説明

植物性タンパク質およびマルトデキストリンを含有する造粒粉末、それを生成するための方法、およびその使用

本発明は、少なくとも1つの植物起源のタンパク質および少なくとも1つの澱粉加水分解物を含む造粒粉末であって、10μm〜500μm、好ましくは50μm〜350μm、またより好ましくは70μm〜250μmのレーザー体積平均径D4,3、また、130℃で2時間の乾燥後に測定される、80%超、好ましくは85%超、またより好ましくは90%超の乾物含量を有することを特徴とする造粒粉末に関する。本発明はまた、前記造粒粉末を生成するための方法と、乳化剤、充填剤、安定化剤、濃化剤および/またはゲル化剤などの機能剤として使用可能である様々な工業分野、より詳細には農業食品分野での、特に食品の製造において特定の動物性タンパク質を部分的または全体的に置き換えるための、その使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、植物性タンパク質およびマルトデキストリンおよび/またはグルコースシロップを含有する造粒粉末、またそれを生成するための方法およびその使用である。
【背景技術】
【0002】
食生活は、先進工業国においては、第二次世界大戦以来著しく変化しており、またさらにより最近では食品加工産業の後押しにより、人口集団の栄養行動が増大する影響力を受け、従来の栄養習慣に関する差異が徐々に不鮮明になる傾向がある。ますます座りがちな活動を伴う人々が増えつつあり、その日常のエネルギー需要が低下する傾向を有する工業社会において、この変化は、おそらくは、結石症のリスク、心血管系リスク、および糖尿病、肥満および特定の栄養に起因する癌のリスクの増大に寄与している。
【0003】
タンパク質は、我々の食事において、炭水化物および脂質に次ぐ第3の主要なエネルギー源を示す。それは、動物起源の製品(肉、魚、卵、乳製品)および植物性食品(穀物、マメ科作物など)の双方によって提供される。1日のタンパク質の需要は、食品摂取量の12%〜20%である。先進工業国では、これらの摂取は、主に動物起源のタンパク質の形態をなす。調査によると、我々は過多の動物起源のタンパク質(平均で摂取量の70%)および不十分な植物性タンパク質(30%)を消費していることが示されている。さらに、我々の食品は、脂質、特に飽和脂肪酸、さらに糖類が過多であり、食物繊維が少なすぎる。タンパク質摂取の観点では、過剰と同様に不十分は害がある、すなわち、不十分な摂取の場合、発達および成長が阻害されるリスクがある。過剰な摂取の場合、タンパク質を構成するアミノ酸が、酸化されるか、または炭水化物もしくは脂肪に変換される。かかる過剰は、特に動物性タンパク質の場合、おそらく好ましくない結果を伴わないはずがない、すなわちアミノ酸の酸化および変換に関する実際のリスクに加え、動物性タンパク質が豊富な食品が、たいてい脂質および飽和脂肪酸も豊富であることは銘記されるべきである。最近の調査によると、過剰な動物性タンパク質がその後における肥満の発症に関与することが示唆される。
【0004】
さらに、健康における優位性は、動物性タンパク質の過剰消費が、特定の癌および心血管疾患の増加における最大の原因となっていることから明らかである。
【0005】
さらに、動物の集約飼育は、深刻な環境問題をもたらす。肉生産は、植物に基づく食事に必要な生産よりも2倍の水と2〜4倍の空間を必要とする。動物飼育はまた、かなりの土壌および大気汚染を意味する。牛の飼育に由来する汚染が窒素廃棄物の観点では自動車汚染を上回ることが最近判明した。
【0006】
最後に、動物飼育は、世界の水資源での厄介な廃棄物を表し、すなわち、1kgの牛肉を生成するのに7kgの穀物が必要であり、1kgの豚肉を生成するのには4kgが必要であり、1kgの鶏肉を生成するのには2kgが必要である。家畜には、ヒトにとって食用である穀物、例えばダイズ(ここで使用される用語は固形物である)およびトウモロコシが与えられる。ブラジルでは、ダイズは、今日ではアマゾンの森林破壊の主因である。
【0007】
したがって、肉に由来する動物性タンパク質は、健康および環境の双方の観点で多くの欠点を有する。
【0008】
同時に、ミルクまたは卵に由来する動物性タンパク質は、アレルギーを起こす可能性があり、日常生活において、非常に厄介であり、または危険でさえある反応をもたらす。
【0009】
したがって、卵は、消化管を介して通過し、特定の個体では、生物の細胞によるヒスタミンの放出を誘発しうる食物アレルゲン(アレルゲンの1種)である。それは、炎症の症状に関与し、気管支筋の収縮を引き起こす物質である。過敏性は、最も一般的には、卵白に関連する。他方では、一部の個体では、それは、アレルギー反応を引き起こす卵黄中に含有されるタンパク質である。卵アレルギーは、食物アレルギーに関連した症状の全範囲、例えば膨満、消化管の問題、皮膚発疹、悪心、下痢、喘息発作および湿疹を引き起こすことから、特別である。卵白アレルギーは、アレルギー体質の個体の死亡をもたらしうる激しい反応(それが直ちにアドレナリンの注射を受けない場合)であるアナフィラキシーショックにまで至る可能性がある。
【0010】
乳製品アレルギーは、最も広範なアレルギー反応の1つである。調査によると、食物アレルギーを患う65%の個体がミルクに対してアレルギーを起こすことが示されている。本明細書中で「乳製品アレルギー」と称される、ミルクアレルギーの成体形は、不要な食物と闘うために抗体を産生する免疫系の反応である。このアレルギーは、新生児および幼児に影響を与える牛乳タンパク質(ウシタンパク質)アレルギーとは異なる。乳製品アレルギーは、様々な症状、例えば便秘、下痢、鼓腸、湿疹、じんましん、悪心、片頭痛、感染、腹部けいれん、鼻詰まりおよびさらに重篤な喘息発作を引き起こす。アレルギー体質の個体であれば、ミルク、乳製品およびそれらの派生物を、その食事から完全に排除する必要がある。次の用語は、製品の成分、すなわち、バターミルク、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼイン、カゼイン塩、加水分解カゼイン、乾燥乳固体、ラクトアルブミン、乳糖、ラクトグロブリン、低脂肪乳、粉乳、練乳および乳清の中に、牛乳もしくはその派生物が存在することの指標である。
【0011】
乳タンパク質に関連した別の主な課題は、増大の一途をたどるそのコストである。ミルククオータ(quotas laitiers)の適用は、一方では食品の生産において利用可能な乳タンパク質の量における著しい減少、他方ではそれらの価格における大幅な変動を引き起こしている。製造業者は、これらの乳タンパク質に対する代用製品をますます探求している。
【0012】
それらが経済的、環境的、または栄養的に満たされるか否かといった、肉および/または派生製品に由来する動物性タンパク質の消費に関連したすべての不利益を考慮すると、結果として、代替タンパク質(植物性タンパク質がその中に分類される)とも称される代用タンパク質の使用に多大な関心が寄せられている。これらのタンパク質に対する代替市場は、多くの理由で、急速に発展している。これらのタンパク質は、低い血糖インデックス(GI)および高いタンパク質摂取量に基づくバランスの取れた食物および食事の調合に相当な影響力を有し、また、従来の製造業者は、それらの製品を強化するため、タンパク質の新しい供給源を探求し始めている。
【0013】
例えば、国際公開第2008/066308号パンフレットの文書では、ダイズタンパク質と結合された、バランスの取れた食事に必須の栄養素の最適な組み合わせを含有する食物組成物についての記載がなされている。この組成物は、特に有害なタンパク質摂取量を低減することにより、肥満の問題を低下させることが可能である。
【0014】
欧州特許第0522800号明細書の文書では、植物性タンパク質濃縮物を処理し、脂肪および水に結合するためのその機能性を高めるための新規の方法と、さらに、ソーセージの製造における動物性タンパク質との置き換えとしてのその使用についての記載がなされている。
【0015】
欧州特許第0238946号明細書の文書では、比較的低い脂質含量を有する穀実用マメ科作物の種子に由来する改善されたタンパク質単離物と、それを製造するための方法と、さらにソーセージおよびサビロイの製造における添加剤としてのその使用についての記載がなされている。
【0016】
出願人企業はまた、有利な機能特性を有するが、特定の既存の化合物の欠点を伴わない化合物に対する、製造業者からの高まる需要を満たすことができるように、この研究に着目した。
【0017】
詳細には、栄養と同じく、薬学、化粧品、農芸化学、建設資材および紙−ボール紙などの多様な分野で、製造業者は、健康の観点で肯定的かつ有益なイメージを有し、かつ、変化に富むテクスチャを有する製品を製造するため、媒体の機能特性を改良する能力がある新しい化合物を常に探索している。
【0018】
したがって、出願人は、食物成分としての植物性タンパク質材料(MPV)に対して、相当な調査研究を行っている。MPVへのこの興味は、第一にその極めて多数の機能特性、さらにその「必須」アミノ酸組成に基づく有利な栄養品質によるものである。
【0019】
本願では、用語「MPV」は、50%以上のタンパク質含量(N×6.25)を得ることを目的に、油性植物、豆科植物または穀物から、主要な非タンパク質成分(水、油、澱粉、他の炭水化物)の一部を低減または除去することによって得られる食物成分を示す。タンパク質含量は、ビタミンおよび無機塩類を除く乾燥重量を基準として計算される。
【0020】
MPVは、食品用途における使用が増加している。それは、既知の用途、またはそれ以外では、まさに完全に新しい創造における使用において、常に改善されつつあるその膨張、テクスチャリング、乳化、濃化、安定化、発泡またはゲル化特性が理由で、重要な成分になっている。
【0021】
したがって、本発明の目的の1つは、動物性タンパク質に対する置き換えとしての植物性タンパク質を提起すると同時に、それが使用される製品中で、機能特性、風味およびおいしさ、さらに、少なくとも同様かまたはさらに改善された栄養価を保持できるようにすることである。製品は、
− そのタンパク質の品質が元の製品の品質より劣らない場合、および
− それが、動物起源の製品中に存在する量と等しい量のタンパク質(N×6.25)、無機塩類およびビタミンを含有する場合、
等しい栄養価を有することになる。
【0022】
タンパク質は、多数の新鮮食品または加工食品の官能的品質、例えば、肉および肉製品、ミルクおよび派生物、パスタおよびパンの稠度(consistance)およびテクスチャにおける重要な役割を果たす。これらの食品品質は、かなり頻繁に、タンパク質成分の構造および物理化学的特性、またはまさにその機能特性に依存する。
【0023】
本願では、用語「食物成分の機能特性」は、食物中の成分の有用性に影響を与える任意の非栄養的特性を意味する。これらの様々な特性の場合、食物の所望される最終特性の獲得に寄与することになる。これらの機能特性の一部は、溶解度、水和、粘度、凝固、安定化、テクスチャリング、生地形成、ならびに発泡および凝固特性である。
【0024】
動物性タンパク質の置き換えと、その結果としての、その使用に関連した多数の不利な点の排除に加え、出願人企業はまた、MPVに加え、異なるが、相補的機能および/または栄養特性を有する他の化合物を含有する、新規のすぐに使える食物成分の形成に専念している。
【0025】
確かに、現在では、最大の費用対効果のため、製造業者側で、また最も具体的には食品加工産業において、製造プロセスを簡素化するという要望が高まりつつある。
【0026】
食品製造プロセスのこの簡素化の結果、特に、使用される化合物の数、詳細には最終製品の製造に関与する成分が減少する。成分におけるこの減少により、製品の製造時間を制限することと、製造プロセスを簡素化し、かつそのコストを低下させることの両方が可能になる。しかし、それは、テクスチャまたは上記製品の機能、栄養、知覚もしくは官能特性のいずれも変更してはならない。
【0027】
さらに、食品製造プロセスを簡素化するという要望に加え、使用される上記成分の形態に対する製造業者の要望はますます厳しくなっている。乾燥形態は、保存、保管または処理のいずれの観点でも、例えば時間とともに安定性が著しく低下する液体形態と比較して、製造業者にはるかに好まれる形態である。にもかかわらず、粉末形態での成分の使用は、これらの製品が、溶解しにくい場合があり、それにより、沈殿し、プロセスの間での塊の形成とそれによる成分の不均一分布による低い分散性がもたらされうるという不利な点を有する。さらに、粉末製品の処理は、特に作業者が吸い込むかもしれない乾燥残留物に起因する安全性の問題を、火気および爆発のリスクの他にもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上記のすべての結果として、最終製品の製造において使用される添加剤の数を減少させることを可能にすると同時に、上記添加剤を別々に使用することによって得られる場合と同様の技術的特性をそれに提供するといういくつかの有利な機能特性を有し、また、容易に水和可能であり、乾燥形態であるが非粉末形態である、動物起源のタンパク質に対する代用物として使用される組成物を得るという、現実的な満たされていない需要が存在する。
【0029】
この観察を踏まえ、また相当量の研究を行った後、出願人企業は、その威信をかけて、現在まで調和させることが困難であるという評判であったすべてのこれらの目的を、
− 植物性タンパク質および澱粉加水分解物を結合させ、ここでそれ自体が、有利で所望される機能特性および/または栄養特性および/または技術的特性を有し、
− 乾燥形態であるが非粉末形態、すなわち粒状形態であって、それは造粒粉末と称され、
− 80%超、好ましくは85%超、またさらにより好ましくは90%超の乾物含量を有し、
− 「インスタントな(instant)」性質を有する、すなわち、この造粒粉末は、非常に良好な湿潤性、分散性および水への溶解度を有する
といったことを特徴とする、特に植物性タンパク質を含有する新規の組成物を提起することによって調和させた。
【0030】
上記造粒粉末は、先行技術において記載される粉末の単純な物理的混合物に対して、水への良好な分散および低温条件下での良好な溶解、および計量作業の上での良好な流動性を示すこと、および、ダストの不在のおかげで、粉末を処理するための良好な環境を提供することを特徴とする。さらに、この造粒粉末は、様々な成分の単純な物理的混合の場合には得ることが困難であったであろう、改善された機能特性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0031】
したがって、本発明の対象は、少なくとも1つの植物起源のタンパク質および少なくとも1つの澱粉加水分解物を含有する造粒粉末であって、ここで、10μm〜500μm、好ましくは50μm〜350μm、またさらにより好ましくは70μm〜250μmのレーザー体積平均径D4,3と、130℃で2時間の加熱処理後に測定される、80%超、好ましくは85%超、またさらにより好ましくは90%超の乾物含量と、を有することを特徴とする、造粒粉末である。
【0032】
本発明はまた、この造粒粉末を生成するための方法と、様々な工業分野、またより詳細には食品加工分野において、乳化剤、膨張剤、安定化剤、濃化剤および/またはゲル化剤などの機能剤としてそれが使用される場合での、特に食品の製造において特定の動物性タンパク質を全体的または部分的に置き換えるための、その使用とに関する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、少なくとも1つの植物性タンパク質および少なくとも1つの澱粉加水分解物を含有する造粒粉末であって、ここで、10μm〜500μm、好ましくは50μm〜350μm、またさらにより好ましくは70μm〜250μmのレーザー体積平均径D4,3と、80%超、好ましくは85%超、またさらにより好ましくは90%超の、130℃で2時間の加熱処理後に測定される乾物含量と、を有することを特徴とする、造粒粉末に関する。
【0034】
本発明では、上記造粒粉末は、澱粉加水分解物に対する植物性タンパク質の重量比が、99:1〜1:99、好ましくは80:20〜20:80、さらにより好ましくは65:35〜35:65、詳細には55:45〜45:55であることを特徴とする。
【0035】
本発明では、上記造粒粉末は、植物性タンパク質と澱粉加水分解物との量の合計が、上記造粒粉末の全質量の30%〜100%、好ましくは50%〜100%(乾燥/乾燥)であることを特徴とする。
【0036】
本発明では、用語「植物性タンパク質」は、穀物、油性植物、豆科植物および塊茎植物に由来するすべてのタンパク質を示す。
【0037】
本発明では、用語「植物性タンパク質」はまた、藻類および微細藻類に由来するすべてのタンパク質を示す。
【0038】
これらの植物性タンパク質は、単独でまたは同じ科もしくは異なる科から選択される混合物として使用してもよい。
【0039】
したがって、本発明による上記造粒粉末は、植物性タンパク質が、単独でまたは同じ科もしくは異なる科から選択される混合物として使用される、穀物、油性植物、豆科植物、塊茎植物、藻類および微細藻類の科に由来するタンパク質であることを特徴とする。
【0040】
本発明では、用語「藻類」および「微細藻類」は、根、茎および葉が欠如しているが、葉緑素だけでなく酸素を生成する光合成に付随する他の色素を有する真核生物を意味するように意図される。それらは、青色、赤色、黄色、金色および茶色であるか、またはそれ以外では緑色である。それらは、90%超の海洋植物および18%の植物界を表し、かつ40000〜45000種を含む。藻類は、それらのサイズおよびそれらの形状の観点とそれらの細胞構造の観点の双方で、極めて多様な生物である。それらは、水中または高湿潤環境下で生存する。それらは、多数のビタミンおよび微量元素を含有し、また、健康と美容の刺激剤でありかつそれに対して有益である活性剤の真の濃縮物である。それらは、抗炎症、水和、鎮痛、再生、引き締めおよび老化防止特性を有する。それらはまた、食品テクスチャの付与を可能にする「技術的」特性を有する。詳細には、評判の高いE400からE407の添加剤は、実際には単に藻類から抽出される化合物であり、それらの濃化、ゲル化、乳化および安定化特性が使用される。
【0041】
厳密な意味での微細藻類は、未分化の単細胞または多細胞の微細藻類であり、それらは、2つの多元的集団、すなわち真核生物および原核生物に分かれる光合成微生物である。それらは、厳しい水環境下で生存し、鞭毛運動性を有しうる。
【0042】
1つの好ましい実施形態によると、微細藻類は、クロレラ(Chlorella)、スピルリナ(Spirulina)およびオドンテラ(Odontella)からなる群から選択される。
【0043】
さらにより好ましい実施形態によると、本発明の微細藻類は、クロレラ(Chlorella)属に由来し、好ましくはクロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)、クロレラ・レギュラリス(Chlorella regularis)またはクロレラ・ソロキニアナ(Chlorella sorokiniana)に由来し、またさらにより好ましくはクロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)に由来する。
【0044】
本願では、用語「穀物」は、食用種子、例えば、小麦、オート麦、ライ麦、大麦、トウモロコシ、ヒマワリ、ソルガムまたは米を生成するイネ科の栽培植物を意味するように意図される。穀物は、粉末の形態で粉砕されることが多いが、粒として、また場合によって全植物の形態(飼料)で存在する。
【0045】
本願では、用語「塊茎植物」は、冬季期間中での植物の生存や、多くの場合、植生過程による植物の繁殖を保証する、一般に地下に存在するすべての貯蔵器官を意味するように意図される。これらの器官は、貯蔵物質の蓄積のおかげで膨らんでいく。塊茎に変わる器官は、
− 根:ニンジン、パースニップ、キャッサバ、コンニャク
− 根茎:ジャガイモ、キクイモ、草石蚕、サツマイモ
− 茎の基部(より詳細には胚軸):コールラビ、セルリアック
− 根+胚軸の組み合わせ:ビートルート、ダイコン
でありうる。
【0046】
本願では、用語「油性植物」は、食用、エネルギーまたは工業的用途の油が抽出される、特に、脂肪に富むそれらの種子またはそれらの果実のために栽培される植物、例えば菜種油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ゴマ油およびヒマシ油植物を示す。
【0047】
本発明の目的のため、用語「豆科植物」は、ジャケツイバラ
【化1】


