説明

植物抽出物

【課題】
天然物由来の成分を有効成分とし、したがって安全性に懸念が無く、肌荒れの改善や皮膚の老化防止に優れた効果を発揮し、しかも今までにない肌、皮膚への効果を示す新たな食品材料、化粧料、医療材料としてゴマ抽出物を提供する。
【解決手段】
ゴマ種子由来の有効成分としたゴマ種子に含有する抗酸化剤のゴマグリナン類と飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸と酵素との有効成分を含有するゴマ抽出物である。ゴマ種子からの抽出物にセサミン類として0.9重量%以上を含有しているゴマ抽出物である。ゴマ種子を30℃以下の低温で圧搾して得たゴマ油で提供される。ゴマ種子を低温圧搾して得たゴマ油から抽出した形態で提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物抽出物に関し、更に詳しくは肌荒れの改善や皮膚の老化防止に優れた効果を有するゴマ種子由来のゴマリグナン類と、並びに不飽和脂肪酸と酵素との有効成分を含有する植物抽出物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌荒れの改善や皮膚の老化防止、及び皮膚の医療材料を目的として、飲料、健康補助食、食用油などの食品、並びに乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料、軟膏等、各種の化粧料が使用されている。かかる化粧料の薬効成分としては、合成品、天然物からの抽出物、それらの誘導体等、多種多様な薬効成分が提案されており、なかでも安全性の面で天然物からの抽出物が多く提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、これら天然物からの抽出物には、薬効成分の効果が不充分でり、その効果にバラツキがあるという欠点がある(特許文献1〜3参照)。
適用が安全で長期使用によっても毒性がなく臨床的に治験のプログラムを推進することを第一歩とする。その検査報告によって長期血液透析患者・長期アトピー患者に発病する掻痒感の発生関与する現象について病理組織学的、血液学的、ならびに免疫学的な検査を行い(セサミシス型脂肪酸30℃以下生絞り)の効果を解明されて、結果の報告が発表されている(特許文献4〜5参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−119155、
【特許文献2】特開平11−180885
【特許文献3】特開平10−45615
【非特許文献4】キャリアオイル辞典(著者)レン・プライス(東京堂出版)
【非特許文献5】危険な油が病気を起こしている(著者)S・フィネガン博士 (中央アート出版社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、天然物の特殊ゴマからの抽出物であって、飲料、健康補助食、食用油などの食品、並びに乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料、軟膏等、各種の化粧料に添加することによって肌荒れの改善や皮膚の老化防止、痒みの防止に対する薬効成分の効果に優れ、その効果に、食品補助材として、あるいはバラツキが無い化粧料に使用できるゴマ抽出物を提供する処にある。
【0006】
健康な状態を保ち続けるのに必要な数種類の脂肪酸を体内で製造していないため、これらの脂肪酸を摂取しなければならない。これらの脂肪酸は大変重要であるという点から必須という言葉がつけられている。その中でリノール酸とリノレン酸の2つの不飽和脂肪酸が必須脂肪酸に含まれている。それぞれの必須脂肪酸は体内で血液を一定に保たり、体内器官への血流を増加させて、血液凝固を防ぐプロスタグランジンを補充している。
【0007】
しかし現在の植物性油の製造過程には高熱と薬品の添加を伴い多くの天然特性が失われている。特に高精製油はリンで前処理され、アルカリによる精製と炭素活性土を用い真空漂白と脱臭されたものあるが、これらの処理を受けたものは十分にふさわしくない。
【0008】
また水素を添加した植物性油は、不飽和脂肪酸のいくつかの作り変えられる過程でトランス型と呼ばれる脂肪酸が生じる。自然な植物油では炭素の二重結合の水素原子がそれぞれ反対側に1個ずつ結びついている。しかしこれが部分的水素添加した脂肪酸になると片側の水素原子が反対側に移ってしまうこうなると脂肪酸分子のその部分は飽和脂肪酸と似たものになる。
【0009】
