説明

植物源からカロテノイドを単離する方法

【課題】植物源からカロテノイドを単離する方法の提供。
【解決手段】ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と;ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と;ルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と;アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と;反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と;沈殿物を濾過、洗浄、及び乾燥させることによって、ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1、5:1、もしくは1:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マリーゴールド花由来の高純度カロテノイド結晶に関し、特にその単離及び精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マリーゴールド花由来の天然カロテノイド結晶は、その大部分が、ルテイン、ゼアキサンチン、及びクリプトキサンチン等のキサントフィルからなり、さらに少量のβ−カロテンも含んでいる。前記結晶については、加齢性黄斑変性症のリスクを減少させ(参照文献:Moeller SM、Jacques PF、Blumberg JB、「The potential role of dietary Xanthophylls in cataract and age related macular degeneration」、Journal of the American College of Nutrition、2000年;19:522S〜527S)、LDLコレステロールを制御し(参照文献:Chopra M.、Thurnham Dl、「Effect of Lutein on oxidation of low density lipoproteins(LDL) in vitro」、Proceedings of the Nutrition Society、1994年;53:1993、#18A)、冠状動脈性心疾患を予防し(参照文献:Howard AN、Williams NR、Palmer CR、Cambou JP、Evans AE、Foote JW等、「Do hydroxy−carotenoids prevent coronary heart disease? A comparison between Belfast and Toulouse」、International Journal of Vitamin and Nutrition Research、1996年;66:113〜118頁)、フリーラジカルを捕捉して免疫力を高める(参照文献:Chew BP、Wong MW、Wong TS、「Effects of Lutein from Marigold extract on immunity and growth of mammary tumors in mice」、Anticancer Research、1996年;16:3689〜3694頁)ことが科学的に立証されている。
【0003】
ルテイン(β−ε−カロテン−3−3’−ジオール)及びゼアキサンチン(β−β−カロテン−3−3’−ジオール)は、反応性の高い水酸基を有するカロテノイド群のキサントフィル類に属し、ヒト及び動物の体内では合成することができない。
【0004】
カロテノイドは、主に植物、藻類、及び光合成細菌に存在する天然の脂溶性色素の一種であり、その光合成過程で重要な役割を果たしている。また、複数の非光合成細菌、酵母、及びカビにもカロテノイドは存在し、光及び酸素による損傷に対して保護作用をもたらし得る。動物はカロテノイドを合成できないようであるが、その多くは、食餌によりカロテノイドを摂取している。カロテノイドは、動物の体内で、明るい色をかもし出し、抗酸化物質として作用し、ビタミンAの前駆物質となることができる(Ong及びTee、1992年;Britton等、1995年)。
【0005】
カロテノイドは、植物の葉、果実、及び花における赤、オレンジ、及び黄の色調の多くに関与しているほか、複数の鳥類、昆虫類、魚類、及び甲殻類の色にも関与している。カロテノイドによる着色の身近な例としては、ニンジン及び柑橘系果実のオレンジ色、ピーマン及びトマトの赤色、及びフラミンゴ及び鮭のピンク色などがある(Pfander、1992年)。約600種類もの様々なカロテノイドが天然に存在することが知られており(Ong及びTee、1992年)、新たなカロテノイドも同定され続けている(Mercadante、1999年)。
【0006】
カロテノイドは、その化学構造により定義される。大多数のカロテノイドは、分子骨格である炭素数40のポリエン鎖から成る。この鎖は、環状末端基(環)で終結され、且つ、酸素含有官能基で補完され得る。炭化水素カロテノイドがカロテンとして知られているのに対し、炭化水素の酸化誘導体は、キサントフィルとして知られている。ニンジンの主要カロテノイドであるβ−カロテンはよく知られたカロテンであり、マリーゴールド花弁の主要な黄色素であるルテインは、一般的なキサントフィルである。
【0007】
カロテノイドの構造により、その色素がどのような生物学的機能を有するかが最終的に決定される。カロテノイドのポリエン骨格において単結合と二重結合が交互に起こる特徴的なパターンにより、カロテノイドは、他の分子から余分なエネルギーを吸収することができ、一方で、カロテノイドの特異な末端基の性質が、その極性に影響を与えている可能性がある。
【0008】
前者が、カロテノイドの生物学的抗酸化特性の説明となるのに対し、後者は、個々のカロテノイドが生体膜と相互作用する方法がそれぞれ異なることの説明となっている(Britton、1995年)。
【0009】
米国特許第5,382,714号は、フリー体ルテインを含有する鹸化マリーゴールドオレオレジンから、天然ルテインを単離する方法を開示している。
【0010】
米国特許第5,648,564号は、水性アルカリ及びプロピレングリコールを使用しているが、カロテノイドエステルは、それらに溶解することも自由に混和することもないため、脂肪酸エステルの鹸化は、高温で極めて長時間行う必要がある。この為、産物が熱及び空気に長時間さらされ、酸化変性産物の形成が進むこととなる。また、前記のような処理時間は、商業的バッチ処理には長すぎる。
【0011】
米国特許第6,743,953号は、酢酸エチル、ヘキサン、アセトン、及びメタノール等の複数の溶媒を用いる最終精製ステップについて説明しているが、このステップでは、前記溶媒の残渣が生じる可能性がある。また、この方法でも3時間におよぶ鹸化を伴う。産物を70℃で長時間加熱すると、鹸化した塊に変性酸化物が生じる可能性がある。
【0012】
米国特許第6,380,442号では、イソプロピルアルコールを用い、鹸化時間90分でカロテノイドの加水分解を行うことを述べている。
【0013】
米国特許第6,504,067号では、鹸化反応に先立ち、マリーゴールドオレオレジンを炭酸ナトリウムで前処理し、さらに希釈リン酸で中和を行い、その後、90℃の温度で8時間水性アルカリを用いた鹸化を行うと述べている。続いて、反応塊を酢酸でpH5.0に再調整し、その後、pHを中性にするために、残渣を十分量の水で洗浄する。この方法には、産物が熱に長時間さらされ、また、不純物を除去するために、あまりに多くの酸性化及び中和化という工程が伴うという短所がある。
【0014】
国際公開公報番号WO2006/114794では、トランス−ルテインなどのカロテノイドを、マリーゴールド花弁から単離及び精製する方法が開示されている。しかしながら、前記公報では、トランス−ルテイン及びトランス−ゼアキサンチンを特定の所望される重量比で含むカロテノイド結晶の混合物を単離する方法は開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、カロテノイドを単離するための現実的で効率的な方法である。本方法は、管理された嫌気性条件下でマリーゴールド花弁をエンシレージし、前記花弁中のカロテノイド含量を固定し増加させる段階と、スクリュープレスなどの工程を数回行って脱水する段階と、細断する段階と、環境への影響が小さい発生炉ガスを熱媒体として用いた乾燥機で、排気筒からの有害な排気を伴わない流動床乾燥(fluidised bed drying)を行い、乾燥粗粉末を得る段階とからなる。次に、カロテノイドエステルの抽出率を高めるため、前記乾燥粗粉末を、適当な大きさ、密度、及び硬さにペレット化する。前記ペレットは、食品用ヘキサンを用いて溶媒抽出され、その後、オレオレジンを大きく劣化させることなく可能な限り溶媒を揮散させる。
【0016】
続いて、アルカリを添加する前に前記オレオレジンを無水アルコールで均質化し、そのエステルを70℃〜80℃の温度で鹸化する。この際の鹸化時間は長くても30分である。次に、水及びアルコールの混合物を用いて加水分解カロテノイドを沈殿させ、不要な微量不純物を全て除去するため、熱水で洗浄する。そして、洗浄した結晶を遠心分離機で濾過し、その後、真空下又は大気圧下で乾燥させ、水分及び揮発性有機不純物(存在する場合)を除去する。
【0017】
