検体処理システム
【課題】設置場所の自由度が高い検体処理システムを提供する。
【解決手段】載置台26(36)上に載置される測定ユニット2(3)の底面2f(3f)に、下方に突出する突出部2k(3k)を固定する。載置台26(36)の上板26e(36e)には、突出部2k(3k)が水平移動を制限された状態で水平方向に回転可能に挿通されるガイド孔28(38)を形成する。
【解決手段】載置台26(36)上に載置される測定ユニット2(3)の底面2f(3f)に、下方に突出する突出部2k(3k)を固定する。載置台26(36)の上板26e(36e)には、突出部2k(3k)が水平移動を制限された状態で水平方向に回転可能に挿通されるガイド孔28(38)を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台上に検体処理装置を設置した卓上型の検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば血液試料の処理を行う検体処理システムとして、基台上に検体処理装置を設置した卓上型のものが知られている。このような検体処理システムは、検体処理装置の内部の点検や修理等の保守作業を行う際に、例えば壁や他の装置と隣接する部分の保守作業を容易に行うことができるように、検体処理装置を基台上で移動させる場合がある。
その際、特許文献1記載の検体処理システムでは、検体処理装置が基台上から落下するのを防止するために、基台に予め設けられたスライドレールに沿って検体処理装置を水平方向に移動させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−139116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の検体処理システムは、保守作業を行う際に、スライドレールに沿って検体処理装置を水平方向に引き出すためのスペースを空けて設置する必要があった。
本発明は、従来よりも設置場所の自由度が高い検体処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明の検体処理システムは、検体を処理する検体処理装置と、前記検体処理装置が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に載置される載置台と、を備えていることを特徴としている。
【0006】
本発明の検体処理システムによれば、検体処理装置は載置台上において水平方向に回転可能に載置されるので、保守作業時に検体処理装置を作業しやすい位置へ回転移動させることができる。これにより、検体処理装置の保守作業を容易に行うことができる。また、検体処理装置を回転させる際に、検体処理装置の水平移動が所定範囲内に制限されるため、検体処理装置の水平移動量を抑制することができる。これにより、従来のスライドレール式に比べて検体処理装置を移動させるスペースを減少することができるため、検体処理システムの設置場所が制限されるのを抑制することができる。
【0007】
また、前記所定範囲は、前記検体処理装置の水平移動を許容する範囲であることが好ましい。この場合、検体処理装置を水平移動させることができるため、検体処理装置の回転半径内に、その回転を妨げる部材が配置されたとしても、その部材との接触を回避しながら、検体処理装置を水平方向に回転させることができる。
【0008】
また、前記検体処理装置は、下方に突出する突出部を有し、前記載置台は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に挿入される挿入部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置の突出部を載置台の挿入部に挿入した簡単な構成によって、検体処理装置の水平移動を所定範囲内に制限しながら当該検体処理装置を水平方向に回転させることができる。
【0009】
また、前記挿入部は、前記検体処理装置が前記載置台から外側にはみ出るのを抑制するように、前記突出部を水平移動させながら水平方向に回転させることができる形状とされていることが好ましい。この場合、検体処理装置を水平方向に回転させる際に、検体処理装置が載置台から外側にはみ出るのを抑制することができるため、検体処理装置と、隣接する壁や他の装置等との接触をさらに効果的に回避することができる。
【0010】
また、前記挿入部は、前記突出部が水平移動する方向を転換させるための方向転換部を有することが好ましい。この場合、方向転換部によって検体処理装置が水平移動する方向を転換させることができるため、検体処理装置の水平移動を円滑に行うことができる。
【0011】
また、前記挿入部は、前記突出部を一方向に水平移動させるための一方向案内部と、前記突出部を前記一方向に対して交差する他方向に水平移動させるための他方向案内部とをさらに有し、前記方向転換部は、前記一方向案内部と前記他方向案内部との間において当該一方向案内部及び他方向案内部に連続して形成されていることが好ましい。この場合、検体処理装置を水平移動させる際に、一方向から他方向への方向転換、及び他方向から一方向への方向転換を円滑に行うことができる。
【0012】
また、前記載置台は、前記挿入部の周辺を補強する補強部を有していることが好ましい。この場合、載置台に挿入部が形成されることに起因して、載置台の剛性が低下するのを抑制することができる。
【0013】
また、前記突出部は、前記挿入部から上方に抜けるのを防止する抜止部を有することが好ましい。この場合、突出部の抜止部により、突出部が載置台から上方に抜けるのを防止することができる。
【0014】
また、前記挿入部は、前記抜止部の挿脱を許容する挿脱許容部を有することが好ましい。この場合、抜止部を挿脱許容部から上方に抜くことにより、検体処理装置を載置台から容易に離脱することができる。
【0015】
また、検体処理装置は、その下部に当該検体処理装置を支持する脚部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置の荷重を脚部で支持することができるため、突出部に検体処理装置の荷重が集中するのを抑制することができる。したがって、検体処理装置の水平移動及び水平方向への回転を円滑に行うことができる。
【0016】
また、前記脚部は、前記挿入部に脱落しない形状とされていることが好ましい。この場合、検体処理装置を水平方向に回転させる際に、脚部が挿入部に脱落するのを防止することができる。
【0017】
また、前記載置台は、前記脚部の水平移動範囲を制限する移動制限部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置を水平方向に回転させる際に、脚部の水平移動範囲を移動制限部によって制限することができるため、検体処理装置と隣接する壁や他の装置等との接触をさらに効果的に回避することができる。
【0018】
また、前記検体処理装置は、その背面に検体を処理する試薬を通過させる試薬管を備え、前記試薬管は、前記試薬管が前記検体処理装置の背面に接続された状態で前記検体処理装置の側面を前方に向ける回転を可能とする長さを有し、前記検体処理システムは前記検体処理装置の背面方向への前記試薬管の露出を抑制する露出抑制部をさらに備えることが好ましい。この場合、試薬管が検体処理装置に接続された状態で検体処理装置を回転することが出来る。また、試薬管が検体処理装置の背面に露出され煩雑に見えるのを抑制できる。
【0019】
また、前記載置台は、上方に突出する突出部を有し、前記検体処理装置は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に挿入される挿入部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置の挿入部に載置台の突出部を挿入した簡単な構成によって、検体処理装置の水平移動を所定範囲内に制限しながら当該検体処理装置を水平方向に回転させることができる。
【0020】
また、前記検体処理装置は、処理装置本体と、この処理装置本体の下部に配置され当該処理装置本体を水平方向に回転可能に支持する突出部とを有し、前記載置台は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で挿入される挿入部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置を、載置台上において水平移動が所定範囲内に制限される部材(突出部)と、水平方向に回転する部材(処理装置本体)とに分離したので、検体処理装置の水平方向への回転を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の検体処理システムによれば、設置場所の自由度が高い検体処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る血液分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】上記血液分析装置の測定ユニット及び検体搬送装置を示す概略説明図である。
【図3】上記測定ユニットを下方から見た斜視図である。
【図4】上記測定ユニットの突出部を示す断面斜視図である。
【図5】上記測定ユニットが載置される載置台を上方から見た斜視図である。
【図6】上記載置台の補強部を上方から見た斜視図である。
【図7】上記載置台の補強部を下方から見た斜視図である。
【図8】上記測定ユニットの一方側面を検体搬送装置側に向ける場合における載置台と測定ユニットとの配置関係を示す概略平面図である。
【図9】上記測定ユニットの一方側面を検体搬送装置側に向ける場合における載置台と測定ユニットとの配置関係を示す概略平面図である。
【図10】上記測定ユニットの他方側面を検体搬送装置側に向ける場合における載置台と測定ユニットとの配置関係を示す概略平面図である。
【図11】上記測定ユニットの他方側面を検体搬送装置側に向ける場合における載置台と測定ユニットとの配置関係を示す概略平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る血液分析装置の載置台を示す概略平面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る血液分析装置の載置台を上方から見た斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る血液分析装置の測定ユニットを下方から見た斜視図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る血液分析装置の突出部を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る検体処理システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
〔全体構成〕
まず、検体処理システムの一例である血液分析装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る血液分析装置の全体構成を示す斜視図である。また図2は、上記血液分析装置の測定ユニット及び検体搬送装置を示す概略説明図である。本実施形態の血液分析装置1は、図1及び図2に示されるように、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の2つの測定ユニット(検体処理装置)と、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の前面2a及び3a側(矢印Y1方向側)に配置された検体搬送装置(サンプラ)4と、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3及び検体搬送装置4に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置5と、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3が設置される基台6とを備えている。また、血液分析装置1は、制御装置5によりホストコンピュータ7(図2参照)に接続されている。
【0025】
また、図1及び図2に示されるように、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ基台6上でX方向に沿って隣接して配列されている。第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ検体搬送装置4側(Y1方向側)の前面2a及び3aと、矢印Y2方向側の背面2b及び3bと、矢印X2方向側の一方側面2c及び3cと、矢印X1方向側の他方側面2d及び3dと、矢印Z1方向の上面2e及び3eと、矢印Z2方向の底面2f及び3f(図3参照)とによって囲まれたユニット本体(処理装置本体)20(30)を備えている。
【0026】
また、第1測定ユニット2と第2測定ユニット3とは、第1測定ユニット2の一方側面2cと第2測定ユニット3の他方側面3dとが近接して対向するように配置されている。これらの第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ前面2a、3aにおいて、それぞれ基台6上に配置された状態で検体搬送装置4の上方(Z1方向)に突き出た張出部2p及び3pを含む。したがって、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の外形形状は、平面的に見て基台6の外形よりも前側に突出するように構成されている。
【0027】
また、図1に示されるように、第2測定ユニット3の張出部3pの下方における前面3aは、複数のボルト11により検体搬送装置4に固定されている。また、第2測定ユニット3の底面3fは、ブラケット12を介してボルト13により後述する載置台36上に固定されている。なお、第1測定ユニット2の前面2a及び下面2fは、第2測定ユニット3と同様に、ボルト(図示省略)により検体搬送装置4及び載置台26に固定されている。
【0028】
また、図1及び図2に示されるように、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、実質的に同種類の測定ユニットであり、互いに隣接して配置されている。具体的には、本実施の形態では、第2測定ユニット3は、第1測定ユニット2と同じ測定原理を使用して、同一の測定項目について検体を測定する。さらに、第2測定ユニット3は、第1測定ユニット2が分析しない測定項目についても測定する。また、図2に示されるように、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ、検体である血液を検体容器101から吸引する検体吸引部21(31)と、当該検体吸引部21(31)により吸引した血液から検出用試料を調製する試料調製部22、32と、当該試料調製部22、32により調製された検出用試料から血液の血球を検出する検出部23、33等とを含んでいる。
