説明

植込み可能なアナライトセンサ

実質的に水蒸気の透過可能な材料から形成されたセンサ本体と、センサ本体内にカプセル化された電気的なコンポーネントとを含み、その電気的なコンポーネントが、生体内のセンサ(12)から生体外の受信装置(14)へのRF伝送に適合されたRF回路(38)およびアンテナ(42)を備えており、そのRF回路(38)が、生体内センサ(12)と生体外の受信装置(14)の間でのRF伝送を可能にする誘電率をサポートするようにセンサ本体から固定された距離だけ離間されている、植込み可能なアナライトセンサ(12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、植込み可能なアナライトセンサを作成し、使用するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、膵臓が十分なインシュリンを生成できない(1型またはインシュリン依存性)、および/またはインシュリンが有効ではない(2型または非インシュリン依存性)の疾患である。糖尿病の状態では、罹病者は高血糖となり、微小血管の悪化に関連する一連の生理学的障害(例えば、腎不全、皮膚の潰瘍、または目の硝子体中への出血)を引き起こす可能性がある。低血糖反応(低血糖)は、インシュリンの偶発的な過剰投与によって、または過度の運動または不十分な食物摂取に付随して、インシュリンまたはグルコース低下作用薬の通常の投与後に引き起こされ得る。
【0003】
従来、糖尿病の者は、通常、不愉快な指採取方法を含む血糖自己監視(SMBG)モニタを携帯している。快適さと簡便さの欠如により、普通、糖尿病患者は、自分のグルコースレベルを1日に2回から4回測定するだけである。残念なことに、それらの時間間隔は離れ過ぎていて、発見するのが遅すぎる可能性が高く、高血糖または低血糖状態の危険な副作用を招くことが時々ある。実際、糖尿病患者が適切な時間にSMBG値を得る可能性が低いだけではなく、教育されたインシュリン療法の判断を自分で行えることを抑制する従来方法を基にすると、自分の血液グルコース値が上昇(より高く)しているのか、それとも減少(より低く)しているのかが分からない。
【0004】
従来技術では、複合された、短期間の、経皮的な、または部分的に植え込まれたアナライトセンサを提供する様々のアナライトセンサが開示されている。残念ながら、それらの各センサは、連続的なケアの欠如(短期間センサ)、快適ではないこと(経皮的、また部分的に植込み可能なセンサ)、および不便なこと(複数のコンポーネントを有するセンサ)など、様々の欠点がある。
【非特許文献1】Garg S.、Schwartz S.、Edelman S.、「Improved Glucose Excursions Using an Implantable Real−Time Continuous Glucose Sensor in Adults with Type I Diabetes」、Diabetes Care 2004、27、734〜738頁
【非特許文献2】「Biosensors and the Body」、D.M.Fraser編、1997年、1〜56頁、John P.Wiley and Sons、米国ニューヨーク州、における、Fraser、D.M.、「An Introduction to In Vivo Biosensing:Progress and problems」
【非特許文献3】Updike他、Diabetes Care:207〜21頁(1982年)
【非特許文献4】Rhodes他、Anal.Chem.、66:1520〜1529頁(1994年)
【特許文献1】米国特許仮出願第60/460,825号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改善された患者の使い易さおよびケアを提供するためのデバイス、正確にかつ信頼性が高く機能する長期間の、植込み可能なアナライトセンサが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、第1の実施形態では、ホスト中でアナライトを測定するための植込み可能なアナライトセンサが提供され、そのセンサが、アナライトを測定するための検出領域、およびホスト中にセンサ本体を固定化するための非検出領域を含むセンサ本体と、生体内で検出領域にアナライトを移送することを可能にするために、血管化された組織の内部成長を促進しかつ障壁細胞層の形成を妨害する多孔質の構造を含む、検出領域に隣接する第1の生体界面材料と、生体内でセンサを固定するための組織の内部成長を促進する多孔質構造を含む、非検出領域の少なくとも一部分に隣接する第2の生体界面材料とを含む。
【0007】
第1の実施形態の一態様では、第1の生体界面材料はさらに、細胞または細胞突起に対して不透過性であり、アナライトの通過に対しては透過性である検出領域に近位のドメインを含む。
【0008】
第1の実施形態の一態様では、第2の生体界面材料および第1の生体界面材料が、多孔質のシリコーンを含み、また第1の生体界面材料が、実質的に材料全体にわたり、貫通する多孔性を有する多孔質シリコーンを含む。
【0009】
第1の実施形態の一態様では、検出領域が、センサ本体の第1の表面上にあり、またセンサ本体が、第1の表面とは反対の第2の表面を含み、さらに、第2の生体界面材料が、センサ本体の第1および第2の表面の十分な部分上に配設される。
【0010】
第2の実施形態では、ホストの組織中で短期間および長期間固定化するためのアナライトセンサが提供され、そのセンサが、異物被膜が十分に形成される前に、軟組織中にセンサを固定化するための短期間の固定機構と、異物被膜が十分に形成される間およびその後に、軟組織中にセンサを固定化する長期間の固定機構とを含む。
【0011】
第2の実施形態の一態様では、短期間の固定機構が、センサ本体上に縫合タブを含む。第2の実施形態の一態様では、短期間の固定機構が縫合を含む。第2の実施形態の一態様では、短期間の固定機構が、プロング、刺状突起、逆とげ、翼、およびフックのうちの少なくとも1つを含む。第2の実施形態の一態様では、短期間の固定機構が、センサ本体の幾何形状構成を含む。第2の実施形態の一態様では、幾何形状構成が、螺旋、先細り、および翼の付いた構成のうち少なくとも1つを含む。
【0012】
第2の実施形態の一態様では、長期間の固定機構が、センサ本体上に配設された固定材料を含む。第2の実施形態の一態様では、固定材料が線維質材料を含む。第2の実施形態の一態様では、固定材料が多孔質材料を含む。第2の実施形態の一態様では、固定材料が、表面トポグラフィ(topography)を有する材料を含む。第2の実施形態の一態様では、長期間の固定機構が、センサ本体の外側表面上に形成された表面トポグラフィを含む。
【0013】
第3の実施形態では、アナライトセンサを軟組織中に固定化する方法が提供され、その方法が、ホスト中にアナライトセンサを植え込むステップと、センサをホストの軟組織内に少なくとも短期間固定化するために、異物被膜が形成される前にホスト中でセンサを固定するステップと、ホストの軟組織内にセンサを長期間固定化するために、異物被膜内にセンサを固定するステップとを含む。
【0014】
第3の実施形態の一態様では、短期間の固定化ステップは、ホストの組織に対するセンサの縫合を含む。第3の実施形態の一態様では、その縫合ステップは、センサに圧力がかかるようにセンサを縫合するステップを含む。第3の実施形態の一態様では、短期間の固定化ステップは、植え込むとき、ホストの組織中にセンサを固定するためにセンサ上にプロング、刺状突起、逆とげ、翼、およびフックのうちの少なくとも1つを使用するステップを含む。
【0015】
第3の実施形態の一態様では、長期間の固定化ステップは、材料中にホスト組織の内部成長を可能にする固定材料をセンサ本体上に配設するステップを含む。第3の実施形態の一態様では、固定材料が線維質材料を含む。第3の実施形態の一態様では、固定材料が多孔質材料を含む。第3の実施形態の一態様では、固定材料が表面トポグラフィを有する材料を含む。第3の実施形態の一態様では、長期間の固定化ステップが、センサ本体の表面中に組織の内部成長を可能にする、センサ本体の外側表面上に形成された表面トポグラフィを使用するステップを含む。
【0016】
第4の実施形態では、ホスト中のアナライトの連続測定のための方法が提供され、その方法が、ホスト中にアナライトセンサを植え込むステップと、センサ周りに異物被膜が形成される前および後に、アナライト濃度を測定するステップとを含む。
【0017】
第4の実施形態の一態様では、アナライトセンサは、全体的にホスト中に植え込まれる。第4の実施形態の一態様では、本方法はさらに、アナライトセンサをホストの体外に植え込むステップを含む。第4の実施形態の一態様では、本方法はさらに、他のアナライトセンサをホスト中に植え込むステップを含む。第4の実施形態の一態様では、他のアナライトセンサは、全体的にホスト中に植え込まれる。
【0018】
第4の実施形態の一態様では、本方法はさらに、ホストの軟組織内にセンサを少なくとも短期間固定化するために、異物被膜が形成される前にアナライトセンサをホスト中に固定するステップを含む。第4の実施形態の一態様では、本方法はさらに、ホストの軟組織内にセンサを長期間固定化するために、異物被膜内にセンサを固定するステップを含む。
【0019】
第5の実施形態では、アナライトセンサをホスト中に植え込むための方法が提供され、その方法が、ホストの皮下スペース中に正確な寸法で作られた、アナライトセンサの寸法を超えない寸法のポケットを形成するステップと、ポケット内でセンサの移動を最小化するように正確な寸法で作られたポケット中に、アナライトセンサを挿入するステップとを含む。
【0020】
第5の実施形態の一態様では、ポケットを形成するステップが、ポケットを正確な寸法で作ることを可能にするツールを使用するステップを含む。第5の実施形態の一態様では、ツールは、アナライトセンサの寸法と実質的に同様な寸法に作られたヘッド、およびそのヘッドをポケット中に案内するためのハンドルを含む。第5の実施形態の一態様では、ツールは、アナライトセンサの寸法よりも小さい寸法で作られたヘッド、およびそのヘッドをポケット中に案内するためのハンドルを含む。
【0021】
第5の実施形態の一態様では、本方法はさらに、アナライトセンサをホストの組織に縫合するステップを含む。
【0022】
第5の実施形態の一態様では、ポケットは、ホストの筋膜に隣接して形成される。第5の実施形態の一態様では、アナライトセンサは、アナライト濃度を測定するための検出領域を含み、また筋膜に隣接して検出領域が位置するようにポケット内に配置される。
【0023】
第5の実施形態の一態様では、本方法はさらに、ポケットを形成するステップの前に垂直の切開部を形成するステップを含む。第5の実施形態の一態様では、本方法はさらに、ポケットを形成するステップの前に水平の切開部を形成するステップを含む。第5の実施形態の一態様では、ポケットは、ホストの腹部領域に形成される。
【0024】
第6の実施形態の一態様では、ホスト中のアナライト濃度を測定するための植込み可能なアナライトセンサが提供され、そのセンサが、水蒸気の透過可能な材料から実質的に形成されたセンサ本体と、センサ本体内にカプセル化された電気的なコンポーネントとを含み、電気的なコンポーネントが、生体内センサから生体外の受信装置にRF伝送をするように適合されたRF回路およびアンテナを含んでおり、RF回路が、生体内センサと生体外の受信装置の間でRF伝送を可能にする誘電率をサポートするようにセンサ本体から固定距離だけ離間されている。
【0025】
第6の実施形態の一態様では、その固定された距離は、その水透過性を低下させる構成を含む。第6の実施形態の一態様では、その構成が、コンフォーマルコーティングを含む。第6の実施形態の一態様では、コンフォーマルコーティングがパリレン(Parylene)を含む。
【0026】
第6の実施形態の一態様では、その構成がエポキシを含む。第6の実施形態の一態様では、その構成がガラスを含む。第6の実施形態の一態様では、その構成が1つまたは複数の気密コンテナを含む。
【0027】
第7の実施形態では、生体内アナライトセンサと生体外の受信装置の間におけるRF伝送のためのアナライトセンサが提供され、そのセンサが、RF伝送がそれを介して可能になる実質的に水蒸気の透過可能な本体の内部にカプセル化されたRF回路を含むセンサ本体と、軟組織中のアナライトを測定するためにセンサ本体の外側表面上に位置する検出領域と、アナライトを検出領域に移送するように血管化された組織の内部成長をサポートする、検出領域に隣接して配設された生体界面材料と、軟組織中にセンサ本体を固定化するために組織の内部成長をサポートする、センサ本体の非検出の外側表面上の固定材料とを含む。
【0028】
第7の実施形態の一態様では、センサがさらに、センサ本体内にカプセル化されたアンテナを含む。第7の実施形態の一態様では、センサがさらに、センサ本体内にカプセル化された電力源を含む。
【0029】
第7の実施形態の一態様では、センサ本体がプラスチックから形成される。第7の実施形態の一態様では、そのプラスチックはエポキシを含む。
【0030】
第7の実施形態の一態様では、センサ本体が、RF回路の周りに成形される。第7の実施形態の一態様では、センサがさらに、検出領域で露出された電極システムを含む。第7の実施形態の一態様では、電極システムが、水蒸気の透過可能な本体を通って延長され、またRF回路に動作可能に接続される。
【0031】
第7の実施形態の一態様では、生体界面材料は、複数の相互接続されたキャビティを有する中実部分を含む。第7実施形態の一態様では、生体界面材料はさらに、細胞または細胞突起に対して不透過性であるがアナライトの通過に対しては透過性である、検出領域に近位のドメインを含む。
【0032】
第8の実施形態では、アナライト濃度を測定するための電気化学的なアナライトセンサが提供され、そのセンサが、センサ本体内にカプセル化された電子回路を含むセンサ本体と、センサ本体の外側表面からカプセル化された電子回路へと延長された複数の電極とを含み、その電極が、センサ本体内にカプセル化される前に電子回路に対して、機械的、電気的に接続され、また位置合わせされる。
【0033】
第8の実施形態の一態様では、電極が電子回路にかしめ付け(swaged)られる。第8の実施形態の一態様では、電極が、スポット溶接、超音波溶接、およびレーザ溶接からなる群から選択された技法を用いて溶接される。
【0034】
第8の実施形態の一態様では、電極および電子回路が、成形工程によりセンサ本体中にカプセル化される。第8実施形態の一態様では、センサ本体が水蒸気の透過可能な材料を含む。
【0035】
第8実施形態の一態様では、電子回路が、電子回路から固定された距離内の水蒸気の透過が抑制されるように、水蒸気の透過可能なセンサ本体から離間される。第8の実施形態の一態様では、電子回路が、エポキシにより水蒸気の透過可能なセンサ本体から離間される。第8実施形態の一態様では、電子回路が、ガラス管により水蒸気の透過可能なセンサ本体から離間される。第8の実施形態の一態様では、電子回路が、パリレンにより水蒸気の透過可能なセンサ本体から離間される。第8の実施形態の一態様では、電子回路が、1つまたは複数の気密コンテナにより水蒸気の透過可能なセンサ本体から離間される。
【0036】
第8の実施形態の一態様では、センサ本体が、電極をセンサ本体を通ってその外側表面に延長させた実質的に継ぎ目のない外部を含む。
【0037】
第9の実施形態では、電気化学的なアナライトセンサを製造する方法が提供され、その方法が、センサからの信号を処理するように設計された電子回路を提供するステップと、複数の電極を電子回路にかしめ付けるステップと、電子回路の周りにプラスチック材料を成形してセンサ本体を形成するステップとを含む。
【0038】
第10の実施形態では、アナライトセンサを製造する方法が提供され、その方法が、センサからの信号を処理するように設計されたセンサ電子装置を提供するステップと、第1の水透過率を有する材料でセンサ電子装置を同形にコーティングするステップと、第2の水透過率を有する水蒸気の透過可能な材料を、コーティングされたセンサ電子装置の周りに成形して、実質的に継ぎ目のないセンサ本体を形成するステップとを含み、第2の水透過率が第1の水透過率より大きくなっている。
【0039】
第10の実施形態の一態様では、成形するステップが、実質的に継ぎ目のないセンサ本体を形成するために2ステップの成形工程を含む。
【0040】
第10の実施形態の一態様では、その2ステップの成形工程が、コーティングされたセンサ電子装置の第1の部分を保持し、かつコーティングされたセンサ電子装置の第2の部分の周りに成形するステップと、硬化されたセンサ本体の一部分を保持しかつコーティングされたセンサ電子装置の第1の部分の周りに成形するステップとを含む。
【0041】
第11の実施形態では、アナライトセンサ用の多層膜を製造する方法が提供され、その方法が、ライナ上に、多層膜を形成するために複数層のそれぞれを順次成形し、その後硬化させるステップであって、その層が、アナライトの通過を制限するための抵抗層、およびアナライトと反応するための酵素を含む酵素層を含むステップと、多層膜をアナライトセンサ上に適用するためにライナから解放するステップとを含む。
【0042】
第11の実施形態の一態様では、多層膜がさらに、電気化学的に妨害する恐れのある物質の通過を実質的に阻止する妨害層を含む。
【0043】
第11の実施形態の一態様では、多層膜がさらに、アナライトセンサの電気化学的に反応性の表面に、親水性を維持するためのヒドロゲルを含む電解質層を含む。
【0044】
第12の実施形態では、グルコースの移送を規制する膜を成形する方法であって、重合体混合物および溶剤を含む溶剤溶液を形成するステップであり、その重合体混合物が、親水性および疎水性コンポーネントを含むステップと、親水性および疎水性コンポーネントを互いにかつ溶剤と混合するために所定の時間期間の間、室温を超える第1の高温度で溶液を維持するステップと、その配合物をライナに適用してその上にフィルムを形成するステップと、フィルムを硬化させるステップであり、その硬化が、第1の温度を超える第2の高温度に所定の上昇率で上昇させて達成されるステップとを含む方法。
【0045】
第12の実施形態の一態様では、第1の高温度が約60℃と約100℃の間である。第12の実施形態の一態様では、第1の高温度が約80℃である。
【0046】
第12の実施形態の一態様では、所定の時間期間は、少なくとも約24時間である。第12の実施形態の一態様では、所定の時間期間が、少なくとも約44時間である。
【0047】
第12の実施形態の一態様では、所定の上昇率が1分間に約3℃と12℃の間である。第12の実施形態の一態様では、所定の上昇率が1分間に約7℃である。
【0048】
第12の実施形態の一態様では、第2の高温度が少なくとも約100℃である。
【0049】
第13の実施形態では、電気化学的に妨害する恐れのある物質の通過を実質的に阻止する、電気化学的なグルコースセンサと共に使用する膜を成形する方法であって、重合体および溶剤を含む実質的に希釈された溶剤溶液を形成するステップであり、十分に希釈された溶剤溶液が、約1から10重量%の重合体対約90から99重量%の溶剤である重合体対溶剤比を含むステップと、十分に希釈された溶剤溶液の成形中における気化による不均一なフィルム厚を実質的に回避する十分に速い成形速度で、溶剤溶液を適用するステップとを含む方法が提供される。
【0050】
第13の実施形態の一態様では、膜は、親水性の化学種(species)および大分子量の化学種の拡散を制限する。
【0051】
第13の実施形態の一態様では、膜は、約0.1と5ミクロンの間の厚さを含む。第13の実施形態の一態様では、膜は、約0.5と3ミクロンの間の厚さを含む。
【0052】
第13の実施形態の一態様では、重合体はポリウレタンを含む。
【0053】
第13の実施形態の一態様では、十分に速い成形速度が、約8(20.3)と約15インチ/秒(38.1cm/秒)の間である。第13の実施形態の一態様では、十分に速い成形速度が、11.5インチ/秒(29.2cm/秒)である。
【0054】
第14の実施形態では、植込み可能なアナライトセンサが提供され、そのセンサが、水蒸気に対して透過可能な材料を含みさらにアナライトのレベルを測定するための検出領域を含む本体と、検出領域により得られた測定値を送信するための本体内の送信装置とを含み、送信装置の少なくとも一部分が、水の透過を低減するように適合された材料によって本体から離間される。
