説明

植物栽培方法及び植物栽培装置

【課題】 植物栽培に際して栽培効率の増大、作業性の向上等を図ることを可能とした植物栽培方法及び植物栽培装置を提供する。
【解決手段】 ほぼ長方形の植物栽培ステージと、この植物栽培ステージに対向して配置され、前記植物栽培ステージを照射する複数本の蛍光ランプを備える光源パネルユニットとを備え、前記複数本の蛍光ランプは、前記植物栽培ステージの長辺に対しほぼ直交するように配置されており、前記複数の蛍光ランプの各々はリフレクタ内に収納されており、前記複数の蛍光ランプの一部の蛍光ランプとこの蛍光ランプを収納するリフレクタとの距離が他の蛍光ランプとリフレクタとの距離と異なるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工光を利用して植物を栽培する植物栽培方法及び植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培の内、イチゴは低温と短日によって花芽分化が促進されるため、一般的には秋に花芽形成が行われ、冬は休眠状態となる。春になると目覚め再成長を開始して、5〜6月に収穫されるのが本来の姿である。栽培方法には大別して3つの方法があり、露地栽培、低温暗黒処理、夜冷処理が挙げられる。
【0003】
通常の露地栽培では自然条件にまかせる方法であり、季節の変化による低温や短日をイチゴが感じ取り、花芽を形成させる方法である。9月下旬に花芽分化が起こり、10月下旬に完了し、その後は低温に耐えるため休眠状態に入り、ロゼット化した草姿で冬を迎える。春になると休眠が明けたイチゴは活発に葉を展開すると共に花房を出す。
【0004】
すなわち、3月位に花目をつけ収穫時期は4〜5月になる。その頃になると、花房の花の開花とともにランナーも出し始める。低温期を経過したイチゴは、生殖生長から栄養生長へと進み、子苗の基となるランナーを発生する。発生したランナーは同年の9月下旬に花芽を分化し翌年花を咲かせることになる。
【0005】
なお、このような露地栽培によると、イチゴの販売単価は非常に低くなり、11月〜12月のイチゴ単価と比較すると15%〜25%となり、また、他の方法に比べて総収穫量も少ない。
【0006】
ハウス内でイチゴを栽培する場合、9月下旬に花芽分化した苗を定植し、休眠状態に完全に入る前(10月下旬)に保温を開始して、花を展開させ花房を出させる。こうすることでイチゴは半休眠のまま花房を次々に出す。しかし、3月下旬にはハウス内のイチゴも休眠から明け、生殖生長から栄養生長へと移行するものの、この移行程度は露地栽培に比べて遅く、花房の発生は6月いっぱいまで続くことになる。通常の促成栽培では、12月中から6月まで収穫が可能になる。
【0007】
収穫時期を改善し、花芽分化を促進させる処理方法として実際に用いられているのは、低温暗黒処理と夜冷処理が知られている。低温暗黒処理は、イチゴ苗を2〜3週間程度暗黒・低温(5〜15℃)中に保管した後、定植を行うと花芽分化が促進され早期収穫を行うことができる方法である。夜冷処理は、夜は冷暗所に保存し暗黒・低温で保管するが、昼間は屋外の太陽光のもとで8時間/日、栽培を行う方法であり、暗黒夜冷に比べ花芽分化率が向上する。すなわち、昼間は屋外「太陽下」に放置し、夜間は低温庫に放置する方法がある。
【0008】
これらの方法は、低温処理では花芽分化率が非常に悪く、処理中に枯死する苗も出てしまう。また、夜冷処理においては、低温庫と屋外の間を移動させるために大掛かりな設備が必要であり、大規模な初期投資が発生する。
【0009】
これらを解決する方法として、人工光源を用いた方法が以下のように提案されている。すなわち、特許文献1に示されているように、温度15℃、赤色成分の光を0.6μmol/m/s照射することによって花芽形成を促進させる方法や、特許文献2にあるように青色成分の光を10μmol/m/s以上照射することで花芽分化を促進させるという報告がある。
【0010】
特許文献1においては、温度条件15℃、光量3.2〜6.0μmol/m/sの条件が記されているが、前述光量では十分な花芽分化率を得ることができず、また、特許文献2においては、光量に関しては30〜150μmol/m/sと記載されているものの、温度との関係は記されていない。
【0011】
野菜や果実の生産、育苗、植物の観賞あるいは接ぎ木などにおいて、省エネルギ化、無農薬化、生産性の向上、省スペース化などを目的として、人工光源を利用する植物栽培手段が広く採用されつつある。すなわち、太陽光を利用する植物の自然栽培では、例えば日照量(例えば日照不足)などの変動要因が大きく左右し、生育させた植物の品質にバラツキを生じ、あるいは生産量などに影響する。
【0012】
これに対して、人工光源を利用する植物栽培では、日射量などを任意に制御できるので、所要の生育環境を人工的に造ることができる。つまり、日照量乃至日照時間などの自然変動要因を大幅に低減・抑制できるので、一定の品質を確保することが可能になるだけでなく、寒冷地や不毛地域での植物栽培も行える。また、室内的な生育手法であるため、無農薬で、安全性の高い野菜類の生産・供給、観賞手段などの提供を行える。
【0013】
低温暗黒処理は、暗黒環境を作れる5〜15℃の低温庫に幅50cm、奥行き30cm、高さ30cmの上面が開口し、側面には対向して設けられた運搬用の取っ手口と、他に複数のすだれ状の開口部が設けられた略直方体のキャリア内にイチゴのポット苗を70個入れ2〜3週間放置する。前述のキャリアは積載可能な構造となっており低温庫内に5〜10段重ねで放置される。これらの条件を整えれば日長に関係なく花芽を形成させることができる(非特許文献1参照)。
【0014】
