説明

植物抽出物を含有する化粧料

【課題】外から美肌成分を付与するだけではなく、皮膚内の解毒を行うことによって肌本来の状態を回復させて美しい肌を実現する化粧料を提供すること、また、各種化粧料配合剤の毒性を低減又は消去し、化粧料配合剤の毒性によってマスクされていた有効成分の効果を相乗的に高め、安全性と有効性の両者に優れるようにした化粧料を提供すること。
【解決手段】植物抽出物を含有する化粧料であって、該植物抽出物が、皮膚細胞内のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ活性を高める程度を指標として選ばれたものであることを特徴とする化粧料であり、更に化粧料配合剤を含有する化粧料であって、該植物抽出物が、該化粧料配合剤が有する毒性を低減又は消去させるものである上記の化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧行為に伴う毒性を低減又は消去させ、肌本来の状態を回復させて美しい肌を実現する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌の美容にあたっては、主に肌の外から保湿成分等の美肌成分を肌に付与して補う方法が採られていた。この方法は、単に吸湿性の物質を肌表面に付与したり、皮膚から吸収させて皮膚表面の性質を変えたりするものであり、皮膚から吸収させて体内の毒性を低減又は消去させるようなものではなかった。すなわち、皮膚内のデトックス(解毒)を行うことによって美肌効果を目指した化粧料については知られていなかった。
【0003】
食品分野では、毒性を下げるという観点から、近年、デトックス(解毒)という概念が注目されている。なかでも、人体の有する毒物等の異物に対する防御機構を担っている酵素であるグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(以下、「GST」と略記する)の活性を高める目的で、沢ワサビ、クレソン等のアブラナ科の植物からの抽出物を添加した、体内のGST活性を高める機能性食品が報告されている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、上記技術は化粧料分野のものではなく、デトックス(解毒)という観点に立った検討は、化粧料開発の分野においては殆ど行われていなかった。
【0005】
一方、化粧料は、化粧料としての効果を奏する有効成分とその他の化粧料配合剤で構成されている。化粧料配合剤は、主に化粧料を商品として成立させるために配合されているものであり、例えば、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、界面活性剤(乳化剤)、紫外線吸収剤等がある。化粧料の開発に当たっては、この有効成分と化粧料配合剤の組合せとして、できるだけ生体安全性の高い成分、言い換えるとできるだけ皮膚等に対して低毒性の成分になるように配慮されており、従来からそのための検討が行われている。
【0006】
例えば、特許文献2では、有効成分と乳化剤の両方の作用を有する低毒性の有効成分として、乳酸菌発酵米を用いることが提案されている。また、特許文献3では、安全性の高い紫外線吸収剤を得るために、安全性の高い天然成分をその候補として検討し、天然メラニンである微生物由来のメラニンが、合成メラニンと比べて安全性の高い優れた紫外線吸収剤となることが報告されている。
【0007】
特許文献3では、上記の紫外線吸収剤を見出すと同時に、従来から肌荒れ防止と改善に用いられている天然物由来の成分の中から先の紫外線吸収剤と相性の良い成分を選別したところ、結果的にそれぞれの効果が相乗的に発揮され、肌荒れ防止と改善効果に優れ、しかも皮膚に対する安全性の高い化粧料となったことが報告されている。
【0008】
すなわち、化粧料の開発に際しては、有効成分も化粧料配合剤も、できるだけ低毒性のものが選択されている。つまり、化粧料の性能は有効成分の性能だけで決まる訳ではなく、有効成分と組み合わせる化粧料配合剤とのバランスによって決まってくるものであった。そして、低毒性の有効成分が同時に化粧料配合剤としての機能を有することで、化粧料配合剤由来の毒性を軽減する方法や、できるだけ低毒性で効果の高い新たな有効成分を開発し、それに従来から低毒性であることが知られている主に天然物由来の化粧料配合剤を組み合わせて、全体として低毒性の化粧料となるよう化粧料を設計することが行われている。
【0009】
このように、化粧料配合剤としての性能がいかに高くても、毒性の点や使用経験が少ないこと等で採用できない化粧料配合剤は多く、また、有効成分と化粧料配合剤の組み合わせの相性を予測することは極めて困難であった。例えば、特許文献3のような相乗的な効果はあらかじめ予測できた訳ではなく、実際に組み合わせる前から相加的な効果以上の効果を予測することは事実上できないのが現状であった。
