説明

検体処理システム

【課題】精度管理検体の測定に伴う使用者の負担を従来より軽減させることが可能な検体処理システムを提供する。
【解決手段】検体処理システム1は、システム制御装置8を備えている。システム制御装置8は、精度管理検体収納部61に収納された精度管理検体の有効期限が切れた場合、情報処理ユニット52にその旨を通知し、情報処理ユニット52は、警告画面を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を測定する複数の測定部へ検体を搬送する検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体を自動的に測定部に搬送する検体処理システムが知られている。このような検体処理システムの測定部は、定期的に精度管理検体を測定し、測定結果が正しく得られることを確認する必要がある。また、検体処理システムの使用者が精度管理検体を測定する負担を軽減するための技術として、特許文献1記載の血液検体搬送分析システムも知られている。特許文献1記載の血液検体搬送分析システムには、精度管理検体を収容する保冷庫が備えられており、精度管理検体は、この保冷庫から搬送路を介して自動的に分析装置に搬送され、測定される。これにより、使用者が精度管理検体を測定する負担が軽減される。
【特許文献1】特開2005−274289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような検体処理システムに用いられる精度管理検体には、有効期限がある。しかしながら、上記特許文献1の血液検体搬送分析システムでは、精度管理検体の有効期限について全く考慮されておらず、有効期限が切れた精度管理検体を測定してしまうことを防ぐために、システムの使用者が定期的に精度管理検体の有効期限を確認する必要があり、使用者の負担軽減が十分ではなかった。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、精度管理検体の測定に伴う使用者の負担を従来より軽減させることが可能な検体処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の一の態様の検体処理システムは、検体を測定する測定部と、前記測定部に検体を搬送する搬送部と、前記測定部によって測定される所定の成分を所定量含む精度管理検体を収容し、冷却する冷却部と、前記冷却部から前記搬送部に前記精度管理検体を移送するとともに、前記搬送部から前記冷却部に前記精度管理検体を移送する移送部と、前記精度管理検体の有効期限を記憶する有効期限記憶手段と、前記有効期記憶得手段によって記憶された有効期限に基づいて、前記精度管理検体の有効期限が切れた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える。
【0006】
この態様においては、前記精度管理検体が有効期限切れである場合に、前記測定部による該精度管理検体の測定を禁止する測定禁止手段をさらに備えることが好ましい。
【0007】
また、上記態様においては、前記精度管理検体が有効期限切れである場合に、該精度管理検体を前記冷却部から前記搬送部に自動的に移送するよう、前記移送部を制御する移送制御手段をさらに備えることが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記搬送部に接続され、前記測定部によって測定された検体を収容する検体収容部と、前記精度管理検体が有効期限切れである場合に、前記移送手段によって前記冷却部から前記搬送部に移送された精度管理検体を、前記収容部に搬送するよう、前記搬送部を制御する搬送制御手段と、をさらに備えることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記精度管理検体を識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記識別情報取得手段によって取得された識別情報に基づいて前記精度管理検体の有効期限を取得する有効期限取得手段とをさらに備えることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記有効期限取得手段は、前記識別情報取得手段によって取得された識別情報を、ネットワークを介してサーバコンピュータに送信し、該サーバコンピュータから前記精度管理検体の有効期限を取得することが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、システム全体をシャットダウンする第1シャットダウンと、前記冷却部を除くシステム全体をシャットダウンする第2シャットダウンとを選択的に実行するシャットダウン手段をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記冷却部は、前記精度管理検体を収納する精度管理検体収納部と、前記測定部によって測定された検体を収納する検体収納部とを備え、前記精度管理検体を前記精度管理検体収納部に移送し、前記測定部によって測定された検体を前記検体収納部に移送するよう、前記移送部を制御する移送制御手段をさらに備えることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記精度管理検体の投入を受け入れる受入部と、前記受入部に受け入れられた前記精度管理検体を前記測定部に搬送し、測定された精度管理検体を前記冷却部に搬送するよう、前記搬送部を制御する搬送制御手段と、前記搬送部によって前記冷却部に搬送された前記精度管理検体を前記冷却部に移送するよう、前記移送部を制御する移送制御手段と、をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る検体処理システムによれば、精度管理検体の測定に伴う使用者の負担を従来よりも軽減させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、精度管理検体の有効期限を取得し、取得した有効期限に基づいて有効期限切れの精度管理検体が冷却ユニットに収容されている場合に警告を出力する検体処理システムである。
【0016】
(第1実施形態)
