植物栽培装置および植物栽培方法
【課題】植物体ごとに送風することが可能であり、かつ、送風用の配管の設置を簡略化した植物栽培装置を提供する。
【解決手段】植物栽培装置100は、植物20へ培養液を供給するための複数の開口部11を有する給水パイプ1と、給水パイプ1内の気体を移動させ、開口部11を介して植物20に対して送風するファン5とを備えている。
【解決手段】植物栽培装置100は、植物20へ培養液を供給するための複数の開口部11を有する給水パイプ1と、給水パイプ1内の気体を移動させ、開口部11を介して植物20に対して送風するファン5とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物へ向けて送風する植物栽培装置および植物栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計画的な農作物生産が望まれる中、天候の影響を受けない植物工場などへの期待は高まっている。レタス等の一部の葉菜類では、植物工場での栽培が行われており、今後、果菜類など様々な農作物が植物工場で栽培されることが考えられる。
【0003】
植物の生育には、培地の水分量、湿度、温度等の条件を最適化することは、植物の生育において重要である。
【0004】
例えば、特許文献1には、植物生育室の湿度を最適な湿度に制御するために、植物に加湿空気流を供給する装置について記載されている。
【0005】
特許文献2には、植物に対して直接強い空気流をあてることなく、植物生育室の内外で空気を交換する装置について記載されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、植物群に沿って加湿エレメントを配置することで、植物周辺域のみを簡易的にかつ局所的に加湿することができる加湿器について記載されている。
【0007】
また、植物の呼吸や光合成を促すために、空気中の酸素濃度や二酸化炭素濃度の環境を整えることが好ましい。植物を植物工場等の閉鎖系空間で栽培するためには、植物が空気中の成分を効率的に利用するための空気の流れ、気流を作ることが好ましい。
【0008】
すなわち、施設栽培や植物工場では、植物群落の周囲の空気が停滞するため、植物が効率良く二酸化炭素などの気体を利用することが難しい。そのため、送風装置を用いて施設内部の空気を全体的に移動させたり、植物群落の上方から、または側面から直接送風を行ったりしている例が多い。しかしながら、上記のような送風方法では、密集した植物群落内に効率的に風が行き渡っているとは言い難い。
【0009】
図15(a)および(b)は、送風ファンを用いて植物へ空気を送風する場合の空気の流れを示す概略図である。図中の矢印は空気の流れを示し、矢印の大きさは空気の流量、すなわち風量の大きさを示す。
【0010】
図15(a)に示すように、植物体の側面からの送風を行った場合、空気は植物体の外側を迂回するように動くため、植物中心部へ行き渡りにくい。
【0011】
また、図15(b)に示すように、植物群落への単一の送風機による送風では、植物ごとに受ける風の強さが異なる。すなわち、送風ファンの近傍にある植物は強い風を受けるが、送風ファンから離れた植物は、弱い風を受ける。そのため、植物の生育に、送風ファンからの位置に応じたばらつきが生じる。
【0012】
植物群落内に空気を行き渡らせるために風量を大きくすると、植物が物理的ダメージを受ける、風がストレスとなるなどにより生育が抑制されてしまう。
【0013】
特許文献4および特許文献5には、管を用いて各植物体の近傍まで空気を送り、上記管は、各植物体の数に応じた空気孔を有することで、上記空気孔から各植物に対して均一に風を送る装置について記載されている。
【0014】
特許文献6には、植物へ供給する養液の循環経路を利用し、植物の根圏に空気を供給することで、根圏の温度を調節する縦型養液栽培装置について記載されている。
【0015】
特許文献7には、育成棚各段に底面かん水装置を配置した多段式植物育成装置において、加湿空気流を必要に応じて迅速かつ効率よく育成棚各段へ供給することができるとともに、加湿空気流の供給用配管の設置も簡略化することができる加湿空気流供給システムが記載されている。
【0016】
特許文献7に記載されている加湿空気流供給システム90の概略図を図16に示す。本システムにおいて、植物に養液を供給するときは、養液タンク91に貯蔵されている養液をポンプ92により育成棚94へと汲み上げ、育成棚94に設けられた底面かん水装置に底面からかん水する。残余の養液は、底面かん水装置の底面から排出し、養液タンク91に戻す。
【0017】
植物に加湿空気を供給するときは、加湿装置93からの加湿空気流を、養液を排液する際に利用する排液管を通して育成棚94へと供給する。
【0018】
このようにして、特許文献7に記載されている加湿空気流供給システム90は、加湿空気流の供給用配管の設置を簡略化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−104364号公報(2008年5月8日公開)
【特許文献2】特開2010−104252号公報(2010年5月13日公開)
【特許文献3】特開2010−45989号公報(2010年3月4日公開)
【特許文献4】特開2007−174965号公報(2007年7月12日公開)
【特許文献5】特開2010−81919号公報(2010年4月15日公開)
【特許文献6】特開2003−189749号公報(2003年7月8日公開)
【特許文献7】特開2009−5634号公報(2009年1月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上述した従来技術は以下の課題を有する。
【0021】
特許文献1および2に記載される装置は、図15を参照して説明した従来の送風方法と同様に、各植物に均一に加湿空気を供給、または送風することができるものではない。
【0022】
特許文献3に記載の加湿器は、加湿エレメントは植物の近傍に設けられているが、送風元となる空調機は植物群に対して1つしか設けられていないため、各植物に均一に加湿空気を供給することができない。
【0023】
特許文献4および5に記載される装置は、各植物に対して均一に送風することができるが、養液用の配管とは別に空気用の配管を設ける必要があり、装置の大型化に繋がるという課題を有する。
【0024】
特許文献6および7に記載される装置は、植物の根に直接送風されるものであり、根への乾燥ストレスを与えることとなる。
【0025】
また、特許文献7に記載される装置は、排液管から空気流が送風されるシステムであるため、ロックウールやヤシ殻などの培地を用いた水耕(養液)栽培や土耕栽培では、培地や土が障壁となり排水管から送風を行えない。
【0026】
さらに、送風は育成棚ごと、あるいは区画ごとに集約され、排液管を通して排出されるため、植物体ごとに均一に風が行き渡らない。育成棚ごとに送風するものであるため、植物に二酸化炭素を供給しようとする場合には、育成棚全体の二酸化炭素濃度を上げる必要がある。植物群落内に効率よく風が行き渡らない等の問題を有しいている。
【0027】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、植物体ごとに送風することを可能にするとともに、かつ、送風用の配管の設置を簡略化した植物栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の一実施形態に係る植物栽培装置は、上記課題を解決するために、複数の植物体を栽培するための植物栽培装置であって、上記植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプと、上記給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部を介して上記植物体に対して送風する送風装置とを備えることを特徴とする。
【0029】
上記の構成によれば、給水パイプの複数の開口部から、複数の植物体へ培養のための液体が供給される。送風装置は、給水パイプに気体を供給することで、給水パイプの開口部を介して植物体に対して送風を行う。
【0030】
そのため、複数の植物体のそれぞれへ送風を行うことが可能となり、送風のための配管を別に設ける必要のない簡単な構成の植物栽培装置を実現することができる。
【0031】
また、送風により給水パイプ内を乾燥させることによって、培養液を栄養源として繁殖する雑菌を抑制できるという付加的な効果も得られる。
【0032】
なお、上記培養のための液体とは、天然水、水道水など、人為的に栄養素を添加していない液体であっても、人為的に栄養素を添加した液体であってもよい。
【0033】
また、上記送風装置は、給水パイプ内の気体を移動させることができるものであればよく、ファンでも、エアーポンプでもよい。
【0034】
上記開口部は、上記植物体を培養する培地の外部に配されていることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、給水パイプの開口部は、培地に埋没しておらず、大気中に露出している。それゆえ、開口部からの送風を効率良く行うことができる。
【0036】
上記開口部は、上記植物栽培装置の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度で当該開口部から上記気体が噴出するよう配されていることが好ましい。
【0037】
植物栽培装置の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度とは、植物栽培装置が水平平面に設置されている場合には、水平方向を0°としたときに、0°よりも大きく90°(鉛直上向き)以下の角度である。
【0038】
上記の構成により、給水パイプの開口部が植物体を見上げる方向に開口しており、植物体の株元から上方向へ向けて送風することができる。
【0039】
それゆえ、植物体に対して効果的に送風することができる。特に、葉が生い茂っている場合や、枝葉の間に風が通りにくい形態の植物に対して、効率良く送風することができる。さらに、植物体の上方に照明装置(例えば、LED)が配されている場合には、当該照明装置を冷却する効果も得られる。
【0040】
上記植物栽培装置は、上記開口部から噴出した上記液体の進路を妨害可能な位置と、上記開口部から噴出した気体の進路を妨害しない位置との間を移動可能である遮断部をさらに備えることが好ましい。
【0041】
開口部が植物栽培装置の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度で開口しているため、給水パイプの開口部から液体を噴出させるときに、そのまま噴出させれば、液体が植物体に直接かかる可能性がある。そこで、遮断部により、開口部から噴出した液体の進路を遮ることで、液体が植物体に直接かかることを防止し、鉛直下方向に液体を滴下させることができる。
【0042】
上記給水パイプは、上記液体を供給するための第1開口部と、送風するための第2開口部とを有し、上記第1または第2開口部の一方の閉鎖および他方の開放と、その逆とを切り換えるよう移動可能な閉鎖部をさらに備えることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、給水パイプには、液体を供給するための第1開口部と、送風するための第2開口部とが配されている。閉鎖部は、移動することにより第1開口部を閉鎖し、第2開口部を開放する状態と、第2開口部を閉鎖し、第1開口部を開放する状態とを切り換える。
【0044】
それゆえ、給水または送風に適した方の開口部を開放させることができ、好ましい方向へ給水および送風を行うことができる。
【0045】
なお第1開口部と第2開口部とは、上記植物栽培装置の設置面に平行な平面に対する開口角度(開口方向)が互いに異なる複数種類の開口部であると表現することができる。
【0046】
上記給水パイプは、当該給水パイプの中心軸を回転軸として回転可能に設けられていることがこのましい。
【0047】
上記の構成により、給水パイプが回転することで、上記植物栽培装置の設置面に平行な平面に対する開口角度(開口方向)を変化させることができる。
【0048】
それゆえ、給水または送風に適した開口角度とするよう給水パイプを回転させることで、好ましい方向へ給水および送風を行うことができる。
【0049】
上記植物栽培装置は、上記気体に二酸化炭素を含める二酸化炭素供給部をさらに備えることが好ましい。
【0050】
上記の構成により、植物体に向けて送風される気体に二酸化炭素を含めることができ、光合成効率を高めることができる。その結果、植物体の生育が促進されることにより栽培期間が短縮される、収量が増加するなどの効果が得られる。
【0051】
植物栽培装置は、上記気体にイオンを含めるイオン供給部をさらに備えることが好ましい。
【0052】
上記の構成により、植物体に向けて送風される気体にイオンを含めることができる。このイオンは、正イオンであっても、負イオンであってもよい。例えば、正イオンは、H+(H2O)m(mは任意の自然数)を主体とするイオンであり、負イオンは、O2−(H2O)n(nは任意の自然数)を主体とするイオンである。正イオンまたは負イオン、もしくはその両方が空気中に存在すると、活性酸素種(例えば、水酸基ラジカル(・OH))が生成される。この活性酸素種により浮遊菌、浮遊ウイルス等を除菌・不活化することができる。
【0053】
