説明

植物油ベースのヒドロキシル含有材料から製造されるポリマーポリオールおよびポリマー分散物

ポリマーポリオールと分散物がしかるべき出発材料を連続相中で重合させることにより製造される。この連続相は、脂肪酸から誘導されるヒドロキシルメチル基含有ポリオールを含む。この分散相は、例えばビニルポリマー、ポリウレアまたはポリウレタン−ウレアであり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年10月25日出願の米国特許仮出願No.60/622,218の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ヒドロキシル含有材料中のポリマー粒子の分散物に関する。このタイプの分散物は、通常、ポリマーポリオールまたはコポリマーポリオールとして知られている。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタンフォームはポリイソシアネートとポリオールとの反応により製造される。ジオールまたはポリオールとジカルボン酸とのエステル縮合反応からのポリエステルポリオールを用いて、可撓性フォームを製造するポリウレタンの最初の大規模商用生産が立ち上がった。コストが低く、広範囲のポリオールを製造する能力があるために、ポリエステルポリオールは、ポリエーテルポリオールにより地位を奪われた。ポリエーテルは、活性水素の出発化合物、例えば低分子量ポリオールおよびポリアミンを含有する開始剤化合物の存在下で石油原料から誘導されるエポキシド(オキシラン)を重合させることにより製造される。硬質ポリウレタンフォームはひまし油またはひまし油副生物により製造されてきた。
【0004】
植物または再生可能な原料、例えばPeermanらにより米国特許第4,423,162号、第4,496,487号および第4,543,369号に開示されている原料からポリオールを製造する試みが行われてきた。Peermanらは、植物油から得られるような脂肪酸のエステルをヒドロホルミル化し、還元し、ポリオールまたはポリアミンによる生成するヒドロキシル化材料のエステルを形成することを述べている。しかしながら、Peermanらは、ゲル化の問題を特に述べ、ポリオールまたはポリアミン1当量当たり1モル以下のヒドロキシメチル化材料を使用することによりこの問題を回避した。結果として、Peermanらのエステルは低当量の材料であり、架橋硬質ポリウレタンの製造においてのみ有用であると示された。
【0005】
耐荷重持性および他のフォーム性質を改善するために、いわゆるポリマーポリオール製品が開発された。普通のタイプのポリマーポリオールはポリオール中のビニルポリマー粒子の分散物である。これらの材料は多数のリファレンスで述べられていて、このうち米国特許第4,242,249号、第4,350,780号、第4,390,645号、第4,460,715号、第4,745,153号、第4,381,076号および第5,494,957号ならびにWO98/52988が例である。他の普通のタイプは、米国特許第3,325,421号、第4,042,537号および第4,089,835号で述べられているようなポリウレア粒子の分散物である、いわゆる「PHD」ポリオールであり;米国特許第4,293,470号、第4,296,213号、第4,374,209号および第4,452,923号で述べられているようなポリウレタン−ウレア粒子の分散物であるいわゆる「PIPA」(ポリイソシアネート重付加)ポリオールである。これらのポリマーポリオール製品は、可撓性ポリウレタンフォームの製造において単独で、あるいはポリオール混合物の一部として使用される。ポリマーポリオールの主要な属性は固形分レベル(solids level)、分散物安定性、粘度および濾過性である。製造コストが低下し、ポリマーポリオールを在来のポリオールにより希釈して、任意の所望の低固形含量を得ることが可能となるので、可能な限り高い固形含量のポリマーポリオールを製造することが通常望ましい。安定性と濾過性は、ポリマーポリオールの貯蔵および輸送において、これを使用して、一貫した品質のフォーム製品を製造することができるということを確実にするのに重要である。効率的なフォーム加工および一貫した計量性には低〜中間粘度が重要である。これらの性質の良好なバランスを得ることはしばしば困難である。特に、安定性と粘度は、特定のポリオールおよび分散ポリマー相の属性、ならびに適当な安定剤材料の選択に大いに依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
在来の石油ベースのポリオールの全部あるいは一部を再生可能な原料をベースとする代替ポリオールにより置き換えることが一般に望ましい。在来のポリオールの価格は、確定埋蔵量の先細り、世界的な需要の増加および地政学的環境の不確実さによって益々変動し易くなっている原油価格設定と共に変動する傾向がある。更には、多くの国は国内の石油埋蔵を持たないが、大きな農業を有し、代替ポリオールが技術的および経済的な立場の両方から充分に機能するならば、代替ポリオール製造用の植物油原料を製造できる。したがって、在来のポリオール材料の少なくとも一部を再生可能な材料、例えば植物油または動物油脂ベースのものから誘導される材料により置き換えたポリマーポリオール製品を製造することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリオール連続相と分散ポリマー粒子とを有し、ポリオール連続相が脂肪酸または脂肪酸エステル由来の少なくとも1つのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを含むポリマーポリオールである。このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールがヒドロキシル、一級アミンおよび二級アミン基の全数当たり少なくとも平均で1.3個の、ヒドロキシメチル基含有脂肪酸あるいはエステル由来の繰り返し単位を開始剤化合物中に含有し、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが少なくとも400以上15000までの当量を有するように、12〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはこのようなヒドロキシメチル基含有脂肪酸のエステルと1分子当たり平均で少なくとも1個のヒドロキシル、一級アミンおよび/または二級アミン基を有するアルコールあるいはアミン開始剤化合物とを反応させることにより好都合に製造される。
【0008】
驚くべきことには、安定な、低粘度のポリマーポリオールがヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを含有するポリオール連続相中で製造可能である。ポリマーポリオールは、広範囲のポリウレタン用途、例えば可撓性スラブ材(slabstock)フォーム、高レジリエンス(resiliency)可撓性スラブ材フォーム、成形フォーム、ならびに種々のエラストマーおよび微小気泡(microcellular)のエラストマー用途において有用である。
【0009】
本発明は、また、ヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはこれらのアルキルあるいは不活性置換のアルキルエステル、12〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸を含有する連続相中のポリマー粒子の分散物でもある。高固形分のポリマーポリオール組成物が良好な粘度および良好な濾過性で容易に製造されることが判明した。この分散物を直接に使用して、ポリウレタンを製造することができる。しかしながら、多くの場合、このヒドロキシメチル基含有脂肪酸あるいはエステルは、複数のヒドロキシル基または1個のみのヒドロキシル基を有する高比率の分子を含有する。このような場合、本発明の分散物は、好ましくは、高い官能性(すなわち、より多数のイソシアネート反応性基/分子)を有する別な材料とブレンドされて、ポリウレタンの製造に好適なポリオール混合物を生成する。
【0010】
驚くべきことには、このヒドロキシルメチル基含有脂肪酸あるいはエステルは、ポリウレタンフォームの形成段階時に、あるいはその後でこの混合物中の他のポリオール材料により提供される遊離ヒドロキシル基と反応して、これらとエステル基を形成することができる。単官能性アルコールの存在は、通常、ポリマーの分子量と架橋密度とを限定する非反応性鎖端を生成すると予期されるが、脂肪酸またはエステルと他のポリオール材料からの遊離のヒドロキシル基との反応性によって、これらの単官能性材料が反応して、ポリウレタンポリマーにおいて分子量と架橋密度とを生成することができる代替的な機構が提供される。
【0011】
本発明のポリマーポリオールは、連続ポリオール相中のポリマー粒子の系内形成(in situ formuation)により好都合に製造される。この粒子は、例えば1つ以上のビニルモノマーのポリマーであるか、あるいはポリウレアあるいはポリウレア−ウレタン粒子であり得る。この連続ポリオール相は少なくとも1つのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを含む。
【0012】
下記に更に詳述するように、ビニル粒子の分散物を製造するためには、1つ以上のエチレン型不飽和モノマーおよび少なくとも1つの安定剤が連続ポリオール相中に分散される。一般に、この重合は、撹拌されたモノマー混合物を連続相中で形成し、このモノマーを重合して分散ポリマー粒子を形成するのに充分な条件にこの混合物を曝すことにより行われる。このような重合を行うのに好適な条件はよく知られ、例えば米国特許第4,242,249号、第4,350,780号、第4,390,645号、第4,460,715号、第4,745,153号、第4,381,076号、第5,494,957号およびWO98/52988に述べられている。
【0013】
好適なエチレン型不飽和モノマーは、重合時に、連続相が著しく劣化しない温度(150℃以下、特に130℃以下の温度など)で重合可能であり、連続相中で低溶解性を有するものである。好適なモノマーの例は、脂肪族共役ジエン、例えばブタジエン;モノビニリデン芳香族、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンおよび他の不活性置換のスチレン;α,β−エチレン型不飽和カルボン酸およびエステル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート;α,β−エチレン型不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル;アクリルアミド;ビニルエステル、例えばビニルアセテート;ビニルエーテル;ビニルケトン;ビニルおよびビニリデンハライドなどを含む。これらのうちで、モノビニル芳香族およびα,β−不飽和ニトリルが好ましい。スチレンとアクリロニトリルが好ましいモノマーである。スチレンとアクリロニトリルとの混合物、特にスチレンがモノマー混合物の重量の約25〜95%、特に約50〜75%を占める混合物が特に好ましい。
【0014】
本発明の第1の態様においては、この連続相はポリオールまたはポリオールの混合物を含む。このポリオールの少なくとも1つは、1分子当たり合わせて平均で少なくとも1個の、好ましくは少なくとも2個の、更に好ましくは少なくとも2.5個の、約12個までの、更に好ましくは約6個までの、なお更に好ましくは約5個までのヒドロキシル、一級および二級アミン基を有するヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールである。このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、少なくとも400の、例えば少なくとも約600の、少なくとも約650の、少なくとも約700の、あるいは少なくとも約725から約15000までの、例えば約6000、約3500、約1700、約1300あるいは約1000までの当量を有する。当量は、分子の数平均分子量をヒドロキシル、一級アミンおよび二級アミン基の合体した数(combined number)で割ったものに等しい。
【0015】
このタイプのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールはWO04/096882およびWO04/096883に詳述されている。このヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールは、12〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはこのような脂肪酸のエステルと平均で少なくとも1個の、特に少なくとも2個のヒドロキシル、一級アミンおよび/もしくは二級アミン基/分子を有するポリオール、ヒドロキシルアミン又はポリアミン開始剤化合物とを反応させることにより好都合に製造される。出発材料の比率および反応条件は、生成するヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールがこの開始剤化合物中の各ヒドロキシル、一級アミンおよび二級アミン基に対して平均で少なくとも1.3個のヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはこれらのエステル由来の繰り返し単位を含有し、このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが少なくとも400から約15000までの当量を有するように選択される。
【0016】
有利なこととしては、このヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールは、下記平均構造を有する化合物の混合物である。
【化7】

