターの-90bpから-1bpまでの領域と置換し、pMRE4/35S(-90m)-sGFPを作製した。
pMRE4/35S(-46)-sGFP又はpMRE4/35S(-90m)-sGFPを夫々制限酵素HindIIIで処理した後、「Blunting Kination Ligation kit」を用いて平滑末端化及びリン酸化し、そこへ合成オリゴヌクレオチド(KXS-1F、KXS-1RC)を挿入、pKXS-MRE4/35S(-46)-sGFP又はpKXS-MRE4/35S(-90m)-sGFPを作製した。
【0034】
NS-1F:5'-ggccgcgagctcagt-3'(配列番号11)
NS-1RC:5'-gactgagctcgc-3'(配列番号12)
MRE-1F:5'-agcttagcgatgcgtcttttccgctgaaccgttccagcaaaaaagactagat-3'(配列番号13)
MRE-1RC:5'-atctagtcttttttgctggaacggttcagcggaaaagacgcatcgcta-3'(配列番号14)
46bp-1F:5'-tagatatcgcaagacccttcctctatataagg-3'(配列番号15)
46bp-1RC:5'-atcctctagagtcccccgtgttc-3'(配列番号16)
90m-1F:5'-gctatgaccatgattacgccaagcttg-3'(配列番号17)
90m-1RC:5'-cattgttatatctccttggatccgtcg-3'(配列番号18)
90m-2F:5'-tagatatctccacgtccataagggac-3'(配列番号19)
90m-2RC:5'-aatctagactgcaggtcgtcctctcca-3'(配列番号20)
KXS-1F:5'-ggtacctcgagtcgac-3'(配列番号21)
KXS-1RC:5'-gtcgactcgaggtacc-3'(配列番号22)
【0035】
(3)FT遺伝子発現カセットの構築
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia)を改変MS寒天培地(MS無機塩類、B5ビタミン、2% ショ糖、0.8% 寒天)に播種し、23℃で3週間生育させた。得られた植物を、予め培土が入れられたポットに移植し、人工気象器内で生育させた。移植後2週間目の植物の花芽及び本葉から、植物RNA抽出キット「RNeasy Plant Mini Kit」(QIAGEN)を用いて全RNAを抽出した。抽出された全RNAから、cDNA合成キット「ReverTra Ace」(TOYOBO)を用いてcDNAを合成した。合成されたcDNAを鋳型に、2種の特異的プライマー(FT-1F、FT-1RC)を用いてPCRを行うことにより、FT遺伝子(GenBank Accession Number AB027504)を増幅した。増幅されたFT遺伝子を、pBI221(Clontech)のGUS遺伝子と置換した。このようにして得られたプラスミドを鋳型に、6種の特異的プライマー(FT-2F、FT-2RC、FT-3F、FT-3RC、FT-4F、FT-1RC)を用いてfusion PCRを行うことにより、FT遺伝子内部に存在するBamHIサイト及びEcoRIサイトにアミノ酸置換を伴わない変異を導入し且つ5’末端のXbaIサイトをBamHIサイトに変更した。このようにして得られた改変FT遺伝子を、pKXS-MRE4/35S(-90m)-sGFPのsGFP遺伝子と置換することにより、pKXS-MRE4/35S(-90m)-FTを作製した。
【0036】
FT-1F:5'-taatctagaatgtctataaatataagagaccctc-3'(配列番号23)
FT-1RC:5'-atagagctcctaaagtcttcttcctccg-3'(配列番号24)
FT-2F:5'-taaggatccatgtctataaatataagagaccctc-3'(配列番号25)
FT-2RC:5'-gaacatctggatcgaccataaccaaagta-3'(配列番号26)
FT-3F:5'-tactttggttatggtcgatccagatgttc-3'(配列番号27)
FT-3RC:5'-gacacgatgaatacctgcagtggga-3'(配列番号28)
FT-4F:5'-tcccactgcaggtattcatcgtgtc-3'(配列番号29)
【0037】
(4)転写因子遺伝子発現カセットとsGFP遺伝子発現カセット又はFT遺伝子発現カセットとの連結
転写因子遺伝子発現カセットを含むp35S-ACE-CR又はp35S-ACE1DBD/VP16AD-CR、p35S-ACE1/VP16AD-CRを制限酵素HindIII及びEcoRIで処理し、転写因子遺伝子発現カセットを切り出した。また、sGFP遺伝子発現カセットを含むpKXS-MRE4/35S(-46)-sGFP又はpKXS-MRE4/35S(-90m)-sGFP、FT遺伝子発現カセットを含むpKXS-MRE4/35S(-90m)-FTを制限酵素KpnI及びEcoRIで処理し、夫々sGFP遺伝子発現カセット又はFT遺伝子発現カセットを切り出した。
一方、pBI121(Clontech)に含まれるGUS遺伝子発現カセットを、合成オリゴヌクレオチド(HEK-1F、HEK-1RC)に置換し、pBI121-HEKを作製した。pBI121-HEKを制限酵素HindIII及びKpnIで処理した。制限酵素HindIII及びKpnIで処理したpBI121-HEKに、切り出した転写因子遺伝子発現カセットとsGFP遺伝子発現カセット又はFT遺伝子発現カセットとをライゲーションすることにより、転写因子遺伝子発現カセットとsGFP遺伝子発現カセット又はFT遺伝子発現カセットとが、夫々のターミネーター側で連結したバイナリーベクターを得た(図1参照)。p35S-ACE1-CRとpKXS-MRE4/35S(-46)-sGFPを由来とするものをベクター(a)、p35S-ACE1DBD/VP16AD-CRとpKXS-MRE4/35S(-46)-sGFPを由来とするものをベクター(b)、p35S-ACE1/VP16AD-CRとpKXS-MRE4/35S(-46)-sGFPを由来とするものをベクター(c)、p35S-ACE1/VP16AD-CRとpKXS-MRE4/35S(-90m)-sGFPを由来とするものをベクター(d)、p35S-ACE1/VP16AD-CRとpKXS-MRE4/35S(-90m)-FTを由来とするものをベクター(e)とした。
