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植物細胞培養における薬学的に関心のある産物の製造
説明

植物細胞培養における薬学的に関心のある産物の製造

本発明は、植物に対して異種の複数の核酸を備えたトランスジェニック植物細胞を含むトランスジェニック植物細胞培養物であって、前記核酸の各々が、前記植物細胞においてコード配列の発現を指令するための一または複数の調節エレメントに動作可能に連結された関心のある薬学的産物をコードするコード配列を含んでおり、前記核酸が、前記植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して安定に組込まれているトランスジェニック植物細胞培養物;トランスジェニック植物細胞培養物を製造する方法;並びにトランスジェニック植物細胞培養物を用いて関心のある薬学的産物を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2008年10月3日に出願された米国仮出願第61/102,528号の利益および優先権を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、一般に、植物細胞培養および植物細胞培養におけるタンパク質製造の分野に関する。特に、本発明は、植物細胞培養における薬学的に関心のある産物の製造に関する。
【発明の背景】
【0003】
植物細胞培養の発酵技術は、植物二次代謝産物、たとえばシコニン、ジンセノシド(ginsenoside)、ロスマリン酸(rosmarinic acid)(Mulabagal and Tsay. International Journal of Applied Science and Engineering, 2: 29-48, 2004で概説される)および周知の薬剤パクリタキセル(Tabata. Curr Drug Targets, 7: 453-461, 2006)の製造のために、数十年にわたって実施されてきた。更に、植物細胞培養は、外因性タンパク質、なかでもIL−2およびIL−4(Magnuson et al. Protein Exp Pur, 13: 45-52, 1998)、GM−CSF(James et al. Protein Exp Pur, 19: 131-134, 2000)および抗体(Tsoi and Doran. Biotechnol Appl Biochem, 35: 171-180, 2002)を発現させるために使用されてきた。
【0004】
植物細胞培養に基づく製造技術の広範な商業的有用性は、多くのベンチマークの実証を必要とし、その最も重要なものは、安定な遺伝子発現、生物学的に活性な適切にプロセシングされたタンパク質の蓄積、並びに経時的および規模拡大における生産性の維持である(Tsoi and Doran. Biotechnol Appl Biochem, 35: 171-180, 2002; Sharp and Doran. Biotechnol Prog, 17: 979-992, 2001; James and Lee. Plant Cell Reports, 25: 723-727, 2006)。
【0005】
Stram et al(US 6528063)およびWu et al(Avian Dis, 48: 663-668, 2004)は、アグロバクテリウム媒介性の遺伝子導入による植物細胞内でのIBDV粒子の発現を記載しており、ここでの粒子は家禽においてワクチンとして使用するためのものである。上記報告は、アグロバクテリウムを使用する植物形質転換に依存しており、導入遺伝子の植物細胞ゲノムへの低いコピー数のランダムな組込みのように、その固有の限界を伴っている。
【発明の概要】
【0006】
一つの側面において、本発明は、トランスジェニック植物細胞培養物を製造するための方法であって、
(a)植物細胞を、
i.第一の核酸であって、該核酸が少なくとも連続的な100ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含んでなり、該ヌクレオチド配列がその全長に亘って前記植物細胞の天然のリボソームDNA(rDNA)配列に対し少なくとも50%の配列同一性を有する第一の核酸;および
ii.第二の核酸であって、該核酸が前記植物細胞内でコード配列の発現を指令するための一または複数の調節エレメントに動作可能に連結されたコード配列を含んでなり、該コード配列が関心のある薬学的産物をコードする第二の核酸
で共に形質転換し(co-transform)、それによってトランスジェニック植物細胞を得ることと;
(b)複数の前記トランスジェニック植物細胞を培養することと;
(c)前記複数のトランスジェニック植物細胞から、前記第二の核酸が前記トランスジェニック植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して安定に組込まれ、且つ前記第二の核酸が増幅されるトランスジェニック植物細胞を選択および単離し、前記トランスジェニック植物細胞培養物を得ること
を含む方法を提供する。
【0007】
別の側面において、本発明は、上述の方法により製造されるトランスジェニック植物細胞培養物を提供する。
【0008】
別の側面において、本発明は、植物に対して異種の複数の核酸を備えたトランスジェニック植物細胞を含むトランスジェニック植物細胞培養物であって、前記核酸の各々が、前記植物細胞においてコード配列の発現を指令するための一または複数の調節エレメントに動作可能に連結された関心のある薬学的産物をコードするコード配列を含んでおり、前記核酸が、前記植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して安定に組込まれているトランスジェニック植物細胞培養物を提供する。
【0009】
別の側面において、本発明は、上述の植物細胞培養物から得られる植物細胞を提供する。
【0010】
別の側面において、本発明は、関心のある薬学的産物を製造するための方法であって、
(a)上述のトランスジェニック植物細胞培養物を、前記コード配列に由来する関心のある前記薬学的産物を発現させるのに十分な条件下で培養することと;
(b)関心のある前記薬学的産物を回収すること
を含む方法を提供する。
【0011】
本発明の他の側面および特徴は、添付の図面とともに以下の本発明の具体的な態様の説明を検討すれば、当業者に明らかになるでしょう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】コアpV2ベクターのためのクローニングストラテジー。
【図1B】植物細胞形質転換のために使用される核酸構築物。
【図1C】植物細胞の形質転換における工程。
【図2】A.ミニ培養アッセイおよびELISAによるDB14およびDB16シリーズ植物細胞形質転換イベントにおけるVP2の分析。細胞は、アグロバクテリウム媒介性遺伝子導入により形質転換されたイベント1060-199を除いて、rDNA/コアpV2で形質転換した。
【図3A】形質転換細胞におけるpV2のサザン分析。 A.(左パネル) DNAをXbaI (パネルcにおけるX) で消化し、ブロットを、IBDV E91 VP2遺伝子に対応するフラグメント (パネルcにおけるVP2上の黒いバー) を用いてプローブ精査をした(probe)。右パネル、ゲノムDNAに存在する場合には、Xba消化pV2を使用し、記載されるコピー数に等しくなるようにDNAを希釈して、コピー数の再構築を行った。
【図3B】B.パネルaで記載したのと同じ分析。しかしDNAはPacIで消化した。
【図3C】C.pV2インサートの構造。矢印は、IBDV E91 VP2 (グレー) およびPAT (黒) 遺伝子のコード配列を示す。XおよびPは、それぞれXbaIおよびPacIの制限部位を表す。双方向の矢印は、pV2をXba1またはPac1で消化した際の、VP2を含有するフラグメントの予測サイズを示す。
【図4】長期培養(extended culture)前および後のVP2トランスジェニック植物細胞のFISH分析。rDNA/コアpV2形質転換イベント14-46 (パネルAおよびB)、16-37 (パネルCおよびD) および 16-40 (パネルEおよびF) に由来する代表的な間期スプレッドを、11回の培養継代の前(パネルA、BおよびC) または後 (パネルD、EおよびF) に、rDNA遺伝子プローブ (ローダミンラベル) およびVP2プローブ (FITCラベル) とハイブリダイズさせた。染色体に組み込まれたVP2は、矢印で示す。rDNAおよびVP2二重標識またはDAPI標識染色体の高倍率写真を、挿入写真に示す。図4、パネルGは、rDNAおよびVP2プローブで染色した野生型BY2細胞を示す。
【図5】A.7回の培養継代にわたる細胞株におけるVP2発現の安定性。4〜10回目の継代の合間にわたって継代培養の14日後に収穫した形質転換イベントに由来するVP2を、ELISAにより評価した。平均およびパーセント変動係数を示す。 B.rDNA/コアpV2形質転換細胞 (レーン5〜7) およびアグロバクテリウムによる形質転換細胞 (レーン2〜4) から発現させたVP2を比較するウェスタンブロット分析。レーン1は、不活性化IBDVを含有する。すべてのレーンは、同量の全可溶性タンパク質を含有する。 C.形質転換イベント14-46、16-40、および16-37の独立系統 (a、bまたはcとして示す) における4回目の継代 (p4) と11回目の継代 (p11) の間のインサート安定性の評価。 D.rDNA/コアpV2、アグロバクテリウム媒介性VP2移入、またはコントロールで形質転換した細胞の4回目の継代サンプルについての血清中和阻害アッセイの結果。
【発明の詳細な説明】
【0013】
植物細胞培養物を用いたタンパク質の製造は、動物細胞培養物のように哺乳類病原体および外来性薬剤で汚染される可能性が少ないため、タンパク質製品の安全な供給源としての可能性を提供する。
【0014】
本発明は、プロダクト遺伝子を、植物細胞染色体のrDNAアレイ内またはそれに隣接して標的部位に組み込むことに基づく。その結果、挿入された遺伝子およびrDNAの両方の同時の増幅が起こり、安定なヘテロクロマチンDNAにつながる。
【0015】
本発明のタンパク質製造システムは、挿入された遺伝子を、高レベルの遺伝子発現をサポートすることができるゲノムDNA領域に組み込むことを含む。遺伝子挿入の部位は、“操作された形質遺伝子座(Engineered Trait Loci)”または“ETL”と考えられ得る。
【0016】
本発明の文脈において、天然のrDNAに対して相同性のある配列を含む第一の核酸が提供される。あるいは、第一の核酸は、天然のrDNAに対して相同性のある配列から構成されるか、または本質的に構成される。rDNAは、アレイとして組織化されていてもよく、関心のある薬学的産物をコードする一または複数の核酸を植物ゲノムに組み込むことができる高い転写および高い安定性の領域である。組み込みは、一または複数の部位で起こり得る。本発明は、一または複数の第二の核酸が一または複数のrDNAアレイ内またはそれに隣接して組み込まれた形質転換細胞の選択を含む。更に、関心のある製造されたプロダクトは、高度に発現され、生物学的に活性であり得る。
【0017】
サイトゾルのリボソームRNA、たとえば18S、5.8S、26Sおよび5Sサブユニットをコードする遺伝子は、一般に、高等真核生物においてアレイで組織化され、その繰返しユニットは、転写ユニットおよびスペーサー配列を含有する。18S、5.8Sおよび26Sリボソームサブユニットをコードする遺伝子は、45Sの単一ユニットとして転写される。また、5S rDNA遺伝子は、タンデム繰返しユニットのクラスターで配置される。高等真核生物において、5Sおよび18S-5.8S-26S rRNA遺伝子は、別々のクラスターで組織化される。rDNAアレイは、1個または数個の染色体上に局在化してもよく、動原体を挟んでいても挟んでいなくてもよい。
【0018】
rDNAアレイは、サイズおよび植物ゲノム内の位置について大きく変動する (Raina and Mukai. Genome, 42: 52-59, 1999)。たとえば、ダイズは、僅か1つの5Sおよび1つの45S rDNA 遺伝子座を有するが、一般の豆は、2つより多い5S rDNA遺伝子座および2つの45S rDNA遺伝子座を有する (Shi et al. Theoretical and Applied Genetics, 93: 136-141, 1996)。rDNAアレイは、ゲノムの高度に転写される領域である (Tsang et al. EMBO J, 26: 448-458, 2007)。
【0019】
本発明の文脈において、第一の核酸は、天然のrDNAに対して相同性であり得る。本明細書で使用される“相同性のある(homologous)”は、その全長に亘って、形質転換される植物細胞の天然のリボソームDNA(rDNA)に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも83%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%の配列同一性を示す二つの配列を指す。典型的には、相同性のある配列は、少なくとも50%の配列同一性を有する。
【0020】
第一および第二の核酸は、典型的には、300:1、200:1、100:1、50:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1の第一および第二の核酸の比で、好ましくは10:1の比で、細胞に導入される。
【0021】
本明細書で使用される“構築物”は、任意の供給源に由来する、任意の組換えポリヌクレオチド分子、たとえばプラスミド、コスミド、ウイルス、ベクター、自己複製ポリヌクレオチド分子、ファージ、または直鎖状もしくは環状の一本鎖もしくは二本鎖のDNAもしくはRNAポリヌクレオチド分子を指す。
【0022】
第一の核酸は、その全長に亘って、導入される植物細胞の天然のリボソームDNA(rDNA)に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも83%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、それから構成されるか、またはそれから本質的に構成される。典型的には、第一の核酸は、その全長に亘って、天然のrDNA配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有するヌクレオチドを配列を含むか、それから構成されるか、またはそれから本質的に構成される。本明細書で使用される“本質的に構成される(consists essentially of)”または“本質的に構成される(consisting essentially of)”とは、核酸配列が、一または複数のヌクレオチド塩基を配列内または配列の一端もしくは両端に含むが、追加のヌクレオチド塩基が、核酸配列の機能に重要な影響を及ぼさないことを意味する。
【0023】
第一の核酸は、5S、5.8S、18Sまたは26S rDNAである核酸配列を含むか、それから構成されるか、またはそれから本質的に構成される。
【0024】
第一の核酸は、典型的には、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも 750、少なくとも1000、少なくとも1250、少なくとも1500、少なくとも1750、少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも3000、少なくとも5000、または少なくとも10000のヌクレオチドまたは塩基対の長さであるヌクレオチド配列;好ましくは1.7〜2.8 kbの長さであるヌクレオチド配列を含む。
【0025】
第二の核酸は、関心のある薬学的産物をコードするコード配列を含む。
【0026】
第一および/または第二の核酸は、典型的には、rDNA内またはそれに隣接して組み込まれる。核酸は、動原体近く(pericentric)および/または動原体近くでない(non-pericentric)rDNA内に、またはそれに隣接して組み込まれ得る。一つの態様において、第二の核酸の一または複数のコピーは、動原体近くおよび/または動原体近くでないrDNAの一または複数の領域に組み込まれ得る。本明細書で使用される“動原体近く(pericentric)”の用語は、染色体の動原体にすぐ隣接しているか、または近接していることを意味する。“動原体から遠い(telocentric)”の用語は、染色体のテロメアにすぐ隣接しているか、または近接していることを意味する。核酸は、動原体よりもテロメアに近接した位置、またはテロメアよりも動原体に近接した位置、あるいはその両方で組み込まれ得る。
【0027】
一つの態様において、第一および第二の核酸は、同じ構築物上にある。別の態様において、第一および第二の核酸は、別個の構築物上にある。
【0028】
第一および/または第二の核酸の一または複数のコピーは、天然のrDNA内またはそれに隣接して組み込まれ得る。第一および/または第二の核酸は、挿入部位で増幅され、少ないコピー数または比較的少ないコピー数(たとえば2〜100コピー)で複数のコピーを産生する。挿入および/または増幅された第一および/または第二の核酸は、単一の遺伝子座として分離するほど十分近くに近接し得る。
【0029】
異種DNAのrDNAアレイ内またはそれに隣接した組込みは、以下のものを含むがそれらに限定されない連続したイベント構造体という結果につながり得る:重複のない単一のインサート、非常に局在化した重複領域内で重複しているインサート、並びに増幅および重複した何百万もの配列を備えた「ソーセージ染色体(sausage chromosomes)」などの、全体的な染色体変化を提供する大規模な増幅を受けたインサート。一つの態様において、組込まれた異種DNAは、全体的な細胞形態学的な染色体イベントなしで、低コピー数で重複しているインサートである。
【0030】
本発明は、第一および第二の核酸を含むトランスジェニック植物細胞培養物を製造する方法に関する。
【0031】
本発明の文脈において、“植物細胞培養物”は、適切な増殖培地で維持、拡大、繁殖、あるいは増殖、培養することができる、単細胞の形態または集合形態の、植物起源の細胞の収集物を指す。“植物細胞株”、“植物組織培養物”、および“カルス”の用語は、本明細書で同意語として使用される。植物細胞培養物は、典型的には、液体培地中の細胞懸濁培養物または固体培地上のカルス培養物として増殖する。
【0032】
