説明

植物型玩具

【課題】食虫植物などの植物の魅力や楽しさを感じることができる植物型玩具を提供する。
【解決手段】可動花4は各花びら41が花芯部42に対しヒンジを介して開閉自在に取り付けられ、可動葉3は複数の葉部31が形状記憶合金線材32を介して揺動可能に取り付けられる。可動花4の花びらを開閉すると同時に可動葉3の葉部を揺動させる花葉揺動機構5が人形胴部1内に配設される。人形頭部2をライティングするLED13が透光性を有する人形頭部2内に設けられる。人形胴部1には物体の接近を検知して検知信号を出力する物体接近センサ11が設けられる。制御部10は、物体検知センサ11から検知信号が出力されたとき、LED13を点灯制御し、花葉揺動機構5を駆動制御して可動花4の花びらを開閉させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食虫植物などの植物を模した植物型玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
食虫植物は、昆虫や小動物を捕らえて食虫作用する植物であり、例えば、ハエトリグサ、コモウセンゴケ、ミミカキグサなどが湿地や湖沼などに生息しているが、家庭内でこの種の食虫植物を培養して鑑賞することは難しく、一般家庭で栽培されることは少ない。
【0003】
そこで、食虫植物を身近に感じてもらい、その培養や鑑賞を促進させるために、本出願人は、下記特許文献1において、食虫植物模型を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−56637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この食虫植物模型は、ハエトリグサを模して形成され、可動葉体が蝶番を介して回動可能に設けられ、電磁ソレノイドの動作により、可動葉体が開閉可能に構成され、可動葉体の内側にセンサが設けられ、ハエ模型が可動葉体の内側に入って、センサがハエ模型を検出したとき、電磁ソレノイドが動作して、可動葉体が閉じ、ハエ模型を捕らえるようになっている。
【0006】
しかし、一般家庭でこの種の食虫植物模型を鑑賞する場合、食虫植物の構造や動作は認識できるものの、食虫植物への興味を増大させるための楽しさや魅力が不足する課題があり、食虫植物などの植物の魅力や楽しさを感じることができる植物型玩具が要望されていた。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みなされたもので、食虫植物などの植物の魅力や楽しさを感じることができる植物型玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る植物型玩具は、花びらを開閉する可動花と葉部を揺動させる可動葉が、人形胴部上の人形頭部に突き出すように設けられた植物型玩具において、該可動花は各花びらが花芯部に対しヒンジを介して開閉自在に取り付けられ、該可動葉は複数の葉部が形状記憶合金線材を介して揺動可能に取り付けられ、該可動花の花びらを開閉すると同時に該可動葉の葉部を揺動させる花葉揺動機構が該人形胴部内に配設され、該人形頭部をライティングするLEDが透光性を有する該人形頭部内に設けられ、該人形胴部には物体の接近を検知して検知信号を出力する物体接近センサが設けられ、該物体検知センサから該検知信号が出力されたとき、該LEDを点灯制御し、該花葉揺動機構を駆動制御して該可動花の花びらを開閉させると共に、該可動葉の葉部を揺動させる制御部が、該人形胴部内に配設されたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、使用者が人形胴部の物体接近センサの部分に手などを近づけると、制御部の制御動作により、人形頭部が光り、且つ花葉揺動機構の動作により、可動花の花びらが開閉すると共に可動葉の葉部が揺動するように動くので、使用者は食虫植物などの植物の魅力や楽しさを感じることができる。
【0010】
ここで、上記花葉揺動機構は、可動花の花芯部がワイヤを介して熱収縮性メタル線材の端部に連結されると共に、前記可動葉の形状記憶合金線材が該熱収縮性メタル線材の端部に連結され、該熱収縮性メタル線材への通電時に、該熱収縮性メタル線材の伸縮によって、該花びら及び花芯部がそれを支持する支持枠に対し上下動することにより、該各花びらが開閉動作し、且つ該可動葉が形状記憶合金線材を介して揺動するように構成することができる。これによれば、簡単な構造の花葉揺動機構により、少ない電力で、可動花の花びらを開閉動作させることができ、可動葉の葉部を揺動させることができる。