それゆえ、植物栽培環境の除菌等、特に給水パイプ内の除菌等を行うことができる。
【0054】
植物栽培装置は、上記送風装置への上記液体の流入を防止する逆止弁をさらに備えることが好ましい。
【0055】
上記の構成により、送風装置へ液体が逆流することにより当該送風装置が故障することを防止できる。
【0056】
本発明の一実施形態に係る植物栽培方法は、上記課題を解決するために、複数の植物体を栽培するための植物栽培方法であって、上記植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部から上記植物体に対して送風することを特徴とする。
【0057】
上記植物栽培方法において、上記複数の植物体の少なくとも一部の個体に、上記開口部から噴出した気体を受けることにより当該植物体を揺らす風受け部材を取り付けることが好ましい。
【0058】
上記の構成によれば、風受け部材を植物体に取り付けることにより、開口部からの送風による植物体の揺れを促進することができる。それゆえ、植物体が開花している場合に、受粉を促進することができる。
【発明の効果】
【0059】
以上のように、本発明の一実施形態に係る植物栽培装置は、複数の植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプと、上記給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部を介して上記植物体に対して送風する送風装置とを備えるものである。
【0060】
また、本発明の一実施形態に係る植物栽培方法は、複数の植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部から上記植物体に対して送風する方法である。
【0061】
それゆえ、植物体ごとに送風することが可能となり、かつ、送風用の配管の設置を簡略化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る植物栽培装置の概略構成を表す図である。
【図2】(a)〜(c)は、給水パイプと植物との位置関係を表す図である。
【図3】本発明の一実施形態において植物へ向けて送風する場合の空気の流れを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態において植物のクラウンへ向けて送風する場合の空気の流れを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態においてLEDを冷却する場合の空気の流れを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態における栽培室に飛散防止カバーを設けた構成を示す概略図である。
【図7】開花した植物に向けて送風する場合の空気の流れを示す図である。
【図8】風受けが取り付けられた開花した植物に向けて送風する場合の空気の流れを示す図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る給水パイプの断面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係る給水パイプの断面図である。
【図11】本発明のさらに別の実施形態に係る給水パイプの断面図である。
【図12】本発明のさらに別の実施形態に係る植物栽培装置の概略構成を表す図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態に係る植物栽培装置の概略構成を表す図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態に係る植物栽培装置の変更例を表す図である。
【図15】(a)および(b)は、従来の植物への送風方法における空気の流れを表す概略図である。
【図16】従来の多段式植物育成装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、本発明の実施の形態に係る植物栽培装置および植物栽培方法ついて、詳細に説明する。
【0064】
〔実施の形態1〕
本発明の第1の実施の形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0065】
(植物栽培装置100の構成)
図1は、本発明の植物栽培装置100の概略図である。図1に示すように本発明の植物栽培装置100は、給水パイプ1、排水パイプ2、養液タンク3、ポンプ4、ファン5(送風装置)、逆止弁6、制御装置7、栽培容器8、LED9、および栽培棚10を備えている。
【0066】
(給水パイプ1)
給水パイプ1は、その内部に流体(液体および気体)を流動させ、開口部11(図2参照)を介して植物(植物体)20に培養液を供給するとともに、送風を行うためのものである。この給水パイプ1は、その一端が養液タンク3に接続されており、他端は栽培容器8(すなわち、植物20)の近傍に設けられている。給水パイプ1の栽培容器8の近傍に位置する部分を給水部1aと称する。養液タンク3の培養液は、ポンプ4によって給水部1aへ送られる。
【0067】
また、給水パイプ1は、少なくとも1つの分岐部を有し、その先に、送風用のファン5が接続されている。ファン5が作動することにより、給水パイプ1内の気体が流動し、開口部11から空気が噴出する。
【0068】
このように給水パイプ1は、培養液を供給する給水管として機能するとともに、送風のための気体を供給する送風管としても機能する。
【0069】
なお、図1に示す例では、栽培棚10に複数の栽培容器8が設けられており、給水パイプ1を分岐し、分岐した給水パイプ1(給水部1a)を各栽培容器8の近傍に設けている。栽培棚10は一段であってもよく、栽培棚10の段数は特に限定されない。
【0070】
図2は、給水パイプ1と植物20との位置関係を表す概略図である。図2に示すように、給水パイプ1の給水部1aには、複数の開口部11が所定の間隔で設けられている。ポンプ4またはファン5が動作することにより、給水パイプ1の内部を流れる液体および気体は、開口部11から給水パイプ1の外部に噴出される。
【0071】
給水部1aは、栽培容器8に沿って設けられており、栽培容器8に植えられた植物体に個別に培養液の供給および送風を行うことができる。
【0072】
また、給水部1aは、栽培容器8の外部(より具体的には、上方)に設けられている。給水部1aが培地中に埋没している場合には、培養液の供給は行えるものの、植物20の地上部に対して効果的に送風を行うことは困難である。給水部1aに配された開口部11を大気中に露出させることにより、効率良く植物20への送風を行うことができる。
【0073】
開口部11の配設位置と植物20の栽培位置とを適切な位置関係にすることが好ましい。好ましい具体的として、図2(a)に示すように、対象植物がイチゴ等の細い葉柄を有する植物である場合には、開口部11はイチゴの株元に設けられており、1つのイチゴに対して1つの開口部11が設けられている。
【0074】
また、図2(b)に示すように、対象植物がキャベツ等、葉が株元から直接生じる葉菜類である場合は、株の両サイドに2つの開口部11を設ける。
【0075】
開口部11と植物20とを適切な位置関係にするために、給水部1aに比較的短い間隔で開口部11を設けるとともに、開口部11を閉じることが可能な開閉部を設けることが好ましい。植物20の栽培位置は、植物20の栽培密度によって変わり得るものであるため、植物20の栽培位置に応じて開口部11を開閉する(すなわち、植物20の近傍の開口部11のみを開口させる)ことで、上述の位置関係を実現しやすくなる。
【0076】
図2(c)は、給水パイプ1の断面図を示す。図2(c)に示すように、開口部11は、給水パイプ1の外周のうち植物20が栽培されている側の外周において、植物栽培装置100の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度で開口している。すなわち、開口部11は、植物栽培装置100を水平平面に設置した場合に、斜め上方向を向いて開口している。より厳密な表現をすれば、給水パイプ1の長軸方向に対して垂直な平面であり、かつ開口部11の開口中心を含む平面で給水パイプ1を切断したときの断面における中心と、当該断面における開口中心とを通る直線が、植物栽培装置100の設置平面に対してなす角度は0°より大きく、90°よりも小さいことが好ましい。
【0077】
これにより、給水パイプ1の内部を流れる気体を開口部11から噴出させ、植物20の地上部に効果的にあてることができる。
【0078】
なお、開口部11が水平方向を向いて開口していてもよい。背丈が低い植物であれば、水平方向に送風しても、送風の効果が得られると考えられるからである。
【0079】
(排水パイプ2)
排水パイプ2は、栽培容器8から流出した培養液を養液タンク3に戻すための配管である。
【0080】
これにより、過剰に供給された培養液を養液タンク3に戻し、再利用することができる。なお、栽培容器8から流出した培養液を養液タンク3に戻す必要は必ずしもなく、廃液タンクに貯蔵してもよく、下水道に廃棄してもよい。
【0081】
(養液タンク3)
養液タンク3は、植物20に供給するための培養液を貯蔵する容器である。この培養液は、ポンプ4により吸い上げられ、給水パイプ1を介して植物20へ供給される。
【0082】
また、残余の培養液は、栽培容器8から排水パイプ2を介して養液タンク3へ戻され、再利用される。
【0083】
なお、養液タンク3に貯蔵される培養液は、植物培養のための液体であり、天然水、水道水など、人為的に栄養素を添加していない液体であっても、人為的に栄養素を添加した液体であってもよい。栽培容器8に入れられた培地に固形肥料が含まれている場合には、培養液に栄養素を含める必要は必ずしもない。
【0084】
また、植物20に水道水を供給する場合には、養液タンク3を設ける必要は必ずしもなく、水道管から給水パイプ1へ水道水を供給してもよい。
【0085】
(ポンプ4)
ポンプ4は、給水パイプ1の一部に設けられており、養液タンク3に貯蔵されている培養液を吸い上げ、給水パイプ1の内部に所定の流量および流速の培養液を供給するものである。培養液の流量および流速は特に限定されず、植物20の種類および培養液の組成に応じて適宜設定されればよい。
【0086】
なお、養液タンク3が、給水部1aよりも高い位置にある場合は、ポンプ4は必須の構成ではない。
【0087】
(ファン5)
ファン5は、給水パイプ1に空気を送り込むことにより、給水パイプ1の内部において空気を流動させるものである。
【0088】
給水パイプ1は分岐点1bにおいて分岐しており、ファン5は、分岐点1bから延びる給水パイプ1の末端に接続されている。ファン5が回転することで、給水パイプ1の内部に気体を流すことができる。
【0089】
給水パイプ1の内部を流れる気体は、植物20の近傍へ導かれ、給水パイプ1に設けられた開口部11から植物20へ向けて噴出される。
【0090】
なお、ファン5は、回転速度を制御することができ、風量を変更することができるものであることが好ましい。
【0091】
植物20へ送風する風量は、栄養成長期には0.5〜1.0m/s程度の継続的な微風であることが好ましい。したがって、開口部11からの送風の際には、開口部11から最も遠い植物先端部において0.5m/s程度の風量を送風することが好ましい。
【0092】
なお、植物栽培装置100に適用可能な送風装置は、給水パイプ1内の気体を移動させることができるものであればよく、ファンでも、エアーポンプでもよい。
【0093】
(逆止弁6)
逆止弁6は、培養液がファン5へ流入することを防止するための弁である。例えば、逆止弁6として流体の逆流によって弁座面に垂直に圧着するスイング式逆止弁を用いることができる。
【0094】
逆止弁6は、給水パイプ1の分岐点1bとファン5との間に設けられている。この逆止弁6は、ファン5から供給される気体を、ファン5から分岐点1bへ向けて通過させることができるが、分岐点1bからファン5へ向けて培養液が通過しない構成とされている。
【0095】
これにより、ポンプ4により吸い上げられた培養液が、ファン5へ流入することがなくなり、ファン5の故障等のリスクを回避することができる。
【0096】
(制御装置7)
制御装置7は、ポンプ4およびファン5等に、起動・停止等の制御を行うための制御信号を出力するものである。
【0097】
制御装置7は、ポンプ4およびファン5に通信可能に接続されており、ポンプ4およびファン5に制御信号を送る。これにより、制御装置7は、ポンプ4の起動、停止、および吸引力の制御を行い、ファン5の起動、停止、および回転速度の制御を行うことができる。
【0098】
例えば、制御装置7は、ポンプ4とファン5とが、一方が起動しているときは他方は停止しているよう制御する。
【0099】
制御装置7は、自身がアクセスな記録媒体(不図示)に記録されたプログラムに従い、ポンプ4およびファン5に制御信号を送るものであってもよい。この場合、植物の生育に適した条件でポンプ4の起動/停止とファン5の起動/停止とを繰り返す。
【0100】
なお、ユーザがポンプ4およびファン5の制御を手動で行ってもよい。
【0101】
(栽培容器8)
栽培容器8は、植物20を栽培するための培地を保持する容器である。栽培容器8は、培養土または栽培用の固形培地(ロックウール、ウレタン、スポンジなど)を入れるためのプランターであってもよいし、植物20を保持するとともに水耕栽培用の培養液を貯める水槽であってもよい。