また、夜冷処理とは、昼間は8時間太陽光のもとで光を照射し、8時間が経過すると15〜20(25)℃の暗黒低温下で処理を行う。例えば、開閉式のハウスを使用し、夜間は断熱遮光フィルムで暗黒状態を作り密閉した後、空調設備を稼動させ夜冷を行い、昼間は断熱遮光フィルムを開放し太陽光を取り入れ、短日処理を行うなどの方法がある(非特許文献2参照)。
【0015】
他には遮光フィルムの代わりに苗自身を大きな台車の上に載せることによって、夜間と昼間を空調設備が稼動し低温を保っている屋内と、太陽光を照射する屋外とを移動させる方法などがとられている。ただし、実際の現場では夜冷処理はごく一部でしか行われておらず、一般的な方法は低温・暗黒処理である。
【0016】
暗黒・低温処理は、2週間から3週間、暗黒の低温にて処理させるため光があたらず、苗質が悪くなる。また、苗の出来不出来により花芽分化率がばらつくという問題がある。夜冷処理を行うと夜間は低温庫に苗を移動させ、昼間は太陽光下に移さないといけないため、出し入れの労力が大変であることや、気象条件(曇りや雨)により苗の花芽分化や苗質に大きなばらつきが生じるという問題がある。また、ハウス内を空調するためには大容量の冷却機が必要になることや、方法によっては台車などを設置する必要があり莫大な設備費が必要となる。
【0017】
一般的に人工光源を用いて植物育成を行う場合、図27、図28に示すような第1タイプの植物栽培装置A31が知られている。すなわち、図27、図28に示すように、支柱32により水平に支持された天井板33及び多段的に配置支持された植物栽培ステージ34から構成されている。ここでの植物栽培ステージ34は、奥行き450mm程度、間口(幅)1200mm程度に設定されている。また、天井板33並びに最下層を除いた植物栽培ステージ34の下面には、長さ1200mm、外径32mmの蛍光ランプ35を225mm間隔で2本設置した光源パネルユニット36が形成されている。ここで、図28に示すように、植物栽培ステージ34の上面に配置されている植物栽培容器37の培地38は、栄養成分が含まれた寒天培地やロックウール等で形成されている。
【0018】
この植物栽培装置A31の問題点としては、例えば人工光源として、入力電力40W、長さ1200mmの蛍光ランプを使用する場合は、所要光量に応じて蛍光ランプの本数を選択する必要がある。即ち、蛍光ランプ1本(40W)で光量が不足のときは2本(80W)とし、更に光量が不足のときは3本(120W)のように設定する。この蛍光ランプの設定・装着の本数選択は、小刻みな光量の調整が困難であり、必要以上の電力で蛍光ランプを点灯するおそれを招来し、省電力という点で問題を提起する。
【0019】
また、光源(蛍光ランプ)の入力を大きくし、各植物栽培ステージに対する全体としての照射光量を確保した場合は、植物栽培ステージ面における光量子密度分布のバラツキ、植物栽培ステージ面の温度上昇が発生する。
【0020】
そこで、蛍光ランプが照射する熱による影響低減、あるいは均一な光照射面積確保のために、植物栽培ステージに対する間隔を比較的大きく設定する必要が生じ、植物栽培装置の高栽培密度化ないし省スペース化が阻害される。
【0021】
上記の問題を解決する第2タイプの植物栽培装置B30を以下に示す。図29は、ほぼ長方形の4段の植物栽培ステージ39及び天井板40が4本の支柱41により支持されている。これらの4段の植物栽培ステージ39及び天井板40により、間口1200mm、奥行き450mm、高さ400mmの空間部42が4箇所形成されている。天井板40及び植物栽培ステージ39の下面には、それぞれ光源パネルユニット43が装着されている。なお、光源パネルユニット43には、図示は省略されているが、各光源パネルユニット43に給電するインバータを含む電源装置が天井板40の上面に配置されている。
【0022】
ここで、光源パネルユニット43は光源として複数の蛍光ランプ44を備えている。これらの蛍光ランプ44は、例えば、入力電力15W、長さ450mmの熱陰極型の蛍光ランプであり、各光源パネルユニット43には、240mm間隔で5本の熱陰極型の蛍光ランプ44が備えられている。これらの熱陰極型の蛍光ランプ44は、ほぼ長方形の天井板5及び4段の植物栽培ステージ39の長辺に対してほぼ直交する方向に、平行配置されている。
【0023】
なお、上記の光源パネルユニット43において、熱陰極型の蛍光ランプ44の装着間隔を240mmから200mmに変更して装着本数を5本から6本に増設し、光源パネルユニット43の全消費電力を90Wとした場合、植物栽培ステージ39上の最大光量子束密度として45μmol/m/sが得られる。
【0024】
また、上記光源パネルユニット43の光源を構成する蛍光ランプ44として、熱陰極型の蛍光ランプの代わりに冷陰極型の蛍光ランプを用いることができる。この場合には、各蛍光ランプにリフレクタを備えることにより、ランプからの光を効率よく植物栽培ステージ39上に照射できるように構成されている。
【0025】
図30は冷陰極型の蛍光ランプを用いた光源パネルユニット43の要部構成を示す図で、図30(a)は側面図、図30(b)は図30(a)の直線A−A´に沿った断面図である。この光源パネルユニット43は、一対の樹脂製ホルダー45、これらの樹脂製ホルダー45によって両端側が支持された放物反射面型の金属製リフレクタ46、及び金属製リフレクタ46の焦点に中心軸を位置合わせ装着配置した冷陰極型の蛍光ランプで構成されている。
【0026】