現代風な加熱による製油過程の中で生じるトランス結合脂肪酸は使い古しの揚げ油の生じるものと同じである。このような自然界に存在しないトランス型脂肪酸の油は食品分野や化粧品分野で使用することは余り望ましくない。
【0010】
またゴマである天然物からの抽出した成分であって、その中に含有する植物の成分、特に酵素を壊すことなく、有効に抽出できる30℃以下温度における植物から直接に酵素と脂肪酸と有効抗酸化剤を抽出することが要請されている。さらにそのような原液を食品材料、化粧料、医療材料の分野で使用されることが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
食品材料、化粧料、および医療材料として、抗酸化剤のゴマリグナン類と飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸と酵素との有効成分を含有する植物抽出物である。
抗酸化剤のゴマリグナン類が0.9重量%以上含有する高濃度含有物の形態で、セサモリン、セサモール、セサミノール、セサミン、セサモリノールなどを含む天然の抗酸化物質である。
【0012】
脂肪酸は、飽和脂肪酸のパルミチン酸と、ステアリン酸との総量を20重量%以下、不飽和脂肪酸のオレイン酸を30重量%以上、とリノール酸を40重量%上と、αリノレン酸を1重量%以上で、不飽和脂肪酸の全量を80%以上含有している。好ましくは、不飽和脂肪酸は80〜90%である。
酵素は、カタラーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼであって、これらの酵素のうちいずれか一種類以上を含有している。主としてプロテアーゼを含有することが有効である。
【0013】
抗酸化剤のゴマリグナン類と飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸と酵素との有効成分は、サバンナ地帯産のゴマ種子を30℃以下の低温下で圧搾して得たゴマ油から分離している。圧搾する温度は、好ましくは20℃〜10℃である。
【0014】
本発明者らは上記の課題を解決するべく研究した結果、セサミオイルはセサモリンから形成されるササモールとセサミンとセサモリノールの天然抗酸化効果によって非常に安定した油であることが分かった。高温で極力水分を少なくすることによってオイルの中でコマグリナン類が結晶化(含有量0.98g/100g)することもわかった。
ゴマ種子由来のゴマリグナン類と不飽和脂肪酸が薬効成分として正しく好適であることを見出されている。
【0015】
現在一般的製法では生のゴマを30℃以下の低温で搾る方法はなされていない。最低80℃以上の熱を加えないとゴマの精油が出てこない。このような高温でゴマのオイルを搾っているが、ゴマリグナン類と不飽和脂肪酸は得られているが、これらの含有量も低下して、酵素成分は採取されていない。したがってこのようなゴマのオイルは皮膚への効果を十分に与えていない。
【0016】
また必須脂肪酸を豊富に含む植物油が皮膚の乾燥に有効であることは知られている。通常肌の角質層には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸が豊富であるが、これらの必須脂肪酸の欠乏が経表皮的水分喪失(TEWL)を増加させるため、皮膚の乾燥を生じることである。酵素がリノール酸(LA)をγ―リノレン酸(GLA)に転換するために、必要な酵素の欠如によって表皮中のGLA含有量は低くなって、乾燥肌の場合にリノール酸LAの数値は低くなっている。
【0017】
またこのゴマのオイルは優れた抗菌作用があり、培養菌群に加えた場合成長するバクテリアを99%近く減少させることが明らかにされ、黄色ブドウ球菌の殺菌力も認められている。
【0018】
本発明は、ゴマ種子由来のゴマリグナン類と、不飽和脂肪酸と酵素とを有効成分とする食品材料、化粧料、医療材料に係る痒みに対する効果が認められている商品である。
【0019】
人体を構成している60兆とも言われている細胞それぞれは、膜によって包まれており、一つ一つの細胞は、それぞれの社会形態を持って活動し、その生活圏のもとで生命を維持している。すなわち一つの細胞は内部の核を包む核膜、細胞全体を包む細胞膜、そして核膜と細胞膜の間の細胞質とで形成されている。
【0020】
核膜に包まれている核の中にはヒトでは23対(64個)の染色体が存在しその染色体上にはヒトを設計(型作り)生命を維持するための生命活動をしている遺伝子(タック4種類の塩基、すなわちアデニン(A)シトシン(C)アグニン(G)チミン(T)が長い紐のように連なり、これに糖とリン酸が支持体となってDNAを形成して存在している。
【0021】
