説明

植物を基礎とするジオキサノン誘導体、その合成および使用

本発明は、炭素長2〜24の炭素鎖に結合するカルボン酸およびエステル部分に関し、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、前記鎖内の2個の隣接炭素から形成されるおよび/または前記鎖内の少なくとも1個の炭素が、ペンダント状ジオキサノン環系で置換される。好適な実施形態において、該炭素鎖は、脂肪酸残基である。前記鎖の炭素は、任意に、置換されることが可能であり、飽和もしくは不飽和でありうる。2つ以上の前記エステル部分が存在する場合、本発明は、複数の炭素鎖を含有するポリエステル(例、トリグリセリド)に関し、各鎖は、前記トリグリセリドが少なくとも1つのジオキサノン環系を含有するように、独立して誘導され、前記ジオキサノンは、前記鎖の少なくとも1つに2個の隣接炭素から形成される。本発明は、さらに、脂肪酸誘導体のジオキサノン含有の組成物を調製する方法に関する。本発明は、さらに、ジオキサノン含有の組成物または脂肪酸誘導体を利用するコーティング配合物およびポリマー、ならびにこのようなコーティングおよびポリマーを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
発明の分野
従来、脂肪酸ベースの化学物質は、新規の工業用誘導体を製造するために、石油化学ベースの材料で機能化されてきた。フェノールなどの石油化学供給原料を用いて植物油製品の機能を拡大する努力が、現在続けられている。さらに継続できる新規の工業化学製品を生産するためには、バイオベース成分の新規の化学物質が増加するのが望ましい。脂肪酸誘導体のジオキサノン誘導体は、共にバイオベース供給源から誘導されるエチルラクテートと植物油とを実質的にベースとしている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
発明の概要
本発明は、炭素長2〜23の炭素鎖に結合するカルボン酸および/またはエステル部分を含有する化合物および組成物に関し、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、前記鎖内の2個の隣接炭素から形成される。本発明は、さらに、炭素長2〜23の炭素鎖に結合するカルボン酸および/またはエステル部分を含有する化合物および組成物に関し、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系で置換される。好適な実施形態において、該炭素鎖は、脂肪酸残基である。該鎖の炭素は、任意に置換されてもよく、飽和或いは不飽和である。2つ以上のエステル部分が存在する場合、本発明は、トリグリセリドなどのポリオールポリエステルに関し、該ポリオールポリエステルは、各鎖が独立して誘導される複数の炭素鎖を含有し、その結果、トリグリセリドが、少なくとも1つの前記鎖内の2個の隣接炭素から形成されるジオキサノンを有する少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、或いは少なくとも1つのジオキサノン環系が、少なくとも1つの前記鎖に置換基として存在する。本発明は、また、ジオキサノン含有の組成物または脂肪酸誘導体を調製する方法に関する。本発明は、さらに、ジオキサノン含有の組成物または脂肪酸誘導体を利用するコーティング配合物およびポリマー、ならびに上記のコーティングおよびポリマーを製造する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
発明の詳細な説明
本発明は、炭素長2〜24の炭素鎖を含有する組成物および脂肪酸誘導体に関し、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、その結果、脂肪酸誘導体の鎖内の2個の隣接炭素が、以下の一般構造(I)
【化1】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]に示されるように、ジオキサノン環系内に組み込まれている。本発明は、さらに、炭素長2〜24の炭素鎖を含有する脂肪酸誘導体に関し、該鎖内の少なくとも1個の炭素が、ジオキサノン環系で置換されている。この置換基は、ペンダント状ジオキサノン環系と呼ばれうる。
【0004】
一の実施形態において、本発明は、炭素長2〜23の炭素鎖に結合するカルボキシル部分を含む組成物に関し、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、前記鎖内の2個の隣接炭素から形成され、上に示す一般構造(I)を有する。本実施形態において、上記組成物は、以下の一般構造
【化2】


[式中、Rは、2〜23の炭素長の炭素鎖であり、任意に置換され、飽和或いは不飽和であり、該鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有する]を有する。
【0005】
本実施形態において、該炭素鎖の炭素は、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される1つ以上の置換基で、独立して置換される。さらに、該鎖は、機能化されて、任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系または本明細書に置換基として記載される他の基を含みうる。これらのペンダント状ジオキサノン環系は、リノール酸の機能性誘導体(シス、シス−9、12−オクタデカジエン酸)により、図で説明することができる。
【化3】


式中、Rは、HまたはC1−4アルキルであり得、RとRは、上記の通りであり、Gは、該鎖上のジオキサノン置換基でありうる。該ジオキサノン部分は、以下の構造、GおよびG、或いは他に、G、G、G、G、およびGのうち1つを有する。
【化4】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]
【化5】