【0010】
更に、前記したように、これまでは肌の美容にあたって、肌の外から保湿成分等の美肌成分を肌に付与して補う方法が採られていたが、化粧料配合剤の毒性の低減又は消去に限らず、皮膚内のデトックス(解毒)を行うことによって美肌効果を目指した化粧料については知られていなかった。
【特許文献1】特許第3899210号公報
【特許文献2】特開2005−132850号公報
【特許文献3】特許第3202810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、外から保湿成分等の美肌成分を付与するだけではなく、皮膚内のデトックス(解毒)を行うことによって、肌自らが潤い、美しくなる力を育ませ、肌本来の状態を回復させて美しい肌を実現する化粧料を提供することにある。
【0012】
また、化粧料の商品化に際して用いられる各種化粧料配合剤の毒性を低減又は消去し、有効成分と化粧料配合剤との相性を効果的に向上させる方法を提供し、これまで化粧料配合剤の毒性によって発揮できないでいた有効成分の効果を、化粧料配合剤の毒性を軽減又は消去することによって相乗的に高め、安全性と有効性の両者に優れるようにした化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、GST活性を有するということを条件にスクリーニングをして得た植物抽出物を化粧料に配合したところ、肌本来のみずみずしさを回復させて美しい肌を実現できることを見出した。
【0014】
また、化粧料有効成分と化粧料配合剤とを含有する系において、化粧料配合剤の毒性を軽減又は消去できる成分を化粧料配合剤と共に化粧料に配合させる方法に思い当たった。そして、化粧料配合剤の毒性を軽減又は消去することのできる成分について鋭意検討した結果、植物由来の抽出物を対象として、皮膚細胞内の解毒酵素であるGSTの活性を高める成分を化粧料に含有させたところ、肌本来のバランスが回復し、化粧料有効成分と化粧料配合剤との相乗効果が発揮された状態となることを見出した。
【0015】
そして、単一の植物からの抽出物だけでなく、皮膚細胞内のGST活性を高める活性を指標としていくつかの植物由来の抽出物の組み合わせの効果を確認したところ、特定の組み合わせが、特にGST活性を高める活性を有することと、これらを配合した化粧料を使用した場合に、特に肌本来のバランスが回復して、潤いや艶等がある美しい肌になることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、少なくとも植物抽出物を含有する化粧料であって、該植物抽出物が、皮膚細胞内のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ活性を高める程度を指標として選ばれたものであることを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0017】
また本発明は、少なくとも植物抽出物及び化粧料配合剤を含有する化粧料であって、該植物抽出物が、該化粧料配合剤が有する毒性を低減又は消去させるものである上記の化粧料を提供するものである。
【0018】
また本発明は、上記植物抽出物が、オウレン、オウバク、オウゴン、サンシシ、菜の花、ブロッコリー、キャベツ、ダイコン、カラシナ、リンゴ、パパイヤ、キウイ及びキャロットからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物である上記の化粧料を提供するものである。
【0019】
また本発明は、上記化粧料配合剤が、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、界面活性剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる1種又は2種以上のものである上記の化粧料を提供するものである。
【0020】
また本発明は、皮膚細胞内のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ活性を高める程度を測定して、その程度を指標にして植物抽出物を選択する工程を有することを特徴とする化粧料の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、外から保湿成分等の美肌成分を付与するだけではなく、皮膚内の毒性の低減又は消去(デトックス(解毒))を行うことによって、結果として肌本来の状態を回復させて、肌自らに潤いを与え、美しくなる力を育ませるこれまでにない化粧料を提供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、抗菌剤等の化粧料配合剤の毒性を低減又は消去することができるので、これまで制約が多かった化粧料配合剤の選択の幅を大きく取ることができる。また、化粧料配合剤の毒性を低減又は消去することによって、化粧料有効成分の効果を完全に発揮させ、有効成分の有効性や化粧料配合剤の性能を相乗的に発揮させた化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の具体的形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で任意に変形することができる。