【0055】
第14の実施形態の一態様では、送信装置が発信器を含み、またその発信器の少なくとも一部分が、流体がその中を透過するのを抑制するように適合された材料により本体から離間されている。第14の実施形態の一態様では、発信器がインダクタを含み、またインダクタが、流体がその中を透過するのを抑制するように適合された材料によって本体から離間されている。第14の実施形態の一態様では、発信器は電圧制御発信器を含む。
【0056】
第15の実施形態では、植込み可能なアナライトセンサであって、水蒸気の透過可能な本体内にカプセル化された電子装置を含み、その電子装置が、マイクロプロセッサモジュールと、位相同期ループを有するRF送受信装置を有するRFモジュールとを含んでおり、さらにマイクロプロセッサモジュールが、周波数外シフトの検出に応答して、PLLの再較正を開始するようにプログラムされたセンサが提供される。
【0057】
第15の実施形態の一態様では、3電極システムを含む電気化学的なグルコースセンサであって、作用電極、参照電極、および対電極を含む電気化学的なセルと、作用電極と参照電極の間の電位を制御するポテンシオスタットとを含み、対電極電圧に対する許容可能な範囲が、酸素が制限される状態になった場合に、グルコースセンサが他の還元可能な化学種と反応できるように十分広く設定され、また回路が過度の電流引込みまたは泡の形成を生じさせないことを保証するように十分狭く設定されるセンサ。
【0058】
第15の実施形態の一態様では、電流値を事前設定するための作用電極または対電極増幅器の少なくとも一方の電流を制限することにより、許容可能な範囲が構成される。第15の実施形態の一態様では、オペアンプを電池のアースからオフセットして設定することにより許容可能な範囲が構成される。第15の実施形態の一態様では、電池のアースに対して約+0.6Vと+0.8Vの間で基準電圧を設定することにより許容可能な範囲が構成される。第15の実施形態の一態様では、電池のアースに対して約+0.7Vで基準電圧を設定することにより許容可能な範囲が構成される。
【0059】
第16の実施形態では、アナライトセンサを製造する方法が提供され、その方法が、アナライトを測定するための検出領域を含むセンサ本体を提供するステップと、ライナ上に多層膜を形成するステップと、多層膜をライナからセンサ本体上に解放するステップと、多層膜を検出領域の近位のアナライトセンサ本体に取り付けるステップとを含む。
【0060】
第16の実施形態では、その取り付けるステップが機械的な取付けを含む。第16の実施形態の一態様では、機械的な取付けが、隆起された検出領域の周りに嵌合するように適合された金属またはプラスチックのOリングを含む。第16の実施形態の一態様では、機械的な取付けが、センサ本体に圧入嵌めをするように適合された金属またはプラスチックの円板を含む。第16の実施形態の一態様では、機械的な取付けが、センサ本体にスナップ嵌めをするように適合された金属またはプラスチックのクリップを含む。
【0061】
第17の実施形態では、アナライトセンサを製造する方法が提供され、その方法が、アナライトを測定するための検出領域を含むセンサ本体を提供するステップと、ライナ上に多層膜を形成するステップと、多層膜をライナから解放してセンサ本体上に配置するステップと、多層膜を、検出領域に近位のアナライトセンサ本体に取り付けるステップとを含む。
【0062】
第17の実施形態の一態様では、その取り付けるステップが機械的な取付けを含む。第17の実施形態の一態様では、機械的な取付けが、隆起された検出領域の周りに嵌合するように適合された金属またはプラスチックのOリングを含む。第17の実施形態の一態様では、機械的な取付けが、センサ本体に圧入嵌めをするように適合された金属またはプラスチックの円板を含む。第17の実施形態の一態様では、機械的な取付けが、センサ本体にスナップ嵌めをするように適合された金属またはプラスチックのクリップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下の記述および諸例は、開示の本発明のいくつかの例示的な実施形態を詳細に説明する。当業者であれば、本発明の範囲に包含される本発明の変形形態および変更形態が数多くあることを理解されよう。したがって、特定の例示の実施形態の記述が、本発明の範囲を限定すると見なすべきではない。
【0064】
定義
開示の本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下で定義する。
【0065】
本明細書で使用される用語「ROM」は、読取り専用メモリを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。その用語は、EEPROM、書換え可能なROM、フラッシュメモリなどを含む様々のタイプのROMを含む。
【0066】
本明細書で使用される用語「RAM」は、ランダムアクセスメモリを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。その用語は、ダイナミックRAM、スタティックRAM、非スタティックRAMなどを含む様々のタイプのRAMを含む。
【0067】
本明細書で使用される用語「A/Dコンバータ」は、アナログ電気信号を対応するデジタル信号に変換するハードウェアおよび/またはソフトウェアを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0068】
本明細書で使用される用語「マイクロプロセッサ」は、コンピュータを駆動する基本命令に応答して処理する論理回路を用いて、算術演算および論理演算を実施するように設計されたコンピュータシステムまたはプロセッサを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0069】
本明細書で使用される用語「RF送受信装置」は、信号を送信し、かつ/または受信するための無線周波数送信装置および/または受信装置を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0070】
本明細書で使用される用語「生データストリーム」および「データストリーム」は、グルコースセンサから測定されたグルコースに直接関係するアナログまたはデジタル信号を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。一例では、生データストリームは、グルコース濃度を表すアナログ信号(例えば、電圧または電流)からA/Dコンバータによって変換された「カウント」によるデジタルデータである。その用語は、1秒以下のわずかな時間から最高で、例えば、1、2、または5分以上の範囲の時間間隔で測定された個々の測定を含む、実質的に連続なグルコースセンサからの複数の時間間隔データポイントを広く包含する。
【0071】
本明細書で使用される用語「カウント」は、デジタル信号の測定単位を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。一例では、カウントで測定された生データストリームは、作用電極からの電流に直接関係する(例えば、A/Dコンバータにより変換された)電圧に直接関係する。他の例では、カウントで測定された対電極電圧は、電圧に直接関係する。
【0072】
本明細書で使用される用語「ポテンシオスタット」は、事前設定された値に、3電極セルの作用電極と参照電極の間の電位を制御する電気的システムを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。それは、必要なセル電圧および電流が、ポテンシオスタットのコンプライアンス限界を超えない限り、所望の電位を保つために必要な電流が作用電極と対電極の間で流れるようにする。
【0073】
本明細書で使用される用語「電位」は、電流の原因である回路中の2点間の電気的なポテンシャルの差を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0074】
本明細書で使用される用語「生理学的に実行可能(feasible)」は、ヒトおよび/または動物中のグルコースデータの連続的な研究から得られた生理学的なパラメータを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。例えば、約4から5mg/dL/分のヒト中の最大持続グルコース変化率、および約0.1から0.2mg/dL/分/分の変化率の最大加速は、生理学的に実行可能限界と見なされる。これらの限界外の値は、非生理学的であると考えられ、例えば、信号エラーの結果の可能性が高い。他の実施例として、患者治療における最大のリスク領域である毎日のグルコース範囲の最大と最小でグルコースの変化率は最も低く、したがって、生理学的に実行可能な変化率は、グルコースデータの連続的な研究に基づいて最大および最小でセットすることができる。
【0075】
本明細書で使用される用語「虚血」は、ある部分(例えば、センサ)への循環障害による血液供給の局所的かつ一時的な欠乏を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。虚血は、例えば、血液供給の機械的な障害(例えば、動脈狭窄または破壊)により引き起こされ得る。
【0076】
本明細書で使用される用語「システムノイズ」は、例えば、ガウス型の、動きに関係する、フリッカ、運動性の、または他のホワイトノイズを含み得る望ましくない電子的なまたは拡散に関係するノイズを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0077】
本明細書で使用される用語「生体界面膜」は、2つ以上のドメインからなるデバイス/組織界面として機能する透過可能な膜を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。いくつかの実施形態では、生体界面膜は2つのドメインから構成される。第1のドメインは、組織の内部成長をサポートし、障壁細胞層の形成を妨害し、またキャビティおよび中実部分を有する開放気泡構成を含む。第2のドメインは、細胞の付着に耐性があり、細胞(例えば、マクロファージ)に対して不透過性である。生体界面膜は、生物学的に安定な材料から作られ、また層状に、一様または非一様な勾配(すなわち、異方性)に、あるいは一様または非一様なキャビティサイズ構成に構成することができる。
【0078】
本明細書で使用される用語「検出膜」は、2つ以上のドメインから構成することができ、また通常、数ミクロン以上の厚さの材料から構成されており、酸素に対して透過性があり、またグルコースに対して透過性を有するまたは有しないようにできる透過性または半透過性の膜を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。一例では、検出膜は、酵素、例えば、固定化されたグルコースオキシダーゼ酵素を含み、それにより、アナライト濃度を測定するための電気化学反応を行うことができる。
【0079】
本明細書で使用される用語「ドメイン」は、層や、一様または非一様な勾配(例えば、異方性)とすることができる膜の領域、あるいは膜の部分として提供され得る膜の領域を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。その用語は十分に広く、1つまたは複数の(組み合わせた)ドメインの1つまたは複数の機能を含み、また様々なドメインのそれぞれの1つまたは複数の機能を、それぞれが提供する複数の層または領域を含む。
【0080】
本明細書で使用される用語「障壁細胞層」は、第2のドメインおよび/または膜にわたる少なくともいくつかの分子の移送を実質的にブロックする(例えば、マクロファージおよび異物巨大細胞などの)細胞の凝集性の単一層を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0081】
本明細書で使用される用語「細胞付着」は、分子レベルにおける材料への細胞の付着および/または細胞突起の機械的な付着、および/または微小な(またはマクロの)多孔質材料表面への細胞および/または細胞突起の付着を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。多孔質表面のため細胞が付着される従来技術で使用される材料の一例は、Millipore(米国マサチューセッツ州ベッドフォード)により市販のBIOPORE(商標)細胞培養サポートである(上記のBrauker‘330を参照)。
【0082】
本明細書で使用されるフレーズ「に対して遠位」は、特定の基準点と比較した様々の要素間の空間的な関係を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。例えば、デバイスのいくつかの実施形態は、細胞破壊ドメインおよび細胞不透過性ドメインを有する生体界面膜を含む。センサが基準点と見なされる場合、細胞破壊ドメインは、センサからより遠くに配置されており、そのとき、そのドメインはセンサに対して遠位にある。
【0083】
本明細書で使用される用語「に対して近位」は、特定の基準点と比較した様々の要素間の空間的な関係を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。例えば、デバイスのいくつかの実施形態は、細胞破壊ドメインおよび細胞不透過性ドメインを有する生体界面膜を含む。センサが基準点と見なされる場合、細胞不透過性ドメインは、センサに対してより近くに配置され、そのとき、そのドメインはセンサに対して近位にある。
【0084】
本明細書で使用される用語「細胞突起(cell processes)」は、細胞の偽足を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0085】
本明細書で使用される用語「中実部分」は、キャビティ、空洞、または他の非中実部分と区別される機械的な構造を有する中実な材料を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0086】
本明細書で使用される用語「十分な(substantial)」は所望の機能を提供する十分な量を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。例えば、好ましい実施形態の微小構造では、十分な数のキャビティが、十分な数の炎症性細胞がその中に入ることのできるサイズを有しており、それは、好ましい公称の孔サイズ範囲内のキャビティの50パーセントを超える量、60パーセントを超える量、70パーセントを超える量、80パーセントを超える量、90パーセントを超える量を含むことができる。
【0087】
本明細書で使用される用語「共連続(co−continuous)」は、中実部分の任意の2点間に、3次元において連続した曲線が存在する中実部分を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0088】
本明細書で使用される用語「生物学的に安定」は、生体内で遭遇するプロセスによる劣化に比較的耐性のある材料を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0089】
本明細書で使用される用語「アナライト」は、分析することができる生物学的な流体(例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、または尿)中の物質または化学成分を指すことを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。アナライトは、自然に生ずる物質、人工的な物質、代謝生成物、および/または反応生成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、検出領域、デバイス、および方法により測定するためのアナライトは、グルコースである。非カルボキシプロトロンビン(acarboxyprothrombin)、アシルカルニチン、アルデニンホスホリボシル転移酵素、アデノシンデアミナーゼ、アルブミン、アルファ胎児タンパク質、アミノ酸プロフィール(アルギニン(クルブス回路)ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン)、アンドロステンジオン、アンチピリン、アラビニトール鏡像体、アルギナーゼ、ベンゾイルエクゴニン(コカイン)、ビオチニダーゼ、ビオプテリン、C−反応性タンパク質、カルニチン、カルノシナーゼ、CD4、セルロプラスミン、ケノデオキシコール酸、クロロキニーネ、コレステロール、コリンエステラーゼ、共役(conjugated)1−βヒドロキシ−コール酸、コルチゾル、クレアチンキナーゼ、クレアチンキナーゼMMアイソエンザイム、シクロスポリンA、D−ペニシラミン、デエチルクロロキニーネ、硫酸デヒドロエピアンドロステロン、DNA(アセチル代謝多形性、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ1−抗トリプシン、嚢胞性線維症、デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィ、グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ、異常血色素症、A,S,C,E,D−パンジャブ(Punjab)、ベータサラセミア、B型肝炎ウイルス、HCMV、HIV−1、HTLV−1、レーベルの先天性緑内障、MCAD、RNA、PKU、三日熱マラリア原虫、性分化、21−デオキシコルチゾル)、デスブチルハルファントリン、ジヒドロプテリジン還元酵素、ジフテリア/破傷風抗毒素、赤血球アルギナーゼ、赤血球プロトポルフィリン、エステラアーゼD、脂肪酸/アシルグリシン、遊離β−ヒト絨毛性生殖刺激ホルモン、遊離赤血球ポルフィリン、遊離サイロキシン(FT4)、遊離トリヨードチロニン(FT3)、フマリルアセトアセターゼ、ガラクトース/ガラクトース燐酸、ガラクトース燐酸ウリジル転移酵素、ゲンタマイシン、グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グリココール酸、グリコシル化ヘモグロビン、ハルファトリン、ヘモグロビン変異体、ヘキソサミニダーゼA、ヒト赤血球炭酸アンヒドラーゼI、17アルファ−ヒドロキシプロゲステロン、ヒポキサンチンホスホリボシル転移酵素、免疫活性トリプシン、乳酸、鉛、リポタンパク質((a)、B/A―1、β)、リゾチーム、メフロキン、ネチルマイシン、フェノバルビトン、フェニトイン、フィタン酸/プリスタン酸、プロゲステロン、プロラクチン、プロリダーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キニーネ、リバースT3、(rT3)、セレン、血清膵臓リパーゼ、シソマイシン、ソマトメジンC、特異性抗体(アデノウイルス、抗核抗体、抗ゼータ抗体、アルボウイルス、アウエスキー病ウイルス、デング熱ウイルス、メジナ虫、蝟粒条虫、エントアメーバヒストリティカ、エンテロウイルス、十二指腸ジアルジア症(Giardia duodenalisa)、ピロリ菌、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV−1、IgE(アトピー性疾患)インフルエンザウイルス、ドノバン小体、レプトスピラ、麻疹/おたふく風邪/風疹、らい菌、肺炎マイコプラズマ、ミオグロビン、回施糸状虫、パラインフルエンザウイルス、熱帯性マラリア原虫、ポリオウイルス、緑膿菌、呼吸器合胞体ウイルス、リケッチア(恙虫病)、マンソン住血吸虫、トキソプラズマ、梅毒トレポネーマ、クルーズトリパノソーマ/ランゲリトリパノソーマ、水疱性口内炎ウイルス、バンクロフト糸状虫、黄熱病ウイルス)、特異性抗原(B型肝炎ウイルス、HIV−1)、スクシニルアセトン、スルファドキシン、テオフィリン、チロトロピン(TSH)、サイロキシン(T4)、サイロキシン結合性グロブリン、微量元素(trace elements)、トランスフェリン、UDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ、尿素、ウロポルフィリノーゲンIシンターゼ、ビタミンA、白血球、および亜鉛プロトポルフィリンを限定することなく含む他のアナライトも同様に企図されている。血液または間質液中に自然に生ずる塩、糖、タンパク質、脂肪、ビタミン、およびホルモンはまた、いくつかの実施形態でアナライトを構成することができる。アナライトは、例えば、代謝生成物、ホルモン、抗原、抗体など生物学的な流体中に自然に存在することができる。代替的には、アナライトは、例えば、イメージング用のコントラスト作用薬、ラジオアイソトープ、化学的作用薬、フッ化炭化水素ベースの合成血液、あるいはインシュリン、エタノール、大麻(マリファナ、テロラヒドロカナビノール、ハシシュ)、吸入薬(亜酸化窒素、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチル、塩化炭化水素、炭化水素)、コカイン(クラックコカイン)、刺激剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、Ritalin、Cylert、Preludin、Direx、PreState、Voranil、Sandrex、Plegine)、鎮静剤(バルビツール酸誘導体、メタカロン、またはValium、Librium、Miltown、Serax、Equanil、Tranxeneなどの精神安定薬)、幻覚剤(フェンシクリジン、リゼルギン酸、メスカリン、ペヨーテ、プシロシビン)、麻薬(ヘロイン、コデイン、モルヒネ、アヘン、メペリジン、Percocet、Percodan、Tussionex、Fentanyl、Darvon、Talwin、Lomotil)、デザイナドラグ(designer drug)(フェンタニル、メペリジン、アンフェタミン、メタンフェタミン、およびフェンシクリジンの類似体、例えば、Ecstasy)、アナボリックステロイド、およびニコチンを限定することなく含む薬物もしくは薬学的配合物として体中に導入することができる。薬物および薬学的配合物の代謝生成物はまた、アナライトとして企図される。神経系化学物質、および体内で生成される他の化学物質などのアナライト、例えば、アスコルビン酸、尿酸、ドーパミン、ノルアドレナリン、3−メトキシチラミン(3MT)、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、ホモバニリン酸(HVA)、5−ヒドロキシトリプタミン(5HT)、および5−ヒドロキシインドール酢酸(FHIAA)などをまた、分析することができる。