【化6】


[式中、RとRは、各場合において、独立した置換基を表し、好ましくは、RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択され、さらに好ましくは、RとRは、独立して、水素またはC1−5アルキルよりなる群から選択される]
【0006】
上の例において、C9二重結合は、C9−10間に組み込まれたジオキサノン環系を含有するにように、機能化された。しかしながら、リノール酸またはそれらの誘導体の鎖は、C12−13間に組み込まれた環で代わりに機能化されうる。上の例において、該鎖は、C13において、ペンダント状、任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系で置換される。上の例は、1つの可能性のある置換パターンだけを図示するが、本発明は、図示した構造に限定されることを意味しない。さらに、G〜Gのうち1つまたは複数を含有する誘導体において、G〜Gの基で置換された炭素に隣接するのは、ヒドロキシで置換された炭素であるのが好ましい。これらのタイプの誘導体の合成は、以下の図式15に記載される。
【0007】
上記鎖の炭素は、その最終用途における鎖の物理的および化学的性質を改変する置換基を含有するように、誘導化されうるのが好ましい。このような改変には、界面活性剤の性質、流動点、粘性、結晶化、重合などに影響を与える改変が含まれる。上記の目的のために付加される置換基として、エステル、アルコール、アミド、アミン、ケトン、エポキシド、カルボン酸、アルケン、アルキン、アジド、ヒドラジド、イミン、オキシム、1つ以上のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜Gなどが好ましい。さらに好適な置換基は、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)および脂肪族アミンでありうる。これらの置換基の付加は、該化合物に所望の化学的および物理的性質(例、結晶化を回避するため、鎖の凝集(chain packing)の崩壊など)を与えることが可能であり、或いはさらなる改変のための化学的処理を提供することが可能である。分岐の誘導体は、それらの分岐の特質のため、優れた潤滑剤または結晶抑制物質をもたらしうる。
【0008】
上記鎖の炭素は、さらに、ジオキサノン環系に組み込まれていない任意の炭素上で、水素で十分に飽和されることが可能であり、上記の組み込まれた炭素は、酸素に結合する。
【0009】
上記鎖は、さらに、該鎖内に1つ以上の不飽和部位を含有しうる。
【0010】
カルボニル炭素を含む炭素鎖が、2〜24個の炭素を含有するのが好ましい。該炭素鎖が、12〜24個の炭素を含有するのがさらに好ましい。炭素数が、16〜18であるのが最も好ましい。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、炭素長2〜23の炭素鎖に結合するエステル部分を含む組成物に関し、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、上に示す一般構造(I)を有する。
【0012】
本実施形態において、該鎖の炭素は、その最終用途における鎖の物理的および化学的性質を改変する置換基を含有するように、誘導化されうる。このような改変には、界面活性剤の性質、流動点、粘性、結晶化、重合などに影響を与える改変が含まれる。上記の目的のために付加される置換基として、エステル、アルコール、アミド、アミン、ケトン、エポキシド、カルボン酸、アルケン、アルキン、アジド、ヒドラジド、イミン、オキシム、1つ以上のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜Gなどが好ましい。さらに好適な置換基は、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)および脂肪族アミンでありうる。これらの置換基の付加は、該化合物に所望の化学的および物理的性質(例、結晶化を回避するため、鎖の凝集の崩壊など)を与えることが可能であり、或いはさらなる改変のための化学的処理を提供することが可能である。分岐の誘導体は、それらの分岐の特質のため、優れた潤滑剤または結晶抑制物質をもたらしうる。
【0013】
上記鎖の炭素は、さらに、ジオキサノン環系に組み込まれていない任意の炭素上で、水素で十分に飽和されることが可能であり、上記の組み込まれた炭素は、酸素に結合する。
【0014】
上記鎖は、該鎖内に1つ以上の不飽和部位を含有することもある。
【0015】
カルボニルを含む炭素鎖が、2〜24個の炭素を含有するのが好ましい。該炭素鎖が、12〜24個の炭素を含有するのがさらに好ましい。炭素数が、16〜18であるのが最も好ましい。
【0016】
好適な実施形態において、該組成物が、1つのエステル部分を含有する場合、エステル酸素に直接結合する化学的部分は、安定したエステルを形成しうる任意の基を含みうる。さらに好適な実施形態において、該エステルは、C1−4アルキルエステルまたはポリオールエステルである。さらに好適なC1−4アルキルエステルとして、メチルおよびエチルエステルが挙げられる。
【0017】
ポリオールエステルは、ポリオールのヒドロキシル基の1つをエステルまたはポリエステルに誘導することにより、形成されるエステルを含む。好適なポリオールとして、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールが挙げられる。本発明のあるポリオールエステルは、上記の通りのエステルまたはポリエステルを含み、前記エステルは、炭素長2〜23の炭素鎖に直接結合し、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、上に示す一般構造(I)を有し、および/または前記鎖内の少なくとも1個の炭素は、ペンダント状ジオキサノン環系または1つ以上の構造G〜Gで置換される。別の好適な実施形態において、該組成物は、ジオキサノン含有のプロピレングリコールモノエステルである。
【0018】
本発明の別の態様は、各場合において、炭素長2〜24の別々の炭素鎖に結合する少なくとも2つのエステル部分を含有するポリオールポリエステルを含む組成物に関し、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、上に示す一般構造(I)を有しおよび/または前記鎖内の少なくとも1個の炭素は、ペンダント状ジオキサノン環系または1つ以上の構造G〜Gで置換される。
【0019】
本実施形態において、該鎖の炭素は、その最終用途における鎖の物理的および化学的性質を改変する置換基を含有するように、誘導化されうる。このような改変には、界面活性剤の性質、流動点、粘性、結晶化、重合などに影響を与える改変が含まれる。上記の目的のために付加される置換基として、エステル、アルコール、アミド、アミン、ケトン、エポキシド、カルボン酸、アルケン、アルキン、アジド、ヒドラジド、イミン、オキシム、1つ以上のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜Gなどが好ましい。さらに好適な置換基は、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)および脂肪族アミンでありうる。これらの置換基の付加は、該化合物に所望の化学的および物理的性質(例、結晶化を回避するため、鎖の凝集の崩壊など)を与えることが可能であり、或いはさらなる改変のための化学的処理を提供することが可能である。分岐の誘導体は、それらの分岐の特質のため、優れた潤滑剤または結晶抑制物質をもたらしうる。
【0020】
上記鎖の炭素は、さらに、ジオキサノン環系に組み込まれていない任意の炭素上で、水素で十分に飽和されることが可能であり、上記の組み込まれた炭素は、酸素に結合する。
【0021】
上記鎖は、該鎖内に1つ以上の不飽和部位を含有することもある。
【0022】
カルボニル炭素を含む炭素鎖が、2〜24個の炭素を含有するのが好ましい。該炭素鎖が、12〜24個の炭素を含有するのがさらに好ましい。炭素数が、16〜18であるのが最も好ましい。
【0023】
ポリオールポリエステルが、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールのポリエステルであるのが好ましい。
【0024】
好適な一実施形態において、該ポリオールポリエステルは、ポリオールトリエステルである。本実施形態において、該ポリオールトリエステルは、以下の一般構造(II)を有するトリグリセリドである。
【化7】