【0029】
また、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ、内部に検体容器101を取り込み、検体吸引部21(31)による吸引位置600、700(図2参照)まで検体容器101を搬送する検体容器搬送部25、35とをさらに含んでいる。
【0030】
また、図1及び図2に示されるように、第1測定ユニット2の背面2bには、検体を処理する試薬が通過する試薬管2b1、廃液が通過する廃液管2b2、及び空圧を調製するための空圧管2b3などが配置されている。第2測定ユニット3の背面3bも第1測定ユニット2の背面2bと同様に、試薬管3b1、廃液管3b2、及び空圧管3b3などが配置されている。試薬管2b1(3b1)は試薬タンク2b4(3b4)、廃液管2b2(3b2)は廃液タンク2b5(3b5)、空圧管2b3(3b3)は空圧ポンプ2b6(3b6)へと接続されている。本実施形態では、試薬タンク2b4(3b4)、廃液タンク2b5(3b5)、及び空圧ポンプ2b6(3b6)は基台6の下に収容されている。
【0031】
試薬管2b1、廃液管2b2、及び空圧管2b3の長さは、各管が接続された状態で第1測定ユニット2の一方側面2c及び第1測定ユニット2の他方側面2dを前方に向けて回転させることが可能な長さとなるよう構成されている。これにより、後述のように第1測定ユニット2を回転して第1測定ユニット2の一方側面2c及び他方側面2dを検体搬送装置4側に向けてユニット内部の保守作業を行う際にも、試薬管2b1及び廃液管2b2などを取りはずす必要がない。このため、試薬管2b1が取り外された際に、試薬管2b1が汚染されることや、廃液管2b2中の廃液がこぼれるおそれもなくなる。また、試薬管2b1、廃液管2b2、及び空圧管2b3の長さは、上述のように設定されているため、第1測定ユニット2の背面2bにおいて各管の露出部分が大きい。また、本実施形態の血液分析装置1は、第1測定ユニット2の背面2b側及び第2測定ユニット3の背面3b側に、試薬管2b1(3b1)、廃液管2b2(3b2)、及び空圧管2b3(3b3)などの露出を抑制する露出抑制部8を備えている。これにより、各管の露出部分を小さくすることが出来、煩雑に見えるのを抑制することが出来る。試薬管3b1、廃液管3b2、及び空圧管3b3の長さは、試薬管2b1、廃液管2b2、及び空圧管2b3の長さと同様である。
【0032】
露出抑制部8は、その両側面及びその背面が板状の部材で構成されている。基台6の背面から露出抑制部8の背面までの間には、試薬管2b1(3b1)、廃液管2b2(3b2)、及び空圧管2b3(3b3)などが挿入出来るように隙間が設けられている。露出抑制部8の両側面及び背面のZ方向の長さは、基台6の下面から試薬管2b1(3b1)、廃液管2b2(3b2)、及び空圧管2b3(3b3)の取り付けられた位置までの長さである。露出抑制部8の両側面のY方向の長さは第1測定ユニット2の背面2b及び第2測定ユニット3の背面3bから露出抑制部8の背面までの長さである。露出抑制部8の背面のX方向の長さは基台6のX方向の長さと同様である。
【0033】
検体吸引部21(31)は、図2に示されるように、ピアサ211(311)を含んでいる。ピアサ211(311)は、先端が検体容器101の密閉蓋を貫通(穿刺)可能なように形成されている。また、ピアサ211は、図示しないピアサ駆動部により鉛直方向(Z1及びZ2方向)に移動されるように構成されている。
【0034】
検出部23(33)は、RBC検出(赤血球の検出)及びPLT検出(血小板の検出)をシースフローDC検出法により行うとともに、HGB検出(血液中の血色素の検出)をSLS−ヘモグロビン法により行うように構成されている。また、検出部23(33)は、WBC検出(白血球の検出)を半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うようにも構成されている。
【0035】
検出部23(33)で得られた検出結果は、検体の測定データ(測定結果)として、制御装置5に送信される。なお、この測定データは、ユーザに提供される最終的な分析結果(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン量、白血球数など)のもととなるデータである。
【0036】
分析前ラック保持部41は、ラック送込部411を有し、ラック送込部411がY2方向に移動することによって、分析前ラック保持部41に保持されたラック110を1つずつラック搬送部43上に押し出すように構成されている。ラック送込部411は、分析前ラック保持部41の下方に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動するように構成されている。
【0037】
ラック搬送部43は、図2に示されるように、第1測定ユニット2に検体を提供するための第1取出位置43a、及び、第2測定ユニット3に検体を提供するための第2取出位置43bに、ラック110に保持された検体容器101を移送するためにラック110を搬送するように構成されている。さらに、ラック搬送部43は、有無検知センサ45が検体を収容する検体容器100の有無を確認するための検体有無確認位置43c、及び、バーコード読取部44が検体を収容する検体容器101のバーコードを読み取るための読取位置43dまで検体容器101が移送されるようにラック110を搬送するように構成されている。
【0038】
有無検知センサ45は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片(図示省略)、光を出射する発光素子(図示省略)及び受光素子(図示省略)を有している。有無検知センサ45は、接触片が検知対象の被検知物に当接されることにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射されるように構成されている。これにより、有無検知センサ45の下方をラック110に収容された検知対象の検体容器101が通過する際に、接触片が検体容器101により屈曲されて、当該検体容器101の存在を検知することが可能である。
【0039】
ラック送出部46は、ラック搬送部43を挟んで分析後ラック保持部42に対向するように配置されており、Y1方向に水平に移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部42とラック送出部46との間にラック110が搬送された場合に、ラック送出部46を分析後ラック保持部42側に移動することによって、ラック110を押圧して分析後ラック保持部42内に移動することが可能である。
【0040】
制御装置5は、図1及び図2に示されるように、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部と、表示部52と、入力デバイス53とを含んでいる。また、表示部52は、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果などを表示するために設けられている。
【0041】
[脚部]
図3は、上記測定ユニットを下方から見た斜視図である。図3において、測定ユニット2(3)の下部である底面2f(3f)には、測定ユニット2(3)の荷重を支持する4つの脚部2g〜2j(3g〜3j)が設けられている。 脚部2g〜2j(3g〜3j)は、円筒状に形成されており、その上端は測定ユニット2(3)の底面2f(3f)の四隅近傍にそれぞれ固定されている。脚部2g〜2j(3g〜3j)は、後述する載置台26(36)の上板26e(36e)上に水平移動可能に載置されており、測定ユニット2(3)を載置台26(36)に対して水平移動可能に支持している。
【0042】
これらの脚部2g〜2j(3g〜3j)は、載置台26(36)上で測定ユニット2(3)を円滑に水平移動させるために、ポリアタセール樹脂によって形成されている。また、脚部2g〜2j(3g〜3j)の外周径D1(図3参照)は、後述するガイド孔28(38)の各寸法D2及びW(図5参照)よりも大きく設定されており、脚部2g〜2j(3g〜3j)がガイド孔28(38)に脱落しないようになっている。
【0043】
[突出部]
図3において、測定ユニット2(3)の底面2f(3f)には、下方に突出する突出部2k(3k)が設けられている。突出部2k(3k)は、略円柱状に形成されており、測定ユニット2(3)の底面2f(3f)のX方向中心部であって、かつY方向中心部よりもY2方向にずれた位置に配置されている。
【0044】
図4は、上記測定ユニットの突出部を示す断面斜視図である。突出部2k(3k)の上端は、固定ブラケット2l(3l)に一対のボルト2m(3m)により固定されている(図4参照)。この固定ブラケット2l(3l)は、測定ユニット2(3)の底面2f(3f)に固定された一対の取付ブラケット2n(3n)に固定されている。また、突出部2k(3k)は、図4に示されるように、上端部に形成された大径部2k1(3k1)と、鉛直方向の中間部に形成された被ガイド部となる小径部2k2(3k2)と、下端部に形成された抜止部2k3(3k3)とを有している。
【0045】
小径部2k2(3k2)の直径は、大径部2k1(3k1)の直径よりも小径に設定されている。抜止部2k3(3k3)の直径は、小径部2k2(3k2)の直径よりも大径であって、かつ大径部2k1(3k1)の直径と同一径に設定されている。小径部2k2(3k2)は、後述するガイド孔28(38)により移動案内される。また、突出部2k(3k)は、ガイド孔28(38)により円滑に移動案内させるために、ポリアタセール樹脂によって形成されている。なお、突出部2k(3k)は、テフロン(登録商標)製の樹脂によって形成することも可能である。また、脚部2g〜2j(3g〜3j)の鉛直方向の長さは、図4における小径部2k2(3k2)の上端から固定ブラケット2l(3l)の上面までの鉛直方向の長さと略同一に設定されている。
【0046】
[載置台]
図1において、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ基台6上に設置された載置台26及び36に載置されている。この載置台26(36)は、下方が開口した中空箱体よりなり(図6参照)、図5に示されるように、Y1方向側の前板26a(36a)と、Y2方向側の後板26b(36b)と、X2方向側の一方側板26c(36c)と、X1方向側の他方側板26d(36d)と、Z1方向側の上板26e(36e)とを有する。
【0047】
上板26e(36e)の上面には、測定ユニット2(3)の脚部2g〜2j(3g〜3j)が水平移動可能に載置されている。また、前板26a(36a)には、載置台26(36)を検体搬送装置4に固定するための固定板26f(36f)が取り付けられている。
【0048】
載置台26(36)は、図5に示されるように、測定ユニット2(3)の脚部2g〜2j(3g〜3j)の水平移動範囲を制限する移動制限部27(37)を有している。移動制限部27(37)は、一方側板26c(36c)の長手方向(Y方向)の長さと略同一長さに形成された平板部材からなる。また、移動制限部27(37)は、上板26e(36e)よりも上方に突出した状態で一方側板26c(36c)に固定されている。上板26e(36e)よりも上方に突出している移動制限部27(37)の鉛直方向の長さは、脚部2g〜2j(3g〜3j)の鉛直方向の長さより短く設定されている。これにより、移動制限部27(37)は、測定ユニット2(3)の脚部2g〜2j(3g〜3j)を当接させることにより、脚部2g〜2j(3g〜3j)が載置台26(38)の上板26e(36e)からX2方向へ移動するのを制限することができる。また、移動制限部27(37)は、脚部2g〜2j(3g〜3j)が測定ユニット2(3)の上板26e(36e)からX2方向へ脱落するのを防止することができる。
【0049】
載置台26(36)は、図5に示されるように、その上板26e(36e)に形成された挿入部であるガイド孔28(38)を有する。このガイド孔28(38)には、測定ユニット2(3)の突出部2k(3k)が水平移動を制限された状態で水平方向に回転可能に挿入されている。ガイド孔28(38)は、測定ユニット2(3)が載置台26(36)から外側にはみ出るのを抑制するように、突出部2k(3k)を水平移動させながら水平方向に回転させることができるように形成されている。
【0050】
具体的には、ガイド孔28(38)は、略「3」字状に形成されており、挿脱許容部28a(38a)と、第1案内部28b(38b)と、一方向案内部である第2案内部28c(38c)と、他方向案内部である第3案内部28e(38e)及び第4案内部28g(38g)と、方向転換部である第1方向転換部28d(38d)及び第2方向転換部28f(38f)とを有している。
【0051】
挿脱許容部28a(38a)は、抜止部2k3(3k3)の挿脱を許容する箇所であり、載置台26(36)の上板26e(36e)の略中央部において円形に形成されている。また、挿脱許容部28a(38a)は、その直径寸法D2が突出部2k(3k)の抜止部2k3(3k3)の直径よりも大径に設定されており、この挿脱許容部28a(38a)から抜止部2k3(3k3)を挿脱することができるようになっている。
【0052】
第1案内部28b(38b)は、挿脱許容部28a(38a)からY2方向に延びて形成されている。第1案内部28b(38b)の幅寸法Wは、図4に示されるように、小径部2k2(3k2)の直径よりも若干大きく、かつ大径部2k1(3k1)及び抜止部2k3(3k3)の直径よりも小さく設定されている。これにより、小径部2k2(3k2)を第1案内部28b(38b)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)をX方向に移動案内することができる。その際、突出部2k(3k)の大径部2k1(3k1)の下面は、載置台26(36)の上板26e(36e)の上面を摺動するようになっている。また、突出部2k(3k)は、抜止部2k3(3k3)により第1案内部28b(38b)から上方に抜けないように規制されている。なお、測定ユニット2(3)は、通常、図1の検体搬送装置4及び載置台26(36)に固定された状態で、第1案内部28b(38b)のY方向の略中央に位置した状態で保持されている(図8(a)参照)。
【0053】
第2案内部28c(38c)は、第1案内部28b(38b)のY2方向側端部において当該第1案内部28b(38b)に直交するX方向(一方向)に延びて形成されている。第2案内部28c(38c)の幅寸法(Y方向の寸法)は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第2案内部28c(38c)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)をX方向に移動案内することができる。
【0054】