科、ネムノキ
【化2】


科またはパピロナセアエ
【化3】


科に属する任意の植物、詳細には、パピロナセアエ科、例えばエンドウ(pois)、インゲンマメ(haricot)、フェーヴ
【化4】


、フェヴロール
【化5】


、レンズマメ(lentille)、アルファルファ、クローバーまたはルピナスに属する任意の植物を意味するように意図される。
【0048】
この定義は、特に、R.Hooverら、1991年による記事(Hoover R.(1991年) 「Composition,structure,functionality and chemical modification of legume starches:a review」Can.J.Physiol.Pharmacol.、69、79−92頁)の中に含まれる表のいずれか1つに記載のすべての植物を含む。
【0049】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、植物性タンパク質は、豆科植物タンパク質に属する。
【0050】
別の好ましい実施形態によると、豆科植物タンパク質は、エンドウ、インゲンマメ、フェーヴおよびフェヴロール、およびこれらの混合物を含む群から選択される。別の好ましい実施形態によると、豆科植物タンパク質は、アルファルファ、クローバー、ルピナス、エンドウ、インゲンマメ、フェーヴ、フェヴロールおよびレンズマメ、およびそれらの混合物を含む群、ならびに好ましくはエンドウ、インゲンマメ、フェーヴおよびフェヴロール、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0051】
さらにより好ましくは、上記豆科植物タンパク質は、エンドウである。
【0052】
用語「エンドウ」は、ここでは、その広義では、
− 滑らかな(smooth)エンドウおよびしわのある(wrinkled)エンドウのすべての野生型品種、および
− 滑らかなエンドウおよびしわのあるエンドウのすべての突然変異品種、
と考えられ、また特にそれらを含み、それは、上記品種の一般に意図される用途(ヒト消費用食品、動物飼料および/またはその他の用途)とは無関係である。
【0053】
上記突然変異品種は、特に、表題「Developing novel pea starches」(Proceedings of the Symposium of the Industrial Biochemistry and Biotechnology Group of the Biochemical Society、1996年、77−87頁)で、C−L Heydleyらによる記事に記載の、「r突然変異体」、「rb突然変異体」、「rug3突然変異体」、「rug4突然変異体」、「rug5突然変異体」および「lam突然変異体」として知られるものである。
【0054】
さらにより好ましくは、上記豆科植物タンパク質は滑らかなエンドウである。
【0055】
確かに、エンドウは、1970年代以降、動物飼料用だけでなく、ヒト食事用のタンパク質源として、ヨーロッパ、主にフランスにおいて最も広く開発されている、タンパク質が豊富な種を有する豆科植物である。
【0056】
エンドウタンパク質は、すべての豆科植物タンパク質と同様、タンパク質の3つの主要クラス、すなわちグロブリン、アルブミンおよび「不溶性」タンパク質から構成される。
【0057】
エンドウタンパク質の価値は、その良好な乳化能、そのアレルギー誘発性の欠如およびその低いコストにあり、それは経済的な機能成分をもたらす。
【0058】
さらに、エンドウタンパク質は、好ましくは持続可能な発展に寄与し、その炭素への影響は非常に肯定的である。これは、エンドウが空気由来の窒素を固定することから、エンドウの栽培が環境に優しく、窒素肥料を必要としないことが理由である。
【0059】
それに加え、天然の球形でのエンドウタンパク質は、水溶性であり、それにより、それがエマルジョンに組み込まれる姿が想像できる。
【0060】
本発明によると、用語「エンドウタンパク質」は、好ましくは、主に天然の球形での、グロブリンまたはアルブミンであるエンドウタンパク質を示す。
【0061】
さらにより好ましくは、本発明に従って使用される植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質は、植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の組成物の形態であり、以下を有する。
− 乾燥生成物の少なくとも60重量%の全タンパク質含量(N×6.25)(乾燥生成物のグラムで表される)。好ましくは、本発明と関連して、乾燥生成物の70重量%〜97重量%、好ましくは76%〜95%、さらにより好ましくは78%〜88%、詳細には78%〜85%の高いタンパク質含量を有するタンパク質組成物が使用される。
− 20%〜99%の可溶性タンパク質含量(タンパク質の水溶解度を測定するための試験に従って表される)。好ましくは、本発明と関連して、35%〜95%、好ましくは45%〜90%、さらにより好ましくは50%〜80%、詳細には55%〜75%の高い可溶性タンパク質含量を有するタンパク質組成物が使用される。
【0062】
全タンパク質含量を測定するため、試料中に含有される可溶性窒素画分は、ケルダール法に従って定量的に測定可能であり、次いで全タンパク質含量は、乾燥生成物の重量百分率として表される窒素含量に因数6.25を乗じることによって得られる。この方法は、当業者に周知である。
【0063】
本発明では、全タンパク質含量はまた、試料中に含有される可溶性窒素画分を、Buckee、1994年、「Journal of the Institute of Brewing」、100、57−64頁によって言及される、A.Dumas、1831年、Annales de chimie [Annals of chemistry]、33、342頁の方法に従って定量的に測定することによって測定可能であり、次いで、全タンパク質含量は、乾燥生成物の重量百分率として表される窒素含量に因数6.25を乗じることによって得られる。窒素を測定するための燃焼法としても知られるこの方法は、酸素下での有機マトリックスの完全燃焼からなる。生成される気体は、銅によって還元され、次いで乾燥され、二酸化炭素が捕捉される。次いで、窒素がユニバーサルな検出器を使用して定量される。この方法は、当業者に周知である。
【0064】
可溶性タンパク質含量を測定するため、pHがHClもしくはNaOHの溶液を用いて7.5+/−0.1に調整された水に可溶性のタンパク質の含量は、蒸留水中の試料の試験標本の分散、上清の遠心分離および分析に関する方法によって測定される。20℃+/−2℃での200.0gの蒸留水が400mlのビーカー内に入れられ、全体が磁気的に撹拌される(マグネット棒および200rpmでの回転)。正確に5gの分析対象の試料が添加される。混合物は、30分間撹拌され、4000rpmで15分間遠心分離される。窒素を測定するための方法は、過去に記載された方法に従い、上清に対して実施される。
【0065】
これらの植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の組成物は、好ましくは、50%、60%、70%、80%もしくは90%超の、1000Daを超えるタンパク質を含有する。さらに、これらの植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の組成物は、好ましくは、
− 100000Daを超える、1%〜8%、好ましくは1.5%〜4%、またさらにより好ましくは1.5%〜3%のタンパク質、
− 15000Daを超え、最大で100000Daの、20%〜55%、好ましくは25%〜55%のタンパク質、
− 5000Daを超え、最大で15000Daの、15%〜30%のタンパク質、および
− 最大で5000Daの、25%〜55%、好ましくは25%〜50%、またさらにより好ましくは25%〜45%のタンパク質
からなる分子量分布特性を有する。
【0066】
上記植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の組成物を構成するタンパク質の分子量の測定は、変性条件下(SDS+2−メルカプトエタノール)でのサイズ排除クロマトグラフィーによって行われ、分離は、分離されるべき分子のサイズに従ってなされ、ここで大きいサイズの分子は最初に溶出される。
【0067】
本発明によるエンドウタンパク質組成物の例だけでなく、分子量を測定するための方法の詳細については、特許の国際公開第2007/017572号パンフレット(その出願人企業は所有者でもある)中に見出されうる。
【0068】
本発明によると、造粒粉末を生成するために使用される、上記植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質はまた、「植物性タンパク質濃縮物」または「植物性タンパク質単離物」、好ましくは「エンドウタンパク質濃縮物」または「エンドウタンパク質単離物」であってもよい。植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の濃縮物および単離物は、それらのタンパク質含量の観点から規定される(1983年、「Proceedings of European congress on Plant proteins for human food」(3−4)、267−304頁のJ.Gueguenによるレビューを参照)。すなわち、
− 植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の濃縮物は、乾物に対して60%〜75%の全タンパク質含量を有するものとして記載され、また
− 植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の単離物は、乾物に対して90%〜95%の全タンパク質含量を有するものとして記載され、
ここで、タンパク質含量はケルダール法(上記参照)によって測定され、窒素含量は因数6.25が乗じられる。
【0069】
本発明の別の実施形態では、使用可能な植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の組成物は、「植物性タンパク質加水分解物」、好ましくは「エンドウタンパク質加水分解物」であってもよい。植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の加水分解物は、植物性タンパク質、詳細にはエンドウタンパク質の、酵素加水分解もしくは化学的加水分解、または双方により、同時にまたは連続的に得られる調製物として規定される。タンパク質加水分解物は、様々なサイズのペプチドおよび遊離アミノ酸の混合物からなる。この加水分解は、タンパク質の溶解度に影響を与えうる。酵素および/または化学的加水分解は、例えば、特許出願の国際公開第2008/001183号パンフレット中に記載されている。好ましくは、タンパク質加水分解は、完全でない、すなわちアミノ酸および小ペプチド(2〜4個のアミノ酸)を単独でまたは本質的に含有する組成物を生成しない。したがって、本発明による加水分解物は、HPV組成物ではない。好ましい加水分解物は、50%、60%、70%、80%もしくは90%を超える、500Daより大きいタンパク質を含む。
【0070】
タンパク質加水分解物を調製するための方法は、当業者に周知であり、例えば、懸濁液を得るために水中にタンパク質を分散させるステップと、選択される処理によってこの懸濁液を加水分解するステップと、を含んでもよい。最も一般的には、それは、様々なプロテアーゼの混合物を結合させる酵素処理と、場合により、その後の、依然として活性がある酵素を不活性化することを意図した熱処理ということになる。次いで、得られる溶液は、不溶性化合物、場合によって残留酵素と高分子量ペプチド(10000ダルトン超)とを分離するため、1つ以上の膜を通過させてもよい。
【0071】
本発明によると、造粒粉末は、少なくとも1つの植物性タンパク質および少なくとも1つの澱粉加水分解物を含有する。
【0072】
本発明では、用語「澱粉加水分解物」は、豆、穀物または塊茎澱粉の酸または酵素加水分解によって得られる任意の生成物を示す。様々な加水分解プロセスは、既知であり、一般に、「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」、第3版、第22巻、1978年の511および512頁に記載がなされている。これらの加水分解生成物はまた、極めて多様な分子量を有し、かつ完全に水に可溶性である、4%〜5%のα(1→6)分枝状グルコシド結合のみによって本質的にα(1→4)で結合される、D−グルコース単位およびD−グルコースポリマーからなる直鎖から形成される精製および濃縮混合物として定義される。澱粉加水分解物は、非常に広く知られ、「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」、第3版、第22巻、1978年、499−521頁において完全に記載されている。
【0073】
したがって、本発明では、澱粉加水分解産物は、マルトデキストリン、グルコースシロップ、デキストロース(α−D−グルコースの結晶形態)およびそれらの任意の混合物から選択される。
【0074】
澱粉の加水分解生成物間の区別は、主に、従来はデキストロース当量またはDEの概念によって表された、それらの還元力の測定に基づく。DEは、生成物の乾物100gあたりのデキストロース当量として表される、還元糖の量に対応する。したがって、生成物がより多く加水分解されると、それが含有する小分子(例えば、デキストロースおよび麦芽糖など)が増加し、そのDEが高くなることから、DEは澱粉加水分解の強度を測定したものである。逆に、生成物が含有する大型分子(多糖類)が増加すると、そのDEは低下する。
【0075】
調節の観点からいえば、また本発明の目的のため、マルトデキストリンは1〜20のDEを有し、かつグルコースシロップは20を超えるDEを有する。
【0076】
かかる生成物は、例えば、出願人により、Glucidex(登録商標)の名称で販売されているマルトデキストリンおよび無水グルコースシロップ(マルトデキストリンに対する利用可能なDE=1、2、6、9、12、17、19、およびグルコースシロップに対するDE=21、29、33、38、39、40、47)である。出願人により、「Roquette sirops de glucose」の名称で販売されているグルコースシロップについても言及できる。
【0077】
本発明の1つの有利な実施形態によると、造粒粉末は、少なくとも1つの植物性タンパク質および少なくとも1つのマルトデキストリンを含有する。
【0078】
本発明の第1の変形によると、造粒粉末は、エンドウタンパク質および少なくとも1つのマルトデキストリンを含有する。
【0079】
この第1の変形の1つの有利な実施形態によると、造粒粉末は、エンドウタンパク質および15〜19のDEを有するマルトデキストリンを含有する。
【0080】
本発明の第2の変形によると、造粒粉末は、グルコースシロップを伴うエンドウタンパク質(そのDEは47以下、好ましくは35以下である)を含有する。
【0081】
本発明の第3の変形によると、造粒粉末は、エンドウタンパク質とマルトデキストリンおよびグルコースシロップの混合物とを含有する。
【0082】
この第3の変形の1つの有利な実施形態によると、造粒粉末は、エンドウタンパク質と、15〜19のDEを有するマルトデキストリンおよびグルコースシロップ(そのDEは47以下、好ましくは35以下である)の混合物とを含有する。
【0083】
本発明と関連して、表現「造粒粉末」は、この粉末の様々な成分間が緻密な混合状態であり、ここでは、粉末内部でのそれらの分布は実質的に均質であり、かつそれらは単純な物理的混合によって互いに結合されるだけでないことを意味する。成分間の相互作用は、粒子の外部および内部の双方で生じうる。
【0084】
1つの特定の実施形態では、造粒粉末は、コーティングされていない。
【0085】
逆に、本発明では、表現「単純な混合」は、様々な成分間が緻密な混合状態でなく、ここでは、あくまで接触による単純な物理的混合状態をなしていることを意味する。成分は互いに実質的に接触状態でないことから、成分間の相互作用は全くない。
【0086】
確かに、上記造粒粉末を生成するため、出願人企業は、少なくとも1つの植物性タンパク質および少なくとも1つの澱粉加水分解物の混合物を使用し、かつその物理特性を好適な方法を利用することで改良することは妥当であり、それにより、各化合物が別々に用いられる場合または化合物が同時であっても粉末の単純混合物の形態で用いられる場合には得られないような、非常に有利な機能特性が同時に得られることを指摘している。
【0087】
本発明では、上記造粒粉末は、スプレー乾燥、造粒または押出または当業者に既知の任意の他の乾燥手段からなる群から選択される技術に基づく乾燥プロセスにより、また本発明による造粒粉末を生産できる能力がある選択される機器に適した条件下で製造される。
【0088】
したがって、本発明はまた、上記造粒粉末を製造するための方法を対象とする。上記製造方法は、少なくとも2つの成分を同時に乾燥させることにあり、かつ少なくとも1つの植物性タンパク質を少なくとも1つの澱粉加水分解物との緻密な接触状態にするステップを含み、ここでは、緻密な接触状態にするこのステップが、当業者に既知の任意のプロセスに基づいて、特に、スプレー乾燥(atomisation)、造粒および押出、またこれらの技術の少なくとも2つの任意の組み合わせから選択される技術に基づいて実施可能であり、それにより、緻密な接触状態にする上記ステップは、130℃で2時間の加熱処理後の測定によると、80%超、好ましくは85%超、またさらにより好ましくは90%超の乾物含量をもたらす。例として、単独のスプレー乾燥技術に基づいて、または単独の造粒技術に基づいて、またはそれ以外ではスプレー乾燥技術とその後の造粒技術の組み合わせに基づいて上記造粒粉末を製造するための方法について言及されることになる。
【0089】
したがって、本発明の第1の変形によると、上記造粒粉末は、少なくとも1つの植物性タンパク質および少なくとも1つの澱粉加水分解物の懸濁液をスプレー乾燥するステップと、上記スプレー乾燥するステップに後続する、「スプレー乾燥」粉末を造粒機で造粒するステップと、を含む、製造方法に従って生成可能である。この第1の変形によると、スプレー乾燥される懸濁液は、少なくとも1つの植物起源のタンパク質、好ましくはエンドウタンパク質、および少なくとも1つの澱粉加水分解物、好ましくは15〜19のDEを有するマルトデキストリンを、必要とされる割合で含有するように製造される。さらにこの変形によると、スプレー乾燥される1つの水性懸濁液の成分あたりの製造を想定することも可能である。
【0090】
さらにこの変形によると、スプレー乾燥される懸濁液は、植物性タンパク質の乾燥組成物、好ましくはエンドウタンパク質の乾燥組成物(すなわち、後に水で希釈される、粉末の形態で)、または植物性タンパク質フロック(floc)、好ましくはエンドウタンパク質フロックのいずれかから製造することが可能である。この第2の代替案では、植物性タンパク質フロック、好ましくはエンドウタンパク質フロックは、タンパク質に富む画分を単離するため、植物粉、好ましくはエンドウ粉を粉砕し、この粉砕した粉を水に再懸濁し、次いで上記懸濁液を、さらに当業者にとって既知の任意の手段によって分画することによって得られる。次いで、タンパク質は、タンパク質をその等電pHで沈殿させるための技術および限界濾過型膜分離技術の群から選択される技術により、この画分から単離される。最後に、可溶性タンパク質を含有する(「フロック」とも称される)沈殿物の分離が、遠心分離デカンタまたはプレートセパレータで行われる。フロックは、その乾物含量に応じて、そのまま使用するかまたは懸濁してもよい。
【0091】
スプレー乾燥ステップは、高温ガスと接触状態にされた液滴の形態でスプレーされ、液体を粉末に変換するという乾燥単位操作である。この工程は、生成される液滴のサイズ(およびそれらのサイズ粒度)、それらの経路、それらの速度および、その結果としての乾燥粒子の最終寸法、ならびに生成される粉末の特性(流れや、それらの溶解度、密度、圧縮率、もろさなどに関連するインスタントな性質)を測定する。
【0092】
スプレー乾燥ステップは、スプレードライヤまたはスプレー乾燥タワーで実施することが可能であり、ここでは、乾燥される上記懸濁液(または懸濁液)が、高温ガス蒸気(溶媒を蒸発させるために必要な熱を提供し、かつ、それを排出するため、乾燥する間に生成物によって放出される水分を吸収する)に分離される。液体混合物は、ノズルまたはタービンを介して最上部に導入され、生成される「スプレー乾燥」粉末は、タワーの底部で回収される。乾燥固体は、サイクロンまたは濾過(例えばバッグフィルタ
【化6】