式中、X、YおよびZは、独立して、以下よりなる群から選択される。
【化8】


式中、各場合において、R10〜R109は、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキル1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜Gおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択され、以下の基RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRの各々の一方は、カルボニルであり、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRの他方は、CR(式中、RとRは、各場合において、独立した置換基を表す)である。R10〜R109は、その最終用途における鎖の物理的および化学的性質を改変する置換基を表すのが好ましい。このような改変には、界面活性剤の性質、流動点、粘性、結晶化、重合などに影響を与える改変が含まれる。上記の目的のために付加される置換基として、エステル、アルコール、アミド、アミン、ケトン、エポキシド、カルボン酸、アルケン、アルキン、アジド、ヒドラジド、イミン、オキシム、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜Gなどが好ましい。さらに好適な置換基は、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)および脂肪族アミンでありうる。これらの置換基の付加は、該化合物に所望の化学的および物理的性質(例、結晶化を回避するため、鎖の凝集の崩壊など)を与えることが可能であり、或いはさらなる改変のための化学的処理を提供することが可能である。分岐の誘導体は、それらの分岐の特質のため、優れた潤滑剤または結晶抑制物質をもたらしうる。
【0025】
本実施形態において、本発明は、さらに、複数の炭素鎖を含有するポリオールポリエステル組成物を記載し、1つ以上の炭素鎖は、組み込まれたジオキサノン環系を含有しない。但し、該組成物中の少なくとも1つの炭素鎖が、少なくとも1つの組み込まれたジオキサノン環系を含有するおよび/または該鎖中の少なくとも1つの炭素が、1つのペンダント状ジオキサノン環系または1つ以上の構造G〜Gで置換される。
【0026】
本発明は、さらに、動物油、魚油、植物油、遺伝子組み換え植物油、または化学もしくは酵素修飾された植物油、或いはそれらの混合物もしくは誘導体からの脂肪酸残基から誘導されたカルボン酸を含む脂肪酸誘導体に関し、前記脂肪酸残基は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、上に示す一般構造(I)を有しおよび/または前記鎖内の少なくとも1個の炭素は、ペンダント状ジオキサノン環系または1つ以上の構造G〜Gで置換される。
【0027】
本発明の本態様の好適な実施形態において、該植物油は、大豆油、アマニ油、向日葵油、ヒマシ油、コーン油、カノーラ油、菜種油、パーム核油、綿実油、落花生油、ヤシ油、パーム油、桐油、サフラワー油およびそれらの誘導体ならびに混合物よりなる群から選択される。上記の油も、共役しうる。
【0028】
他の好適な実施形態において、該カルボン酸は、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、アラキドン酸、セトレイン酸またはエルカ酸から誘導される。上記の酸も、共役しうる。
【0029】
本実施形態において、該炭素鎖の炭素は、その最終用途における鎖の物理的および化学的性質を改変する置換基を含有するように、誘導化されうる。このような改変には、界面活性剤の性質、流動点、粘性、結晶化、重合などに影響を与える改変が含まれる。上記の目的のために付加される置換基として、エステル、アルコール、アミド、アミン、ケトン、エポキシド、カルボン酸、アルケン、アルキン、アジド、ヒドラジド、イミン、オキシム、1つ以上のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜Gなどが好ましい。さらに好適な置換基は、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)および脂肪族アミンでありうる。これらの置換基の付加は、該化合物に所望の化学的および物理的性質(例、結晶化を回避するため、鎖の凝集の崩壊など)を与えることが可能であり、或いはさらなる改変のための化学的処理を提供することが可能である。分岐の誘導体は、それらの分岐の特質のため、優れた潤滑剤または結晶抑制物質をもたらしうる。
【0030】
上記脂肪酸の炭素は、さらに、任意の炭素がジオキサノン環系に組み込まれていない位置で、水素で十分に飽和されることが可能であり、上記の組み込まれた炭素は、酸素に結合する。
【0031】
上記鎖は、さらに、該鎖内に1つ以上の不飽和部位を含有しうる。
【0032】
カルボニル炭素を含む炭素鎖が、2〜24個の炭素を含有するのが好ましい。該炭素鎖が、12〜24個の炭素を含有するのがさらに好ましい。炭素数が、16〜18であるのが最も好ましい。
【0033】
本発明は、さらに、エステル部分を含む脂肪酸誘導体に関し、前記エステルの炭素鎖は、動物油、魚油、植物油、遺伝子組み換え植物油、または化学もしくは酵素修飾された植物油、或いはそれらの混合物もしくは誘導体から得られる脂肪酸残基から誘導され、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、上に示す一般構造(I)を有しおよび/または前記鎖内の少なくとも1個の炭素は、ペンダント状ジオキサノン環系または1つ以上の構造G〜Gで置換される。
【0034】
好適な実施形態において、該脂肪酸誘導体が、1つのエステル部分を含有する場合、エステル酸素に直接結合する化学的部分は、安定したエステルを形成しうる任意の基を含みうる。さらに好適な実施形態において、該エステルは、C1−4アルキルエステルまたはポリオールエステルである。さらに好適なC1−4アルキルエステルとして、メチルおよびエチルエステルが挙げられる。
【0035】
本発明の本態様の好適な実施形態において、該植物油は、大豆油、アマニ油、向日葵油、ヒマシ油、コーン油、カノーラ油、菜種油、パーム核油、綿実油、落花生油、ヤシ油、パーム油、桐油、サフラワー油およびそれらの誘導体ならびに混合物よりなる群から選択される。上記の油も、共役しうる。
【0036】
他の好適な実施形態において、該エステルの脂肪酸残基は、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、アラキドン酸、セトレイン酸またはエルカ酸から誘導される。上記の酸も、共役しうる。
【0037】
本実施形態において、該鎖の炭素は、その最終用途における鎖の物理的および化学的性質を改変する置換基を含有するように、誘導化されうる。このような改変には、界面活性剤の性質、流動点、粘性、結晶化、重合などに影響を与える改変が含まれる。上記の目的のために付加される置換基として、エステル、アルコール、アミド、アミン、ケトン、エポキシド、カルボン酸、アルケン、アルキン、アジド、ヒドラジド、イミン、オキシム、1つ以上のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜Gなどが好ましい。さらに好適な置換基は、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)および脂肪族アミンでありうる。これらの置換基の付加は、該化合物に所望の化学的および物理的性質(例、結晶化を回避するため、鎖の凝集の崩壊など)を与えることが可能であり、或いはさらなる改変のための化学的処理を提供することが可能である。分岐の誘導体は、それらの分岐の特質のため、優れた潤滑剤または結晶抑制物質をもたらしうる。
【0038】
上記脂肪酸の炭素は、さらに、任意の炭素がジオキサノン環系に組み込まれていない位置で、水素で十分に飽和されることが可能であり、上記の組み込まれた炭素は、酸素に結合する。
【0039】
上記鎖は、さらに、該鎖内に1つ以上の不飽和部位を含有しうる。
【0040】
カルボニル炭素を含む炭素鎖が、2〜24個の炭素を含有するのが好ましい。該炭素鎖が、12〜24個の炭素を含有するのがさらに好ましい。炭素数が、16〜18であるのが最も好ましい。
【0041】
本発明は、さらに、動物油、魚油、植物油、遺伝子組み換え植物油、化学修飾された植物油もしくは酵素修飾された植物油、共重合体油、またはそれらの混合物もしくは誘導体から得られ、かつ少なくとも1つのジオキサノン環系を含有する別々の脂肪酸残基に、各場合において結合する少なくとも2つのエステル部分を含有するポリオールポリエステルを含む脂肪酸誘導体に関し、前記ジオキサノンは、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、上に示す一般構造(I)を有しおよび/または前記鎖内の少なくとも1個の炭素は、ペンダント状ジオキサノン環系または1つ以上の構造G〜Gで置換される。
【0042】
ポリオールエステルは、前記ポリオールのヒドロキシル基の1つをエステルに誘導することにより形成されるエステルを含む。好適なポリオールとして、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールが挙げられる。本発明のあるポリオールエステルは、上記のエステルもしくはポリエステルを含み、前記エステルは、炭素長2〜24の炭素鎖に直接結合し、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、上に示す一般構造(I)を有しおよび/または前記鎖内の少なくとも1個の炭素は、ペンダント状ジオキサノン環系または1つ以上の構造G〜Gで置換される。別の好適な実施形態において、該エステルは、ジオキサノン含有のプロピレングリコールモノエステルである。
【0043】
本発明の本態様の好適な実施形態において、該植物油は、大豆油、アマニ油、向日葵油、ヒマシ油、コーン油、カノーラ油、菜種油、パーム核油、綿実油、落花生油、ヤシ油、パーム油、桐油、サフラワー油およびそれらの誘導体ならびに混合物よりなる群から選択される。上記の油も、共役しうる。
【0044】
他の好適な実施形態において、該カルボン酸は、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、アラキドン酸、セトレイン酸またはエルカ酸から誘導される。上記の酸も、共役しうる。
【0045】
本実施形態において、該鎖の炭素は、その最終用途における鎖の物理的および化学的性質を改変する置換基を含有するように、誘導化されうる。このような改変には、界面活性剤の性質、流動点、粘性、結晶化、重合などに影響を与える改変が含まれる。上記の目的のために付加される置換基として、エステル、アルコール、アミド、アミン、ケトン、エポキシド、カルボン酸、アルケン、アルキン、アジド、ヒドラジド、イミン、オキシム、1つ以上のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜Gなどが好ましい。さらに好適な置換基は、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)および脂肪族アミンでありうる。これらの置換基の付加は、該化合物に所望の化学的および物理的性質(例、結晶化を回避するため、鎖の凝集の崩壊など)を与えることが可能であり、或いはさらなる改変のための化学的処理を提供することが可能である。分岐の誘導体は、それらの分岐の特質のため、優れた潤滑剤または結晶抑制物質をもたらしうる。
【0046】
上記鎖の炭素は、さらに、ジオキサノン環系に組み込まれていない任意の炭素上で、水素で十分に飽和されることが可能であり、上記の組み込まれた炭素は、酸素に結合する。
【0047】
上記鎖は、さらに、該鎖内に1つ以上の不飽和部位を含有しうる。
【0048】
カルボニル炭素を含む炭素鎖が、2〜24個の炭素を含有するのが好ましい。該炭素鎖が、12〜24個の炭素を含有するのがさらに好ましい。炭素数が、16〜18であるのが最も好ましい。
【0049】
上記ポリオールポリエステルが、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールのポリエステルであるのが好ましい。
【0050】
好適な一実施形態において、該ポリオールポリエステルは、ポリオールトリエステルである。本実施形態において、該ポリオールトリエステルは、トリグリセリドである。
【0051】
一実施形態において、本発明は、上に列挙した油のうちの1種もしくは複数種から直接得られるトリグリセリドを利用する。
【0052】
別の態様において、本発明は、α−ヒドロキシエステルをエポキシ化脂肪酸の炭素鎖と結合させることにより形成されるジオキサノン環系(組み込みもしくはペンダント状)を少なくとも1つ含有する炭素鎖に結合するカルボキシルもしくはエステル部分を含む脂肪酸誘導体に関する。
【0053】
本実施形態において、α−ヒドロキシエステルは、以下の一般構造(III)
【化9】