【0011】
また、上記花芯部には閉じた各花びらを押して開くためのコイルばねを取り付けることができる。これによれば、閉じた花びら及び花芯部を上記支持枠に対し押し上げたとき、コイルばねの作用により各花びらを確実に開放させることができる。
【0012】
また、上記構成の植物型玩具には、さらに、上記人形頭部から上方に突き出すように茎部を有する発光花が設けられ、該茎部内には光ファイバが該発光花の中央部から該茎部の元部まで延設され、該茎部の元部にLEDが配設され、該LEDは該光ファイバ内に光を入射させ該発光花の中央部から光を放射させて、該発光花を発光させるように構成することができる。これによれば、上記可動花の開閉と可動葉の揺動及び頭部のライティングに加え、発光花の中央部及び茎部を、LEDと光ファイバにより美しく発光させることができる。
【0013】
また、上記構成の植物型玩具では、上記人形頭部に、目部が設けられると共に、該目部にLEDが配設され、上記制御部の制御により該LEDが発光し該目部が発光するように構成することができる。これによれば、使用者が人形胴部の物体接近センサの部分に手などを近づけたときなどに、人形頭部の目部を発光させ、玩具の魅力を増すことができる。
【0014】
また、上記構成の植物型玩具では、上記人形胴部内に音声回路とスピーカを配設し、上記制御部の制御により音声回路を動作させて該スピーカから音声を発生させるように構成することができる。これによれば、使用者が人形胴部の物体接近センサの前に手などをかざしたとき、音声を発生させ、玩具の魅力を増すことができる。
【0015】
また、上記人形胴部には物体の接近を検知して検知信号を出力する2個の物体接近センサを設け、2個の物体接近センサが物体の接近を検知する順序に応じて、上記音声回路から出力する音声データを選択し、スピーカを通して発生する音声を変えるように構成することができる。これによれば、使用者が人形胴部の物体接近センサの部分に手などを近づけて動作させる際、手などを近づける方向を変えることにより、発生する音声を変えて、玩具を楽しむことができる。
【0016】
また、上記人形胴部上の人形頭部には、手動で花の向きを変えられる手動花を、突き出すように設けることができる。これによれば、可動葉、可動花、発光花に加えて手動花が人形頭部に咲くことになり、装飾効果を向上させることができる。
【0017】
また、上記可動葉には、香料を含浸させた香料含浸部を設けることができる。これによれば、植物型玩具を置いた部屋の中に芳香を漂わせ、香りを楽しむことができる。
【0018】
また、上記人形胴部には、赤外線リモコン送信器から送信された赤外線信号を受信する赤外線リモコン受信部を設け、上記制御部は、赤外線リモコン受信部が受信する赤外線信号に応じて、音声回路から出力する音声データを切り替え、スピーカを通して発生する音声を変えるように構成することができる。これによれば、使用者は、赤外線リモコン送信器を用いて赤外線信号を赤外線リモコン受信部に送信することにより、発生する音声を変えて、玩具を楽しむことができる。
【0019】
また、上記人形胴部の上部には2つの手部を設け、一方の手部内には制御部の電源スイッチを配設し、他方の手部にはスピーカから発生する音声の音量を変えるための音量スイッチを設けることができる。これによれば、使用者は人形の手に触れる感覚でスイッチング操作を行なって、電源のオンオフや音量の調整を楽に行なうことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の植物型玩具によれば、使用者は、食虫植物などの植物の魅力や楽しさを感じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示す植物型玩具の正面図である。
【図2】同玩具の断面図である。
【図3】可動葉及び可動花とその花葉揺動機構の斜視図である。
【図4】可動花の分解斜視図である。
【図5】可動花の平面図(a)、同底面図(b)及び同断面図(c)である。
【図6】発光花の断面を含む正面図である。
【図7】制御部のブロック図である。
【図8】可動花が開閉し、可動葉が揺動したときの正面図である。
【図9】他の実施形態の植物型玩具の正面図である。