【0024】
本発明の化粧料は、皮膚細胞内のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ活性を高める程度を指標として選ばれた植物抽出物を含有することが必須である。好ましくは、化粧料に配合される化粧料配合剤が有する毒性を低減又は消去させる植物抽出物を含有する。すなわち、皮膚細胞内のGST活性を高めることができ、化粧料配合剤が有する毒性を低減又は消去させる植物抽出物を、GST活性を指標としてスクリーニングし、その結果得られた植物抽出物を含有する化粧料が好ましい。
【0025】
それによって、より効果的に化粧料配合剤の毒性を低減又は消去できて、化粧料有効成分の本来持っている効果を完全に発揮できるようになる。また、該植物抽出物自身も化粧料有効成分となることで、植物抽出物による体内からの作用によって肌本来の潤いのある美しい状態を回復できるようになる。
【0026】
皮膚細胞内のGST活性を高める程度は、後述する実施例中の評価例1のようにして測定する。このようにして測定されたGST活性を高める活性値を参考に選択された植物抽出物の対象植物としては、具体的には例えば、オウレン、オウバク、オウゴン、サンシシ、菜の花、ブロッコリー、キャベツ、ダイコン、カラシナ、リンゴ、パパイヤ、キウイ、キャロット、シソ、ミカン、ユズ、キュウリ、レタス、ダイズ、ツルグ及びアマドコロからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物が好ましいものとして挙げられる。植物抽出物は、上記植物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出されたものであることが、前記本発明の効果が特に得られる点から好ましい。上記群から選ばれる2種以上の植物からの抽出物であることがより好ましく、3種以上の植物からの抽出物であることが特に好ましい。
【0027】
上記植物抽出物が、オウレン、オウバク、オウゴン及びサンシシからなる群より選ばれる2種以上の植物からの抽出物であることが、前記本発明の効果が特に得られる点から好ましい。また、上記植物抽出物が、菜の花、ブロッコリー、キャベツ、ダイコン及びカラシナからなる群より選ばれる2種以上の植物からの抽出物であることが、前記本発明の効果が特に得られる点から好ましい。また、上記植物抽出物が、リンゴ、パパイヤ、キウイ及びキャロットからなる群より選ばれる2種以上の植物からの抽出物であることが、前記本発明の効果が特に得られる点から好ましい。
【0028】
また、上記群から選ばれる3種以上の植物からの抽出物であることがより好ましく、4種以上の植物からの抽出物であることが特に好ましい。複数種使用することによって、特に消炎解熱的な効果がある。
【0029】
複数種使用する場合、その植物抽出物の配合比は特に限定はないが、化粧量の有効成分100質量部に対して、固形分換算で、オウレンからの抽出物0.005〜10質量部、オウバクからの抽出物0.005〜10質量部、オウゴンからの抽出物0.005〜10質量部及びサンシシからの抽出物0.005〜10質量部が好ましく、オウレンからの抽出物0.05〜1質量部、オウバクからの抽出物0.05〜1質量部、オウゴンからの抽出物0.05〜1質量部及びサンシシからの抽出物0.05〜1質量部がより好ましく、オウレンからの抽出物約0.1質量部、オウバクからの抽出物約0.2質量部、オウゴンからの抽出物約0.2質量部及びサンシシからの抽出物約0.1質量部の混合物が特に好ましい。
【0030】
また、化粧量の有効成分100質量部に対して、固形分換算で、菜の花からの抽出物0.005〜10質量部、ブロッコリーからの抽出物0.005〜10質量部、キャベツからの抽出物0.005〜10質量部、ダイコンからの抽出物0.005〜10質量部及びカラシナからの抽出物0.005〜10質量部が好ましく、菜の花からの抽出物0.05〜1質量部、ブロッコリーからの抽出物0.05〜1質量部、キャベツからの抽出物0.05〜1質量部、ダイコンからの抽出物0.05〜1質量部及びカラシナからの抽出物0.05〜1質量部が特に好ましい。
【0031】
また、化粧量の有効成分100質量部に対して、固形分換算で、リンゴからの抽出物0.005〜10質量部、パパイヤからの抽出物0.005〜10質量部、キウイからの抽出物0.005〜10質量部及びキャロットからの抽出物0.005〜10質量部が好ましく、リンゴからの抽出物0.05〜1質量部、パパイヤからの抽出物0.05〜1質量部、キウイからの抽出物0.05〜1質量部及びキャロットからの抽出物0.05〜1質量部が特に好ましい。