【0038】
HEK-1F:5'-agcttgaattcgtcgacggtacctaggacgagctc-3'(配列番号30)
HEK-1RC:5'-aattgagctcgtcctaggtaccgtcgacgaattca-3'(配列番号31)
【0039】
実施例2 (組換えタバコ培養細胞におけるGFPの蓄積量解析)
(1)組換えタバコ培養細胞の作製及び選抜
実施例1で作製されたベクター(a)、(b)、(c)、及び(d)がコーティングされた直径1.0μmの金粒子を用いたパーティクルガン法(森川弘道ら著、1992年、植物細胞工学 Vol.4 No.1 p.47-52、秀潤社)により、前記ベクターをそれぞれタバコ培養細胞(BY-2)に導入した。金粒子1mg当たりのDNA量は0.1μgとした。遺伝子導入されたタバコ培養細胞の細胞懸濁液を、遺伝子導入操作後3〜5日目に、30 mg/L カナマイシンを含む改変MS寒天培地(MS無機塩類、3% ショ糖、1μM 2,4-D、1 mg/L thiamin・HCl、100 mg/L myo-inositol、200 mg/L KH2PO4、0.8 % 寒天)に広げた。培養1ヵ月間後に、30 mg/L カナマイシンに耐性を示す細胞塊を選抜し、選抜された細胞塊をその後1〜2週間毎に新しい寒天培地に植え継ぎながら4〜8週間培養した。培養条件は、暗下、23〜25℃とした。
【0040】
(2)蛍光プレートリーダーによるGFPの蓄積量解析
得られた細胞塊を、誘導発現処理区として100μM CuSO4を含む改変MS寒天培地(MS無機塩類、3% ショ糖、1μM 2,4-D、1 mg/L thiamin・HCl、100 mg/L myo-inositol、200 mg/L KH2PO4、0.8 % 寒天)に移植することにより、銅イオンによる目的とする外来遺伝子の誘導発現のための処理(以下、誘導発現処理と記すこともある。)を行った(尚、非誘導発現処理区として CuSO4を含まない改変MS寒天培地を用いた。)。
その後、当該誘導発現処理3日間後の細胞塊について、蛍光顕微鏡(Nikon)にて、GFPの蛍光発光状態を調べた。
【0041】
GFPの蛍光発光の増大が観察された細胞塊を液体窒素で凍結した後、当該凍結物にガラスビーズ(0.25〜0.5 mm)及び抽出バッファー(1×PBS(-)、5 mM DTT、1 mM PMSF、0.1 % protease inhibitor cocktail)を加えて、破砕装置「ミキサーミル」(QIAGEN)にて破砕処理した。得られた破砕物を卓上遠心機にて15000 rpm、4℃で5分間遠心することにより上清を回収した後、得られた上清を蛋白質抽出液とした。次いで、当該蛋白質抽出液を適宜、1×PBS(-) で希釈し、得られた希釈液におけるGFPの蛍光強度を、マルチラベルカウンタ「wallac 1420 ARVOMX」(パーキンエルマー)を用いて測定した。尚、標準サンプルとしては、リコンビナントGFP(コスモバイオ)を1×PBS(-)で希釈して得られる希釈液を用いた。測定された蛍光強度から可溶性蛋白質量当たりのGFP換算量を算出し、対照となる野生型の細胞塊での対応値をバックグランドとして差し引くことにより、GFPの蓄積量を算出した。尚、蛋白質抽出液の中の蛋白質濃度はBradford法により定量した。
【0042】
表1に、銅イオン誘導性sGFP遺伝子発現ベクターが導入されてなる組換えタバコ培養細胞における、GFPの蓄積量(GFPの蛍光強度から算出したGFP換算量)の定量の結果を示す。誘導倍率とは、非誘導発現処理区でのGFPの蓄積量に対する、誘導発現処理区でのGFPの蓄積量の割合を示している。
ベクター(a)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞では、誘導発現処理区でのGFPの蓄積量が非誘導発現処理区でのGFPの蓄積量と比較して2倍(以下、ベクター(a)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞における誘導倍率と記すこともある。)であった。ACE1転写因子のACE1ADをVP16ADに置換したベクター(b)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞では、誘導発現処理区でのGFPの蓄積量が非誘導発現処理区でのGFPの蓄積量と比較して4倍(以下、ベクター(b)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞における誘導倍率と記すこともある。)であり、またベクター(a)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞における誘導倍率と比較して2倍の改善が認められた。
一方、ACE1転写因子にVP16ADが付加されたベクター(c)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞では、誘導発現処理区でのGFPの蓄積量が非誘導発現処理区でのGFPの蓄積量と比較して18倍(以下、ベクター(c)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞における誘導倍率と記すこともある。)であり、またベクター(a)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞における誘導倍率と比較して9倍の改善が認められた。
また、as-1サイトに変異を持つ35S(-90m)配列が用いられたベクター(d)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞では、誘導発現処理区でのGFPの蓄積量が非誘導発現処理区でのGFPの蓄積量と比較して18倍(以下、ベクター(d)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞における誘導倍率と記すこともある。)であり、またベクター(a)が導入されてなる組換えタバコ培養細胞における誘導倍率と比較して9倍の改善が認められた。
【0043】
【表1】

【0044】
実施例3 (組換えシロイヌナズナの開花誘導)
(1)組換えシロイヌナズナの作製及び選抜
