説明

植物電池、植物電池設備、これを利用した蓄電ユニット又は再生可能電力電源システム

【課題】 使用済電池を容易に適正処理すること等を可能にする。
【手段】 植物電池1は、植物10と、植物10にその樹液に漬かるように取り付けられ且つその樹液に溶け易い/溶け難い材質を有した陰極20/陽極30とを備えている。即ち、植物10の茎体が電池容器、植物10内の樹液自体が電解液となり、化学電池と同様の原理で電力の充電又は放電をすることが可能となる。これは植物の代わりに土地に生えている樹木を用いて構成された二次電池設備であっても同様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力を蓄電する蓄電技術に係り、具体的には、植物電池、植物電池設備、これを利用した蓄電ユニット又は再生可能電力電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の種類としては鉛蓄電池、ニッカド電池、リチウムイオン電池等がある。このような二次電池は、携帯電話、ビデオカメラ等の小型電子機器用の電池や自動車用のバッテリー等に広く使用されているが、これ以外に、電力の途絶が許されない病院等の施設に非常用電源として二次電池が設置される場合、太陽光発電や風力発電等の再生可能電力発電において出力が自然条件に大きく左右され不安定であるという欠点を緩和するために二次電池が併用される場合等がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平05−380804号公報
【特許文献2】特開平07−336910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の二次電池については、資源保護及び環境保護の観点から使用済み電池がリサイクルの対象になっているものの、有害物質が含まれているケースが多く、適正に処理することが困難という問題がある。
【0005】
本発明は上記した背景の下で創作されたものであって、その目的とするところは、使用済電池を容易に適正処理することが可能な植物電池、植物電池設備、これらを利用した蓄電ユニット若しくは再生可能電力蓄電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る植物電池は、植物と、当該植物にその樹液に漬かるように取り付けられ且つ当該樹液に溶け易い/溶け難い材質を有した陰極/陽極とを備えている。
【0007】
上記発明による場合、植物の茎、葉又は根等自体が電池容器、当該植物内の樹液自体が電解液となり、化学電池と同様の原理で電力の充電又は放電をすることが可能となる。また、部品点数が少なく構造が簡単であることから低コスト化を図ることが可能となる。更に、使用済み品については陰極及び陽極を取り外すだけで地中に埋める等の処理をすることができ、それ故、自然環境や人体に何ら影響を与えることなく容易に適正処理することが可能となる。
【0008】
本発明に係る植物電池設備は、土地に生えている樹木と、当該樹木にその樹液に漬かるように取り付けられ且つ当該樹液に溶け易い/溶け難い材質を有した陰極/陽極とを備えている。
【0009】
上記発明による場合、樹木の茎、葉又は根等自体が電池容器、当該樹木内の樹液自体が電解液となることから、上記植物電池と同様の効果を奏する。加えて、樹木が土地に生えている状態で利用可能であることから、特別な電池設置場所が不要となり、大容量化の場合の低コスト化を図ることが可能となる。
【0010】
本発明に係る蓄電ユニットは、上記植物電池又は二次電池設備と、前記植物電池等に対して充放電を行なう充放電装置とを備えている。特に充放電装置は、植物電池等から出力された電力を蓄える出力コンデンサと、充電時に入力電力を植物電池等に与える一方、放電時に植物電池等の出力段に出力コンデンサを接続し、出力コンデンサに蓄えられた電力を出力する切り替え手段とを有している。
【0011】
上記発明による場合、植物電池等から放電された電力が出力コンデンサに一旦蓄えられて出力される構成になっているので、大容量化を図ることが可能になる。
【0012】
上記蓄電ユニットの充放電装置の切り替え手段については、充電時に複数の植物電池等を並列接続された状態に切り替える一方、放電時に複数の植物電池等を直列接続された状態に切り替える機能を更に有したものを使用すると良い。
【0013】