図31は光源パネルユニット43の要部の構成を示す図で、同図(a)は光源パネルユニット43の要部斜視図、同図(b)、(c)は要部断面図である。同図(a)に示すように、上記光源パネルユニット43には、天井板40あるいは植物栽培ステージ39とほぼ同じ大きさのアルミニウム製フレーム48が設けられている。これらのアルミニウム製フレーム48はその断面が同図(b)に示すようにL字型に折り曲げられており、対向する長辺の一方には、所定の間隔をおいて嵌め込み溝49が形成されている。この嵌め込み溝49には、冷陰極型の蛍光ランプ44の一端に設けられた樹脂製ホルダー45が嵌め込まれて固定されている。熱陰極蛍光ランプ44の他端に設けられた樹脂製ホルダー45は、同図(b)に示されたように、アルミニウム製フレーム48の対向する長辺の他方にネジ50により固定されている。
【0027】
なお、図31(c)は、アルミニウム製フレーム48の対向する長辺のいずれの辺においても、同図(b)に示したものと同様な嵌め込み溝49が形成されており、これらの嵌め込み溝49に冷陰極型の蛍光ランプ44両端の樹脂製ホルダー45が嵌め込まれて固定されている。
【0028】
図32は、図29に示した植物栽培ステージ39上に、複数個の植物栽培容器37を配置するとともに、光源パネルユニット43の配置状態を示す要部斜視図である。同図においては、図29乃至図31に示した各部の構成に対応する構成部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0029】
なお、上記光源パネルユニット43の光源を構成する蛍光ランプ44として、熱陰極型の蛍光ランプを用いた場合には、240mm間隔で5本の熱陰極型の蛍光ランプ44により、全消費電力が75Wのとき、植物栽培ステージ39上の最大光量子密度として37μmol/m/sが得られる。
【0030】
また、上記例の光源パネルユニット43において、熱陰極型の蛍光ランプ44の装着間隔を240mmから200mmに変更して装着本数を5本から6本に増設し、光源パネルユニット43の全消費電力を90Wとした場合、植物栽培ステージ39上の最大光量子束密度として45μmol/m/sが得られる。
【0031】
また、上記光源パネルユニット43の光源を構成する蛍光ランプ44として、熱陰極型の蛍光ランプの代わりに冷陰極型の蛍光ランプを用いる場合には、例えば、入力6.5W、長さ450mm、外径3mmの蛍光ランプ8本を間隔150mmで装着すると、全消費電力は1ユニット当たり52Wで植物栽培ステージ39上の最大光量子束密度として40μmol/m/sが得られる。
【0032】
なお、冷陰極型の蛍光ランプ44の場合は、熱陰極型の蛍光ランプに比べて1本当たりに投入できる電力が小さく、1本当たりの照射光量も低減するため、熱陰極型の蛍光ランプを用いた場合と同一の光量を得るには本数を増加する必要がある。しかし、冷陰極型の蛍光ランプ44の投入電力が小さいことは、発熱量も小さくなり、栽培植物に与える熱の影響が小さくなるため、光源の近接照射が可能となる。つまり、光源パネルユニット43による最大光量子束密度分布は、光源である蛍光ランプ44との距離の2乗に反比例するため、投入電力を低く抑えることができる。
【0033】
さらに、冷陰極型の蛍光ランプ44を用いる場合、ランプの管径が熱陰極型の蛍光ランプの外径32mmに対して3mmにできるため、光源部に占める高さも100mmから50mmにまで縮小できる。この結果、複数の植物栽培ステージ間の間隔が小さくでき、その段数を図33に示すように、7段構成とすることも可能である。なお、同図においては、図29乃至図32に示された構成部分に対応する構成部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0034】
以上説明した例によれば、光源パネルユニット43を構成する光源である複数本の蛍光ランプ44は、ほぼ長方形の天井板40あるいは植物栽培ステージ39の長辺に対してほぼ直交するように並行に配列されているため、光源パネルユニット43に投入される消費電力を小刻みに調整することが可能であり、従って、植物栽培ステージ39上に所望の光量子束密度を容易に供給し得る植物栽培装置が得られる。
【0035】
すなわち、上記のように構成された光源パネルユニット43においては、光源となる複数本の蛍光ランプ44は、図28に示した光源パネルユニット36におけるように、天井板33あるいは植物栽培ステージ34の長辺に対してほぼ並行に配列した場合に比較して、それぞれの蛍光ランプの長さが短く、その消費電力も小さい。このため、蛍光ランプの装着間隔及び本数を調整することにより、光源パネルユニット43の消費電力をきめ細かく調整でき、この結果、植物栽培ステージ39上で所望の光量を得ることができる。
【0036】
図34は、植物培養装置Bの冷陰極型の蛍光ランプを用いた光源パネルユニットの他の例を示し、図35は、その要部構成図で、同図(a)は側面図、同図(b)は図35(a)の直線A−A´に沿った断面図である。この光源パネルユニットは、一対の樹脂製ホルダー45、これらの樹脂製ホルダー45によって両端側が支持された放物反射面型の金属製リフレクタ46、及びこの金属製リフレクタ46の焦点に中心軸を位置合せ装着配置した蛍光ランプ44で構成されている。
【0037】
ここで、一対の樹脂製ホルダー45はそれぞれ金属製のネジ50によりアルミニウム製フレーム48に固定されているが、このとき金属製リフレクタ46も金属製のネジ50により樹脂製ホルダー45に固定される。このような構成により、金属製リフレクタ46は、金属製のネジ50を介してアルミニウム製フレーム48に電気的に導通することになる。
【0038】
蛍光ランプ44は、図示しないが、インバータからの高電圧高周波の下で発光する。そのためランプ発光中、金属製リフレクタ46に電荷が蓄積され、蓄積された電荷は感電防止のためグランドに逃がす必要がある。そこでアルミニウム製フレーム48をグランドに接続することにより金属製リフレクタ46に蓄積された電荷は金属製ネジ50及びアルミニウム製フレーム48を介して流れ、感電が防止される。