【図10】同実施形態の可動葉の部分拡大斜視図である。
【図11】同実施形態の制御部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は植物型玩具の正面図を示し、図2はその断面図を示している。この植物型玩具は、図1に示すように、人形胴部1の上に半球型の人形頭部2を設けて構成され、その人形頭部2上に、花びら41を開閉する可動花4と葉部31を揺動させる可動葉3が、人形頭部2から突き出すように設けられ、植物を模して形成されている。
【0023】
人形頭部2には目部7が設けられ、目部7は後述のようにLED(発光ダイオード)12によって発光するようになっている。また、人形頭部2と人形胴部1と間には、手部8が設けられ、人形型となっている。人形頭部2は半透明または透光性を有した半球状のプラスチックカバー体から形成され、内部にLED13が設けられ、LED13が発光することにより、人形頭部2内が各種の有彩色光で光るようになっている。
【0024】
さらに、人形頭部2から上方に突出する可動花4は、図3〜図5に示すように、各花びら41が花芯部42に対しヒンジ43を介して開閉自在に取り付けられ、支持枠44に対し花びら41及び花芯部42を上下動させることにより、花びら41を開閉するようになっている。
【0025】
つまり、図4に示すように、箱状で花びらのガク状に形成された支持枠44がアウタチューブ46を介して人形頭部2上に取り付けられている。支持枠44内に可動花4の花びら41及び花芯部42が上から挿入され、さらに花芯部42から下側に延設されたインナワイヤ45が支持枠44の孔からアウタチューブ46内に挿入され、インナワイヤ45をアウタチューブ46内で上下させることにより、可動花4の花びら41を開閉させる構造である。インナワイヤ45は、後述のように、花葉揺動機構5の熱収縮性メタル線材53に接続され、熱収縮性メタル線材53に通電したとき、熱収縮性メタル線材53が収縮し、これによりインナワイヤ45が引き下げられ、このとき、支持枠44内に可動花4の花びら41及び花芯部42が進入し、花びら41が閉じられる。
【0026】
また、図5に示すように、花芯部42に花びらに対応してコイルばね47が取り付けられており、これらのコイルばね47は、花芯部42と花びら41が支持枠44内に引き込まれるように下降し、花びら41が閉じた状態から、花芯部42と花びら41が上昇したとき、ばねが花びら41を内側から外側に押して、花びら41を開花させるようになっている。また、花芯部42に設けたコイルばね47と花びら41を下から支持する支持枠44の作用により、花びら41が閉じたとき、閉じすぎずに適度に閉じるようにし、花びら41が開いたとき、開きすぎずに適度に開くようにしている。
【0027】
可動葉3は、図3に示すように、複数の葉部31を、形状記憶合金線材32を介して揺動可能に取り付けて構成される。葉部31は、例えば金属板の表裏を緑色のビロード布で覆って、食虫植物のハエトリクサに類似した形状に形成され、可動葉3は、その葉部31の葉柄の部位に形状記憶合金線材32を固定して形成される。複数の可動葉3は図3に示すように形状記憶合金線材32により相互に連結され、さらに、形状記憶合金線材32の中央部は略U字状に曲折され、上記可動花4のインナワイヤ45に、人形頭部2内で連結されている。
【0028】
このように、U字状に曲折された形状記憶合金線材32が、熱収縮性メタル線材53の収縮によってインナワイヤ45が引き下げられたとき、U字状の線材の開き角度が狭くなるように曲がり、逆にインナワイヤ45が引き上げられると、両側の開き角度が増大し、これにより、インナワイヤ45を間欠的に引き下げることにより、可動葉3の葉部31が上下に揺動することとなる。
【0029】
形状記憶合金線材32は常温で適度なばね弾性を有し、且つ加熱時の形状を記憶するので、可動葉3の葉部31を所望の角度に傾斜させて保持するような略U字状に、容易に成形することができ、その形状を記憶させ、線材が持つ適度なばね弾性により、葉部31を恰も木々の葉らしく望ましい状態で揺動させることができる。
【0030】
このような可動花4を開閉させ可動葉3を揺動させる花葉揺動機構5は、図3に示すように、熱収縮性メタル線材53をベース板51に移動可能に張設して構成され、熱収縮性メタル線材53に間欠的に通電することにより、熱収縮性メタル線材53を熱収縮させ、上記インナワイヤ45を間欠的に引き下げて可動花4を開閉させ可動葉3を揺動させる。