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、冷却ユニット6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークNW(インターネットNW)を介してサーバコンピュータ9と通信可能に接続されている。
【0017】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、2つの検体送出ユニット21a,21bと、当該2つの検体送出ユニット21a,21bの間に配置されたバーコード読取ユニット22とを備えている。当該検体投入装置2の検体送出ユニット21a,21bは、複数の検体容器を収納したサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼付されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。また、検体投入装置2の制御部は、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット21bに搬送され、検体送出ユニット21bから検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0018】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0019】
また、精度管理検体は、検体容器Tと同形状の容器に収容されており、蓋部CPにより密封されている。精度管理検体には、血球分析装置5で測定される赤血球、白血球などの所定の成分が予め決められた量だけ含まれている。精度管理検体を収容する検体容器に貼付されるバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されており、この検体IDには、精度管理検体であることを示すコードが含まれている。これによって、検体IDによって、検体容器に収容されている検体が、被験者の血液検体であるか、精度管理検体であるかを識別できるようになっている。
【0020】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0021】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0022】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0023】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0024】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図4参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図4参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0025】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0026】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0027】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部321に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0028】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0029】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0030】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0031】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3又は301へそのまま搬出される。
【0032】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、冷却ユニット6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0033】
試料搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。冷却ユニット6に近接するラック搬送路302aは、冷却ユニット6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、冷却ユニット6から離れたラック搬送路302bは、冷却ユニット6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0034】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0035】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0036】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0037】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0038】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0039】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0040】
試料調製部512は、染色試薬を収容する試薬容器512a、溶血剤を収容する試薬容器512b、及び希釈液を収容する試薬容器512cにチューブを介して接続されている。また、試料調製部512には、図示しないコンプレッサに接続されており、当該コンプレッサに発生される圧力により試薬容器512a,512b,512cからそれぞれの試薬を分取することが可能となっている。これらの試薬容器512a,512b,512cには、それぞれバーコードラベルが貼付されており、これらのバーコードラベルに試薬種類(試薬名)、ロット番号、製造日、有効期限の情報がバーコードとして記録されている。
【0041】
