説明

植物性エストロゲンのイソフラボン組成物、それらの製剤及び放射線傷害に対する防護および処置用のその使用

【課題】本発明は、ヒトを含む動物の放射線傷害からの予防および治療処置用の組成物および方法を提供する。
【解決手段】特に、本発明は、イソフラボン・ゲニステイン(4’,5,7−トリヒドロキシフラボン)または植物性エストロゲンのイソフラボノイドを含む方法および組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトを含む動物の放射線傷害からの予防および治療処置用の組成物および方法を提供する。特に、本発明は、イソフラボン・ゲニステイン(4’,5,7−トリヒドロキシフラボン)および他の植物性エストロゲンのイソフラボノイドを含む方法および組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
放射線防護剤は、放射線の生物学的影響を減少させる化合物である(例えば、Hall,Radiobiology for the Radiobiologist,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PA[1994]を参照すること)。それらは放射線曝露の前および/または後に投与することが可能であり、放射線誘発致死から生物を防護することができる。放射線防護剤は多様な各種機構により作用することが示されてきている(例えば、Bump and Malaker(eds.),Radioprotectors:Chemical,Biological,and Clinical Perspectives,CRC Press,Washington,D.C.[1997]を参照すること)。これらには、それらの抗酸化特性(Weiss an d Landauer,Ann.NY Acad.Sci.,899:44〜60[2000])、それらのエストロゲン活性(Miernicki et al.,Soc.Neurosci.Abst.,16:1054[1990];およびPatt et al.,Amer.J.Physiol.,159:269〜280[1949])、および/またはいくつかの場合において情報伝達に関与するタンパクキナーゼ(複数を含む)を阻害するそれらの能力(Lie et al.,Oncogene,19:571〜579[2000])が挙げられる。
【0003】
多様な抗酸化化合物が放射線防護に寄与することが示されてきた。これらは高度に毒性なアミノチオールから抗酸化ビタミンまでの範囲に及ぶ。しかし、これら化合物の大部分は様々な度合いの副作用を有する。例えば、アミフォスチンなどのスルフヒドリル放射線防護剤(例えば、米国特許第5,994,409号を参照すること)は動物に対して高度に毒性があり、院内設備において投与されなければならない。これら化合物に関係する有害な副作用には、吐き気および嘔吐、低血圧、低カルシウム血症および眠気が挙げられる(Bienvenu et al.,Adv.Exp.Med.Biol.,264:291〜300[1990])。アミフォスチンは遊離基を捕捉することによって作用する(上述のBump and Malaker中のMurray)。抗酸化ビタミン(A、C、Eおよびベータカロチン)は放射線防護のほんの最小レベルしか提供せず、防護のごく短い時間帯しか有せず、栄養源から得られる場合に、あらゆる単一食品源はいかなるビタミンにしても小さなレベルしか有さないので多様な食品において摂取されねばならない(上述のWeiss and Landauer)。
【0004】
加えて、現在使用されている方法および組成物を用いると、放射線または化学的損傷の前または後に短期枠内で非経口経路により、医薬品または他化学添加剤などの薬剤の単一高用量を投与することが必要である(例えば、上述のBump and Malakerを参照すること)。従って、これは予期せぬ放射線傷害に対する防護における使用のための長期予防手段としてのそれらの使用を排除してしまう。殆どの放射線防護剤の短期間作用のせいで、長期にわたる防護を提供する薬剤に対する長い継続的な探索が行われてきた。実際、放射線傷害の前および後両方で利用可能とすることができる非毒性で、経口または非経口的に利用可能な放射線防護薬剤に対する大きな必要性が残ったままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ヒトを含む動物の放射線傷害からの予防および治療処置用の組成物および方法を提供する。特に、本発明は、イソフラボン・ゲニステイン(4’,5,7−トリヒドロキシフラボン)および他の植物性エストロゲンのイソフラボノイドを含む方法および組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、対象、少なくとも一つのイソフラボノイドを含む組成物、および放射線源を用意し、組成物を対象に投与し、対象を照射源から発生する放射線に曝露することを含む、対象の放射線防護のための方法を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、組成物は対象が放射線に曝露される前に対象に投与されるが、一方で他の好ましい実施形態において、組成物は対象が放射線に曝露された後に対象に投与される。特に好ましい実施形態において、対象は放射線による組織損傷から防護される。いくつかの好ましい実施形態において、対象は正常であるが、一方で他の好ましい実施形態において、対象は疾患または別の疾病を患っている。追加の実施形態において、イソフラボノイド(複数を含む)は、ゲニスチン、ゲニステイン、6’’−O−Malゲニステイン、6’’−O−Acゲニステイン、ダイゼイン、6’’−O’Malダイゼイン、6’’−O−Acダイゼイン、グリシテイン、グリシチン、6’’−O−Malグリシチン、バイオチャニンA、フォルムオノネチン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、イソフラボノイド(複数を含む)は抗酸化剤である。なおさらなる実施形態において、イソフラボノイド(複数を含む)はエストロゲン活性を有するが、一方で代わりの実施形態において、イソフラボノイド(複数を含む)はチロシン・キナーゼ阻害剤である。追加の実施形態において、イソフラボノイド(複数を含む)は脈管形成阻害薬を含む。なお他の実施形態において、イソフラボノイド(複数を含む)は対象の血液中の低密度リポタンパク質濃度を低下させ、他の実施形態において、イソフラボノイド(複数を含む)は血管拡張剤を含む。いくつかの実施形態において、イソフラボノイドは大豆、大豆製品およびクローバーからなる群から選択される供給源から得られる。特に好ましい実施形態において、イソフラボノイドはゲニスチン、ゲニステイン共役体、ゲニステイン誘導体、ゲニステイン類似物、天然ゲニステイン、および合成ゲニステインからなる群から選択される。なお他の好ましい実施形態において、イソフラボノイドは賦形剤中に溶解される。いくつかの特に好ましい実施形態において、賦形剤はポリエチレン・グリコールである。追加の実施形態において、組成物はさらに1以上の医薬的に許容可能な担体、賦形剤、補助剤、および希釈剤を含む。
【0007】
本方法のいくつかの実施形態において、組成物は全身的に投与される。いくつかの実施形態において、組成物は医薬的に許容可能な形態において投与されるが、一方で他の好ましい実施形態において、組成物は対象の食事中にまたは栄養補助食品として対象に投与される。いくつかの実施形態において、組成物は単一投与の形態で対象に与えられるが、一方で他の実施形態において、組成物は多数回投与の形態で対象に与えられる。好ましい実施形態において、投与は、皮下注入、経口投与、静脈内投与、直腸投与、膣投与、局所投与、筋内投与、鼻腔内投与、経皮的投与、結膜下投与、眼内投与、眼周囲投与、球後投与、網膜下、脈絡膜上投与、およびクモ膜下投与からなる群から選択される。代わりの実施形態において、投与は機械式貯蔵所、装置、移植片、および傷当てからなる群から選択される供給源からの投与である。なおさらなる実施形態において、組成物は錠剤、カプセル、液体、ゲル、粉末、座薬、懸濁液、クリーム、ゼリー、エアゾールスプレー、および栄養補助食品からなる群から選択される形態を取る。いくつかの実施形態において、栄養補助食品は未処理大豆食品を含むが、一方で他の好ましい実施形態において、栄養補助食品は単離された大豆タンパク質を含む。追加の実施形態において、イソフラボノイドは食品成分の天然要素である。
【0008】
いくつかの実施形態において、組成物は約0.1mg〜約2000mgのイソフラボノイドを含む。いくつかの好ましい実施形態において、対象に投与された組成物の投与量は約5mg/日〜約2000mg/日のイソフラボノイドであるが、一方で他の実施形態において、対象に投与された組成物の投与量は約25mg/日〜約1200mg/日のイソフラボノイド、または約40mg/日〜約1200mg/日のイソフラボノイドを含み、またはなおさらなる実施形態において、対象に投与される組成物の投与量は約30mg/日〜約200mg/日のイソフラボノイドを含む。他の実施形態において、組成物は対象の体重当り約400mg/kg/日未満の有効量の投与量において対象に投与される。いくつかの好ましい実施形態において、組成物は対象の体重当り約1mg/kg/日〜20mg/kg/日の有効量の投与量において対象に投与される。
【0009】
いくつかの実施形態において、組成物は放射線曝露の約10分〜96時間前に投与される。いくつかの追加実施形態において、組成物は単一投与として投与されるが、一方で他の実施形態において、組成物は、同じかまたは種々の濃度のイソフラボノイド(複数を含む)の多数回投与において投与される。他の実施形態において、組成物は放射線曝露後約1分〜48時間に投与される。いくつかの実施形態において、放射線は電離放射線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子、マイクロ波、および電磁放射線からなる群から選択される。
【0010】
本発明は、また、ゲニスチン、ゲニステイン、6’’−O−Malゲニステイン、6’’−O−Acゲニステイン、ダイゼイン、6’’−O−Malダイゼイン、6’’−O−Acダイゼイン、グリシテイン、グリシチン、6’’−O−Malグリシチン、バイオチャニンA、フォルムオノネチン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの非毒性植物性エストロゲンのイソフラボノイドの治療的に有効な量を含む非毒性の放射線防護組成物を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、治療的に有効な量は予防的に有効な量である。
【0011】
