説明

植物病害防除組成物およびその用途

【課題】植物病害に対する優れた防除効果を示す組成物を提供する。
【解決手段】式(I)


〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はメチル基、ジフルオロメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。〕で示されるカルボキサミド化合物とエタボキサムとを含有する植物病害防除組成物、好ましくは、該カルボキサミド化合物とエタボキサムとの重量比が、カルボキサミド化合物/エタボキサム=0.1/1〜10/1である植物病害防除組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害防除組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物病害を防除するために多くの化合物が開発され、実用に供されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第86/02641号パンフレット
【特許文献2】国際公開第92/12970号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、植物病害に対して優れた防除効力を有する組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、植物病害に対して優れた防除効力を有する組成物を見出すべく検討した結果、下記式(I)で示されるカルボキサミド化合物とエタボキサムとを含有する植物病害防除組成物が、植物病害に対して優れた防除効力を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 式(I)

〔式中、
1は水素原子又はメチル基を表し、
2はメチル基、ジフルオロメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。〕
で示されるカルボキサミド化合物とエタボキサム(ethaboxam)とを含有する植物病害防除組成物。
[2] カルボキサミド化合物とエタボキサムとの重量比が、カルボキサミド化合物/エタボキサム=0.1/1〜10/1である[1]記載の植物病害防除組成物。
[3] 式(I)

〔式中、
1は水素原子又はメチル基を表し、
2はメチル基、ジフルオロメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。〕
で示されるカルボキサミド化合物とエタボキサムとの有効量を、植物又は植物を栽培する土壌に処理する工程を含む植物病害防除方法。
[4] カルボキサミド化合物とエタボキサムとの重量比が、カルボキサミド化合物/エタボキサム=0.1/1〜10/1である[3]記載の植物病害防除方法。
[5] 植物又は植物を栽培する土壌が、ダイズ又はダイズを栽培する土壌である[3]又は[4]記載の植物病害防除方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、植物病害を防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の植物病害防除組成物(以下、本発明組成物と記す。)は、式(I)

〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を表す。〕
で示されるカルボキサミド化合物(以下、本カルボキサミド化合物と記す。)とエタボキサムとを含有する。
【0008】
本カルボキサミド化合物は、例えば国際公開第86/02641号パンフレット及び国際公開第92/12970号パンフレットに記載された化合物であり、これらに記載の方法で製造することができる。
【0009】
本カルボキサミド化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
式(1)で示されるカルボキサミド化合物(以下、本カルボキサミド化合物(1)と記す。);

式(2)で示されるカルボキサミド化合物(以下、本カルボキサミド化合物(2)と記す。);

式(3)で示されるカルボキサミド化合物(以下、本カルボキサミド化合物(3)と記す。);

式(4)で示されるカルボキサミド化合物(以下、本カルボキサミド化合物(4)と記す。);