[式中、RとRは、各場合において、独立した置換基を表す。好ましくは、RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される。さらに好ましくは、RとRは、独立して、水素またはC1−5アルキルよりなる群から選択される]を有する。
【0054】
本発明の範囲はこの理論に制限されないが、上記の反応および以下の図式1、2、5および7に図示される反応は、オキシラン炭素上のアルコールを求核攻撃した後、カルボニル上の生成したヒドロキシルを攻撃することにより、進行してエステル交換反応を完了する。それ故に、本発明は、α−ヒドロキシ酸クロリド、またはO−R基に代わる他の脱離基の使用も企図する。
【0055】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの脂肪酸残基を含有するポリオールポリエステルを含む脂肪酸誘導体に関し、前記残基は、各場合において、少なくとも1つのジオキサノン環系(組み込みもしくはペンダント状)を含有し、前記ジオキサノンは、エポキシ化動物油、魚油、植物油、遺伝子組み換え植物油、化学修飾された植物油もしくは酵素修飾された植物油、共重合体油もしくは重合油またはそれらの混合物もしくは誘導体と、α−ヒドロキシエステルとを結合させることにより、形成される。
【0056】
本実施形態において、該エポキシ化植物油、遺伝子組み換え植物油、化学物修飾された植物油もしくは酵素修飾された植物油、共重合体油の脂肪酸エステル炭素鎖は、部分的にエポキシ化されうる。部分的エポキシ化は、元来の二重結合のいくつかを保持するエポキシ化油を形成する。
【0057】
別の態様において、本発明は、以下の一般構造(IV)
【化10】


[式中、RとRのうち一方は、カルボニルであり、RとRの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)であり、Rは、炭素長2〜23の炭素鎖である]を有する脂肪酸誘導体に関する。
【0058】
本実施形態において、該鎖の炭素は、その最終用途における鎖の物理的および化学的性質を改変する置換基を含有するように、誘導化されうる。このような改変には、界面活性剤の性質、流動点、粘性、結晶化、重合などに影響を与える改変が含まれる。上記の目的のために付加される置換基として、エステル、アルコール、アミド、アミン、ケトン、エポキシド、カルボン酸、アルケン、アルキン、アジド、ヒドラジド、イミン、オキシム、1つ以上のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜Gなどが好ましい。さらに好適な置換基は、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)および脂肪族アミンでありうる。これらの置換基の付加は、該化合物に所望の化学的および物理的性質(例、結晶化を回避するため、鎖の凝集の崩壊など)を与えることが可能であり、或いはさらなる改変のための化学的処理を提供することが可能である。分岐の誘導体は、それらの分岐の特質のため、優れた潤滑剤または結晶抑制物質をもたらしうる。
【0059】
上記鎖の炭素は、さらに、ジオキサノン環系に組み込まれていない任意の炭素上で、水素で十分に飽和されることが可能であり、上記の組み込まれた炭素は、酸素に結合する。
【0060】
上記鎖は、さらに、該鎖内に1つ以上の不飽和部位を含有しうる。
【0061】
カルボニル炭素を含む炭素鎖が、2〜24個の炭素を含有するのが好ましい。該炭素鎖が、12〜24個の炭素を含有するのがさらに好ましい。炭素数が、16〜18であるのが最も好ましい。
【0062】
本実施形態において、該炭素鎖が、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、アラキドン酸、セトレイン酸およびエルカ酸からなる群から誘導される脂肪酸残基であるのが同様に好ましい。
【0063】
本発明は、さらに、以下の一般構造を含む脂肪酸誘導体および組成物に関する。
【化11】