式中、Rはz個(ここで、zは少なくとも2である)のヒドロキシルおよび/または一級あるいは二級アミン基を有する開始剤化合物の残基であり;各Xは独立に−O−、−NH−または−NR’−(ここで、R’は不活性置換されたアルキル、アリール、シクロアルキルあるいはアラルキル基である)であり、pはヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール1分子当たりの[X−Z]基の平均の数を表す1〜zの数であり、Zは1つ以上のA基を含有する直鎖あるいは分岐鎖であり、但し、1分子当たりのA基の平均の数は>1.3×zであり、各AはA1、A2、A3、A4およびA5からなる群から独立に選択され、少なくとも一部のA基はA1、A2またはA3である。A1は
【化8】

であり、式中、BはHまたは別のA基のカルボニル炭素原子への共有結合であり;mは3より大きい数であり、nはゼロに等しいか、あるいはゼロよりも大きく、m+nは8〜22、特に11〜19である。A2は
【化9】

であり、式中、Bは前出のようであり、vは3より大きい数であり、rおよびsはゼロに等しいか、あるいはゼロよりも大きい数であり、v+r+sは6〜20、特に10〜18である。A3は
【化10】

であり、式中、B、v、各rおよびsは前記に定義されたようであり、tはゼロに等しいか、あるいはゼロよりも大きい数であり、v、r、sおよびtの和は5〜18、特に10〜18である。A4は
【化11】