本発明の利点は、カロテノイドエステルを、わずか30分以内で99%を超える鹸化率で鹸化することができ、変性酸化物形成を引き起こし得る長時間の加熱に産物がさらされない点にある。鹸化した塊は、やや温かい温度条件下で、アルコール及び水の混合物を用いて直ちに沈殿させる。前記温度条件により、1回の工程で大部分の不要な未反応不純物の除去が達成される。均質化、鹸化、沈殿、濾過、及び洗浄の全工程が、3時間以内で完了可能である。
【0018】
本発明には、時間と温度との組み合わせ、手順の容易さ、及び溶媒の少量使用という利点がある。これらの要因は全て、産物の収率及び安定性に寄与し、商業規模生産における経費を軽減できる。
【0019】
本開示の一態様は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1、5:1、もしくは1:1で含むカロテノイド結晶の単離方法である。前記方法は、ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させる段階と、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と、ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させる段階と、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階とからなる。前記のルテインを多く含むオレオレジンとゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約80:20(w/w)〜90:10(w/w)、約70:30(w/w)〜30:70(w/w)、もしくは約10:90(w/w)〜20:80(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る。アルコール性アルカリを用いて、前記混合オレオレジンを、約70℃〜80℃の温度で加水分解し、反応混合物を得る。前記反応混合物に熱水を添加することで、カロテノイド結晶が沈殿し、沈殿物が形成される。前記沈殿物を濾過、洗浄、及び乾燥することによって、ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1、5:1、もしくは1:1の割合で含むカロテノイド結晶が得られる。
【0020】
また、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1、5:1、もしくは1:1で含むカロテノイド結晶も本開示の態様である。また、上記方法で得られる、前記重量比のカロテノイド結晶も本発明の一部である。カロテノイドをより生物活性なものとする点において、ゼアキサンチンに対するルテインの前記重量比(具体的には、10:1、5:1、もしくは1:1)は重要である。前記のルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1、5:1、もしくは1:1で含むカロテノイド結晶は、酸化防止剤として有用である。前記カロテノイド結晶は、特に眼の治療に良い。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、主にルテインからなるカロテノイドをマリーゴールド花弁から単離及び精製するための現実的で効率的な方法である。栽培品種テーゲィテス・エレクタ(Tagetes erecta)を、種子生成を含む一連の専用作業のもと栽培し、収穫し、さらに、収穫から数時間以内に脱水ユニットへ運ぶ。前記の一連の作業には、熱帯条件に適した非GMO種子の発育及び栽培を含む。次に、花弁を物理的に洗浄した後、直ちにサイロでサイレージ化し、密閉された嫌気性条件下で、適切な濃度の酸化防止剤及びサイレージ用添加剤を噴霧する。
【0022】
前記サイレージ化は、サイレージのpH及び温度を通じて監視され、2〜3週間かけて確実に完全発酵させる。
【0023】
次に、サイレージ化した花弁をサイロから収集し、一連の工程中の脱水工程にかける。サイレージ化した花弁を、2段階で工業用スクリュープレスに付し、水分を滲出させるために圧搾し、含水率を88%から75%へと減じる。次に、流動床乾燥機(fluid bed drier)での乾燥に先立ち、圧搾した花弁を細断する。細断した花弁を、熱風を用いた流動床乾燥機で乾燥させる。前記熱風は、排気筒からの排気が全くなく環境への影響が小さいガス化装置を用いて発生させた発生炉ガス炎で、空気を加熱することによって生じさせる。トンネル型工業用流動床乾燥機は、複数の乾燥室から構成されており、最高温度85℃〜90℃の吸気口から、温度45℃〜50℃の排気口までトンネル内の全域に渡って異なる温度となっている。
【0024】
流動床乾燥機の吸気口から排気口までの経過時間は、最大でもたった30分であり、ここで、75%あった産物中の水分レベルを約10%に減少させる。本乾燥工程の利点は、産物が長時間高熱にさらされないため、熱及び空気への長時間の暴露によって生じる変性酸化物の形成が最小限に抑えられる点にある。
【0025】
乾燥させたマリーゴールド粗粉末を工業用ハンマーミルで粉砕し、細かくして400ミクロン未満の粒子にする。
【0026】
細かくしたマリーゴールド粉末を、工業用ペレタイザーで、大きさ6mm〜10mmのペレットにペレット化する。その際、バインダーとして蒸気/熱水を用い、所望のかさ密度にする。
【0027】
活性成分(すなわち、キサントフィル及びカロテノイド、及びその他のレジノイド及び脂質)の抽出率を最大とするため、前記マリーゴールド花弁ペレットを、向流抽出装置を用いて食品用ヘキサンで抽出する。次に、得られた希薄なミセラを、流下膜式蒸発器及び/又は薄膜式蒸発器で濃縮し、約90%〜95%あった溶媒濃度を約5%まで下げる。次に、得られた濃縮ミセラを真空蒸留に付し、5%あった溶媒レベルを1%に下げる。この溶媒レベル1%の粗マリーゴールドオレオレジンを、窒素気流及び蒸気下で溶媒を揮散させてさらに濃縮し、最終マリーゴールドオレオレジン中の溶媒レベルを1000ppm未満に下げる。本濃縮工程の間、何時においても産物が60℃を超える温度に曝されることはなく、エポキシド等の酸化変性物の形成が最小限に抑えられる。
【0028】
得られたマリーゴールドオレオレジンを、反応器にて、45℃以下の温度で最大10分間攪拌して均質化する。
【0029】
次に、同じ反応器にて、均質化したマリーゴールドオレオレジンに、マリーゴールドオレオレジン量の1.2〜2.0倍量の13%〜15%のアルコール性水酸化カリウム液を添加し、70℃〜80℃の温度にて30分以内で加水分解する。ここで使用されるアルコールは、含水率5%未満の無水エチルアルコールである。鹸化度は、薄層クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のいずれかにより確認し、鹸化率が99%を超えたのを確認した後、同じ温度でさらに10分間加熱する。
【0030】
鹸化した塊に、別の容器で65℃〜75℃の温度にした熱水を添加し、無水アルコールと水とを1:1〜1:3の割合で含む混合物中でのカロテノイドの結晶化を促進するため、同じ温度で10分間十分に均質化する。ここでは、エチルアルコールと水とが50:50〜25:75の割合で存在することにより、優良なカロテノイド結晶化が促進され、さらに、石鹸、脂質、脂肪、及びその他有機物等の不要な不純物が溶解される。
【0031】
次に、前記の希釈した塊を、窒素又は空気のいずれかを用いた陽圧によるフィルタープレスに投入し、濾過を行う。フィルタープレスのプレート内に収集された塊は、十分な量の熱水を用い、濾液のpHが約7.0の中性に下がるまで、60℃〜70℃の温度の熱水で洗浄を行う。
【0032】
フィルタープレスから収集された湿塊を、薄い層にしてトレーに載せ、産物中の水分レベルが1%未満となり、且つ、有害な有機揮発性不純物が、ガスクロマトグラフィーによる定量検出限界を下回るようになるまで(通常は3〜4時間)、温度50℃〜55℃の大気圧下の棚式乾燥機、又は温度40℃〜45℃の減圧下の真空棚式乾燥機にて乾燥させる。
【0033】
結果として生じた産物は、最小でも90%のカロテノイド(分光光度計定量)を含有し、前記カロテノイドは、最小でも90%のオールトランス−ルテイン、5〜8%オールトランス−ゼアキサンチン、及びそれぞれ1%未満のシス−ルテイン、β−カロテン、及びクリプトキサンチンを含有する(順相HPLC定量)。
【0034】
最終産物中の活性成分(すなわち、カロテノイド及びキサントフィル)の化学回収率は、最終産物の所望の純度に応じ、また、本願方法の若干の修正に伴う、上記方法のパラメータ変化と、それに基づく様々な実施条件に応じ、55%〜80%の間となる。
【0035】
得られたカロテノイド結晶の最終産物は、栄養補助食品及び食品用途に即した適当な医薬品用賦形剤及び乳化剤を最終的な利用法に応じて添加することにより、粉末、ビーズレット、顆粒、油の分散体、及び水の分散体の形態で、大量に調合及び安定化されるが、その際の濃度は1%〜40%と様々であり得る。
【0036】
ルテイン及びゼアキサンチンを両方含むカロテノイド結晶を調製する場合に、ルテイン結晶及びゼアキサンチン結晶を個別に精製した後に結晶調合するといった従来の方法では、ルテイン及びゼアキサンチンの割合が様々に変化してしまう。さらに、従来のような方法では、得られたゼアキサンチン精製結晶の回収率が非常に低く、商業規模では非経済的である。ゆえに、ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1、約5:1、及び約1:1の割合で含むカロテノイド結晶を得るために、ルテイン及びゼアキサンチンを多く含むカロテノイド結晶を植物源から単離する方法もまた必要とされている。
【0037】