本発明は、さらに、ポリエチレン・グリコール(PEG)およびゴマ油賦形剤からなる群から選択される賦形剤中に、ゲニスチン、ゲニステイン、6’’−O−Malゲニステイン、6’’−O−Acゲニステイン、ダイゼイン、6’’−O’Malダイゼイン、6’’−O−Acダイゼイン、グリシテイン、グリシチン、6’’−O−Malグリシチン、バイオチャニンA、フォルムオノネチン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるイソフラボノイドを溶解して懸濁液を生成し、懸濁液中のイソフラボノイドを分離してイソフラボノイド溶液を生成する段階を含む、少なくとも一つのイソフラボノイドを含む非毒性の放射線防護組成物を調合するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、さらに、医薬的に許容可能な担体、賦形剤、補助剤、および希釈剤からなる群から選択される少なくとも一つの追加成分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】イソフラボノイド・ゲニステイン(4’,5,7トリヒドロキシフラボン)の構造を示す。
【図2】ホルモン・エストラジオールの構造との類似性を示す植物性エストロゲンのゲニステインの構造を示す。
【図3】30日生存に関するゲニステインの単一経口(po)投与効果の棒グラフを示す。マウスにコバルト−60源からの8.5Gy線量ガンマ線照射の1時間または24時間前のいずれかにゲニステインを与えた。線量率は0.6Gy/分であった。試験の組は、生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤またはゲニステイン(400mg/kg)からなった。ゲニステインは照射1時間前では保護を提供しなかったが、24時間ゲニステインを受容したマウスは、生理食塩水、PEG対照グループ(N=16/グループ)の63%生存に対して、88%が生存した。星印は対照との有意な差異を示す。
【図4】8.5Gyガンマ線照射の1時間前に、生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステイン400mg/kgを単一経口(po)投与したマウスの生存曲線を示す(N=16/グループ)。照射後30日間にわたり生存を監視した。この図は図3に示すデータに対する生存曲線を示す。
【図5】8.5Gyガンマ線照射の24時間前に、生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステイン400mg/kgでの単一経口(po)投与を与えたマウスの30日生存曲線を示す(N=16/グループ)。照射後30日間にわたり生存を監視した。この図は図3に示すデータに対する生存曲線を示す。
【図6】マウスにコバルト−60源からの9.5Gy線量ガンマ線照射の1時間または24時間前のいずれかにゲニステインを与えたマウスの30日生存に関するゲニステインの単一経口(po)投与効果の棒グラフを示す。線量率は0.6Gy/分であった。試験の組は、生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステイン(400mg/kg)からなった(N=24〜32/グループ)。
【図7】9.5Gyガンマ線照射の1時間前に、生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステイン400mg/kgを単一経口(po)投与したマウスの生存曲線を示す(N=24〜32/組)。照射後30日間にわたり生存を監視した。この図は図6に示すデータに対する生存曲線を示す。
【図8】9.5Gyガンマ線照射の24時間前に、生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステイン400mg/kgでの単一経口(po)投与を与えたマウスの30日生存曲線を示す。照射後30日間にわたり生存を監視した(N=24〜32/組)。この図は図6に示すデータに対する生存曲線を示す。ゲニステインは致死に対する防護はしなかったが、データはゲニステイン処理マウスが対照動物よりも約1週間より長く生存したことを示す。
【図9】生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステイン(100mg/kgまたは400mg/kg)での多数回にわたる日々の経口(po)投与処置を受けた被照射マウスの生存%の棒グラフを示す(N=16/組)。マウスを、9.5Gyガンマ線照射前4日間(前)、9.5Gyガンマ線照射後の4日間(後)、9.5Gyガンマ線照射前4日間および後4日間(前+後)のいずれかに対してゲニステインで処置した。30日間にわたり生存を監視した。星印は対照からの有意な差異を示す。
【図10】生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステイン100mg/kgでの多数回にわたる日々の経口(po)投与処置を受けたマウスの30日生存曲線を示す(N=16/組)。マウスを、9.5Gyガンマ線照射前4日間(前)、9.5Gyガンマ線照射後の4日間(後)または9.5Gyガンマ線照射前4日間および後4日間(前+後)のいずれかでゲニステインにより処置した。30日間にわたり生存を監視した。この図は図9に示すデータに対する生存曲線を示す。
【図11】生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステイン400mg/kgでの多数回にわたる日々の経口(po)投与処置を受けたマウスの30日生存曲線を示す。マウスを、9.5Gyガンマ線照射前4日間(前)、9.5Gyガンマ線照射後の4日間(後)、または9.5Gyガンマ線照射前4日間および後4日間(前+後)のいずれかでゲニステインにより処置した(N=16/組)。30日間にわたり生存を監視した。この図は図9に示すデータに対する生存曲線を示す。
【図12】コバルト−60源からの9.5Gy線量ガンマ線照射の24時間前にゲニステインを与えたマウスの30日生存に及ぼすゲニステインの単一皮下(sc)投与効果の棒グラフを示す。線量率は0.6Gy/分であった。試験の組は、生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステイン(100mg/kgまたは400mg/kg)からなった(N=16/組)。100または400mg/kgで皮下注入した単一投与のゲニステインは、ガンマ線の致死線量からマウスを有意に防護した。星印は対照からの有意な差異を示す。
【図13】9.5Gyガンマ線照射の24時間前に、生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、ゲニステイン100mg/kgまたは400mg/kgのいずれかを単一皮下(sc)投与したマウスの30日生存曲線を示す(N=16/組)。この図は図12に示すデータに対する生存曲線を示す。
【図14】48時間にわたるマウスの自発運動挙動に及ぼす生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステインの単一経口(po)投与の影響を示す。自発運動は歩いた距離の合計で表す。横座標の黒帯は12:12時間明/暗サイクルの暗期間、および白い帯は明期間を表す。各マウスに、第1日目の暗期間の試験開始直前に、生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン50、100、200、または400mg/kgでの単一経口(per os,po)チューブ補給を与えた(N=8/組)。垂直線はSEMを表す。この感受性挙動検定を用いて、自発運動に関する組間での有意な差異は全くなく、経口投与ゲニステインが非毒性であることが示された。
【図15】48時間にわたるマウスの自発運動挙動に及ぼす生理食塩水、ポリエチレン・グリコール(PEG)賦形剤、またはゲニステインの単一皮下(sc)投与の影響を示す。自発運動は歩いた距離の合計で表す。横座標の黒帯は12:12時間明/暗サイクルの暗期間、および白い帯は明期間を表す。各マウスに、第1日目の暗期間の試験開始直前に、生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン50、100、200、または400mg/kgでの単一皮下投与を与えた(N=8/組)。垂直線はSEMを表す。この感受性挙動検定を用いて、自発運動に関する組間での有意な差異は全くなく、皮下投与ゲニステインが非毒性であることが示された。
【図16】生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgでの急性皮下投与後、1、4および14日目に評価したマウスの前肢握力に及ぼすゲニステインの影響を示す。0日目は投与した日であった。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【図17】生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgでの急性経口栄養補給後、1、4および14日目に評価したマウスの前肢握力に及ぼすゲニステインの影響を示す。0日目は投与した日であった。組間に有意な差異は全くなかった。
【図18】生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgでの急性皮下投与後、1、4および14日目に評価したマウスの逆転スクリーンテストにより測定される運動神経に及ぼすゲニステインの影響を示す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【図19】生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgでの急性経口投与後、1、4および14日目に評価したマウスの逆転スクリーンテストを用いる運動神経に及ぼすゲニステインの影響を示す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【図20】生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgでの急性皮下投与したマウスの平均(SEM)体重を示す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【図21】生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgでの急性経口投与したマウスの平均SEM体重を示す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【図22】生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン400mg/kgでの単一経口チューブ補給または皮下投与の試験体重に及ぼす影響を示す。体重は、精巣上体を除去した両方の精巣の注入後14日後の合計値を反映させている。垂直線は平均「SEM」を示す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【図23】30日生存に及ぼすゲニステインの単一皮下投与の効果を示す棒グラフを提供する。0.6Gy/分の線量率での9.5Gy照射24時間前にゲニステイン(3.125〜400mg/kg)を投与した。