実施例1で作製されたベクター(e)をアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens strain C58C1)に導入した。得られたアグロバクテリウムを50 mg/L カナマイシン、100 mg/L アンピシリン、100 mg/L リファンピシンを含むLB寒天培地(0.5% 酵母エキス、1.0% バクトトリプトン、0.5% 食塩、1% 寒天)で培養して薬剤耐性コロニーを選抜することにより、組換えアグロバクテリウムを得た。得られた組換えアグロバクテリウムを、モデル植物ラボマニュアル(岩渕雅樹他編集、2000年、シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社、ISBN 4-431-70881-2 C3045)に記載される方法に準じて、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia)に感染させることにより、遺伝子導入を行った。遺伝子導入されたシロイヌナズナから採取されたT1種子を、20 mg/L ベンレート、200 mg/L クラフォラン、25 mg/L カナマイシンを含む改変MS寒天培地(MS無機塩類、B5ビタミン、1% ショ糖、0.8 % 寒天)に播種し生育した後、カナマイシンに耐性を示す植物個体を選抜した。選抜された植物個体を予め培土が入れられたポットに移植し、人工気象器内で生育させることにより、T種子を得た。得られたT種子を25 mg/L カナマイシンを含む改変MS寒天培地(MS無機塩類、B5ビタミン、2% ショ糖、0.8% 寒天)に播種し生育した後、χ2検定に基づいた5%の有意水準において、カナマイシンに耐性を示す植物個体が3:1の割合で出現するラインを選抜した。尚、植物個体の生育のための培養条件は、明期23時間、暗期1時間、23〜25℃とした。
【0045】
(2)組換えシロイヌナズナの開花誘導
選抜されたラインについて、T種子を、改変MS寒天培地(MS無機塩類、B5ビタミン、2% ショ糖、0.8% 寒天)に播種した。明期23時間、暗期1時間、23〜25℃の条件下で11日間生育させた植物個体を誘導発現処理区として50μM CuSO4を含む改変MS寒天培地(MS無機塩類、B5ビタミン、2% ショ糖、0.8 % 寒天)に移植することにより、銅イオンによる目的とする外来遺伝子の誘導発現のための処理(以下、誘導発現処理と記すこともある。)を行った(尚、非誘導発現処理区として CuSO4を含まない改変MS寒天培地を用いた。)。
【0046】
当該誘導発現処理6時間後の植物個体を、CuSO4を含まない改変MS寒天培地(MS無機塩類、B5ビタミン、2% ショ糖、0.8 % 寒天)に移植した。当該誘導発現処理後5日目の植物個体を観察した。その結果、誘導発現処理区では、非誘導発現処理区と比較して、早期に開花が誘導された(図2参照)。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明により、開花時期制御に関わる外来遺伝子が導入されてなる形質転換植物について、銅イオン依存的に開花時期の制御を行う方法等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、銅イオン誘導性sGFP遺伝子発現ベクター及び銅イオン誘導性FT遺伝子発現ベクターのT-DNA領域の構造を示す模式図である。図中の*印は、as-1サイトへの変異導入部位を示している。
【図2】図3は、銅イオン誘導性FT遺伝子発現ベクターが導入されてなる組換えシロイヌナズナにおける、開花時期の相違を示す図である。
【配列表フリーテキスト】
【0049】
配列番号1
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号5
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号7
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号8
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号9
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号10
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号11
アダプターのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号12
アダプターのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号13
置換DNA断片のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号14
置換DNA断片のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号15
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号16
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号17
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号18
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号19
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号20
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号21
アダプターのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号22
アダプターのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号23
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号24
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号25
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号26
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号27
