検体処理システム

【課題】検体ラックを円滑に搬送できる検体処理システムを提供する。
【解決手段】検体処理ユニット1は、搬送ユニット31〜34と、これら搬送ユニットを制御する搬送コントローラ6を備えている。搬送対象となる検体ラックLが送出ユニット23に位置付けられており、この検体ラックLの搬送先が搬送ユニット33である場合、搬送コントローラ6の制御部601は、搬送ユニット31、32を制御する。この検体ラックLが搬送ユニット31の所定位置まで搬送されると、搬送コントローラ6の制御部601は、制御対象を搬送ユニット32、33に変更する。
これにより、2台先の搬送ユニットに検体ラックLを搬出する前に1台先の搬送ユニットでこの検体ラックLを待機させる必要がないため、この検体ラックLを円滑に搬送することができる。また、制御対象以外の搬送ユニットを用いて他の検体ラックLの搬送動作も円滑に行うことが可能となる。
【解決手段】検体処理ユニット1は、搬送ユニット31〜34と、これら搬送ユニットを制御する搬送コントローラ6を備えている。搬送対象となる検体ラックLが送出ユニット23に位置付けられており、この検体ラックLの搬送先が搬送ユニット33である場合、搬送コントローラ6の制御部601は、搬送ユニット31、32を制御する。この検体ラックLが搬送ユニット31の所定位置まで搬送されると、搬送コントローラ6の制御部601は、制御対象を搬送ユニット32、33に変更する。
これにより、2台先の搬送ユニットに検体ラックLを搬出する前に1台先の搬送ユニットでこの検体ラックLを待機させる必要がないため、この検体ラックLを円滑に搬送することができる。また、制御対象以外の搬送ユニットを用いて他の検体ラックLの搬送動作も円滑に行うことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検体処理ユニットと、これら複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送ユニットとを備える検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の検体を分析する複数の検体処理ユニットと、これら複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送ユニットとを備える検体処理システムが知られている。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1には、3つの処理ユニットと、これら3つの処理ユニットにラックを搬送するための搬送ラインと、中央制御部とを備える検体処理システムが開示されている。この検体処理システムでは、搬送ラインが各処理ユニットに対応して3つの搬送ライン区分ユニットに区分されている。中央制御部は、検体ラックの搬送先を3つの処理ユニットの中から決定し、決定された搬送先に検体ラックを搬送するように搬送ライン区分ユニットの動作制御を行うよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−304808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような検体処理システムにおいては、検体ラックを円滑に搬送したいという要望がある。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1には、決定された搬送先へ検体ラックを搬送するために搬送ライン区分ユニットをどのように制御するかについては具体的に記載されていない。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検体ラックを円滑に搬送できる検体処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様は、複数の検体処理ユニットと各検体処理ユニットに検体ラックを搬送する搬送装置とを備えた検体処理システムに関する。前記搬送装置は、m台(mは3以上の整数)の検体搬送ユニットに区分されている。本態様に係る検体処理システムは、前記m台の検体搬送ユニットを制御する制御部を備える。また、各検体搬送ユニットは、それぞれ、検体ラックを下流側の検体搬送ユニットに搬送するための搬送路を有する。前記制御部は、搬送対象の検体ラックが次に搬入される第1検体搬送ユニットからn台目(nは3以上かつm以下の整数)の検体搬送ユニットに前記搬送対象の検体ラックを搬送する場合、前記第1検体搬送ユニットからp台(pは2以上かつn未満の整数)の検体搬送ユニットを制御し、前記第1検体搬送ユニットの前記搬送路の所定位置まで前記搬送対象の検体ラックが搬送されると、制御対象を、前記第1検体搬送ユニットより1つ下流の第2検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットに変更する。
【0009】
本態様に係る検体処理システムによれば、搬送対象の検体ラックが次に搬入される第1検体搬送ユニットからp台(pは2以上かつn未満の整数)の検体搬送ユニットを制御することによって、搬送対象の検体ラックの搬送動作を行うため、上流の検体搬送ユニットの搬送路から下流の検体搬送ユニットに検体ラックを搬出する際に、上流の検体搬送ユニ
ットの搬送路に検体ラックを待機させたり、下流の検体搬送ユニットへの検体ラックの送出可否を問い合わせたりする時間を削減できる。そのため、搬送対象の検体ラックを円滑に搬送することができる。また、搬送の目的地となる搬送ユニットまでの全ての搬送ユニットを搬送対象の検体ラックの搬送のために制御するのではなく、制御対象をp台の搬送ユニットずつ順次変更していくので、p台の搬送ユニット以外の搬送ユニットを用いて他の検体ラックの搬送を行うことができる。そのため、他の検体ラックの搬送動作も円滑に行うことが可能となる。
【0010】
ただし、この場合、搬送対象の検体ラック以外の他の検体ラックをp台の検体搬送ユニットの搬送路に搬入することができないため、他の検体ラックの滞留が起こり得る。よって、いくつの検体搬送ユニットを制御対象に含めるかは、かかる滞留による搬送効率の低下と、搬送路における検体ラックの搬送速度、搬送路の長さ等を考慮して、システム全体として最も搬送効率が高められるように設定される必要がある。
【0011】
本態様に係る検体処理システムにおいて、各検体搬送ユニットは、検体ラックを前記搬送路に搬入するための搬入路を有し、前記制御部は、前記第1検体搬送ユニットよりも上流の第1位置に前記搬送対象の検体ラックが位置づけられた順位と、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットの各搬入路上の第2位置に他の検体ラックが位置づけられた順位とに基づいて、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットを制御する構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記第1位置に前記搬送対象の検体ラックが位置づけられた順位が、各第2位置に前記他の検体ラックが位置づけられた順位より早ければ、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットを、前記第1位置に位置づけられた前記搬送対象の検体ラックの搬送のために制御する。
【0012】
本態様に係る検体処理システムは、最上流の前記検体搬送ユニットの前記搬送路に検体ラックを送り出すラック送出ユニットをさらに備える構成とされ得る。この場合、前記第1検体搬送ユニットが最上流の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記ラック送出ユニット内の搬送路に設定される。
【0013】
また、本態様に係る検体処理システムにおいて、前記第1検体搬送ユニットが、最上流の検体搬送ユニット以外の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記第1検体搬送ユニットよりも一つ上流に配置された検体搬送ユニットの前記搬入路に設定され得る。
【0014】
さらに、本態様に係る検体処理システムにおいて、前記第1検体搬送ユニットが、最上流の検体搬送ユニット以外の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記第1検体搬送ユニットよりも一つ上流に配置された検体搬送ユニットの前記搬送路に設定され得る。
【0015】
本態様に係る検体処理システムにおいて、各検体搬送ユニットの前記搬送路は、下流側の検体搬送ユニットの前記搬送路に検体ラックを搬送するように構成され、前記制御部は、前記搬送対象の検体ラックが前記第1検体搬送ユニットの前記搬送路の所定位置に到達する前に、前記第2検体搬送ユニットの前記搬送路を動作させる構成とされ得る。こうすると、第1検体搬送ユニットの搬送路と第2検体搬送ユニットの搬送路の途中で停止することなく、連続的に、検体ラックを搬送することができる。よって、検体ラックを円滑に下流側へと搬送することができる。
【0016】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットのうち最上流の検体搬送ユニットの前記搬送路に前記搬送対象の検体ラックが搬入される前に、前記p台の検体搬送ユニットのうち最上流の検体搬送ユニットから(p−1)台目
までの検体搬送ユニットに対して、前記搬送対象の検体ラックを下流側の検体搬送ユニットに通過させる指示を送信し、p台目の検体搬送ユニットに対して、前記搬送対象の検体ラックを前記p台目の検体搬送ユニットの前記搬送路上で停止させる指示を送信する構成とされ得る。
【0017】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットのうちq台目(qは2以上かつp以下の整数)以降の検体搬送ユニットの前記搬送路が他の検体ラックの搬送に用いられる状態にあると、(q−1)台目までの検体搬送ユニットの前記搬送路を用いて、前記搬送対象の検体ラックを搬送するように、前記(q−1)台の検体搬送ユニットを制御する構成とされ得る。こうすると、検体ラックは、少しでも下流へと搬送され得るため、搬送の効率化を図ることができる。
【0018】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットの前記搬送路がスタンバイ状態にあるかに基づいて、前記p台の検体搬送ユニットを前記搬送対象の検体ラックの搬送に用いるかを決定する構成とされ得る。こうすると、搬送対象の検体ラックをより下流に円滑に搬送することができる。
【0019】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記制御部は、前記制御対象である前記p台の検体搬送ユニットよりも下流側にある検体搬送ユニットを、前記搬送対象の検体ラック以外の他の検体ラックの搬送に用いるよう制御する構成とされ得る。こうすると、制御対象以外の検体搬送ユニットは、他の検体ラックの搬送に用いられるため、システム全体の搬送効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、検体ラックを円滑に搬送できる検体処理システムを提供することができる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムを上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。
【図2】実施の形態に係る検体容器と検体ラックの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る投入ユニットおよび送出ユニットを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図4】実施の形態に係る搬送ユニットを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図5】実施の形態に係る検体処理システムの各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【図6】実施の形態に係る投入ユニット、送出ユニットおよび搬送コントローラの構成の概要を示す図である。
【図7】実施の形態に係る搬送ユニット、測定ユニットおよび情報処理ユニットの構成の概要を示す図である。
【図8】実施の形態に係る搬送ユニットおよび塗沫標本作製装置の構成の概要を示す図である。
【図9】実施の形態に係る搬送ユニットの到着通知処理、送出ユニットの到着通知処理、搬送コントローラの優先テーブルの追加処理および搬送コントローラの優先テーブルの削除処理を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る優先テーブルを概念的に示す図である。
【図11】実施の形態に係る優先テーブルに基づく搬送コントローラの搬送ユニット制御処理を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態に係る搬送ユニットの通過通知処理を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係る通過通知を受信したときの搬送コントローラの搬送ユニット制御処理を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る搬送ユニットの通過処理、待機処理および右搬入処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る搬送ユニットの回収処理、搬出処理および送出ユニットの搬出処理を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態に係る搬送ユニットが制御されることを説明
【図17】実施の形態に係る搬送ユニットが制御されることにより、検体ラックが目的地まで搬送されることを説明する図である。
【図18】実施の形態に係る搬送ユニット、送出ユニットおよび搬送コントローラの間で行われる通信内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体処理システムに本発明を適用したものである。本実施の形態に係る検体処理システムは、3つの測定ユニットと、1つの塗沫標本作製装置を備えている。3つの測定ユニットでは、血液分析が並行して行われ、その分析結果に基づき塗沫標本の作製が必要である場合に、塗沫標本作製装置により塗沫標本が作製される。
【0024】
以下、本実施の形態に係る検体処理システムについて、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、検体処理システム1を上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。本実施の形態に係る検体処理システム1は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送ユニット31〜34と、血球分析装置4と、塗沫標本作製装置5と、搬送コントローラ6から構成されている。また、本実施の形態の検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ7と通信可能に接続されている。
【0026】
回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23は、それぞれ、複数の検体ラックが載置可能となるよう構成されている。
【0027】
図2は、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。同図(a)は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、同図(b)は、検体ラックLの正面図である。
【0028】
同図(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。バーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。
【0029】
同図(b)を参照して、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持することが可能となるよう10個の保持部が形成されている。また、検体ラックLの正面には、図示の如く、バーコードラベルBL2が貼付されている。バーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0030】
図1に戻って、回収ユニット21は、分析が終了した検体ラックLを収容する。投入ユ
ニット22は、ユーザが投入した検体ラックLを収容し、収容している検体ラックLを送出ユニット23に送出する。送出ユニット23は、バーコード読取部232により、投入ユニット22から送出された検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持部に対応付けられた検体容器Tの検体IDを読み取る。また、送出ユニット23は、バーコードの読み取りが完了した検体ラックLを搬送ユニット31に送出する。
【0031】
搬送ユニット31〜34は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう互いに接続されている。搬送ユニット31の右端は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう送出ユニット23に接続されている。搬送ユニット31〜33は、図示の如く、それぞれ、3つの測定ユニット41の前方に配置されているおり、搬送ユニット34は、図示の如く、塗沫標本作製装置5の前方に配置されている。
【0032】
搬送ユニット31〜33には、図示の如く、それぞれに対応する測定ユニット41において検体の測定が行われる場合と行われない場合とに分けて、検体ラックLを搬送するための2通りの搬送ラインが設定されている。すなわち、測定ユニット41で測定が行われる場合は、後方のコの字型の矢印で示された“測定ライン”に沿って検体ラックLが搬送される。測定ユニット41で測定が行われず、下流側(左側)で測定または塗沫標本の作製が行われる場合は、当該測定ユニット41をスキップするよう、中段の左向きの矢印で示された“供給ライン”に沿って検体ラックLが搬送される。また、搬送ユニット31〜33には、図示の如く、検体ラックLを回収ユニット21に搬送するための右向きの搬送ラインが設定されている。すなわち、下流側(左側)で測定または塗沫標本の作製が行われる必要がなくなった検体ラックLは、前方の右向きの矢印で示された“回収ライン”に沿って搬送され、回収ユニット21に回収される。なお、搬送ユニット31〜33と同様、搬送ユニット34にも、図示の如く、測定ラインと、供給ラインと、回収ラインとが設定されている。
【0033】
血球分析装置4は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、3つの測定ユニット41と、情報処理ユニット42を備えている。
【0034】
3つの測定ユニット41は、それぞれ前方に配置された搬送ユニット31〜33の測定ライン上の所定の位置において、検体ラックLから検体容器Tを抜き出して、この検体容器T内の検体を測定する。すなわち、測定ユニット41は、検体ラックLから抜き出した検体容器Tを測定ユニット41内に移動させて、この検体容器Tに収容されている検体を測定する。測定ユニット41内での測定が完了すると、測定ユニット41は、この検体容器Tを再び元の検体ラックLの保持部に戻す。
【0035】
情報処理ユニット42は、3つの測定ユニット41と通信可能に接続されており、3つの測定ユニット41の動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7と通信ネットワークを介して通信可能に接続されており、測定ユニット41で行う測定オーダをホストコンピュータ7に問い合わせる。すなわち、測定ユニット41内に移動された検体容器Tの検体IDが、測定ユニット41内のバーコードリーダ(図示せず)により読み取られると、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7にこの検体の測定オーダの問い合わせを行う。しかる後、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7から受信した測定オーダに基づき、測定ユニット41の測定動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、測定ユニット41で行われた測定結果に基づいて分析を行う。
【0036】
塗沫標本作製装置5は、前方に配置された搬送ユニット34の測定ライン上の所定の位置において、検体容器Tに収容されている検体を吸引して、この検体の塗沫標本を作製する。なお、塗沫標本の作製の要否は、情報処理ユニット42で行われる分析結果に基づいて、搬送コントローラ6によって判定される。搬送コントローラ6により塗沫標本の作製
が必要と判定されると、対象となる検体を収容する検体ラックLは、搬送ユニット34の測定ラインに沿って搬送され、塗沫標本作製装置5において塗沫標本の作製が行われる。
【0037】
