検体処理システム
【課題】 検体処理システムを構成する各装置筐体の統一化を図りつつ、見やすい状態表示ランプを備えた検体処理システムを提供する。
【解決手段】 検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成する検体処理システムであって、該検体処理システムは、床面に設置される本体筺体120と、この本体筺体120の上部に配置される処理部を覆うように、前記本体筺体120の上部全体を覆う上部筺体141を備えた処理装置100を含んでおり、前記上部筺体141は、この上部筺体141の両側を構成する側板148と、この上部筺体141の上部を構成する天板146と、この上部筺体141の前部を覆うように開閉可能に前記天板146に取り付けられる前カバー143とを含んで構成し、前記天板146の前部には隆起部154が形成され、該隆起部154に、前記前カバー143の回転軸部144と、状態表示ランプ145を設けるようにする。
【解決手段】 検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成する検体処理システムであって、該検体処理システムは、床面に設置される本体筺体120と、この本体筺体120の上部に配置される処理部を覆うように、前記本体筺体120の上部全体を覆う上部筺体141を備えた処理装置100を含んでおり、前記上部筺体141は、この上部筺体141の両側を構成する側板148と、この上部筺体141の上部を構成する天板146と、この上部筺体141の前部を覆うように開閉可能に前記天板146に取り付けられる前カバー143とを含んで構成し、前記天板146の前部には隆起部154が形成され、該隆起部154に、前記前カバー143の回転軸部144と、状態表示ランプ145を設けるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成する検体処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術による検体処理システムは、ラック搬送部が内蔵されている複数の種々の処理ユニット、例えば、遠心分離ユニット、開栓ユニット、分注ユニット、バーコードラベリングユニット、閉栓ユニット、分類ユニット、分析ユニット等と、これらの処理ユニットを結合する搬送ラインとを含み、処理ユニットと処理ユニット、搬送ラインと処理ユニット、あるいは、搬送ラインと搬送ラインを直列に接続して構成されるのが一般的である。
【0003】
これら従来技術による検体処理システムは、システムを構成する複数種の処理ユニットのそれぞれが処理ユニット毎に別個に設計されており、各筐体の幅、高さ、奥行き等の寸法が筐体毎に異なっている。このため、これらの処理ユニットを直列に並べて構成され従来技術による検体処理システムは、高さ寸法の不揃い、奥行き寸法の不揃いにより、検体処理システムを設置する検査室の景観を損ね、環境状態を悪化させているという問題点を有している。
【0004】
この課題を解決するために、従来技術では、検体処理システムを構成する複数種の処理ユニットのそれぞれの筐体の高さ、奥行き寸法を揃えて統一し、見晴らし、作業環境のよい検査室を構成することのできる検体処理システムが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、検体ラック投入部と検体ラック収納部の後方を直線的に連結し、検体処理ユニットは、前面パネルと両側板とにより箱型に形成される本体筐体と、該本体筐体の上部に設けられる処理部を覆うように筐体の天板から上方に張り出して設けられ、その前面に開放可能な透明窓を備えた開口部を形成した検体処理カバーとを備え、本体筐体は、搬送ラインユニットの前方に並んで設けられ、該本体筐体の前面が検体ラック投入部及び検体ラック収納部の前面と合う奥行き寸法を備え、かつ、該本体筐体の天板が前記検体ラック投入部及び検体ラック収納部の天板と合う高さ寸法を備えるようにしている。
【0006】
また、これら検体処理システムでは、各装置の異常を通知するために、検体処理システムを統括制御する制御装置の画面に異常を表示したり、あるいは、各装置の上部に支柱を立て、その上部に警告ランプを設けるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−304810号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来例によれば、本体筐体はその天板の高さや筺体の奥行き寸法が統一されているため、設置性にすぐれたシステム構成としている。しかし、本体筐体の上部に設けられる処理部を覆うように筐体は様々な大きさや構造を備えているため、従来例の課題を完全に解決したとは言えない。しかも、これら連続する本体筺体から様々に突出する処理装置の筺体に加えて、各装置に警告ランプを設けると、連続する本体筺体から様々な大きさや形状を備えた装置が突出して設けられるために、その景観は決して良好なものとはいえない。特に、装置の異常を警告する警告ランプが、これら多くの突出物に混じって設けられているために、異常を警告する警告ランプを備えた装置の識別も難しくなる。
【0009】
そこで、この発明の目的とするところは、検体処理システムを構成する各装置筐体の統一化を図りつつ、見やすい状態表示ランプを備えた検体処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、この発明に係る検体処理システムでは、検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成するものであって、該検体処理システムは、床面に設置される本体筺体と、この本体筺体の上部に配置される処理部を覆うように、前記本体筺体の上部全体を覆う上部筺体を備えた処理装置を含んでおり、前記上部筺体は、この上部筺体の両側を構成する側板と、この上部筺体の上部を構成する天板と、この上部筺体の前部を覆うように開閉可能に前記天板に取り付けられる前カバーとを含んで構成し、前記天板の前部には隆起部が形成され、該隆起部に、前記前カバーの回転軸部と、状態表示ランプを設けるようにする。
【発明の効果】
【0011】
かかる構成によれば、検体処理システムを構成する各装置筐体の統一化を図りつつ、見やすい状態表示ランプを備えた検体処理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る検体処理システムの概略構成図である。
【図2】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の内部構造図である。
【図3】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の外観図である。
【図4】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の寸法図である。
【図5】本発明に係る検体処理システムの警告ランプ近傍の部品展開図である。
【図6】開閉カバーの回転軸構造図である。
【図7】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置のハンドルの配置構成を示す説明図である。
【図8】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の引き出し構造の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1から図8を参照して、本発明に係る検体処理システムを詳細に説明する。なお、全図において同様な部位は同一符号を持って示し、重複した説明を省略する。