本明細書で使用される“トランスジェニック植物細胞培養物”は、植物細胞培養物内において植物細胞のゲノムに外来性遺伝的材料が導入された植物細胞培養物またはその子孫を指す。“トランスジェニック植物細胞培養物”および“形質転換植物細胞培養物”の用語は、そのゲノムが外因性遺伝的材料を含有している植物細胞培養物を指すために同義語として使用される。
【0033】
本明細書で使用される“ヌクレオチド配列”または“核酸”は、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、DNAまたはRNAポリマーへの組込みが可能な合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を任意に含有し得る、DNAまたはRNAのポリマーを指す。“核酸”または“核酸配列”は、遺伝子、cDNA、DNA、および遺伝子によりコードされるRNAを包含し得る。核酸または核酸配列は、少なくとも3、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも5000、または少なくとも10000のヌクレオチドまたは塩基対を含み得る。
【0034】
核酸は、当該分野で公知の任意の化学的および/または生物学的手段により改変されてもよく、これには、アルキル化剤、ブラウンシュガーなどの任意の公知の化学物質との反応;連結基(たとえばPEG)への結合;メチル化;酸化;電離放射線;または化学発癌物質の作用が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で使用される“%配列同一性”は、最適に整列させた二つの配列を比較ウィンドウにわたって比較することにより決定され、ここで、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列のフラグメントは、二つの配列の最適な整列のために、リファレンス配列(付加または欠失を含まない)と比較して付加または欠失 (たとえば、ギャップまたはオーバーハング) を含んでいてもよい。パーセンテージは、両配列において同一の核酸残基が存在する位置の数を決定して一致する位置の数を得て、一致する位置の数を比較ウィンドウにおける位置の総数で割り、その結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを提供することにより計算される。配列を整列させるアルゴリズムは、当該技術分野で公知である。典型的なアルゴリズムは、以下のものを含むがそれらに限定されない:Smith and Watermanのローカルホモロジーアルゴリズム (Add APL Math, 2: 482, 1981);Needleman and Wunschのホモロジーアラインメントアルゴリズム (J Mol Biol, 48: 443, 1970);Pearson and Lipmanの類似度サーチ方法 (Proc Natl Acad Sci USA, 85: 2444, 1988);およびこれらアルゴリズムのコンピュータ実施 (GAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、およびTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group (GCG)、575 Science Dr., Madison, Wis.)。一つの側面において、二つの配列は、NCBIウェブサイトにおいてデフォルト設定で“Blast 2 Sequences”ツールを用いて整列させてもよい (Tatusova and Madden. FEMS Microbiol Lett, 174: 247 250, 1999)。あるいは、核酸配列は、ヒトの検査により整列させてもよい。
【0036】
本明細書で使用される“天然のリボソームDNA”は、形質転換される細胞で天然に存在するリボソームDNAを指す。
【0037】
本明細書で使用される“rDNA”は、リボソームDNAを意味し、5S、5.8S、18Sおよび25/26SリボソームRNAをコードする遺伝子を含むがそれらに限定されない、リボソームRNAをコードする遺伝子を指す。
【0038】
本明細書で使用される“コード配列”は、特定のアミノ酸配列をコードするDNAまたはRNA配列を指し、イントロンおよび遺伝子の非翻訳領域などの非コード配列を除外してもよい。コード配列は、任意の長さであり得る。コード配列は、少なくとも6、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも5000、または少なくとも10000のヌクレオチドまたは塩基対を含み得る。
【0039】
本明細書で使用される“動作可能に連結された”は、物理的または機能的に関連した二つの核酸配列を指す。たとえば、調節DNA配列がコードDNA配列の発現に影響を及ぼすように二つの配列が位置している場合、調節エレメントは、コード配列に“動作可能に連結されている”と言われる。コード配列は、センスまたはアンチセンスの向きで、調節配列に動作可能に連結され得る。
【0040】
本明細書で使用される“調節エレメント”は、コード配列の発現に影響を及ぼす核酸配列を指す。調節エレメントは、当該分野で公知であり、プロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、マトリクス付着領域および/またはコード配列の発現を調節する他のエレメントを含むが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で使用される“プロモーター”は、コード配列の転写の開始および速度を指示するヌクレオチド配列を指す (Roeder, Trends Biochem Sci, 16: 402, 1991で概説される)。プロモーターは、RNAポリメラーゼが結合する部位を含有し、更に他の調節エレメント (たとえば転写因子) の結合のための部位も含有する。プロモーターは、天然存在であっても合成であってもよい (植物プロモーターの概説についてDatla et al. Biotech Ann. Rev 3:269, 1997を参照)。更に、プロモーターは、種特異的 (たとえば、B. napusでのみ活性);組織特異的 (たとえば、ナピン(napin)、ファセオリン(phaseolin)、ゼイン(zein)、グロブリン(globulin)、dlec2、γ-カフィリン(kafirin) 種子特異的プロモーター);発生特異的 (たとえば、胚形成の間のみ活性);構成的 (たとえば、トウモロコシユビキチン、イネユビキチン、イネアクチン、アラビドプシス(Arabidopsis)アクチン、サトウキビ桿状ウイルス、CsVMVおよびCaMV 35S、アラビドプシス(Arabidopsis)ポリユビキチン、アグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のノパリンシンターゼ、オクトピンシンターゼ、およびマンノピンシンターゼ遺伝子プロモーター);または誘導的 (たとえば、スチルベンシンターゼプロモーター、並びに光、熱、冷却、干ばつ、傷害、ホルモン、ストレスおよび化学物質により誘導されるプロモーター) であり得る。プロモーターは、TATAボックスまたはInrエレメント、および転写開始部位を特定する役割を果たす他の配列から構成される短いDNA配列である最小プロモーターを含み、これに調節エレメントが発現のコントロールのために付加される。また、プロモーターは、最小プロモーターと、コード配列の発現を調節するDNAエレメント、たとえばエンハンサーおよびサイレンサーとを含むヌクレオチド配列を指してもよい。
【0042】
本明細書で使用される“発現”または“発現する”は、コード配列によりコードされる産物の任意の検出可能なレベルの産生を指す。
【0043】
エンハンサーおよびサイレンサーは、連結されたプロモーターの転写に、それぞれ正または負に影響を及ぼすDNAエレメントである (Blackwood and Kadonaga, Science, 281: 61, 1998で概説される)。
【0044】
ポリアデニル化部位は、ポリアデニル化部位から約30 bp下流に一連のヌクレオチドAを付加するようにRNA転写機構にシグナルを送るDNA配列を指す。
【0045】
転写ターミネーターは、転写の終結のシグナルを送るDNA配列である。転写ターミネーターは、当該分野で公知である。転写ターミネーターは、アグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に由来するもの、たとえば、ノパリンシンターゼ、マンノピンシンターゼ、オクトピンシンターゼ遺伝子、およびTiプラスミド由来の他のオープンリーディングフレームから単離したものであり得る。他のターミネーターは、CaMVおよび他のDNAウイルス、dlec2、ゼイン(zein)、ファセオリン(phaseolin)、リパーゼ(lipase)、オスモチン(osmotin)、ペルオキシダーゼ、およびPinII遺伝子から単離したものを含むが、これらに限定されない。
【0046】
本発明の文脈において、コード配列は、関心のある薬学的産物をコードする。
【0047】
本明細書で使用される“関心のある薬学的産物”は、酵素、毒素、細胞レセプター、リガンド、ウイルスもしくは細菌のタンパク質もしくは抗原、シグナル伝達剤、サイトカイン、抗体および成長因子を含むが、これらに限定されない。関心のある薬学的産物は、タンパク質、ペプチド、またはそのフラグメントを含み得る。関心のある産物の修飾は、ポリペプチドのインビボおよびインビトロでの化学的誘導体化、たとえば、アセチル化、カルボキシル化、リン酸化、またはグリコシル化を含んでもよく;かかる修飾は、ポリペプチドの合成もしくはプロセシングの間、または単離された修飾酵素による処理後に起こってもよい。
【0048】
本明細書で使用される“ペプチド”、“オリゴペプチド”、“ポリペプチド”および“タンパク質”の用語は、交換可能に使用され得る。ペプチドは、非天然アミノ酸を含有していてもよく、当業者に公知のリンカーエレメントに連結していてもよい。また、ペプチドは、モノマーであってもマルチマーであってもよい。ペプチドフラグメントは、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも1500、または少なくとも2500の連続アミノ酸の連続範囲を含み、全長ペプチドの所望の活性を保持し得る。
【0049】
関心のある薬学的産物は、任意の有用なタンパク質ベースの治療剤または予防剤であり得る。タンパク質の治療剤または予防剤の好ましいグループは、疾患の予防のために有用なワクチン抗原を含むが、これに限定されない。本明細書で使用される“抗原”の用語は、動物において抗体または細胞性の何れかの免疫応答を誘導する任意のタンパク質物質を指す。ワクチン抗原は、当該分野で周知であり、本発明と矛盾しない。模範的な抗原は、以下のものを含むが、それらに限定されない:AIV (鳥類インフルエンザウイルス) のHA (赤血球凝集素) タンパク質;鳥類ニューカッスル病ウイルスのHN (赤血球凝集素/ノイラミニダーゼ) タンパク質;伝染性ファルビキウス病ウイルス (IBDV) のVP2;酵素ADPリボシルトランスフェラーゼ (E. coliの易熱性毒素のLT Aサブユニット);E. coliの細菌性毒素LT;並びにポリオウイルス、ヒトライノウイルス、A型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトインフルエンザ、ヒトパピローマウイルス、単純ヘルペスウイルス、口蹄疫ウイルスなどのピコナウイルス、デング熱および西ナイルウイルスおよび呼吸器系合胞体ウイルスを含むがこれらに限定されないヒトウイルスに由来するタンパク質。本発明の一つの側面において、関心のある薬学的産物は、VP2またはそのフラグメントである。
【0050】
別の側面において、関心のある薬学的産物は、サイトカインである。サイトカインは、他の細胞の挙動に影響を及ぼす細胞により産生されるタンパク質である。サイトカインは、当該分野で公知であり、インターロイキン、インターフェロン、ヘマトポイエチン、ケモカイン、およびTNFファミリータンパク質を含むが、これらに限定されない。
【0051】
更なる側面において、関心のある薬学的産物は、抗体である。抗体は、抗原として公知の特定分子に特異的に結合し、抗原による免疫処置に応答して産生される血漿タンパク質である。各抗体分子は、それをその特異的な抗原に結合させることができる独特の構造を有するが、全ての抗体は、同一の基本構造を有し、まとめて免疫グロブリンと称される。
【0052】
本明細書で使用される“抗体”は、モノクローナル抗体 (全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体 (たとえば、二重特異性抗体)、単一ドメイン抗体および抗体フラグメントを含む。“抗体フラグメント”は、全長抗体の一部、一般には、その抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント;二重特異性抗体(diabodies);直鎖状抗体;単鎖抗体分子;および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を含む。また、“抗体”の用語は、キメラ抗体またはヒト化抗体も含む。
【0053】
本発明は、植物細胞を形質転換するための特別な方法に限定されない。核酸を細胞に導入するための方法(本明細書で“形質転換”とも称される)は、当該分野で公知であり、以下のものが含まれるがそれらに限定されない:ウイルスによる方法 (Clapp. Clin Perinatol, 20: 155-168, 1993; Lu et al. J Exp Med, 178: 2089-2096, 1993; Eglitis and Anderson. Biotechniques, 6: 608-614, 1988; Eglitis et al, Avd Exp Med Biol, 241: 19-27, 1988);物理的方法、たとえばマイクロインジェクション (Capecchi. Cell, 22: 479-488, 1980), electroporation (Wong and Neumann. Biochim Biophys Res Commun, 107: 584-587, 1982; Fromm et al, Proc Natl Acad Sci USA, 82: 5824-5828, 1985; U.S. Pat. No. 5,384,253) および遺伝子銃 (Johnston and Tang. Methods Cell Biol, 43: 353-365, 1994; Fynan et al. Proc Natl Acad Sci USA, 90: 11478-11482, 1993);化学的方法 (Graham and van der Eb. Virology, 54: 536-539, 1973; Zatloukal et al. Ann NY Acad Sci, 660: 136-153, 1992);並びにレセプター媒介性方法 (Curiel et al. Proc Natl Acad Sci USA, 88: 8850-8854, 1991; Curiel et al. Hum Gen Ther, 3: 147-154, 1992; Wagner et al. Proc Natl Acad Sci USA, 89: 6099-6103, 1992)。
【0054】
アグロバクテリウム媒介性移入による植物細胞へのDNAの導入は、当業者に周知である。アグロバクテリウムの毒性株は、DNA移入、複製に必要な遺伝子 (vir遺伝子)および植物細胞へ移入されるT−DNA領域を含有する、Tiプラスミドとして公知の大きなプラスミドDNAを含有する。T−DNA領域は、DNA移入プロセスに必須のT−DNA境界配列により囲まれる。これらT−DNA境界配列は、vir遺伝子により認識される。2つの主要タイプのアグロバクテリウムベースの植物形質転換システムは、バイナリー [たとえばU.S. 4,940,838を参照] および共通組込み(co-integrate)[たとえばFraley et al. Biotechnology, 3: 629-635, 1985を参照] 方法を含む。両システムにおいて、T−DNA境界リピートは維持され、天然のDNA移入プロセスは、T−DNA境界の間に位置するDNAフラグメントを植物細胞ゲノムに移入するために使用される。
【0055】
DNAを植物細胞へ導入するための別の方法は、微粒子銃 (biolistics) によるものである。この方法は、DNAでコーティングされた微細粒子 (たとえば金またはタングステン粒子) を植物細胞に撃ち込むこと (bombardment) を伴う。粒子は、典型的にはガスまたは放電により、細胞壁および膜を通って急速に加速され、これによりDNAが細胞に放出され、細胞のゲノムに組み込まれる。この方法は、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、木質の樹木種などを含む多くの作物の形質転換のために使用される。微粒子銃の撃ち込み (Biolistic bombardment) は、多種多様な動物組織、並びに真核および原核微生物の両方、ミトコンドリア、および微生物および植物の葉緑体をトランスフェクションする際に有効であることが証明された (Johnston. Nature, 346: 776 777, 1990; Klein et al. Bio/Technol, 10: 286-291, 1992; Pecorino and Lo. Curr Biol, 2: 30-32, 1992; Jiao et al, Bio/Technol, 11: 497-502, 1993)。
【0056】
DNAを植物細胞へ導入するための別の方法は、エレクトロポレーションによるものである。この方法は、プロトプラスト/細胞/組織に適用される高電圧のパルスを伴い、これにより、外来DNAの取込みを促進する原形質膜における一過性の孔が得られる。外来DNAは、その孔を通って細胞質に入り、その後核に入る。
【0057】
植物細胞は、リポソーム媒介性遺伝子移入により形質転換されてもよい。この方法は、核酸を細胞へデリバーするためのリポソーム(水性内部をもつ環状脂質分子)の使用を参照する。リポソームは、DNAフラグメントをカプセル化し、その後、細胞膜に付着してそれらと融合して、DNAフラグメントを移入する。これにより、DNAは細胞に入り、その後核に入る。
【0058】