上記発明による場合、放電時に植物電池等が直列状態にされる構成になっているので、高電圧出力が可能となり、これに伴って出力段に電圧コンバータが不要となり、この点で低コスト化を図ることが可能となる。
【0014】
上記蓄電ユニットについては、前記植物電池等の充放電状態及び/又は負荷状態を監視すると共に当該監視結果に基づいて前記切り替え手段を制御する制御手段を更に備えた構成にすることが好ましい。
【0015】
上記発明による場合、植物電池等の充放電状態や負荷電流等の負荷状態に応じた最適な充放電が行なわれる構成となっているので、高効率出力化や長寿命化等を図ることが可能となる。
【0016】
本発明に係る再生可能電力電源システムは、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電その他の再生可能電力を発電する再生可能電力発電装置と、再生可能電力発電装置の出力段に接続されたコンバータと、少なくとも前記コンバータを通じて入力された電力を充電する前記蓄電ユニットと、電力系統に接続されており且つ前記蓄電ユニットから放電された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に供給する連系インバータとを備えている。
【0017】
上記発明による場合、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電等の再生可能電力を前記蓄電ユニットに充電し、充電された直流電力を連係インバータにより交流電力に変換して電力系統に供給する構成となっているので、出力が自然条件等に大きく左右され不安定であるという再生可能電力発電の欠点が緩和されるだけでなく、使用済みの植物電池等の処理を容易に行なうことが可能であることから、ひいては再生可能エネルギーの利用を広げて低炭素社会の実現が可能となり、地球温暖化防止に資することになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の植物電池(植物電池設備)の第1実施例を説明するための図であって、同植物電池の模式的正面図である。
【図2】図1に係る植物電池の電気的特性を測定するための測定回路図である。
【図3】図1に係る植物電池の使用方法を説明するための図であって、(A)は充電時の電池接続図、(B)は放電時の電池接続図である。
【図4】本発明の植物電池(植物電池設備)の第2実施例を説明するための図であって、同植物電池の模式的正面図である。
【図5】図4に係る植物電池の電気的特性を測定するための測定回路図である。
【図6】図4に係る植物電池の使用方法を説明するための図であって、(A)は充電時の電池接続図、(B)は放電時の電池接続図である。
【図7】本発明の蓄電ユニットの実施形態を説明するための図であって、同蓄電ユニットの構成図である。
【図8】本発明の再生可能電力電源システムの実施形態を説明するための図であって、同システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の植物電池の実施形態を図1乃至図6を参照して説明する。図1に示された第1実施例に係る植物電池1は、鉢植えのカジュマル(高さ:約300mm)を利用した例であって、植物10(本案例ではカジュマル)と、前記植物10の幹に上下方向に間隔を開けて取り付けられた陽極20及び陰極30とを備えている。
【0020】
陽極20については、植物10(本案例ではカジュマル)内の樹液に溶け易い材質を有した電極であって、前記植物10の幹の外面に樹液に漬かるように約10mm差し込んで取り付けられている。本案例ではステンレス製の木ネジ(直径約4mm:長さ約16mm
m)を用いている。
【0021】
陰極30については、植物10(本案例ではカジュマル)内の樹液に溶け難い材質を有した電極であって、前記植物10の幹の外面に樹液に漬かるように約17mm差し込んで取り付けられている。本案例では鉄製の木ネジ(直径約3mm:長さ約20mm)を用いている。
【0022】
このような構造を有した植物電池1の無負荷状態での端子電圧の時間的変化を測定した。その実験結果は表1に示す通りである。また、植物電池1の端子間にDC12Vを3時間印加し、その後の植物電池1の無負荷状態での端子電圧の時間的変化を測定した。この場合の測定回路は図2に示しており、その実験結果は表2に示す通りである。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