【0090】
本明細書で使用される用語「動作可能に接続される」および「動作可能にリンクされる」は、コンポーネント間で信号の伝送を可能にするように、他のコンポーネントとリンクされた1つまたは複数のコンポーネントを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。例えば、1つまたは複数の電極を、サンプル中のアナライト量を検出して、その情報を信号に変換するために使用することができる。次いで、その信号を、回路に送信することができる。その場合、電極が電子回路に「動作可能にリンク」されている。
【0091】
本明細書で使用される用語「ホスト」は、ほ乳類、特にヒトを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0092】
本明細書で使用されるフレーズ「連続的な(または断続的な)(continuous(or continual))アナライト検出)は、アナライト濃度のモニタリングを、例えば、約5から10分ごとに、連続的に、断続的におよび/または間欠的に(規則的にまたは不規則に)実施される期間を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0093】
本明細書で使用される用語「検出領域」は、特定のアナライトの検出を行うモニタリングデバイスの領域を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。検出領域は、全体に、本体内部を通り固定された非伝導性本体、作用電極(アノード)、参照電極、および対電極(カソード)を備え、本体上の一方の位置に電気化学的に反応性の表面を、また本体上の他方の位置に電子的な接続手段を形成しており、また多領域の膜が本体に取り付けられ、電気化学的に反応性の表面を覆っている。対電極は、作用電極より大きい電気化学的に反応性の表面積を有する。センサの全体的な動作中に、生物学的サンプル(例えば、血液または間質液)またはその部分が、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)と(直接に、あるいは1つまたは複数の膜もしくはドメインを通って通過した後に)接触する。生物学的サンプル(またはその部分)の反応により、その生物学的サンプル中のアナライト(例えば、グルコース)レベルを判定することができる反応生成物の形成が得られる。いくつかの実施形態では、多領域の膜はさらに、酵素ドメイン(例えば、酵素層)、および電解質相(すなわち、さらに以下で述べる電解質を含む流体を含む自由に流れる液体相)を備える。
【0094】
本明細書で使用される用語「電気化学的に反応性の表面」は、電気化学的な反応が行われる電極表面を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。作用電極の場合、検出されたアナライトの酵素触媒反応により生成された過酸化水素が反応して測定可能な電流を生成する(例えば、グルコースオキシダーゼを用いたグルコースアナライトの検出により、副産物として過酸化水素Hを生成し、Hが、作用電極の表面と反応して2個の陽子(2H)、2個の電子(2e)、1個の酸素分子(O)を生成し、検出される電流が生成される)。対電極の場合、還元可能な化学種、例えば、Oが、作用電極により生成された電流を平衝させるために電極表面で還元される。
【0095】
本明細書で使用される用語「電子的な接続」は、機械的に(例えば、ピンおよびソケットで)または半田付けなど、検出領域電極をデバイスの電子回路とインターフェースさせるために使用できる当業者に知られた任意の電子的な接続を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0096】
本明細書で使用される用語「酸素アンテナドメイン」は、生体界面膜の周囲の生物学的流体から酸素を集めるために、水性媒体よりも高い酸素溶解性を有する材料からなるドメインを限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。最小の酸素必要時には、ドメインは、酸素の蓄積部として働くことができ、また膜を横断して酸素の移送を容易にするように高い酸素勾配を需要に応じて提供することができる。このようにすると、酵素ドメインにおける過酸化水素へのグルコース変換により周囲のドメインからの酸素が消費されたとき、酵素反応ドメインおよび対電極表面での機能が高めることができる。したがって、必要な場合に、重要なドメインに対して酸素の高いフラックスを付与る酸素アンテナドメインの機能は、センサ機能の全体を改善する。
【0097】
本明細書で使用される用語「成形する(casting)」は、流体材料を表面に付与し、硬化させることのできる工程を限定することなく含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。この用語は十分に広く、例えば、押出し機(draw−down machine)、ディップコーティングなどを使用する様々のコーティング技法を包含する。
【0098】
本明細書で使用される用語「水蒸気の透過可能な」は、水蒸気を透過させることにより特徴付けられることを限定せずに含む広い用語であり、その普通の意味で使用される。
【0099】
本明細書では、以下の省略形が適用される。すなわち、EqおよびEqs(当量)、mEq(ミリ当量)、M(モル濃度)、mM(ミリモル濃度)、μM(ミクロモル濃度)、N(規定)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、μmol(ミクロモル)、nmol(ナノモル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、Kg(キログラム)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、dL(デシリットル)、μL(マイクロリットル)、cm(センチメートル)、mm(ミリメートル)、μm(マイクロメートル)、nm(ナノメートル)、hおよびhr(時間)、min.(分)、sおよびsec(秒)、および℃(摂氏度)。
【0100】
概要
図1Aは、ヒト10内に植え込まれた連続アナライトセンサ12と、センサデータを処理し表示するための受信装置14を含む好ましい実施形態のシステムの斜視図である。好ましい実施形態のシステムは、最小の侵襲性外傷でホストの組織中に受容できるようにする分離した設計であるため、改善された利便さおよび正確さを提供するが、一方生理学的環境を介して信頼性のある無線伝送を提供し、それにより、患者の快適さ、秘諾性、安全性、および利便性全体を高めることができる。
【0101】
連続アナライトセンサ12は、アナライトまたはアナライトの濃度または存在を示す物質の濃度を測定する。以下のいくつかの説明は、グルコースセンサ寄りであるが、アナライトセンサ12は、体中の任意のアナライト、例えば、酸素、ラクターゼ、インシュリン、ホルモン、コレステロール、薬物、ウイルスなどのレベルを判定することのできる任意のセンサとすることができる。さらに、アナライトセンサの説明の多くは電気化学的検出法に絞られているが、本システムおよび方法は、酵素による技法や、化学的、物理的、分光測光、旋回測定、比色測定、放射分析による技法などを含む他の測定技法を使用するアナライトセンサに適用することができる。
【0102】
図2から図13は、好ましい実施形態のアナライトセンサの製造、構成、および植込みに関連するシステムおよび方法を示す。図2は、一実施形態における、アナライト濃度を測定し、またアナライト濃度を示す出力信号を提供するためのシステムおよび方法を示す。その出力信号は、通常、例えば、患者または医者に対して、測定されたアナライト濃度の有益な値を提供するために用いられる生データのストリームである。したがって、較正し、妥当性を検証し、有意味のグルコース値を患者に表示することを含む、生データストリームを受信しかつ処理する受信装置14が提供される。
【0103】
好ましい実施形態の植込み可能なアナライトセンサ12の斜視図である図1Bを次に参照する。この実施形態では、検出領域16および非検出領域18がアナライトセンサ12上に示されている。アナライトセンサ12に関連する電子装置は、図2および図3を参照して以下でより詳細に述べる。センサの電子装置は成形されたプラスチック本体内に、例えば、図4および図5を参照して以下でより詳細に述べるなどの熱硬化性樹脂内にカプセル化されることが好ましい。センサ電子装置は、図3を参照して以下でより詳細に述べるものなど、成形された本体を通して延長され、また検出領域16で露出される電極を含む。検出膜は、露出した電極を覆っており、それを図7を参照して以下でより詳細に述べる。その検出膜を覆う生体界面膜は、組織の内部成長をサポートし、異物質反応で通常見出される収縮性の力を阻害し、血管増生を高め、障壁細胞層の形成を妨害するように構成されており、それを以下で図8を参照してより詳細に述べる。センサをホストの組織に長期間固定するために、固定材料がアナライトセンサ12の非検出領域の少なくとも一部分を覆っており、それを以下で図10および図13を参照してより詳細に述べる。ホストの組織にセンサを短期間固定するための縫合片または他のコンポーネントを、任意選択で設けることができる。いくつかの実施形態では、ホストの組織への短期間の固定のためのコンポーネントを、非検出領域の一部分上に設けることができ、それを図10および図12を参照して以下でより詳細に述べる。
【0104】
好ましい一実施形態では、アナライトセンサはグルコースセンサであり、検出領域16が、例えば、白金作用電極、白金対電極、および銀/塩化銀参照電極を含む電極システムを備える。しかし、様々の電極材料および構成を好ましい実施形態の植込み可能なアナライトセンサと共に使用することができる。電極の上端部は、検出膜と電極の間に配設された自由に流れる流体相である電解質相(図示せず)と接触している。一実施形態では、対電極は、作用電極で測定された化学種により生成された電流のバランスをとるために提供される。いくつかの実施形態では、検出膜は、酵素、例えば、グルコースオキシダーゼを含み、また電解質相を覆っている。グルコースオキシダーゼをベースとしたグルコースセンサの場合、作用電極で測定される化学種は、Hである。グルコースオキシダーゼは、以下の反応に従って、酸素とグルコースを過酸化水素とグルコナートに変換する触媒作用をする。
グルコース+O→グルコナート+H
【0105】
の変化がモニタされグルコース濃度が判定されるが、それは、代謝されたグルコース分子ごとに、生成物Hに比例した変化が生ずるからである。作用電極によるHの酸化は、周囲酸素、酵素生成のH、または対電極で還元可能な他の化学種を還元することにより平衝される。グルコースオキシダーゼ反応から生成されるHはさらに、作用電極の表面で反応し、2個の陽子(2H)、2個の電子(2e)、および1個の酸素分子(O)を生成する。
【0106】
ポテンシオスタット(図3C)が、電気的に活性な表面で電気化学反応をモニタするために使用される。ポテンシオスタットは、電流値を判定するために、作用電極および参照電極に一定の電位を印加する。作用電極で生成された(そして、回路を通って対電極へと流れる)電流は、作用電極へと拡散されるHの量に実質的に比例する。したがって、ユーザの体中のグルコース濃度を示す生の信号を生成することができ、したがって、有意味のグルコース値を推定するために使用することができる。
【0107】
説明
センサの電子装置
図2は、一実施形態における植込み可能なグルコースセンサ12に関連する電子装置22を示すブロック図である。この実施形態では、電流値を得るために(上記のものなどの)電極システムに動作可能に接続された、またその電流を電圧に変換する抵抗(図示せず)を含むポテンシオスタット24を示す。A/Dコンバータ26は、処理のためにアナログ信号を「カウント」にデジタル化する。したがって、カウントとして得られた生データのストリームが、ポテンシオスタット24により測定された電流に直接関係する。
【0108】
マイクロプロセッサモジュール28は、ROM30およびRAM32を収納する中央制御ユニットを含み、センサ電子装置22の処理を制御する。いくつかの代替の実施形態は、本明細書で述べるようなデータを処理するためのマイクロプロセッサ以外のコンピュータシステムを使用できることに留意されたい。いくつかの代替の実施形態では、特定用途向けIC(ASIC)を、当業者であれば理解されるように、いくつかの、またはすべてのセンサの中央処理のために使用することができる。ROM30は、データの半永久的なストレージ、例えば、センサの識別子(ID)などのデータ、およびデータストリームを処理するためのプログラミング(例えば、データの平滑化および/または信号アーチファクトの置換用プログラミング)の記憶を提供する。RAM32は、システムのキャッシュメモリ用、例えば、最近のセンサデータを一時的に記憶用として使用することができる。いくつかの代替の実施形態では、ダイナミックRAM、スタティックRAM、非スタティックRAM、EEPROM、書換え可能なROM、フラッシュメモリなど、ROM30およびRAM32に類似した記憶ストレージコンポーネントを、好ましいハードウェアに代えて、またはそれに追加して使用することができる。
【0109】
電池34が、センサ電子装置22に動作可能に接続され、センサ12のための必要電力を供給する。一実施形態では、電池は二酸化マンガンリチウム電池であるが、(例えば、AAA、ニッケル−カドミウム、亜鉛−炭素、アルカリ性、リチウム、ニッケル金属水素化物、リチウム−イオン、亜鉛−空気、亜鉛−酸化水銀、銀−亜鉛、および/または気密封印された)任意の適切なサイズかつ電力を有する電池を使用することができる。いくつかの実施形態では、電池は再充電可能である。いくつかの実施形態では、システムに電力を与えるために、複数の電池を使用することができる。さらに、他の実施形態では、センサは、例えば、電磁結合を介して経皮的に電力を供給することができる。いくつかの実施形態では、水晶36をマイクロプロセッサ28に動作可能に接続し、コンピュータシステムのシステム時間を全体として維持する。
【0110】
RFモジュール38が、マイクロプロセッサ28に動作可能に接続され、センサデータを、センサ12からアンテナ42を介して無線伝送40内の受信装置14に送信する。いくつかの実施形態では、第2の水晶44が、RF送受信装置からのデータ伝送を同期化するためのシステム時間を提供する。RF送受信装置は、一般に、レジスタおよび発信器を有する位相同期ループ(PLL)、位相弁別器(PD)、ループフィルタ(LPF)、および電圧制御発信器(VCO)を含んでおり、それらは当業者に理解されよう。しかし、いくつかの他の代替の実施形態では、光学的、赤外線放射(IR)、超音波などの他の機構をデータの送信および/または受信に使用することができる。
【0111】
好ましい実施形態は、以下で図4から図5を参照してより詳細に述べるものなど、水蒸気の透過可能な材料中に電子装置をカプセル化すると有利であることに留意されたい。しかし、水透過可能センサ本体の電気特性の変化が、RF装置の誘電体の装荷(loading)を変更する一因となり、(例えば、特定の周波数範囲で受信する)受信装置がデータ伝送を受信するのを阻止し得る搬送波周波数シフトを生じさせることが観察されている。従来のPLLは、標準の較正を動作させて、誘電体の装荷の変化に対してやがて補償するように設計されているが、標準の較正サイクルで補償され得るよりも速く水の透過率が増加するいくつかの状況が、植込み可能な水蒸気の透過可能センサで生ずることが見られた。したがって、好ましい実施形態は、いつ搬送波周波数が所定の範囲外にシフトしたかを判定するためにPLLをモニタし、また「周波数外」を示したときは、再較正サイクルを動作させるようにプログラムされる。理論で限定されることを意図しないが、周波数外であることの検出に応答してPLLを再較正することにより、植込み可能な水蒸気の透過可能センサにおける搬送波周波数のシフトによるデータ送信の失敗を低減またはなくすようにすると考えられる。
【0112】
電子装置のサブアセンブリ
図3Aおよび図3Bは、上記のセンサ電子装置の機能を提供するハードウェアおよびソフトウェアを含む、例示的な一実施形態におけるセンサ12に関連する電子装置サブアセンブリ46の上面図(図3A)および側方断面図(図3B)である。具体的には、図3Aおよび図3Bは、成形可能なプラスチック材料中にカプセル化される前の電子装置サブアセンブリ46を示す。
【0113】
電子装置サブアセンブリ46は、全体に、上記の機能をサポートするように設計されたハードウェアおよびソフトウェアを含む。さらに、好ましい実施形態の電子装置サブアセンブリは、アナライトセンサを皮下のポケット内に固定化することを容易にする、本明細書で述べるいくつかの好ましい設計パラメータを含むように構成される。動き(例えば、ホストの組織中におけるセンサの一時的および/または慢性的な移動)により、短期および/または長期間のセンサ性能を劣化させることを示している急性および/または慢性の炎症を生ずることが見出されたため、センサをホスト組織内で固定化することは有利である。例えば、アナライトセンサの大きくかさばるバージョンが平均44日+/−14日の間ヒトに植え込まれた実験中に(Garg S.、Schwartz S.、Edelman S.、「Improved Glucose Excursions Using an Implantable Real−Time Continuous Glucose Sensor in Adults with Type I Diabetes」、Diabetes Care 2004、27、734〜738頁を参照のこと)、センサの移動により、センサ性能の低減と相関のあるより厚い異物の被膜形成が行われる結果となることが発見された。理論で限定されることを意図しないが、アナライトセンサのサイズの最適化(例えば、小型化)により、より独立した安全な植込みを可能にすると考えられ、また患者により引き起こされるセンサの大きな動きおよび皮下ポケット内のセンサの動きにより引き起こされる微小な動きを低減すると考えられ、それによりセンサ性能が改善される。
【0114】