であり、式中、wは10〜24であり;そしてA5は
【化12】

であり、式中、R’は少なくとも1つの環状エーテル基により、場合によっては1つ以上のヒドロキシル基または他のエーテル基により置換された直鎖あるいは分岐鎖アルキル基である。この環状エーテル基は飽和あるいは不飽和であり、他の不活性置換基を含有し得る。このヒドロキシル基はアルキル鎖上、あるいは環状エーテル基上、あるいはこの両方の上に存在し得る。このアルキル基は、これを介して別の開始剤分子に結合し得る第2の末端の−C(O)−あるいは−C(O)O−基を含み得る。A5基は、一般に、ラクトール、ラクトン、飽和あるいは不飽和の環状エーテルまたはヒドロキシルメチル基含有脂肪酸あるいはエステルの製造時に不純物として形成される二量体である。A5基は12〜50個の炭素原子を含有し得る。
【0017】
式Iにおいては、zは、好ましくは1〜8、更に好ましくは2〜6、なお更に好ましくは2〜5、特に約3〜5である。各Xは好ましくは−O−である。ヒドロキシメチル化ポリオール1分子当たりのA基の合計の平均数は、好ましくはzの値の少なくとも1.5倍、例えばzの値の少なくとも約1.5〜約10倍、zの値の約2〜約10倍、あるいはzの値の約2〜約5倍である。
【0018】
Aは、好ましくはA1、A1とA2との混合物、A1とA4との混合物、A1、A2およびA4の混合物、A1、A2およびA3の混合物またはA1、A2、A3およびA4の混合物であり、各場合において、ある量のA5を場合によっては含有する。A1とA2との混合物は、好ましくはA1およびA2基を10:90〜95:5の、特に60:40〜90:10のモル比で含有する。A1とA4との混合物は、好ましくはA1およびA4基を99.9:0.1〜70:30のモル比で、特に99.9:0.1〜85:15の比で含有する。A1、A2およびA4の混合物は、好ましくは約10〜95モルパーセントのA1基、5〜90パーセントのA2基および約30パーセントまでのA4基を含有する。A1、A2およびA4の更に好ましい混合物は、約25〜70モル%のA1基、15〜40%のA2基および30%までのA4基を含有する。A1、A2およびA3の混合物は、好ましくは約30〜80モル%のA1、10〜60%のA2および0.1〜10%のA3基を含有する。A1、A2、A3およびA4基の混合物は、好ましくは20〜50モルパーセントのA1、1〜約65パーセントのA2、0.1〜約10パーセントのA3および30パーセントまでのA4基を含有する。本発明の特に好ましいポリエステルポリオールは、約20〜50%のA1基、20〜50%のA2基、0.5〜4%のA3基および15〜30%のA4基の混合物を含有する。すべての場合、有利なこととしては、A5基はすべてのA基の0〜7%、特に0〜5%を占める。
【0019】
好都合なこととしては、A基の好ましい混合物は、平均で約0.8〜約1.5個の−CH2OHおよび−CH2OB基/A基、例えば約0.9〜約1.3個の−CH2OHおよび−CH2OB基/A基または約0.95〜約1.2個の−CH2O−基/A基を含有する。A基のこのような比率は、(1)この開始剤の官能性がこのポリエステルポリオールの官能性を主に決定することを可能とさせ、(2)低密度で分岐したポリエステルポリオールを形成する傾向がある。
【0020】
「不活性置換の」基は、イソシアネート基と反応せず、ヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールの製造時に副反応に関与しない基である。このような不活性置換基の例は、アリール、シクロアルキル、シリル、ハロゲン(特に、フッ素、塩素または臭素)、ニトロ、エーテル、エステルなどを含む。
【0021】
このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、一部の未反応の開始剤化合物を一般に含有し、未反応ヒドロメチル化脂肪酸(またはアルキルエステル)を含有し得る。時には、開始剤化合物はこの脂肪酸(またはエステル)と単官能的にのみ、あるいは二官能的に反応し、生成するポリエステルポリオールは開始剤化合物の残基に直接に結合する遊離ヒドロキシルあるいはアミノ基を含有する。
【0022】
所望ならば、このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールはアルコキシ化されて、1つ以上のヒドロキシメチル基上にポリエーテル鎖を導入し得る。このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールをアンモニアまたは一級アミンとの反応によりアミノ化し、続いて水素化して、ヒドロキシル基を一級あるいは二級アミン基により置換してもよい。このポリエステルポリオールをジイソシアネートによりキャップし、次に水との反応により導入された末端イソシアネート基をアミノ基に変換することによっても、一級あるいは二級アミン基を導入することができる。
【0023】
このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、連続相中に存在するポリオールの10〜100重量%を占め得る。好ましくは、このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、連続相中に存在するポリオールの少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも70%そしてなお更に好ましくは少なくとも90%を占め得る。他のポリオールがこの連続相中に存在する場合には、このようなポリオールは、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールを含み得る。ポリエーテルポリオールは、例えばプロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシドのポリマー、これらのブロックおよび/またはランダムコポリマーなどを含む。特に興味深いのは、ポリ(プロピレンオキシド)ホモポリマー、ポリ(エチレンオキシド)含量が例えば約1〜約30重量%であるプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのランダムコポリマー、エチレンオキシドでキャップされたポリ(プロピレンオキシド)ポリマーおよびプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのエチレンオキシドでキャップされたランダムコポリマーである。スラブ材フォーム用途に対しては、このようなポリエーテルは、好ましくは1分子当たり2〜8個の、特に2〜3個の主として二級のヒドロキシル基を含有し、ヒドロキシル基当たり約400〜約3000の、特に約800〜約1750の当量を有する。高レジリエンススラブ材および成形フォーム用途に対しては、このようなポリエーテルは、好ましくは1分子当たり2〜4個の、特に2〜3個の主として一級のヒドロキシル基を含有し、ヒドロキシル基当たり約1000〜約3000の、特に約1200〜約2000の当量を有する。このポリエーテルポリオールは、低い末端不飽和基(例えば、0.02ミリ当量/g未満あるいは0.01ミリ当量/g未満)、例えば米国特許第3,278,457号、第3,278,458号、第3,278,459号、第3,404,109号、第3,427,256号、第3,427,334号、第3,427,335号、第5,470,813号および第5,627,120号に述べられているような、いわゆる二重金属シアン化物(DMC)触媒を用いて製造されるものを含有し得る。ポリエステルポリオールは、典型的には、1分子当たり約2個のヒドロキシル基を含有し、ヒドロキシル基当たり約400〜l500の当量を有する。好適なポリエステルは、ポリオール、好ましくはジオールとポリカルボン酸またはこれらの無水物、好ましくはジカルボン酸またはジカルボン酸無水物との反応生成物を含む。他の好適なポリエステルは環状ラクトン、例えばポリカプロラクトンのポリマーを含む。
【0024】
この連続相中の追加のポリオールは、1つ以上の低当量(すなわち、イソシアネート反応性基当たり400未満)のポリオール、ポリアミンまたはアルカノールアミン化合物も含み得る。これらの例は、1分子当たり3〜8個の、特に3〜4個のヒドロキシル、一級アミンまたは二級アミン基を含有し、30〜約200の、特に50〜125の当量を有する材料である。このような材料の例は、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−、ジ−あるいはトリ(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチルロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどを含む。他の好適な材料は、1分子当たり2個のイソシアネート反応性基およびイソシアネート反応性基当たり400未満の、特に31〜125の当量を有するものを含む。このイソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシル、一級脂肪族あるいは芳香族アミンまたは二級脂肪族あるいは芳香族アミン基である。代表的なこのような材料は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)メタンおよび2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンを含む。