【0039】
植物栽培装置Bは、光源パネルユニットの消費電力をきめ細かく調整でき、植物栽培ステージ1上で所望の光量子束密度を容易に得ることができる。
【0040】
上述したように栽培ステージ側に光を照射させるために金属製リフレクタを使用した場合、冷陰極型の蛍光ランプは高圧高周波点灯であるため、金属製リフレクタへの漏洩電流が発生し均一発光光源とすることができなかった。
【0041】
さて、図27に示した植物栽培装置A31に配置されている蛍光ランプに電力を投入する方法としては、図36に示すように、AC100Vを蛍光ランプ35に対応した個々の安定器にそれぞれ給電線51を介して入力する方法をとっている。
【0042】
また、図29に示した長さ450mmの蛍光ランプを植物栽培ステージの長手方向(1200mm)と垂直にピッチ130mmで使用した場合においても、図37に示すように個々の光源パネルユニット52の点灯回路53へコネクタ54を介してDC電源もしくはAC100Vに給電線55によって直接入力する方法をとっていた。
【0043】
これらの方法では個々の光源パネルユニット(点灯回路)にそれぞれ独立して電力を供給するため、電源と光源パネルユニットの間を接続するための給電線が光源パネルユニットの数量分必要になる。特に光源パネルユニットの数量が多い場合は電線の数量も多くなり、外観、作業性とも悪くなっていた。
【特許文献1】特開平7−322759号公報
【特許文献2】特開2001−258389号公報
【特許文献3】特開2005−40013号公報
【非特許文献1】「農耕と園芸」誠文堂新光社発行 2005年1月号 41〜45ページ
【非特許文献2】「農耕と園芸」誠文堂新光社発行 2004年11月号 44〜47ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、植物栽培に際して栽培効率の増大、作業性の向上等を図ることを可能とした植物栽培方法及び植物栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0045】
本発明に係わる植物栽培方法は、植物栽培における花芽分化形成段階において、光量子束密度を30〜150μmol/m/s、処理温度を10〜20℃の範囲において花芽分化処理を施すことを特徴とする。
【0046】
本発明に係わる植物栽培方法は、前記植物がイチゴ苗であることを特徴とする。
【0047】
本発明に係わる植物栽培装置は、ほぼ長方形の植物栽培ステージと、この植物栽培ステージに対向して配置され、前記植物栽培ステージを照射する複数本の蛍光ランプを備える光源パネルユニットとを備え、前記複数本の蛍光ランプは、前記植物栽培ステージの長辺に対しほぼ直交するように配置されており、前記複数の蛍光ランプの各々はリフレクタ内に収納されており、前記複数の蛍光ランプの一部の蛍光ランプとこの蛍光ランプを収納するリフレクタとの距離が他の蛍光ランプとリフレクタとの距離と異なるように構成したことを特徴とする。
【0048】
本発明に係わる植物栽培装置は、前記複数の蛍光ランプの内、両端に配置された蛍光ランプにおいて前記蛍光ランプとリフレクタとの距離が他の蛍光ランプにおけるリフレクタとの距離とは異なるように設定されており、前記両端の蛍光ランプとリフレクタとの距離は同一に設定されていることを特徴とする。
【0049】
本発明に係わる植物栽培装置は、植物栽培ステージと、この植物栽培ステージに対向して設けられた複数の蛍光ランプと、この蛍光ランプを収納するリフレクタ及び点灯回路からなる光源パネルユニットを備えた植物栽培装置において、前記複数の点灯回路は並列に接続されており、少なくとも1ヶ所の点灯回路へ外部から電力を供給するとともに、隣接する一方の点灯回路から他方の点灯回路へ電力を供給する如く構成したことを特徴とする。
【0050】
本発明に係わる植物栽培装置は、前記隣接する一方の点灯回路から他方の点灯回路へ電力を供給する構成を少なくとも2個以上の点灯回路にて繰り返すことを特徴とする。
【0051】
本発明に係わる植物栽培装置は、上部が開口している直方体状の有底コンテナと、この有底コンテナの対向する側面上部中央に形成された長方形状の一対の貫通孔と、前記一対の貫通孔の少なくとも一方の貫通孔に係止される光源装着部材と、この光源装着部材に装着された光源であって、前記有底コンテナの開口部上端より上方へ突出することなく前記有底コンテナの開口部に配置された光源とから構成された光源付キャリアを複数積層したことを特徴とする。
【0052】
本発明に係わる植物栽培装置は、前記複数積層された光源付キャリアは温度制御された暗室空間中に配置されたものであることを特徴とする。
【0053】
本発明に係わる植物栽培装置は、前記光源装着部材は前記一対の貫通孔の各々に係止される2個から構成されており、前記光源は前記2個の光源装着部材間に固定されることを特徴とする。
【0054】
本発明に係わる植物栽培装置は、前記光源は冷陰極蛍光ランプであることを特徴とする。
【0055】
本発明に係わる植物栽培装置は、前記光源はLEDであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0056】
実際の生産現場においては、花芽分化促進の効果を期待することは当然であるが、これに必要なコストも重視される。今回の温度及び光量の条件は両者を最適な範囲に設定し花芽分化の効果を保持しつつ空調電力のランニングコストも低減できる。
【0057】
また、植物を育成するために必要な光量を得られる領域が大きくなったため、植物の栽培密度を増加させることが可能になった。
【0058】