【0032】
本発明で用いる植物抽出物の抽出方法は、通常その対象植物において用いられている抽出方法を行えばよく特に限定されないが、例えば、植物体をそのまま又は粉砕後、搾取する方法、そのまま又は粉砕後、溶媒で抽出する方法が好ましい抽出方法として挙げられる。
【0033】
本発明で用いる植物抽出物の抽出方法は、通常その対象植物において用いられている抽出方法を行えばよく特に限定されないが、例えば、植物体をそのまま又は粉砕後、搾取する方法、そのまま又は粉砕後、溶媒で抽出する方法が好ましい抽出方法として挙げられる。
【0034】
抽出溶媒としては、水;アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール;プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等);アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等のかルボン酸エステル類;キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;クロロホルム等の有機溶媒の1種又は2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
【0035】
抽出方法としては特に限定はないが、浸漬抽出、ソックスレー抽出等が好ましい。また、抽出温度は特に限定はないが、通常4℃〜100℃、好ましくは10℃〜80℃、特に好ましくは20℃〜60℃である。抽出温度が高すぎると、有効成分の分解が生じる場合がある。一方、抽出温度が低すぎると、抽出効率が落ちたり、化粧料としての前記効果を奏しなくなったりする場合がある。浸漬抽出の場合の浸漬時間は特に限定はないが、1時間〜7日が好ましい。浸漬時間が長すぎると、変色や異臭が生じる場合があり、短すぎると十分に抽出できない場合がある。
【0036】
抽出後は濾過又はイオン交換樹脂を用い、吸着・脱色・精製して溶液状、ペースト状、ゲル状、粉末状とすればよい。更に多くの場合は、そのままの状態で利用できるが、必要ならば、その効果に影響のない範囲で、更に脱臭、脱色等の精製処理を加えてもよく、脱臭・脱色等の精製処理手段としては、活性炭カラム等を用いることが好ましく、抽出物質により、一般的に適用される通常の手段を任意に選択して行えばよい。抽出物は、配合する化粧料の剤形・形態により、更に要すれば、乾燥、濃縮、希釈、溶媒置換等を任意に行えばよく、特に制限されるものはない。
【0037】
本発明で用いられる化粧料配合剤は、配合する化粧料の目的・剤形・形態により決定されるが、例えば以下に掲げるものの中から化粧料に応じて選ばれる。すなわち、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、色素、増粘剤、ワックス、抗炎症剤、キレート剤、pH調整剤、無機粒子、ハップ剤における基剤やゲル化剤、浴剤における塩類等である。
【0038】
特に、化粧料配合剤が、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、界面活性剤又は紫外線吸収剤であるときに、前記植物抽出物が、効果的にそれらの毒性を低減又は消去でき、結果として前記効果を発揮する。
【0039】
抗菌剤としては、以下のものが挙げられる。すなわち、トリクロロカルバアニリド、イソプロピルメチルフェノール、ヘキサメチレンビスクロロフェニルビグアニド、ジクロロトリフルオロメチルカルバアニリド、ヒドロキシジフェニルアルキリイソキノリウムブロム液、レゾルシン、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン液、クレゾール、クロロチモール、クロロフェネシン、クロロキシレノール、クロロクレゾール、ジクロロキシレノール、ジクロロベンジルアルコール、チオビスクロロフェノール、チモールトリクロロヒドロキシフェニルエーテル、ナトリウムフェノキシド、パラクロロフェノール、クロラミンT、ハロカルバン、感光素101号、感光素201号、感光素401号、ジンクピリチオン等。
【0040】
抗菌剤の配合量は多少にかかわらず本発明の効果は奏されるが、化粧料全体に対して、通常0.001質量%〜1質量%、好ましくは0.01質量%〜0.1質量%である。
【0041】
防腐剤としては、以下のものが挙げられる。すなわち、ソルビン酸及びその塩、サリチル酸、フェノール、デヒドロ酢酸及びその塩、ヘキサクロロフェン、安息香酸及びその塩、ウンデシレン酸、パラオキシ安息香酸エステル、フェニルエチルアルコール、フェニルフェノール、フェノール、フェノキシエタノール等。
【0042】