【0025】
この連続相中の追加のポリオールの選択および量は意図される用途と関連して選択される。大多数の場合、連続相中のいかなる追加のポリオールも高い当量(すなわち、400よりも大きい)の材料である。
【0026】
ポリマーポリオールの製造において安定剤材料を使用することが一般に好ましい。安定なポリマーポリオール製品の形成に安定剤を使用することはよく知られている。
【0027】
安定剤の一つの類は、連続相のポリオールと相溶性であり(すなわち、連続ポリオール相とそのときの相対的比率で単相の混合物を形成する)、重合性エチレン型不飽和結合を含有するマクロマーを含む。このタイプのマクロマーの例は、例えば米国特許第5,494,947号、第4,390,645号および第3,931,450号で述べられている。これらの特許で述べられているマクロマーは、通常、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドのポリマーであるポリエーテル部分を含む。このポリマーは、ヒドロキシル反応性基とエチレン型不飽和結合を有する二官能性キャップ剤によりキャップされる。このようなキャップ剤の例は、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハライド、カルボン酸無水物およびエチレン型不飽和結合を有するエポキシならびにヒドロキシル反応性シラン、例えばビニルトリメトキシシランを含む。このマクロマーは、約2000〜50000の、好ましくは約8000〜約15000の数平均分子量を有し得る。このマクロマーは、平均で約1〜約7個以上のヒドロキシル基/分子を含有し得る。特に興味深いマクロマーは約8000〜15000の数平均分子量および平均で1.0個未満のヒドロキシル基/分子を有する。特に興味深い他のマクロマーは約8000〜15000の数平均分子量および平均で3〜7個のヒドロキシル基/分子を有する。
【0028】
他の好適な類の安定剤は、追加されたエチレン型重合性不飽和結合を含有しない、約5000〜約50000の、特に約8000〜約15000の分子量を有するポリエーテルを含む。このタイプの安定剤は米国特許第4,831,076号に詳述されている。これらの安定剤は、低分子量ポリエーテルポリオールとカップリング剤、例えばポリイソシアネート、2個以上のヒドロキシル反応性基(例えばアルコキシ基(alkoxyl group))を有するあるシラン、ポリエポキシド、ポリカルボン酸または対応する酸ハライドおよび無水物などとを反応させることにより好都合に製造される。
【0029】
追加されたエチレン型不飽和結合を有するマクロマーは、約10重量%までのグラフト化されたビニルポリマーを更に含有し得る。このグラフト化ビニルポリマーは、これらの場合、直径で約1ミクロン以下の、特に約0.5ミクロン以下の極めて小さい分散粒子を形成する傾向がある。これらは、このマクロマーをイソプロパノールまたは他の希釈剤と混合し、ビニルモノマーを導入し、この混合物を重合条件に曝すことにより好都合に製造される。別法としては、この材料は、ポリマーポリオール製造における第1の段階として製造可能である。
【0030】
使用される安定剤の量は、特定の安定剤およびポリマーポリオールの固形含量に依存する。好適な範囲は、ポリマーポリオールの全重量の約1〜約15%であるが、関連コストを回避するには、可能な限り少量の安定剤を使用することが好ましい。一般に、固形分レベルが増加するにしたがって、更に多くの安定剤が必要とされる。40%以上の固形分を有するポリマーポリオール製品に対しては、ポリマーポリオールの重量基準で2〜12重量%の安定剤を使用することが好ましい。低固形分レベル製品は1〜8重量%の安定剤を必要とし得る。
【0031】
このポリマーポリオールは、モノマー、安定剤および連続相を撹拌しながら合体して、混合物を形成し、この混合物を重合条件にかけることにより好適に製造される。反応の開始時にすべての成分を反応容器に添加することが可能であるが、通常、反応容器にモノマーと安定剤とを連続的に、あるいは反応時の段階において添加することが好ましい。これは良好な温度制御をもたらし、良好な製品安定性をしばしば生じる。この連続的あるいは段階的な添加は、粒子核形成の促進のために、反応容器に少量の連続ポリオール相および安定剤を場合によってはシード分散物と共に添加し、反応温度まで加熱し、次にモノマーを約5分〜5時間、好ましくは約15分〜2時間の間で連続的あるいは完結的に添加することにより好適に行われる。マクロマー・タイプの安定剤を使用する場合には、少量のモノマーを重合し、その後で主なモノマーの供給を開始し得る。この安定剤は、分散粒子の表面積の成長速度にほぼ比例する速度で好ましくは添加される。
【0032】
この重合は、好ましくはフリーラジカル開始剤の存在下で行われる。このフリーラジカル開始剤の量は、発熱を制御しながら商業的に妥当な反応速度をもたらすように選択される。フリーラジカル開始剤の通常の量は、モノマー基準で約0.1〜約5、好ましくは約0.2〜約2そして更に好ましくは約0.25〜約1重量%である。このフリーラジカル開始剤は反応の開始時にすべて添加されるか、あるいは連続的に、あるいは反応時の段階(特に、モノマーを添加する場合)において添加され得る。好適なフリーラジカル開始剤の例は、ペルオキシエステル、ペルオキシド、ペルサルフェート、ペルボレート、ペルカーボネート、アゾ化合物などを含む。好適なフリーラジカル開始剤の具体例は、過酸化水素、t−ブチルペルオクトエート、ジ(t−ブチル)ペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,2’−アゾビス[2,4−ジメチル]ペンタンニトリル、2−(t−ブチルアゾ)−2−メチルブタンニトリル、2−(t−ブチルアゾ)−2−4,ジメチルペンタンニトリル、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(メチルブチロニトリル)(AMBN)、tert−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエートおよびこれらの2つ以上の混合物を含む。
【0033】
これらの材料を使用することはある場合にはポリマーポリオール製品の安定性と濾過性を改善するので、重合を連鎖移動剤の存在下で行うことも好ましい。好適なこのような連鎖移動剤は例えば米国特許第4,689,354号に述べられ、メルカプタン、例えば三級ドデシルメルカプタン、α−トルエンチオール、1−テトラデカンチオール、2−オクタンチオール、1−ヘプタンチオール、1−オクタンチオール、2−ナフタレンチオール、1−ナフタレンチオール、1−ヘキサンチオール、エタンチオールおよび1−ドデカンチオールを含む。他の好適な連鎖移動剤はベンジルスルフィド、ヨードホルム、ヨウ素などを含む。連鎖移動剤の好適な量は、モノマーの重量基準で約0.1〜約5、特に約0.25〜約2.5そして好ましくは約0.5〜約1%である。
【0034】
ポリマーポリオールの製造に他の随意の添加剤も使用され得る。
【0035】
重合を完結させた後、未反応モノマーと他の揮発性材料とを除去するのに、この生成物は減圧下で好ましくはストリッピングされる。
【0036】
生成する製品は連続ポリオール相中での重合されるモノマーの粒子の分散物である。名目の固形分レベルは、安定剤、モノマーおよびポリオールの全重量に対するモノマーの重量として表されるが、1〜約65%の範囲であることができ、通常約10〜約50重量%である。有利なこととしては、この平均粒子サイズは、約150〜約20000ナノメーター、特に約200〜約10000ナノメーター、好ましくは約300〜約6000ナノメーターである。有利なこととしては、このポリマーポリオールの粘度は、以下の実施例で述べるコーン/カップ法により22℃で測定して、20000cps未満、好ましくは12000cps未満、更に好ましくは8000cps未満である。このポリマーポリオール製品の100%が30ミクロン(700メッシュ)金属フィルターを300秒で通過するということが好ましい。
【0037】
このヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール中のポリウレタン−ウレア粒子の分散物は、各アルカノール基中に2〜約8個の炭素を有するモノ−ないしトリアルカノールアミンをポリエステルポリオールに溶解することにより好都合に製造される。このようなアルカノールアミンの例は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノールおよびヒドロキシエチルピペラジンなどを含む。1及びジ−あるいはポリイソシアネート(A and di- or polyisocyanate)、好ましくはTDIまたはMDIを撹拌しながら添加する。ある場合には、触媒、例えばオクタン酸第一スズまたはジブチルスズジラウレートなどを添加し得るが、触媒は、一般に不必要である。この反応は、一般に0.5〜2時間の間進行され、その間に白色分散物が得られる。一般に、このポリオールの一部も反応する。好適なこのような方法は、米国特許第4,293,470号、第4,296,213号、第4,374,209号および第4,452,923号ならびにWO94/12553に述べられている。
【0038】