搬送コントローラ6は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送ユニット31〜34と通信可能に接続されており、各ユニットの駆動を制御する。また、搬送コントローラ6は、ホストコンピュータ7と通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。搬送コントローラ6は、検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持部と対応付けられた検体容器Tの検体IDとを、送出ユニット23から受信すると、ホストコンピュータ7へ測定オーダの問い合わせを行う。また、搬送コントローラ6は、検体ラックLの搬送先を決定すると共に、検体ラックLが効率的に搬送されるよう、搬送ユニット31〜34を制御する。かかる搬送ユニット31〜34の制御については、追って図9〜図18を参照して説明する。
【0038】
図3は、投入ユニット22と送出ユニット23を上側からみた場合の構成を示す平面図である。なお、同図において、回収ラインに沿って検体ラックLを右方向に搬送する部分については、便宜上、図示が省略されている。
【0039】
投入ユニット22の搬送路221上に検体ラックLが投入されると、ラック送込機構222が検体ラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、この検体ラックLが搬送路221の後方位置に送られる。搬送路221の後方位置に位置付けられた検体ラックLは、ラック送出機構223によって検体ラックLの右側面が押されることにより、送出ユニット23の搬送路231の後方位置に送出される。搬送路231の後方位置において、バーコード読取部232により、検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持部に対応付けて検体容器Tの検体IDが読み取られる。
【0040】
次に、搬送路231の後方位置に位置付けられた検体ラックLは、ラック送込機構233により、搬送路231の後方位置から検体ラックLの前後方向の幅だけ前方に移動した位置に送られる。続いて、ラック送込機構234が検体ラックLの後端に係合した状態で前方に移動し、この検体ラックLが搬送路231の前方位置に送られる。搬送路231の前方位置に位置付けられた検体ラックLは、ラック送出機構235によって検体ラックLの右側面が押されることにより、左方向に移動される。
【0041】
この場合に、検体ラックLが、搬送路231の前方位置から僅かに左側に移動されて、検体ラックLのバーコードラベルBL2が、バーコード読取部236の前方に位置付けられると、バーコード読取部236によりラックIDが読み取られる。このときの検体ラックLの位置を、以下、「ラックID読取位置」と称することにする。搬送コントローラ6は、読み取られたラックIDに基づいて、この検体ラックLの搬送先となる測定ユニット41または塗沫標本作製装置5を決定する。しかる後、ラックID読取位置の検体ラックLは、ラック送出機構235によってさらに左方向に押し出され、搬送ユニット31に送出される。
【0042】
図4は、搬送ユニット31〜33を上側から見た場合の構成を示す平面図である。搬送ユニット31〜33は、右テーブル310と、ラック搬送部320と、左テーブル330と、ラック搬送部340、350とを備えている。右テーブル310と、ラック搬送部320と、左テーブル330とにより、図1の測定ラインが構成される。また、ラック搬送部340により図1の供給ラインが構成され、ラック搬送部350により図1の回収ラインが構成される。なお、搬送ユニット31〜33は、同様の構成である。
【0043】
上流側(右側)から送出された検体ラックLに対する測定が、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で行われない場合、この検体ラックLは、ラック搬送部340のベ
ルト341a、341bにより、ラック搬送部340の右端から左端へと供給ラインに沿って直線的に送られる。
【0044】
ここで、ラック搬送部340の中央近傍には、透過型のセンサ344a、344bが設置されている。センサ344a、344bにより、ラック搬送部340の中央位置(以下、「供給ライン中央位置」という)を通過する検体ラックLが検出される。また、ラック搬送部340の左端近傍には、透過型のセンサ345a、345bが設置されている。センサ345a、345bにより、ラック搬送部340の左端位置(以下、「供給ライン左端位置」という)を通過する検体ラックL、または、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLが検出される。
【0045】
また、ラック搬送部340の左端には、ストッパー346が設置されている。ストッパー346が上げられている、すなわち、ストッパー346の上面がベルト341bの上面よりも上に位置付けられていると、供給ラインに沿って右端から左端へと送られた検体ラックLは、ストッパー346の側面に当たり、供給ライン左端位置で停止する。他方、ストッパー346が下げられている、すなわち、ストッパー346の上面がベルト341bの上面と同じ高さに位置付けられていると、供給ラインに沿って右端から左端へと送られた検体ラックLは、ストッパー346に接触せずに、下流側(左側)の搬送ユニットに送出される。
【0046】
次に、上流側(右側)から送出された検体ラックLに対する測定が、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で行われる場合、この検体ラックLは、ラック搬送部340の右端位置(以下、「供給ライン右端位置」という)に位置付けられる。すなわち、壁部342aが、図示の状態から供給ライン上に僅かに出るよう、ラック押出し機構342が奥側に移動される。これにより、上流側から送出された検体ラックLは壁部342aに当たって停止する。また、供給ライン右端位置の近傍には、透過型のセンサ343a、343bが設置されている。センサ343a、343bにより、供給ライン右端位置に位置付けられた検体ラックLが検出される。
【0047】
続いて、ラック押出し機構342がさらに後方に移動することにより、検体ラックLが右テーブル310の搬送路311の前端に押し出される。透過型のセンサ312a、312bにより、搬送路311上の検体ラックLが検出されると、ラック送込機構313が検体ラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、検体ラックLが後方に送られる。検体ラックLがラック搬送部320の右端位置まで送られると、ベルト321a、321bが駆動され、検体ラックLが左方向に送られる。
【0048】
その後、検体ラックLは、検体容器センサ322の位置へと到達する。検体容器センサ322は接触式のセンサである。検体容器センサ322の真下位置を検体ラックLに保持された検出対象の検体容器Tが通過すると、検体容器センサ322の接触片が検出容器Tにより屈曲されて、検体容器Tの存在が検出される。
【0049】
検体容器センサ322による検体容器Tの検出位置から検体容器2つ分だけ左側の検体供給位置において、測定ユニット41のハンド部(図示せず)が、検体容器Tを把持して検体ラックLから検体容器Tを取り出す。取り出された検体容器Tは、測定ユニット41内で測定に用いられた後、再び検体ラックLに戻される。検体容器Tが検体ラックLへ戻されるまでの間、検体ラックLの搬送は待機される。
【0050】
こうして、検体ラックLに保持された全ての検体容器Tの検体に対する測定が終了すると、検体ラックLは、ベルト321a、321bによって、ラック搬送部320の左端位置まで送られる。しかる後、検体ラックLは、ラック押出し機構323により、左テーブ
ル330の搬送路331の後端に送られる。透過型のセンサ332a、332bにより、搬送路331上にある検体ラックLが検出されると、ラック送込機構333が検体ラックLの後端に係合した状態で前方に移動する。これにより、検体ラックLが前方に送られる。
【0051】
左テーブル330の前方近傍には、透過型のセンサ334a、334bが設置されている。センサ334a、334bにより、左テーブル330の前方位置(以下、「左テーブル位置」という)に位置付けられた検体ラックLが検出される。
【0052】
続いて、左テーブル330の前方にあって、ラック搬送部340と350の間にある仕切り部352が開閉制御され、検体ラックLが、ラック搬送部340、350の何れかに位置付けられる。
【0053】
測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている何れかの検体容器Tについて、下流側にある塗沫標本作製装置5による塗沫標本作製または下流側にある測定ユニット41による測定の必要があると判定されると、仕切り部352によりラック搬送部340、350が仕切られた状態で、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部340の供給ライン左端位置まで移動される。供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLは、供給ライン左端位置近傍に設置されたセンサ345a、345bにより検出される。しかる後、ストッパー346が下された状態で、この検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341bによって下流側の検体搬送ユニットに送出される。
【0054】
他方、測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている検体容器Tについて、いずれも下流側にある塗沫標本作製装置6による塗沫標本作製および下流側にある測定ユニット41による測定の必要がないと判定されると、仕切り部352の上面が、ラック搬送部340のベルト341bの上面と同じ高さまで下げられ、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部350の左端位置(以下、「回収ライン左端位置」という)まで移動される。こうして、検体ラックLが、ラック送込機構333によって、左テーブル330からラック搬送部340を横切って、回収ライン左端位置まで移動される。回収ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLは、回収ライン左端位置近傍に設置されたセンサ353a、353bにより検出される。しかる後、この検体ラックLは、ラック搬送部350のベルト351により、回収ラインに沿って右方向に移動される。回収ラインに沿って搬送された検体ラックLは、回収ユニット21に収容される。
【0055】
なお、搬送ユニット34についても、搬送ユニット31〜33と略同様の構成とされる。この場合、塗沫標本の作製が必要と判断された検体を含む検体ラックLが、搬送ユニット34に搬送されると、測定ラインに沿って検体ラックLが搬送され、検体供給位置に位置付けられた検体容器Tから検体が吸引される。そして、塗沫標本作製装置5による塗沫標本の作製が行われる。しかる後、回収ラインに沿って、回収ユニット21に向けて右方向に搬送される。
【0056】
図5は、検体処理システム1の各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【0057】
ここで、搬送ユニット31〜33は、それぞれ、検体リレー部3a、検体供給部3bに分けて図示されている。具体的には、検体リレー部3aは、図4の左テーブル330と、ラック搬送部340、350を含む部分であり、隣り合う2つの搬送ユニットのうちの一方から検体ラックLを受け取り、他方の検体搬送ユニット3に搬送する。検体供給部3bは、図4の右テーブル310とラック搬送部320を含む部分であり、測定ユニット41
による検体の測定のために、検体ラックLを検体供給位置に搬送する。
【0058】
集線装置11には、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、3つの検体リレー部3aと、搬送ユニット34と、搬送コントローラ6が、通信可能となるよう接続されている。集線装置12には、3つの検体リレー部3aと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置13には、3つの検体供給部3bと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置14には、3つの測定ユニット41と情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。
【0059】
図6は、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送コントローラ6の構成の概要を示す図である。
【0060】
送出ユニット23は、制御部237と、通信部238と、バーコード処理部239と、駆動部240と、センサ部241とを備える。
【0061】
制御部237は、CPU237aとメモリ237bとを備え、CPU237aにより、メモリ237bに記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、搬送コントローラ6の制御部に従って、各部を制御する。なお、後述する他の制御部もCPUおよびメモリを備えている。通信部238は、Ethernet(登録商標)規格に基づいて外部の装置とデータ通信を行うための通信インターフェースを備え、集線装置11との間でデータ通信を行う。
【0062】
バーコード処理部239は、図3に示したバーコード読取部232、236を含んでいる。バーコード処理部239は、制御部237により制御され、バーコード処理部239により読み取られたバーコード情報は、制御部237に出力される。
【0063】
駆動部240は、制御部237により制御される。駆動部240には、送出ユニット23に収容された検体ラックLを搬送するための機構と、この機構を駆動するためのステッピングモータが含まれる。センサ部241は、検出信号を制御部237に出力する。センサ部241には、送出ユニット23に収容された検体ラックLを検出するためのセンサが含まれる。
【0064】
投入ユニット22は、図示の如く、送出ユニット23からバーコード処理部239が除かれた構成となっている。搬送コントローラ6は、図示の如く、投入ユニット22から駆動部226とセンサ部227が除かれた構成となっており、制御部601と通信部602とを含む。なお、回収ユニット21(図示せず)も、投入ユニット22と同様の構成となっている。
【0065】
図7は、搬送ユニット31と、測定ユニット41と、情報処理ユニット42の構成の概要を示す図である。なお、同図には、便宜上、搬送ユニット31と測定ユニット41がそれぞれ1つのみ示されているが、搬送ユニット32、33と他の測定ユニット41も同様に構成される。
【0066】
搬送ユニット31は、図6の投入ユニット22に、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bが追加された構成となっている。
【0067】
通信部302aは、集線装置11と12との間でデータ通信を行い、通信部302bは、集線装置13との間でデータ通信を行う。駆動部303aは、制御部301により制御され、駆動部303bは、通信部302bを介して、情報処理ユニット42により制御される。センサ部304aは、検出信号を制御部301に出力し、センサ部304bは、検
出信号を、通信部302bを介して、情報処理ユニット42に出力する。
【0068】
通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bは、図5の検体供給部3bに含まれており、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304b以外の搬送ユニット31の各部は、図5の検体リレー部3aに含まれている。駆動部303aとセンサ部304aは、図4の左テーブル330と、ラック搬送部340、350上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。駆動部303bとセンサ部304bは、図4の右テーブル310とラック搬送部320上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。
【0069】
測定ユニット41は、通信部411と、駆動部412と、センサ部413とを備える。通信部411は、集線装置14との間でデータ通信を行う。駆動部412とセンサ部413は、検体容器Tを測定ユニット41内で、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。
【0070】
情報処理ユニット42は、図6の搬送コントローラ7と同様の構成となっている。制御部421は、通信部422と集線装置13を介して、搬送ユニット31の検体供給部3bを制御し、センサ部304bの検出信号を受信する。また、制御部421は、通信部422と集線装置14を介して、測定ユニット41の駆動部412を制御し、センサ部413の検出信号を受信する。
【0071】
図8は、搬送ユニット34と塗沫標本作製装置5の構成の概要を示す図である。搬送ユニット34と塗沫標本作製装置5は、図6の投入ユニット22と同様の構成となっており、搬送ユニット34は、制御部341、通信部342、駆動部343およびセンサ部344を含み、塗抹標本作製装置5は、制御部501、通信部502、駆動部503およびセンサ部504を含む。
【0072】
搬送ユニット34の通信部342は、集線装置11との間でデータ通信を行う。通信部342は、塗沫標本作製装置5の通信部502と信号線により接続され、通信部502との間でもデータ通信を行う。塗沫標本作製装置5の制御部501は、通信部502を介して、搬送ユニット34から塗沫標本作製の指示を受信すると、搬送ユニット34の測定ライン上にある検体容器Tから検体を吸引し、塗沫標本を作製する。
【0073】
次に、図9ないし図18を参照して、検体ラックLの搬送制御について説明する。
【0074】
図9(a)、(b)は、それぞれ、搬送ユニット31〜34の到着通知処理と、送出ユニット23の到着通知処理を示すフローチャートである。
【0075】
同図(a)を参照して、搬送ユニット31〜34の制御部301(制御部341)は、左テーブル位置に検体ラックLが位置付けられたか、または、供給ライン左端位置に検体ラックLが停止したかを判定する(S11)。かかる判定は、センサ334a、334bにより、左テーブル位置に位置付けられた検体ラックLが検出されたか、または、ストッパー346が下されている場合に、センサ345a、345bにより、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLが検出されたかに基づいて行われる。
【0076】
制御部301は、左テーブル位置に検体ラックLが位置付けられた、または、供給ライン左端位置に検体ラックLが停止したと判定すると(S11:YES)、この検体ラックLが位置付けられた位置情報と共に、搬送コントローラ6に到着通知を送信する(S12)。なお、到着通知処理は、搬送ユニット31〜34において、それぞれ並行して繰り返し行われる。
【0077】
同図(b)を参照して、送出ユニット23の制御部237は、バーコード読取部236により、ラックID読取位置に位置付けられた検体ラックLのラックIDを読み取ると(S21:YES)、搬送コントローラ6に到着通知を送信する(S22)。
【0078】
ここで、搬送コントローラ6の制御部601は、搬送ユニット31〜34と送出ユニット23から到着通知を受信すると、制御部601内のメモリに設定されたテーブル(以下、「優先テーブル」という)に、到着通知の元となった検体ラックLの識別情報を書き込む。
【0079】
図9(c)は、搬送コントローラ6の優先テーブルの追加処理を示すフローチャートである。
【0080】
搬送コントローラ6の制御部601は、搬送ユニット31〜34と送出ユニット23の何れかのユニットから到着通知を受信すると(S31:YES)、この到着通知の元となった検体ラックLの識別情報を、優先テーブルの最下行に追加する(S32)。
【0081】
図10(a)は、優先テーブルを概念的に示す図である。図10(a)には、3つの検体ラックLの識別情報(ラック1〜3)が書き込まれている。これにより、ラック1〜3の順に、搬送コントローラ6が到着通知を受信したことが分かる。この状態から、搬送コントローラ6の制御部601が到着通知を受信すると、新たに受信した到着通知の元となった検体ラックLの識別情報(例えば、ラック4)は、図10(b)に示す如く、ラック3の下に追加される。
【0082】
図9(d)は、搬送コントローラ6の優先テーブルの削除処理を示すフローチャートである。
【0083】
搬送コントローラ6の制御部601は、搬送ユニット31〜34と送出ユニット23の何れかのユニットから、後述するラック搬出完了通知を受信すると(S41:YES)、このラック搬出完了通知の元となった検体ラックLの識別情報を、優先テーブルから削除する(S42)。例えば、図10(b)の優先テーブルからラック2の識別情報を削除する場合、ラック1はそのままで、ラック3、4の識別情報が1つ上に繰り上げられ、図10(c)に示す状態となる。なお、ラック搬出完了通知については、追って図14、15を参照して説明する。