防腐剤の配合量は多少にかかわらず本発明の効果は奏されるが、化粧料全体に対して、通常、0.001質量%〜1質量%、好ましくは0.01質量%〜0.5質量%である。
【0043】
界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。すなわち、
[非イオン界面活性剤]
多価アルコール脂肪酸エステル及び多価アルコールアルキルエーテル:
プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグリコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンエーテル:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタロール、ポリオキシエチレンコレステロール、ポリオキシエチレンコレスタロール、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル等。
エーテルエステル:
ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルポリオキシエチレンメチルグリコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン動植物油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等。
含窒素誘導体:
ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミド、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルメルカプタン等。
【0044】
[陰イオン界面活性剤]
カルボン酸塩:
脂肪酸せっけん、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、アシル乳酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルアラニン酸塩、N−アシルサルコシン酸塩、N−アシル−ω−アミノ酸塩等。
スルホン酸塩:
アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキリグリシジルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ホルマリン縮合系スルホン酸塩等。
硫酸塩:
アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩
リン酸塩:アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、脂肪酸アミドエーテルリン酸塩等。
【0045】
[陽イオン界面活性剤]
脂肪族アミン及びその4級アンモニウム塩:
1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩、脂肪族アミドアミン塩、第4級アミン塩、アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩、アルキルエーテルアンモニウム塩
環式アミドアミン塩:ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等。
【0046】
[両性界面活性剤]
カルボン酸塩:
グリシン型、アミノプロピオン酸型、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、スルホン酸型、硫酸型、リン酸型等。
【0047】
界面活性剤の配合量は多少にかかわらず本発明の効果は奏されるが、化粧料全体に対して、通常0.01質量%〜50質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%である。
【0048】
紫外線吸収剤としては、以下のものが挙げられる。すなわち、
安息香酸エステル系:
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチル
サリチル酸系:サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸p−tert−ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル等。
ケイ皮酸系:
ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸2−エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル等。
ウロカニン酸系:
ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等。
その他:
2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボキシ2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、アントラニル酸メンチル、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等。
【0049】
紫外線吸収剤の配合量は多少にかかわらず本発明の効果は奏されるが、化粧料全体に対して、通常0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%である。
【0050】
酸化防止剤としては、以下のものが挙げられる。すなわち、ビタミンE及びその誘導体、ノルジヒドログアヤレチン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム、エルソルビン酸及びその塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、トリルビグアナイド、パラヒドロキシアニソール、アスコルビン酸及びその誘導体等。
【0051】
酸化防止剤の配合量は多少にかかわらず本発明の効果は奏されるが、化粧料全体に対して、通常0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.1質量%〜3質量%である。
【0052】
本発明の化粧料では、GST活性を高める程度を指標として選ばれた植物抽出物自身が化粧料有効成分に該当する場合があるが、別途、化粧料有効成分を含有させることもできる。別途、化粧料有効成分を含有する化粧料に対しても、前記植物抽出物は有効である。この場合は、本発明の化粧料は、少なくとも、「化粧料有効成分」、「化粧料配合剤」、「該化粧料配合剤が有する毒性を低減又は消去させる前記植物抽出物」の少なくとも3種を含有する。
【0053】
別途用いられる化粧料有効成分としては、美白剤、皮脂の抗酸化剤、保湿剤、しわ伸ばし剤等が挙げられる。これらは、化粧料配合剤と重複する場合もある。その場合は、前記植物抽出物は、かかる化粧料有効成分が副作用として有する毒性を低減又は消去する場合もある。
【0054】
本発明の化粧料としては、一般的な皮膚化粧料類の他、痩身化粧料類;マッサージ化粧料類;洗顔料、化粧水、美容液、パック、乳液、クリーム、マスクシート、ボディパック、フェイスパック等の基礎化粧品類;下地クリーム、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、ほほ紅等のメイクアップ化粧品;シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアパック等の毛髪化粧料;洗顔料、石鹸、ボディーソープ等のクレンジング料;入浴剤等のトイレタリー化粧品;ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアクリーム等のヘアケア化粧品等が挙げられる。化粧料の形態としては、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、支持体に塗布したシート状、粉末状等種々の形態にて実施することができる。
【実施例】
【0055】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
製造例1
[1]オウレン300gを1,3−ブチレングリコール3kgと水7kgの混合溶媒(1,3−ブチレングリコールの30%水溶液10kg)に浸漬し、20℃で2週間抽出した後、濾過精製を行い、オウレン抽出液を得た。
[2]オウバク300gを1,3−ブチレングリコール3kgと水7kgの混合溶媒(1,3−ブチレングリコールの30%水溶液10kg)に浸漬し、20℃で2週間抽出した後、濾過精製を行い、オウバク抽出液を得た。
[3]オウゴン300gを1,3−ブチレングリコール3kgと水7kgの混合溶媒(1,3−ブチレングリコールの30%水溶液10kg)に浸漬し、20℃で2週間抽出した後、濾過精製を行い、オウゴン抽出液を得た。
[4]サンシシ300gを1,3−ブチレングリコール3kgと水7kgの混合溶媒(1,3−ブチレングリコールの30%水溶液10kg)に浸漬し、20℃で2週間抽出した後、濾過精製を行い、サンシシ抽出液を得た。
【0057】
上記操作で得られた、オウレン抽出液2kg、オウバク抽出液5kg、オウゴン抽出液1kg、サンシシ抽出1kg、及び「1,3−ブチレングリコール0.45kgと水1.05kgの混合溶媒」(1,3−ブチレングリコールの30%水溶液1.5kg)を混合し、20℃で2日間静置した後、濾過を行い、更に、4℃、7日間静置した後、濾過精製を行い、混合抽出液を得た。
【0058】
製造例2
ブロッコリースプラウト1kgを細かく刻み、「1,3−ブチレングリコール4.3kgと水10kgの混合溶媒」(1,3−ブチレングリコールの30%水溶液14.3kg)に浸漬し、20℃で2週間抽出した後、濾過精製を行い、ブロッコリースプラウトの抽出液を得た。