一個の細胞を形づくっている細胞膜は、二重の脂質の分子層からできており、その中にたんぱく質(酵素も含まれている)が散在している、細胞膜の大部分はリン脂質で、コレステロールも含まれている。細胞膜の外側に存在するたんぱく質は、細胞に必要なホルモンと化学物質のほか毒素、細菌、ウイルスなどの微生物と結合するセレプター(受容体)になっている。
【0022】
人体を包む皮膚は、体に必要な物質が壊れないように保護しており、また外部から身体に有害な侵入を防いでいる、この皮膚は構造上、表皮とその下の真皮とによって形成されており、真皮の下には皮下組織があり外界からの衝撃や温度変化などに対する調節機能がある。表皮には血管がなく、数層の細胞層から作られており、表皮のもっとも下部の細胞層は、基底層とよばれ細胞は真皮と接しており、そこから拡散してくる栄養素を供給されている。
【0023】
この表皮細胞の基底層の細胞は、細胞分裂を繰り返しており、1日に数百万個の細胞が新たに作られている。表皮には毛細血管網が発達しており、そこから表皮への栄養や酵素が供給される。真皮に豊富に分布している血管網は、体温の調節に関与しており、体温が高くなると皮膚の毛細血管が拡張し、熱を体表から放出し、外界の温度が低くなると熱を皮膚から逃がさないようにする。
【0024】
すなわち冷核覚、温覚、触覚、圧覚、痛覚の受容器がある。皮膚についての重要な生理的側面として皮膚には多数の感覚神経が分布しており外界からの感覚刺激(たとえば温度、圧力、痛み)をうけとり、これが脳を中心とした中枢神経に情報として伝達する。生体はその情報に対して反応することも分っている。
【0025】
痒みの発生と強度には個人差がある。痒みは生体内で血液を含めて水分が不足することで皮膚が乾燥する。汗腺のなかでも、エクリン汗腺は体温の調節に重要な役目を果たしており交感神経の影響を受けやすく、体外の気温が高いときと体温が高いときはたくさん汗を分泌するが、神経系をとおして疼痛や、ストレスの影響を受けやすく、とくに痒みの発生と関係があると言われている。
【0026】
血液透析に伴う掻痒の精神的苦痛の改善、アトピーに伴う掻痒の精神的苦痛の改善により、生活の品質(QOL)の向上につながる化粧品、医療品となっている。
皮膚の痒みを発現する原因については、多くの説があるが1)血液不足による局所に停留物質による皮膚におこった酸化現象によるかゆみの発現、2)精神的ストレスによる神経系の異常反応、3)皮膚に何らかの刺激が加わることでマスト細胞(肥満細胞)によるものが提案されている。
【0027】
血液中には検出されない細胞で皮下の結合組織や粘膜組織内に存在する好機基球の一つで、この細胞内の顆粒には多くの種類の科学伝達物質が含まれている。とくにマスト細胞の膜表面には、免疫プロブリンの中でもIgE分子(Fc部分)と結合するセレプター(受容体)が存在するため、たとえばアレルギーを起こす物質(アレルゲン)によってIgE分子が生産され、マスト細胞の膜表面にIgE細胞の分子が結合する。そこへさきのアレルゲンがマスト細胞の膜上にIgEの2分子と結合することでマスト細胞の脱顆粒反応がおこり、ヒスタミンをはじめ多種類の科学伝達物質を放出することでアレルギー反応が発生するものであると言われている。
【0028】
これらの反応が痒みの原因となると考えられる。この現象は感覚神経線維の末端からサブスタンスP(SP)放出するようになるSPはマスト細胞からのヒスタミン放出、血管拡張、結晶漏出を引き起こしアレルギー反応、たとえばそのなかの痒みに関与するのではないかと考えられている。
【0029】
これまでに痒みを引き起こす因子として、ヒスタミンのほかセトロニン、神経ペプチド、サブスタンスP、ブラディキニン、ニューロテシン、VIP、エンドルフィンなどが知られている。これらの物質はこれらの物質はマスト細胞の細胞膜に発現する受容体と結合しマスト細胞からヒスタミンを遊離させることで痒みが発現するといわれている。
【0030】
本発明者が抽出したゴマの抽出物を分析したところ飽和脂肪酸のパルミチル酸(C15H31CO2H)9.4%、ステアリン酸(C17H35CO2H)4.9%、ヘベニン酸(C12H43CO2H)0.1%、グリノセリン(C23H47CO2H)0.2%であり、さらに不飽和脂肪酸としてパルミトレイン酸(C16H30O2)、オレイン酸(C16H43O2)39.9%、リノール酸(C18H43O2)44.3%、リノレン酸(C18H30O2)1.0%、アラキドン酸(C20H32O2)0.6%、エイコセイン酸(C24H46O2)0.2%で検出されている。
【0031】
