説明

椎弓根挿入器具ガイド装置

【課題】椎弓根に椎弓根スクリュー等の椎弓根挿入器具を挿入する作業において、椎弓根の骨組織の損傷を与えずにガイド装置を安定させ、挿入位置と挿入角度をより正確にガイドすることができる椎弓根挿入器具ガイド装置を提供する。
【解決手段】固定指示針10と、固定指示針10との離間距離2Wを設定調節する可動指示針20と、可動指示針20と固定指示針10との離間距離2Wの丁度中間点に位置するようにリンク機構40が組まれてなる基準線位置決めピン30と、固定指示針10が指し示す椎弓根の挿入位置に対して円弧状態を維持しながらスライドすることで椎弓根挿入器具の挿入角度θを設定調節する挿入ガイド部60とを有し、基準線位置決めピン30を棘突起の位置に合わせることで、棘突起を基準とした椎弓根挿入器具の挿入位置と挿入角度θをガイドするようにした椎弓根挿入器具ガイド装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎弓根に椎弓根スクリュー等の椎弓根挿入器具を挿入するのをガイドする椎弓根挿入器具ガイド装置に関する。
係る装置は、例えば腰椎後方進入椎体間固定術(PLIF)において、椎弓根スクリューを椎弓根に挿入する際に、椎弓根スクリューの挿入位置、挿入角度をガイドする役割を果たすガイド装置として用いることができる。
【背景技術】
【0002】
椎弓根に椎弓根スクリューを挿入する手術等において、下穴を穿孔する穿孔器具をガイドする技術として、従来、特開2009−261485号公報(特許文献1)には穿孔器具ガイド装置及び穿孔装置が開示されている。また、特開平5−123335号公報(特許文献2)には人工関節置換術用手術器として、半球状リーマーの堀削の方向、位置、深さを設定できる技術が開示されている。
【0003】
また、特開平11−290337号公報(特許文献3)には、脊椎固定術における椎骨への螺子埋設のためのガイドワイヤーの刺入を確実に方向付けすることを目的として、ガイドワイヤー刺入補助具を椎弓根上に設置するための定位部と、定位部と所定の相対位置関係を保持して配設される、ガイドワイヤーの刺入方向をガイドするためのリード部とを備えるガイドワイヤー刺入補助具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−261485号公報
【特許文献2】特開平5−123335号公報
【特許文献3】特開平11−290337号公報
【特許文献4】特許第4231540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示する装置において、その図8に示すようものにあっては、基準ピン3の他にキャリパーピン18を設けることで、左右の穿孔位置間の幅を一対のピン3、18によって所定の寸法に設定することが可能である。しかし両ピン3、8の間には、該両ピン3、8の中間点を指し示すことができる基準線指示部が何ら設けられていない。このため、基準ピン3とキャリパーピン18との中間点を棘突起に一致させる作業が目分量によるものとなって、正確さに欠ける問題がある。即ち、棘突起の位置に前記一対のピン3、18の中間点を正確に一致させることができない問題があった。
【0006】
一方、特許文献2に開示する人工関節置換用手術器は、股臼の所定位置に半球状穴を掘削するための装置で、堀削用半球状リーマーの堀削中心の位置と堀削軸(堀削角度)を設定することができるものである。しかし基準線を棘突起に合わせるようなものではなく、また椎弓根に椎弓根スクリュー等の椎弓根挿入器具を挿入するためのガイド装置でもない。
【0007】
また、特許文献3に開示するガイドワイヤー刺入補助具は、ガイドワイヤーの進入路は目視不可能であり、その進入方向が特定できないために確実に環軸関節内を通過させることは困難であることに鑑みて、ガイドワイヤーが椎関節を貫通して椎骨の適切な方向に刺入され、螺子の埋設による脊椎固定が、施術者の熟練度や勘どころに依存することなく、容易且つ迅速に行えるものである。
【0008】
しかし、特許文献3のガイドワイヤー刺入補助具の場合、特許文献3の図1に示すように、連結部3につながるリード部4が固定された形状であるために、リード部4によりガイドされるガイドワイヤーの挿入位置の位置調整や挿入角度の角度調整合わせが簡便に行えるものではなかった。また、特許文献3のガイドワイヤー刺入補助具では、定位部の先端部を椎弓根上に置いて浅く刺入し骨上の滑り止めを回避しているので、椎弓根の骨組織を多少なりとも損傷させる可能性があった。
【0009】
また、特許文献4に開示する穿孔器具ガイド装置は、椎弓根に椎弓根スクリュー埋設用の下孔を形成する穿孔器具をガイドするための装置であって、椎弓に脊椎後方側から前方向に刺して基準となる基準ピンと、この基準ピンの基端側から側方へ延びるアーム体とからなり、このアーム体には基準ピン尖端位置に向かって開口し穿孔器具をガイドするガイド孔が形成され、このガイド孔は、基準ピンの尖端位置を中心として放射状に複数個形成されるものである。
【0010】
しかし、特許文献4の穿孔器具ガイド装置の場合、基準ピンの尖端位置が椎弓根基部に至る長さを有し、ガイド孔が基準ピンの尖端位置に向かって開口する構造をしていることから、使用に際しては、先ず、基準ピンの先端位置を骨内の目的点まで挿入した後に、ガイド孔に穿孔器具を通して基準ピンの尖端位置と接するまで刺入することになる。穿孔器具の刺入角度及び刺入深さを正確にガイドでき、精度及び安全性が格段に向上するものの、基準ピンによって椎弓根の骨組織を損傷させてしまうという問題がある。