更に、図3(A)に示すように10本の植物電池1を並列接続し、その両端にDC12Vを4時間印加し、その後、図3に示すように植物電池1を直列接続に変更し、電解コンデンサ(100V、3330μF)に充電し、その充電電圧が7.6Vになったところでスイッチをオンにして、充電電圧をLED回路(LEDと電流制限抵抗(10kΩ)の直列回路)の両端に印加する。この場合のスイッチをオンした時点を基準としてLEDの点灯状態や出力電流の変化(減少)を測定した。その実験結果は表3に示す通りである。
【0026】
【表3】

【0027】
次に、植物の種類のみを変更した第2実施例を説明する。図4に示された第2実施例に係る植物電池1は、切断した生竹(長さ:約300mm、直径約50mm:厚み約6mm)を利用した例であって、植物10(本案例では前記生竹)と、前記植物10の幹に水平方向に間隔を開けて取り付けられた陽極20及び陰極30とを備えている。
【0028】
陽極20については、植物10(本案例では前記生竹)内の樹液に溶け易い材質を有した電極であって、前記植物10の幹の外面に樹液に漬かるように約5mm差し込んで取り付けられている。本案例ではステンレス製の木ネジ(直径約3mm:長さ約10mm)を用いており、水平方向に間隔を開けて合計3個取り付けられている。
【0029】
陰極30については、植物10(本案例では前記生竹)内の樹液に溶け難い材質を有した電極であって、前記植物10の幹の外面に樹液に漬かるように約5mm差し込んで取り付けられている。本案例では鉄製の木ネジ(直径約3mm:長さ約12mm)を用いており、水平方向に間隔を開けて合計3個取り付けられている。
【0030】
このような構造を有した植物電池1の無負荷状態での端子電圧の時間的変化を測定した。その実験結果は表4に示す通りである。また、植物電池1の端子間にDC12Vを30分間印加し、その後の植物電池1の無負荷状態での端子電圧の時間的変化を測定した。この場合の測定回路は図5に示しており、その実験結果は表5に示す通りである。
【0031】
【表4】

【0032】
【表5】

【0033】
更に、図6(A)に示すように4本の植物電池1を並列接続し、その両端にDC12Vを3時間印加し、その後、図6(B)に示すように植物電池1を直列接続に変更し、電解コンデンサ(100V、3330μF)に充電し、その充電電圧が3.9Vになったところでスイッチをオンにして、充電電圧をLED回路(LEDと電流制限抵抗(10kΩ)との直列回路)の両端に印加する。この場合、LEDは約3分間点灯した。
【0034】
上記実験を含めて多種多様の実験を行なった結果、以下のような知見が得られるに至った。1)カジュマルや生竹だけに限定されず、アロエ、サボテン、月桂樹等の植物についても同様の結果が得られている。2)その電池原理は、陽極/陰極と樹液(電解液)との間のイオン化傾向の差に伴う化学反応によるもので、言わば、従前の化学電池と同様であり、使用する電極の材質との組み合わせが適当である限り、どのような種類の植物や樹木も二次電池として利用可能であると推定される。3)土地から切り離された植物、例えば、上記例のような鉢植えや樹木から切り取られた形態のものであっても二次電池としての機能が実現される。4)上記例のカジュマルや生竹については二次電池として利用しても直ぐに枯れたりすることはないが、影響を受け易い植物等も存在しており、その場合は使用する電極の大きさや形状等を工夫すると良いと推測される。
【0035】
本発明の植物電池1については、後記する植物電池設備1’、蓄電ユニット100及び再生可能電力蓄電システム1000を含めて、上記知見をベースとして創作されたものである。
【0036】
なお、植物電池1が従前の化学電池類似のものである以上、化学電池に関する技術分野において周知の大容量化技術や高電圧化技術等を同様に適用することが可能であると推測され、同技術を用いて植物電池1を設計変更すれば良い。この点は次に説明する植物電池設備1’についても全く同様である。
【0037】