測定ユニット51には、試薬バーコード読取部517が設けられている。かかる試薬バーコードリーダ517はハンディバーコードリーダであり、試薬バーコードの読み取りの際には、オペレータがバーコード読取部517を持って試薬容器512a,512b,512cのバーコードを読み取らせる。このようにして読み取った試薬種類、ロット番号、製造日、有効期限の情報は、情報処理ユニット52へ送信される。
【0042】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類の検出を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、試薬容器512aに収容された染色試薬と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0043】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0044】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置511aへ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0045】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0046】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用並びに測定ユニット51及び搬送機構31の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0047】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0048】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0049】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0050】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0051】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0052】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0053】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0054】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0055】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0056】
<冷却ユニット6の構成>
冷却ユニット6は、コンベア302のラック搬送路302aに搬送されたサンプルラックLから検体容器を抜き出し、内部に移送し、冷却収納する。
図1に示すように、冷却ユニット6は、精度管理検体を冷却収納するための精度管理検体収納部61と、被験者の血液検体のうち、冷却保管の必要なものを冷却収納するための血液検体収納部62と、精度管理検体および血液検体を、ラック搬送路302a上のサンプルラックLから精度管理検体収納部61又は血液検体収容部62に移送するとともに、精度管理検体収納部61又は血液検体収納部62からラック搬送路302a上のサンプルラックLに移送する移送機構部63と、精度管理検体収納部61および血液検体収納部62に収納された検体容器のバーコードを読み取るためのバーコード読取ユニット64と、制御部65と、を備えている。
【0057】
精度管理検体収納部61は、内部に検体容器を収納可能なボックス61aを有し、該ボックス61aには精度管理検体を収容した検体容器Tを出し入れするための開閉可能な2つの開口61cが設けられている。また、ボックス61aのバーコード読取ユニット64側の側壁には、バーコード読取ユニット64によるボックス61a内の検体容器Tのバーコードが読み取り可能となるよう、透明な窓が設けられている。また、ボックス61aの底部には、ボックス61a内部を冷却するための冷却機構61bが設けられている。さらに、ボックス61aの底部には、検体容器Tを矢印Aに沿って設けられた搬送路上で往復搬送するための搬送機構(図示せず)が設けられている。また、この搬送機構は、検体容器Tを矢印Dに沿って設けられた搬送路上で往復搬送することも可能に構成されている。これによって、任意の検体容器Tをボックス61aから取り出すことが可能となる。搬送路302aに搬送された検体容器Tは、移送機構部63によって把持され、左側の開口61cを介してボックス61aの内部に移送され、ボックス61a内部にセットされる。内部にセットされた検体容器Tは、搬送機構によって位置61dまで搬送され、この位置でバーコード読取ユニット64によってバーコードが読み取られる。また、搬送路302a上のサンプルラックLに移送される検体容器Tは、右側の開口61cの下方まで搬送され、この位置から移送機構部63によってサンプルラックLに移送される。血液検体収納部62は、精度管理検体収納部61と同様の構成を有するので、その詳細説明を省略する。移送機構部63は、検体容器Tを把持可能なハンド部(図示せず)を備えており、このハンド部を上下方向および水平方向に移動させることにより、検体容器を移送するように構成されている。バーコード読取ユニット64は、精度管理検体収納部61および血液検体収納部62に収納された検体容器のバーコードを読み取ることが可能なように、冷却ユニット6内を移動可能に構成されている。制御部65は、CPU,ROM,及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された冷却ユニット6の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部65は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御部8にそれぞれ通信可能に接続されている。そして、制御部65は、精度管理検体収納部61および血液検体収納部62による検体の冷却、移送機構部63による検体容器の移送、バーコード読取ユニット64によるバーコードの読み取りのそれぞれを制御する。
