説明

植物由来成分を有するポリエステルおよびその製造方法

【課題】本発明の目的は、高い生物起源物質含有率を示し、耐熱性に優れたポリエステルおよびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】(i)ポリマー0.06gを1,1,2,2−テトラクロロエタンとp−クロロフェノールとの質量比8:5の混合液10mLに溶解した溶液の35℃における還元粘度が0.40〜1.00dL/gであり、
(ii)融点が220℃〜300℃、ガラス転移温度(Tg)が60℃〜100℃であり、
(iii)5%質量減少温度(Td)が350℃以上である、
ことを特徴とする、下記式(1)の構成単位よりなるポリエステル。
【化1】


(式中、Rは炭素数2〜8の脂肪族基、R、RはそれぞれH、OH、OCH、OCのいずれかである。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリエステルおよびその製造方法に関する。更に詳しくは生物起源物質から誘導され得る部分を含有し、耐熱性および結晶性が良好なポリエステルおよびその製造方法に関する。また、上記ポリエステル原料として好適なモノマー化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物とを重縮合させることにより得られたポリマーであり、その中でもテレフタル酸より得られるポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、以下「PET」と称することがある)は、成形時の透明性、ガスバリア性、耐熱性および機械的強度に優れた性質を有することから、例えば衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィルムやシート、中空成形品であるボトル、その他エンジニアリングプラスチック成形品等多くの分野に用いられている。
【0003】
一般的にポリエステル樹脂は石油資源から得られる原料を用いて製造されるが、現在、石油資源の枯渇および二酸化炭素による地球温暖化が懸念されており、植物などの生物起源物質から得られる原料を用いたポリマーが求められている。そのようなポリマーとして、ポリ乳酸等の種々の脂肪族バイオポリマーが検討されているが、耐熱性や結晶性が不十分であり使用の制限がある。そこで、耐熱性や結晶性の改善を図るために糖質や木質から製造可能な芳香族ヒドロキシカルボン酸原料を用いた芳香族バイオポリマーの検討がなされている。
【0004】
上記のような芳香族ヒドロキシカルボン酸原料としては、例えば、下記式(A)
【化1】

に示した4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸(本明細書では以下「バニリン酸」と呼称することもある)、
また、下記式(B)
【化2】

に示した4−ヒドロキシ−3、5−ジメトキシ安息香酸(本明細書では以下「シリンガ酸」と呼称することもある)が挙げられる。共に木質由来物質であるリグニンから得られ、例えばバニリン酸はリグニンをアルカリ中で酸化分解して得られたバニリンを変換することにより得られる。また、バニリン酸は糖質からの発酵によって得ることも可能である。
【0005】
これまで、上記化合物を含む芳香族ヒドロキシカルボン酸の中でも、バニリン酸ポリマーが検討されてきたが、バニリン酸の単重合体では融点が非常に高すぎて利用が困難であった。
【0006】
そこで、融点を降下させるため、下記式(2)の4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸のように
【化3】

バニリン酸などのヒドロキシ安息香酸のフェノール性ヒドロキシル基をヒドロキシアルキルエーテル化したモノマー化合物を重縮合させたポリエステル(以下、ホモポリエステルと称することがある)が検討されてきた(特許文献1、2、3、非特許文献1参照)。しかし、耐熱性、結晶性及び生物起源物質含有率の全てが高いポリエステルは得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭34−10793号公報
【特許文献2】特公昭35−17345号公報
【特許文献3】特公昭36−17198号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“Holz als Roh−und Werkstoff”,(ドイツ)、Springer−Verlag(シュプリンガー・フェアラーク)、1981年,第39巻,p.107−112
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高い生物起源物質含有率を示し、耐熱性および結晶性に優れたポリエステルおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討し、バニリン酸などのヒドロキシ安息香酸のフェノール性ヒドロキシル基をヒドロキシアルキルエーテル化したモノマー化合物を重縮合させたポリエステルについて、高い生物起源物質含有率を示し、耐熱性および結晶性に優れたものを得る方法を見出し、本発明を完成させた。本発明の要旨を以下に示す。
【0011】
1. (i)ポリマー0.06gを1,1,2,2−テトラクロロエタンとp−クロロフェノールとの質量比8:5の混合液10mLに溶解した溶液の35℃における還元粘度が0.40〜1.00dL/gであり、
(ii)融点が220℃〜300℃、ガラス転移温度(Tg)が60℃〜100℃であり、
(iii)5%質量減少温度(Td)が350℃以上である、
ことを特徴とする、下記式(1)の構成単位よりなるポリエステル。
【化4】