第1方向転換部28d(38d)は、第2案内部28c(38c)と第3案内部28e(38e)との間において、当該第2案内部28c(38c)及び第3案内部28e(38e)に連続して形成されている。具体的には、第1方向転換部28d(38d)は、第2案内部28c(38c)のX2方向側端部から斜め前方(X2方向及びY1方向)に延びて、第3案内部28e(38e)のY2方向側端部に接続されている。第1方向転換部28d(38d)の幅寸法は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第1方向転換部28d(38d)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)が水平移動する方向をX方向からY方向又はY方向からX方向へ方向転換させながら移動案内することができる。
【0055】
第3案内部28e(38e)は、上板26e(36e)のX2方向側端部においてY方向(他方向)に延びて形成されている。第3案内部28e(38e)の幅寸法(X方向の寸法)は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第3案内部28e(38e)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)をY方向に移動案内することができる。
【0056】
第2方向転換部28f(38f)は、第2案内部28c(38c)と第4案内部28g(38g)との間において、当該第2案内部28c(38c)及び第4案内部28g(38g)に連続して形成されている。具体的には、第2方向転換部28f(38f)は、第2案内部28c(38c)のX1方向側端部から斜め前方(X1方向及びY1方向)に延びて、第4案内部28g(38g)のY2方向側端部に接続されている。
【0057】
第2方向転換部28f(38f)の長手方向の長さは、第1方向転換部28d(38d)の長手方向の長さよりも短く形成されている。第2方向転換部28f(38f)の幅寸法は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第2方向転換部28f(38f)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)が水平移動する方向をX方向からY方向又はY方向からX方向へ方向転換させながら移動案内することができる。
【0058】
第4案内部28g(38g)は、上板26e(36e)のX1方向側端部においてY方向(他方向)に延びて形成されている。第4案内部28g(38g)の長手方向の長さは、第3案内部28e(38e)の長手方向の長さよりも長く形成されている。第4案内部28g(38g)の幅寸法(X方向の寸法)は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第4案内部28g(38g)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)をY方向に移動案内することができる。
【0059】
載置台26(36)は、図6及び図7に示されるように、上板26e(36e)のガイド孔28(38)の周辺を補強する補強部29(39)を有している。補強部29(39)は、上板26e(36e)の下方においてそのY方向に延びる第1補強部29a(39a)と、X方向に延びる第2補強部29b(39b)とを有する。
【0060】
第1補強部29a(39a)は、図6に示されるように、略凹状に形成されており、Y方向に延びる底板部29a1(39a1)と、底板部29a1(39a1)のX方向両端縁から鉛直方向に延びる一対の側板部29a2(39a2)と、各側板部29a2(39a2)の上端縁からX1方向及びX2方向に延びる一対のフランジ部29a3(39a3)とを有している。
【0061】
X1方向側の側板部29a2(39a2)及びフランジ部29a3(39a3)は、ガイド孔28(38)の第1案内部28b(38b)と第4案内部28g(38g)との間に配置されている。また、X2方向側の側板部29a2(39a2)及びフランジ部29a3(39a3)は、ガイド孔28(38)の第1案内部28b(38b)と第3案内部28e(38e)との間に配置されている。各フランジ部29a3(39a3)は、載置台26(36)の上板26e(36e)の下面に固定されている。また、第1補強部29a(39a)には、第2案内部28c(38c)と第2方向転換部28f(38f)との接続部を跨ぐように一対の切欠部29a4(39a4)が形成されている。
【0062】
第2補強部29b(39b)は、第1補強部29a(39a)と同様に略凹状に形成されており、X方向に延びる底板部29b1(39b1)と、底板部29b1(39b1)のY方向両端縁から鉛直方向に延びる一対の側板部29b2(39b2)と、各側板部29b2(39b2)の上端縁からY1方向及びY2方向に延びる一対のフランジ部29b3(39b3)とを有している。
【0063】
Y1方向側の側板部29b2(39b2)及びフランジ部29b3(39b3)は、ガイド孔28(38)の第3案内部28e(38e)よりもY1方向側に配置されている。また、Y2方向側の側板部29b2(39b2)及びフランジ部29b3(39b3)は、ガイド孔28(38)の第1案内部28b(38b)と第3案内部28e(38e)との接続部をX方向に交差するように配置されている。各フランジ部29b3(39a3)は、載置台26(36)の上板26e(36e)の下面に固定されている。また、第2補強部29b(39b)には、第1案内部28b(38b)と第3案内部28e(38e)との接続部を跨ぐように切欠部29b4(39b4)が形成されている。
【0064】
[移動手順]
次に、載置台36上に載置されている第2測定ユニット3を保守作業時に水平移動させる手順について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、図1の状態から、第2測定ユニット3の一方側面3cを検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合と、第2測定ユニット3の他方側面3dを検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合とに分けて説明する。なお、第1測定ユニット2の移動手順は、第2測定ユニット3と同一手順で行われるため、その詳細な説明については省略する。
【0065】
図1において、第2測定ユニット3の一方側面3cを検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合、まず、ボルト11,13による第2測定ユニット3の載置台36及び検体搬送装置4に対する固定を解除し、第2測定ユニット3を載置台36上で水平移動可能な状態とする。その際、ボルト13とともにブラケット12も載置台36上から取り外す。
【0066】
図8(a)は、図1の状態における第2測定ユニット3の概略平面図である。第2測定ユニット3を固定解除した後、図8(a)の状態から、第2測定ユニット3を検体搬送装置4側(Y1方向側)からY2方向に押すと、突出部3kが第1案内部38bに沿って移動することにより、第2測定ユニット3はY2方向に水平移動する。そして、図8(b)に示されるように、突出部3kが第2案内部38cまで移動すると、第2測定ユニット3のY2方向への水平移動が規制される。この状態において、第2測定ユニット3の前面3aが載置台36の固定板36fからY2方向に離反するため、第2測定ユニット3を固定板36fと干渉することなく水平方向に回転させることが可能となる。
【0067】
次に、第2測定ユニット3を、図8(b)の状態から突出部3kを中心として、、第2測定ユニット3を上から見て時計回り方向に水平に回転させる。そして、図8(c)に示されるように、第2測定ユニット3の脚部3gが載置台36上のX1方向側端部まで水平移動すると、第2測定ユニット3の時計回り方向の水平回転を一旦停止させる。
【0068】
図8(c)の状態から、第2測定ユニット3をX2方向に水平移動させながら時計回り方向に水平に回転させる。その際、突出部3kは、第2案内部38cに沿ってX2方向に移動し、図8(d)に示されるように、第1方向転換部38dとの接続部に達する。
【0069】
図8(d)の状態から、第2測定ユニット3をさらにX2方向に押すと、突出部3kが第1方向転換部38dに沿って移動することにより、第2測定ユニット3は、図9(e)の左上に向けて、X2方向からY1方向へ方向転換しながら水平移動する。
【0070】
そして、図9(f)に示されるように、第2測定ユニット3の一方側面3cが検体搬送装置4側に向いた状態になると、第2測定ユニット3の時計回り方向の回転を停止させる。この状態から、第2測定ユニット3を検体搬送装置4側からY1方向に引くと、図9(g)に示されるように、突出部3kが第1方向転換部38dに沿って第3案内部38eとの接続部まで移動する。
【0071】
図9(g)の状態から、さらに第2測定ユニット3をY1方向に引くと、第2測定ユニット3が第3案内部38eに沿ってY1方向に水平移動し、図9(h)に示されるように、第2測定ユニット3の一方側面3cを検体搬送装置4側に近づけることができる。これにより、検体搬送装置4側において、第2測定ユニット3の一方側面3cからユニット内部の保守作業を行うことができる。
【0072】
次に、図1の状態から、第2測定ユニット3の他方側面3dを検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合について説明する。まず、第2測定ユニット3の他方側面3dを保守作業する場合と同様に、ボルト11,13による第2測定ユニット3の載置台36及び検体搬送装置4に対する固定を解除し、第2測定ユニット3を載置台36上で水平移動可能な状態とする。その際、ボルト13とともにブラケット12も載置台36上から取り外す。
【0073】
図10(a)は、図1の状態における第2測定ユニット3の概略平面図である。第2測定ユニット3を固定解除した後、図10(a)の状態から、第2測定ユニット3を検体搬送装置4側(Y1方向側)からY2方向に押すと、突出部3kが第1案内部38bに沿って移動することにより、第2測定ユニット3はY2方向に水平移動する。
【0074】
そして、図10(b)に示されるように、突出部3kが第2案内部38cまで移動すると、第2測定ユニット3のY2方向への水平移動が規制される。この状態において、第2測定ユニット3の前面3aが載置台36の固定板36fからY2方向に離反するため、第2測定ユニット3と固定板36fとの接触を回避しながら水平方向に回転させることが可能となる。
【0075】
次に、第2測定ユニット3を、図10(b)の状態から突出部3kを中心として、第2測定ユニット3を上から見て反時計回り方向に水平に回転させる。そして、図10(c)に示されるように、第2測定ユニット3の脚部3h及び3jがそれぞれ載置台36上のX2方向側端部及びY2方向側端部まで水平移動すると、第2測定ユニット3の反時計回り方向の水平回転を一旦停止させる。その際、脚部3hは移動制限部37に当接することによりX2方向への移動が規制される。
【0076】
図10(c)の状態から、第2測定ユニット3をX1方向に水平移動させると、突出部3kは第2案内部38cに沿ってX1方向に移動し、図10(d)に示されるように、第2方向転換部38fとの接続部に達する。この状態から、第2測定ユニット3をさらにX1方向に押すと、突出部3kが第2方向転換部38fに沿って移動することにより、第2測定ユニット3は、図11(e)の右上に向けて、X1方向からY1方向へ方向転換しながら水平移動する。
【0077】
そして、図11(f)に示されるように、第2測定ユニット3の他方側面3dが検体搬送装置4側に向いた状態になると、第2測定ユニット3の反時計回り方向の回転を停止させるとともに、第2測定ユニット3を検体搬送装置4側からY1方向に引いて、突出部3kを第2方向転換部38fに沿って第4案内部38gとの接続部まで移動させる。
【0078】
図11(f)の状態から、第2測定ユニット3をさらにY1方向に引くと、突出部3kが第4案内部38gに沿ってY1方向に移動し、図11(g)に示されるように、第2測定ユニット3の他方側面3dを検体搬送装置4側に近づけることができる。これにより、検体搬送装置4側において、第2測定ユニット3の他方側面3dからユニット内部の保守作業を行うことができる。
【0079】
以上のように構成された本実施形態の血液分析装置によれば、測定ユニット2(3)は、載置台26(36)上において水平方向に回転可能に載置されているので、保守作業時に測定ユニット2(3)を作業しやすい位置へ回転移動させることができる。これにより、測定ユニット2(3)の保守作業を容易に行うことができる。また、測定ユニット2(3)を回転させる際に、測定ユニット2(3)の水平移動が制限されるため、測定ユニット2(3)の水平移動量を抑制することができる。これにより、従来のスライドレール式に比べて測定ユニット2(3)を移動させるスペースを減少することができるため、血液分析装置の設置場所が制限されるのを抑制することができる。
【0080】
また、ガイド孔28(38)は、測定ユニット2(3)の水平移動を許容するように形成されているため、測定ユニット2(3)を水平移動させることにより、測定ユニット2(3)は固定板26f(36f)等との接触を回避しながら、測定ユニット2(3)を水平方向に回転させることができる。
【0081】
また、測定ユニット2(3)の下方に突出する突出部2k(3k)を、載置台26(36)に形成されたガイド孔28(38)に挿入した簡単な構成によって、測定ユニット2(3)の水平移動を制限しながら当該測定ユニット2(3)を水平方向に回転させることができる。
【0082】
また、ガイド孔28(38)は、測定ユニット2(3)が載置台26(36)から外側にはみ出るのを抑制するように、突出部2k(3k)を水平移動させながら水平方向に回転させることができるように形成されているため、測定ユニット2(3)と、隣接する壁や他の装置等との接触をさらに効果的に回避することができる。
【0083】
また、ガイド孔28(38)に形成された方向転換部28d(38d),28f(38f)によって、突出部2k(3k)が水平移動する方向を転換することができるため、測定ユニット2(3)の水平移動を円滑に行うことができる。
【0084】
また、第1方向転換部28d(38d)は、一方向(X方向)に延びる一方向案内部(第2案内部28c(38c))と他方向(Y方向)に延びる他方向案内部(第3案内部28e(38e)との間において、第2方向転換部28f(38f)は、上記一方向案内部と他方向案内部(第4案内部28g(38g))との間において、それぞれ一方向案内部及び他方向案内部に連続して形成されているため、測定ユニット2(3)を水平移動させる際に、一方向から他方向への方向転換、及び他方向から一方向への方向転換を円滑に行うことができる。
【0085】