及び、
式(5)で示されるカルボキサミド化合物(以下、本カルボキサミド化合物(5)と記す。)。

【0010】
エタボキサムは公知の化合物であり、例えば「THE PESTICIDE MANUAL − 14th EDITION(BCPC刊)ISBN 1901396142」に記載されている。これらの化合物は市販の製剤から得るか、公知の方法により合成することができる。
【0011】
本発明組成物における、本カルボキサミド化合物とエタボキサムとの重量比は、例えば、本カルボキサミド化合物/エタボキサム=0.01/1〜500/1、0.1/1〜10/1及び0.1/1〜3/1である。
【0012】
本発明組成物は、本カルボキサミド化合物とエタボキサムとの混合物そのものでもよいが、本発明組成物は、通常、本カルボキサミド化合物、エタボキサム及び不活性担体を混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、粒剤等に製剤化されている。かかる製剤は、そのまま又はその他の不活性成分を添加して植物病害防除剤として使用することができる。
本発明組成物には、本カルボキサミド化合物及びエタボキサムが合計で、通常0.1〜99重量%、好ましくは0.2〜90重量%、より好ましくは1〜80重量%含有される。
【0013】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えばカオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられ、液体担体としては、例えばキシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及び水が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド重縮合物等の陰イオン界面活性剤及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、及びアルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)、キサンタンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤及びPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤が挙げられる。
【0014】
本発明組成物はまた、本カルボキサミド化合物とエタボキサムとを各々前記した方法により製剤化した上で、必要に応じて水で希釈して、本カルボキサミド化合物を含有する製剤及びエタボキサムを含有する製剤、あるいはそれらの希釈液を混合することにより調製することもできる。
【0015】
本発明組成物は、植物病害から植物を保護するために用いることができる。
【0016】
本発明組成物が防除効力を有する植物病害としては、例えば次のものが挙げられる。
イネの病害:いもち病(Magnaporthe grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)。
コムギの病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F. avenacerum、F. culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P. graminis、P. recondita)、紅色雪腐病(Micronectriella nivale)、雪腐小粒菌核病(Typhula sp.)、裸黒穂病(Ustilago tritici)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Mycosphaerella graminicola)、ふ枯病(Stagonospora nodorum)、黄斑病(Pyrenophora tritici−repentis)。
オオムギの病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F. avenacerum、F. culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P.graminis、P.hordei)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、網斑病(Pyrenophora teres)、斑点病(Cochliobolus sativus)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
トウモロコシの病害:黒穂病(Ustilago maydis)、ごま葉枯病(Cochliobolus heterostrophus)、ひょう紋病(Gloeocercospora sorghi)、南方さび病(Puccinia polysora)、グレイリーフスポット病(Cercospora zeae−maydis) 、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
【0017】
カンキツ類の病害:黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P. italicum)、フィトフトラ病(Phytophthora parasitica、Phytophthora citrophthora)。
リンゴの病害:モニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Colletotrichum acutatum)、疫病(Phytophthora cactorum)。
ナシの病害:黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、疫病(Phytophthora cactorum);
モモの病害:灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)。
ブドウの病害:黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola)。
カキの病害:炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae)。
ウリ類の病害:炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.);
トマトの病害:輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans)。
ナスの病害:褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)。
アブラナ科野菜の病害:黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、べと病(Peronospora parasitica)。
ネギの病害:さび病(Puccinia allii)、べと病(Peronospora destructor)。
【0018】