次に、本発明の植物電池設備1’の実施形態を図1乃至図6を借りて説明する。植物電池設備1’は、土地に生えている樹木10’(本案例ではカジュマル又は生竹)と、当該樹木10’にその樹液に漬かるように取り付けられ且つ当該樹液に溶け易い/溶け難い材質を有した陰極30及び陽極20とを備えている。図1及び図2に係る植物電池1と異なるのは、植物10の代わりに樹木10’が土地に生えた状態で使用されている点のみである。これ以外の植物電池設備1’の構成は植物電池1と同一であるので、その説明については省略する。このような構造をなした植物電池設備1’についても上記表1乃至表5のものと同様の実験結果が得られている。
【0038】
上記した植物電池1(又は植物電池設備1’)による場合、部品点数が少なく構造が簡単であることから低コスト化を図ることが可能となる。特に、植物10(又は樹木10’)の幹自体が電池容器となっており、電解液を収容する部品が不要であるだけでなく、陰極20及び陽極30をその幹に差し込むだけで取り付けられることから、組み立て作業も極めて簡単となっている。更に、使用済み品については陰極20及び陽極30を取り外すだけで地中に埋める等の処理をすることができ、それ故、自然環境や人体に何ら影響を与えることなく容易に適正処理することが可能となる。
【0039】
以下、上記植物電池設備1’を利用した蓄電ユニット100の実施形態の一例を図7を参照して説明する。
【0040】
図7に示された蓄電ユニット100は、バッテリー110と、バッテリー110に対して充放電を行なう充放電装置120と、バッテリー110に入力される入力電力とバッテリー110から出力される出力電力とが充放電装置120を介して入出力される入出力端子IN/OUTと、バッテリー110の充放電状態等を監視すると共に当該監視結果に基づいて充放電装置120を制御する制御装置130(制御手段)とを備えている。
【0041】
バッテリー110については、複数の植物電池設備1’により構成された二次電池集合体である。各植物電池設備1’同士の接続状態は、後記する切り替え回路122により決定される。バッテリー110の電圧や電流は、バッテリー110に備えられた各種センサーにより検出され、その検出信号111が制御装置130に出力されている。
【0042】
なお、同一の植物電池設備1’を複数個組み合わせるだけでなく、充放電等の電気的特性が同一である限り、異なる種類のものを組み合わせて使用する形態であっても良い。また、植物電池設備1’の代わりに植物電池1を用いても勿論かまわない。
【0043】
入力端子INについては、バッテリー110に充電する直流の入力電力を入力するための端子であり、充放電装置120を介してバッテリー110の入力側に接続されている。一方、出力端子OUTについては、バッテリー110から放電された電力を出力するための端子であり、充放電装置120を介してバッテリー110出力側に接続されている。
【0044】
充放電装置120については、バッテリー110から放電された電力を一旦蓄える出力コンデンサ121と、充電時に入力端子INを介して入力された入力電力をバッテリー110に出力する一方、放電時にバッテリー110の出力側に出力コンデンサ121を接続し、出力コンデンサ121に蓄えられた電力を出力端子OUTに出力する切り替え回路122(切り替え手段)とを有している。
【0045】
出力コンデンサ121については、複数のコンデンサにより構成されたコンデンサ集合体である。各コンデンサの接続状態及びバッテリー110、出力端子OUTとの接続状態は、切り替え回路122により決定される。
【0046】
切り替え回路122については、制御装置140から出力された制御信号131に従って動作するリレー回路であって、バッテリー110、出力コンデンサ121及び入出力端子IN/OUTの互いの結線状態を切り替えるようになっている。
【0047】
具体的には、制御信号131が充電指令を示す時(充電時)には、バッテリー110を構成する植物電池設備1’を並列状態にするともに各植物電池設備1’と入力端子INとの間を接続し、これによりバッテリー110に入力電力を与えて充電されるようにリレー接点を切り替える。一方、制御信号131が放電指令を示す時(放電時)には、バッテリー110を構成する各植物電池設備1’又はその一部を直列状態にするとともに、直列接続された植物電池設備1’と出力コンデンサ121との間を接続し、これによりバッテリー110に充電された全電力を放電して出力コンデンサ121に一旦蓄えるようにリレー接点を切り替える。その後、上記放電指令を受けて所定時間経過後に、植物電池設備1’と出力コンデンサ121との間を切り離し、と同時に出力コンデンサ121と出力端子OUTとの間を接続し、これにより出力コンデンサ121に蓄えられた電力を出力端子OUTを通じて出力するようにリレー接点を切り替える。