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号28
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号29
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号30
アダプターのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号31
アダプターのために設計されたオリゴヌクレオチド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の遺伝子構築物が導入されてなる植物に銅イオンを接触させることを特徴とする前記植物の開花時期を制御する方法。
遺伝子構築物;
銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子をコードする塩基配列を含有する遺伝子構築物。前記転写因子が銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有する。
【請求項2】
銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子が、銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域及び転写活性化領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
銅イオンにより活性化される第一の転写因子が、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の方法。
<転写因子群>
(1)真核生物由来の転写因子
(2)酵母由来の転写因子
(3)酵母ACE1由来の転写因子
【請求項4】
第一の転写因子とは異なる転写因子が、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
<転写因子群>
(1)ウイルス由来の転写因子
(2)シンプレックスウイルス属に属するウイルス由来の転写因子
(3)単純ヘルペスウイルス由来の転写因子
(4)単純ヘルペスウイルス由来のVP16転写因子
【請求項5】
開花時期制御に関わる外来遺伝子が、下記の外来遺伝子群から選ばれてなる外来遺伝子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
<外来遺伝子群>
(1)植物由来の遺伝子
(2)被子植物由来の遺伝子
(3)双子葉植物由来の遺伝子
(4)アブラナ科植物由来の遺伝子
(5)シロイヌナズナ由来の遺伝子
(6)シロイヌナズナFT由来の遺伝子
【請求項6】
前記の遺伝子構築物が、銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子をコードする塩基配列の上流に、プロモーターを付加され構築されてなる遺伝子構築物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
植物の開花時期を制御するための遺伝子構築物であって、
(a)銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子であって、前記転写因子が、銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域とを含有する、前記転写因子をコードする塩基配列と、
(b)前記転写因子により転写を誘導され且つ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子を発現する遺伝子発現カセットと
を有するように構築可能に調製されてなることを特徴とする遺伝子構築物。
【請求項8】
銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子が、銅イオンにより活性化される第一の転写因子のDNA結合領域及び転写活性化領域と第一の転写因子とは異なる少なくとも一つの転写因子の転写活性化領域を含有する、請求項7記載の遺伝子構築物。
【請求項9】
銅イオンにより活性化される第一の転写因子が、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子であることを特徴とする請求項7又は8に記載の遺伝子構築物。
<転写因子群>
(1)真核生物由来の転写因子
(2)酵母由来の転写因子
(3)酵母ACE1由来の転写因子
【請求項10】
第一の転写因子とは異なる転写因子が、下記の転写因子から選ばれてなる転写因子であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかにに記載の遺伝子構築物。
<転写因子群>
(1)ウイルスの転写因子
(2)シンプレックスウイルス属に属するウイルスの転写因子
(3)単純ヘルペスウイルスの転写因子
(4)単純ヘルペスウイルスのVP16転写因子
【請求項11】
開花時期制御に関わる外来遺伝子が、下記の外来遺伝子群から選ばれてなる外来遺伝子であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の遺伝子構築物。
<外来遺伝子群>
(1)植物由来の遺伝子
(2)被子植物由来の遺伝子
(3)双子葉植物由来の遺伝子
(4)アブラナ科植物由来の遺伝子
(5)シロイヌナズナ由来の遺伝子
(6)シロイヌナズナFT由来の遺伝子
【請求項12】
銅イオンにより活性化されかつ植物の開花時期制御に関わる外来遺伝子の転写を誘導する転写因子をコードする塩基配列の上流に、プロモーターを付加され構築されてなる遺伝子構築物であることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の遺伝子構築物。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれかに記載の遺伝子構築物が導入されてなることを特徴とする形質転換植物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−57402(P2010−57402A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225711(P2008−225711)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】