本発明と矛盾しない植物細胞を形質転換するための他の周知の方法は、花粉形質転換 (University of Toledo 1993 U.S. Pat. No. 5,177,010を参照);Whiskers技術 (U.S. Pat. Nos. 5,464,765および5,302,523を参照) を含むが、これらに限定されない。
【0059】
本発明の核酸構築物は、植物プロトプラストに導入され得る。植物プロトプラストは、その細胞壁が、機械的または酵素的手段の何れかを用いて、完全または部分的に除去された細胞であり、リン酸カルシウムベースの沈降法、ポリエチレングリコール処理およびエレクトロポレーションを含む公知の方法により形質転換され得る (たとえばPotrykus et al., Mol. Gen. Genet., 199: 183, 1985; Marcotte et al., Nature, 335: 454, 1988を参照)。ポリエチレングリコール (PEG) は、エチレンオキシドのポリマーである。これは、植物プロトプラストへのDNAの取込みを誘導するためのポリマー遺伝子キャリアとして広く使用される。PEGは、二価の陽イオンと組み合わせて使用して、DNAを沈降させ、細胞の取込みを行ってもよい。あるいは、PEGは、たとえばポリ(エチレンイミン) およびポリLリジンなどの他のポリマーと複合体を形成してもよい。
【0060】
植物細胞サンプルへの核酸の導入により、形質転換イベントが起こる。本明細書で使用される“形質転換イベント”または“イベント”は、植物細胞形質転換の一事実(one instance)を指す。また、これらの用語は、本明細書に記載される形質転換方法の一つにより形質転換された一つの植物細胞サンプルの結果を指してもよい。
【0061】
本発明の文脈において、核酸は、異種DNAであり、すなわち細胞へ導入される。本明細書で使用される“異種”、“外来”および“外因性”DNAおよびRNAは、交換可能に使用され、植物ゲノムの一部として天然に存在せず、それが天然に存在する位置とは異なるゲノム中の一つまたは複数の位置に存在するDNAまたはRNAを指す。よって、異種または外来のDNAまたはRNAは、同一の文脈において、宿主ゲノムに通常見られない核酸である。これは、細胞にとって内因性でなく、外因的に細胞に導入されたDNAまたはRNAである。一つの側面において、異種DNAは、宿主DNAと同じであってもよいが、当該分野で公知の方法により修飾されていてもよく、ここで修飾は、ベクター中の挿入、外来プロモーターおよび/または他の調節エレメントへの連結、または複数コピーの繰返しを含むが、これらに限定されない。別の側面において、異種DNAは、宿主DNAと異なる生物、異なる種、異なる属、または異なる界に由来してもよい。更に、異種DNAは、導入遺伝子であってもよい。本明細書で使用される“導入遺伝子”は、ある生物から単離され、異なる生物に導入された遺伝子配列を含有するDNAのセグメントを指す。
【0062】
トランスジェニック植物を作製するための植物細胞の使用は、当該分野で公知である。適切な植物細胞は、ルリジサ、キャノーラ、トウゴマ、トウモロコシ、ワタ、ハマナspp.、アマ、キンレンカ、オリーブ、ヤシ、ラッカセイ、ナタネ、イネ、ダイズ、およびヒマワリを含むがこれらに限定されない多くの植物から得ることができる。好ましくは、本発明で有用な植物細胞培養物は、トウモロコシ、イネまたはタバコ植物に由来する。タバコの懸濁細胞培養物、たとえばNT IおよびBY 2 (An. Plant Physiol, 79: 568-570, 1985; Nagata et al, Int Rev Cytol, 132: 1-30, 1992) は、とりわけ培養時の取扱いがしやすく、容易に形質転換され、安定に組込みイベントが起こり、低温保存をすることができる。
【0063】
植物細胞培養の技術は、当該分野で公知である (たとえばFischer et al. Biotechnol Appl Biochem, 30: 109-112, 1999; Doran. Current Opinions in Biotechnology, 11: 199-204, 2000を参照)。当業者であれば、培地の組成、そのpHおよびインキュベーション条件、たとえば温度、エアレーション、CO2レベル、および光サイクルを、細胞のタイプに依存して変化させてもよいことを認識するでしょう。
【0064】
形質転換の後、植物細胞を、細胞のクローン集団を得るためにサブクローニングしてもよい。細胞をサブクローニングする方法は、当該分野で公知であり、形質転換された細胞プールの希釈を含むがこれに限定されない。また、形質転換された細胞を、選択的圧力の下で増殖させて、関心のある薬学的産物を含有するおよび/または発現する細胞を同定してもよい。これに関連して、核酸は、選択マーカーをコードする。選択マーカーは、外因性遺伝的材料を含有する植物または植物細胞を選択するために使用され得る。外因性遺伝的材料は、除草剤もしくは抗生物質などの薬剤に対する耐性を付与する酵素、または構築物の存在をレポートするタンパク質を含み得るが、これらに限定されない。
【0065】
多数の植物選択マーカーシステムは、当該分野で公知であり、本発明と矛盾しない。以下のレビュー文献は、これら周知のシステムを詳説する:Miki and McHugh; Journal of Biotechnology 107: 193-232; Selectable marker genes in transgenic plants: applications, alternatives and biosafety (2004)。
【0066】
選択マーカーの例は、以下のものを含むが、それらに限定されない:カナマイシン耐性についてコードし、カナマイシン、NptII、G418、hptなどを用いて選択することができるneo遺伝子;抗生物質アンピシリンで選択されるamp耐性遺伝子;ハイグロマイシン耐性に関するハイグロマイシンR遺伝子;WO/2008/070845に記載されるものを含むビアラホス (bialaphos) 耐性についてコードする(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼをコードする)BAR遺伝子;グリホサート耐性をコードするEPSPシンターゼ遺伝子変異体、aadA;ブロモキシニルに対する耐性を付与するニトリラーゼ遺伝子;イミダゾリノンまたはスルホニルウレア耐性を付与するアセトラクテートシンターゼ遺伝子(ALS)変異体、ALS、およびメトトレキセート耐性DHFR遺伝子。
【0067】
更に、本発明の文脈で使用され得るスクリーニング可能なマーカーは、以下のものを含むが、それらに限定されない:種々の色素産生基質が知られている酵素をコードするβ−グルクロニダーゼまたはuidA遺伝子(GUS)、緑色蛍光タンパク質 (GFP)、およびルシフェラーゼ(LUX)。
【0068】
本発明の核酸は、植物細胞で植物毒性剤ホスフィノトリシンに変換されるビアラホスに対する耐性を付与する遺伝子 (ビアラホスまたはPPTとしても知られ;商標Basta(登録商標)、Buster(登録商標)およびLiberty(登録商標)の下で商品化されている) をコードし得る。一つの側面において、ビアラホス耐性遺伝子は、BAR遺伝子である。別の側面において、複数コピーのグルタミンシンテターゼ遺伝子は、ビアラホスに対する耐性を付与する。
【0069】
トランスジェニック植物細胞のクローン集団を調製した後、DNA、RNAおよびタンパク質のレベルでの分析に基づいて細胞を特徴付けし、選択してもよい。好ましくは、核酸構築物がrDNA内またはそれに隣接して安定に組み込まれたトランスジェニック植物細胞を選択する。本明細書で使用される“安定に組み込まれた”は、遺伝的材料がトランスジェニック植物細胞のゲノムに組み込まれ、植物細胞ゲノムの一部として長期的に残ることを指す。よって、本発明の安定に組み込まれた核酸構築物を含む細胞は、関心のある薬学的産物を生産し続ける。
【0070】
核酸構築物の安定な組込みは、使用される形質転換方法、および対象遺伝子を含有するベクターを含むがこれらに限定されない多くのファクターにより影響を受けるかもしれない。形質転換方法は、どの細胞タイプが安定な組込みのためのターゲットとされ得るかを決定する。安定な組込みのために使用されるベクターのタイプは、組込みのメカニズム、導入遺伝子の発現の調節、および安定に発現する細胞のための選択条件を規定する。組込み後、対象遺伝子の発現のレベルおよび時期は、連結されたプロモーターおよび特定の組込み部位に依存し得る。
【0071】
組込みの部位は、対象遺伝子の転写速度に影響を及ぼし得る。通常、発現プラスミドは、標的細胞のゲノムにランダムに組み込まれる。不活性なヘテロクロマチンへの組込みは、導入遺伝子がほとんどまたはまったく発現しないという結果になり、一方、活性なユークロマチンへの組込みは、しばしば導入遺伝子を発現させることになる。
【0072】
本発明の文脈において、第一および/または第二の核酸は、形質転換される植物細胞の天然のrDNAアレイを標的にする。よって、天然のrDNAに相同性のあるrDNA配列を含む第一の核酸は、天然のrDNAアレイ内またはそれに隣接して組み込まれ得る。更に、一または複数の調節配列に動作可能に連結されたコード配列であって、一または複数の関心のある薬学的産物をコードするコード配列を含む第二の核酸は、天然のrDNAアレイ内またはそれに隣接して組み込まれ得る。
【0073】
形質転換の後、核酸構築物がrDNAに組み込まれた細胞を選択する。本明細書で記載されるとおり、rDNAアレイは、活性な転写の領域であり;このため、関心のある薬学的産物をコードする遺伝子は発現される。
【0074】
組み込まれた第一および/または第二の核酸は、トランスジェニック植物細胞に、2コピー、3コピー、4コピー、5コピー、6コピー、7コピー、8コピー、9コピー、10コピー、11コピー、12コピー、13コピー、14コピー、15コピー、16コピー、17コピー、18コピー、19コピー、20コピー、21コピー、22コピー、23コピー、24コピー、25コピー、26コピー、27コピー、28コピー、29コピー、30コピー、31コピー、32コピー、33コピー、34コピー、35コピー、36コピー、37コピー、38コピー、39コピー、40コピー、41コピー、42コピー、43コピー、44コピー、45コピー、46コピー、47コピー、48コピー、49コピー、50コピー、51コピー、52コピー、53コピー、54コピー、55コピー、56コピー、57コピー、58コピー、59コピー、60コピー、またはそれ以上で存在し得る。
【0075】
DNAのゲノムへの標的導入は、ターゲティング組換え、相同性組換え、および部位特異的組換えを含むがこれらに限定されない多くの方法により達成され得る (植物における部位特異的組換えシステムのレビューについて、レビューBaszcynski et al. Transgenic Plants, 157: 157-178, 2003を参照)。植物 (Reiss. International Review of Cytology, 228: 85-139, 2003で概説される) および哺乳類細胞 (Sorrell and Kolb. Biotechnology Advances, 23: 431-469, 2005で概説される) における相同性組換えおよび遺伝子ターゲティングは、当該分野で公知である。
【0076】
本明細書で使用される“標的組換え”は、異種核酸構築物のrDNAアレイへの組込みを指し、ここで、形質転換される細胞の天然のrDNAに対して相同性のある異種rDNAによって組込みは促進される。
【0077】
相同性組換えは、細胞に導入されるDNA断片と細胞のゲノムとの間の配列同一性に依存する。相同性組換えは、高等真核生物において非常に珍しいイベントである。しかし、相同性組換えの頻度は、DNA二本鎖の切断の導入、三本鎖形成オリゴヌクレオチド、またはアデノ関連ウイルスを伴うストラテジーにより増大し得る。
【0078】
本明細書で使用される“部位特異的組換え”は、少なくとも二つの離れたDNA配列が、酵素の存在下で相互作用をして単一の核酸配列へと結合したときに起こる、酵素による組換えを指す。部位特異的組換えは、リコンビナーゼ、トランスポゼースおよびインテグラーゼなどの酵素に依存し、これらは、ごく限定された配列相同性を有するDNA分子間のDNA鎖の交換を触媒する。部位特異的組換えのメカニズムは、当該分野で公知である (Grindley et al. Annu Rev Biochem, 75: 567-05, 2006で概説される)。部位特異的リコンビナーゼの認識部位 (たとえばCreおよびatt部位) は、通常30〜50 bpである。その間で組換えが起こる部位の対は、通常同じであるが、例外が存在し、たとえばλインテグラーゼのattPおよびattBである (Landy. Ann Rev Biochem, 58: 913-949, 1989)。
【0079】
本発明の核酸構築物は、部位特異的組換え配列を含んでいてもよい。部位特異的組換え配列は、その後に導入される遺伝的材料の形質転換細胞への指定された組込みにとって有用であり得る。
【0080】
好ましくは、部位特異的組換え配列は、att配列、たとえばλファージ由来のattである。λファージは、細菌に感染するウイルスである。λファージの組込みは、attλと称される細菌ゲノム中の付着部位で起こる。細菌ゲノム中のatt部位の配列は、attBと称され、パーツB-O-B’から構成され、一方、環状ファージゲノム中の相補配列は、attPと称され、パーツP-O-P’から構成される。組込みは、Holliday構造を介して進行し、ファージタンパク質intおよび細菌タンパク質IHF (組込み宿主因子(integration host factor)) の両方を必要とする。intおよびIHFの両方が、attPに結合し、ファージおよび宿主DNAの部位特異的組換えのためのイントラソーム (DNA-タンパク質複合体) を形成する。組み込まれた宿主およびファージ配列は、B-O-P’---ファージDNA---P-O-B’になる。よって、att部位は、異種DNAの標的組込みのために使用され得る。
【0081】
他の部位特異的組換えシステムは、Cre/Lox、FLP/FRT (たとえば、Lyznik, et al., Site-Specific Recombination for Genetic Engineering in Plants, Plant Cell Rep, 21:925-932, 2003およびWO 99/25821を参照)、PhiC31 att部位、ジンクフィンガー(Zinc Finger)ベースのシステム (とりわけUS Pat No 6,785,613を参照) を含むが、これらに限定されない。
【0082】
形質転換された植物細胞ゲノム内に核酸構築物の存在を同定するため、または核酸構築物を局在化するための方法は、当該分野で公知であり、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH) およびPCR増幅とその後のサザンブロット分析を含むが、これらに限定されない。更に、遺伝子転写産物は、たとえばノザンブロット分析またはRT-PCRにより調査されてもよく、一方、関心のある薬学的産物は、たとえばウェスタンブロット、免疫組織化学、酵素アッセイ、LC-MSMS、ELISA;および気液クロマトグラフィーにより評価されてもよい。更に、関心のある薬学的産物は、たとえば血清中和阻害アッセイ;リガンド結合アッセイにより、機能的に評価されてもよい。
【0083】
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH) は、蛍光標識DNAプローブを、中期スプレッドまたは間期核にハイブリダイズさせる分子細胞遺伝学的技術である。サンプルDNA (中期染色体または間期核) を、まず変性させて、DNA二重らせん構造内の相補鎖を分離させる。その後、対象の蛍光標識プローブを、変性サンプル混合物に添加し、それは、二重らせんに再度アニーリングするため、標的部位においてサンプルDNAとハイブリダイズする。プローブシグナルを、蛍光顕微鏡で評価する。複数のプローブを、別個の標的を共に局在化させる(co-localize)ために使用してもよい。本発明の文脈において、FISHを、組み込まれた核酸構築物および天然のrDNAアレイを共に局在化させるために使用し、これにより、複数の第二の核酸がrDNAに組み込まれたトランスジェニック植物細胞株を同定してもよい。
【0084】
本発明の核酸構築物の組込み部位を同定する別の方法は、PCRとその後のサザンブロット分析によるものである。当業者であれば、組み込まれた核酸構築物を同定するための多くのPCRアプローチが存在することを認識するでしょう。一つのアプローチにおいて、二つのプライマーの一方は、核酸構築物内の配列に対応し、他方は、核酸に隣接した配列に対応する。別のアプローチにおいて、一方のプライマーは、推定される核酸の組込み部位の上流にあるゲノムDNA配列に対応し、他方のプライマーは、推定される核酸の組込み部位の下流にあるゲノムDNA配列に対応する。その後、PCR産物は、サザンブロット分析により核酸プローブを用いてプローブ精査される(probe)。ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) (U.S. 4,683,195;4,683,202;および4,965,188) は、クローニングすることなく、サンプル中で標的核酸配列の濃度を増大させるために使用され、典型的には10〜30塩基対の長さの適切なフォーワードおよびリバースオリゴヌクレオチドプライマーを設計するための標的配列情報の入手可能性を必要とする。サザンブロッティングは、増幅されたDNAのサイズ分離のためのアガロースゲル電気泳動と、核酸プローブハイブリダイゼーションのために、サイズ分離されたDNAをフィルター膜に移す方法とを組み合わせる。プローブは、放射性ラベルまたは蛍光ラベルなどのラベルと結合させてもよく、これによりDNA/プローブハイブリッドは、たとえばフィルム上またはホスホイメージャーにより可視化され得る。サザンブロットは、分子生物学者の標準的ツールである (J. Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Press, NY), pp 9.31-9.58)。また、サザンブロット分析は、組み込まれた核酸構築物の量を、同じブロット上においてプローブ精査された(probe)既知量のDNAと比較することにより、植物細胞ゲノムに組み込まれた核酸構築物のコピー数を決定するために使用され得る。検出されたDNAを定量する方法は、当該分野で公知であり、たとえばデンシトメトリーを含む。