)により、スプレー乾燥ガスから分離される。特定の場合、必要であることが見出される場合、タワーには、酸化現象を阻止するため、不活性ガスを充填してもよい。
【0093】
造粒ステップは、スプレー乾燥ステップ後に実施され、水溶液をスプレー乾燥ステップから得られる粉末上にスプレーすることにある。スプレー乾燥ステップ、その後の造粒ステップを組み合わせたかかる工程は、従来は、例えばMSD(多段階ドライヤ)タワーなどの複数の効果があるスプレードライヤで実施される。
【0094】
この第1の変形の1つの好ましい実施形態によると、方法は、
1)15〜70℃、好ましくは15〜50℃の温度で、エンドウタンパク質および澱粉加水分解物の懸濁液を製造するステップと、ここで、
− 上記エンドウタンパク質は、20%〜99%、好ましくは45%〜90%、さらにより好ましくは50%〜80%、詳細には55%〜75%の可溶性タンパク質含量を有し;
− 上記澱粉加水分解物は、DEが15〜19のマルトデキストリンと、DEが47以下、好ましくは35以下のグルコースシロップと、それらの任意の混合物とからなる群から選択され;
− 澱粉加水分解物に対するエンドウタンパク質の重量比は、99:1〜1:99、好ましくは80:20〜20:80、さらにより好ましくは65:35〜35:65、詳細には55:45〜45:55であり;
− 懸濁液の乾物含量は、25%〜50%、好ましくは30%〜40%であり、
1’)1に従って得られる懸濁液の細菌学的リスクを低減するため、高温で短時間の熱処理の任意の第1ステップを実施するステップと、ここで、上記処理についてはHTST(高温で短時間)およびUHT処理から選択することが可能である、
1’’)1)に従って得られる懸濁液の高圧均質化の任意の第2ステップを、任意の第1ステップとは独立に実施するステップと、
2)エンドウタンパク質および澱粉加水分解物の上記懸濁液を、15〜80℃、好ましくは15〜50℃の温度で維持するか、あるいは、ステップ1’)が実施される場合、エンドウタンパク質および澱粉加水分解物の上記懸濁液を、15〜80℃、好ましくは15〜50℃の温度に戻すステップと、
3)高圧スプレー乾燥ノズルを装備したMSD型スプレー乾燥タワー中での上記懸濁液を、タワーの最上部の微粒子を再生するとともに、スプレー乾燥するステップと、
4)上記スプレー乾燥タワー中で造粒するステップと、
5)エンドウタンパク質および澱粉加水分解物を含有する得られた造粒粉末を回収するステップと、
に従って実施することができる。
【0095】
以降、それが例示される場合、出願人企業は、Niro社によって販売されているMSD20タワーの使用を推奨する。
【0096】
注入ノズルは、100〜150L/時間、好ましくは約120L/時間の流速に対して、50〜300バール、好ましくは約150バールの圧力を得るように選択される。
【0097】
吸気温度は、次のように設定される。
− タワーの最上部の上流の吸気:150〜180℃、好ましくは155℃の温度、
− 静止流動層:50〜120℃、好ましくは84℃の温度、
− 振動流動層:約20℃の温度
【0098】
次いで、出口温度は、55〜80℃、約60℃である。
【0099】
コグラニュールを含有する本発明による造粒粉末は、最終的にスプレー乾燥タワーの出口で回収される。
【0100】
本発明の第2の変形によると、上記造粒粉末は、様々な成分を緻密な接触状態にするステップを実施することを可能にする単一の造粒方法に従って生成される。この造粒方法では、当業者に周知である2つの技術、すなわち乾燥造粒技術および湿潤造粒技術を使用可能である。
【0101】
この第2の変形の1つの好ましい実施形態では、造粒粉末は、流動層内での湿潤造粒によって生成される。かかる造粒の例が、例えば、特許の欧州特許第1558094号明細書(その出願人は所有者である)中に記載されている。
【0102】
本発明の第3の変形によると、上記造粒粉末は、単一の押出プロセスに従って生成される。このプロセスでは、少なくとも1つの押出ダイを含む機器が使用されることになり、ここで温度パラメータは、乾燥前の組成物の水含量に従い、当業者によって容易に選択される。次いで、本発明によるスプレー乾燥粉末が得られるように、押出組成物に対し、冷却、造粒、また場合によってふるいが連続的に施される。
【0103】
上記乾燥プロセス、または選択される機器に適した条件下で、当業者に既知の任意の他の乾燥手段によって乾燥するためのプロセスの導入により、コグラニュールからなりかつ互いに密接に結合した様々な出発化合物を含有する造粒粉末が生成される。
【0104】
本発明に従って生成される粉末の平均サイズは、その体積平均径(算術平均)D4,3によって特徴づけられうる。それは、10μm〜500μm、好ましくは50μm〜350μm、またさらにより好ましくは70μm〜250μmである。1つの好ましい実施形態によると、上記造粒粉末の体積平均径D4,3は、150μm〜240μmである。
【0105】
これらの値は、Beckman−Coulter社製のLS230レーザー回折粒子サイズ分析器(その粉末分散モジュール(乾燥プロセス)を装備)で、製造業者の技術マニュアルおよび仕様に従って測定される。LS230レーザー回折粒子サイズ分析器の測定範囲は、0.04μm〜2000μmである。
【0106】
本発明の1つの特定の実施形態によると、90%の粉末は、1000μm未満、好ましくは500μm未満、またさらにより好ましくは400μm未満の直径を有する。特に、90%の粉末は、370μm未満の直径を有する。この値は、d90に対応する。
【0107】
本発明の別の特定の実施形態によると、50%の粉末は、500μm未満、好ましくは300μm未満、またさらにより好ましくは250μm未満の直径を有する。特に、50%の粉末は、220μm未満の直径を有する。この値は、d50に対応する。
【0108】
本発明の別の特定の実施形態によると、10%の粉末は、300μm未満、好ましくは200μm未満、またさらにより好ましくは150μm未満の直径を有する。特に、10%の粉末は、100μm未満の直径を有する。この値は、d10に対応する。
【0109】
これら3つの値d90、d50およびd10はまた、体積平均径D4,3の決定に使用されるレーザー回折粒子サイズ分析器によって決定される。
【0110】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、造粒粉末は、エンドウタンパク質および澱粉加水分解物からなる。
【0111】
本発明の別の好ましい実施形態によると、造粒粉末は、マルトデキストリンに関連したエンドウタンパク質(そのDEは、5〜19、好ましくは15〜19)、ならびにグルコースシロップ(そのDEは、47以下、好ましくは35以下)、ならびに/あるいはそれらの混合物を含有する。
【0112】
本発明によると、造粒粉末は、様々な割合の植物性タンパク質および澱粉加水分解物を含有する。
【0113】
1つの好ましい実施形態によると、加水分解物に対する植物性タンパク質、好ましくはエンドウタンパク質の重量比は、90:10〜10:90、好ましくは75:25〜25:75、より好ましくは65:35〜35:65である。特に、上記比は55:45〜45:55である。
【0114】
したがって、本発明によると、2つのパラメータは、植物性タンパク質/澱粉加水分解物のマトリックスにおいて検討されるべきである。第一に、第1の変数パラメータは、各成分の他方に対する比であり、また第2の変数パラメータは、使用される澱粉加水分解物のDEである。したがって、同一比における造粒粉末の数種の組成物は、使用される澱粉加水分解物のDEに基づき、本発明に従って得られうる。
【0115】
別の好ましい実施形態によると、植物性タンパク質、好ましくはエンドウタンパク質、および澱粉加水分解物の量の合計は、上記造粒粉末の総質量に対する30%〜100%、好ましくは50%〜100%(乾燥/乾燥)である。
【0116】
出願人企業は、その威信をかけて、これらの比に従い、粉末の機能特性が異なりうることを発見している。
【0117】
本発明による一実施形態では、予想外にも、例えば、食品分野において、本発明による造粒粉末が、レシピの中で共通に使用される脂肪を完全にまたは部分的に置き換えるというさらなる利点を有することが認められている。
【0118】
本発明の別の実施形態によると、造粒粉末は、エンドウタンパク質および澱粉加水分解物を含有し、また、所望される最終的な機能特性に対して負の影響を与えないという条件で、任意の好適な添加剤、例えば風味、色素、安定化剤、賦形剤、潤滑剤または保護剤も含有しうる。
【0119】
これらの添加剤はまた、医薬または植物衛生活性成分、または洗剤であってもよい。本発明では、用語「活性成分」は、実証されている薬理学的効果を有し、かつ治療上興味ある(やはり臨床的に実証されている)、任意の活性分子を意味するように意図される。
【0120】
本発明による上記造粒粉末はまた、European Pharmacopeia(EP5.1ボリューム1、01/2005:20915パラグラフ2−9−15;図2−9−15−1に記載の機器)によって推奨される測定方法によって測定される、その見掛け密度によって特徴づけられうる。
【0121】
これらの条件下で、上記造粒粉末は、有利にも、0.30〜0.90g/ml、好ましくは0.40〜0.60g/mlの見掛け密度を有する。
【0122】
本発明による造粒粉末の別の機能特性は、それが単純混合物において知られる湿潤性よりはるかに優れた湿潤性を有することにある。この特性は、粉末の表面での吸水能である。それは、粉末の可溶性に比例し、塊(grumeaux)の形成に反比例する。高湿潤性は、本発明の造粒粉末に対して「インスタントな」性質を付与することを可能にする。
【0123】
この湿潤性を測定するため、500mlの体積を有する背の高いビーカーが使用され、20℃+/−2℃での250gの蒸留水が上記ビーカーに入れられる。正確に25gの本発明による造粒粉末または25gの単純混合物が量り分けられる。t=0時間で、25gの試料が直ちに速やかに導入され、タイマーが開始される。試料が完全に湿潤状態になる(すなわち乾燥形態の試料がもはや存在しない)まで要する時間が測定される。試験は、攪拌を伴わない場合と、250rpmでの緩やかな攪拌を伴う場合に実施される。攪拌を伴わない試験では、本発明による造粒粉末は、1分未満、好ましく30秒未満、またさらにより好ましくは10秒未満で湿潤状態になる一方、単純混合物は、完全に湿潤状態になるまで10分超かかる。
【0124】
緩やかな攪拌を伴う試験では、上記造粒粉末は、30秒未満、好ましくは10秒未満、またさらにより好ましくは4秒未満で湿潤状態になる一方、単純混合物は、完全に湿潤状態になるまで3分超かかる。
【0125】
特に、また例として、上記の攪拌を伴わない湿潤性試験によると、エンドウタンパク質および19のDEを有するマルトデキストリンからなる造粒粉末は、10秒未満、非常に正確には7秒以内で湿潤状態になる一方、単純混合物は、完全に湿潤状態になるまで3分10秒かかる。
【0126】
この試験は、造粒粉末が、それ自体でこの「インスタントな」性質を有しない単純混合物に対し、「インスタントな」性質を有することを実証することを可能にする。
【0127】
本発明の造粒粉末はまた、デカンテーション
【化7】