本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1、5:1、もしくは1:1の割合で含むカロテノイド結晶を提供する。また、本開示は、別の実施形態として、ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1、5:1、及び1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法を提供する。前記方法は以下のような段階からなる。ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る。ゼアキサンチンを多く含む植物源を、ヘキサンを用い、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る。ルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約80:20(w/w)〜90:10(w/w)、約70:30(w/w)〜30:70(w/w)、もしくは約10:90(w/w)〜20:80(w/w)の割合で混合する。混合したオレオレジンを、アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で加水分解し、反応混合物を得る。前記反応混合物に熱水を添加することで、カロテノイド結晶が沈殿する。この時、熱水に対する反応混合物の割合は、約1:1〜1:1.5(v/v)である。前記の沈殿物を濾過、洗浄、及び乾燥させることで、ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1、5:1、もしくは1:1の割合で含むカロテノイド結晶が得られる。
【0038】
一実施形態において、本開示は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶を提供する。
【0039】
別の実施形態において、本開示は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶を提供する。
【0040】
別の実施形態において、本開示は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1で含むカロテノイド結晶を提供する。
【0041】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法を提供するものであり、前記方法は、ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と;ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と;前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約80:20(w/w)〜90:10(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と;アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と;前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と;ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなる。前記沈殿物を濾過、洗浄、及び乾燥させることによって、ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1の割合で含むカロテノイド結晶が得られる。
【0042】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記植物源は、マリーゴールド花、マリーゴールド花弁、変種マリーゴールド花、変種マリーゴールド花弁、パプリカの果実、及びChinese wolfberries(Lycium barbarum)の漿果からなる群から選択されることを特徴とする。上記方法に特に適した植物としては、野生種マリーゴールド(Tagetes erecta)、変種マリーゴールド、パプリカ、及びChinese wolfberries(Lycium barbarum)などが挙げられるがこれらに限るものでない。
【0043】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記アルコール性アルカリは、エタノール性水酸化ナトリウム及びエタノール性水酸化カリウムからなる群から選択されることを特徴とする。
【0044】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記アルコール性アルカリは、10%〜30%のアルカリ濃度であることを特徴とする。
【0045】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記アルコール性アルカリは、10%〜30%のエタノール性水酸化カリウムであることを特徴とする。
【0046】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、熱水に対する前記反応混合物の割合は、約1:1〜1:1.5(v/v)であることを特徴とする。また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記洗浄工程は、約55℃〜80℃の温度の熱水で行われることを特徴とする。
【0047】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記洗浄工程は、約75℃で行われることを特徴とする。
【0048】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記カロテノイド結晶の乾燥工程は、約55℃〜60℃の温度で行われることを特徴とする。
【0049】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法を提供するものであり、前記方法は、ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と;ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と;前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約70:30(w/w)〜30:70(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と;アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と;前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階(熱水に対するオレオレジンの容量比は1:4であり、これを熱水に対する前記反応混合物の割合で示せば容量比約1:1.4に相当する。)と;ルテイン及びゼアキサンチンを約5:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなる。前記沈殿物を濾過、洗浄、及び乾燥させることによって、ルテイン及びゼアキサンチンを約5:1の割合で含むカロテノイド結晶が得られる。
【0050】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記植物源は、マリーゴールド花、マリーゴールド花弁、変種マリーゴールド花、変種マリーゴールド花弁、パプリカの果実、及びChinese wolfberries(Lycium barbarum)の漿果からなる群から選択されることを特徴とする。上記方法に特に適した植物としては、野生種マリーゴールド(Tagetes erecta)、変種マリーゴールド、パプリカ、及びChinese wolfberries(Lycium barbarum)などが挙げられるがこれらに限るものでない。
【0051】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記アルコール性アルカリは、エタノール性水酸化ナトリウム及びエタノール性水酸化カリウムからなる群から選択されることを特徴とする。
【0052】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記アルコール性アルカリは、10%〜30%のアルカリ濃度であることを特徴とする。
【0053】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記アルコール性アルカリは、10%〜30%のエタノール性水酸化カリウムであることを特徴とする。
【0054】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、熱水に対する前記反応混合物の割合は、約1:1〜1:1.5(v/v)であることを特徴とする。また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記洗浄工程は、約55℃〜80℃の温度の熱水で行われることを特徴とする。
【0055】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記洗浄工程は、約75℃で行われることを特徴とする。
【0056】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記カロテノイド結晶の乾燥工程は、約55℃〜60℃の温度で行われることを特徴とする。