[式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、(A)、(B)および(C)は、各々独立して、
−(CR’CR’)− v
(式中、R’は、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系およびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)
−(CR’=CR’)− vi
(式中、R’は、上記の通りである)
【化12】


(式中、G’は、各場合において、独立して水素、ヒドロキシ、G、G、G、G、G、GおよびGよりなる群から選択され、G、G、G、G、G、GおよびGは、以下の構造、
【化13】


(式中、RとRの一方は、カルボニルであり、RとRの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である)
【化14】


【化15】


(式中、RとRは、各場合において、独立した置換基を表し、好ましくは、RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択され、さらに好ましくは、RとRは、独立して、水素またはC1−5アルキルよりなる群から選択される。)を有する)よりなる群から選択されるが、
但し、(A)、(B)または(C)の少なくとも1つは、
【化16】


(式中、少なくとも1つのG’は、G、G、G、G、G、GおよびGである)である。]
【0064】
殊に有用な組成物は、(B)および(C)が各々−(CR’CR’)−である上記の構造Vを含む。これらのタイプの構造は、例えばオレイン酸から誘導されうる。各R’が、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、およびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択されるのが好ましい。R’が、各場合において、水素であるのがさらに好ましい。本実施形態において、有用な化合物として、G’が、各場合において、独立して、水素、ヒドロキシ、G、G、G、G、G、GおよびG(G、G、G、G、G、GおよびGは、上記の通りである)よりなる群から選択される化合物が挙げられる。G’が、G、G、G、G、G、GまたはGであるのがさらに好ましい。
【0065】
殊に有用な組成物として、(C)が−(CR’CR’)−である上記の構造Vも挙げられる。これらのタイプの構造は、例えばリノール酸から誘導されうる。各R’が、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、1つ以上の構造G〜G、およびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択されるのが好ましい。R’は、各場合において、水素であるのがさらに好ましい。本実施形態において、有用な化合物として、G’が、各場合において、独立して、水素、ヒドロキシ、G、G、G、G、G、GおよびGよりなる群から選択される化合物が挙げられる。G’の一方が、G、G、G、G、G、GおよびGであり、かつ他方が、水素またはヒドロキシであるのがさらに好ましい。
【0066】
殊に有用な組成物として、(A)、(B)および(C)の1つが
【化17】