【0014】
先ず、図1を参照して、この実施例に係る検体処理システムの概略構成を説明する。ここで、図1は、この実施例に係る検体処理システムの概略構成図である。
【0015】
図1において、この実施例に係る検体処理システムでは、多様な装置を組み合わせて検体処理ラインを構成することができ、図1には、各装置を組み合わせた一例を示している。例えば、この実施例では、カップ供給装置10と、検体投入装置20と、ホルダーストッカ装置30と、検体収納装置100と、分注装置40とを横一列に配列した事例で示している。この他、図示しない開栓装置や遠心分離装置や閉栓装置やバーコード貼付装置などと多様に組み合わせることができる。
【0016】
この検体処理システムでは処理すべき検体、例えば、血液などは図示しない試験管に入れられ、この試験管にバーコードなどの識別情報が貼り付けられて管理される。このそれぞれの試験管は、識別情報を備えた図示しない検体ラックに装着されて管理される。以後の説明では1本の試験管が装着された検体ラックを検体と呼ぶ。
【0017】
この実施例においては、検体処理システムを構成する各装置は、前面パネル121と両側板122とにより箱型に形成される本体筐体120と、この本体筐体120の上部に設けられる処理部を覆う上部筺体140とから構成される。
【0018】
そして、この実施例に係る検体処理システムの大きな特徴の1つは、以下の基準を設定して、システムの外観統一を図った点にある。
【0019】
即ち、検体の上端部の近傍に第1基準ラインP1を設定し、特殊の装置を除いて、この第1基準ラインP1の上部に処理部が設けられる装置については同一構造の第1上部筺体141を採用し、第1基準ラインP1内に処理部が収納される装置については、第2上部筺体142を採用する。この実施例では、カップ供給装置10と、検体投入装置20と、検体収納装置100と、分注装置40が第1上部筺体141を採用し、第2上部筺体142はホルダーストッカ装置30が採用している。
【0020】
なお、異なる横幅を備えている装置、例えば、カップ供給装置10と検体投入装置20は、外観形状の横幅寸法を変更することで、統一形状を維持することとしている。
【0021】
また、検体の下端部の近傍に第2基準ラインP2を設定し、検体投入装置20や検体収納装置100のように検体を装置前方に引き出す装置においては、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2との間で検体を引き出す構造としている。
【0022】
この基準の設定により、本体筺体120は前面パネル121の上端が第2基準ラインP2に設定される第2本体筺体124と、前面パネル121の上端が第1基準ラインP1に設定される第1本体筺体123とを採用することができる。第2本体筺体124は、例えば、検体投入装置20と、ホルダーストッカ装置30と、検体収納装置100が採用している。第1本体筺体123は、例えば、カップ供給装置10と分注装置40が採用している。
【0023】
また、この実施例では、前面パネル121の上端部に手掛けハンドル125を設け、この手掛けハンドル125を介して、前面パネル121を開閉する構造を基本にしている。しかし、この手掛けハンドル125を介して、前面パネル121を前方に引き出す構造を採用することもできる。
【0024】
なお、本体筺体120を構成する両側板122は、装置を左右に連続させた場合は、これを取り外して設置することもできる。また、各装置を左右に並べた際の左右の両側の側板は、装飾性の高い側板122aを取り付けることができる。
【0025】
そして、この実施例に係る検体処理システムの大きな特徴の他の1つは、第1上部筺体141の前部に上端部を回転軸Qとする開閉可能な前カバー143を設け、この前カバー143の回転軸部144と、状態表示ランプ部145とを第1上部筺体141の上部に張り出した隆起部154に設けた点にある。
【0026】
即ち、この実施例では、第1基準ラインP1の上部に配置される処理部のメンテナンスのために、これら処理部を覆う第1上部筺体141の前部に開閉可能な前カバー143を設けている。この前カバー143は、第1上部筺体141の天板146の前部に設けられる回転軸部144を介して開放することができる。この回転軸部144は、前カバー143の開閉を楽に行うためのダンパー機構147を備えている。このダンパー機構147は、天板146の上部に設けられている。このため、ダンパー機構147を備えた回転軸部144は天板146から上方に張り出して形成される。この実施例では、この上方に張り出した回転軸部144に合わせて、異常や状態表示を表示する状態表示ランプ部145を設けたている。この実施例では、前カバー143を両側の回転軸部144で支持しているので、天板146の上方に張り出した一対の回転軸部144の間に状態表示ランプ部145を並べて配置している。
【0027】
この構造によれば、回転軸部144の構造を天板146の上にダンパー機構147を取り付けて、これをカバーする構造としているので、組立性を向上することができる。更に、回転軸部144が天板146の上方に張り出すというデザイン的なデメリットを逆に利用して、この回転軸部144の外観に合わせて状態表示ランプ部145を上方に張り出して設けることができるので、状態表示ランプ部145を装置筺体の最も高い位置に設けることができ、しかも正面だけでなく後方からもこの状態表示ランプ部145を視認することができる。更に、この第1上部筺体141を採用する装置は、同じ位置に状態表示ランプ部145が設けられるので、デザイン性の観点からも、ランプの視認性の観点からも有効である。
【0028】
また、この実施例に係る検体処理システムの大きな特徴の他の1つは、第1上部筺体141を、前記処理装置の両側をカバーする側板148と、上部を覆う天板146と、この天板146を支持する支持筺体149と、天板146に設けた回転軸部144を介して開閉可能に取り付けられる前カバー143とを含んで構成し、この天板146と側板148との間に窓部150を設けた点にある。
【0029】
即ち、この実施例では、天板146に設けた回転軸部144により、大きな前カバー143の開閉を可能にしている。しかし、この大きな前カバー143を支持するためには、天板146の強度を向上しなければならない。この実施例では、天板146の強度を維持するために鋼板で形成している。一方、前カバー143は、内部を監視可能とするために透明な構造を採用している。しかし、不透明な天板146で覆われる第1上部筺体141内は、その前部が透明な前カバー143で覆われていると言っても、照度不足が課題である。そこで、この実施例では、側板148と天板146の間の空間を利用して、この空間に透明な窓部150を設けている。これにより、第1上部筺体141内の照度不足を改善している。
【0030】
また、この実施例では、側板148を厚みある構造とし、その内側に天板146を支持する支持筺体149を設けている。これにより、第1上部筺体141を備えた装置が左右に併設されても、側板148の厚みの2倍の隙間151が生まれるので、この隙間151を介して必要な照度を得ることができる。更にまた、この併設時の隙間151は、装置が並べられて設置された際に、隙間151を介して後方を除き見ることができるので、閉鎖感を軽減させることができる。
【0031】
また、この実施例に係る検体処理システムの大きな特徴の他の1つは、複数のハンドルを第1基準ラインP1と第2基準ラインP2の間に設けて、意匠性や使い勝手を向上させた点にある。
【0032】