【0059】
評価例1
<皮膚細胞内GST活性の評価>
正常皮膚由来の培養線維芽細胞を10V/V%牛胎仔血清を含むイーグルMEM培地100μLを用いて、96穴マイクロタイタープレートに1.4×10個/穴になるように播種後、37℃、5%CO気相の条件下で1日間予備培養を行った。この細胞に、後述する製造例1及び製造例2で得られた試料を、固形分換算で5、10、20μg/mLとなるように10V/V%牛胎仔血清を含むイーグルMEM培地100μLに溶解して添加し、更に3日間培養した。なお、比較対象として、製造例で得られた試料を含まない10V/V%牛胎仔血清を含むイーグルMEM培地で培養した細胞を設定した。
【0060】
3日間培養した細胞の培地を除去し、1W/W%TritоnX−100含有のPBS(−)100μLを加えて十分にピペッティングして細胞を融解し細胞抽出液を得た。以上のようにして得られた各細胞抽出液について、GST−πELISA Kit(Immundianоstik AG社製)を用いてGST活性を測定した。なお、別にMTT法で細胞増殖性の確認を行い、各細胞間に細胞増殖性を確認した。
【0061】
試験結果:下記の通りであった。
【表1】

【0062】
表1の結果から、製造例1及び製造例2で得られた試料は、皮膚由来培養線維芽細胞のGST活性を添加濃度依存的に亢進させることが示された。また、別に行ったMTT法による細胞増殖試験において、各試料の細胞増殖性にはほとんど差を認めないことを確認した。
【0063】
実施例1
(化粧水)
成分 質量%
製造例(1)で得られたエキス 1.000
濃グリセリン 2.000
1,3−ブチレングリコール 10.000
キサンタンガム 0.050
ヒアルロン酸ナトリウム 0.010
防腐剤 適量
精製水 全量が100.000となる量
【0064】
実施例2
(乳液)
成分 質量%
トリオクタン酸グリセリル 3.000
ホホバ油 1.000
オリブ油 1.000
メチルポリシロキサン 0.100
天然ビタミンE 0.100
POE(20)ソルビタンモノオレエート 1.500
ソルビタンモノオレエート 0.500
製造例(1)で得られたエキス 1.000
L−アルギニン 2.000
L−セリン 0.500
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.100
ポリビニルピロリドン 0.050
防腐剤 適量
精製水 全量が100.000となる量
【0065】
実施例3
(クリーム)
成分 質量%
ベヘニルアルコール 2.000
トリオクタン酸グリセリル 3.000
ホホバ油 1.000
オリブ油 1.000
メチルポリシロキサン 0.100
天然ビタミンE 0.100
POE(20)ソルビタンモノステアレート 2.500
POE(80)硬化ヒマシ油 0.500
製造例(1)で得られたエキス 1.000
L−アルギニン 2.000
L−セリン 0.500
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.100
カルボキシビニルポリマー 0.050
水酸化カリウム 0.010
防腐剤 適量
精製水 全量が100.000となる量
【0066】
実施例4
(美容液)
成分 質量%
カルボキシビニルポリマー(2%水溶液) 10.000
カルボキシエチルセルロース 3.000
グリセリン 10.000
植物抽出液 0.500
トリエタノールアミン 0.150
メチルパラベン 0.100
クインシード液(1%水溶液) 10.000
ヒアルロン酸ナトリウム液(1%水溶液) 4.000
製造例(2)で得られたエキス 1.000
L−アルギニン 2.000
精製水 全量が100.000となる量
【0067】
実施例5
(パック)
成分 質量%
ヒドロキシエトキシセルロース 3.000
カルボキシビニルポリマー(2%水溶液) 10.000
ポリオキシエチレンオレイルエーテル
(15EO) 1.000
製造例(2)で得られたエキス 1.000
L−アルギニン 2.000
エタノール 5.000
防腐剤 適量
精製水 全量が100.000となる量
【0068】
実施例6
(洗顔クリーム)
成分 質量%
ステアリン酸 4.000
ヤシ油脂肪酸 8.000
水酸化カリウム 0.200
1,3−ブチレングリコール 3.000
濃グリセリン 5.000
製造例(2)で得られたエキス 0.500
ジステアリン酸ジエチレングリコール 1.000
L−アルギニン 2.000
エデト酸二ナトリウム 0.050
安息香酸ナトリウム 0.100
精製水 全量が100.000となる量
【0069】
比較例1
実施例1の製造例(1)で得られたエキスの代わりに、精製水を用いて調製した。
【0070】
比較例2
実施例2の製造例(1)で得られたエキスの代わりに、精製水を用いて調製した。
