説明

植物栽培容器用培養土の収容袋

【目的】 本発明は培養土を詰めた水で溶解する袋体を収容した植物栽培容器用培養土の収容袋に関するものである。
【構成】 植物栽培容器用培養土の収容袋において、プランター型容器体(1)又は植木型容器体(1′)の中に収容する袋体(2)を水溶性プラスチックフィルムで成形すると共に、当該袋体に培養土(3)を詰めて密封すると共に、その袋体の一部の面(21)に袋体と同材質のフィルム体(4)を貼着すると共に、前記袋体の一部の面(21)とフィルム体(4)の間に種子(5)を介在させ、且つ袋体の表面となる一部の面(21)に貼着するフィルム体(4)を当該袋体より遅効水溶性フィルム体を用い、また、プランター型容器体(1)又は植木鉢型容器体(1′)の中に収容する水溶性プラスチックフィルムで成形した袋体(2)に詰めた培養土中に種子(5)を混在した構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は培養土を詰めた水で溶解する袋体を収容した植物栽培用容器に用いる培養土の収容袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の植物栽培用容器には、生分解性シートで作った袋体に種子入りの植生材料を詰め、その袋体を法面に設置することが知られている。また、蒔き餌を水溶性のフィルムやシートで作った袋や容器に収めた易崩壊性培養土に各種の播種を行い、又は草花を植栽することが行われている。
【特許文献1】特開2000−25830号公開公報
【特許文献2】特開平09−172929号公開公報
【特許文献3】特開平08−252068号公開公報
【0003】
特許文献1には、植生材料の運搬、保管時は包装袋として使用でき、地表面表面に敷設後は散水、降雨により開孔部が形成されるため、植生が容易で、植生完成後の回収作業の全く不要な植生材料収納袋が開示されている。
【0004】
また、特許文献2・3には、釣り用の蒔き餌を水溶性袋や容器に収納したものが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記の特許文献1の発明にあっては、植生材料を充填した水溶性袋体を直接法面に設置してアンカーで固定する構成である。従って、水溶性袋体の溶け方が早いと植生材料の根活着が達成しない間に流失してしまう。また、水溶性袋体の溶け方が遅すぎると植生材料の発芽発育が十分に達せられないという問題があった。
【0006】
次に、特許文献2・3にあっては、釣り餌を収納した水溶性の袋又は容器を海水中に投入して数十秒から数分までの所定の時間で水解すると釣り餌が海中に放散されるから、水中以外の他の分野には適さない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、従来の課題を解決し、且つ発明の目的を達成するようにした。
【0008】
本発明の第1は植物栽培容器用培養土の収容袋において、プランター型容器体又は植木鉢型容器体の中に収容する袋体を水溶性プラスチックフィルムで成形すると共に、当該袋体に培養土を詰めて密封すると共に、その袋体の一部の面に袋体と同材質のフィルム体を貼着すると共に、前記袋体の一部の面とフィルム体の間に種子を介在させたものである。
【0009】
本発明の第2は第1の発明に係る植物栽培容器用培養土の収容袋において、袋体の表面となる一部の面に貼着するフィルム体を当該袋体より遅効水溶性フィルム体を用いたものである。
【0010】
本発明の第3は第1の発明に係る植物栽培容器用培養土の収容袋において、プランター型容器体又は植木鉢型容器体の中に収容する水溶性プラスチックフィルムで成形した袋体に詰めた培養土中に種子を混在したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記の構成であるから、次のような効果がある。すなわち、培養土を詰めた水溶性プラスチックフィルム製袋体は、開封しないで種子付着部を上向きにした状態で袋ごとプランター型容器体又は植木鉢型容器体に収容するだけで済む。これによって、手を汚さず、また手袋をすることなく培養土をプランター型容器体又は植木鉢型容器体に移すのに手袋をしなくても手を汚すことなく、簡単容易にしかも確実に行うことができる。
【0012】
そして、プランター型容器体又は植木鉢型容器体に収容した水溶性プラスチックフィルム製袋体は適度の水を与えるだけで溶解し、培養土が直接プランター型容器体又は植木鉢容器体内に詰められた状態になる。このとき、種子が付着しているフィルム体も水で溶解するので、種子は培養土の表面近くに人工的に播種された状態になって発芽生育が良好になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る植物栽培容器用培養土の収容袋の実施にあたっては、プランター型容器体又は植木鉢型容器体に培養土を詰めた水溶性プラスチックフィルム製袋体を当該容器体の内面に馴染むように収容する。このとき、種子付着面を上向きにして露出させる。
【0014】
そして上記の袋体に水を注いでいくと、当該袋体は自身の水溶材質によって溶けだし、上向き表面の種子が培養土の表面に人工的に蒔かれた状態になる。また、培養土の周面全体が直に容器内面に接触する状態になる。これによって、培養土底面部においてもプランター等の容器底面の水抜き孔に連通する。
【実施例】
【0015】
図1において、1はプランター型容器体であり、その形状や大きさは、各種の播種、果菜の栽培、草花の寄せ植え等、用途によって異なるが、平面が方形又は長円形及び深底、浅底等任意であり、さらに育苗箱も含まれる者である。図2において、1′は植木鉢型容器体であり、その大きさも用途によって異なるが、任意である。2はプランター1型容器体又は植木鉢型容器体1′の中に収容する袋体であり、その材質は水溶性プラスチックフィルムで成形してある。一般に水溶性のフィルム材料は数多く技術の開示がなされているが、例えば冷水可溶及び水溶解時間等、特定の条件で生分解性を示すPVOH(ポリビニルアルコール)フィルムを原料とするものとし、これには、塩素などのハロゲン元素を含まれないものを可とする。具体的には「ハイセロン(日本合成化学工業株式会社の登録商標)を用いる。この水溶性プラスチックフィルムには、熱溶着によって