の完全な欠如、すなわち懸濁液中での優れた保持を示し、それは、工業的方法におけるその使用を非常に容易にし、かつ重要な利点となる。
【0128】
懸濁液中での保持は、250mlのメスシリンダー内で測定される。15%の本発明による造粒粉末を含有する250mlの溶液を、特に上記粉末を緩やかに攪拌しながら再懸濁することによって再構成した後、沈降した容量が、7時間にわたって毎時間、次いで24時間後および48時間後に測定される。48時間待機後であっても、造粒粉末のデカンテーションは全く認められない。デカンテーションのこの完全な欠如は、単純混合物の場合には見出されない。確かに、混合物の再構成の1時間後、デカンテーション現象が認められ、それは時間とともに顕著である。
【0129】
上記造粒粉末によって付与される他の非常に有利な技術特性は、この粉末の成分の単純混合物に対する、その乳化、発泡およびゲル化能に関する。
【0130】
乳化特性は、食品の親水性および疎水性成分の間での界面張力を低減する能力に起因する。それは、タンパク質の溶解度に直接関連する。これらの表面特性を有する粉末は、再脂肪化乳または再脂肪化されていない乳粉末だけでなく、水および脂肪を含有する食品(調理した豚肉、ミート、薬味)中の、一般にエマルジョン中での使用において多大な可能性を有することになる。
【0131】
本発明では、乳化能は、タンパク質の量とオイルの量の関数としての、遠心分離後に形成され、安定な「エマルジョンクリーム」の百分率に対応する。それを測定するため、50%の菜種油エマルジョンが、2%での(イオン力が働かないように脱塩水中で10分間水和された)造粒粉末の溶液を使用する、9500rpmで1分間のUltraturaxで製造される。次いで、エマルジョンは、1500gで5分間遠心分離される。クリーム容量が、ml単位で測定される。乳化能(EC)は、次の式を用いて計算される。
EC(%)=(クリーム容量/全容量)×100
【0132】
造粒粉末は、50%超、好ましくは55%超、またさらにより好ましくは60%超の乳化能を有する一方、単純混合物は、20%未満の低い乳化能を有する。
【0133】
特に、また例として、上記のECを測定するための試験によると、エンドウタンパク質および19のDEを有するマルトデキストリンを含有する造粒粉末は、87.5%のECを有する。
【0134】
パティスリー
【化8】