(式中、Rは炭素数2〜8の脂肪族基、R、RはそれぞれH、OH、OCH、OCのいずれかである。)
2. 溶融状態から120℃〜180℃で結晶化させた時の結晶化度が40〜80%、半結晶化時間が4秒〜60秒である上記1項記載のポリエステル。
3. ASTM D6866 06aに準拠して測定された生物起源物質含有率が50〜100%である上記1項または2項に記載のポリエステル。
4.上記1項の式(1)で表されるポリエステル構成単位が下記式(2)で表される4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸由来のポリエステル構成単位であることを特徴とする上記1〜3項のいずれかに記載のポリエステル。
【化5】

5. 重合触媒としてチタン、モリブデン、マンガン、コバルト、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む化合物の存在下に、下記式(3)で表されるモノマー化合物を、常圧で加熱反応させ、次いで減圧下、200℃〜300℃の温度で加熱しながら溶融重縮合させることを特徴とする上記1〜4項のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
【化6】

(式中、Rは炭素数2〜8の脂肪族基であり、R、RはH、OH、OCH、OCのいずれかであり、RはH、CH、C又はC(フェニル基)である。)
6. 下記式(4)で表されるヒドロキシ安息香酸誘導体と、
【化7】

(式中、R、RはそれぞれH、OH、OCH、OCのいずれかであり、RはH、CH、C又はC(フェニル基)である。)
炭素数2〜8の酸化オレフィンもしくはモノハロゲン化脂肪族アルコール、または下記式(5)で表される環状炭酸エステルとを、
【化8】

(式中、Rは炭素数2〜8の脂肪族基である)
アルカリ性触媒の存在下に加熱反応させることを特徴とする上記5項記載の式(3)のモノマー化合物の製造方法。
7. 上記6項において、ヒドロキシ安息香酸誘導体として、下記式(6)で表される4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸誘導体を用い、
【化9】