ウレア粒子の分散物は、アミン、ポリアミン、ヒドラジンまたはヒドラジドをヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールに添加し、次にポリイソシアネートをゆっくりと添加することにより製造される。低溶解性のアミンに対しては、高速撹拌を使用して、ポリイソシアネートを添加する前に微細な分散物を形成する。他のジアミンならびにヒドラジドが有用であるが、好適なアミンはヒドラジンおよびエチレンジアミンを含む。このようなポリウレア分散物を製造する方法は、米国特許第3,325,421号、第4,042,537号および第4,089,835号に述べられている。
【0039】
本発明による第2のタイプの分散物は、連続相がヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはこれらのエステルを含み、脂肪酸が12〜26個の炭素原子を有するということを除いて、類似の方法で一般に製造される。このエステル基は非置換の、あるいは不活性置換のアルキル基、特にメチルまたはエチルである。これらは、少なくとも1つの構成成分の脂肪酸鎖中に1つ以上の炭素−炭素二重結合を含有する植物あるいは動物油脂から多段階工程で製造可能である。好適な油脂は、例えば、にわとり油脂、カノーラ油、シトラス種油、ココアバター、コーン油、綿実油、ラード、アマニ油、オート麦油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、菜種油、米ぬか油、ベニバナ油、ごま油、大豆油、ひまわり油または牛脂を含む。
【0040】
好都合には、この植物あるいは動物油脂は、最初に低級アルカノール、特にメタノールまたはエタノールとのエステル交換反応にかけられて、構成成分の脂肪酸のアルキルエステルを生成する。生成するアルキルエステルは、所望ならば対応する脂肪酸に加水分解され得る。このアルキルエステル(または脂肪酸)は、一酸化炭素および水素との反応により好都合にはヒドロホルミル化される。これにより、脂肪酸鎖に炭素−炭素不飽和結合の部位で−CHO基を導入する。好適なヒドロホルミル化法は、例えば米国特許第4,731,486号および第4,633,021号ならびにWO04/096744に述べられている。一部の脂肪酸基は多数個の炭素−炭素二重結合部位を含有する。このような場合には、ヒドロホルミル化反応は、すべての二重結合部位で−CHO基を導入し得ないことがある。以降の水素化段階は、残存する炭素−炭素結合を水素化して、本質的にすべての炭素−炭素不飽和結合を除去する一方で、−CHO基をヒドロキシメチル(−CH2OH)基に変換する。
【0041】
前出の方法で製造されるヒドロキシメチル含有脂肪酸は、ヒドロキシメチル基を持たない材料と1、2あるいは3個のヒドロキシメチル基を有する材料との混合物である傾向がある。ヒドロホルミル化反応は、厳しい反応条件を使用しない限り炭素−炭素二重結合全部で起こらないことがしばしばあるので、2および3個のヒドロキシメチル基を有する材料の比率は、2および3個の炭素−炭素二重結合を含有する出発脂肪酸(またはアルキルエステル)の比率よりも通常幾分低い。ヒドロホルミル化されない炭素−炭素二重結合は一般に水素化されている。エステル基は、油あるいは油脂材料のエステル交換反応を行うのに使用されるアルカノールに対応する非置換の、あるいは不活性置換のアルキルである。
【0042】
好ましいヒドロキシルメチル基含有脂肪酸は、オレイン酸、またはオレイン酸を含有する脂肪酸またはエステル混合物のヒドロホルミル化および水素化により形成される(例えば、上述のエステル交換反応で製造される)、9(10)−ヒドロキシメチルステアリン酸(またはこれらのメチルあるいはエチルエステル)である。
【0043】
前記のように、この連続相は、ヒドロキシメチル基含有脂肪酸あるいはエステルに加えて、1つ以上のポリオール材料を含み得る。好適なこのようなポリオールは、前述のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを含んで、前述のもののいずれかを含む。好ましくは、このヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはエステルは、ヒドロキシメチル基含有脂肪酸あるいはエステルと追加のポリオールの合計重量の少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも70%そしてなお更に好ましくは少なくとも90%を占める。連続相中にいかなる更なるポリオールも含む必要はない。
【0044】
特に追加のポリオールの量が20%未満の場合に、最も特に追加のポリオールが存在しない場合に、これらの分散物は、特に良好な安定性と低い粘度とを示す。第2の態様の分散物が良好な安定性および良好な粘度を有して特に高固形分レベル、例えば40〜65重量%で製造可能であるということを見出した。第2の態様の分散物と共に使用するのに好ましい安定剤は、導入された末端エチレン型不飽和結合と3〜7個のヒドロキシル基を有する8,000〜15,000分子量のポリエーテルポリオールから形成されるマクロマー、または12重量%までのビニルモノマー、特にスチレンおよび/またはアクリロニトリルをこのようなモノマー中で重合させることにより形成されるものである。
【0045】
特にヒドロキシメチル基含有脂肪酸あるいはエステルのヒドロキシル官能性(hydroxyl functionality)が2個未満のヒドロキシル基/分子の平均官能性を有する場合、この分散物は、一般に、ポリウレタンの製造で使用する少なくとも1つの他のポリオール、ポリアミンまたはアミノアルコールとブレンドされる。この分散物が好適にブレンドされる材料は、上述のものを含み、特定の材料の選択およびこれらの材料と分散物との相対的な量はブレンド中で所望の平均の官能性と固形分レベルとを得るように選択される。この末端の脂肪酸あるいは脂肪酸エステル基は、他の成分により供給されるヒドロキシルあるいはアミン基と反応して、ポリウレタン形成反応時あるいは以降の硬化段階のいずれかにおいて分子量および/または架橋密度を生成することができる。この反応は、一般に、水(脂肪酸基の場合)またはアルカノールを遊離する。
【0046】
上述の方法に類似の方法を用いて、第2のタイプの分散物が分散ポリウレアあるいはポリウレタン−ウレア粒子により製造可能である。
【0047】
上述のポリマーポリオールおよび分散物は広範で多様なポリウレタン製品の製造に有用である。このポリウレタン製品は、大多数の場合、非気泡(non-cellular)、微小気泡(microcellular)あるいはフォームであり得るエラストマー型材料である。ポリウレタンは、通常、ポリマーポリオールあるいは分散物をポリイソシアネートと反応させることにより製造される。気泡製品を所望する場合には、この反応は発泡剤またはガスの存在下で行われる。この反応は閉じた金型中で行われ得るが、一部の用途、例えばスラブ材フォームにおいては、この反応混合物は、一般に、多かれ少なかれ自由に発泡させられて、低密度フォーム材料を形成する。一般に、本発明のポリマーポリオールおよび分散物は、在来の材料により使用されるのと同一の一般のタイプの方法を用いて、在来のポリオールおよびポリマーポリオール材料と同一の方法で使用可能である。
【0048】
好適なポリイソシアネートは芳香族、脂環式および脂肪族イソシアネートを含む。例示のポリイソシアネートは、m−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2−4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、1,3−および/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(シス−および/またはトランス異性体を含む)メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、水素化ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、水素化ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4−4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)、トリレン−2,4,6−トリイソシアネートならびに4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートを含む。好ましくは、このポリイソシアネートは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、PMDI、トリレン−2−4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネートまたはこれらの混合物である。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネートおよびこれらの混合物は、MDIと包括して呼ばれ、すべてが使用可能である。トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネートおよびこれらの混合物は、TDIと包括して呼ばれ、すべてが使用可能である。
【0049】
ポリウレタンの製造で使用されるポリイソシアネートの量は、通常、イソシアネートインデックス、すなわち反応混合物中のイソシアネート反応性基(発泡剤として使用される場合には水によりもたらされるものを含む)に対するNCO基の比×100の形で表される。在来のスラブ材フォームの製造においては、イソシアネートインデックスは、通常、約95〜140、特に約105〜115の範囲にある。成形された高レジリエンススラブ材フォームにおいては、イソシアネートインデックスは、通常、約50〜約150、特に約85〜約110の範囲にある。
