説明

植物用総合活性栄養素の製造方法

【課題】優れた植物用総合活性栄養素を提供する。
【解決手段】米糠2に、水3と、甲殻類を破砕或いは粉砕したもの又は甲殻類の乾燥物を破砕或いは粉砕したもの4或いは甲殻類のエキスの少なくとも一種類と、酵素5とを混合する。米糠2を100重量%とした場合、水3を1重量%〜60重量%、甲殻類又は甲殻類の乾燥物の粉砕物4或いは甲殻類のエキスの何れか一種類又は複数類を0.001重量%〜10重量%、酵素を0.0001重量%〜0.1重量%とする。そして、米糠2等を収容した容器1を密封し、不活性状態にて熟成、発酵させる。植物の根のまわりに蛋白質、脂肪、カルシウムの他に各種アミノ酸が豊富な前記植物用総合活性栄養素を埋めて使用することにより、植物に好適な栄養素を供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物用総合活性栄養素の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、植物の葉面或いは植物が植栽される根の部分に散布される植物の成長促進剤であって、サンゴ化石、硅藻化石、微生物化石等の化石鉱物を粉砕して構成される化石粉体と、パイナップルより抽出されるパイナップル酵素と、ケイ砂とを主成分とし、これらを水で混合してなる植物の成長促進剤とし、植物に散布することにより、肥料等の栄養分の吸収を効率的に行うことを可能にし、かつ土壌や環境面において何ら影響ない植物の成長促進剤を提供することができるというものである(例えば特許文献1)。
【0003】
また、甲殻類の乾燥物を利用したものとして、中空部を形成した器本体と、前記中空部に設けられた遠赤外線放射セラミックとからなる遠赤外線を利用した活性器であって、前記中空部に甲殻類の乾燥物、有機性炭化物のうち少なくとも一方が設けられたものが公知である(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2000−226303号公報
【特許文献2】特開平7−46964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化石粉体とパイナップル酵素とケイ砂とを主成分とする植物の成長促進剤においては、パイナップル酵素を含むにも拘らず、化石粉体やケイ砂との間に化学反応などを行なうものではない。また、甲殻類の乾燥物を利用する活性器においては、甲殻類の乾燥物をそのまま利用するものである。
【0005】
解決しようとする問題点は、優れた植物用総合活性栄養素を提供する点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、米糠に、水と、甲殻類又は甲殻類の乾燥物或いは甲殻類のエキスの少なくとも一種類と、酵素とを混合し、これら混合物を熟成させることを特徴とする植物用総合活性栄養素の製造法である。
【0007】
請求項2の発明は、前記米糠100重量%に対して、前記水として無菌又は滅菌の水を1〜60重量%、甲殻類又は前記甲殻類の乾燥物或いは甲殻類のエキスの少なくとも一種類を0.001〜10重量%、前記酵素を0.0001〜0.1重量%とすることを特徴とする請求項1記載の植物用総合活性栄養素の製造法である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、植物のまわりに蛋白質、脂肪、カルシウムの他に各種アミノ酸が供給されて、植物に好適な栄養素を供給することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、熟成を良好に行なって植物に好適な栄養素を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0011】
図1は主として鉢植えやプランター等と称する箱植えに適する植物用肥料としての植物用総合活性栄養素の実施例1を示しており、透明プラスチックフィルム(又は透明プラスチックフィルム)からなる袋状の容器1中に、米糠2と、水3と、甲殻類又は甲殻類の乾燥物の粉砕物4或いは甲殻類のエキスの少なくとも一種類と、酵素5とを混合したものを収容し、容器1の開口部1Aを封じ密封して収容したものである。
【0012】
そして、図2に示すように植物、特に鉢植え或いは土等を収容したプランター等植物用容器6に植栽した植物7の根のまわりに前記植物用総合活性栄養素8を埋めて使用するものである。尚、図1は植物用総合活性栄養素8の組成をわかり易く図示したものである。
【0013】
次に、植物用総合活性栄養素8の製造方法について図3〜図5を参照して説明する。図3に示すように、上部を開口した混合用容器9に、米糠2を収容する。次に水3と、甲殻類を破砕或いは粉砕したもの又は甲殻類の乾燥物を破砕或いは粉砕したもの4或いは甲殻類のエキスの少なくとも一種類と、酵素5とを混合した混合物をじょうろ等の注ぎ具10を介して上方より米糠2に均一に注いだ後に、これら米糠2、水3等を均一に攪拌、混合する。
【0014】
前記米糠2は、玄米を精白する際、果皮、胚などが粉状化したものである。前記水3は水道水のように滅菌或いは無菌状態の清水であって、混合物に加水するものである。
【0015】
前記甲殻類は、節足動物の一群であって、分類上は綱または上綱とされ、えび、かに、、あみ、ふじつぼなど多くの類を含み、体は頭、胸、腹部にわかれ、体表は厚く硬い甲殻となり、頭部には二対の触覚をもっている。そして、甲殻類のうち、「あみ」、すなわち甲殻類あみ目の節足動物が好ましい。この「あみ」は形はえびに似て細長く体長約1cm内外であって、体は透明で、内湾または沿岸湖等で表層を浮遊するもので、例えばコマセアミ、イサザアミ或いはナンキョクオキアミなど沖「あみ」などが知られる。そして、このような甲殻類の生の状態のものまたは乾燥したものを破砕したり粉砕して混合するものである。さらに、これら甲殻類の破砕、粉砕するものに代えて、「あみ」エキスを加えてもよい。この「あみ」エキスは、生または乾燥した「あみ」を、水、アルコール、エーテルなどに浸して、その有効成分の溶けた汁を蒸発させて濃厚にしたもので、流動体のものと乾燥したものがある。
【0016】
前記酵素5は、化学反応により触媒として作用する高分子物質であって、加水分解酵素である。例えば酵素としては、黒砂糠をベースに果実類、穀類、海草類など50数類の原材料を使用し、微生物(発酵菌)による培養・発酵を重ね、熟成したもので、主な成分としてアミノ酸、糠分、ミネラルなどを含んでいる植物活性酵素であり、万田発酵株式会社(商品名「旦千花(たちばな)」)などのものが用いられる。
【0017】
そして、前記米糠2、水3と、甲殻類又は甲殻類の乾燥物の粉砕物4或いは甲殻類のエキスの何れか一種類又は複数類と、酵素5との混合比は、米糠2を100重量%に対して、水を1重量%〜60重量%、甲殻類又は甲殻類の乾燥物の粉砕物4或いは甲殻類のエキスの何れか一種類又は複数類を0.001重量%〜10重量%、酵素を0.0001重量%〜0.1重量%とする。
【0018】
次に図4に示すように、合成樹脂製や金属製の貯蔵用外容器11内に、プラスチックフィルム(又はプラスチックフィルム)からなる上部を開口した袋状の貯蔵用内容器12を広げて収容し、そしてこの貯蔵用内容器12に前記攪拌、混合した米糠2、水3と、甲殻類又は甲殻類の乾燥物の粉砕物4或いは甲殻類のエキスの何れか一種類又は複数類と、酵素5を収容する。尚、11Aは貯蔵用外容器11の上部開口を閉塞する蓋である。
【0019】
次に図5に示すように、貯蔵用内容器12の上部開口より空気を抜いた後に、ゴム輪などの封止手段13によって貯蔵用内容器12の上部開口を密封し、さらに貯蔵用外容器11の上部開口を蓋11Aにより封ずる。このようにして混合した米糠2、水3と、甲殻類又は甲殻類の乾燥物の粉砕物4或いは甲殻類のエキスの何れか一種類又は複数類と、酵素5は、貯蔵用外容器11、貯蔵用内容器12の内側に貯蔵されて、ほぼ1カ月常温にて熟成貯蔵が暗所にてなされる。この貯蔵の際、植物性蛋白質や脂肪に富む米糠2が熟成され、さらに動物性蛋白質やカルシウムや各種アミノ酸に富む甲殻類又は甲殻類の乾燥物の粉砕物4或いは甲殻類のエキスの何れか一種類又は複数類が同時に熟成される。
【0020】
このように、水3と、甲殻類又は甲殻類の乾燥物の粉砕物4或いは甲殻類のエキスの何れか一種類又は複数類と、酵素5とを均一に混合した混合物を、さらに米糠2に均一になるように注ぎ、混合、撹拌し、混合した後、貯蔵用外容器11、貯蔵用内容器12内で密封して、不活性状態にて熟成貯蔵、すなわち暗所にて常温で長時間放置して、発酵させたものを、図1に示すように容器1に小分けして収容するものである。
【0021】
このように、植物7の根のまわりに蛋白質、脂肪、カルシウムの他に各種アミノ酸が豊富な前記植物用総合活性栄養素8を埋めて使用することにより、植物7に好適な栄養素を供給することができる。
以下の表1に「あみ」の乾燥物の分析試験結果を示す。
【0022】
【表1】