【0057】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法を提供するものであり、前記方法は、ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と;ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と;前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約10:90(w/w)〜20:80(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と;アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と;前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と;ルテイン及びゼアキサンチンを約1:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなる。前記沈殿物を濾過、洗浄、及び乾燥させることによって、ルテイン及びゼアキサンチンを約1:1の割合で含むカロテノイド結晶が得られる。
【0058】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記植物源は、マリーゴールド花、マリーゴールド花弁、変種マリーゴールド花、変種マリーゴールド花弁、パプリカの果実、及びChinese wolfberries(Lycium barbarum)の漿果からなる群から選択されることを特徴とする。上記方法に特に適した植物としては、野生種マリーゴールド(Tagetes erecta)、変種マリーゴールド、パプリカ、及びChinese wolfberries(Lycium barbarum)などが挙げられるがこれらに限るものでない。
【0059】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記アルコール性アルカリは、エタノール性水酸化ナトリウム及びエタノール性水酸化カリウムからなる群から選択されることを特徴とする。
【0060】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記アルコール性アルカリは、10%〜30%のアルカリ濃度であることを特徴とする。
【0061】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記アルコール性アルカリは、10%〜30%のエタノール性水酸化カリウムであることを特徴とする。
【0062】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、熱水に対する前記反応混合物の割合は、約1:1〜1:1.5(v/v)であることを特徴とする。
【0063】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記洗浄工程は、約55℃〜80℃の温度の熱水で行われることを特徴とする。
【0064】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記洗浄工程は、約75℃で行われることを特徴とする。
【0065】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記カロテノイド結晶の乾燥工程は、約55℃〜60℃の温度で行われることを特徴とする。
【0066】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶を提供するものであり、前記結晶は、ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と;ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と;前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約80:20(w/w)〜90:10(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と;アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と;前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と;ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなる方法で得られることを特徴とする。前記沈殿物を濾過、洗浄、及び乾燥させることによって、ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1の割合で含むカロテノイド結晶が得られる。
【0067】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶を提供するものであり、前記結晶は、ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と;ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と;前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約70:30(w/w)〜30:70(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と;アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と;前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と;ルテイン及びゼアキサンチンを約5:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなる方法で得られることを特徴とする。前記沈殿物を濾過、洗浄、及び乾燥させることによって、ルテイン及びゼアキサンチンを約5:1の割合で含むカロテノイド結晶が得られる。
【0068】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1で含むカロテノイド結晶を提供するものであり、前記結晶は、ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と;ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と;前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約10:90(w/w)〜20:80(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と;アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と;前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と;ルテイン及びゼアキサンチンを約1:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなる方法で得られることを特徴とする。前記沈殿物を濾過、洗浄、及び乾燥させることによって、ルテイン及びゼアキサンチンを約1:1の割合で含むカロテノイド結晶が得られる。
【0069】
また、本開示の別の実施形態は、ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1、約5:1、もしくは約1:1で含むカロテノイド結晶の酸化防止剤としての使用方法である。
【0070】
本発明について、種々実施形態を用いて説明しているが、本発明は、本発明の主な範囲を変更又は逸脱することなく、様々な変更又は均等の範囲を行うための技術に限定されるものでもない。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、本願特許請求の範囲内となる全ての他の実施形態を包含するものである。
【0071】
以下の実施例は、本発明の方法及び組成物を例示するものであって、これらに限定されるものでない。その他適切な修正、条件変更の適用、及び天然物の単離・精製過程で普通に起こりうる、当業者にとって当然な技術は、本発明の趣旨及び範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0072】
92.19g/kg又は9.22%のキサントフィルを含むマリーゴールドオレオレジン25kgを、容量100Lの攪拌機能付き反応器に入れる。反応器のジャケット内の蒸気又は熱水を熱媒体として用い、前記オレオレジンを、約40℃で10分間攪拌することにより均質化する。KOH5kg(純度95%)を、エチルアルコール35L(オレオレジンとの容量比1:1.4)に溶解し、エタノール性KOHを調製する。調製したエタノール性KOHを、均質化塊の入った反応容器にゆっくり添加する。鹸化反応は、約75℃で30分間行う。HPLCで鹸化度が99%を超えているのを確認した後、70℃に保持した脱塩熱水40Lを反応混合物に添加し、さらに10分間攪拌する。次に、カロテノイド結晶を含む希釈混合物を、フィルタープレスに投入し、結晶を回収する。追加の熱水約250Lをフィルタープレスにポンプで通し、不要な不純物を洗浄する。この時、濾液のpHは約7.0の中性に下がる。中性であることを確認した後、圧力1.25kgf/cmで窒素陽圧をフィルタープレスに加え、フィルター内の結晶を圧搾する。次に、フィルタープレスプレート上の湿結晶をトレーに集めて薄い層にし、常圧下の棚式乾燥機で、約55℃で3時間乾燥する。