【0050】
ポリウレタン形成反応の促進に触媒がしばしば使用される。特定の触媒パッケージの選択は、特定の用途、使用される特定のポリマーポリオールあるいは分散物および配合物中の他の成分により若干変わる。この触媒は、ポリオールとポリイソシアネートとの間の「ゲル化」反応および/または多くのポリウレタンフォーム配合物においては、ウレア結合と遊離の二酸化炭素を生成してフォームを膨張させる水/ポリイソシアネート(発泡)反応を触媒する。水発泡フォーム(water-blown foams)の製造においては、発泡反応を優先させる少なくとも1つの触媒と、ゲル化反応を優先させる少なくとも1つの他の触媒との混合物を使用するのが通常である。高比率のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを含有する配合物は、在来のポリエーテルあるいはポリエステルポリオールを主に含有する配合物よりも緊密なフォームを形成する傾向がときにある。従って、このような場合には在来のポリエーテルポリオールを用いて製造される類似のフォームと比較して、少量のゲル化触媒と多量(ゲル化触媒の量に対して)の発泡触媒(blowing catalyst)とを使用することが好ましい。
【0051】
三級アミン、三級ホスフィン、種々の金属キレート、酸金属塩、強塩基、有機酸の種々の金属アルコラートおよびフェノラートならびに金属塩を含む、広範で多様な材料がポリウレタン形成反応を触媒することが知られている。最も重要な触媒は三級アミン触媒と有機スズ触媒である。三級アミン触媒の例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびアルキル基が4〜18個の炭素原子を含有するジメチルアルキルアミンを含む。これらの三級アミン触媒の混合物がしばしば使用される。好適な市販の触媒の例は、Niax(登録商標)A1(プロピレングリコール中のビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、GE OSi Siliconesから入手可能)、Niax(登録商標)B9(ポリアルキレンオキシドポリオール中のN,N−ジメチルピペラジンおよびN,N−ジメチルヘキサデシルアミン、GE OSi Siliconesから入手可能)、Dabco(登録商標)8264(ジプロピレングリコール中のビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびジメチルヒドロキシエチルアミンの混合物、Air Products and Chemicalsから入手可能)およびDabco(登録商標)33LV(ジプロピレングリコール中のトリエチレンジアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)、Niax(登録商標)A−400(水および専有のヒドロキシル化合物中の専有の三級アミン/カルボン酸塩およびビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、GE OSi Siliconesから入手可能);Niax(登録商標)A−300(水中の専有の三級アミン/カルボン酸塩およびトリエチレンジアミン、GE OSi Specialties Co.から入手可能);Polycat(登録商標)58(Air Products and Chemicalsから入手可能な専有のアミン触媒)、Polycat(登録商標)5(ペンタメチルジエチレントリアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)およびPolycat(登録商標)8(N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)を含む。
【0052】
有機スズ触媒の例は、塩化第一スズ、塩化第二スズ、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、式SnRn(OR)4-n(式中、Rはアルキルまたはアリールであり、nは0〜2である)の他の有機スズ化合物等である。有機スズ触媒は、使用される場合には、一般に、1つ以上の三級アミン触媒との関連で使用される。有機スズ触媒は強力なゲル化触媒である傾向があり、特に高レジリエンスなフォーム配合物において好ましくは少量で使用される。市販の興味深い有機スズ触媒は、Dabco(登録商標)T−9およびT−95触媒(両方ともAir Products and Chemicalsから入手し得るオクタン酸第一スズ組成物)を含む。
【0053】
触媒は通常少量で使用され、例えば各触媒は高当量ポリオールの約0.0015〜約5重量%で使用される。
【0054】
フォームを成形する場合、ポリイソシアネートとポリオール成分との反応は発泡剤(blowing agent)の存在下で行われる。好適な発泡剤は、物理的発泡剤、例えば種々の低沸点のクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、炭化水素などを含む。地球温暖化およびオゾン層破壊係数がゼロであるか、あるいは低いフルオロカーボンおよび炭化水素が物理的発泡剤のなかで好ましい。ポリウレタン形成反応の条件下で分解あるいは反応する化学的発泡剤も有用である。最高に好ましい化学的発泡剤はイソシアネート基と反応して、二酸化炭素を放出し、ウレア結合を形成する水である。水は好ましくは単独の発泡剤として使用され、この場合には、通常、高当量ポリオール100重量部当たり約1〜約7、特に約2.5〜約5重量部の水が使用される。水は物理的発泡剤、特にフルオロカーボンまたは炭化水素発泡剤との組み合わせでも使用され得る。加えて、ガス、例えば二酸化炭素、空気、窒素またはアルゴンが発泡工程において発泡剤として使用され得る。
【0055】
ポリウレタンフォームを製造する場合、界面活性剤も使用される。ポリウレタンフォームの製造に普通に使用されるような広範で多様なシリコーン界面活性剤が本発明のポリマーポリオールまたは分散物によるフォームの製造において使用可能である。このようなシリコーン界面活性剤の例は、Tegostab(登録商標)(Th.Goldschmidt and Co.)、Niax(登録商標)(GE OSi Silicones)およびDabco(登録商標)(Air Products and Chemicals)の商品名の下に市販されている。スラブ材フォーム配合物に好ましいタイプのシリコーン界面活性剤は、約1400〜約6000の平均分子量を有する高分子量ポリオキシアルキレンペンダント基(high atomic mass polyoxyalkylene pendant groups)の混合物を含有するシロキサン骨格を有する。このシリコーン骨格は、好ましくは約300〜約750の平均分子量を有する低分子量ポリオキシアルキレンペンダント基も含有する。このシリコーン骨格は、合算した場合、約1000〜2000、特に1100〜1800の平均分子量を有する、高および低分子量ポリオキシアルキレンペンダント基の両方を含有するということが更に好ましい。このシリコーン界面活性剤は、好ましくは約45〜360の、特に約90〜260のシリコーン繰り返し単位/分子を含有する。好ましくは、このようなシリコーン繰り返し単位の約6〜30%は高あるいは低分子量のペンダントなポリオキシアルキレン基(a pendant high or low atomic mass polyoxyalkylene group)を含有する。このタイプの界面活性剤は、例えば米国特許5,145,879号およびEP0712884Blに述べられている。高当量ポリオール100重量部当たり約1〜6、好ましくは約2〜4重量部のこのような界面活性剤が好適に使用される。
【0056】
高水含有/高ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールスラブ材フォーム用途に好ましいシリコーン界面活性剤は式MDxD’yMにより表され得る。式中、各Mは独立に(CH33SiO1/2またはR(CH32SiO1/2であり;Dは(CH33SiO1/2であり;D’はR(CH3)SiO2/2であり;xは40〜220、特に85〜220であり、yは5〜40、特に8〜40であり、x/y<10であり;そして各Rは、独立に高分子量ポリエーテル基または低分子量ポリエーテル基であり、但し充分な数のR基が高分子量ポリエーテル基であり、すべてのポリエーテル基の平均分子量が少なくとも1000、特に少なくとも1100である。高分子量ポリエーテル基Rは、構造−(CH2n(C24O)a(CH2CH(CH3)O)bR’を好ましくは有する。式中、nは約3〜10であり、aおよびbはエチレンオキシド残基(すなわち、−C24O−基)がR基の30〜100%、特に30〜50重量%を占めるような値であり、R基の分子量は約1400〜6000、特に3500〜5000であり、R’は水素、アルキル、−C(O)R”、−C(O)OR”または−C(O)NHR”(ここで、R”は単官能性のアルキルあるいはアリール基である)である。低分子量ポリエーテル基Rは、構造−(CH2n(C24O)a(CH2CH(CH3)O)bR’を好ましくは有する。式中、nは約3〜10であり、aおよびbはエチレンオキシド残基がR基の30〜100%を占めるような値であり、R基の分子量は約300〜750であり、R’は前記に定義した通りである。