(式中、RはH、CH、C又はC(フェニル基)である。)
式(5)で表される環状炭酸エステルとしてエチレンカーボネートを用い、アルカリ性触媒としてアルカリ金属炭酸塩を用いる、上記5項記載の式(3)のモノマー化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高い生物起源物質含有率を示し、耐熱性および結晶性に優れたポリエステルおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態につき詳細に説明する。尚、本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0014】
本発明のポリエステルは、前記式(1)の構成単位よりなるポリエステルであり、前記式(1)におけるR、Rのうち一方が水素、もう一方がメトキシ基のもの、又はR、Rの双方がメトキシ基のものが好ましく、Rについては炭素数2〜4の脂肪族基から選ばれる1種類以上のものが好ましい。本発明のポリエステルとして、特に好ましくは、前記式(1)におけるR、Rのうち一方が水素、もう一方がメトキシ基であり、かつRがエチレン基のものである。
【0015】
本発明のポリエステルについて、ポリマー0.06gを1,1,2,2−テトラクロロエタンとp−クロロフェノールとの質量比8:5の混合液10mLに溶解した溶液の35℃における還元粘度が0.40〜1.00dL/gであることが肝要であり、好ましくは0.50〜0.80である。溶液粘度が0.40より低くなると成形品に十分な機械強度を持たせることが困難となる。また、溶液粘度が1.00よりも高くなると溶融粘度が高く成形が困難となり好ましくない。
【0016】
本発明のポリエステルは、その融点が220℃〜300℃であり、好ましくは250℃〜300℃であり、より好ましくは270℃〜300℃である。融点が220℃未満だと耐熱性に劣り、300℃を超えると成形時の熱安定性が悪くなる。
【0017】
本発明のポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が60℃〜100℃であり、好ましくは70℃〜100℃である。ガラス転移温度が60℃未満だと耐熱性が劣り、100℃を超えると成型性が悪くなる。
【0018】
また、本発明のポリエステルは、その5%質量減少温度が350℃以上であり、より好ましくは380℃以上である。5%質量減少温度が350℃未満であると、溶融成形時でのポリマー分解が顕著になり、成型性が悪くなる。
【0019】
本発明のポリエステルは、成型体の機械強度の点からその結晶化度が40〜80%であると好ましく、50%〜80%であるとより好ましい。
【0020】
本発明のポリエステルは、成型加工の点から、その半結晶化時間が溶融させてから120〜180℃まで冷却した時に4〜60秒であると好ましく、4〜40秒であるとより好ましい。
【0021】
本発明のポリエステルは、前記式(1)の構成単位よりなるポリエステルであり、ASTM D6866 06a準拠して測定された生物起源物質含有率が50〜100%であると好ましく、70%〜100%であるとより好ましい。特に好ましくは上記式(1)の構成単位のみからなるポリエステルである。
【0022】
本発明のポリエステルは、上記式(3)で表されるモノマー化合物から製造することができ、製造方法としては溶融重合法が好ましい。上記式(3)で表されるモノマー化合物として、具体的には、4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4−(3−ヒドロキシプロポキシ)安息香酸、4−(4−ヒドロキシブトキシ)安息香酸、4−(5−ヒドロキシヘプトキシ)安息香酸、4−(6−ヒドロキシヘキトキシ)安息香酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸、4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−3−メトキシ安息香酸、4−(4−ヒドロキシブトキシ)−3−メトキシ安息香酸、4−(5−ヒドロキシヘプトキシ)−3−メトキシ安息香酸、4−(6−ヒドロキシヘキトキシ)−3−メトキシ安息香酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメトキシ安息香酸、4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメトキシ安息香酸、4−(4−ヒドロキシブトキシ)−3,5−ジメトキシ安息香酸、4−(5−ヒドロキシヘプトキシ)−3,5−ジメトキシ安息香酸、4−(6−ヒドロキシヘキトキシ)−3,5−ジメトキシ安息香酸およびそのメチルエステル、エチルエステル、フェニルエステルが挙げられる。
【0023】
上記に挙げた前記式(3)のモノマー化合物の中でも、特に4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメトキシ安息香酸、およびそれらのメチルエステル、エチルエステル、フェニルエステルが好ましい。その理由は、原料である4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸(バニリン酸とも言う)及び4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息香酸(シリンガ酸とも言う)は糖質や木質、またはグルコースからの発酵により作ることができるため再生可能な資源として入手可能であるからである。
【0024】
本発明は、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸およびその誘導体など、前記式(3)のモノマー化合物の製造方法に関するものでもあり、前記式(4)のヒドロキシ安息香酸誘導体をアルカリ性触媒の存在下で、炭素数2〜8の酸化オレフィンもしくはモノハロゲン化脂肪族アルコール、または前記式(5)の環状炭酸エステルとともに加熱反応させることによって、前記式(4)のヒドロキシ安息香酸誘導体のフェノール性ヒドロキシル基をヒドロキシアルキルエーテル化し、前記式(3)のモノマー化合物を得るものである。
