説明

植物油系ポリオール及びそれから製造したポリウレタン

【課題】軟質ポリウレタンフォームの製造に有用な植物油系ポリオールの提供。
【解決手段】植物油系(ヒドロキシメチル含有)モノマーをポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール開始剤と真空下で反応させることによって製造される、ポリウレタンの製造に有用なポリオールを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばポリウレタンフォームを製造するための植物油系ポリオール及びそれからのポリウレタンに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、ポリイソシアネートとポリオールとの反応によって製造される。最初のポリウレタンの大規模商業的製造は、軟質フォームを製造するために、ジオール又はポリオールとジカルボン酸とのエステル縮合反応からのポリエステルポリオールを使用して起こった。このポリエステルポリオールは、低コスト及び広範囲のポリオールを製造するための能力のために、ポリエーテルポリオールによって取って代わられた。ポリエーテルは、活性水素出発化合物(ポリオール及びポリアミン)を含む石油原料から誘導されるエポキシド(オキシラン)を重合させることによって製造される。
【0003】
硬質ポリウレタンフォームはひまし油又はひまし油副生物で製造されてきた。ひまし油は、その低分子量(短い鎖長)及び高い官能性(トリヒドロキシル)のために、硬質フォームに於いて使用されてきた。
【0004】
Peerman等の特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されているもののような植物性又は再生可能な原料からポリオールを製造するための試みがなされてきた。Peerman等は、ヒドロキシエステルモノマーをポリオール又はポリアミンと反応させる方法を記載している。しかしながら、Peerman等は、特に、転化の程度を制限することにより又は化学量論的に必要な量からかけ離れた量の反応剤を使用することにより回避することができる、ゲル化の問題点を記載している。その結果、Peerman等は、それらの得られたポリオールからのエラストマー(架橋した硬質ポリウレタン)を記載しているのみである。更に、第二級ヒドロキシルの存在は、発汗を起こすと記載されており、この場合、生成物は濡れているように見え、そして完全に硬化しておらず、従って、グリセロールのような低コストの再生可能な開始剤の使用を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,423,162号明細書
【特許文献2】米国特許第4,496,487号明細書
【特許文献3】米国特許第4,543,369号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、前記のものの一つのような、先行技術の問題点の1個又はそれ以上を解決する、生成方法及び植物系ポリオールの両方を提供することが望ましい。特に、如何なる他のポリオールの存在も無しに軟質ポリウレタンフォームを製造するために使用することができる植物油系(VOB)ポリオールを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の面は、
i)ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール又はこれらの混合物である開始剤と、式:
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、m、n、v、r及びsは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ以上でありそしてv+r+sは10〜18である)
の少なくとも1個を有する植物油系(VOB)モノマーとを混合し、そして
ii)この混合物を、反応温度に、反応時間、真空下でそして植物油系ポリオールを生成するために十分な量の触媒の存在下で加熱する
ことを含んでなる植物油系ポリオールの製造方法である。この開始剤は、反応条件下でエステル交換反応できるエステル基を含有していない。
【0010】
前記第一の方法は、驚くべきことに、ポリイソシアネートと反応したとき軟質フォームを形成するために十分なヒドロキシル官能基及び分子量を有する非ゲル化ポリオールを形成できる。この方法は、真空下で実施しても、VOBポリオールを形成するために使用される反応温度で比較的迅速に蒸散する開始剤を使用することができる。この方法は、驚くべきことに、3個のヒドロキシル基を有するVOBモノマーが存在するときでも、新規な非ゲル化VOBポリオールを作る。最後に、驚くべきことに、この方法が、VOBモノマーの全てが反応するが、ポリオール中に、VOBモノマーの量が、それと反応するために必要な化学量論的量よりも遙かに過剰であっても、反応しなかった開始剤の幾らかのヒドロキシル基又はアミン基が存在することが見出された。
【0011】
本発明の第二の面は、
i)触媒の存在下で、式:
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、m、n、v、r及びsは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ以上でありそしてv+r+sは10〜18である)
の少なくとも1個を有する植物油系モノマーを、VOBモノマーの幾らかの部分が反応するまで加熱し、続いて、
ii)ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール又はこれらの混合物である開始剤を、工程(i)の反応したVOBモノマーに、真空下で、植物系ポリオールを生成するために十分な時間及び温度で導入する
ことを含んでなる植物系ポリオールの製造方法である。本発明のこの面は、驚くべきことに、開始剤を、VOBモノマーが、例えば実質的な分子量を作った後に添加しても、同様のVOBポリオールを作ることが見出された。この方法は、生成されるVOBポリオールの得られる分子量に改良された制御を与えると信じられる。
【0014】
本発明の第三の面は、
【0015】
【化3】

【0016】
[式中、Rはポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール開始剤の残基であり、X及びX′は、同じか又は異なっていてよく、そしてO、N又はNHであり、pは1〜5の整数であり、qは1〜5の整数であり(但し、p+qは3〜8である)、tは3〜8の整数であり、そしてAは、同じか又は異なっていてよく、そしてA1、A2及びA3からなる群から選択され、ここで、A1は
【0017】
【化4】

【0018】
であり、A2は、
【0019】
【化5】

【0020】
であり、A3は、
【0021】
【化6】

【0022】
(式中、m、n、v、r、s、a、b及びcは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ以上でありそしてv+r+sは10〜18であり、aは0〜35であり、bは0〜35であり、そしてcは0〜35であるが、植物油系ポリオールの任意の分子中の全てのa、b及びcは、全てゼロではなく、そして(a+b+c)/(p+q+t)は、植物油系ポリオール中で約5〜約100である)
である]
からなる植物油系ポリオールである。ヒドロキシルのそれぞれ又は全ては、他のVOBモノマーのメチルエステルと反応できることが理解される。それで、上に示される構造は、実際の反応度を単にモデル化する(即ち、反応した1個のVOBモノマーヒドロキシル)ことが理解される。しかしながら、利用可能なヒドロキシル基の何れか又は全ては、重合の条件下で反応することができる。即ち、鎖の成長は、上記の構造に於いて示したヒドロキシル部位に於いてのみならず、VOBモノマーのヒドロキシルの何れに於いても起こり得る。VOBモノマーの利用可能なヒドロキシル基の1個より多くをアシル化できることも考えられる。
【0023】
本発明の第四の面は、
【0024】
【化7】

【0025】
[式中、Rはポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール開始剤の残基であり、X及びX′は、同じか又は異なっていてよく、そしてO、N又はNHであり、pは1〜5の整数であり、qは1〜5の整数であり(但し、p+qは2〜8である)、tは2〜8の整数であり、そしてAは、同じか又は異なっていてよく、そしてA1、A2及びA3からなる群から選択され、ここで、A1は
【0026】
【化8】

【0027】
であり、A2は、
【0028】
【化9】

【0029】
であり、A3は、
【0030】
【化10】

【0031】
(式中、m、n、v、r、s、a、b及びcは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ以上であり、そしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ以上であり、そしてv+r+sは10〜18であり、aは0〜35であり、bは0〜35であり、そしてcは0〜35であるが、全てのa、b及びcは、本質的に全てゼロではなく、Aの少なくとも一部はA3であり、そして(a+b+c)/(p+q+t)は植物油系ポリオール中で0よりも大きく約100までである)
である]
を含んでなる植物油系ポリオールである。
【0032】
この植物油系ポリオールは、ポリオールが使用される任意の応用に於いて使用することができる。例には、エラストマー、コーティング、接着剤、シーラント、硬質フォーム及び特に軟質フォームのような、全ての種類のポリウレタン応用が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の植物系ポリオールは、開始剤と植物油系(VOB)モノマーとの反応によって製造される。この開始剤は、VOBモノマーと反応する少なくとも1個の活性水素を有する。この開始剤は、式:
R(XH)p
(式中、XはO、N又はNHであり、そしてpは1〜8である)
によって示すことができる。この式に於いて、Xは同じか又は異なっていてよい。従って、この開始剤は、ポリオール、ポリアミン及びアミノアルコールを包含する。Rは、一般的に、アルカン(C−C)、アルケン(C=C)、エーテル(C−O−C)結合又はこれらの組合せの、直鎖、環式鎖又はこれらの組合せを表す。上記の鎖内の炭素は、メチル基又はエチル基によって置換されていてよい。一般的に、開始剤の分子量は、最大32〜約2000である。好ましくは、この分子量は、少なくとも約50、更に好ましくは少なくとも約60、最も好ましくは少なくとも約90で、好ましくは最大約1400、更に好ましくは最大約1200、最も好ましくは最大約800までである。
【0034】
代表的ポリオール開始剤には、ネオペンチルグリコール、1,2−プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセロール、アルカンジオール、例えば1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン、ジメロール(Dimerol)アルコール(ヘンケル社(Henkel Corporation)から入手可能な36カーボンジオール)、水素化ビスフェノール、9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール、1,2,6−ヘキサントリオール、その中に存在するアルコール又はアミン基の少なくとも1個が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの混合物と反応している上記のもののいずれか及びこれらの組合せが含まれる。
【0035】
その中に存在するアルコール基の少なくとも1個が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応している上記のもののいずれかは、ヒドロキシルの活性水素が反応して、下記の式:
【0036】
【化11】