【0048】
制御装置130については、予めプロクラムされた制御用コンピュータであって、入力ポートには検出信号111が入力されており、出力ポートには切り替え回路122のリレー接点が接続されている。即ち、上記各種センサー等から出力された検出信号111を通じてバッテリー110の充放電状態を監視し、検出信号111に基づいて制御信号131を生成して放電装置120を制御している。
【0049】
制御装置130は具体的には以下の機能を発揮するようになっている。まず、バッテリー110の出力電圧や出力電流が所定値未満であるときには、バッテリー110が不足状態にあると判定し、充電指令を生成して充放電装置120に出力する。一方、バッテリー110の出力電圧や出力電流が所定値以上であるときには、バッテリー110が充電状態又は過充電状態にあると判定し、放電指令を生成して充放電装置120に出力する。
【0050】
このような充電指令、放電指令が制御装置130から繰り返し出力されると、これに応じて上記した通りに充放電装置120が動作し、バッテリー110の充放電が連続して行われる。バッテリー110の電池容量、負荷容量及び出力コンデンサ121の容量のバランスが適正である限り、蓄電ユニット100から直流電力が連続して安定して出力される。
【0051】
なお、放電装置120には、検出信号111に加えて負荷電流の異常を検知する過電流センサーから出力された過負荷検出信号αが入力されている。過負荷検出信号αが過負荷状態を示すときには、放電装置120は、過負荷状態であると判定し、このときには充電指令を生成するか又は充放電装置120の動作を強制的に停止させるようになっている。
【0052】
次に、上記蓄電ユニット100の利用例である再生可能電力電源システム1000の実施形態を図8を参照して説明する。これは、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電等により得られた再生可能電力を蓄電ユニット100に蓄え、蓄えられた電力を負荷700だけでなく商用電力系統の電力系統600を通じて他の負荷にも供給するという内容になっている。具体的には以下の通りである。
【0053】
再生可能電力電源システム1000は、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電その他の再生可能電力を発電する再生可能電力発電装置200と、再生可能電力発電装置200の出力段に接続されたコンバータ300と、コンバータ200を通じて入力された再生可能電力を充電する蓄電ユニット100と、電力系統600に接続されており且つ蓄電ユニット100から放電された直流電力を交流電力に変換して電力系統600に供給する連系インバータ400と、蓄電ユニット100にて生成された充電指令/放電指令等に基づいてコンバータ300及び連係インバータ400を制御する制御ユニット500とを備えている。
【0054】
再生可能電力発電装置200については、太陽電池パネル(太陽光発電の場合)、風力発電機(風力発電の場合)又はバイオマス発電設備(バイオマス発電の場合)等に相当する装置である。
【0055】
コンバータ300については、再生可能電力発電装置200の出力電圧を蓄電ユニット100の定格入力電圧に調整するためのDC−DCコンバータであり、そのオンオフ動作は制御ユニット500により制御されている。なお、コンバータ300としての機能を再生可能電力発電装置200等に担当させる形態であってもよく、その場合はコンバータ300を省略することも可能である。
【0056】
連系インバータ400については、電力系統600の末端に接続された電力インバータであって、再生可能電力発電装置200から出力された再生可能電力の直流を商用周波数の交流に変換するとともに、電力系統600上の商用周波数のゼロクロスを検知してスイッチングさせ、これにより当該項交流変換後の再生生可能電力を電力系統600上に同期して供給するようになっている。また、負荷700及び電力系統600に出力される負荷電流を電流センサー等により検出し、その検出値を制御ユニット500に出力している。
【0057】