【0058】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0059】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0060】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0061】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0062】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0063】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0064】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0065】
<サーバコンピュータ9の構成>
サーバコンピュータ9は、検体処理システム1の供給元の施設などに配置されており、インターネットNWを介して検体処理システム1と接続されている。サーバコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、インターネットNWに接続されており、システム制御装置8、血球分析装置5の情報処理ユニット52、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4と通信することが可能である。また、ハードディスクには、精度管理検体のロット番号および有効期限が、精度管理検体の検体IDと対応付けられて記憶されている。図14は、サーバコンピュータ9のハードディスクに記憶される有効期限テーブル90の構成を示す図である。この図に示すように、有効期限テーブル90には、精度管理検体の検体IDを記憶するための検体ID領域Iと、精度管理検体のロット番号を、検体IDと対応付けて記憶するためのロット番号領域Jと、精度管理検体の有効期限を、検体IDおよびロット番号と対応付けて記憶するための有効期限領域Kとが設けられている。検体ID領域I、ロット番号領域J、および有効期限領域Kには、新たなロット番号を有する精度管理検体が製造される度に、検体システム1の供給元の担当者がサーバコンピュータ9の入力部を介して情報を登録する。サーバコンピュータ9は、他の装置から精度管理検体の検体IDを受信したときには、この検体IDに対応するロット番号および有効期限をハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
〔精度管理検体測定動作1〕
まず、冷却ユニット6の精度管理検体収納部61に収納された精度管理検体を自動的に測定する精度管理検体測定動作について説明する。図9は、精度管理検体測定動作におけるシステム制御装置8の処理の流れを示すフローチャートである。検査に先立ち、検体処理システム1の使用者は、精度管理検体を測定する時間を予めシステム制御装置8に設定しておく。この時間は、ルーチン検査の開始前および終了後などに設定されることが一般的である。
【0067】
まず、ステップS1においてCPU81aは、使用者によって予め設定された時間になるまで待機する処理を実行する。システム制御装置のCPU81aによって実行されるコンピュータプログラムは、イベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aにおいては、設定された時間になると、ステップS2の処理が呼び出される。
ステップS2においてCPU81aは、精度管理検体収納部61に収容された精度管理検体のバーコードをバーコード読取ユニット64によって読み取る処理を実行する。この処理により、冷却ユニット6の制御部65がバーコード読取ユニット64を制御し、精度管理検体収納部61に収容された精度管理検体のバーコードを全て読み取り、読み取った検体IDをシステム制御装置8に送信する。
【0068】
ステップS3においてCPU81aは、ステップS2において制御部65から送信された検体IDをキーに、それぞれの精度管理検体のロット番号および有効期限をサーバコンピュータ9に問い合わせる処理を実行する。システム制御装置8から問い合わせを受けたサーバコンピュータ9は、受信した検体IDに対応するロット番号および有効期限をハードディスクの有効期限テーブル90から読み出し、読み出した情報をシステム制御部8に送信する。そして、ロット番号および有効期限を受信したシステム制御部8のCPU81aは、それらの情報を検体IDと対応付けてRAM81cに記憶する。
ステップS4においてCPU81aは、精度管理検体収納部61に収容された全ての精度管理検体について、ステップS3においてサーバコンピュータから受信した有効期限と現在の日付とを比較し、それぞれの精度管理検体について有効期限切れであるか否かを判断するとともに、精度管理検体収納部61内の全ての精度管理検体が有効期限内のものであるか否かを判断する。
全ての精度管理検体が有効期限内である場合(ステップS4においてYes)、ステップS5においてCPU81aは、収納されている複数の精度管理検体から、測定に使用する精度管理検体を決定する処理を実行する。この処理については後に詳述する。
【0069】
ステップS6においてCPU81aは、ステップS5において測定に使用すると決定された精度管理検体を移送機構部63によって精度管理検体収納部61からコンベア302のラック搬送路302a上のサンプルラックLに移送する処理を実行する。この処理により、検体容器を収容していないサンプルラックLが、検体投入装置2からラック搬送路302aに搬送されるとともに、冷却ユニット6の制御部65が移送機構部63を制御し、ステップS5において決定された精度管理検体が精度管理検体収納部61からラック搬送路302a上のサンプルラックLに移送される。
【0070】
ステップS7においてCPU81aは、ステップS6においてサンプルラックLに収容された精度管理検体を3つの測定ユニット51のいずれかに搬送する処理を実行する。この処理により、サンプルラックLに収容された精度管理検体は、測定ユニット51の前まで搬送される。そして、測定ユニット51は、ハンド部515aによって精度管理検体を把持することによって内部に取り込み、該精度管理検体を吸引および測定する。