また、特許文献4の穿孔器具ガイド装置の場合、ガイド孔は基準ピンの尖端位置を中心として放射状に複数個形成されているため、構造上、穿孔器具の刺入角度は段階的にしか調整することができず、穿孔器具の刺入角度の微調整が困難であるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来における問題点を解決し、椎弓根に椎弓根スクリュー等の椎弓根挿入器具を挿入する作業において、椎弓根の骨組織の損傷を与えずにガイド装置を安定させ、挿入位置と挿入角度をより正確にガイドすると共に、挿入位置と挿入角度の位置・角度合わせを簡便かつ確実に行えることができる椎弓根挿入器具ガイド装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、椎弓根に挿入する器具の挿入をガイドする椎弓根挿入器具ガイド装置であって、固定指示針と、該固定指示針との離間距離を設定調節する可動指示針と、該可動指示針と前記固定指示針との離間距離の丁度中間点に位置するようにリンク機構が組まれてなる基準線位置決めピンと、前記固定指示針が指し示す椎弓根の挿入位置に対して円弧状態を維持しながらスライドすることで椎弓根挿入器具の挿入角度を設定調節する挿入ガイド部とを有し、固定指示針の先端部を刺入点に当て、基準線位置決めピンを棘突起の位置に合わせ、固定指示針と可動指示針の双方の先端部を椎弓根の骨組織と当接させることにより骨組織に損傷を与えずガイド装置自体を安定させて、棘突起を基準とした椎弓根挿入器具の挿入位置と挿入角度をガイドするようにしたことを第1の特徴としている。
【0013】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第1の特徴に加えて、基準線位置決めピンのリンク機構は、同寸法からなる一対のリンク腕を設け、この一対のリンク腕の共通する1節に前記基準線位置決めピンを取り付け、各リンク腕の残る1節でそれぞれ固定指示針側と可動指示針側とにリンクさせてなることを第2の特徴としている。
【0014】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第1又は第2の特徴に加えて、基準線位置決めピンは、そのピンの向きを固定指示針と可動指示針との一対がなす平面に対して直角な方向にしてあることを第3の特徴としている。
【0015】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第1〜第3の何れかの特徴に加えて、固定指示針は、離間距離を示す目盛を備えた距離定規の原点位置に固定し、可動指示針は、前記距離定規に沿ってスライド自在とした可動ブロックに固定してあることを第4の特徴としている。
【0016】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第4の特徴に加えて、固定指示針は、固定ブロックを介して距離定規に固定し、この固定ブロックの前記固定指示針がある側とは反対側に操作用グリップを設けてあることを第5の特徴としている。
【0017】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第1〜第5の何れかの特徴に加えて、挿入ガイド部は、挿入角度を示す目盛を備えた角度定規の前記目盛に沿って設けられた円弧状取付穴に、スライド自在に取り付けられていることを第6の特徴としている。
【0018】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第6の特徴に加えて、上記角度定規は、挿入ガイド部のガイド溝の軸方向が常に固定指示針の先端に向けられた状態でスライドできるように、円弧状取付穴が形成されていることを第7の特徴としている。
【0019】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第6の特徴に加えて、上記角度定規の円弧状取付穴において、円弧の中心が固定指示針の先端になるように、円弧状取付穴が形成されていることを第8の特徴としている。
【0020】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第6の特徴に加えて、上記角度定規と上記距離定規が一体物として形成され、固定指示針の固定ブロックが距離定規の目盛ゼロの位置で固定され、角度定規の目盛が固定指示針と挿入ガイド部との角度を示すものであることを第9の特徴としている。
【0021】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第6の特徴に加えて、上記角度定規の目盛が、両面に設けられていることを第10の特徴としている。
【0022】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第1〜第5の何れかの特徴に加えて、挿入ガイド部は、ガイド溝の寸法や形状が異なるものに取替自在に取り付けられていることを第11の特徴としている。
【0023】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第1〜第5の何れかの特徴に加えて、固定指示針および可動指示針は、その先端が先細りにテーパー状にカットされ、骨組織と当接する部位が線となるように形成されていることを第12の特徴としている。
【0024】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第1〜第12の何れかの特徴に加えて、椎弓根に挿入する器具は、椎弓根スクリューであることを第13の特徴としている。