【0037】
(式中、Rは前記定義と同じである)
によって例示されるポリエーテルポリオールを形成することを意味する。また、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの代わりに他のアルコキシル化剤でよいことが理解される。アミン基もまた、アルコキシル化剤と反応させることができる。
【0038】
代表的ポリアミン開始剤には、エチレンジアミン、ネオペンチルジアミン、1,6−ジアミノヘキサン、ビスアミノメチルトリシクロデカン、ビスアミノシクロヘキサン、ジエチレントリアミン、ビス−3−アミノプロピルメチルアミン及びトリエチレンテトラミンが含まれる。
【0039】
代表的アミノアルコールには、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが含まれる。
【0040】
使用することができる他の有用な開始剤には、米国特許第4,216,344号明細書、米国特許第4,243,818号明細書及び米国特許第4,348,543号明細書並びに英国特許第1,043,507号明細書に記載されているポリオール、ポリアミン又はアミノアルコールが含まれる。
【0041】
好ましくは、開始剤は、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセロール、1,2−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ビス−3−アミノプロピルメチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン、ジメロールアルコール、水素化ビスフェノール、9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール、1,2,6−ヘキサントリオール、その中に存在するアルコール又はアミン基の少なくとも1個が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの混合物と反応している上記のもののいずれか及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0042】
更に好ましくは、開始剤は、ネオペンチルグリコール、1,2−プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エトキシル化ペンタエリスリトール、プロポキシル化ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセロール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール、ジエタノールアミン、アルカンジオール、例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ビス−3−アミノプロピルメチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン、ジメロールアルコール、水素化ビスフェノール、9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール、1,2,6−ヘキサントリオール及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0043】
なお更に好ましくは、開始剤は、グリセロール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ペンタエリスリトール、ジエチレントリアミン、ソルビトール、スクロース又はその中に存在するアルコール若しくはアミン基の少なくとも1個が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド若しくはこれらの混合物と反応している上記のもののいずれか及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0044】
最も好ましくは、開始剤は、グリセロール、ペンタエリスリトール、スクロース、ソルビトール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール、エトキシル化ペンタエリスリトール、プロポキシル化ペンタエリスリトール又はこれらの混合物である。
【0045】
驚くべきことに、本発明の方法を使用して、少なくとも1個の第二級ヒドロキシル又は第二級アミンを有する開始剤(例えば、グリセロール)を使用することが好ましい。この反応は、VOBモノマーを、例えばグリセロールと、得られた植物油系ポリオールが、少なくとも幾らかのポリオール分子を有するような様式で反応させることができるので(この場合、グリセロールの第一級ヒドロキシルの少なくとも1個はVOBモノマーと反応しないが、第二級ヒドロキシルは反応する)、これは驚くべきことである。これを以下更に説明する。
【0046】
VOBモノマーは、式:
【0047】
【化12】