【0084】
図11は、優先テーブルに基づく搬送コントローラ6の搬送ユニット制御処理を示すフローチャートである。かかる搬送ユニット制御処理は、搬送コントローラ6の制御部601によって、所定時間毎(たとえば、1秒毎)に実行される。なお、検体ラックLは、上述したように、送出ユニット23のバーコード読取部236によりラックIDが読み取られた時に、搬送先の測定ユニット41または塗沫標本作製装置5が決定されている。搬送先の測定ユニット41または塗沫標本作製装置5に対応する搬送ユニットを、以下、「目的地」と称することにする。
【0085】
制御部601は、参照する検体ラックLを優先テーブルの最上位にある検体ラックLに設定する(S101)。続いて、この検体ラックLの目的地が、この検体ラックLの位置付けられた搬送ユニットよりも後ろ(下流側)であると(S102:YES)、処理がS107に進められる。他方、この検体ラックLの目的地が後ろ(下流側)でない、すなわち、この検体ラックLは回収ラインから回収ユニット21に向けて搬送される場合(S102:NO)、処理がS103に進められる。
【0086】
S103において、制御部601は、この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態かを判定する。ここで、搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であるとは、ラック搬送部340のベルト341a、341bが停止され、ストッパー346が上げられており、且つ、図15(a)に示す“回収処理”が行われていない状態をいう。すなわち、供給ラインがスタンバイ状態であるとは、供給ラインが他の検体ラックの搬送に用いられていない状態をいう。なお、ストッパー346が下げられていても供給ラインがスタンバイ状態にあると判定してもよい。また、参照している検体ラックLが供給ラインに搬入される時点で供給ラインが他の検体ラックLの搬送に用いられていないのであれば、供給ラインがスタンバイ状態にあると判定してもよい。例えば、現時点ではベルト341a、341bが他の検体ラックのために動作していても、参照している検体ラックLが供給ラインに搬入される時点においてベルト341a、341bが他の検体ラックLのために動作していないのであれば、供給ラインがスタンバイ状態にあると判定してもよい。
【0087】
この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S103:YES)、制御部601は、この搬送ユニットの回収ラインがスタンバイ状態かを判定する。すなわち、制御部601は、検体ラックLが載置されている搬送ユニットにおいて、ラック搬送部350のベルト351が停止され、且つ、このベルト351上に他の検体ラックLが載置されていないかを判定する。
【0088】
この搬送ユニットの回収ラインがスタンバイ状態であると(S104:YES)、制御部601は、この搬送ユニットに対して“回収処理”を行うよう回収指示を送信する(S105)。これにより、参照する検体ラックLが回収ライン左端位置に位置付けられる。“回収処理”については、追って図15(a)を参照して説明する。
【0089】
他方、この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でない場合(S103:NO)、および、この搬送ユニットの回収ラインがスタンバイ状態でない場合(S104:NO
)、処理がS106に進められる。
【0090】
続いて、制御部601は、優先テーブル内の参照先を次の順位の検体ラックLに変更し(S106)、処理をS102に戻す。なお、参照先の検体ラックLについて、S103またはS104でNOと判定されると、図10(d)に示す如く、優先テーブルの当該参照先の検体ラックLが“待機”に設定される。また、参照先の検体ラックLについて、S105で回収指示が行われると、図10(e)に示す如く、優先テーブルの参照先の検体ラックLが“処理中”に設定される。
【0091】
次に、S107において、制御部601は、この搬送ユニットの1台先(左隣り)の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態かを判定する。なお、以下において、「n台先の搬送ユニット」とは、参照先の検体ラックLが位置付けられている搬送ユニットまたは送出ユニットの左隣りの搬送ユニットから数え始めて、左方向にn台目に配されている搬送ユニットを示すものとする。
【0092】
1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S107:YES)、処理がS108に進められ、1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でないと(S107:NO)、処理がS116に進められる。
【0093】
S108において、制御部601は、この搬送ユニットの1台先の搬送ユニットが、参照する検体ラックLの目的地であるかを判定する。1台先の搬送ユニットが目的地でないと(S108:NO)、処理がS110に進められる。1台先の搬送ユニットが目的地であると(S108:YES)、制御部601は、スタンバイ状態にある1台先の搬送ユニットに対して“右搬入処理”を行うよう右搬入指示を送信する(S109)。“右搬入処
理”については、追って、図14(c)を参照して説明する。
【0094】
S110において、制御部601は、この搬送ユニットの2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態かを判定する。2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S110:YES)、処理がS112に進められ、2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でないと(S110:NO)、制御部601は、1台先の搬送ユニットに対して“待機処理”を行うよう待機指示を送信する(S111)。“待機処理”については、追って、図14(b)を参照して説明する。
【0095】
S112において、制御部601は、この搬送ユニットの2台先の搬送ユニットが、参照する検体ラックLの目的地であるかを判定する。2台先の搬送ユニットが目的地であると(S112:YES)、制御部601は、スタンバイ状態にある2台先の搬送ユニットに対して“右搬入処理”を行うよう右搬入指示を送信し、スタンバイ状態にある1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S113)。他方、2台先の搬送ユニットが目的地でない、すなわち、目的地が3台先以降である場合(S112:NO)、制御部601は、2台先の搬送ユニットに対して“待機処理”を行うよう待機指示を送信し、1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S114)。“通過処理”については、追って、図14(a)を参照して説明する。
【0096】
こうして、対応する搬送ユニットに対して指示を行った後、S115において、制御部601は、参照先の検体ラックLが位置付けられている搬送ユニットまたは送出ユニット23に対して、“搬出処理”を行うよう搬出指示を送信する(S115)。“搬出処理”については、追って、図15(b)、(c)を参照して説明する。
【0097】
続いて、S116において、制御部601は、優先テーブル内の参照先を次の順位の検体ラックLに変更し(S116)、処理をS102に戻す。なお、参照先の検体ラックLについて、S107でNOと判定されると、図10(d)に示す如く、優先テーブルの参照先の検体ラックLが“待機”とされる。また、参照先の検体ラックLについて、S115で搬出指示が行われると、図10(e)に示す如く、優先テーブルの参照先の検体ラックLが“処理中”とされる。
【0098】
なお、S106とS116において、優先テーブル内に、参照中の検体ラックLの次の順位の検体ラックLがない場合は、この搬送ユニット制御処理は終了する。
【0099】
図11の制御処理では、参照先の検体ラックLが位置付けられた搬送ユニットまたは送出ユニットから2台以上先の搬送ユニットが目的地である場合(S108:NO)、2台先までの搬送ユニットを対象として、搬送制御が行われる(S110〜S114)。このとき、参照先の検体ラックLは、これら2台先までの各搬送ユニットに他の検体ラックLが位置付けられていても、これら他の検体ラックLよりも先に、優先テーブルに追加される位置に位置付けられている。つまり、図11の制御処理では、2台の搬送ユニットを制御対象として、これら搬送ユニットにて搬送されるべき検体ラックLのうち、最も早く、優先テーブルに追加される位置に位置付けられた検体ラックLが優先的に、これら2台の搬送ユニットにより搬送される。ただし、これら2台の搬送ユニットがスタンバイ状態にあるかに応じて、当該検体ラックLの搬送がさらに制御される(S107:NO、または、S110:NO)。
【0100】
図12は、搬送ユニット31〜33の通過通知処理を示すフローチャートである。
【0101】
搬送ユニット31〜33の制御部301は、供給ライン中央位置を検体ラックLが横切
ったかを判定する(S51)。かかる判定は、センサ344a、344bにより、供給ライン中央位置に位置する検体ラックLが検出されたかに基づいて行われる。
【0102】
制御部301は、供給ライン中央位置を検体ラックLが横切ったと判定すると(S51:YES)、搬送コントローラ6に通過通知を送信する(S52)。通過通知処理は、搬送ユニット31〜33において、それぞれ並行して繰り返し行われる。
【0103】
図13は、通過通知を受信したときの搬送コントローラ6の搬送ユニット制御処理を示すフローチャートである。かかる搬送ユニット制御処理は、搬送コントローラ6の制御部601が、何れかの搬送ユニット31〜33から通過通知を受信すると実行される。なお、かかる搬送ユニット制御処理は、優先テーブルが参照されることなく行われる。
【0104】
制御部601は、この搬送ユニットが通過処理中(図14(a)を用いて後述する)であるかを判定する(S201)。すなわち、制御部601は、この搬送ユニットのラック搬送部340のベルト341a、341bが駆動中であり、且つ、ストッパー346が下ろされているかを判定する。この搬送ユニットが通過処理中であると(S201:YES)、処理がS202に進められる。この搬送ユニットが通過処理中でない、すなわち、この搬送ユニットは待機処理中(図14(b)を用いて後述する)であると(S201:NO)、処理がS207に進められる。
【0105】
S202において、制御部601は、この搬送ユニットの1台先の搬送ユニットが、通過通知の元となった検体ラックLの目的地であるかを判定する。1台先の搬送ユニットが目的地であると(S202:YES)、1台先の搬送ユニットは右搬入処理中であるから、処理が終了する。他方、1台先の搬送ユニットが目的地でないと(S202:NO)、1台先の搬送ユニットは待機処理中であるから、処理がS203に進められる。
【0106】
S203において、制御部601は、2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であるかを判定する。2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でないと(S203:NO)、処理が終了する。この場合、検体ラックLは、1台先の搬送ユニットの供給ライン左端位置に停止される。他方、2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S203:YES)、処理がS204に進められる。
【0107】
S204において、制御部601は、2台先の搬送ユニットが、通過通知の元となった検体ラックLの目的地であるかを判定する。2台先の搬送ユニットが目的地であると(S204:YES)、2台先の搬送ユニットに対して“右搬入処理”を行うよう右搬入指示を送信し、1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S205)。他方、2台先の搬送ユニットが目的地でないと(S204:NO)、2台先の搬送ユニットに対して“待機処理”を行うよう待機指示を送信し、1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S206)。
【0108】
S201において、通過通知の送信元の搬送ユニットが通過処理中でない、すなわち、この搬送ユニットは待機処理中であると判定されると、S207において、制御部601は、1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であるかを判定する。1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S207:YES)、処理がS208に進められ、1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でないと(S207:NO)、処理が終了する。S207の判定がNOの場合、検体ラックLは、この搬送ユニットの供給ライン左端位置に停止される。
【0109】
ここで、S208〜S214の処理は、図11のS108〜S114の処理と全く同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0110】
次に、S209、S211、S213、S214の処理が終了すると、制御部601は、この搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S215)。
【0111】
図14(a)は、搬送ユニット31〜33の“通過処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜33の制御部301は、搬送コントローラ6から通過指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0112】
制御部301は、ストッパー346を下げて、供給ラインのベルト341a、341bを動かす(S301)。制御部301は、供給ラインに沿って右から左に検体ラックLが搬送され、この検体ラックLが供給ライン左端位置から左隣りの搬送ユニットに搬出されるまで処理を待機させる(S302)。なお、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLが、センサ345a、345bによって検出されなくなったときに、この検体ラックLが左隣りの搬送ユニットに搬出されたと判定される。
【0113】
供給ライン左端位置から検体ラックLが搬出されると(S302:YES)、制御部301は、ストッパー346を上げて、供給ラインのベルト341a、341bを停止させる(S303)。続いて、制御部301は、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S304)。こうして、この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態となって、“通過処理”が終了する。
【0114】
図14(b)は、搬送ユニット31〜33の“待機処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜33の制御部301は、搬送コントローラ6から待機指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0115】
制御部301は、ストッパー346を上げて、供給ラインのベルト341a、341bを動かす(S311)。制御部301は、供給ラインに沿って右から左に検体ラックLを搬送し、この検体ラックLが供給ライン左端位置に到着するまで処理を待機させる(S312)。検体ラックLが供給ライン左端位置に到着すると、ストッパー346によりこの位置で検体ラックLが停止され、センサ345a、345bによりこの検体ラックLが検出される。こうして、供給ライン左端位置に検体ラックLが到着すると(S312:YES)、制御部301は、供給ラインのベルト341a、341bを停止させる(S313)。続いて、制御部301は、検体ラックLが供給ライン左端位置に到着したことを示す状態変化通知を搬送コントローラ6に送信する(S314)。これにより、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLの識別情報が、優先テーブルに追加される。こうして、“待機処理”が終了する。
【0116】
図14(c)は、搬送ユニット31〜34の“右搬入処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜34の制御部301(制御部341)は、搬送コントローラ6から右搬入指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0117】
制御部301(制御部341)は、ストッパー346を上げて、供給ラインのベルト341a、341bを動かし、壁部342aが供給ラインに掛かる位置までラック押出し機構342を移動させる(S321)。制御部301(制御部341)は、供給ラインに沿って右から左に検体ラックLを搬送し、この検体ラックLが供給ライン右端位置に到着するまで処理を待機させる(S322)。なお、検体ラックLが供給ライン右端位置に到着すると、ラック押出し機構342の壁部342aによりこの位置で検体ラックLが停止され、センサ343a、343bによりこの検体ラックが検出される。
【0118】
供給ライン右端位置に検体ラックLが到着すると(S322:YES)、制御部301(制御部341)は、ラック押出し機構342をさらに奥側に移動させ、供給ライン右端位置の検体ラックLを右テーブル310に押出す(S323)。しかる後、制御部301(制御部341)は、ラック押出し機構342を、ラック搬送部340とラック搬送部350の間に戻して、供給ラインのベルト341a、341bを停止させる(S324)。続いて、制御部301(制御部341)は、状態変化通知を搬送コントローラ6に送信する(S325)。こうして、“右搬入処理”が終了する。
【0119】
図15(a)は、搬送ユニット31〜34の“回収処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜34の制御部301(制御部341)は、搬送コントローラ6から回収指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0120】
制御部301(制御部341)は、まず、供給ラインを非スタンバイ状態とする(S331)。続いて、制御部301(制御部341)は、仕切り部352を下げて、ラック送込機構333により左テーブル位置に位置付けられている検体ラックLを前方に押出す(S332)。制御部301(制御部341)は、ラック送込機構333によって検体ラックLを前方に移動させ、この検体ラックLが回収ライン左端位置に到着するまで処理を待機させる(S333)。なお、検体ラックLが回収ライン左端位置に到着すると、センサ353a、353bによりこの検体ラックが検出される。
【0121】
回収ライン左端位置に検体ラックLが到着すると(S333:YES)、制御部301(制御部341)は、ラック送込機構333を左テーブル320まで戻し、仕切り部352を上げる(S334)。続いて、制御部301(制御部341)は、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S335)。こうして、この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態となって、“回収処理”が終了する。なお、搬送コントローラ6は、S335で送信されたラック搬出完了通知を受信すると、たとえば図9(d)に示したように、優先テーブルからこの検体ラックLを削除する。
【0122】
図15(b)は、搬送ユニット31〜33の“搬出処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜33の制御部301は、搬送コントローラ6から搬出指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。なお、この“搬出処理”は、左テーブル位置に位置付けられた検体ラックL、または、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLを、この搬送ユニットの左隣りの搬送ユニットに搬出する場合に行われる。
【0123】
制御部301は、ストッパー346を下げて、供給ラインのベルト341a、341bを動かす(S341)。ここで、左テーブル位置に位置付けられた検体ラックLを搬出する場合は、ラック送込機構333により、この検体ラックLが供給ライン左端位置に位置付けられた後、ストッパー346とベルト341a、341bの駆動がおこなわれる。
【0124】
制御部301は、供給ラインに沿って、供給ライン左端位置に位置付けられている検体ラックLが搬送され、この検体ラックLが左隣りの搬送ユニットに搬出されるまで処理を待機させる(S342)。
【0125】