即ち、この実施例に係る検体処理システムでは、前カバー143の引っ掛けハンドル152と、前面パネル121の手掛けハンドル125と、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2との間に設けられる引出部126の埋め込みハンドル127の配置を考慮する必要がある。
【0033】
そこで、分注装置40のように第1基準ラインP1のみで解決できる装置は、この第1基準ラインP1の上下に前カバー143の引っ掛けハンドル152と前面パネル121の手掛けハンドル125とを並べて設け、3つのハンドが必要なものについては、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2との間に設けられる引出部126を後方に奥まって設け、この引出部126が前方に引き出される軌道Z1を利用して、前カバー143の引っ掛けハンドル152と前面パネル121の手掛けハンドル125を軌道Z1の上下に設ける構造を採用した。
【0034】
つまり、後方に奥まって設けられる引出部126には、その前面に埋め込みハンドル127を設け、前面パネル121の手掛けハンドル125は、引出部126の起動Z1を利用して手を上方から挿入して上方から手を掛ける構造を採用し、前カバー143の引っ掛けハンドル152は、引出部126の起動Z1を利用して手を下方から挿入して引き上げる引っ掛けハンドル152を採用した。引出部126の軌道Zを避けて、上下からつまむことによって引き上げる引っ掛けハンドル152を採用した。これにより、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2の間に形成される凹部の間に3つのハンドルが集中して設けられるため、操作性や意匠性を向上することができる。
【0035】
以下、図2から図8を参照して、この検体処理システムの基本装置である検体収納装置100を更に具体的に説明する。ここで、図2は、本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の内部構造図である。図3は、検体収納装置の外観図である。図4は、検体収納装置の寸法図である。図5は、警告ランプ近傍の部品展開図である。図6は、開閉カバーの回転軸構造図である。図7は、検体収納装置の引き出し構造の外観図である。図8は、検体収納装置の引き出し構造の外観図である。
【0036】
先ず、図2を参照して、検体収納投入収納装置100の内部の装置構成を説明する。この検体収納装置100は、前面パネル121の上端が第2基準ラインP2に設定された第2本体筺体124と、この第2本体筺体124の上部に設けられる処理部を覆う第1上部筺体141(図1参照)とを組み合わせた筺体構造を備えている。この図2では、内部構造を説明するために第1上部筺体141を取り外した状態を示している。
【0037】
この第2本体筺体124は、両側を回転軸とする一対の前面パネル121の後方に、図示しない電装品を設けている。また、第2基準ラインP2と、第2本体筺体124の上端部となる第1基準ラインP1の間には、左右に並べて配置される引出部126が設けられている。この引出部126は、その上面に、試験管1を並べて収納するトレー128がそれぞれ設けられている。そして、このトレー128は、横方向と奥行き方に並んだ図示しない凹み部が設けてあり、この凹み部に試験管1を収納することができる。引出部126は、図示しない引出機構により手前に引き出すことにより、トレー128を露出することができるから、検査すべき試験管1を装着して、再び装置内に戻すことができる。
【0038】
なお、この検体収納投入収納装置100では、引出部126をこれから検査する試験管1を装着するものと、検査済の試験管1を収納するものに設定することができる。これに対し、検体投入装置20は、全ての引出部126をこれから検査する試験管1を装着するものに設定したものである。検体投入装置20と検体収納装置100は、関連する他の内蔵装置が部分的に相違するが、基本的な装置構成はほぼ同じである。
【0039】
さて、引出部126の後方には、検体を左右方向に搬送する搬送機構110が設けられている。この実施例に係る検体処理システムの全ての装置は、この搬送機構110を介して接続することができる。つまり、検体処理システムの全ての装置の本体筐体120の上部後方には、この搬送機構110が設けられている。この実施例に係る搬送機構110は、隣り合う左右の何れの装置または左右方向に検体を同時に搬送することができる。
【0040】
次に、検体収納装置100は、処理部として、検体(試験管1)を移動させる検体移動装置129を備えている。検体移動装置129は、左右に設けられる固定レール129aと、これを支持する支持例レール129bと、一対の固定レール129aに支持されて前後方向に移動可能に設けられる移動レール129cと、移動レール129cに支持されて左右方向に移動可能に支持される移動部129dと、この移動部129dに支持されてアーム129fを上下方向に移動させるアーム昇降部129eとを含んで構成される。
【0041】
この検体移動装置129によれば、アーム129fを前後方向と左右方向及び前後方向に移動させることができる。したがって、引出部126のトレー128から試験管1をアーム129fで掴んで、これを搬送機構110などに移動させることができる。
【0042】
このように、この検体処理システムでは、第1上部筺体141を備えた装置は、その内部に検体移動装置129のような処理部を備えており、これら処理部は、第1上部筺体141で外観を覆われることで統一した外観で保護され、前カバー143を開放することでメンテナンスを可能としている。
【0043】
また、この実施例では、検体移動装置129が最も大きな処理部を構成する。そこで、この実施例では、第1上部筺体141の側板148の高さを、固定レール129aの上端部の高さと一致させている。これにより、固定レール129aを側板148で隠蔽するとともに、その上部に空間を形成し、この空間に窓部150を設けている。
【0044】
次に、図3と図4を参照して、検体収納装置100の外観形状を説明する。ここで、図3において、(a)図は検体収納装置の正面図、(b)図が右側面図、(c)図が平面図、(d)図が背面図である。
【0045】
図3において、検体収納装置100の第1上部筺体141の側板148は、第2基準ラインP2まで覆う構造を備えている。他のカップ供給装置10や分注装置40が採用している第1上部筺体141の側板148は、第1基準ラインP1までを覆う構造としているので、この意味で、第1上部筺体141の外観は本体筐体120の構造と若干異なるが、その基本的な外観的な特徴は共通している。
【0046】
本体筐体120は、前面パネル121と両側板122及び背面板130で構成された箱型の筺体構造を備えており、両側板122の上部後方には搬送機構110が設けられている。また、前面パネル121の上端部には、指を上方より挿入する手掛けハンドル125が設けられている。手掛けハンドル125の上部には、後方に奥まって配置される引出部126が左右に並べられて配置されている。引出部126は、薄いテーブル部131に並べられて配置されており、このテーブル部131の前面には、引出部126の取り出しを可能にするスイッチ部132が引出部126に対応して設けられている。
【0047】
引出部126は前面の下部が凹状に切り欠かれており、この切欠部133の上部に凹状の埋め込みハンドル127を形成している。したがって、この切欠部133から手を挿入して、切欠部133の上部の埋め込みハンドル127に指を挿入して手前に引き出すことができる。
【0048】