【0102】
植物栽培装置100の栽培対象となる植物は特に限定されない。植物栽培装置100は、イチゴ、トマトなど固形培地耕を行う植物に特に適しているが、給水パイプを用いて培養液の供給を行う植物栽培に広く利用することができる。
【0103】
(LED9)
LED9は、植物20に光を照射するための光源である。LED9は、栽培棚10の各段の天井に設けられている。LED9が発する光を植物20に照射することにより、植物20の光合成を促進する。LED9に代えて、ハロゲンランプや蛍光灯等の他の光源を用いてもよい。
【0104】
(植物栽培装置100における動作)
<給水時>
植物20に培養液を給水するときは、制御装置7の制御によりポンプ4が起動する。ポンプ4により、養液タンク3に貯蔵されている培養液が吸い上げられ、給水パイプ1を介して植物20の近傍へ導かれる。
【0105】
培養液は、給水パイプ1に設けられた開口部11から噴出し、植物20が植えられている栽培容器8へ供給される。なお、給水時の水圧を制御することで、植物20の上部に設けられたLED9に培養液が飛散しないようにすることが好ましい。
【0106】
残余の培養液は、栽培容器8から、排水パイプ2を介して養液タンク3へ戻され、再利用される。
【0107】
<送風時>
植物20に気体をあてるときは、制御装置7の制御によりファン5が起動する。ファン5により、気体の流れが発生し、給水パイプ1を介して植物20の近傍へ導かれる。
【0108】
気体は、給水パイプ1に設けられた開口部11から噴出し、植物20にあてられる。すなわち、植物20に送風される。
【0109】
本実施の形態の植物栽培装置100は、上述のように、給水パイプ1を利用して植物20への送風を行うことができる。
【0110】
(送風の効果)
図3は、植物20へ向けて送風する場合の気体の流れを示す図である。植物20への送風は、植物個体の株元の開口部11から植物個体の地上部に向けて行われる。上述したように、各植物20に対して開口部11が割り当てられているため、各植物個体に均一に送風することができる。
【0111】
また、密植するなどして葉が生い茂っている場合や、葉柄の間まで風が通りにくい形態の植物20など、葉柄の間へ効率的な送風が困難な場合でも、葉柄の間を通して効率的に送風可能である。
【0112】
これにより、植物20の光合成に必要な二酸化炭素を各植物20に均一に供給することができ、植物の生育に生じる個体差を低減することができる。
【0113】
(送風による冷却効果)
<クラウンの冷却効果>
図4は、植物20のクラウン21へ向けて送風する場合の気体の流れを示す図である。ここで、クラウン21とは、植物の株元部分にある肥大した短縮茎のことをいう。
【0114】
給水パイプ1に設けられる開口部11を、給水パイプ1の外周のうち、よりクラウン21に近い部分に設けることで、図4に示すように、給水パイプ1から噴出される気体をクラウン21にあてることができる。
【0115】
これにより、植物20のクラウン21を冷却することができる。光合成能力が十分に発揮される高温下では、クラウンを冷却することで花芽分化が促進されることが知られている(農業技術 第64巻 425−430ページ 2009年発行)。そのため、植物栽培装置100において上述のようにクラウンを冷却することにより、花芽分化が促進され、収量の増加が期待できる。
【0116】
<LEDの冷却効果>
図5は、植物20の上部に設けられたLED9を冷却する場合の気体の流れを示す図である。開口部11からLED9に向けて送風することで、LED9を冷却することができる。
【0117】
高出力のLED9を稼動させた場合、LED9が発熱する。この熱が植物20に及ぶと植物20の生育が阻害される可能性がある。
【0118】
植物体近傍から連続的に送風を行うことにより、LED9の蓄熱を防ぐことができるとともに、LED9に送風されて温められた空気が植物体に暴露されることを防止できる。
【0119】
(送風によるその他の効果)
さらに、本実施の形態の植物栽培装置100は、給水パイプ1を用いて植物への送風を行っているため、給水パイプ1内を乾燥させることができる。
【0120】
これにより、培養液を栄養源として繁殖する雑菌の発生を抑制することができる。
【0121】
また、ポンプ4の起動とファン5の起動とを切り換えることで、給水と送風とを切り換える場合、給水直後の給水パイプ1の内壁には培養液が付着している。そのため、送風を行うことで、培養液の気化熱で給水パイプ1の内部の気体を加湿、冷却することができる。
【0122】
これにより、植物20に加湿された気体または冷却された気体を送風することができる。
【0123】
こまめに送風、給水を繰り返すように、制御装置7によりポンプ4とファン5とを制御することで、継続的に加湿、または冷却された気体を植物20に送風することができる。
【0124】
(LED9の変形例)
図6は栽培棚10に保護カバー14を設けた構成を示す概略図である。
【0125】
図6に示すように、栽培棚10において、LED9の前面に保護カバー(飛散防止カバー)14が配設されていてもよい。これにより、給水パイプ1から噴出される培養液などの液体がLED9に直接付着することがなく、LED9の故障のリスクを回避することができる。
【0126】
保護カバー14は、透光性の高いものであればよく、その素材は特に限定されない。また、保護カバー14は、LED9を個別に覆っていてもよく、1つの保護カバー14が複数のLED9を覆っていてもよい。
【0127】
(植物栽培装置100の主たる効果)
以上のように、本発明に係る植物栽培装置100は、給水と送風機能を併せ持つ装置であり、植物20の株元に給水を行うための給水パイプ1を用いて、送風を行うものである。すなわち、植物工場や温室において、培養液を養液タンクから給水パイプを通じて植物の株元に給水する装置を利用するものである。
【0128】
そのため、植物送風用の配管を別個に設ける必要がない。
【0129】
また、給水パイプ1の給水部1aは、培地の外部に設けられているため、開口部11からの送風を効率良く行うことができるとともに、水耕栽培、土耕栽培のどちらにも適用することができる。
【0130】
〔実施の形態2〕
本発明の第2の実施の形態について図7および図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態では、植物栽培装置100そのものの構成には変更はなく、植物20が開花した状態にあるときの送風方法の変更例について説明する。
【0131】
図7は、花(花序)22を有する植物20に向けて送風する場合の気体の流れを示す図である。図7に示すように、株元から送風を行う場合には、葉だけでなく花22にも送風される。給水パイプ1から噴出された気体が花22にあたることで、花22が揺れ、花粉が舞うことにより、受粉を促すことができる。
【0132】
図8は、風受けが取り付けられた開花した植物20に対して送風するときの気体の流れを表す概略図である。図8に示される植物20の花22の花柄には、風受け23(風受け部材)が取り付けられている。
【0133】
風受け23は、自身が開口部11からの風を受けて揺動するものであり、例えば、板状の部材である。風受け23の材質は、特に限定されない。風受け23が揺動することにより、風受け23が取り付けられている花柄が揺動し、その結果、花22が揺動する。
【0134】
風受け23を取り付けることにより、開口部11からの風により花柄が揺動することを促進することができ、受粉効率を高めることができる。
【0135】
風受け23は、複数の植物のうち、開花している個体(または、その一部)に取り付けられればよい。
【0136】
給水パイプ1から噴出される気体を風受け23において効率良く受けることを優先すれば、風受け23として、できるだけ大きな面積を有する部材を用いることが好ましい。しかし、風受け23が大き過ぎた場合には、風受け23により影が生じたり、風受け23の重みがストレスになったりすることにより植物20の生育を阻害する可能性もある。それゆえ、風受け23の大きさは、種々の要因を考慮して決定されればよい。
【0137】
また、風受け23は、風受け23が揺れることで花22を揺らすことができる位置に取り付けられればよく、花22の近くに取り付けられる必要は必ずしもない。風を効率良く受けることができる位置を考慮して取り付けられればよい。
【0138】
花22が咲いている条件下では、給水パイプ1の開口部11から噴出させる風に強弱をつけることが好ましい。すなわち、ファン5を制御することにより、一時的にパルス風を送風することが好ましい。これにより、効果的に花22を揺らして受粉を促すことができる。ただし、植物20に対して継続的にパルス風を送風すると、ストレス要因となる可能性がある。このため、パルス風の送風は、例えば、各明期期間において1度のみ、5分間程度に留めることが好ましい。
【0139】
これにより、植物20にストレスを与えることなく、受粉を促進することができる。
【0140】
〔実施の形態3〕
本発明の第3の実施の形態について図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態では、給水パイプ1に飛散防止カバー(遮断部)12が設けられている点において、実施の形態1の植物栽培装置100と異なっている。それ以外の構成は、上述の植物栽培装置100と同様である。
【0141】
図9は、本実施の形態に係る給水パイプ1の断面図を示す。図9は、給水パイプ1(給水部1a)の延伸方向に垂直な平面で給水パイプ1を切断したときの断面図である。
【0142】
飛散防止カバー12は、給水パイプ1の外周表面から離れて配置され、開口部11から噴出した培養液の進路を妨害可能な位置(遮断位置)と、開口部11から噴出した気体の進路を妨害しない位置(開放位置)との間を移動可能な可動式のカバーである。
【0143】
遮断位置とは、飛散防止カバー12が、開口部11と対向する位置である。飛散防止カバー12が遮断位置にあるときには、開口部11は飛散防止カバー12によって、隙間が開いた状態で覆われる。
【0144】
飛散防止カバー12が、給水パイプ1の外周表面から離れて配置されていることにより、飛散防止カバー12が遮断位置にあるときでも、開口部11から培養液が噴出する。開口部11は、水平方向に対して仰角をなす角度で開口しているため、開口部11から培養液が勢い良く噴出すると、培養液は斜め上方向または鉛直上向きに噴出し、植物20に培養液がかかる可能性がある。
【0145】
そこで、開口部11から培養液を供給するときには、飛散防止カバー12を遮断位置に配置し、開口部11から噴出した培養液を反射させることで、植物20に培養液がかかることを防止するとともに、培養液を鉛直下方向に滴下させる。
【0146】
飛散防止カバー12は、液体を透過させないものであれば、金属材料、樹脂材料等、いかなる材料からなるものであってもよい。
【0147】
飛散防止カバー12の移動は、ユーザが手動で行ってもよく、上述した制御装置7の制御下で飛散防止カバー12を移動させる移動機構(不図示)を制御してもよい。以下では、制御装置7による飛散防止カバー12の移動方法について説明する。
【0148】
(飛散防止カバー12の移動方法)
<送風時>
給水パイプ1に設けられた開口部11から送風を行うときは、制御装置7は、飛散防止カバー12を開放位置に移動させるとともに、ポンプ4を停止させた状態で、ファン5を作動させる。
【0149】
開口部11から噴出する気体は、給水パイプ1の中心から開口部11の方向へ噴出される。これにより、植物20の葉、および植物20の上部に設けられているLED9へ向けて気体が送風される。
【0150】
<給水時>
給水パイプ1に設けられた開口部11から給水を行うときは、制御装置7は、飛散防止カバー12を遮断位置に移動させるとともに、ファン5を停止させた状態で、ポンプ4を作動させる。
【0151】
開口部11から噴出する培養液は、給水パイプ1の中心から開口部11の方向へ噴出されるが、飛散防止カバー12によりその噴出方向を変更される。言い換えると、飛散防止カバー12は培養液の進路を妨害する。これにより、給水時には、培養液が飛散防止カバー12より上部へ飛散することが抑制される。具体的には、図9の矢印で示すように、給水パイプ1の下部に流れ落ちる。
【0152】
培養液は栽培容器8の培地に供給され、植物の生育に寄与することとなる。また、開口部11から噴出した培養液が、植物20やLED9に付着することを抑制することができる。
【0153】
これにより、LED9に培養液が飛散することによるLED9の故障等のリスクを回避することができる。
〔実施の形態4〕
本発明の第4の実施の形態について図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態では、給水パイプ1に開口部11aおよび開口部11bが形成されているとともに飛散防止カバー(閉鎖部)13が設けられている点において、実施の形態1の植物栽培装置100と異なっている。それ以外の構成は、上述の植物栽培装置100と同様である。
【0154】
図10は、本実施の形態に係る給水パイプ1の断面図を示す。図10は、給水パイプ1の延伸方向に垂直な平面で給水パイプ1を切断したときの断面図である。
【0155】