【0071】
比較例3
実施例3の製造例(1)で得られたエキスの代わりに、精製水を用いて調製した。
【0072】
比較例4
実施例4の製造例(2)で得られたエキスの代わりに、精製水を用いて調製した。
【0073】
比較例5
実施例5の製造例(2)で得られたエキスの代わりに、精製水を用いて調製した。
【0074】
比較例6
実施例6の製造例(2)で得られたエキスの代わりに、精製水を用いて調製した。
【0075】
<肌状態改善作用>
肌に衰えを訴えた40〜50歳台の10名の女性被験者に対して、顔全体に実施例1〜5及び比較例1〜5の化粧料を朝晩2回塗布してもらい、以下の判定基準に基づいて肌のうるおい感、肌のつや、肌のハリについて、使用前後の肌状態について、使用開始1ヵ月後に官能評価を行った。なお、本試験期間を通して皮膚に異常を訴えた者はいなかった。
【0076】
<肌状態改善度判定基準>
A 極めて改善した
B 顕著に改善
C わずかに改善
D 変化認めず
E 増悪
【0077】
(1)肌のうるおい感
【表2】

【0078】
(2)肌のつや
【表3】

【0079】
(3)肌のハリ
【表4】

【0080】
実施例1〜5の化粧料は何れも、肌のうるおい感、肌のつや、肌のハリの何れにも良好な結果が得られたが、比較例1〜5の化粧料は何れも、肌のうるおい感、肌のつや、肌のハリの何れにも良好な結果が得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の化粧料は、外から美肌成分を付与するだけではなく、皮膚内の解毒を行うことによって、肌本来の状態を回復させて美しい肌を実現でき、また、各種化粧料配合剤の毒性を低減又は消去し、有効成分と化粧料配合剤との相性を効果的に向上させる方法を提供できるので、広く化粧料の分野に利用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物抽出物を含有する化粧料であって、該植物抽出物が、皮膚細胞内のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ活性を高める程度を指標として選ばれたものであることを特徴とする化粧料。
【請求項2】
植物抽出物及び化粧料配合剤を含有する化粧料であって、該植物抽出物が、該化粧料配合剤が有する毒性を低減又は消去させるものである請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
上記植物抽出物が、オウレン、オウバク、オウゴン、サンシシ、菜の花、ブロッコリー、キャベツ、ダイコン、カラシナ、リンゴ、パパイヤ、キウイ、キャロット、シソ、ミカン、ユズ、キュウリ、レタス、ダイズ、ツルグミ及びアマドコロからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物である請求項1又は請求項2に記載の化粧料。
【請求項4】
上記植物抽出物が、オウレン、オウバク、オウゴン及びサンシシからなる群より選ばれる2種以上の植物からの抽出物である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の化粧料。
【請求項5】
上記植物抽出物が、菜の花、ブロッコリー、キャベツ、ダイコン及びカラシナからなる群より選ばれる2種以上の植物からの抽出物である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の化粧料。
【請求項6】
上記植物抽出物が、リンゴ、パパイヤ、キウイ及びキャロットからなる群より選ばれる2種以上の植物からの抽出物である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の化粧料。
【請求項7】
上記化粧料配合剤が、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、界面活性剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる1種又は2種以上のものである請求項2ないし請求項6の何れかの請求項に記載の化粧料。
【請求項8】
皮膚細胞内のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ活性を高める程度を測定して、その程度を指標にして植物抽出物を選択する工程を有することを特徴とする化粧料の製造方法。

【公開番号】特開2010−47530(P2010−47530A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214052(P2008−214052)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(502193495)有限会社イントロン (3)
【Fターム(参考)】