また、載置台26(36)は、ガイド孔28(38)の周辺を補強する補強部29(39)を有しているため、載置台26(36)にガイド孔28(38)が形成されることに起因して、載置台26(36)の剛性が低下するのを抑制することができる。
【0086】
また、突出部2k(3k)には抜止部2k3(3k3)が形成されているため、突出部2k(3k)がガイド孔28(38)から外れるのを防止することができる。
【0087】
また、ガイド孔28(38)には、突出部2k(3k)の抜止部2k3(3k3)の挿脱を許容する挿脱許容部28a(38a)が形成されているため、抜止部2k3(3k3)を挿脱許容部28a(38a)から上方に抜くことにより、測定ユニット2(3)を載置台26(36)から容易に離脱することができる。
【0088】
また、測定ユニット2(3)は、その底面2f(3f)に当該測定ユニット2(3)を載置台26(36)上に水平移動可能に支持する脚部2g〜2j(3g〜3j)を有しているため、測定ユニット2(3)の荷重を脚部2g〜2j(3g〜3j)で支持することができる。これにより、測定ユニット2(3)の荷重が突出部2k(3k)に集中するのを抑制することができるため、測定ユニット2(3)の水平移動及び水平方向への回転を円滑に行うことができる。
【0089】
また、測定ユニット2(3)の脚部2g〜2j(3g〜3j)の外周径D1は、ガイド孔28(38)の各寸法D2及びWよりも大きく設定されているため、測定ユニット2(3)を水平方向に回転させる際に、脚部2g〜2j(3g〜3j)がガイド孔28(38)に脱落するのを防止することができる。
【0090】
また、測定ユニット2(3)を水平方向に回転させる際に、載置台26(36)の移動制限部27(37)により、脚部2g〜2j(3g〜3j)の水平移動範囲を制限することができるため、測定ユニット2(3)と、隣接する壁や他の装置等との接触をさらに効果的に回避することができる。
【0091】
[他の実施形態]
図12は、本発明の第2の実施形態に係る血液分析装置の載置台を示す概略平面図であり、第1の実施形態における図8(a)に対応する図である。第4の実施形態と第1の実施形態とが相違する点は、ガイド孔の形状が異なる点である。第2の実施形態の血液分析装置のうち、第1の実施形態の血液分析装置と同じ名称の部位については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0092】
この実施形態の血液分析装置における載置台26(36)に形成されたガイド孔228(238)は、上板26e(36e)の上端部中央に形成された円形の挿脱許容部228a(238a)と、挿脱許容部228a(238a)からY2方向に延びる第1案内部228b(238b)と、第1案内部228b(238b)に直交するX方向に延びる第2案内部(一方向案内部)228c(238c)と、上板26e(36e)のX1方向側端部においてY方向に延びる第3案内部(他方向案内部)228e(238e)と、上板26e(36e)のX2方向側端部においてY方向に延びる第4案内部(他方向案内部)228g(238g)と、第2案内部228c(238c)と第3案内部228e(238e)との間に形成された第1方向転換部(方向転換部)228d(238d)と、第2案内部228c(238c)と第4案内部228g(238g)との間に形成された第2方向転換部(方向転換部)228f(238f)とを有している。
【0093】
挿脱許容部228a(238a)、並びに各案内部及び各方向転換部228b〜228g(238b〜238g)は、それぞれ第1の実施形態の挿脱許容部28a(38a)、並びに各案内部及び各方向転換部28b〜28g(38b〜38g)と同一構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0094】
上記構成により、測定ユニット2(3)の一方側面2c(3c)を、検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合には、突出部2k(3k)を、第1案内部228b(238b)、第2案内部228c(238c)、第1方向転換部228d(238d)及び第3案内部228e(238e)の順に移動案内しながら、測定ユニット2(3)を図12において時計回り方向に水平に回転させればよい。
【0095】
また、測定ユニット2(3)の他方側面2d(3d)を、検体搬送装置4側に向けた状態で保守作業する場合には、突出部2k(3k)を、第1案内部228b(238b)、第2案内部228c(238c)、第2方向転換部228f(238f)及び第4案内部228g(238g)の順に移動案内しながら、測定ユニット2(3)を図12において反時計回り方向に水平に回転させればよい。
【0096】
以上の構成の血液分析装置についても、ガイド孔228(238)は、測定ユニット2(3)が載置台26(36)から外側にはみ出るのを抑制するように、突出部2k(3k)を水平移動させながら水平方向に回転させることができるように形成されているため、測定ユニット2(3)と、隣接する壁や他の装置等との接触を効果的に回避することができる。
【0097】
図13及び図14は、本発明の第3の実施形態に係る血液分析装置を示す図である。第3の実施形態と第1の実施形態とが相違する点は、突出部とガイド孔とが上下逆に配置されている点である。なお、第3の実施形態の血液分析装置のうち、第1の実施形態の血液分析装置と同じ名称の部位については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0098】
この実施形態における血液分析装置では、図13に示されるように、載置台26(36)の上板26e(36e)上に、上方に突出する突出部302k(303k)が固定さている。また、図14に示されるように、測定ユニット2(3)の底面2f(3f)には、突出部302k(303k)が水平移動を制限された状態で水平方向に回転可能に挿入されている挿入部であるガイド孔328(338)が形成されている。なお、脚部2g〜2j(3g〜3j)の鉛直方向の長さは、大径部2k1(3k1)の鉛直方向の長さと略同一に設定されている。
【0099】
以上の構成の血液分析装置についても、載置台26(36)の上方に突出する突出部302k(303k)を、測定ユニット2(3)に形成されたガイド孔328(338)に挿入した簡単な構成によって、測定ユニット2(3)の水平移動を制限しながら当該測定ユニット2(3)を水平方向に回転させることができる。
【0100】
図15は、本発明の第4の実施形態に係る血液分析装置における測定ユニットの突出部を示す断面斜視図である。第4の実施形態と第1の実施形態とが相違する点は、ユニット本体が突出部に対して回転可能に支持されている点である。なお、第4の実施形態の血液分析装置のうち、第1の実施形態の血液分析装置と同じ名称の部位については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0101】
この実施形態の血液分析装置における測定ユニットの突出部402k(403k)は、図15に示されるように、略直方体状に形成されており、載置台26(36)の上板26e(36e)に形成されたガイド孔28(38)に、水平移動を制限された状態で挿入されている。突出部402k(403k)には、ガイド孔28(38)に沿って移動案内される被ガイド部402k2(403k2)が形成されている。この被ガイド部402k2(403k2)も直方体状に形成されており、ガイド孔28(38)に対して被ガイド部402k2(403k2)の水平方向への回転が規制されている。また、突出部402k(403k)には、当該突出部402k(403k)がガイド孔28(38)から抜けるのを防止する抜止部402k3(403k3)が形成されている。
【0102】
突出部402k(403k)の上部には、転がり軸受402k4(403k4)を介して回転軸402k5(403k5)の下端部がその軸心C回りに回転可能に支持されている。回転軸402k5(403k5)の上端部は、処理装置本体であるユニット本体20(30)に固定されている。また、脚部2g〜2j(3g〜3j)の鉛直方向の長さは、図15における被ガイド部402k2(403k2)の上端から回転軸402k5(403k5)の上端までの鉛直方向の長さと略同一に設定されている。これにより、ユニット本体20(30)は、突出部402k(403k)に対して水平方向に回転可能に支持されている。
【0103】
以上の構成の血液分析装置によれば、測定ユニット2(3)を、載置台26(36)上において水平移動が制限される部材(突出部402k(403k))と、水平方向に回転する部材(ユニット本体20(30))とに分離したので、測定ユニット2(3)の水平方向への回転を円滑に行うことができる。
【0104】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、載置台26(36)に設けられる挿入部として、貫通孔(ガイド孔28(38))を形成しているが、凹状の溝を形成してもよい。
【0105】
また、ガイド孔28(38)は、突出部2k(3k)のX方向及びY方向への水平移動を許容するために長孔状に形成されているが、上記水平移動を規制する場合には円形状に形成されていてもよい。さらに、ガイド孔28(38)の形状は、測定ユニット2(3)の形状や載置台26(36)の大きさに応じて、適宜変更可能である。例えば、本実施形態のガイド孔28(38)の形状は、直線状に形成されているが、曲線状に形成されていてもよい。
【0106】
また、移動制限部27(37)は、載置台26(36)の一方側板26c(36c)にのみ設けられているが、載置台26(36)の後板26b(36b)や他方側板26d(36d)に設けることも可能である。
【0107】
また、上記実施形態では、測定ユニット2(3)の一方側面3c(3c)及び他方側面2d(3d)を保守作業する場合について説明したが、測定ユニット2(3)の背面2b(3b)を保守作業することも可能である。この場合は、測定ユニット2(3)の背面2b(3b)を保守作業し易い位置まで水平方向に回転させればよい。
【符号の説明】
【0108】
1 血液分析装置(検体処理システム)
2 第1測定ユニット(検体処理装置)
2k,3k 302k,303k,402k,403k 突出部
2k3,3k3,402k3,403k3 抜止部
2g〜2j,3g〜3j 脚部
3 第2測定ユニット(検体処理装置)
20,30 ユニット本体(処理装置本体)
26,36 載置台
27,37 移動制限部
28,38,228,238,328,338 ガイド孔(挿入部)
28a,38a,228a,238a 挿脱許容部
28c,38c,228c,238c 第2案内部(一方向案内部)
28e,38e,228e,238e 第3案内部(他方向案内部)
28g,38g,228g,238g 第4案内部(他方向案内部)
28d,38d,228b,238b 第1方向転換部(方向転換部)
28f,38f,228f,238f 第2方向転換部(方向転換部)
29,39 補強部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台上に検体処理装置を設置した卓上型の検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば血液試料の処理を行う検体処理システムとして、基台上に検体処理装置を設置した卓上型のものが知られている。このような検体処理システムは、検体処理装置の内部の点検や修理等の保守作業を行う際に、例えば壁や他の装置と隣接する部分の保守作業を容易に行うことができるように、検体処理装置を基台上で移動させる場合がある。
その際、特許文献1記載の検体処理システムでは、検体処理装置が基台上から落下するのを防止するために、基台に予め設けられたスライドレールに沿って検体処理装置を水平方向に移動させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−139116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の検体処理システムは、保守作業を行う際に、スライドレールに沿って検体処理装置を水平方向に引き出すためのスペースを空けて設置する必要があった。
本発明は、従来よりも設置場所の自由度が高い検体処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明の検体処理システムは、検体を処理する検体処理装置と、前記検体処理装置が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に載置される載置台と、を備えていることを特徴としている。
【0006】
本発明の検体処理システムによれば、検体処理装置は載置台上において水平方向に回転可能に載置されるので、保守作業時に検体処理装置を作業しやすい位置へ回転移動させることができる。これにより、検体処理装置の保守作業を容易に行うことができる。また、検体処理装置を回転させる際に、検体処理装置の水平移動が所定範囲内に制限されるため、検体処理装置の水平移動量を抑制することができる。これにより、従来のスライドレール式に比べて検体処理装置を移動させるスペースを減少することができるため、検体処理システムの設置場所が制限されるのを抑制することができる。
【0007】
また、前記所定範囲は、前記検体処理装置の水平移動を許容する範囲であることが好ましい。この場合、検体処理装置を水平移動させることができるため、検体処理装置の回転半径内に、その回転を妨げる部材が配置されたとしても、その部材との接触を回避しながら、検体処理装置を水平方向に回転させることができる。
【0008】
また、前記検体処理装置は、下方に突出する突出部を有し、前記載置台は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に挿入される挿入部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置の突出部を載置台の挿入部に挿入した簡単な構成によって、検体処理装置の水平移動を所定範囲内に制限しながら当該検体処理装置を水平方向に回転させることができる。
【0009】
また、前記挿入部は、前記検体処理装置が前記載置台から外側にはみ出るのを抑制するように、前記突出部を水平移動させながら水平方向に回転させることができる形状とされていることが好ましい。この場合、検体処理装置を水平方向に回転させる際に、検体処理装置が載置台から外側にはみ出るのを抑制することができるため、検体処理装置と、隣接する壁や他の装置等との接触をさらに効果的に回避することができる。
【0010】
また、前記挿入部は、前記突出部が水平移動する方向を転換させるための方向転換部を有することが好ましい。この場合、方向転換部によって検体処理装置が水平移動する方向を転換させることができるため、検体処理装置の水平移動を円滑に行うことができる。
【0011】