製袋加工することと、当該水溶性プラスチックフィルムの表面にグラビア印刷表示Pを施すこともできる。
【0016】
3は上記水溶性プラスチックフィルム袋体2の中に詰める培養土であり、各種の播種、果菜の栽培、草花の寄せ植え等の用途にその成分や土質が異なるものである。4は水溶性プラスチックフィルム袋体2の表面の一部に貼着した帯形又は円形等のフィルム体であり、その材質は水溶性プラスチックフィルム袋体2と同一又は多少遅く水溶解するものである。水溶解の速度はフィルム厚さの違いや水溶性成分の含有量の差によって相違する。5は水溶性プラスチックフィルム袋体2とこれに貼着したフィルム体4の間に介在させた種子である。前記の種子5は前記のフィルム体に植物性糊材で付着させるが、当該袋体の表面に植物性糊材で付着させることも可能である。6は容器体の底部にあけた水抜き孔である。
【0017】
「水溶性の培養土収納袋の製作工程」 上記の実施例に基づく水溶性プラスチックフィルム製袋の具体的な製作工程例を説明する。
(1) 第1の方法は、シート体を成す水溶性プラスチックフィルムを図1のプランター内における長方形底部の面積及び高さ、又は図2の植木鉢内における円形底部の面積及び高さに設定した高さや容積になるようにバーシーラーや溶断シーラー等の熱加工によって直方体の袋体1又は円筒体の袋体1′を製作する。
(2) 第2の方法は、水溶性プラスチックフィルムを公知のインフレーション成形法によって、設定の直径を有する筒状体を成形し、その表面に必要なグラビア印刷を施しておく。
(3) 次に、第1又は第2の方法によって得た当該直方体又は円筒体を成す水溶性プラスチックフィルム製袋2又は2′の開口部から培養土3を入れて詰める。
(4) 培養土3を詰め終わった後、開口部を熱溶着して密封する。
(5) 上向きの表面2に種子5を付着させた上記製袋2又は2′と同材質の帯形又は円形等のフィルム体4・4′を植物性糊材を介して貼着する。
(6) この状態で水分のない場所に保管しておき、又は店頭に陳列する。
【0018】
「水溶性の培養土収納袋の使用例」 上記の実施例に基づく具体的な使用例を説明する。
(1) 水溶性プラスチックフィルム製袋2を、その種子5が付着している部分を上向きにした状態でプランター1型容器体又は植木鉢型容器体1′の中に収容する。
(2) プランター型容器体1又は植木鉢型容器体1′の直上から如雨露又は他の方法で水遣りを行う。
(3) 水を浴びた袋体2又は2′はその水溶性質によって溶解し、培養土3はプランター1又は植木鉢型容器体1′の内面に接触する。
(4) 培養土3の底面もプランター1型容器体又は植木鉢型容器体1′の溶解によって、その内底面に接触することにより、排水に支障がない。
(5) 水溶性プラスチック製袋体2又は2′の上向き表面も水溶解することによって種子5が培養土3の表面近くに埋設する。この場合、種子5を付着させた帯形又は円形その他任意形状のフィルム体4又は4′がその分厚さ等によって水溶解速度が袋体2又は2′より少し遅くなるようにした場合は、種子5が培養土3に馴染むまで表面を覆蔽した状態を保つから、四方に散らばることがなく、生育の歩留まりが良好になる。
(6) あとは、日時の経過によって種子5が発芽して生育する。水で溶解した袋体材料は最終的には炭酸ガスと水に分解される。
【産業上の利用可能性】
【0019】
水溶性プラスチックフィルム製袋1は、水分の影響を受けなければ適度の強度を有しているから培養土を収容して補完しておくことができる。そして、水に濡れると溶解するので、空袋の始末に困ることがない。
本発明にあっては、種子の栽培のほか、低木の植栽などにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】プランター型容器体の斜視図である。
【図2】植木鉢型容器体の斜視図である。
【図3】プランター型容器体用の水溶性培養土の収納袋である。
【図4】植木鉢型容器容器体用の水溶性培養土の収納袋である。
【符号の説明】
【0021】
1……プランター型容器体
1′…植木鉢型容器体
2……プランター型容器用の水溶性プラスチックフィルム製袋体
2′…植木鉢型容器用の水溶性プラスチックフィルム製袋体
3……培養土
4……種子を付着させた水溶性プラスチックフィルム
5……種子
6……水抜き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランター型容器体(1)又は植木鉢型容器体(1′)の中に収容する袋体(2)を水溶性プラスチックフィルムで成形すると共に、当該袋体に培養土(3)を詰めて密封すると共に、その袋体の一部の面(21)に袋体と同材質のフィルム体(4)を貼着すると共に、前記袋体の一部の面(21)とフィルム体(4)の間に種子(5)を介在させたことを特徴とする植物栽培容器用培養土の収容袋。
【請求項2】
袋体の表面となる一部の面(21)に貼着するフィルム体(4)を当該袋体より遅効水溶性フィルム体を用いた請求項1記載の植物栽培容器用培養土の収容袋。
【請求項3】
プランター型容器体(1)又は植木鉢型容器体(1′)の中に収容する水溶性プラスチックフィルムで成形した袋体(2)に詰めた培養土中に種子(5)を混在した請求項1記載の植物栽培容器用培養土の収容袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−87408(P2006−87408A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280709(P2004−280709)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(594010696)株式会社拓殖商事 (4)
【Fターム(参考)】