ダイズの病害:紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、褐紋病(Septoria glycines)、斑点病(Cercospora sojina)、さび病( Phakopsora pachyrhizi)、茎疫病(Phytophthora sojae)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)褐色輪紋病(Corynespora casiicola)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)。
インゲンの病害:炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)。
ラッカセイの病害:黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii)。
エンドウの病害:うどんこ病(Erysiphe pisi)。
ジャガイモの病害:夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、緋色腐敗病(Phytophthora erythroseptica)、粉状そうか病(Spongospora subterranean f. sp. subterranea)。
イチゴの病害:うどんこ病(Sphaerotheca humuli)、炭そ病(Glomerella cingulata)。
チャの病害:網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae−sinensis)。
タバコの病害:赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae)。
ナタネの病害:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
ワタの病害;リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
テンサイの病害:褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、黒根病(Aphanomyces cochlioides)。
バラの病害:黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)、べと病(Peronospora sparsa)。
キクおよびキク科野菜の病害:べと病(Bremia lactucae)、褐斑病(Septoria chrysanthemi−indici)、白さび病(Puccinia horiana)。
種々の作物の病害:ピシウム属菌によって引き起こされる病害(Pythium aphanidermatum, Pythium debarianum, Pythium graminicola, Pythium irregulare, Pythium ultimum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)。
ダイコンの病害:黒斑病(Alternaria brassicicola)。
シバの病害:ダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、ブラウンパッチ病およびラージパッチ病(Rhizoctonia solani)。
バナナの病害:シガトカ病(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola)。
ヒマワリの病害:べと病(Plasmopara halstedii)。
Aspergillus属、Penicillium属、Fusarium属、Gibberella属、Tricoderma属、Thielaviopsis属、Rhizopus属、Mucor属、Corticium属、Phoma属、Rhizoctonia属、およびDiplodia属菌等によって引き起こされる、各種作物の種子病害または生育初期の病害。
Polymixa属またはOlpidium属等によって媒介される各種作物のウイルス病。
【0019】
本発明組成物を使用できる植物としては、例えば次のものが挙げられる。
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉、
観葉植物、
シバ、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0020】
前記した植物とは、遺伝子組換え技術により耐性を付与された植物であってもよい。
【0021】
上記のうち、特にダイズに発生する植物病害に対して高い防除効果が期待される。
また、これらの作物に発生する植物病害のうち、特に高い効力が期待されるダイズの病害としては、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)、紫斑病(Cercospora kikuchii)、褐紋病(Septoria glycines)、褐色輪紋病(Corynespora casiicola)、さび病(Phakopsora pachyrhizi)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、斑点病(Cercospora sojina);
等が挙げられる。
【0022】
本発明組成物の態様としては、例えば以下のものが挙げられる。
本カルボキサミド化合物(1)とエタボキサムとを含有する組成物;
本カルボキサミド化合物(2)とエタボキサムとを含有する組成物;
本カルボキサミド化合物(3)とエタボキサムとを含有する組成物;
本カルボキサミド化合物(4)とエタボキサムとを含有する組成物;
本カルボキサミド化合物(5)とエタボキサムとを含有する組成物;
【0023】
本カルボキサミド化合物(1)とエタボキサムとを本カルボキサミド化合物(1)/エタボキサム=0.1/1〜10/1の重量比で含有する組成物;
本カルボキサミド化合物(2)とエタボキサムとを本カルボキサミド化合物(2)/エタボキサム=0.1/1〜10/1の重量比で含有する組成物;
本カルボキサミド化合物(3)とエタボキサムとを本カルボキサミド化合物(3)/エタボキサム=0.1/1〜10/1の重量比で含有する組成物;
本カルボキサミド化合物(4)とエタボキサムとを本カルボキサミド化合物(4)/エタボキサム=0.1/1〜10/1の重量比で含有する組成物;
本カルボキサミド化合物(5)とエタボキサムとを本カルボキサミド化合物(5)/エタボキサム=0.1/1〜10/1の重量比で含有する組成物。
【0024】
本発明の植物病害防除方法(以下、本発明防除方法と記す。)は、本カルボキサミド化合物とエタボキサムとの有効量を植物又は植物を栽培する土壌に処理することにより行われる。かかる植物としては、例えば、植物の茎葉、植物の種子及び植物の球根が挙げられる。なお、ここで球根とは、鱗茎、球茎、根茎、塊茎、塊根及び担根体を意味する。
【0025】
本発明防除方法において、本カルボキサミド化合物及びエタボキサムは同時期に別々に植物又は植物を栽培する土壌に処理されてもよいが、通常は処理時の簡便性の観点から、本発明組成物として処理される。
【0026】
本発明防除方法において、本カルボキサミド化合物及びエタボキサムの処理方法としては、例えば、茎葉処理、土壌処理、根部処理及び種子処理が挙げられる。
【0027】
かかる茎葉処理としては、例えば、茎葉散布及び樹幹散布により、栽培されている植物の表面に処理する方法が挙げられる。
かかる根部処理としては、例えば、本カルボキサミド化合物とエタボキサムとを含有する薬液に植物の全体又は根部を浸漬する方法、及び、本カルボキサミド化合物とエタボキサムと固体担体とを含有する固体製剤を植物の根部に付着させる方法が挙げられる。