また、前記挿入部は、前記突出部を一方向に水平移動させるための一方向案内部と、前記突出部を前記一方向に対して交差する他方向に水平移動させるための他方向案内部とをさらに有し、前記方向転換部は、前記一方向案内部と前記他方向案内部との間において当該一方向案内部及び他方向案内部に連続して形成されていることが好ましい。この場合、検体処理装置を水平移動させる際に、一方向から他方向への方向転換、及び他方向から一方向への方向転換を円滑に行うことができる。
【0012】
また、前記載置台は、前記挿入部の周辺を補強する補強部を有していることが好ましい。この場合、載置台に挿入部が形成されることに起因して、載置台の剛性が低下するのを抑制することができる。
【0013】
また、前記突出部は、前記挿入部から上方に抜けるのを防止する抜止部を有することが好ましい。この場合、突出部の抜止部により、突出部が載置台から上方に抜けるのを防止することができる。
【0014】
また、前記挿入部は、前記抜止部の挿脱を許容する挿脱許容部を有することが好ましい。この場合、抜止部を挿脱許容部から上方に抜くことにより、検体処理装置を載置台から容易に離脱することができる。
【0015】
また、検体処理装置は、その下部に当該検体処理装置を支持する脚部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置の荷重を脚部で支持することができるため、突出部に検体処理装置の荷重が集中するのを抑制することができる。したがって、検体処理装置の水平移動及び水平方向への回転を円滑に行うことができる。
【0016】
また、前記脚部は、前記挿入部に脱落しない形状とされていることが好ましい。この場合、検体処理装置を水平方向に回転させる際に、脚部が挿入部に脱落するのを防止することができる。
【0017】
また、前記載置台は、前記脚部の水平移動範囲を制限する移動制限部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置を水平方向に回転させる際に、脚部の水平移動範囲を移動制限部によって制限することができるため、検体処理装置と隣接する壁や他の装置等との接触をさらに効果的に回避することができる。
【0018】
また、前記検体処理装置は、その背面に検体を処理する試薬を通過させる試薬管を備え、前記試薬管は、前記試薬管が前記検体処理装置の背面に接続された状態で前記検体処理装置の側面を前方に向ける回転を可能とする長さを有し、前記検体処理システムは前記検体処理装置の背面方向への前記試薬管の露出を抑制する露出抑制部をさらに備えることが好ましい。この場合、試薬管が検体処理装置に接続された状態で検体処理装置を回転することが出来る。また、試薬管が検体処理装置の背面に露出され煩雑に見えるのを抑制できる。
【0019】
また、前記載置台は、上方に突出する突出部を有し、前記検体処理装置は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に挿入される挿入部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置の挿入部に載置台の突出部を挿入した簡単な構成によって、検体処理装置の水平移動を所定範囲内に制限しながら当該検体処理装置を水平方向に回転させることができる。
【0020】
また、前記検体処理装置は、処理装置本体と、この処理装置本体の下部に配置され当該処理装置本体を水平方向に回転可能に支持する突出部とを有し、前記載置台は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で挿入される挿入部を有することが好ましい。この場合、検体処理装置を、載置台上において水平移動が所定範囲内に制限される部材(突出部)と、水平方向に回転する部材(処理装置本体)とに分離したので、検体処理装置の水平方向への回転を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の検体処理システムによれば、設置場所の自由度が高い検体処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る血液分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】上記血液分析装置の測定ユニット及び検体搬送装置を示す概略説明図である。
【図3】上記測定ユニットを下方から見た斜視図である。
【図4】上記測定ユニットの突出部を示す断面斜視図である。
【図5】上記測定ユニットが載置される載置台を上方から見た斜視図である。
【図6】上記載置台の補強部を上方から見た斜視図である。
【図7】上記載置台の補強部を下方から見た斜視図である。
【図8】上記測定ユニットの一方側面を検体搬送装置側に向ける場合における載置台と測定ユニットとの配置関係を示す概略平面図である。
【図9】上記測定ユニットの一方側面を検体搬送装置側に向ける場合における載置台と測定ユニットとの配置関係を示す概略平面図である。
【図10】上記測定ユニットの他方側面を検体搬送装置側に向ける場合における載置台と測定ユニットとの配置関係を示す概略平面図である。
【図11】上記測定ユニットの他方側面を検体搬送装置側に向ける場合における載置台と測定ユニットとの配置関係を示す概略平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る血液分析装置の載置台を示す概略平面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る血液分析装置の載置台を上方から見た斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る血液分析装置の測定ユニットを下方から見た斜視図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る血液分析装置の突出部を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る検体処理システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
〔全体構成〕
まず、検体処理システムの一例である血液分析装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る血液分析装置の全体構成を示す斜視図である。また図2は、上記血液分析装置の測定ユニット及び検体搬送装置を示す概略説明図である。本実施形態の血液分析装置1は、図1及び図2に示されるように、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の2つの測定ユニット(検体処理装置)と、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の前面2a及び3a側(矢印Y1方向側)に配置された検体搬送装置(サンプラ)4と、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3及び検体搬送装置4に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置5と、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3が設置される基台6とを備えている。また、血液分析装置1は、制御装置5によりホストコンピュータ7(図2参照)に接続されている。
【0025】
また、図1及び図2に示されるように、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ基台6上でX方向に沿って隣接して配列されている。第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ検体搬送装置4側(Y1方向側)の前面2a及び3aと、矢印Y2方向側の背面2b及び3bと、矢印X2方向側の一方側面2c及び3cと、矢印X1方向側の他方側面2d及び3dと、矢印Z1方向の上面2e及び3eと、矢印Z2方向の底面2f及び3f(図3参照)とによって囲まれたユニット本体(処理装置本体)20(30)を備えている。
【0026】
また、第1測定ユニット2と第2測定ユニット3とは、第1測定ユニット2の一方側面2cと第2測定ユニット3の他方側面3dとが近接して対向するように配置されている。これらの第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ前面2a、3aにおいて、それぞれ基台6上に配置された状態で検体搬送装置4の上方(Z1方向)に突き出た張出部2p及び3pを含む。したがって、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の外形形状は、平面的に見て基台6の外形よりも前側に突出するように構成されている。
【0027】
また、図1に示されるように、第2測定ユニット3の張出部3pの下方における前面3aは、複数のボルト11により検体搬送装置4に固定されている。また、第2測定ユニット3の底面3fは、ブラケット12を介してボルト13により後述する載置台36上に固定されている。なお、第1測定ユニット2の前面2a及び下面2fは、第2測定ユニット3と同様に、ボルト(図示省略)により検体搬送装置4及び載置台26に固定されている。
【0028】
また、図1及び図2に示されるように、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、実質的に同種類の測定ユニットであり、互いに隣接して配置されている。具体的には、本実施の形態では、第2測定ユニット3は、第1測定ユニット2と同じ測定原理を使用して、同一の測定項目について検体を測定する。さらに、第2測定ユニット3は、第1測定ユニット2が分析しない測定項目についても測定する。また、図2に示されるように、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ、検体である血液を検体容器101から吸引する検体吸引部21(31)と、当該検体吸引部21(31)により吸引した血液から検出用試料を調製する試料調製部22、32と、当該試料調製部22、32により調製された検出用試料から血液の血球を検出する検出部23、33等とを含んでいる。
【0029】
また、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ、内部に検体容器101を取り込み、検体吸引部21(31)による吸引位置600、700(図2参照)まで検体容器101を搬送する検体容器搬送部25、35とをさらに含んでいる。
【0030】
また、図1及び図2に示されるように、第1測定ユニット2の背面2bには、検体を処理する試薬が通過する試薬管2b1、廃液が通過する廃液管2b2、及び空圧を調製するための空圧管2b3などが配置されている。第2測定ユニット3の背面3bも第1測定ユニット2の背面2bと同様に、試薬管3b1、廃液管3b2、及び空圧管3b3などが配置されている。試薬管2b1(3b1)は試薬タンク2b4(3b4)、廃液管2b2(3b2)は廃液タンク2b5(3b5)、空圧管2b3(3b3)は空圧ポンプ2b6(3b6)へと接続されている。本実施形態では、試薬タンク2b4(3b4)、廃液タンク2b5(3b5)、及び空圧ポンプ2b6(3b6)は基台6の下に収容されている。
【0031】
試薬管2b1、廃液管2b2、及び空圧管2b3の長さは、各管が接続された状態で第1測定ユニット2の一方側面2c及び第1測定ユニット2の他方側面2dを前方に向けて回転させることが可能な長さとなるよう構成されている。これにより、後述のように第1測定ユニット2を回転して第1測定ユニット2の一方側面2c及び他方側面2dを検体搬送装置4側に向けてユニット内部の保守作業を行う際にも、試薬管2b1及び廃液管2b2などを取りはずす必要がない。このため、試薬管2b1が取り外された際に、試薬管2b1が汚染されることや、廃液管2b2中の廃液がこぼれるおそれもなくなる。また、試薬管2b1、廃液管2b2、及び空圧管2b3の長さは、上述のように設定されているため、第1測定ユニット2の背面2bにおいて各管の露出部分が大きい。また、本実施形態の血液分析装置1は、第1測定ユニット2の背面2b側及び第2測定ユニット3の背面3b側に、試薬管2b1(3b1)、廃液管2b2(3b2)、及び空圧管2b3(3b3)などの露出を抑制する露出抑制部8を備えている。これにより、各管の露出部分を小さくすることが出来、煩雑に見えるのを抑制することが出来る。試薬管3b1、廃液管3b2、及び空圧管3b3の長さは、試薬管2b1、廃液管2b2、及び空圧管2b3の長さと同様である。
【0032】
露出抑制部8は、その両側面及びその背面が板状の部材で構成されている。基台6の背面から露出抑制部8の背面までの間には、試薬管2b1(3b1)、廃液管2b2(3b2)、及び空圧管2b3(3b3)などが挿入出来るように隙間が設けられている。露出抑制部8の両側面及び背面のZ方向の長さは、基台6の下面から試薬管2b1(3b1)、廃液管2b2(3b2)、及び空圧管2b3(3b3)の取り付けられた位置までの長さである。露出抑制部8の両側面のY方向の長さは第1測定ユニット2の背面2b及び第2測定ユニット3の背面3bから露出抑制部8の背面までの長さである。露出抑制部8の背面のX方向の長さは基台6のX方向の長さと同様である。
【0033】
検体吸引部21(31)は、図2に示されるように、ピアサ211(311)を含んでいる。ピアサ211(311)は、先端が検体容器101の密閉蓋を貫通(穿刺)可能なように形成されている。また、ピアサ211は、図示しないピアサ駆動部により鉛直方向(Z1及びZ2方向)に移動されるように構成されている。
【0034】
検出部23(33)は、RBC検出(赤血球の検出)及びPLT検出(血小板の検出)をシースフローDC検出法により行うとともに、HGB検出(血液中の血色素の検出)をSLS−ヘモグロビン法により行うように構成されている。また、検出部23(33)は、WBC検出(白血球の検出)を半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うようにも構成されている。
【0035】
検出部23(33)で得られた検出結果は、検体の測定データ(測定結果)として、制御装置5に送信される。なお、この測定データは、ユーザに提供される最終的な分析結果(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン量、白血球数など)のもととなるデータである。
【0036】
分析前ラック保持部41は、ラック送込部411を有し、ラック送込部411がY2方向に移動することによって、分析前ラック保持部41に保持されたラック110を1つずつラック搬送部43上に押し出すように構成されている。ラック送込部411は、分析前ラック保持部41の下方に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動するように構成されている。