【図24】ゲニステインを単一皮下注入したマウスの30日生存曲線を提供する。マウスに9.5Gyコバルト−60照射24時間前に3.125〜400mg/kgの投与を与えた。それらが放射線曝露24時間前にゲニステイン25〜400mg/kgを受けた場合、有意により多くのマウスが致死線量照射後30日生存した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ヒトを含む動物の放射線傷害からの予防および治療処置用の組成物および方法を提供する。特に、本発明は、イソフラボン・ゲニステイン(4’,5,7−トリヒドロキシフラボン)および他の植物性エストロゲンのイソフラボノイドを含む方法および組成物を提供する。
【0014】
実際、本発明はヒトを含む動物による放射線被曝に関係する致死性を減少させるための手段を提供する。従って、本発明はヒトを含む動物に対する予防および治療処置のための方法を提供する。
【0015】
特に好ましい実施形態において、本発明は、放射線防護剤としての使用のための非毒性自然発生栄養補助食品を提供する。しかし、本発明には皮下、筋内、静脈内、などに限定されないがそれらを含む種々の他の投与手段を通しての用途が見出せるので、本発明が栄養補助食品に限定されるということは意図されていない。
【0016】
他の化合物はそれらの放射線防護特性に関して調査されてきた。例えば、エストロゲンは放射線誘発致死性を減少させることが見出されてきた(上述のMiernicki et al.;上述のPatt et al.)。しかし、ミエルニッキら(Miernicki et al.)はエストロゲン17・ベータ・エストラジオールの放射線防護投与が行動的に有毒であることを報告した。植物性エストロゲン(Messina,Am.J.Clin.Nutri.,70(3 Suppl);439S〜450S[1999])としては、ゲニステインが防護的であるがしかし有毒であることはない十分なエストロゲン活性を有し得ることは信じられた。ゲニステインおよびエストラジオールの構造における類似性の比較は図2に示される。
【0017】
I.ゲニステイン
本明細書において示すように、ゲニステイン(4’,5,7−トリヒドロキシフラボン)(図1を参照すること)は、有力な抗酸化剤と考えられる(Wei et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,208:124〜30[1995])。ゲニステインは、また、DNAトポイソメラーゼII、細胞周期進展、および脈管形成を阻害する。加えて、それは血管拡張剤であり、LDL(低密度リポプロテイン)コレステロールレベルを減少させることが示されてきた。実際、これらの特性は、ゲニステインの防護作用の代替機構を調査する研究の基礎であった(Kim,Am.J.Clin.Nutr.,68:1418S〜1425S[1998])。さらに、電離放射線誘発アポトーシス(プログラム細胞死)はチロシン・キナーゼ活性化により誘発される。タンパク質チロシン・キナーゼ阻害剤としてのゲニステインは、放射線誘発細胞死を防止することが示されてきた(Uckun et al.,Clin.Canc.Res.,4:1125〜34[1998])。従って、ゲニステインなどのタンパク質キナーゼ阻害剤は、本発明の開発の間に放射線防護剤候補として調査されてきた。
【0018】
しかし、ゲニステインが放射線への曝露の後に動物生存を長期化させるために用いられる本発明に対し、ゲニステインは腫瘍細胞の殺害および/または抑制を強化する癌治療用の付加療法として調査されてきた。例えば、X線と併せたゲニステインは、放射線誘発細胞死の増大を引き起こすことが見出された(van Rijn and van den Berg,Clin.Canc.Res.,3:1775〜9[1997])。大豆誘導ボーマン・バーク抑制剤(BBI)、イソフラボン・ゲニステインに関係しないタンパク質分解酵素抑制剤は、X線誘発細胞形質転換を抑制するが、しかし、ヒトの肺癌細胞を放射線誘発細胞毒性から防護しない。実際に、BBI抑制剤による治療は、実質的に、肺癌細胞における放射線治療と組合せてシスプラチンにより細胞殺害を増大した(Kennedy et al.,Nutr.Canc.,26:209〜17[1996])。
【0019】
米国特許第5,824,702号には、紫外線から皮膚を防護するためのゲニステインの使用が検討されている。しかし、この特許は紫外線に対する防護のためのゲニステインの局所適用に限定される。紫外線は、それが可視光線よりも物質中に浸透する能力がより少ないという理由により、実際上非電離的であると考えられる(例えば、Attix,Introduction to Radiological Physics and Radiation Dosimetry.John Wiley & Sons,New York[1986]を参照すること)。さらに、ゲニステインの本使用のための有効時間帯は、2時間に限定されるとして示される。従って、皮膚に塗布する必要があり、本質的に非電離放射線に対する短い有効時間帯を有する保護剤の使用は、高度浸透性の電離放射線(例えば、ガンマ線)に対して防護する本発明の防護剤とは全く異なる。
【0020】
米国特許第6,071,956号には、その形成が有害な組織応力の生物学的帰結である熱ショックタンパク質の抑制剤としてのフラボノイドの使用が検討されている。放射線は適用可能な有害因子の中に挙げられているが、しかし、この特許は、それらが平滑筋組織傷害に関係しているので、放射線誘発熱ショックタンパク質を抑制することに限定されている。
【0021】
II.放射線防護
本発明の開発の間に、ゲニステインは理想的な放射線防護剤の特性を有することが見出された。しかし、追加の化合物が本発明において用いられることは考えられる(例えば、ダイゼインおよびグリシテインおよびそれらの代謝物)。ゲニステイン使用の利点には、その非毒性、抗酸化性、植物性エストロゲン、タンパク質チロシン・キナーゼ抑制特性が挙げられる。加えて、単一食品源から食事に使用できるものは天然品であり、毎日与えて防護有効性の長期時間帯を提供することができる。さらに、それは容易に投与でき、確立された長期の保存期間を有する。
【0022】
それにも拘わらず、本発明の開発の前に、電離放射線の潜在的な致死効果に対する有効な放射線防護を提供するかおよび/またはそれらを改善するためのゲニステインの使用については、どの文献にも電離放射線傷害または死から動物を防護するためのゲニステインの使用が検討されていないので、明らかに知られていない。本発明を用いるために機構(複数を含む)の理解は必要でないが、ゲニステインの抗酸化性、エストロゲン性、およびタンパク質チロシン・キナーゼ抑制特性の組合せが電離放射線傷害または死からの防護を提供することは信じられる。
【0023】
シモイら(Shimoi et al.,Carcinogenesis,16:2669〜72[1994])は、照射6時間前に与えたゲニステインを含む多様なフラボノイドの単一胃挿管により、マウスの末梢血中の小核網赤血球の頻度が低下することを報告した。しかし、全体生物の放射線防護については決して実証されていないかまたは触れられていなかった。実際、シモイの研究は動物全体よりはむしろ細胞の調査に限定されていた。
【0024】
ウマら(Uma et al.,Radiat.Res.,151:74〜8[1999])は、薬草の葉から単離した二つのフラボノイド、オリエンチンおよびビセニンにより、LD50を超える放射線量1.3Gy照射30分前にマウスに腹腔内(IP)投与をした場合いくらかの防護(60〜67%生存)が提供されることを報告した。化合物は、経口、静脈内、または筋内で与える場合に有効性は落ちた(30〜35%防護)。IP注入によりマウスに投与した薬剤は、多くの場合、おそらく腹水から直接薬を吸収することができるという理由により、最善の防護を提供する。しかし、ヒトにおいて、IPは薬剤投与の正常経路ではない。加えて、化合物は照射前の効力限定時間帯(本発明により提供される1〜4日と比べて、30〜60分)を有すると共に、照射後に投与される場合は全く有効でない。さらに、それらは、ヒトにおいて一般的な方法である多数回投与計画下または皮下経路を介しては評価されなかった。しかし、本発明において、経口ゲニステインの多数回投与の生存は、30〜35%生存率しか得られなかったウマらのそれに相当する放射線量で69%の生存率をもたらした。さらに、本発明において、ゲニステイン100および400mg/kg投与量の皮下投与経路を用いて、それぞれ81%および88%の生存率が提供された。これは、ウマらにより評価された非イソフラボン・フラボノイド用に報告されたものを上回る放射線防護の実質的な増加である。加えて、ウマらが評価した化合物については、エストロゲン性またはタンパク質チロシン・キナーゼ抑制活性に関する記載が全くない。反対に、本発明を用いるために機構(複数を含む)の理解は必要でなく、また本発明がそのように限定されるとは意図されていないが、ゲニステインの優れた効力が抗酸化性、エストロゲン性、およびタンパク質チロシン・キナーゼ抑制特性組合せの相乗効果のせいであることは考えられる。
【0025】
実施例に示すように、本発明の開発段階で行われた実験は、明らかに、イソフラボン・ゲニステインが極めて有効な放射線防護剤であることを示す。検討したように、経口および皮下両方の経路により放射線曝露1日前に投与する場合、放射線誘発致死に対して防護し、生存率を高めることが示された。加えて、多数回経口投与で与える場合、ゲニステインは、ガンマ放射線の致死線量照射前4日間、ならびに前4日間および後4日間の両方で与える時に30日生存を高め、従って防護効力の長期時間帯を提供する。重要なことに、行動試験により、評価したすべての投与量(50〜400mg/kg)で、ゲニステインはいかなる行動毒性をももたらさないことが実証された。こうして、本発明の開発の段階で行われた実験は、有効な放射線防護を伴う非毒性天然食品源の新奇組合せおよび防護の長期時間帯の開発をもたらした。
【0026】
