説明

植物体染色法

【課題】 従来の染色方法は、植物の切断部から染色溶液を吸わせて染めることにより時間的ロスと植物の品質品質低下をまねくことが問題であった。これは、植物器官の道管から染料溶液を吸わせるため、染色されるまでに時間がかかり、道管が存在する植物全体に染料溶液が及び植物の組織に障害を与えるためである。また、ラン類をはじめ鉢植えなどの植物では染色できない方法であった。
【解決手段】 植物の染色部位を水で希釈した1%以上のイオン性界面活性剤水溶液もくは非イオン性界面活性剤水溶液に浸し、馴染ませた後に水で濯ぎ、染色部位に付着している水分を送風または自然乾燥させる。または50〜99%のエタノ−ルに浸し、染色部位を馴染ませた後、取り出して送風もくは自然乾燥させる。この後にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコ−ル、不純物を取り除いた水、染料からなる染色剤組成物に浸して馴染ませた後、流水で濯ぐことで均一に染色される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物全般における染色に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
一般的に従来から行われている植物体の染色は、切断した茎などから染料溶液を吸い上げさせて植物体を染める方法である。しかし、この方法は切断部の植物器官である道管から染料溶液を吸わせるため、染色が完了するまでに長時間を要するほか、道管が存在する茎、葉、花の植物全体に染料溶液が及ぶという欠点がある。また、道管に沿ってその周囲よりも濃く染色染されるので植物の外観を著しく損なうことになる。
【0003】
日持ちの面では、植物の道管から染料溶液が各細胞組織に到達して汚染されることにより、植物組織で障害が発生し染色後の日持ちが著しく低下する。
【0004】
また、切断した部位からの染色方法であるため、ラン類をはじめとする切り花ではない鉢植え植物の染色は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
染色対象となる植物の部位を(1)水で希釈した1%以上のイオン性界面活性剤水溶液もくは非イオン性界面活性剤水溶液に浸して染色部位を馴染ませた後に水でよく濯ぎ、染色部位に付着している水分を送風か自然乾燥により蒸発させる。または(2)50〜99%のエタノ−ルに浸し、染色部位を馴染ませた後、取り出して送風もくは自然乾燥させる。(1)または(2)の処理を行った後にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコ−ル、不純物を取り除いた水、染料からなる染色剤組成物に浸して染色部位をよく馴染ませて染色した後、流水でよく濯ぐ。その後、送風または自然乾燥により水分を蒸発させる。
【発明の効果】
【0006】
従来の植物体を切断して染色溶液により着色する方法よりも短時間に染色し、染色部位が均一に染色されるため、植物の外見を損なわせない。
【0007】
切断部から染色溶液を吸わせないため、植物の組織障害が無く日持ちが低下しない。
【0008】
植物を切断せずに染色する方法であり、鉢植えなどの植物にも適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
植物の染色部位を水で希釈した1%以上のイオン性界面活性剤水溶液もくは非イオン性界面活性剤水溶液に浸して、よく馴染ませた後に水でよく濯ぎ、染色部位に付着している水分を送風または自然乾燥させる。または50〜99%のエタノ−ルに浸し、染色部位を馴染ませた後、取り出して送風もくは自然乾燥させる。この処理を行った後にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコ−ル、不純物を取り除いた水、染料からなる染色剤組成物に浸してよく馴染ませた後、流水でよく濯ぐことで均一に染色される。
【実施例】
【0010】
植物の染色部位に傷がある場合は、染色による滲みが生じて外見を損なうので、染色前に染色部位をよく確認してから染色することが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色対象となる植物の部位を(1)水で希釈した1%以上のイオン性界面活性剤水溶液もくは非イオン性界面活性剤水溶液に浸して、染色部位を馴染ませた後に水でよく濯ぎ、染色部位に付着している水分を送風もしくは自然乾燥により蒸発させる処理。または(2)50〜99%のエタノ−ルに浸し、染色部位を馴染ませた後、取り出して送風もくは自然乾燥させる処理。(1)または(2)の処理を行った後にメチルエチルケトン、インプロピルアルコ−ル、不純物を取り除いた水、染料からなる染色剤組成物を用いて、目的とする色に染める染色方法。

【公開番号】特開2006−100(P2006−100A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205294(P2004−205294)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(302031465)
【Fターム(参考)】