本実施の形態の給水パイプ1には、給水パイプ1の外周上に開口方向が異なる2種類の開口部11が設けられている。2種類の開口部11のうち、その開口方向が水平面に対して仰角をなしている(鉛直斜め上または鉛直上方向に開口している)開口部(第1開口部)を開口部11aとし、鉛直下方向(または、鉛直斜め下方向)に開口している開口部(第2開口部)を開口部11bとする。
【0156】
開口部11aの口径と開口部11bの口径とは同じであってもよいし、培養液の噴出に適した口径または気体の送風に適した口径をそれぞれ有していてもよい。
【0157】
また、給水パイプ1は、開口部11aまたは開口部11bを覆うことができるように、給水パイプ1の外周の一部を覆う可動式の飛散防止カバー13を備えている。
【0158】
飛散防止カバー13は、開口部11aまたは開口部11bを覆うことで、開口部11aまたは開口部11bを閉鎖し、流体(培養液および気体)が閉鎖対象となる開口部11から噴出しないようにする。すなわち、飛散防止カバー13は、開口部11aの閉鎖および開口部11bの開放と、その逆(開口部11bの閉鎖および開口部11aの開放)とを切り換えるよう移動可能である。
【0159】
なお、図10では、図を見やすくするために給水パイプ1の外周と飛散防止カバー13との間には隙間が設けられているが、実際には上記隙間は小さい方が好ましい。
【0160】
飛散防止カバー13の移動は、ユーザが手動で行ってもよく、上述した制御装置7の制御下で飛散防止カバー12を移動させる移動機構(不図示)を制御してもよい。以下では、制御装置7による飛散防止カバー13の移動方法について説明する。
【0161】
(飛散防止カバー13の移動方法)
<送風時>
給水パイプ1により植物20へ送風を行うときは、制御装置7は、飛散防止カバー13を、開口部11bを覆う位置に移動させるとともに、ポンプ4を停止させた状態で、ファン5を作動させる。この移動により、開口部11bは飛散防止カバー13により塞がれるとともに、開口部11aは開放される。
【0162】
これにより、給水パイプ1の内部に流れる気体は、開口部11aから給水パイプ1の上方向に噴出され、植物20の葉や、植物20の上部に設けられているLED9へ向けて気体が送風される。
【0163】
<給水時>
給水パイプ1により植物20へ給水を行うときは、制御装置7は、飛散防止カバー13を、開口部11aを覆う位置に移動させるとともに、ポンプ4を停止させた状態で、ファン5を作動させる。この移動により、開口部11aは飛散防止カバー13により塞がれるとともに開口部11bは開放される。
【0164】
これにより、給水パイプ1の内部に流れる培養液は、開口部11bから給水パイプ1の下方向に噴出され、栽培容器8の培地に供給され、植物の生育に寄与することとなる。
【0165】
なお、図10には、開口部11aと開口部11bとが給水パイプ1の同一断面に配されている構成が示されているが、開口部11aと開口部11bとが互いに給水パイプ1の異なる断面に含まれる構成にしてもよい。この場合には、開口部11aを開閉する飛散防止カバー13と、開口部11bを開閉する飛散防止カバー13とを別々に設ければよい。
【0166】
また、開口部は3種類以上設けられていてもよい。これにより、開口部を送風時の送風方向および給水時の培養液の出力方向を様々に変化させることができる。
【0167】
〔実施の形態5〕
本発明の第5の実施の形態について図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態では、給水パイプ1が回転可能である点において、実施の形態1の植物栽培装置100と異なっている。それ以外の構成は、上述の植物栽培装置100と同様である。
【0168】
図11は、本実施の形態に係る給水パイプ1の断面図を示す。図11は、給水パイプ1の延伸方向に垂直な平面で給水パイプ1を切断したときの断面図である。
【0169】
本実施の形態の給水パイプ1は、図示しないパイプ回転部を備えている。これにより、給水パイプ1を、その中心軸を回転軸として回転させることができる。
【0170】
給水パイプ1の回転は、ユーザが手動で行ってもよく、上述した制御装置7の制御下でパイプ回転部を制御してもよい。以下では、制御装置7による給水パイプ1の回転方法について説明する。
【0171】
(給水パイプ1の回転方法)
<送風時>
送風時には、制御装置7は、開口部11が上方を向くように給水パイプ1を回転させ、固定するとともに、ポンプ4を停止させた状態で、ファン5を作動させる。
【0172】
これにより、給水パイプ1の内部に流れる気体は、開口部11から給水パイプ1の上方向に噴出され、植物20の葉や、植物20の上部に設けられているLED9へ向けて気体が送風される。
【0173】
<給水時>
給水時には、制御装置7は、開口部11が下方を向くように給水パイプ1を回転させ、固定するとともに、ファン5を停止させた状態で、ポンプ4を作動させる。
【0174】
これにより、給水パイプ1の内部に流れる培養液は、開口部11から給水パイプ1の下方向に噴出され、栽培容器8の培地に供給され、植物の生育に寄与することとなる。
【0175】
〔実施の形態6〕
本発明の第6の実施の形態について図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0176】
図12は、本実施の形態に係る植物栽培装置110の概略図を示す。
【0177】
本実施の形態の植物栽培装置110は、ファン5に二酸化炭素ボンベ30(二酸化炭素供給部)が設けられている点で植物栽培装置100と異なっている。二酸化炭素ボンベ30は、液化された二酸化炭素が充填されているボンベであり、ファン5の送風口の近傍に設けられている。
【0178】
これにより、送風時に、ファン5から送られる気体に、二酸化炭素ボンベ30からの二酸化炭素を含めることができ、植物20に二酸化炭素を含んだ気体を送風することができる。
【0179】
なお、二酸化炭素ボンベの代わりに、二酸化炭素を化学反応により生成する装置を設けてもよい。
【0180】
送風される気体における二酸化炭素の濃度を、植物20の光合成に適した1000ppm程度とすることで、植物の光合成効率を高めることができる。
【0181】
その結果、植物体の生育が促進されることにより栽培期間が短縮される、収量が増加するなどの効果が得られる。
【0182】
植物栽培装置110を用いることで、植物20の株元に直接かつ効率的に二酸化炭素を供給することができるため、使用する二酸化炭素の量を低減することができる。
【0183】
また、二酸化炭素ボンベ30のバルブを開閉する装置を制御装置7に接続することで、制御装置7からの制御により二酸化炭素濃度を変更することができるものであってもよい。
【0184】
これにより、植物20の光合成に必要な光が供給されているとき(明期)は、植物20に二酸化炭素を供給し、植物20の光合成に必要な光が供給されていないとき(暗期)は、植物20に二酸化炭素を供給しないことができる。
【0185】
〔実施の形態7〕
本発明の第7の実施の形態について図13および14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0186】
図13および14は、本実施の形態に係る植物栽培装置120の概略図を示す。
【0187】
図13に示すように、本実施の形態の植物栽培装置120は、ファン5にPCI(プラズマクラスターイオン)発生ユニット40(イオン供給部)が設けられている点で植物栽培装置100と異なっている。PCI発生ユニット40は、イオンを生成し、放出するものであり、ファン5の送風口の近傍に設けられている。
【0188】
また、図14に示すように、PCI発生ユニット40は、ファン5と逆止弁6との間の給水パイプ1上に設けられていてもよい。
【0189】
これにより、送風時に、ファン5にから送られる気体に、PCI発生ユニット40からのイオンを含めることができ、植物20にイオンを含んだ気体を送風することができる。
【0190】
なお、上記イオンは、正イオンであっても、負イオンであってもよい。例えば、正イオンは、H+(H2O)m(mは任意の自然数)を主体とするイオンであり、負イオンは、O2−(H2O)n(nは任意の自然数)を主体とするイオンである。正イオンまたは負イオン、もしくはその両方が空気中に存在すると、活性酸素種(例えば、水酸基ラジカル(・OH))が生成される。この活性酸素種により浮遊菌、浮遊ウイルス等を除菌・不活化することができる。
【0191】
上記正負イオンは、植物20の生育を阻害しないため、育苗後の栽培期間を通じて正負イオンを含んだ気体を植物20へ送風することができる。
【0192】
植物工場では、衛生管理および空調管理により、植物に付着する細菌数が少ない。しかし、細菌はある程度存在し、植物20の表面で増殖している。特に人に有害な大腸菌が付着すると、植物20の表面で独占的に増殖するため、大腸菌が付着した植物20を食した人の健康に影響を及ぼす恐れもある。
【0193】
本実施の形態の植物栽培装置120により、イオンを植物20の株元から全体に効率よく照射することで、植物20の表面に付着した細菌の除菌や増殖を抑制することができる。また、植物栽培環境の除菌等、特に給水パイプ1内の除菌等を行うことができる。
【0194】
本発明は上記した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0195】
(付記事項)
なお、本発明の実施形態は、次のように表現することもできる。
【0196】
植物栽培装置であって、植物への送風と給水を兼用するパイプと、パイプに培養液を供給するポンプと、パイプに送風する送風機と、ポンプから供給される培養液が送風機へ流入することを防止する逆止弁とを備える植物栽培装置。
【0197】
上記パイプには、給水時の飛散防止カバーを備える植物栽培装置。
【0198】
更に、CO2供給手段を備え、送風機によりCO2を送風する植物栽培装置。
【0199】
更に、イオン発生手段を備え、イオンを含む空気を送風する植物栽培装置。
【0200】
受粉のための風受けを備える植物栽培装置。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本発明は、給水パイプで給水を行う植物の栽培に利用することができる。
【符号の説明】
【0202】
1 給水パイプ
1a 給水部
5 ファン(送風装置)
6 逆止弁
11 開口部
11a 開口部
11b 開口部
12 飛散防止カバー(遮断部)
13 飛散防止カバー(閉鎖部)
20 植物
30 二酸化炭素ボンベ(二酸化炭素供給部)
40 PCI発生ユニット(イオン供給部)
100 植物栽培装置
110 植物栽培装置
120 植物栽培装置
【技術分野】
【0001】
本発明は植物へ向けて送風する植物栽培装置および植物栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計画的な農作物生産が望まれる中、天候の影響を受けない植物工場などへの期待は高まっている。レタス等の一部の葉菜類では、植物工場での栽培が行われており、今後、果菜類など様々な農作物が植物工場で栽培されることが考えられる。
【0003】
植物の生育には、培地の水分量、湿度、温度等の条件を最適化することは、植物の生育において重要である。
【0004】
例えば、特許文献1には、植物生育室の湿度を最適な湿度に制御するために、植物に加湿空気流を供給する装置について記載されている。
【0005】
特許文献2には、植物に対して直接強い空気流をあてることなく、植物生育室の内外で空気を交換する装置について記載されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、植物群に沿って加湿エレメントを配置することで、植物周辺域のみを簡易的にかつ局所的に加湿することができる加湿器について記載されている。
【0007】
また、植物の呼吸や光合成を促すために、空気中の酸素濃度や二酸化炭素濃度の環境を整えることが好ましい。植物を植物工場等の閉鎖系空間で栽培するためには、植物が空気中の成分を効率的に利用するための空気の流れ、気流を作ることが好ましい。
【0008】
すなわち、施設栽培や植物工場では、植物群落の周囲の空気が停滞するため、植物が効率良く二酸化炭素などの気体を利用することが難しい。そのため、送風装置を用いて施設内部の空気を全体的に移動させたり、植物群落の上方から、または側面から直接送風を行ったりしている例が多い。しかしながら、上記のような送風方法では、密集した植物群落内に効率的に風が行き渡っているとは言い難い。
【0009】
図15(a)および(b)は、送風ファンを用いて植物へ空気を送風する場合の空気の流れを示す概略図である。図中の矢印は空気の流れを示し、矢印の大きさは空気の流量、すなわち風量の大きさを示す。
【0010】
図15(a)に示すように、植物体の側面からの送風を行った場合、空気は植物体の外側を迂回するように動くため、植物中心部へ行き渡りにくい。
【0011】
また、図15(b)に示すように、植物群落への単一の送風機による送風では、植物ごとに受ける風の強さが異なる。すなわち、送風ファンの近傍にある植物は強い風を受けるが、送風ファンから離れた植物は、弱い風を受ける。そのため、植物の生育に、送風ファンからの位置に応じたばらつきが生じる。
【0012】
植物群落内に空気を行き渡らせるために風量を大きくすると、植物が物理的ダメージを受ける、風がストレスとなるなどにより生育が抑制されてしまう。
【0013】
特許文献4および特許文献5には、管を用いて各植物体の近傍まで空気を送り、上記管は、各植物体の数に応じた空気孔を有することで、上記空気孔から各植物に対して均一に風を送る装置について記載されている。