本発明には種々の設定における広範な用途が見出せる。実際、それには放射線が問題になりそうなあらゆる所で用途が見出せる。例えば、本発明には、潜在的に宇宙飛行士により(Persons and Townsend,Radiat.Res.,153:729〜33[2000])、および放射線曝露が潜在的障害となる高頻度の高空滞在をなす操縦士および他の飛行作業員により(Bottollier−Depois et al.,Radiat.Res.,153:526〜32[2000])経験されることなどの太陽放射事象に対する防護における用途が見出せる。加えて、本発明には診療室、原子力発電施設、食品放射施設での、および放射線廃棄物廃棄場所および事故(例えば、ウクライナのチェルノブイリ、日本の東海村、および米国のスリーマイル・アイランドで経験したものなど)の浄化における放射線治療と併せての用途が見出せる。本発明には放射線事件が発生した場合の軍人、およびテロリスト放射線事件に対応する民間防衛市民による用途が見出せることも考えられる。さらに、本発明には吸入放射線核種の毒性効果を低下させ、携帯電話などの電子素子により生じる放射線からの毒性を低下させる用途が見出せることも考えられる。
【0027】
さらに、反応性酸素種および関連遊離基が放射線および化学療法両方の結果として同等の効力を伴って生成することが可能であるので、ゲニステインなどの抗酸化イソフラボノイドには化学療法の毒性効果を和らげる有効薬剤としての用途が見出せることが考えられる。「化学防護」は、シスプラチンなどに代表される化学療法薬剤などの化学物質からの防護を指す。
【0028】
本発明は、それらが非毒性で、行動変更または他の副作用を全く生まず、天然物であり、最小のコストですみ、長い保存期間を有するという理想的な防護剤を提供する。加えて、本発明の組成物は日常の使用に適する。従って、本発明の放射線および化学予防薬を提供する食事誘導製品は、広範囲に及ぶ長期使用(Kelloff et al.,J.Nutr.,130(2S Suppl):467S〜471S[2000])を見出せると考えられる。
【0029】
III.好ましい実施形態
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、放射線傷害を予防的にまたは治療的に処置するために十分な量のイソフラボンを投与することを含む方法を提供する。あらゆるイソフラボンについて本発明における用途が見出せることが考えられるが、好ましい実施形態において、ゲニステイン、同じ特性(例えば、優れた抗酸化特性およびエストロゲン特性)を持つ関連イソフラボノイドまたは代謝物が用いられる。代わりの実施形態において、関連イソフラボノイドまたは代謝物はタンパク質キナーゼ活性を有する。
【0030】
イソフラボン防護剤、好ましくは、ゲニステインはあらゆる適する経路により投与することができる。ゲニステインは口により(経口)、注入により、食事中に、またはあらゆる他の全身経路により投与することが可能である。イソフラボン防護剤は、電離放射線曝露の前または前および後のいずれかで、単一にまたは多数回投与計画の中で投与することができる。放射線傷害の予防処置のために、イソフラボンが好ましくは経口的にまたは皮下注入により投与される。経口的に与える場合、特に好ましい実施形態において、それは放射線曝露の約24時間以上前から投与され、適切な食事手段または他の手段によりこの化合物を繰り返し投与することが好ましい。しかし、本発明がこの特定の時間枠に限定されることは意図されていないし、いくつかの場合におけるように、放射線曝露前24時間未満での経口投与は好ましい。皮下的に投与する場合、曝露の1〜24時間前の単一投与が適する。しかし、本発明がこの特定の時間枠に限定されることは意図されていないし、いくつかの場合におけるように、放射線曝露前24時間未満または超えての皮下投与は好ましい。投与経路に関係なく、いくつかの実施形態において、放射事象後も継続する場合に増大した薬効が観察される。
【0031】
活性成分に加えて、本発明の組成物は、栄養補助食品、食品、食物のいずれかの中に、および/または医薬製剤として用いることができる調合物中に活性化合物を処理することを容易にする賦形剤および補助剤を含む、適する担体を含有することが可能である。医薬製剤の調合および投与のための技術に関するさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見出すことが可能である。
【0032】
食事投与(すなわち、食品、食物、栄養補助食品などの中に)に加えて、経口投与用の医薬組成物は、経口投与に適する投薬量で技術上周知の医薬的に許容可能な担体を用いて調合することができる。こうした担体は、対象による摂取のために医薬組成物が錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、および懸濁液などとして調合されることを可能とする。経口使用のための医薬調合物は固形賦形剤による活性成分の混合を通して得られ、場合により得られる混合物を粉末化し、必要なら適する補助剤を添加後、粒子混合物を処理して錠剤または糖衣錠核を得ることができる。適する賦形剤には、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの炭水化物またはタンパク質充填剤;コーン、小麦、米、ポテト、または他の植物体からのでんぷん;メチル・セルロース、ヒドロキシプロピルメチル・セルロース、またはカルボキシメチル・セルロース・ナトリウムなどのセルロース;アラビアおよびトラガカントを含むゴム;およびゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質が挙げられる。必要ならば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムのようなその塩などの崩壊剤または可溶化剤は添加することが可能である。
【0033】
糖衣錠核は、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポル・ゲル、ポリエチレン・グリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適する有機溶媒または溶媒混合物も含有し得る、濃縮砂糖水などの適する被覆剤と併せて用いることが可能である。染料または顔料は、製品識別のためまたは活性化合物の量(すなわち、投薬量)を特徴付けるために錠剤または糖衣錠被覆剤に添加することが可能である。
【0034】
経口的に用いることができる医薬製剤には、ゼラチン製の押し適合カプセル、およびゼラチン製の柔らかい封印されたカプセル、ならびにグリセロールまたはソルビトールなどの被覆剤が含まれる。押し適合カプセルは、ラクトースまたはでんぷんなどの充填剤または結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および、場合により安定化剤と混合される活性成分を含有することができる。柔らかいカプセルにおいて、活性化合物は、安定化剤ありまたはなしで、脂肪油、液体、または液体ポリエチレン・グリコールなどの適する液体中に溶解または懸濁することが可能である。このように、あらゆる適する賦形剤に本発明における用途が見出せる。
【0035】
非経口投与に適する食事性および医薬調合物は、水溶液中、好ましくは、ハンクス溶液、リンガー溶液、または生理緩衝食塩水などの生理的に適合する緩衝液中で調合することが可能である。水性注射懸濁液は、カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増大させる物質を含有することが可能である。さらに、活性化合物の懸濁液は適切な油性注射懸濁液として調製することが可能である。適する油系溶媒または賦形剤には、ゴマ油などの脂肪油、またはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。場合により、懸濁液は、高度に濃縮される溶液の調製を可能とするために化合物の溶解度を増大させる、適する安定化剤または薬剤も含有することが可能である。
【0036】
本発明の食事性および医薬組成物は、技術上公知のやり方で(例えば、従来型の混合、溶解、粒状化、糖衣錠製造、すり潰し化、乳剤化、カプセル化、包括化、または凍結乾燥法によって)製造することが可能である。
【0037】
食事性および医薬組成物が調合された後、それらは適切な容器に入れられ、表示状態の処置用にラベルを貼られる。ゲニステインの投与のために、こうしたラベルには量、頻度、および投与法が含まれるであろう。
【0038】
本発明における使用に適する食事性および医薬組成物には、活性成分を所期の目的を達成するために有効量含有する組成物が含まれる。有効な投与量の決定は十分に当業者の能力内である。
【0039】
あらゆる化合物に対して、予防的および/または治療的に有効な投与量は、当初に、細胞培養アッセイ(例えば、新生細胞の)、または通常マウスの動物モデルのいずれかにおいて推定することができる。動物モデルは、また、適切な濃度範囲および投与経路を決定するために用いることが可能である。こうした情報は、次に、ヒトにおける有用な投与量および投与経路を決定するために用いられる。
【0040】
本明細書において示されるように、予防的および治療的に有効な投与量は、放射線による症状および/または影響を改善する活性成分(例えば、ゲニステイン)のその量を指す。効力および毒性は、細胞培養または実験動物(例えば、ED50、すなわち、母集団の50%に対して治療的に有効である投与量、およびLD50、すなわち、母集団の50%に対して致死的である投与量)における標準医薬手順により測定することが可能である。治療性および毒性効果間の投与量比は「治療指数」であり、それは比率、LD50/ED50として表すことができる。
【0041】
大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。こうした組成物中に含有される投薬量は、好ましくは、毒性の殆どないかまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる投与形態、患者の感受性、および投与経路に応じてこの範囲内で変動する。本発明の一つの利点は低毒性である。従って、ゲニステインなどの化合物に対する治療指数は極めて高い。
【0042】
各対象により用いられる正確な投薬量は、一般に、治療を必要とする対象に関する要因を考慮して、対象、医療専門家(例えば、医師、看護士、など)、および/または栄養士/栄養カウンセラーのいずれかにより決定される。投薬量および投与は、十分なレベルの活性部分を提供するため、または所期の効果を維持するために調整される。考慮され得る要因には、疾病状態の程度、経験したまたは経験しようとしている放射線被曝の量、対象の一般健康度、年齢、体重、および対象の性別、食事、投与の時間および頻度、薬剤組合せ(複数を含む)、反応感受性、および治療に対する忍耐性/反応性が挙げられる。
【0043】