(ケーキ、スフレ、メレンゲ)や、(ミルクまたはそれに類するものに基づく)ムース、およびホイップクリームの製造において、非常に高い評価を得ている発泡特性は、水/気体界面で自身を配向させるタンパク質の部分的アンフォールディングの結果である。
【0135】
本発明では、発泡能は、500mlのメスシリンダー内で測定される。15%の本発明による造粒粉末を含有する溶液が、メスシリンダーへ移される前に、9500rpmで1分間のUltraturaxで製造される。発泡容量および液体容量は、10分ごとに30分間測定される。発泡がその初期容量の50%に達するのに必要な時間もまた測定され、それは発泡の安定性を定量することを可能にする。
【0136】
造粒粉末は、経時的に極めて安定である、優れた発泡能を有する一方、単純混合物の発泡は極めて僅かにすぎず、発泡が経時的に不安定である。
【0137】
したがって、造粒粉末は、特に上記粉末を製造するための方法により、それに対して付与されている機能特性(乳化能、発泡能)を有する。
【0138】
本発明による上記造粒粉末によって付与される別の非常に有利な特性は、一方では、味、また他方では、おいしさおよびこく(corps)(口内の粘度によっても規定される)における明らかな改善である。
【0139】
確かに、造粒粉末は、より際立った豆味を有することから特定の食品用途を制限しうる単純混合物と異なり、中性味を有する。一部の用途では、おいしさとこくはまた、単純混合物に対して改善される。
【0140】
単純混合物の場合に存在しないこれらの非常に有利な機能特性は、それらが、特に極めて多様かつ変化に富む用途向けであることを意味する。
【0141】
本発明の別の態様は、化粧品、洗浄剤、農芸化学、工業的および薬学的製剤、建設資材、掘削流体の分野、発酵、動物飼料ならびに食品用途における造粒粉末の使用に関する。
【0142】
それ故、本発明はまた、本発明に従う造粒粉末、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入に従って生成可能な造粒粉末を含む、化粧品、洗剤および農薬組成物、工業的および薬学的製剤、建設資材、掘削流体、発酵培地、動物栄養組成物ならびに食品用途に関する。
【0143】
これらの分野では、本発明による造粒粉末は、特に動物性タンパク質を全体的または部分的に置き換えるための機能剤、例えば乳化剤、膨張剤、安定化剤、濃化剤および/またはゲル化剤としての組成物中で使用可能である。
【0144】
それ故、本発明はまた、本発明に従う造粒粉末、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入に従って生成可能な造粒粉末を含む、動物性タンパク質を全体的または部分的に置き換えるために使用可能な乳化剤、膨張剤、安定化剤、濃化剤および/またはゲル化剤に関する。
【0145】
動物性タンパク質、またより詳細には乳タンパク質との全体的または部分的な置き換えとしての、本発明の特に有利かつ有益な使用の1つは、フロマージュフレおよび熟成チーズ、チーズスプレッド、発酵乳、ミルクスムージー、ヨーグルト、特殊乳製品、およびミルクから生産されるアイスクリームからなる群から選択される乳製品の製造に関する。
【0146】
1つの好ましい実施形態によると、本発明による粉末は、乳タンパク質の、本発明の上記粉末と置き換えることによる、全体的または部分的な置き換えを伴うアイスクリームを生産するために使用される。本願の利点は、後に実施例4において例示される。
【0147】
別のより好ましい実施形態によると、本発明による粉末は、乳タンパク質の部分的または全体的な置き換えを伴うチーズを生成するために使用される。
【0148】
本発明では、用語「チーズ」は、凝固したミルクまたは乳製品、例えばクリームを使用し、次いで場合により、脱水し、おそらくはその後の発酵ステップにより、また場合により、精製することによって得られる食品(熟成チーズ)を示す。名称「チーズ」は、1988年12月30日付の政令番号88−1206によると、専ら乳由来(全乳、部分もしくは全脱脂乳、クリーム、脂肪、バターミルク)の原料から得られ、単独でまたは混合物として使用され、また、脱水前またはその水分の部分的除去後に全体的または部分的に凝固される、発酵または非発酵で貯蔵された、熟成または非熟成の製品である。
【0149】
ミルクは、一般に細菌培養物を使用して酸性化される。次いで、酵素、レンネット、または例えば、酢酸、酢もしくはGDL(グルコノデルタラクトン)などの代用物は、凝固をもたらし、かつ凝乳および乳清を形成するために添加してもよい。
【0150】
本発明では、用語「チーズ」はまた、すべての加工チーズおよびすべての加工チーズスプレッドを示す。これら2つのタイプのチーズは、ミルク成分および/または他の食品(クリーム、酢、スパイス、酵素など)の添加の有無により、チーズの1つ以上の品種の、熱および乳化剤の影響下での、粉砕、混合、溶解および乳化によって得られる。
【0151】
かかる適用は、後に実施例5において、加工チーズスプレッドに関する試験によって例示される。
【0152】
別の好ましい実施形態では、本発明による粉末は、ミルク、再構成ミルク粉末または乳タンパク質との全体的または部分的な置き換えとして、ヨーグルトを生成するために使用される。かかる適用は、後に実施例6において例示される。
【0153】
したがって、本発明に従う造粒粉末、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入に従って生成可能な造粒粉末は、フロマージュフレおよび熟成チーズ、加工チーズまたは加工チーズスプレッド、発酵乳、ミルクスムージー、ヨーグルト、特殊乳製品、およびミルクから生産されるアイスクリームによって規定される群に属する食品製剤中の乳タンパク質を全体的または部分的に置き換えるために使用してもよい。
【0154】
本発明による粉末の別の特に有利な使用は、微細な油/水エマルジョンの生成、またより詳細にはコーヒーホワイトナー(coffe−whitener)の生成に関する。
【0155】
コーヒー(またはティー)用クリーム、又は「コーヒーホワイトナー」は、短すぎる貯蔵寿命を有しかつ高価すぎる、特定の乳製品、例えばミルクまたはクリームの代わりとして、コーヒーまたはティーのタイプのインスタント飲料に組み込むことを意図した微細な油/水エマルジョンである。確かに、液体形態および粉末形態の双方で存在するコーヒー用クリームは、より長い貯蔵寿命を有する。したがって、それは、コーヒーに添加されるミルクまたはクリームによってなされるすべての機能を果たし、それが組み込まれるコーヒーを白色化することを可能にし、それにより、外見上「ミルク入りコーヒー」が得られる。それはまた、コーヒーの苦味を低減する。最後に、それは、乳糖を受け付けない個人にとって有用でありうる。
【0156】
従来のコーヒー用クリームは、次のものから構成される。
− 支持体として役立つグルコースシロップ;
− エマルジョンを形成する脂肪球の表面上での光の散乱による、生成物の粘度およびホワイトニング効果に関与する脂肪(例えばパーム油);
− 高温液体中での粉末の「湿潤性」および分散性を促進する乳化剤(モノグリセリドおよびジグリセリドなど);
− 特にホワイトニング効果に寄与し、乳化特性を有し、かつ、特にタンニン酸の刺激性をそれとの錯体形成によって低減することにより、生成物の味を改善する、タンパク質であるカゼインナトリウム;
− 安定化塩
【0157】
油/水エマルジョンは、一般に、様々な成分を混合し、エマルジョンを形成し、均質化ステップ、その後に任意の低温殺菌ステップを実施し、最後に、乾燥をスプレー乾燥ステップによって実施することからなる従来の方法により、粉末の形態で生成される。
【0158】
均質化ステップによって得られる結果は、粒子サイズの、生成物のより良好な安定性を保証できる程度のレベルまでの有効な減少である。確かに、エマルジョンの安定性における最も重要な要素の1つは、粒子の直径である。均質化処理の目標は、正確には、この直径をできるだけ減少させると同時に、さらにそれをできるだけ均質にすることであり、次いでこの結果、安定性が改善され、かつ培地の粘度が増大する。
【0159】
一般にこれらの粉末化油/水エマルジョンを生成するために使用される乳化剤は、場合により、モノグリセリドおよび/またはジグリセリドの存在下で使用される、カゼイン塩、特にカゼインナトリウムである。
【0160】
しかし、カゼインナトリウムは、非常に高価であり、ますます市場で入手しにくい状況であり、かつ、これらの油/水エマルジョンの生産者は、消費者に安価な製品を提供し続けることができるように、カゼインナトリウムに対する置き換え物を見出さなければならないと努力している。
【0161】
本発明による造粒粉末は、上記用途におけるカゼインナトリウムに対する優れた置き換え物であり、かつ、安定性、エマルジョン粉末度(finenesse)、またはそれ以外ではこれらの油/水エマルジョンのホワイトニング能の観点で、等しい結果をもたらす能力がある。
【0162】
好ましくは、油/水エマルジョンの生成においてカゼインナトリウムを部分的または完全に置き換えるための本発明による造粒粉末の使用は、次の方法が適用される場合、さらにより申し分なく、決定的である。
− a)エマルジョンを可能な限り微細かつ安定なものとして生成するため、脂肪、支持体および乳化剤を激しく攪拌しながら混合するステップ。一般に、エマルジョンを生成するため、まず脂肪を乳化剤と混合し、次いで他の成分を激しく攪拌しながら添加することは好ましいであろう。
− b)場合により、ステップa)において得られるエマルジョンを低温殺菌するステップ。
− c)場合により、ステップb)において得られる低温殺菌されたエマルジョンを均質化するためのステップにより、エマルジョンを完成させるステップ。および、
− d)場合により、ステップc)において得られる低温殺菌されかつ均質化されたエマルジョンを粉末に、最も一般的には微粒子化(場合により、造粒ステップと組み合わされるかまたは造粒ステップが後続する)によって変換するステップ。
【0163】
したがって、本発明の造粒粉末を使用する粉末化油/水エマルジョンの生成において得られる性能レベルは、これらの油/水エマルジョンを生成するための方法において、任意の低温殺菌ステップが均質化ステップ前に実施される限り(工業技術機器がこれを許容する場合)では、非常に実質的に改善される。
【0164】
それ以外にも、「従来の」方法が使用される場合、すなわち均質化ステップが任意の低温殺菌ステップ前に実施される場合にも、完全に申し分ない結果が得られる。
【0165】
特に、上記造粒粉末の使用により、コーヒー用クリームとして使用される油/水エマルジョンに対して要求される特別の必要な性能レベル、すなわち、熱い飲料、場合により、コーヒーなどの酸性飲料中での良好な分散、上記熱い飲料中での優れた安定性、および従来のコーヒーホワイトナーと同じホワイトニング能(ほぼ同量の製品が飲料中に組み込まれる場合)を満たすことが可能になる。脂肪球が微細化すると、光が散乱しうる表面積が拡大し、それ故、生成物のホワイトニング効果が高まることから、エマルジョン粉末度は、これらの粉末化油/水エマルジョン、特にコーヒーのホワイトニング効果に対して所望される重要なパラメータである。コーヒー用クリームとして使用される、粉末化油/水エマルジョンの製造における本発明による造粒粉末の使用例が、以下で例示される。
【0166】
本発明はまた、本発明に従う造粒粉末、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入に従って生成可能な造粒粉末を含有する、油/水、好ましくはコーヒーまたはティー用クリーム、エマルジョンに関する。
【0167】
別の変形によると、上記造粒粉末の使用により、動物飼料、詳細には子牛飼料用に使用される粉末または液体の油/水エマルジョンに対して所望される、特別の必要な性能レベルを満たすことが可能になる。
【0168】
したがって、特に、かかるエマルジョン、好ましくは粉末化エマルジョンは、動物飼料、特にウシ飼料における脂肪予混合物として、また特に乳児子牛用の飼料製品の製造において使用される。確かに、特に乳児子牛用の動物飼料中の脂肪予混合物として使用される粉末化油/水エマルジョンには、特定の性能レベルであること、すなわち温水中の再構成が良好な液体エマルジョンであって、安定性が良好な(すなわちエマルジョンの油相と水相の相分離を伴わない)エマルジョンが容易に得られ、動物が食欲をそそられ、そして許容できるか、さらには快適な味であって、これらの脂肪予混合物の消費が促されることが所望される。
