説明

植物ベースの医薬の製造方法

【課題】より長い期間にわたる最終パッケージにおける一貫した再現性のある品質と共に、最終医薬中の一定の有効物質含量を可能にする製法の提供。
【解決手段】イベリス・アマラ、メンタ・ピペリタ・フォリウム、マトリカリア・フロス、カルヴィ・フルクタス、メリッサ・フォリウム、アンジェリカ・ラディクス、リキリティエ・ラディクス、カルドゥイ・マリア・フルクタスおよびケリドニ・ヘルバをアルコール抽出物の形態で含む植物ベースの医薬の製造方法と、この方法に従って製造された医薬およびその使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベリス・アマラ(Iberis amara)、メンタ・ピペリタ・フォリウム(Menthae piperitae folium)、マトリカリア・フロス(Matricariae flos)、カルヴィ・フルクタス(Carvi fructus)、メリッサ・フォリウム(Melissae folium)、アンジェリカ・ラディクス(Angelicae radix)、リキリティエ・ラディクス(Liquiritiae radix)、カルドゥイ・マリア・フルクタス(Cardui mariae fructus)およびケリドニ・ヘルバ(Chelidonii herba)をアルコール抽出物の形態で含む植物ベースの医薬の製造方法、この方法で製造された医薬およびこの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イベロガストは植物ベースの医薬(生薬併用製剤、植物医薬製品)であり、機能性胃腸症の治療および胃腸の複数標的療法に使用される。これは、弛緩した平滑筋系における緊張増加効果を有し、平滑筋系の発作性状態における鎮痙効果も有する。この植物医薬製品の有効医薬成分は、エタノール性液体抽出物としての生植物および生薬薬物(乾燥した植物または植物の部分)の製剤である。イベロガストは、イベリス・アマラ(苦キャンディタフト)、メンタ・ピペリタ・フォリウム(ペパーミント葉)、マトリカリア・フロス(カモミール花)、カルヴィ・フルクタス(キャラウェイ果実)、メリッサ・フォリウム(レモンバーム葉)、アンジェリカ・ラディクス(アンジェリカ根)、リキリティエ・ラディクス(甘草根)、カルドゥイ・マリア・フルクタス(ミルクシスル果実)およびケリドニ・ヘルバ(クサノオウ)の抽出物を含む。
【0003】
欧州特許0550703号明細書は、6種という限定数の抽出物を用いた植物ベースの医薬を既に記載している。
【0004】
イベロガスト自体は、9種の抽出物を含む、何年も充分確立された医薬である。これらの抽出物の医薬的品質は、生薬医薬の有効性および無害性に対して決定的な影響を有する。薬局方に従う最初の薬物の規格に従うことに加えて、製造プロセスの再現性(バリデーション)は、ドイツおよび欧州の植物医薬製品としての高い基準の必須要件である。それぞれの欧州規則に関して生薬医薬にも適用される新たなガイドラインに基づいて、それぞれの医薬に対して宣言された含量に関する情報と一致する義務がある。この情報からの逸脱は、有効性を決定する成分(リード物質、活性マーカーまたは分析マーカー物質)の宣言された含量の±5%だけが許容され得る。
【0005】
最終医薬イベロガスト中の一定の有効物質含量を得ることおよび一貫した再現性のある品質を得ることには、問題があることが証明されている。医薬開発に関する対応する調査は、アンジェリカ根の抽出物中の沈殿/結晶形成を示しており、これは、製造バッチにおける不均質性をもたらし、結果的にオストール含量(リード物質)の受容できない変動をもたらした。一方では、オストール含量の回収率は、清澄な濾過溶液における最初の分析後の最初の数週に増大し、他方、製造バッチ中の総含量は、沈降物の形成に従って減少した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許0550703号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、より長い期間にわたる最終パッケージにおける一貫した再現性のある品質と共に、最終医薬中の一定の有効物質含量を可能にすることであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、請求項1に記載の植物ベースの医薬の製造方法によって解決された。言い換えると、この問題は、アルコール抽出物の形態でイベリス・アマラ、メンタ・ピペリタ・フォリウム、マトリカリア・フロス、カルヴィ・フルクタス、メリッサ・フォリウム、アンジェリカ・ラディクス、リキリティエ・ラディクス、カルドゥイ・マリア・フルクタスおよびケリドニ・ヘルバを含む植物ベースの医薬を製造する方法によって解決され、この方法では、最初のステップa)において、アンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物を1:6から3:1の体積比で一緒に混合し、次いで、少なくとも1回のさらなるステップにおいて、ステップa)の混合物を、さらなる成分の抽出物(これらは別々に製造され、妥当な場合には再度リキリティエ・ラディクスを含む)またはそれらを含む混合物に一緒に添加する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】予混合なしの任意の混合シーケンスでの測定結果を示す図である。
【図2】本発明に従う混合シーケンスでの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