【0037】
ラック搬送部43は、図2に示されるように、第1測定ユニット2に検体を提供するための第1取出位置43a、及び、第2測定ユニット3に検体を提供するための第2取出位置43bに、ラック110に保持された検体容器101を移送するためにラック110を搬送するように構成されている。さらに、ラック搬送部43は、有無検知センサ45が検体を収容する検体容器100の有無を確認するための検体有無確認位置43c、及び、バーコード読取部44が検体を収容する検体容器101のバーコードを読み取るための読取位置43dまで検体容器101が移送されるようにラック110を搬送するように構成されている。
【0038】
有無検知センサ45は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片(図示省略)、光を出射する発光素子(図示省略)及び受光素子(図示省略)を有している。有無検知センサ45は、接触片が検知対象の被検知物に当接されることにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射されるように構成されている。これにより、有無検知センサ45の下方をラック110に収容された検知対象の検体容器101が通過する際に、接触片が検体容器101により屈曲されて、当該検体容器101の存在を検知することが可能である。
【0039】
ラック送出部46は、ラック搬送部43を挟んで分析後ラック保持部42に対向するように配置されており、Y1方向に水平に移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部42とラック送出部46との間にラック110が搬送された場合に、ラック送出部46を分析後ラック保持部42側に移動することによって、ラック110を押圧して分析後ラック保持部42内に移動することが可能である。
【0040】
制御装置5は、図1及び図2に示されるように、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部と、表示部52と、入力デバイス53とを含んでいる。また、表示部52は、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果などを表示するために設けられている。
【0041】
[脚部]
図3は、上記測定ユニットを下方から見た斜視図である。図3において、測定ユニット2(3)の下部である底面2f(3f)には、測定ユニット2(3)の荷重を支持する4つの脚部2g〜2j(3g〜3j)が設けられている。 脚部2g〜2j(3g〜3j)は、円筒状に形成されており、その上端は測定ユニット2(3)の底面2f(3f)の四隅近傍にそれぞれ固定されている。脚部2g〜2j(3g〜3j)は、後述する載置台26(36)の上板26e(36e)上に水平移動可能に載置されており、測定ユニット2(3)を載置台26(36)に対して水平移動可能に支持している。
【0042】
これらの脚部2g〜2j(3g〜3j)は、載置台26(36)上で測定ユニット2(3)を円滑に水平移動させるために、ポリアタセール樹脂によって形成されている。また、脚部2g〜2j(3g〜3j)の外周径D1(図3参照)は、後述するガイド孔28(38)の各寸法D2及びW(図5参照)よりも大きく設定されており、脚部2g〜2j(3g〜3j)がガイド孔28(38)に脱落しないようになっている。
【0043】
[突出部]
図3において、測定ユニット2(3)の底面2f(3f)には、下方に突出する突出部2k(3k)が設けられている。突出部2k(3k)は、略円柱状に形成されており、測定ユニット2(3)の底面2f(3f)のX方向中心部であって、かつY方向中心部よりもY2方向にずれた位置に配置されている。
【0044】
図4は、上記測定ユニットの突出部を示す断面斜視図である。突出部2k(3k)の上端は、固定ブラケット2l(3l)に一対のボルト2m(3m)により固定されている(図4参照)。この固定ブラケット2l(3l)は、測定ユニット2(3)の底面2f(3f)に固定された一対の取付ブラケット2n(3n)に固定されている。また、突出部2k(3k)は、図4に示されるように、上端部に形成された大径部2k1(3k1)と、鉛直方向の中間部に形成された被ガイド部となる小径部2k2(3k2)と、下端部に形成された抜止部2k3(3k3)とを有している。
【0045】
小径部2k2(3k2)の直径は、大径部2k1(3k1)の直径よりも小径に設定されている。抜止部2k3(3k3)の直径は、小径部2k2(3k2)の直径よりも大径であって、かつ大径部2k1(3k1)の直径と同一径に設定されている。小径部2k2(3k2)は、後述するガイド孔28(38)により移動案内される。また、突出部2k(3k)は、ガイド孔28(38)により円滑に移動案内させるために、ポリアタセール樹脂によって形成されている。なお、突出部2k(3k)は、テフロン(登録商標)製の樹脂によって形成することも可能である。また、脚部2g〜2j(3g〜3j)の鉛直方向の長さは、図4における小径部2k2(3k2)の上端から固定ブラケット2l(3l)の上面までの鉛直方向の長さと略同一に設定されている。
【0046】
[載置台]
図1において、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、それぞれ基台6上に設置された載置台26及び36に載置されている。この載置台26(36)は、下方が開口した中空箱体よりなり(図6参照)、図5に示されるように、Y1方向側の前板26a(36a)と、Y2方向側の後板26b(36b)と、X2方向側の一方側板26c(36c)と、X1方向側の他方側板26d(36d)と、Z1方向側の上板26e(36e)とを有する。
【0047】
上板26e(36e)の上面には、測定ユニット2(3)の脚部2g〜2j(3g〜3j)が水平移動可能に載置されている。また、前板26a(36a)には、載置台26(36)を検体搬送装置4に固定するための固定板26f(36f)が取り付けられている。
【0048】
載置台26(36)は、図5に示されるように、測定ユニット2(3)の脚部2g〜2j(3g〜3j)の水平移動範囲を制限する移動制限部27(37)を有している。移動制限部27(37)は、一方側板26c(36c)の長手方向(Y方向)の長さと略同一長さに形成された平板部材からなる。また、移動制限部27(37)は、上板26e(36e)よりも上方に突出した状態で一方側板26c(36c)に固定されている。上板26e(36e)よりも上方に突出している移動制限部27(37)の鉛直方向の長さは、脚部2g〜2j(3g〜3j)の鉛直方向の長さより短く設定されている。これにより、移動制限部27(37)は、測定ユニット2(3)の脚部2g〜2j(3g〜3j)を当接させることにより、脚部2g〜2j(3g〜3j)が載置台26(38)の上板26e(36e)からX2方向へ移動するのを制限することができる。また、移動制限部27(37)は、脚部2g〜2j(3g〜3j)が測定ユニット2(3)の上板26e(36e)からX2方向へ脱落するのを防止することができる。
【0049】
載置台26(36)は、図5に示されるように、その上板26e(36e)に形成された挿入部であるガイド孔28(38)を有する。このガイド孔28(38)には、測定ユニット2(3)の突出部2k(3k)が水平移動を制限された状態で水平方向に回転可能に挿入されている。ガイド孔28(38)は、測定ユニット2(3)が載置台26(36)から外側にはみ出るのを抑制するように、突出部2k(3k)を水平移動させながら水平方向に回転させることができるように形成されている。
【0050】
具体的には、ガイド孔28(38)は、略「3」字状に形成されており、挿脱許容部28a(38a)と、第1案内部28b(38b)と、一方向案内部である第2案内部28c(38c)と、他方向案内部である第3案内部28e(38e)及び第4案内部28g(38g)と、方向転換部である第1方向転換部28d(38d)及び第2方向転換部28f(38f)とを有している。
【0051】
挿脱許容部28a(38a)は、抜止部2k3(3k3)の挿脱を許容する箇所であり、載置台26(36)の上板26e(36e)の略中央部において円形に形成されている。また、挿脱許容部28a(38a)は、その直径寸法D2が突出部2k(3k)の抜止部2k3(3k3)の直径よりも大径に設定されており、この挿脱許容部28a(38a)から抜止部2k3(3k3)を挿脱することができるようになっている。
【0052】
第1案内部28b(38b)は、挿脱許容部28a(38a)からY2方向に延びて形成されている。第1案内部28b(38b)の幅寸法Wは、図4に示されるように、小径部2k2(3k2)の直径よりも若干大きく、かつ大径部2k1(3k1)及び抜止部2k3(3k3)の直径よりも小さく設定されている。これにより、小径部2k2(3k2)を第1案内部28b(38b)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)をX方向に移動案内することができる。その際、突出部2k(3k)の大径部2k1(3k1)の下面は、載置台26(36)の上板26e(36e)の上面を摺動するようになっている。また、突出部2k(3k)は、抜止部2k3(3k3)により第1案内部28b(38b)から上方に抜けないように規制されている。なお、測定ユニット2(3)は、通常、図1の検体搬送装置4及び載置台26(36)に固定された状態で、第1案内部28b(38b)のY方向の略中央に位置した状態で保持されている(図8(a)参照)。
【0053】
第2案内部28c(38c)は、第1案内部28b(38b)のY2方向側端部において当該第1案内部28b(38b)に直交するX方向(一方向)に延びて形成されている。第2案内部28c(38c)の幅寸法(Y方向の寸法)は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第2案内部28c(38c)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)をX方向に移動案内することができる。
【0054】
第1方向転換部28d(38d)は、第2案内部28c(38c)と第3案内部28e(38e)との間において、当該第2案内部28c(38c)及び第3案内部28e(38e)に連続して形成されている。具体的には、第1方向転換部28d(38d)は、第2案内部28c(38c)のX2方向側端部から斜め前方(X2方向及びY1方向)に延びて、第3案内部28e(38e)のY2方向側端部に接続されている。第1方向転換部28d(38d)の幅寸法は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第1方向転換部28d(38d)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)が水平移動する方向をX方向からY方向又はY方向からX方向へ方向転換させながら移動案内することができる。
【0055】
第3案内部28e(38e)は、上板26e(36e)のX2方向側端部においてY方向(他方向)に延びて形成されている。第3案内部28e(38e)の幅寸法(X方向の寸法)は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第3案内部28e(38e)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)をY方向に移動案内することができる。
【0056】
第2方向転換部28f(38f)は、第2案内部28c(38c)と第4案内部28g(38g)との間において、当該第2案内部28c(38c)及び第4案内部28g(38g)に連続して形成されている。具体的には、第2方向転換部28f(38f)は、第2案内部28c(38c)のX1方向側端部から斜め前方(X1方向及びY1方向)に延びて、第4案内部28g(38g)のY2方向側端部に接続されている。
【0057】
第2方向転換部28f(38f)の長手方向の長さは、第1方向転換部28d(38d)の長手方向の長さよりも短く形成されている。第2方向転換部28f(38f)の幅寸法は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第2方向転換部28f(38f)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)が水平移動する方向をX方向からY方向又はY方向からX方向へ方向転換させながら移動案内することができる。
【0058】
第4案内部28g(38g)は、上板26e(36e)のX1方向側端部においてY方向(他方向)に延びて形成されている。第4案内部28g(38g)の長手方向の長さは、第3案内部28e(38e)の長手方向の長さよりも長く形成されている。第4案内部28g(38g)の幅寸法(X方向の寸法)は、第1案内部28b(38b)の幅寸法Wと略同一長さに設定されており、突出部2k(3k)の小径部2k2(3k2)を第4案内部28g(38g)に沿って移動させることで、突出部2k(3k)をY方向に移動案内することができる。
【0059】
載置台26(36)は、図6及び図7に示されるように、上板26e(36e)のガイド孔28(38)の周辺を補強する補強部29(39)を有している。補強部29(39)は、上板26e(36e)の下方においてそのY方向に延びる第1補強部29a(39a)と、X方向に延びる第2補強部29b(39b)とを有する。
【0060】
第1補強部29a(39a)は、図6に示されるように、略凹状に形成されており、Y方向に延びる底板部29a1(39a1)と、底板部29a1(39a1)のX方向両端縁から鉛直方向に延びる一対の側板部29a2(39a2)と、各側板部29a2(39a2)の上端縁からX1方向及びX2方向に延びる一対のフランジ部29a3(39a3)とを有している。
【0061】
X1方向側の側板部29a2(39a2)及びフランジ部29a3(39a3)は、ガイド孔28(38)の第1案内部28b(38b)と第4案内部28g(38g)との間に配置されている。また、X2方向側の側板部29a2(39a2)及びフランジ部29a3(39a3)は、ガイド孔28(38)の第1案内部28b(38b)と第3案内部28e(38e)との間に配置されている。各フランジ部29a3(39a3)は、載置台26(36)の上板26e(36e)の下面に固定されている。また、第1補強部29a(39a)には、第2案内部28c(38c)と第2方向転換部28f(38f)との接続部を跨ぐように一対の切欠部29a4(39a4)が形成されている。
【0062】
第2補強部29b(39b)は、第1補強部29a(39a)と同様に略凹状に形成されており、X方向に延びる底板部29b1(39b1)と、底板部29b1(39b1)のY方向両端縁から鉛直方向に延びる一対の側板部29b2(39b2)と、各側板部29b2(39b2)の上端縁からY1方向及びY2方向に延びる一対のフランジ部29b3(39b3)とを有している。