【0169】
したがって、本発明は、本発明に従う造粒粉末、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入に従って得られうる造粒粉末を含有するか、あるいは、上記のように動物性タンパク質を全体的または部分的に置き換えるために使用可能な、乳化剤、膨張剤、安定化剤、濃化剤および/またはゲル化剤を含有する食品製剤に及び、例えば、次のものが挙げられる。
− 飲料
− 乳製品(例えば、フロマージュフレおよび熟成チーズ、加工チーズまたは加工チーズスプレッド、発酵乳、ミルクスムージー、ヨーグルト、特殊乳製品、ミルクから生産されるアイスクリームを含む)
− 臨床栄養および/または栄養不良を患う個体を意図した製剤
− 幼児栄養を意図した製剤
− ダイエット製品またはスポーツ選手を意図した粉末の混合物
− スープ、ソースおよび調理補助材料
− 肉に基づく製品、より詳細にはファインペーストおよびブラインセクター(特にハムの生産における)
− 魚に基づく製品、例えばすり身に基づく製品
− あらゆるタイプの菓子類
− パン、パスタ、クッキー、ペーストリー、シリアルおよびバーなどの穀物製品
− ベジタリアン製品およびインスタント食品
【0170】
本発明に従う造粒粉末、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入に従って得られうる造粒粉末はまた、動物飼料に用途が見出される。
【0171】
本発明は、あくまで本発明に従う特定の実施形態および特定の有利な特性に関する非限定例であることを意味する、以下の実施例を通読する際により明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0172】
実施例1:本発明による造粒粉末の製造
45%のエンドウタンパク質および19のDEを有する55%のマルトデキストリンを含有する造粒粉末を、次の方法で製造した。
【0173】
使用されるエンドウタンパク質は、出願人により、Nutralys(登録商標)S85Mの名称で販売されている。その全タンパク質含量は85%である。
【0174】
使用されるマルトデキストリンは、Glucidex(登録商標)の範囲に属し、これも出願人によって販売されており、19のDEを有するGlucidex(登録商標)マルトデキストリンである。
− 第一に、懸濁液を、撹拌タンク内で、50℃の温度、45/55のタンパク質/マルトデキストリン比で製造した。
− 混合物は、35%のDM(乾物含量)を有する。
− 得られた混合物は、完全に均質な混合物を有するように、スプレー乾燥前に、二段階高圧ホモジナイザー(第一段階で150バールおよび第二段階で50バール)で均質化した。
− 混合物は、タワーの最上部で微粒子を再生する、高圧スプレー乾燥ノズルを装備したMSDタイプのスプレー乾燥タワー内でスプレー乾燥した。
【0175】
スプレー乾燥条件は次の通りである。
− 注入ノズルは、120L/時間の流速に対して220バールの圧力を得るように選択した。
− 使用された空気の湿度は6g/kgであった。
− 吸気温度は、次のように設定した。
− タワー最上部の上流の吸気:180℃の温度;
− 静止流動層:50/55℃の温度;
− 振動流動層:約20℃の温度
− 出口温度は58℃であった。
− 上流空気の速度は14.7m/秒に設定し、静止流動層の空気の速度は11m/秒であった。
【0176】
実施例1によって得られた造粒粉末は、次の特徴を示した。
− 含水率:7%
− 乾物含量:93%
− 体積平均径D4,3:200μm
【0177】
実施例2:ゲル化能の測定
実施例1によって得られた造粒粉末のゲル化能を、粉末の単純混合物のゲル化能と、同じ2つの成分とさらに同じ比(造粒粉末の製造に用いられるもの)を用いて比較した。
【0178】
1.溶液調製
8%の濃度を有する溶液を、8gの試料(造粒粉末または粉末の単純混合物)を、20℃+/−1℃での100gの蒸留水中に入れることによって調製した。重力下での粒子のデカンテーションを回避するため、0.3gのキサンタンガムを上記溶液に添加した。試料中に含有されるタンパク質の最適な水和をもたらすため、混合物を、250rpmの速度で30分間、徐々に撹拌した。
【0179】
2.材料の測定
滑り現象を回避するため、熱サイクルの間での試料のゼラチン化を、線状の並行プレート構造を有するPhysica(登録商標)MCR301レオメータ(Anton Paar)により、振動性の動的モードで特徴づけた。
【0180】
3.測定プロトコル
パラグラフ(1)において調製した1mlの水和懸濁液を、50mm直径の並行プレートの間に置き、それに対し、正弦波型応力を、1ヘルツの周波数および0.1〜0.5%の変形振幅(deformation amplitude)で与えると同時に、次の熱サイクルを適用した。
1.20℃から90℃へ2000秒間加熱−0.5%変形
2.90℃で3600秒間保持−0.2%変形
3.90℃から4℃へ2000秒間冷却−0.1%変形
4.4℃で12000秒間保持−0.1%変形
【0181】
4.解釈
貯蔵率G’および消失率G’’レベルの監視により、熱の影響下でのタンパク質のゲル化動力学だけでなく、得られるゲルの力の相対的レベルを特徴づけることが可能になった。
【0182】
得られる曲線は、ゲル化速度および得られるゲルの力だけでなく、低温条件下でのゲルの挙動を測定することを可能にした。
【0183】
造粒粉末の場合に得られる曲線と単純混合物の場合に得られる曲線との比較により、ゲル化速度の高速化、最大レベルの上昇が示され、これは、ゲルがより硬化し、さらに低温条件に対するゲルのテクスチャおよび耐性が改善したことを意味する。
【0184】
これは、造粒粉末のゲル化能が、単純な物理的混合物のゲル化能よりはるかに優れていたことを意味する。
【0185】
実施例3:油/水エマルジョン(コーヒーホワイトナー)の製造
本実施例では、実施例1によって得られた造粒粉末を使用し、粉末化油/水エマルジョンを製造し、カゼインナトリウムに基づいて対照粉末と比較した。
・ 本発明による造粒粉末を含有するエマルジョンの成分(使用される成分の百分率として)
・ 61.65%の支持体(Roquetteグルコースシロップ3072)
・ 30%の脂肪(パーム油)
・ 実施例1によって得られた5.55%の造粒粉末
・ 2%の安定化塩(リン酸水素二カリウム)
・ 0.8%のモノグリセリドおよびジグリセリド
・ カゼインナトリウムを含有する対照エマルジョンの成分(使用される成分の百分率として)
・ 64.7%の支持体(Roquetteグルコースシロップ3072)
・ 30%の脂肪(パーム油)
・ 2.5%のカゼインナトリウム
・ 2%の安定化塩(リン酸水素二カリウム)
・ 0.8%のモノグリセリドおよびジグリセリド
・ 粉末化油/水エマルジョンを生成するための方法
【0186】
a)水とグルコースシロップを、水槽内に置いたビーカー内で混合し、65℃にした。
【0187】
同時に、パーム油を、別のビーカー内で、65℃の温度で溶解させた。モノグリセリドおよびジグリセリドを、溶解させながら、油中に分散させた。
【0188】
水/グルコースシロップ混合物が所望温度に達した時、粉末化生成物(本発明による造粒粉末またはカゼインナトリウム、安定化塩)をそれに添加し、全体を、10000rpmの速度で、Kenwood(登録商標)ミキサーを使用して混合させた。
【0189】
モノグリセリドおよびジグリセリドを含有する溶融パーム油を、4000rpmの速度でPolytron(登録商標)ミキサーを使用して攪拌しながら、水/グルコースシロップ/粉末混合物に徐々に添加した。
【0190】
得られた組成物は、50%の水含量を有した。
【0191】
b)生成物中で発生する能力がある細菌を除去するだけでなく、プロセスの最後に得られるエマルジョンの安定性を高めるため、混合物を80℃で約10秒間低温殺菌した。
【0192】
c)この低温殺菌混合物を、Niro(登録商標)Soavi(GEAグループ)ホモジナイザーを使用して均質化した。
【0193】
第一段階を170バールの圧力で、第二段階を30バールの圧力で設定した。
【0194】
これらのエマルジョンの安定性を、スプレー乾燥前に観察した。このため、エマルジョンを、攪拌せずに、周囲温度で1時間放置した。
【0195】
相分離が認められる場合、エマルジョンは安定的でなかった。
【0196】
スプレー乾燥前のエマルジョンの粒子サイズ(脂肪球のサイズ)を、コンピュータと連携したBeckman Coulter(登録商標)レーザー粒子サイズ分析器を使用して測定した。同装置により、脂肪球サイズ分布を測定することができた。
【0197】
d)得られたエマルジョンをスプレー乾燥した。スプレー乾燥をスプレードライヤで行い、スプレードライヤに流入する空気の温度は200℃であり、スプレードライヤから流出する生成物の温度は95℃であった。
【0198】
得られた粉末化油/水エマルジョンは、以下によって特徴づけられる。
− これらのエマルジョンの脂肪球のサイズを、上で規定されるようなレーザー粒子サイズ分析によって測定する。
− 80℃の水中または80℃のコーヒー(Nescafe(登録商標)インスタントコーヒーおよびCarte Noire(登録商標)フィルターコーヒー)中のこれらのエマルジョンの再構成を試験し、これらの再構成エマルジョンの安定性(タンパク質の沈殿または非沈殿)を観察する。このため、再構成エマルジョンは、攪拌せずに周囲温度で1時間放置された。
− これらのエマルジョンのホワイトニング能を、80℃のコーヒー(Nescafe(登録商標)インスタントコーヒーおよびCarte Noire(登録商標)フィルターコーヒー)中のこれらのエマルジョンを再構成し、比色計を使用して測定することによって測定する。
− これらのエマルジョンの味を、評価者の一団による官能分析を用いて評価する。
【0199】
・ 結果
− 脂肪球のサイズを測定する。
2つのエマルジョン(造粒粉末で製造されたエマルジョンおよび対照エマルジョン)において得られた脂肪球サイズは、ほぼ同等であった。得られたエマルジョンは、比較的微小であり、平均脂肪球サイズは約2μmであった。
− 再構成を試験し、安定性を観察する。
本発明の造粒粉末を含有する粉末化油/水エマルジョンが、80℃の水中および80℃のコーヒー(Nescafe(登録商標)インスタントコーヒーおよびCarte Noire(登録商標)フィルターコーヒー)中で相分離を受けず、カゼインナトリウムを含有する対照油/水エマルジョンと同じ挙動を有することが観察された。
− ホワイトニング能を測定する。
本発明の造粒粉末を含有する粉末化油/水エマルジョンは、カゼインナトリウムに基づく粉末化油/水対照エマルジョンとほぼ同等のホワイトニング能を有した。
− 味を評価する。
カゼインナトリウムに基づく粉末化油/水エマルジョンは、評価者の一団による官能分析において非常に好ましいと評価される味を有した。
【0200】
本発明の造粒粉末を含有する粉末化油/水エマルジョンは、評価者の一団による官能分析を用いて好ましいと評価される味を有した。
【0201】
・ 結論
本発明の造粒粉末を含有する粉末化油/水エマルジョンは、カゼインナトリウムに基づく粉末化油/水エマルジョンと同様の特性を有する。エマルジョンのこれらの特性は、コーヒー用クリームとしての使用にとって必要である。
【0202】
したがって、少なくとも1つの植物性タンパク質および少なくとも1つの澱粉加水分解物を含有する本発明の造粒粉末は、コーヒー用クリームとして使用される粉末化油/水エマルジョンにおける、カゼインナトリウムに対する良好な置き換え物である。
【0203】
実施例3の変形
実施例3を、支持体(Roquetteグルコースシロップ3072)を、Roquette社によって販売されているGlucidex(登録商標)19マルトデキストリンで置き換え、またパーム油をヤシ油で置き換えた条件で、実施例3に記載の場合と同一の方法で再現した。得られた結果は、先に得られたものと同じく有利であった。
【0204】
実施例4:乳タンパク質の完全な置き換えを伴う風味
【化9】