【0048】
(式中、m、n、v、r及びsは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ以上であり、そしてv+r+sは10〜18である)
の少なくとも1個を有する植物油系モノマーである。
【0049】
このVOBモノマーは、水酸化ナトリウム水溶液のような塩基で鹸化したとき、脂肪酸及びグリセロールを生成し、脂肪酸の少なくとも一部が不飽和脂肪酸である(即ち、少なくとも1個の炭素二重結合を含有する)トリグリセリドからなる、任意の動物脂又は植物油であってよい。好ましい植物油は、少なくとも約70重量%の不飽和脂肪酸を生成するものである。更に好ましくは、植物油は、少なくとも約85重量%、更に好ましくは少なくとも87重量%、最も好ましくは少なくとも約90重量%の不飽和脂肪酸を生成する。植物油、動物脂又は他のいずれかの源泉から誘導された特定の脂肪酸を使用できることが理解される。即ち、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びアラキドン脂肪酸アルキルエステルを、直接VOBモノマーを生成するために使用することができる。しかしながら、前記のような植物油を使用することが好ましい。好ましい植物油には、例えば大豆油、紅花油、綿実油、亜麻仁油、落花生油、オリーブ油、ひまわり油、カノラ油、菜種油、トウモロコシ油、ヤシ油又はこれらの組合せが含まれる。更に好ましくは、植物油は大豆油、ひまわり油、カノラ油、トウモロコシ油、菜種油又はこれらの組合せである。最も好ましくは、植物油は、大豆油、ひまわり油、カノラ油又はこれらの組合せである。植物油は、遺伝子的に改質した生物、例えば、遺伝子的に改質した大豆、ひまわり又はカノラから得ることができる。
【0050】
次いで、不飽和脂肪酸アルキルエステルを、当該技術分野で公知のいずれかの適当な方法によって、VOBモノマー(ヒドロキシメチルエステル)に生成させることができる。例えばヒドロキシメチル基は、コバルト又はロジウム触媒を使用するヒドロホルミル化方法、続いて接触還元又は化学還元による、ヒドロキシメチル基を得るためのホルミル基の水素化によって導入することができる。ヒドロキシメチルエステルを生成するための手順は、米国特許第4,216,343号明細書、米国特許第4,216,344号明細書、米国特許第4,304,945号明細書及び米国特許第4,229,562号明細書並びに特に米国特許第4,083,816号明細書に記載されている。脂肪酸からヒドロキシメチルエステルを生成するための他の公知の方法も、米国特許第2,332,849号明細書及び米国特許第3,787,459号明細書に記載されているように使用することができる。
【0051】
VOBモノマーを生成する際に、ホルミル化した脂肪酸アルキルエステルは、完全にホルミル化することができ又は部分的にのみホルミル化することができる。即ち、特定の植物油の脂肪酸アルキルエステルは、幾らかの残留する不飽和(C=C)結合を有していてよい。しかしながら、好ましくは、ホルミル化後に残留する不飽和結合の量は、発明者Donald Morrison等を有する、同時に出願された特許出願、発明の名称「種子油から誘導されたアルデヒド及びアルコール組成物」、代理人ドケット番号第63104号並びに2003年4月25日に出願された米国仮特許出願第60/465,663号及びそれからの優先権を主張する同時に出願された非仮特許出願(参照して本明細書に含める)に記載されている通りである。脂肪酸アルキルエステルをホルミル化した後、これらを、望ましくは残留する不飽和結合が本質的に存在しない(即ち、最大でも微量で、好ましくは検出可能な量の不飽和が存在しない)ように水素化する。
【0052】
VOBモノマー及び開始剤を、当該技術分野で公知の任意の適当な手段によって、一緒に混合又はブレンドする。例えば簡単な攪拌で十分である。
【0053】
VOBモノマー及び開始剤を、反応温度に、反応時間、真空下でそして植物油系ポリオールを生成するために十分な量の触媒の存在下で加熱する。使用される反応温度は、例えばVOBモノマー、開始剤及び触媒の関数であるが、この反応温度は、スズ又はチタン触媒を使用したとき、一般的に少なくとも約140℃〜約300℃である。好ましくは、少なくとも約150℃、更に好ましくは少なくとも約180℃、最も好ましくは少なくとも約190℃で、好ましくは最高約250℃、更に好ましくは最高約220℃、最も好ましくは最高約210℃までである。
【0054】
触媒は、任意の適当な触媒、例えばスズ、チタン、酵素触媒(例えば、リパーゼ)、炭酸塩触媒(例えば、K2CO3、NaHCO3)又はこれらの組合せであってよい。
【0055】
好ましい態様に於いて、触媒は、反応温度を、約100℃乃至ほぼ室温にまで下げることを可能にする、酵素触媒、例えばリパーゼである。これによって、次いで、スズ又はチタン触媒を使用する、より高い温度によって分解する開始剤(例えば糖)の使用が可能になる。
【0056】
反応時間は、同様に、反応温度について前記した変数に依存する。一般的に、この時間は、少なくとも約10分で最高約24時間までである。好ましくは、反応時間は、少なくとも約15分間、更に好ましくは少なくとも約30分間、更に好ましくは少なくとも約1時間で、好ましくは最高約12時間、更に好ましくは最高約9時間、最も好ましくは最高約5時間までである。
【0057】
VOBポリオールを生成するために、反応を真空下で実施することが重要であることが見出された。これは、開始剤が反応温度で蒸発性である場合に、まさに真実である。蒸発性は、開始剤が、真空下で全反応時間よりも実質的に短い時間内で、完全に蒸散することを意味する。例えば、開始剤がグリセロールであるとき、反応容器内のグリセロールマイナスVOBモノマーは、約20トールの真空下で約120分間内に200℃で蒸散するであろう。一般的に、真空は少なくとも約100トールである。好ましくは、真空は少なくとも約50トールであり、更に好ましくは、真空は少なくとも約20トールである。
【0058】
好ましい態様に於いて、特に、蒸発性開始剤を使用するとき、VOBを、反応器内に真空下で反応温度で、VOBモノマーの実質的量をエステル交換反応させるために十分な時間の間(例えば、VOBモノマーのエステル基の少なくとも約10%がエステル交換反応を受ける)置き、続いて開始剤を添加してVOBポリオールを生成させる。この方法によって、蒸発性開始剤の実質的な損失無しに、分子量の正確な制御が可能になる。
【0059】
スズ触媒又はチタン触媒を単独で使用するとき、触媒の量も重要であることが見出された。これは、開始剤が前記のように蒸発性であるとき特に真実である。触媒の量は、VOBポリオールを実現するために十分に迅速に、開始剤とVOBモノマーとの間の反応を実施するための或る最小量でなくてはならない。触媒の量は、例えば触媒、VOBモノマー及び開始剤の特定の種類に依存する。
【0060】
一般的に、スズ触媒を使用するとき、触媒の量は、全反応混合物に対して、少なくとも約100ppm重量〜最大約2500ppm重量のスズである。好ましくは、スズ触媒の量は、少なくとも約250ppm、更に好ましくは少なくとも約500ppm、最も好ましくは少なくとも約1000ppmで、好ましくは最大約2000ppm、更に好ましくは最大約1500ppmまでである。スズ触媒は、当該技術分野で公知の任意の適当なスズ触媒であってよい。代表的スズ触媒には、オクタン酸スズ(II)、2−エチルヘプタン酸スズ(II)、ジブチルスズ(IV)ジラウレート及び同様に機能化されている他のスズ触媒が含まれる。好ましくは、スズ触媒は、オクタン酸スズ(II)、2−エチルヘプタン酸スズ(II)、ジブチルスズ(IV)ジラウレート及びこれらの組合せである。
【0061】
一般的に、チタン触媒を使用するとき、触媒の量は、全反応混合物に対して、少なくとも約100ppm重量〜最大約2500ppm重量のチタンである。好ましくは、チタン触媒の量は、少なくとも約250ppm、更に好ましくは少なくとも約500ppm、最も好ましくは少なくとも約1000ppmで、好ましくは最大約2000ppm、更に好ましくは最大約1500ppmまでである。チタン触媒は、当該技術分野で公知の任意の適当なチタン触媒であってよい。代表的チタン触媒には、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトライソブトキシド又は任意の適切に機能化されたチタン(IV)アルコキシドが含まれる。好ましくは、チタン触媒はチタンテトライソプロポキシドである。
【0062】
VOBモノマーの開始剤反応性基に対する比は、典型的に、少なくとも化学量論的量(即ち、開始剤が1モルのグリセロールである場合、VOBモノマーの量は少なくとも3モルである)〜最大約100である。好ましくは、VOBモノマーの開始剤反応性基に対する比は、少なくとも2、更に好ましくは少なくとも約5,なお更に好ましくは少なくとも約7、最も好ましくは少なくとも約10で、好ましくは最大約50、更に好ましくは最大約25、最も好ましくは最大約20までである。驚くべきことに、これらのより高い比を使用するとき、その中に複数のヒドロキシ基モノマーを有するVOBモノマーと反応させるときでも、ゲル化されず、そして液体でさえあるVOBポリオールを生成させることができることが見出された。
【0063】
本発明の方法を使用するとき、驚くべきことに、VOBポリオールが全体として少なくとも5のVOBモノマー対開始剤反応性部位比を有していても、反応していない少なくとも1個の開始剤反応性基を有するポリオール分子からなるポリオールの少なくとも一部を有するVOBポリオールを生成できることが見出された。即ち、このVOBポリオールは、
【0064】
【化13】

【0065】
[式中、Rはポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール開始剤の残基であり、
X及びX′は、同じか又は異なっていてよく、そしてO、N又はNHであり、pは1〜5の整数であり、qは1〜5の整数であり(但し、p+qは3〜8である)、tは3〜8の整数であり、そしてAは、同じか又は異なっていてよく、そしてA1、A2及びA3からなる群から選択され、ここで、A1は
【0066】
【化14】

【0067】
であり、A2は、
【0068】
【化15】

【0069】
であり、A3は、
【0070】
【化16】

【0071】
(式中、m、n、v、r、s、a、b及びcは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ以上であり、そしてv+r+sは10〜18であり、aは0〜35であり、bは0〜35であり、そしてcは0〜35であるが、植物油系ポリオールのいずれかの分子中の全てのa、b及びcは、全てゼロではなく、そして(a+b+c)/(p+q+t)は、植物油系ポリオール中で約5〜約100である)
である]
からなる。(a+b+c)/(p+q+t)比は、VOBモノマー対開始剤反応性基比の指標である。
【0072】
好ましい態様に於いて、VOBポリオールは、A3構成成分からなるポリオールの少なくとも一部を有する。この特別の態様は、それによって、ポリオールが、例えばポリウレタンフォームを生成するためにイソシアネートと反応した単独のポリオールとして、VOBポリオールを使用して軟質ポリウレタンフォームを製造する際に使用するために十分な分子量を達成しながら、十分なヒドロキシル機能性を達成できるようになるので好ましい。好ましくは、VOBポリオール中のA3構成成分の量は、全VOBポリオールの少なくとも約0.01重量%であり、更に好ましくは、この量はVOBポリオールの、少なくとも約0.02重量%、最も好ましくは少なくとも約0.05重量%で、好ましくは最大約25重量%、更に好ましくは最大約20重量%、最も好ましくは最大約10重量%までである。
【0073】
VOBポリオールにA3が含有されるとき、(a+b+c)/(p+q+t)は、0よりも大きく約100までである。好ましくは、(a+b+c)/(p+q+t)は少なくとも約0.25、更に好ましくは少なくとも約0.5、最も好ましくは少なくとも約1で、好ましくは最大約50、更に好ましくは最大約25、最も好ましくは最大約20までである。
【0074】
他の好ましい態様に於いて、例えば第二級ヒドロキシル又はアミンを有する開始剤を使用するとき、VOBポリオールは、構造
【0075】
【化17】

