説明

植物成長促進剤

【課題】
従来の植物成長促進剤は、それぞれの特定の条件では効果を示すものの、その効果の安定性、再現性に問題があり、また、製造にあたって特別の技術を必要とするものがあった。本発明は、安価な原料でしかも簡単に製造でき、さらに安定して長期間使用できる植物成長促進剤を得ることを目的とする。
【解決手段】
ゲルマニウムを含む温泉水を煮沸・濃縮し、ゲルマニウムの濃度が0.5mg/Lとしたことを特徴とする植物成長促進剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲルマニウムを含有する温泉水からなる植物成長促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から多くの植物成長促進剤が知られている。特に各種微生物を利用したものとして枯草菌を利用したもの(例えば、特許文献1参照。)、あるいはシュートモナス菌を利用したもの(例えば、特許文献2,3参照。)、トリコデルマ属の菌を利用したもの(例えば、特許文献4参照。)、アゾスピリラム菌を利用したもの(例えば、特許文献5参照。)、ロドシューモナス菌を利用したもの(例えば、特許文献6参照。)等がある。
【0003】
微生物以外のものからなる植物成長促進剤として、フルフラールと水酸化カリウムを原料とするもの(例えば、特許文献7参照。)、核酸及びその関連物質を利用したもの(例えば、特許文献8,9参照。)、ポリアミンを原料としたもの(例えば、特許文献10参照。)、籾殻を原料としたもの(例えば、特許文献11参照。)、甘草抽出物等を原料としたもの(例えば、特許文献12参照。)、シクロデキストリンを用いたもの(例えば、特許文献13参照。)、トリハロースとクエン酸を用いたもの(例えば、特許文献14参照。)、ルテオリンを用いたもの(例えば、特許文献15参照。)などがあげられる。
なお、ゲルマニウムを含有することを特徴とする植物成長促進剤は開示されていない。
【0004】
以上述べた植物成長促進剤のうち、微生物を利用したものは、他の雑菌による汚染を受け易く、長期に亘る保存には向かないという欠点があげられている。
また、フルフラールを原料とするものは、原料であるフルフラールの毒性が問題としてあげられる。その他、核酸及び核酸関連物質や、甘草抽出物、ミクロデキストリン、トレハロース、ルテオリン等を利用するもののうち、原材料が比較的高価なものとか、あるいは籾殻のように大量かつ安価に得られる原料を用いるものでも、その効果が必ずしも十分でないものがあった。
【0005】
【特許文献1】特開平9−20607号公報
【特許文献2】特開2001−30427号公報
【特許文献3】特開2000−191421号公報
【特許文献4】特開平11−279015号公報
【特許文献5】特開平9−227322号公報
【特許文献6】特開平8−310910号公報
【特許文献7】特開平6−298608号公報
【特許文献8】特開2004−196679号公報
【特許文献9】特開2001−72514号公報
【特許文献10】特開2002−29905号公報
【特許文献11】特開2002−338420号公報
【特許文献12】特開2000−309502号公報
【特許文献13】特開2001−81102号公報
【特許文献14】特開2007−308434号公報
【特許文献15】特開2005−320266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、比較的安価で、かつ大量に得られる原料を利用し、特別な技術を必要とすることなく製造でき、長期間安定に貯蔵でき、しかも優れた効果のある植物成長促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を続けてきたが、ゲルマニウムを含む温泉水を煮沸・濃縮したものが、驚くほど顕著な植物成長促進作用を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の請求項1に記載する植物成長促進剤は、ゲルマニウムを含む温泉水を煮沸・濃縮してなることを特徴とする植物成長促進剤である。
単にゲルマニウム塩を水に溶解したものでは十分に効果が得られず、温泉水中に適度に含まれるナトリウム、カリウム分等が植物成長の促進に寄与するものと認められるからである。また、ゲルマニウムを含む温泉水を煮沸・濃縮することで、温泉水中に含まれるおそれのある硫化水素等の気体成分を完全に除去すること、さらに、マグネシウム、カルシウム等の硬度成分を炭酸塩として除去し、金属イオンのバランスをとるためである。また、有効成分を濃縮使用し、流通・保存の便をはかるためでもある。
【0009】
本発明の請求項2に記載する植物成長促進剤は、ゲルマニウム濃度が0.5mg/L以上であることを特徴とする請求項1記載の植物成長促進剤である。
植物の成長促進を顕著に発揮させるには、ゲルマニウム濃度が0.5mg/L以上であることが好ましい。より好ましくは、ゲルマニウムの1.0mg/L前後であることが望ましい。なお、ゲルマニウム濃度が10mg/Lと高くなり過ぎると副作用が生じ、植物に障害を与えるおそれもあるといわれていることから注意する必要がある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の植物成長促進剤は、安価で、簡単に製造でき、しかも長時間安定で優れた植物成長促進効果を示すとともに、植物の病気に対する耐性を高めたり、収量の増加等についても効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
鹿児島市本名町の宮城温泉の温泉水40Lを煮沸・濃縮して0.5Lとした。
濃縮前の温泉水の分析値を表1に示す。また、濃縮後の分析値を表2に示す。
【0012】
表1

【0013】
表2

【0014】
濃縮することにより、ゲルマニウム濃度は0.016mg/Lから1mg/Lへと増加し、ナトリウム、カリウムの濃度も同様に増加している。ただし、カルシウムの濃度の増加は僅かであり、マグネシウムはほとんど増加していない。
カリウム及びマグネシウムは、温泉水を煮沸することにより炭酸塩となって沈降分離したものと考えられる。
【実施例1】
【0015】
表2に示す温泉水濃縮物を、小豆に散布した。散布後、1年で枯れずに茎の長さは2年後、実施例では5〜6mとなったが、比較例では1年で枯れて30〜40cmであった。
【実施例2】
【0016】
花筒に花を活け、温泉水濃縮物を入れたものと、水道水を入れたものとで変化を観察した。同じ機構条件で比較したところ、水道水を入れたものに対し、温泉水濃縮物を入れた花は、約10日程度、日持ちがした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルマニウムを含む温泉水を煮沸・濃縮してなることを特徴とする植物成長促進剤。
【請求項2】
ゲルマニウム濃度が0.5mg/L以上であることを特徴とする請求項1記載の植物成長促進剤。

【公開番号】特開2009−249252(P2009−249252A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101015(P2008−101015)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(508067965)
【Fターム(参考)】