説明

植物周囲を覆う土壌シート

【課題】 使用方法が簡単で、1枚の土壌シートで複数の大きさの植木鉢などに対応できると共に、除菌や防虫効果も得られる植物周囲を覆う土壌シートの提供を目的とする。
【解決手段】 腐敗すると堆肥になる畳表と、この畳表の繊維がばらけないように、畳表の一方の面に裏当を貼った。このような畳表の中央部に抜き穴と、この抜き穴から畳表の周縁に向って裁断し、この裁断部から抜き穴に、植物の茎や幹が移動できる案内手段を設けることで植物周囲を覆う土壌シートとした。
このような土壌シートによれば、雨水による植物への泥はねや土壌からの水分の蒸発を防いだりすることができるだけでなく、最終的に畳表は腐敗して堆肥になり使用済の畳表の有効活用ができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の周囲に敷くことで、除草や保水力の向上、及び雨などによる泥はねを防止するように改善した植物周囲を覆う土壌シートに関する。
【背景技術】
【0002】
植物の周囲に敷く土壌シートの従来例としては、遮光用の寒冷紗などよりなる網目シートを用いると共に、このシート内の一部に開口部を設け、この開口部から網目シートの周縁に向けて裁断したものがある。
この網目シートは、裁断面から木を開口部内に位置させたのち、裁断面の両側に設けたマジックテープ(商標)で両者を固着すると、木の根元を取り巻くように敷くことができる。
更に、開口部周辺には、1対の紐が設けられており、この紐を木に結んだり、網目シートの周縁部に設けたくさび等を利用して、安定化させる植木、盆栽用の幹巻き網目グランドシートがある。(例えば、特許文献1参照)。
また、白色系と黒色系よりなるポリエステルの繊維素材を二枚重ねにして、その一辺に重ね代を設けると共に、その中間部に凹部を設けたカバーシート2を形成した。
このようなカバーシートの2枚を、凹部同士が対向するように位置させて、その中央部に木の幹を位置させる丸形の切欠きを設けて、農林用土壌カバーとしたものがある。
この農林用土壌カバーも、重ね代に面ファスナー等の止着手段を設けて一体化させるものである。(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】 特開2002−95366号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】 特開2002−289730号公報(第3頁、図2、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示す植木、盆栽用の幹巻き網目グランドシートは、遮光用の寒冷紗などの網目シートを用いて、木の幹の周囲に配設するものであり、シート中央の開口部には、幹に巻付けて取付ける1対の紐や、中央の開口から周縁に向って設けた裁断部分の複数個所に、マジックテープなどを設けて、配設後には裁断部を固着しなければならないという面倒なものであった。
また、網目シートを用いたために、網目から草が生えたり、目的である水分の蒸発や泥はねを、完全に防止したりすることは、できないという欠点があった。
特許文献2に示す農林用土壌カバーシートは、その上面が白色系で、下面が濃色系の繊維で構成したものであり、その一辺に重ね代と、重ね代の中央に凹部を有する1対のカバーシートを、凹部同士が対向配置するようにして用いるものである。
その作用としては、白色面で太陽光を反射し、濃色面で太陽光を吸収して、雑草の育成を阻止することになる。
このように色を利用して、目的の作用を得る構成は、カバーシートが湿っている状態でほこりが付き易く、特に白色系は汚れてしまうと、光の反射効果を得ることができなくなる等の重大な欠点を持っているだけでなく、二枚重ねにしたり重ね代にファスナーなどの止着手段を設けたりする構造が、複雑であるという欠点もあった。
本発明は、このような欠点を解消するためになされたものであり、その使用方法が簡単で、1枚の土壌シートで複数の大きさの植木鉢などに対応できると共に、除菌や防虫効果も得られる植物周囲を覆う土壌シートの提供を目的とする。
【発明を解決するための手段】
【0004】
上記不具合を解決するために、本発明は次のような構成としている。
請求項1に記載した植物周囲を覆う土壌シートは、腐敗して堆肥になる畳表がばらけないように、畳表の一方の面に裏当を貼り付けると共に、この裏当付き畳表の中央部に抜き穴を設けた。
この抜き穴から畳表の周縁に向って裁断して、この裁断部から抜き穴に植物の茎や幹が移動できるように案内する案内手段を設けることで、植物周囲を覆う土壌シートとした。
このような植物周囲を覆う土壌シートによれば、雨水による植物への泥はねや土壌からの水分の蒸発を防いだりするだけでなく、最終的に畳表は腐敗して堆肥になり畳表の有効活用ができる。
請求項2に記載した植物周囲を覆う土壌シートは、請求項1に示す土壌シートの裏当に、植木鉢の大きさを示す号数に合せて、複数種類の大きさを示す号数標示を設けることで、植物周囲を覆う土壌シートとした。
このような植物周囲を覆う土壌シートによれば、使用の際に必要号数に切断して植木鉢に合せることができるようにした。
請求項3に記載した植物周囲を覆う土壌シートは、請求項1又は請求項2に示す土壌シートの裏当に、防虫手段を付加することで植物周囲を覆う土壌シートとした。
このような植物周囲を覆う土壌シートによれば、防虫作用によって植物の害虫からの被害を防ぎ、殺虫剤の散布作業を省くことができる。