【0025】
また、本発明の椎弓根挿入器具ガイド装置は、上記第1〜第12の何れかの特徴に加えて、椎弓根に挿入する器具には、椎弓根に予め下穴を開ける場合には、その下穴を開ける下穴穿孔具を含むことを第14の特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
上記第1の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、例えば事前にCT画像等を用いて、椎弓根挿入器具を椎弓根に挿入する挿入位置と挿入角度等を決定する。この際、前記挿入位置については棘突起からの水平距離とする。そして可動指示針を移動させて、固定指示針との離間距離が前記水平距離の2倍となる位置にセットする。これによって、基準線位置決めピンがリンク機構により前記固定指示針と可動指示針との丁度中間点の位置に移動し、固定指示針との離間距離が前記水平距離になる。
【0027】
一方、挿入ガイド部をスライドさせて挿入ガイド部の角度を前記決定した挿入角度に合わせる。このようにして挿入位置と挿入角度の設定が完了すると、前記基準線位置決めピンを基準線である棘突起の真上の位置に合わせる。このとき固定指示針の先端が椎弓根上の挿入位置を指し示すと共に挿入ガイド部が挿入角度に保持された状態となる。
挿入ガイド部で椎弓根挿入器具の挿入をガイドさせながら作業することで、椎弓根挿入器具を所定の挿入位置且つ所定の挿入角度で挿入することができる。
【0028】
よって、上記第1の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、固定指示針の先端部を刺入点に当て、棘突起を基準とした椎弓根挿入器具の挿入位置と挿入角度をガイドする基準線位置決めピンを棘突起の位置に合わせ、固定指示針と可動指示針の双方の先端部を椎弓根の骨組織と当接させることにより、骨組織に損傷を与えずガイド装置自体を安定させることで、椎弓根に椎弓根挿入器具を挿入する際、その挿入位置と挿入角度をより正確にガイドすると共に、挿入位置と挿入角度の位置・角度合わせを簡便かつ確実に行えるのである。
【0029】
上記第2の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれは、上記第1の特徴の構成による作用効果に加えて、基準線位置決めピンのリンク機構は、同寸法からなる一対のリンク腕を設け、この一対のリンク腕の共通する1節に前記基準線位置決めピンを取り付け、各リンク腕の残る1節でそれぞれ固定指示針側と可動指示針側とにリンクさせてなるので、固定指示針に対して可動指示針を移動させると、前記一対のリンク腕の共通する1節が前記固定指示針と可動指示針との離間距離の丁度中間位置に移動し、基準線位置決めピンを常に前記丁度中間地点に位置付けることができる。
【0030】
よって固定指示針と可動指示針との離間距離を、棘突起の位置から椎弓根挿入器具の挿入位置までの水平距離の2倍になるように可動指示針を移動させることで、固定指示針と基準線位置決めピンとの水平距離を、自動的に棘突起の位置から椎弓根挿入器具の挿入位置までの水平距離に設定することができる。
よって基準線位置決めピンを棘突起の位置に合わせることで、椎弓根挿入器具の挿入位置を固定指示針により正確に且つ簡単、確実に指し示すことができる。
【0031】
上記第3の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれは、上記第1の特徴又は第2の特徴の構成による作用効果に加えて、基準線位置決めピンは、そのピンの向きを固定指示針と可動指示針の一対がなす平面に対して直角な方向にしてあるので、椎骨の背面に立設された状態に配置される固定指示針と可動指示針とに対して、基準線位置決めピンを棘突起の稜線に容易、確実に位置合わせすることができる。
【0032】
上記第4の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第1の特徴〜第3の特徴の何れかの構成による作用効果に加えて、固定指示針は、離間距離を示す目盛を備えた距離定規の原点位置に固定し、可動指示針は、前記距離定規に沿ってスライド自在とした可動ブロックに固定してあるので、可動ブロックを距離定規に沿ってスライドさせることで、目盛りの原点位置にある固定指示針に対して可動指示針を所定目盛位置まで移動させるだけで、容易に固定指示針と可動指示針との離間距離、並びに固定指示針と基準線位置決めピンとの距離を設定することができる。
【0033】
上記第5の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第4の特徴の構成による作用効果に加えて、固定指示針は、固定ブロックを介して距離定規に固定し、この固定ブロックの前記固定指示針がある側とは反対側に操作用グリップを設けてあるので、このガイド装置を操作する場合、固定ブロックに取り付けた操作用グリップを手に持って操作することで、固定ブロックの反対側にある固定指示針を手の先端側において直接的に操作することができ、容易な扱いにて正確な操作が確保できる。
【0034】
上記第6の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第1の特徴〜第5の特徴の何れかの構成による作用効果に加えて、挿入ガイド部は、挿入角度を示す目盛を備えた角度定規の前記目盛に沿って設けられた円弧状取付穴に、スライド自在に取り付けられているので、挿入ガイド部を円弧状取付穴内にスライドさせることで容易に挿入角度を所定の角度に設定することができる。よって挿入角度を設定した挿入ガイド部により椎弓根挿入器具の挿入をガイドするようにすることで、所定角度での挿入を容易に行うことができる。