前記したように、第1上部筺体141は、第2基準ラインP2から上方に延びる両側の側板148と、この側板148の内側から上方に立ちあがって形成される支持筺体149と、この支持筺体149により支持される天板146と、第1上部筺体141の前部を覆う透明な前カバー143と、第1上部筺体141の裏面側を覆う背面板153を含んで構成される。支持筺体149の両側には、透明な窓部150が設けられており、天板146が浮いた印象を抱かせる構造としている。天板146の上面前部には、上方に張り出した隆起部154が形成されている。この隆起部154の中央に状態表示ランプ部145が設けられ、その両側に回転軸部144が設けられている。また、状態表示ランプ部145には複数の確認スイッチ159が左右に並べられて配置されている。更に、背面板153の上部には複数の小孔からなる通気部155が設けられている。
【0049】
この実施例では、天板146の前端部を後方に後退させて、その前部に広いメンテナンス空間を確保し、このメンテナンス空間を大きく、かつ透明な前カバー143で覆う構造としている。この実施例の前カバー143は、前面を覆う透明な前面カバー156と、両側面を覆う透明な側面カバー157と、両端部に形成されるフレーム158と、前面下端部に形成される帯状のハンドルベース板155とを含んで構成する。
【0050】
そして、この前カバー143は、ハンドルベース板155を両側の側板148の前端部に合わせて形成し、この上部の前面カバー156は、前方に一端張り出し、上方に行くに従って凸円弧で、天板部146に連続させる形状としている。また、ハンドルベース板155に指で摘むことができる凸状の引っ掛けハンドル152を設けている。そして、このハンドルベース板155の両端部から細い不透明なフレーム158を天板まで伸ばした構造としている。
【0051】
このフレーム構造によれば、メンテナンス空間を前面カバー156と側面カバー157とを細いフレーム158で構成した立体感ある構造としているので、広い開放的な前カバー143を実現している。しかも、前カバー143の構造体を両側の角部に設け、これを細いフレーム158で隠蔽する構造としているので、強度的にも有利なものとしている。
【0052】
なお、隆起部154に対応した支持筺体149には、隆起部154に連続する飾り板154aを設けて、機能的にも意匠的にも特徴的な隆起部154を更に強調した形態としている。
【0053】
図4において、この実施例に係る検体処理システムでは、操作者の標準的な人体モデル(例えば、日本人の女性)をベースに装置全体の骨格寸法を設定している。この実施例では、前記人体モデルの立ち姿勢での作業性を考慮して第1基準ラインP1の高さH1を設定している。 この高さH1は、作頻度が高い、試験管1を引き出しに上部から投入する際に、人体モデルの操作者が使いやすい適切な高さに設定している。また、第2基準ラインP2の高さH2は、試験管1の高さ(長さ)を考慮して高さH1の高さより200mm前後低い高さに設定している。 更に、第1上部筺体141を備えた全体の高さが高い装置(検体収納装置100や分注装置40)の天板146までの高さH3を、前記人体モデルの目線の高さより低い高さに設定している。更にまた、状態表示ランプ部145に設けた確認スイッチ159の操作性を考慮して、前カバー143の前端部から確認スイッチ159までの長さD1を設定している。
【0054】
この実施例では、第1基準ラインP1の高さH1を920 mm、天板146までの高さH3を1450mm、長さD1を240mmに設定している。この寸法体系を備えたシステムであれば、標準的な人体モデルを備えた操作者が立ち姿勢で楽な操作を行うことができる。例えば、天板146が操作者の目線より低い位置に設けられているので、ラインを見回っている操作者から確認が容易である。また、天板146に設けた確認スイッチ159も無理なく操作できる。更に、メンテナンスを行う場合は、立ち姿勢で楽に前カバー143を開放して、内部の処理部のメンテナンスを行うこともできるし、更に、立ち姿勢からかがみ姿勢に移ることで引出部126や前面パネル121の操作も楽に行うことができる。なお、標準的な人体モデルは国々によって異なるので、例えば、各装置の下部に設定した脚部の高さにより設定することができる。
【0055】
次に、図5と図6を参照して、前カバー143を開閉可能に支持する回転軸部144と、この一対の回転軸部144の間に設けられる状態表示ランプ部145の具体的な構造を更に説明する。
【0056】
先ず、天板146を支持する支持筺体149は、その前部に前部支持筺体149aを備えている。この前部支持筺体149aは、板状の鋼材を門型に折り曲げて形成され、その上面に平坦部146aを設けるように、その下部を本体筐体120で支持される。
【0057】
平坦部146aの両側には、前方(図面上の前)に向かって開放される切欠部160が形成され、この切欠部160の両側にダンパー機構147を支持する台座161が設けられる。ダンパー機構147には前カバー143に取り付けられる支持アーム162が軸支され、その上部を回転軸カバー163で覆う構造としている。この開閉動作を図6(a)図で説明する。
【0058】
図6(a)図において、実線Aは、前カバー143を閉じた状態を示し、実線Bは、前カバー143を開いた状態を示し、破線はその中間段階を示している。また、(b)図では、回転軸部144の上部を覆う回転軸カバー163を取り付けた状態を示している。
【0059】
実線Aにおいては、支持アーム162は、回転軸Qから斜め後方の下部に向かって伸びて、再び前方に伸び、その端部を立ち上げて、その端部を前カバー143の後端部の下面部に取り付けられている。つまり、支持アーム162は、切欠部160を介して、第1上部筺体141の内側に張り出して設けられている。この状態において、前カバー143を開放、即ち、回転軸Qを中心に回転させると、支持アーム162は、(b)図に示すように、回転軸カバー163の先端部に接触しないように回転する。つまり、支持アーム162は、開閉動作で、回転軸カバー163に接触しないように、迂回した形状を備えている。
【0060】
この構造によれば、支持アーム162は、回転軸Qを覆う回転軸カバー163に切欠部を形成することなく前カバー143を開放することができる。
【0061】
図5に戻り、一方、状態表示ランプ部145は、平坦部146aに取り付けられる下部カバー164と、下部カバー164の上部をドーム状に覆う上部カバー165と、状態表示ランプ部145の内部に取り付けられるスイッチを含む基板166と複数の光源167とを含んで構成される。
【0062】
上部カバー165は、回転軸カバー163と同じ断面形状を備えたドーム状の形態を備えて、回転軸カバー163と並べて取り付けられる。この上部カバー165は、透光性のある乳白色の樹脂材料で形成され、その内側には、点線で示す複数の仕切りが回転軸Q方向に等間隔に配列され、その仕切られた空間に異なる光源色の光源147がそれぞれ設けられる。なお、仕切りは、透光性のない材料で形成することで、それぞれの異なる光源147の色をはっきり表示させることができる。 また、上部カバー165の外側の前部には、前記光源147に合わせて確認スイッチ159が設けられている。
【0063】
この実施例の状態表示ランプ部145は、アラームランプ、稼動ランプ、一時停止ランプ、停止ランプの役割を果たす4個の光源167を備えている。光源167としてはLEDランプを採用している。この状態表示ランプ部145は、各装置に設けられる図示しない制御装置から動作信号を受けて、基板166の回路が対応する光源167を発光させる。これらの発光は確認スイッチ159で制御することができる。