【0025】
本発明の前記式(3)のモノマー化合物の製造方法における、前記式(4)のヒドロキシ安息香酸誘導体と、上記酸化オレフィン等との反応時の仕込み比は、反応促進の為や副反応抑制の為に一方を過剰に用いることが多く、それらの反応性や価格、除去や再使用の容易さにもよるが、モル比1:1〜1:8であると好ましく、1:1〜1:5であるとより好ましい。
【0026】
本発明の前記式(3)のモノマー化合物の製造方法において、酸化オレフィンを用いると安価で反応性が高いという利点があり、環状炭酸エステルを用いると爆発性などが低く安全性が高いという利点があり、それぞれ好ましい。
【0027】
本発明のモノマー化合物の製造方法に用いることができる炭素数2〜8の酸化オレフィンとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2−ブテンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1−ペンテンオキサイド、2−ペンテンオキサイド、1−ヘキセンオキサイド、1−オクテンオキサイド、などが表示でき、中でもエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが好ましく、特にエチレンオキサイドが好ましい。上記酸化オレフィンは、単独で用いても良く、また、2種以上の混合して用いても構わない。
【0028】
本発明の前記式(3)のモノマー化合物の製造方法に用いることができる炭素数2〜8のモノハロゲン化脂肪族アルコールとしては、2−フルオロエタノール、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノール、2−ヨードエタノール、3−フルオロプロパノール、3−クロロプロパノール、3−ブロモプロパノール、3−ヨードプロパノール、4−フルオロブタノール、4−クロロブタノール、4−ブロモブタノール、4−ヨードブタノール、5−フルオロペンタノール、5−クロロペンタノール、5−ブロモペンタノール、5−ヨードペンタノール、6−フルオロヘキサノール、6−クロロヘキサノール、6−ブロモヘキサノール、6−ヨードヘキサノール、7−フルオロヘプタノール、7−クロロヘプタノール、7−ブロモヘプタノール、7−ヨードヘプタノール、8−フルオロオクタノール、8−クロロオクタノール、8−ブロモオクタノール、8−ヨードオクタノールなどが挙げられ、これらのうち2−ブロモエタノールおよび3−ブロモエタノールがより好ましく、特に2−ブロモエタノールが好ましい。上記モノハロゲン脂肪族アルコールは、単独で用いても良く、また、2種以上を混合してもかまわない。
【0029】
本発明のモノマー化合物の製造方法に用いることができる前記式(5)の環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート(炭酸エチレン)、プロピレンカーボネート(炭酸プロピレン)、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ペンタメチレンカーボネート、ネオペンチルカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート、ヘプタメチレンカーボネート、オクタメチレンカーボネートなどが挙げられる。これらのうちエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリメチレンカーボネートがより好ましく、特にエチレンカーボネートが好ましい。これら環状炭酸エステルは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0030】
本発明の前記式(3)のモノマー化合物の製造方法に用いるアルカリ性触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、カリウムメチラートなどのアルカリ金属アルコラート、金属カリウム、金属ナトリウムなどのアルカリ金属単体、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属有機カルボン酸塩およびこれら二種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものはアルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属炭酸塩であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
【0031】
本発明の前記式(3)のモノマー化合物の製造方法において、上記のアルカリ性触媒の使用量は、前記式(4)のヒドロキシ安息香酸誘導体1molに対して、アルカリ金属元素が0.01mol〜5molとなる量であると好ましく、0.1mol〜3molとなる量であるとより好ましく、0.1mol〜2molとなる量であると特に好ましい。
【0032】
本発明の前記式(3)のモノマー化合物の製造方法は、前記式(4)のヒドロキシ安息香酸誘導体と反応させる化合物として、エチレンオキサイド、エチレンカーボネート、又は2−ブロモエタノールなどを用いるのが好ましい。エチレンオキサイドは植物原料から製造できる再生可能資源のエタノールから製造することができ、またエチレンカーボネートや2−ブロモエタノールなどはエチレンオキサイドから製造することが可能なため、これらと、植物由来のバニリン酸誘導体とを用いて、生物起源物質含有率が100%のポリエステルを製造することが可能である。
【0033】
特に、 本発明の前記式(3)のモノマー化合物の製造方法としては、ヒドロキシ安息香酸誘導体として、下記式(6)で表される4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸誘導体を用い、
【化10】