提起された問題の背景として、ある範囲のプロセス方法および分析方法が調査され、または具体的に開発された。特に、エーテル油を含む薬物の揮発性成分およびアンジェリカ根の抽出物中の沈殿/結晶形成は、再現性のない品質の変動をもたらした。驚くべきことに、請求項1に記載の製造方法の使用だけが有効であることがわかった。本発明の重要な因子は、個々の薬物抽出物の添加シーケンスである。植物ベースの医薬の製造のための、本発明に従う方法の好ましい変形形態は、ステップb)において、マトリカリア・フロス抽出物、イベリス・アマラ抽出物およびカルヴィ・フルクタス抽出物を含む混合物が製造され、ステップa)の混合物がこれに添加され、ステップc)において、カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物、メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、メリッサ・フォリウム抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物が添加されることを特徴とする。ステップa)は上記規定のとおりである。すなわち、アンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物が、1:6から3:1の体積比で一緒に混合される。
【0011】
甘草抽出物のサポニンは、アンジェリカ抽出物中のオストールを安定化し、引き続いて主として油を含む薬物(カモミール、イベリス・アマラおよびキャラウェイ)のエーテル油を乳化すると推測されている。さらに、ミルクシスルなどの粘液質の薬物は、沈降を防止すると推測されている(ミルクシスル、ミント、レモンバーム)。混合シーケンス(添加シーケンス)は、生薬抽出物の成分(二次植物物質)の結晶形成を防止する。結晶形成は、バッチの均質性に影響を与える。したがって、本発明に従う添加シーケンスは、製品の再現性のある製造を確実にする。
【0012】
各場合において、単一の抽出物が使用される。複数の抽出物と比較して、単一の抽出物の混合物は、それぞれの薬物および生植物について、最適な抽出剤および抽出条件が選択でき、したがって、有効性を決定しまたは医薬的に関連性のある成分が良好な収率で存在するという利点を有する。成分の変化速度および使用される薬物の抽出物質収率の変化速度は追跡可能であり、これは分析のために非常に重要である。
【0013】
好ましくは、植物ベースの医薬の製造のための本発明に従う方法では、メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物;カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物およびマトリカリア・フロス抽出物を含む混合物;ならびにイベリス・アマラ抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物を含む混合物が、別々に製造される。
【0014】
特に、ステップa)において、アンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物を、1:2から2:1の体積比で一緒に混合することが好ましい。本発明に従う方法の特に好ましい実施形態において、アンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物は、ステップa)において1:1の体積比で一緒に混合される。
【0015】
ステップa)におけるアンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物の最初の混合から始めて、驚くべきことにさらなる混合物の種々の変形が特に適切であることが証明された。
【0016】
本発明に従う製造方法の好ましい実施形態は、ステップb)において、ステップa)の混合物が、メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物と一緒に混合され、ステップc)において、カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物およびマトリカリア・フロス抽出物を含む混合物が添加され、ステップd)において、イベリス・アマラ抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物を含む混合物の添加が行われるという事実に基づく。
【0017】
同様に好ましい実施形態は、ステップb)において、ステップa)の混合物が、メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物と一緒に混合され、ステップe)において、カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物およびマトリカリア・フロス抽出物を含む混合物が、イベリス・アマラ抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物を含む混合物と一緒に混合され、ステップf)において、ステップb)の混合物およびステップe)の混合物が一緒に混合されることを特徴とする。
【0018】
1:6から3:1の体積比でのステップa)におけるアンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物の最初の混合物に基づいて、後のステップにおいて特定の割合のリキリティエ・ラディクス抽出物をさらに添加することが好ましいことが、同様に証明されている。したがって、本発明の好ましい実施形態は、メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物が、リキリティエ・ラディクス抽出物をさらに含むことを特徴とする。メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物がリキリティエ・ラディクス抽出物をさらに含む場合が本発明で特に好ましく、このとき、リキリティエ・ラディクス抽出物の含有体積は、ステップa)由来のアンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物を含む混合物中に含まれるリキリティエ・ラディクス抽出物の体積に対して、1:1の比である。