さらに、気密材料から作られるデバイスとは対照的に、本発明の好ましい実施形態は、水蒸気の透過可能な材料で電子装置をカプセル化するので有利である。水蒸気の透過可能な材料、例えば、成形可能なプラスチックを使用することは、例えば、設計変更の容易さ、安全性、成形工程中およびその後における電子装置の調整、および正確な曲率でデバイスを機械加工できることなど、本明細書の他の場所で説明する様々の理由で有利である。いくつかの実施形態では、電子装置サブアセンブリは、水蒸気が水蒸気の透過可能なセンサ本体を透過した場合、電圧制御発信器(VCO)の周波数を維持する機能を所有する。例えば、いくつかの実施形態では、電子装置サブアセンブリは、水蒸気がインダクタの電磁フィールド内に存在する結果、さもないと生ずる恐れのある、(例えば、VCOの搬送波周波数のシフトになり得る)インダクタパラメータの変化を低減する。このようなフィールド効果により、VCOがその調整された搬送波周波数を外れて送信されることになり、それによりセンサのRF遠隔測定機能を低下させる。さらに、好ましい実施形態のセンサの搬送波周波数は、センサ寿命に対して最適化される。
【0115】
さらに、好ましい実施形態のアナライトセンサは、高周波数、低電力動作をサポートし、それは、最適化された機能を有するアナライトセンサの小型化をサポートする。したがって、好ましい実施形態の電子装置サブアセンブリ46の設計は、生体内で、水蒸気の透過可能な本体内で長期間の電力供給および機能的なRF遠隔測定を維持しながら、独立した効率的な構成を提供する。
【0116】
図3Aおよび図3Bは、当業者であれば理解されるように、上記の機能を提供するように構成された、プリント回路板(PCB)48、アンテナ板50、電池34、およびそれらの間の複数の相互接続を含む好ましい実施形態の電子装置サブアセンブリ46を全体的に示す。図3Aは、アナライトセンサ12の電子装置サブアセンブリの上面図であり、それは、上記の概要セクションで述べた電極システム54を示す。図3Bは、図3Aの線3−3における電子装置サブアセンブリの側方断面図である。
【0117】
PCB48は、例えば、ROM30およびRAM32を含むマイクロプロセッサモジュール28、ポテンシオスタット24、A/Dコンバータ26、RFモジュール38、2つの水晶36、44、および上記の必要な機能を提供する様々の他のサポートコンポーネント、付着されたボンディングパッド、導体などのコンポーネントをサポートする。さらに、電子装置サブアセンブリ46は、概要セクションで前により詳細に述べたものなど、一実施形態における作用電極54a、参照電極54b、および対電極54cを含む電極システム54をサポートするが、代替の電極システムおよび/または測定技法を実装することもできる。
【0118】
アンテナ(図2の42)が配設された(図3Aまたは図3Bに示さず)アンテナ板50は、アンテナフィード56を介してPCB48に接続されている。アンテナ42は、サブアセンブリ46のサイズの低減をさらにサポートするために、アンテナ板50に表面実装されることが好ましい。PCB48およびアンテナ板50は、エポキシ/ガラスおよびポリアミド可撓性のプリント配線板、セラミック、またはシリコン基板など、典型的な方法で形成することができる。当業者であれば、本明細書に述べていない他のハードウェアコンポーネント、ソフトウェア構成、および相互接続も理解することができよう。
【0119】
電極システム
次に、図3Aおよび図3Cに示すものなど、作用電極(アノード)54a、参照電極54b、および対電極(カソード)54cを含む、好ましい実施形態の電極システム54を参照する。代替の電極構成および測定技法を好ましい実施形態と共に使用することもできるが、以下の説明では、概要セクションで前述した好ましい3つの電極システムに絞っている。
【0120】
グルコースオキシダーゼをベースとするグルコースセンサ12の作用電極54aおよび対電極54cは、異なる容積の酸素を必要とする。作用電極54a上の酵素層内に、グルコースからHを生成するための酸素が必要である。グルコースオキシダーゼ反応から生成されたHはさらに、作用電極54aの表面で反応し、2個の電子を生成する。この反応の生成物は、2個の陽子(2H)、2個の電子(2e)、および1個の酸素分子(O)である(「Biosensors and the Body」、D.M.Fraser編、1997年、1〜56頁、John P.Wiley and Sons、米国ニューヨーク州、における、Fraser、D.M.、「An Introduction to In Vivo Biosensing:Progress and problems」を参照のこと)。理論的には、グルコースオキシダーゼ反応中に消費される、作用電極54aの近くの酸素濃度は、作用電極54aにおける第2の反応によって補給され、したがって、正味の酸素消費はゼロである。しかし、実際には、酵素により生成されるHがすべて作用電極表面に拡散され、または電極で生成される酸素のすべてが酵素領域に拡散されるわけではない。
【0121】
さらに、対電極54cは、電子の受容体として酸素を使用する。このシステムのために最も可能性の高い還元可能な化学種は、酸素または酵素で生成された過酸化物である(上記のFraser D.M.)。酸素が対電極54cで消費され得る2つの主要な経路(pathway)がある。水酸化物を生成するために4つの電子経路があり、過酸化水素を生成するために2つの電子経路がある。酸素は、グルコースオキシダーゼにより対電極上でさらに消費される。酵素と対電極による酸素消費により、対電極54cの表面で正味の酸素消費が行われる。したがって、作用電極54aの領域では、対電極54cの領域中よりも大幅に少ない酸素正味損失であり得る。さらに、電流バランスを維持するための対電極54cの能力と、センサ性能の間に密接な相関関係のあることに留意されたい。総合すると、酸素濃度が低下した場合、酵素反応が制限される前に対電極54cの機能が制限されると考えられる。それが生じた場合、対電極が制限を開始し、その電極は、還元可能な化学種を求めて次第に負電圧に移動するようになる。したがって、酸素などの還元可能な化学種の十分な供給が従来のセンサに行われない場合、対電極電圧が回路の限界に達し、センサ性能を発揮できない結果になる。
【0122】
上記の制限を克服するために、対電極の直径を、作用電極の直径の少なくとも2倍とし、その結果、好ましい実施形態の対電極の露出されている表面積が約6倍に増加する。対電極の電気化学的に反応性の表面の表面積は、作用電極の表面積の約2倍以上であることが好ましい。対電極の電気化学的に反応性の表面の表面積は、作用電極の表面積の約2倍と約50倍の間、約2倍と約25倍の間、または約2倍と約10倍の間であることがより好ましい。
【0123】
次に、好ましい実施形態の3電極システム54を制御するポテンシオスタット24の回路図である図3Cを参照する。ポテンシオスタットは、作用電極54a、参照電極54b、および対電極54cへの電気的な接続を含む。作用電極54aに印加される電圧は、一定値であり、参照電極に印加される電圧もまた、作用電極と参照電極の間に印加される電位(VBIAS)が一定値に維持されるように一定値である。対電極54cは、(作用電極54aにより測定される電流に等しい)一定の電流を有するように構成され、それは、電流が参照電極54cを通過しないように作用電極54aを通る電流のバランスを取るために、対電極における電圧を可変することにより達成される。演算増幅器(OP AMP)、参照電極54b、対電極54c、および基準電位(VREF)から、負帰還ループ52が構成されて、参照電極を定電圧に維持する。
【0124】
したがって、ポテンシオスタット24は、参照電極と作用電極の間に印加される電圧を制御することにより、対電極中に電流を生成する。対電極上で行われる反応は、その対電極に電圧がいくら印加されたかによって決定される。対電極に印加される電圧を増加させることにより、増加した量およびタイプの化学種が、必要な電流を生成するために反応することができ、それは、好ましい実施形態の電極構成を参照して前に述べたのと同じ理由で有利になり得る。
【0125】
上記の正味の酸素損失に加えて、植込み可能なグルコースセンサは、短期間の一過性のイベント(例えば、デバイスに対する体位効果により引き起こされる圧縮)として、または(例えば、厚くなったFBCまたは障壁細胞により引き起こされる)長期間の低酸素状態として生ずる可能性のある虚血性状態中にセンサ出力を維持するというさらなる課題に直面する。センサが、低酸素環境にある場合、ポテンシオスタットは、対電極に印加される参照電極電圧に対して電圧を減少させることによって反応し、それにより、他のより電気的に活性度が低い化学種が対電極で反応することができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、ポテンシオスタットの設定は、酸素濃度が低い場合、対電極が他の還元可能な化学種と反応できるように構成される。いくつかの環境では、特に低酸素環境中で、グルコースセンサが、低すぎる負の電圧に設定されることになり得る。例えば、対電極上の電圧がさらに負になると、他の還元可能な化学種と反応することにより電流を生成し始め、その反応の副生成物はHである。対電極で水素が生成されるため、2つの潜在的な問題が生ずる可能性がある。すなわち、1)電流を搬送するバッファから対電極の接続を解除しセンサに機能を失わせる泡の形成、2)作用電極における妨害信号である。
【0127】
その潜在的な問題を克服するために、好ましい実施形態は、低酸素条件であってもポテンシオスタットの機能を可能にするようにポテンシオスタットの設定を最適化し、一方、それを損なう可能性のある条件をセンサが作成できないように対電極を制限する。つまり、酸素濃度が減少すると、対電極は、次に最も豊富な還元可能な化学種、例えば、(例えば、生体内で)通常、制限されることのない水と反応できるように十分に負にプッシュされる。
【0128】
一実施形態では、ポテンシオスタットの設定は、酸素が限られた状態になったとき、センサが他の還元可能な化学種と反応できるように十分広く対電極電圧の許容範囲を設定することにより、一方、回路が過度の電流引込みまたは泡形成を生じさせないことを保証するために、範囲を十分狭く設定することによって最適化される。対電極の電気的に活性な表面で反応する化学種が、過剰電流および潜在的な電流損傷を引き起こすとしても、対電極との接触が制限されないように、対電極の制限が行われることが好ましい。したがって、負の電圧範囲は、低酸素環境中で機能するように十分に広いが、泡の形成を引き起こす程の電圧を対電極に印加しないように、センサを十分に制限することが好ましい。その制限はまた、Hの帰還ループを阻止するためのフェイルセーフ機構を提供する。水素が、作用電極に拡散し電流を生成した場合、対電極はその電子的限界にプッシュされることになる。ポテンシオスタットが電子的限界に達すると、それは、作用電極と参照電極の間に印加された電位をもはや維持することができず、印加電位は減少する。その時点において、最大の制限電極電流条件が達成される。さらに、好ましい実施形態の最適化されたポテンシオスタット設定は、センサに損傷を与える恐れのあるカスケード反応を阻止するフェイルセーフ機構を提供する。
【0129】
植込み可能なグルコースセンサの一実装形態では、基準電圧は、低酸素条件であっても機能性を保証するように、電池のアースに対して約+0.6Vと+0.8Vの間、好ましくは、約+0.7Vに選択されるが、なお、損傷を受ける恐れのある条件をセンサが生成しないように、アース電位と等しい最小の電位に対電極を制限する。しかし、当業者であれば、作用電極と対電極の電気的に活性な表面の面積比が対電極の電圧動作点に影響を与えることになり、対電極の面積が大きくなれば、同じ作用電極電流に対する参照電極電圧に対して、より少ない負電圧を必要とすることが理解されよう。さらに、当業者であれば、上記の結果を生成するためのポテンシオスタットの最適化は、基準電圧に対するもの以外への制限によっても達成することが可能であり、例えば、電流制限を事前設定するために作用電極または対電極増幅器の電流を制限することによって、または電池のアースからのオペアンプのオフセット(VOFFSET)を設定することによって(図3Cを参照)達成されることが理解されよう。
【0130】
次に、PCB48への安全な電気的接続および安全な機械的位置合わせのために構成された好ましい実施形態の電極システムを示す図3Bおよび図3Dを参照する。電極を形成する他の方法を使用することもできるが、好ましい実施形態は、アナライトセンサにおける電極の最適な品質および機能を提供する塊状(bulk)金属電極を提供する。(例えば、半田付けで見られたように)板に対する電極のわずかに安全でない取付けおよび位置合わせであっても、ずれや切断に起因して、塊状金属電極の優れた性能を危うくし得ることに留意されたい。さらに、熱接着タイプの工程を受ける場合、影響を受けやすいPCB電子装置に熱が損傷を与え得る問題がある。さらに、その後の製造工程(例えば、成形)が、わずかに安全でないコンポーネントおよび相互接続であっても、改変しまたは損傷を与える恐れがある。
【0131】
したがって、好ましい実施形態は、極めて安全で、頑強であり、また製造で容易に再現できる、電極54のPCB48への機械的、電気的接続を提供する。好ましい実施形態では、電極54は、電子装置サブアセンブリを組み立てる前にPCB48にかしめ付けられる。図3Bに示すかしめ付けられた電極54cの拡大横断面図である図3Dを参照すると、電極54cの下側部分58が、必要な電気的接続60内に電極がしっかりと保持されるように、PCB48(図3B)の周りの力によって成形されている。かしめ付けられた接続は、さらに、電気的な接続のさらなる信頼性を提供するために半田ビードを含むことに留意されたい。
【0132】
かしめ付けは、実質的に加熱せずに、かしめブロック(swage block)と呼ばれる型またはアンビルの助けを借りてハンマリングまたは圧力により成形される工程である。特に、かしめ付けは、良好な機械的精度、安定性、方向付けを有する半田不要の取付けであり、速やかで清浄な製造方法を提供する。その結果得られたかしめ付け電極とPCBの接続60は、少なくとも部分的に、成形された材料中に電子装置サブアセンブリの信頼性のあるカプセル化を可能にし、安定した電極システム54の信頼性および再現性により、デバイスの長寿命を可能にする。
【0133】
いくつかの代替の実施形態では、電極54は、PCB48に溶接され、それは、例えば、スポット溶接、レーザ溶接、超音波溶接などを含むことができる。これらの技法は何らかの加熱を含むが、それらは、例えば、従来の半田付け技法よりも、通常、清浄であり、いくつかの実施形態で有利であり得る。
【0134】
RF遠隔測定
図3Eは、一実施形態における、アンテナ板50に面するPCB48の側面を示すPCB48だけの底面図である。特に、RFモジュール38がPCB48上に設けられ、またVCO回路、例えば、RF遠隔測定に適した磁場を提供するインダクタ62を含む。いくつかの好ましい実施形態では、センサ本体が、以下の図4および図5を参照してより詳細に説明するものなど、水蒸気を透過可能な材料から実質的に形成されることにさらに留意されたい。残念ながら、水蒸気が、インダクタ62によって生成された磁場内の位置に本体を通って透過した場合、電磁場効果の歪みが搬送波周波数のシフトを生成する可能性がある。一般に、VCOが安定した搬送波周波数を提供することができない場合、RF伝送が、指定された搬送波周波数に合わせてあるその指定された受信装置(例えば、受信装置14)に成功裡に達する可能性が低く、あるいは達することができない。したがって、影響を受けやすいRF電子コンポーネントからの固定距離内で安定した誘電率を維持するために、インダクタにより生成された磁場に、水蒸気が侵入しまた歪ませることを低減または阻止することは有利である。
【0135】
図3Fおよび図3Gは、上記の磁場を制御する、PCB48の切断部分上のインダクタ62の断面側面図である。好ましい実施形態では、水蒸気が上記の磁場の方へ透過することを実質的に阻止または抑制するスペーサが提供される。図3Fに示すものなど、一実施形態では、スペーサは、次の製造ステップの前に、インダクタ62の上に付与される物質64の小容量を含む。一実施形態では、物質64は、プラスチック材料、例えば、エポキシまたはシリコーンである。その場合、スペーサの目的は、インダクタ62と水蒸気が透過可能なセンサ本体の間に固定された空間を生成することである(図4および図5)。エポキシおよびシリコーンは、水蒸気を透過可能であることが知られているが、望ましい場合、追加の、より少ないまたは最少の水蒸気透過性を有するコーティング66を、次の製造の前に、スペーサ64を含む電子装置サブアセンブリ46の一部または全部の上に付与することができ、それを以下でより詳細に述べる。
【0136】
代替の実施形態では、インダクタ62は、例えば、図3Gに示すものなど、金属ドーム、ボックス、またはカバー68により、水蒸気からシールドすることができる。この実施形態では、金属カバー68が水蒸気からの必要な保護を提供するが、金属カバー68は、インダクタの近くのフィールドにおける知られた安定した電位を提供するためにアースすべきであることに留意されたい。代替として、カバー68は、ガラスまたは他の気密な閉鎖容器とすることができる。安定な電磁場を保証するための他の代替形態を、本発明のデバイスと共に実装することができる。例えば、インダクタの周囲により小さな電磁場を生成するトロイダルインダクタを使用することができ、それにより、必要な空間を減少させることができる。2つの例がここで示されているが、一般に、磁場の周囲に実質的に水蒸気のない空間を提供する任意の設計または構成は、好ましい実施形態のためのスペーサと見なすことができる。
【0137】
次に、好ましい実施形態のRF遠隔測定モジュールの構成を参照すると、体内環境から体外環境へ(例えば、約1から10メートル)最大のRF透過率を有し、デバイスの寿命を増すために(例えば、3から24ヶ月の寿命を可能にするために)、ハードウェアおよびソフトウェアは低電力要件用として設計される。402から405MHzの範囲の高周波数搬送波信号が、低電力要件を維持するために使用されることが好ましい。さらに、搬送波周波数は、生理学的な減衰レベルに適合されるが、それは、植込み後のRF機能を保証するために、RFモジュールをシミュレートされた生体内環境に合わせて調整することにより達成される。したがって、好ましいグルコースセンサは、3ヶ月を超えて、6ヶ月を超えて、12ヶ月を超えて、また24ヶ月を超えて、センサ機能を持続できると考えられる。
【0138】
いくつかの代替実施形態では、気密パッケージングは、植込み可能なアナライトセンサのいくつかの部分を含み、一方水蒸気の透過可能なパッケージングは、植込み可能なアナライトセンサの他の部分を含む。例えば、植込み可能なアナライトセンサ本体は、(チタンなどの)気密材料から形成することができ、それは、RF回路および/または他の水蒸気に影響を受けやすいコンポーネントを含み、また水蒸気の透過可能な挿入部または部分は、気密本体に組み込むことができ、それは、アンテナおよび/または動作可能にそれに接続された水蒸気に影響されにくいコンポーネントを含む。このようにして、RF回路および他の影響されやすいコンポーネントは、水蒸気が引き起こす負の効果から保護され、一方、アンテナを介する送信/受信が妨害されないようにする。
【0139】
保護コーティング
好ましい実施形態では、電子装置46の十分な部分が、コンフォーマルコーティング66でコーティングされる。このコンフォーマルコーティングは、好ましくは、センサ本体の水透過率より低い水透過率を有し、図3Fおよび図3Gを参照して上記でより詳細に述べた電磁場に対する十分なスペーシングを可能にする。さらに、そのコーティングは、PCB48および電子装置サブアセンブリ46の任意のコーティング部分を、成形工程中に損傷を受けないように保護し(図4および図5)、また生体内でセンサの生存期間にわたり、成形された水蒸気の透過可能なセンサ本体を通して吸収され得る水の透過から保護する。
【0140】