【0031】
図3に示すように、熱収縮性メタル線材53は一端をベース板51上で固定し、プーリ52を通して張設し、熱収縮性メタル線材53の他端にはインナワイヤ45の端部が接続される。熱収縮性メタル線材53の両端には、接続端子54,55が設けられ、接続端子54,55を通して制御部10から所定の周期で間欠的に通電し、周期的に可動花4を開閉させ可動葉3を揺動させる構造である。
【0032】
さらに、図1に示すように、人形頭部2からは発光花6が突き出すように設けられる。発光花6は、図6に示すように、茎部62の先端に花部61を取り付けて構成される。茎部62は透明チューブにより形成され、その茎部62内に光ファイバ63が挿通され、光ファイバ63の先端は花部61の中心に露出している。一方、茎部62の末端は取付枠64に固定され、取付枠64にはLED14が光ファイバ63内に光を入射させるように配設される。このLED14の点灯により、光ファイバ63が光ると共に光ファイバ63の先端から光が放射されるので、LED14の点灯動作により、発光花6はその中央が発光し、その茎部62が光ることとなる。
【0033】
さらに、図2に示すように、人形頭部2内には、人形頭部2をライティングするLED13が配設される。人形頭部2内のLED13は、複数の有彩色光を順に発光して放射するように構成され、例えば所定時間ごとに青色光、緑色光、赤色光を順に発光させるように動作し、透光性を有する人形頭部2内が各種の光を放射するようになっている。さらに、図2に示すように、人形頭部2に設けた目部7には、LED12が埋め込まれ、制御部10の制御動作により、人形の目部7が光るようになっている。
【0034】
また、図1に示すように、人形胴部1には物体の接近を検知して検知信号を出力する物体接近センサ11が設けられる。この物体接近センサ11は、赤外線投光器と赤外線受光器を有し、赤外線投光器から投光された赤外線が物体に反射して赤外線受光器に受光されたとき、物体の接近を検出して、その検出信号を出力し、制御部10に送出する。物体接近センサ11としては、上記赤外線反射式センサのほか、人感センサなどを使用することもできる。
【0035】
制御部10は、図2に示すように、人形胴部1内に配設され、図7に示す如く、ワンチップコンピュータからなるCPUユニット15を主要部として構成され、入出力回路17と共に音声回路16を備えている。入出力回路17には、物体接近センサ11、LED12、13、14が接続される。
【0036】
音声回路16は、人形の音声データを記憶するメモリ、メモリから読み出した音声データを順にアナログ音声信号に変換し、その信号を低周波増幅する回路を備え、増幅された音声信号をスピーカ18に出力するように構成される。音声回路16のメモリには予め、人形の挨拶言葉などの音声データが記憶される。
【0037】
なお、スピーカ18及び電源としての電池19は、図2に示すように、人形胴部1内に配設されている。電池19は充電可能な二次電池とし、充電回路を含むACアダプタを接続するように構成することができる。
【0038】
制御部10は、CPUユニット15のメモリに予め記憶されたプログラムデータに基づき、物体接近センサ11の検知信号の出力を契機に所定の制御動作を行うように構成される。すなわち、制御部10のCPUユニット15は、物体接近センサ11から検知信号が出力されたとき、上記人形頭部2内のLED13を点灯し、目部7のLED12を点灯し、さらに発光花6のLED14を点灯制御すると共に、花葉揺動機構5の熱収縮性メタル線材53に通電して、可動花4の花びら41を開閉させ、同時に可動葉3の葉部31を揺動させるように構成される。
【0039】
次に、上記構成の植物型玩具の動作を説明する。使用者などが植物型玩具の前に手などをかざすと、物体接近センサ11がそれを検知し、検知信号を制御部10に出力する。制御部10は、物体接近の検知信号を入力すると、予め記憶された所定のプログラム制御動作を開始する。
【0040】
制御部10は、まず、音声回路16を動作させ、挨拶などの音声をスピーカ18から発生させる。これにより、植物型玩具から「こんにちは」などの音声が聞こえる。次に、制御部10は花葉揺動機構5の熱収縮性メタル線材53に所定時間通電し、熱収縮性メタル線材53を加熱状態とする。このとき、熱収縮性メタル線材53が熱収縮し、これにより、可動花4のインナワイヤ45と可動葉3の形状記憶合金線材32が引き下げられ、図8のように、可動花4はその花びら41と花芯部42を支持枠44内に進入させ、花びら41を閉じるように動作させる。