アイスクリームの製造
本実施例では、造粒粉末は、実施例1において実施されたプロトコルに従って得られ、ここでは、70/30のエンドウタンパク質組成物/マルトデキストリン重量比を用いた。
【0205】
したがって、造粒粉末は、70%の(85%の全タンパク質含量での)エンドウタンパク質の組成物および19のDEを有する30%のマルトデキストリンを含有する。
【0206】
アイスクリームは、下表に示されるレシピに従って製造し、最終生成物が、官能分析の審査員(jury)によって味見され、格付けされ、比較された。
【0207】
2つのアイスクリームレシピ(一方はカラメルアイスクリームであり、他方はチョコレートアイスクリームである)を試験した。
【0208】
したがって、4つの試料が得られた。
− 対照1(TEMOIN1):全乳から製造し、カラメル風味で風味づけた(Symrise,ref.186745)カラメル風味アイスクリーム、
− 試験1(ESSAI1):カラメル風味で風味づけ(Symrise,ref.186745)、またミルクをもはや含有しないが、本発明による造粒粉末を含有するカラメル風味アイスクリーム、
− 対照2:全乳およびチョコレート粉末で製造し、またチョコレート風味で風味づけた(Symrise,ref.225962)チョコレート風味アイスクリーム、
− 試験2:チョコレート風味で風味づけ(Symrise,ref.225962)、またミルクをもはや含有しないが、本発明による造粒粉末を含有するチョコレート風味アイスクリーム
【0209】
1.レシピ
【0210】
【表1】

【0211】
2.手順
・ 乾燥粉末を混合し、最後に乳化剤を秤量し、それを糖と混合する。
・ 粉末の混合物を、45℃で全乳中に(対照1および2)、または、45℃で水中に(試験1および2)、20分間分散させる。
・ 次いで、脂肪およびグルコースシロップを組み込む。
・ 15分間撹拌しておく。
・ 80℃で3分間低温殺菌し、冷却し、次いで混合物(温度65〜70℃)を250バールの圧力でホモジナイザーを通過させる。
・ 風味を加え、4℃の温度で徐々に攪拌しながら最低で6時間熟成させておく。
・ 100%まで膨張させ、フリーザー内で冷凍する。
・ −30℃で2時間急速冷凍する。
・ −20℃で貯蔵する。
【0212】
3.官能分析試験
カラメルおよびチョコレートアイスクリーム試料については、20名の個人で構成される、官能分析における専門審査団により、目隠しして味わわれた。
【0213】
1回目の試験は、提案された3つの試料からの2つが同一であるという3点試験法から構成された。試験に参加している75%の個人が、いずれがその2つの同一試料であるか認識できず、これは試験した2つの風味とも同じであった。試験した試料の中で、審査員に有意に好まれたものはなかった。
【0214】
さらに目隠しして実施された2回目の試験は、様々な試料のテイスティングおよびそれらの説明から構成された。使用された品質性(qualificatifs)は、乳タンパク質を含有するアイスクリームとそれを含有しないもののとで同一であった(滑らかさ、口内満足感(rondeur en bouche)、クリーム性
【化10】


)。
【0215】
これら2つの官能分析試験シリーズによると、熟練した審査員が、ミルクに基づくアイスクリームと、乳タンパク質をもはや含有しないが、本発明に従う造粒粉末、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入に従って生成可能な造粒粉末を含有するアイスクリームとの間の差異を伝えることができなかったことが完全に示されている。
【0216】
本発明により、特に、乳タンパク質に対してアレルギーを起こす個人が、アイスクリーム(ミルクを含有するその等価物と同様に、おいしく、クリーム状である)を味わえることになる。
【0217】
実施例5:10%の乳タンパク質の置き換えを伴う加工チーズスプレッドの製造
本実施例では、上記実施例4の場合と同一の造粒粉末を使用した。
【0218】
したがって、この造粒粉末は、70%の(85%の全タンパク質含量での)エンドウタンパク質の組成物および19のDEを有する30%のマルトデキストリンを含有した。
【0219】
加工チーズ(試験)を、下表に示されるレシピに従って製造し、それは上記発明の造粒粉末を含有する。次いで、それを、同時にかつ同じ条件下で製造された、本発明による造粒粉末を含有しない対照チーズ(対照)と比較した。
【0220】
1.レシピ
【0221】
【表2】

【0222】
2.手順
・ 100℃に至る蒸気の注入(Stephan)により、二層構造のクッカーを予熱する。
・ 成分を添加し、300rpmで30秒間攪拌する。
・ 3000rpmで攪拌しながら、95℃まで加熱する。95℃で3分間保持する。
・ タブ中にパッケージし、周囲温度で24時間保持する。
・ 冷却し、4℃で貯蔵する。
【0223】
3.2つのチーズの栄養価
【0224】
【表3】

【0225】
4.他のパラメータ
【0226】
【表4】

【0227】
上記実施例によると、乳タンパク質の一部を本発明の組成物と置き換える(しかし栄養価を有意に加工することがない)ことが全般的に可能であることが完全に示されている。味の観点では、2つのチーズは、20名の個人からなる熟練した審査員によって味見され、それらが類似しており、かつ非常に申し分ないことが判定された。
【0228】
実施例6:本発明による造粒粉末を含有するヨーグルトの製造
1回目の試験シリーズでは、試験を、ミルクを造粒粉末または2成分の単純混合物と置き換えることによって実施した。2つの置き換え百分率、すなわち10%および50%について試験した。
2回目の試験シリーズでは、ヨーグルト中のミルクの本発明による造粒粉末との置き換えを、様々な置き換え百分率、すなわち10%、20%、30%、40%および50%で行った。
【0229】
最後に、3回目および最終の試験シリーズでは、50%の比率でのミルクの置き換えにおける、さまざまなエンドウ/マルトデキストリン重量比を有する本発明による造粒粉末について試験した。3つのエンドウ/マルトデキストリン重量比、すなわち45/55、30/70および60/40について試験した。
テクスチャ、色および味は、3つの試験シリーズにおいて測定され、比較されたパラメータであった。
【0230】
様々なヨーグルトを製造するための手順は、3つの試験シリーズにおいて同じであり、次のように行った。
− 粉末を、50℃まで予熱したミルク中に溶解させる。
− Niro(登録商標)Soavi(GEAグループ)高圧ホモジナイザーを数秒間通過させる。
− 混合物の低温殺菌のステップを90℃で20分間実施する。
− 500mlのボトル内にパッケージし、水槽内で42℃まで冷却しておく。
− 予め製造された発酵物を組み込む、すなわち200mlでの小袋入りの発酵物を組み込み、30分間撹拌しておき、500mlの溶液あたり1mlの発酵物を添加する。
− 4.5のpHが得られるまで、全体を発酵させておく。
− 溶液を馴化し、出口でパッケージする。
− 4℃で貯蔵する。
− 各試料のpH、粘度および白色度を測定する。
【0231】
A.1回目の試験シリーズ
このシリーズでは、造粒粉末は、45/55のエンドウタンパク質/マルトデキストリン重量比を使用する実施例1によって得られた。
より詳細には、エンドウタンパク質組成物は85%の全エンドウタンパク質を含有し、マルトデキストリンは19のDEを有する。
【0232】
同時に、2つの成分の単純混合物は、造粒粉末の生成に用いられる場合と同じ2つの成分の割合を用いて製造した。
【0233】
・ 使用されたレシピ
【0234】
【表5】

【0235】
使用されるヨーグルトにおける発酵物は、CHR Hansen A/S(Denmark)社により、CH−YC380という名称で販売されている。
使用されるゼラチンは、Rousselot SAS社(Courbevoie,France)から入手する。
Clearam(登録商標)CH2020は、出願人企業によって販売されており、調理される加工澱粉として定義されている。
【0236】
・ 結果
【0237】
【表6】

【0238】
この1回目の試験シリーズによると、第一に、エンドウタンパク質およびマルトデキストリンの2つの粉末の単純な物理的混合によっては、ヨーグルトレシピにおける硬いテクスチャを得ることができないことが示される。換言すれば、ゲル化が全く生じず、ヨーグルトには粒状テクスチャを有する液体が残る。他方では、本発明による造粒粉末により、試験された2つのミルクの置き換え百分率、すなわち10%および50%で、滑らかなテクスチャを有するゲル化ヨーグルトを得ることができる。
エンドウタンパク質を含有する4つのヨーグルトは、対照ヨーグルトの白色よりややオフホワイトの色を有するが、これは大した問題となっていない。
【0239】
この試験によると、第一に、最大50%のミルクを、本発明の、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入によって生成可能である造粒粉末と置き換えることによってヨーグルトを生産することが可能であり、また、第二に、上記粉末が、特にその製造方法によってそれに対して与えられているゲル化機能特性を有し、上記特性は諸成分の単純混合物の場合に見出されないことが完全に示されている。
【0240】
B.2回目の試験シリーズ
このシリーズでは、造粒粉末は、1回目の試験シリーズにおいて使用されたもの(45/55のエンドウタンパク質/マルトデキストリン(19のDE)重量比)と同一であった。各回において、造粒粉末の生成に使用されるエンドウタンパク質の組成物は、85%のエンドウタンパク質を含有した。
【0241】
・ 使用されたレシピ
【0242】
【表7】

【0243】
・ 結果
【0244】
【表8】

【0245】
この2回目の試験シリーズによると、ヨーグルト中の乳タンパク質を、本発明の、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入によって生成可能である造粒粉末と置き換えることが全体的に可能であることが示される。置き換え度は、最大50%の範囲でありうる。置き換えの5つの度合いは、テクスチャ面で、全体的に申し分なく、対照ヨーグルトに匹敵する(ゲル化され、滑らかな状態を維持する)ヨーグルトが得られる。5つの試験ヨーグルトの色は、極めてわずかなオフホワイトであるが、これは大した問題となっていない。
【0246】
C.3回目の試験シリーズ
このシリーズでは、50%の度合いでのヨーグルト中でのミルクの置き換えを、様々なエンドウ/マルトデキストリン重量比、すなわち30/70、45/55および60/40を有する、本発明による造粒粉末について試験した。試験される各造粒粉末については、使用されるエンドウタンパク質の組成物は、85%のエンドウタンパク質を含有し、かつ、マルトデキストリンは通常、19のDEを有するマルトデキストリンであった。
【0247】
使用されたレシピ
【0248】
【表9】

【0249】
・ 結果
【0250】
【表10】

【0251】
この3回目の試験シリーズによると、45/55のエンドウタンパク質組成物/マルトデキストリン重量比を有する造粒粉末(組成物中に含量85%のエンドウタンパク質と、19のDEを有するマルトデキストリンとを有する)が、対照ヨーグルトに最も近いヨーグルトを得ることを可能にする粉末であることが示される。同比におけるエンドウタンパク質組成物の含量が増加する場合(60/40)、得られるヨーグルトは非常にクリーミーであるが、配色は薄いベージュであり、それは不利となりうる。より低い比(30/70)では、ヨーグルトのテクスチャは、対照ヨーグルトの場合よりもゲル化していない。
【0252】
実施例7:本発明による造粒粉末を含有する飲用ヨーグルトの製造
本実施例では、造粒粉末は、上記実施例6のシリーズ1および2の場合と同一であった。したがって、エンドウタンパク質/マルトデキストリン(19のDE)重量比は、45/55であった。各回において、造粒粉末の生成に使用されるエンドウタンパク質の組成物は、85%のエンドウタンパク質を含有した。
【0253】
試験は、ミルクを造粒粉末または2つの成分の単純混合物と置き換えることによって実施した。2つの置き換え百分率、すなわち10%および50%について試験した。
【0254】
飲用ヨーグルト(試験10(ESSAI10)および試験50(ESSAI50))は、下表に示されるレシピに従って製造し、上記発明の造粒粉末を、2つの異なる置き換え度で含有する。次いで、それらを、ミルクのみを含有するヨーグルトとだけでなく、同じ条件下で、同時に製造された、本発明による造粒粉末を含有しないが、2つの成分の単純な物理的混合物を含有する対照の飲用ヨーグルト(対照10(TEMOIN10)および対照50(TEMOIN50))と比較した。
【0255】
様々な飲用ヨーグルトについては、官能分析における専門家である、20名の個人からなる熟練した審査員により、目隠しして味わわれた。次のパラメータについて、試験し、1〜5のスケールで格付けした(1は最低、5は最高グレード:色、臭い、味、口当たりの良さ
【化11】