【0035】
上記第7の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第6の特徴の構成による作用効果に加えて、角度定規は、挿入ガイド部のガイド溝の軸方向が常に固定指示針の先端に向けられた状態でスライドできるように、円弧状取付穴が形成されているので、固定指示針の先端が椎弓根に当接した状態において、椎弓根に挿入する器具を固定指示針の先端位置に確実に挿入することができる。
【0036】
上記第8の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第6の特徴の構成による作用効果に加えて、角度定規の円弧状取付穴において、円弧の中心が固定指示針の先端になるように、円弧状取付穴が形成されているので、固定指示針の先端が椎弓根に当接した状態において、椎弓根に挿入する器具を固定指示針の先端位置に確実に挿入することができる。
【0037】
上記第9の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第6の特徴の構成による作用効果に加えて、角度定規と上記距離定規が一体物として形成され、固定指示針の固定ブロックが距離定規の目盛ゼロの位置で固定されていることから、角度定規の目盛が固定指示針と挿入ガイド部との角度を丁度示すことになる。
【0038】
上記第10の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第6の特徴の構成による作用効果に加えて、角度定規の目盛が両面に設けられているので、実際の術中において角度定規の表側と裏側から角度を確認することができ、角度調整ミスなどのヒューマンエラーを低減することができる。
【0039】
上記第11の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第1の特徴〜第5の特徴の何れかの構成による作用効果に加えて、挿入ガイド部は、ガイド溝の寸法や形状が異なるものに取替自在に取り付けられているので、ガイド溝の寸法や形状が異なった複数種類を用意して、椎弓根挿入器具の種類に応じて取り替えることができる。
【0040】
上記第12の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第1の特徴〜第5の特徴の何れかの構成による作用効果に加えて、固定指示針および可動指示針は、その先端が先細りにテーパー状にカットされ、骨組織と当接する部位が線となるように形成されているので、骨組織の損傷を防ぐことができる。
【0041】
上記第13の特徴の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第1の特徴〜第12の特徴の何れかの構成による作用効果に加えて、椎弓根に挿入する器具は、椎弓根スクリューであるので、椎弓根スクリューの挿入位置と挿入角度を正確にガイドすることができる。
【0042】
上記第14の特徴に記載の椎弓根挿入器具ガイド装置によれば、上記第1の特徴〜第12の特徴の何れかの構成による作用効果に加えて、椎弓根に挿入する器具には、椎弓根に予め下穴を開ける場合には、その下穴を開ける下穴穿孔具を含むことにより、下穴穿孔具の挿入位置と挿入角度を正確にガイドすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る椎弓根挿入器具ガイド装置の表側を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る椎弓根挿入器具ガイド装置の裏側を示す全体斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る椎弓根挿入器具ガイド装置の正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る椎弓根挿入器具ガイド装置の平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る椎弓根挿入器具ガイド装置のA矢視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る椎弓根挿入器具ガイド装置のB矢視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る椎弓根挿入器具ガイド装置のC矢視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る椎弓根挿入器具ガイド装置の使い方を説明する椎弓根付近の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下の図面を参照して、本発明に係る椎弓根挿入器具ガイド装置を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実用新案登録請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
【0045】
先ず、図8を参照し、本発明に係る椎弓根挿入器具ガイド装置は、椎弓根の所定の挿入位置Xに、所定の挿入角度θで、椎弓根挿入器具Kである椎弓根スクリューを挿入するガイド装置である。通常は椎弓根挿入器具Kを棘突起の両側に一対で挿入するため、前記挿入位置Xは一対の挿入位置X1、X2となり、挿入角度θも一対の挿入角度θ1、θ2となる。この一対の挿入位置X1、X2及び挿入角度θ1、θ2は、通常は棘突起を中心として鏡面対称の位置、角度とする。勿論、挿入位置X1、挿入角度θ1と挿入位置X2、挿入角度θ2とは、骨格の状況等により鏡面対称としない場合もある。