ステップS8においてCPU81aは、ステップS7において測定ユニット51に取り込まれた精度管理検体を、該測定ユニット51からサンプルラックLに戻す処理を実行する。
【0071】
ステップS9においてCPU81aは、ステップS7において測定ユニット51に取り込まれた精度管理検体が未使用の検体であった場合、その使用状態を未使用から使用中に変更し、ハードディスク81dに記憶する。
ステップS10においてCPU81aは、ステップS7において測定ユニット51に取り込まれた精度管理検体の残り測定可能回数をデクリーメントし、ハードディスク81dに記憶する。なお、精度管理検体の残り測定回数は、予めハードディスク81dに記憶されている。
【0072】
ステップS11においてCPU81aは、3つの測定ユニット51の全てについて、精度管理検体の測定が終了したか否かを判断する。
全ての測定ユニット51についての測定が終了している場合(ステップS11においてYes)、ステップS12においてCPU81aは、精度管理検体を収容したサンプルラックLを冷却ユニット6の前まで搬送する処理を実行する。
【0073】
ステップS13においてCPU81aは、ステップS12において冷却ユニット6の前まで搬送されたサンプルラックLから、移送機構部63によって測定済みの精度管理検体を取り出し、精度管理検体収納部61内に移送する処理を実行する。
なお、全ての測定ユニット51についての測定が終了していない場合(ステップS11においてNo),CPU81aは、ステップS7からS11の処理を再度実行する。
また、ステップS4において精度管理検体収納部61に収容された精度管理検体に有効期限切れの検体があると判断された場合(ステップS4においてNo),ステップS14においてCPU81aは、有効期限切れである旨の警告を出力するよう、情報処理ユニット52に指示する。これにより、有効期限切れである旨の警告を含む画面が、情報処理ユニット52の画像表示部522に表示される。より具体的には、ステップS14においてCPU81aは、ステップS4において有効期限切れであると判断された全ての精度管理検体についての検体ID、ロット番号、および有効期限をRAM81cから読み出し、警告画面の表示指示とともに情報処理ユニット52に送信する。そして、この指示を受けた情報処理ユニット52は、受信した検体ID、ロット番号、および有効期限に基づいて警告画面を画像表示部522に表示する。図15は、画像表示部522に表示される警告画面を示す図である。この図に示すように、警告画面91には、精度管理検体が有効期限切れであることを警告するための警告表示部92と、期限切れとなっている全ての精度管理検体の検体IDを表示するための検体ID表示部93と、検体ID表示部93に表示された検体IDに対応するロット番号を表示するためのロット番号表示部94と、検体ID表示部93に表示された検体IDに対応する有効期限を表示するための有効期限表示部95とが設けられている。そして、検体ID表示部93、ロット番号表示部94、および有効期限表示部95には、それぞれ、システム制御装置8から受信した上述の検体ID、ロット番号、および有効期限が表示される。
【0074】
ステップS15においてCPU81aは、有効期限切れであると判断された精度管理検体の全てを、移送機構部63によって精度管理検体収納部61から排出する処理を実行する。この処理により、検体容器を収容していないサンプルラックLが、検体投入装置2からラック搬送路302aに搬送されるとともに、冷却ユニット6の制御部65が移送機構部63を制御し、有効期限切れであると判断された全ての精度管理検体が精度管理検体収納部61からラック搬送路302a上のサンプルラックLに移送される。なお、1つのサンプルラックに有効期限切れであると判断された全ての精度管理検体が収容できない場合には、複数のサンプルラックLが、検体投入装置2からラック搬送路302aに搬送される。
【0075】
ステップS16においてCPU81aは、有効期限切れであると判断された全ての精度管理検体を収容したサンプルラックLを検体収容部4に搬送する処理を実行する。
ステップS17においてCPU81aは、精度管理検体収納部61内に、精度管理検体が収容されているか否かを判断する。そして、CPU81aは、収容されている精度管理検体があれば(ステップS17においてYes)、処理をステップS5にすすめ、収容されている精度管理検体がなければ(ステップS17においてNo),精度管理検体測定動作を終了する。
【0076】
図10は、精度管理検体測定動作のステップS5の詳細を示すフローチャートである。
ステップS51においてCPU81aは、精度管理検体収納部61に収容されている精度管理検体から有効期限までの期間が最も短い検体を選択し、選択された精度管理検体を、測定に使用する精度管理検体として決定する。このように、有効期限までの期間が最も短い検体を優先的に使用することによって、有効期限切れによって精度管理検体を無駄にしてしまうことを抑制することができる。
【0077】
ステップS52においてCPU81aは、使用する精度管理検体が1本のみに決定されたか否かを判断する。1本のみに決定されれば(ステップS52においてYes)、CPU81aは、ステップS5の処理を終了する。
一方、1本のみに決定されなかった場合(ステップS52においてNo)、ステップS53においてCPU81aは、使用中の精度管理検体を、測定に使用する精度管理検体として決定する。いったん使用を開始した精度管理検体は早期に使い切ることが測定値の信頼性の観点から好ましいので、このように使用中の精度管理検体を優先的に使用することにより、測定値の信頼性を向上させることができる。なお、精度管理検体が使用中であるか未使用であるかを示す情報は、ステップS9においてハードディスク81dに記憶されている。
【0078】
ステップS54においてCPU81aは、使用する精度管理検体が1本のみに決定されたか否かを判断する。1本のみに決定されれば(ステップS54においてYes)、CPU81aは、ステップS5の処理を終了する。
一方、1本のみに決定されなかった場合(ステップS54においてNo)、ステップS55においてCPU81aは、残り測定回数の最も少ない精度管理検体を、測定に使用する精度管理検体として決定する。
【0079】
ステップS56においてCPU81aは、使用する精度管理検体が1本のみに決定されたか否かを判断する。1本のみに決定されれば(ステップS56においてYes)、CPU81aは、ステップS5の処理を終了する。