供給ライン左端位置から検体ラックLが搬出されると(S342:YES)、制御部301は、供給ラインのベルト341a、341bを停止させる(S343)。続いて、制御部301は、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S344)。こうして、“搬出処理”が終了する。なお、搬送コントローラ6は、S344で送信されたラック搬出完了通知を受信すると、たとえば図9(d)に示したように、優先テーブルから
この検体ラックLを削除する。
【0126】
図15(c)は、送出ユニット23の“搬出処理”を示すフローチャートである。送出ユニット23の制御部237は、は、搬送コントローラ6から搬出指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0127】
制御部237は、ラック送出機構235を左方向に移動させることにより、ラックID読取位置に位置付けられている検体ラックLを搬送ユニット31の供給ラインへ押出す(S351)。制御部237は、この検体ラックLの次の検体ラックLが搬出可能になるまで処理を待機させる(S352)。すなわち、この検体ラックLが、送出ユニット23から搬送ユニット31に搬送され、ラック送出機構235が、送出ユニット23の手前の右端位置に戻されるまで、処理が待機される。
【0128】
次の検体ラックLが搬出可能になると(S352:YES)、制御部237は、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S353)。こうして、送出ユニット23の“搬出処理”が終了する。なお、搬送コントローラ6は、S353で送信されたラック搬出完了通知を受信すると、たとえば図9(d)に示したように、優先テーブルからこの検体ラックLを削除する。
【0129】
図16、17は、搬送ユニットが制御されることにより、検体ラックLが目的地まで搬送されることを説明する図である。図16、17には、送出ユニット23と搬送ユニット31〜33を示す模式図が示されている。なお、搬送ユニット34は便宜上、図示が省略されている。
【0130】
図16(a)を参照して、図示の如く、送出ユニット23と、搬送ユニット32、33には、それぞれ、検体ラックL(以下、「ラック1」、「ラック2」、「ラック3」という)が含まれている。ラック1の目的地は搬送ユニット33であり、ラック2の目的地はなく(回収のみ)、ラック3の目的地は搬送ユニット34である。
【0131】
ラック1〜3が、それぞれ、送出ユニット23のラックID読取位置と、搬送ユニット32の左テーブル位置と、搬送ユニット33の左テーブル位置に、順に到着すると、順次、優先テーブルの最下行に、ラック1〜3の識別情報が追加される。これにより、優先テーブルにおけるラック1〜3の優先順位は、同図(e)に示す如くラック1〜3の順となる。
【0132】
ラック1が搬送対象のとき、送出ユニット23のラックID読取位置は、特許請求の範囲における「第1位置」に相当し、搬送ユニット31と32の左テーブル位置は、特許請求の範囲における「第2位置」に相当する。
【0133】
なお、図16(a)において、同図破線に示す搬送ユニット31の左テーブル位置または供給ライン左端位置に位置づけられたラックが搬送対象であるとき、これら左テーブル位置または供給ライン左端位置は、特許請求の範囲における「第1位置」に相当し、搬送ユニット32と33の左テーブル位置は、特許請求の範囲における「第2位置」に相当する。
【0134】
以下では、ラック1が、図16(a)の如く、送出ユニット23のラックID読取位置(第1位置)に位置付けられた場合の制御動作について説明するが、同図(a)の破線位置(第1位置)に位置づけられたラックが制御対象であるときも、搬送ユニット32、33を制御対象として、以下と同様の制御動作が行われる。
【0135】
搬送コントローラ6の制御部601は、図11の制御手順に従って、優先テーブル内の参照する検体ラックLをラック1とし、ラック1を搬送するよう搬送ユニットを制御する。すなわち、ラック1の目的地が3台先の搬送ユニット33であり、搬送ユニット31、32の供給ラインがスタンバイ状態であるため、搬送ユニット32に待機指示が送信され、搬送ユニット31に通過指示が送信される。そして、送出ユニット23に搬出指示が送信され、ラック1の搬送が開始される。これにより、優先テーブルの参照先が1つ下に変更される。このとき、優先テーブルは、図16(f)に示す状態となっている。
【0136】
図16(b)を参照して、次にラック2の処理が開始される。しかしながら、搬送ユニット32の供給ラインがスタンバイ状態でないため、ラック2の搬送は行われず、優先テーブルの参照先が1つ下に変更されて、ラック3の処理が開始される。このとき、優先テーブルは、同図(g)に示す状態となっている。なお、この間も、図11の搬送ユニット制御処理が、所定時間ごとに行われるが、ラック1が処理中でありラック2が待機中と判定されるため、ラック1、2についての処理は行われない。ラック3の処理が開始されると、ラック3は目的地である搬送ユニット34に搬出される。
【0137】
なお、ラック1が送出ユニット23から搬出されて、搬送コントローラ6がラック搬出完了通知を受信すると、優先テーブルからラック1が削除される。同様に、ラック3が搬送ユニット33から搬出されて、搬送コントローラ6がラック搬出完了通知を受信すると、優先テーブルからラック3が削除される。これにより、優先テーブルは、図16(h)に示す状態となる。
【0138】
図16(c)に示す如く、ラック1が搬送ユニット31の供給ライン中央位置を通過すると、図13の制御手順に従って、搬送ユニットが制御される。すなわち、搬送ユニット31が通過処理中であり、搬送ユニット33の供給ラインがスタンバイ状態であり、ラック1の目的地が2台先であるため、搬送ユニット33に右搬入指示が送信され、搬送ユニット32に通過指示が送信される。これにより、図16(d)に示すように、搬送ユニット33では右搬入処理が行われ、搬送ユニット32では通過処理が行われる。
【0139】
なお、図16(c)のようにラック1が搬送ユニット31の供給ライン中央位置を通過したときに、搬送ユニット33がスタンバイ状態でなく、さらに、その後、ラック1が搬送ユニット32の供給ライン中央位置を通過したときにも、ラック3が搬送途中であることにより搬送ユニット33がスタンバイ状態でないと、図17(a)に示すように、ラック1は、搬送ユニット32の供給ライン左端位置に停止する。これにより、優先テーブルの最下行にラック1が追加される。この場合、ラック3の回収処理が完了するまで、ラック1は動くことができない。
【0140】
次に、図16(d)の状態から、さらにラック1が左方向に進み、図17(b)に示す如く、搬送ユニット32の供給ライン中央位置を通過すると、図13のS201でYESと判定され、搬送ユニット32の通過処理と、搬送ユニット33の右搬入処理が継続される。このとき、優先テーブルは、図17(f)に示す状態となっている。
【0141】
図17(c)を参照して、ラック1が搬送ユニット32から搬送ユニット33に搬送された後に、所定時間ごとに行われる図11の搬送ユニット制御処理が実行されると、ラック2が優先テーブルの最上位に位置付けられているため、ラック2の処理が開始される。このとき、搬送ユニット32の供給ラインと回収ラインがスタンバイ状態であるため、搬送ユニット32に回収指示が送信され、図17(d)に示すように、ラック2が回収ライン左端位置まで搬送される。これにより、図17(h)に示す如く、優先テーブルからラック2が削除される。
【0142】
図18は、図16、17で示した搬送ユニット31〜33の搬送制御において、搬送ユニット31〜33と、送出ユニット23と、搬送コントローラ6との間で行われる通信内容を示す図である。なお、図18には、便宜上、ラック1に関する搬送制御についてのみ示されている。
【0143】
送出ユニット23のバーコード読取部236によりラックIDが読み取られると、図9(b)のS22に示したように、送出ユニット23から搬送コントローラ6に到着通知が送信される(S401)。このとき、搬送ユニット31、32がスタンバイ状態であるため、搬送コントローラ6は、図11のS114に示したように、2台先の搬送ユニット32に待機指示を送信し、1台先の搬送ユニット31に通過指示を送信する。
【0144】
具体的には、搬送コントローラ6は、まず、搬送ユニット32に対して待機指示を送信する(S402)。搬送ユニット32は、待機指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S403)。次に、搬送コントローラ6は、搬送ユニット31に対して通過指示を送信する(S404)。搬送ユニット31は、通過指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S405)。このように、下流側の搬送ユニットに対して先に指示が行われると、下流側の搬送ユニットでエラーが発生している場合に、誤って下流側の搬送ユニットに検体ラックLが搬送されてしまうことを防止することができる。
【0145】
続いて、搬送コントローラ6は、図11のS115に示したように、送出ユニット23に搬出指示を送信する(S406)。送出ユニット23は、搬出指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S407)。しかる後、送出ユニット23は、図15(c)のS353に示したように、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S408)。これにより、優先テーブルからこの検体ラックLが削除される。
【0146】
その後、搬送ユニット31に送出された検体ラックLが、搬送ユニット31の供給ライン中央位置を通過すると、図12のS52に示したように、通過通知が搬送コントローラ6に送信される(S409)。これにより、図13の搬送ユニット制御処理が実行され、図13のS205に示したように、2台先の搬送ユニット33に対して右搬入指示を送信し(S410)、1台先の搬送ユニット31に対して通過指示を送信する(S412)。搬送ユニット33、32は、それぞれ、右搬入指示と通過指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S411、S413)。
【0147】
その後、この検体ラックLが搬送ユニット31から搬出されると、図14(a)のS304に示したように、ラック搬出完了通知が搬送コントローラ6に送信される(S414)。続いて、この検体ラックLが、搬送ユニット32の供給ライン中央位置を通過すると、通過通知が搬送コントローラ6に送信される(S415)。このとき、図13の搬送ユニット制御処理が実行されるものの、図13のS202でYESと判定されるため、新たに搬送ユニットの制御は行われない。
【0148】
その後、この検体ラックLが搬送ユニット32から搬出されると、S414と同様に、ラック搬出完了通知が搬送コントローラ6に送信される(S416)。しかる後、搬送ユニット33で実行されている“右搬入処理”において、この検体ラックLが、供給ライン右端位置から右テーブル310に押し出された後、図14(c)に示したように、搬送ユニット33から状態変化通知が搬送コントローラ6に送信される(S417)。これにより、搬送コントローラ6は、この検体ラックが搬送ユニット33の右テーブルに移動されたことを知ることができる。
【0149】
以上、本実施の形態によれば、図11に示すように、優先テーブルの最上位に位置付けられている検体ラックLから順に、搬送ユニット31〜34と送出ユニット23によって搬送される。すなわち、参照する検体ラックLを搬送する際には、1台先と2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると、これら搬送ユニットにこの検体ラックLを搬送するための指示が送信される。これにより、2台先の搬送ユニットに検体ラックLを搬出する前に1台先の搬送ユニットでこの検体ラックLを待機させる必要がないため、この検体ラックLを円滑に目的地に搬送することができる。また、1台先と2台先の搬送ユニット以外の他の搬送ユニットは、優先順位の低い他の検体ラックの搬送に用いることができるため、優先順位の低い他の検体ラックの搬送動作も円滑に行うことが可能となる。
【0150】
また、本実施の形態によれば、検体ラックLが供給ライン中央位置を通過すると、図13に示すように、1台先と2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると、これら搬送ユニットにこの検体ラックLを搬送するための指示が送信される。これにより、1台先の搬送ユニットで、この検体ラックLが停止することないため、この検体ラックLを1台先から2台先の搬送ユニットに、円滑に搬送することができる。
【0151】
また、図11と図13の処理において、1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であるが、2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でない場合でも、この検体ラックLは1台先の搬送ユニットまで搬送される。これにより、検体ラックLは少しでも下流側へと搬送されるため、搬送の効率化を図ることができる。
【0152】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0153】
たとえば、上記実施の形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する検体処理システムにも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体処理システムに本発明を適用することもできる。
【0154】
また、上記実施の形態では、検体処理システム1に4つの搬送ユニット31〜34が含まれたが、これに限らず、検体処理システム1には、3つの搬送ユニットが含まれるようにしても良く、また、5つ以上の搬送ユニットが含まれるようにしても良い。
【0155】
また、上記実施の形態では、図11と図13に示すように、1台先と2台先の搬送ユニットが制御対象とされたが、これに限らず、n台先(nは1以上の整数)までの搬送ユニットを制御対象として、検体ラックLの優先順位に基づいて制御を行うようにしても良い。この場合、優先テーブル上において参照される検体ラックLは、制御対象となるn台の搬送ユニットの供給ラインが何れもスタンバイ状態にあると、これらn台の搬送ユニットの供給ラインにより搬送され、下流側の搬送ユニットがスタンバイ状態にないと、スタンバイ状態にある上流側の搬送ユニットにより搬送可能な位置まで搬送される。
【0156】
また、上記実施の形態では、供給ラインから測定ラインに検体ラックを搬入し、測定が終了した検体ラックを測定ラインから供給ラインに搬出する検体処理システムについて説明したが、本発明はこれに限らない。供給ライン上に位置する検体ラックに収容された検体容器から、測定ユニットが検体を吸引して測定し、検体吸引後に検体ラックが供給ラインによって下流側に搬送される検体処理システムであってもよい。
【0157】
また、上記実施の形態では、搬送ユニット31〜34は検体ラックの受け渡しが直接可能となるように互いに接続されているが、本発明はこれに限らない。搬送ユニット間に、
上流の搬送ユニットから検体ラックを受け取って下流側の搬送ユニットに渡す中継搬送ユニットが設けられてもよい。
【0158】
また、上記実施の形態では、ステップS113において、1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信するとともに、2台先の搬送ユニットに対して“右搬入処理”を行うよう右搬入指示を送信しているが、本発明はこれに限らない。1台先の搬送ユニットの供給ラインに検体ラックが搬入された後、「供給ライン左端位置」に検体ラックが到着する前に、1台先の搬送ユニットに対して通過指示を送信するとともに、2台先の搬送ユニットに対して右搬入指示を送信してもよい。
【0159】
また、上記実施の形態では、2台先までの搬送ユニットに対して搬送指示を送信しているが、2台先までの搬送ユニットに限定されず、3台先の搬送ユニットに対しても搬送指示を送信してもよい。
【0160】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0161】
1 … 検体処理システム
23 … 送出ユニット
31〜34 …搬送ユニット
41 … 測定ユニット
330 … 左テーブル
340 … ラック搬送部
601 … 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検体処理ユニットと、これら複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送ユニットとを備える検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の検体を分析する複数の検体処理ユニットと、これら複数の検体処理ユニットに検体を搬送する搬送ユニットとを備える検体処理システムが知られている。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1には、3つの処理ユニットと、これら3つの処理ユニットにラックを搬送するための搬送ラインと、中央制御部とを備える検体処理システムが開示されている。この検体処理システムでは、搬送ラインが各処理ユニットに対応して3つの搬送ライン区分ユニットに区分されている。中央制御部は、検体ラックの搬送先を3つの処理ユニットの中から決定し、決定された搬送先に検体ラックを搬送するように搬送ライン区分ユニットの動作制御を行うよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−304808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような検体処理システムにおいては、検体ラックを円滑に搬送したいという要望がある。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1には、決定された搬送先へ検体ラックを搬送するために搬送ライン区分ユニットをどのように制御するかについては具体的に記載されていない。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検体ラックを円滑に搬送できる検体処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様は、複数の検体処理ユニットと各検体処理ユニットに検体ラックを搬送する搬送装置とを備えた検体処理システムに関する。前記搬送装置は、m台(mは3以上の整数)の検体搬送ユニットに区分されている。本態様に係る検体処理システムは、前記m台の検体搬送ユニットを制御する制御部を備える。また、各検体搬送ユニットは、それぞれ、検体ラックを下流側の検体搬送ユニットに搬送するための搬送路を有する。前記制御部は、搬送対象の検体ラックが次に搬入される第1検体搬送ユニットからn台目(nは3以上かつm以下の整数)の検体搬送ユニットに前記搬送対象の検体ラックを搬送する場合、前記第1検体搬送ユニットからp台(pは2以上かつn未満の整数)の検体搬送ユニットを制御し、前記第1検体搬送ユニットの前記搬送路の所定位置まで前記搬送対象の検体ラックが搬送されると、制御対象を、前記第1検体搬送ユニットより1つ下流の第2検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットに変更する。
【0009】
本態様に係る検体処理システムによれば、搬送対象の検体ラックが次に搬入される第1検体搬送ユニットからp台(pは2以上かつn未満の整数)の検体搬送ユニットを制御することによって、搬送対象の検体ラックの搬送動作を行うため、上流の検体搬送ユニットの搬送路から下流の検体搬送ユニットに検体ラックを搬出する際に、上流の検体搬送ユニ
ットの搬送路に検体ラックを待機させたり、下流の検体搬送ユニットへの検体ラックの送出可否を問い合わせたりする時間を削減できる。そのため、搬送対象の検体ラックを円滑に搬送することができる。また、搬送の目的地となる搬送ユニットまでの全ての搬送ユニットを搬送対象の検体ラックの搬送のために制御するのではなく、制御対象をp台の搬送ユニットずつ順次変更していくので、p台の搬送ユニット以外の搬送ユニットを用いて他の検体ラックの搬送を行うことができる。そのため、他の検体ラックの搬送動作も円滑に行うことが可能となる。
【0010】
ただし、この場合、搬送対象の検体ラック以外の他の検体ラックをp台の検体搬送ユニットの搬送路に搬入することができないため、他の検体ラックの滞留が起こり得る。よって、いくつの検体搬送ユニットを制御対象に含めるかは、かかる滞留による搬送効率の低下と、搬送路における検体ラックの搬送速度、搬送路の長さ等を考慮して、システム全体として最も搬送効率が高められるように設定される必要がある。
【0011】