【0063】
Y1方向側の側板部29b2(39b2)及びフランジ部29b3(39b3)は、ガイド孔28(38)の第3案内部28e(38e)よりもY1方向側に配置されている。また、Y2方向側の側板部29b2(39b2)及びフランジ部29b3(39b3)は、ガイド孔28(38)の第1案内部28b(38b)と第3案内部28e(38e)との接続部をX方向に交差するように配置されている。各フランジ部29b3(39a3)は、載置台26(36)の上板26e(36e)の下面に固定されている。また、第2補強部29b(39b)には、第1案内部28b(38b)と第3案内部28e(38e)との接続部を跨ぐように切欠部29b4(39b4)が形成されている。
【0064】
[移動手順]
次に、載置台36上に載置されている第2測定ユニット3を保守作業時に水平移動させる手順について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、図1の状態から、第2測定ユニット3の一方側面3cを検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合と、第2測定ユニット3の他方側面3dを検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合とに分けて説明する。なお、第1測定ユニット2の移動手順は、第2測定ユニット3と同一手順で行われるため、その詳細な説明については省略する。
【0065】
図1において、第2測定ユニット3の一方側面3cを検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合、まず、ボルト11,13による第2測定ユニット3の載置台36及び検体搬送装置4に対する固定を解除し、第2測定ユニット3を載置台36上で水平移動可能な状態とする。その際、ボルト13とともにブラケット12も載置台36上から取り外す。
【0066】
図8(a)は、図1の状態における第2測定ユニット3の概略平面図である。第2測定ユニット3を固定解除した後、図8(a)の状態から、第2測定ユニット3を検体搬送装置4側(Y1方向側)からY2方向に押すと、突出部3kが第1案内部38bに沿って移動することにより、第2測定ユニット3はY2方向に水平移動する。そして、図8(b)に示されるように、突出部3kが第2案内部38cまで移動すると、第2測定ユニット3のY2方向への水平移動が規制される。この状態において、第2測定ユニット3の前面3aが載置台36の固定板36fからY2方向に離反するため、第2測定ユニット3を固定板36fと干渉することなく水平方向に回転させることが可能となる。
【0067】
次に、第2測定ユニット3を、図8(b)の状態から突出部3kを中心として、、第2測定ユニット3を上から見て時計回り方向に水平に回転させる。そして、図8(c)に示されるように、第2測定ユニット3の脚部3gが載置台36上のX1方向側端部まで水平移動すると、第2測定ユニット3の時計回り方向の水平回転を一旦停止させる。
【0068】
図8(c)の状態から、第2測定ユニット3をX2方向に水平移動させながら時計回り方向に水平に回転させる。その際、突出部3kは、第2案内部38cに沿ってX2方向に移動し、図8(d)に示されるように、第1方向転換部38dとの接続部に達する。
【0069】
図8(d)の状態から、第2測定ユニット3をさらにX2方向に押すと、突出部3kが第1方向転換部38dに沿って移動することにより、第2測定ユニット3は、図9(e)の左上に向けて、X2方向からY1方向へ方向転換しながら水平移動する。
【0070】
そして、図9(f)に示されるように、第2測定ユニット3の一方側面3cが検体搬送装置4側に向いた状態になると、第2測定ユニット3の時計回り方向の回転を停止させる。この状態から、第2測定ユニット3を検体搬送装置4側からY1方向に引くと、図9(g)に示されるように、突出部3kが第1方向転換部38dに沿って第3案内部38eとの接続部まで移動する。
【0071】
図9(g)の状態から、さらに第2測定ユニット3をY1方向に引くと、第2測定ユニット3が第3案内部38eに沿ってY1方向に水平移動し、図9(h)に示されるように、第2測定ユニット3の一方側面3cを検体搬送装置4側に近づけることができる。これにより、検体搬送装置4側において、第2測定ユニット3の一方側面3cからユニット内部の保守作業を行うことができる。
【0072】
次に、図1の状態から、第2測定ユニット3の他方側面3dを検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合について説明する。まず、第2測定ユニット3の他方側面3dを保守作業する場合と同様に、ボルト11,13による第2測定ユニット3の載置台36及び検体搬送装置4に対する固定を解除し、第2測定ユニット3を載置台36上で水平移動可能な状態とする。その際、ボルト13とともにブラケット12も載置台36上から取り外す。
【0073】
図10(a)は、図1の状態における第2測定ユニット3の概略平面図である。第2測定ユニット3を固定解除した後、図10(a)の状態から、第2測定ユニット3を検体搬送装置4側(Y1方向側)からY2方向に押すと、突出部3kが第1案内部38bに沿って移動することにより、第2測定ユニット3はY2方向に水平移動する。
【0074】
そして、図10(b)に示されるように、突出部3kが第2案内部38cまで移動すると、第2測定ユニット3のY2方向への水平移動が規制される。この状態において、第2測定ユニット3の前面3aが載置台36の固定板36fからY2方向に離反するため、第2測定ユニット3と固定板36fとの接触を回避しながら水平方向に回転させることが可能となる。
【0075】
次に、第2測定ユニット3を、図10(b)の状態から突出部3kを中心として、第2測定ユニット3を上から見て反時計回り方向に水平に回転させる。そして、図10(c)に示されるように、第2測定ユニット3の脚部3h及び3jがそれぞれ載置台36上のX2方向側端部及びY2方向側端部まで水平移動すると、第2測定ユニット3の反時計回り方向の水平回転を一旦停止させる。その際、脚部3hは移動制限部37に当接することによりX2方向への移動が規制される。
【0076】
図10(c)の状態から、第2測定ユニット3をX1方向に水平移動させると、突出部3kは第2案内部38cに沿ってX1方向に移動し、図10(d)に示されるように、第2方向転換部38fとの接続部に達する。この状態から、第2測定ユニット3をさらにX1方向に押すと、突出部3kが第2方向転換部38fに沿って移動することにより、第2測定ユニット3は、図11(e)の右上に向けて、X1方向からY1方向へ方向転換しながら水平移動する。
【0077】
そして、図11(f)に示されるように、第2測定ユニット3の他方側面3dが検体搬送装置4側に向いた状態になると、第2測定ユニット3の反時計回り方向の回転を停止させるとともに、第2測定ユニット3を検体搬送装置4側からY1方向に引いて、突出部3kを第2方向転換部38fに沿って第4案内部38gとの接続部まで移動させる。
【0078】
図11(f)の状態から、第2測定ユニット3をさらにY1方向に引くと、突出部3kが第4案内部38gに沿ってY1方向に移動し、図11(g)に示されるように、第2測定ユニット3の他方側面3dを検体搬送装置4側に近づけることができる。これにより、検体搬送装置4側において、第2測定ユニット3の他方側面3dからユニット内部の保守作業を行うことができる。
【0079】
以上のように構成された本実施形態の血液分析装置によれば、測定ユニット2(3)は、載置台26(36)上において水平方向に回転可能に載置されているので、保守作業時に測定ユニット2(3)を作業しやすい位置へ回転移動させることができる。これにより、測定ユニット2(3)の保守作業を容易に行うことができる。また、測定ユニット2(3)を回転させる際に、測定ユニット2(3)の水平移動が制限されるため、測定ユニット2(3)の水平移動量を抑制することができる。これにより、従来のスライドレール式に比べて測定ユニット2(3)を移動させるスペースを減少することができるため、血液分析装置の設置場所が制限されるのを抑制することができる。
【0080】
また、ガイド孔28(38)は、測定ユニット2(3)の水平移動を許容するように形成されているため、測定ユニット2(3)を水平移動させることにより、測定ユニット2(3)は固定板26f(36f)等との接触を回避しながら、測定ユニット2(3)を水平方向に回転させることができる。
【0081】
また、測定ユニット2(3)の下方に突出する突出部2k(3k)を、載置台26(36)に形成されたガイド孔28(38)に挿入した簡単な構成によって、測定ユニット2(3)の水平移動を制限しながら当該測定ユニット2(3)を水平方向に回転させることができる。
【0082】
また、ガイド孔28(38)は、測定ユニット2(3)が載置台26(36)から外側にはみ出るのを抑制するように、突出部2k(3k)を水平移動させながら水平方向に回転させることができるように形成されているため、測定ユニット2(3)と、隣接する壁や他の装置等との接触をさらに効果的に回避することができる。
【0083】
また、ガイド孔28(38)に形成された方向転換部28d(38d),28f(38f)によって、突出部2k(3k)が水平移動する方向を転換することができるため、測定ユニット2(3)の水平移動を円滑に行うことができる。
【0084】
また、第1方向転換部28d(38d)は、一方向(X方向)に延びる一方向案内部(第2案内部28c(38c))と他方向(Y方向)に延びる他方向案内部(第3案内部28e(38e)との間において、第2方向転換部28f(38f)は、上記一方向案内部と他方向案内部(第4案内部28g(38g))との間において、それぞれ一方向案内部及び他方向案内部に連続して形成されているため、測定ユニット2(3)を水平移動させる際に、一方向から他方向への方向転換、及び他方向から一方向への方向転換を円滑に行うことができる。
【0085】
また、載置台26(36)は、ガイド孔28(38)の周辺を補強する補強部29(39)を有しているため、載置台26(36)にガイド孔28(38)が形成されることに起因して、載置台26(36)の剛性が低下するのを抑制することができる。
【0086】
また、突出部2k(3k)には抜止部2k3(3k3)が形成されているため、突出部2k(3k)がガイド孔28(38)から外れるのを防止することができる。
【0087】
また、ガイド孔28(38)には、突出部2k(3k)の抜止部2k3(3k3)の挿脱を許容する挿脱許容部28a(38a)が形成されているため、抜止部2k3(3k3)を挿脱許容部28a(38a)から上方に抜くことにより、測定ユニット2(3)を載置台26(36)から容易に離脱することができる。
【0088】
また、測定ユニット2(3)は、その底面2f(3f)に当該測定ユニット2(3)を載置台26(36)上に水平移動可能に支持する脚部2g〜2j(3g〜3j)を有しているため、測定ユニット2(3)の荷重を脚部2g〜2j(3g〜3j)で支持することができる。これにより、測定ユニット2(3)の荷重が突出部2k(3k)に集中するのを抑制することができるため、測定ユニット2(3)の水平移動及び水平方向への回転を円滑に行うことができる。
【0089】
また、測定ユニット2(3)の脚部2g〜2j(3g〜3j)の外周径D1は、ガイド孔28(38)の各寸法D2及びWよりも大きく設定されているため、測定ユニット2(3)を水平方向に回転させる際に、脚部2g〜2j(3g〜3j)がガイド孔28(38)に脱落するのを防止することができる。
【0090】
また、測定ユニット2(3)を水平方向に回転させる際に、載置台26(36)の移動制限部27(37)により、脚部2g〜2j(3g〜3j)の水平移動範囲を制限することができるため、測定ユニット2(3)と、隣接する壁や他の装置等との接触をさらに効果的に回避することができる。
【0091】
[他の実施形態]
図12は、本発明の第2の実施形態に係る血液分析装置の載置台を示す概略平面図であり、第1の実施形態における図8(a)に対応する図である。第4の実施形態と第1の実施形態とが相違する点は、ガイド孔の形状が異なる点である。第2の実施形態の血液分析装置のうち、第1の実施形態の血液分析装置と同じ名称の部位については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0092】
この実施形態の血液分析装置における載置台26(36)に形成されたガイド孔228(238)は、上板26e(36e)の上端部中央に形成された円形の挿脱許容部228a(238a)と、挿脱許容部228a(238a)からY2方向に延びる第1案内部228b(238b)と、第1案内部228b(238b)に直交するX方向に延びる第2案内部(一方向案内部)228c(238c)と、上板26e(36e)のX1方向側端部においてY方向に延びる第3案内部(他方向案内部)228e(238e)と、上板26e(36e)のX2方向側端部においてY方向に延びる第4案内部(他方向案内部)228g(238g)と、第2案内部228c(238c)と第3案内部228e(238e)との間に形成された第1方向転換部(方向転換部)228d(238d)と、第2案内部228c(238c)と第4案内部228g(238g)との間に形成された第2方向転換部(方向転換部)228f(238f)とを有している。
【0093】
挿脱許容部228a(238a)、並びに各案内部及び各方向転換部228b〜228g(238b〜238g)は、それぞれ第1の実施形態の挿脱許容部28a(38a)、並びに各案内部及び各方向転換部28b〜28g(38b〜38g)と同一構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0094】
上記構成により、測定ユニット2(3)の一方側面2c(3c)を、検体搬送装置4側(Y1方向側)に向けた状態で保守作業する場合には、突出部2k(3k)を、第1案内部228b(238b)、第2案内部228c(238c)、第1方向転換部228d(238d)及び第3案内部228e(238e)の順に移動案内しながら、測定ユニット2(3)を図12において時計回り方向に水平に回転させればよい。
【0095】
また、測定ユニット2(3)の他方側面2d(3d)を、検体搬送装置4側に向けた状態で保守作業する場合には、突出部2k(3k)を、第1案内部228b(238b)、第2案内部228c(238c)、第2方向転換部228f(238f)及び第4案内部228g(238g)の順に移動案内しながら、測定ユニット2(3)を図12において反時計回り方向に水平に回転させればよい。
【0096】