【0041】
可動葉3は略U字状の形状記憶合金線材32がスリット孔から人形頭部2内に引き下げられ、これによって、葉部31が上側に揺動する。このような動作が間欠的に所定の周期で所定時間繰り返され、熱収縮性メタル線材53が非通電のときには線材が伸長することにより、上記とは逆に花びら41が開き、葉部31が下側に揺動するので、上記のような動作が周期的に繰り返されることにより、可動花4が開閉し、可動葉3が上下に揺動することとなる。
【0042】
また、制御部10は、目部7のLED12を点灯または点滅動作させ、人形頭部2内のLED13を点灯または点滅動作させ、発光花6のLED14を点灯または点滅動作させる。これにより、人形頭部2の目部7が発光し、人形頭部2の内部が各種の有彩色光でライティングされ、さらに、発光花6の光ファイバ63が光り、発光花6の花部61の中心部から光が放射されると共に、発光花6の茎部62が美しく発光する。
【0043】
このような、可動花4が開閉し、可動葉3が上下に揺動し、さらに目部7、人形頭部2内、及び発光花6の花部61と茎部62が発光する動作は、制御部10内に予めプログラムされた制御データに基づき、繰り返し実行され、所定の時間、その動作が継続することとなる。
【0044】
このように、使用者は、人形胴部1の物体接近センサ11の部分に手などを近づけると、制御部10の制御動作により、人形頭部2が光り、且つ花葉揺動機構5の動作により、可動花4の花びら41が開閉すると共に可動葉3の葉部31が揺動するように動くので、使用者は食虫植物などの植物の魅力や楽しさを感じることができる。また、この植物型玩具は人形胴部1と人形頭部2を有して人形型に形成され、挨拶などの音声を聞くことができるので、使用者は親しみや癒しなどを感じることができる。
【0045】
なお、上記実施形態では1個の物体接近センサ11を設けたが、物体の接近を検知して検知信号を出力する2個の物体接近センサを人形胴部1に設けることもでき、この場合、制御部10は、2個の物体接近センサが物体の接近を検知する順序に応じて、音声回路16から出力する音声データを選択するようにし、スピーカ18を通して発生する音声を変えるように構成することができる。これによれば、使用者が人形胴部1の物体接近センサの部分に手などを近づけて動作させる際、手などを近づける方向を変えることにより、発生する音声を変えて、玩具を楽しむことができる。
【0046】
図9〜図11は、他の実施形態の植物型玩具を示している。この例では、手動花71が増設されると共に、スイッチ機能が増設されている。上記実施形態の植物型玩具と同じ構成部分については、図に同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0047】
図9に示すように、人形胴部1上の人形頭部2には、手動で花の向きを変えることができる手動花71が突き出すように設けられる。この手動花71は、茎部73を人形頭部2から回動可能に突出させ、その茎部73の先端に花部72を回動可能に取り付けて構成される。使用者は、自分の好みに合わせて手動花71の花部72の角度などを変えることができるようになっている。
【0048】
また、図10のように、可動葉3には、香料を含浸させた香料含浸部33が設けられる。この香料含浸部33は、発泡素材、繊維材或いは布材等の含浸部を有し、その含浸部にエッセンシャルオイルなどの香料を含浸させるように構成される。使用者は、所望の香料を香料含浸部33に含浸させ、植物型玩具を部屋に置いた際、その部屋に漂う芳香を楽しむことができる。
【0049】
さらに、図9に示すように、人形胴部1の上部に2つの手部8,9が設けられ、右側の手部8内にはスピーカ18から発生する音声の音量を変えるための音量スイッチ21が設けられ、左側の手部9には制御部10の電源スイッチ20が設けられている。電源スイッチ20は、例えば手部9を右にスライドさせることによりオンするスイッチであり、手部9を右にスライドさせると電源スイッチ20がオンし、制御部10の電源がオンするようになっている。
【0050】
また、音量スイッチ21は、例えば右側の手部8を押したとき、オンするスイッチであり、手部8を押すごとに、音量スイッチ21から音量信号が制御部10に送られ、制御部10はその音量信号を入力する毎に、音声回路16の音声信号増幅器の出力レベルを上げまたは下げるように動作し、これにより、使用者が手部8を押すごとに、スピーカ18を通して流れる音声の音量が増大し、或いは減少するようになっている。