本態様に係る検体処理システムにおいて、各検体搬送ユニットは、検体ラックを前記搬送路に搬入するための搬入路を有し、前記制御部は、前記第1検体搬送ユニットよりも上流の第1位置に前記搬送対象の検体ラックが位置づけられた順位と、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットの各搬入路上の第2位置に他の検体ラックが位置づけられた順位とに基づいて、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットを制御する構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記第1位置に前記搬送対象の検体ラックが位置づけられた順位が、各第2位置に前記他の検体ラックが位置づけられた順位より早ければ、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットを、前記第1位置に位置づけられた前記搬送対象の検体ラックの搬送のために制御する。
【0012】
本態様に係る検体処理システムは、最上流の前記検体搬送ユニットの前記搬送路に検体ラックを送り出すラック送出ユニットをさらに備える構成とされ得る。この場合、前記第1検体搬送ユニットが最上流の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記ラック送出ユニット内の搬送路に設定される。
【0013】
また、本態様に係る検体処理システムにおいて、前記第1検体搬送ユニットが、最上流の検体搬送ユニット以外の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記第1検体搬送ユニットよりも一つ上流に配置された検体搬送ユニットの前記搬入路に設定され得る。
【0014】
さらに、本態様に係る検体処理システムにおいて、前記第1検体搬送ユニットが、最上流の検体搬送ユニット以外の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記第1検体搬送ユニットよりも一つ上流に配置された検体搬送ユニットの前記搬送路に設定され得る。
【0015】
本態様に係る検体処理システムにおいて、各検体搬送ユニットの前記搬送路は、下流側の検体搬送ユニットの前記搬送路に検体ラックを搬送するように構成され、前記制御部は、前記搬送対象の検体ラックが前記第1検体搬送ユニットの前記搬送路の所定位置に到達する前に、前記第2検体搬送ユニットの前記搬送路を動作させる構成とされ得る。こうすると、第1検体搬送ユニットの搬送路と第2検体搬送ユニットの搬送路の途中で停止することなく、連続的に、検体ラックを搬送することができる。よって、検体ラックを円滑に下流側へと搬送することができる。
【0016】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットのうち最上流の検体搬送ユニットの前記搬送路に前記搬送対象の検体ラックが搬入される前に、前記p台の検体搬送ユニットのうち最上流の検体搬送ユニットから(p−1)台目
までの検体搬送ユニットに対して、前記搬送対象の検体ラックを下流側の検体搬送ユニットに通過させる指示を送信し、p台目の検体搬送ユニットに対して、前記搬送対象の検体ラックを前記p台目の検体搬送ユニットの前記搬送路上で停止させる指示を送信する構成とされ得る。
【0017】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットのうちq台目(qは2以上かつp以下の整数)以降の検体搬送ユニットの前記搬送路が他の検体ラックの搬送に用いられる状態にあると、(q−1)台目までの検体搬送ユニットの前記搬送路を用いて、前記搬送対象の検体ラックを搬送するように、前記(q−1)台の検体搬送ユニットを制御する構成とされ得る。こうすると、検体ラックは、少しでも下流へと搬送され得るため、搬送の効率化を図ることができる。
【0018】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットの前記搬送路がスタンバイ状態にあるかに基づいて、前記p台の検体搬送ユニットを前記搬送対象の検体ラックの搬送に用いるかを決定する構成とされ得る。こうすると、搬送対象の検体ラックをより下流に円滑に搬送することができる。
【0019】
本態様に係る検体処理システムにおいて、前記制御部は、前記制御対象である前記p台の検体搬送ユニットよりも下流側にある検体搬送ユニットを、前記搬送対象の検体ラック以外の他の検体ラックの搬送に用いるよう制御する構成とされ得る。こうすると、制御対象以外の検体搬送ユニットは、他の検体ラックの搬送に用いられるため、システム全体の搬送効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、検体ラックを円滑に搬送できる検体処理システムを提供することができる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムを上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。
【図2】実施の形態に係る検体容器と検体ラックの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る投入ユニットおよび送出ユニットを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図4】実施の形態に係る搬送ユニットを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図5】実施の形態に係る検体処理システムの各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【図6】実施の形態に係る投入ユニット、送出ユニットおよび搬送コントローラの構成の概要を示す図である。
【図7】実施の形態に係る搬送ユニット、測定ユニットおよび情報処理ユニットの構成の概要を示す図である。
【図8】実施の形態に係る搬送ユニットおよび塗沫標本作製装置の構成の概要を示す図である。
【図9】実施の形態に係る搬送ユニットの到着通知処理、送出ユニットの到着通知処理、搬送コントローラの優先テーブルの追加処理および搬送コントローラの優先テーブルの削除処理を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る優先テーブルを概念的に示す図である。
【図11】実施の形態に係る優先テーブルに基づく搬送コントローラの搬送ユニット制御処理を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態に係る搬送ユニットの通過通知処理を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係る通過通知を受信したときの搬送コントローラの搬送ユニット制御処理を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る搬送ユニットの通過処理、待機処理および右搬入処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る搬送ユニットの回収処理、搬出処理および送出ユニットの搬出処理を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態に係る搬送ユニットが制御されることを説明
【図17】実施の形態に係る搬送ユニットが制御されることにより、検体ラックが目的地まで搬送されることを説明する図である。
【図18】実施の形態に係る搬送ユニット、送出ユニットおよび搬送コントローラの間で行われる通信内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体処理システムに本発明を適用したものである。本実施の形態に係る検体処理システムは、3つの測定ユニットと、1つの塗沫標本作製装置を備えている。3つの測定ユニットでは、血液分析が並行して行われ、その分析結果に基づき塗沫標本の作製が必要である場合に、塗沫標本作製装置により塗沫標本が作製される。
【0024】
以下、本実施の形態に係る検体処理システムについて、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、検体処理システム1を上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。本実施の形態に係る検体処理システム1は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送ユニット31〜34と、血球分析装置4と、塗沫標本作製装置5と、搬送コントローラ6から構成されている。また、本実施の形態の検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ7と通信可能に接続されている。
【0026】
回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23は、それぞれ、複数の検体ラックが載置可能となるよう構成されている。
【0027】
図2は、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。同図(a)は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、同図(b)は、検体ラックLの正面図である。
【0028】
同図(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。バーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。
【0029】
同図(b)を参照して、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持することが可能となるよう10個の保持部が形成されている。また、検体ラックLの正面には、図示の如く、バーコードラベルBL2が貼付されている。バーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0030】
図1に戻って、回収ユニット21は、分析が終了した検体ラックLを収容する。投入ユ
ニット22は、ユーザが投入した検体ラックLを収容し、収容している検体ラックLを送出ユニット23に送出する。送出ユニット23は、バーコード読取部232により、投入ユニット22から送出された検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持部に対応付けられた検体容器Tの検体IDを読み取る。また、送出ユニット23は、バーコードの読み取りが完了した検体ラックLを搬送ユニット31に送出する。
【0031】
搬送ユニット31〜34は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう互いに接続されている。搬送ユニット31の右端は、検体ラックLの受け渡しが可能となるよう送出ユニット23に接続されている。搬送ユニット31〜33は、図示の如く、それぞれ、3つの測定ユニット41の前方に配置されているおり、搬送ユニット34は、図示の如く、塗沫標本作製装置5の前方に配置されている。
【0032】
搬送ユニット31〜33には、図示の如く、それぞれに対応する測定ユニット41において検体の測定が行われる場合と行われない場合とに分けて、検体ラックLを搬送するための2通りの搬送ラインが設定されている。すなわち、測定ユニット41で測定が行われる場合は、後方のコの字型の矢印で示された“測定ライン”に沿って検体ラックLが搬送される。測定ユニット41で測定が行われず、下流側(左側)で測定または塗沫標本の作製が行われる場合は、当該測定ユニット41をスキップするよう、中段の左向きの矢印で示された“供給ライン”に沿って検体ラックLが搬送される。また、搬送ユニット31〜33には、図示の如く、検体ラックLを回収ユニット21に搬送するための右向きの搬送ラインが設定されている。すなわち、下流側(左側)で測定または塗沫標本の作製が行われる必要がなくなった検体ラックLは、前方の右向きの矢印で示された“回収ライン”に沿って搬送され、回収ユニット21に回収される。なお、搬送ユニット31〜33と同様、搬送ユニット34にも、図示の如く、測定ラインと、供給ラインと、回収ラインとが設定されている。
【0033】
血球分析装置4は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、3つの測定ユニット41と、情報処理ユニット42を備えている。
【0034】
3つの測定ユニット41は、それぞれ前方に配置された搬送ユニット31〜33の測定ライン上の所定の位置において、検体ラックLから検体容器Tを抜き出して、この検体容器T内の検体を測定する。すなわち、測定ユニット41は、検体ラックLから抜き出した検体容器Tを測定ユニット41内に移動させて、この検体容器Tに収容されている検体を測定する。測定ユニット41内での測定が完了すると、測定ユニット41は、この検体容器Tを再び元の検体ラックLの保持部に戻す。
【0035】
情報処理ユニット42は、3つの測定ユニット41と通信可能に接続されており、3つの測定ユニット41の動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7と通信ネットワークを介して通信可能に接続されており、測定ユニット41で行う測定オーダをホストコンピュータ7に問い合わせる。すなわち、測定ユニット41内に移動された検体容器Tの検体IDが、測定ユニット41内のバーコードリーダ(図示せず)により読み取られると、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7にこの検体の測定オーダの問い合わせを行う。しかる後、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7から受信した測定オーダに基づき、測定ユニット41の測定動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、測定ユニット41で行われた測定結果に基づいて分析を行う。
【0036】
塗沫標本作製装置5は、前方に配置された搬送ユニット34の測定ライン上の所定の位置において、検体容器Tに収容されている検体を吸引して、この検体の塗沫標本を作製する。なお、塗沫標本の作製の要否は、情報処理ユニット42で行われる分析結果に基づいて、搬送コントローラ6によって判定される。搬送コントローラ6により塗沫標本の作製
が必要と判定されると、対象となる検体を収容する検体ラックLは、搬送ユニット34の測定ラインに沿って搬送され、塗沫標本作製装置5において塗沫標本の作製が行われる。
【0037】
搬送コントローラ6は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送ユニット31〜34と通信可能に接続されており、各ユニットの駆動を制御する。また、搬送コントローラ6は、ホストコンピュータ7と通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。搬送コントローラ6は、検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持部と対応付けられた検体容器Tの検体IDとを、送出ユニット23から受信すると、ホストコンピュータ7へ測定オーダの問い合わせを行う。また、搬送コントローラ6は、検体ラックLの搬送先を決定すると共に、検体ラックLが効率的に搬送されるよう、搬送ユニット31〜34を制御する。かかる搬送ユニット31〜34の制御については、追って図9〜図18を参照して説明する。
【0038】
図3は、投入ユニット22と送出ユニット23を上側からみた場合の構成を示す平面図である。なお、同図において、回収ラインに沿って検体ラックLを右方向に搬送する部分については、便宜上、図示が省略されている。
【0039】
投入ユニット22の搬送路221上に検体ラックLが投入されると、ラック送込機構222が検体ラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、この検体ラックLが搬送路221の後方位置に送られる。搬送路221の後方位置に位置付けられた検体ラックLは、ラック送出機構223によって検体ラックLの右側面が押されることにより、送出ユニット23の搬送路231の後方位置に送出される。搬送路231の後方位置において、バーコード読取部232により、検体ラックLのラックIDと、検体ラックLの保持部に対応付けて検体容器Tの検体IDが読み取られる。
【0040】
次に、搬送路231の後方位置に位置付けられた検体ラックLは、ラック送込機構233により、搬送路231の後方位置から検体ラックLの前後方向の幅だけ前方に移動した位置に送られる。続いて、ラック送込機構234が検体ラックLの後端に係合した状態で前方に移動し、この検体ラックLが搬送路231の前方位置に送られる。搬送路231の前方位置に位置付けられた検体ラックLは、ラック送出機構235によって検体ラックLの右側面が押されることにより、左方向に移動される。
【0041】
この場合に、検体ラックLが、搬送路231の前方位置から僅かに左側に移動されて、検体ラックLのバーコードラベルBL2が、バーコード読取部236の前方に位置付けられると、バーコード読取部236によりラックIDが読み取られる。このときの検体ラックLの位置を、以下、「ラックID読取位置」と称することにする。搬送コントローラ6は、読み取られたラックIDに基づいて、この検体ラックLの搬送先となる測定ユニット41または塗沫標本作製装置5を決定する。しかる後、ラックID読取位置の検体ラックLは、ラック送出機構235によってさらに左方向に押し出され、搬送ユニット31に送出される。
【0042】
図4は、搬送ユニット31〜33を上側から見た場合の構成を示す平面図である。搬送ユニット31〜33は、右テーブル310と、ラック搬送部320と、左テーブル330と、ラック搬送部340、350とを備えている。右テーブル310と、ラック搬送部320と、左テーブル330とにより、図1の測定ラインが構成される。また、ラック搬送部340により図1の供給ラインが構成され、ラック搬送部350により図1の回収ラインが構成される。なお、搬送ユニット31〜33は、同様の構成である。
【0043】
上流側(右側)から送出された検体ラックLに対する測定が、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で行われない場合、この検体ラックLは、ラック搬送部340のベ
ルト341a、341bにより、ラック搬送部340の右端から左端へと供給ラインに沿って直線的に送られる。
【0044】
ここで、ラック搬送部340の中央近傍には、透過型のセンサ344a、344bが設置されている。センサ344a、344bにより、ラック搬送部340の中央位置(以下、「供給ライン中央位置」という)を通過する検体ラックLが検出される。また、ラック搬送部340の左端近傍には、透過型のセンサ345a、345bが設置されている。センサ345a、345bにより、ラック搬送部340の左端位置(以下、「供給ライン左端位置」という)を通過する検体ラックL、または、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLが検出される。
【0045】
また、ラック搬送部340の左端には、ストッパー346が設置されている。ストッパー346が上げられている、すなわち、ストッパー346の上面がベルト341bの上面よりも上に位置付けられていると、供給ラインに沿って右端から左端へと送られた検体ラックLは、ストッパー346の側面に当たり、供給ライン左端位置で停止する。他方、ストッパー346が下げられている、すなわち、ストッパー346の上面がベルト341bの上面と同じ高さに位置付けられていると、供給ラインに沿って右端から左端へと送られた検体ラックLは、ストッパー346に接触せずに、下流側(左側)の搬送ユニットに送出される。
【0046】
次に、上流側(右側)から送出された検体ラックLに対する測定が、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で行われる場合、この検体ラックLは、ラック搬送部340の右端位置(以下、「供給ライン右端位置」という)に位置付けられる。すなわち、壁部342aが、図示の状態から供給ライン上に僅かに出るよう、ラック押出し機構342が奥側に移動される。これにより、上流側から送出された検体ラックLは壁部342aに当たって停止する。また、供給ライン右端位置の近傍には、透過型のセンサ343a、343bが設置されている。センサ343a、343bにより、供給ライン右端位置に位置付けられた検体ラックLが検出される。
【0047】
続いて、ラック押出し機構342がさらに後方に移動することにより、検体ラックLが右テーブル310の搬送路311の前端に押し出される。透過型のセンサ312a、312bにより、搬送路311上の検体ラックLが検出されると、ラック送込機構313が検体ラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、検体ラックLが後方に送られる。検体ラックLがラック搬送部320の右端位置まで送られると、ベルト321a、321bが駆動され、検体ラックLが左方向に送られる。
【0048】
その後、検体ラックLは、検体容器センサ322の位置へと到達する。検体容器センサ322は接触式のセンサである。検体容器センサ322の真下位置を検体ラックLに保持された検出対象の検体容器Tが通過すると、検体容器センサ322の接触片が検出容器Tにより屈曲されて、検体容器Tの存在が検出される。