【0073】
最終産物の物理回収率は、6.76%である。得られたカロテノイド結晶は、91.28%のカロテノイド(分光光度計定量)を含有しており、前記カロテノイドの組成は、オールトランス−ルテイン91.99%、オールトランス−ゼアキサンチン6.90%、シス−ルテイン0.27%、β−カロテン0.23%、及びクリプトキサンチン0.5%である(HPLC定量)。最終産物の化学回収率は、66.9%である。
【0074】
最終産物の含水率は0.57%であり、ガスクロマトグラフィー分析により、最終産物中には微量の残留へキサンも検出されなかった。
【実施例2】
【0075】
102.18g/kg又は10.22%のキサントフィルを含むマリーゴールドオレオレジン25.5kgを、容量100Lの攪拌機能付き反応器に入れる。
【0076】
反応器のジャケット内の蒸気又は熱水を熱媒体として用い、前記オレオレジンを、約45℃で10分間攪拌することにより均質化する。KOH5.1kg(純度95%)を、エチルアルコール40L(オレオレジンとの容量比1:1.56)に溶解し、エタノール性KOHを調製する。
【0077】
調製したエタノール性KOHを、均質化塊の入った反応容器にゆっくり添加する。鹸化反応は、73℃で30分間行う。HPLCで鹸化度が99%を超えているのを確認した後、約65℃に保持した脱塩熱水45Lを反応混合物に添加し、さらに10分間攪拌する。次に、カロテノイド結晶を含む希釈混合物を、フィルタープレスに投入し、結晶を回収する。追加の熱水約275Lをフィルタープレスにポンプで通し、不要な不純物を洗浄する。この時、濾液のpHは約7.0の中性に下がる。中性であることを確認した後、圧力1.2kgf/cmで窒素陽圧をフィルタープレスに加え、フィルター内の結晶を圧搾する。次に、フィルタープレスプレート上の湿結晶をトレーに集めて薄い層にし、600mmHgの減圧下、棚式乾燥機で、約45℃で2時間乾燥する。
【0078】
最終産物の物理回収率は、7.67%である。得られたカロテノイド結晶は、93.76%のカロテノイド(分光光度計定量)を含有しており、前記カロテノイドの組成は、オールトランス−ルテイン92.86%、オールトランス−ゼアキサンチン6.14%、シス−ルテイン0.12%、β−カロテン0.22%、及びクリプトキサンチン0.52%である(HPLC定量)。最終産物の化学回収率は、70.53%である。
【0079】
最終産物の含水率は0.63%であり、ガスクロマトグラフィー分析により、最終産物には微量の残留へキサンも検出されなかった。
【実施例3】
【0080】
8.99g/kg(0.89%)の総カロテノイド(HPLC定量したカロテノイドプロファイル:トランス−ルテイン(T−ルテイン)74.58%、トランス−ゼアキサンチン(T−ゼアキサンチン)4.28%、β−カロテン1.94%、クリプトキサンチン1.02%、及びシス異性体及びエポキシド18.08%)を含有する、ルテインを多く含むマリーゴールド粗粉末20kgを、容量200Lの循環機能付抽出装置へ投入した。食品用ヘキサン(98%を超えるガスクロマトグラフィー純度)120Lを、前記抽出装置に添加し循環させた。温度を約55℃まで上昇させ、循環下で1時間保持した後、抽出物を流し出し、ミセラタンクに収集した。抽出作業は、毎回120Lのヘキサンを使用し、同一温度、同一時間の条件下で2回以上繰り返した。得られた抽出物をミセラタンクに収集した。4回目及び5回目の抽出作業は、それぞれ100Lのヘキサンを使用し、58℃で循環下行った。5回の抽出作業で収集されたミセラ512Lを、蒸発器、好ましくは流下膜式蒸発器もしくは薄膜式蒸発器、に投入し、70%の固体と30%の溶媒とを含有する濃縮ミセラを得た。さらに、蒸留ユニットにて大気圧下で濃縮ミセラを蒸留し、固体濃度95%(溶媒レベル約5%)まで濃縮した。さらに、減圧下(450〜600mmHg)で前記溶媒を留去し、溶媒レベルを1%未満に下げた。回収された溶媒の総量は472Lであり、ガスクロマトグラフィー純度は98%を超えていた。105.3g/kgのカロテノイド(カロテノイド含量10.53%)を含有するオレオレジン1.624kgを、カロテノイド化学回収率95.11%で得た。このようにして得たオレオレジンは、T−ルテイン74.82%、T−ゼアキサンチン5.43%、β−カロテン1.56%、クリプトキサンチン0.80%、及びシス異性体/エポキシド17.38%、というカロテノイドプロファイル(HPLC定量)を示した。
【実施例4】
【0081】
3.29g/kg(0.329%)の総カロテノイド(HPLC定量したカロテノイドプロファイル:T−ゼアキサンチン59.08%、β−カロテン14.80%、T−ルテイン11.77%、α−クリプトキサンチン2.76%、β−クリプトキサンチン2.33%、α−カロテン1.98%、シス−ルテイン0.82%、クリサンテマキサンチン0.22%、及びその他未同定のカロテノイド6.24%)を含む、ゼアキサンチンを多く含むマリーゴールド粗粉末20kg(Ball Horticulture Incより入手。米国特許第6,784,351に基づく。)を、容量200Lの循環機能付抽出装置へ投入した。食品用ヘキサン(98%を超えるガスクロマトグラフィー純度)120Lを、前記抽出装置に投入し、循環させた。温度を約45℃まで上昇させ、循環下で1時間保持した後、抽出物を流し出し、ミセラタンクに収集した。抽出作業は、毎回60Lのヘキサンを使用し、同一温度、同一時間の条件下で3回以上繰り返した。得られた抽出物をミセラタンクに収集した。上記4回の抽出作業で収集されたミセラ255Lを、蒸発器、好ましくは流下膜式蒸発器もしくは薄膜式蒸発器、に投入し、70%の固体と30%の溶媒とを含有する濃縮ミセラを得た。さらに、蒸留ユニットにて大気圧下で濃縮ミセラを蒸留し、固体濃度95%(溶媒レベル約5%)まで濃縮した。さらに、減圧下(450〜600mmHg)で前記溶媒を留去し、溶媒レベルを1%未満に下げた。回収された溶媒の総量は218.8Lであり、ガスクロマトグラフィー純度は98%を超えていた。41.26g/kgの総カロテノイド(総カロテノイド含量4.126%)を含有するオレオレジン1.592kgを、回収率99.82%で得た。ゼアキサンチンの化学回収率は、92.07%であった。このようにして得たオレオレジンは、T−ゼアキサンチン54.49%、β−カロテン9.83%、T−ルテイン22.74%、α−クリプトキサンチン3.07%、β−クリプトキサンチン1.93%、α−カロテン2.75%、シス−ルテイン0%、クリサンテマキサンチン0.07%、及びその他未同定のカロテノイド5.12%、というカロテノイドプロファイル(HPLC定量)を示した。
【実施例5】
【0082】
実施例3で得られたルテインを多く含むマリーゴールドオレオレジンと、実施例4で得られたゼアキサンチンを多く含むマリーゴールドオレオレジンとを、重量比86:14で混合する。96.28g/kgのカロテノイド(カロテノイド含量9.63%)を含有する混合マリーゴールドオレオレジン0.45kgを、熱水槽を用い約40℃にて、容量5.0Lの3頸丸底フラスコ中で約10分間連続攪拌することにより均質化させた。KOH90g(純度約90%、オレオレジン投入量に対し20%)を、エタノール675ml(オレオレジンとの容量比1:1.5)に溶解し、アルコール性KOHを調製した。調製したアルコール性KOHを、均質化マリーゴールドオレオレジンの入った反応容器にゆっくり添加した。鹸化反応は、約75℃で30分間行った。HPLCで鹸化度が99%を超えているのを確認した後、約75℃に保持した脱塩熱水1800ml(熱水に対するオレオレジンの容量比は1:4であり、これを熱水に対する前記反応混合物の割合で示せば容量比約1:1.4に相当する)を鹸化反応混合物に添加し、さらに約10分間攪拌した。カロテノイド結晶を含む希釈鹸化反応混合物をブフナー漏斗で濾過し、カロテノイド結晶を回収した。このようにして得たカロテノイド結晶を、約75℃の熱水3600ml(オレオレジンとの容量比1:8)で洗浄して、不純物を除去した。この時、濾液のpHは約7.0の中性に下がった。次に、フィルター上の湿結晶を収集し、流動床乾燥機にて、約55℃で1時間、もしくは水分レベルが0.3%未満に下がり、且つヘキサン及びアルコールレベルがそれぞれ10ppm及び100ppm未満に下がるまで乾燥させた。
【0083】
T−ルテイン及びT−ゼアキサンチンを多く含む精製カロテノイド結晶36.81gが得られ、最終産物の物理回収率は、8.18%であった。このようにして得たカロテノイド結晶は、91.39%の総カロテノイド(UV可視分光光度計定量)を含有しており、前記総カロテノイドの組成は、オールT−ルテイン89.84%、オールT−ゼアキサンチン9.04%、β−クリプトキサンチン0.43%、及びβ−カロテン0.37%であり、シス−ルテイン及びエポキシドは微量も含まれなかった(HPLC定量)。
【0084】
このようにして得たカロテノイド結晶は、82.10重量%のT−ルテイン及び8.26重量%のT−ゼアキサンチンを含有しており、T−ゼアキサンチンに対するT−ルテインの重量比は、約10:1(9.94)である。
【0085】
