説明

植物ポットを挿入する浮遊マットを環状に連結する水耕式植物栽培方法

【課題】本発明は、同一栽培槽内にあっても、成長段階が異なり、かつ、同一作業端で収穫できる手段を提供するものである。
【解決手段】本発明は、栽培槽内で浮遊マットに植物ポット挿入して植物を栽培する水耕式植物栽培方法にあって、浮遊マットを環状に連結し、栽培槽の一端に前記浮遊マットを引寄せ、植付け、世話、収穫可能とした植物ポットを挿入する浮遊マットを紐で環状に連結する水耕式植物栽培方法である。浮遊マットを環状に連結する事で任意の浮遊マットを作業場所に引き寄せ、必要な作業ができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕式栽培による野菜の育成技術に属する。
【背景技術】
【0002】
水耕栽培において、植物根への酸素の供給を促進するため植物ポットを培養液に浮遊させた状態で保持する方法が種々提案されている。特開2000-300095、特開平10-056892には浮遊マットに穴を開け、その穴に植物ポットを挿入支持させる方法が開示されている。特開平10-271925には作業を栽培槽の一端で行えるよう最初の浮遊マットに槽長以上の長さの紐を付し、浮遊マットを引き寄せられるようにしたものが開示されている。いずれの手段も所定の栽培槽内の植物は同一成長段階にあり、同一栽培槽内の植物は同時に収穫するものである。
同一栽培槽、同一浮遊マット内にあっても、成長段階が異なることがあり、出荷可能となった植物だけを作業端に引き寄せ収穫できる手段が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-300095
【特許文献2】特開平10-056892
【特許文献3】特開平10-271925
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、同一栽培槽内にあっても、成長段階が異なる場合があっても、出荷可能となった植物を選ぶ手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、栽培槽内で浮遊マットに植物ポットを挿入して植物を栽培する水耕式植物栽培方法にあって、浮遊マットを環状に紐で連結し、栽培槽の一端に前記浮遊マットを引寄せ、植付け、世話、収穫可能とした植物ポットを挿入する浮遊マットを紐で環状に連結する水耕式植物栽培方法である。浮遊マットを環状に連結することで任意の浮遊マットを作業場所に引き寄せ、必要な作業ができるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、水耕式植物栽培方法で植物ポットを浮遊させる浮遊マットを環状に連結したため、任意の浮遊マットを作業場所に引き寄せ、植え付け、収穫その他植物の生育状況に応じた必要な作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、栽培槽に浮遊マットが環状に連結している状態を示す概念図である。
【図2】は、栽培槽に浮遊マットが環状に連結している状態を示す他の概念図である。
【図3】は、各浮遊マット上の植物の育成状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図により詳細に説明する。
図1は、栽培槽に浮遊マットが環状に連結している状態を示す平面概念図である。栽培槽に一ないし複数の植物ポットを挿入した浮遊マットが栽培槽の一端である作業台から他端を経由して作業台まで紐で環状に連結されている。図では個々の植物ポットは図示していない。栽培槽の他縁側にはローラーを設け、環状に連結された浮遊マットがより滑らかに移動できるようにしておくこともできる。
この場合、浮遊マットは環状に連結されているため、作業台に順次引寄せることができる。原則として環状の浮遊マットに順次成長するよう植付け、作業台から作業台まで一巡する間に出荷できる大きさに育つよう配列される。出荷可能な植物が存在する浮遊マットを作業台に引き寄せることで出荷に必要な数の植物を得ることができる。
この場合一巡する環に配置された植物ポットの植物の成長段階はバラバラの状態であってもよい。また必ずしも同じ速度で成長するとは限らないが、任意の浮遊マットを作業台に引き寄せ、選択できるので問題とはならない。
また、障害が発生した場合でも、その浮遊マットを作業台に引き寄せ必要な処置をすることができる。
【0009】
図2は、作業台を栽培槽の両縁端に設けた栽培槽に浮遊マットが環状に連結している状態を示す平面概念図である。図では浮遊マットと植物ポットを一対一にしてある。二重円で表現されているが、中心の円が浮遊マットと植物ポットを表し、外側の円が植物を表している。
この場合、植物の採集は両側の作業台で行う。採集後の植物ポットに苗を植付け、他端側に移動させる。植物の生育は栽培槽の一端から他端に向かう間になされる。この方法の利点は、大きく育った植物の間に苗を置くことができるため栽培槽の面積が無駄なく活用できる点にある。
【0010】
図3は個々の浮遊マットに挿入された植物ポットの植物の生育状態を示す図である。図3aは図1に示す実施例、図3bは図2に示す実施例の生育状態を示している。
各浮遊マットは紐で連結され、図1に示す実施例においては栽培槽の一端にのみ設けた作業台から他端を経由して一巡する間に順次成長するように配置される。図2に示す実施例においては、一端の作業台から他端の作業台の間で順次成長するように配置されるのは前述したとおりである。
【0011】
浮遊マットは、浮遊可能な発泡プラスチック(例えば発泡ポリスチレン)からなり、その上面には固形培地を充填した植物ポットが挿入する孔が複数設けられているのは従来技術と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0012】
水耕栽培を行う植物工場などで利用可能である。
【符号の説明】
【0013】
1 栽培槽
2 浮遊マット
3 植物ポット
4 紐
5 植物
6 作業台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培槽内で浮遊マットに植物ポットを挿入して植物を栽培する水耕式植物栽培方法にあって、浮遊マットを環状に紐で連結し、栽培槽の一端に前記浮遊マットを引寄せ、植付け、世話、収穫可能とした植物ポットを挿入する浮遊マットを紐で環状に連結する水耕式植物栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−130318(P2012−130318A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286956(P2010−286956)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】