[式中、G’のうち1つが、C1−4アルキルまたはヒドロキシである]
および
【化18】


よりなる群から選択される上記の構造Vも挙げられる。
【0067】
構造Vの全ての実施形態において、
【化19】


つまり構造Viii[式中、G’のうちの一方が、G、G、G、G、G、GまたはGである]、である(A)、(B)または(C)の少なくとも1つが存在する。G’の他方が、水素またはヒドロキシであるのが、最も好ましい。
【0068】
本発明は、さらに、ラテックス樹脂と、炭素長2〜24の炭素鎖を含む本明細書に記載される組成物とを含むコーティング組成物に関し、少なくとも1つの例において、該鎖の2個の隣接炭素が、ジオキサノン環系に組み込まれ、および/または該炭素鎖が、1つのペンダント状ジオキサノン環系または本明細書に記載される1つ以上の構造G〜Gで置換される。ラテックス樹脂と本明細書に記載されるジオキサノン含有の脂肪酸誘導体(酸、エステル、ポリエステルなど)とを含むコーティング組成物も、好適である。前記コーティング組成物が、さらに、ジエチルアミンなどのモノアミン成分を含有するのが好ましい。モノアミンは、ジオキサノンと反応してウレタンを形成することが可能である。コーティング組成物は、さらに、添加剤、界面活性剤、顔料、改質剤などを含むことが可能である。
【0069】
本発明は、さらに、1.)炭素長2〜24の炭素鎖を含む本明細書に記載の組成物(少なくとも1つの例において、前記鎖の2個の隣接炭素が、ジオキサノン環系に組み込まれ、および/または該炭素鎖が、1つのペンダント状ジオキサノン環系または本明細書に記載される1つ以上の構造G〜Gで置換される)と、2.)ジアミン成分とを含むポリマー組成物に関する。本明細書に記載される脂肪酸誘導体とジアミン成分とを含むポリマー組成物も、好適である。上記組成物または上記脂肪酸誘導体が、ジアミンと結合する場合、該ジアミンは、該ジアミンの各アミンにおける別々の鎖上にウレタン結合を形成することにより、該炭素鎖を架橋して、それによりポリマーを形成することが可能である。
【0070】
本発明は、さらに、1.)炭素長2〜24の炭素鎖を含む本明細書に記載の組成物(少なくとも一例において、前記鎖の2個の隣接炭素が、ジオキサノン環系に組み込まれ、および/または該炭素鎖が、1つのペンダント状ジオキサノン環系または本明細書に記載される1つ以上の構造G〜Gで置換される)と、2.)ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーとを含むポリマー組成物に関する。本明細書に記載される脂肪酸誘導体とポリエチレングリコール(PEG)成分とを含むポリマー組成物も、好適である。図式8および実施例4を参照のこと。
【0071】
本発明は、さらに、ラテックス樹脂と、本明細書に記載されるジオキサノン含有の組成物または脂肪酸誘導体(酸、エステル、ポリエステルなど)と、モノアミンとを含む(コーティング組成物が調製される)コーティング組成物を調製する方法に関する。
【0072】
本発明は、さらに、本明細書に記載されるジオキサノン含有の組成物または脂肪酸誘導体(酸、エステル、ポリエステルなど)をジアミンと結合させる(ポリマーが調製される)ことを備える、ポリマー組成物を調製する方法に関する。
【0073】
本発明は、さらに、本明細書に記載されるジオキサノン含有の組成物または脂肪酸誘導体をPEGポリマーと結合させる(ポリマーが調製される)ことを備える、ポリマー組成物を調製する方法に関する。
【0074】
本発明は、さらに、図式13に示すように、ヒドロキシ置換基に変換された、1つ以上の二重結合を含有する本明細書に記載される脂肪酸誘導体を含む組成物に関する。上記ヒドロキシ置換された脂肪酸鎖は、さらに、未変換の1つ以上の二重結合を含有することが可能である。ヒドロキシル基を有する植物油は、コーティング、界面活性剤およびプラスチックの重要な成分である。これらの誘導体は、ヒマシ油を利用する組成物の使用に特に適切である。ヒマシ油のような天然油は、高濃度のリシノール酸を含有する。C18酸は、9、10位にC=C結合と12位に−OH基を含有する。残念なことに、ヒマの実は、プロセス中にオペレーターに危険をもたらすリシン毒素を含有する。さらに、ヒマの実は、大豆などの油よりも低容量で生産される。ヒドロキシル化された大豆油の脂肪酸エステルは、本質的にヒマシ油と同様な官能基を有するが、拡大された供給、増強された機能性およびヒトの健康へのより低い危険を考慮に入れている。油をヒドロキシル化する方法は、最初に、油または脂肪酸誘導体をエポキシ化もしくは一部エポキシ化した後、該オキシランを開環する。これにより、vic−ジオール官能基を得る。エポキシド基は、水素化されて、オキシラン環から1つの−OH基を生成することが可能である。一部エポキシ化された油は、選択的に水素化されて、C=C二重結合を水素化することなく、各オキシランから−OH基を生成することが可能である。C=C二重結合と−OH基と両方を含有する、ヒドロキシル化された脂肪酸誘導体は、ヒマシ油と同様な機能性を有しうる。本実施形態において、ヒドロキシ置換された脂肪酸誘導体は、各種の製品において天然由来のヒマシ油の使用と入れ替わることが可能である。別の実施形態において、本発明は、図式13に概要を説明する如く、ヒドロキシ置換された脂肪酸誘導体を調製する方法に関する。このプロセスの利点は、有毒な天然のヒマシ油の処理に関連する周知の問題を伴うことなく、ヒマシ油と同様な特性を有する脂肪酸誘導体を生成することである。本実施形態において、本発明は、さらに、ヒマシ油以外の油に見出される脂肪酸から誘導された、ヒドロキシ置換された脂肪酸誘導体を含む組成物を生成することに関し、このような誘導体は、ヒマシ油と同様な特性を有するので、製品に使用されるヒマシ油に置き換わるか、或いは製品に使用されるヒマシ油の量を最小限に抑える。
【0075】
それ自体でまたは別の基の一部として本明細書に使用される用語「アルキル」は、最大10個までの炭素、好ましくは6個の炭素、さらに好ましくは4個の炭素の直鎖と分岐鎖の両方の基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、およびイソブチルなど)を意味する。
【0076】
用語「アルコキシ」は、その鎖長がそれに限定されない限り、上記に規定する酸素原子に結合した直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を意味するように、本明細書で使用され、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシなどが挙げられるが、それに限定されない。好ましくは、上記アルコキシ鎖は、1〜10の炭素原子長であり、さらに好ましくは、1〜4の炭素原子長である。
【0077】
それ自体でまたは別の基の一部として本明細書に使用される用語「アリール」は、環部分に6〜12個の炭素、好ましくは環部分に6〜10個の炭素を含有する単環式もしくは2環式芳香族基(例、炭素環式基フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルなど)を意味する。用語「アリール」は、炭素環式アリール基(例、フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルなど)、さらに複素環式アリール(「ヘテロアリール」)基(例、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、フリル、およびピラニルなど)を表しうる。
【0078】
本明細書において使用される用語「ヘテロアリール」は、5〜14個の環原子を有し、環状配列に6、10または14のπ−電子を共有し、および炭素原子ならびに1、2または3個の酸素、窒素または硫黄ヘテロ原子を含有する基を意味する。ヘテロアリール基の例として、チエニル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、フリル、ピラニル、チアントレニル、ピラゾリル、ピラジニル、インドリジニル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、キサンテニル、2H−ピロリル、ピロリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニル、およびフェノキサジニル基が挙げられる。殊に好適なヘテロアリール基として、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1、2,4−トリアゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、3−アミノ−1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、ピリジン、および2−アミノピリジンが挙げられる。
【0079】
それ自体でまたは別の基の一部として本明細書に使用される用語「シクロアルキル」は、3〜9個の炭素原子、さらに好ましくは3〜8個の炭素原子を含有するシクロアルキル基を意味する。典型的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルおよびシクロノニルである。
【0080】
本明細書において使用される用語「フェニル(C1−4)アルキル」は、フェニル置換基を有する上記の通りのC1−4アルキル基を意味し、例として、ベンジルが挙げられる。
【0081】
任意の変数が、任意の成分において複数回存在する場合、各存在に関するその定義は、他の全ての存在で、その定義から独立している。また、置換基および/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが結果として安定した化合物となる場合に限り、許容できる。
【0082】
本発明が、立体異性体、ジアステレオマーおよび光学異性体の使用を包含することが、理解される。
【0083】
図式1〜15は、本明細書に記載されるジオキサノン含有の組成物および脂肪酸誘導体を合成する方法、さらに、前記組成物および誘導体からのアミドおよびポリマーの合成を例証する。
【化20】

【0084】
図式1は、誘導された炭素鎖を含有するメチルエステルの合成を図示する。該炭素鎖内の2個の隣接炭素が、ジオキサノン環系に組み込まれる。
【化21】

【0085】
図式2は、トリグリセリドであるポリオールポリエステルの合成を図示する。各炭素鎖が、組み込まれたジオキサノン環系を含有する。
【化22】

【0086】
図式3は、本明細書に記載の組成物または本明細書に記載の脂肪酸誘導体をモノアミンと結合させることによる、アミドの合成を図示する。
【化23】

【0087】
図式4は、本明細書に記載の組成物または本明細書に記載の脂肪酸誘導体をジアミンと結合させることによる、架橋ポリマーの合成を図示する。
【化24】

【0088】
図式5は、本明細書に記載されるエポキシ化エステルまたは酸をヒドロキシ酸エステルと結合させることにより、形成される環付加反応生成物を図示する。
【化25】

【0089】
図式6は、エポキシドのジオキサノンへの部分的変換を図示する。
【化26】

【0090】
図式7は、本明細書に記載される末端ジオキサノン組成物または脂肪酸誘導体を図示する。
【化27】

【0091】
図式8は、本明細書に記載のジオキサノン含有の組成物または脂肪酸誘導体をPEGポリマーと結合させることによる、熱硬化性ポリマーの生成を図示する。
【化28】


【化29】

【0092】
図式9および10は、ジオキサノン機能性のHMF(例、2,5−ヒドロキシメチルフルフラール)、またはイソソルビド誘導体を図示する。
【化30】



【0093】
図式11は、HMF誘導体(例、2,5−ヒドロキシエチルフルフラールから誘導される上に図示するエチルエステルなど)とCR=CR’から形成される組み込まれたジオキサノン環系の生成を図示する。CR=CR’は、脂肪酸から誘導された炭素鎖の二重結合を表す。
【化31】

【0094】
図式12は、イソソルビドおよび2,5(ビスヒドロキシ)テトラヒドロフランのジエポキシド誘導体を図示する。それらの各々は、複数のジオキサノン環系で、機能化されている。
【化32】


【化33】



【0095】
図式13および14は、ヒドロキシメチルステアリン酸の鎖上へのペンダント状ジオキサノン環系の機能化を図示する。ニッケル触媒還元は、NaBHを用いる還元で代替できる。
【化34】