ガスクロマトグラフィーを用いて定量すると、このようにして得たカロテノイド結晶は、8.06%のろうを含有していた。最終産物のカロテノイド化学回収率は77.63%であり、ルテイン化学回収率は97.2%、ゼアキサンチン化学回収率は92.4%であった。最終産物の水分含有率は0.29%であり、ガスクロマトグラフィーで68.78ppmのエタノール及び2.36ppmのヘキサンが検出された。
【実施例6】
【0086】
実施例3で得られたルテインを多く含むマリーゴールドオレオレジンと、実施例4で得られたゼアキサンチンを多く含むマリーゴールドオレオレジンとを、重量比50:50で混合する。73.88g/kgのカロテノイド(カロテノイド含量7.388%)を含有する混合マリーゴールドオレオレジン0.45kgを、熱水槽を用い40℃にて、容量5.0Lの3頸丸底フラスコ中で10分間連続攪拌することにより均質化させた。KOH90g(純度約90%、オレオレジン投入量に対し20%)を、エタノール675ml(オレオレジンとの容量比1:1.5)に溶解し、アルコール性KOHを調製した。調製したアルコール性KOHを、均質化マリーゴールドオレオレジンの入った反応容器にゆっくり添加した。鹸化反応は、約75℃で30分間行った。HPLCで鹸化度が99%を超えているのを確認した後、約75℃に保持した脱塩熱水1800ml(熱水に対するオレオレジンの容量比は1:4であり、これを熱水に対する前記反応混合物の割合で示せば容量比約1:1.4に相当する)を鹸化反応混合物に添加し、さらに10分間攪拌した。カロテノイド結晶を含む希釈鹸化反応混合物をブフナー漏斗で濾過し、カロテノイド結晶を回収した。このようにして得たカロテノイド結晶を、約75℃の熱水3600ml(オレオレジンとの容量比1:8)で洗浄して、不純物を除去した。その時、濾液のpHは約7.0の中性に下がった。次に、フィルター上の湿結晶を収集し、流動床乾燥機にて、約55℃で1時間、もしくは、水分レベルが0.3%未満に下がり、且つヘキサン及びアルコールレベルがそれぞれ10ppm及び100ppm未満に下がるまで乾燥させた。
【0087】
T−ルテイン及びT−ゼアキサンチンを多く含む精製カロテノイド結晶27.45gが得られ、最終産物の物理回収率は、6.1%であった。このようにして得たカロテノイド結晶は、90.71%の総カロテノイド(UV可視分光光度計定量)を含有しており、前記総カロテノイドの組成は、オールT−ルテイン81.80%、オールT−ゼアキサンチン16.2%、β−クリプトキサンチン0.69%、及びβ−カロテン0.95%であり、シス−ルテイン及びエポキシドは微量も含まれなかった(HPLC定量)。
【0088】
このようにして得たカロテノイド結晶は、74.2重量%のT−ルテイン及び14.69重量%のT−ゼアキサンチンを含有しており、T−ゼアキサンチンに対するT−ルテインの重量比は、約5:1(5.05)である。
【0089】
ガスクロマトグラフィーを用いて定量すると、このようにして得たカロテノイド結晶は、9.20%のろうを含有していた。最終産物のカロテノイド化学回収率は74.89%であり、ルテイン化学回収率は79.99%、ゼアキサンチン化学回収率は83.20%であった。最終産物の水分含有率は0.30%であり、ガスクロマトグラフィーで40.30ppmのエタノール及び6.86ppmのヘキサンが検出された。
【実施例7】
【0090】
実施例3で得られたルテインを多く含むマリーゴールドオレオレジンと、実施例4で得られたゼアキサンチンを多く含むマリーゴールドオレオレジンとを、重量比15:85で混合する。51.27g/kgのカロテノイド(カロテノイド含量5.12%)を含有する混合マリーゴールドオレオレジン0.45kgを、熱水槽を用い40℃にて、容量5.0Lの3頸丸底フラスコ中で約10分間連続攪拌することにより均質化させた。KOH90g(純度約90%、オレオレジン投入量に対し20%)を、エタノール675ml(オレオレジンとの容量比は1:1.5)に溶解し、アルコール性KOHを調製した。調製したアルコール性KOHを、均質化マリーゴールドオレオレジンの入った反応容器にゆっくり添加した。鹸化反応は、約75℃で30分間行った。HPLCで鹸化度が99%を超えているのを確認した後、約75℃に保持した脱塩熱水1800ml(熱水に対するオレオレジンの容量比は1:4であり、これを熱水に対する前記反応混合物の割合で示せば容量比約1:1.4に相当する)を鹸化反応混合物に添加し、さらに約10分間攪拌した。カロテノイド結晶を含む希釈鹸化反応混合物をブフナー漏斗で濾過し、カロテノイド結晶を回収した。このようにして得たカロテノイド結晶を、約75℃の熱水3600ml(オレオレジンとの容量比は1:8)で洗浄して、不純物を除去した。その時、濾液のpHは約7.0の中性に下がった。次に、フィルター上の湿結晶を収集し、流動床乾燥機にて、約55℃で1時間、もしくは、水分レベルが0.3%未満に下がり、且つヘキサン及びアルコールレベルがそれぞれ10ppm及び100ppm未満に下がるまで乾燥させた。
【0091】
T−ルテイン及びT−ゼアキサンチンを多く含む精製カロテノイド結晶13.13gが得られ、最終産物の物理回収率は、2.92%であった。このようにして得たカロテノイド結晶は、91.43%の総カロテノイド(UV可視分光光度計定量)を含有しており、前記総カロテノイドの組成は、オールT−ルテイン47.45%、オールT−ゼアキサンチン46.25%、β−クリプトキサンチン0.85%、β−カロテン4.28%、シス−ルテイン0.25%、及びクリサンテマキサンチン0.25%であった(HPLC定量)。
【0092】
このようにして得たカロテノイド結晶は、43.38重量%のT−ルテイン及び42.28重量%のT−ゼアキサンチンを含有しており、T−ゼアキサンチンに対するT−ルテインの重量比は、約1:1(1.02)である。
【0093】
ガスクロマトグラフィーを用いて定量すると、このようにして得たカロテノイド結晶は、8.52%のろうを含有していた。最終産物のカロテノイド化学回収率は52.03%であり、ルテイン化学回収率は58.3%、ゼアキサンチン化学回収率は74.2%であった。最終産物の水分含有率は0.30%であり、ガスクロマトグラフィーで15.38ppmのエタノール及び8.4ppmのヘキサンが検出された。
【実施例8】
【0094】
8.99g/kg(0.89%)の総カロテノイド(HPLC定量したカロテノイドプロファイル:T−ルテイン74.58%、T−ゼアキサンチン4.28%、β−カロテン1.94%、クリプトキサンチン1.02%、及びシス異性体及びエポキシド18.08%)を含む、ルテインを多く含むマリーゴールド粗粉末80kgを、容量1KLの循環機能付抽出装置に投入した。食品用ヘキサン(98%を超えるガスクロマトグラフィー純度)480Lを前記抽出装置に添加し、循環させた。温度を約55℃まで上昇させ、循環下で1時間保持した後、抽出物を流し出し、ミセラタンクに収集した。抽出作業は、毎回480Lのヘキサンを使用し、同一温度、同一時間の条件下で2回以上繰り返した。得られた抽出物をミセラタンクに収集した。4回目及び5回目の抽出作業は、それぞれ400Lのヘキサンを使用し、約58℃の温度で循環下行った。5回の抽出作業で収集されたミセラ2084Lを、蒸発器、好ましくは流下膜式蒸発器もしくは薄膜式蒸発器、に投入し、70%の固体と30%の溶媒とを含有する濃縮ミセラを得た。さらに、蒸留ユニットにて、大気圧下で濃縮ミセラを蒸留し、固体濃度95%(溶媒レベル約5%)まで濃縮した。さらに、減圧下(450〜600mmHg)で前記溶媒を留去し、溶媒含量を1%未満に下げた。回収された溶媒の総量は1916Lであり、ガスクロマトグラフィー純度は98%を超えていた。103.83g/kgのカロテノイド(カロテノイド含量10.38%)を含有するオレオレジン6.728kgを、カロテノイド化学回収率97.13%で得た。このようにして得たオレオレジンは、T−ルテイン73.9%、T−ゼアキサンチン5.89%、β−カロテン1.34%、クリプトキサンチン0.52%、及びシス異性体/エポキシド18.35%というカロテノイドプロファイル(HPLC定量)を示した。
【0095】
上記のようにして得られた103.8g/kgのカロテノイド(カロテノイド含量10.38%)を含有するルテインを多く含むマリーゴールドオレオレジン6.3kgを、ジャケット内の熱水循環により保持された約40℃の温度にて、容量100Lの反応器中で10分間連続攪拌することにより、均質化させた。KOH1.26kg(純度約90%、オレオレジン投入量に対し20%)を、エタノール9.4L(オレオレジン:エタノール=1:1.5w/v)に溶解し、アルコール性KOHを調製した。調製したアルコール性KOHを、均質化マリーゴールドオレオレジンの入った反応容器にゆっくり添加した。鹸化反応は、約75℃で30分間行った。HPLCで鹸化度が99%を超えているのを確認した後、75℃の温度に保持した脱塩熱水25.2L(熱水に対するオレオレジンの容量比は1:4であり、これを熱水に対する前記反応混合物の割合で示せば容量比約1:1.4に相当する)を鹸化反応混合物に添加し、さらに10分間攪拌した。カロテノイド結晶を含む希釈鹸化反応混合物をフィルタープレスで濾過し、カロテノイド結晶を回収した。このようにして得たカロテノイド結晶を、約75℃の熱水50.4L(オレオレジン:熱水=1:8w/v)で洗浄して、不純物を除去した。この時、濾液のpHは約7.0の中性に下がった。次に、フィルター上の湿結晶を収集し、流動床乾燥機にて、約55℃で1時間、もしくは、水分レベルが0.3%未満に下がり、且つヘキサン及びアルコールレベルがそれぞれ10ppm及び100ppm未満に下がるまで乾燥させた。
【0096】