【0085】
本明細書で使用される“核酸プローブ”は、同一または密接に関連したヌクレオチド配列を含むRNAまたはDNA標的に特異的にハイブリダイズするのに十分な数のヌクレオチドを含むDNAまたはRNAフラグメントである。プローブは、わずか約10から数十万もの数の任意の数のヌクレオチドを含有し得る。かかるハイブリダイゼーション反応のための条件およびプロトコールは、プローブサイズ、温度、ミスマッチの程度、塩濃度、およびハイブリダイゼーション反応に関する他のパラメーターの効果のように、当業者に周知である。たとえば、ハイブリダイゼーション反応が行われる温度が低く、塩濃度が高いほど、ハイブリッド分子に存在し得るミスマッチの程度が大きくなる。
【0086】
核酸は、ハイブリダイゼーションプローブとして使用するために、検出可能な部分またはラベル、たとえば32P、3Hおよび14Cで、あるいは化学的標識などの他の手段、たとえば、ウラシル部分の5’位置でビオチン化されたデオキシウリジレートの存在下でのDNAのニックトランスレーションで、それを標識することにより、一般に検出可能なものにされる。得られたプローブは、チミジレート残基の代わりにビオチン化ウリジレートを含み、ストレプトアビジンのビオチンへの結合に基づく多くの市販の検出システムの何れかにより [ビオチン部分を介して] 検出することができる。かかる商業的に入手可能な検出システムは、たとえばEnzo Biochemicals, Inc. [New York, NY] から入手することができる。ラベルがプローブを十分に検出可能なものにする限り、当業者に公知の任意の他のラベル、たとえば非放射性ラベルを使用してもよく、これは、アッセイの感度、[細胞の培養、DNAの抽出、およびハイブリダイゼーションアッセイのための] 利用可能な時間、プローブの供給源として利用可能なDNAまたはRNAの量、特別なラベル、およびラベルを検出するために使用される手段と相関関係がある。
【0087】
本明細書で使用される、DNA分子が安定なハイブリッドを形成するストリンジェンシー条件は、以下のものを含み得る:
1) 高ストリンジェンシー: 0.1 x SSPE, 0.1% SDS, 65℃
2) 中ストリンジェンシー: 0.2 x SSPE, 0.1% SDS, 50℃
3) 低ストリンジェンシー: 1.0 x SSPE, 0.1% SDS, 50℃
または、同程度のミスマッチまたはマッチングの選択につながる、塩および温度および他の試薬の任意の組み合わせ。たとえばBritten et al. Methods Enzymol. 29E: 363-406, 1974を参照。
【0088】
核酸構築物の安定な組込みの同定に加えて、関心のある薬学的産物の遺伝子の転写産物は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応 (RT-PCR) により決定され得る。この方法では、RNA鎖を、まずそのDNA相補鎖または相補的DNAに逆転写し、その後、得られたDNAをポリメラーゼ連鎖反応を用いて増幅する。これは、1または2工程のプロセスとすることができる。このアプローチは、トランスジェニック植物細胞に存在する構築物が発現されていることの表示として、第二の核酸に由来するmRNA転写産物を検出するために使用され得る。
【0089】
関心のある薬学的産物は、ウェスタンブロット分析により検出され得る。この方法は、ニトロセルロースまたはメンブレンなどの支持体に固定されたタンパク質(またはポリペプチド)の分析をいう。このアプローチは、まず、少なくとも一つのタンパク質の混合物をアクリルアミドゲル上で分離し、その後、ゲルからニトロセルロースまたはナイロンメンブレンなどの固体支持体に移すことを伴う。固定されたタンパク質は、その後、少なくとも一つの対象抗原に対する反応性を備えた少なくとも一つの抗体に晒される。結合した抗体は、その後、放射性標識または蛍光標識抗体の使用を含むがこれに限定されない種々の方法により検出される。
【0090】
関心のある薬学的産物は、ELISAにより検出され得る。酵素免疫測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay (ELISA))は、Engvall (Meth Enzymol, 70: 419, 1980) により最初に記載され、サンプル中の抗体または抗原の存在を検出するために使用される生化学的技術である。
【0091】
対象タンパク質を同定するための別の方法は、タンデム質量分析を備えた液体クロマトグラフィー(LC-MS-MS)、HPLCの溶質分離力と質量分析計の優れた検出力とを組み合わせた分析アプローチによるものである (van Breemen et al. Expert Opin Drug Metab Toxicol, 1: 175-85, 2005)。LCまたはHPLCは、ペプチドの多くの独特または種特異的な特性、たとえば、電荷、サイズ、疎水性、およびアミノ酸の特定タグの存在などに基づいて、ペプチドを分離することができる。タンデム質量分析 (MS-MS) は、質量分析計内で特定のサンプルイオンをフラグメント化し、得られたフラグメントイオンを同定することにより、化合物についての構造的情報を得るために使用される。この情報は、その後、完全な分子に関する構造的情報をつくるためにつなぎ合わせることができる。また、タンデム質量分析により、特定の化合物は、特異的および特徴的フラグメント化パターンのために、複雑な混合物中で検出され得る。LC-MS-MSは、タンパク質から一次配列情報をつくるために使用され得る。
【0092】
関心のある薬学的産物を同定するための更なるアプローチは、気液クロマトグラフィー(またはガスクロマトグラフィー)によるものである。この方法は、混合物の揮発性成分を分離するためのアプローチをいう。ガスクロマトグラフは、カラムとして知られている狭いチューブを通ったフローを使用し、それを通って、サンプルの様々な化学構成成分は、それらの種々の化学的および物理的特性および固定相と呼ばれる特定のカラム充填剤との相互作用に依存して、様々な速度でガス流(キャリアガス、移動相)中を通過する。化学物質は、カラム端から出ると、電気的に検出、同定される。カラムにおける固定相の機能は、様々な成分を分離して、それぞれの成分を異なる時間(保持時間)でカラムから出すことである。保持の順序または時間を変えるために使用することができる他のパラメーターは、キャリアガスの流速、および温度である。一般に、物質は、カラムから出てくる(放出する)順序およびカラム中の分析物の保持時間により、(定性的に)同定される。
【0093】
関心のある薬学的産物は、たとえば血清中和阻害アッセイにより、機能的に評価され得る。血清中和阻害アッセイは、抗ウイルス血清によりウイルスの中和を妨害する抗原の能力を測定する血清学的アッセイである。ウイルスで免疫処置した宿主から得た血清は、通常、当該ウイルスが細胞に感染することを妨害し、これにより、ウイルスの細胞変性効果を中和する。しかし、当該ウイルスから得た抗原が、上記混合物に添加されると、抗原と血清との相互作用により、抗原/血清複合体が得られ、これは、血清がウイルスの効果を中和することを妨害する。
【0094】
動原体近くの(pericentric)rDNA内への遺伝子インサートの局在および関心のある機能的な薬学的産物の発現に基づいて植物細胞を選択した後、薬学的産物は、植物から回収され得る。
【0095】
トランスジェニック植物細胞は、典型的には、収穫され、洗浄され、破壊のために適切な緩衝液に置かれる。しかし、薬学的産物を分泌させ、これにより収集してもよい。更に、関心のある薬学的産物は、一旦回収した後に、精製してもよい。
【0096】
関心のある薬学的産物は、機械的、化学的および酵素的アプローチを含むがこれに限定されない当該分野で公知の方法に従って細胞を破壊することにより、植物培養細胞から回収され得る。
【0097】
細胞壁を除去するための酵素的方法の使用は、破壊のための細胞を調製するため、あるいはクローニングされたDNAの導入または細胞より小さいオルガネラの単離などの他の用途のためのプロトプラスト (細胞壁のない細胞)を調製するために充分に確立されている。酵素は、一般に商業的に入手可能であり、多くの場合、当初は生物学的供給源から単離された (たとえば、ニワトリ卵白からのリゾチーム)。代表的な例は、リゾチーム、リソスタフィン、チモラーゼ、セルラーゼ、ムタノリシン、グリカナーゼ、プロテアーゼ、およびマンナーゼを含む。
【0098】
細胞破壊の別の方法は、洗剤ベースの細胞溶解である。この方法は、ホモジナイゼーションまたは機械的粉砕と組み合わせて使用され得る。洗剤は、脂質:脂質、脂質:タンパク質、およびタンパク質:タンパク質の相互作用を破壊することにより、細胞を取り囲む脂質バリアを破壊する。細胞溶解のための適切な洗剤は、細胞のタイプおよび供給源、並びに細胞溶解後の下流の適用に依存する。適切な洗剤は、当業者に公知である。動物、細菌および植物細胞のすべては、細胞壁の有無により、最適な溶解のための様々な要件を有している。
【0099】
イオン洗剤と比較して、非イオンおよび両性イオン洗剤は、穏やかであり、細胞溶解時にタンパク質の変性が少なく、タンパク質の機能または相互作用を維持することが重要である場合に、しばしば細胞を破壊するために使用される。CHAPS、両性イオン洗剤、および非イオン洗剤のTritonTM Xシリーズは、細胞破壊のために一般に使用される。イオン洗剤は、強力な可溶化剤であり、タンパク質を変性させる傾向がある。SDSは、ゲル電気泳動およびウェスタンブロッティングによりタンパク質レベルを評価する研究において広く使用されるイオン洗剤である。
【0100】
細胞破壊のための別の方法は、小さなガラス、セラミック、またはスチールビーズ、並びに混合物の攪拌または振盪による高レベルの攪拌を使用する。この方法は、しばしばビーズビーティングと称される。一つの側面において、ビーズは、試験管内の細胞または組織懸濁液に添加され、サンプルは、ボルテックスミキサー上で混合される。別の側面において、ビーズビーティングは、閉鎖バイアル内で行われる。サンプルおよびビーズは、電動モーターにより駆動される特別デザインの攪拌器で激しく攪拌される。
【0101】
細胞破壊のための別の方法は、音波処理として知られており、サンプルへの超音波 (典型的には20〜50 kHz) の適用をいう。この方法では、高周波が電気的に発生し、機械的エネルギーが、高周波で振動する金属プローブを介してサンプルに伝達される。プローブは、細胞含有サンプルに配置され、高周波の振動は、局在性の低圧力領域を発生させ、空洞形成および埋伏につながり、最終的に細胞を壊して開口させる。
【0102】
細胞破壊の更なる方法は、高い剪断力に依存する。細胞破壊のための高い剪断力の機械的方法は、3つの主なクラスに分類される:ローターステーター破壊器、バルブ式プロセッサー、および固定式ジオメトリープロセッサー。これらプロセッサーはすべて、細胞をばらばらにする剪断力の下にバルク水性媒体を置くことにより作動する。これらシステムは、大規模な研究室実験(20 ml以上)および大規模生産のオプションのために特に有用である。たとえば、US特許出願公開公報No. US20040268442を参照。
【0103】
関心のある薬学的産物は、タグ、たとえばタンパク質タグを更に含んでいてもよい。タンパク質タグは、タンパク質精製、特定の酵素修飾および化学的修飾タグを含む多くの用途を見出す。タンパク質タグは、当該分野で公知であり、親和性タグ、可溶化タグ、クロマトグラフィータグ、エピトープタグおよび蛍光タグを含むが、これらに限定されない。幾つかの例において、これらタグは、化学的薬剤または酵素的手段により除去することが可能である。
【0104】
アフィニティータグは、アフィニティー技術を用いて精製することができるように、タンパク質に付着される。代表的なアフィニティータグは、キチン結合タンパク質 (CBP)、マルトース結合タンパク質 (MBP)、およびグルタチオン-s-トランスフェラーゼ (GST) を含む。ポリ(His)タグは、金属マトリクスに結合し、タンパク質精製で広く使用される。
【0105】
可溶化タグは、タンパク質の適切なフォールディングを助けるため、およびタンパク質の沈殿を防ぐために使用される。代表的な可溶化タグは、チオレドキシン (TRX) およびポリ(NANP) を含む。幾つかのアフィニティータグ、MBPおよびGSTなどは、可溶化剤としても機能し得る。
【0106】
クロマトグラフィータグは、タンパク質のクロマトグラフィー特性を変えるために使用され、特定の分離技術にわたって異なる分割を提供する。代表的なクロマトグラフィータグは、多価陰イオンアミノ酸からなるFLAGを含む。
【0107】
エピトープタグは、高い親和性抗体との免疫反応性のために選択された短いペプチド配列である。代表的なエピトープタグは、V5-タグ、c-myc-タグ、およびHA-タグを含む。これらタグは、ウェスタンブロッティング、免疫沈降、および抗体精製のために有用である。
【0108】
蛍光タグは、タンパク質を可視化するために使用される。GFPおよびその変異体は、最も一般に使用される蛍光タグである。
【0109】
回収された関心のある薬学的産物は、精製されてもよい。タンパク質の精製方法は、当該分野で公知であり、以下のもの含むがそれらに限定されない:液体中に懸濁している種々の質量または密度の粒子の混合物を分離するための遠心分離;サイズまたは分子量に従ってタンパク質を分離するためのSDS PAGE;またはサイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、金属結合、イムノアフィニティークロマトグラフィイー、および高性能液体クロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない種々のクロマトグラフィーアプローチ。
【0110】
回収された関心のある薬学的産物は、産物の性質に依存して用途を見出す。一つの側面において、薬学的産物は、動物またはヒトの治療的および/または予防的免疫処置におけるワクチン接種剤として有用である。別の側面において、薬学的産物は、診断アッセイの一部として有用である。
【0111】
回収された関心のある薬学的産物の用途は、当該分野で公知であり、ワクチン接種;新形成、心臓血管疾患、自己免疫疾患、および糖尿病のための抗体ベースの治療剤;タンパク質ホルモン補充または補強療法;などを含むが、これらに限定されない。
【0112】
本明細書で使用される“免疫処置”および“ワクチン接種”は、交換可能に使用され、関心のある薬学的産物を含有する免疫原性調製物を宿主に接種することにより病原体に対する防御を提供し、その結果、宿主の免疫系が刺激され、その後の病原体の露出に対する宿主の反応と関連したその後の病状を予防または減弱するための手段をいう。関心のある薬学的産物は、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とともに使用され得る。薬学的に許容可能な担体、希釈剤および賦形剤は、当該分野で公知であり、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980) に記載される。
【0113】
当業者であれば、適切なワクチン調合物を調製する方法を理解しているでしょう。適切な調合物を選択して調製するための慣用的な手順および成分は、たとえば、1999年に発行されたRemington’s Pharmaceutical Sciences and in The United States Pharmacopeia: The National Formulary (USP 24 NF19) に記載される。
【0114】
注射用途に適した薬学的組成物の形態は、無菌の水性溶液または分散液、および無菌の注射溶液または分散液の即時調製のための無菌のパウダーを含み、ここで無菌の用語は、投与される関心のある薬学的産物を含み得る細胞にまで及ばない。すべての場合において、形態は、無菌でなければならず、また、容易な注射可能性(syringability)が存在する程度に流体でなければならない。
【0115】
関心のある薬学的産物は、腸管外、経口、粘膜および/または局所適用において治療的および/または予防的効果を生むために有用であり得る。
【0116】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することにより更に説明される。
【実施例】
【0117】
特に記載しない限り、すべてのDNA操作 (制限酵素消化、フラグメント精製ライゲーション、細菌の形質転換およびプラスミドスクリーニング) は、標準的な方法 (Sambrook and Russell. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Third Edition) 2001. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y) を用いて行った。
【0118】
ベクター骨格をもたない第一および第二の核酸の精製フラグメントが、本発明の文脈で使用され得る。
【0119】
例1:核酸
第一の核酸
1,384個の3’末端塩基の26Sアラビドプシス (Arabidopsis) rRNA遺伝子 (Unfried and Gruendler. Nucleic Acids Res, 18: 4011, 1990) および最初の111塩基の26S-18S rRNA遺伝子の遺伝子間スペーサーからなる1,495 bpインサートを、pUC9のXhoI部位にクローニングして、ベクターpJHD19aを作成することにより、アラビドプシスのリボソームRNA遺伝子フラグメントを含有するプラスミドを構築した(図1B)。
【0120】
第二の核酸
pV2ベクター (下記の中間体プラスミドのマップは図1Aに示す) の構築のために、シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) ポリユビキチン3 (AtUbi3) プロモーター/5’非翻訳領域 (UTR) の3’末端領域 (Norris et al. Plant Mol Biol. 21: 895-906, 1993) および33 bpのE. coli attB λファージ挿入部位 (Landy. Annu Rev Biochem. 58: 913-949, 1989) を含む合成融合配列を、pUCベースのベクター (Bio pUCminusMCS, Blue Heron Technology) にクローニングされたインサートとして合成して (Blue Heron Technology, Inc)、プラスミドpUCHUattを得た。このインサートの配列を以下に示す:
5’AGATATCGATTCGTAGTGTTTAACATCTGTGTAATTTCTTGCTTGATTGTGAAATTAGGATTTTCAAGGACGATCTATTCAATTTTTGTGTTTTCTTTGTTCGATTCTCTCTGTTTTAGGTTTCTTATGTTTAGATCCGTTTCTCTTTGGAGTTGTTTTGATTTCTCTTACGGCTTTTGATTTGGTATATGTTCGCTGATTGGTTTCTACTTGTTCTATTGTTTTATTTCAGGTTGAAGCCTGCTTTTTTATACTAACTTGAGCGAATCCGGATTAGGATCCGTCGACACTAGTGAAAGGAGATAGGATCCAAGCTTGGCGTAATCATGGTCATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTGT 3’(配列番号1)。
【0121】
AtUbi3プロモーター/5’UTRの末端部およびattB部位からなる284 bp ClaI-SpeIフラグメントを、pUCHUattから精製し、ClaI-SpeI消化プラスミドpDAB1400(AtUbi3プロモーター;E. coli uidA遺伝子 (GUS; Jefferson et al. EMBO J, 6: 3901 3907, 1987) およびアグロバクテリウムツメファシエンスORF1 3’UTR (AtuORF1 3’UTR, Barker et al. Plant Molecular Biology, 2: 335 350, 1983) からなる発現カセットを含有する)にクローニングして、中間体プラスミドpABI013を作成した。その後、人工的なマトリクス付着領域 (MAR; van der Geest et al. Plant Biotechnology Journal, 2: 13-26, 2004) を、プラスミドpArActAfからEcoR1 (Klenow filled) BamHIフラグメントとして切り出し、attB部位の下流において、pABI013のAccIII (Klenow filled) BamHI部位にクローニングして、中間体プラスミドpABI014を作成した。最後に、タバコRB7 MAR配列 (Hall et al. Proc Natl Acad Sci USA, 88: 9320 9324, 1991) および伝染性ファルビキウス病ウイルス (IBDV) E91 VP2抗原 (Tsukamoto et al. Virology, 257: 352 362, 1999) およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ (PAT) (Wohlleben et al. Gene. 70: 25 37, 1988) をコードする遺伝子を含有するpDAB2406に由来する6,607 bpのAgeIフラグメントを、pABI014の適合可能なXmaI部位にクローニングして、ベクターpV2を作成した。
【0122】
プラスミドおよびフラグメントの精製。pV2およびpJHD19a (rDNAベクター) プラスミドの大規模な調製は、Qiagen Giga prep kit (Qiagen) を用いて製造者の推奨プロトコールに従って細菌の溶解物から行った。形質転換の前に、各プラスミドインサートの大規模な精製を行って (図1B参照)、以下の手順を用いて抗生物質耐性遺伝子を除去した。適切な制限酵素でDNAを消化した後、DNAを20分間60℃に置いて、酵素を不活性化した。HPLC溶出バッファー (10 mM Tris HCl pH 8.0、1 mM EDTA pH 8.0、および150 mM NaCl) を用いてDNA濃度を1.0〜1.2 mg/mlに調整し、10〜15分間55℃に加熱し、5 mg DNAを、Sephacryl S-1000 SF樹脂 (Amersham) をパックしたXK50/100 HPLCカラム (Amersham) に、5 ml/minの流速でロードした。DNAフラグメントを5 ml/minの流速で溶出し、DNAフラグメントの溶出をモニターして、ベクター骨格を含有するフラグメント含んでいないフラクションを同定した。選択されたフラクションをプールし、DNAを沈殿により濃縮し、精製について分析した。結果は、それぞれのベクター骨格を含まない“コアpV2” (“コアpV2ベクター”とも称される) および26S rDNAである。
【0123】
例2:アグロバクテリウムツメファシエンスを用いたタバコBY-2形質転換
タバコBY-2細胞を、アグロバクテリウムツメファシエンス媒介性移入により、プラスミドpDAS1060で形質転換した。137カルスから最大レベルのVP2を発現する形質転換イベントを、懸濁培養へと進めた。形質転換イベント1060-199、1060-213および1060-243を、分析された29に由来するトップ発現イベントのなかから選択した。
【0124】
例3:第一および第二の核酸によるタバコBY2細胞の形質転換 − プロトプラスト形質転換および初期発現スクリーニング
タバコBY-2プロトプラストを、Kao and Michyluk (Planta, 126: 105-110, 1975) のプロトコールに基づく方法により調製した。継代培養後3日目の約3グラムのBY-2懸濁培養細胞を、25 mlの酵素溶液 (0.6 M マンニトールを含むK3培地中の1.4% w/v Cellulase‘Onozuka’R10、0.3% w/v Macerozyme R10) を含む100 x 25 mm ペトリディッシュに分注した。K3培地は、2,500 mg/l KNO3、250 mg/l NH4NO3、900 mg/l CaCl2.2H2O、250 mg/l MgSO4.7H2O、250 mg/l (NH4)2SO4、150 mg/l NaH2PO4.H2O、250 mg/l キシロース、100 mg/l ミオ-イノシトール、1 mg/l ピリドキシンHCl、10 mg/l チアミンHCl、1 mg/l ニコチン酸、および10 ml/l 硫酸第一鉄/キレート溶液 (100x; SIGMA F0518), pH 5.8からなる。ディッシュをパラフィルムで密閉し、一晩 (約16〜17 h) 24〜26℃において暗所で50 rpmで攪拌しながらインキュベートした。クルードなプロトプラスト懸濁液を、100μmナイロンメッシュふるいを通して注ぎ、20 ml フローティング培地 (0.6 Mスクロースを補充したK3培地) を添加し、チューブあたり2.5 mlのW5溶液 (154 mM NaCl、125 mM CaCl2、5 mM KCl、5 mM グルコース、pH 5.8) を上乗せした。チューブを、7分間115 gで遠心分離し、完全なプロトプラストを界面から収穫した。プロトプラストを、10 mlのW5溶液で洗浄し、その後、70 gで7分間の遠心分離によりペレットにした。この洗浄工程を2回繰り返した。洗浄されたプロトプラストを、5 mlのW5溶液に再懸濁し、プロトプラスト濃度を、10μl血球計 (Spore counter, Thoma chamber) を用いたカウンティングにより決定した。
【0125】
形質転換のために、プロトプラストを、3 ml MMM バッファー (15 mM MgCl2、0.1% w/v 2[N-モルホリノ]エタンスルホン酸 (MES)、0.5 M マンニトール、pH 5.8) に再懸濁した。30μgのDNAを含有する30マイクロリットルを、300μlプロトプラスト溶液に添加した。その後、300μlのPEG溶液 (0.4 M マンニトール、0.1 M Ca(NO3)2中の40% w/v PEG 4000、pH 6) を添加し、その混合液を室温で20分間インキュベートした。すべての実験において、コントロールを含め、ここで一方のサンプルは、DNAもPEGも含有しないが、他方のサンプルは、DNAを含有しないがPEGを含有する。その後、トランスフェクトさせたプロトプラストを、チューブあたり10 ml W5を添加することにより2回洗浄し、その後、70 gで7分間の遠心分離を行った。形質転換されたプロトプラストを、100 ml/l Linsmaier and Skoog Basal Medium 10Xストック (PhytoTechnology Laboratories カタログ番号L689)、0.6 mg/l チアミンHCl、170 mg/l KH2PO4、2.5 ml/l 8P 有機酸 (100Xストック; Kao and Michyluk. Planta, 126: 105-110, 1975)、2.5 ml/l 8P 糖 (100Xストック; Kao and Michyluk. Planta, 126: 105-110, 1975)、2 ml/l ビタミン (100Xストック; Sigma)、5 ml/l ココナッツ水、0.06 g/l カゼイン加水分解物、1 g/l MES、5 g/l ficoll、0.2 mg/l 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 (2,4-D)、0.1 mg/l ベンジルアデニン、68.4 g/l グルコース、20 g/l スクロース、pH 5.8からなるXB-4プロトプラスト培地において、60 x 15 mmディッシュ中5 X 105 プロトプラスト/mlで、暗所において室温で培養した。5〜7日後、トランスフェクトされたプロトプラストを、以下のとおりアガロースに埋め込んだ:アガロース (培地中2%) (SeaPlaque agarose, Cambrex, カタログ番号50100) を融解し;40〜50℃に冷まし、プロトプラスト培養液と混合して、固体埋め込み培地中0.8〜1.0%の最終アガロース濃度を得た。トランスフェクションから10日後、アガロースに埋め込まれたBY-2培養物を、スライスし、2部のLS-BY2 (10Xストックから希釈された1X LS基礎培地 (PhytoTechnology Laboratories カタログ番号L689)、170 mg/l KH2PO4、0.6 mg/l チアミンHCl、0.2 mg/l 2,4-D、30 g/l スクロース、pH 5.8) と3部のXB-4からなり5 mg/l L-PPTを補充した培地でのホスフィノトリシン (PPT) 選択のために、新しいディッシュに移した。選択の14日後、埋め込まれたBY-2細胞を、3部のLS-BY2と2部のXB-4からなり5 mg/l L-PPTを補充した培地の新しいディッシュに移し、選択を更に14日間継続した。PPT耐性ミニカルスが観察された場合、アガローススライスを、継続選択のために、培地 (3部のLS-BY2と2部のXB-4;5 mg/l L-PPT) 中0.7% アガロースを含有する100 x 25 mmディッシュに移した。最初のPPT耐性カルスは、そのサイズが3〜5 mmに達するまで選択プレート上で維持し、そのサイズの時点で、後述のとおり新しいプレートで継代した。
【0126】
カルスの維持および移動
rDNA/コアpV2形質転換細胞およびVP2/アグロバクテリウム形質転換細胞 (1060シリーズ形質転換イベント) からのカルス組織は、研究の過程を通して14日ごとに継代培養した。要するに、14日齢のカルスに由来するカルス塊をひっくり返し、カルスの下面に由来するカルス組織の2〜3乃至5〜10 mm 直径サイズのピースを、ビアラホス (10 mg/l) またはL-PPT (5 mg/l) を含むLS-BY2寒天培地を含有する新しい寒天プレートに移した。移されたカルスピースを、寒天に優しく押し当てて、培地との十分な接触を保証した。各プレートを、およそ1回パラフィルムで巻き、プラスチックボックスに置き、25℃±3℃に移した。
【0127】
カルスからの懸濁培養の開始および維持
懸濁培養は、移してから7日後にカルスから開始した。懸濁培養を開始する前に、追加のカルスプレートを調製して、十分な量のカルスを得た。それぞれの形質転換イベント (14-46、16-37、16-40、1060-199、1060-213および1060-243) のために、カルスを収穫し、上述のとおり混合した。1グラムまでのカルスを、ビアラホス (10 mg/l) またはL-PPT (5 mg/l) を含む50または100 mlのLS-BY2液体培地を含有する滅菌プラスチック250 ml Erlenmeyerフラスコに移した。各フラスコ中の移された細胞および液体を、滅菌ピペットを用いて5〜7回引き上げて投下して、カルス組織を破壊した。3つの100 ml 懸濁培養を、各イベントについて開始し、密閉されたフラスコを、Innova 44 振盪インキュベーター (New Brunswick Scientific) に、25℃±2℃で暗所に、2.54 cmの軌道ストロークで130 rpmで連続攪拌しながら置いた。特に記さない限り、すべての懸濁培養は、新しい培地に0.5% パック細胞体積 (PCV) の細胞を接種することにより、7日ごとに継代した。
【0128】
カルスサンプルの回収および処理
カルスのサンプリングおよび処理は、カルスを移してから7日後に行った。各イベントについて、カルス全体を、培地からプレート蓋に移し、カルスを均一な混合物に攪拌した。先端がカットされた1ミリリットルシリンジを用いて、各カルスペーストのサンプルを、0.3 mlに分割して引き上げた。シリンジのカット端を、プレート蓋表面に対して置き、サンプルを、0.2 mlに分割して押し出して、気泡を除去した。サンプルを、Fastprep Lysing Matrix Dサンプルチューブ (Q-BIOgene) に押出し、すぐに抽出するか、または−80℃で保存する前にドライアイスで凍結させた。抽出のために、1 mM EDTAを含有する0.4 mlのリン酸バッファー (PB/EDTA; 1.5 mM KH2PO4、8 mM Na2HPO4、1 mM EDTA) を各チューブに添加し、氷上にすぐに置いた。カルスサンプルを、Bio101 Fast Prep細胞破壊機 (Thermo Savant) で、6.0のスピードで40 sかけて処理し、その後、約3分間冷却した。この手順を1回繰返し、その後、Eppendorf 5415マイクロ遠心分離機で2,800 gで15分間の遠心分離を行った。サンプルの上清を、−80℃±10℃で保存し、ペレットを捨てた。
【0129】
ミニ懸濁およびフラスコ培養における形質転換細胞のスクリーニング
タバコBY-2クローンの初期評価のために、2〜3 mmのカルスを、PPTを加えた3 mlの培地を含有する6ウェルのマルチウェルプレート中の懸濁液に移した (ミニ懸濁培養と称する)。水をウェルの外側に添加して、高い湿度を維持した。プレートを、暗所に置き、26℃において130 rpmで振盪しながら維持した。VP2分析のために、それぞれの形質転換イベントにつき4つのレプリケートミニ培養を確立し、収穫および分析の前に、ミニ培養を15〜20日間維持した。
【0130】
収穫時に、ミニ懸濁培養の細胞密度を、以下のとおりパック細胞体積 (PCV) を決定することにより評価した:サンプルを、10 ml幅の口径のピペットを用いて回収し、ウェルを、3 mlおよび5〜10 mlの培地を用いて順次洗浄した。細胞懸濁物と洗浄物を合わせ、目盛りつき円錐管に移し、細胞を、200 gで15分間の遠心分離を行うことにより穏やかにペレットにした。抽出物を、PM1プロトコール (下記) のとおり調製し、VP2および全タンパク質含量の分析前に−20℃で保存した。高レベルのVP2を発現するトランスジェニックイベントを、フラスコ培養に移し、後述のとおり維持した。
【0131】
例4:DNA調製およびサザンブロット分析
DNAを、予め凍結した (−80℃) 細胞ペレットから単離した。要するに、L-PPT耐性イベント (下記参照) のミニ培養またはフラスコ懸濁培養を継代する場合、細胞の一部をペレットにし、一瞬で凍結し、−80℃で保存した。ゲノムDNAの調製のために、凍結したペレット (〜1 mlパック体積) をるつぼに移し、液体窒素ですりつぶした。なお凍結している粉体を15 ml円錐管に移し、ゲノムDNAを、Qiagen DNeasy Plant kitを用いて製造者の推奨プロトコールに従って調製した。DNAの定量は、OD260/280で分光光度定量により行った (Nanodrop model ND 1000)。
【0132】
サザンブロット分析のために、5〜10μgのゲノムDNAを、適切な制限酵素で一晩消化し、その後、フェノール/クロロホルム抽出により精製し、その後、エタノール析出を行った。消化されたサンプルを、0.7% アガロース 0.5X TBE (45 mM トリスホウ酸塩、1 mM EDTA、pH 8.0) ゲルで分画し、70ボルト (定電圧) で一晩流した。ゲルを、エチジウムブロマイドで染色し、UV光ボックス上で撮影し、その後、0.25 M HClで20分間処理してDNAを脱プリン化(depurinate)し、その後、0.4 M NaOH中で30分インキュベートしてDNAを変性させた。DNAを、Turboblotter装置 (Schleicher & Schuell Bioscience) およびブロッティングバッファーとしての0.4 M NaOH を用いて、TM-XL (Amersham Biosciences) メンブレンに移した。ブロットは、以下のとおりハイブリダイズさせた:メンブレンを、100μg/ml 変性サケ精子DNA (Invitrogen) を加えた20 mlのQuikHybハイブリダイゼーションバッファー (Stratagene) 中で、一晩、ハイブリダイゼーションオーブン (Tyler Research Instruments) において65℃でプレインキュベートし、その後、プレハイブリダイゼーション液を捨て、100μg/ml 変性サケ精子DNAと、ランダムプライマー標識 (Random Primers DNA labeling System, Invitrogen) を用いて32P-dCTP (alpha 32 dCTP, Redivue Amersham Bioscience) で標識された適切な熱変性プローブとを補充した20 mlのQuikHyb溶液と置き換えた。ブロットを、ハイブリダイゼーションオーブンにおいて65℃で一晩ハイブリダイズさせ、その後、65℃において2X SSC、0.1% SDSで、1回の洗浄につき15分かけて2回洗浄し、65℃において0.1X SSC、1% SDSで、1回の洗浄につき15分かけて2回洗浄した。ブロットを、1〜3日の範囲の期間にわたって、x線フィルム (Hyperfilm ECL, Amersham Biosciences) に露出した。