椎根弓挿入器具Kは椎弓根挿入器具ガイド装置によってガイドされ、所定の挿入位置X1(X2)において所定の挿入角度θ1(θ2)で椎弓根に挿入される。
【0046】
図1〜図7を参照して、本実施形態に係る椎弓根挿入器具ガイド装置1は、固定指示針10と、これに対として設けられる可動指示針20と、基準線位置決めピン30を有し、基準線位置決めピン30にはリンク機構40が組み合わされている。また椎弓根挿入器具ガイド装置1は、前記固定指示針10を固定すると共に前記可動指示針20をスライドさせる距離定規50を有し、更に挿入ガイド部60と、該挿入ガイド部60をスライドさせる角度定規70を有する。
椎弓根挿入器具ガイド装置1の操作は、操作用グリップ80を手で持って行うことができる。
【0047】
前記固定指示針10は、固定ブロック11を介して前記距離定規50に固定されている。その固定指示針10の固定位置は、距離定規50の距離目盛51の原点位置(目盛=0)、即ち距離=0として目盛られている目盛線の位置である。
固定指示針10は、長方形状の距離定規50に垂直(距離目盛51の目盛線に平行)な直伸針で構成されている。固定指示針10の先端は、それが椎弓根に突き刺すことがないように、多少の幅と長さをもって構成され、且つ前記距離目盛51の原点位置を示す目盛線に一致するように構成されている。
なお、距離目盛51は、図1には現れているが図2には現れていない。これに限定されるものではなく、図2の符号54の部分にも距離目盛を設けてもかまわない。このように、距離定規50の両面に距離目盛51を設けることにより、実際の術中において距離定規50の表側と裏側から距離を確認することができ、離間距離の調整ミスなどのヒューマンエラーを低減することができる。
【0048】
固定指示針10は、例えばステンレス鋼で構成することができる。
固定指示針10は、固定ブロック11の一部に設けられた取付穴11aに通された状態で、図示しないネジ等の固定手段で固定されている。
固定ブロック11は、前記距離定規50に外嵌合した状態で、図示しないネジ等の固定手段で距離定規50に固定されている。
固定指示針10は固定ブロック11に対して、その進出量を調整できるようにしてもよい。
【0049】
前記可動指示針20は、前記距離定規50に沿ってスライド自在な可動ブロック21に対して固定されている。
可動指示針20は、前記固定指示針10の場合と同様に、可動ブロック21の一部に設けられた取付穴21aに通された状態で、図示しないネジ等の固定手段で固定されている。
可動ブロック21は、長方形状の距離定規50に外嵌合した状態で、その距離定規50の長手方向である距離目盛51の方向に進退自在にスライドすることができるようになされている。
【0050】
可動ブロック21には、止めネジ22が設けられている。この止めネジ22により、可動ブロック21が所定の位置(距離目盛51の所定の目盛位置)までスライドした状態で、自在に可動ブロック21を固定することができる。これによって固定指示針10と可動指示針20との離間距離2Wを自在に設定調節することができる。
可動指示針20は、前記固定指示針10の場合と同様に、長方形状の距離定規50の距離目盛51の方向に垂直(距離目盛51の目盛線に平行)な直伸針で構成されている。可動指示針20の先端は、それが椎弓根に突き刺すことがないように、多少の幅と長さをもって構成され、且つ前記距離目盛51の目盛線に対して平行する(一致を含む)ように構成されている。
【0051】
可動指示針20は固定指示針10と同じ材料、例えばステンレス鋼で構成することができる。
可動指示針20は、可動ブロック21に対してその進出量が、前記固定指示針10の進出量と同じになるようにしている。
勿論、可動指示針20も固定指示針10の場合と同様に、可動ブロック21に対してその進出量を調整できるようにしてもよい。
【0052】
以上のようにして、固定指示針10と可動指示針20を構成することで、固定指示針10と可動指示針20とが、平行で且つ同じ進出長さを持つ一対の指示針10、20となる。これによって、椎骨の左右にある椎弓根に対して、一対となった固定指示針10と可動指示針20とを垂直な姿勢でバランスよく当接させ或いは接近状態に保持させることができる。
固定指示針10および可動指示針20は、それぞれの先端部(14,24)が先細りにテーパー状にカットされ、骨組織と当接する部位が線となるように形成されているので、骨組織に刺すことなく骨組織の損傷が生じない。例えば、図6に示すように、可動指示針20の先端部24は、先細りにテーパー状にカットされ(25b)、骨組織と当接する部位が線になっている(24a)。
【0053】
前記基準線位置決めピン30は、該基準線位置決めピン30が示す基準線を棘突起T(図8参照)の稜線の位置に合わせるためのピンである。この基準線位置決めピン30は、そのピンの向きを固定指示針10と可動指示針20との一対がなす平面に対して直角な方向にしてある。
基準線位置決めピン30は、細長い真っ直ぐな丸棒で構成されている。
基準線位置決めピン30は、その位置が前記固定指示針10と可動指示針20との間の距離、即ち離間距離2Wの丁度中間点に位置するように、リンク機構40が組まれている。
【0054】