【0064】
この状態表示ランプ部145によれば、点灯しない状態では、回転軸部144と並んで、天板146の上面に張り出した隆起部154を構成する。そして、所定の制御信号が指示されると、状態表示ランプ部145の一部が、または複数が異なる色で点灯する。しかも、これらの点灯する部分は、物理的な仕切りがなく、明確に独立して点灯させることができるので、意匠的にも、視認性の面からも有効である。
【0065】
次に、図7と図8を参照して、引出部126の近傍に配置されるハンドルの使い勝手を説明する。先ず、図7(a)図において、この検体収納装置100では、複数のハンドルを第1基準ラインP1と第2基準ラインP2の間に設けて、意匠性や使い勝手を向上させている。即ち、この検体収納装置100では、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2との間に設けた引出部126の軌道Z1を利用して、この引出部126の埋め込みハンドル127に加えて、前カバー143の引っ掛けハンドル152と、前面パネル121の手掛けハンドル125をコンパクトにまとめている。
【0066】
図8において、この実施例の引出部126は、引出機構部134を介して、装置前面に引き出すことができ、その引き出された上面には、試験管1を並べて装着できるトレー128が設けられている。この検体収納装置100では、引出部126が装置の中央に配置される。
【0067】
図7に戻り、そこで、この実施例では、引出部126の前面を構成する引出前パネル126aの前面に凹状の切欠部133を形成し、この切欠部133の上部に埋め込みハンドル127を形成する。一方、引出部126は、テーブル部SW部131の上部に並べて配置される。このテーブル部SW部131は、その前端部が斜めに傾斜して形成され、この傾斜面131aにスイッチ部132が設けられる。そして、引出部126の前端部は、斜めに傾斜した傾斜面131aの後方に位置するように設定している。
【0068】
先ず、この傾斜するテーブル部SW部131と、このテーブル部SW部131の後方に配置される引出部126の配置によれば、テーブル部SW部131に設けたスイッチ部132は傾斜面131aにより操作性が向上する。しかも、この操作の際、引出部126が後方に配置されているため、この引出部126がスイッチ部132の操作の際に邪魔になることがない。また、切欠部133に指を挿入する際にも、テーブル部SW部131の前端部が傾斜面131aのため、このテーブル部SW部131が邪魔になることがない。
【0069】
また、この実施例では、引出前パネル126aの前端部に合わせて、前カバー143のハンドルベース板155の前端部が設置される。ハンドルベース板155に設けられる引っ掛けハンドル152は、上部に空間が形成されるようにハンドルベース板155の前部の下端に設けられる。しかも、引っ掛けハンドル152は、横方向に長く、上下方向に薄い形状を備えている。このため、操作者は、この引っ掛けハンドル152を、ハンドルベース板155の上部の隙間と、引出部126の前部の空間を利用して摘んで保持して開放動作を行うことができる。これにより、ハンドルベース板155の上下方向の大きさを小さくすることができるから、前カバー143の中で引っ掛けハンドル152をコンパクトに設けて、目立たなくすることができる。
【0070】
また、引出部126の下方に配置される前面パネル121は、その上端部に手掛けハンドル125を設けている。断面がH型の形状を備えており、このH型の上端部は、後方が高く、前部が低く形成されている。したがって、利用者、断面H型の上部の凹み部に指を挿入して前面パネル121を開放することができる。この際、上部の凹み部に指を挿入する際には、奥まって配置される引出部126の前面の空間を利用することができるから、改めに、手掛けハンドル125の上部に指を挿入するための空間を形成する必要がないから全体をコンパクトにすることができる。
【0071】
さて、この実施例のシステムでは、引出部126を備えない装置も存在する。そこで、このような装置においては、図の(b)図と(c)図の構成を採用する。
【0072】
(b)図において、引出部126がない場合は、第1基準ラインP1の上方に前カバー143が位置し、第1基準ラインP1の下方に前面パネル121が配置される。この場合、前カバー143の最前部と前面パネル121の最前部とは一致するようにすることで、ハンドルベース板155の前面と、掛けハンドル125の断面H型の後部が一致する。この構造によれば、斜めに傾いて形成される引っ掛けハンドル152の前部の空間を利用して、掛けハンドル125に指を挿入する。一方、掛けハンドル125の前部の空間を利用して、引っ掛けハンドル152を保持することができる。
【0073】
なお、この実施例では、(b)図に示すように、引出部126を備えない装置は、第1基準ラインP1を中心に上下の装置を組み合わせることを原則とするが、(c)図のように第2基準ラインP2を中心に組み合わせるようにしてもよい。この場合、(b)図と同様な作用効果を得ることができる。
【0074】
このように、この実施例に係る検体処理システムは、検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成するものであって、この検体処理システムは、床面に設置される本体筺体と、この本体筺体の上部に配置される処理部を覆うように、前記本体筺体の上部全体を覆う上部筺体(第1上部筺体)を備えた処理装置(検体収納装置100)を含んでおり、前記上部筺体は、この上部筺体の両側を構成する側板と、この上部筺体の上部を構成する天板と、この上部筺体の前部を覆うように開閉可能に前記天板に取り付けられる前カバーとを含んで構成し、前記天板の前部には隆起部が形成され、該隆起部に、前記前カバーの回転軸部と、状態表示ランプを設けるようにする。
【0075】
この場合、前記隆起部は、その両側にダンパー機構を含む回転軸部が配置され、この一対の回転軸部の間に状態表示ランプが配置され、前記状態表示ランプは、回転軸部の回転軸方向に複数の光源色が異なる光源を配置することができる。また、前記本体筺体の側板は、前記本体筺体から連続して形成される厚みのある主側板と、この主側板の内側から立ち上がって天板を支持する支持筺体とから構成され、前記支持筺体は透明な窓部を備えることができる。更に、前記前カバーは、透明な前面カバーと、透明な側面カバーと、該前カバーの先端部に取り付けられるハンドルベース部と、前記前面カバーの両側に形成される細いフレームとを含んで構成し、前記ハンドルベース部は、前記前カバーの最前部より後方に奥まって形成され、かつ、その前面に前方に張り出して形成される前カバーハンドル(引っ掛けハンドル154)を備えることができる。加えて、前記本体筺体は、前面上部に引出部、この引出部の下方に開閉パネルを備え、前記引出部は、その前面に引出ハンドル(埋め込みハンドル127)を備え、前記開閉パネル(前面パネル121)は、その上端部に凹状の開閉パネルハンドル(手掛けハンドル125)を備え、前記開閉パネルハンドルと前記前カバーハンドルは、上下の位置関係で前記引出部の軌道に隣接して配置され、前記引出ハンドルは、前記開閉パネルハンドルと前記前カバーハンドルの後方に配置することができる。
【符号の説明】
【0076】
1…試験管、