(式中、RはH、CH、C又はC(フェニル基)である。)
前記式(5)で表される環状炭酸エステルとしてエチレンカーボネートを用い、アルカリ性触媒としてアルカリ金属炭酸塩を用いるものが好ましい。
【0034】
また、本発明は、重合触媒の存在下、前記式(3)のモノマー化合物を常圧で加熱反応させ、次いで減圧下、減圧下で200〜300℃以下の温度で加熱しながら溶融重縮合を行うことによる、前記式(1)で示されるポリエステルの製造方法に関するものでもある。
【0035】
本発明のポリエステルの製造方法においては、前記式(3)のモノマー化合物の反応時に撹拌して、生成するアルコール、水、フェノールなどを留出させることが好ましく、反応系は窒素などの原料、反応混合物に対し不活性なガスの雰囲気に保つことが好ましい。窒素以外の不活性ガスとしては、アルゴンなどを挙げることができる。
【0036】
本発明のポリエステルの製造方法においては、反応初期には常圧で加熱反応させることが肝要である。これはオリゴマー化反応を進行させ、反応後期に減圧してアルコールなどを留去する際、未反応のモノマー化合物の留出を防ぐためである。本発明にかかる製造方法においてはアルコールなどを適宜系(反応器)から除去することにより反応を進めることができる。そのためには、減圧することが効果的であり、モノマー化合物の溜出防止のため、徐々に5〜150Torr(0.67〜20kPa)に減圧し、アルコール類の溜去が完了した後に1Torr(0.13kPa)以下の可能な限りまで減圧するのが好ましい。また、反応温度は、重合反応を適切に進める為には重合温度は200℃〜300℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは200℃〜285℃の範囲である。
【0037】
重合触媒としては、周期律表第I族のリチウム、ナトリウム、カリウム等、周期律表同第II族のカルシウム、ストロンチウム、バリウム、モリブデン、ニッケル、銅、銀、水銀、鉛、白金、パラジウム、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、マンガン、鉄、及びコバルトの、酸化物、水酸化物、アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、有機錯体、及びハロゲン化物等からなる群から選択された少なくとも1種の金属元素成分が含有された化合物および含窒素有機化合物を使用することが可能だが、チタン、モリブデン、マンガン、コバルト、及びゲルマニウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素成分が含有された化合物が好ましく、特にチタン化合物が好ましい。
【0038】
本発明のポリエステルの製造方法における重合触媒として好ましいチタン化合物としては、具体的には、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート、酢酸チタン、蓚酸チタン、乳酸チタン、チタンアセチルアセトナート、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸− 水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、チタンアセチルアセトナートやその他のチタン錯体化合物などが挙げられ、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましい。
【0039】
また、本発明のポリエステルの製造方法において重合触媒として使用できるチタン以外の金属元素の化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、蓚酸ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酸化マンガン、水酸化マンガン、マンガンメトキサイド、酢酸マンガン、安息香酸マンガン、マンガンアセチルアセトナート、塩化マンガン等のマンガン化合物、蟻酸コバルト、酢酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、安息香酸コバルト、コバルトアセチルアセトナート、炭酸コバルト、蓚酸コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト等のコバルト化合物等が挙げられる。
【0040】
更に、上記の金属化合物に加えて、周期律表第I族の金属化合物、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等、周期律表第II族の金属の化合物、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化バリウム、水酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウム等、その他、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、メトキシアンチモン、トリフェニルアンチモン、アンチモングリコレート、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、亜鉛メトキサイド、亜鉛アセチルアセトナート、塩化亜鉛、酸化鉛、メチルメルカプチド鉛、酢酸カドミウムなどを補助的に重合触媒として使用しても良いが、これらの金属化合物を多量に使うと、結晶性などの物性が著しく劣ったポリエステルしか得られないことがあり好ましくない。
【0041】
また、本発明のポリエステルの製造方法における重合触媒として使用できる含窒素有機化合物としては、具体的には、例えば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、2−ジメチルアミノピリジン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、ビピリジン、4−ピロリジノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2.]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等が挙げられる。