制御ユニット500については、電力電源システム1000の全体をシーケンス制御するコンピュータ等の制御機器であって、蓄電ユニット100の制御装置130から出力された充電指令を受けると、連係インバータ400をオフ、コンバータ300をオンにさせ、再生可能電力発電装置200から出力された再生可能電力を蓄電ユニット100に充電させる一方、蓄電ユニット100の制御装置130から出力された放電指令を受けると、コンバータ300をオフ、連係インバータ300をオンにさせ、蓄電ユニット100に充電された再生可能電力を放電し、連係インバータ400を通じて電力系統600等に出力するようになっている。また、負荷電流の大きさが異常値を示したとき等は、過負荷検出信号αを生成して連係インバータ400とともに蓄電ユニット100を強制的に停止させるようになっている。
【0058】
上記した構成の再生可能電力電源システム1000による場合、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電等の再生可能電力を蓄電ユニット100に充電し、充電された直流電力を連係インバータ400により交流電力に変換して電力系統600に供給する構成となっているので、出力が自然条件等に大きく左右され不安定であるという再生可能電力発電の欠点が緩和される。しかも使用済みの植物電池等の処理も容易に行なうことが可能であることから、再生可能エネルギーの利用を広げて低炭素社会の現実的な実現が可能となり、地球温暖化防止に資することになる。特に平地が狭く山脈や丘陵地が多い我が国には有意義である。
【0059】
なお、本発明に係る植物電池、植物電池設備及び蓄電ユニットについては再生可能電力電源システムだけの適用に止まらず、例えば、電力系統とは切り離した形での家庭用簡易二次電池にも当然に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1(1’)植物電池(植物電池設備)
10(10’) 植物
20 陽極
30 陰極
1000 再生可能電力電源システム
100 蓄電ユニット
110 バッテリー
120 充放電装置
130 制御装置(制御手段)
200 再生可能電力発電装置
300 コンバータ
400 連系インバータ
500 制御ユニット
600 電力系統
700 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物と、当該植物にその樹液に漬かるように取り付けられ且つ当該樹液に溶け易い/溶け難い材質を有した陰極/陽極とを備えたことを特徴とする植物電池。
【請求項2】
土地に生えている樹木と、当該樹木にその樹液に漬かるように取り付けられ且つ当該樹液に溶け易い/溶け難い材質を有した陰極/陽極とを備えていることを特徴とする二次電池設備。
【請求項3】
請求項1の植物電池又は請求項2の二次電池設備と、前記植物電池等に対して充放電を行なう充放電装置とを備え、前記充放電装置は、前記植物電池等から出力された電力を蓄える出力コンデンサと、充電時に入力電力を前記植物電池等に与える一方、放電時に前記植物電池等の出力段に前記出力コンデンサを接続し、当該出力コンデンサに蓄えられた電力を出力する切り替え手段とを有していることを特徴とする蓄電ユニット。
【請求項4】
請求項3記載の蓄電ユニットにおいて、前記植物電池等の充放電状態及び/又は負荷状態を監視すると共に当該監視結果に基づいて前記切り替え手段を制御する制御手段を更に備えたことを特徴とする蓄電ユニット。
【請求項5】
太陽光発電、風力発電、バイオマス発電その他の再生可能電力を発電する再生可能電力発電装置と、前記再生可能電力発電装置の出力段に接続されたコンバータと、少なくとも前記コンバータを通じて入力された電力を充電する請求項3、4又は5の蓄電ユニットと、電力系統に接続されており且つ前記蓄電ユニットから放電された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に供給する連系インバータとを備えていることを特徴とする再生可能電力電源システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−101878(P2013−101878A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245674(P2011−245674)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(591124330)マイコム株式会社 (18)
【Fターム(参考)】