【0057】
xおよびyが特に高い(例えば、上記の構造においてx値が85以上であり、y値が8以上である)これらの界面活性剤は、極めて高い粘度を有する傾向があり、それゆえフォーム配合物の残存成分の中への混合性が劣ることがある。この問題は、この界面活性剤を希釈剤、例えば脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エトキシル化フェノール、アルキレンベンゼン、ポリエーテルポリオール、ジプロピレングリコールなどにより薄めることにより克服可能である。界面活性剤ブレンドの粘度を25℃で3000cPまで低下させるために、充分な希釈剤が好ましくは使用される。
【0058】
高水、高ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールスラブ材フォーム配合物における特に興味深い2つのシリコーン界面活性剤は、GE OSi Siliconesから入手可能なNiax(登録商標)L−626およびNiax(登録商標)L−5614界面活性剤である。これらの材料は高分子量のシリコーン界面活性剤/希釈剤ブレンドである。
【0059】
前出の成分に加えて、このポリウレタン配合物は、種々の他の随意の成分、例えば気泡開口剤;充填剤、例えば炭酸カルシウム;顔料および/または着色剤、例えば二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジンおよびカーボンブラック;補強剤、例えばファイバーガラス、カーボンファイバー、フレークガラス、マイカ、タルクなど;殺生物剤;保存剤;酸化防止剤;難燃剤などを含有し得る。
【0060】
一般に、ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリオールとが反応して、ポリウレタンおよび/またはポリウレアポリマーを形成し、発泡剤が反応混合物を膨張させるガスを発生する条件下でポリイソシアネートとポリマーポリオールとを発泡剤、界面活性剤、触媒および所望の他の随意の成分の存在下で混合することにより製造される。このフォームは、最初に化学量論的な過剰のポリイソシアネートを高当量のポリオールと反応させて、プレポリマーを形成し、これを第2の段階で鎖延長剤および/または水と反応させて、所望のフォームを形成する、いわゆるプレポリマー法(例えば、米国特許第4,390,645号に述べられている)により形成され得る。発泡法(frothing method)(例えば、米国特許第3,755,212号;第3,849,156号および第3,821,130号)も好適である。いわゆるワンショット法(例えば、米国特許第2,866,744号に述べられている)が好ましい。このようなワンショット法においては、ポリイソシアネートとすべてのポリイソシアネート反応性成分は同時に合体され、反応させられる。本発明での使用に好適な3つの広く使用されるワンショット法は、スラブ材フォーム法、高レジリエンスのスラブ材フォーム法および成形フォーム法を含む。
【0061】
スラブ材フォームは、フォーム成分を混合し、トラフ(trough)または他の領域(反応混合物が反応し、雰囲気(時には、フィルムまたは他の可撓性カバーの下)に抗して自由に膨張し、硬化する他の領域)にこれらを分注することにより、好都合に製造される。通常の商用規模のスラブ材フォーム製造においては、フォーム成分(またはこれらの種々の混合物)は混合ヘッドに独立にポンプ送液され、ここで混合され、紙またはプラスチックで裏打ちされたコンベヤー上に分注される。発泡および硬化はコンベヤー上で起こって、フォームバンを形成する。生成するフォームは、通常、密度で1立方フィート当たり約1〜約5ポンド(pcf)(16〜80kg/m3)、特に約1.2〜約2.0pcf(19.2〜32kg/m3)である。
【0062】
高レジリエンスのスラブ材(HRスラブ材)フォームは、在来のスラブ材フォームの製造に使用される方法に類似の方法で製造される。HRスラブ材フォームはASTM3574.03により55%以上の反発弾性評点を示すのを特徴とする。これらのフォームは、在来のスラブ材フォームと比較して若干高い触媒レベルを用いて製造されて、フォーム硬化に対するエネルギー要求を低下させる傾向がある。水によってのみ発泡されるHRスラブ材フォーム配合物は、在来のスラブ材配合物よりも低レベルの水を使用し、若干高密度のフォームを生成する傾向がある。水レベルは、高当量ポリオール100部当たり約2〜約3.5、特に約2.5〜約3部である傾向がある。フォーム密度は、通常、約2〜約5pcf(32〜80kg/m3)、特に約2.1〜約3pcf(33.6〜48kg/m3)である。
【0063】
成形フォームは、フォーム形成反応が起こって、成形フォームを生成する密閉金型に反応試剤(本発明のポリマーポリオールまたは分散物、他のポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤および界面活性剤を含むポリオール組成物)を移すことにより本発明により製造可能である。金型を外周温度以上に著しく予熱しないいわゆる「常温成形(cold-molding)」法または硬化を促進するために金型を加熱する「加熱成形(hot-molding)」法が使用可能である。高レジリエンスの成形フォームの製造には常温成形法が好ましい。成形フォーム用の密度は、1立方フィート当たり2.0〜約5.0ポンド(32〜80kg/m3)の範囲にある傾向がある。
【0064】
本発明のポリオールは機械的発泡法によるフォームの製造でも有用である。このような方法においては、高当量のポリオール、ポリイソシアネートおよび場合によっては触媒、前述の界面活性剤、架橋剤、鎖延長剤および他の成分を含有する反応している混合物の中に空気、窒素または他のガスを入れて泡立てる。次に、通常、この発泡反応混合物を基材に塗布し、そこで硬化して、接着性の気泡層を形成する。特に重要な発泡用途は、ポリウレタンクッション付きのカーペットの形成である。このようなカーペットの裏打ち方法は、例えば米国特許第6,372,810号および第5,908,701号に述べられている。別の発泡用途は微小気泡エラストマー、例えば靴のかかとの製造におけるものである。
【0065】
このポリウレタンフォームは、家具用クッション、自動車シート、自動車ダッシュボード、包装用途、他のクッションおよびエネルギー管理用途、カーペット裏打ち、ガスケッティングおよび在来のポリウレタンフォームを使用する他の用途として有用である。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は本発明の説明のために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。すべての部およびパーセントは特記しない限り重量によるものである。
【0067】
(実施例1〜8)
以下の一般的な手順を使用して、ポリマーポリオール実施例1〜8を製造する。丸底フラスコに頭上撹拌機(overhead stirrer)、温度制御装置、滴加漏斗および還流凝縮器を備える。このフラスコにヒドロキシルメチル含有ポリエステルポリオールと安定剤(使用する場合には)とを添加し、ヘッドスペースを窒素により充填する。撹拌しながら、この混合物を125℃まで加熱する。容器の内容物を125℃に維持しながら、モノマー(70/30重量比のスチレン/アクリロニトリル)とフリーラジカル開始剤(AMBN)とを含有するストリームを2.5時間かけて反応容器に供給する。この名目の固形含量はすべての場合20%である。次に、この反応混合物を125℃で更に1時間撹拌しながら加熱する。残存モノマー含量を求め、生成したポリマーポリオールをストリッピングして、残存モノマーと他の揮発分とを除去する。
【0068】
以下のヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを実施例1〜8で使用する。
ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールA(HMPP A)はヒドロキシメチル化された大豆油と分子量600の三官能性ポリ(エチレンオキシド)との反応生成物である。この材料は約2400の数平均分子量を有する。
【0069】
HMPP Bはヒドロキシメチル化された大豆油と分子量600の三官能性ポリ(プロピレン)オキシドとの反応生成物である。この材料は約2000の数平均分子量を有する。
【0070】
HMPP Cはヒドロキシメチル化された大豆油と、87重量%のプロピレンオキシドおよび143重量%のエチレンオキシドの分子量600の三官能性ランダムコポリマーとの反応生成物である。この材料は約2000の数平均分子量を有する。
【0071】
以下の安定剤を実施例1〜8で使用する。
安定剤Aは誘導されたエチレン型不飽和結合と遊離ヒドロキシル基とを有する、8000〜15000の数平均分子量のポリエーテルポリオールである。
【0072】
安定剤Bはビニルトリメトキシシランと数平均分子量3,500のポリエーテルポリオールとの1:3モル比の反応生成物である。
【0073】
安定剤Cは安定剤BとHMPP Cとの等重量部の反応生成物である。
【0074】
安定剤Dは安定剤BとHMPP Bとの等重量部の反応生成物である。
【0075】
原材料と生成する分散物の性質とを下記の表1に示す。
【表1】