また、上記の金属化合物および含窒素有機化合物から選ばれる2種類以上のものを混合して、本発明のポリエステルの製造方法における重合触媒として使用することもできる。
【0042】
本発明のポリエステルの製造方法において、上記の重合触媒の使用量は、前記式(3)のモノマー化合物1モルに対し、好ましくは1×10−9〜1×10−3モル、より好ましくは1×10−8〜5×10−4モルの範囲で選ばれる。また反応は不活性ガス下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどを挙げることができる。更に、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
【0043】
本発明のポリエステルは、本発明の目的を損なわない範囲で、2種類以上の前記式(1の構成単位からなるものであっても良く、またフェノール性ヒドロキシル基がヒドロキシアルキルエーテル化されていない芳香族ヒドロキシカルボン酸との共重合体として用いても良い。そのような芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、4−メトキシ−3−ヒドロキシ安息香酸、3、5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、4−メチル3−ヒドロキシ安息香酸、3−フェニル−4−ヒドロキシ安息香酸、4−フェニル−3−ヒドロキシ安息香酸、2−フェニル−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,4−ジヒドロキシケイ皮酸(コーヒー酸)、(E)−3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)プロパン−2−エノール酸(フェルラ酸)、3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロペノン酸(クマル酸)などが挙げられ、これらは、単独で使用しても2種以上を用いても併用しても良い。
【0044】
また、本発明のポリエステルは、本発明の目的を損なわない範囲で、グリコール酸や乳酸等のヒドロキシ脂肪族カルボン酸、テレフタル酸やアジピン酸などのポリカルボン酸、および多価アルコール、並びにこれらのエステル化物またはオリゴマーを共重合させたものでも良い。
【0045】
本発明のポリエステルは単独で用いてもよく、また本発明の目的を損なわない範囲で他の熱可塑性ポリマー(例えば、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶性ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、シリコーン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンなど)、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、天然繊維、有機繊維、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、タルク、クレーおよびマイカなど)、天然高分子(ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシブチレート/バリレート、ポリヒドロキシバリレート/ヘキサノエート、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の脂肪族芳香族コポリエステル;デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系化合物、イオウ系酸化防止剤など)、難燃添加剤(リン系、ブロモ系など)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系など)、流動改質剤、着色剤、光拡散剤、赤外線吸収剤、有機顔料、無機顔料、離形剤、可塑剤などを添加したものでもよい。
【実施例】
【0046】
以下の実施例により本発明の詳細をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。各物性の測定方法について以下に示す。
【0047】
1)還元粘度ηsp/C
ポリマー(ポリエステル)試料0.06gを、1,1,2,2−テトラクロロエタンとp−クロロフェノールとの質量比8:5の混合溶媒10mL(ポリマー濃度が約0.6g/dL)に溶解した試料溶液を用いて、濃度35℃にて、ウベローデ粘度計を使用して測定した結果より、下記式にて求めた。
ηsp/C[dL/g]=(t/t−1)/0.6
t:試料溶液のフロータイム
:溶媒のみのフロータイム
2)ガラス転移温度、結晶化温度、融点
TA Instruments社製DSC (型式DSC2920)により、昇温速度10℃/min、2nd Runにて測定した。
3)生物起源物質含有率
ASTM D6866 06に準拠し、放射性炭素濃度(percent modern carbon;C14)による生物起源物質含有率試験から、生物起源含有物質率を測定した。
4)5%質量減少温度
Rigaku社製 TGA (型式 TG 8120 Thermo plus)により測定した。
5)半結晶化時間
コタキ商亊株式会社製 結晶化速度測定器 (型式 MK−801型)により測定した。
6)結晶化度測定
Rigaku社製 X線回折装置 (型式 発生器 RAD−rB、光学系 DX−IP〔Nano−viwer〕)により測定した。
【0048】
[実施例1−1] モノマー合成1
4−ヒドロキ−3−メトキシ安息香酸メチル(バニリン酸メチル)70g(0.384モル)とエチレンカーボネート136.18g(1.536モル)を反応器に入れ、窒素雰囲気下常圧で90℃に加熱し溶融させた。
溶融した状態で撹拌下、触媒として炭酸カリウム53.07g(0.384モル)を入れ、24時間反応せしめた。その結果、モノマー化合物である4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸メチル51.08g(収率58.8%)が得られた。