【0019】
本発明によれば、この製造方法は、
15から40体積%のイベリス・アマラ、
5から30体積%のメンタ・ピペリタ・フォリウム、
20から40体積%のマトリカリア・フロス、
10から30体積%のカルヴィ・フルクタス、
10から30体積%のメリッサ・フォリウム、
5から30体積%のアンジェリカ・ラディクス、
10から30体積%のリキリティエ・ラディクス、
5から30体積%のカルドゥイ・マリア・フルクタスおよび
5から30体積%のケリドニ・ヘルバを、アルコール抽出物の形態で含む植物ベースの医薬の製造に関する。この方法は、好ましくは、
15体積%のイベリス・アマラ、
5体積%のメンタ・ピペリタ・フォリウム、
20体積%のマトリカリア・フロス、
10体積%のカルヴィ・フルクタス、
10体積%のメリッサ・フォリウム、
10体積%のアンジェリカ・ラディクス、
10体積%のリキリティエ・ラディクス、
10体積%のカルドゥイ・マリア・フルクタスおよび
10体積%のケリドニ・ヘルバを、アルコール抽出物の形態で含む植物ベースの医薬の製造に関する。
【0020】
生植物由来の抽出物または薬物抽出物を使用することが好ましい。特に、イベリス・アマラ抽出物が、イベリス・アマラ全体(花、葉、茎および根)の生植物抽出物であれば好ましい。花、葉、茎、根を有するイベリス・アマラの生植物の採取は、フラボノイドの含量がその最適に達した時点で行う。フラボノイドの枠内では、ケンペロールのグリコシドは、消炎剤として特に適切である。生植物抽出物は、最も重要なフラボノイドとして、ケンペロール−3,4’−ジ−O−β−グルコピラノシド−7−O−α−ラムノピラノシドを含む。生植物は、好ましくは少なくとも100μg/gのフラボノイド、特にケンペロール−3,4’−ジ−O−β−グルコピラノシド−7−O−α−ラムノピラノシドを含む。イベリス・アマラの生植物抽出物に関して、0.05から0.2mg/mlのケンペロール−3,4’−ジ−O−β−グルコピラノシド−7−O−α−ラムノピラノシドのフラボノイド含量をあれば好ましい。
【0021】
本発明に従う植物材料は、限られた含量のククルビタシン、特にククルビタシンIおよびククルビタシンEをさらに含む。生植物は、好ましくは、最大500μg/gである含量のククルビタシンIと、同様に最大500μg/gである含量のククルビタシンEを含む。特定の閾値の後は、これらの物質は副作用の可能性があるので、より高い値は所望されない。抽出物に関して、イベリス・アマラ抽出物が、0から200μg/mlのククルビタシン含量を有する生植物抽出物であることが好ましい。イベリス・アマラ抽出物が、35から185μg/mlのククルビタシン含量を有する生植物抽出物であれば、本発明で特に好ましい。特に、イベリス・アマラ抽出物が、0から100μg/mlのククルビタシンI含量および0から100μg/mlのククルビタシンE含量を有する生植物抽出物であることが好ましい。
【0022】
既に言及したように、生植物由来の抽出物または薬物抽出物が使用できる。好ましくは、本発明に従う方法は、メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、マトリカリア・フロス抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物、メリッサ・フォリウム抽出物、アンジェリカ・ラディクス抽出物、リキリティエ・ラディクス抽出物、カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物が薬物抽出物であることを特徴とする。
【0023】
イベリス・アマラ全体の生植物抽出物に関して、抽出物に対する浸軟/浸透した植物の比が、1グラム:10ml(10グラム)と1グラム:1ml(1グラム)との間であることが好ましい。特に、生植物抽出物では、抽出物に対する浸軟/浸透した植物の比が、1グラム:1.5ml(1.5グラム)から1グラム:2.5ml(2.5グラム)であることが好ましい。
【0024】
好ましくは、薬物抽出物では、抽出物に対する薬物の比は、1グラム:1ml(1グラム)から1グラム:10ml(10グラム)である。薬物抽出物では、抽出物に対する薬物の比が、1グラム:2ml(2グラム)から1グラム:4ml(4グラム)である場合が、本発明で特に好ましい。好ましい実施形態において、薬物抽出物の場合、抽出物に対する薬物の比は、1グラム:2.5ml(2.5グラム)から1グラム:3.5ml(3.5グラム)である。
【0025】
好ましい抽出剤は、水および0.1から60体積%のエタノール濃度を有する水性エタノールを含む。特に好ましくは、抽出剤は、30から50体積%のエタノール濃度を有する水性エタノールを含む。好ましい実施形態において、生植物抽出物用の抽出剤は、50体積%のエタノール濃度を有する水性エタノールであり、薬物抽出物用の抽出剤は、30体積%のエタノール濃度を有する水性エタノールである。
【0026】
本発明はまた、本発明に従う方法で製造された植物ベースの医薬を含む。
【0027】
同様に、本発明は、胃腸管の障害の治療のための、特に機能性胃腸症の治療のための、この植物ベースの医薬の使用を含む。
【0028】