【0049】
検体容器センサ322による検体容器Tの検出位置から検体容器2つ分だけ左側の検体供給位置において、測定ユニット41のハンド部(図示せず)が、検体容器Tを把持して検体ラックLから検体容器Tを取り出す。取り出された検体容器Tは、測定ユニット41内で測定に用いられた後、再び検体ラックLに戻される。検体容器Tが検体ラックLへ戻されるまでの間、検体ラックLの搬送は待機される。
【0050】
こうして、検体ラックLに保持された全ての検体容器Tの検体に対する測定が終了すると、検体ラックLは、ベルト321a、321bによって、ラック搬送部320の左端位置まで送られる。しかる後、検体ラックLは、ラック押出し機構323により、左テーブ
ル330の搬送路331の後端に送られる。透過型のセンサ332a、332bにより、搬送路331上にある検体ラックLが検出されると、ラック送込機構333が検体ラックLの後端に係合した状態で前方に移動する。これにより、検体ラックLが前方に送られる。
【0051】
左テーブル330の前方近傍には、透過型のセンサ334a、334bが設置されている。センサ334a、334bにより、左テーブル330の前方位置(以下、「左テーブル位置」という)に位置付けられた検体ラックLが検出される。
【0052】
続いて、左テーブル330の前方にあって、ラック搬送部340と350の間にある仕切り部352が開閉制御され、検体ラックLが、ラック搬送部340、350の何れかに位置付けられる。
【0053】
測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている何れかの検体容器Tについて、下流側にある塗沫標本作製装置5による塗沫標本作製または下流側にある測定ユニット41による測定の必要があると判定されると、仕切り部352によりラック搬送部340、350が仕切られた状態で、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部340の供給ライン左端位置まで移動される。供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLは、供給ライン左端位置近傍に設置されたセンサ345a、345bにより検出される。しかる後、ストッパー346が下された状態で、この検体ラックLは、ラック搬送部340のベルト341bによって下流側の検体搬送ユニットに送出される。
【0054】
他方、測定ユニット41による測定の結果、検体ラックLに保持されている検体容器Tについて、いずれも下流側にある塗沫標本作製装置6による塗沫標本作製および下流側にある測定ユニット41による測定の必要がないと判定されると、仕切り部352の上面が、ラック搬送部340のベルト341bの上面と同じ高さまで下げられ、検体ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部350の左端位置(以下、「回収ライン左端位置」という)まで移動される。こうして、検体ラックLが、ラック送込機構333によって、左テーブル330からラック搬送部340を横切って、回収ライン左端位置まで移動される。回収ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLは、回収ライン左端位置近傍に設置されたセンサ353a、353bにより検出される。しかる後、この検体ラックLは、ラック搬送部350のベルト351により、回収ラインに沿って右方向に移動される。回収ラインに沿って搬送された検体ラックLは、回収ユニット21に収容される。
【0055】
なお、搬送ユニット34についても、搬送ユニット31〜33と略同様の構成とされる。この場合、塗沫標本の作製が必要と判断された検体を含む検体ラックLが、搬送ユニット34に搬送されると、測定ラインに沿って検体ラックLが搬送され、検体供給位置に位置付けられた検体容器Tから検体が吸引される。そして、塗沫標本作製装置5による塗沫標本の作製が行われる。しかる後、回収ラインに沿って、回収ユニット21に向けて右方向に搬送される。
【0056】
図5は、検体処理システム1の各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【0057】
ここで、搬送ユニット31〜33は、それぞれ、検体リレー部3a、検体供給部3bに分けて図示されている。具体的には、検体リレー部3aは、図4の左テーブル330と、ラック搬送部340、350を含む部分であり、隣り合う2つの搬送ユニットのうちの一方から検体ラックLを受け取り、他方の検体搬送ユニット3に搬送する。検体供給部3bは、図4の右テーブル310とラック搬送部320を含む部分であり、測定ユニット41
による検体の測定のために、検体ラックLを検体供給位置に搬送する。
【0058】
集線装置11には、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、3つの検体リレー部3aと、搬送ユニット34と、搬送コントローラ6が、通信可能となるよう接続されている。集線装置12には、3つの検体リレー部3aと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置13には、3つの検体供給部3bと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置14には、3つの測定ユニット41と情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。
【0059】
図6は、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送コントローラ6の構成の概要を示す図である。
【0060】
送出ユニット23は、制御部237と、通信部238と、バーコード処理部239と、駆動部240と、センサ部241とを備える。
【0061】
制御部237は、CPU237aとメモリ237bとを備え、CPU237aにより、メモリ237bに記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、搬送コントローラ6の制御部に従って、各部を制御する。なお、後述する他の制御部もCPUおよびメモリを備えている。通信部238は、Ethernet(登録商標)規格に基づいて外部の装置とデータ通信を行うための通信インターフェースを備え、集線装置11との間でデータ通信を行う。
【0062】
バーコード処理部239は、図3に示したバーコード読取部232、236を含んでいる。バーコード処理部239は、制御部237により制御され、バーコード処理部239により読み取られたバーコード情報は、制御部237に出力される。
【0063】
駆動部240は、制御部237により制御される。駆動部240には、送出ユニット23に収容された検体ラックLを搬送するための機構と、この機構を駆動するためのステッピングモータが含まれる。センサ部241は、検出信号を制御部237に出力する。センサ部241には、送出ユニット23に収容された検体ラックLを検出するためのセンサが含まれる。
【0064】
投入ユニット22は、図示の如く、送出ユニット23からバーコード処理部239が除かれた構成となっている。搬送コントローラ6は、図示の如く、投入ユニット22から駆動部226とセンサ部227が除かれた構成となっており、制御部601と通信部602とを含む。なお、回収ユニット21(図示せず)も、投入ユニット22と同様の構成となっている。
【0065】
図7は、搬送ユニット31と、測定ユニット41と、情報処理ユニット42の構成の概要を示す図である。なお、同図には、便宜上、搬送ユニット31と測定ユニット41がそれぞれ1つのみ示されているが、搬送ユニット32、33と他の測定ユニット41も同様に構成される。
【0066】
搬送ユニット31は、図6の投入ユニット22に、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bが追加された構成となっている。
【0067】
通信部302aは、集線装置11と12との間でデータ通信を行い、通信部302bは、集線装置13との間でデータ通信を行う。駆動部303aは、制御部301により制御され、駆動部303bは、通信部302bを介して、情報処理ユニット42により制御される。センサ部304aは、検出信号を制御部301に出力し、センサ部304bは、検
出信号を、通信部302bを介して、情報処理ユニット42に出力する。
【0068】
通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bは、図5の検体供給部3bに含まれており、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304b以外の搬送ユニット31の各部は、図5の検体リレー部3aに含まれている。駆動部303aとセンサ部304aは、図4の左テーブル330と、ラック搬送部340、350上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。駆動部303bとセンサ部304bは、図4の右テーブル310とラック搬送部320上にある検体ラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。
【0069】
測定ユニット41は、通信部411と、駆動部412と、センサ部413とを備える。通信部411は、集線装置14との間でデータ通信を行う。駆動部412とセンサ部413は、検体容器Tを測定ユニット41内で、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。
【0070】
情報処理ユニット42は、図6の搬送コントローラ7と同様の構成となっている。制御部421は、通信部422と集線装置13を介して、搬送ユニット31の検体供給部3bを制御し、センサ部304bの検出信号を受信する。また、制御部421は、通信部422と集線装置14を介して、測定ユニット41の駆動部412を制御し、センサ部413の検出信号を受信する。
【0071】
図8は、搬送ユニット34と塗沫標本作製装置5の構成の概要を示す図である。搬送ユニット34と塗沫標本作製装置5は、図6の投入ユニット22と同様の構成となっており、搬送ユニット34は、制御部341、通信部342、駆動部343およびセンサ部344を含み、塗抹標本作製装置5は、制御部501、通信部502、駆動部503およびセンサ部504を含む。
【0072】
搬送ユニット34の通信部342は、集線装置11との間でデータ通信を行う。通信部342は、塗沫標本作製装置5の通信部502と信号線により接続され、通信部502との間でもデータ通信を行う。塗沫標本作製装置5の制御部501は、通信部502を介して、搬送ユニット34から塗沫標本作製の指示を受信すると、搬送ユニット34の測定ライン上にある検体容器Tから検体を吸引し、塗沫標本を作製する。
【0073】
次に、図9ないし図18を参照して、検体ラックLの搬送制御について説明する。
【0074】
図9(a)、(b)は、それぞれ、搬送ユニット31〜34の到着通知処理と、送出ユニット23の到着通知処理を示すフローチャートである。
【0075】
同図(a)を参照して、搬送ユニット31〜34の制御部301(制御部341)は、左テーブル位置に検体ラックLが位置付けられたか、または、供給ライン左端位置に検体ラックLが停止したかを判定する(S11)。かかる判定は、センサ334a、334bにより、左テーブル位置に位置付けられた検体ラックLが検出されたか、または、ストッパー346が下されている場合に、センサ345a、345bにより、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLが検出されたかに基づいて行われる。
【0076】
制御部301は、左テーブル位置に検体ラックLが位置付けられた、または、供給ライン左端位置に検体ラックLが停止したと判定すると(S11:YES)、この検体ラックLが位置付けられた位置情報と共に、搬送コントローラ6に到着通知を送信する(S12)。なお、到着通知処理は、搬送ユニット31〜34において、それぞれ並行して繰り返し行われる。
【0077】
同図(b)を参照して、送出ユニット23の制御部237は、バーコード読取部236により、ラックID読取位置に位置付けられた検体ラックLのラックIDを読み取ると(S21:YES)、搬送コントローラ6に到着通知を送信する(S22)。
【0078】
ここで、搬送コントローラ6の制御部601は、搬送ユニット31〜34と送出ユニット23から到着通知を受信すると、制御部601内のメモリに設定されたテーブル(以下、「優先テーブル」という)に、到着通知の元となった検体ラックLの識別情報を書き込む。
【0079】
図9(c)は、搬送コントローラ6の優先テーブルの追加処理を示すフローチャートである。
【0080】
搬送コントローラ6の制御部601は、搬送ユニット31〜34と送出ユニット23の何れかのユニットから到着通知を受信すると(S31:YES)、この到着通知の元となった検体ラックLの識別情報を、優先テーブルの最下行に追加する(S32)。
【0081】
図10(a)は、優先テーブルを概念的に示す図である。図10(a)には、3つの検体ラックLの識別情報(ラック1〜3)が書き込まれている。これにより、ラック1〜3の順に、搬送コントローラ6が到着通知を受信したことが分かる。この状態から、搬送コントローラ6の制御部601が到着通知を受信すると、新たに受信した到着通知の元となった検体ラックLの識別情報(例えば、ラック4)は、図10(b)に示す如く、ラック3の下に追加される。
【0082】
図9(d)は、搬送コントローラ6の優先テーブルの削除処理を示すフローチャートである。
【0083】
搬送コントローラ6の制御部601は、搬送ユニット31〜34と送出ユニット23の何れかのユニットから、後述するラック搬出完了通知を受信すると(S41:YES)、このラック搬出完了通知の元となった検体ラックLの識別情報を、優先テーブルから削除する(S42)。例えば、図10(b)の優先テーブルからラック2の識別情報を削除する場合、ラック1はそのままで、ラック3、4の識別情報が1つ上に繰り上げられ、図10(c)に示す状態となる。なお、ラック搬出完了通知については、追って図14、15を参照して説明する。
【0084】
図11は、優先テーブルに基づく搬送コントローラ6の搬送ユニット制御処理を示すフローチャートである。かかる搬送ユニット制御処理は、搬送コントローラ6の制御部601によって、所定時間毎(たとえば、1秒毎)に実行される。なお、検体ラックLは、上述したように、送出ユニット23のバーコード読取部236によりラックIDが読み取られた時に、搬送先の測定ユニット41または塗沫標本作製装置5が決定されている。搬送先の測定ユニット41または塗沫標本作製装置5に対応する搬送ユニットを、以下、「目的地」と称することにする。
【0085】
制御部601は、参照する検体ラックLを優先テーブルの最上位にある検体ラックLに設定する(S101)。続いて、この検体ラックLの目的地が、この検体ラックLの位置付けられた搬送ユニットよりも後ろ(下流側)であると(S102:YES)、処理がS107に進められる。他方、この検体ラックLの目的地が後ろ(下流側)でない、すなわち、この検体ラックLは回収ラインから回収ユニット21に向けて搬送される場合(S102:NO)、処理がS103に進められる。
【0086】
S103において、制御部601は、この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態かを判定する。ここで、搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であるとは、ラック搬送部340のベルト341a、341bが停止され、ストッパー346が上げられており、且つ、図15(a)に示す“回収処理”が行われていない状態をいう。すなわち、供給ラインがスタンバイ状態であるとは、供給ラインが他の検体ラックの搬送に用いられていない状態をいう。なお、ストッパー346が下げられていても供給ラインがスタンバイ状態にあると判定してもよい。また、参照している検体ラックLが供給ラインに搬入される時点で供給ラインが他の検体ラックLの搬送に用いられていないのであれば、供給ラインがスタンバイ状態にあると判定してもよい。例えば、現時点ではベルト341a、341bが他の検体ラックのために動作していても、参照している検体ラックLが供給ラインに搬入される時点においてベルト341a、341bが他の検体ラックLのために動作していないのであれば、供給ラインがスタンバイ状態にあると判定してもよい。
【0087】
この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S103:YES)、制御部601は、この搬送ユニットの回収ラインがスタンバイ状態かを判定する。すなわち、制御部601は、検体ラックLが載置されている搬送ユニットにおいて、ラック搬送部350のベルト351が停止され、且つ、このベルト351上に他の検体ラックLが載置されていないかを判定する。
【0088】
この搬送ユニットの回収ラインがスタンバイ状態であると(S104:YES)、制御部601は、この搬送ユニットに対して“回収処理”を行うよう回収指示を送信する(S105)。これにより、参照する検体ラックLが回収ライン左端位置に位置付けられる。“回収処理”については、追って図15(a)を参照して説明する。
【0089】
他方、この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でない場合(S103:NO)、および、この搬送ユニットの回収ラインがスタンバイ状態でない場合(S104:NO
)、処理がS106に進められる。
【0090】
続いて、制御部601は、優先テーブル内の参照先を次の順位の検体ラックLに変更し(S106)、処理をS102に戻す。なお、参照先の検体ラックLについて、S103またはS104でNOと判定されると、図10(d)に示す如く、優先テーブルの当該参照先の検体ラックLが“待機”に設定される。また、参照先の検体ラックLについて、S105で回収指示が行われると、図10(e)に示す如く、優先テーブルの参照先の検体ラックLが“処理中”に設定される。
【0091】
次に、S107において、制御部601は、この搬送ユニットの1台先(左隣り)の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態かを判定する。なお、以下において、「n台先の搬送ユニット」とは、参照先の検体ラックLが位置付けられている搬送ユニットまたは送出ユニットの左隣りの搬送ユニットから数え始めて、左方向にn台目に配されている搬送ユニットを示すものとする。
【0092】
1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S107:YES)、処理がS108に進められ、1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でないと(S107:NO)、処理がS116に進められる。
【0093】
S108において、制御部601は、この搬送ユニットの1台先の搬送ユニットが、参照する検体ラックLの目的地であるかを判定する。1台先の搬送ユニットが目的地でないと(S108:NO)、処理がS110に進められる。1台先の搬送ユニットが目的地であると(S108:YES)、制御部601は、スタンバイ状態にある1台先の搬送ユニットに対して“右搬入処理”を行うよう右搬入指示を送信する(S109)。“右搬入処
理”については、追って、図14(c)を参照して説明する。
【0094】
S110において、制御部601は、この搬送ユニットの2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態かを判定する。2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S110:YES)、処理がS112に進められ、2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でないと(S110:NO)、制御部601は、1台先の搬送ユニットに対して“待機処理”を行うよう待機指示を送信する(S111)。“待機処理”については、追って、図14(b)を参照して説明する。
【0095】
S112において、制御部601は、この搬送ユニットの2台先の搬送ユニットが、参照する検体ラックLの目的地であるかを判定する。2台先の搬送ユニットが目的地であると(S112:YES)、制御部601は、スタンバイ状態にある2台先の搬送ユニットに対して“右搬入処理”を行うよう右搬入指示を送信し、スタンバイ状態にある1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S113)。他方、2台先の搬送ユニットが目的地でない、すなわち、目的地が3台先以降である場合(S112:NO)、制御部601は、2台先の搬送ユニットに対して“待機処理”を行うよう待機指示を送信し、1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S114)。“通過処理”については、追って、図14(a)を参照して説明する。