【0076】
(式中、少なくとも1個のX′−H基は第一級ヒドロキシル又は第一級アミンであり、そして少なくとも1個のX−A−Hは開始剤の第二級ヒドロキシル又は第二級アミンに対応する位置に配置されている)
を有するVOBポリオールの一部を有していてよい。好ましくは、VOBポリオールは、少なくとも部分的に、X′−H基の全てが、第一級ヒドロキシル又は第一級アミンであり、そしてX−A−H基の全てが、開始剤の第二級ヒドロキシル又は第二級アミンに対応する位置に配置されている、上記の構造からなっている。
【0077】
VOBポリオールは、それを、当該技術分野で公知のポリイソシアネートと、このようなポリウレタンを製造する公知の方法を使用して反応させることによって、ポリウレタンを製造するのに使用することができる。好ましくは、ポリウレタンは軟質フォームである。更に好ましくは、ポリウレタンは、VOBポリオールをポリイソシアネートと、如何なる他のポリオールも不存在下で反応させることによって生成された軟質フォームである。即ち、VOBポリオールは、軟質フォームを製造するために使用される唯一のポリオールである。
【0078】
一般的に、VOBポリオールは、約350〜約10,000の重量平均分子量を有する。好ましくは、この重量平均分子量は、少なくとも約500、更に好ましくは少なくとも約1000、最も好ましくは少なくとも約1200で、好ましくは最高約10,000、更に好ましくは最高約6000、最も好ましくは最高約3000までである。VOBポリオールが液体であることが好ましく、驚くべきことに、使用される方法は、ゲル化することなく、高分子量ポリオールを製造することができる。
【0079】
本発明のVOBポリオールは、ポリウレタンポリマーの製造のために、当該技術分野で一般的に知られている任意の添加剤と一緒に使用することができる。発泡剤、触媒、界面活性剤、気泡開放剤、着色剤、充填材、耐力増強添加物、例えばコポリマーポリオール、水、内部用離型剤、帯電防止剤、坑微生物剤及び当業者に公知の他の添加剤のような、ある範囲の添加剤の何れも、本発明の範囲内で有用である。
【0080】
ポリウレタンフォームの形成に於いて典型的に使用される界面活性剤の全範囲が有用であるが、ある種の界面活性剤が、フォーム配合物のポリオール成分として高いパーセントの植物系ポリオールを有するフォームのために好ましい。特に、軟質スラブ材フォームの形成に於いて、低レジリエンス又は「粘弾性」フォームのような特殊グレードの軟質フォームで一般的に使用されているもののような高能率アルコキシシラン界面活性剤が、フォームのポリオール側の100%がVOBポリオールから製造されるとき、製造された軟質スラブ材フォームの特性を大きく増強することが予想外に見出される。好ましい界面活性剤は、クロンプトン社(Crompton Corporation)から入手できるL626又はシリコーン単位でグラフト化された他のポリオール側鎖のようなものである。特性向上は、その細度、表面組織及び耐久性並びにフォーム多孔度を示す、フォーム気泡サイズ、気泡構造、フォーム感触又は「手触り」(これはフォームの感覚的感触又は触感品質として定義される)のような特性に於いて観察される。好ましい界面活性剤は、100%の従来の市販グレードのEO/POポリオールから製造されたスラブ材フォームに匹敵するような特性を有する、100%のVOBポリオールからのスラブ材フォーム製品になる。
【0081】
本発明のVOBポリオールが、広範囲の水濃度で製造されたポリウレタンフォームを形成できることも見出された。一般的に、水濃度は、重量で、ポリオール100部当たり約1部〜ポリオール100部当たり約10部の範囲であってよい。好ましくは、水濃度は、重量でポリマー100部当たり、少なくとも約2部、更に好ましくは少なくとも約3部、最も好ましくは少なくとも約4部で、好ましくは最高約9部、更に好ましくは最高8部、最も好ましくは最高約6部である。
【実施例】
【0082】
例1〜27:植物油系脂肪酸メチルエステルからのポリオールの製造方法
大豆油のヒドロキシメチル化した脂肪酸メチルエステル及び9,(10)−ヒドロキシメチルステアレート(オレイン酸メチルから)を、前記の発明者Donald Morrison等を有する、同時に出願された特許出願、発明の名称「種子油から誘導されたアルデヒド及びアルコール組成物」、代理人ドケット番号第63104号に記載されている手順に従って製造する。
【0083】
グリセロールは、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)から得(CAS#[56−81−5])、真空下20mm/183℃で蒸留した。蒸留したグリセロールを、次いで窒素下で使用するまで貯蔵した。
【0084】
CEI−625は、625の数平均分子量を有するグリセロール開始EOポリオールである。これは、ザ・ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)で製造されている。
【0085】
トリメチロールプロパン[77−99−6]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0086】
1,6−ヘキサンジオール[629−11−8]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0087】
CEI−1200は、1200の数平均分子量を有するグリセロール開始EOポリオールである。これは、ザ・ダウ・ケミカル社で製造されている。
【0088】
PE−270は、270の数平均分子量までエチレンオキシドでエトキシル化されたペンタエリスリトールベースのポリオールである。PE−270は、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ・ケミカル社から入手可能である。
【0089】
テトロール(Tetrol)600は、600の数平均分子量までエトキシル化されたペンタエリスリトールである。これは、ザ・ダウ・ケミカル社で製造された。
【0090】
テトロール800は、800の数平均分子量までエトキシル化されたペンタエリスリトールである。これは、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ−アルドリッチ・ケミカル社から入手可能であり、ペンタエリスリトールエトキシレート[30599−15−6]として販売されている。
【0091】
スクロース[57−50−1]は、インペリアル・シュガー社(Imperial Sugar Co.)から得られる。
【0092】
D−ソルビトール[50−70−4]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0093】
ペンタエリスリトール[115−77−5]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0094】
N−メチルピロリジノン(NMP)[872−50−4]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0095】
ジエチレングリコール[111−46−6]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0096】
ボラノール(Voranol)370は、スクロースと約800のMWまでプロポキシル化されたグリセロールとの混合物である。これは、6.85の平均官能性を有し、ザ・ダウ・ケミカル社から得られる。
【0097】
炭酸カリウム[584−08−7]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0098】
エチレンジアミン[107−15−3]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0099】
バノックス(Vanox)945は、RTファンデルビルト社(RT Vanderbilt Co. Inc.)から入手可能な酸化防止剤パッケージである。これは、60〜70%の、2,4,4−トリメチルペンテン及び2−メチルプロペンとのベンゼンアミン,−N−フェニル−,反応生成物[184378−08−3]、20〜25%のテトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン[6683−19−8]、9%の石油プロセスオイル、3.0%未満のDMS抽出性物質[64742−52−5]、1%未満のジフェニルアミン[122−39−4]、1%のフェノチアジン[92−84−2]の混合物である。
【0100】
イルガノックス(Irganox)5057は、チバ社(Ciba Co.)から入手可能な2,4,4−トリメチルペンテンとのベンゼンアミン,−N−フェニル−,反応生成物[68411−46−1]である。
【0101】
オクタン酸スズ(II)[301−10−0]は、シティ・ケミカル社(City Chemical Co.)から入手可能である。
【0102】
スズ(IV)イソプロポキシド[546−68−9]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0103】
オクタン酸第一スズ[301−10−0]は、シティ・ケミカル社から入手可能である。
【0104】
酢酸カルシウム[62−54−4]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0105】
エチルヘキサン酸スズ(II)[301−10−0]は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社から得られる。
【0106】
ジブチルスズジラウレート[77−58−7]は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ−アルドリッチ・ケミカル社から入手可能である。
【0107】
リパーゼ触媒は、candida antarcticaから誘導され、そしてアクリレートビーズの上に担持されている。このポリマー担持リパーゼ触媒は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ−アルドリッチ・ケミカル社から入手可能である。
【0108】
ヒドロキシル当量重量分析は、オリン(Olin)滴定法によって実施する。
【0109】
パーセント酸性度は、ASTM試験方法指定D4662−93によって測定する。
【0110】
分子量値(Mn、Mw、Mz、Mp、PD)は、ポリマー・ラブス(Polymer Labs)PLゲルカラム及びポリエチレンオキシド又はポリスチレン標準物質を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定する。
【0111】
例1〜17:脂肪酸メチルエステルから製造された種子油ポリオールのための一般的重合手順
ヒドロキシメチル化した脂肪酸メチルエステルモノマーを、容量が500mL〜5000mLである三つ口反応フラスコの中に移した。容量の選択は、当業者に一般に知られており、使用する出発物質の量に依存性である。この反応器に、機械式攪拌機、充填凝縮器、窒素パージ、サーモウォッチ付き加熱マントル及び温度計を取り付けた。真空ラインにドライアイストラップを取り付け、そして真空調節器を取り付けた。開始剤及びモノマーを添加し、そして反応器の内容物を攪拌し、20トール真空下で50℃まで加熱しながら脱気した。温度が安定したとき、触媒を添加し、そして温度を最終特定反応温度まで上昇させた。真空についての初期設定を100トールで開始し、そして圧力を5〜20トールまでゆっくり下げた。加熱を、特定反応温度で、メタノール損失がもはや観察できなくなるまで、通常少なくとも約1時間で28時間以下、続けた。加熱を続け、5〜20トールの圧力をなお維持しながら、窒素の遅い流れを、窒素パージを通して添加した。重合を1時間以上28時間以下続けた。幾つかの特定された場合に、バノックス945又はイルガノックス5057のような酸化防止剤を、液体ポリマーを窒素下でガラスジャーに移す直前に添加した。
【0112】
下記の表は、本発明のポリオールを製造するために使用した処方を記載する。下記の本発明の実施例は、本発明の範囲を例示するが、限定するものではないことを意味する。全ての表に於いて、用語「M/I比」は、ヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステルモノマー対開始剤のモル比を示すと意味される。触媒は、下記の指示に従って同定される。Sn(II)はオクタン酸第一スズである。Sn(IV)はジブチルスズジラウレートである。Ti(IV)はチタンテトライソプロポキシドである。Caは酢酸カルシウムである。
【0113】
例1〜10:9(10)−ヒドロキシメチルステアレートから製造されたポリオール
特定された開始剤及び触媒を使用し、前記の手順を使用し、そして下記の表Iに詳記したようにして、9,(10)−ヒドロキシメチルステアレートからポリオールを製造した。
【0114】
【表1】