【0076】
種々の安定剤を種々のレベルで使用して良好な品質のポリマーポリオールを製造する。
【0077】
(実施例9〜12)
以下の手順を使用して、分散物の実施例9〜12を製造する。
反応器を60℃に予熱し、初期装填量のメチルヒドロキシメチルステアレート(MHMS)と安定剤Aにより装填する。次に、反応器を真空下で125℃に加熱する。次に、真空バルブを閉じ、反応器内に約0.1バールの圧力を生じさせる。このコモノマー(70/30重量比のスチレンおよびアクリロニトリル)を更なるMHMS、フリーラジカル開始剤(AMBN)およびドデカンチオールと混合する。反応器の温度を125℃に維持しながら、このコモノマー混合物を60〜90分かけて反応器に供給する。このコモノマーブレンド添加を完結した後、AMBNとMHMSとの混合物を30分かけて反応器に供給する。次に、この反応混合物を125℃で更に30分間保持し、40℃に冷却し、貯蔵する。遊離モノマーの分析と濾過を行うために、試料を採取する。残存物をストリッピングして、残存モノマーを除去し、次に更に分析する。結果を表2に示す。
【表2】

【0078】
表3に示す配合物中で分散物実施例10を使用してポリウレタンフォームを製造する。
【表3】

【0079】
両方の配合物は良好に発泡して、良好な品質のポリウレタンフォームを形成する。このフォームの物理的性質を測定し、表4に示す。圧縮歪(compression set)、レジリエンシー(resiliency)、引き裂き強度、引っ張り強さ、伸び、弾性率(modulus)、密度および空気流れをASTM D3794−95に従って測定する。65%たわみにおける平均負荷をISO243−97に従って測定する。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール連続相と分散ポリマー粒子とを有し、ポリオール連続相が脂肪酸または脂肪酸エステル由来の少なくとも1つのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを含むポリマーポリオール。
【請求項2】
ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールがヒドロキシル、一級アミンおよび二級アミン基の全数当たり平均で少なくとも1.3個の、ヒドロキシメチル基含有脂肪酸あるいはエステル由来の繰り返し単位を開始剤化合物中に含有し、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが少なくとも400以上15000までの当量を有するように、12〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはこのようなヒドロキシメチル基含有脂肪酸のエステルと平均で少なくとも1個のヒドロキシル、一級アミンおよび/または二級アミン基を有するポリオールあるいはポリアミン開始剤化合物とを反応させることにより、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを製造する、請求項1に記載のポリマーポリオール。
【請求項3】
ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールの当量が700〜3500である、請求項1あるいは2に記載のポリマーポリオール。
【請求項4】
ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが1分子当たり平均で2〜5個のヒドロキシル、一級アミンあるいは二級アミン基を含有する、請求項1から3のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項5】
分散ポリマー粒子がポリマーポリオールの10〜65重量%を占める、請求項1から4のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項6】
分散粒子が少なくとも1つのエチレン型不飽和モノマーのポリマーの粒子である、請求項1から5のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項7】
分散ポリマー粒子がビニル芳香族ポリマー、エチレン型不飽和ニトリルまたはこれらの2つ以上の混合物のポリマーである、請求項6に記載のポリマーポリオール。
【請求項8】
分散ポリマー粒子がスチレンのポリマーまたはスチレンとアクリロニトリルとのコポリマーである、請求項7に記載のポリマーポリオール。
【請求項9】
分散粒子が少なくとも1つの安定剤にグラフトされている、請求項1から8のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項10】
安定剤がポリマーポリオールの約2〜約12重量%を占める、請求項7に記載のポリマーポリオール。
【請求項11】
分散粒子がポリウレアポリマー粒子である、請求項1から4のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項12】
分散粒子がポリウレタン−ウレア粒子である、請求項1から4のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項13】
ヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールが下記平均構造を有する、
【化1】

式中、Rはz個(ここで、zは少なくとも2である)のヒドロキシルおよび/または一級あるいは二級アミン基を有する開始剤化合物の残基であり;各Xは独立に−O−、−NH−または−NR’−(ここで、R’は不活性置換されたアルキル、アリール、シクロアルキルあるいはアラルキル基である)であり、pはヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール1分子当たりの[X−Z]基の平均の数を表す1〜zの数であり、Zは1つ以上のA基を含有する直鎖あるいは分岐鎖であり、但し、1分子当たりのA基の平均の数は>1.3×zであり、各AはA1、A2、A3、A4およびA5からなる群から独立に選択され、少なくとも一部のA基はA1、A2またはA3であり、ここでA1は
【化2】

(式中、BはHまたは別のA基のカルボニル炭素原子への共有結合であり;mは3より大きい数であり、nはゼロに等しいか、あるいはゼロよりも大きく、m+nは11〜19である)であり;A2は
【化3】

(式中、Bは前出のようであり、vは3より大きい数であり、rおよびsはゼロに等しいか、あるいはゼロよりも大きい数であり、v+r+sは10〜18である)であり;A3は
【化4】

(式中、B、v、各rおよびsは前記に定義されたようであり、tはゼロに等しいか、あるいはゼロよりも大きい数であり、v、r、sおよびtの和は10〜18である)であり;A4は
【化5】

(式中、wは10〜24である)であり;そしてA5は
【化6】

(式中、R’は少なくとも1つの環状エーテル基により、場合によっては1つ以上のヒドロキシル基または他のエーテル基により置換された直鎖あるいは分岐鎖アルキル基である)
請求項1から2のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項14】
ヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールが1分子当たり平均で3〜4個のヒドロキシル基とヒドロキシル基当たり500〜1000の当量とを有する、請求項1から13のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項15】
ヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールが9(10)−ヒドロキシメチルステアレートまたはこれらのアルキルエステルとヒドロキシル基当たり300〜600の当量を有するポリエーテルポリオールとの反応生成物である、請求項1から14のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項16】
ヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールがポリオール連続相の50〜100重量%を占める、請求項1から15のいずれかに記載のポリマーポリオール。
【請求項17】
安定剤が重合性ビニル不飽和を有するポリエーテルの残基である、請求項9あるいは10に記載のポリマーポリオール。
【請求項18】
安定剤がポリエーテルポリオールとビニルメトキシシランまたはエチレン型不飽和イソシアネートとの付加物である、請求項17に記載のポリマーポリオール。
【請求項19】
エチレン型不飽和モノマーの液滴の撹拌された分散物を少なくとも1つのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールと少なくとも1つの安定剤とを含有する連続ポリオール相中に形成し、分散されたエチレン型不飽和モノマー液滴を重合させて、生成ポリマーの粒子の分散物を連続ポリオール相中に形成することを含んでなる、請求項1に記載のポリマーポリオールを製造する方法。
【請求項20】
ヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはこれらの非置換の、あるいは不活性置換のアルキルエステル、12〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸を含有する連続相中のポリマー粒子の分散物。
【請求項21】
分散ポリマー粒子がポリマーポリオールの10〜65重量%を占める、請求項20に記載のポリマーポリオール。
【請求項22】
ヒドロキシメチル基含有脂肪酸がヒドロキシメチルステアリン酸を含む、請求項20あるいは21に記載の分散物。
【請求項23】
分散粒子が少なくとも1つのエチレン型不飽和モノマーのポリマーの粒子である、請求項20から22のいずれかに記載の分散物。
【請求項24】
分散ポリマー粒子がビニル芳香族ポリマー、エチレン型不飽和ニトリルまたはこれらの2つ以上の混合物のポリマーである、請求項23に記載の分散物。
【請求項25】
分散ポリマー粒子がスチレンのポリマーまたはスチレンとアクリロニトリルとのコポリマーである、請求項24に記載の分散物。
【請求項26】
分散粒子が少なくとも1つの安定剤にグラフトされている、請求項20から25のいずれかに記載の分散物。
【請求項27】
安定剤がポリマーポリオールの約2〜約12重量%を占める、請求項26に記載の分散物。
【請求項28】
分散粒子がポリウレアポリマー粒子である、請求項20から22のいずれかに記載の分散物。
【請求項29】
分散粒子がポリウレタン−ウレア粒子である、請求項20から22のいずれかに記載の分散物。
【請求項30】
請求項1から19のいずれかに記載のポリマーポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより製造されるポリウレタンポリマー。
【請求項31】
気泡性(cellular)である、請求項32に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項32】
スラブ材(slabstock)可撓性フォームである、請求項32に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項33】
成形された可撓性フォームである、請求項32に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項34】
請求項20から29のいずれかに記載の分散物、少なくとも1つの他のポリオール、ポリアミンまたはアミノアルコールを含む混合物とポリイソシアネートとを反応させることにより製造されるポリウレタンポリマー。
【請求項35】
気泡性(cellular)である、請求項34に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項36】
スラブ材(slabstock)可撓性フォームである、請求項35に記載のポリウレタンポリマー。
【請求項37】
成形された可撓性フォームである、請求項35に記載のポリウレタンポリマー。

【公表番号】特表2008−518055(P2008−518055A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538137(P2007−538137)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/038214
【国際公開番号】WO2006/065345
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】