また、各点灯回路から給電線を出すと高圧側、低圧側で光源ユニットの2倍の電線が必要となり電線の処理が複雑化し、これを束ねる作業が必要となっていた。これに対して1個の点灯回路におおもとの電源から電力を供給し、隣接する点灯回路への電力の供給を点灯回路から点灯回路へ供給する方法を採用することにより、電線の本数が激減し作業が簡素化できるようになった。
【0059】
また、電線やコネクタの電力、電流許容量を超えない範囲でおおもとの電源からの電力供給を2箇所にすると、一方の供電線が断線しても問題なく信頼性が向上するようになった。
【0060】
また、均一発光光源が容易にでき、漏洩電流のためのアースの設置が不要となり、省電力化も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
挿し苗育苗を行ったイチゴ苗を低温庫内で冷陰極蛍光ランプを用いて8時間の日長処理を8月20日〜9月10日まで行った。処理条件は、低温庫内の温度を10〜20℃まで、光量子密度は30〜150μmol/m/sまで変化させて花芽分化率を評価した。この評価結果は表1に示す通りである。
【表1】

【0062】
また、この実験は、8〜9月にかけての夏期での実験であり、実際に行われる花芽分化処理においても前記時期に行われることになる。この時期の外気の環境温度は30℃前後であり、表2のような低温環境を作り出すためには、温度が低くなるほど電力量としては大きくなってしまう。
【表2】

【0063】
図1のように植物栽培装置11は間口1200mm、奥行き450mm、ステージ間隔300mmにセットされた多段式の植物栽培ステージ12の下面に樹脂製リフレクタ内に収納された直径3mmの冷陰極型の蛍光ランプ13が配置される。蛍光ランプ13は、図2のように奥行き方向(植物栽培ステージの短手方向)に130mmピッチで位置A〜Iに9本配置され、更に各植物栽培ステージの上面には植物体を挿入した容器(図示せず)が所定の間隔で配置される。
【0064】
図2に示すように金属フレーム14を備えた各栽培ステージ毎に取着された各冷陰極型の蛍光ランプ13には、光源パネルユニット15が形成されている。この光源パネルユニット15は、点灯回路16、コネクタ17から構成されている。各コネクタ17は、受電端子17aと分岐端子17bを有しており、給電線18から2箇所の光源ユニット(位置A、I)へ入力されることによって他の全ての光源ユニットへ給電されるように結線されている。
【0065】
また、図3の例は、給電線18からの電力を図のように右端の光源パネルユニット15のみへ入力することにより、他の光源パネルユニットへ給電するようにしてもよい。このように構成することによって、図4に示すように各植物栽培ステージ12毎に単一対の給電線18を配線すればよくなった。
【0066】
図5に示すように光源パネルユニットはリフレクタ19、冷陰極型の蛍光ランプ20、点灯回路16から構成されており、リフレクタ19の材質としては金属製の材質も選択肢として挙げられるが、一般的に冷陰極型の蛍光ランプは高周波、高電圧で点灯されるため、金属のような導電性のある材料では漏れ電流が発生する。このため安全性や点灯時の安定性を考慮するとリフレクタをアースに接続する必要がある。
【0067】
更に、金属製リフレクタと蛍光ランプの距離を近接させた状態(例えば1mm)で設置した場合、微妙な距離の違いによって漏れ電流が大きく変化し蛍光ランプの光量も大きく変化してしまう。しかし樹脂材料を使用することにより漏れ電流の発生が無くなりアース線が不要となる上、リフレクタと蛍光ランプを近接させた際の光量変化の弊害が無くなるので、樹脂製リフレクタ19を使用している。
【0068】
ここで、光源パネルユニットに配置されている樹脂製リフレクタ19付きの蛍光ランプ20は、樹脂製リフレクタ19内に配置される蛍光ランプ20の位置によって被照射面での光分布が変化する。例として図6、図7のように樹脂製リフレクタ19から蛍光ランプ20の位置を2.5mm(図6)、4.5mm(図7)と変化させると被照射面での光分布は図8のように変化する。
【0069】
この特性を利用し光源パネルユニットに設置されている9本の冷陰極型の蛍光ランプの内、図2に示すA〜Iのランプの内、両端部A、Iの蛍光ランプに関しては図6に示した2.5mmとし、B〜Hの蛍光ランプに関しては図7に示した4.5mmに設置する。上記光源ユニットの被照射面での光分布を測定したところ、図9のように光量の相対値が80%を越える領域が従来品と比べ60mm程度大きくなっており、植物を育成するための有効面積を増加させることができた。
【0070】
図10は、植物栽培装置の光源パネルユニットの例を示し、図11は、その構成図である。この光源パネルユニットは、一対の樹脂製ホルダー21、これらの樹脂製ホルダー21によって両端側が支持された放物反射面型の樹脂製リフレクタ22と、この樹脂製リフレクタ22に装着配置した蛍光ランプ23及び蛍光ランプに高圧高周波電力を供給する点灯回路24により構成されている。
【0071】
ここで従来技術では、蛍光ランプは、点灯回路からの高電圧高周波の下で発光するため、ランプ発光中金属製リフレクタに電荷が蓄積され、蓄積された電荷は感電防止のためグランドに逃がす必要があり、アルミニウム製フレームと金属製リフレクタとを導通させる必要があった。そのため一対の樹脂製ホルダーはそれぞれ金属製のネジによりアルミニウム製フレームに金属製リフレクタとともに固定する必要があった。
【0072】
しかし、本発明であるリフレクタ22を金属製から樹脂製に変更することによって、樹脂製リフレクタ22への電荷の蓄積を防ぐことができ、従来技術のように金属ネジによる固定が不要となり、樹脂製ホルダーにリベット状ボスを作ることにより、アルミニウム製フレームへの取り付けが容易となる。
【0073】