以上の構成の血液分析装置についても、ガイド孔228(238)は、測定ユニット2(3)が載置台26(36)から外側にはみ出るのを抑制するように、突出部2k(3k)を水平移動させながら水平方向に回転させることができるように形成されているため、測定ユニット2(3)と、隣接する壁や他の装置等との接触を効果的に回避することができる。
【0097】
図13及び図14は、本発明の第3の実施形態に係る血液分析装置を示す図である。第3の実施形態と第1の実施形態とが相違する点は、突出部とガイド孔とが上下逆に配置されている点である。なお、第3の実施形態の血液分析装置のうち、第1の実施形態の血液分析装置と同じ名称の部位については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0098】
この実施形態における血液分析装置では、図13に示されるように、載置台26(36)の上板26e(36e)上に、上方に突出する突出部302k(303k)が固定さている。また、図14に示されるように、測定ユニット2(3)の底面2f(3f)には、突出部302k(303k)が水平移動を制限された状態で水平方向に回転可能に挿入されている挿入部であるガイド孔328(338)が形成されている。なお、脚部2g〜2j(3g〜3j)の鉛直方向の長さは、大径部2k1(3k1)の鉛直方向の長さと略同一に設定されている。
【0099】
以上の構成の血液分析装置についても、載置台26(36)の上方に突出する突出部302k(303k)を、測定ユニット2(3)に形成されたガイド孔328(338)に挿入した簡単な構成によって、測定ユニット2(3)の水平移動を制限しながら当該測定ユニット2(3)を水平方向に回転させることができる。
【0100】
図15は、本発明の第4の実施形態に係る血液分析装置における測定ユニットの突出部を示す断面斜視図である。第4の実施形態と第1の実施形態とが相違する点は、ユニット本体が突出部に対して回転可能に支持されている点である。なお、第4の実施形態の血液分析装置のうち、第1の実施形態の血液分析装置と同じ名称の部位については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0101】
この実施形態の血液分析装置における測定ユニットの突出部402k(403k)は、図15に示されるように、略直方体状に形成されており、載置台26(36)の上板26e(36e)に形成されたガイド孔28(38)に、水平移動を制限された状態で挿入されている。突出部402k(403k)には、ガイド孔28(38)に沿って移動案内される被ガイド部402k2(403k2)が形成されている。この被ガイド部402k2(403k2)も直方体状に形成されており、ガイド孔28(38)に対して被ガイド部402k2(403k2)の水平方向への回転が規制されている。また、突出部402k(403k)には、当該突出部402k(403k)がガイド孔28(38)から抜けるのを防止する抜止部402k3(403k3)が形成されている。
【0102】
突出部402k(403k)の上部には、転がり軸受402k4(403k4)を介して回転軸402k5(403k5)の下端部がその軸心C回りに回転可能に支持されている。回転軸402k5(403k5)の上端部は、処理装置本体であるユニット本体20(30)に固定されている。また、脚部2g〜2j(3g〜3j)の鉛直方向の長さは、図15における被ガイド部402k2(403k2)の上端から回転軸402k5(403k5)の上端までの鉛直方向の長さと略同一に設定されている。これにより、ユニット本体20(30)は、突出部402k(403k)に対して水平方向に回転可能に支持されている。
【0103】
以上の構成の血液分析装置によれば、測定ユニット2(3)を、載置台26(36)上において水平移動が制限される部材(突出部402k(403k))と、水平方向に回転する部材(ユニット本体20(30))とに分離したので、測定ユニット2(3)の水平方向への回転を円滑に行うことができる。
【0104】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、載置台26(36)に設けられる挿入部として、貫通孔(ガイド孔28(38))を形成しているが、凹状の溝を形成してもよい。
【0105】
また、ガイド孔28(38)は、突出部2k(3k)のX方向及びY方向への水平移動を許容するために長孔状に形成されているが、上記水平移動を規制する場合には円形状に形成されていてもよい。さらに、ガイド孔28(38)の形状は、測定ユニット2(3)の形状や載置台26(36)の大きさに応じて、適宜変更可能である。例えば、本実施形態のガイド孔28(38)の形状は、直線状に形成されているが、曲線状に形成されていてもよい。
【0106】
また、移動制限部27(37)は、載置台26(36)の一方側板26c(36c)にのみ設けられているが、載置台26(36)の後板26b(36b)や他方側板26d(36d)に設けることも可能である。
【0107】
また、上記実施形態では、測定ユニット2(3)の一方側面3c(3c)及び他方側面2d(3d)を保守作業する場合について説明したが、測定ユニット2(3)の背面2b(3b)を保守作業することも可能である。この場合は、測定ユニット2(3)の背面2b(3b)を保守作業し易い位置まで水平方向に回転させればよい。
【符号の説明】
【0108】
1 血液分析装置(検体処理システム)
2 第1測定ユニット(検体処理装置)
2k,3k 302k,303k,402k,403k 突出部
2k3,3k3,402k3,403k3 抜止部
2g〜2j,3g〜3j 脚部
3 第2測定ユニット(検体処理装置)
20,30 ユニット本体(処理装置本体)
26,36 載置台
27,37 移動制限部
28,38,228,238,328,338 ガイド孔(挿入部)
28a,38a,228a,238a 挿脱許容部
28c,38c,228c,238c 第2案内部(一方向案内部)
28e,38e,228e,238e 第3案内部(他方向案内部)
28g,38g,228g,238g 第4案内部(他方向案内部)
28d,38d,228b,238b 第1方向転換部(方向転換部)
28f,38f,228f,238f 第2方向転換部(方向転換部)
29,39 補強部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を処理する検体処理装置と、
前記検体処理装置が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に載置される載置台と、を備えていることを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
前記所定範囲は、前記検体処理装置の水平移動を許容する範囲である請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記検体処理装置は、下方に突出する突出部を有し、
前記載置台は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に挿入される挿入部を有する請求項1又は2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記挿入部は、前記検体処理装置が前記載置台から外側にはみ出るのを抑制するように、前記突出部を水平移動させながら水平方向に回転させることができる形状とされている請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記挿入部は、前記突出部が水平移動する方向を転換させるための方向転換部を有する請求項3又は4に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記挿入部は、前記突出部を一方向に水平移動させるための一方向案内部と、
前記突出部を前記一方向に対して交差する他方向に水平移動させるための他方向案内部とをさらに有し、
前記方向転換部は、前記一方向案内部と前記他方向案内部との間において当該一方向案内部及び他方向案内部に連続して形成されている請求項5に記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記載置台は、前記挿入部の周辺を補強する補強部を有している請求項3〜6のいずれか一項に記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記突出部は、前記挿入部から上方に抜けるのを防止する抜止部を有する請求項3〜7のいずれか一項に記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記挿入部は、前記抜止部の挿脱を許容する挿脱許容部を有する請求項8に記載の検体処理システム。
【請求項10】
前記検体処理装置は、その下部に当該検体処理装置を支持する脚部を有する請求項3〜9のいずれか一項に記載の検体処理システム。
【請求項11】
前記脚部は、前記挿入部に脱落しない形状とされている請求項10に記載の検体処理システム。
【請求項12】
前記載置台は、前記脚部の水平移動範囲を制限する移動制限部を有する請求項10又は11に記載の検体処理システム。
【請求項13】
前記検体処理装置は、その背面に検体を処理する試薬を通過させる試薬管を備え、
前記試薬管は、前記試薬管が前記検体処理装置の背面に接続された状態で前記検体処理装置の側面を前方に向ける回転を可能とする長さを有し、
前記検体処理装置の背面方向への前記試薬管の露出を抑制する露出抑制部をさらに備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載の検体処理システム。
【請求項14】
前記載置台は、上方に突出する突出部を有し、
前記検体処理装置は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に挿入される挿入部を有する請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項15】
前記検体処理装置は、処理装置本体と、この処理装置本体の下部に配置され当該処理装置本体を水平方向に回転可能に支持する突出部とを有し、
前記載置台は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で挿入される挿入部を有する請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項1】
検体を処理する検体処理装置と、
前記検体処理装置が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に載置される載置台と、を備えていることを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
前記所定範囲は、前記検体処理装置の水平移動を許容する範囲である請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記検体処理装置は、下方に突出する突出部を有し、
前記載置台は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に挿入される挿入部を有する請求項1又は2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記挿入部は、前記検体処理装置が前記載置台から外側にはみ出るのを抑制するように、前記突出部を水平移動させながら水平方向に回転させることができる形状とされている請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記挿入部は、前記突出部が水平移動する方向を転換させるための方向転換部を有する請求項3又は4に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記挿入部は、前記突出部を一方向に水平移動させるための一方向案内部と、
前記突出部を前記一方向に対して交差する他方向に水平移動させるための他方向案内部とをさらに有し、
前記方向転換部は、前記一方向案内部と前記他方向案内部との間において当該一方向案内部及び他方向案内部に連続して形成されている請求項5に記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記載置台は、前記挿入部の周辺を補強する補強部を有している請求項3〜6のいずれか一項に記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記突出部は、前記挿入部から上方に抜けるのを防止する抜止部を有する請求項3〜7のいずれか一項に記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記挿入部は、前記抜止部の挿脱を許容する挿脱許容部を有する請求項8に記載の検体処理システム。
【請求項10】
前記検体処理装置は、その下部に当該検体処理装置を支持する脚部を有する請求項3〜9のいずれか一項に記載の検体処理システム。
【請求項11】
前記脚部は、前記挿入部に脱落しない形状とされている請求項10に記載の検体処理システム。
【請求項12】
前記載置台は、前記脚部の水平移動範囲を制限する移動制限部を有する請求項10又は11に記載の検体処理システム。
【請求項13】
前記検体処理装置は、その背面に検体を処理する試薬を通過させる試薬管を備え、
前記試薬管は、前記試薬管が前記検体処理装置の背面に接続された状態で前記検体処理装置の側面を前方に向ける回転を可能とする長さを有し、
前記検体処理装置の背面方向への前記試薬管の露出を抑制する露出抑制部をさらに備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載の検体処理システム。
【請求項14】
前記載置台は、上方に突出する突出部を有し、
前記検体処理装置は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で水平方向に回転可能に挿入される挿入部を有する請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項15】
前記検体処理装置は、処理装置本体と、この処理装置本体の下部に配置され当該処理装置本体を水平方向に回転可能に支持する突出部とを有し、
前記載置台は、前記突出部が水平移動を所定範囲内に制限された状態で挿入される挿入部を有する請求項1に記載の検体処理システム。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図2】
【公開番号】特開2011−203205(P2011−203205A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73027(P2010−73027)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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