T−ルテインを多く含む精製カロテノイド結晶520.8gが得られ、最終産物の物理回収率は、8.26%であった。このようにして得たカロテノイド結晶は、90.72%の総カロテノイド(UV可視分光光度計定量)を含有しており、前記総カロテノイドの組成は、オールT−ルテイン93.02%、オールT−ゼアキサンチン6.21%、シス−ルテイン0.18%、β−カロテン0.18%、及びクリプトキサンチン0.41%であった(HPLC定量)。最終産物の化学回収率は、総カロテノイドの72.25%である。
【実施例9】
【0097】
3.29g/kg(0.329%)の総カロテノイド(HPLC定量したカロテノイドプロファイル:T−ゼアキサンチン59.08%、β−カロテン14.80%、T−ルテイン11.77%、α−クリプトキサンチン2.76%、β−クリプトキサンチン2.33%、α−カロテン1.98%、シス−ルテイン0.82%、クリサンテマキサンチン0.22%、及びその他未同定のカロテノイド6.24%)を含む、ゼアキサンチンを多く含むマリーゴールド粗粉末20kg(Ball Horticulture Incより入手。米国特許第6,784,351に基づく。)を、容量200Lの循環機能付抽出装置に投入した。食品用ヘキサン(98%を超えるガスクロマトグラフィー純度)120Lを前記抽出装置に添加し、循環させた。温度を約45℃まで上昇させ、循環下で1時間保持した後、抽出物を流し出し、ミセラタンクに収集した。抽出作業は、毎回60Lのヘキサンを使用し、同一温度、同一時間の条件下で3回以上繰り返した。得られた抽出物をミセラタンクに収集した。上記4回の抽出作業で収集されたミセラ252Lを、蒸発器、好ましくは流下膜式蒸発器もしくは薄膜式蒸発器、に投入し、70%の固体と30%の溶媒とを含有する濃縮ミセラを得た。さらに、蒸留ユニットにて、大気圧下で濃縮ミセラを蒸留し、固体濃度95%(溶媒レベル約5%)まで濃縮した。さらに、減圧下(450〜600mmHg)で前記溶媒を留去し、溶媒含量を1%未満に下げた。回収された溶媒の総量は224Lであり、ガスクロマトグラフィー純度は98%を超えていた。42.88g/kgの総カロテノイド(総カロテノイド含量4.28%)を含有するオレオレジン1.46kgを、回収率95.14%で得た。ゼアキサンチンの化学回収率は、87.74%であった。このようにして得たオレオレジンは、T−ゼアキサンチン54.47%、β−カロテン9.30%、T−ルテイン19.96%、α−クリプトキサンチン3.23%、β−クリプトキサンチン1.89%、α−カロテン2.68%、シス−ルテイン0%、クリサンテマキサンチン0.12%、及びその他未同定のカロテノイド8.35%というカロテノイドプロファイル(HPLC定量)を示した。
【0098】
上記のようにして得られた42.88g/kgの総カロテノイド(総カロテノイド含量4.28%)を含有するゼアキサンチンを多く含むマリーゴールドオレオレジン1.44kgを、ジャケット内の熱水循環により保持された約40℃の温度にて、容量10Lの抽出装置中で約10分間連続攪拌することにより、均質化させた。KOH288g(純度約90%、オレオレジン投入量に対し20%)を、エタノール2.16L(オレオレジン:エタノール=1:1.5w/v)に溶解し、アルコール性KOHを調製した。調製したアルコール性KOHを、均質化マリーゴールドオレオレジンの入った反応容器にゆっくり添加した。鹸化反応は、約75℃で30分間行った。HPLCで鹸化度が99%を超えているのを確認した後、約75℃の脱塩熱水5.76L(熱水に対するオレオレジンの容量比は1:4であり、これを熱水に対する前記反応混合物の割合で示せば容量比約1:1.4に相当する)を鹸化反応混合物に添加し、さらに10分間攪拌し続けた。カロテノイド結晶を含む希釈鹸化反応混合物をヌッチェを用いて濾過し、カロテノイド結晶を回収した。このようにして得たカロテノイド結晶を、約75℃の熱水11.5L(オレオレジン:熱水=1:8w/v)で洗浄し、不純物を除去した。その時、濾液のpHは約7.0の中性に下がった。次に、フィルター上の湿結晶を収集し、流動床乾燥機にて、約55℃で1時間、もしくは、水分レベルが0.3%未満に下がり、且つヘキサン及びアルコールレベルがそれぞれ10ppm及び100ppm未満に下がるまで乾燥させた。
【0099】
T−ゼアキサンチンを多く含む精製カロテノイド結晶22.17gが得られ、最終産物の物理回収率は、1.54%であった。このようにして得たカロテノイド結晶は、75.01%の総カロテノイド(UV可視分光光度計定量)を含有しており、前記総カロテノイドの組成は、オールT−ゼアキサンチン90.20%、オールT−ルテイン6.32%、クリサンテマキサンチン0.10%、α−カロテン0.62%、及びβ−カロテン2.78%であって、シス−ルテイン及びエポキシドは微量も含まれなかった(HPLC定量)。
【0100】
このようにして得たカロテノイド結晶は、67.66重量%のT−ゼアキサンチン及び4.74重量%のT−ルテインを含有しており、総カロテノイドの化学回収率は26.98%であった。
【実施例10】
【0101】
実施例8で得られた結晶と実施例9で得られた結晶とを特定の割合で、実験室用混合ミキサーにて10分間、もしくは最終混合物の色が均一になるまで混合する。混合サンプルの総カロテノイド及びHPLCプロファイルを分析する。T−ゼアキサンチンに対するT−ルテインの割合を10:1と設定し、混合量を様々に変え、3種類の下記混合物1、2及び3をそれぞれ混合調製する。T−ルテインとT−ゼアキサンチンとが10:1で混合された混合物の理論上のプロファイルは、総カロテノイド含量90.21%(UV定量)であり、前記総カロテノイドの組成は、T−ルテイン90.2%、T−ゼアキサンチン8.92%、及びその他カロテノイド0.86%(HPLC定量)である。
【0102】
混合物1:実施例8で得られたT−ルテインを多く含む精製カロテノイド結晶240gと、実施例9で得られたT−ゼアキサンチンを多く含む精製カロテノイド結晶8gとを上述の通り混合する。このようにして得たカロテノイド結晶は、90.26%の総カロテノイド(UV可視分光光度計定量)を含有しており、前記総カロテノイドの組成は、オールT−ルテイン89.0%、オールT−ゼアキサンチン9.82%、β−カロテン及びその他カロテノイド1.18%であり、シス−ルテイン及びエポキシドは微量も含まれなかった(HPLC定量)。上記混合物で得られたT−ゼアキサンチンに対するT−ルテインの割合は、9.06である。
【0103】
混合物2:実施例8で得られたT−ルテインを多く含む精製カロテノイド結晶180gと、実施例9で得られたT−ゼアキサンチンを多く含む精製カロテノイド結晶6gとを上述の通り混合する。混合物2で得られたカロテノイド結晶は、90.63%の総カロテノイド(UV可視分光光度計定量)を含有しており、前記総カロテノイドの組成は、オールT−ルテイン90.86%、オールT−ゼアキサンチン8.03%、β−カロテン及びその他カロテノイド1.11%であり、シス−ルテイン及びエポキシドは微量も含まれなかった(HPLC定量)。上記混合物で得られた割合は、11.31である。
【0104】
混合物3:実施例8で得られたT−ルテインを多く含む精製カロテノイド結晶90gと、実施例9で得られたT−ゼアキサンチンを多く含む精製カロテノイド結晶3gとを上述の通り混合する。混合物3で得られたカロテノイド結晶は、88.82%の総カロテノイド(UV可視分光光度計定量)を含有しており、前記総カロテノイドの組成は、オールT−ルテイン90.61%、オールT−ゼアキサンチン8.63%、β−カロテン及びその他カロテノイド0.76%であり、シス−ルテイン及びエポキシドは微量も含まれなかった(HPLC定量)。上記混合物で得られた割合は、10.49である。
【0105】
上記実験より、同じ割合で混合した場合でも、個々に精製した後に結晶を混合すると、9.06、11.31、及び10.49といった様々な割合となることが明らかである。また、上記で得られたゼアキサンチン精製結晶(実施例9)の回収率が、26.98%と非常に低いことから、商業規模では非経済的であることも明らかである。
【0106】
本発明に対するその他修正及び変更は、本願の開示及び教示から当業者に明らかである。したがって、本願には、本発明の特定の実施形態しか詳細に述べられていないが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正が可能であることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記方法は、
ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と、
ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と、
前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約80:20(w/w)〜90:10(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と、
アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と、
前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と、
ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなることを特徴とする。
【請求項2】