【0115】
例11〜18:植物油のヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステルから製造したポリオール
前記の一般的手順を使用して、大豆油のヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステルから、植物油系ポリオールを製造した。これらのポリオールを下記の表IIに示す。
【0116】
【表2】

【0117】
例19〜22:CEI−625開始剤及びオクタン酸第一スズ触媒を使用する、植物油系ポリオールの大規模製造
大豆油のヒドロキシメチル化メチルエステル及びCEI−625を、攪拌付き反応器内で一緒にし、そして反応器上で真空を引き、反応器に窒素を再充填することによって、酸素を反応器からパージした。触媒(オクタン酸第一スズ)を反応器に添加し、そして攪拌を続けた。遅い窒素スパージ(sparge)を反応器に供給し、80トールの真空を維持しながら、この混合物を205℃に加熱した。遅い窒素掃気をしながら一定真空下で、加熱を最低4時間続けた。この混合物を62℃に冷却し、そして酸化防止剤イルガノックス5057(121g)を、攪拌を続けながら添加した。
【0118】
下記の例に於いて、FAMEは、重合のために使用した脂肪酸メチルエステルの源泉を示し、HMSはヒドロキシメチルステアレートを示し、そしてSoyはヒドロキシメチル化した大豆油を示す。触媒Sn(II)はオクタン酸第一スズである。実施例19〜22のポリオールの特性及び反応条件を、表IIIに示す。
【0119】
【表3】

【0120】
例23〜24:リパーゼ−触媒作用、サッカリドー開始ポリオール
大豆油から製造したヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステルモノマーを、容量が1000mL〜5000mLである三つ口反応フラスコの中に移した。容量の選択は、当業者に一般に知られており、使用する出発物質の量に依存性である。この反応器に、機械式攪拌機、充填凝縮器、窒素パージ、サーモウォッチ付き加熱マントル及び温度計を取り付けた。真空ラインにドライアイストラップを取り付け、そして真空調節器を取り付けた。
【0121】
反応剤(モノマー及び開始剤)をフラスコの中に秤量し、20トール真空下で50℃まで加熱した。この脱気工程に続いて、触媒(0.5g)を添加した。反応器を50℃で20トール真空で6時間維持した。次いで、反応器を20トール真空下で60℃に加熱し、そこで更に12時間保持した。反応器を50℃まで冷却し、ガラスウールの栓を有する漏斗を通して、生成物を濾過した。この生成物は、室温で放置すると固化した。このポリオールの特性及び反応条件を表IVに示す。
【0122】
【表4】

【0123】
例25〜26:NMP共溶媒と共に製造した、サッカリドー開始種子油ポリオール
大豆油から誘導したヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステルモノマーを、容量が1000mL〜5000mLである三つ口反応フラスコの中に移した。この反応器に、機械式攪拌機、充填凝縮器、窒素パージ、サーモウォッチ付き加熱マントル及び温度計を取り付けた。真空ラインにドライアイストラップを取り付け、そして真空調節器を取り付けた。反応剤(モノマー及び開始剤)をフラスコの中に秤量し、20トール真空下で195℃まで加熱した。このシステムをこの温度で3時間維持し、その間にシステムから水を除去した。システムを20トール真空下で195℃に5時間加熱して、残りの水を除去した。
【0124】
システムを開き、そして0.71gの触媒を添加した。反応器を20トール真空下で195℃に加熱し、そこで6時間保持した。反応器を170℃まで冷却し、そして522gのNMP及び他の0.71gの触媒装入物を添加した。この温度を2時間維持した。次いで、40gの炭酸カリウムを添加し、そして真空を100トールで維持した。この温度を3時間維持した。反応器には、透明な暗琥珀色の非常に粘稠な液体が含まれていた。NMPを除去した。もうこれ以上NMPが除去できなくなった後、反応器を停止し、固体形成を回避するために80℃で放置した。反応器を180℃に加熱し、ガラスウールの栓を含む漏斗を通してゆっくり空けて、全ての固体炭酸塩を除去した。液体流動を保持するために、加熱ランプが必要であった。これらの実施例に於いて、触媒Sn(II)はオクタン酸第一スズであった。例25及び26についての特性及び運転条件を表Vに示す。
【0125】
【表5】

【0126】
例27〜28:Sn(II)/K2CO3共触媒で製造された種子油ポリオール
下記の例に於いて、触媒は、下記の指示に従って同定される。Sn(II)はオクタン酸第一スズであり、K2CO3は炭酸カリウムである。
【0127】
ヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステルモノマーを、容量が(容量の選択は、当業者に一般に知られており、使用する出発物質の量に依存性である。)1000mL〜5000mLである三つ口反応フラスコの中に移した。この反応器に、機械式攪拌機、充填凝縮器、窒素パージ、サーモウォッチ付き加熱マントル及び温度計を取り付けた。真空ラインにドライアイストラップを取り付け、そして真空調節器を取り付けた。
【0128】
反応剤(モノマー及び開始剤)をフラスコの中に秤量し、100トール真空下で90℃まで加熱した。30分後に、真空を壊し、そしてK2CO3を添加した。反応器を100トール真空下で120℃に加熱し、そして1時間後に、オクタン酸第一スズを添加した。圧力を50トールまで下げ、そしてシステムは、6時間後に目視により粘稠でそして僅かに黄色になった。反応器を60℃に加熱し、そして生成物を貯蔵容器に移した。
【0129】
【表6】