一般に、投薬量は約5〜2000mg/日、または約16mg/kg/日以下のレベルで変動する。いくつかの実施形態において、より低い濃度が好ましい(例えば、600〜1200mg/日)。一方でなおさらなる実施形態において、なお一層低い濃度が好ましい(例えば、約200mg/日)。実際、投薬量は上述のように患者に応じて変動する。特定の投薬量および送達方法に関する指針は文献に示されており、一般に、当業者に利用可能である。
【0044】
本発明は国際社会に利益を与えることが考えられる。実際、本発明は、放射線の有害な影響に対する人々の無意識または意図的な被曝からの損傷の潜在的な脅威に対する付加的な防護を提供する。この被曝源には、放射線を出す家庭電化製品、医療機器および無線通信システムまたは装置(例えば、携帯電話)を含む高出力送電システムから核による惨事の脅威までの範囲があり得る。
【0045】
定義
本明細書において用いられる用語「動物」は、ヒトを含むあらゆる動物を指す。用語「非ヒト動物」は、齧歯動物、節足動物、昆虫、魚、非ヒト霊長類、羊、牛、反芻動物、ウサギ、豚、ヤギ、馬、犬、ネコ、鳥類、などに限定されないがそれらを含む脊椎動物および無脊椎動物を含む。
【0046】
本明細書において用いられる用語「対象」は、ヒトに限定されないがそれを含むあらゆる動物を指す。しかし、好ましい実施形態において、動物は哺乳類(例えば、ヒト、齧歯動物、非ヒト霊長類、羊、牛、反芻動物、ウサギ、豚、ヤギ、馬、犬、ネコ、など)である。いくつかの実施形態において対象は「正常」であり、一方、他の実施形態において対象は病気を患っている(例えば、感染症、癌、遺伝子または遺伝性疾患、など)。特に好ましい実施形態において、対象は本発明の方法(複数を含む)および組成物(複数を含む)を用いて治療される。
【0047】
本明細書において用いられる用語「処置」は、放射線に曝露されたまたはされようとする動物への傷害を防止することにおいて有効である量の放射線防護組成物の投与を指す。従って、いくつかの実施形態において、用語は放射線への動物の曝露前における放射線防護組成物の投与(すなわち、「予防的」投与)を包含するが、一方、他の実施形態において、用語は動物が放射線に曝露された後の動物を処置すること(すなわち、「治療的」投与)を包含する。なおさらなる実施形態において、用語は放射線曝露後長期にわたる傷害の改善の継続を包含する。
【0048】
本明細書において用いられる用語「抗酸化剤」は、酸化性物質、特に自然酸化性であるものの酸化速度を遅らせる能力を有する化合物を指す。抗酸化剤は、金属とのキレート化、遊離基の除去、および脂質過酸化物化の間に起こる連鎖反応の停止を含むいくつかの化学的および生理学的手段を通して作用する。
【0049】
本明細書において用いられる用語「植物性エストロゲン」は、植物体により生み出される弱エストロゲン化合物を指す。
【0050】
本明細書において用いられる用語「フラボノイド」は、果実および野菜に見出されるフェノール化合物基を指す。フラボノイドの基本構造は、複素環式ピラン環を通して結合される二つのベンゼン環から成る(例えば、Kuo,Organogenesis 8:47〜69[1997]を参照すること)。
【0051】
本明細書において用いられる用語「イソフラボノイド」は、C2の代わりにC3位置に接合される第2ベンゼンの存在を特徴とするフラボノイドの下位分類を指す。これらの化合物には、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインおよびそれらのグルコシドおよび代謝物が挙げられる。加えて、下位分類には、ゲニステインおよびダイゼインの4−メチルエーテル誘導体、バイオチャニンA,およびホルムネクチン、ならびにゲニスチン、6’’−O−Malゲニステイン、6’’−O−Acゲニステイン、6’’−O−Malダイゼイン、6’’−O−Acダイゼイン、グリシチン、および6’’−O−Malグリシチンが挙げられる。
【0052】
本明細書において用いられる用語「放射線」は、あらゆる形態の電磁放射線を指す。吸収線量は一般に「グレイ」(Gy)で測定される。
【0053】
本明細書において用いられる用語「電離放射線」は、原子または分子から1以上の軌道電子を追い出すための十分なエネルギーを有する放射線(例えば、α粒子、β粒子、γ線、x線、中性子、陽子、および物質中にイオン対を生成するために十分なエネルギーを有する他の粒子)を指す。
【0054】
本明細書において用いられる用語「賦形剤」は、希釈剤、溶媒、または対象化合物の懸濁液を生成するために適する他の組成物としての使用に適するあらゆる組成物を指す。好ましい実施形態において、賦形剤は、水、ポリエチレン・グリコール、油(例えば、ゴマ油)、または少なくとも一つのフラボノイドまたはイソフラボノイドを含む懸濁液を生成するために適する他の液体などの、液体、コロイド状、または半固形組成物である。いくつかの実施形態において、本発明の賦形剤は、少なくとも一つのイソフラボノイドまたはフラボノイドを含有する固形物である。従って、用語は、また、ゲニステインおよび/または他のフラボノイドの栄養源(栄養補助食品を含む)を包含する。
【0055】
本明細書において用いられる用語「混合」は、それによりそれらがそれら個々の特性を失うであろう反応の発生なしで、2以上の物質を一緒に混ぜることを指す。用語「溶液」は液体混合物を指す。用語「水溶液」はいくらかの水を含有する溶液を指す。多くの例において、水は固形物質に対する希釈剤として機能してそれらの物質を含有する溶液を生成する。他の例において、固形物質は単に水溶液中に置かれるだけである(すなわち、それらはそこで溶解されない)。用語水溶液は、また、1以上の他の液体物質を水と組合せて多成分溶液を形成することを指す。
【0056】
用語「非経口的」は、胃腸管を通してよりも他の手段を通して対象に投与することを指す。非経口投与の最も普通の態様は静脈内である。しかし、非経口投与の他の態様には、筋内、皮内、クモ膜下、鼻腔内、および皮下投与が挙げられるがそれらに限定されない。
【0057】
本明細書において用いられる用語「医薬組成物」は、1以上の医薬的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体からなる組成物を指す。本明細書において用いられる用語「非経口投与に適する医薬製剤」は、非経口投与用に医薬的に許容可能な形態における少なくとも一つのフラボノイドおよび/またはイソフラボノイド化合物を含有する溶液を指す。形態の特徴は投与態様を含む多くの要因に応じて決まる。例えば、静脈内投与用製剤は、多くの場合、注射用の正常食塩水または滅菌水中に溶解した化合物を含んで成る。勿論、本発明の医薬製剤はそれらの希釈剤に限定されない;実際、医薬および薬学の分野で公知の他の成分または希釈剤は本発明の範囲内にある。医薬製剤は、他の成分の中でも、それらの追加成分が製剤にも(例えば、それらは化合物の崩壊を引き起こさない)受容体にも(例えば、それらは超過敏反応を引き起こさない)悪影響をもたらすことがない場合に、希釈剤、アジュバントおよび賦形剤を含有することが可能である。
【0058】
本明細書において用いられる用語「局所的な活性剤」は、適用部位で薬物反応を引き出す物質または組成物を示す。好ましい実施形態において薬剤は放射線防護組成物であり、一方で、特に好ましい実施形態において薬剤はゲニステインである。
【0059】
本明細書において用いられる用語「全身的な活性剤」は、適用箇所から離れた部位での薬物反応を生み出す物質または組成物を示すために広く用いられる。好ましい実施形態において、薬剤は放射線防護組成物であり、一方、特に好ましい実施形態において薬剤はゲニステインである。
【0060】
本明細書において用いられる用語「医療機器」は、放射線療法のための医療治療過程において、患者の身体の上で、中に、またはそれを貫いて用いられるあらゆる材料または機器を含む。医療機器には、医療用移植材、薬物送達装置、および体腔および個人保護用品などの品目が挙げられるがそれらに限定されない。医療用移植材には、導尿カテーテル、血管内カテーテル、透析用シャント、皮膚縫合糸、代用血管、植え込みメッシュ、眼内デバイス、および心臓弁などが挙げられるがそれらに限定されない。
【0061】
本明細書において用いられる用語「栄養補助食品」は、1以上の以下の栄養成分を含有する製品として言及される:ビタミン、ミネラル、ハーブまたは他の植物、アミノ酸、総栄養摂取を増大させることにより食事を補完するためのヒトまたは他の動物による使用のための栄養物質、および/またはあらゆるこれら成分の濃縮物、代謝物、構造体、抽出物。従って、用語がフラボノイド、特にゲニステインなどのイソフラボノイドを含むあらゆる栄養補助食品を包含することは意図されている。本発明のフラボノイドには単独にまたは他の栄養補助食品と組合せて投与される栄養補助食品としての用途が見出せるので、本発明があらゆる特定の栄養補助食品(複数を含む)に限定されることは意図されていない。
【0062】
本明細書において用いられる用語「食品」および「食物」は、ヒトおよび/または非ヒト動物の使用に適する食品を指す。用語は液体、固形、半固形、および他の栄養物質を包含する。
【0063】
本明細書において用いられる用語「食事」は、対象(例えば、動物)の栄養摂取を指す。用語が食品、食物、栄養補助食品、および栄養、エネルギー、および他の身体要求事項に合致するように対象によって摂取される他の品目を包含することは意図されている。
【0064】
本明細書において用いられる用語「実質的に精製された」は、その自然環境から除去され、単離されるかまたは分離され、それが自然に結合している他の成分から少なくとも60%遊離、好ましくは75%遊離、最も好ましくは90%遊離している化合物を指す。いくつかの実施形態において、用語は、それが合成過程の間に結合する他の成分から化合物が少なくとも60%遊離、好ましくは75%遊離、最も好ましくは90%遊離している研究室で合成された化合物を指す。
【0065】
本明細書において用いられる用語「精製された」は、試料からの不純物の除去を指す。炭素、水素および窒素分析などの分析(CHN分析、または「元素分析」)は、化合物の純度を測定するために用いることが可能である。好ましい実施形態において、本発明の化合物のCHN値は予測値に極めて近い。実験値と予測値との0.3%内の一致は高レベルの純度を示す。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は本発明のある種の好ましい実施形態および態様を実証しさらに説明するために提供され、その範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
【0067】