一方、1本のみに決定されなかった場合(ステップS56においてNo)、ステップS57においてCPU81aは、精度管理検体収納部61内の搬送路302aに最も近い位置に収納されている精度管理検体を、測定に使用する精度管理検体として決定する。これにより、移送機構部6による移送時間を短縮することができる。
【0080】
〔精度管理検体測定動作2〕
次に、精度管理検体が、検体処理システム1の使用者によって検体投入装置2にセットされた場合の、精度管理検体測定動作について説明する。
図11は、この場合の精度管理検体測定動作におけるシステム制御装置8の処理の流れを示すフローチャートである。
検体処理システム1の使用者は、検体投入装置2に精度管理検体をセットし、検体投入装置2に設けられた図示しない測定開始ボタンから測定開始を指示することによっても精度管理検体を測定可能である。
【0081】
まず、ステップS21においてCPU81aは、使用者によって測定開始が指示されるのを待機する処理を実行する。システム制御装置のCPU81aによって実行されるコンピュータプログラムは、イベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aにおいては、測定開始が指示されると、ステップS22の処理が呼び出される。
ステップS22においてCPU81aは、検体投入装置2のバーコード読取ユニット22によって、使用者によって検体投入装置2にセットされた検体のバーコードを読み取る処理を実行する。この処理により、検体投入装置2の図示しない制御部がバーコード読取ユニット22を制御し、バーコード読取ユニット22の前に搬送された検体のバーコードを読み取り、読み取ったバーコードをシステム制御部8に送信する。
【0082】
ステップS23においてCPU81aは、ステップS22において検体投入装置2の制御部から受信したバーコードに精度管理検体であることを示すコードが含まれているか否か、すなわち、使用者によってセットされた検体が精度管理検体であるか、被験者の血液検体であるかを判断する。
精度管理検体である場合(ステップS23において精度管理検体)、ステップS24においてCPU81aは、精度管理検体を3つの測定ユニット51のいずれかに搬送する処理を実行する。この処理により、サンプルラックLに収容された精度管理検体は、測定ユニット51の前まで搬送される。そして、測定ユニット51は、ハンド部515aによって精度管理検体を把持することによって内部に取り込み、該精度管理検体を吸引および測定する。
【0083】
ステップS25においてCPU81aは、ステップS24において測定ユニット51に取り込まれた精度管理検体を、該測定ユニット51からサンプルラックLに戻す処理を実行する。
ステップS26においてCPU81aは、3つの測定ユニット51の全てについて、精度管理検体の測定が終了したか否かを判断する。
全ての測定ユニット51についての測定が終了している場合(ステップS26においてYes)、ステップS27においてCPU81aは、精度管理検体を収容したサンプルラックLを冷却ユニット6の前まで搬送する処理を実行する。
【0084】
ステップS28においてCPU81aは、ステップS27において冷却ユニット6の前まで搬送されたサンプルラックLから、移送機構部63によって測定済みの精度管理検体を取り出し、精度管理検体収納部61内に移送する処理を実行する。
なお、全ての測定ユニット51についての測定が終了していない場合(ステップS26においてNo),CPU81aは、ステップS24からS26の処理を再度実行する。
一方、ステップS23において被験者の血液検体であると判断された場合(ステップS23において血液検体)、ステップS29においてCPU81aは、測定オーダに基づいて、血液検体の搬送先を3つの測定ユニット51のいずれかから選択する処理を実行する。
【0085】
ステップS30においてCPU81aは、ステップS24と同様に、ステップS29において決定された測定ユニット51に血液検体を搬送する処理を実行する。
ステップS31においてCPU81aは、ステップS25と同様に、血液検体を測定ユニット51からサンプルラックLに戻す処理を実行する。
ステップS32においてCPU81aは、ステップS31で測定ユニット51から受け取った血液検体の冷却保存が必要であるか否かを判断する。血液検体の冷却保存が必要であるか否かは、測定ユニット51による測定結果と、予め設定された冷却保存の要否を判断するための条件とを比較することによって判断される。
冷却保存が必要であると判断された場合(ステップS32においてYes),ステップS33においてCPU81aは、血液検体を収容したサンプルラックLを冷却ユニット6の前まで搬送する処理を実行する。
【0086】
ステップS34においてCPU81aは、ステップS33において冷却ユニット6の前まで搬送されたサンプルラックLから、移送機構部63によって測定済みの血液検体を取り出し、血液検体収納部62内に移送する処理を実行する。
一方、冷却保存が不要と判断された場合(ステップS32においてNo),ステップS35においてCPU81aは、測定済みの血液検体を搬送路302bを経由して、検体収容装置4まで搬送する処理を実行する。
【0087】
〔シャットダウン動作〕
次に、検体処理システム1をシャットダウンする処理について説明する。検体処理システム1のシャットダウンは、情報処理ユニット52を操作することによって実行される。
図12は、シャットダウン動作における情報処理ユニット52の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS71においてCPU521aは、画像表示部522に表示されたシャットダウン指示画面からシャットダウンが指示されるまで待機する処理を実行する。情報処理ユニット52のCPU521aによって実行されるコンピュータプログラムは、イベントドリブン型のプログラムであり、CPU521aにおいては、シャットダウンが指示されると、ステップS72の処理が呼び出される。図13は、画像表示部522に表示されるシャットダウン指示画面71を示す図である。図13に示すように、シャットダウン指示画面71には、冷却ユニット6を含む検体処理システム1全体をシャットダウンするときに使用されるシステム全体シャットダウンボタン72と、冷却ユニット6の冷却機能は継続したまま検体処理システム1をシャットダウンするときに使用される冷却ユニット以外シャットダウンボタン73と、シャットダウンの実行を開始せず、他の処理に移るために使用されるキャンセルボタン74とが表示されている。