好ましい一実施形態では、1つまたは複数のコンフォーマルパリレンコーティングがセンサ本体にカプセル化される前に適用される。パリレンはゆっくりした水蒸気透過率を有することで知られており、生物医学的な応用分野に適している。パリレンコーティング工程は、製品を低圧で気相モノマーに曝露する。真空蒸着を介して、パリレンは、オブジェクトの表面上に多結晶質状に濃縮され、全く同形でピンホールのないコーティングが提供される。液体工程と比較して、重力および表面張力の影響は無視でき、したがって、架橋、薄くなること、ピンホール、パドリング、流出、垂れ下がりがない。さらに、工程は、室温で行われ、したがって、製品に対して熱的または機械的応力がかからない。パリレンは、その使用可能な温度範囲内では物理的に安定で化学的に不活性である。パリレンは、例えば、水蒸気、腐食性水蒸気、および溶剤からの優れた保護を提供する。代替の実施形態では、他のコンフォーマルコーティング(例えば、HumiSeal(登録商標)、米国、ニューヨーク州ウッドサイド)、噴霧コーティングなどを、より少ないまたは最少の水蒸気透過可能な層として使用することができ、それは、PCB48および電子装置サブアセンブリ46を、成形工程(図4および図5)中の損傷から保護し、また生体内で、成形された水蒸気の透過可能なセンサ本体を通して水が透過することから保護する。
【0141】
代替の一実施形態では、シリコーンなどの二次材料のコーティングが保護コーティング66の後に適用される。二次コーティングは、保護コーティングの下の影響を受けやすい電気的コンポーネントに、成形工程から変換され得る機械的な応力を吸収できる材料から作成されることが好ましい。したがって、シリコーンまたは十分な弾性もしくは延性を有する他の同様な材料を、センサ本体を形成する前にコーティングされた電子装置サブアセンブリに適用することができ、それを、以下でより詳細に述べる。
【0142】
センサ本体
一実施形態では、センサの本体は、好ましくは、センサ電子装置の周りに成形されたプラスチック材料から形成されるが、しかし、代替の実施形態では、本体は、金属、セラミックス、プラスチック、樹脂、またはその複合体を含む様々の材料から形成することができる。
【0143】
電子装置を有する従来技術の植込み可能なセンサは、一般に、影響を受けやすい電子装置を収容する本体の少なくとも一部分に対して気密性の材料を使用することに留意されたい。しかし、従来の気密性の植込み可能なデバイスは、例えば、気密性材料を介するRF伝送の困難さ、完全にシールされていない場合に水蒸気を透過させ得る継ぎ目、大きな製造変更にならないように設計または形状変更を最少にすること(設計を迅速に反復することができない)、内部に電子装置を機械的に保持しかつ補強する必要性による重量および密度の増加などを含む、数多くの欠点がある。
【0144】
従来技術の欠点を克服するために、好ましい実施形態は、電子装置サブアセンブリ46(図4B)の周りにプラスチック材料を成形してセンサ本体を形成し、それにより、迅速に設計の反復(iteration)を行うこと(例えば、型変更なしに設計の幾何形状を変更すること)、および正確な寸法および曲率への機械加工を可能にし、RF伝送を支援し、(例えば、材料がサブアセンブリ46の周りを満たして、一体構造の部品を形成しかつコンポーネントを定位置に保持すため)コンポーネントに対して機械的な完全性を加え、複数の硬化を可能にし(例えば、継ぎ目のない外側を提供する)、またもろい電気的コンポーネントを補強する。好ましい実施形態では、材料はエポキシであるが、例えば、シリコーン、ウレタンなど、他のプラスチックを使用することもできる。
【0145】
次に、本体を形成するための成形工程を参照すると、デバイス内にコンポーネントを全体的にシールするために、また所望の曲率を有する継ぎ目のないデバイスを形成するために2ステップの工程を使用するのが好ましい。その2ステップの成形工程は、電気的コンポーネントを機械的に安全を確保しかつ保護しつつ、最初の成形ステップ中に形成され得る微小割れを減少させる。しかし、いくつかの代替の実施形態は、デバイスを、例えば、射出成形による1ステップの成形工程を使用することができる。
【0146】
図4Aは、一実施形態における一次成形において使用される一次型の斜視図である。図4Bは、一次成形工程中の電子装置サブアセンブリの断面側面図である。図4Cは、一次成形工程後の一次の注型封入されたデバイスの斜視図である。
【0147】
一次成形工程中、一次型70は、一次型70の下側部分72を実質的に覆うように、選択されたプラスチック材料の所定量で事前に充填されることが好ましい。次いで、電子装置サブアセンブリ46は、事前に充填された一次型70に押し込まれ、その後、材料74が電子装置サブアセンブリ46の周りに所定の充填線または重量まで充填されて、確実に、材料中に気泡が最小に、または全く存在しないようにする(図4B)。事前充填により、電極54は、一次成形中に材料内に完全にカプセル化されるが、後に、機械加工されて電極の電気的に活性な表面を露出させる。その工程は、絶縁材料中に電極システム54を安全にかつ継ぎ目なくカプセル化することができ、機械的な位置合わせ、安全性を提供し、検出領域を介する水漏れを低減しまたは漏れないようにする。最後に、一次の保持固定具がデバイス上に固定される。材料は、当技術分野で知られた標準の技法、例えば、プラスチック材料を圧力容器中に配置し、加熱することなどを用いて硬化される。
【0148】
図4Cは、硬化後に、電子装置サブアセンブリ46を実質的にカプセル化している、硬化された材料74を示しており、以後、一次注型封入デバイス78と呼ぶ。この時点で、電子装置サブアセンブリのコンポーネントは、機械的に位置合わせされ、固定されており、影響を受けやすい部分が外部への露出および損傷から保護されている。しかし、サブアセンブリ46のいくつかの部分(例えば、一次型の下側部分に接触していた部分)はカプセル化されまたは覆われていない。したがって、二次の成形工程が、一次成形工程後に露出されている部分を含む電子装置サブアセンブリを完全にカプセル化するために提供される。二次成形は、継ぎ目のない頑強なセンサ本体を可能にし、一方、一次成形中に生じていた可能性のある微小な割れまたは他の微小な損傷を補強する。
【0149】
図5Aは、一次注型封入デバイスを二次の型中に挿入する斜視図である。図5Bは、二次の成形工程後の二次注型封入デバイスの斜視図である。
【0150】
二次成形工程中、二次型80は、二次型80の下側部分を実質的に覆うために、所定量で選択された材料で事前に充填される。次いで、一次注型封入デバイス78は、事前に充填される二次型80中に押し込まれ、その後、一次注型封入デバイスの周りに材料74が所定の充填線または重量まで充填され、確実に、材料内に気泡が最小に、または全く存在しないようにする。最後に、二次の保持固定具がデバイス上に固定される。材料は、当技術分野で知られた標準の技法、例えば、プラスチック材料を圧力容器中に配置し加熱することなどを用いて硬化される。この二次成形は、一次成形単独の強度に加えてさらなる強度を生成し、一次工程中またはその後に生じていた可能性のある微小割れ、または他の損傷を充填し、またデバイス中への漏れを阻止する継ぎ目のない外部を提供するので有利であることに留意されたい。
【0151】
次に、最終の機械加工前の二次注型封入デバイス82を示す図5Bを参照する。プラスチック材料の性質のため、センサを、正確な形状および寸法で機械加工することができる。例えば、好ましい実施形態は、生体内におけるセンサ/組織の界面での治癒を最適化し、また図6Aから図6Cを参照して以下でより詳細に述べるものなど、他のセンサ構成よりもせん断力および回転力による偶発的な移動を容易に受け入れないセンサの幾何形状へと機械加工される。さらに、電極54を露出するために成形された材料を機械加工することは、電気活性表面を注意深く露出することができる。
【0152】
例えば、水蒸気の透過を減少させるために、1つまたは複数のパリレンコーティングなど、さらに外側コーティングを二次注型封入デバイス82に適用すると有利になり得ることに留意されたい。外側コーティングの他の例として、デバイスの非検出領域にシリコーン層を付与することができ、それは、例えば、成形された材料内の任意の微小割れまたは微小孔を充填し、滑らかな外側表面を提供し、および/または追加の材料(例えば、シリコーン固定材料)の付着を可能にするように働く。当業者であれば理解されるように、他のコーティングを適用することもできる。
【0153】
いくつかの代替の実施形態では、電子装置のサブアセンブリ46を、そのサブアセンブリの周りに本体を成形せずに、事前に成形されたシェル内に挿入される。その代替の実施形態では、シェル構成は、図3Eから図3Gを参照してより詳細に述べたものなど、VCO回路の周囲で安定した誘電率を維持することを支援する、電子装置の周囲に空気スペースを提供するので有利である。さらに、シェルは、成形工程中に起こり得る損傷から電子装置サブアセンブリ46の保護を提供する。事前成形された本体シェルは、成形工程を電子装置サブアセンブリから分離することを可能にし、工程中で電子装置サブアセンブリに生ずる可能性のあるエラー量を低減するので、製造にとって有利であり得る。コンフォーマルコーティングは、シェル中にカプセル化する前に電子装置サブアセンブリに適用することができ、および/またはシェルそれ自体に適用することができることに留意されたい。コーティングは、上記の、また、例えば、図3Fを参照して論じた様々の利点を提供する。
【0154】
センサの幾何形状
図6Aは、一実施形態におけるアナライトセンサの斜視図であり、薄く実質的に卵形の幾何形状、湾曲した検出領域、および検出領域がその上に位置する全体的に湾曲した表面を含んでおり、それにより、異物被膜からの収縮性の力が検出領域に対して下方向に押すようになる。図6Bは、異物被膜により引き起こされる収縮性の力を示す図6Aのアナライトセンサの端面図である。図6Cは、図6Aのアナライトセンサの側面図である。
【0155】
この図では、アナライトセンサ12が、後の膜およびその上の固定材料なしに示されており、センサの幾何形状を示すのに使用される。アナライトセンサ12は、センサ本体の湾曲した部分上に位置する検出領域16を含み、またその検出領域の近傍に急峻な縁部または不連続な表面を含まない。さらに、縁部を含めた、検出領域が位置する表面の全体の湾曲は、その表面の周りに全体に一様なFBCを引きつけ、炎症反応を減少させ、デバイス/組織の界面でアナライトの移送を増加させる。
【0156】
下方向を示す矢印により、図6Bに示される垂直力84は、生体内でデバイスに対して異物被膜により示される力を表し、それが、検出領域で組織とのせん断力を低減または除去することが分かってきている。横方向の力86が、検出領域でせん断力を生成するように見え得るが、センサのいくつかの機能がこれらの力を軽減する。例えば、センサは、比較的薄いアスペクト比(低い外形)を備え、好ましくは、筋膜に隣接して植え込まれ、脂肪の下に存在し、センサを移動し難くする。他の例として、いくつかの実施形態では、センサは、例えば、横方向の力が検出領域に伝わらないように支援する強靱な筋膜にセンサを縫合することができるなど、短期間の固定コンポーネントを含むことができる(図13A)。いくつかの実施形態では、センサは、例えば、固定材料を使用できるなど、長期間の固定コンポーネントを含むことができる(図13B)。さらに他の例のように、適正な治癒を容易にするために、検出領域が存在するセンサの側面は、横方向側面から横方向側面まで延びている湾曲した半径を有することが好ましい。側面図および端面図(図6Bおよび図6C)に示すように、検出領域は、半径の頂点に位置している。治癒するにつれて周囲の組織が収縮すると、その半径が、湾曲した表面上に押し下げられた力84を、特に横方向の力86を最適化するように働き、組織を表面と一様に接触した状態に保持し、また薄い異物被膜を生成する。湾曲は、頭部を確実に組織に対して停止させ、また組織の収縮が生じた場合に、頭部に対して下方向に力が生成されて、組織の付着を維持できるようにする。下方向の力は、組織を、図8Aから図8Bを参照してより詳細に述べるものなど、内部成長を仲介する付着のためにまた生体界面を最適化するために使用される多孔性の生体界面材料と接触させることに留意されたい。
【0157】
検出膜
好ましい実施形態では、検出膜は、2つ以上のドメインから構成され、また検出領域16の電気活性表面に隣接して配設される。検出膜は、電気活性表面でアナライトの測定を可能にする機能的なドメインを提供する。例えば、検出膜は、概要セクションで前により詳細に述べたものなど、作用電極で次に電流値を生成する化学種を生成するために、共反応物質(例えば、グルコースおよび酸素)で測定されたアナライトの反応の触媒作用をする酵素を含む。検出膜は、1つまたは複数の独立した層から形成され、同じまたは異なる材料を備えることができる。
【0158】
いくつかの実施形態では、検出膜88は酵素、例えば、グルコースオキシダーゼを含み、また電解質相を覆っている。一実施形態では、検出膜88は、電気化学的に反応性の表面から最も遠位に抵抗ドメイン90、電気化学的に反応性の表面から抵抗ドメインよりも遠位ではない酵素ドメイン92、および電気化学的に反応性の表面に隣接する電解質ドメイン96を全体に含む。しかし、例えば、より少ないまたは追加のドメインを含むことにより他のデバイス用に変更された検出膜も、好ましい実施形態の範囲に含まれることを理解されたい。いくつかの実施形態では、検出膜88はさらに、上記で引用した同時継続の特許出願などに記載されているものなど、いくつかの妨害化学種を制限する妨害ドメイン94を含むことができることに留意されたい。
【0159】
いくつかの実施形態では、検出膜のドメインは、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン−co−テトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、生物学的に安定なポリテトラフルオロエチレン、単独重合体、共重合体、ポリウレタンの三共重合体、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメタクリル酸(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリウレタン、セルロース重合体、ポリスルホンおよび、例えば、ジブロック、トリブロック、交互、ランダムおよびグラフト共重合体などを含むそのブロック共重合体などの材料から形成される。
【0160】
図7Aは、一実施形態における検出膜を形成する方法を示す図である。図7Bは、一実施形態における検出膜の概略の側面図である。この実施形態では、検出膜88は、抵抗ドメイン90、酵素ドメイン92、妨害ドメイン94、および電解質ドメイン96を含む。好ましくは、ドメインは、ライナ98の上に順に成形され、そのすべてが、支持プラットフォーム100上に形成される。しかし、代替の実施形態は、例えば、スピンコーティング、噴霧コーティング、ディップコーティングにより、検出領域16上に直接、膜ドメインを形成することができる。
【0161】
次に、抵抗ドメイン90の機能を参照すると、血液中の酸素量に対して過剰モルのグルコースが存在することに留意されたい。すなわち、細胞外流体中の遊離酸素分子ごとに、通常、100個のグルコース分子が存在する(Updike他、Diabetes Care 5:207〜21頁(1982年)を参照)。しかし、補因子として酸素を使用する固定化された酵素ベースのセンサは、グルコース濃度の変化に線形に応答するが、酸素分圧の変化には応答しないように、非律速(non−rate−limiting)で過剰に酸素が供給されるべきである。より具体的には、グルコースモニタリング反応で酸素が制限される場合、最低限のグルコース濃度以上では線形性が得られない。グルコースおよび酸素のフラックスを制御する酵素ドメイン上に存在する半透過可能膜がないと、グルコースレベルに対する線形応答は、最高で約40mg/dLが得られるだけである。しかし、診療所の設定では、グルコースレベルに対する線形応答は、少なくとも最高で約500mg/dLであることが望ましい。
【0162】
抵抗ドメイン90は、好ましくは、非律速で過剰に酸素を与えて、その下にある酵素ドメイン92に対する酸素およびグルコースのフラックスを制御する半透過性膜を含む。その結果、グルコース測定の線形性の上限は、抵抗ドメインなしに得られる上限よりもずっと高い値に拡張される。一実施形態では、抵抗ドメイン90は、約200:1の酸素対グルコースの透過率比を提示する。その結果、一次元の反応物質拡散が、皮下基質で見出される妥当なグルコースおよび酸素濃度のすべてにおいて過剰酸素を提供するのに適切である(Rhodes他、Anal.Chem.、66:1520〜1529頁(1994年)を参照)。
【0163】
いくつかの代替の実施形態では、酸素対グルコースのより低い比で、酵素ドメインへの酸素の供給/移送を高めるために、酸素アンテナドメイン(例えば、シリコーンもしくはフッ化炭化水素ベースの材料またはドメイン)を使用することにより過剰酸素を十分供給できる。言い換えると、酸素が酵素により多く供給される場合、酸素律速を過剰にすることなく酵素にさらに多くのグルコースを供給することができる。いくつかの代替の実施形態では、抵抗ドメインは、シリコーン配合物から形成される。
【0164】
好ましい一実施形態では、抵抗層は、アナライトセンサへのグルコースおよび酸素の拡散を制御するために、親水性および疎水性の領域を共に有する均一なポリウレタン膜を含み、その膜は、市販の材料から容易にかつ再現可能に作成される。
【0165】
好ましい実施形態では、疎水性の重合体コンポーネントはポリウレタンである。最も好ましい実施形態では、ポリウレタンはポリエーテルウレタン尿素である。ポリウレタンは、ジイソシアネートと二官能基を有するヒドロキシル含有材料の濃縮反応により生成される重合体である。ポリウレタン尿素は、ジイソシアネートと二官能基を有するアミン含有材料の濃縮反応により生成される重合体である。好ましいジイソシアネートは、4から8のメチレンユニットを含む脂肪族ジイソシアネートを含む。ジイソシアネート含有の脂環式成分はまた、本発明の膜の重合体および共重合体コンポーネントの調製に有用であり得る。抵抗ドメインの疎水性基質の基礎を形成する材料は、センサデバイス中の膜として使用するのに適切であり、また関連の化合物を透過させることのできる、例えば、酸素分子を、活性酵素または電気化学的な電極に達するために、検査下のサンプルから膜を通過させるのに十分な透過性を有する当業界で知られた任意のものとすることができる。非ポリウレタンタイプの膜を作るのに使用できる材料の例は、ビニル重合体、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサンおよびポリカルボシロキサンなどの無機重合体、セルロースおよびタンパク質ベースの材料などの自然の重合体、およびその混合物または組合せを含む。
【0166】
好ましい実施形態では、親水性の重合体コンポーネントは、ポリエチレンオキシドである。例えば、1つの有用な疎水性−親水性共重合体コンポーネントは、約20%の親水性ポリエチレンオキシドを含むポリウレタン重合体である。共重合体のポリエチレンオキシド部分は、共重合体の疎水性部分および疎水性の重合体コンポーネントから熱力学的に駆動されて分離される。最終の混合物を形成するために使用される共重合体の20%ポリエチレンオキシドベースの柔軟なセグメント部分は、好ましい実施形態の膜の吸水性およびその後のグルコース透過性を制御する。
【0167】
好ましい実施形態はさらに、均一かつ一様な構造を提供する抵抗ドメインを調製する方法を提供する。均一かつ一様な構造は、抵抗ドメインを介して横断するグルコースが電極システムの電気活性表面に適切に達することを保証するために有利である。
【0168】
抵抗ドメイン90を成形する好ましい方法は、以下の諸ステップを含む。すなわち、(a)親水性重合体および疎水性重合体の溶剤溶液を形成するステップ、(b)疎水性重合体および親水性重合体を実質的に可溶性に維持するのに十分な温度でその配合物を維持するステップ、(c)その温度で配合物をライナ98に付与しその上にフィルムを形成するステップ、(d)その結果生じたフィルムから溶剤を蒸発させて膜を形成するステップ。
【0169】
好ましい実施形態では、その配合物は、例えば、コーティングされたライナとは対照的に、可変性および汚染のリスクが低いコーティングされていないポリエチレンテレフタレート(PET)など、ライナ98に付与される。コーティングされていないPET上で硬化された膜は、室温のPBS中で1時間の水化作用後容易に取り除くことができることに留意されたい。いくつかの代替の実施形態では、他のライナおよび解放層も使用することができる。プラットフォーム100は、成形のためのサポートを提供し、また、例えば、押出し機のべースとすることができる。理論で限定されることを意図しないが、好ましい実施形態の検出膜は、連続的なウェブコーティングマシンを使用せずに、個々の層を順次成形することにより、一貫性を持って作成されると考えられ、それを、この説明の全体を通してより詳細に述べる。