かかる土壌処理としては、例えば、土壌散布、土壌混和及び土壌への薬液潅注が挙げられる。
かかる種子処理としては、例えば、植物病害から保護しようとする植物の種子又は球根への本発明組成物の処理が挙げられ、詳しくは、例えば本発明組成物の懸濁液を霧状にして種子表面若しくは球根表面に吹きつける吹きつけ処理、本発明組成物の水和剤、乳剤若しくはフロアブル剤に少量の水を加える若しくはそのままで、種子又は球根に塗布する塗沫処理、本発明組成物の溶液に一定時間種子を浸漬する浸漬処理、フィルムコート処理及びペレットコート処理が挙げられる。
【0028】
本発明防除方法における、本カルボキサミド化合物とエタボキサムとの処理量は、処理する植物の種類、防除対象である植物病害の種類や発生頻度、製剤形態、処理時期、処理方法、処理場所、気象条件等によっても異なるが、植物の茎葉に処理する場合又は植物を栽培する土壌に処理する場合は、本カルボキサミド化合物とエタボキサムとの合計量で、1000m2あたり、通常1〜500g、好ましくは2〜200g、より好ましくは10〜100gである。また種子への処理における本カルボキサミド化合物とエタボキサムとの処理量は、本カルボキサミド化合物とエタボキサムとの合計量で、種子1kgあたり、通常0.001〜10g、好ましくは0.01〜1gである。
乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常水で希釈して散布することにより処理する。この場合、本カルボキサミド化合物及びエタボキサムの濃度は、本カルボキサミド化合物及びエタボキサムの合計での濃度で、通常0.0005〜2重量%、好ましくは0.005〜1重量%である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を製剤例及び試験例にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。なお、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。
【0030】
製剤例1
本カルボキサミド化合物(1)〜(5)のいずれかを2.5部、エタボキサムを1.25部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ−テル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部およびキシレン76.25部をよく混合することにより各製剤を得る。
【0031】
製剤例2
本カルボキサミド化合物(1)〜(5)のいずれかを2部、エタボキサムを8部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部および水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより各製剤を得る。
【0032】
製剤例3
本カルボキサミド化合物(1)〜(5)のいずれかを5部、エタボキサムを10部、ソルビタントリオレエ−ト1.5部およびポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液28.5部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部およびアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液45部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合し各製剤を得る。
【0033】
製剤例4
本カルボキサミド化合物(1)〜(5)のいずれかを1部、エタボキサムを4部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部およびカオリンクレ−62部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥することにより各製剤を得る。
【0034】
製剤例5
本カルボキサミド化合物(1)〜(5)のいずれかを12.5部、エタボキサムを37.5部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部および合成含水酸化珪素45部をよく粉砕混合することにより各製剤を得る。
【0035】
製剤例6
本カルボキサミド化合物(1)〜(5)のいずれかを3部、エタボキサムを2部、カオリンクレ−85部およびタルク10部をよく粉砕混合することにより製剤を得る。
【0036】
次に試験例を示す。
【0037】
試験例1
回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)でダイズ(品種;納豆小粒)種子10gに対して、所定の重量の供試化合物を含むシクロヘキサノン溶液100μlを塗沫処理した。
前記処理から1日後、リゾクトニア属菌(Rhizoctonia solani)で汚染された土壌をプラスチックポットに詰め、供試化合物を処理した種子を播種し、ガラス温室で20日間栽培した(これを処理区とする)。その後、各種子から出芽した苗におけるリゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)の発病の有無を観察し、下記式(1)により発病率を求めた。
一方、前記の塗沫処理をしていないダイズ種子を用いて、処理区と同様に栽培した(これを無処理区とする。)。そして処理区と同様に発病率を求めた。
処理区及び無処理区それぞれの発病率から、下記式(2)により処理区の効力を求めた。その結果を[表1]乃至[表2]に示す。




【0038】
【表1】

【0039】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

〔式中、
1は水素原子又はメチル基を表し、
2はメチル基、ジフルオロメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。〕
で示されるカルボキサミド化合物とエタボキサムとを含有する植物病害防除組成物。
【請求項2】
カルボキサミド化合物とエタボキサムとの重量比が、カルボキサミド化合物/エタボキサム=0.1/1〜10/1である請求項1記載の植物病害防除組成物。
【請求項3】
式(I)

〔式中、
1は水素原子又はメチル基を表し、
2はメチル基、ジフルオロメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。〕
で示されるカルボキサミド化合物とエタボキサムとの有効量を、植物又は植物を栽培する土壌に処理する工程を含む植物病害防除方法。
【請求項4】
カルボキサミド化合物とエタボキサムとの重量比が、カルボキサミド化合物/エタボキサム=0.1/1〜10/1である請求項3記載の植物病害防除方法。
【請求項5】
植物又は植物を栽培する土壌が、ダイズ又はダイズを栽培する土壌である請求項3又は4記載の植物病害防除方法。

【公開番号】特開2013−32323(P2013−32323A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169887(P2011−169887)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】