【0088】
ステップS72においてCPU521aは、ステップS71において受け付けたシャットダウン指示が、システム全体シャットダウンボタン72によるものであるか、冷却ユニット以外シャットダウンボタン73によるものであるかを判断する。
システム全体シャットダウンボタン72によるものである場合(ステップS72においてシステム全体)、ステップS73においてCPU521aは、冷却ユニット6を含む検体処理システム1全体をシャットダウンする。これにより、検体処理システム1の全ての装置の電源がオフ状態となる。
【0089】
冷却ユニット以外シャットダウンボタン73によるものである場合(ステップS72において冷却ユニット以外)、ステップS74においてCPU521aは、冷却ユニット6の冷却機能は継続したまま検体処理システム1をシャットダウンする。これにより、冷却ユニット6を除く検体処理システム1の全ての装置の電源がオフ状態となる。
このように、冷却ユニット6の冷却機能は継続したまま検体処理システム1をシャットダウンすることにより、精度管理検体および血液検体の冷却を継続しつつ、不要な電力の消費を抑えることが可能となる。
【0090】
(第2実施形態)
第1実施形態では、精度管理検体測定動作において、冷却ユニット6内の精度管理検体のバーコードを読み取る度に有効期限をサーバコンピュータ9に問い合わせるのに対し、第2実施形態では、初回のバーコード読み取り時のみ有効期限の問い合わせを行い、以降は、搬送制御装置8に記憶された有効期限に基づいて有効期限切れであるか否かを判断する。その他の点は、第1実施形態と共通であるので、説明を省略する。
図16に示すように、検体収容装置2にセットされた精度管理検体を測定する精度管理検体測定動作において、CPU81aは、ステップS22に続き、ステップS41において、読み取った検体IDをキーに、サーバコンピュータ9にロット番号および有効期限を問い合わせ、それらの情報をサーバコンピュータ9から受信する。そして、ステップS42においてCPU81aは、受信したロット番号および有効期限を、検体IDと対応付けてハードディスク81dに記憶する。そして、CPU81aは処理をステップS23に進める。
また、図17に示すように、冷却ユニット6内の精度管理検体を測定する精度管理検体測定動作において、CPU81aは、ステップS2に続き、ハードディスク81dからステップS2で読み取った検体IDに対応するロット番号および有効期限を読み出す(ステップS81)。そして、CPU81aは、処理をステップS4に進める。
第2実施形態では、以上のような構成とすることにより、初回のバーコード読み取り時のみ有効期限の問い合わせを実行すれば、以降のバーコード読み取り時にサーバコンピュータ9への問い合わせを実行する必要がなくなる。
また、第1および第2実施形態は、以上のような構成とすることにより、精度管理検体収納部61に収納された精度管理検体の有効期限が切れた場合に警告が出力される。従って、従来に比して精度管理検体の測定に伴う使用者の負担を軽減させることができる。
また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、ステップS4で有効期限切れであると判断された精度管理検体は測定されないように構成されているので、有効期限切れの精度管理検体を測定することによって信頼性の低い精度管理を実行してしまうことを防止することができる。また、有効期限切れの精度管理検体を測定することによる試薬の浪費を防止することもできる。
【0091】
また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、ステップS4で有効期限切れであると判断された精度管理検体は、ステップS15およびS16の処理によって検体収容装置4に自動的に搬送されるので、使用者が当該精度管理検体を精度管理検体収納部61から取り出す必要がなくなる。
また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、検体投入装置2に投入された精度管理検体は、測定後に自動的に精度管理検体収納部61に収納されるので、使用者が当該精度管理検体を精度管理検体収納部61に収納する必要がなくなる。
【0092】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、冷却ユニット6から搬送路302aへの移送と、搬送路302aから冷却ユニット6への移送とは、単一の移送機構部6によって実行されていたが、これらの移送を別々の移送機構部によって実行してもよい。
また、上述した実施の形態においては、精度管理検体の有効期限は、サーバコンピュータ9に問い合わせることによって取得していたが、精度管理検体のバーコードに有効期限を示す情報を含ませておいてもよいし、システム制御装置8または情報処理ユニット52に有効期限を予め入力しておいてもよい。精度管理検体のバーコードに有効期限を示す情報を含ませる場合、例えば実施形態1においては、ステップS3のサーバコンピュータ9への問い合わせに代えて、ステップS2で読み取ったバーコード情報から有効期限を示すデータを抽出し、検体IDと対応付けてハードディスク81dに記憶する処理が実行される。また、システム制御装置8または情報処理ユニット52に有効期限を予め入力しておく場合、例えば実施形態1においては、ステップS3のサーバコンピュータ9への問い合わせに代えて、検体IDをキーにして、システム制御装置8または情報処理ユニット52に入力され、ハードディスク81dに記憶されている有効期限を読み出す処理が実行される。
【0093】
また、上述した実施の形態においては、精度管理検体が有効期限切れであることを示す警告は、情報処理ユニット52の画像表示部522に表示されるように構成されているが、システム制御装置8の画像表示部82に表示してもよいし、ブザーや音声によって使用者に知らせるように構成してもよい。