このゴマの抽出物の組織のなかでも飽和脂肪酸のパルミチル酸、ステアリン酸または不飽和脂肪酸のオレイン酸、リノール酸が痒みを誘発するμ(ミュー)オピオイド系のペプチドの血中への発現を抑制し、反対に痒みを抑制するκ(カッパ)オピオイド系ペプチドの分泌を促進するいずれかの作用があるものと考えられる。またκ(カッパ)オピオイドの分泌を促進することによる抗酸化作用も痒みを抑制する作用があるとも考えられる。
【0032】
またカプサンシン同様の作用痛みも痒みも消失させることからサブスタンスP(SP)が痛みと痒みの両者の伝達に関与している。
脂肪酸は細胞膜の構成要素になっているものだが、細胞膜の中にトランス型脂肪酸分子の直線的な型が紛れこむと細胞は弱くなりその結果さまざまなトラブルを生ずる。自然な形である脂肪酸分子シス型脂肪酸分子の蹄鉄型の抽出に成功した。
【0033】
肌荒れの改善や皮膚の老化防止に対する薬効成分の効果に優れている、(セサミシス型脂肪酸30℃以下生絞り)で絞って取る天然成分豊富な脂肪酸が血液透析患者、アトピー患者の痒み・色素沈着の消去に効果がある
【0034】
本発明において、抗酸化剤のゴマリグナン類が0.9重量%以上含有する高濃度含有物の形態で、セサモリン、セサミン、セサモール、セサモリノールなどを含む天然の抗酸化物質である。ゴマ種子中には一般に、ゴマリグナン類が0.1〜0.9重量%程度含まれている。
本発明ではゴマを極めて乾燥地帯で過酷な条件で育てることによりゴマグリナン類の含有量が0.9重量%以上高濃度を含有させることに成功した。
【0035】
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD酵素)とカタラーゼ活性は、その活性酸素を消去してくれる極めて強力な活性酸素消去系酵素(抗酸化酵素)と言われている。体の中では、代謝の結果発生する有害なスーパーオキシドラジカルを除去しなければならない。その結果として、細胞内には常に過酸化水素がつくられている(2・O2- + 2H+ → O2+ H2O2)。高濃度になると過酸化水素も細胞にとっては有害となる。
【0036】
本発明の酵素としてカタラーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼであって、プロテアーゼ (protease) は、ペプチド結合 (-CO-NH-) の加水分解を触媒する酵素の総称で、プロテイナーゼ (proteinase) とペプチダーゼ (peptidase) とに分けられている。
プロテイナーゼは、蛋白質分子のペプチド結合を加水分解する酵素で、エンドペプチダーゼ (endopepti-dase) ともいわれ、高分子蛋白に作用すると急速な低分子化が起こり、蛋白はペプトン化している。
【0037】
ペプチダーゼはペプチド鎖のアミノ末端あるいはカルボキシ末端のペプチド結合を加水分解する酵素で、エキソペプチダーゼ (exopeptidase) ともいわれ、ペプチド鎖の末端から順次アミノ酸を遊離させます。一般に、プロテアーゼと呼ぶときはプロテイナーゼのことを意味していることが多い。アスパルティックプロテイナーゼ活性中心にアスパラギン酸残基とアスパラギン酸のカルボン酸イオンが関与し、ペプシン、Aspergillus niger 起源の酸性プロテアーゼ (オリエンターゼ20A)などがある。
【0038】
本発明に係るゴマ植物抽出物の精油は、飲料、健康補助食、食用油などの食品のほか、化粧料の種類として、乳液、クリーム、化粧水、パック、オイル等の基礎化粧料、洗顔料や全身洗浄料、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘアスプレー、ヘアトニック、整髪料、育毛・養毛料等の頭髪化粧料、ファンデーション、白粉、口紅、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、眉墨、美爪料等のメーキャップ化粧料、腋臭防止剤、軟膏等が挙げられる。また形態としては、固形状、ペースト状、ムース状、ジェル状、粉末状、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、多層状等が挙げられる。
【発明の効果】
【0039】
本発明には、天然物であるゴマ種子由来のゴマグリナン類と酵素と脂肪酸を有効成分とし、したがって安全性に懸念が無く、肌荒れの改善や皮膚の老化防止に優れた効果を発揮し、しかもその効果にバラツキが無いゴマ精油を含有する食品材料、化粧料、医療材料に提供できるという効果がある。