【0049】
[実施例1−2] ポリマー合成1
上記の実施例1−1で得られた4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸メチル50g(0.221モル)を反応器に入れ、重合触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを0.0225g(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸メチル成分1モルに対して3×10−4モル)仕込んで窒素雰囲気下常圧で198℃に加熱し溶融させた。撹拌下、反応槽内を40分かけて徐々に268℃まで温度を上げながら、生成するメタノールを留去し、この状態で1時間かけて10Torr(1.33kPa)まで徐々に減圧し、更にメタノールを留去した。
【0050】
次いで、285℃まで徐々に昇温し、285℃到達後、更に減圧した。最終的に、0.75Torr(0.1kPa)、285℃で6時間反応せしめた。その結果、還元粘度0.467のポリエステルが得られた。このポリエステルの生物起源物質含有率は77.3%であり、融点が275℃であり、ガラス転移温度(Tg)が82℃であり、且つ5%質量減少温度(Td)が396℃と耐熱性、熱安定性いずれも良好であった。また、上記にて得られたポリエステルを295℃で溶融し、溶融状態から120℃で結晶化させた時の半結晶化時間は5.7秒、結晶化度は71%であり、非常に結晶性が良好であった。
【0051】
[実施例2−1] モノマー合成2
4−ヒドロキ−3−メトキシ安息香酸メチル(バニリン酸メチル)70g(0.384モル)と2−ブタノン(メチルエチルケトン)500mLを反応器に入れ、窒素雰囲気下常圧で90℃に加熱させた。バニリン酸メチルが溶解した状態で撹拌下、触媒として炭酸カリウム79.61g(0.576モル)を入れ、さらにブロモエタノール52.73g(0.422モル)/2−ブタノン溶液を滴下させながら6時間反応せしめた。その結果、モノマー化合物である4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸メチル45.45g(収率52.3%)が得られた。
【0052】
[実施例2−2] ポリマー合成2
上記の実施例2−1で得られた4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸メチル50g(0.221モル)を反応器に入れ、重合触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを0.0225g(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸メチル成分1モルに対して3×10−4モル)仕込んで窒素雰囲気下常圧で180℃に加熱し溶融させた。
撹拌下、反応槽内を60分かけて徐々に205℃まで温度を上げながら、生成するメタノールを留去し、この状態で1時間かけて100Torr(13.3kPa)まで徐々に減圧し、さらにメタノールを留去した。
【0053】
次いで、285℃まで徐々に昇温し、285℃に到達後、更に減圧した。最終的に、0.75Torr(0.1kPa)、285℃で5時間反応せしめた。その結果、還元粘度0.512dL/gのポリエステルが得られた。このポリエステルの生物起源物質含有率は77.3%であり、融点が275℃であり、ガラス転移温度(Tg)が82℃であり、且つ5%重量減少温度(Td)が396℃と耐熱性、熱安定性いずれも良好であった。また、上記にて得られたポリエステルを295℃で溶融し、溶融状態から120℃で結晶化させた時の半結晶化時間は6.3秒、結晶化度は54%であり、非常に結晶性が良好であった。
【0054】
[比較例1]ポリマー合成(特公昭36−17198号公報、実施例1の追試)
上記実施例2−1と同じ方法にて得られた4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸メチル50g(0.221モル)を反応器に入れ、重合触媒として酢酸亜鉛および酸化アンチモン0.025g仕込んで窒素雰囲気下常圧で200℃に加熱し溶融させた。
【0055】
撹拌下、200℃で40分加熱後、50分かけて280℃まで温度を上げた後、20分加熱させ、生成するメタノールを留去した。この状態で50Torr(6.7kPa)まで徐々に減圧し、さらにメタノールを留去した。最終的に、0.5Torr(0.067kPa)、280℃で12〜15時間反応した。その結果、還元粘度0.471のポリエステルが得られた。このポリエステルの生物起源物質含有率は77.3%であり、融点が254℃であり、ガラス転移温度(Tg)が79℃であり、且つ5%重量減少温度(Td)が395℃であった。しかし、上記にて得られたポリエステルを溶融し、溶融状態から120℃で結晶化させた時の半結晶化時間は63.9秒、結晶化度は34.6%と非常に結晶性が劣っていた。
【0056】
[参考例1]
ポリブチレンテレフタレート(帝人株式会社製 TRB−HT)を235℃で溶融させた後に140℃で結晶化させ、半結晶化時間及び結晶化度の測定を行ったところ、半結晶化時間は4.2秒、結晶化度は40.3%であった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のポリエステルは、衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィルムやシート、中空成形品であるボトル、その他エンジニアリングプラスチック成形品等多くの分野に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ポリマー0.12gを1,1,2,2−テトラクロロエタンとp−クロロフェノールとの質量比8:5の混合液10mLに溶解した溶液の35℃における還元粘度が0.40〜1.00dL/gであり、
(ii)融点が220℃〜300℃、ガラス転移温度(Tg)が60℃〜100℃であり、
(iii)5%質量減少温度(Td)が350℃以上である、
ことを特徴とする、下記式(1)の構成単位よりなるポリエステル。
【化1】