図12は、本発明の樹脂製リフレクタと従来技術による金属製リフレクタとのランプ軸方向の光相対分布図を示す。同図において、横軸はランプ軸方向、縦軸は光相対分布を示す。同図の横軸であるランプ軸方向の左側(0cm)が高圧側となり電流の流れとしては左から右へと流れ、金属製リフレクタを用いた従来技術では、電流がリフレクタへ漏れるため蛍光ランプの低圧側へ行くにつれ低発光となっている。同図から本発明の樹脂製リフレクタの場合は、金属製リフレクタと比較して、均一な発光光源にできることが明らかである。
【0074】
また、本発明の他の実施形態として、図13に示す装置を用いることも有効である。すなわち、図13〜図15には光源付キャリア60を示してあり、図14は図13の上面図、図15は図14のA−A線断面図である。この光源付キャリア60は、上方が開口部66となっている有底コンテナ61と光源装置62から構成されている。コンテナ61はプラスチック製であって、幅52cm、奥行き32cm、高さ31cmで、短側面63並びに長側面64には多数のスリット65が形成されている。短側面63の上部であって開口部66の真下には取っ手口67が設けられている。
【0075】
光源装置62は、コンテナ61の上部であって開口部66直下の中央に長側面64に平行に設けられている。詳細は後述するが、直径3mmで長さ45cmの冷陰極蛍光ランプ68と点灯回路69から構成されている。図16には上述したコンテナ61を示してあるが、短側面63上部中央に形成されている一対の取っ手口67は、互いに対向する対称位置に配置されており、長方形の開口を有している。短側面63並びに長側面64に形成されている多数のスリット65の各々は長形で、幅方向に平行で4段にわたってコンテナの内外を貫通して形成されている。
【0076】
取っ手口67は幅広な板状体で囲まれた長方形の開口によって形成されており、文字通りコンテナ61の運搬に際して利用されるが、本発明にあっては、図13〜図15に示した光源装置62の装着にあたって重要な役割を果たす。また、取っ手口67を囲む板状体の内、上部の板状体はコンテナ61の本体板状体71から外方へ突出する鍔部70を形成している。
【0077】
このように構成されているコンテナ61の内部には、図17に示したイチゴ苗72が、各々角形のポット73に植栽されて長方形の平板状苗トレー74に整列して収納される。イチゴ苗72がコンテナ61に収納された状態を図18に示す。
【0078】
さて、図19、図20には光源装置62を示してあり、図20(a)は側面図、図20(b)は下方から見た図、図20(c)は図20(a)の矢印に示した左側方から見た図である。冷陰極蛍光ランプ68は、透光性のランプ保護管75によって覆われ破損防止のために保護されている。ランプ保護管75の上部は反射板76に固定されている。
【0079】
冷陰極蛍光ランプ68、ランプ保護管75は反射板76の一端に取着されているランプ取付金具77に装着されている。反射板76の一端、すなわちランプ取付金具77が取着されている端部には光源装着部材78が取着されている。この光源装着部材78は幅広の金属板を屈曲して形成されているが、この幅は前述したコンテナ61の取っ手口67の開口幅より小に形成されている。
【0080】
光源装着部材78は、階段状に屈曲して形成されているが、上部平坦部79には反射板62が固定される。この上部平坦部79から同一幅で上部垂直部80が下方へ直角に屈曲形成されている。この上部垂直部80からは同一幅で下部平坦部81が外方へ直角に屈曲形成されている。この下部平坦部いる。また、下81からは幅狭の下部垂直部82が下方へ直角に屈曲して形成されて部平坦部81と下部垂直部82との屈曲点には係止部83が形成されている。
【0081】
係止部83は、図16に示した取っ手口67上部の鍔部70の板厚より大なる間隙を形成するように、立設部84とこの立設部84から下部平坦部81に平行な係止板85とから構成されている。幅狭の下部垂直部82には入力線86が引き出された点灯回路69が取着されている。このようにして光源装置62が構成される。
【0082】
さて、このようにして構成された光源装置62をコンテナ61へ装着する方法について図21を参照して説明する。光源装置62の反射板76はコンテナ61の一方の取っ手口67から矢印の方向に長側面64に平行にコンテナ61の内部へ挿入する。光源装着部材78が取っ手口67に当接するまでランプ取り付けられている反射板76をコンテナ61の内部へ挿入すると、光源装着部材78の下部平坦部81までコンテナ61の内部に挿入される。
【0083】
そして、図13〜図16をも参照すると、光源装着部材78の係止部83は取っ手口67上部の鍔部70を挟むようにされ、コンテナ61内部へ延びる反射板を平行に支持することができる。図21に示した光源装着部材78の係止部83の中央には切欠部86が形成されているが、コンテナ61の取っ手口67上部の鍔部70中央に、立壁87が設けられている場合にこの立壁87を切欠部86に逃がす機能を有している。
【0084】
このようにして、図13〜図15に示すように光源装置62は点灯回路69のみをコンテナ61の外部に残し、ランプの取着された反射板76がコンテナ上部中央に着脱自在に装着された。なお、反射板76はコンテナ61の開口部66から上方には露出することなくコンテナ61の開口部66と取っ手口67の上端との間に配置されることになる。
【0085】
なお、上述した例では単一の光源装着部材78のみによって単一の冷陰極蛍光ランプからなる光源装置62をコンテナ61の上部に装着したが、図22(a)(b)(c)に示したように2本の平行な冷陰極蛍光ランプ68をコンテナ61に装着することもできる。図22(a)は上面図、図22(b)は図22(a)のA−A線断面図、図22(c)は下方から見た図である。