【0014】
特許文献6には、植物へ供給する養液の循環経路を利用し、植物の根圏に空気を供給することで、根圏の温度を調節する縦型養液栽培装置について記載されている。
【0015】
特許文献7には、育成棚各段に底面かん水装置を配置した多段式植物育成装置において、加湿空気流を必要に応じて迅速かつ効率よく育成棚各段へ供給することができるとともに、加湿空気流の供給用配管の設置も簡略化することができる加湿空気流供給システムが記載されている。
【0016】
特許文献7に記載されている加湿空気流供給システム90の概略図を図16に示す。本システムにおいて、植物に養液を供給するときは、養液タンク91に貯蔵されている養液をポンプ92により育成棚94へと汲み上げ、育成棚94に設けられた底面かん水装置に底面からかん水する。残余の養液は、底面かん水装置の底面から排出し、養液タンク91に戻す。
【0017】
植物に加湿空気を供給するときは、加湿装置93からの加湿空気流を、養液を排液する際に利用する排液管を通して育成棚94へと供給する。
【0018】
このようにして、特許文献7に記載されている加湿空気流供給システム90は、加湿空気流の供給用配管の設置を簡略化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−104364号公報(2008年5月8日公開)
【特許文献2】特開2010−104252号公報(2010年5月13日公開)
【特許文献3】特開2010−45989号公報(2010年3月4日公開)
【特許文献4】特開2007−174965号公報(2007年7月12日公開)
【特許文献5】特開2010−81919号公報(2010年4月15日公開)
【特許文献6】特開2003−189749号公報(2003年7月8日公開)
【特許文献7】特開2009−5634号公報(2009年1月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上述した従来技術は以下の課題を有する。
【0021】
特許文献1および2に記載される装置は、図15を参照して説明した従来の送風方法と同様に、各植物に均一に加湿空気を供給、または送風することができるものではない。
【0022】
特許文献3に記載の加湿器は、加湿エレメントは植物の近傍に設けられているが、送風元となる空調機は植物群に対して1つしか設けられていないため、各植物に均一に加湿空気を供給することができない。
【0023】
特許文献4および5に記載される装置は、各植物に対して均一に送風することができるが、養液用の配管とは別に空気用の配管を設ける必要があり、装置の大型化に繋がるという課題を有する。
【0024】
特許文献6および7に記載される装置は、植物の根に直接送風されるものであり、根への乾燥ストレスを与えることとなる。
【0025】
また、特許文献7に記載される装置は、排液管から空気流が送風されるシステムであるため、ロックウールやヤシ殻などの培地を用いた水耕(養液)栽培や土耕栽培では、培地や土が障壁となり排水管から送風を行えない。
【0026】
さらに、送風は育成棚ごと、あるいは区画ごとに集約され、排液管を通して排出されるため、植物体ごとに均一に風が行き渡らない。育成棚ごとに送風するものであるため、植物に二酸化炭素を供給しようとする場合には、育成棚全体の二酸化炭素濃度を上げる必要がある。植物群落内に効率よく風が行き渡らない等の問題を有しいている。
【0027】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、植物体ごとに送風することを可能にするとともに、かつ、送風用の配管の設置を簡略化した植物栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の一実施形態に係る植物栽培装置は、上記課題を解決するために、複数の植物体を栽培するための植物栽培装置であって、上記植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプと、上記給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部を介して上記植物体に対して送風する送風装置とを備えることを特徴とする。
【0029】
上記の構成によれば、給水パイプの複数の開口部から、複数の植物体へ培養のための液体が供給される。送風装置は、給水パイプに気体を供給することで、給水パイプの開口部を介して植物体に対して送風を行う。
【0030】
そのため、複数の植物体のそれぞれへ送風を行うことが可能となり、送風のための配管を別に設ける必要のない簡単な構成の植物栽培装置を実現することができる。
【0031】
また、送風により給水パイプ内を乾燥させることによって、培養液を栄養源として繁殖する雑菌を抑制できるという付加的な効果も得られる。
【0032】
なお、上記培養のための液体とは、天然水、水道水など、人為的に栄養素を添加していない液体であっても、人為的に栄養素を添加した液体であってもよい。
【0033】
また、上記送風装置は、給水パイプ内の気体を移動させることができるものであればよく、ファンでも、エアーポンプでもよい。
【0034】
上記開口部は、上記植物体を培養する培地の外部に配されていることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、給水パイプの開口部は、培地に埋没しておらず、大気中に露出している。それゆえ、開口部からの送風を効率良く行うことができる。
【0036】
上記開口部は、上記植物栽培装置の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度で当該開口部から上記気体が噴出するよう配されていることが好ましい。
【0037】
植物栽培装置の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度とは、植物栽培装置が水平平面に設置されている場合には、水平方向を0°としたときに、0°よりも大きく90°(鉛直上向き)以下の角度である。
【0038】
上記の構成により、給水パイプの開口部が植物体を見上げる方向に開口しており、植物体の株元から上方向へ向けて送風することができる。
【0039】
それゆえ、植物体に対して効果的に送風することができる。特に、葉が生い茂っている場合や、枝葉の間に風が通りにくい形態の植物に対して、効率良く送風することができる。さらに、植物体の上方に照明装置(例えば、LED)が配されている場合には、当該照明装置を冷却する効果も得られる。
【0040】
上記植物栽培装置は、上記開口部から噴出した上記液体の進路を妨害可能な位置と、上記開口部から噴出した気体の進路を妨害しない位置との間を移動可能である遮断部をさらに備えることが好ましい。
【0041】
開口部が植物栽培装置の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度で開口しているため、給水パイプの開口部から液体を噴出させるときに、そのまま噴出させれば、液体が植物体に直接かかる可能性がある。そこで、遮断部により、開口部から噴出した液体の進路を遮ることで、液体が植物体に直接かかることを防止し、鉛直下方向に液体を滴下させることができる。
【0042】
上記給水パイプは、上記液体を供給するための第1開口部と、送風するための第2開口部とを有し、上記第1または第2開口部の一方の閉鎖および他方の開放と、その逆とを切り換えるよう移動可能な閉鎖部をさらに備えることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、給水パイプには、液体を供給するための第1開口部と、送風するための第2開口部とが配されている。閉鎖部は、移動することにより第1開口部を閉鎖し、第2開口部を開放する状態と、第2開口部を閉鎖し、第1開口部を開放する状態とを切り換える。
【0044】
それゆえ、給水または送風に適した方の開口部を開放させることができ、好ましい方向へ給水および送風を行うことができる。
【0045】
なお第1開口部と第2開口部とは、上記植物栽培装置の設置面に平行な平面に対する開口角度(開口方向)が互いに異なる複数種類の開口部であると表現することができる。
【0046】
上記給水パイプは、当該給水パイプの中心軸を回転軸として回転可能に設けられていることがこのましい。
【0047】
上記の構成により、給水パイプが回転することで、上記植物栽培装置の設置面に平行な平面に対する開口角度(開口方向)を変化させることができる。
【0048】
それゆえ、給水または送風に適した開口角度とするよう給水パイプを回転させることで、好ましい方向へ給水および送風を行うことができる。
【0049】
上記植物栽培装置は、上記気体に二酸化炭素を含める二酸化炭素供給部をさらに備えることが好ましい。
【0050】
上記の構成により、植物体に向けて送風される気体に二酸化炭素を含めることができ、光合成効率を高めることができる。その結果、植物体の生育が促進されることにより栽培期間が短縮される、収量が増加するなどの効果が得られる。
【0051】
植物栽培装置は、上記気体にイオンを含めるイオン供給部をさらに備えることが好ましい。
【0052】
上記の構成により、植物体に向けて送風される気体にイオンを含めることができる。このイオンは、正イオンであっても、負イオンであってもよい。例えば、正イオンは、H+(H2O)m(mは任意の自然数)を主体とするイオンであり、負イオンは、O2−(H2O)n(nは任意の自然数)を主体とするイオンである。正イオンまたは負イオン、もしくはその両方が空気中に存在すると、活性酸素種(例えば、水酸基ラジカル(・OH))が生成される。この活性酸素種により浮遊菌、浮遊ウイルス等を除菌・不活化することができる。
【0053】
それゆえ、植物栽培環境の除菌等、特に給水パイプ内の除菌等を行うことができる。
【0054】
植物栽培装置は、上記送風装置への上記液体の流入を防止する逆止弁をさらに備えることが好ましい。
【0055】
上記の構成により、送風装置へ液体が逆流することにより当該送風装置が故障することを防止できる。
【0056】
本発明の一実施形態に係る植物栽培方法は、上記課題を解決するために、複数の植物体を栽培するための植物栽培方法であって、上記植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部から上記植物体に対して送風することを特徴とする。
【0057】
上記植物栽培方法において、上記複数の植物体の少なくとも一部の個体に、上記開口部から噴出した気体を受けることにより当該植物体を揺らす風受け部材を取り付けることが好ましい。
【0058】
上記の構成によれば、風受け部材を植物体に取り付けることにより、開口部からの送風による植物体の揺れを促進することができる。それゆえ、植物体が開花している場合に、受粉を促進することができる。
【発明の効果】
【0059】
以上のように、本発明の一実施形態に係る植物栽培装置は、複数の植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプと、上記給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部を介して上記植物体に対して送風する送風装置とを備えるものである。
【0060】
また、本発明の一実施形態に係る植物栽培方法は、複数の植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部から上記植物体に対して送風する方法である。
【0061】
それゆえ、植物体ごとに送風することが可能となり、かつ、送風用の配管の設置を簡略化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る植物栽培装置の概略構成を表す図である。
【図2】(a)〜(c)は、給水パイプと植物との位置関係を表す図である。
【図3】本発明の一実施形態において植物へ向けて送風する場合の空気の流れを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態において植物のクラウンへ向けて送風する場合の空気の流れを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態においてLEDを冷却する場合の空気の流れを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態における栽培室に飛散防止カバーを設けた構成を示す概略図である。
【図7】開花した植物に向けて送風する場合の空気の流れを示す図である。
【図8】風受けが取り付けられた開花した植物に向けて送風する場合の空気の流れを示す図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る給水パイプの断面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係る給水パイプの断面図である。
【図11】本発明のさらに別の実施形態に係る給水パイプの断面図である。
【図12】本発明のさらに別の実施形態に係る植物栽培装置の概略構成を表す図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態に係る植物栽培装置の概略構成を表す図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態に係る植物栽培装置の変更例を表す図である。