10…カップ供給装置、20…検体投入装置、30…ホルダーストッカ装置、40…分注装置、100…検体収納装置、110…搬送機構、120…本体筐体、121…前面パネル、122…両側板、123…第1本体筺体、124…第2本体筺体、125…手掛けハンドル、126…引出部、126a…引出前パネル、127…埋め込みハンドル、128…トレー、129…検体移動装置、130…背面板、131…テーブル部、131a…傾斜面、132…スイッチ部、133…切欠部、134…引出機構部、140…上部筺体、141…第1上部筺体、142…第2上部筺体、143…前カバー、144…回転軸部、145…状態表示ランプ部、146…天板、146a…平坦部、147…ダンパー機構、148…側板、149…支持筺体、149a…前部支持筺体、150…窓部、151…隙間、152…引っ掛けハンドル、153…背面板、154…隆起部、155…ハンドルベース板、156…前面カバー、157…側面カバー、158…フレーム、159…確認スイッチ、160…切欠部、161…台座、162…回転軸カバー、163…回転軸カバー、164…下部カバー、165…上部カバー、166…基板、167…光源、P1…第1基準ライン、P2…第2基準ライン、Q…回転軸、Z1…軌道、
【技術分野】
【0001】
検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成する検体処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術による検体処理システムは、ラック搬送部が内蔵されている複数の種々の処理ユニット、例えば、遠心分離ユニット、開栓ユニット、分注ユニット、バーコードラベリングユニット、閉栓ユニット、分類ユニット、分析ユニット等と、これらの処理ユニットを結合する搬送ラインとを含み、処理ユニットと処理ユニット、搬送ラインと処理ユニット、あるいは、搬送ラインと搬送ラインを直列に接続して構成されるのが一般的である。
【0003】
これら従来技術による検体処理システムは、システムを構成する複数種の処理ユニットのそれぞれが処理ユニット毎に別個に設計されており、各筐体の幅、高さ、奥行き等の寸法が筐体毎に異なっている。このため、これらの処理ユニットを直列に並べて構成され従来技術による検体処理システムは、高さ寸法の不揃い、奥行き寸法の不揃いにより、検体処理システムを設置する検査室の景観を損ね、環境状態を悪化させているという問題点を有している。
【0004】
この課題を解決するために、従来技術では、検体処理システムを構成する複数種の処理ユニットのそれぞれの筐体の高さ、奥行き寸法を揃えて統一し、見晴らし、作業環境のよい検査室を構成することのできる検体処理システムが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、検体ラック投入部と検体ラック収納部の後方を直線的に連結し、検体処理ユニットは、前面パネルと両側板とにより箱型に形成される本体筐体と、該本体筐体の上部に設けられる処理部を覆うように筐体の天板から上方に張り出して設けられ、その前面に開放可能な透明窓を備えた開口部を形成した検体処理カバーとを備え、本体筐体は、搬送ラインユニットの前方に並んで設けられ、該本体筐体の前面が検体ラック投入部及び検体ラック収納部の前面と合う奥行き寸法を備え、かつ、該本体筐体の天板が前記検体ラック投入部及び検体ラック収納部の天板と合う高さ寸法を備えるようにしている。
【0006】
また、これら検体処理システムでは、各装置の異常を通知するために、検体処理システムを統括制御する制御装置の画面に異常を表示したり、あるいは、各装置の上部に支柱を立て、その上部に警告ランプを設けるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−304810号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来例によれば、本体筐体はその天板の高さや筺体の奥行き寸法が統一されているため、設置性にすぐれたシステム構成としている。しかし、本体筐体の上部に設けられる処理部を覆うように筐体は様々な大きさや構造を備えているため、従来例の課題を完全に解決したとは言えない。しかも、これら連続する本体筺体から様々に突出する処理装置の筺体に加えて、各装置に警告ランプを設けると、連続する本体筺体から様々な大きさや形状を備えた装置が突出して設けられるために、その景観は決して良好なものとはいえない。特に、装置の異常を警告する警告ランプが、これら多くの突出物に混じって設けられているために、異常を警告する警告ランプを備えた装置の識別も難しくなる。
【0009】
そこで、この発明の目的とするところは、検体処理システムを構成する各装置筐体の統一化を図りつつ、見やすい状態表示ランプを備えた検体処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、この発明に係る検体処理システムでは、検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成するものであって、該検体処理システムは、床面に設置される本体筺体と、この本体筺体の上部に配置される処理部を覆うように、前記本体筺体の上部全体を覆う上部筺体を備えた処理装置を含んでおり、前記上部筺体は、この上部筺体の両側を構成する側板と、この上部筺体の上部を構成する天板と、この上部筺体の前部を覆うように開閉可能に前記天板に取り付けられる前カバーとを含んで構成し、前記天板の前部には隆起部が形成され、該隆起部に、前記前カバーの回転軸部と、状態表示ランプを設けるようにする。
【発明の効果】
【0011】
かかる構成によれば、検体処理システムを構成する各装置筐体の統一化を図りつつ、見やすい状態表示ランプを備えた検体処理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る検体処理システムの概略構成図である。
【図2】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の内部構造図である。
【図3】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の外観図である。
【図4】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の寸法図である。
【図5】本発明に係る検体処理システムの警告ランプ近傍の部品展開図である。
【図6】開閉カバーの回転軸構造図である。
【図7】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置のハンドルの配置構成を示す説明図である。
【図8】本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の引き出し構造の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1から図8を参照して、本発明に係る検体処理システムを詳細に説明する。なお、全図において同様な部位は同一符号を持って示し、重複した説明を省略する。
【0014】
先ず、図1を参照して、この実施例に係る検体処理システムの概略構成を説明する。ここで、図1は、この実施例に係る検体処理システムの概略構成図である。
【0015】
図1において、この実施例に係る検体処理システムでは、多様な装置を組み合わせて検体処理ラインを構成することができ、図1には、各装置を組み合わせた一例を示している。例えば、この実施例では、カップ供給装置10と、検体投入装置20と、ホルダーストッカ装置30と、検体収納装置100と、分注装置40とを横一列に配列した事例で示している。この他、図示しない開栓装置や遠心分離装置や閉栓装置やバーコード貼付装置などと多様に組み合わせることができる。
【0016】