【0086】
すなわち、2個の平行な反射板76は1枚の支持板88の下部に取着される。支持板88の両端中央にはそれぞれ光源装着部材78が取り付けられており、これら一対の光源装着部材78はコンテナ61の対向する取っ手口67に装着される。なお、このような構成においては図13〜図21に示した構成の光源装着部材78と同一構成のように取っ手口67から差し込むことによって一工程で装着することはできないが、工程を分けて行うことで容易に装着することが可能である。また、図22ではランプが2本の例について説明したが3本以上複数本を平行に取り付けることができる。
【0087】
また、図23には光源装置62に冷陰極蛍光ランプに代えてLED89を用いた例を示してある。図23の(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は下方から見た図である。反射板76の下部には多数のLED89が配列されており、反射板76の一端には図19で示したと同様な光源装着部材78が取着されていて、図21に示したと同様に図示しないコンテナに装着される。
【0088】
図24には図23に示したよりも更に多数のLED89を用いて、コンテナ61の開口部全面から光を照射する構成を示したものである。図24(a)は上面図、図(b)は図(a)のA−A線断面図、図(c)は下方から見た図である。そして、この例は光源装着部材78が取着されていて、コンテナ61の両取っ手口67に装着される。
【0089】
また、図25(a)(b)(c)には図24の例において、LED89配列の中心に冷陰極蛍光ランプ68が配置された例である。栽培すべき植物に応じて生育に適した波長光を生成するために、LEDと冷陰極蛍光ランプとの組み合わせやそれぞれの個数を増減することで最適な光源を形成することが可能となる。
【0090】
さて、図13〜図25によって種々の形態の光源付キャリアの説明を行ったが、これらの光源付キャリアを低温庫内に設置してイチゴ苗を栽培する例を図26を参照して説明する。図26に示すように、低温庫90には空調機91が設置されていて庫内の温度を制御している。低温庫90は庫外の環境に影響されないように構成されており、扉92によって入退するようにされている。庫内には光源付キャリア60が設置されている。複数の光源付キャリア60は高さ方向に積層され、設置面積当たりのイチゴ苗の収量を増大することを可能としている。更に、このように高さ方向に積層しても、各々の光源付キャリア60ごとに独立して最適光量を供給することができ、積層位置による栽培/生育のばらつきは発生しない。
【0091】
なお、イチゴ苗を確実に花芽分化させるためには温度管理が重要となってくる。実際に温度設定を行う場合はキャリア内に発熱体である光源が配置されているため、キャリア内の温度と低温庫内の温度には差が生じてくる。このため、実際にキャリア内を所定の温度に設定するためには、低温庫内の温度を若干低温に設定するか、キャリア内の温度を測定し低温庫の温度を制御する必要がある。
【0092】
さちのかの品種を使い、2004年8月に下記の表3に示した各花芽処理を20日間行い、花芽分化率を評価した後、9月に栽培ベッドに植え付け2005年6月までの収穫量の評価を行った。
【表3】

【0093】
上記表3のように、上記実施例の装置であれば、イチゴ花芽分化率が高く、総収量も他の方法に比べて高い結果であった。要因としては、低温暗黒処理に比べて、花芽処理期間中に呼吸により失ったエネルギを、光による光合成のエネルギで補給できるので、健全で活性の高い苗に仕上がった。
【0094】
また、夜冷短日処理に比べると、人的な作業(苗の出し入れ)がないため作業ばらつきが生じず、更に夜冷処理では昼間は太陽光に当てるのに対し、本発明の方法では完全制御された空間で処置を行うため気象の影響を全く受けないので安定した処理が実現できた。作業に関しては、夜冷処理に比べ苗の出し入れがなく、24時間タイマによる光源の動作と水やりのみでよく、作業の省力化となる。
【0095】
装置の構成としては夜冷処理に比べると、低温暗黒処理と同様にイチゴ苗を植えたコンテナを立体的に設置することができ、小さな低温庫で多くの処理が可能になった。このため、建物や空調設備に必要な初期投資が少なくてすみ、空調を行う容積も栽培密度の増大で小さくすることができ省電力化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施形態に係る植物栽培装置を示す斜視図。
【図2】図1の要部を拡大して示す図。
【図3】本発明の他の実施形態に係る植物栽培装置の要部を拡大して示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る植物栽培装置の配線状態を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る植物栽培装置の要部を拡大して示す図。
【図6】本発明の実施形態に係る植物栽培装置の要部を拡大して示す図
【図7】本発明の実施形態に係る植物栽培装置の要部を拡大して示す図
【図8】図6及び図7に示した構成の特性比較図。
【図9】本発明の実施形態に係る植物栽培装置の特性比較図。
【図10】本発明の実施形態に係る植物栽培装置の要部を拡大して示す図。
【図11】図10の一部を拡大して示す図。
【図12】本発明の実施形態に係るリフレクタの特性比較図。
【図13】本発明の他の実施形態に係る植物栽培装置を示す斜視図。
【図14】図13の上面図。
【図15】図14のA−A線断面図。
【図16】図13の要部を示す斜視図。
【図17】栽培対象を説明する斜視図。
【図18】図17に示す栽培対象を収納した状態を示す透視斜視図。