【図15】(a)および(b)は、従来の植物への送風方法における空気の流れを表す概略図である。
【図16】従来の多段式植物育成装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、本発明の実施の形態に係る植物栽培装置および植物栽培方法ついて、詳細に説明する。
【0064】
〔実施の形態1〕
本発明の第1の実施の形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0065】
(植物栽培装置100の構成)
図1は、本発明の植物栽培装置100の概略図である。図1に示すように本発明の植物栽培装置100は、給水パイプ1、排水パイプ2、養液タンク3、ポンプ4、ファン5(送風装置)、逆止弁6、制御装置7、栽培容器8、LED9、および栽培棚10を備えている。
【0066】
(給水パイプ1)
給水パイプ1は、その内部に流体(液体および気体)を流動させ、開口部11(図2参照)を介して植物(植物体)20に培養液を供給するとともに、送風を行うためのものである。この給水パイプ1は、その一端が養液タンク3に接続されており、他端は栽培容器8(すなわち、植物20)の近傍に設けられている。給水パイプ1の栽培容器8の近傍に位置する部分を給水部1aと称する。養液タンク3の培養液は、ポンプ4によって給水部1aへ送られる。
【0067】
また、給水パイプ1は、少なくとも1つの分岐部を有し、その先に、送風用のファン5が接続されている。ファン5が作動することにより、給水パイプ1内の気体が流動し、開口部11から空気が噴出する。
【0068】
このように給水パイプ1は、培養液を供給する給水管として機能するとともに、送風のための気体を供給する送風管としても機能する。
【0069】
なお、図1に示す例では、栽培棚10に複数の栽培容器8が設けられており、給水パイプ1を分岐し、分岐した給水パイプ1(給水部1a)を各栽培容器8の近傍に設けている。栽培棚10は一段であってもよく、栽培棚10の段数は特に限定されない。
【0070】
図2は、給水パイプ1と植物20との位置関係を表す概略図である。図2に示すように、給水パイプ1の給水部1aには、複数の開口部11が所定の間隔で設けられている。ポンプ4またはファン5が動作することにより、給水パイプ1の内部を流れる液体および気体は、開口部11から給水パイプ1の外部に噴出される。
【0071】
給水部1aは、栽培容器8に沿って設けられており、栽培容器8に植えられた植物体に個別に培養液の供給および送風を行うことができる。
【0072】
また、給水部1aは、栽培容器8の外部(より具体的には、上方)に設けられている。給水部1aが培地中に埋没している場合には、培養液の供給は行えるものの、植物20の地上部に対して効果的に送風を行うことは困難である。給水部1aに配された開口部11を大気中に露出させることにより、効率良く植物20への送風を行うことができる。
【0073】
開口部11の配設位置と植物20の栽培位置とを適切な位置関係にすることが好ましい。好ましい具体的として、図2(a)に示すように、対象植物がイチゴ等の細い葉柄を有する植物である場合には、開口部11はイチゴの株元に設けられており、1つのイチゴに対して1つの開口部11が設けられている。
【0074】
また、図2(b)に示すように、対象植物がキャベツ等、葉が株元から直接生じる葉菜類である場合は、株の両サイドに2つの開口部11を設ける。
【0075】
開口部11と植物20とを適切な位置関係にするために、給水部1aに比較的短い間隔で開口部11を設けるとともに、開口部11を閉じることが可能な開閉部を設けることが好ましい。植物20の栽培位置は、植物20の栽培密度によって変わり得るものであるため、植物20の栽培位置に応じて開口部11を開閉する(すなわち、植物20の近傍の開口部11のみを開口させる)ことで、上述の位置関係を実現しやすくなる。
【0076】
図2(c)は、給水パイプ1の断面図を示す。図2(c)に示すように、開口部11は、給水パイプ1の外周のうち植物20が栽培されている側の外周において、植物栽培装置100の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度で開口している。すなわち、開口部11は、植物栽培装置100を水平平面に設置した場合に、斜め上方向を向いて開口している。より厳密な表現をすれば、給水パイプ1の長軸方向に対して垂直な平面であり、かつ開口部11の開口中心を含む平面で給水パイプ1を切断したときの断面における中心と、当該断面における開口中心とを通る直線が、植物栽培装置100の設置平面に対してなす角度は0°より大きく、90°よりも小さいことが好ましい。
【0077】
これにより、給水パイプ1の内部を流れる気体を開口部11から噴出させ、植物20の地上部に効果的にあてることができる。
【0078】
なお、開口部11が水平方向を向いて開口していてもよい。背丈が低い植物であれば、水平方向に送風しても、送風の効果が得られると考えられるからである。
【0079】
(排水パイプ2)
排水パイプ2は、栽培容器8から流出した培養液を養液タンク3に戻すための配管である。
【0080】
これにより、過剰に供給された培養液を養液タンク3に戻し、再利用することができる。なお、栽培容器8から流出した培養液を養液タンク3に戻す必要は必ずしもなく、廃液タンクに貯蔵してもよく、下水道に廃棄してもよい。
【0081】
(養液タンク3)
養液タンク3は、植物20に供給するための培養液を貯蔵する容器である。この培養液は、ポンプ4により吸い上げられ、給水パイプ1を介して植物20へ供給される。
【0082】
また、残余の培養液は、栽培容器8から排水パイプ2を介して養液タンク3へ戻され、再利用される。
【0083】
なお、養液タンク3に貯蔵される培養液は、植物培養のための液体であり、天然水、水道水など、人為的に栄養素を添加していない液体であっても、人為的に栄養素を添加した液体であってもよい。栽培容器8に入れられた培地に固形肥料が含まれている場合には、培養液に栄養素を含める必要は必ずしもない。
【0084】
また、植物20に水道水を供給する場合には、養液タンク3を設ける必要は必ずしもなく、水道管から給水パイプ1へ水道水を供給してもよい。
【0085】
(ポンプ4)
ポンプ4は、給水パイプ1の一部に設けられており、養液タンク3に貯蔵されている培養液を吸い上げ、給水パイプ1の内部に所定の流量および流速の培養液を供給するものである。培養液の流量および流速は特に限定されず、植物20の種類および培養液の組成に応じて適宜設定されればよい。
【0086】
なお、養液タンク3が、給水部1aよりも高い位置にある場合は、ポンプ4は必須の構成ではない。
【0087】
(ファン5)
ファン5は、給水パイプ1に空気を送り込むことにより、給水パイプ1の内部において空気を流動させるものである。
【0088】
給水パイプ1は分岐点1bにおいて分岐しており、ファン5は、分岐点1bから延びる給水パイプ1の末端に接続されている。ファン5が回転することで、給水パイプ1の内部に気体を流すことができる。
【0089】
給水パイプ1の内部を流れる気体は、植物20の近傍へ導かれ、給水パイプ1に設けられた開口部11から植物20へ向けて噴出される。
【0090】
なお、ファン5は、回転速度を制御することができ、風量を変更することができるものであることが好ましい。
【0091】
植物20へ送風する風量は、栄養成長期には0.5〜1.0m/s程度の継続的な微風であることが好ましい。したがって、開口部11からの送風の際には、開口部11から最も遠い植物先端部において0.5m/s程度の風量を送風することが好ましい。
【0092】
なお、植物栽培装置100に適用可能な送風装置は、給水パイプ1内の気体を移動させることができるものであればよく、ファンでも、エアーポンプでもよい。
【0093】
(逆止弁6)
逆止弁6は、培養液がファン5へ流入することを防止するための弁である。例えば、逆止弁6として流体の逆流によって弁座面に垂直に圧着するスイング式逆止弁を用いることができる。
【0094】
逆止弁6は、給水パイプ1の分岐点1bとファン5との間に設けられている。この逆止弁6は、ファン5から供給される気体を、ファン5から分岐点1bへ向けて通過させることができるが、分岐点1bからファン5へ向けて培養液が通過しない構成とされている。
【0095】
これにより、ポンプ4により吸い上げられた培養液が、ファン5へ流入することがなくなり、ファン5の故障等のリスクを回避することができる。
【0096】
(制御装置7)
制御装置7は、ポンプ4およびファン5等に、起動・停止等の制御を行うための制御信号を出力するものである。
【0097】
制御装置7は、ポンプ4およびファン5に通信可能に接続されており、ポンプ4およびファン5に制御信号を送る。これにより、制御装置7は、ポンプ4の起動、停止、および吸引力の制御を行い、ファン5の起動、停止、および回転速度の制御を行うことができる。
【0098】
例えば、制御装置7は、ポンプ4とファン5とが、一方が起動しているときは他方は停止しているよう制御する。
【0099】
制御装置7は、自身がアクセスな記録媒体(不図示)に記録されたプログラムに従い、ポンプ4およびファン5に制御信号を送るものであってもよい。この場合、植物の生育に適した条件でポンプ4の起動/停止とファン5の起動/停止とを繰り返す。
【0100】
なお、ユーザがポンプ4およびファン5の制御を手動で行ってもよい。
【0101】
(栽培容器8)
栽培容器8は、植物20を栽培するための培地を保持する容器である。栽培容器8は、培養土または栽培用の固形培地(ロックウール、ウレタン、スポンジなど)を入れるためのプランターであってもよいし、植物20を保持するとともに水耕栽培用の培養液を貯める水槽であってもよい。
【0102】
植物栽培装置100の栽培対象となる植物は特に限定されない。植物栽培装置100は、イチゴ、トマトなど固形培地耕を行う植物に特に適しているが、給水パイプを用いて培養液の供給を行う植物栽培に広く利用することができる。
【0103】
(LED9)
LED9は、植物20に光を照射するための光源である。LED9は、栽培棚10の各段の天井に設けられている。LED9が発する光を植物20に照射することにより、植物20の光合成を促進する。LED9に代えて、ハロゲンランプや蛍光灯等の他の光源を用いてもよい。
【0104】
(植物栽培装置100における動作)
<給水時>
植物20に培養液を給水するときは、制御装置7の制御によりポンプ4が起動する。ポンプ4により、養液タンク3に貯蔵されている培養液が吸い上げられ、給水パイプ1を介して植物20の近傍へ導かれる。
【0105】
培養液は、給水パイプ1に設けられた開口部11から噴出し、植物20が植えられている栽培容器8へ供給される。なお、給水時の水圧を制御することで、植物20の上部に設けられたLED9に培養液が飛散しないようにすることが好ましい。
【0106】
残余の培養液は、栽培容器8から、排水パイプ2を介して養液タンク3へ戻され、再利用される。
【0107】
<送風時>
植物20に気体をあてるときは、制御装置7の制御によりファン5が起動する。ファン5により、気体の流れが発生し、給水パイプ1を介して植物20の近傍へ導かれる。
【0108】
気体は、給水パイプ1に設けられた開口部11から噴出し、植物20にあてられる。すなわち、植物20に送風される。
【0109】
本実施の形態の植物栽培装置100は、上述のように、給水パイプ1を利用して植物20への送風を行うことができる。
【0110】
(送風の効果)
図3は、植物20へ向けて送風する場合の気体の流れを示す図である。植物20への送風は、植物個体の株元の開口部11から植物個体の地上部に向けて行われる。上述したように、各植物20に対して開口部11が割り当てられているため、各植物個体に均一に送風することができる。
【0111】
また、密植するなどして葉が生い茂っている場合や、葉柄の間まで風が通りにくい形態の植物20など、葉柄の間へ効率的な送風が困難な場合でも、葉柄の間を通して効率的に送風可能である。
【0112】
これにより、植物20の光合成に必要な二酸化炭素を各植物20に均一に供給することができ、植物の生育に生じる個体差を低減することができる。
【0113】
(送風による冷却効果)
<クラウンの冷却効果>
図4は、植物20のクラウン21へ向けて送風する場合の気体の流れを示す図である。ここで、クラウン21とは、植物の株元部分にある肥大した短縮茎のことをいう。
【0114】
給水パイプ1に設けられる開口部11を、給水パイプ1の外周のうち、よりクラウン21に近い部分に設けることで、図4に示すように、給水パイプ1から噴出される気体をクラウン21にあてることができる。
【0115】
これにより、植物20のクラウン21を冷却することができる。光合成能力が十分に発揮される高温下では、クラウンを冷却することで花芽分化が促進されることが知られている(農業技術 第64巻 425−430ページ 2009年発行)。そのため、植物栽培装置100において上述のようにクラウンを冷却することにより、花芽分化が促進され、収量の増加が期待できる。
【0116】
<LEDの冷却効果>
図5は、植物20の上部に設けられたLED9を冷却する場合の気体の流れを示す図である。開口部11からLED9に向けて送風することで、LED9を冷却することができる。