、稠度、汎用グレード)。
【0256】
1.使用されたレシピ
【0257】
【表11】

【0258】
SweetPearl(商標)P200は、出願人企業製のマルチトールの商標であり、それは、小麦またはトウモロコシ澱粉に由来する、結晶粉末形態での炭水化物である。
Nutriose(登録商標)FB06は、出願人企業によって販売もされている可溶性食物繊維である。
使用される発酵物は、CHR Hansen A/S社(Denmark)によって販売されている。
【0259】
2.手順
・ Nutriose(登録商標)FB06をミルクに溶解した。
・ 次いで、混合物を90℃で10分間低温殺菌した。
・ 次いで、この低温殺菌混合物を、180バールの圧力で、Niro(登録商標)Soavi(GEAグループ)ホモジナイザーを使用して均質化した。
・ 次いで、得られたエマルジョンを、43℃に冷却し、この温度で維持した。
・ プレバイオティクス発酵物を冷却混合物に添加し、発酵を、pHメーターを使用してpHを連続的に測定することによって点検した。
・ 混合物のpHが4.5の値に達したとき、発酵を停止させた。
・ 次いで、SweetPearlを添加し、混合物を、Pierre Guerin Technologies社(France)によって販売されているALM2ホモジナイザーで均質化した。
・ 微生物学的汚染のリスクを取り除くため、全体を90℃で15秒間低温殺菌した。
・ テイスティング前に、全体を5℃に冷却した。
【0260】
3.結果
【0261】
【表12】

【0262】
この試験によると、飲用ヨーグルト中の乳タンパク質の一部を、本発明の、または上記のように本発明による造粒粉末を製造するための方法の導入によって生成可能である造粒粉末と置き換えることが全体的に可能であることが完全に実証される。
【0263】
上記造粒粉末を含有する飲用ヨーグルトは、飲用ヨーグルトE10(乳タンパク質の置き換え度10%)に対する好みが、極めてわずかにあるが有意ではなく、非常に申し分なく、ミルクのみを含有する対照の飲用ヨーグルトと同一であると判定された。2つの成分の単純な物理的混合物を含有する2つの飲用ヨーグルトは、否定的に判定され、彼らの評価によると、それらは、味、それらの口当たりの良さおよびそれらの稠度(過度に液状であると判定)のいずれの観点でも、対照ヨーグルトと全く類似しないことが完全に示されている。したがって、上記粉末は、それに対し、特にその製造方法によって付与されているゲル化機能特性を有し、ここで上記特性は、成分の単純混合物の場合に見出されていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの植物性タンパク質および少なくとも1つの澱粉加水分解物を含有する造粒粉末であって、
− 10μm〜500μm、好ましくは50μm〜350μm、またさらにより好ましくは70μm〜250μmのレーザー体積平均径D4,3、および
− 130℃で2時間の加熱処理後に測定される、80%超、好ましくは85%超、またさらにより好ましくは90%超の乾物含量、
を有することを特徴とする、造粒粉末。
【請求項2】
前記澱粉加水分解物に対する前記植物性タンパク質の重量比が、99:1〜1:99、好ましくは80:20〜20:80、さらにより好ましくは65:35〜35:65、詳細には55:45〜45:55であることを特徴とする、請求項1に記載される造粒粉末。
【請求項3】
植物性タンパク質および澱粉加水分解物の量の合計が、前記造粒粉末の全質量の30%〜100%、好ましくは50%〜100%(乾燥/乾燥)であることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載される造粒粉末。
【請求項4】
前記澱粉加水分解物が、マルトデキストリン、グルコースシロップ、デキストロースおよびそれらの任意の混合物から選択されることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載される造粒粉末。
【請求項5】
前記植物性タンパク質が、穀物、油性植物、豆科植物、塊茎植物、藻類および微細藻類の科に由来し、単独でまたは同じ科もしくは異なる科から選択される混合物として使用される、タンパク質であることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載される造粒粉末。
【請求項6】
前記植物性タンパク質が、豆科植物タンパク質に属することを特徴とし、ここで前記豆科植物は、アルファルファ、クローバー、ルピナス、エンドウ、インゲンマメ、フェーヴ、フェヴロール、レンズマメおよびそれらの混合物を含む群から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載される造粒粉末。
【請求項7】
前記豆科植物タンパク質が、エンドウであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載される造粒粉末。
【請求項8】
前記粉末が、少なくとも1つのエンドウタンパク質および1つの澱粉加水分解物、好ましくはマルトデキストリン、またさらにより好ましくはDEが15〜19であるマルトデキストリンを含有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載される造粒粉末。
【請求項9】
前記粉末が、エンドウタンパク質、ならびにマルトデキストリンとグルコースシロップとの混合物を含有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載される造粒粉末。
【請求項10】
− 0.30〜0.90g/ml、好ましくは0.40〜0.60g/mlの見掛け密度、および
− 60秒未満、好ましくは30秒未満、またさらにより好ましくは10秒未満の湿潤性、および
−デカンテーションの完全な欠如、および
− 50%超、好ましくは55%超、またさらにより好ましくは60%超の乳化能、
を有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載される造粒粉末。
【請求項11】
前記請求項のいずれか一項に記載される造粒粉末を製造するための方法であって、少なくとも2つの成分を同時に乾燥させること、および、少なくとも1つの植物性タンパク質を少なくとも1つの澱粉加水分解物と緻密な接触状態にするステップを含むことを特徴とし、ここで、緻密な接触状態にするこのステップを、当業者に既知の任意の方法に基づいて、詳細には、スプレー乾燥、造粒および押出、およびこれらの技術の少なくとも2つの任意の組み合わせから選択される技術に基づいて実施することが可能であり、それにより、緻密な接触状態にする前記ステップの結果、130℃で2時間の加熱処理後に測定される、80%超、好ましくは85%超、またさらにより好ましくは90%超の最終乾物含量が得られる、方法。
【請求項12】
前記植物性タンパク質がエンドウタンパク質であり、かつ前記澱粉加水分解物がマルトデキストリン、好ましくはDEが15〜19のマルトデキストリンであることを特徴とする、前記請求項に記載される、造粒粉末を製造するための方法。
【請求項13】
少なくとも1つの植物性タンパク質および少なくとも1つの澱粉加水分解物の懸濁液をスプレー乾燥するステップと、その後の前記スプレー乾燥粉末を造粒するステップと、を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載される、造粒粉末を製造するための方法。
【請求項14】
1)15〜70℃、好ましくは15〜50℃の温度で、エンドウタンパク質および澱粉加水分解物の懸濁液を製造するステップと、ここで、
− 前記エンドウタンパク質は、20%〜99%、好ましくは45%〜90%、さらにより好ましくは50%〜80%、詳細には55%〜75%の可溶性タンパク質含量を有し;
− 前記澱粉加水分解物は、DEが15〜19のマルトデキストリンと、DEが47以下、好ましくは35以下のグルコースシロップと、それらの任意の混合物とからなる群から選択され;
− 前記澱粉加水分解物に対する前記エンドウタンパク質の重量比は、99:1〜1:99、好ましくは80:20〜20:80、さらにより好ましくは65:35〜35:65、詳細には55:45〜45:55であり;
− 前記懸濁液の乾物含量は、25%〜50%、好ましくは30%〜40%であり、
1’)1に従って得られる前記懸濁液の細菌学的リスクを低減するため、高温で短時間の熱処理の任意の第1ステップを実施するステップと、ここで、前記処理についてはHTST(高温で短時間)およびUHT処理から選択することが可能であり、
1’’)1)に従って得られる前記懸濁液の高圧均質化の任意の第2ステップを、前記任意の第1ステップとは独立に実施するステップと、
2)エンドウタンパク質および澱粉加水分解物の前記懸濁液を、15〜80℃、好ましくは15〜50℃の温度で維持するか、あるいは、ステップ1’)が実施される場合、エンドウタンパク質および澱粉加水分解物の前記懸濁液を、15〜80℃、好ましくは15〜50℃の温度に戻すステップと、
3)高圧スプレー乾燥ノズルを装備したスプレー乾燥タワー中で前記懸濁液を、前記タワーの最上部での前記微粒子の再生後にスプレー乾燥するステップと、
4)前記スプレー乾燥タワー中で造粒するステップと、
5)前記エンドウタンパク質および前記澱粉加水分解物を含有する前記得られた造粒粉末を回収するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載される、造粒粉末を製造するための方法。
【請求項15】
油/水エマルジョンの製造、好ましくはコーヒーまたはティー用クリームの製造における、請求項1〜10のいずれか一項に記載される造粒粉末、または請求項11〜14のいずれか一項に記載される方法の導入に従って生成可能である前記造粒粉末の使用。
【請求項16】
化粧品、洗浄剤、農芸化学、工業的もしくは薬学的製剤、建設資材、掘削流体の分野、発酵、動物飼料および食品用途における、請求項1〜10のいずれか一項に記載される造粒粉末、または請求項11〜14のいずれか一項に記載される方法の導入に従って生成可能である前記造粒粉末の使用。
【請求項17】
特に動物性タンパク質を全体的または部分的に置き換えるための、乳化剤、膨張剤、安定化剤、濃化剤および/またはゲル化剤としての、請求項15または16に記載される造粒粉末の使用。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれか一項に記載される造粒粉末、または請求項11〜14のいずれか一項に記載される方法の導入に従って生成可能である前記造粒粉末を含有する、油/水エマルジョン、好ましくはコーヒーまたはティー用クリーム。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれか一項に記載される造粒粉末、または請求項11〜14のいずれか一項に記載される方法の導入に従って生成可能である前記造粒粉末を含有する、化粧品、洗剤または農薬組成物、工業的もしくは薬学的製剤、建設資材、掘削流体、発酵培地、動物栄養組成物または食品用途。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか一項に記載される造粒粉末、または請求項11〜14のいずれか一項に記載される方法の導入に従って生成可能である前記造粒粉末を含有する、動物性タンパク質を全体的または部分的に置き換えるために使用可能である、乳化剤、膨張剤、安定化剤、濃化剤および/またはゲル化剤。
【請求項21】
前記請求項に記載される、動物性タンパク質を全体的または部分的に置き換えるために使用可能な、乳化剤、安定化剤、濃化剤および/またはゲル化剤を含有する、飲料、乳製品、臨床栄養および/または栄養不良を患う個体を意図した製剤、幼児栄養を意図した製剤、ダイエット製品またはスポーツ選手を意図した粉末の混合物、スープ、ソースおよび調理補助材料、肉に基づく製品、魚に基づく製品、あらゆるタイプの菓子類、穀物製品、ベジタリアン製品およびインスタント食品からなる群から選択される食品製剤。
【請求項22】
前記乳製品が、フロマージュフレおよび熟成チーズ、加工チーズまたは加工チーズスプレッド、発酵乳、ミルクスムージー、ヨーグルト、特殊乳製品およびミルクから生産されるアイスクリームからなる群から選択される、前記請求項に記載される食品製剤。
【請求項23】
前記請求項に記載される食品製剤中で、乳タンパク質を部分的または全体的に置き換えるための、請求項1〜10のいずれか一項に記載される造粒粉末、または請求項11〜14のいずれか一項に記載される方法の導入に従って生成可能である前記造粒粉末の使用。

【公表番号】特表2012−519012(P2012−519012A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552488(P2011−552488)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050328
【国際公開番号】WO2010/100369
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(591169401)
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
【Fターム(参考)】