【0096】
図式15は、本明細書に記載されるペンダント状置換基の構造Gへの合成経路を図示する。この経路も、G置換炭素に隣接するヒドロキシ置換された炭素を生じる。G〜Gの合成は、同一の経路を介して達成できる。これらの構造は、安定しており、本明細書に開示される化合物および組成物に含有されうる。上に示す通り、上記構造は、環形成を経て組み込まれたジオキサノン環系を生じることが可能である。他のG構造は、同様な環形成を経て、ペンダント状ジオキサノン環系を生じることが可能である。
【実施例】
【0097】
実施例1
結晶化
求核性試薬(例、ジエチルアミンなど)を用いて、脂肪酸エステルジオキサノンの置換を達成することができる。図式3を参照のこと。脂肪酸誘導体の側鎖からの分岐は、結晶化の開始を抑えるのに役立ちうる。
【0098】
実施例2
架橋ネットワーク
ジオキサノン機能性を有するトリグリセリドに多機能の求核性試薬(例、ヘキサメチレンジアミンなど)を結合させて、架橋ネットワークを生み出すことが可能である。図式4を参照のこと。
【0099】
実施例3
鎖内の環状構造
vic−エポキシド上の遊離のヒドロキシルの内部攻撃は、環状構造を形成することができる。図式5を参照のこと。
【0100】
実施例4
熱硬化ポリマー
ジオキサノン機能性トリグリセリドを末端水酸基ポリエチレングリコール(PEG)と反応させて、熱硬化性ポリマーを生成しうる。図式8を参照のこと。PEGのサイズおよび架橋密度は、制御されて、疎水性および気孔寸法により異なる膜を生成しうる。その膜は、種々の分離技法において使用されうる。
【0101】
本発明を十分に説明したので、当業者は、広く同等の範囲の条件、配合、および他のパラメータ内で、本発明の範囲またはその任意の実施形態に影響を及ぼすことなく、同じことを実施することが可能であることを理解するだろう。
【0102】
全ての文献、本明細書に列挙した例えば科学刊行物、特許、特許出願および特許公報は、各個々の文献が、明確にかつ別々に完全な形で参照されて組み込まれている如く、同程度に完全な形で参照され、本明細書に組み込まれている。列挙した文献が、文献の最初の頁を提供するだけの場合、全ての文献が、文献の残りの頁を含めて、目的とされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素長2〜24の炭素鎖に結合するカルボキシル部分を含む組成物であって、前記鎖は、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンは、前記鎖内の2個の隣接炭素から形成され、且つ以下の一般構造(I)
【化1】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]を有する組成物。
【請求項2】
前記炭素鎖の前記炭素が、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)、脂肪族アミン、
【化2】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]、
【化3】


【化4】


[式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Rは、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される]
よりなる群から選択される1つ以上の置換基で独立して置換される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炭素がジオキサノン環系に組み込まれていない条件で、前記鎖の各炭素が飽和されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記炭素鎖が1つ以上の不飽和部位を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記不飽和炭素鎖が16〜18個の炭素を含有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
炭素長2〜24の炭素鎖に結合するエステル部分を含む組成物であって、前記鎖が、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンが、前記鎖内の2個の隣接炭素から形成され、且つ以下の一般構造(I)
【化5】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]
を有する組成物。
【請求項7】
前記炭素鎖の前記炭素が、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)、脂肪族アミン、
【化6】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]、
【化7】


【化8】


[式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Rは、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される]
よりなる群から選択される1つ以上の置換基で独立して置換される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記炭素がジオキサノン環系に組み込まれていない条件で、前記鎖の各炭素が飽和されている、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記炭素鎖が1つ以上の不飽和部位を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記エステルがC1−4アルキルエステルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記エステルがポリオールから誘導されたエステルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
前記エステルが、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールのエステルである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記エステルが、プロピレングリコールモノエステルである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
各々が炭素長2〜24の別々の炭素鎖に結合する少なくとも2つのエステル部分を含有するポリエステルを含む組成物であって、前記鎖の少なくとも1つが、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンが、前記鎖内の2個の隣接炭素から形成され、かつ以下の一般構造(I)
【化9】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]
を有する組成物。
【請求項15】
前記炭素鎖の前記炭素が、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)、脂肪族アミン、
【化10】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]、
【化11】


【化12】


[式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Rは、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される]
よりなる群から選択される1つ以上の置換基で独立して置換される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記炭素がジオキサノン環系に組み込まれていない条件で、前記鎖の各炭素が飽和されている、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記炭素鎖が1つ以上の不飽和部位を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリエステルがトリエステルである、請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリエステルが、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールのポリエステルである、請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
前記トリエステルが、トリグリセリドである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
以下の一般構造(II)
【化13】


[式中、X、YおよびZは、独立して、
【化14】


(式中、各場合において、R10〜R109立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系およびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択され、以下の基RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRの各々の一方は、カルボニルであり、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRの他方は、CR(式中、RとRは、各場合において、独立した置換基を表す)である)
よりなる群から選択される]
を有する、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
動物油、魚油、植物油、遺伝子組み換え植物油、化学修飾もしくは酵素修飾された植物油、或いはそれらの混合物もしくは誘導体から得られる脂肪酸残基から誘導されるカルボン酸を含む脂肪酸誘導体であって、前記脂肪酸残基が、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンが、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、かつ以下の一般構造(I)
【化15】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]
を有する脂肪酸誘導体。
【請求項23】
前記植物油が、大豆油、アマニ油、向日葵油、ヒマシ油、コーン油、カノーラ油、菜種油、パーム核油、綿実油、落花生油、ヤシ油、パーム油、桐油、サフラワー油ならびにそれらの誘導体および混合物よりなる群から選択される、請求項22に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項24】
前記カルボン酸が、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、アラキドン酸、セトレイン酸またはエルカ酸から誘導される、請求項22に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項25】
前記炭素鎖の前記炭素が、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)、脂肪族アミン、
【化16】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]、
【化17】