請求項4に記載した植物周囲を覆う土壌シートは、請求項1乃至請求項3に示す畳表を、消毒や殺菌すると共に、炭の粉末液を塗布して植物周囲を覆う土壌シートとした。
このような植物周囲を覆う土壌シートによれば、雑菌や防虫効果が得られると共に、炭の持つ防臭効果や畳表の色を変えたことで、使用中の違和感を感じさせない作用を持たせることができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、畳表を植物周囲を覆う土壌シートとしたことにより、以下の効果を得ることができた。
すなわち、従来例と同様に雨水による泥はねの防止や除草効果、及び水分の蒸発を防止して水やりの回数を減らすことができるだけでなく、使用済の畳表であればリサイクルして有効活用できると共に、最終的には腐敗させて、肥料として使用することができるようになった。
また、裏側部分に植木鉢の号数を示す複数種類の号数標示を設けることによって、使用する鉢の大きさに合せて切断して用いると、少ない種類で全ての植木鉢の号数に対応することができるようになった。
更に、畳表や裏側に防虫作用や、良好なる育成作用を持たせることができるし、特に、苺苗の回りに敷くことにより、果実の汚れ防止としても使用できる等の多くの効果を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明について、図面を参照して説明する。図1は本発明の植物周囲を覆う土壌シートを示す斜視図、図2は図1の分解斜視図である。
図1で示すように、本発明の植物周囲を覆う土壌シート10は、植物の茎や幹の周囲の土壌を覆う畳表12と、この畳表の一方の面に貼付されると共に、畳表12がばらけることを防止するために設けた紙や蚊帳などよりなる裏当14と、この裏当付きの畳表の中央部に設けた抜き穴と、この抜き穴から畳表の周縁に向って裁断して設けた案内手段16とからなる。
このような畳表12と裏当14及び案内手段16とについて、更に詳細に説明する。
図2で示すように畳表12は植物の茎や幹周囲の土壌を覆うものであり、使用する鉢の形や必要な形に形成している。この畳表12は新品のものだけでなくて、使い古した畳を流用してリサイクルすることも可能であり、このような畳表12は、使用中の水やりや直射日光に当ることによって、腐敗も早まり最終的には肥料としても活用できる。
裏当14は大きな畳表を切断して使用するために、あんだ素材がばらけることを防止する目的で、畳表の一方の面に貼付したものである。
図示しないがこの裏当14には、直径5ミリ程度の小穴を多数設けており、この小穴から散布した水や雨水が、土中に染み込むようにしている。この裏当に設けた小穴は畳表12を切断しても、畳表を構成する繊維がばらけないように維持する大きさであり、その大きさの大小によって、小穴の数量を増減して水の浸透に配慮している。
また、蚊帳のような目の細かい網を貼付して裏当14としても良い。細かい網目の覆いよりなる蚊帳は、水を通すので小穴は不要であり、畳表12に貼り付けるだけで良い。
このような裏当14付きの畳表12は、その中央部に植物の茎や幹を位置させるための抜き穴17と、畳表12の周縁部から抜き穴17に向って裁断18することで、植物を抜き穴17に移動させるための案内手段16を設けている。
【0007】
このように構成した植物周囲を覆う土壌シート10の使用例について、図面を参照して説明する。図3は図1の使用例を示す説明図、図4は同じく土壌に対する固定例を示す説明図である。
植物周囲を覆う土壌シート10を使用するには、土壌シートの裏当側を接地すると共に、図3で示すように裁断18した部分を、図中の矢印で示す方向に段違いになるように広げることで、植物の茎5を通過し易くする。この広げた開口部分から抜き穴17に、植物の茎5を移動させて土壌を覆うように設置する。
図3で示した植物周囲を覆う土壌シート10は円形であるから、使用する植木鉢も開口部が円形のものを用いる。限定するわけではないが角形の植木鉢であれば、一般的に土壌シートも植木鉢の形に合せて、角形に設定する。
植物の茎や幹を抜き穴17に位置させたあとは、植物周囲を覆う土壌シート10を、その状態で放置しても良い。
但し、図4で示すように、土壌シートの裁断部分を図中の斜線で示すように重ねてから、その先端部分に楊枝やピンなどのような棒状のものを突き刺して用いると、風圧などによるシートの移動を防止して、畳表自体によって生じる茎の傷みを阻止することができるものである。
このような固定方法によれば、土壌シートが傘状になって、植木鉢内の土壌表面の形状とも一致させることができる。
【0008】
本発明の他の例について、図面を参照して説明する。図5は本発明の他の例を示す植物周囲を覆う土壌シートの斜視図である。
図5で示す植物周囲を覆う土壌シート20は、その形状は図1で示すものと同じである。すなわち、畳表22とその畳表のばらけることを防止する裏当24とからなり、その中心部に抜き穴27とその抜き穴から周縁に向って設けた裁断28とからなる案内手段26を設けている。
他の例で示す植物周囲を覆う土壌シート20の特徴としては、裏当24に抜き穴27を中心として、複数種類の植木鉢の大きさに適合できるように、植木鉢の大きさを示す号数標示30を設けたことである。
このような構成によれば、多種類の号数を1つにまとめたことによって、少ない種類の土壌シートで、多くの号数に対応できるから、商品の種類が少なくなって商品管理が容易にできる特徴をもっている。