(式中、Rは炭素数2〜8の脂肪族基、R、RはそれぞれH、OH、OCH、OCのいずれかである。)
【請求項2】
溶融状態から120℃〜180℃で結晶化させた時の結晶化度が40〜80%、半結晶化時間が4秒〜60秒である請求項1記載のポリエステル。
【請求項3】
ASTM D6866 06aに準拠して測定された生物起源物質含有率が50〜100%である請求項1または2に記載のポリエステル。
【請求項4】
請求項1の式(1)で表されるポリエステル構成単位が下記式(2)で表される4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシ安息香酸由来のポリエステル構成単位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル。
【化2】

【請求項5】
重合触媒としてチタン、モリブデン、マンガン、コバルト、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む化合物の存在下に、下記式(3)で表されるモノマー化合物を、常圧で加熱反応させ、次いで減圧下、200℃〜300℃の温度で加熱しながら溶融重縮合させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
【化3】

(式中、Rは炭素数2〜8の脂肪族基であり、R、RはH、OH、OCH、OCのいずれかであり、RはH、CH、C又はC(フェニル基)である。)
【請求項6】
下記式(4)で表されるヒドロキシ安息香酸誘導体と、
【化4】

(式中、R、RはそれぞれH、OH、OCH、OCのいずれかであり、RはH、CH、C又はC(フェニル基)である。)
炭素数2〜8の酸化オレフィンもしくはモノハロゲン化脂肪族アルコール、または下記式(5)で表される環状炭酸エステルとを、
【化5】

(式中、Rは炭素数2〜8の脂肪族基である)
アルカリ性触媒の存在下に加熱反応させることを特徴とする請求項5記載の式(3)のモノマー化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、ヒドロキシ安息香酸誘導体として、下記式(6)で表される4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸誘導体を用い、
【化6】

(式中、RはH、CH、C又はC(フェニル基)である。)
式(5)で表される環状炭酸エステルとしてエチレンカーボネートを用い、アルカリ性触媒としてアルカリ金属炭酸塩を用いる、請求項5記載の式(3)のモノマー化合物の製造方法。

【公開番号】特開2009−256646(P2009−256646A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71907(P2009−71907)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】