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置の測定ユニットを複数備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0094】
また、上述した実施の形態においては、測定ユニット51は3つ備えられていたが、1つでも、2つでも、4つ以上でもよい。また、異なる種類の測定ユニットが混在していてもよい。
また、上述した実施の形態においては、システム制御装置8および情報処理ユニット52が設けられていたが、これらの機能を1つのコンピュータに統合してもよいし、同様の処理を複数のコンピュータに分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】搬送機構が備える第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】搬送機構が備える第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】実施の形態に係る血球分析装置の測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】精度管理検体測定動作におけるシステム制御装置8の処理の流れを示すフローチャート。
【図10】精度管理検体測定動作のステップS5の詳細を示すフローチャート。
【図11】精度管理検体測定動作におけるシステム制御装置8の処理の流れを示すフローチャート。
【図12】シャットダウン動作における情報処理装置52の処理の流れを示すフローチャート。
【図13】画像表示部522に表示されるシャットダウン指示画面71を示す図。
【図14】サーバコンピュータ9のハードディスクに記憶される有効期限テーブル90の構成を示す図である。
【図15】画像表示部522に表示される警告画面を示す図である。
【図16】第2実施形態の精度管理検体測定動作におけるシステム制御装置8の処理の流れを示すフローチャート。
【図17】第2実施形態の精度管理検体測定動作におけるシステム制御装置8の処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0096】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
4 検体収容装置
5 血球分析装置
6 冷却ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を測定する測定部と、
前記測定部に検体を搬送する搬送部と、
前記測定部によって測定される所定の成分を所定量含む精度管理検体を収容し、冷却する冷却部と、
前記冷却部から前記搬送部に前記精度管理検体を移送するとともに、前記搬送部から前記冷却部に前記精度管理検体を移送する移送部と、
前記精度管理検体の有効期限を記憶する有効期限記憶手段と、
前記有効期限記憶手段によって記憶された有効期限に基づいて、前記精度管理検体の有効期限が切れた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える検体処理システム。
【請求項2】
前記精度管理検体が有効期限切れである場合に、前記測定部による該精度管理検体の測定を禁止する測定禁止手段をさらに備える請求項1記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記精度管理検体が有効期限切れである場合に、該精度管理検体を前記冷却部から前記搬送部に自動的に移送するよう、前記移送部を制御する移送制御手段をさらに備える請求項1または2記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記搬送部に接続され、前記測定部によって測定された検体を収容する検体収容部と、
前記精度管理検体が有効期限切れである場合に、前記移送手段によって前記冷却部から前記搬送部に移送された精度管理検体を、前記収容部に搬送するよう、前記搬送部を制御する搬送制御手段と、をさらに備える請求項3記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記精度管理検体を識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段によって取得された識別情報に基づいて前記精度管理検体の有効期限を取得する有効期限取得手段とをさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記有効期限取得手段は、前記識別情報取得手段によって取得された識別情報を、ネットワークを介してサーバコンピュータに送信し、該サーバコンピュータから前記精度管理検体の有効期限を取得する、請求項5記載の検体処理システム。
【請求項7】
システム全体をシャットダウンする第1シャットダウンと、前記冷却部を除くシステム全体をシャットダウンする第2シャットダウンとを選択的に実行するシャットダウン手段をさらに備える請求項1〜6のいずれかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記冷却部は、前記精度管理検体を収納する精度管理検体収納部と、前記測定部によって測定された検体を収納する検体収納部とを備え、
前記精度管理検体を前記精度管理検体収納部に移送し、前記測定部によって測定された検体を前記検体収納部に移送するよう、前記移送部を制御する移送制御手段をさらに備える請求項1記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記精度管理検体の投入を受け入れる受入部と、
前記受入部に受け入れられた前記精度管理検体を前記測定部に搬送し、測定された精度管理検体を前記冷却部に搬送するよう、前記搬送部を制御する搬送制御手段と、
前記搬送部によって前記冷却部に搬送された前記精度管理検体を前記冷却部に移送するよう、前記移送部を制御する移送制御手段と、をさらに備える、請求項1記載の検体処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−121936(P2010−121936A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280312(P2008−280312)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】