【0130】
例29:アミン含有開始剤から製造した種子油ポリオール
大豆油から誘導したヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステル混合物(Soyモノマー)(100g)を、磁気攪拌機、水分トラップ付き凝縮器/窒素パージ、サーモウォッチ付き加熱マントル及び温度計を取り付けた、250mLの三つ口フラスコの中に移した。エチレンジアミン(9.12g)を添加し、そしてN2下で140℃に加熱した。温度が安定になって、2−エチルヘキサン酸スズ(II)触媒(0.1133g)を添加し、そしてこの混合物を一夜攪拌した。次いで、窒素ラインを、真空ラインで置き換えた。真空を、50トールまで徐々に下げた。真空が安定であることを確保するために、反応を周期的にモニターした。重合を一夜続けた。真空を取り外し、そしてポリオールを冷却し、集めた。このポリオールは25℃で固体であり、ポリオールのMp、Mn、Mw、Mz及びPDは、955、1034、1316、1598及び1.27であった。
【0131】
例30:モノマー及び開始剤の異なった添加順序で製造した種子油ポリオール
VOBモノマー(大豆油から誘導したヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステル混合物)のみを、フラスコの中に秤量し(8.5モル)、そして反応器を20トール真空下で50℃に加熱した。脱気に続いて、真空を破壊し、そして1.58gの触媒(オクタン酸スズII)を添加し、そしてシステムを20トールで195℃に加熱した。単独重合がゲル化まで進まなかったことを確実にするために、反応を綿密にモニターした。4時間後に、溶液は195℃でも顕著に粘稠であり、反応器を停止し、サンプリングし、そして窒素下で一夜放置した。CEI−625開始剤を、フラスコの中に秤量し(1.38モル)、そして反応器を20トール真空下で195℃に加熱した。溶液は、加熱した後でも顕著に濁っていた。195℃で約2時間後に、システムは透明になり、そして溶液は遙かに粘稠でなくなっていた。約8時間後に、反応器を100℃まで冷却し、そして9.1gのイルガノックス1076及び5.1gのバノックス945を添加し、ポリオールをガラス貯蔵容器の中に集めた。このポリオールの特性を表VIIに示す。
【0132】
【表7】

【0133】
例31〜67:種子油ポリオールからのポリウレタンの製造方法
全てのフォームサンプルを、下記の一般的手順に従った一致する方法で製造した。
【0134】
軟質及び硬質ポリウレタンフォームの製造のために使用する化学成分には、これらに限定されないが、下記のものが含まれる。
【0135】
ジエタノールアミン(DEOA)は、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能である成形フォーム架橋剤である。
【0136】
ダブコ(Dabco)33LVは、67%のジプロピレングリコール中の33%の結晶性ジエチレントリアミンである。これは、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)から入手可能である成形フォーム触媒である。
【0137】
ダブコDC5164は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から入手可能である成形フォームシリコーン界面活性剤である。
【0138】
テゴスタブ(Tegostab)−b8708は、デグッサ・ゴールドシュミット・ケミカルズ社(Degussa Goldschmidt Chemicals Corp.)から入手可能である成形フォームシリコーン界面活性剤である。
【0139】
ニアックス(Niax)A−400は、40%の第三級アミン/カルボン酸塩(企業秘密)、40%の水、20%のビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル及び4%のヒドロキシル化合物(企業秘密)からなる成形フォームアミン触媒である。クロンプトン・OSi・スペシャルティーズ社(Crompton OSi Specialties Co.)から入手可能。
【0140】
ニアックスA−300は、40%の第三級アミン/カルボン酸塩(企業秘密)、20%のトリエチレンジアミン及び40%の水からなる成形フォームアミン触媒であり、クロンプトン・OSi・スペシャルティーズ社から入手可能。
【0141】
ポリキャット(Polycat)58は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から入手可能な、成形フォームで使用される特許権を有する組成アミン触媒である。
【0142】
ポリキャット5は、ペンタメチルジエチレントリアミンである。エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から入手可能である硬質フォーム触媒。
【0143】
ポリキャット8は、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンである。エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から入手可能である硬質フォーム触媒。
【0144】
DC−5160、軟質スラブ材フォームシリコーン界面活性剤は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から入手可能である。
【0145】
L−626は、クロンプトン社から入手可能な、低レジリエンス粘弾性軟質スラブ材フォーム界面活性剤である。
【0146】
D−8264は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から入手可能な、スラブ材フォーム用の最適化されたアミン触媒ブレンドである。
【0147】
これらの配合物のために使用した水は、蒸留した脱イオン水である。
【0148】
フタル酸ジオクチル中の33重量%のオクタン酸第一スズ触媒であるT−95は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から入手可能である。
【0149】
2.7平均官能性、13重量%エチレンオキシド、ヘテロフェッド(heterofed)3100MWポリオールであるボラノール3137Aは、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能である。
【0150】
ボラノール3136(3100MW13%EOヘテロクリアーポリオール)及び43重量%スチレン/アクリロニトリル固体をベースにする1807当量重量コポリマーポリオールであるボラノール3943Aは、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能である。
【0151】
ボラノール3512:2.7官能性、3500MW13重量%エチレンオキシド、ヘテロフェッドポリオールは、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能である。
【0152】
2.8官能性、3000MW8重量%エチレンオキシドヘテロフェッドポリオールであるボラノール3010は、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能である。
【0153】
2.6官能性、3000MW全プロピレンオキシドポリオールであるボラノール3022Jは、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能である。
【0154】
スペクフレックス(Specflex)NC−632は、軟質成形フォームで使用される、4.7官能性、プロピレンオキシドブロックプラス15%エチレンオキシドキャップド1750EWポリオールである。ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能。
【0155】
スペクフレックスNC−700は、軟質成形フォームで使用される、ボラノール4735(1580の当量重量を有する3.0官能性、プロピレンブロックプラス17%エチレンオキシドキャップドポリオール)をベースにする、40%固体(スチレン−アクリロニトリル)コポリマーポリオールである。公称当量重量は2600である。ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能。
【0156】
ボラノール3136:スラブ材フォームを製造するために使用される、2.7平均官能性、13重量%エチレンオキシドヘテロフェッド3100MWポリオール。ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能。
【0157】
ボラノールCP1421:ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能である、軟質スラブ及び成形フォームで使用される、2.94平均官能性、80%エチレンオキシドヘテロフェッド5000MWポリオール。
【0158】
ダブコT−9は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社から入手可能な、軟質スラブ材フォームで使用される触媒である、安定化されたオクタン酸第一スズである。
【0159】
ボラネート(VORANATE)T−80は、87の当量重量を有するI型TDI(トルエンジイソシアネート)である。軟質フォームを製造する際に使用され、これはザ・ダウ・ケミカル社から入手可能である。
【0160】
パピ(PAPI)27は、134の当量重量を有する2.7官能性ポリマーMDI(メチレンジイソシアネート)である。硬質フォームを製造する際に使用され、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能である。
【0161】
ファイヤーマスター(Firemaster)−550は、ハロゲン化アリールエステル及び芳香族ホスフェートの混合物である。軟質フォームに於ける難燃剤として使用される。グレート・レイクス・ケミカル社(Great Lakes Chemical Co.)から入手可能。
【0162】
L6900は、硬質フォームで使用されるシリコーン界面活性剤である。クロンプトン・Osi・スペシャルティーズ社から入手可能。
【0163】
HCFCフォラン(Forane)141bは、硬質フォームで使用されるヒドロクロロフルオロカーボン発泡剤である。アトンフィナ・ケミカルズ社(Atonfina Chemicals, Inc.)から入手可能。
【0164】
ダイポル(Dypol)6862は、ダイフレックス社(Dyflex)から入手可能な、エステル及びエーテル基を有する溶媒無し薄黄色分岐ポリアルコールである。
【0165】
バイリス(Baylith)Lは、バイエル社(Bayer)から入手可能な、ひまし油中の3オングストロームのモレキュラーシーブスの50%混合物である。
【0166】
ボラネートM220は、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能な、ポリマーMDI官能度2.7である。
【0167】
イソネート(ISONATE)M143は、ザ・ダウ・ケミカル社から入手可能な、カルボジイミド変性した純粋なMDIである。
【0168】
植物油系(VOB)ポリオールからのポリウレタンの製造のための一般的手順
スズ触媒(フタル酸ジオクチル中のオクタン酸第一スズ、T−95)を除く、与えられた配合のポリオール成分の全てを、1クォート容量金属カップの中に、個別に計量し、秤量した。この内容物を、ピン型ミキサーを使用して1800rpmで15秒間予備混合した。次いで、体積によって分配したスズ触媒を、攪拌した成分に添加し、そして1800rpmで更に15秒間混合した。次いで、化学量論的量のトルエンジイソシアネート(ボラネートT−80)を、このカップに添加し、2400rpmで3秒間激しく混合した。次いで、カップ内容物を、ポリエチレン袋で内張りした15インチ×15インチ×10インチの木製箱の中に注いだ。吹き出し時間及び全ての他の識別可能な反応特徴を記録した。フォームバンを、換気したヒュームフード下で一夜硬化させた。次いで、これらを環境貯蔵中に置き、そしてASTM試験方法指定D3574−95を使用する物理的特性評価に付した。
【0169】
示された場合に、他のスラブ材フォームデータを、往復混合ヘッド及びポリオールを除く全ての流れの高圧注入を特徴付ける、一般的な連続機械(ポリメチ(Polymech)又はUBT)上に表した。ポリオール及びイソシアネート温度を、約23℃に維持した。ポリオール出量は20kg/分であった。(例34〜36及び例49〜51で使用したポリオールは、ポリオールタンク内又は混合ヘッド内で、ボラノール3137Aとブレンドした)。
【0170】
一般的手順に従って、下記の配合に従ってフォームを製造し、表に含まれる機械的試験の結果になった。
【0171】
【表8】