さらに、植物ベースの医薬の使用は、胃液産生の阻害のためおよび潰瘍の治療のための使用が好ましい。
【0029】
この医薬は、抗炎症剤および/または消炎剤として好ましく使用される。同様に、抗酸化剤および/またはラジカルスカベンジャーとしての使用が好ましい。
【0030】
さらに好ましい使用は、胃腸運動性の調節剤としての本発明に従う医薬の使用によって構成される。
【0031】
本発明に従う混合シーケンスが遵守される場合、結晶形成は、顕著に阻害される。このシーケンスを遵守しない場合、オストールの含量値は、アンジェリカ薬物抽出物および最終製品の両方において容認可能な許容度から大きく外れる。すなわち、リード物質オストールの回収は、目的値の95から105%の範囲に入らなかった。本発明に従う混合シーケンスを遵守して製造されたバッチには、もはや逸脱がなかった。同様に、このシーケンスが遵守される場合、結晶形成はほとんど観察されないことが理解できる。例えば、図1および2は、任意のシーケンス(図1)ならびに実施例1、2および3に従う個々の生薬抽出物の本発明に従う混合シーケンス(図2)を用いた、試験した植物成分(オストール)に関するバッチ均質性を示す。本発明に従う実施例1、2および3は、感知できるほどの差異を全く示さなかったので、それぞれの提示は省いた。
【0032】
本発明を、実施例を用いてより以下にさらに説明する。
【0033】
(実施例)
【0034】
【表1】

【0035】
個々の成分は、計量添加する前に均質に混合しなくてはならない。これらの成分を、高級鋼鉄およびプラスチックの容器中に、製造処方に従って計量添加し、引き続きその中で混合する。
【実施例1】
【0036】
シーケンスA
予混合物:甘草根抽出物およびアンジェリカ根抽出物の予混合物を、1:1の比で製造する。これらの成分を、製造処方に従って引き続いて計量添加し、混合する。
【0037】
最終混合物:成分ペパーミント葉薬物抽出物、キャラウェイ薬物抽出物およびレモンバーム薬物抽出物を混合する。次いで、予混合物をこれに添加する。成分カモミール薬物抽出物およびミルクシスル薬物抽出物ならびにクサノオウ薬物抽出物および生植物抽出物キャンディタフトを、これに計量添加する。これらの抽出物を混合する。
【実施例2】
【0038】
シーケンスB
予混合物:アンジェリカ根抽出物および甘草根抽出物を1:1で混合する。
【0039】
最終混合物:成分ペパーミント葉薬物抽出物、キャラウェイ薬物抽出物およびレモンバーム薬物抽出物を混合する。この混合物に、アンジェリカ根抽出物および甘草根抽出物の混合物を添加する。ミルクシスル果実薬物抽出物およびカモミール薬物抽出物の混合物を、クサノオウ薬物抽出物および生植物抽出物キャンディタフトの混合物と別々に製造する。これらの混合物を最終的に一緒に混合する。
【実施例3】
【0040】
シーケンスC
予混合物:甘草根抽出物およびアンジェリカ根抽出物の予混合物を、1:2の比(1部:2部)で製造する。これらの成分を、製造処方に従って引き続いて計量添加し、混合する。
【0041】
最終混合物:甘草根抽出物のさらなる部を、ペパーミント葉薬物抽出物、レモンバーム葉薬物抽出物およびキャラウェイ薬物抽出物と一緒に混合する。得られた混合物を予混合物と混合する。カモミール薬物抽出物およびミルクシスル薬物抽出物ならびに生植物抽出物キャンディタフトおよびクサノオウ薬物抽出物を、次いで添加する。
【0042】
実施例1、2および3の得られた溶液を、高級鋼鉄またはプラスチックのタンク中で、室温(15−25℃)で少なくとも14日間(保存および回収の日数を含む)保存する。
【0043】
オストール含量を、実施例1、2および3の混合シーケンスに従って製造したサンプルに関して決定した。個々の生薬抽出物の任意の混合シーケンスに基づいたサンプルと比較を行った。測定結果を図1(任意の混合シーケンス、予混合物なし)および図2(本発明に従う混合シーケンス)に示す。図2から理解できるように、この混合シーケンスは、生薬抽出物の成分(二次植物物質)の結晶形成を防止する。
【0044】
結晶形成は顕微鏡で試験し、測定は、2週間の保存後および6週間の保存後にそれぞれ行った。結果を表1および2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初のステップa)において、アンジェリカ・ラディクス(Angelicae radix)抽出物およびリキリティエ・ラディクス(Liquiritiae radix)抽出物が1:6から3:1の体積比で一緒に混合され、引き続いて少なくとも1つのさらなるステップにおいて、ステップa)の混合物が、別々に製造され、適用可能な場合にはリキリティエ・ラディクスをさらに含む、さらなる成分の抽出物またはそれらを含む混合物と一緒に混合されることを特徴とする、イベリス・アマラ(Iberis amara)、メンタ・ピペリタ・フォリウム(Menthae piperitae folium)、マトリカリア・フロス(Matricariae flos)、カルヴィ・フルクタス(Carvi fructus)、メリッサ・フォリウム(Melissae folium)、アンジェリカ・ラディクス、リキリティエ・ラディクス、カルドゥイ・マリア・フルクタス(Cardui mariae fructus)およびケリドニ・ヘルバ(Chelidonii herba)をアルコール抽出物の形態で含む植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項2】