【0133】
例5:蛍光in situハイブリダイゼーション (FISH) 分析
rDNA/コアpV2形質転換イベントの懸濁細胞培養を同調させ、有糸分裂でブロックした。rDNA/コアpV2形質転換細胞の懸濁培養を、記載されるとおりに継代培養し、定常期に到達させて、この時点で、同体積の新しいMS培地に移し、振盪しながら更に24h維持した。有糸分裂のブロッキングを開始するために、プロピズアミド(Propyzamide)(Chem Service, cat no. PS 349) を30μMの最終濃度で懸濁培養に添加した。4hのインキュベーション後、細胞を新しいLS培地で簡単に洗浄した。プロトプラストを調製するために、ブロックされた細胞を、酵素溶液 (1.0% cellulase‘Onozuka’RS、0.0.5% Macerozyme R-10、0.1% pectinylase Y-23、130 g/l スクロース、1.0 g/l CaCl2.2H2O、100 mg/l KH2PO4および585 mg/l MES、pH 6.0を含有する10 ml酵素溶液に対し、1 ml パック細胞体積) に浸漬し、37℃で1.5 h振盪しながらインキュベートした。プロトプラストを、浮上分離により (プロトプラスト形質転換について上述したとおり) 精製し、W5溶液で洗浄し、低張膨張媒体 (25% W5溶液) の添加により14 mlの最終体積に再懸濁した。膨張媒体において10分間室温でインキュベートした後、プロトプラストを、100 gで7分間の遠心分離によりペレットにした。最後に、プロトプラストペレットを、氷冷固定液 (3部の無水エタノールに対して1部の氷酢酸) の滴状添加により、添加の間は穏やかに旋回しながら固定した。固定された細胞は、スライド調製の前に固定溶液中に−20℃で保存した。中期スプレッドの調製のために、固定液中で固定されたプロトプラスト懸濁物の1滴を、パスツールピペットから、前処理された顕微鏡スライドに、約10 cmの距離から分注した。スライドを、空気乾燥後、ハイブリダイゼーション前の少なくとも24hにわたって室温で寝かせた
精製された二本鎖DNAフラグメントから構成されるFISHプローブは、ビオチン16-dUTP (Enzo Life Sciences) またはジゴキシゲニン11-dUTP (Roche) の何れかを用いたニックトランスレーションにより製造者の指示に従って標識した。幾つかの例において、プローブは、dTTPをビオチン16-dUTP (1.0 mM, Roche) またはジゴキシゲニン11-dUTP (1.0 mM, Roche) で部分的に置換するPCR反応により標識した。26S rDNAプローブは、ジゴキシゲニン11-dUTP (Roche) を含有するDIG Nick Translation Mix (Roche) を用いたニックトランスレーションにより製造者の指示に従って標識した、pJHD19a の1.5 kb Xho1フラグメントであった。18S rDNAプローブは、PCR増幅により、ジゴキシゲニン11-dUTPを含有する反応で調製した (使用されたプライマーは、フォーワードプライマー: 5’-TGT GCA CCG GTC GTC TCG T-3’およびリバースプライマー: 5’-TCA GCC TTG CGA CCA TAC T-3’であった)。pV2プローブは、トランスフェクトされたpV2インサートを含む9.2 kb NheI-FspIフラグメントからなり、ニックトランスレーションによるビオチン16-dUTP (Enzo Life Sciences) の組込みにより標識した。
【0134】
スライドとプローブとのハイブリダイゼーションは、まず、スライドを100μg/ml RNase A中で37℃で1 hインキュベートし、その後、2X SSCで5分にわたって2回洗浄することにより行った。スライドは、エタノールシリーズ (70%、80%、90%および100%) において、室温でそれぞれ2分にわたって脱水させた。スライドを、70% ホルムアミドおよび30% 2X SSCを含有する溶液中において、70℃で2分にわたって変性させ、その後、氷冷エタノールシリーズ (70%、80%、90%および100%) において、それぞれ2分にわたってクエンチングし、空気乾燥させた。70℃で10分にわたって変性させた後、200 ng 標識プローブミックスを、1つのスライドにつき、26μlハイブリダイゼーションバッファー (50% ホルムアミド、10% (w/v) 硫酸デキストラン、1% Triton X-100、2X SSC、pH 7.0) に添加した。その後、スライド上にカバーガラスを置き、これを、その後、加湿チャンバーにおいて37℃で16 hインキュベートした。その後、スライドを、42℃において50% ホルムアミド、2x SSCで洗浄し、その後、42℃において2x SSCで洗浄した。その後、スライドを、アビジン−FITC (Vector Laboratories) およびモノクローナル抗ジゴキシゲニン (Sigma) と37℃で30分間インキュベートし、その後、ビオチン化抗アビジン (Vector Laboratories) およびヒツジ抗マウスIgG-DIG (Chemicon) 中で30分間インキュベートした。最後に、スライドを、アビジン−FITCおよび抗digローダミン中でインキュベートし、PBD溶液 (50 mM リン酸バッファーおよび0.1% Triton X-100) で洗浄し、その後、DAPI Vectorshieldに載せた。FISH画像を、epi蛍光イルミネーション (Photonic Solution) を備えたOlympus BX61顕微鏡を用いて撮影し、デジタル画像を、FISHView software (Applied Spectral Imaging) を用いて取得した。
【0135】
例6:rDNA/コアpV2形質転換イベントのための増殖、発現安定性およびDNAインサート安定性の特徴付け
懸濁培養は、7日ごとに継代し、% PCVに基づいて12回の継代にわたって継代培養した。2回目の継代において、それぞれの形質転換イベントについて3つのレプリケートフラスコを、イベントごとに6つのレプリケートに拡大し、二倍のフラスコを維持して継代系統を追跡した。イベントごとに6つのレプリケートを、rDNA/コアpV2形質転換細胞 (形質転換イベント16-xx) について8回目の継代まで、VP2アグロバクテリウム形質転換細胞 (形質転換イベント1060-xx) について11回目の継代まで維持した。これらの継代において、レプリケートは、イベントあたり4つに減らした。初期の継代で決定された様々な増殖の特徴のために、rDNA/コアpV2形質転換イベント16-37および16-40は、1 % 最終PCVを用いて継代培養し、残りのイベントは、0.5 % 最終PCVを用いて継代培養した。それぞれの継代について継代培養の7日後に、各フラスコのPCVを決定した。継代培養のために、10%または5% PCVが得られるように、培地の体積およびパック細胞の量を混合し、その後、必要な体積の新しいLS-BY2培地で5倍または10倍希釈して、1.0%または0.5% 最終PCVを得た。それぞれの継代培養の後、フラスコを、Innova 44振盪インキュベーターに、25℃±2℃で、2.54 cmの軌道ストロークで暗所において130 rpmで連続攪拌しながら置いた。
【0136】
例7:プロセス方法1および全タンパク質の決定
プロセス方法1 (PM1) は、実験を通して接種後11、14および18日目に回収したサンプルから収穫した全ての懸濁培養サンプルを処理するために使用した。
【0137】
PM1のために、各サンプルである10または20 mlの懸濁液を収穫し、15 ml 円錐管に分注し、2,000 gで10分間、4.0 ℃で遠心分離を行って細胞を沈殿させた。PCVを、遠心管上の目盛りを用いて1ミリリットルの4分の1まで決定した。増殖培地を捨て、各細胞ペレットを、PCVと同体積の1 mM EDTA含有リン酸バッファー (PB/EDTA; 1.5 mM KH2PO4、8 mM Na2HPO4、1 mM EDTA) で再懸濁した。管あたり約1.3 mlの体積を、Lysing Matrix Dサンプル管 (Q-BIOgene) に移し、氷上にすぐに置いた。テストおよび保持に十分な量の細胞抽出物を得るために、1サンプルあたり約6 x 1.3 mlの部分サンプルを処理した。サンプルを、Bio 101 Fast Prep細胞破壊機 (Thermo Savant) で、6.0のスピードで40 sかけて処理し、その後、約3分間冷却した。この手順を1回繰返し、その後、Eppendorf 5415マイクロ遠心分離機で2,800 gで15分間の遠心分離を行った。それぞれの管からの上清を、各サンプルの共通プールにデカントし、すぐに氷上に置いた。各サンプルの処理済みの部分サンプルの全てをプールし、ボルテックスにかけたらすぐ、サンプルを複数の部分サンプルに分配し、分析まで−80℃±10℃で保存した。
【0138】
分析前、各テスト時点において、サンプル収穫のために使用した円錐管をラベルし、予め重量測定し、それぞれの継代で記録した。%PCVを決定した後、各サンプルから上清を捨て、パック細胞を、ペレット重量(PW)を決定するための重量測定まで氷上に置いた。ペレット重量保持装置がDNA/RNA分析のために必要な場合、ペレット状サンプルを−80℃±10℃で凍結した。ウェットケーキ重量(WCW)分析が必要な場合、サンプルを、更なる処理のために氷上に戻して置いた。ウェットケーキ重量の決定に必要なサンプルのために、サンプルペレットを、脱イオン水中でボルテックスにかけることにより、10 mlのオリジナル体積に再懸濁した。それぞれの再懸濁サンプルを、30μmナイロンSpectramesh (Spectrum Laboratories) を用いて収穫し、約60 sかけて真空濾過を行った。それぞれのウェットケーキを、約3倍体積の脱イオン水ですすぎ、ウェットケーキを、予め重量測定したアルミ製の鍋に移し、重量測定した。各サンプルについて、鍋プラスウェットケーキの重量からサンプル鍋の重量を引いて、WCWを決定した。
【0139】
全タンパク質の決定
全可溶性タンパク質は、Pierce BCATM Protein Assay Kit, Microplate Procedureを用いて決定した。2 mg/mlに希釈されたウシ血清アルブミンスタンダード (BSA) および予め希釈された植物由来のVP2サンプルの連続2倍希釈は、96ウェル丸底マイクロタイタープレート (BD Falcon) で行った。25マイクロリットルの各スタンダード希釈または未知のサンプルレプリケートを、適切にラベルされた96ウェル平底マイクロタイターELISAプレートにピペットで移した。BCATM Working Reagent (200μl/ウェル) を、スタンダードまたは未知のサンプルを含有する各ウェルに添加し、プレートをプレート振盪器上で約30 sにわたって混合した。サンプルを37℃に置き、30分間インキュベートした。プレートを室温に冷まし (約20分)、OD540-590における吸光度を、Tecan Sunrise Plate readerを用いて測定した。データを、Microsoft Office ExcelTMで分析した。
【0140】
例8:植物細胞培養サンプル抽出物におけるVP2の定量のためのELISA分析
ELISAによるVP2の定量のために、Nunc Maxisorp 96ウェルマイクロタイターELISAプレートを、0.01 M ホウ酸バッファーで希釈したニワトリ抗IBDVポリクローナル血清 (SPAFAS) でコーティングし、2〜7℃で一晩インキュベートした。翌日、ELISAプレートを2〜7℃から取り出し、室温に平衡させた。プレートを、リン酸緩衝生理食塩水およびTween 20を含有する洗浄バッファー (PBS-T; 1.5 mM KH2PO4、8 mM Na2HPO4、2.7 mM KCl、137 mM NaCl、0.05% Tween 20) で3回洗浄した。洗浄工程の後、プレートを、PBS-T中の5% (w/v) 脱脂粉乳でブロックし、37℃で2時間インキュベートした。プレートを、PBS-Tで3回洗浄した。植物由来のVP2サンプルおよび不活性化IBDV (レファレンス抗原として使用) を、ブロッキングバッファーで予め希釈した。レファレンス抗原を1μg/ml VP2の最終濃度に希釈した。希釈されたレファレンス抗原および植物由来のVP2サンプルを、200μlの各サンプルを2通りのウェルに適用することによりプレートに添加した。連続2倍希釈は、混ぜ合わせて、レファレンスまたはサンプルあたりトータル6回の希釈のために、1ウェルにつき100μlをプレートの下方に移すことにより行った。プレートを、37℃で1 hrインキュベートし、PBS-Tで3回洗浄した。VP2-特異的中和モノクローナル抗体 (R63、ATCC) を、ブロッキングバッファーで希釈し、各プレートに添加し(100μl/ウェル)、37℃で1 hインキュベートした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。ヤギ抗マウスIgGペルオキシダーゼ標識抗体結合体 (KPL) を、ブロッキングバッファーで希釈し、各プレートに添加し(100μl/ウェル)、プレートを37℃で1 hインキュベートした。結合体とインキュベートした後、プレートをPBS-Tで3回洗浄し、ABTS (KPL) 基質を各プレートに添加した(100μl/ウェル)。レファレンス抗原の1 mg/ml希釈液が、0.8〜1.0のOD405吸光度 (492 nmレファレンスフィルター) に達するまで、プレートを室温でインキュベートした。プレートを抗原なしでウェルに対してブランクにし、光学密度をTecan Sunrise Plate readerを使用して決定した。データを、Tecan MagellanTM Softwareを使用して表示し、Microsoft ExcelTMに送り、ここで線形回帰および定量的分析を行った。
【0141】
例9:植物細胞培養サンプル抽出物におけるVP2の定量のためのLC-MS分析
陽イオンエレクトロスプレー(ESI)タンデム質量分析を備えた高性能液体クロマトグラフィー(LC/MSMS) による分析に適した診断ペプチドを作成するため、抽出されたVP2タンパク質を、プロテイナーゼトリプシンで消化した。どのVP2ペプチドが高い感度および安定性を生じるかを示すVP2タンパク質消化物の初期分析により、合成ペプチドを同定した。対応する合成ペプチド (SIGMA Genosys) を使用して、サンプル抽出物由来のVP2タンパク質を定量するための検量線を作成した。VP2トリプシン作用ペプチドT10を定量のために選択し、これは、LGDPIPAIGLDPKのアミノ酸配列および1305の分子量を有する。T10安定標識C13/N15同位体ペプチド (T10IS) を、すべての試験サンプルについて内部標準として使用し、これは、[LC13N15]GD[PC13N15]I[PC13N15]AIG[LC13N15]D[pC13N15]Kのアミノ酸配列および1338の分子量を有する。
【0142】
T10IS標準ストック溶液を調製するために、1.5 mgの13C; 15N T10IS 安定アイソトープ標識合成ペプチド標準を、重量測定し、1リットル容量フラスコに定量的に移し、50 mM NH4HCO3、pH 8.0で容量希釈して、1.5μg/ml 安定アイソトープ内部標準溶液を得た。VP2ペプチド検定標準ストック溶液を、以下のとおり調製した。1 mgの非標識T10 VP2分析ペプチド標準を、1.0 mlの50 mM NH4HCO3、pH 8.0に溶解して、1 mg/mlのT10ストック検定標準溶液を得た。10倍希釈の標準を、同じバッファーへの連続希釈により調製した。濃度範囲 1〜6,333 ng/mlにわたるVP2 T10検定標準溶液を、適切な検定標準ストック溶液を1.0 mlの1.5μg/ml 安定同位体溶液で希釈し、その後、14 mlの50 mM NH4HCO3を添加することにより作成した。
【0143】
スピンカラムバッファー交換法を使用して、VP2サンプルを炭酸水素アンモニウムバッファー(これは、揮発性であり、MS分析のために容易に除去することができる)に移した。Protein Desalting Spin Column (Pierce) の底蓋を除去し、2.0 mlマイクロ遠心管に置いた。カラムを1,500 gで1分間スピンさせて、保存バッファーを除去した。溶離液保存バッファーを捨て、400μlの50 mM NH4HCO3 pH 8.0をカラムに添加し、1,500 gで1分間スピンさせた。このすすぎ洗いを2回繰り返した。スピンカラムを、クリーンなマイクロ遠心管に置いた。VP2抽出物サンプルを、マイクロ遠心分離において20,800 gで短時間スピンさせて、細胞の破片を除去した。その後、120μl体積のVP2サンプル抽出物を、詰め固めた樹脂上にピペットで移し、カラムを1,500 gで2分間スピンさせた。サンプルのフロースルーを回収し、この材料を、VP2トリプシン作用ペプチドの生成のために使用した。
【0144】
VP2サンプルのトリプシン作用消化のために、100μl体積のバッファー交換VP2抽出物を、薄壁のマイクロ遠心管にピペットで移した。タンパク質変性およびトリプシン消化を助けるために、DTTを5 mM最終濃度まで添加し、サンプルを95℃で20分間加熱し、その後、25℃に冷ました。50 mM NH4HCO3、pH 8.0に溶解したトリプシンプロテアーゼ (Promega、カタログ番号V5111) を、20:1の全タンパク質対トリプシン酵素のモル比になるように添加した。サンプルを37℃で16 hrインキュベートし、15μlの10% トリフルオロ酢酸の添加により反応を終了させた。1.5μg/ml 安定同位体IS溶液の9μl部分を、全サンプルに添加して、内部コントロールとして供給した。サンプルを、オートサンプルバイアル挿入部分に移し、LC-MS分析のために蓋をかぶせた。
【0145】
上述の一連のT10検定標準を、上記LC-MS条件を用いて注入した。得られたクロマトグラムを使用して、VP2検体およびT10内部標準に特異的なイオンについてピーク面積を決定した。x軸に検体濃度、y軸に各々のIS修正面積をプロットして標準曲線を作成した。線形回帰分析を使用して、横座標に対して標準曲線の方程式を決定した。サンプルのそれぞれのIS修正T10ピーク面積を検定曲線の方程式に代入し、ペプチド濃度を計算することにより、それぞれの抽出物サンプル中のVP2 T10ペプチドの全体の濃度を決定した。