【0172】
【表9】

【0173】
これらの例は、110のTDI指数で、連続スラブ材フォーム製造機械上で製造した。
【0174】
【表10】

【0175】
【表11】

【0176】
【表12】

【0177】
【表13】

【0178】
【表14】

【0179】
【表15】

【0180】
【表16】

【0181】
例57:配合物中の高い水レベルを使用して種子油ポリオールから製造した軟質フォーム
【0182】
【表17】

【0183】
例58〜62:種子油ポリオールから製造した硬質フォーム硬質フォームの製造のための一般的手順
フォーム成分を、例58〜62について表XVIIIに於ける比に従って、その中にフォームを形成する容器のサイズのために適している適切な全ブレンド質量に秤量した。イソシアネート成分を、別個に、混合カップの中に秤量した。イソシアネート以外の全ての成分を混合カップの中で一緒にし、そして1000rpmで6秒間攪拌した。次いで、イソシアネートを、ポリオール中の全ての他の成分のブレンドに添加し、この新しい混合物を1000rpmで6秒間ブレンドした。次いで、このフォーム混合物を、その中でフォームを形成する容器の中に注いだ。下記の特徴が測定された。ゲル時間は、フォームの中に挿入した舌圧子が、取り出されたとき糸を曳かない(表面糸曳きは無いが、フォーム内部からの糸曳きはある)時として定義され、そして不粘着時間は、フォーム表面が最早粘着性でないか又は触れても接着しない時として定義される。これらの例の結果を表XVIIIに示す。
【0184】
【表18】

【0185】
例63及び64:植物油系ポリオールから製造したエラストマー及び被膜
例のポリオールを、モレキュラーシーブス(ベイリス(Baylith)L)を添加することによって一緒にブレンドし、そして手で5分間混合した。次いで、このブレンドを、真空オーブン内で泡が残留しなくなるまで脱気した。
【0186】
エラストマー板又は被膜の製造方法
例のポリオール及びイソシアネートを、室温で最低1分間混合して、完全な均一性を得た。得られた混合物を、エラストマーの製造のために厚さ2mmの金型の中に注型するか又は塗膜の製造のために平らな表面の上に流延した。大気条件での薄い層(2mm)の硬化によって、泡を有しない良好なエラストマーが得られた。その代わりに、流延物をオーブン内で75℃で1時間硬化させた。
【0187】
得られたポリウレタンサンプルを、室温で7日間保持し、その後試験するか又はその代わりに、75℃で10時間後硬化させ、その後試験した。
【0188】
【表19】

【0189】
以下に本発明及びその関連態様を以下に列挙する。
態様1.
【化18】

[式中、Rは、ポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール開始剤の残基であり、X及びX′は、同じか又は異なっていてよく、そしてO、N又はNHであり、pは1〜5の整数であり、qは1〜5の整数であり(但し、p+qは3〜8である)、tは3〜8の整数であり、そしてAは、同じか又は異なっていてよく、そしてA1、A2及びA3からなる群から選択され、ここで、A1は
【化19】

であり、A2は、
【化20】

であり、A3は、
【化21】

(式中、m、n、v、r、s、a、b及びcは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ又はそれ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ又はそれ以上であり、そしてv+r+sは10〜18であり、aは0〜35であり、bは0〜35であり、そしてcは0〜35であるが、植物油系ポリオールの任意の分子中の全てのa、b及びcは全てゼロではなく、そして(a+b+c)/(p+q+t)は植物油系ポリオール中で5〜100である)
である]
を含んでなる植物油系ポリオール。
態様2.Aの少なくとも一部がA3である態様1に記載の植物油系ポリオール。
態様3.植物油系ポリオール中に存在するA3の量が植物油系ポリオールの少なくとも0.01重量%で25重量%までである態様2に記載の植物油系ポリオール。
態様4.開始剤が第一級ヒドロキシル又は第一級アミン及び第二級ヒドロキシル又は第二級アミン基を有するポリオール、ポリアミン又はアミノアルコールである態様1に記載の植物油系ポリオール。
態様5.開始剤が第二級ヒドロキシル基を有する態様4に記載の植物油系ポリオール。
態様6.植物油系ポリオールの少なくとも一部が構造:
【化22】

(式中、少なくとも1個のX′−H基は第一級ヒドロキシル又は第一級アミンであり、そして少なくとも1個のX−A−Hは開始剤の第二級ヒドロキシル又は第二級アミンに対応する位置に配置されている)
を有する態様4に記載の植物油系ポリオール。
態様7.植物油系ポリオールの少なくとも一部が、構造
【化23】

(式中、X′−H基の全ては第一級ヒドロキシル又は第一級アミンであり、そしてX−A−H基の全ては開始剤の第二級ヒドロキシル又は第二級アミンに対応する位置に配置されている)
を有する態様6に記載の植物油系ポリオール。
態様8.開始剤がトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセロール、ビス−3−アミノプロピルメチルアミン、ジエチレントリアミン、9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,2,6−ヘキサントリオール、その中に存在するアルコール又はアミン基の少なくとも1個がエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの混合物と反応している上記のもののいずれか及びこれらの組合せからなる群から選択される態様7に記載の植物油系ポリオール。
態様9.開始剤がグリセロール、ペンタエリスリトール、スクロース、ソルビトール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール、エトキシル化ペンタエリスリトール、プロポキシル化グリセロール又はこれらの混合物である態様1に記載の植物油系ポリオール。
態様10.開始剤がグリセロール又はグリセロールのアルコール基の少なくとも1個が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応しているグリセロールである態様1に記載の植物油系ポリオール。
態様11.開始剤がグリセロールである態様10に記載の植物油系ポリオール。
態様12.
【化24】

[式中、Rはポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール開始剤の残基であり、X及びX′は、同じか又は異なっていてよく、そしてO、N又はNHであり、pは1〜5の整数であり、qは1〜5の整数であり(但し、p+qは2〜8である)、tは2〜8の整数であり、そしてAは、同じか又は異なっていてよく、そしてA1、A2及びA3からなる群から選択され、ここで、A1は
【化25】

であり、A2は、
【化26】

であり、A3は、
【化27】

(式中、m、n、v、r、s、a、b及びcは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ又はそれ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ又はそれ以上でありそしてv+r+sは10〜18であり、aは0〜35であり、bは0〜35であり、そしてcは0〜35であるが、全てのa、b及びcは、本質的に全てゼロではなく、Aの少なくとも一部はA3であり、そして(a+b+c)/(p+q+t)は植物油系ポリオール中で0よりも大きく100までである)
である]
を含んでなる植物油系ポリオール。
態様13.(a+b+c)/(p+q+t)が0.5〜50である態様12に記載の植物油系ポリオール。
態様14.(a+b+c)/(p+q+t)が1〜25である態様13に記載の植物油系ポリオール。
態様15.開始剤が第二級ヒドロキシル基を有する態様12に記載の植物油系ポリオール。
態様16.植物油系ポリオールの少なくとも一部が、構造:
【化28】