天然物の特殊ゴマからの抽出物は、飲料、健康補助食、食用油などの食品、並びに乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料、軟膏等、各種の化粧料に添加することによって肌荒れの改善や皮膚の老化防止、痒みの防止に対する薬効成分を提供することができた。

【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明に係る化粧料の実施形態としては、次に挙げられる。
【実施例1】
【0041】
ゴマの精油である植物抽出物の製造方法を記述する。
スリランカ産ゴマ種子300部を天日干乾燥させ 直径1m、高さ1mの臼にて、15での低温雰囲気にて臼の中にゴマを圧搾する非常に硬い木棒を使用して電機モーターを利用した駆動動力で木棒をゆっくりと臼周回させて、臼と棒に挟まれたゴマを圧搾して、圧搾抽出物100部を得た。
【0042】
臼から抽出されたオイルは白金温度センサーにより温度を測定し、この温度を監視しながら駆動系の回転数を自動制御した。常に一定の温度のオイルを絞ることができた。環境の気温の温度変化があった場合にも回転数を制御することにより一定の温度のオイルを抽出した。抽出オイルはSUS製静置タンクで、3日間セサミオイルを静置させた。その静置タンクの沈殿層上部の黄金色の抽出オイルをポンプにより60部を取り出した。
【0043】
取り出したオイル成分を充填した耐油性ポリプロピレン袋に充填して、ヘッドスペース部に窒素ガスを封入して酸素置換した。これにより酸素によるオイルの酸化防止を行っておく。また抽出オイルを充填した耐油性ポリプロピレン袋容器は2重層ダンボールに梱包して、光と酸素を遮断して酸化を防止して保存した。
【0044】
この60部の抽出オイルは、抗酸化剤のゴマリグナン類として約1%と、パルミチン酸とステアリン酸の飽和脂肪酸として14.3%と、オレイン酸とリール酸の不飽和脂肪酸として84.2%と、カタラーゼとプロテアーゼとの酵素を含有する植物抽出物を得た。
【実施例2】
【0045】
本発明者は、実施例1で得た100%のゴマの精油(セサミオイル)を、血液透析患者の慢性持続性掻痒を訴える20名に(セサミシス型脂肪酸15℃生絞りオメガ6)を使用して患部に湿布した結果、シス型の必須不飽和脂肪酸を豊富に含む植物油が皮膚の乾燥に有効であるので、患部に1日1回〜2回湿布した。皮膚における必須不飽和脂肪酸の増加により、経表皮的水分喪失(TEWL)を低下させるため、皮膚の乾燥を生じなくなった。
【0046】
リノール酸(LA)をγ―リノレン酸(GLA)に転換するのに必要な酵素によって表皮中のGLA含有量は高く透析患者の肌の場合、LAの数値は高くなりドライスキンの掻痒感の改善・痒みと共に色素沈着の改善が認められ、ほとんどの患者が痒みの軽減に対し良好な結果が認められた。
【実施例3】
【0047】
実施例2と同様に透析患者の皮膚障害におけるセサミオイルの植物抽出物を使用した。
透析に伴う掻痒は頻度の高い合併症が、約6〜8割の患者にみられる。そのうち約半数では掻痒は持続性かつ全身性であり、不快感・イライラ感・不眠など日常生活への支障と精神的苦痛によりQOL(Quality of life生活の質)の低下につながる。掻痒の原因は単一なものではなく、皮膚の異常・全身性の異常などいろいろな要因の一つである。今回、抗菌・抗酸化作用・保湿作用・リラックス効果のある実施例1のセサミオイルを使用し、皮膚の症状の改善を試みました。
【0048】
対象は慢性・持続性の掻痒を訴える血液透析患者20名(男性6名 女性14名)平均年齢60.5歳、平均透析歴は72.3ヶ月である。
ビタミン・ミネラルなどの有効成分を含み、抗菌抗酸化作用に優れた実施例1のセサミオイルを1日1〜2回湿布した。さらに有効成分を浸透させる為マッサージと皮膚の清潔保持・刺激を避ける・皮膚温度を過度に上げないなどの日常生活指導を併用し、施工前後の掻痒感の変化と使用感および皮膚の乾燥・色調等の観察を行った。
【0049】
評価判定は、使用前と使用後の1週間毎に掻痒感の程度を問診、白取昭氏の「掻痒重度基準表」を使用し5段階に分類しました。さらに中間判定毎に患者の反応を記載し、4週間後の使用感についての調査を行った。
【0050】
1.痒みスコア
セサミオイル使用から使用4週後の痒みスコアを図3に示す。オイル使用前後は3.65±0.83であり、4週目には1.05±0.99となり優位な低下が認められた。
2.症例提示
・ 症例1:70歳男性 明かなドライスキン改善と掻痒感の軽減を認められた。(図4)
・ 症例2:54歳、女性 痒みと共に色素沈着の改善を認められた。(図5)
3. 患者の反応