【0117】
高出力のLED9を稼動させた場合、LED9が発熱する。この熱が植物20に及ぶと植物20の生育が阻害される可能性がある。
【0118】
植物体近傍から連続的に送風を行うことにより、LED9の蓄熱を防ぐことができるとともに、LED9に送風されて温められた空気が植物体に暴露されることを防止できる。
【0119】
(送風によるその他の効果)
さらに、本実施の形態の植物栽培装置100は、給水パイプ1を用いて植物への送風を行っているため、給水パイプ1内を乾燥させることができる。
【0120】
これにより、培養液を栄養源として繁殖する雑菌の発生を抑制することができる。
【0121】
また、ポンプ4の起動とファン5の起動とを切り換えることで、給水と送風とを切り換える場合、給水直後の給水パイプ1の内壁には培養液が付着している。そのため、送風を行うことで、培養液の気化熱で給水パイプ1の内部の気体を加湿、冷却することができる。
【0122】
これにより、植物20に加湿された気体または冷却された気体を送風することができる。
【0123】
こまめに送風、給水を繰り返すように、制御装置7によりポンプ4とファン5とを制御することで、継続的に加湿、または冷却された気体を植物20に送風することができる。
【0124】
(LED9の変形例)
図6は栽培棚10に保護カバー14を設けた構成を示す概略図である。
【0125】
図6に示すように、栽培棚10において、LED9の前面に保護カバー(飛散防止カバー)14が配設されていてもよい。これにより、給水パイプ1から噴出される培養液などの液体がLED9に直接付着することがなく、LED9の故障のリスクを回避することができる。
【0126】
保護カバー14は、透光性の高いものであればよく、その素材は特に限定されない。また、保護カバー14は、LED9を個別に覆っていてもよく、1つの保護カバー14が複数のLED9を覆っていてもよい。
【0127】
(植物栽培装置100の主たる効果)
以上のように、本発明に係る植物栽培装置100は、給水と送風機能を併せ持つ装置であり、植物20の株元に給水を行うための給水パイプ1を用いて、送風を行うものである。すなわち、植物工場や温室において、培養液を養液タンクから給水パイプを通じて植物の株元に給水する装置を利用するものである。
【0128】
そのため、植物送風用の配管を別個に設ける必要がない。
【0129】
また、給水パイプ1の給水部1aは、培地の外部に設けられているため、開口部11からの送風を効率良く行うことができるとともに、水耕栽培、土耕栽培のどちらにも適用することができる。
【0130】
〔実施の形態2〕
本発明の第2の実施の形態について図7および図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態では、植物栽培装置100そのものの構成には変更はなく、植物20が開花した状態にあるときの送風方法の変更例について説明する。
【0131】
図7は、花(花序)22を有する植物20に向けて送風する場合の気体の流れを示す図である。図7に示すように、株元から送風を行う場合には、葉だけでなく花22にも送風される。給水パイプ1から噴出された気体が花22にあたることで、花22が揺れ、花粉が舞うことにより、受粉を促すことができる。
【0132】
図8は、風受けが取り付けられた開花した植物20に対して送風するときの気体の流れを表す概略図である。図8に示される植物20の花22の花柄には、風受け23(風受け部材)が取り付けられている。
【0133】
風受け23は、自身が開口部11からの風を受けて揺動するものであり、例えば、板状の部材である。風受け23の材質は、特に限定されない。風受け23が揺動することにより、風受け23が取り付けられている花柄が揺動し、その結果、花22が揺動する。
【0134】
風受け23を取り付けることにより、開口部11からの風により花柄が揺動することを促進することができ、受粉効率を高めることができる。
【0135】
風受け23は、複数の植物のうち、開花している個体(または、その一部)に取り付けられればよい。
【0136】
給水パイプ1から噴出される気体を風受け23において効率良く受けることを優先すれば、風受け23として、できるだけ大きな面積を有する部材を用いることが好ましい。しかし、風受け23が大き過ぎた場合には、風受け23により影が生じたり、風受け23の重みがストレスになったりすることにより植物20の生育を阻害する可能性もある。それゆえ、風受け23の大きさは、種々の要因を考慮して決定されればよい。
【0137】
また、風受け23は、風受け23が揺れることで花22を揺らすことができる位置に取り付けられればよく、花22の近くに取り付けられる必要は必ずしもない。風を効率良く受けることができる位置を考慮して取り付けられればよい。
【0138】
花22が咲いている条件下では、給水パイプ1の開口部11から噴出させる風に強弱をつけることが好ましい。すなわち、ファン5を制御することにより、一時的にパルス風を送風することが好ましい。これにより、効果的に花22を揺らして受粉を促すことができる。ただし、植物20に対して継続的にパルス風を送風すると、ストレス要因となる可能性がある。このため、パルス風の送風は、例えば、各明期期間において1度のみ、5分間程度に留めることが好ましい。
【0139】
これにより、植物20にストレスを与えることなく、受粉を促進することができる。
【0140】
〔実施の形態3〕
本発明の第3の実施の形態について図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態では、給水パイプ1に飛散防止カバー(遮断部)12が設けられている点において、実施の形態1の植物栽培装置100と異なっている。それ以外の構成は、上述の植物栽培装置100と同様である。
【0141】
図9は、本実施の形態に係る給水パイプ1の断面図を示す。図9は、給水パイプ1(給水部1a)の延伸方向に垂直な平面で給水パイプ1を切断したときの断面図である。
【0142】
飛散防止カバー12は、給水パイプ1の外周表面から離れて配置され、開口部11から噴出した培養液の進路を妨害可能な位置(遮断位置)と、開口部11から噴出した気体の進路を妨害しない位置(開放位置)との間を移動可能な可動式のカバーである。
【0143】
遮断位置とは、飛散防止カバー12が、開口部11と対向する位置である。飛散防止カバー12が遮断位置にあるときには、開口部11は飛散防止カバー12によって、隙間が開いた状態で覆われる。
【0144】
飛散防止カバー12が、給水パイプ1の外周表面から離れて配置されていることにより、飛散防止カバー12が遮断位置にあるときでも、開口部11から培養液が噴出する。開口部11は、水平方向に対して仰角をなす角度で開口しているため、開口部11から培養液が勢い良く噴出すると、培養液は斜め上方向または鉛直上向きに噴出し、植物20に培養液がかかる可能性がある。
【0145】
そこで、開口部11から培養液を供給するときには、飛散防止カバー12を遮断位置に配置し、開口部11から噴出した培養液を反射させることで、植物20に培養液がかかることを防止するとともに、培養液を鉛直下方向に滴下させる。
【0146】
飛散防止カバー12は、液体を透過させないものであれば、金属材料、樹脂材料等、いかなる材料からなるものであってもよい。
【0147】
飛散防止カバー12の移動は、ユーザが手動で行ってもよく、上述した制御装置7の制御下で飛散防止カバー12を移動させる移動機構(不図示)を制御してもよい。以下では、制御装置7による飛散防止カバー12の移動方法について説明する。
【0148】
(飛散防止カバー12の移動方法)
<送風時>
給水パイプ1に設けられた開口部11から送風を行うときは、制御装置7は、飛散防止カバー12を開放位置に移動させるとともに、ポンプ4を停止させた状態で、ファン5を作動させる。
【0149】
開口部11から噴出する気体は、給水パイプ1の中心から開口部11の方向へ噴出される。これにより、植物20の葉、および植物20の上部に設けられているLED9へ向けて気体が送風される。
【0150】
<給水時>
給水パイプ1に設けられた開口部11から給水を行うときは、制御装置7は、飛散防止カバー12を遮断位置に移動させるとともに、ファン5を停止させた状態で、ポンプ4を作動させる。
【0151】
開口部11から噴出する培養液は、給水パイプ1の中心から開口部11の方向へ噴出されるが、飛散防止カバー12によりその噴出方向を変更される。言い換えると、飛散防止カバー12は培養液の進路を妨害する。これにより、給水時には、培養液が飛散防止カバー12より上部へ飛散することが抑制される。具体的には、図9の矢印で示すように、給水パイプ1の下部に流れ落ちる。
【0152】
培養液は栽培容器8の培地に供給され、植物の生育に寄与することとなる。また、開口部11から噴出した培養液が、植物20やLED9に付着することを抑制することができる。
【0153】
これにより、LED9に培養液が飛散することによるLED9の故障等のリスクを回避することができる。
〔実施の形態4〕
本発明の第4の実施の形態について図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態では、給水パイプ1に開口部11aおよび開口部11bが形成されているとともに飛散防止カバー(閉鎖部)13が設けられている点において、実施の形態1の植物栽培装置100と異なっている。それ以外の構成は、上述の植物栽培装置100と同様である。
【0154】
図10は、本実施の形態に係る給水パイプ1の断面図を示す。図10は、給水パイプ1の延伸方向に垂直な平面で給水パイプ1を切断したときの断面図である。
【0155】
本実施の形態の給水パイプ1には、給水パイプ1の外周上に開口方向が異なる2種類の開口部11が設けられている。2種類の開口部11のうち、その開口方向が水平面に対して仰角をなしている(鉛直斜め上または鉛直上方向に開口している)開口部(第1開口部)を開口部11aとし、鉛直下方向(または、鉛直斜め下方向)に開口している開口部(第2開口部)を開口部11bとする。
【0156】
開口部11aの口径と開口部11bの口径とは同じであってもよいし、培養液の噴出に適した口径または気体の送風に適した口径をそれぞれ有していてもよい。
【0157】
また、給水パイプ1は、開口部11aまたは開口部11bを覆うことができるように、給水パイプ1の外周の一部を覆う可動式の飛散防止カバー13を備えている。
【0158】
飛散防止カバー13は、開口部11aまたは開口部11bを覆うことで、開口部11aまたは開口部11bを閉鎖し、流体(培養液および気体)が閉鎖対象となる開口部11から噴出しないようにする。すなわち、飛散防止カバー13は、開口部11aの閉鎖および開口部11bの開放と、その逆(開口部11bの閉鎖および開口部11aの開放)とを切り換えるよう移動可能である。
【0159】
なお、図10では、図を見やすくするために給水パイプ1の外周と飛散防止カバー13との間には隙間が設けられているが、実際には上記隙間は小さい方が好ましい。
【0160】
飛散防止カバー13の移動は、ユーザが手動で行ってもよく、上述した制御装置7の制御下で飛散防止カバー12を移動させる移動機構(不図示)を制御してもよい。以下では、制御装置7による飛散防止カバー13の移動方法について説明する。
【0161】
(飛散防止カバー13の移動方法)
<送風時>
給水パイプ1により植物20へ送風を行うときは、制御装置7は、飛散防止カバー13を、開口部11bを覆う位置に移動させるとともに、ポンプ4を停止させた状態で、ファン5を作動させる。この移動により、開口部11bは飛散防止カバー13により塞がれるとともに、開口部11aは開放される。
【0162】
これにより、給水パイプ1の内部に流れる気体は、開口部11aから給水パイプ1の上方向に噴出され、植物20の葉や、植物20の上部に設けられているLED9へ向けて気体が送風される。
【0163】
<給水時>
給水パイプ1により植物20へ給水を行うときは、制御装置7は、飛散防止カバー13を、開口部11aを覆う位置に移動させるとともに、ポンプ4を停止させた状態で、ファン5を作動させる。この移動により、開口部11aは飛散防止カバー13により塞がれるとともに開口部11bは開放される。
【0164】
これにより、給水パイプ1の内部に流れる培養液は、開口部11bから給水パイプ1の下方向に噴出され、栽培容器8の培地に供給され、植物の生育に寄与することとなる。
【0165】
なお、図10には、開口部11aと開口部11bとが給水パイプ1の同一断面に配されている構成が示されているが、開口部11aと開口部11bとが互いに給水パイプ1の異なる断面に含まれる構成にしてもよい。この場合には、開口部11aを開閉する飛散防止カバー13と、開口部11bを開閉する飛散防止カバー13とを別々に設ければよい。
【0166】
また、開口部は3種類以上設けられていてもよい。これにより、開口部を送風時の送風方向および給水時の培養液の出力方向を様々に変化させることができる。
【0167】
〔実施の形態5〕
本発明の第5の実施の形態について図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態では、給水パイプ1が回転可能である点において、実施の形態1の植物栽培装置100と異なっている。それ以外の構成は、上述の植物栽培装置100と同様である。
【0168】