【0146】
質量分析による分析は、500℃に加熱されるTurboIonSource電源を備えたMDS/Sciex API 4000 LC/MS/MSシステムを使用して行った。ネガティブモードでのMRMスキャンは、以下のパラメーターを用いてQ1-低、Q3-低分解能で行った:カーテンガス (CUR) 45、衝突ガス (CAD) 媒体、イオン源ガス1 (GS1) 25、イオン源ガス2 (GS2) 30。データは、MDS/Sciex Analyst 1.4.1で分析した。LCシステムは、50℃に加熱されるPhenomenex Proteo 2.0 X 50 mm、4μm 90Aカラムを備えたAgilent 1100 LCシステムであった。10μlの注入体積を、500μl/minの流速で使用した。溶離液Aは、脱イオン水中の0.1%(V/V) 酢酸であり、溶離液Bは、アセトニトリル中の0.1% (V/V) 酢酸であった。使用した勾配は、0〜2 min 5%〜25% B、2〜4 min 25%〜28% B、5〜7 min 100% B、7.1〜10.0 min 5% Bであった。
【0147】
例10:植物細胞培養抽出物のウェスタンブロット分析
ウェスタンブロット分析のために、サンプルを、同一の全タンパク質濃度に希釈し、その後、可溶化し、NuPAGE LDSサンプルバッファー、ベータ−メルカプトエタノールで変性させ、94〜95℃で15分間加熱した。同量の全タンパク質を含有するサンプルを、NuPage プレキャストBis-Tris 12% 10-ウェルミニゲルにロードし、タンパク質を電気泳動により分離した (Novex X-Cell II Mini-gel装置)。分画されたタンパク質を、Transblot unit (Novex X-Cell II Blot Module) で、0.2μMニトロセルロースメンブレンに電気泳動で移した。メンブレンをブロッキングし (WesternBreeze Blocker, Invitrogen)、VP2特異的モノクローナル抗体R63またはE coliで発現させた精製組換えVP2に対して産生されたウサギ抗rVP2ポリクローナル抗体の何れかを用いてプローブ精査をした(probe)。メンブレンを洗浄し (WesternBreeze Wash Solution, Invitrogen)、プローブ精査をした(probe)。R63抗体でプローブ精査をしたメンブレンを、ヤギ抗マウスIgG (H+L)-PO4結合体とインキュベートした。ウサギ抗rVP2抗体でプローブ精査をしたメンブレンを、ヤギ抗ウサギIgG (H+L) PO4結合体とインキュベートした。結合体とインキュベートした後、メンブレンを洗浄し、BCIP/NBT基質 (KPL) とインキュベートした。反応は、水で停止させた。不活性化IBDVおよび植物VP2レファレンス抗原を、ポジティブコントロールとして各ゲルに含めた。
【0148】
例11:植物由来のIBDV VP2についての血清中和阻害 (SNI) アッセイ
SNI方法は、血清中和アッセイにおいて組換えVP2の標準化量により抗IBDV血清に対するIBDV結合の相対的な阻害を決定する定性試験である。ニワトリ抗IBDV超免疫血清 (Charles Rivers Laboratories) を、96ウェルのキューブ・ラックで2倍連続希釈した。細胞抽出物を、VP2定量的ELISAの結果に基づいて2.0μg VP/mlの濃度に希釈した。各々の予め希釈したサンプルを、連続希釈されたIBDV抗血清と、同体積で混合し、室温で約45 minにわたってインキュベートした。IBDV D78チャレンジウイルス (American Tissue Culture Collection, VR 2041) を、50〜500 TCID50/100μlに希釈し、原液から10-3希釈液まで逆滴定をして、ウイルスが、正しい組織感染量の範囲内であることを保証した。同体積のIBDV 78チャレンジを、希釈IBDV抗血清およびサンプル材料を含有するキューブ・ラックの各ウェルに添加した。複合体を、プレート振盪器上で混合し、室温で約45 minにわたってインキュベートした。一次ニワトリ胚性線維芽細胞 (CEF) (Charles Rivers Laboratories) を含有す96ウェルプレートから増殖培地を除去し、サンプルを、1希釈液につき4ウェルで接種した (200μl/ウェル)。プレートを、37℃で5% CO2を加えて6±1日間インキュベートした。プレートを、細胞変性効果(CPE)について観察し、ウイルス感染を、間接蛍光抗体染色により確認した。rDNA/コアpV2形質転換イベント14-46およびVP2アグロバクテリウム形質転換イベント1060-213に加えて、1060細胞株について使用されたのと同じ構築物を用いて形質転換されたタバコNT-1細胞からなるポジティブコントロール (CVP2-43) を使用した。
【0149】
例12:タバコBY-2植物細胞の形質転換
本発明は、天然のrDNAアレイに組み込まれたコアVp2を含むトランスジェニック細胞を作成するためのrDNA/コアpV2の導入を記載する。遺伝子挿入の遺伝子座は、本発明の文脈内で、“操作された形質遺伝子座(Engineered Trait Loci)”または“ETL”と考えられ得る。ETL染色体が作成されるプロセスは、図1Cに要約される。
【0150】
宿主染色体のrDNAアレイへの外来DNAの組込みは、動原体近くの(pericentric)クロマチンの大規模な増幅を誘発し (Hadlackzky. Curr Opin Mol Ther 3: 125-132, 2001; Csonka et al. J Cell Sci. 113: 3207-3216, 2000)、二動原体(dicentric)の形成とその後の切断につながり、完全に機能的な自律的ETL染色体 (タイプ1) を産生するか、あるいは、動原体近くの(pericentric)領域および短腕領域が拡張した宿主染色体 (type 2) を産生する。タイプ1染色体における隣接の動原体配列の共同増幅(co-amplification)を除けば、タイプ1とタイプ2の染色体の間で、大規模なアンプリコン構造は似ている。
【0151】
関心のある薬学的産物をコードするコード配列を含む第二の核酸および26SアラビドプシスrRNA遺伝子 (対応するN. tabacum rDNA領域と高い相同性がある) から本質的になる10倍モル過剰の第一の核酸から構成される混合物を使用して、PEGを用いてBY-2細胞プロトプラストを形質転換した (図1Bおよび1C)。第二の核酸は、遺伝子が位置効果から隔離されるように、除草剤耐性マーカー遺伝子PAT (Wohlleben et al. Gene. 70: 25-37, 1988)、伝染性ファルビキウス病ウイルス (IBDV) VP2コートタンパク質 (Tsukamoto, et al. Virology, 257: 352-362, 1999)、およびVP2コード配列の側面に位置するマトリクス付着 (MARs) 部位をコードするコード配列からなる“コア”pV2ベクター (ここで“コアpV2”または“コアpV2ベクター”として知られている) から本質的になる (van der Geest et al. Plant Biotechnology Journal, 2: 13-26, 2004; Hall et al. Proc Natl Acad Sci USA, 88: 9320-9324, 1991)。VP2遺伝子発現は、高度に発現されるキャッサバベインモザイクウイルス (CsVMV) プロモーターにより駆動される (Verdaguer et al. Plant Molecular Biol, 37: 1055-1067, 1998)。VP2発現レベルは、アグロバクテリウムベースの方法を用いて同じVP2コード配列で形質転換したトランスジェニックBY-2細胞と関連して、rDNA/コアpV2形質転換イベントの性能のためのベンチマークとして機能した。
【0152】
VP2遺伝子を含有するETLを備えた形質転換イベントを、複数工程のスクリーニングプロセスを使用して同定した。除草剤耐性トランスジェニックイベントを、VP2発現についてスクリーニングした。高発現VP2イベントを、サザンブロット分析により更に特徴付けをして、導入遺伝子インサートのコピー数を立証し、導入遺伝子の大規模な増幅が起こったと思われるイベントを同定した。最後に、高いコピー数の高VP2発現細胞を、蛍光in situハイブリダイゼーション (FISH) により染色体レベルで特徴付けをして、VP2が組み込まれた染色体、すなわち、導入遺伝子が、末端動原体型染色体のrDNAアレイに組み込まれ、動原体近くの (pericentric) 領域の大規模な増幅を誘発した染色体を明確に同定した。
【0153】
例13:発現スクリーニング
PPT選択の後、105の除草剤耐性形質転換カルスを得て、VP2発現について分析した。商業規模のトランスジェニックタンパク質生産は、大きなバッチの懸濁培養で通常行われるため、トランスジェニックイベントを、ミニ懸濁培養で発現についてスクリーニングした。ミニ懸濁培養を開始するために、カルスの一部を手動でバラバラにし、マルチウェルプレートに含有される培地に移した (“ミニ培養”)。内部コントロールとして、並びにベンチマークの目的のために、アグロバクテリウム媒介性形質転換 (1060-199) により得られたVP2発現BY-2トランスジェニック細胞を培養し、rDNA/コアpV2形質転換細胞で並行して処理した。図2Aに示されるとおり、イベントの20%は、アグロバクテリウム形質転換細胞 (形質転換イベント1060-199) と同様のレベルまたはそれより高いレベルで、懸濁培養においてVP2を発現した。1060-99と比較してそのレベルまたはそれより高いレベルのVP2を発現する形質転換イベントを、その後、フラスコ規模の懸濁培養に移し、その後の分析のために、本明細書で記載されるプロトコールに従って維持した。
【0154】
例14:高発現細胞の分子的特徴付け
形質転換イベントの導入遺伝子コピー数を、ゲノムDNAのサザンブロットにより決定した。形質転換細胞サンプルのゲノムDNAを、XbaIにより消化し、32P−標識VP2フラグメントプローブとハイブリダイズさせた (図3A)。幾つかの形質転換イベントにおいて、予測されるサイズのバンド以外のバンドが観察された (16-18、14-56、14-8、16-74、16-10、16-52)。複数のバンドは、しばしば、ランダムな染色体部位への異常な組換えおよび/または再配置されたインサートを示す。他のDNAサンプルにおいて、予測される分子量の単一バンドが観察され (14-10、16-33 16-40および14-46)、導入遺伝子コピー数は、10コピー (14-46) までの範囲であった。形質転換イベント16-37のものなど数例において、より高いみかけの分子量で移動する単一のバンドが観察された。コアベクター内のXbaI部位の一つが、インサートの5’端の近くに存在するため、XbaI部位の一つを組込みの際に欠失させ、予測されるよりも大きなサイズのXbaIフラグメントを得ることが可能である。この可能性を調査するため、ゲノムDNAサンプルをPacIで消化し、VP2フラグメントを用いてプローブ精査をした(probe)(図3B)。予測されるサイズの単一のバンドは、16-37形質転換イベントについて観察され、これは、5’RB7 MAR領域内に存在する欠失と一致する。
【0155】
例15:FISH分析
高いVP2発現 (例13でELISAにより示される) および高いコピー数 (例14でサザンブロットにより示される) の形質転換細胞に、FISH分析を行った。複数の完全なコピーの導入遺伝子を含有する形質転換細胞の間期染色体スプレッドを、コアpV2ベクターおよび天然のrDNA遺伝子アレイを標的としたプローブの組合せとハイブリダイズさせた。VP2アグロバクテリウム形質転換細胞1060-199 (コントロール) より5〜10倍高いレベルでVP2を発現した14-46形質転換イベントは、一つの小さい染色体に限定されたVP2ハイブリダイゼーションのパターンを示し (図4、パネルAおよびBを参照)、一方、コントロールBY-2細胞の染色体では、コアpV2プローブによる染色はみられなかった (図4、パネルG)。コアpV2プローブによる染色体の広範囲かつ分断的なラベリングは、高倍率画像で明らかであり (図4、パネルAおよびB、挿入写真)、挿入領域内での大規模な増幅と一致している。同じスプレッドを、18S rDNAプローブと、共にハイブリダイズさせた。18S rDNAプローブの配列は、rDNA/コアpV2形質転換でキャリアとして使用した26S rRNA遺伝子と重複しない。18S rDNAラベリングのパターンは、組み込まれたコアpV2ベクターを含有する同じ染色体に、共に局在化し、このことは、コアpV2が内在性rDNA遺伝子座に組み込まれたこと、および内在性rDNAリピートが、コアpV2ベクター配列と一緒に、共に増幅されたことを示す。
【0156】
14-46形質転換イベントの染色体構造は、タイプ1または2 ETL染色体であり得る。Nicotiana tabacumでは公知の動原体近くの(pericentric)サテライトマーカーが欠如しているため、14-46形質転換イベントの染色体構造に対する動原体近くの(pericentric)へテロクロマチンの貢献を評価しなかった。しかし、哺乳類のACE染色体 (Hadlackzky. Curr Opin Mol Ther, 3: 125-132, 2001) に関する観察に基づけば、これは、広範囲にわたるようである。BY-2 (Lim et al. Chromosoma 109: 161-172, 2000) 細胞株の異数性を考慮して、14-46イベントにおいて増幅された染色体を同定する試みは行われなかった。初期スクリーニングの間に同定された他の高い発現イベントのうち、他の2つ (16-37および16-40;図4、パネルC〜F) は、ETL染色体を含有することが観察され、これは、内在性rDNAアレイへのコアpV2配列の特徴的な標的組込み、および挿入DNAおよび近接する内在性rDNA配列のその後の大規模な共増幅を示す。
【0157】
コアpV2がrDNAに組み込まれた染色体を含有する形質転換イベントを拡大し、懸濁培養へ分離し、複数の継代のために維持した。(連続培養で11週を表す;図4、パネルB、DおよびF) 11回の追加の継代のために維持された細胞の間期染色体から撮影したFISH画像で示されるとおり、染色体の形態や標識の程度の明らかな変化は観察されず、また、増幅領域の全体の再配置や転座に対する証拠も存在しなかった。
【0158】
例16:VP2/アグロバクテリウム形質転換およびrDNA/コアpV2形質転換タバコ細胞株の比較
rDNA/コアpV2形質転換イベント14-46、16-37および16-40を、懸濁培養において複数の継代にわたって並行して維持した。細胞株の増殖、VP2タンパク質の発現レベル、VP2遺伝子発現の安定性、コアpV2導入遺伝子コピー数の安定性、VP2タンパク質の品質、および生物学的活性なゲノム安定性を、選択した継代でモニターした。コントロールとして、アグロバクテリウムツメファシエンスを用いた形質転換により作成された3つのVP2発現形質転換BY-2細胞株 (形質転換イベント1060-199、1060-213、および1060-243) も維持した。
【0159】
懸濁培養は、カルス組織から開始した。それぞれの形質転換イベントの3つのフラスコを、独立に維持した。それぞれのrDNA/コアpV2形質転換細胞株のフラスコ数を、8回目の継代で2つに減らした。細胞株は、12回の継代を行って、コアpV2導入遺伝子の安定性を決定した。アグロバクテリウム形質転換細胞株のVP2発現は、5回の継代にわたって維持された。全ての培養で同様の増殖カイネティクスを達成するために、形質転換イベント16-37および16-40の接種物を、4回目の継代で他のイベントと比べて2倍に増大させた。4回目の継代で、培養は、継代間の繁殖可能な増殖に基づいて確立されると考えられ、その継代およびその後の継代の接種時 (移転後7日目) の%PCVは、15〜40%の範囲であった。使用した増殖条件の下で、定常期は、移転後およそ11日目に到達した。
【0160】
すべての形質転換イベントのために、最終% PCV (移転後14日目に測定) は、複数の継代にわたって安定であり、パーセント変動係数は3〜13%であった。最終% PCV値は、イベント間で僅かに異なっていたが、グループとして評価した場合、VP2アグロバクテリウム形質転換細胞株とrDNA/コアpV2細胞株の間にパターンはみられなかった。
【0161】
例17:VP2発現
移転後11、14または18日目の全サンプルにおけるVP2の発現を、ELISAにより測定した。幾つかのELISAは、ある条件下で不自然に高い読取りを起こし得るため、VP2の量は、選択したサンプルにおいて、LC/MS/MSを使用して検証した。移転後11および14日目にサンプリングした細胞の初期VP2 ELISAデータにより、移転後14日目は、移転後11日目より一貫して高く、(移転後18日目のサンプルと比較して決定されるとおり(データ示さず))その継代の発現ピークであるか、発現ピークに近いことが証明された。したがって、移転後14日目のサンプルを、イベントおよび継代の間で発現を比較するために使用した。
【0162】
初期および後期の継代におけるVP2発現レベルの比較は、rDNA/コアpV2 形質転換イベントのそれぞれについて行った。4〜10回の継代において、独立した懸濁培養系統におけるVP2発現の安定性を比較した (図5A参照)。それぞれの形質転換イベントのサンプルを、3つ (4〜5回の継代) または2つ (6〜10回の継代) の独立したフラスコから、継代培養後14日目に収穫し、VP2をELISAにより定量した。平均およびパーセント変動係数を、ng VP2/ml 細胞培養および全可溶性タンパク質のパーセントとしてのVP2として表示する。すべてのrDNA/コアpV2 形質転換イベントにおいてVP2発現は、数回の継代にわたってかなり安定であり、イベント14-46は、最大程度の安定性を示した。
【0163】
rDNA/コアpV2形質転換細胞は、アグロバクテリウムにより形質転換された細胞と同様のレベルでVP2を発現した。VP2レベルを、培養の体積または全可溶性タンパク質の何れかに標準化すると、研究された形質転換イベントは、同じ統計グループに入る。同様のVP2レベルは、レプリケート (各イベントについて3つの独立した系統) の間でみられる。形質転換イベント16-37のサンプルを除いて、LC/MS/MSデータは、サンプルに含有されるVP2の相対量と密接に一致し、これは、ELISAの結果を確認した。