【0051】
さらに、図9に示すように、人形胴部1には赤外線リモコン受信部22が設けられる。この赤外線リモコン受信部22は、図示しない赤外線リモコン送信器から送信された赤外線信号を受信し、赤外線に重畳された信号を復調して出力するように構成される。赤外線リモコン受信部22は、赤外線用フォトダイオードなどの受光素子を有し、この受光素子により赤外線信号を受信したとき、赤外線に重畳されて送信された送信信号を取り出し、その信号を所定の復調処理によって復調し、受信信号を取り出して出力するように構成される。
【0052】
なお、赤外線リモコン送信器として、各家庭で使用される各種の赤外線リモコンが使用可能なように、赤外線リモコン送信器から送信された赤外線信号であれば、その信号に含まれる送信データに拘わらず、赤外線リモコン受信部22は受信信号として入力し、出力信号を出力するようになっている。
【0053】
つまり、通常、赤外線リモコンでは、スタートフレームに続くペイロードとして送受信する各種情報のデータを配するようにデータフレームを作成し、そのデータを送受信するようにしているが、何れの機種の赤外線リモコン送信器でも或いはリモコンの何れのキーを操作しても、音声切替用信号として入力できるように、赤外線リモコン送信器から送信された赤外線信号であれば、つまり例えば38KHzの副搬送波をパルス信号で変調した信号を赤外線に重畳させた赤外線信号であれば、有効な信号として赤外線リモコン受信部22が受信し、その受信信号を制御部10に出力するようになっている。
【0054】
赤外線リモコン受信部22の出力側は、図11に示すように、制御部10に接続され、制御部10は、赤外線リモコン受信部22から出力される赤外線の受信信号に応じて、音声回路16のメモリから読み出して出力する音声データを順に切り替え、スピーカ18を通して発生する音声を変えるように動作する。
【0055】
これにより、使用者は、家庭のTV、ビデオ機器、携帯電話機等に付属する赤外線リモコン送信器を操作して、赤外線信号を植物型玩具に向けて送信すると、赤外線リモコン受信部22がその赤外線信号を受信し、その赤外線に重畳された信号を取り出し、復調された受信信号を制御部10に出力する。
【0056】
このとき、制御部10のCPUユニット15は音声回路16に音声再生用の指令信号を送り、音声回路16のメモリに予め記憶される複数の音声データについて、次のアドレスの音声データを読み出して再生するように動作する。これにより、使用者が赤外線リモコン送信器を操作する毎に、音声回路16のメモリから読み出される音声データが変わり、スピーカ18からは異なった音声が発生することとなる。なお、制御部10のCPUユニット15は、音声停止中にのみ、音声切替用信号を受け付けて取り込み、次に再生する音声が切り替えられる。
【0057】
このように、使用者は、各家庭にある既存の赤外線リモコン送信器を使用して、植物型玩具に向けて赤外線信号を送信すれば、人形胴部1に設けた赤外線リモコン受信部22がその信号を受信し、制御部10に対し音声再生の切替指令を行なって、スピーカ18から出力される音声を、順に変えることができる。また、音声の音量を変えたい場合、使用者は人形胴部1上に設けた手部8を押すことにより、音量スイッチ21を操作して、希望する音量に変えることができる。また、電源をオフする場合、人形胴部1上の左側の手部9を押すことにより、電源スイッチ20をオフ操作して、制御部10の電源をオフすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 人形胴部
2 人形頭部
3 可動葉
4 可動花
5 花葉揺動機構
6 発光花
7 目部
8、9 手部
10 制御部
11 物体接近センサ
12,13,14 LED
15 CPUユニット
16 音声回路
17 入出力回路
18 スピーカ
19 電池
20 電源スイッチ
21 音量スイッチ
22 赤外線リモコン受信部
31 葉部
32 形状記憶合金線材
33 香料含浸部
42 花芯部
43 ヒンジ
44 支持枠
45 インナワイヤ
46 アウタチューブ
51 ベース板
52 プーリ
53 熱収縮性メタル線材
54 接続端子
61 花部
62 茎部
63 光ファイバ