(式中、少なくとも1個のX′−H基は第一級ヒドロキシル又は第一級アミンであり、そして少なくとも1個のX−A−Hは開始剤の第二級ヒドロキシル又は第二級アミンに対応する位置に配置されている)
を有する態様12に記載の植物油系ポリオール。
態様17.植物油系ポリオールの少なくとも一部が、構造
【化29】

(式中、X′−H基の全ては第一級ヒドロキシル又は第一級アミンであり、そしてX−A−H基の全ては開始剤の第二級ヒドロキシル又は第二級アミンに対応する位置に配置されている)
を有する態様16に記載の植物油系ポリオール。
態様18.開始剤がグリセロールである態様17に記載の植物油系ポリオール。
態様19.開始剤がネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセロール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ビス−3−アミノプロピルメチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン、ジメロールアルコール、水素化ビスフェノール、9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール、1,2,6−ヘキサントリオール、その中に存在するアルコール又はアミン基の少なくとも1個が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの混合物と反応している上記のもののいずれか及びこれらの組合せからなる群から選択される態様12に記載の植物油系ポリオール。
態様20.開始剤がグリセロール又はグリセロールのアルコール基の少なくとも1個がエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応しているグリセロールである態様19に記載の植物油系ポリオール。
態様21.植物油系ポリオールが液体であり、そして少なくとも350の重量平均分子量を有する態様1に記載の植物油系ポリオール。
態様22.重量平均分子量が少なくとも1500である態様21に記載の植物油系ポリオール。
態様23.重量平均分子量が少なくとも1800である態様22に記載の植物油系ポリオール。
態様24.植物油系ポリオールが液体であり、そして少なくとも350の重量平均分子量を有する態様12に記載の植物油系ポリオール。
態様25.重量平均分子量が少なくとも1500である態様24に記載の植物油系ポリオール。
態様26.重量平均分子量が少なくとも1800である態様25に記載の植物油系ポリオール。
態様27.i)ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール又はこれらの混合物である開始剤と、式:
【化30】

(式中、m、n、v、r及びsは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ以上でありそしてv+r+sは10〜18である)
の少なくとも1個を有する植物油系モノマーとを混合し、そして
ii)この混合物を、反応温度に、反応時間、真空下でそして植物油系ポリオールを生成するために十分な量の触媒の存在下で加熱する
ことを含んでなる植物油系ポリオールの製造方法。
態様28.触媒がスズ触媒であり、触媒の量が全混合物の少なくとも100ppm重量である態様27に記載の方法。
態様29.触媒の量が少なくとも250ppmである態様28に記載の方法。
態様30.触媒がチタン触媒であり、触媒の量が少なくとも100ppm重量である態様27に記載の方法。
態様31.触媒の量が少なくとも500ppmである態様30に記載の方法。
態様32.触媒がエチルヘプタン酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、ジブチルスズ(IV)ジラウレート及びこれらの組合せからなる群から選択される態様28に記載の方法。
態様33.触媒がチタンテトライソプロポキシド、チタンテトライソブトキシド又はこれらの組合せである態様30に記載の方法。
態様34.触媒が酵素触媒である態様27に記載の方法。
態様35.触媒がリパーゼである態様34に記載の方法。
態様36.触媒が炭酸塩触媒を含む態様27に記載の方法。
態様37.触媒がK2CO3、NaHCO3又はこれらの組合せである態様36に記載の方法。
態様38.開始剤が少なくとも1個の第二級ヒドロキシル基又は第二級アミノ基を有する態様27に記載の方法。
態様39.開始剤がグリセロールである態様27に記載の方法。
態様40.開始剤が、反応温度及び真空で、植物油系モノマーの不存在下で、最大120分間で実質的に蒸発するような蒸発性を有する態様27に記載の方法。
態様41.ポリイソシアネートと態様1に記載の植物系ポリオールとの反応生成物を含むポリウレタン。
態様42.ポリイソシアネートと態様12に記載の植物系ポリオールとの反応生成物を含むポリウレタン。
態様43.i)触媒の存在下で、式:
【化31】

(式中、m、n、v、r及びsは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ以上でありそしてv+r+sは10〜18である)
の少なくとも1個を有する植物油系モノマーを、VOBモノマーの幾らかの部分が反応するまで加熱し、続いて、
ii)ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール又はこれらの混合物である開始剤を、工程(i)の反応したVOBモノマーに、真空下で、植物系ポリオールを生成するのに十分な時間及び温度で導入することを含んでなる植物系ポリオールの製造方法。
態様44.開始剤が工程(ii)の反応条件で蒸発性である態様43に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)及び(II):
【化1】

[式中、Rはポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール開始剤の残基であり、該開始剤のアミン又はアルコール基の少なくとも一つがアルコキシル化剤と反応されて、該開始剤の数平均分子量が少なくとも625とされており、
X及びX′は、同じか又は異なっていてよく、そしてO、N又はNHであり、pは1〜5の整数であり、qは1〜5の整数であり(但し、p+qは2〜8である)、tは2〜8の整数であり、そしてAは、同じか又は異なっていてよく、そしてA1、A2及びA3からなる群から選択され、ここで、A1は式(III):
【化2】

であり、A2は式(IV):
【化3】

であり、A3は式(V):
【化4】

(式中、m、n、v、r、s、a、b及びcは整数であり、mは3よりも大きく、nはゼロ又はそれ以上でありそしてm+nは11〜19であり、vは3よりも大きく、rはゼロ以上であり、sはゼロ又はそれ以上でありそしてv+r+sは10〜18であり、aは0より大きく35以下であり、bは0より大きく35以下であり、そしてcは0より大きく35以下であるが、A3の量は植物油系ポリオールの少なくとも0.05重量%であり、そして植物油系ポリオール中において(a+b+c)/(p+q+t)は0よりも大きく100までである)
である]
を含んでなる植物油系ポリオール。
【請求項2】
(a+b+c)/(p+q+t)が0.5〜50である請求項1に記載の植物油系ポリオール。
【請求項3】
(a+b+c)/(p+q+t)が1〜25である請求項2に記載の植物油系ポリオール。
【請求項4】
開始剤が第二級ヒドロキシル基を有する請求項1に記載の植物油系ポリオール。
【請求項5】
植物油系ポリオールの少なくとも一部が、構造:
【化5】

(式中、少なくとも1個のX′−H基は第一級ヒドロキシル又は第一級アミンであり、そして少なくとも1個のX−A−Hは開始剤の第二級ヒドロキシル又は第二級アミンに対応する位置に配置されている)
を有する請求項1に記載の植物油系ポリオール。
【請求項6】
植物油系ポリオールの少なくとも一部が、構造
【化6】

(式中、X′−H基の全ては第一級ヒドロキシル又は第一級アミンであり、そしてX−A−H基の全ては開始剤の第二級ヒドロキシル又は第二級アミンに対応する位置に配置されている)
を有する請求項5に記載の植物油系ポリオール。
【請求項7】
開始剤がグリセロールであり、前記グリセロールのアルコール基の少なくとも1個がエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応されている請求項6に記載の植物油系ポリオール。
【請求項8】
開始剤がネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グリセロール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ビス−3−アミノプロピルメチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン、ジメロールアルコール、水素化ビスフェノール、9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール、1,2,6−ヘキサントリオール、その中に存在するアルコール又はアミン基の少なくとも1個が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの混合物と反応している上記のもののいずれか及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の植物油系ポリオール。
【請求項9】
植物油系ポリオールが液体であり、そして少なくとも1500の重量平均分子量を有する請求項1に記載の植物油系ポリオール。
【請求項10】
重量平均分子量が少なくとも1800である請求項9に記載の植物油系ポリオール。
【請求項11】
ポリイソシアネートと請求項1に記載の植物系ポリオールとの反応生成物を含むポリウレタン。

【公開番号】特開2011−80093(P2011−80093A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16662(P2011−16662)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【分割の表示】特願2006−513220(P2006−513220)の分割
【原出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】