【0170】
一実施形態では、形成ステップは、抵抗ドメインのために材料の混合物またはブレンドを形成することを含む。上記のように、好ましい実施形態では、第1の重合体はポリウレタンであり、また第2の重合体はポリエチレンオキシドを含むポリウレタンである。一般に、第2の重合体は、ランダムまたは整列されたブロック共重合体とすることができる。
【0171】
混合物は、親水性および疎水性コンポーネントを互いに、また溶剤と混合するために実質的に室温を超える温度で加熱される。一実施形態では、親水性重合体と疎水性重合体を混合した配合物は、第1および第2の重合体が実質的に相互に確実に混合されるように、所定の時間期間(例えば、少なくとも約24時間、好ましくは少なくとも約44時間)の間、少なくとも約70℃の温度で加熱される。当業者であれば、加熱のレベルは、重合体コンポーネントの相対的な混和性に依存し、それに従って調整できることが理解されよう。
【0172】
好ましい実施形態は、ライナ98上に形成されたコーティングフィルムを硬化させて高温度で乾燥させる。さらに、温度は硬化工程中に上昇させる。一実施形態では、コーティングフィルムは、オーブン中に配置され、その中で、温度は3℃/分と12℃/分の範囲内の好ましい上昇率で、より好ましくは、第1の高温度から第2の高温度まで7℃/分で上昇される。好ましくは、第1の高温度は、約60℃と100℃の間であり、より好ましくは約80℃である。好ましくは、第2の高温度は、少なくとも約100℃である。高温度は、溶剤をコーティングから可能な限り速やかに追い出すように働く。温度を上昇させることは、硬化するにつれて、疎水性および親水性ドメイン構造中でさらに一様性を提供し、欠陥をより少なくするように働く。理論で限定されることを意図しないが、コーティング前に温度を上昇させること、および硬化中に温度を一定割合で上昇させることは、膜の親水性および疎水性部分が分離し、望ましくない大きな構造を形成するのを抑制すると考えられる。このように調製された膜は、約30℃から約45℃の温度で、約30日から約6ヶ月を超える時間期間の間、正確なセンサ動作を提供することが示されている。
【0173】
一実験では、複数の抵抗膜(n=5)が、硬化前に24時間を超える約80℃の加熱を含めて前述のように調製された。この実験では、各膜はオーブン中で硬化され、その温度は、約3℃/分、5℃/分、または7℃/分の割合で上昇された。すべての膜は、検査したとき十分なグルコース透過性を提供した(約1.24nA/mg/dLから2.5nA/mg/dL)。膜を介するグルコースの透過率(すなわち、感度)は、温度上昇率に応じて減少することに留意されたい。つまり、その膜を硬化させるのに使用された上昇率が増加すると、0.58の相関(R)で、膜のグルコース透過性が減少する。理論で限定されることを意図しないが、グルコースの透過性は、抵抗膜が硬化される上昇率を変えることにより、様々の設計要件に対して最適化できると考えられる。
【0174】
好ましい実施形態では、抵抗ドメインの厚さは、約10ミクロン以下から約200ミクロン以上である。より好ましい実施形態では、抵抗ドメインの厚さは、約15、20、25、30、または35ミクロンから、約65、70、75、80、85、90、95、または100ミクロンまでである。より好ましい実施形態では、抵抗ドメインの厚さは、約30または35ミクロンから約40または45ミクロンまでである。
【0175】
好ましい実施形態では、酵素ドメイン92は、前により詳細に述べたように、アナライトとその共反応物の反応の触媒作用をする触媒を提供する。好ましくは、酵素ドメインはグルコースオキシダーゼを含むが、他のオキシダーゼ、例えば、ガラクトースオキシダーゼまたはウリカーゼを使用することもできる。
【0176】
酵素ベースの電気化学的グルコースセンサが良く働くために、センサの応答が、酵素活動または補因子の濃度により制限されてはならない。グルコースオキシダーゼを含む酵素は、周囲条件中にあっても時間に応じて非活性化されるので、長期間使用のためのセンサを構成するために、その挙動を明らかにする必要がある。酵素ドメインは、酵素を含むコロイド状ポリウレタン重合体の水性分散液から構成されることが好ましい。しかし、いくつかの代替の実施形態は、一過性虚血中に過剰酸素を供給するために、酵素ドメインを酸素アンテナ材料、例えば、シリコーン、またはフッ化炭化水素から構成する。当業者であれば理解されるように、酵素はそのドメイン内に固定化されることが好ましい。そのドメインは、成形技法を用いて、約2.5ミクロンと約22ミクロンの間、好ましくは約15ミクロンのコーティング厚で、抵抗ドメイン上にコーティングされることが好ましい。
【0177】
好ましい実施形態では、電極により測定されるアナライトおよび他の物質を通過させるが、妨害する恐れのある物質を含む他の物質の通過を阻止する妨害ドメイン94が提供される。一実施形態では、妨害ドメインは、アスコルビン酸塩および大分子量の化学種など、親水性の化学種の拡散を制限する。好ましくは、妨害ドメインはポリウレタンから構成されるが、他の材料も使用することができる。
【0178】
厚すぎる妨害層は所望の化学種が測定されるのを妨害する可能性があり、一方、薄すぎる妨害ドメインは適切な妨害化学種を妨害しない可能性があるという点で、妨害ドメインの成形は重要であり得る。妨害ドメインは、約5ミクロンを超えない好ましい厚さであり、より好ましくは、約0.1ミクロン以上で約5ミクロンを超えない厚さであり、また最も好ましくは、約0.5ミクロン以上で約3ミクロンを超えない厚さを有する。
【0179】
妨害ドメインの極めて薄い性質のため、その下にあるドメイン(例えば、酵素ドメイン)および成形工程の変動を受けやすく、従来、一貫性のある機能の妨害層を製造するのが困難であった。適切で一定の厚さを有する妨害ドメインを得るために、好ましい実施形態の妨害溶液は、十分に希釈された妨害溶液を適用することにより、また最小の溶剤蒸発で液体フィルムの一定粘度を維持するために、十分速い速度で引き抜くことにより、成形される。
【0180】
一実施形態では、「十分希釈された妨害溶液」は、約5重量%の重合体対約95重量%の溶剤の割合を含む。しかし、約1から10重量%の重合体対約90から99重量%の溶剤の割合を使用することもできる。さらに、妨害溶液中で使用される溶剤の揮発性により(例えば、室温(約5から15℃)よりわずかに高い沸点を有する溶液)、成形中に気化による不変性(例えば、フィルム厚さの不均一性)を回避するために、十分に速い成形速度が有利である。一実施形態では、液体フィルムは、約8(20.3)から約15インチ/秒(38.1cm/秒)の速度で、好ましくは約11.5インチ/秒(29.2cm/秒)の速度で引き抜かれる。理論で限定されることを意図しないが、溶剤の希釈および引き抜き速度の最適化により、溶剤の蒸発および粘度の増加を制限し、それにより、非常に薄いが一定な妨害ドメインを可能にする。妨害ドメインにおける変動は、センサ機能の変動に十分に寄与していることが本発明者により発見された。
【0181】
好ましい実施形態では、電気活性表面で行われる電気化学反応を保証するための電解質ドメイン96が提供される。好ましくは、電解質ドメインは、センサ界面の電気化学的に反応性の表面における親水性を維持する半透過性コーティングを含む。電解質ドメインは、妨害ドメインを構成する材料を保護しサポートすることにより、妨害ドメイン94の安定性を高める。電解質ドメインはまた、不適切な電解質により引き起こされる電極の起動問題、およびドリフトの問題を克服することによってセンサ動作を安定化するのを助ける。電解質ドメイン中に含まれる緩衝された電解溶液はまた、電極の電気化学的な活性により、実質的に疎水性の妨害ドメインと電極の間の大きなpH勾配が形成された結果生じ得るpH介在による損傷に対して保護する。
【0182】
一実施形態では、電解質ドメイン96は、約5ミクロンから約15ミクロン、より好ましくは、約3、3.5、4、4.5、5、または5.5から約6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、または12ミクロンの「乾燥フィルム」厚を有する可撓性のある、水で膨張可能な、実質的に中実のヒドロゲルフィルムを含む。「乾燥フィルム」厚とは、標準のコーティング技法により、コーティング調合物から膜の表面上に成形された硬化したフィルムの厚さを指す。
【0183】
いくつかの実施形態では、電解質ドメインは、ウレタン重合体と親水性のフィルム形成重合体の硬化可能な混合物から形成される。特に好ましいコーティングは、陰イオンのカルボキシル酸官能基および非イオン系の親水性ポリエーテルセグメントを有するポリウレタン重合体から形成され、それは、ポリビニルピロリドンの存在の下で架橋され、また約50℃の中程度の温度で硬化される。電解質ドメインの下に電解質相があり、それは、通常可溶性のある塩化物である少なくとも1つの化合物を含有する溶液を含む自由流体相であり、電流を伝導する。生体適合性のある膜が、本明細書で述べるものなどのアナライトセンサと共に使用される一実施形態では、電解質相が電極上を流れ、電解質ドメインと接触する。好ましい実施形態のデバイスは、標準の市販されている溶液を含む任意の適切な電解溶液の使用を企図している。一般に、電解質相は、分析するサンプルと同じ浸透圧または低い浸透圧を有することができる。好ましい実施形態では、電解質相は、生理食塩水を含む。
【0184】
電解質ドメインの下に、電解質相があり、それは、通常可溶性のある塩化物である少なくとも1つの化合物を含有する溶液を含む自由流体相であり、電流を伝導する。生体適合性のある膜が、本明細書で述べるものなどのアナライトセンサと共に使用される一実施形態では、電解質相が電極上を流れ、電解質ドメインと接触する。好ましい実施形態のデバイスは、標準の市販されている溶液を含む任意の適切な電解溶液の使用を企図している。一般に、電解質相は、分析するサンプルと同じ浸透圧または低い浸透圧を有することができる。好ましい実施形態では、電解質相は、生理食塩水を含む。
【0185】
好ましい実施形態は、検出膜の順次成形を提供するが、代替の実施形態は、当業界で知られた(例えば、連続ウェブまたは付着技法)周知の薄膜または厚膜製造技法を使用することができる。様々の実施形態では、好ましい実施形態の趣旨を逸脱することなく、それらの任意のドメインを、除外し、改変し、置換し、および/または共に組み込むことができる。例えば、アナライトセンサが、電気化学的技法を用いて妨害する化学種を低減するように設計されている場合など、いくつかの実施形態で、妨害ドメインが必要でないこともあり得る。さらに、様々のドメインを機能で組み合わせることもできる。例えば、1つの独立した層が、抵抗ドメインと酵素ドメインの両方として機能することができる。このような他の例では、酸素アンテナドメインを、酸素貯蔵材料(例えば、シリコーンまたはフッ化炭化水素)から独立して形成することができ、またはいくつかのもしくはすべての生体界面膜と組み合わせることができる。さらに、検出膜は、生体保護(細胞不透過性)ドメインなど、生体界面膜のいくつかのドメインまたはすべてのドメインと組み合わせることができ、それを以下でより詳細に述べる。
【0186】
生体界面膜
好ましい実施形態は、検出膜よりも電気活性表面に対してさらに遠位に配設された生体界面膜を提供する。好ましくは、生体界面膜106は、組織の内部成長をサポートし、障壁細胞層の形成を妨害するように働き、またデバイスの影響を受けやすい領域を、ホストの炎症反応から保護する。いくつかの実施形態では、生体界面膜は、1つまたは複数のドメインからなる。
【0187】
一実施形態では、生体界面膜106は、全体に、電気化学的に反応性の表面から最も遠位に細胞破壊ドメイン108、および細胞破壊ドメイン108よりも電気化学的に反応性の表面から遠位ではない細胞不透過ドメイン110を含む。細胞破壊ドメイン108は、生体内で、血管組織の内部成長を高め、また障壁細胞の形成を破壊するキャビティサイズ、構成、および全体の厚みを含む構造を備え、また細胞不透過性ドメインが、細胞の付着に耐性があり、障壁細胞の付着およびドメインの層剥離を抑制する頑強な界面を有する、細胞が不透過な層を備える。
【0188】
図8Aは、一実施形態における生体内の膜106の概略横断面図であり、膜が、細胞破壊ドメイン108および細胞不透過ドメイン110を備える。膜106の構造は、障壁細胞層が形成されることなく、血管化した組織の内部成長を介してアナライトの移送を可能にする頑強な長期間植込み可能な膜を提供する。
【0189】
細胞破壊ドメイン108は、中実部分112およびその中に形成された複数の相互接続された3次元キャビティ114を備える。キャビティ114は、線維芽細胞116、線維基質118などの侵入性細胞、および血管120が、各キャビティ114への入口を画定する開口部40中に完全に入ることができ、また相互接続されたキャビティを通過して、細胞破壊ドメインと細胞不透過ドメインの間の界面122方向に進むことができるような十分なサイズおよび構造を有する(細胞および血管は、図中で過剰に大きくなっている)。キャビティ114は、キャビティを通って形成された血管120により示されるように、生体内で、血管組織の内部成長を高める構造を備える。キャビティ内の血管化のために、溶質126(例えば、酸素、グルコース、および他のアナライト)は、比較的容易に第1のドメインを通過することができ、かつ/または拡散距離(すなわち、グルコースが拡散する距離)を低減することができる。
【0190】
細胞不透過ドメイン110は、細胞付着に対して耐性のある細胞不透過層を備え、したがって、(ドメイン間の界面122で、いくつかのマクロファージおよび/または巨大細胞により図8Aで示された)障壁細胞層の形成に抵抗するための他の機構を提供する。細胞不透過ドメイン110が細胞の付着および障壁細胞層の形成に耐性があるので、上記のものなど溶質の移送はまた、従来技術で見られる障壁細胞による妨害なしに比較的容易に通過することができる。
【0191】
次に、(例えば、線維芽細胞および線維基質からの)FBRの線維組織により引き起こされた収縮性力の線を示した、図8Aの膜を示す図8Bを参照する。具体的には、キャビティの相互接続性および複数のキャビティ深さ(すなわち、3次元において第1のドメインの十分な部分を通る2つ以上のキャビティ)を含む細胞破壊ドメイン108の構造は、異物の周りで通常生ずる組織収縮に影響し得る。
【0192】
デバイスの周りのFBCの収縮は全体として、図6Bおよび図6Cで示したものなど、デバイスに対して下方向の力を生成し、それにより、動きのアーチファクトを低減できることに留意されたい。しかし、相互接続されたキャビティおよび中実部分を含む本明細書で述べた第1のドメインの構造は、さもないと、細胞をデバイスに対して平らにしまたアナライトの移送を塞ぐ可能性のある下方向の組織収縮により引き起こされる収縮性の力は、代わりに、デバイスから離れた中実部分112の周りを(例えば、相互接続されたキャビティ114を通して)収縮させる力128に変換され、分裂され、かつ/または減殺されるので有利である。すなわち、細胞破壊ドメインの中実部分112およびキャビティ114の構造により、収縮性の力128を細胞破壊ドメイン108と細胞不透過ドメイン110の間の界面から離れて分散させることができる。FBC中で、通常、見出される組織/デバイスの界面方向への線維組織を組織的に収縮させることなく、マクロファージおよび異物巨大細胞が、実質的に凝集性細胞の単一層(すなわち、障壁細胞層)を形成せず、したがって、第2のドメインおよび/または膜を横断する分子の移送が、実質的に妨害されない(図8Aでドメインを通るアナライト126の自由な移送により示されている)。
【0193】
細胞破壊ドメインおよび細胞不透過ドメインは、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン−co−テトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、生物学的に安定な、単独重合体、共重合体、ポリウレタンの三共重合体、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメタクリル酸(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリウレタン、セルロース重合体、ポリスルホン、または、例えば、ジブロック、トリブロック、交互、ランダムおよびグラフト共重合体などを含むそのブロック共重合体などの材料から形成することができる。
【0194】
生体適合性のある膜の細胞破壊ドメインおよび細胞不透過ドメインは、1つのまとまった構造として共に形成することができる。代替的に、生体適合性のある膜の細胞破壊ドメインおよび細胞不透過ドメインを、機械的にまたは化学的に共に結合した2つの層として形成することもできる。さらに、他の実施形態では、細胞不透過ドメインは、検出膜に化学的にまたは機械的に取り付けられる。いくつかの実施形態では、細胞不透過ドメインの生体保護機能が、検出膜の構造中に固有のものであり、したがって、独立した細胞不透過ドメインは必要としない。
【0195】
膜の取付け
図9Aは、膜を取り付ける前のアナライトセンサの分解した斜視図である。図9Bは、膜を取り付けた後のアナライトセンサの斜視図である。好ましい実施形態では、図9Aおよび図9Bで示された実施形態ではクリップ132aである機械的なファスナ132を介して、膜130がセンサ12の検出領域16に取り付けられる。
【0196】
いくつかの実施形態では、検出膜88および生体界面膜106は共に配置され、膜130は、機械的なファスナ132を介して検出領域16に取り付けられる。いくつかの代替の実施形態では、生体界面膜106のある部分(例えば、細胞破壊ドメイン108)は、機械的なファスナ132を用いずに取り付けることができる。好ましい実施形態では、細胞不透過ドメイン110は、細胞破壊ドメイン108とは別個に形成され、また細胞不透過ドメイン110は、機械的なファスナ132を介して検出膜88と共に同時に検出領域16に取り付けられる。
【0197】
検出領域16に対する膜130の取付けにおいて、膜を過度に伸長させることを回避するのが望ましく、それは、細胞を検出膜に透過させ得る割れまたは微小割れを生成する可能性がある。デバイス機能を損なう膜下の過剰なスペース(例えば、泡)を生成し得る膜中の張力不足もまた、回避することが望ましい。
【0198】
好ましい実施形態は、有利な取付け方法を提供し、その場合、膜130が、センサ性能を最適化するのに適切な張力で、すなわち、裂けまたは過度の張力を最小化することにより、検出領域16に取り付けられる。好ましくは、取付け前に水和され、それにより、膜の歪みが最小化されまたは回避される。好ましくは、水和化された検出膜88は、まず、(ライナ98から解放された後)検出領域16の上に配置される。次に、細胞不透過ドメイン110が、確実にシワまたは泡が存在しないようにして、検出膜88上に配置される(細胞破壊ドメインが、機械的ファスナ132により検出領域に取り付けられる実施形態では、細胞破壊ドメインもまた細胞不透過ドメインの上に配設される)。最後に、機械的なファスナが検出領域16の上に取り付けられ、好ましくは、検出領域16の周囲の溝部に挿入される。一般に、機械的ファスナ132(例えば、図9Aおよび図9Bの金属またはプラスチックのOリング)は、緊縮性を維持するために、また細胞の内部成長を阻止するためのシールを提供するために、組み合わせた膜130に十分な張力を提供するように設計される。この組み合わせた膜130は取り外すことができ、また必要に応じて新しい膜130が取り付けられるので、本システムおよび方法が再使用可能かつ費用効果を高めるようになり有利である。
【0199】
図9Cから図9Hは、代替の膜取付け実施形態の分解および収納させた斜視図である。各実施形態では、実質的に上記のように膜130を検出領域16に取り付けるための機械的なファスナ132が提供される。機械的な取付けを強化するために化学的な取付け技法(接着剤や溶剤など)を使用することができるが、好ましい機械的な取付けは、適切な張力を提供して、化学的に膜130を改変することなく、検出領域16上の膜130の十分なシールを可能にすると考えられることに留意されたい。さらに、膜を機械的に取り付けることは、上記のように、本システムおよび方法を再使用可能にし、また費用効果を高めるようにする。