【0164】
また、ウェスタンブロット分析 (図5B) により、イベント間で相対的な発現レベルを確認し、処理形態のVP2のタンパク質サイズおよび分布が、rDNA/コアpV2形質転換細胞とアグロバクテリウム形質転換細胞の間で同じであることを実証した。ウェスタンブロットを、ウサギ抗VP2抗体を用いてプローブ精査をして(probe)、本発明の核酸構築物から発現したVP2 (レーン5〜7) およびアグロバクテリウム媒介性形質転換により発現したVP2 (レーン2〜4) を比較した。ウェスタンブロットで観察された処理形態のVP2は、他の異種発現システムで報告されたものと同様である (Lee et al. Biotechnology Progress, 22: 763-769, 2006)。
【0165】
関心のある薬学的産物の安定な組込みおよび発現は、本発明の方法の使用にとって重要である。形質転換イベント14-46、16-40、および16-37の独立系統 (a、bまたはcとして表示) に由来するrDNA/コアpV2形質転換細胞からのDNAサンプルを、4回目の継代 (p4) および11回目の継代 (p11) で収穫し、Pac1で消化し、サザンブロットにより分析した。図5Cに示されるとおり、VP2コード配列を含有するフラグメントのコピー数および完全性は、この間隔の間で変化しないままである。これらの発見は、複数回の継代にわたって維持されたrDNA/コアpV2形質転換細胞で行われたFISH分析と一致している (図4)。
【0166】
例18:血清中和阻害アッセイ
血清中和阻害 (SNI) アッセイは、サンプル中に含有される抗原のウイルス感染性に対する妨害を血清中和アッセイで評価することにより、抗原のコンフォメーションの完全性を決定する。したがって、このアッセイは、生物学的同等性、すなわち実験サンプル中に含有されるタンパク質のウイルス中和エピトープの存在を決定するために使用される。4回目の継代で独立系統からプールしたサンプルのSNIアッセイ (図5D) は、rDNA/コアpV2形質転換イベント14-46およびVP2アグロバクテリウム媒介性形質転換イベント1060-213により産生されるVP2が、IBDV感染ニワトリ由来の血清の中和抗体に結合する能力において同等であることを実証した。
【0167】
結論
本明細書で報告される研究は、ETLが、拡張可能な植物培養細胞において、生物学的に活性な鳥類ウイルス性疾患抗原の複数の継代 (12) にわたる安定な発現をサポートすることを実証する。抗原の生物学的および分子的信頼性は、ELISA、ウェスタンブロッティングおよび血清中和阻害アッセイなどの種々の手段により確認された。
【0168】
使用されたターゲティングDNAは、自然に増幅することができるゲノム領域であるrDNAアレイへのVP2遺伝子の組換えを助ける手段を提供するための26S rDNA遺伝子コード領域の一部であった。一般に、回収されたイベントの最高10%が、rDNAアレイに局在化したVP2遺伝子を含有していた。BY-2 Nicotiana細胞懸濁株は、短い倍加時間、低レベルのニコチン、および関心のあるタンパク質の商業的生産への拡張可能性などの種々の理由のために、これらの実験のために選択された。
【0169】
本明細書で記載される実施例は、アグロバクテリウム媒介性遺伝子導入を用いて産生された形質転換イベントを、ETL技術 (rDNA/コアpV2形質転換) により作成されたものと比較した。アグロバクテリウム媒介性遺伝子導入は、ユークロマチンゲノム領域へ一般に導入される遺伝子のランダムな挿入により起こり、得られたイベント内において、対象遺伝子の広範囲の発現により特徴づけられる。しばしば、複数の遺伝子挿入を有するイベントは、長期にわたって導入遺伝子発現の低下を示し、これは、一般に遺伝子サイレンシングの結果である。よって、安定で高い発現のマルチコピーイベントを得ることは、チャレンジングなことであり得る。本明細書で記載される制限された数の形質転換イベントから、ETLタイプのイベントは、VP2遺伝子の複数コピーを有し、イベントのずっと大きなプールから選択されたアグロバクテリウム由来のイベントに類似した高レベルで安定な遺伝子発現を提供することが実証される。
【0170】
本明細書で記載される形質転換イベントは、ETL染色体増幅に代表的なパターンを示し、VP2遺伝子が、動原体近くの(pericentric)へテロクロマチンrDNAの大きなブロック内に挿入された。分子分析は、単一の挿入イベントが、このプロセスの結果として増幅され、複数コピーの挿入DNA (この研究では5〜15コピー) を含有する染色体領域になることを示唆する。FISH分析は、予測される繰返しの周期的構造を確認した。細胞株が、複数継代の培養に置かれるか、または商業的バイオリアクターへのスケールアップの可能性を反映する条件に置かれる前後における、これらETL構造の細胞および分子分析は、これらの構造が安定であることを示した。
【0171】
得られたトランスジェニックイベントの初期スクリーニングは、最大の発現を有するイベントは、典型的に、rDNA特異的なゲノム増幅を有するものであることを実証した。比較的少数のイベント (たとえば100) の範囲内では、カルス、ミニ規模または大規模の懸濁培養の何れかを使用してアッセイした際に、強い発現を示すサブセットを回収することが可能である。バイオリアクターにおける懸濁培養の増殖は、意図した商業的基盤であるため、液体培養システムは、形質転換イベントの一次スクリーニングとして使用された。
【0172】
安定性および発現の研究は、リードイベントを、商業的規模での性能を予言する条件下で、少なくとも12回の継代にわたって継代することを含めた。この分析の結果は、リードrDNA/コアpV2形質転換イベント14-46が、継代の間に非常に安定な発現パターンを示し、VP2の発現および細胞株の性能の両方において非常に低いレベルの変動を示すことを示した。分析された他の2つのrDNA/コアpV2形質転換イベント (16-37および16-40) は、14-46に対して低いレベルの発現および細胞性能において僅かに高いレベルの変動を示した。
【0173】
rDNA/コアpV2形質転換イベント14-46および高い発現のアグロバクテリウム由来の株 (1060-213) で産生されるVP2タンパク質の重要な構造成分は同等であることが実証された。血清中和阻害アッセイ (SNI)、ウェスタンブロットおよびELISA分析は、防御エピトープ特異的モノクローナル抗体を用いて実証されるとおり、異なる形質転換方法により産生されるイベントで発現したVP2タンパク質が、分子量および重要な防御エピトープのアクセス可能性において同等であることを示した。
【0174】
よって、ETL形質転換イベントの懸濁培養が、生物学的に活性な抗原を発現することが実証される。
【0175】
本明細書で記載されるBY-2細胞株におけるETL形質転換イベントは、動物の健康製品のためのトランスジェニック植物細胞製品の認可の幾つかの基準を満たす。動物の病原菌を含まないことは、動物の健康製品の認可の重要な基準であり、任意の植物産生の製品に固有のことである。他の基準には、複数の継代にわたる遺伝子挿入の安定性、並びに高度の対象の一致したタンパク質の発現およびバイオマスの蓄積が含まれる。遺伝子発現の安定性および細胞増殖パラメーターを評価するためにこの研究で使用された継代の数は、比較的少ないが (12)、マスタースピードからの制限された数の継代は、ワクチンの商業的生産に典型的である。タバコ細胞培養を用いた実験は、小規模の振盪フラスコ懸濁培養とバイオリアクターとの間で、高い予測可能性の性能を示し、このため、商業的目的のために必要なボリュームへの拡張可能性は、BY-2培養を用いて実行可能であると思われる。まとめると、これらの特徴は、本明細書で記載されるタンパク質生産システムが、商業的な動物ワクチンを生産するために使用可能であることを実証する。
【0176】
本明細書で引用されるすべての出版物および特許出願は、あたかもそれぞれ個々の出版物または特許出願が、参照により組み込まれることを具体的かつ個々に指し示されているように、参照により本明細書に組み込まれる。任意の出版物の引用は、出願日より前の開示のためであり、本発明が、先行発明のために、かかる出版物に先行する権利を有していないことを容認すると解釈すべきでない。
【0177】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形“a”、“an”および“the”は、その文脈が特に明らかに指示しない限り、複数の参照を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語“含む (comprise)”、“含む (comprising)”、“含む (comprises)”およびこれら用語の他の形態は、非限定的な包含的な意味で、すなわち、特定の列挙された要素または成分を、任意の他の要素または成分を除外しないで包含することを意図する。特に規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属している分野の当業者の一人に一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0178】
上述の発明は、理解の透明性のために、詳説および実施例により詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱しない限り、ある種の変化および改変がそれに加えられてもよいことは、本発明の教示を考慮すれば当業者に容易に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスジェニック植物細胞培養物を製造するための方法であって、
(a)植物細胞を、
i.第一の核酸であって、該核酸が少なくとも連続的な100ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含んでなり、該ヌクレオチド配列がその全長に亘って前記植物細胞の天然のリボソームDNA(rDNA)配列に対し少なくとも50%の配列同一性を有する第一の核酸;および
ii.第二の核酸であって、該核酸が前記植物細胞内でコード配列の発現を指令するための一または複数の調節エレメントに動作可能に連結されたコード配列を含んでなり、該コード配列が関心のある薬学的産物をコードする第二の核酸
で共に形質転換し(co-transform)、それによってトランスジェニック植物細胞を得ることと;
(b)複数の前記トランスジェニック植物細胞を培養することと;
(c)前記複数のトランスジェニック植物細胞から、前記第二の核酸が前記トランスジェニック植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して安定に組込まれ、且つ前記第二の核酸が増幅されるトランスジェニック植物細胞を選択および単離し、前記トランスジェニック植物細胞培養物を得ること
を含む方法。
【請求項2】
工程(c)が、前記複数のトランスジェニック植物細胞から、前記第一および第二の核酸が前記トランスジェニック植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して安定に組込まれ、且つ前記第一および第二の核酸が増幅されるトランスジェニック植物細胞を選択および単離し、前記トランスジェニック植物細胞培養物を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一および第二の核酸が同じ構築物上にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一および第二の核酸が異なる構築物上にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の核酸が増幅され、2〜60コピーの前記第二の核酸が得られる、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の核酸が増幅され、2〜60コピーの前記第一の核酸が得られる、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の前記第二の核酸が、これらが単一の遺伝子座として一緒に分離するように互いに十分近くに近接して、前記植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して組込まれる、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
一または複数の前記第一の核酸が、前記第一および第二の核酸が単一の遺伝子座として一緒に分離するように前記複数の第二の核酸に十分近くに近接して、前記植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して組込まれる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記関心のある薬学的産物が、抗原、抗体、サイトカイン、成長因子、酵素、毒素、細胞レセプター、リガンド、ウイルスもしくは細菌のタンパク質もしくは抗原、シグナル伝達剤、または成長因子を含む、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第二の核酸が、部位特異的組換え配列を含む、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第一の核酸が、その全長に亘って前記植物細胞の天然のリボソームDNA (rDNA) 配列に対し少なくとも50%の配列同一性を有する前記ヌクレオチド配列から構成されるか、または本質的に構成される、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
第一の核酸が、5S、5.8S、18Sまたは26S rDNAを含む、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
第一の核酸が、26S rDNAを含む、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
調節エレメントが、誘導的、構成的、または組織特異的プロモーターを含む、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
植物細胞が、キャノーラ細胞、ダイズ細胞、トウモロコシ細胞、ルリジサ細胞、トウゴマ細胞、ハマナspp. 細胞、アマ細胞、キンレンカ細胞、オリーブ細胞、ヤシ細胞、ラッカセイ細胞、ナタネ細胞、イネ細胞、ヒマワリ細胞またはタバコ細胞である、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
植物細胞がタバコ細胞である、請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
部位特異的組換え配列が、att配列、好ましくはラムダファージのatt配列である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
第二の核酸配列が、選択マーカーをコードするコード配列を含む、請求項1〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜18の何れか1項に記載の方法により製造されるトランスジェニック植物細胞培養物。
【請求項20】
請求項19に記載の植物細胞培養物から得られる植物細胞。
【請求項21】
植物に対して異種の複数の核酸を備えたトランスジェニック植物細胞を含むトランスジェニック植物細胞培養物であって、前記核酸の各々が、前記植物細胞においてコード配列の発現を指令するための一または複数の調節エレメントに動作可能に連結された関心のある薬学的産物をコードするコード配列を含んでおり、前記核酸が、前記植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して安定に組込まれているトランスジェニック植物細胞培養物。
【請求項22】
複数の前記異種の核酸が、これらが単一の遺伝子座として一緒に分離するように互いに十分近くに近接して、前記植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して組込まれる、請求項21に記載のトランスジェニック植物細胞培養物。
【請求項23】
前記異種の核酸が、前記植物細胞の天然のrDNA内またはそれに隣接して組み込まれ、2〜60コピーで存在する、請求項21または22に記載のトランスジェニック植物細胞培養物。
【請求項24】
前記植物細胞が、キャノーラ細胞、ダイズ細胞、トウモロコシ細胞、ルリジサ細胞、トウゴマ細胞、ハマナspp. 細胞、アマ細胞、キンレンカ細胞、オリーブ細胞、ヤシ細胞、ラッカセイ細胞、ナタネ細胞、イネ細胞、ヒマワリ細胞またはタバコ細胞である、請求項21〜23の何れか1項に記載のトランスジェニック植物細胞培養物。
【請求項25】
前記植物細胞がタバコ細胞である、請求項21〜24の何れか1項に記載のトランスジェニック植物細胞培養物。
【請求項26】
前記関心のある薬学的産物が、抗原、抗体、サイトカイン、成長因子、酵素、毒素、細胞レセプター、リガンド、ウイルスもしくは細菌のタンパク質もしくは抗原、シグナル伝達剤、または成長因子を含む、請求項21〜25の何れか1項に記載のトランスジェニック植物細胞培養物。
【請求項27】
請求項21〜26の何れか1項に記載の植物細胞培養物から得られる植物細胞。
【請求項28】
関心のある薬学的産物を製造するための方法であって、
(a)請求項19または21〜26に記載のトランスジェニック植物細胞培養物を、前記コード配列に由来する関心のある前記薬学的産物を発現させるのに十分な条件下で培養することと;
(b)関心のある前記薬学的産物を回収すること
を含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−504392(P2012−504392A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529423(P2011−529423)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001340
【国際公開番号】WO2010/037208
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(390039192)ダウ・アグロサイエンス・エル・エル・シー (20)
【氏名又は名称原語表記】Dow AgroSciences LLC
【Fターム(参考)】