次の実験開示において、以下の略語が適用される:eq(同等物);M(モルの);μM(ミクロモルの);N(正常な);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(ミクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);lまたはL(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);Gy(グレイまたはグレイズ;1Gy=100ラド);po(per os;経口);sc(皮下);iv(静脈内);ip(腹膜内);im(筋内);℃(摂氏度);シグマ(ミズーリー州、セントルイスのシグマ・ケミカル(Sigma Chemical Co.));チャールズ・リバー(ノースカロライナ州、ローリーのCharles River);ジャクソン(メイン州、バー・ハーバーのジャクソン・ラボラトリー(Jackson Laboratory));ベーリンガー・マンハイム(インディアナ州、インディアナポリスのBoehringer Mannheim);フィッシャー(ペンシルバニア州、ピッツバーグのフィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific));ライフ・テクノロジーズ(メリーランド州、ロックビルのLife Technologies);アボット(イリノイ州、ノース・シカゴのアボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories));ウルトラソニックス(ニューヨーク州、プレーンヴューのUltrasonics);オムニテック(オハイオ州、コロンバスのオムニテック・エレクトロニクス(Omnitech Electronics));シャティヨン(ノースカロライナ州、グリーンズバラのChatilon)。
【0068】
本明細書において示される実施例は、本来説明用として意図されており、決して本発明の範囲を限定しようとして意図されたものではない。
【0069】
本明細書において記載される実験において、体重24〜30グラムの雄CD2F1マウス(チャールズ・リバー)を用いた。すべてのマウスを到着時検疫し、疾患の証拠を見て代表的な動物を選別した。マウスを国際実験動物認定基準により認定された施設に保管した。動物室を12/12時間明/暗サイクルにおいて50%+/−10%湿度で21+/−2℃に維持した。市販の齧歯類食料(Harlan Teklad Rodent Diet 8604)は自由に摂取でき、日和見感染を制御するための酸性化(pH、2.5〜2.8)水もそうであった(McPherson,Lab.Animal Care,13:737〜44[1963]を参照すること)。マウスをポリカーボネート籠の中に入れて8匹の組で飼った。
【0070】
本明細書において記載される実験において、化合物:対照組は生理食塩水(アボット)または薬剤賦形剤、分子量400のポリエチレングリコール(PEG)のいずれかを受けた。PEG賦形剤およびゲニステインをシグマから入手した。PEGは、食品および食品包装においておよび医薬産業において広範な用途が見出せる、粘性で、わずかに吸湿性の液体である。本発明の開発段階で、いくつかの研究はその高溶解度および低放射線防護特性のせいでPEG−400中に溶解する薬剤を含むことを導いていた。しかし、ゲニステインがPEG−400中に可溶化されたという報告はないと思われた。ゲニステインを可溶化する多くの試みの後に、超音波細胞破砕機(モデルW255R、熱システム超音波(Heat Systems Ultrasonics))を用いる簡単な超音波処理(10秒、中間パルス)によって、高濃度のゲニステインが容易にPEG−400中に可溶化し得ることが測定された。こうして、ゲニステイン100mgをこれらの実験のために1mlのPEG−400中に可溶化した。得られる溶液を0.1ml/マウスでsc注入するかまたは経口投与用に0.25ml/マウスに希釈した。この濃度は25グラム動物に対して400mg/体重kgに相当する。
【0071】
以下の実施例1〜3において、軍放射性生物研究所コバルト−60施設の両側性ガンマ線照射場においてマウスを照射した(Carter and Verrelli,AFRRI cobalt whole−body irradiation(Technical Report 73−3);Bethesda,MD:Armed Forces Radiobiology Research Institute[1973])。動物への正中線組織(MLT)線量は8.5〜9.5Gyであった。線量率は0.6Gy/分であった。0.5−cc、組織−同等電離箱の使用によりアクリル・マウス・ファントムにおいて線量率を測定した(補正係数は国立標準技術研究所まで追跡可能である)。線量換算係数(DCF)0.96および照射場は+/−3%内まで均一であった。線量測定は医療物理学会のプロトコルに従った(医療物理学会、Med.Phys.,10:741〜771[1983])。DCFを空間フリー(FIA)にした線量測定に適用することにより、MLT線量を測定した。2測定値の比率を取ることによりDCFを決定した。第1の測定値はファントムの腹部領域の明確な点で取ったMLT線量率であった。第2の測定値はファントム除去後ファントムが占めていた領域での都合の良い点で取ったFIA組織線量率であった。いったん特定の実験設定に対して測定すると、DCF値はすべての以後のFIA測定値に適用されて、同じ設定を用いるMLT線量率を得ることができる。
【0072】
実施例1
単一経口投与の防護効果
この実施例は、照射1または24時間前に投与し放射線誘発死亡率を緩和するゲニステインの単一経口投与の防護効果を測定するための実験を記載する。放射線防護に及ぼすゲニステインの効果を、線量率0.6Gy/分で供給する8.5Gyまたは9.5Gyコバルト−60ガンマ線照射の1時間または24時間前に投与した、生理食塩水、PEG賦形剤、または400mg/kgゲニステイン(ゲニステイン−400)の単一経口(po)投与の後に評価した(N=16)。照射後、マウスをそれらの元の籠に戻し、そこで30日間にわたり生存を監視した。生理食塩水を投与した雄CD2F1マウスの放射線LD50/30は約8.3Gyであると測定された。30日生存率はカイ2乗検定を用いて分析した。
【0073】
図3および4に示すように、8.5Gy照射1時間前に与えた場合、ゲニステインは生存率を高めないという結果が実証された。しかし、8.5Gy照射24時間前に与えた場合、図3および5に示すように、生理食塩水および賦形剤対照マウスの63%が照射後30日生存したが、一方でゲニステインの単一投与を受けるマウスの88%が生存した。これらの結果は、ゲニステインがこの放射線量で放射線防護特性を有することを示している。より高い放射線量(9.5Gy)を投与する場合、照射の1時間または24時間前に与えたゲニステインは、図6〜8に示すように、生存率を高めなかった。しかし、照射24時間前にゲニステイン400mg/kgを受けたマウスは、ゲニステインの薬効を示して対照動物よりも約1週間長い間生存した(図8を参照すること)。照射前または前および後に毎日与えられるゲニステインの多数回経口投与が生存率を高めるかどうかを決定するために、以下の実施例2に記載するような別の実験を行った。
【0074】
実施例2
ゲニステインの多数回経口投与の防護効果
この実施例は、照射前または前および後に投与したゲニステインの多数回経口投与の防護効果を測定するための実験を記載する。これらの実験において、致死線量(9.5Gy)ガンマ線照射前4日間(pre)、後4日間(post)、または前4日間および後4日間(pre+post)のいずれかに対してゲニステイン100mg/kgまたは400mg/kgをマウス(N=16/組)にpo投与した。照射前ゲニステイン組の動物は照射後PEG賦形剤を受け、照射後ゲニステイン組は照射前にPEG賦形剤を受けた。こうして、すべての動物に8日間の賦形剤またはゲニステインいずれかの経口チューブ補給を与えた。照射後投与は照射1時間後に始めた。照射前および後の両方で生理食塩水またはPEGのいずれかを受ける二つの組も含めた。これは合計8の処置条件をもたらした:1)生理食塩水対照;2)PEG賦形剤対照;3)ゲニステイン−100前;4)ゲニステイン−100後;5)ゲニステイン−100前+後;6)ゲニステイン−400前;7)ゲニステイン−400後;および8)ゲニステイン−400前+後。
【0075】
ゲニステインの多数回投与が、比較的高線量(9.5Gy)のガンマ線での放射線致死から動物を防護することができることを、結果は示している。生理食塩水、PEG賦形剤に対する30日生存率はそれぞれわずかに0%および19%であることが図9に提供されている。図9および10に示すように、ゲニステイン−100前、後、および前+後に対する生存率はそれぞれ0%、0%および50%であったが、一方で図9および11に示すように、ゲニステイン−400前、後、および前+後組に対する生存率はそれぞれ44%、0%および69%であった。これらの実験により、イソフラボン・ゲニステインが放射線の致死線量に対して動物を防護し得ることが実証された。
【0076】
実施例3
ゲニステインの皮下投与
この実施例において、投与の別経路を用いる実験を行った、すなわち、ゲニステインの単一皮下注入で照射24時間前に投与した。これらの実験において、致死線量の放射線の24時間前に、生理食塩水、PEG賦形剤、ゲニステイン100mg/kg、またはゲニステイン400mg/kgのいずれかを首筋中に単一皮下(sc)注入としてマウスに与えた。これら両方のゲニステインの投与量は、本明細書において記載される感受性自発運動試験を用いて非毒性であることが実証された。
【0077】
生理食塩水またはPEG賦形剤を受けた対照マウスの内、それぞれわずかに13%および6%が全身放射線被曝後30日生存した。反対に、図12および13に示すように、ゲニステイン単一投与を受けた組において有意により多くのマウスが生存した。実際、ゲニステイン−100組のマウスの69%が生存し、一方でゲニステイン−400を受けたマウスの81%が生存した。これらの結果から、明確に、皮下注入されたゲニステインの単一投与が極めて有力な放射線防護剤であることが実証される。
【0078】
実施例4
行動毒性
この実施例において、放射線防護性であると測定されたゲニステインの単一経口投与の行動毒性を測定するために行われた実験が記載される。行動実験を非照射マウスにおいて行って、自発運動に及ぼすゲニステインの影響、技術上周知の行動毒性の感受性指数を測定した(MacPhail,J.Am.Coll.Toxicol.,8:117〜125[1989])。
【0079】