セサミオイルの使用感に関する患者の先般的反応は、良好(痒みが治まり使用感も良かった)が15名、やや良好(持続しないが一時的痒みが収まる)が3名、どちらともいえない(痒みが変わらない)が2名であった。その他の印象としてしっとり感がありべとつき感は少ないという意見が多く聞かれた。湿布の発赤や熱間・発疹なども認められず、不変2名を除いてはいずれの症例も持続使用が可能であった。
また使用感については若干のべとつき感はありましたが不快感による中止者はなく持続使用が可能であると考えられる。
【0051】
有効成分と保湿成分に優れたセサミオイルを、ドライスキンを合併している血液透析患者に使用した結果、痒みの軽減に対し良好及びやや良好と認められたのは90%であり、その有効性は顕著であった。
【実施例4】
【0052】
実施例1のゴマのセサミオイルを10人の方に使用して、各人の足にオイルマッサージとして1週間、日常生活指導を併用することにより、全身に30mg程度に湿布した。その結果、代表的な方の状況は図6のようになり、また各人は精神的ストレスの暖和と自己ケア意識の向上に繋がり、コスメティック的問題も解決された。
【実施例5】
【0053】
実施例1の植物抽出物を下記のように乳液を調製して、20名の女性に使用して、評価した。調製方法として、セサミンオイル4部、ミツロウ1部、ロイヤリゼリー0.1部、蜜花粉0.1部、蜂蜜0.1部、プロコリス0.1部を80℃の加熱混合して混合物を得て、さらに3時間程度攪拌・混合しながら30℃まで冷却して乳液を調製した。
20名の女性の方の足の肌に一日3回で3日間湿布して評価した。
【0054】
評価1:肌の皮溝が不鮮明であり、角質のはがれが認められ、肌の皮溝がやや不鮮明であ った。 0名
評価2:肌の皮溝は認められるが、浅いか又は一方向性が強い。網目状であるが、やや不鮮明であった。 2名
評価3:肌の皮溝がはっきり認められ、きれいな網目状であった。18名
総合的な評価として、女性に湿布することにより、肌のつやが良くなった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ゴマからの植物抽出物の製造工程図
【図2】石臼の圧搾器の概略図
【図3】乾燥性皮膚による掻痒感の痒みスコアの推移図
【図4】乾燥性皮膚の患者(男性)における皮膚状態の変移
【図5】乾燥性皮膚の患者(女性)における皮膚状態の変移
【図6】マッサージを3日間行った女性の足の皮膚の状態図
【図7】スリランカ産のゴマ種子の性状
【符号の説明】
【0056】
1.モーター
2.ギア
3.圧搾棒
4.石臼
5.ポンプ
6.ゴマ種子
7.オイル(植物抽出物)
8.温度センサー

10.患部
11.完治部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗酸化剤のゴマリグナン類と飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸と酵素との有効成分を含有することを特徴とする植物抽出物。
【請求項2】
抗酸化剤のゴマリグナン類が0.9重量%以上含有する高濃度含有物の形態で、セサミン、セサモリン、エピセサミン、セサモール、セサミノール、セサモリノールを含む天然の抗酸化物質である請求項1記載の植物抽出物。
【請求項3】
脂肪酸は、飽和脂肪酸のパルミチン酸とステアリン酸との総量を20重量%以下、不飽和脂肪酸のオレイン酸を30重量%以上とリノール酸を40重量%以上で、不飽和脂肪酸の全量で80%以上を含有している請求項1記載の植物抽出物。
【請求項4】
酵素は、カタラーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼであって、これらの酵素のうちいずれか一種類以上を含有している請求項1記載の植物抽出物。
【請求項5】
抗酸化剤のゴマリグナン類と飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸と酵素との有効成分は、サバンナ地帯産のゴマ種子を30℃以下の低温下で圧搾して得たゴマ精油である請求項1記載の植物抽出物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−1267(P2010−1267A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163223(P2008−163223)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(308027880)CTC−LANKA株式会社 (6)
【Fターム(参考)】