ステップb)において、マトリカリア・フロス抽出物、イベリス・アマラ抽出物およびカルヴィ・フルクタス抽出物を含む混合物が製造され、ステップa)の混合物がそれに添加され、ステップc)において、カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物、メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、メリッサ・フォリウム抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物が添加されることを特徴とする、請求項1に記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項3】
メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物;カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物およびマトリカリア・フロス抽出物を含む混合物;ならびにイベリス・アマラ抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物を含む混合物が別々に製造されることを特徴とする、請求項1または2に記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項4】
アンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物が、ステップa)において1:2から2:1の体積比で一緒に混合されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項5】
アンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物が、ステップa)において1:1の体積比で一緒に混合されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項6】
ステップb)において、ステップa)の混合物が、メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物と一緒に混合され、ステップc)において、カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物およびマトリカリア・フロス抽出物を含む混合物が添加され、ステップd)において、イベリス・アマラ抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物を含む混合物の添加が行われることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項7】
ステップb)において、ステップa)の混合物が、メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物と一緒に混合され、ステップe)において、カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物およびマトリカリア・フロス抽出物を含む混合物が、イベリス・アマラ抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物を含む混合物と一緒に混合され、ステップf)において、ステップb)およびe)の混合物が一緒に混合されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項8】
メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物が、リキリティエ・ラディクス抽出物をさらに含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項9】
メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物およびメリッサ・フォリウム抽出物を含む混合物が、リキリティエ・ラディクス抽出物をさらに含み、リキリティエ・ラディクス抽出物の含有体積が、ステップa)のアンジェリカ・ラディクス抽出物およびリキリティエ・ラディクス抽出物の混合物中に含まれるリキリティエ・ラディクス抽出物の体積に対して1:1の比であることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項10】
15から40体積%のイベリス・アマラ、
5から30体積%のメンタ・ピペリタ・フォリウム、
20から40体積%のマトリカリア・フロス、
10から30体積%のカルヴィ・フルクタス、
10から30体積%のメリッサ・フォリウム、
5から30体積%のアンジェリカ・ラディクス、
10から30体積%のリキリティエ・ラディクス、
5から30体積%のカルドゥイ・マリア・フルクタスおよび
5から30体積%のケリドニ・ヘルバ
をアルコール抽出物の形態で含む、請求項1から9のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項11】
15体積%のイベリス・アマラ、
5体積%のメンタ・ピペリタ・フォリウム、
20体積%のマトリカリア・フロス、
10体積%のカルヴィ・フルクタス、
10体積%のメリッサ・フォリウム、
10体積%のアンジェリカ・ラディクス、
10体積%のリキリティエ・ラディクス、
10体積%のカルドゥイ・マリア・フルクタスおよび
10体積%のケリドニ・ヘルバ
をアルコール抽出物の形態で含む、請求項1から10のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項12】
生植物抽出物または薬物抽出物が使用されることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項13】