請求項1の方法であり、前記植物源は、マリーゴールド花、マリーゴールド花弁、パプリカの果実、及びChinese wolfberries(Lycium barbarum)の漿果からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法であり、前記アルコール性アルカリは、エタノール性水酸化ナトリウム及びエタノール性水酸化カリウムからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1の方法であり、前記アルコール性アルカリは、10%〜30%のアルカリ濃度であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1の方法であり、熱水に対する前記反応混合物の割合は、約1:1〜1:1.5(v/v)であることを特徴とする方法。
【請求項6】
ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記方法は、
ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と、
ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と、
前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約70:30(w/w)〜30:70(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と、
アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と、
前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と、
ルテイン及びゼアキサンチンを約5:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなることを特徴とする。
【請求項7】
請求項6の方法であり、前記植物源は、マリーゴールド花、マリーゴールド花弁、パプリカの果実、及びChinese wolfberries(Lycium barbarum)の漿果からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6の方法であり、前記アルコール性アルカリは、エタノール性水酸化ナトリウム及びエタノール性水酸化カリウムからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6の方法であり、前記アルコール性アルカリは、10%〜30%のアルカリ濃度であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6の方法であり、熱水に対する前記反応混合物の割合は、約1:1〜1:1.5(v/v)であることを特徴とする方法。
【請求項11】
ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1の割合で含むカロテノイド結晶の単離方法であり、前記方法は、
ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と、
ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と、
前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約10:90(w/w)〜20:80(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と、
アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と、
前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と、
ルテイン及びゼアキサンチンを約1:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなることを特徴とする。
【請求項12】
請求項11の方法であり、前記植物源は、マリーゴールド花、マリーゴールド花弁、パプリカの果実、及びChinese wolfberries(Lycium barbarum)の漿果からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11の方法であり、前記アルコール性アルカリは、エタノール性水酸化ナトリウム及びエタノール性水酸化カリウムからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11の方法であり、前記アルコール性アルカリは、10%〜30%のアルカリ濃度であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11の方法であり、熱水に対する前記反応混合物の割合は、約1:1〜1:1.5(v/v)であることを特徴とする方法。
【請求項16】
ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶であり、前記結晶は、
ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と、
ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と、
前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約80:20(w/w)〜90:10(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と、
アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と、
前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と、
ルテイン及びゼアキサンチンを約10:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階とからなる方法で得られることを特徴とする。
【請求項17】
ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶であり、前記結晶は、
ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と、
ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と、
前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約70:30(w/w)〜30:70(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と、
アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と、
前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と、
ルテイン及びゼアキサンチンを約5:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階と
からなる方法で得られることを特徴とする。
【請求項18】
ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1で含むカロテノイド結晶であり、前記結晶は、
ルテインを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ルテインを多く含むオレオレジンを得る段階と、
ゼアキサンチンを多く含む植物源をヘキサンと接触させ、約40℃〜60℃の温度で抽出し、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンを得る段階と、
前記のルテインを多く含むオレオレジンと、ゼアキサンチンを多く含むオレオレジンとを、約10:90(w/w)〜20:80(w/w)の割合で混合し、均質化して混合オレオレジンを得る段階と、
アルコール性アルカリを用い、約70℃〜80℃の温度で前記混合オレオレジンを加水分解し、反応混合物を得る段階と、
前記反応混合物に熱水を添加してカロテノイド結晶を沈殿させ、沈殿物を形成させる段階と、
ルテイン及びゼアキサンチンを約1:1の割合で含むカロテノイド結晶を得る段階と
からなる方法で得られることを特徴とする。
【請求項19】
ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約10:1で含むカロテノイド結晶。
【請求項20】
ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約5:1で含むカロテノイド結晶。
【請求項21】
ルテイン及びゼアキサンチンを重量比約1:1で含むカロテノイド結晶。


【公開番号】特開2010−254687(P2010−254687A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94863(P2010−94863)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(510108423)カトラ フィトケム プライヴェイト リミテッド. (1)
【氏名又は名称原語表記】Katra Phytochem Private Limited.
【住所又は居所原語表記】No.7,A−1,Attibele Industrial Area,Anekal Taluk,Bangalore,562107,India
【Fターム(参考)】