これらの実験において、前述のような自発運動を定量化するために、電子化ディジスキャン運動監視装置(オムニテック)を用いた(Landauer et al.,J.Radiat.Res.,38:45〜54[1997])。各監視装置には、全歩行距離を測定するために2.5cm間隔に置いた一連の赤外線光センサーを用いた。生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン50、100、200または400mg/kgの経口チューブ補給(po)直後に、マウス(N=8/組)をそれぞれ個別のプレキシグラス運動室(20cmX20cmX30cm)中に入れた。自発運動試験を暗サイクルの冒頭から開始し、48時間にわたり続けた。各動物を1度だけ試験した。食品および水は試験期間を通して摂取可能であった。行動研究に用いられる動物はいずれも照射されなかった。自発運動データを統計的に分析するために分散分析を用いた。
【0080】
行動研究により、チューブ補給で経口的に(po)または注入で皮下から投与したゲニステインのすべての投与量(50〜400mg/kg)は、図14に示すように、自発運動への影響を全く及ぼさないことが明らかとなった。ゲニステイン処置動物の行動は対照群と全く異なる所はなく、ゲニステインには、この感受性行動試験により示されるように、運動性副作用は全く見られないことが示された。
【0081】
実施例5
皮下ゲニステイン注入の行動毒性
この実施例において、ゲニステインの単一皮下注入が、経口投与実施例4の自発運動試験により測定されたように、いかなる行動副作用を及ぼすのかを測定するための実験が記載される。
【0082】
生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン50、100、200または400mg/kgの皮下(sc)投与を受けた直後に、マウス(N=8/組)を48時間にわたり上述の自発運動監視装置中に入れた。結果として、図15に示されるように、ゲニステインのsc投与は自発運動に及ぼす影響は全くなく、ゲニステインは行動毒性をもたらさなかったことを表すことが示される。
【0083】
実施例6
握力および運動協調性試験により測定される行動毒性
この実施例において、ゲニステインの単一経口または皮下注入が、握力試験または運動協調性試験により測定されるような行動毒性を生み出すかどうかを測定するために行われた実験が記載される。以下にさらに検討されるように、これらの結果により、さらに、経口的または皮下的いずれかで急性投与した100、200、または400mg/kg投与量において毒性がないことが実証された。
【0084】
I.行動実験
逆転スクリーンテストを用いて、前肢握力および運動協調性に及ぼすゲニステインの急性効果を測定するために非照射マウス(N=10/組)10組による行動実験を行った。組毎に各マウスは、生理食塩水、PEG、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgの単一皮下注入または単一チューブ補給を受けた。すべての薬剤を注入体積0.1mlで皮下的に投与した。注入の日は「0日目」であると考えられた。
【0085】
II.握力試験
前肢握力能力を確定手順(Meyer et al.,Neurobehav.Toxicol.,1:233〜236)を用いて評価した。ピークの前肢握力をシャティヨン・ディジタル・フォース・ゲージ(モデルDFI2)によりキログラムで測定した。ゲージをステンレスT−形鋼に取り付けた。その前足をT−形鋼の上に乗せてマウスを置き、その握りが放れるまで一定の速度で尻尾により後ろへ静かに引っ張った。偏りを排除するために、握力試験を行う個人には動物が受けた処置について知らせなかった。マウス当り二つの試みを行い、これらの試みの平均値を算定して前肢握力を評価した。試験は明/暗サイクルの明部の間にゲニステイン投与後1、4、および14日目に行った。
【0086】
図16は生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgの急性皮下投与後1、4、および14日目に評価されたマウスの前肢握力に及ぼすゲニステインの影響を示す。0日目は注入日であった。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【0087】
図17は生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgの急性経口チューブ補給後1、4、および14日目に評価されたマウスの前肢握力に及ぼすゲニステインの影響を示す。0日目は注入日であった。組間に有意な差異は全くなかった。
【0088】
III.運動協調性評価
握力試験に加えて、逆転スクリーンテストを用いて運動協調性を評価した(Coughenour et al.,Phamacol.Biochem.Behav.,6:351〜353[1977])。各マウスを、単独で、机の上31cmの金属棒上に水平に取り付けた各々13X13cmサイズの4個のワイヤーメッシュスクリーンの内の一つの頂部に置いた。次に、装置をゆっくりと180度回転させ、その結果マウスはスクリーンの底で逆さまに吊らされる。自然の傾向は、マウスがスクリーンの頂部に登ることである。60秒後、各動物を2組:(1)頂部に登った動物;及び(2)底にしがみ付くかまたはスクリーンから落下した動物、の内の一つに割り振った。動物は、それが60秒以内にすべての4本足を使ってスクリーンの頂部までよじ登って帰ってくる場合に、試験に合格したと見なされた。それが落下する場合に動物の傷害を予防するために各スクリーンの直下に置かれるクッションは、マウスが落下することを選べないであろうように、十分な高さにある。すべてのマウスに対して処置24時間前に予備試験を行い、予備試験においてスクリーンの頂部に登ることができたものだけを本実験で用いた。
【0089】
図18は生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgの急性皮下投与後1、4、および14日目に評価されたマウスの逆転スクリーンテストにより測定される運動協調性に及ぼすゲニステインの影響を示す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【0090】
図19は生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgの急性経口投与後1、4、および14日目に評価されたマウスの逆転スクリーンテストを用いる運動協調性に及ぼすゲニステインの影響を示す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【0091】
IV.体重
注入後14日間を通して握力試験および逆転スクリーンテストに用いられた同じ非照射動物を計量した。沈滞、毛皮の状態、および一般的な健康などの臨床的症状を計量時に監視した。
【0092】
図20は生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgの急性皮下投与を受けたマウスの平均(SEM)体重を示す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【0093】
図21は生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン100、200、または400mg/kgの急性経口投与を受けたマウスの平均SEM体重を示す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【0094】
V.精巣重量および組織病理
注入後14日目に、2対照組(生理食塩水およびPEG)からのすべてのマウスおよび高投与組(ゲニステイン400mg/kg)からのそれらを安楽死させ、検死した。各動物の全体吟味後、精巣からの組織、肝臓、副腎、腸間膜リンパ節、脾臓、および大腿骨および胸骨の骨髄を、技術上公知の方法を用いて、収集し、緩衝化ホルマリン中に入れ、パラフィンで埋め込み、区分化し、ヘマトキシリンおよびエオシンにより染色した。精巣上体なしでの両方の精巣の湿重量をホルマリン漬けにする前に測定した。正式の獣医病理学者がすべての組織を検査した。結果は総検死および組織病理が正常であることを示した。
【0095】
図22は生理食塩水、PEG賦形剤、またはゲニステイン400mg/kgの単一経口チューブ補給または皮下注入の精巣重量に及ぼす影響を示す。重量は、精巣上体を除いた両方の精巣の、注入後14日の合計を示す。垂直線は平均SEMを表す。示されるように、組間に有意な差異は全くなかった。
【0096】
VI.統計分析
握力、体重、および精巣重量を統計的に分析するために、分散およびフィッシャーの最小有意差試験分析を用いた。逆転スクリーンテストおよび30日生存データの分析のために、フィッシャーの直接確率検定を用いた。
【0097】
結果により、非照射成人雄マウスに投与した大豆イソフラボン・ゲニステインの急性経口または皮下投与量(100−、200−、または400−mg/kg)は有害な臨床的症状または行動毒性を全くもたらさないことが示された。ゲニステイン100〜400mg/kgの急性経口または皮下投与量は体重の変化を全くもたらさなかった。ゲニステインの急性経口または皮下投与後、生理食塩水対照組に対する精巣重量に比べた場合、精巣重量に及ぼすPEG賦形剤またはゲニステイン400mg/kg(高投与量)からの影響は全くなかった。ゲニステイン400mg/kgまたはPEG賦形剤で処置した成人マウスの総検死および組織病理学検査により、組織形態学における異常性が全くないことが示された。
【0098】
実施例7
最適皮下防護投与量の決定
本実施例において、放射線照射24時間前に投与したゲニステインの単一皮下注入が放射線傷害に対してマウスを防護する最適投与量および投与量の範囲を確定するために行われた以下の実験が記載される。放射線防護を30日生存により測定した。放射線量が9.5Gy60−コバルトであり線量率が0.6Gy/分で、用量−反応実験を行った。用いた放射手順は上述のそれと同じであった。
【0099】
これらの実験において、雄CD2F1マウス(N=16〜48/組)に、PEG−400賦形剤中ゲニステインの単一皮下用量を投与した。各マウスに、0.6Gy/分での9.5Gy照射24時間前に皮下的に投与する生理食塩水、PEG賦形剤、ゲニステイン3.12、6.25、12.5、25、50、100、200または400mg/kgのいずれかを与えた。30日後のこれらの各組の生存%は、図23および24に示されるように、生理食塩水=8%、PEG−400賦形剤=15%、ゲニステイン3.125mg/kg=6%、6.25mg/kg=0%、12.5mg/kg=19%、25mg/kg=60%、50mg/kg=56%、100mg/kg=65%、200mg/kg=91%、および400mg/kg=85%であった。これらのデータにより、ゲニステイン25mg/kg以上の投与量が放射線傷害からマウスを防護する上で賦形剤よりも有意に(p<0.001)優れていることが実証される。
【0100】