64 取付枠
71 手動花
72 花部
73 茎部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
花びらを開閉する可動花と葉部を揺動させる可動葉が、人形胴部上の人形頭部に突き出すように設けられた植物型玩具において、
該可動花は各花びらが花芯部に対しヒンジを介して開閉自在に取り付けられ、該可動葉は複数の葉部が形状記憶合金線材を介して揺動可能に取り付けられ、
該可動花の花びらを開閉すると同時に該可動葉の葉部を揺動させる花葉揺動機構が該人形胴部内に配設され、該人形頭部をライティングするLEDが透光性を有する該人形頭部内に設けられ、該人形胴部には物体の接近を検知して検知信号を出力する物体接近センサが設けられ、
該物体検知センサから該検知信号が出力されたとき、該LEDを点灯制御し、該花葉揺動機構を駆動制御して該可動花の花びらを開閉させると共に、該可動葉の葉部を揺動させる制御部が、該人形胴部内に配設されたことを特徴とする植物型玩具。
【請求項2】
前記花葉揺動機構は、前記可動花の花芯部がワイヤを介して熱収縮性メタル線材の端部に連結されると共に、前記可動葉の形状記憶合金線材が該熱収縮性メタル線材の端部に連結され、該熱収縮性メタル線材への通電時に、該熱収縮性メタル線材の伸縮によって、該花びら及び花芯部がそれを支持する支持枠に対し上下動することにより、該各花びらが開閉動作し、且つ該可動葉が形状記憶合金線材を介して揺動するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の植物型玩具。
【請求項3】
前記花芯部には閉じた各花びらを押して開くためのコイルばねが取り付けられたことを特徴とする請求項2記載の植物型玩具。
【請求項4】
前記人形頭部から上方に突き出すように茎部を有する発光花が設けられ、該茎部内には光ファイバが該発光花の中央部から該茎部の元部まで延設され、該茎部の元部にLEDが配設され、該LEDは該光ファイバ内に光を入射させ該発光花の中央部から光を放射させて、該発光花を発光させることを特徴とする請求項1乃至3記載の植物型玩具。
【請求項5】
前記人形頭部には、目部が設けられると共に、該目部にLEDが配設され、前記制御部の制御により該LEDを発光させて該目部を発光させることを特徴とする請求項1乃至4記載の植物型玩具。
【請求項6】
前記人形胴部内に音声回路とスピーカが配設され、前記制御部の制御により該音声回路を動作させて該スピーカから音声を発生させることを特徴とする請求項1乃至5記載の植物型玩具。
【請求項7】
前記人形胴部には物体の接近を検知して検知信号を出力する2個の物体接近センサが設けられ、前記制御部は、該2個の物体接近センサが物体の接近を検知する順序に応じて、前記音声回路から出力する音声データを選択し、前記スピーカを通して発生する音声を変えることを特徴とする請求項6記載の植物型玩具。
【請求項8】
前記人形胴部上の人形頭部には、手動で花の向きを変えられる手動花が突き出すように設けられたことを特徴とする請求項1記載の植物型玩具。
【請求項9】
前記可動葉には、香料を含浸させた香料含浸部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の植物型玩具。
【請求項10】
前記人形胴部には赤外線リモコン送信器から送信された赤外線信号を受信する赤外線リモコン受信部が設けられ、前記制御部は、該赤外線リモコン受信部が受信する赤外線信号に応じて、前記音声回路から出力する音声データを切り替え、前記スピーカを通して発生する音声を変えることを特徴とする請求項6記載の植物型玩具。
【請求項11】
前記人形胴部の上部に2つの手部が設けられ、一方の該手部内には前記制御部の電源スイッチが配設され、他方の該手部には前記スピーカから発生する音声の音量を変えるための音量スイッチが設けられたことを特徴とする請求項6記載の植物型玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−6008(P2013−6008A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184011(P2011−184011)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000176958)三明電機株式会社 (37)
【Fターム(参考)】