【0009】
図5に示す植物周囲を覆う土壌シート20は、号数標示30を3種類設けており、そのまま使用できる外形と合せて、4種類の号数に対応している例である。
よって、必要な植木鉢の大きさに合せて、号数標示30の部分で切り取ることによって、1枚の土壌シートで複数種類の植木鉢の号数に、対応できるようにしたものである。
畳表は切断すると繊維がばらばらになってしまうが、裏当を貼ったことで、両者が全体的に密着しており、号数標示30のどの部分で切断しても、ばらけてしまう心配は全くない。
【0010】
本発明の植物周囲を覆う土壌シートのその他の例について、図面を参照して説明する。
図6は本発明のその他の例を示す分解斜視図である。
図6で示すように、本発明のその他の例で示す植物周囲を覆う土壌シート40は、前述例と同様に畳表42と、その畳表のばらけることを防止するために設けた裏当44とからなる。
畳表42の中心部に抜き穴47と、その抜き穴から周縁に向って設けた裁断48とからなる案内手段46を設けていることも同様である。
本発明のその他の例で示す植物周囲を覆う土壌シート40の特徴としては、畳表42に炭の粉末液50を塗布したり含浸させたことである。
また、裏当44には防虫剤の液体を塗布又は含浸して防虫手段55を付加している。更に裏当は袋状に形成して、その内部に粉末状の防虫剤を在中させた防虫手段55でも良い。
【0011】
畳表42に炭の粉末液50を塗布すると、使い古して変色した畳表が、黒色塗装されたような色になり、外観が良くなるばかりでなくて、炭の持つ殺菌作用やプラスイオンを吸収することによって植物に対する好結果を得ることができる。
また、炭は脱臭作用を持っており、肥料の匂いも吸収することができるから、匂いの強い肥料を使用した場合や、特に室内に置く植木鉢に使用すると、更に有効である。
裏当44に付加した防虫手段55によれば、散水や雨水により、防虫剤が溶け出し、土壌に浸透して、植物が根から吸収することによって、防虫効果を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の植物周囲を覆う土壌シートを示す斜視図である。
【図2】 図1の分解斜視図である。
【図3】 図1の使用例を示す説明図である。
【図4】 図1の使用例で、土壌に対する固定例を示す説明図である。
【図5】 本発明の他の例の植物周囲を覆う土壌シートを示す斜視図である。
【図6】 本発明のその他の例の植物周囲を覆う土壌シートを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0013】
10 植物周囲を覆う土壌シート
12 畳表
14 裏当
16 案内手段
17 抜き穴
20 植物周囲を覆う土壌シート
22 畳表
24 裏当
27 抜き穴
26 案内手段
30 号数標示
40 植物周囲を覆う土壌シート
42 畳表
44 裏当
46 案内手段
47 抜き穴
50 炭の粉末液
55 防虫手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳などに用いられ、最終的には腐敗して堆肥になる畳表と、
この畳表がばらけることを阻止するために、この畳表の一方の面に貼付した裏当と、
この裏当付きの前記畳表の中央部に配設した抜き穴と、この抜き穴から畳表の周縁に向って裁断し、この裁断部から前記抜き穴に、植物の茎や幹が移動できるように案内する案内手段とからなる植物周囲を覆う土壌シート。
【請求項2】
畳などに用いられ、最終的には腐敗して堆肥になる畳表と、
この畳表がばらけることを阻止するために、畳表の一方の面に貼付すると共に、複数種類の鉢の大きさを示す号数標示を示した裏当と、
この裏当付きの前記畳表の中央部に配設した抜き穴と、この抜き穴から畳表の周縁に向って裁断し、この裁断部から前記抜き穴に植物の茎や幹が移動できるように案内する案内手段とからなる植物周囲を覆う土壌シート。
【請求項3】
畳などに用いられ、最終的には腐敗して堆肥になる畳表と、
この畳表がばらけることを阻止するために畳表の一方の面に貼付すると共に、防虫手段を付加した裏当と、
この裏当付きの前記畳表の中央部に配設した抜き穴と、この抜き穴から畳表の周縁に向って裁断し、この裁断部から前記抜き穴に植物の茎や幹が移動できるように案内する案内手段とからなる植物周囲を覆う土壌シート。
【請求項4】
畳などに用いられ、最終的には腐敗して堆肥になる畳表と、
この畳表に炭の粉末液を塗布すると共に、この畳表がばらけることを阻止するために、畳表の一方の面に貼付した裏当と、
この裏当付きの前記畳表の中央部に配設した抜き穴と、この抜き穴から畳表の周縁に向って裁断し、この裁断部から前記抜き穴に植物の茎や幹が移動できるように案内する案内手段とからなる植物周囲を覆う土壌シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−289457(P2008−289457A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160714(P2007−160714)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(506296662)
【出願人】(506296673)
【Fターム(参考)】