【0023】
以下の表2、表3に「あみ」の乾燥物から抽出したエキスの分析試験結果を示す。
【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
以下の表4に「あみ」の乾燥物から抽出したエキス中のアミノ酸の分析試験結果を示す。
【0027】
【表4】

【0028】
尚、前記米糠2として、同一出願人による特開平9−188583号公報による稲の栽培によるものが好ましい。これは苗の移植用の圃場、その他の農作物の栽培を目的とする畑地などの土壌、もしくは水耕栽培における栽培用水に、遠赤外線処理を施した乾燥した甲殻類又はこの抽出液を、前記稲の好適成長を及ぼす分量を適宜選定して、混合、散布、又は注液して育成したものである。
【0029】
以下の表5、表6に前記特開平9−188583号公報に係る米糠分析試験結果を示す。
【0030】
【表5】

【0031】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように本発明にかかる植物用総合活性栄養素は、稲作など圃場や畑、或いはハウス栽培などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】本発明の実施例1を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例1を示す第1製造工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例1を示す第2製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例1を示す第3製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
2 米糠
3 水
4 甲殻類の乾燥物を破砕或いは粉砕したもの
5 酵素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米糠に、水と、甲殻類又は甲殻類の乾燥物或いは甲殻類のエキスの少なくとも一種類と、酵素とを混合し、これら混合物を熟成させることを特徴とする植物用総合活性栄養素の製造法。
【請求項2】
前記米糠100重量%に対して、前記水として無菌又は滅菌の水を1〜60重量%、甲殻類又は前記甲殻類の乾燥物或いは甲殻類のエキスの少なくとも一種類を0.001〜10重量%、前記酵素を0.0001〜0.1重量%とすることを特徴とする請求項1記載の植物用総合活性栄養素の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−27932(P2006−27932A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206513(P2004−206513)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(593016835)
【出願人】(592141916)国際テクノ開発株式会社 (1)
【Fターム(参考)】