【化18】


[式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Rは、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される]
よりなる群から選択される1つ以上の置換基で独立して置換される、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
エステル部分を含む脂肪酸誘導体であって、前記エステルが、動物油、魚油、植物油、遺伝子組み換え植物油、化学修飾された植物油もしくは酵素修飾された植物油、或いはそれらの混合物もしくは誘導体から得られる脂肪酸残基から誘導され、かつ少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンが、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、かつ以下の一般構造(I)
【化19】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]
を有する脂肪酸誘導体。
【請求項27】
各々が別々の脂肪酸残基に結合する少なくとも2つのエステル部分を含有するポリエステルを含む脂肪酸誘導体であって、前記残基が、動物油、魚油、植物油、遺伝子組み換え植物油、化学修飾された植物油もしくは酵素修飾された植物油、共重合体油、またはそれらの混合物もしくは誘導体から得られ、かつ少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンが、該鎖内の2個の隣接炭素から形成され、且つ以下の一般構造(I)
【化20】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]
を有する脂肪酸誘導体。
【請求項28】
前記ポリエステルが、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールのポリエステルである、請求項27に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項29】
前記トリエステルが、トリグリセリドである、請求項28に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項30】
α−ヒドロキシエステルをエポキシ化脂肪酸の炭素鎖と結合させることにより形成される少なくとも1つのジオキサノン環系を含有する炭素鎖に結合するカルボキシルもしくはエステル部分を含む脂肪酸誘導体。
【請求項31】
前記α−ヒドロキシエステルが、以下の一般構造(III)
【化21】


[式中、RおよびRは、各場合において、独立した置換基を表す]
を有する、請求項30に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項32】
およびRが、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される、請求項31に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項33】
およびRが、独立して、水素およびC1−5アルキルよりなる群から選択される、請求項32に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項34】
少なくとも1つの脂肪酸残基を含有するポリエステルを含む脂肪酸誘導体であって、前記残基が、各場合において、少なくとも1つのジオキサノン環系を含有し、前記ジオキサノンが、エポキシ化動物油、魚油、植物油、遺伝子組み換え植物油、化学修飾された植物油もしくは酵素修飾された植物油、共重合体油もしくは重合油、或いはそれらの混合物もしくは誘導体をα−ヒドロキシエステルと結合させることにより形成される脂肪酸誘導体。
【請求項35】
前記エポキシ化動物油、魚油、植物油、遺伝子組み換え植物油、化学修飾された植物油もしくは酵素修飾された植物油、共重合体油の脂肪酸エステル炭素鎖が、部分的にエポキシ化される、請求項34に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項36】
以下の一般構造(IV)
【化22】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)であり、Rは、炭素長2〜24の炭素鎖である]
を有する脂肪酸誘導体。
【請求項37】
前記炭素鎖の前記炭素が、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系、フェニル(C1−4)アルキル、脂肪族アルコール(分岐または直鎖)、脂肪族アミン、
【化23】


[式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である]、
【化24】


【化25】


[式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Rは、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される]
よりなる群から選択される1つ以上の置換基で独立して置換される、請求項36に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項38】
前記炭素がジオキサノン環系に組み込まれていない条件で、前記鎖の各炭素が飽和されている、請求項36に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項39】
前記炭素鎖が、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、アラキドン酸、セトレイン酸およびエルカ酸よりなる基から誘導される脂肪酸残基である、請求項36に記載の脂肪酸誘導体。
【請求項40】
以下の構造
【化26】


[式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、
(A)、(B)および(C)は、各々独立して、
−(CR’CR’)− v
(式中、R’は、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系およびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)、
−(CR’=CR’)− vi
(式中、R’は、上記の通りである)、
【化27】


(式中、G’は、各場合において、独立して、水素、ヒドロキシ、G、G、G、G、G、GおよびGよりなる群から選択され、G、G、G、G、G、GおよびGは、以下の構造
【化28】


(式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である)
【化29】


【化30】


(式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Rは、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択され、さらに好ましくは、RとRは、独立して、水素またはC1−5アルキルよりなる群から選択される)を有する)よりなる群から選択される]を含む組成物であって、
但し、(A)、(B)または(C)の少なくとも1つが、
【化31】


[式中、少なくとも1つのG’は、G、G、G、G、G、G、GおよびGである]である組成物。
【請求項41】
(B)および(C)が、各々−(CR’CR’)−である、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
以下の構造
【化32】


[式中、G’は、G、G、G、G、G、GおよびGよりなる群から選択される]
を有する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
(C)が、−(CR’CR’)−である、請求項40に記載の組成物。
【請求項44】
(A)、(B)および(C)のうちの1つが、−(CR’=CR’)−である、請求項40に記載の組成物。
【請求項45】
(A)、(B)および(C)のうちの1つが、
【化33】


である、請求項40に記載の組成物。
【請求項46】
以下の構造
【化34】



[式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、
(A)、(B)および(C)は、各々独立して、
−(CR’CR’)− v
(式中、R’は、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、1つ以上の任意に置換もしくは未置換のジオキサノン環系およびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)、
−(CR’=CR’)− vi
(式中、R’は、上記の通りである)、
【化35】


(式中、G’は、各場合において、独立して、水素、ヒドロキシ、G、G、G、G、G、GおよびGよりなる群から選択され、G、G、G、G、G、GおよびGは、以下の構造
【化36】


(式中、RとRのうちの一方は、カルボニルであり、RとRのうちの他方は、CR(RとRは、独立して、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択される)である)、
【化37】


【化38】


(式中、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Rは、水素、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、ヒドロキシ、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルおよびフェニル(C1−4)アルキルよりなる群から選択され、さらに好ましくは、RとRは、独立して、水素またはC1−5アルキルよりなる群から選択される)を有する)よりなる群から選択される]
を有する脂肪酸誘導体であって、
但し、(A)、(B)または(C)の少なくとも1つが、
【化39】


[式中、少なくとも1つのG’は、G、G、G、G、G、G、GおよびGである]である脂肪酸誘導体。
【請求項47】
ラテックス樹脂および請求項22、26、27および46のいずれか1項に記載の脂肪酸誘導体を含むコーティング組成物。
【請求項48】
さらにモノアミン成分を含む、請求項40に記載のコーティング組成物。
【請求項49】
請求項22、26、27および46のいずれか1項に記載の脂肪酸誘導体とジアミンとを含むポリマー組成物であって、前記ポリマーが、前記脂肪酸誘導体を前記ジアミンと結合させることにより形成されるポリマー組成物。
【請求項50】
請求項22、26、27および46のいずれか1項に記載の脂肪酸誘導体を含むポリマー組成物であって、少なくとも1つの前記ジオキサノン環系が、ポリエチレングリコールと結合されて前記ポリマー組成物を形成するポリマー組成物。
【請求項51】
ラテックス樹脂、請求項22、26、27および46のいずれか1項に記載の脂肪酸誘導体、およびモノアミンを結合させて、コーティング組成物が調製されることを含むコーティング組成物を調製する方法。
【請求項52】
請求項22、26、27および46のいずれか1項に記載の脂肪酸誘導体をジアミンと結合させて、ポリマーが調製されることを含むポリマー組成物を調製する方法。

【公表番号】特表2007−531718(P2007−531718A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505214(P2007−505214)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/009968
【国際公開番号】WO2005/095378
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(503298977)アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド カンパニー (9)
【Fターム(参考)】