【0096】
こうして、対応する搬送ユニットに対して指示を行った後、S115において、制御部601は、参照先の検体ラックLが位置付けられている搬送ユニットまたは送出ユニット23に対して、“搬出処理”を行うよう搬出指示を送信する(S115)。“搬出処理”については、追って、図15(b)、(c)を参照して説明する。
【0097】
続いて、S116において、制御部601は、優先テーブル内の参照先を次の順位の検体ラックLに変更し(S116)、処理をS102に戻す。なお、参照先の検体ラックLについて、S107でNOと判定されると、図10(d)に示す如く、優先テーブルの参照先の検体ラックLが“待機”とされる。また、参照先の検体ラックLについて、S115で搬出指示が行われると、図10(e)に示す如く、優先テーブルの参照先の検体ラックLが“処理中”とされる。
【0098】
なお、S106とS116において、優先テーブル内に、参照中の検体ラックLの次の順位の検体ラックLがない場合は、この搬送ユニット制御処理は終了する。
【0099】
図11の制御処理では、参照先の検体ラックLが位置付けられた搬送ユニットまたは送出ユニットから2台以上先の搬送ユニットが目的地である場合(S108:NO)、2台先までの搬送ユニットを対象として、搬送制御が行われる(S110〜S114)。このとき、参照先の検体ラックLは、これら2台先までの各搬送ユニットに他の検体ラックLが位置付けられていても、これら他の検体ラックLよりも先に、優先テーブルに追加される位置に位置付けられている。つまり、図11の制御処理では、2台の搬送ユニットを制御対象として、これら搬送ユニットにて搬送されるべき検体ラックLのうち、最も早く、優先テーブルに追加される位置に位置付けられた検体ラックLが優先的に、これら2台の搬送ユニットにより搬送される。ただし、これら2台の搬送ユニットがスタンバイ状態にあるかに応じて、当該検体ラックLの搬送がさらに制御される(S107:NO、または、S110:NO)。
【0100】
図12は、搬送ユニット31〜33の通過通知処理を示すフローチャートである。
【0101】
搬送ユニット31〜33の制御部301は、供給ライン中央位置を検体ラックLが横切
ったかを判定する(S51)。かかる判定は、センサ344a、344bにより、供給ライン中央位置に位置する検体ラックLが検出されたかに基づいて行われる。
【0102】
制御部301は、供給ライン中央位置を検体ラックLが横切ったと判定すると(S51:YES)、搬送コントローラ6に通過通知を送信する(S52)。通過通知処理は、搬送ユニット31〜33において、それぞれ並行して繰り返し行われる。
【0103】
図13は、通過通知を受信したときの搬送コントローラ6の搬送ユニット制御処理を示すフローチャートである。かかる搬送ユニット制御処理は、搬送コントローラ6の制御部601が、何れかの搬送ユニット31〜33から通過通知を受信すると実行される。なお、かかる搬送ユニット制御処理は、優先テーブルが参照されることなく行われる。
【0104】
制御部601は、この搬送ユニットが通過処理中(図14(a)を用いて後述する)であるかを判定する(S201)。すなわち、制御部601は、この搬送ユニットのラック搬送部340のベルト341a、341bが駆動中であり、且つ、ストッパー346が下ろされているかを判定する。この搬送ユニットが通過処理中であると(S201:YES)、処理がS202に進められる。この搬送ユニットが通過処理中でない、すなわち、この搬送ユニットは待機処理中(図14(b)を用いて後述する)であると(S201:NO)、処理がS207に進められる。
【0105】
S202において、制御部601は、この搬送ユニットの1台先の搬送ユニットが、通過通知の元となった検体ラックLの目的地であるかを判定する。1台先の搬送ユニットが目的地であると(S202:YES)、1台先の搬送ユニットは右搬入処理中であるから、処理が終了する。他方、1台先の搬送ユニットが目的地でないと(S202:NO)、1台先の搬送ユニットは待機処理中であるから、処理がS203に進められる。
【0106】
S203において、制御部601は、2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であるかを判定する。2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でないと(S203:NO)、処理が終了する。この場合、検体ラックLは、1台先の搬送ユニットの供給ライン左端位置に停止される。他方、2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S203:YES)、処理がS204に進められる。
【0107】
S204において、制御部601は、2台先の搬送ユニットが、通過通知の元となった検体ラックLの目的地であるかを判定する。2台先の搬送ユニットが目的地であると(S204:YES)、2台先の搬送ユニットに対して“右搬入処理”を行うよう右搬入指示を送信し、1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S205)。他方、2台先の搬送ユニットが目的地でないと(S204:NO)、2台先の搬送ユニットに対して“待機処理”を行うよう待機指示を送信し、1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S206)。
【0108】
S201において、通過通知の送信元の搬送ユニットが通過処理中でない、すなわち、この搬送ユニットは待機処理中であると判定されると、S207において、制御部601は、1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であるかを判定する。1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると(S207:YES)、処理がS208に進められ、1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でないと(S207:NO)、処理が終了する。S207の判定がNOの場合、検体ラックLは、この搬送ユニットの供給ライン左端位置に停止される。
【0109】
ここで、S208〜S214の処理は、図11のS108〜S114の処理と全く同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0110】
次に、S209、S211、S213、S214の処理が終了すると、制御部601は、この搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信する(S215)。
【0111】
図14(a)は、搬送ユニット31〜33の“通過処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜33の制御部301は、搬送コントローラ6から通過指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0112】
制御部301は、ストッパー346を下げて、供給ラインのベルト341a、341bを動かす(S301)。制御部301は、供給ラインに沿って右から左に検体ラックLが搬送され、この検体ラックLが供給ライン左端位置から左隣りの搬送ユニットに搬出されるまで処理を待機させる(S302)。なお、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLが、センサ345a、345bによって検出されなくなったときに、この検体ラックLが左隣りの搬送ユニットに搬出されたと判定される。
【0113】
供給ライン左端位置から検体ラックLが搬出されると(S302:YES)、制御部301は、ストッパー346を上げて、供給ラインのベルト341a、341bを停止させる(S303)。続いて、制御部301は、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S304)。こうして、この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態となって、“通過処理”が終了する。
【0114】
図14(b)は、搬送ユニット31〜33の“待機処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜33の制御部301は、搬送コントローラ6から待機指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0115】
制御部301は、ストッパー346を上げて、供給ラインのベルト341a、341bを動かす(S311)。制御部301は、供給ラインに沿って右から左に検体ラックLを搬送し、この検体ラックLが供給ライン左端位置に到着するまで処理を待機させる(S312)。検体ラックLが供給ライン左端位置に到着すると、ストッパー346によりこの位置で検体ラックLが停止され、センサ345a、345bによりこの検体ラックLが検出される。こうして、供給ライン左端位置に検体ラックLが到着すると(S312:YES)、制御部301は、供給ラインのベルト341a、341bを停止させる(S313)。続いて、制御部301は、検体ラックLが供給ライン左端位置に到着したことを示す状態変化通知を搬送コントローラ6に送信する(S314)。これにより、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLの識別情報が、優先テーブルに追加される。こうして、“待機処理”が終了する。
【0116】
図14(c)は、搬送ユニット31〜34の“右搬入処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜34の制御部301(制御部341)は、搬送コントローラ6から右搬入指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0117】
制御部301(制御部341)は、ストッパー346を上げて、供給ラインのベルト341a、341bを動かし、壁部342aが供給ラインに掛かる位置までラック押出し機構342を移動させる(S321)。制御部301(制御部341)は、供給ラインに沿って右から左に検体ラックLを搬送し、この検体ラックLが供給ライン右端位置に到着するまで処理を待機させる(S322)。なお、検体ラックLが供給ライン右端位置に到着すると、ラック押出し機構342の壁部342aによりこの位置で検体ラックLが停止され、センサ343a、343bによりこの検体ラックが検出される。
【0118】
供給ライン右端位置に検体ラックLが到着すると(S322:YES)、制御部301(制御部341)は、ラック押出し機構342をさらに奥側に移動させ、供給ライン右端位置の検体ラックLを右テーブル310に押出す(S323)。しかる後、制御部301(制御部341)は、ラック押出し機構342を、ラック搬送部340とラック搬送部350の間に戻して、供給ラインのベルト341a、341bを停止させる(S324)。続いて、制御部301(制御部341)は、状態変化通知を搬送コントローラ6に送信する(S325)。こうして、“右搬入処理”が終了する。
【0119】
図15(a)は、搬送ユニット31〜34の“回収処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜34の制御部301(制御部341)は、搬送コントローラ6から回収指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0120】
制御部301(制御部341)は、まず、供給ラインを非スタンバイ状態とする(S331)。続いて、制御部301(制御部341)は、仕切り部352を下げて、ラック送込機構333により左テーブル位置に位置付けられている検体ラックLを前方に押出す(S332)。制御部301(制御部341)は、ラック送込機構333によって検体ラックLを前方に移動させ、この検体ラックLが回収ライン左端位置に到着するまで処理を待機させる(S333)。なお、検体ラックLが回収ライン左端位置に到着すると、センサ353a、353bによりこの検体ラックが検出される。
【0121】
回収ライン左端位置に検体ラックLが到着すると(S333:YES)、制御部301(制御部341)は、ラック送込機構333を左テーブル320まで戻し、仕切り部352を上げる(S334)。続いて、制御部301(制御部341)は、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S335)。こうして、この搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態となって、“回収処理”が終了する。なお、搬送コントローラ6は、S335で送信されたラック搬出完了通知を受信すると、たとえば図9(d)に示したように、優先テーブルからこの検体ラックLを削除する。
【0122】
図15(b)は、搬送ユニット31〜33の“搬出処理”を示すフローチャートである。搬送ユニット31〜33の制御部301は、搬送コントローラ6から搬出指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。なお、この“搬出処理”は、左テーブル位置に位置付けられた検体ラックL、または、供給ライン左端位置に位置付けられた検体ラックLを、この搬送ユニットの左隣りの搬送ユニットに搬出する場合に行われる。
【0123】
制御部301は、ストッパー346を下げて、供給ラインのベルト341a、341bを動かす(S341)。ここで、左テーブル位置に位置付けられた検体ラックLを搬出する場合は、ラック送込機構333により、この検体ラックLが供給ライン左端位置に位置付けられた後、ストッパー346とベルト341a、341bの駆動がおこなわれる。
【0124】
制御部301は、供給ラインに沿って、供給ライン左端位置に位置付けられている検体ラックLが搬送され、この検体ラックLが左隣りの搬送ユニットに搬出されるまで処理を待機させる(S342)。
【0125】
供給ライン左端位置から検体ラックLが搬出されると(S342:YES)、制御部301は、供給ラインのベルト341a、341bを停止させる(S343)。続いて、制御部301は、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S344)。こうして、“搬出処理”が終了する。なお、搬送コントローラ6は、S344で送信されたラック搬出完了通知を受信すると、たとえば図9(d)に示したように、優先テーブルから
この検体ラックLを削除する。
【0126】
図15(c)は、送出ユニット23の“搬出処理”を示すフローチャートである。送出ユニット23の制御部237は、は、搬送コントローラ6から搬出指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信し、以下の処理を行う。
【0127】
制御部237は、ラック送出機構235を左方向に移動させることにより、ラックID読取位置に位置付けられている検体ラックLを搬送ユニット31の供給ラインへ押出す(S351)。制御部237は、この検体ラックLの次の検体ラックLが搬出可能になるまで処理を待機させる(S352)。すなわち、この検体ラックLが、送出ユニット23から搬送ユニット31に搬送され、ラック送出機構235が、送出ユニット23の手前の右端位置に戻されるまで、処理が待機される。
【0128】
次の検体ラックLが搬出可能になると(S352:YES)、制御部237は、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S353)。こうして、送出ユニット23の“搬出処理”が終了する。なお、搬送コントローラ6は、S353で送信されたラック搬出完了通知を受信すると、たとえば図9(d)に示したように、優先テーブルからこの検体ラックLを削除する。
【0129】
図16、17は、搬送ユニットが制御されることにより、検体ラックLが目的地まで搬送されることを説明する図である。図16、17には、送出ユニット23と搬送ユニット31〜33を示す模式図が示されている。なお、搬送ユニット34は便宜上、図示が省略されている。
【0130】
図16(a)を参照して、図示の如く、送出ユニット23と、搬送ユニット32、33には、それぞれ、検体ラックL(以下、「ラック1」、「ラック2」、「ラック3」という)が含まれている。ラック1の目的地は搬送ユニット33であり、ラック2の目的地はなく(回収のみ)、ラック3の目的地は搬送ユニット34である。
【0131】
ラック1〜3が、それぞれ、送出ユニット23のラックID読取位置と、搬送ユニット32の左テーブル位置と、搬送ユニット33の左テーブル位置に、順に到着すると、順次、優先テーブルの最下行に、ラック1〜3の識別情報が追加される。これにより、優先テーブルにおけるラック1〜3の優先順位は、同図(e)に示す如くラック1〜3の順となる。
【0132】
ラック1が搬送対象のとき、送出ユニット23のラックID読取位置は、特許請求の範囲における「第1位置」に相当し、搬送ユニット31と32の左テーブル位置は、特許請求の範囲における「第2位置」に相当する。
【0133】
なお、図16(a)において、同図破線に示す搬送ユニット31の左テーブル位置または供給ライン左端位置に位置づけられたラックが搬送対象であるとき、これら左テーブル位置または供給ライン左端位置は、特許請求の範囲における「第1位置」に相当し、搬送ユニット32と33の左テーブル位置は、特許請求の範囲における「第2位置」に相当する。
【0134】
以下では、ラック1が、図16(a)の如く、送出ユニット23のラックID読取位置(第1位置)に位置付けられた場合の制御動作について説明するが、同図(a)の破線位置(第1位置)に位置づけられたラックが制御対象であるときも、搬送ユニット32、33を制御対象として、以下と同様の制御動作が行われる。
【0135】
搬送コントローラ6の制御部601は、図11の制御手順に従って、優先テーブル内の参照する検体ラックLをラック1とし、ラック1を搬送するよう搬送ユニットを制御する。すなわち、ラック1の目的地が3台先の搬送ユニット33であり、搬送ユニット31、32の供給ラインがスタンバイ状態であるため、搬送ユニット32に待機指示が送信され、搬送ユニット31に通過指示が送信される。そして、送出ユニット23に搬出指示が送信され、ラック1の搬送が開始される。これにより、優先テーブルの参照先が1つ下に変更される。このとき、優先テーブルは、図16(f)に示す状態となっている。
【0136】
図16(b)を参照して、次にラック2の処理が開始される。しかしながら、搬送ユニット32の供給ラインがスタンバイ状態でないため、ラック2の搬送は行われず、優先テーブルの参照先が1つ下に変更されて、ラック3の処理が開始される。このとき、優先テーブルは、同図(g)に示す状態となっている。なお、この間も、図11の搬送ユニット制御処理が、所定時間ごとに行われるが、ラック1が処理中でありラック2が待機中と判定されるため、ラック1、2についての処理は行われない。ラック3の処理が開始されると、ラック3は目的地である搬送ユニット34に搬出される。
【0137】
なお、ラック1が送出ユニット23から搬出されて、搬送コントローラ6がラック搬出完了通知を受信すると、優先テーブルからラック1が削除される。同様に、ラック3が搬送ユニット33から搬出されて、搬送コントローラ6がラック搬出完了通知を受信すると、優先テーブルからラック3が削除される。これにより、優先テーブルは、図16(h)に示す状態となる。
【0138】
図16(c)に示す如く、ラック1が搬送ユニット31の供給ライン中央位置を通過すると、図13の制御手順に従って、搬送ユニットが制御される。すなわち、搬送ユニット31が通過処理中であり、搬送ユニット33の供給ラインがスタンバイ状態であり、ラック1の目的地が2台先であるため、搬送ユニット33に右搬入指示が送信され、搬送ユニット32に通過指示が送信される。これにより、図16(d)に示すように、搬送ユニット33では右搬入処理が行われ、搬送ユニット32では通過処理が行われる。
【0139】
なお、図16(c)のようにラック1が搬送ユニット31の供給ライン中央位置を通過したときに、搬送ユニット33がスタンバイ状態でなく、さらに、その後、ラック1が搬送ユニット32の供給ライン中央位置を通過したときにも、ラック3が搬送途中であることにより搬送ユニット33がスタンバイ状態でないと、図17(a)に示すように、ラック1は、搬送ユニット32の供給ライン左端位置に停止する。これにより、優先テーブルの最下行にラック1が追加される。この場合、ラック3の回収処理が完了するまで、ラック1は動くことができない。
【0140】
次に、図16(d)の状態から、さらにラック1が左方向に進み、図17(b)に示す如く、搬送ユニット32の供給ライン中央位置を通過すると、図13のS201でYESと判定され、搬送ユニット32の通過処理と、搬送ユニット33の右搬入処理が継続される。このとき、優先テーブルは、図17(f)に示す状態となっている。
【0141】