【0200】
図9Cおよび図9Dは、機械的なファスナ132が、デバイス本体12中に圧入嵌めまたはスナップ嵌めするのに適合された金属またはプラスチック円板132bである代替の一実施形態の斜視図である。すなわち、円板132bは、センサ本体12の孔中にしっかりと嵌合するように設計された複数の脚を有する。円板132bは、またアナライトがそこを通って通過できるようにデバイスの検出領域16へのアクセスを提供するサイズであり、そのように構成された中心開口部を有する。膜130は、より詳細に前に述べたものなど、適切な任意の構成とすることができる。図9Cおよび図9Dの膜取付けは、上記の理由で有利であり、さらに、例えば、図9Aおよび図9Bの実施形態と比較して検出領域16に低い外形を可能にする。理論で限定されることを意図しないが、デバイスの設計最適化は(例えば、サイズ、質量、および/または外形の低減)、より大きなデバイスよりもさらに独立した安全な植込みを可能にすると考えられ、また患者により引き起こされるデバイスのマクロの動き(例えば、いじくり回すこと)、および皮下ポケット内で、(例えば、慢性の炎症を生ずる)デバイスの移動により引き起こされる微小な動きを低減すると考えられ、それにより、デバイスの性能全体が改善される。
【0201】
図9Eおよび図9Fは、機械的なファスナ132が、デバイス本体12中に圧入嵌めまたはスナップ嵌めをするように適合された金属もしくはプラスチックのリングもしくはドーナッツ132cである他の代替の実施形態の斜視図である。この実施形態では、ドーナッツ132cは、検出領域16の周囲の開口部を実質的に満たすように設計されている。この実施形態は、図9Aおよび図9Bのものと類似しているが、その開口部を実質的に満たすようにドーナッツのサイズを決めることにより、膜の縁部およびデバイス本体の最適化されたシールを提供し、また細胞の内部成長の機会を低減する。
【0202】
図9Gおよび図9Hは、機械的なファスナ132が、デバイス本体12の側部中に圧入嵌めまたはスナップ嵌めするように適合された金属もしくはプラスチッククリップ132dである、さらに他の代替の実施形態の斜視図である。この実施形態は、デバイス本体の実質的に平らで、滑らかな上側表面を有する低い外形体の利点を提供する。より滑らかな上側表面は、生体内で検出領域に近位における炎症の機会を少なくすると考えられる。
【0203】
長期間および短期間の固定
植込み可能なセンサのアセンブリにおける最終ステップは、最も外側の層の取付けを含み、その層は、デバイス/組織の界面として働き、また生体内におけるデバイスの安定化に重要な役割を果たすことができる。好ましい実施形態は、生体内でデバイスの安定化を確実にするために、短期間および/または長期間の固定システムおよび方法を用いて設計することができる。上記で、また以下でより詳細に論ずるように、皮下組織中におけるデバイスの安定化は、センサの短期および長期間の性能に影響すると考えられる。好ましい一実施形態では、センサが、組織にセンサを固定するように構成された短期間の固定コンポーネントを備え、それにより、最初の組織の内部成長段階中に局所的な炎症を引き起こし、かつ創傷の治癒を遅らせると考えられるデバイス/組織界面における動きに関係した損傷を最小化することができる。さらに、好ましい実施形態は、皮下ポケット中のセンサの長期間の安定性を確実にするための長期間の固定コンポーネントを備える。長期間と短期間の固定の両方が好ましいが、いくつかの実施形態は、一方または他方だけ使用することができ、例えば、センサが十分に小型化されており、したがって、センサ本体が皮下スペース内で実質的に「浮いている」場合、あるいは正確なポケット形成または植込み技法が使用される場合、短期および長期間の固定の少なくとも一方が十分なセンサ性能のために必要ではない可能性がある。
【0204】
図10Aは、図6の機械加工されたセンサ幾何形状、およびセンサの組織に面しているコンポーネントの分解された斜視図である。図10Bは、組織に面するコンポーネントが取り付けられ、アセンブリされたアナライトセンサの斜視図である。図10Cは、一実施形態における短期間の固定デバイスを示すアセンブリされたアナライトセンサの非検出側の斜視図である。
【0205】
次に、図10Aを参照すると、図10を参照してより詳細に述べる生体界面膜106を含む組織に面するコンポーネント、短期間の固定コンポーネント134、および長期間の固定コンポーネント136が示されている。それらの各コンポーネントは、以下でより詳細に述べるように、センサ本体にしっかりと取り付けられる。
【0206】
機械的な取付け(クリップ132によるなど)および化学的な取付け(レーザ溶接、超音波溶接、溶剤溶接など)を含む、生体界面膜106をセンサ12に取り付けるための様々の取付け方法が企図されている。好ましい実施形態では、生体界面膜106、すなわち、細胞破壊ドメイン108は、シリコーン接着剤などの接着剤を用いてセンサ本体に接着され、それは、例えば、生体界面膜106がシリコーン材料から形成される場合に特に有利になり得る。シリコーン接着剤は、細胞破壊ドメイン108の相互接続キャビティ114の閉塞を回避するために、好ましくは、生体界面膜108の周囲に付与されることに留意されたい。好ましい一実施形態では、細胞不透過ドメイン110がクリップ132(図9)により機械的に取り付けられているので、図10Aに示す生体界面膜106は、細胞破壊ドメイン108だけを示している。
【0207】
例示の実施形態では、短期間の固定コンポーネントは縫合片134を含み、それは、図12および図13を参照して以下でより詳しく述べるものなど、挿入後に筋膜または他の実質的に強靱な組織に対してセンサを固定するために外科医により使用される。代替的には、使用できる他の短期間の固定コンポーネントは、プロング、刺状突起、逆とげ、翼、フック、螺旋形の表面トポグラフィ(topography)、徐々に変化する直径などを含み、それをセンサ本体上に配設することができる。例えば、細長いまたは円筒形タイプのセンサが皮下組織内に植え込まれた場合、植込み中に形成されたポケットに沿ってスリップする傾向があり、何らかのさらなるスペースがポケット内に存在する場合は、特にそうである。そのスリップは、組織の内部成長中またはその前に、炎症性反応および/またはセンサの移動を増加させる可能性がある。したがって、短期間の固定コンポーネントは、特に、成熟した異物被膜が形成される前に、センサを定位置に固定化するのを支援することができる。
【0208】
一般に、短期間の固定は、植込み手術直後の急性の創傷治癒段階の間に、軟組織内のセンサを固定化するためのシステムおよび方法を提供する。理論で限定されることを意図しないが、短期間の固定コンポーネントは、皮下ポケット中に残っている任意のスペース内または切開部直下のスペース内でのセンサ移動を阻止し、それにより、組織の外傷およびその関連する炎症および異物反応を最小化すると考えられる。組織の外傷を最小化することは、健康な血管化された組織層が生体界面膜内で治癒する可能性をさらに高め、それにより、図8を参照してより詳細に述べたものなど、検出領域へのアナライト移送を最適化すると考えられる。
【0209】
例示の実施形態では、長期間の固定コンポーネント136は固定材料である。本明細書で使用される用語「固定材料(anchoring material)」は、滑らかではなく、また特に、生体内で体組織中にその材料を固定するのを容易にするために、組織の内部成長をサポートする構造を備える生体適合性のある材料または表面を限定することなく含む広い用語であり、またその普通の意味で使用される。固定材料のいくつかの例は、例えば、ポリエステル、ベロア、ポリプロピレンの織物、発泡ポリテトラフルオロエチレン、および多孔質シリコーンを含む。しかし、固定材料は、例えば、アナライトセンサ12の非検出領域18をテクスチャ加工することによりセンサ本体に組み込むことができる。一実施形態では、センサ全体の表面が、組織への強力な付着を提供する固定材料で覆われる。他の実施形態では、センサの検出側だけが固定材料を組み込み、センサの他方の側が、線維または多孔質固定構造を欠いているが、それに代えて、組織への付着を阻止し、また厚い被膜の形成をサポートするための非常に滑らかな非反応の生体材料表面を提示する。
【0210】
様々な程度の表面範囲を持つ構成を含む他の構成もまた、いくつかの実施形態で使用するのに適切であり得る。例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50%未満から、55、60、65、70、75、80、85、90または95%を超えるデバイスの表面を、固定材料で覆うことができる。固定材料は、1表面、2表面、3表面、4表面、5表面、または6表面を覆うことができる。固定材料は、1つまたは複数の側面の一部分だけを覆うこともできるが、例えば、固定材料の細片、ドット、ウィーブ、線維、メッシュ、および他の構成または形状で、1つまたは複数の側面を覆うことができる。任意の特定のセンサのために使用できる固定材料の最適な量は、1つまたは複数の以下のパラメータに依存することに留意されたい。すなわち、植込み部位(例えば、ホスト内の位置)、表面積、形状、サイズ、幾何形状、質量、密度、容積、表面積対容積、表面積対密度、および表面積対質量である。例えば、より少ない密度を有するデバイスと比較してより大きい密度を有するデバイスは、より多くの固定材料が必要となり得る。
【0211】
一般に、長期間の固定は、センサに対する慢性的な移動(例えば、マクロまたは微小な動き)の影響を低減または除去すると考えられる、生体内でセンサを長期間固定化するためのシステムおよび方法を提供する。生体内で長期間センサを固定化することは、例えば、少なくとも部分的に、炎症を最小化し、かつアナライトが検出領域に自由に拡散することを妨害することで知られる関連の異物反応を最小化することにより、センサ性能、例えば、アナライトに対するセンサ感度を持続する。
【0212】
植込み/サイジングツール
好ましい実施形態は、植込み技法を用いた実験で本発明者により得られた知識を利用する植込み技法を使用する。一研究では、検出領域をその一端上に有する円筒形構成で設計された19個のグルコースセンサがヒトに植え込まれた。その研究に参加した19人の患者のうち、受容可能な有効性は約半分だけであることが観察された。その研究を、同時継続の米国特許仮出願第60/460,825号を参照してより詳細に述べる。要約すると、その臨床研究で使用された手術方法は、1インチ(2.54cm)の切開を伴い、次いで、鈍的切開(blunt dissection)による切開部に対して横方向にポケットを形成した。デバイスを配置した後、切開部に近位のデバイス端部で、結合する組織を共に引っ張ることにより縫合が行われた。ヒトの被験者中にセンサが植え込まれた後、最初の数週間の間、創傷部位の写真を撮り、またデバイスの位置を触知により判定した。19個のうち18個のセンサが配置部位から切開部位の方へ後退するように移動することが観察された。それらのデバイスのうち13個が、大幅な距離、すなわち、1cm以上の距離(0.5cm以下のデバイスの移動は、使用した検査測定法の分解能に基づき大幅なものとは見なさない)を移動した。理論で限定されることを意図しないが、治癒が開始しかつ損傷収縮が形成されたとき、縫合が、軟らかく、脂肪質の皮下組織を保持しなかったと考えられる。それにより、デバイスはポケット形成後に残されている実質的なスペース中に移動され、いくつかの場合は、切開部直下のスペース中にデバイスが移動している。
【0213】
上記実験のセンサは、創傷の治癒期間中に、組織、特に血管組織を用いて内部成長するように設計された多孔質の固定材料および生体界面材料の層を含んでいたが、組織中で十分に固定されないデバイスが、結合組織の瘢痕により、組織中に良く固定されたデバイスよりもずっと強力に内部に密封されることが文献で良く知られている。臨床研究で観察されたデバイスの全体的な移動は、いくつかの場合、組織の適正な内部成長が阻止されていたことが考えられる。組織の内部成長の遅れ、または組織の内部成長の欠如は、グルコース感度の欠如、グルコーストラッキング開始の遅延、および低感度/長いタイムラグを含む開始後の妥協した機能を含む様々の面でデバイス機能に影響を与え得る。いくつかの場合、センサ移動後に残された空いたスペースは、外移植センサの組織学的検査により判定された瘢痕組織で満たされていた。
【0214】
さらに、いくつかの挙動的な問題により治癒が不完全になることが考えられる。複雑にする要因には、「いじくり回す(fiddling)」挙動(すなわち、皮膚下のセンサに触り、また動かすこと)が含まれる。これらの複雑にする要因は、ある程度すべての患者で示されているが、作動しているセンサを有する患者では頻度は高くない。したがって、本発明者は、少なくともいくつかのセンサ性能問題は患者に関係した移動によるものと考えている。
【0215】
総合すると、本発明者は、これらの性能問題に寄与する可能性の高い要因を識別した。その要因は以下のものを含む。すなわち、小さなギャップであってもセンサ端部でそれが生成されるようにセンサを移動した場合、デバイス端部上にある本実験における検出領域の位置が治癒に関する問題を引き起こす可能性のあること、円筒形の幾何形状をした高い外形により、センサをぶつけ易くなり、またセンサを患者が触りかつ感じる(「いじくり回す」)ようにさせ得る高い外形を有するようにしたと考えられること、また、例えば、センサがレバーとして働くことができるためデバイスの反対側端部上に圧力が加えられた場合、センサ領域が容易に破壊され、また回転エネルギがセンサに加えられ、それによっても、センサ/組織界面の破壊を引き起こす恐れのあることである。
【0216】
したがって、好ましい実施形態は、前に述べた実験で観察された欠点を克服するように設計されたセンサ幾何形状、短期および/または長期間の固定、および固定技法を使用する。例えば、デバイスの移動の可能性を低減し、それにより、生体内で、最適化された固定化および健康な創傷治癒を提供すると考えられる植込み技法が開示される。実質的にデバイスを固定化し、それにより、外傷を最小化する短期および長期間の安定性を提供すると考えられる固定コンポーネントが開示される。その低い外形および湾曲した表面によりいじくり回されることを低減し、安定性を改善したセンサ幾何形状が開示される。上記の利点のすべてが、検出領域を通るアナライトの移送を改善し、それにより、長期間のセンサ性能を改善する。
【0217】
図11Aから図11Cは、外科医が正確な寸法のポケットを形成するのを支援するように設計されている好ましい一実施形態におけるポケットサイジングツールの図である。上記でより詳細に述べたように、植込み中に軟組織内に余分なスペースが形成された場合(例えば、過剰寸法のポケット)、術後にデバイスの移動が生じる可能性があり、それは、デバイスへの組織の最適以下の治癒になると考えられることが見出された。最適以下の創傷の治癒は、異物被膜形成の厚みを増加させ、また障壁細胞層の形成を増加させて、生体内で、アナライトの移送およびセンサ性能を悪くする結果になると考えられる。したがって、正確に皮下ポケットを形成するために外科医により使用できるポケットサイジングツールを提供する。
【0218】
図11Aは、ヘッド140およびハンドル142を含む好ましい一実施形態におけるサイジングツール138の斜視図である。図11Bは、一実施形態におけるヘッド140上でハンドル142のオフセットされた配置を示すサイジングツール138の側面図である。図11Cは、センサ本体(図6)の湾曲と実質的に同様の湾曲を示すサイジングツール138の上面図である。
【0219】
次に、サイジングツールのヘッド140を参照すると、好ましい実施形態は、ヘッドの幾何形状を、ホスト中に挿入されるアナライトセンサの幾何形状よりもわずかに小さく構成する。いくつかの好ましい実施形態では、ヘッド140aは、ポケットに挿入されるセンサが組織内で圧力がかかり、それによりセンサ本体を皮下ポケット内に固定化するように、アナライトセンサ12の寸法よりわずかに小さい寸法に作られる。好ましい実施形態では、サイジングツールのヘッド140のx、y、およびz寸法は、アナライトセンサの寸法の約0.8倍とする。当業者であれば、サイジングツール138のヘッド140の寸法および幾何形状は、植込み可能なアナライトセンサの寸法および幾何形状に依存して変化することを理解されたい。
【0220】
次に、サイジングツールのハンドル142を参照すると、この好ましい実施形態では、ハンドルがヘッド中心からオフセットされている。この設計は様々の寄与要因に基づく。まず、アナライトの移送には、好ましくは、検出領域に隣接して障壁細胞形成が行われることなく、健康で良く血管化された組織層を必要とするため、検出領域16内およびそれに隣接部の治癒は、非検出領域18よりもさらに重要であり影響を受けやすい。したがって、センサの検出領域が挿入後に配置される位置から離れた切開部用としてオフセットされたハンドルを提供し、それにより、検出領域の周囲の術後の外傷を最小化すると考えられる。好ましい一実施形態は、検出領域16からオフセットされた、かつ全く反対側の位置に、短期間の固定コンポーネント134を提供する(図10C)ことをさらに留意されたい。このように、短期間の固定コンポーネント134を、筋膜に縫合するために外科医に対して露出させ、また検出領域16に隣接する切開部および縫合に関連する外傷を最小化するように検出領域とは反対に配置して挿入されるようにセンサが適合される。
【0221】
他の好ましい実施形態では、ハンドル142がヘッドで中心に位置しており、それは、様々の植込み技法に対して有利であり得る。例えば、アナライトセンサがホストの脂肪質組織内に植え込まれた場合、切開部の各サイズに対して等しくサイジングすることは、正確な皮下ポケット形成が容易であり精度を提供することができる。しかし、例えば、ハンドルの長さ、幅、厚さ、および方向付けは、様々の植込み部位に対して最適化され、患者サイズに対して適合化され得ることに留意されたい。一般に、好ましい実施形態のサイジングツール138は、外科医または医者が、検出領域16の隣接した最小化した組織外傷で、またホスト中に正確なサイズで作った皮下ポケットで、軟組織中にポケットを形成することを支援する任意の設計とすることができる。それらの要因はセンサを固定化し、またセンサの検出領域に隣接する良く治癒される血管化組織層に対する機会を提供すると考えられる。
【0222】
植込み/技法
好ましい実施形態の植込み可能なアナライトセンサは、皮下、筋肉内、腓骨筋内、筋膜内、腋窩部、体の軟組織などを含む様々の位置に植え込むことができる。好ましい実施形態は、腹部領域の皮下スペース内の植込みを示しているが、本明細書に述べるシステムおよび方法は、腹部のまたは皮下の植込みのいずれにも限定されない。当業者であれば、これらのシステムおよび方法が、他の植込み部位用に実施され、かつ/または変更することができ、アナライトセンサのタイプ、構成、および寸法に依存し得ることが理解されよう。
【0223】
図12Aは、切開部146と、外科手術植込みのために使用できるサイジングツール138とを示すヒトの腹部領域144の斜視図である。この実施形態では、皮膚切開部146が、腹部の皮下脂肪質層の下側平面まで、好ましくは筋肉の筋膜148の破壊を回避して貫通する(図13A)。好ましくは外科医は、ポケットサイズを確認するためにサイジングツール138を用いてアナライトセンサ12の正確なサイズへとポケット150の鈍的切開を行う。すなわち、外科医は、形成中にポケットの視覚化のためにツールおよび補助器具を使用することができ、高い頻度でポケットの長さおよび幅を検査するためにサイジングツール138を使用し徐々に大きくしてポケットを切開することができる。上記でより詳細に述べたように、センサ12の周囲のポケット中の過剰なスペースは、センサの可動化および移動の機会を提供し、その結果、創傷を作り、異物被膜の厚さを増し、また検出領域16に隣接して障壁細胞層の形成を高めることになると考えられる。検出領域におけるアナライトの移送はセンサ性能にとって重要であるため、植込みシステムおよび方法は、外科医が最小の組織外傷で正確なポケットを形成するのを支援するように設計されることに留意されたい。
【0224】