前記リンク機構40は、同寸法からなる一対のリンク腕41、42を備えている。この一対のリンク腕41、42はV字状に配されており、両リンク腕41、42が重なる共通の1節41a、42aには、枢軸として基準線位置決めピン30が貫通して取り付けられている。
【0055】
一方のリンク腕41の残る1節41bは、前記固定ブロック11のうち前記固定指示針10に対応する位置に枢支される。もう1つのリンク腕42の残る1節42bは、前記可動ブロック21のうち前記可動指示針20に対応する位置に枢支される。
リンク腕41、42の共通する節41a、42aと残る節41b及び節42bまでの距離を同じにすることで、固定指示針10、可動指示針20、一対のリンク腕41、42がM字状にリンクされ、そのM字の中心の節41a、42aに基準線位置決めピン30が位置付けられる。
そして、可動ブロック21を距離定規50に沿ってスライドさせると、基準線位置決めピン30は、前記可動ブロック21のスライド量の半分の距離だけ移動して、常に固定指示針10と可動指示針20との離間距離2Wの丁度中間点に位置する。
【0056】
距離定規50は、前記固定指示針10と可動指示針20との離間距離2Wを表示する距離目盛51を長手方向に目盛った定規であり、且つ前記固定指示針10の固定ブロック11を固定すると共に前記可動指示針20の可動ブロック21をスライド自在に嵌合させるための基体である。
距離定規50は長方形状に構成する。この長方形状の距離定規50は、前記固定ブロック11に貫通した状態で、固定ブロック11に外嵌合され、不動状態に固定されている。また距離定規50は、前記可動ブロック21に貫通した状態で、可動ブロック21に外嵌合され、スライド自在とされている。
距離目盛51は、例えばmm単位で目盛ることができる。また目盛は原点である0から10cmまでとすることができる。が、これに限定されるものではない。
【0057】
挿入ガイド部60は、椎弓根に挿入する器具である椎弓根挿入器具Kをガイドする部材である。該挿入ガイド部60は、椎弓根挿入器具Kを椎弓根表面の挿入位置に向けて、所定の挿入角度となるようにガイドする。
挿入ガイド部60は、角度定規70の角度目盛71に沿って設けられた円弧状取付穴72にスライド自在に嵌め込まれて取り付けられている。
挿入ガイド部60自身は、断面が円弧状の溝を直線状に細長く形成したガイド溝61を長手方向に備えたブロック体からなる。このブロック体の裏側の一部で前記円弧状取付穴72に嵌り込むことで、ガイド溝61をスライド自在に移動できるように構成されている。
ガイド溝61は常に前記固定指示針10の先端に向けられた状態に保持される。これによってガイド溝61は、固定指示針10の先端が椎弓根に当接した状態において、挿入位置X(図8参照)に確実に向けられることになる。
なお、角度目盛71は、図1には現れているが図2には現れていない。これに限定されるものではなく、図2の符号74の部分にも角度目盛を設けてもかまわない。このように、角度定規70の両面に角度目盛71を設けることにより、実際の術中において角度定規70の表側と裏側から角度を確認することができ、角度調整ミスなどのヒューマンエラーを低減することができる。
【0058】
挿入ガイド部60は、止めネジ62により、円弧状取付穴72の所定のスライド位置(角度目盛71の所定の目盛位置)までスライドした状態で、自在に不動状態に固定することができる。これによって挿入ガイド部60のガイド溝61の角度、即ちガイド溝61によってガイドされる椎弓根挿入器具Kの挿入角度θを自在に設定調節することができる。
なお挿入ガイド部60は、例えばガイド溝61の寸法や形状が異なった複数種類を用意して、椎弓根挿入器具Kの種類に応じて取り替えることができるようにしてもよい。
【0059】
図8も参照して、前記椎弓根挿入器具Kは、例えば腰椎後方進入椎体間固定術(PLIF)に用いられる椎弓根スクリューK1が該当する。より正確には、椎弓根スクリューK1のドライバーK2が該当する。
椎弓根スクリューK1は、前記腰椎後方進入椎体間固定術(PLIF)において、椎弓根に挿入される器具で、脊髄、神経根、血管等を避けた状態で挿入する必要があるため、通常一対の椎弓根の位置を挿入位置X(X1、X2)とすると共に、その一対の挿入位置X1、X2において所定の挿入角度θ(θ1、θ2)を定めて挿入する。前記挿入位置X(X1、X2)及び挿入角度θ(θ1、θ2)は、患者毎にX線CT写真を撮るなどして、個別に決定することになる。
【0060】
椎弓根スクリューK1のドライバーK2は、椎弓根スクリューK1を現に挿入位置X(X1、X2)において椎弓根にねじ込むための器具である。このドライバーK2が前記挿入ガイド部60のガイド溝61によって、所定の挿入位置Xに向けて所定の挿入角度θにガイドされることで、椎弓根スクリューK1が所定の挿入位置Xから所定の挿入角度θで椎弓根に挿入されることになる。
【0061】
また、椎弓根挿入器具Kは、前記椎弓根スクリューK1を挿入するための下穴を予め穿孔する場合には、図示しない下穴穿孔針であってもよい。この場合には下穴穿孔針が前記挿入ガイド部60のガイド溝61によってガイドされ、所定の挿入位置Xから所定の挿入角度θで下穴が開けられる。そしてその後、椎弓根スクリューK1がそのドライバーK2でガイドされて同様に挿入される。
【0062】
前記角度定規70は、前記挿入ガイド部60による挿入角度θを設定するための定規で、挿入角度を設定する角度目盛71を備えている。
前記角度目盛71は、前記円弧状取付穴72がなす円弧と同心の円弧上に表示されている。つまり前記固定指示針10と前記挿入ガイド部60のガイド溝61の中心軸線とがなす角度、即ち挿入角度θを、角度目盛71が表すようにしている。