図17(c)を参照して、ラック1が搬送ユニット32から搬送ユニット33に搬送された後に、所定時間ごとに行われる図11の搬送ユニット制御処理が実行されると、ラック2が優先テーブルの最上位に位置付けられているため、ラック2の処理が開始される。このとき、搬送ユニット32の供給ラインと回収ラインがスタンバイ状態であるため、搬送ユニット32に回収指示が送信され、図17(d)に示すように、ラック2が回収ライン左端位置まで搬送される。これにより、図17(h)に示す如く、優先テーブルからラック2が削除される。
【0142】
図18は、図16、17で示した搬送ユニット31〜33の搬送制御において、搬送ユニット31〜33と、送出ユニット23と、搬送コントローラ6との間で行われる通信内容を示す図である。なお、図18には、便宜上、ラック1に関する搬送制御についてのみ示されている。
【0143】
送出ユニット23のバーコード読取部236によりラックIDが読み取られると、図9(b)のS22に示したように、送出ユニット23から搬送コントローラ6に到着通知が送信される(S401)。このとき、搬送ユニット31、32がスタンバイ状態であるため、搬送コントローラ6は、図11のS114に示したように、2台先の搬送ユニット32に待機指示を送信し、1台先の搬送ユニット31に通過指示を送信する。
【0144】
具体的には、搬送コントローラ6は、まず、搬送ユニット32に対して待機指示を送信する(S402)。搬送ユニット32は、待機指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S403)。次に、搬送コントローラ6は、搬送ユニット31に対して通過指示を送信する(S404)。搬送ユニット31は、通過指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S405)。このように、下流側の搬送ユニットに対して先に指示が行われると、下流側の搬送ユニットでエラーが発生している場合に、誤って下流側の搬送ユニットに検体ラックLが搬送されてしまうことを防止することができる。
【0145】
続いて、搬送コントローラ6は、図11のS115に示したように、送出ユニット23に搬出指示を送信する(S406)。送出ユニット23は、搬出指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S407)。しかる後、送出ユニット23は、図15(c)のS353に示したように、ラック搬出完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S408)。これにより、優先テーブルからこの検体ラックLが削除される。
【0146】
その後、搬送ユニット31に送出された検体ラックLが、搬送ユニット31の供給ライン中央位置を通過すると、図12のS52に示したように、通過通知が搬送コントローラ6に送信される(S409)。これにより、図13の搬送ユニット制御処理が実行され、図13のS205に示したように、2台先の搬送ユニット33に対して右搬入指示を送信し(S410)、1台先の搬送ユニット31に対して通過指示を送信する(S412)。搬送ユニット33、32は、それぞれ、右搬入指示と通過指示を受信すると、指示受付完了通知を搬送コントローラ6に送信する(S411、S413)。
【0147】
その後、この検体ラックLが搬送ユニット31から搬出されると、図14(a)のS304に示したように、ラック搬出完了通知が搬送コントローラ6に送信される(S414)。続いて、この検体ラックLが、搬送ユニット32の供給ライン中央位置を通過すると、通過通知が搬送コントローラ6に送信される(S415)。このとき、図13の搬送ユニット制御処理が実行されるものの、図13のS202でYESと判定されるため、新たに搬送ユニットの制御は行われない。
【0148】
その後、この検体ラックLが搬送ユニット32から搬出されると、S414と同様に、ラック搬出完了通知が搬送コントローラ6に送信される(S416)。しかる後、搬送ユニット33で実行されている“右搬入処理”において、この検体ラックLが、供給ライン右端位置から右テーブル310に押し出された後、図14(c)に示したように、搬送ユニット33から状態変化通知が搬送コントローラ6に送信される(S417)。これにより、搬送コントローラ6は、この検体ラックが搬送ユニット33の右テーブルに移動されたことを知ることができる。
【0149】
以上、本実施の形態によれば、図11に示すように、優先テーブルの最上位に位置付けられている検体ラックLから順に、搬送ユニット31〜34と送出ユニット23によって搬送される。すなわち、参照する検体ラックLを搬送する際には、1台先と2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると、これら搬送ユニットにこの検体ラックLを搬送するための指示が送信される。これにより、2台先の搬送ユニットに検体ラックLを搬出する前に1台先の搬送ユニットでこの検体ラックLを待機させる必要がないため、この検体ラックLを円滑に目的地に搬送することができる。また、1台先と2台先の搬送ユニット以外の他の搬送ユニットは、優先順位の低い他の検体ラックの搬送に用いることができるため、優先順位の低い他の検体ラックの搬送動作も円滑に行うことが可能となる。
【0150】
また、本実施の形態によれば、検体ラックLが供給ライン中央位置を通過すると、図13に示すように、1台先と2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であると、これら搬送ユニットにこの検体ラックLを搬送するための指示が送信される。これにより、1台先の搬送ユニットで、この検体ラックLが停止することないため、この検体ラックLを1台先から2台先の搬送ユニットに、円滑に搬送することができる。
【0151】
また、図11と図13の処理において、1台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態であるが、2台先の搬送ユニットの供給ラインがスタンバイ状態でない場合でも、この検体ラックLは1台先の搬送ユニットまで搬送される。これにより、検体ラックLは少しでも下流側へと搬送されるため、搬送の効率化を図ることができる。
【0152】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0153】
たとえば、上記実施の形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する検体処理システムにも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体処理システムに本発明を適用することもできる。
【0154】
また、上記実施の形態では、検体処理システム1に4つの搬送ユニット31〜34が含まれたが、これに限らず、検体処理システム1には、3つの搬送ユニットが含まれるようにしても良く、また、5つ以上の搬送ユニットが含まれるようにしても良い。
【0155】
また、上記実施の形態では、図11と図13に示すように、1台先と2台先の搬送ユニットが制御対象とされたが、これに限らず、n台先(nは1以上の整数)までの搬送ユニットを制御対象として、検体ラックLの優先順位に基づいて制御を行うようにしても良い。この場合、優先テーブル上において参照される検体ラックLは、制御対象となるn台の搬送ユニットの供給ラインが何れもスタンバイ状態にあると、これらn台の搬送ユニットの供給ラインにより搬送され、下流側の搬送ユニットがスタンバイ状態にないと、スタンバイ状態にある上流側の搬送ユニットにより搬送可能な位置まで搬送される。
【0156】
また、上記実施の形態では、供給ラインから測定ラインに検体ラックを搬入し、測定が終了した検体ラックを測定ラインから供給ラインに搬出する検体処理システムについて説明したが、本発明はこれに限らない。供給ライン上に位置する検体ラックに収容された検体容器から、測定ユニットが検体を吸引して測定し、検体吸引後に検体ラックが供給ラインによって下流側に搬送される検体処理システムであってもよい。
【0157】
また、上記実施の形態では、搬送ユニット31〜34は検体ラックの受け渡しが直接可能となるように互いに接続されているが、本発明はこれに限らない。搬送ユニット間に、
上流の搬送ユニットから検体ラックを受け取って下流側の搬送ユニットに渡す中継搬送ユニットが設けられてもよい。
【0158】
また、上記実施の形態では、ステップS113において、1台先の搬送ユニットに対して“通過処理”を行うよう通過指示を送信するとともに、2台先の搬送ユニットに対して“右搬入処理”を行うよう右搬入指示を送信しているが、本発明はこれに限らない。1台先の搬送ユニットの供給ラインに検体ラックが搬入された後、「供給ライン左端位置」に検体ラックが到着する前に、1台先の搬送ユニットに対して通過指示を送信するとともに、2台先の搬送ユニットに対して右搬入指示を送信してもよい。
【0159】
また、上記実施の形態では、2台先までの搬送ユニットに対して搬送指示を送信しているが、2台先までの搬送ユニットに限定されず、3台先の搬送ユニットに対しても搬送指示を送信してもよい。
【0160】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0161】
1 … 検体処理システム
23 … 送出ユニット
31〜34 …搬送ユニット
41 … 測定ユニット
330 … 左テーブル
340 … ラック搬送部
601 … 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体処理ユニットと各検体処理ユニットに検体ラックを搬送する搬送装置とを備えた検体処理システムにおいて、
前記搬送装置は、m台(mは3以上の整数)の検体搬送ユニットに区分され、
前記m台の検体搬送ユニットを制御する制御部を備え、
各検体搬送ユニットは、それぞれ、検体ラックを下流側の検体搬送ユニットに搬送するための搬送路を有し、
前記制御部は、搬送対象の検体ラックが次に搬入される第1検体搬送ユニットからn台目(nは3以上かつm以下の整数)の検体搬送ユニットに前記搬送対象の検体ラックを搬送する場合、前記第1検体搬送ユニットからp台(pは2以上かつn未満の整数)の検体搬送ユニットを制御し、前記第1検体搬送ユニットの前記搬送路の所定位置まで前記搬送対象の検体ラックが搬送されると、制御対象を、前記第1検体搬送ユニットより1つ下流の第2検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットに変更する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
各検体搬送ユニットは、検体ラックを前記搬送路に搬入するための搬入路を有し、
前記制御部は、前記第1検体搬送ユニットよりも上流の第1位置に前記搬送対象の検体ラックが位置づけられた順位と、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットの各搬入路上の第2位置に他の検体ラックが位置づけられた順位とに基づいて、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットを制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記第1位置に前記搬送対象の検体ラックが位置づけられた順位が、各第2位置に前記他の検体ラックが位置づけられた順位より早ければ、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットを、前記第1位置に位置づけられた前記搬送対象の検体ラックの搬送のために制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の検体処理システムにおいて、
最上流の前記検体搬送ユニットの前記搬送路に検体ラックを送り出すラック送出ユニットをさらに備え、
前記第1検体搬送ユニットが最上流の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記ラック送出ユニット内の搬送路に設定されている、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項5】
請求項2または3に記載の検体処理システムにおいて、
前記第1検体搬送ユニットが、最上流の検体搬送ユニット以外の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記第1検体搬送ユニットよりも一つ上流に配置された検体搬送ユニットの前記搬入路に設定されている、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項6】
請求項2または3に記載の検体処理システムにおいて、
前記第1検体搬送ユニットが、最上流の検体搬送ユニット以外の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記第1検体搬送ユニットよりも一つ上流に配置された検体搬送ユニットの前記搬送路に設定されている、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
各検体搬送ユニットの前記搬送路は、下流側の検体搬送ユニットの前記搬送路に検体ラックを搬送するように構成され、
前記制御部は、前記搬送対象の検体ラックが前記第1検体搬送ユニットの前記搬送路の所定位置に到達する前に、前記第2検体搬送ユニットの前記搬送路を動作させる、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットのうち最上流の検体搬送ユニットの前記搬送路に前記搬送対象の検体ラックが搬入される前に、前記p台の検体搬送ユニットのうち最上流の検体搬送ユニットから(p−1)台目までの検体搬送ユニットに対して、前記搬送対象の検体ラックを下流側の検体搬送ユニットに通過させる指示を送信し、p台目の検体搬送ユニットに対して、前記搬送対象の検体ラックを前記p台目の検体搬送ユニットの前記搬送路上で停止させる指示を送信する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットのうちq台目(qは2以上かつp以下の整数)以降の検体搬送ユニットの前記搬送路が他の検体ラックの搬送に用いられる状態にあると、(q−1)台目までの検体搬送ユニットの前記搬送路を用いて、前記搬送対象の検体ラックを搬送するように、前記(q−1)台の検体搬送ユニットを制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットの前記搬送路がスタンバイ状態にあるかに基づいて、前記p台の検体搬送ユニットを前記搬送対象の検体ラックの搬送に用いるかを決定する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記制御対象である前記p台の検体搬送ユニットよりも下流側にある検体搬送ユニットを、前記搬送対象の検体ラック以外の他の検体ラックの搬送に用いるよう制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項1】
複数の検体処理ユニットと各検体処理ユニットに検体ラックを搬送する搬送装置とを備えた検体処理システムにおいて、
前記搬送装置は、m台(mは3以上の整数)の検体搬送ユニットに区分され、
前記m台の検体搬送ユニットを制御する制御部を備え、
各検体搬送ユニットは、それぞれ、検体ラックを下流側の検体搬送ユニットに搬送するための搬送路を有し、
前記制御部は、搬送対象の検体ラックが次に搬入される第1検体搬送ユニットからn台目(nは3以上かつm以下の整数)の検体搬送ユニットに前記搬送対象の検体ラックを搬送する場合、前記第1検体搬送ユニットからp台(pは2以上かつn未満の整数)の検体搬送ユニットを制御し、前記第1検体搬送ユニットの前記搬送路の所定位置まで前記搬送対象の検体ラックが搬送されると、制御対象を、前記第1検体搬送ユニットより1つ下流の第2検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットに変更する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
各検体搬送ユニットは、検体ラックを前記搬送路に搬入するための搬入路を有し、
前記制御部は、前記第1検体搬送ユニットよりも上流の第1位置に前記搬送対象の検体ラックが位置づけられた順位と、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットの各搬入路上の第2位置に他の検体ラックが位置づけられた順位とに基づいて、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットを制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記第1位置に前記搬送対象の検体ラックが位置づけられた順位が、各第2位置に前記他の検体ラックが位置づけられた順位より早ければ、前記第1検体搬送ユニットからp台の検体搬送ユニットを、前記第1位置に位置づけられた前記搬送対象の検体ラックの搬送のために制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の検体処理システムにおいて、
最上流の前記検体搬送ユニットの前記搬送路に検体ラックを送り出すラック送出ユニットをさらに備え、
前記第1検体搬送ユニットが最上流の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記ラック送出ユニット内の搬送路に設定されている、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項5】
請求項2または3に記載の検体処理システムにおいて、
前記第1検体搬送ユニットが、最上流の検体搬送ユニット以外の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記第1検体搬送ユニットよりも一つ上流に配置された検体搬送ユニットの前記搬入路に設定されている、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項6】
請求項2または3に記載の検体処理システムにおいて、
前記第1検体搬送ユニットが、最上流の検体搬送ユニット以外の検体搬送ユニットである場合、前記第1位置は、前記第1検体搬送ユニットよりも一つ上流に配置された検体搬送ユニットの前記搬送路に設定されている、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
各検体搬送ユニットの前記搬送路は、下流側の検体搬送ユニットの前記搬送路に検体ラックを搬送するように構成され、
前記制御部は、前記搬送対象の検体ラックが前記第1検体搬送ユニットの前記搬送路の所定位置に到達する前に、前記第2検体搬送ユニットの前記搬送路を動作させる、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットのうち最上流の検体搬送ユニットの前記搬送路に前記搬送対象の検体ラックが搬入される前に、前記p台の検体搬送ユニットのうち最上流の検体搬送ユニットから(p−1)台目までの検体搬送ユニットに対して、前記搬送対象の検体ラックを下流側の検体搬送ユニットに通過させる指示を送信し、p台目の検体搬送ユニットに対して、前記搬送対象の検体ラックを前記p台目の検体搬送ユニットの前記搬送路上で停止させる指示を送信する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットのうちq台目(qは2以上かつp以下の整数)以降の検体搬送ユニットの前記搬送路が他の検体ラックの搬送に用いられる状態にあると、(q−1)台目までの検体搬送ユニットの前記搬送路を用いて、前記搬送対象の検体ラックを搬送するように、前記(q−1)台の検体搬送ユニットを制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記p台の検体搬送ユニットの前記搬送路がスタンバイ状態にあるかに基づいて、前記p台の検体搬送ユニットを前記搬送対象の検体ラックの搬送に用いるかを決定する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一項に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御部は、前記制御対象である前記p台の検体搬送ユニットよりも下流側にある検体搬送ユニットを、前記搬送対象の検体ラック以外の他の検体ラックの搬送に用いるよう制御する、
ことを特徴とする検体処理システム。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【図16】


【図17】


【図18】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【図16】


【図17】


【図18】


【公開番号】特開2011−214835(P2011−214835A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80163(P2010−80163)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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