好ましい実施形態では、ポケットは、短期間の固定(例えば、縫合)のために強靱な組織を提供する筋膜148に隣接して形成される。この好ましい実施形態の一態様では、2つの縫合(図13A)が、センサ12が配置される頭尾方向の切開部のすぐ下のポケット内の筋膜上に配置される。それらの縫合は、センサの挿入位置に平行で、かつ可能な限り近くの筋膜148上の位置152に配置され、任意選択で、適正な縫合配置を評価するためにサイジングツールを用いることが好ましい。その縫合糸は、再吸収可能でないことが好ましいが、再吸収可能な縫合糸もまた、いくつかの代替の実施形態で有利であり得る。縫合技法は、以下で図13Aを参照し、より詳細に述べる。代替的には、縫合から利益が得られない、または強靱な組織に対する縫合を必要としない他の植込みおよび固定技法も企図される。
【0225】
他の好ましい実施形態では、ポケットが脂肪質組織またはホストの他の軟組織内に形成される。その実施形態は、上記の実施形態と比較して侵襲性の切開部を最小化する。すなわち、ポケットを筋膜よりもホストのより浅い位置にポケットを形成することにより、より少ない切開が必要となり、それは、より少ない組織外傷を起こすと考えられる。さらに、医者または外科医がポケット形成(例えば、サイジングおよび位置)を視覚的に確認することをさらに容易にすることができる。それらの実施形態は、図10Aを参照してより詳細に述べたものなど、短期間の固定機構を含むことも、含まないこともあり得ることに留意されたい。
【0226】
図12Bは、好ましい一実施形態における正確に形成されたポケット中へのセンサ挿入を示す、ヒトの腹部領域の一部分の斜視図である。この実施形態では、センサ12は、筋膜を破壊することなく、筋肉の筋膜148に可能な限り近くで皮下の脂肪質層の下側平面中に配置される。さらに、ホストの中線154対して垂直にかつわずかにその一方側に長軸を有するセンサ12が配置される。この実施形態では、検出領域16が中心からずれて位置しており、また検出領域が筋膜148に面しかつ縫合片134よりも中線154に対してさらに遠位にある状態で患者内に配置されていることに留意されたい。したがって、例示の実施形態では、センサ12は、センサの約3分の1が切開部146に対して内側を向いており、また他方の約3分の2は切開部146に対して側方を向いているようにポケット中に挿入される。理論で限定されることを意図しないが、中線に近位よりも中線154から側方のこの領域では結合組織がより少ないので、検出領域は、結合組織の切開に関連するより少ない外傷を受けると考えられる。しかし、代替形態では、切開部は、中央に、または他の形で位置することもでき、それは、例えば、植込み手技を簡単化するので有利になり得ることに留意されたい。
【0227】
図13Aは、センサ領域を筋膜の隣に配置させたポケット中に挿入した後のセンサの概略図である。健康な血管化された創傷の治癒のため最適な条件を提供するように、ポケット内で筋膜の隣にセンサを固定化するために、この実施形態では短期間の固定が好ましくなり得る。しかし、代替の好ましい実施形態は、短期間の固定および/または筋膜に隣接するセンサの配置を含まないこともあり得るが、それはより詳細に前述している。
【0228】
図13Aの実施形態では、センサ本体12は、短期間の固定コンポーネント、すなわち、縫合片134を用いて筋膜148に縫合される。縫合技法は、組織148に対して検出領域16の移動が確実に最小となるように、筋膜148に対してセンサ本体12を圧力のかかった状態で維持することが好ましい。センサ12を筋膜148に縫合する好ましい一方法では、図12Aおよび図12Bを参照して述べたものなど、縫合片の各側部と位置を合わせた位置152の筋膜上に配置された、事前配置の縫合の1つが図13Aの側面図で示される。2つのさらなる縫合が、事前配置の縫合152と位置合わせされた位置156の縫合片の各側部上で、縫合片134に縫合される。次いで、例えば、その反対も同様であるが、一方の側にある事前配置の縫合と反対側にある縫合片とを互いに結ぶようにして、反対側にある縫合を互いに結ぶことにより、その縫合を共に結ぶことが好ましい。このように、ポケット150内でセンサ12の固定化を確実にするために、縫合糸およびセンサ本体は圧力がかかった状態で保持される。センサ本体を筋膜または他の強靱な組織に縫合する代替の方法は、当業者であれば理解することができ、またそれを好ましい実施形態の範囲に含まれると見なすべきである。
【0229】
短期間の固定が完了した後、切開部は閉鎖されるが、例えば、センサの近くの空きスペースが最小化されるように、再吸収可能な縫合糸を用いて皮下組織がセンサ周囲に快適に保持されるようにすることが好ましい。
【0230】
一実施形態では、センサの表面全体が固定材料で覆われて組織に対して強力な付着が提供される。他の実施形態では、センサのセンサ頭部側だけが固定材料を組み込み、センサの他の側は、線維または多孔質構造を欠いており、それに代えて、組織への付着を阻止し、厚い被膜の形成をサポートするために、非常に滑らかで、非反応性の生体材料表面を提示する。その固定材料は、ポリエステル、ポリプロピレンの織物、ポリテトラフルオロエチレンのフェルト、発泡ポリテトラフルオロエチレン、多孔質シリコーンなどとすることができる。
【0231】
図13Bは、図10を参照してより詳細に述べたものなど、センサの両側にある固定材料136の形の長期間の固定コンポーネントを有するアナライトセンサの側面図である。この実施形態では、アナライトセンサは、皮下に植え込まれ、また植込み後に線維質の血管化された組織が内部成長する。
【0232】
好ましい実施形態では、前述の幾何形状のセンサは、2種類の組織の間の界面で植え込まれ、より頑強な組織タイプに固定されることが好ましい。好ましい実施形態のセンサ幾何形状は、組織界面で使用されるのが特に好ましいが、このようなセンサはまた、単一タイプの組織中に、例えば、筋肉組織または脂質組織中に植え込まれる場合に使用するのに適している。代替の一実施形態では、単一の組織タイプにおいて、縫合を有しても有しなくても、センサを浮かせることができ、また2つの組織タイプの間に配置することが可能であり、またデバイスの表面全体を実質的に覆う固定材料は、本明細書のいずれかで述べたものなど、デバイスの移動を阻止するのに十分であり得る。
【0233】
図13Aは、線維質の組織および血管系の内部成長により、上にある組織158ならびにその下にある筋肉の筋膜148と機械的に接触しているセンサ12の表面を示す。この実施形態では、固定材料136で覆われているセンサ12のいずれの表面も、通常、線維質の血管化された組織160が内部成長しており、それは、センサの固定および動きアーチファクトを緩和するのを支援する。しかし、いくつかの場合では、組織に横方向に加えられる力がセンサに伝わり、同様にセンサの筋膜側に伝わり筋膜との界面の潜在的な破壊を引き起こすことに留意されたい。したがって、センサ領域を組み込むセンサ側部の半径形状が、固定材料により筋肉筋膜に付着されたセンサの頭部側に対して遠位の皮下組織中の力が及ばないように支援するが、固定材料でデバイスを完全に覆うことは、いくつかの実施形態で好ましくないこともあり得る。
【0234】
例えば、図6を参照してより詳細に述べたものなど、センサの幾何形状などの好ましい実施形態の他の要因は、ホスト内でセンサを固定化するのを支援することに留意されたい。さらに、本発明者は、上記の実験で見られた「いじくり回す」挙動の可能性を低減する「低い外形」を有するセンサを設計した。「低い外形(low profile)」とは、構成全体を大まかに定義したものであり、植え込まれたときにわざと目立たなくする寸法、形状、およびアスペクト比を含む。
【0235】
さらに、好ましい実施形態は、比較的薄い、長方形の、または卵型のセンサを述べているが、検出領域は、(例えば、先端部ではなく)センサの大きい側部の1つ上に配置される。植え込まれたとき、センサは、好ましくは、検出領域が皮下スペースの下にある筋肉筋膜に隣接するように方向付けられるが、他の位置もまた可能である。
【0236】
総合すると、好ましいセンサは、実質的にホストの皮膚を介して突き出すことはなく(いくらかはホストの体脂肪に依存し得る)、偶発的な打撃または動きを受け入れにくくし、また患者の「いじくり回すこと」ができにくい。それは、薄く、細長い形状で、円筒形ではなく、したがって、回転力がセンサ/組織界面に影響を与える可能性は低い。検出領域が筋膜方向に下に方向付けられ、またセンサの中心近くにあるので、いずれの端部に対する下方向の力も検出領域へのせん断力として変換されない。
【0237】
一般に、センサの(例えば、サイズおよび質量の)小型化は、デバイスの動きを阻止し、またセンサにアナライト(例えば、酸素およびグルコース)を供給するために必要な、もろく新しい毛細管の破壊を最小化することにより、センサの開始時間を低減することができる。小型化はまた、例えば、検出領域にアナライトを適正に移送することを妨害するようにホストが姿勢をとる場合、酸素の移送を妨害することが見出された血管の圧迫/体位効果を低減すると考えられる。
【0238】
上記の説明は、本発明のいくつかの方法および材料を開示している。本発明は、方法および材料における変更、ならびに製造方法および機器における改変を行うことができる。このような変更は、この開示および本明細書に開示の本発明の実施を考慮すれば、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明を本明細書に開示の特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、それは添付の特許請求の範囲で実施される本発明の真の範囲および趣旨を含むすべての変更形態および代替形態を含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1A】ヒトの内部に植え込まれた連続アナライトセンサ、およびセンサデータを処理し表示するための受信装置を含む好ましい実施形態のシステムの斜視図である。
【図1B】好ましい実施形態の植込み可能なアナライトセンサの斜視図である。
【図2】一実施形態における植込み可能なグルコースセンサに関連する電子装置を示すブロック図である。
【図3A】電極システムを示す、アナライトセンサの電子装置サブアセンブリの上面図である。
【図3B】図3Aの線3−3における電子装置サブアセンブリの側方横断面図である。
【図3C】好ましい実施形態の3電極システムを制御するポテンシオスタットの回路図である。
【図3D】一実施形態における、かしめ付けされた電極の拡大された横断面図である。
【図3E】アンテナ板に面するPCBの側面を示すPCBの底面図である。
【図3F】一実施形態におけるPCBの切断部分上に示した磁場を制御するインダクタの横断面図である。
【図3G】代替の実施形態におけるPCBの切断部分上に示した磁場を制御するインダクタの横断面図である。
【図4A】一実施形態における一次成形で使用される一次型の斜視図である。
【図4B】一次成形工程中の電子装置サブアセンブリの断面側面図である。
【図4C】一次成形工程の後の一次注型封入デバイスの斜視図である。
【図5A】一次注型封入デバイスを二次型に挿入する斜視図である。
【図5B】二次成形工程後の二次注型封入デバイスの斜視図である。
【図6A】薄く実質的に卵形の幾何形状、湾曲した検出領域、および検出領域が位置している全体に湾曲した表面を含み、それにより、異物被膜からの収縮力を検出領域に対して下方向に圧力をかける、一実施形態におけるアナライトセンサの斜視図である。
【図6B】異物被膜により引き起こされる収縮力を示す図6Aのアナライトセンサの端面図である。
【図6C】図6Aのアナライトセンサの側面図である。
【図7A】好ましい実施形態の検出膜を形成する方法を示す図である。
【図7B】一実施形態における検出膜の概略の側面図である。
【図8A】細胞破壊ドメインおよび細胞不透過ドメインを備えた、一実施形態における生体内の生体界面膜の概略の横断面図である。
【図8B】FBRの線維質の組織により引き起こされる収縮力を示す、図8Aの膜の図である。
【図9A】膜が取り付けられる前のアナライトセンサの分解された斜視図である。
【図9B】膜システムおよび方法後のアナライトセンサの斜視図である。
【図9C−9H】代替の膜取付け技法を使用する様々の代替実施形態の分解された、および収納された斜視図である。
【図10A】取付け前にセンサの組織に面するコンポーネントを示す、センサの分解された斜視図である。
【図10B】取り付けられた、組織に面するコンポーネントを含むアセンブリされたアナライトセンサの斜視図である。
【図10C】一実施形態における短期間の固定デバイスを示す、アセンブリされたアナライトセンサの非検出側の斜視図である。
【図11A】ヘッドおよびハンドルを含む一実施形態におけるサイジングツールの斜視図である。
【図11B】いくつかの実施形態における、ヘッド上にオフセットされて配置されたハンドルを示す、図11Aのサイジングツールの側面図である。
【図11C】センサ本体の湾曲と実質的に同様の湾曲を示す、図11Aのサイジングツールの上面図である。
【図12A】外科手術の植込みで使用できる切開およびサイジングツールの分解された図を示すヒトの腹部領域の斜視図である。
【図12B】正確に形成されたポケット中にセンサを挿入する分解された図を示す、人の腹部領域の一部分の斜視図である。
【図13A】検出領域が筋膜に隣接して配置されたポケット中に挿入された後のセンサの概略図である。
【図13B】センサの両側上に固定材料の形の長期間の固定コンポーネントを有するアナライトセンサの側面図である。
【符号の説明】
【0240】
10 ヒト
12 連続アナライトセンサ、グルコースセンサ、デバイス本体
14 受信装置
16 検出領域
18 非検出領域
22 センサ電子装置
24 ポテンシオスタット
26 A/Dコンバータ
28 マイクロプロセッサモジュール
30 ROM
32 RAM
34 電池
36 水晶
38 RFモジュール
40 無線伝送
42 アンテナ
44 水晶
46 電子装置サブアセンブリ
48 プリント回路板(PCB)
50 アンテナ基板
52 負帰還ループ
54 電極システム
54a 作用電極
54b 参照電極
54c 対電極
56 アンテナフィード
60 電気的接続
62 インダクタ
64 物質、スペーサ
68 カバー
70 一次型
72 下部分
74 材料
80 二次型
82 二次注型封入デバイス
84 垂直力
86 横方向の力
88 検出膜
90 抵抗ドメイン
92 酵素ドメイン
94 妨害ドメイン
96 電解質ドメイン
98 ライナ
100 支持プラットフォーム
106 生体界面膜
108 細胞破壊ドメイン
110 細胞不透過ドメイン
112 中実部分
114 キャビティ
116 線維芽細胞
118 線維基質
120 血管
122 界面
126 アナライト、溶質
128 収縮性の力
130 膜
132 ファスナ、クリップ
132a クリップ
132b 円板
132c リング、ドーナッツ
132d プラスチッククリップ
134 短期間の固定コンポーネント、縫合片
136 長期間の固定コンポーネント、固定材料
138 サイジングツール
140 ヘッド
140a ヘッド
142 ハンドル
144 腹部領域
146 切開部
148 筋膜
150 ポケット
152 事前配置の縫合、位置
154 中線
156 位置
160 組織

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト中のアナライト濃度を測定するための植込み可能なアナライトセンサであって、
水蒸気の透過可能な材料を含むセンサ本体と、
前記センサ本体内にカプセル化された電気的なコンポーネントであって、生体内の前記センサから生体外の受信装置にRF伝送するように適合されたRF回路およびアンテナを備え、前記RF回路が、生体内の前記センサと生体外の前記受信装置の間でRF伝送を可能にする誘電率をサポートするように前記センサ本体から固定された距離だけ離間されているコンポーネントと
を備えるセンサ。
【請求項2】
前記固定された距離が、その水透過性を低減する構成を含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記構成が、コンフォーマルコーティングを含む、請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記コンフォーマルコーティングがパリレンを含む、請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記構成がエポキシを含む、請求項2に記載のセンサ。
【請求項6】
前記構成がガラスを含む、請求項2に記載のセンサ。
【請求項7】
前記構成が1つまたは複数の気密性のコンテナを含む、請求項2に記載のセンサ。
【請求項8】
前記RF回路が、前記RF伝送をそれを介して可能にする前記実質的に水蒸気の透過可能な材料内でカプセル化されており、
軟組織中のアナライトを測定するために、前記センサ本体の外側表面上に配置された検出領域と、
前記検出領域への前記アナライトの移送のために、血管化された組織の内部成長をサポートする、前記検出領域に隣接して配設された生体界面材料と、
軟組織中に前記センサ本体を固定化するために組織の内部成長をサポートする、前記センサ本体の非検出の外側表面上の固定材料と、
をさらに含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記センサ本体内にカプセル化された電力源をさらに備える、請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
前記センサ本体がプラスチックから形成される、請求項9に記載のセンサ。
【請求項11】
前記プラスチックがエポキシを含む、請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
前記センサ本体が、前記RF回路の周りに成形される、請求項8に記載のセンサ。
【請求項13】
前記検出領域に露出された電極システムをさらに備える、請求項8に記載のセンサ。
【請求項14】
前記電極システムが、前記水蒸気の透過可能な材料を通って延長され、前記RF回路に動作可能に接続されている、請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
前記電気的なコンポーネントが、マイクロプロセッサモジュールを備えており、前記RF回路が、位相同期ループ(PLL)を有するRF送受信装置を有するRFモジュールを備えており、また前記マイクロプロセッサモジュールが、周波数外シフトの検出に応答して前記PLLの再較正を開始するようにプログラムされている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項16】
ホスト中のアナライトを測定するための、実質的に本明細書で示しかつ説明した植込み可能なアナライトセンサ。
【請求項17】
アナライトセンサを製造する方法であって、
センサからの信号を処理するように設計されたセンサ電子装置を提供するステップと、
第1の水透過率を有する材料で前記センサ電子装置を同形にコーティングするステップと、
実質的に継ぎ目のないセンサ本体を形成するように、前記コーティングされたセンサ電子装置の周りを第2の水透過率を有する水蒸気の透過可能な材料で成形するステップとを含み、
前記第2の水透過率が、前記第1の水透過率よりも大である方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate

【図3F】
image rotate

【図3G】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図9F】
image rotate

【図9G】
image rotate

【図9H】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate


【公表番号】特表2007−535991(P2007−535991A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511429(P2007−511429)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/014696
【国際公開番号】WO2006/073453
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(504016422)デックスコム・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】