イベリス・アマラ抽出物が、イベリス・アマラ全体(花、葉、茎および根)の生植物抽出物であることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項14】
イベリス・アマラ抽出物が、0.05から0.2mg/mlのフラボノイド含量を有する生植物抽出物であることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項15】
イベリス・アマラ抽出物が、0から200μg/mlのククルビタシン含量を有する生植物抽出物であることを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項16】
イベリス・アマラ抽出物が、35から185μg/mlのククルビタシン含量を有する生植物抽出物であることを特徴とする、請求項1から15のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項17】
イベリス・アマラ抽出物が、0から100μg/mlのククルビタシンI含量および0から100μg/mlのククルビタシンE含量を有する生植物抽出物であることを特徴とする、請求項1から16のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項18】
メンタ・ピペリタ・フォリウム抽出物、マトリカリア・フロス抽出物、カルヴィ・フルクタス抽出物、メリッサ・フォリウム抽出物、アンジェリカ・ラディクス抽出物、リキリティエ・ラディクス抽出物、カルドゥイ・マリア・フルクタス抽出物およびケリドニ・ヘルバ抽出物が薬物抽出物であることを特徴とする、請求項1から17のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項19】
生植物抽出物中、抽出物に対する浸軟/浸透した植物の比が、1グラム:10ml(10グラム)と1グラム:1ml(1グラム)との間であることを特徴とする、請求項1から18のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項20】
生植物抽出物中、抽出物に対する浸軟/浸透した植物の比が、1グラム:1.5ml(1.5グラム)から1グラム:2.5ml(2.5グラム)であることを特徴とする、請求項1から19のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項21】
薬物抽出物中、抽出物に対する薬物の比が、1グラム:1ml(1グラム)から1グラム:10ml(10グラム)であることを特徴とする、請求項1から20のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項22】
薬物抽出物中、抽出物に対する薬物の比が、1グラム:2ml(2グラム)から1グラム:4ml(4グラム)であることを特徴とする、請求項1から21のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項23】
薬物抽出物中、抽出物に対する薬物の比が、1グラム:2.5ml(2.5グラム)から1グラム:3.5ml(3.5グラム)であることを特徴とする、請求項1から22のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項24】
抽出剤が、水および0.1から60体積%のエタノール濃度を有する水性エタノールを含むことを特徴とする、請求項1から23のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項25】
抽出剤が、30から50体積%の濃度を有する水性エタノールを含むことを特徴とする、請求項1から24のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項26】
生植物抽出物用の抽出剤が、50体積%のエタノール濃度を有する水性エタノールであり、薬物抽出物用の抽出剤が、30体積%のエタノール濃度を有する水性エタノールであることを特徴とする、請求項1から25のいずれかに記載の植物ベースの医薬の製造方法。
【請求項27】
請求項1から26に記載の方法に従って製造された、植物ベースの医薬。
【請求項28】
胃腸管の障害の治療のための、請求項27に記載の植物ベースの医薬の使用。
【請求項29】
機能性胃腸症の治療のための、請求項27または28に記載の植物ベースの医薬の使用。
【請求項30】
胃液産生を阻害するための、請求項27または28に記載の植物ベースの医薬の使用。
【請求項31】
潰瘍の治療のための、請求項27または28に記載の植物ベースの医薬の使用。
【請求項32】
抗炎症剤および/または消炎剤としての、請求項27または28に記載の植物ベースの医薬の使用。
【請求項33】
抗酸化剤および/またはラジカルスカベンジャーとしての、請求項27または28に記載の植物ベースの医薬の使用。
【請求項34】
胃腸運動性の調節剤としての、請求項27または28に記載の植物ベースの医薬の使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−13445(P2010−13445A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−150531(P2009−150531)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(591135772)シユタイガーバルト・アルツナイミツテルベルク・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】