この検体処理システムでは処理すべき検体、例えば、血液などは図示しない試験管に入れられ、この試験管にバーコードなどの識別情報が貼り付けられて管理される。このそれぞれの試験管は、識別情報を備えた図示しない検体ラックに装着されて管理される。以後の説明では1本の試験管が装着された検体ラックを検体と呼ぶ。
【0017】
この実施例においては、検体処理システムを構成する各装置は、前面パネル121と両側板122とにより箱型に形成される本体筐体120と、この本体筐体120の上部に設けられる処理部を覆う上部筺体140とから構成される。
【0018】
そして、この実施例に係る検体処理システムの大きな特徴の1つは、以下の基準を設定して、システムの外観統一を図った点にある。
【0019】
即ち、検体の上端部の近傍に第1基準ラインP1を設定し、特殊の装置を除いて、この第1基準ラインP1の上部に処理部が設けられる装置については同一構造の第1上部筺体141を採用し、第1基準ラインP1内に処理部が収納される装置については、第2上部筺体142を採用する。この実施例では、カップ供給装置10と、検体投入装置20と、検体収納装置100と、分注装置40が第1上部筺体141を採用し、第2上部筺体142はホルダーストッカ装置30が採用している。
【0020】
なお、異なる横幅を備えている装置、例えば、カップ供給装置10と検体投入装置20は、外観形状の横幅寸法を変更することで、統一形状を維持することとしている。
【0021】
また、検体の下端部の近傍に第2基準ラインP2を設定し、検体投入装置20や検体収納装置100のように検体を装置前方に引き出す装置においては、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2との間で検体を引き出す構造としている。
【0022】
この基準の設定により、本体筺体120は前面パネル121の上端が第2基準ラインP2に設定される第2本体筺体124と、前面パネル121の上端が第1基準ラインP1に設定される第1本体筺体123とを採用することができる。第2本体筺体124は、例えば、検体投入装置20と、ホルダーストッカ装置30と、検体収納装置100が採用している。第1本体筺体123は、例えば、カップ供給装置10と分注装置40が採用している。
【0023】
また、この実施例では、前面パネル121の上端部に手掛けハンドル125を設け、この手掛けハンドル125を介して、前面パネル121を開閉する構造を基本にしている。しかし、この手掛けハンドル125を介して、前面パネル121を前方に引き出す構造を採用することもできる。
【0024】
なお、本体筺体120を構成する両側板122は、装置を左右に連続させた場合は、これを取り外して設置することもできる。また、各装置を左右に並べた際の左右の両側の側板は、装飾性の高い側板122aを取り付けることができる。
【0025】
そして、この実施例に係る検体処理システムの大きな特徴の他の1つは、第1上部筺体141の前部に上端部を回転軸Qとする開閉可能な前カバー143を設け、この前カバー143の回転軸部144と、状態表示ランプ部145とを第1上部筺体141の上部に張り出した隆起部154に設けた点にある。
【0026】
即ち、この実施例では、第1基準ラインP1の上部に配置される処理部のメンテナンスのために、これら処理部を覆う第1上部筺体141の前部に開閉可能な前カバー143を設けている。この前カバー143は、第1上部筺体141の天板146の前部に設けられる回転軸部144を介して開放することができる。この回転軸部144は、前カバー143の開閉を楽に行うためのダンパー機構147を備えている。このダンパー機構147は、天板146の上部に設けられている。このため、ダンパー機構147を備えた回転軸部144は天板146から上方に張り出して形成される。この実施例では、この上方に張り出した回転軸部144に合わせて、異常や状態表示を表示する状態表示ランプ部145を設けたている。この実施例では、前カバー143を両側の回転軸部144で支持しているので、天板146の上方に張り出した一対の回転軸部144の間に状態表示ランプ部145を並べて配置している。
【0027】
この構造によれば、回転軸部144の構造を天板146の上にダンパー機構147を取り付けて、これをカバーする構造としているので、組立性を向上することができる。更に、回転軸部144が天板146の上方に張り出すというデザイン的なデメリットを逆に利用して、この回転軸部144の外観に合わせて状態表示ランプ部145を上方に張り出して設けることができるので、状態表示ランプ部145を装置筺体の最も高い位置に設けることができ、しかも正面だけでなく後方からもこの状態表示ランプ部145を視認することができる。更に、この第1上部筺体141を採用する装置は、同じ位置に状態表示ランプ部145が設けられるので、デザイン性の観点からも、ランプの視認性の観点からも有効である。
【0028】
また、この実施例に係る検体処理システムの大きな特徴の他の1つは、第1上部筺体141を、前記処理装置の両側をカバーする側板148と、上部を覆う天板146と、この天板146を支持する支持筺体149と、天板146に設けた回転軸部144を介して開閉可能に取り付けられる前カバー143とを含んで構成し、この天板146と側板148との間に窓部150を設けた点にある。
【0029】
即ち、この実施例では、天板146に設けた回転軸部144により、大きな前カバー143の開閉を可能にしている。しかし、この大きな前カバー143を支持するためには、天板146の強度を向上しなければならない。この実施例では、天板146の強度を維持するために鋼板で形成している。一方、前カバー143は、内部を監視可能とするために透明な構造を採用している。しかし、不透明な天板146で覆われる第1上部筺体141内は、その前部が透明な前カバー143で覆われていると言っても、照度不足が課題である。そこで、この実施例では、側板148と天板146の間の空間を利用して、この空間に透明な窓部150を設けている。これにより、第1上部筺体141内の照度不足を改善している。
【0030】
また、この実施例では、側板148を厚みある構造とし、その内側に天板146を支持する支持筺体149を設けている。これにより、第1上部筺体141を備えた装置が左右に併設されても、側板148の厚みの2倍の隙間151が生まれるので、この隙間151を介して必要な照度を得ることができる。更にまた、この併設時の隙間151は、装置が並べられて設置された際に、隙間151を介して後方を除き見ることができるので、閉鎖感を軽減させることができる。
【0031】
また、この実施例に係る検体処理システムの大きな特徴の他の1つは、複数のハンドルを第1基準ラインP1と第2基準ラインP2の間に設けて、意匠性や使い勝手を向上させた点にある。
【0032】
即ち、この実施例に係る検体処理システムでは、前カバー143の引っ掛けハンドル152と、前面パネル121の手掛けハンドル125と、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2との間に設けられる引出部126の埋め込みハンドル127の配置を考慮する必要がある。
【0033】
そこで、分注装置40のように第1基準ラインP1のみで解決できる装置は、この第1基準ラインP1の上下に前カバー143の引っ掛けハンドル152と前面パネル121の手掛けハンドル125とを並べて設け、3つのハンドが必要なものについては、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2との間に設けられる引出部126を後方に奥まって設け、この引出部126が前方に引き出される軌道Z1を利用して、前カバー143の引っ掛けハンドル152と前面パネル121の手掛けハンドル125を軌道Z1の上下に設ける構造を採用した。