【図19】図13の要部を示す斜視図。
【図20】図19の側面、正面、上面を示す図。
【図21】図13の装着状態を説明するための斜視図。
【図22】本発明の他の実施形態の上面、断面、下面を示す図。
【図23】本発明の他の実施形態の要部の側面、正面、下面を示す図。
【図24】本発明の他の実施形態の上面、断面、下面を示す図。
【図25】本発明の他の実施形態の上面、断面、下面を示す図。
【図26】本発明の他の実施形態を示す透視斜視図。
【図27】従来の植物栽培装置を示す斜視図。
【図28】図27の要部を拡大して示す図。
【図29】従来の他の植物栽培装置を示す斜視図。
【図30】図29の一部を拡大して示す図。
【図31】図29の一部を拡大して示す図。
【図32】図29の装置の使用状態を示す図。
【図33】従来の他の植物栽培装置を示す斜視図。
【図34】従来の植物栽培装置の一部を拡大して示す図。
【図35】図34の要部を拡大して示す図。
【図36】従来の植物栽培装置の配線状態を示す図。
【図37】図36の要部を拡大して示す図。
【符号の説明】
【0097】
11…植物栽培装置、12…植物栽培ステージ、13…蛍光ランプ、14…金属フレーム、15…光源パネルユニット、16…点灯回路、17…コネクタ、18…給電線、19…リフレクタ、60…光源付キャリア、61…有底コンテナ、62…光源装置、63…短側面、64…長側面、65…スリット、66…開口部、67…取っ手口、68…冷陰極蛍光ランプ、69…点灯回路、70…鍔部、71…本体板状体、72…イチゴ苗、73…ポット、74…苗トレー、75…ランプ保護管、76…反射板、77…ランプ取付金具、78…光源装着部材、79…上部平坦部、80…上部垂直部、81…下部平坦部、82…下部垂直部、83…係止部、84…立設部、85…係止板、86…入力線、88…支持板、89…LED、90…低温庫、91…空調機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培における花芽分化形成段階において、光量子束密度を30〜150μmol/m/s、処理温度を10〜20℃の範囲において花芽分化処理を施すことを特徴とする植物栽培方法。
【請求項2】
前記植物がイチゴ苗であることを特徴とする請求項1記載の植物栽培方法。
【請求項3】
ほぼ長方形の植物栽培ステージと、この植物栽培ステージに対向して配置され、前記植物栽培ステージを照射する複数本の蛍光ランプを備える光源パネルユニットとを備え、前記複数本の蛍光ランプは、前記植物栽培ステージの長辺に対しほぼ直交するように配置されており、前記複数の蛍光ランプの各々はリフレクタ内に収納されており、前記複数の蛍光ランプの一部の蛍光ランプとこの蛍光ランプを収納するリフレクタとの距離が他の蛍光ランプとリフレクタとの距離と異なるように構成したことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項4】
前記複数の蛍光ランプの内、両端に配置された蛍光ランプにおいて前記蛍光ランプとリフレクタとの距離が他の蛍光ランプにおけるリフレクタとの距離とは異なるように設定されており、前記両端の蛍光ランプとリフレクタとの距離は同一に設定されていることを特徴とする請求項3記載の植物栽培装置。
【請求項5】
植物栽培ステージと、この植物栽培ステージに対向して設けられた複数の蛍光ランプと、この蛍光ランプを収納するリフレクタ及び点灯回路からなる光源パネルユニットを備えた植物栽培装置において、前記複数の点灯回路は並列に接続されており、少なくとも1ヶ所の点灯回路へ外部から電力を供給するとともに、隣接する一方の点灯回路から他方の点灯回路へ電力を供給する如く構成したことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項6】
前記隣接する一方の点灯回路から他方の点灯回路へ電力を供給する構成を少なくとも2個以上の点灯回路にて繰り返すことを特徴とする請求項5記載の植物栽培装置。
【請求項7】
上部が開口している直方体状の有底コンテナと、この有底コンテナの対向する側面上部中央に形成された長方形状の一対の貫通孔と、前記一対の貫通孔の少なくとも一方の貫通孔に係止される光源装着部材と、この光源装着部材に装着された光源であって、前記有底コンテナの開口部上端より上方へ突出することなく前記有底コンテナの開口部に配置された光源とから構成された光源付キャリアを複数積層したことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項8】
前記複数積層された光源付キャリアは温度制御された暗室空間中に配置されたものであることを特徴とする請求項7記載の植物栽培装置。
【請求項9】
前記光源装着部材は前記一対の貫通孔の各々に係止される2個から構成されており、前記光源は前記2個の光源装着部材間に固定されることを特徴とする請求項7又は8記載の植物栽培装置。
【請求項10】
前記光源は冷陰極蛍光ランプであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項記載の植物栽培装置。
【請求項11】
前記光源はLEDであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項記載の植物栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2006−280364(P2006−280364A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285246(P2005−285246)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】