角度目盛り71の間隔は、例えば1目盛が角度2度として、5度〜40度まで目盛っている。が、これらに限定されるものではない。
以上のように構成することで、挿入ガイド部60を円弧状取付穴72に沿って自由にスライドさせることで、挿入角度θを自在の角度に設定調節することができる。
【0063】
なお、前記角度定規70は前記距離定規50と一体物として構成することができる。この場合には、前記固定指示針10の固定ブロック11を距離定規50の距離目盛51がゼロの位置で固定することで、角度定規70も同時に固定することになると共に、角度定規70の角度目盛71が固定指示針10と挿入ガイド部60との角度を丁度示すことになる。
一方、角度定規70を距離定規50とは別体に構成することもできる。この場合には、角度定規70を、距離定規50とは別に固定指示針10の固定ブロック11と固定する構成となる。
【0064】
前記操作用グリップ80は、本椎弓根挿入器具ガイド装置1を手で持って操作するためのグリップである。操作用グリップ80は、前記固定指示針10が取り付けられている側とは反対側の前記固定ブロック11上面に垂直に立設して取り付けられている。この操作用グリップ80は、固定指示針10に近くに設けられることで固定用指示針10による指示操作が容易となる。
【0065】
次に、椎弓根挿入器具ガイド装置1を用いた操作について説明する。
図8を参照して、椎間板付近のコンピュータ断層撮影(CT)等により得た画像データを用いて、椎弓根挿入器具Kである椎弓根スクリューK1等の挿入位置X(X1)と挿入角度θ(θ1)を決定する。そして前記CT画像から棘突起Tの頂点を通る稜線を中心線T1として、該中心線T1から挿入位置X(X1)までの水平距離Wを測定する。
【0066】
前記挿入位置X(X1)までの水平距離Wと挿入角度θ(θ1)が決まると、前記可動指示針20を距離定規50上を移動させ、前記可動指示針20の位置が距離目盛51の前記水平距離Wの2倍となる位置に設定調節する。そして、その位置で止めネジ22により可動指示針20を不動状態にする。一方、挿入ガイド部60を角度定規70上を移動させ、挿入ガイド部60が角度目盛71の前記挿入角度θ(θ1)の位置になるように設定する。
【0067】
上記のようにして、前記可動指示針20の距離目盛51上の位置が設定されると共に挿入ガイド部60の角度目盛71上の位置が設定されると、作業者は操作用グリップ80を持って前記基準線位置決めピン30を前記棘突起Tの頂点を通る稜線に一致させると共に、一対の固定指示針10と可動指示針20とを両側の一対の椎弓根に上方から垂直に当接させる。この際、固定指示針10と可動指示針20とは、平行で且つ同長としているので、固定指示針10と可動指示針20とをバランスよく垂直状態に立設させることができる。
【0068】
上記のようにして固定指示針10が椎弓根に当接する地点が挿入位置X(X1)となるので、作業者はその挿入位置X(X1)に椎弓根スクリューK1の先端を当て、前記挿入角度に設定された挿入ガイド部60のガイド溝61によってドライバーK2をガイドしながら、該ドライバーK2で椎根弓スクリューK1をねじ込んで挿入していく。
前記椎弓根スクリューK1の挿入の際には、CT画像を見ながら、前記挿入角度θ(θ1)がなす面とは直角な面における傾きを同時に調整しながら挿入していくことになる。
【0069】
前記挿入位置X1における椎弓根スクリューK1の挿入が終れば、次に挿入位置X2における椎弓根スクリューK1の挿入作業を行う。
この挿入位置X2及び挿入角度θ2が、前記挿入位置X1及び挿入角度θ1と棘突起Tを中心とした鏡面対称をなす場合は、前記可動指示針20の位置や挿入ガイド部60の位置を変更する必要がない。この場合には、椎弓根挿入器具ガイド装置1を基準線位置決めピン30を中心に反転させ、固定指示針10が前記挿入位置X2を指し示すようにすればよい。後の操作は上記した操作と同じである。
【0070】
一方、挿入位置X2や挿入角度θ2が挿入位置X1や挿入角度θ1と異なる場合は、改めて画像データから、挿入位置X2と挿入角度θ2を決定し、可動指示針20、挿入ガイド部60を移動させて設定調節することになる。後の操作は上記した操作と同じである。
【0071】
また、椎弓根挿入器具Kが下穴穿孔針である場合にも、椎弓根挿入器具ガイド装置1の操作は上記椎弓根スクリューK1の場合と同様に行うことができる。この場合は、細長い下穴穿孔針そのものが挿入ガイド部60によってガイドされることになる。下穴が開くと、前記下穴穿孔針は抜かれる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、椎弓根に椎弓根スクリュー等の椎弓根挿入器具を挿入するのをガイドする椎弓根挿入器具ガイド装置として、腰椎後方進入椎体間固定術(PLIF)等の医療に関する医療産業や医療器具産業での利用可能性が大である。
【符号の説明】
【0073】
1 椎弓根挿入器具ガイド装置
10 固定指示針
11 固定ブロック
11a 取付穴
14 先端部
20 可動指示針
21 可動ブロック
21a 取付穴
22 止めネジ
24 先端部
30 基準線位置決めピン
40 リンク機構
41 リンク腕
41a 1節
41b 1節
42 リンク腕
42a 1節
42b 1節
50 距離定規
51 距離目盛
60 挿入ガイド部
61 ガイド溝
62 止めネジ
70 角度定規
71 角度目盛
72 円弧状取付穴
80 操作用グリップ
K 椎弓根挿入器具
K1 椎弓根スクリュー
K2 ドライバー
X 挿入位置
X1 挿入位置
X2 挿入位置
θ 挿入角度
θ1 挿入角度
θ2 挿入角度