要約すれば、放射線防護のための方法および組成物を含む本発明は、従来技術よりも数多くの進歩および利点を提供する。上述のすべての公開物および特許は本明細書において参考のために包含する。本発明の記載された方法およびシステムの種々の修正および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明白である。本発明は特定の好ましい実施形態と関連して記載されてきたが、クレームされている通りの本発明は、不当にこうした特定の実施形態に限定されるべきでないことは理解されるべきである。実際に、診断、細胞培養、および/または関連分野における当業者に明らかである本発明を遂行するための記載された態様に対する種々の修正は、以下のクレームの範囲内にあると意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)対象、少なくとも一つのイソフラボノイドを含む組成物、および放射線源を用意し、
b)前記組成物を前記対象に投与し、そして
c)前記対象を前記放射線源により発生する放射線に曝露すること
を含む、対象の放射線防護のための方法。
【請求項2】
前記対象が前記放射線由来の組織損傷から防護される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イソフラボノイドがゲニスチン、ゲニステイン、6’’−O−Malゲニステイン、6’’−O−Acゲニステイン、ダイゼイン、6’’−O’Malダイゼイン、6’’−O−Acダイゼイン、グリシテイン、グリシチン、6’’−O−Malグリシチン、バイオチャニンA、フォルムオノネチン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
組成物中のイソフラボノイドの少なくとも一つが抗酸化剤である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記イソフラボノイドがエストロゲン活性を有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記の少なくとも一つのイソフラボノイドがチロシン・キナーゼ阻害剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記の少なくとも一つのイソフラボノイドが脈管形成阻害薬を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記の少なくとも一つのイソフラボノイドが前記対象の血液中の低密度リポタンパク質濃度を低下させる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記イソフラボノイドの少なくとも一つが血管拡張剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
組成物中のイソフラボノイドが大豆、大豆製品およびクローバーからなる群から選択される供給源から得られる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記イソフラボノイドがゲニスチン、ゲニステイン共役体、ゲニステイン誘導体、ゲニステイン類似物、天然ゲニステイン、および合成ゲニステインからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記イソフラボノイドが賦形剤中に溶解されている請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記賦形剤がポリエチレン・グリコールである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物がさらに1以上の医薬的に許容可能な担体、賦形剤、補助剤、および希釈剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が全身的に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が医薬的に許容可能な形態を取って投与される請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が単一投与において前記対象に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が多数回投与において前記対象に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記投与が、皮下注入、経口投与、静脈内投与、直腸投与、膣投与、局所投与、筋内投与、鼻腔内投与、経皮的投与、結膜下投与、眼内投与、眼周囲投与、球後投与、網膜下、脈絡膜上投与、およびクモ膜下投与からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記投与が機械式貯蔵所、装置、移植片、および傷当てからなる群から選択される供給源からの投与である請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が錠剤、カプセル、液体、ゲル、粉末、座薬、懸濁液、クリーム、ゼリー、エアゾールスプレー、および栄養補助食品からなる群から選択される形態を取る、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記栄養補助食品が未処理大豆食品を含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記栄養補助食品が単離された大豆タンパク質を含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
イソフラボノイドが食品成分の天然要素である請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が約0.1mg〜約2000mgの前記イソフラボノイドを含む請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記対象に投与される前記組成物の投薬量が約5mg/日〜約2000mg/日の前記イソフラボノイドである請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記対象に投与される前記組成物の前記投薬量が約25mg/日〜約1200mg/日の前記イソフラボノイドを含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記対象に投与される前記組成物の前記投薬量が約40mg/日〜約1200mg/日の前記イソフラボノイドを含む請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記対象に投与される前記組成物の前記投薬量が約30mg/日〜約200mg/日の前記イソフラボノイドを含む請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が前記対象体重の約400mg/kg/日未満の有効量の投薬量において前記対象に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が前記対象体重の約1mg/kg/日〜約20mg/kg/日の有効量の投薬量において前記対象に投与される請求項30に記載の方法。
【請求項32】
組成物が放射線曝露の約10分〜96時間前に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が多数回投与において投与される請求項31に記載の方法。
【請求項34】
組成物が放射線曝露後約1分〜48時間に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が多数回投与において投与される請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記放射線が電離放射線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子、マイクロ波、および電磁放射線からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項37】
ゲニスチン、ゲニステイン、6’’−O−Malゲニステイン、6’’−O−Acゲニステイン、ダイゼイン、6’’−O−Malダイゼイン、6’’−O−Acダイゼイン、グリシテイン、グリシチン、6’’−O−Malグリシチン、バイオチャニンA、フォルムオノネチン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、非毒性植物性エストロゲンのイソフラボノイドの治療的に有効な量を含む非毒性の放射線防護組成物。
【請求項38】
前記治療的に有効な量が予防的に有効な量である請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
a)ポリエチレン・グリコール(PEG)およびゴマ油賦形剤からなる群から選択される賦形剤中に、ゲニスチン、ゲニステイン、6’’−O−Malゲニステイン、6’’−O−Acゲニステイン、ダイゼイン、6’’−O−Malダイゼイン、6’’−O−Acダイゼイン、グリシテイン、グリシチン、6’’−O−Malグリシチン、バイオチャニンA、フォルムオノネチン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるイソフラボノイドを溶解して懸濁液を生成し、および
b)前記懸濁液中の前記イソフラボノイドを分離してイソフラボノイド溶液を生成する、
段階を含む少なくとも一つのイソフラボノイドを含む非毒性の放射線防護組成物を調合するための方法。
【請求項40】
前記溶液が、さらに、医薬的に許容可能な担体、賦形剤、補助剤、および希釈剤からなる群から選択される少なくとも一つの追加成分を含む請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−67123(P2012−67123A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−256095(P2011−256095)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2002−510114(P2002−510114)の分割
【原出願日】平成13年6月12日(2001.6.12)
【出願人】(502006782)アメリカ合衆国 (47)
【出願人】(508331350)ザ ヘンリー エム.ジャクソン ファウンデイション フォー ザ アドバンスメント オブ ミリタリー メディスン,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】