図11は、本実施の形態に係る給水パイプ1の断面図を示す。図11は、給水パイプ1の延伸方向に垂直な平面で給水パイプ1を切断したときの断面図である。
【0169】
本実施の形態の給水パイプ1は、図示しないパイプ回転部を備えている。これにより、給水パイプ1を、その中心軸を回転軸として回転させることができる。
【0170】
給水パイプ1の回転は、ユーザが手動で行ってもよく、上述した制御装置7の制御下でパイプ回転部を制御してもよい。以下では、制御装置7による給水パイプ1の回転方法について説明する。
【0171】
(給水パイプ1の回転方法)
<送風時>
送風時には、制御装置7は、開口部11が上方を向くように給水パイプ1を回転させ、固定するとともに、ポンプ4を停止させた状態で、ファン5を作動させる。
【0172】
これにより、給水パイプ1の内部に流れる気体は、開口部11から給水パイプ1の上方向に噴出され、植物20の葉や、植物20の上部に設けられているLED9へ向けて気体が送風される。
【0173】
<給水時>
給水時には、制御装置7は、開口部11が下方を向くように給水パイプ1を回転させ、固定するとともに、ファン5を停止させた状態で、ポンプ4を作動させる。
【0174】
これにより、給水パイプ1の内部に流れる培養液は、開口部11から給水パイプ1の下方向に噴出され、栽培容器8の培地に供給され、植物の生育に寄与することとなる。
【0175】
〔実施の形態6〕
本発明の第6の実施の形態について図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0176】
図12は、本実施の形態に係る植物栽培装置110の概略図を示す。
【0177】
本実施の形態の植物栽培装置110は、ファン5に二酸化炭素ボンベ30(二酸化炭素供給部)が設けられている点で植物栽培装置100と異なっている。二酸化炭素ボンベ30は、液化された二酸化炭素が充填されているボンベであり、ファン5の送風口の近傍に設けられている。
【0178】
これにより、送風時に、ファン5から送られる気体に、二酸化炭素ボンベ30からの二酸化炭素を含めることができ、植物20に二酸化炭素を含んだ気体を送風することができる。
【0179】
なお、二酸化炭素ボンベの代わりに、二酸化炭素を化学反応により生成する装置を設けてもよい。
【0180】
送風される気体における二酸化炭素の濃度を、植物20の光合成に適した1000ppm程度とすることで、植物の光合成効率を高めることができる。
【0181】
その結果、植物体の生育が促進されることにより栽培期間が短縮される、収量が増加するなどの効果が得られる。
【0182】
植物栽培装置110を用いることで、植物20の株元に直接かつ効率的に二酸化炭素を供給することができるため、使用する二酸化炭素の量を低減することができる。
【0183】
また、二酸化炭素ボンベ30のバルブを開閉する装置を制御装置7に接続することで、制御装置7からの制御により二酸化炭素濃度を変更することができるものであってもよい。
【0184】
これにより、植物20の光合成に必要な光が供給されているとき(明期)は、植物20に二酸化炭素を供給し、植物20の光合成に必要な光が供給されていないとき(暗期)は、植物20に二酸化炭素を供給しないことができる。
【0185】
〔実施の形態7〕
本発明の第7の実施の形態について図13および14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0186】
図13および14は、本実施の形態に係る植物栽培装置120の概略図を示す。
【0187】
図13に示すように、本実施の形態の植物栽培装置120は、ファン5にPCI(プラズマクラスターイオン)発生ユニット40(イオン供給部)が設けられている点で植物栽培装置100と異なっている。PCI発生ユニット40は、イオンを生成し、放出するものであり、ファン5の送風口の近傍に設けられている。
【0188】
また、図14に示すように、PCI発生ユニット40は、ファン5と逆止弁6との間の給水パイプ1上に設けられていてもよい。
【0189】
これにより、送風時に、ファン5にから送られる気体に、PCI発生ユニット40からのイオンを含めることができ、植物20にイオンを含んだ気体を送風することができる。
【0190】
なお、上記イオンは、正イオンであっても、負イオンであってもよい。例えば、正イオンは、H+(H2O)m(mは任意の自然数)を主体とするイオンであり、負イオンは、O2−(H2O)n(nは任意の自然数)を主体とするイオンである。正イオンまたは負イオン、もしくはその両方が空気中に存在すると、活性酸素種(例えば、水酸基ラジカル(・OH))が生成される。この活性酸素種により浮遊菌、浮遊ウイルス等を除菌・不活化することができる。
【0191】
上記正負イオンは、植物20の生育を阻害しないため、育苗後の栽培期間を通じて正負イオンを含んだ気体を植物20へ送風することができる。
【0192】
植物工場では、衛生管理および空調管理により、植物に付着する細菌数が少ない。しかし、細菌はある程度存在し、植物20の表面で増殖している。特に人に有害な大腸菌が付着すると、植物20の表面で独占的に増殖するため、大腸菌が付着した植物20を食した人の健康に影響を及ぼす恐れもある。
【0193】
本実施の形態の植物栽培装置120により、イオンを植物20の株元から全体に効率よく照射することで、植物20の表面に付着した細菌の除菌や増殖を抑制することができる。また、植物栽培環境の除菌等、特に給水パイプ1内の除菌等を行うことができる。
【0194】
本発明は上記した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0195】
(付記事項)
なお、本発明の実施形態は、次のように表現することもできる。
【0196】
植物栽培装置であって、植物への送風と給水を兼用するパイプと、パイプに培養液を供給するポンプと、パイプに送風する送風機と、ポンプから供給される培養液が送風機へ流入することを防止する逆止弁とを備える植物栽培装置。
【0197】
上記パイプには、給水時の飛散防止カバーを備える植物栽培装置。
【0198】
更に、CO2供給手段を備え、送風機によりCO2を送風する植物栽培装置。
【0199】
更に、イオン発生手段を備え、イオンを含む空気を送風する植物栽培装置。
【0200】
受粉のための風受けを備える植物栽培装置。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本発明は、給水パイプで給水を行う植物の栽培に利用することができる。
【符号の説明】
【0202】
1 給水パイプ
1a 給水部
5 ファン(送風装置)
6 逆止弁
11 開口部
11a 開口部
11b 開口部
12 飛散防止カバー(遮断部)
13 飛散防止カバー(閉鎖部)
20 植物
30 二酸化炭素ボンベ(二酸化炭素供給部)
40 PCI発生ユニット(イオン供給部)
100 植物栽培装置
110 植物栽培装置
120 植物栽培装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の植物体を栽培するための植物栽培装置であって、
上記植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプと、
上記給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部を介して上記植物体に対して送風する送風装置とを備えることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
上記開口部は、上記植物体を培養する培地の外部に配されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
【請求項3】
上記開口部は、上記植物栽培装置の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度で当該開口部から上記気体が噴出するよう配されていることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培装置。
【請求項4】
上記開口部から噴出した上記液体の進路を妨害可能な位置と、上記開口部から噴出した気体の進路を妨害しない位置との間を移動可能である遮断部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の植物栽培装置。
【請求項5】
上記給水パイプは、上記液体を供給するための第1開口部と、送風するための第2開口部とを有し、
上記第1または第2開口部の一方の閉鎖および他方の開放と、その逆とを切り換えるよう移動可能な閉鎖部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項6】
上記給水パイプは、当該給水パイプの中心軸を回転軸として回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培装置。
【請求項7】
上記気体に二酸化炭素を含める二酸化炭素供給部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項8】
上記気体にイオンを含めるイオン供給部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項9】
上記送風装置への上記液体の流入を防止する逆止弁をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項10】
複数の植物体を栽培するための植物栽培方法であって、
上記植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部から上記植物体に対して送風することを特徴とする植物栽培方法。
【請求項11】
上記複数の植物体の少なくとも一部の個体に、上記開口部から噴出した気体を受けることにより当該植物体を揺らす風受け部材を取り付けることを特徴とする請求項10に記載の植物栽培方法。
【請求項1】
複数の植物体を栽培するための植物栽培装置であって、
上記植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプと、
上記給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部を介して上記植物体に対して送風する送風装置とを備えることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
上記開口部は、上記植物体を培養する培地の外部に配されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
【請求項3】
上記開口部は、上記植物栽培装置の設置面に平行な平面に対して仰角をなす角度で当該開口部から上記気体が噴出するよう配されていることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培装置。
【請求項4】
上記開口部から噴出した上記液体の進路を妨害可能な位置と、上記開口部から噴出した気体の進路を妨害しない位置との間を移動可能である遮断部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の植物栽培装置。
【請求項5】
上記給水パイプは、上記液体を供給するための第1開口部と、送風するための第2開口部とを有し、
上記第1または第2開口部の一方の閉鎖および他方の開放と、その逆とを切り換えるよう移動可能な閉鎖部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項6】
上記給水パイプは、当該給水パイプの中心軸を回転軸として回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培装置。
【請求項7】
上記気体に二酸化炭素を含める二酸化炭素供給部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項8】
上記気体にイオンを含めるイオン供給部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項9】
上記送風装置への上記液体の流入を防止する逆止弁をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の植物栽培装置。
【請求項10】
複数の植物体を栽培するための植物栽培方法であって、
上記植物体へ培養のための液体を供給するための複数の開口部を有する給水パイプ内の気体を移動させ、上記開口部から上記植物体に対して送風することを特徴とする植物栽培方法。
【請求項11】
上記複数の植物体の少なくとも一部の個体に、上記開口部から噴出した気体を受けることにより当該植物体を揺らす風受け部材を取り付けることを特徴とする請求項10に記載の植物栽培方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−102754(P2013−102754A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251056(P2011−251056)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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