T 棘突起
T1 棘突起の中心線
W 離間距離


【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎弓根に挿入する器具の挿入をガイドする椎弓根挿入器具ガイド装置であって、
固定指示針と、
該固定指示針との離間距離を設定調節する可動指示針と、
該可動指示針と前記固定指示針との離間距離の丁度中間点に位置するようにリンク機構が組まれてなる基準線位置決めピンと、
前記固定指示針が指し示す椎弓根の挿入位置に対して円弧状態を維持しながらスライドすることで椎弓根挿入器具の挿入角度を設定調節する挿入ガイド部と、
を有し、
前記固定指示針の先端部を刺入点に当て、前記基準線位置決めピンを棘突起の位置に合わせ、該固定指示針と前記可動指示針の双方の先端部を椎弓根の骨組織と当接させることにより骨組織に損傷を与えずガイド装置自体を安定させて、棘突起を基準とした椎弓根挿入器具の挿入位置と挿入角度をガイドするようにしたことを特徴とする椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項2】
前記基準線位置決めピンの前記リンク機構は、同寸法からなる一対のリンク腕を設け、この一対のリンク腕の共通する1節に前記基準線位置決めピンを取り付け、各リンク腕の残る1節でそれぞれ前記固定指示針側と前記可動指示針側とにリンクさせてなることを特徴とする請求項1に記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項3】
前記基準線位置決めピンは、そのピンの向きを前記固定指示針と前記可動指示針との一対がなす平面に対して直角な方向にしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項4】
前記固定指示針は、離間距離を示す目盛を備えた距離定規の原点位置に固定し、前記可動指示針は、前記距離定規に沿ってスライド自在とした可動ブロックに固定してあることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項5】
前記固定指示針は、固定ブロックを介して前記距離定規に固定し、この固定ブロックの前記固定指示針がある側とは反対側に操作用グリップを設けてあることを特徴とする請求項4に記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項6】
前記挿入ガイド部は、挿入角度を示す目盛を備えた角度定規の前記目盛に沿って設けられた円弧状取付穴に、スライド自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項7】
前記角度定規は、前記挿入ガイド部のガイド溝の軸方向が常に前記固定指示針の先端に向けられた状態でスライドできるように、前記円弧状取付穴が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項8】
前記角度定規の前記円弧状取付穴において、円弧の中心が前記固定指示針の先端になるように、前記円弧状取付穴が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項9】
前記角度定規と前記距離定規が一体物として形成され、前記固定指示針の前記固定ブロックが前記距離定規の目盛ゼロの位置で固定され、前記角度定規の目盛が前記固定指示針と前記挿入ガイド部との角度を示すものであることを特徴とする請求項6に記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項10】
前記角度定規の前記目盛が、両面に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項11】
前記挿入ガイド部は、ガイド溝の寸法や形状が異なるものに取替自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項12】
前記固定指示針および前記可動指示針は、その先端が先細りにテーパー状にカットされ、骨組織と当接する部位が線となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項13】
椎弓根に挿入する器具は、椎弓根スクリューであることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。
【請求項14】
椎弓根に挿入する器具には、椎弓根に予め下穴を開ける場合には、その下穴を開ける下穴穿孔具を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の椎弓根挿入器具ガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−85998(P2012−85998A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31251(P2011−31251)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3165179号
【原出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【特許番号】特許第4810698号(P4810698)
【特許公報発行日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(303026235)株式会社湊川金属テストピース製作所 (7)
【Fターム(参考)】