【0034】
つまり、後方に奥まって設けられる引出部126には、その前面に埋め込みハンドル127を設け、前面パネル121の手掛けハンドル125は、引出部126の起動Z1を利用して手を上方から挿入して上方から手を掛ける構造を採用し、前カバー143の引っ掛けハンドル152は、引出部126の起動Z1を利用して手を下方から挿入して引き上げる引っ掛けハンドル152を採用した。引出部126の軌道Zを避けて、上下からつまむことによって引き上げる引っ掛けハンドル152を採用した。これにより、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2の間に形成される凹部の間に3つのハンドルが集中して設けられるため、操作性や意匠性を向上することができる。
【0035】
以下、図2から図8を参照して、この検体処理システムの基本装置である検体収納装置100を更に具体的に説明する。ここで、図2は、本発明に係る検体処理システムを構成する検体収納装置の内部構造図である。図3は、検体収納装置の外観図である。図4は、検体収納装置の寸法図である。図5は、警告ランプ近傍の部品展開図である。図6は、開閉カバーの回転軸構造図である。図7は、検体収納装置の引き出し構造の外観図である。図8は、検体収納装置の引き出し構造の外観図である。
【0036】
先ず、図2を参照して、検体収納投入収納装置100の内部の装置構成を説明する。この検体収納装置100は、前面パネル121の上端が第2基準ラインP2に設定された第2本体筺体124と、この第2本体筺体124の上部に設けられる処理部を覆う第1上部筺体141(図1参照)とを組み合わせた筺体構造を備えている。この図2では、内部構造を説明するために第1上部筺体141を取り外した状態を示している。
【0037】
この第2本体筺体124は、両側を回転軸とする一対の前面パネル121の後方に、図示しない電装品を設けている。また、第2基準ラインP2と、第2本体筺体124の上端部となる第1基準ラインP1の間には、左右に並べて配置される引出部126が設けられている。この引出部126は、その上面に、試験管1を並べて収納するトレー128がそれぞれ設けられている。そして、このトレー128は、横方向と奥行き方に並んだ図示しない凹み部が設けてあり、この凹み部に試験管1を収納することができる。引出部126は、図示しない引出機構により手前に引き出すことにより、トレー128を露出することができるから、検査すべき試験管1を装着して、再び装置内に戻すことができる。
【0038】
なお、この検体収納投入収納装置100では、引出部126をこれから検査する試験管1を装着するものと、検査済の試験管1を収納するものに設定することができる。これに対し、検体投入装置20は、全ての引出部126をこれから検査する試験管1を装着するものに設定したものである。検体投入装置20と検体収納装置100は、関連する他の内蔵装置が部分的に相違するが、基本的な装置構成はほぼ同じである。
【0039】
さて、引出部126の後方には、検体を左右方向に搬送する搬送機構110が設けられている。この実施例に係る検体処理システムの全ての装置は、この搬送機構110を介して接続することができる。つまり、検体処理システムの全ての装置の本体筐体120の上部後方には、この搬送機構110が設けられている。この実施例に係る搬送機構110は、隣り合う左右の何れの装置または左右方向に検体を同時に搬送することができる。
【0040】
次に、検体収納装置100は、処理部として、検体(試験管1)を移動させる検体移動装置129を備えている。検体移動装置129は、左右に設けられる固定レール129aと、これを支持する支持例レール129bと、一対の固定レール129aに支持されて前後方向に移動可能に設けられる移動レール129cと、移動レール129cに支持されて左右方向に移動可能に支持される移動部129dと、この移動部129dに支持されてアーム129fを上下方向に移動させるアーム昇降部129eとを含んで構成される。
【0041】
この検体移動装置129によれば、アーム129fを前後方向と左右方向及び前後方向に移動させることができる。したがって、引出部126のトレー128から試験管1をアーム129fで掴んで、これを搬送機構110などに移動させることができる。
【0042】
このように、この検体処理システムでは、第1上部筺体141を備えた装置は、その内部に検体移動装置129のような処理部を備えており、これら処理部は、第1上部筺体141で外観を覆われることで統一した外観で保護され、前カバー143を開放することでメンテナンスを可能としている。
【0043】
また、この実施例では、検体移動装置129が最も大きな処理部を構成する。そこで、この実施例では、第1上部筺体141の側板148の高さを、固定レール129aの上端部の高さと一致させている。これにより、固定レール129aを側板148で隠蔽するとともに、その上部に空間を形成し、この空間に窓部150を設けている。
【0044】
次に、図3と図4を参照して、検体収納装置100の外観形状を説明する。ここで、図3において、(a)図は検体収納装置の正面図、(b)図が右側面図、(c)図が平面図、(d)図が背面図である。
【0045】
図3において、検体収納装置100の第1上部筺体141の側板148は、第2基準ラインP2まで覆う構造を備えている。他のカップ供給装置10や分注装置40が採用している第1上部筺体141の側板148は、第1基準ラインP1までを覆う構造としているので、この意味で、第1上部筺体141の外観は本体筐体120の構造と若干異なるが、その基本的な外観的な特徴は共通している。
【0046】
本体筐体120は、前面パネル121と両側板122及び背面板130で構成された箱型の筺体構造を備えており、両側板122の上部後方には搬送機構110が設けられている。また、前面パネル121の上端部には、指を上方より挿入する手掛けハンドル125が設けられている。手掛けハンドル125の上部には、後方に奥まって配置される引出部126が左右に並べられて配置されている。引出部126は、薄いテーブル部131に並べられて配置されており、このテーブル部131の前面には、引出部126の取り出しを可能にするスイッチ部132が引出部126に対応して設けられている。
【0047】
引出部126は前面の下部が凹状に切り欠かれており、この切欠部133の上部に凹状の埋め込みハンドル127を形成している。したがって、この切欠部133から手を挿入して、切欠部133の上部の埋め込みハンドル127に指を挿入して手前に引き出すことができる。
【0048】
前記したように、第1上部筺体141は、第2基準ラインP2から上方に延びる両側の側板148と、この側板148の内側から上方に立ちあがって形成される支持筺体149と、この支持筺体149により支持される天板146と、第1上部筺体141の前部を覆う透明な前カバー143と、第1上部筺体141の裏面側を覆う背面板153を含んで構成される。支持筺体149の両側には、透明な窓部150が設けられており、天板146が浮いた印象を抱かせる構造としている。天板146の上面前部には、上方に張り出した隆起部154が形成されている。この隆起部154の中央に状態表示ランプ部145が設けられ、その両側に回転軸部144が設けられている。また、状態表示ランプ部145には複数の確認スイッチ159が左右に並べられて配置されている。更に、背面板153の上部には複数の小孔からなる通気部155が設けられている。
【0049】
この実施例では、天板146の前端部を後方に後退させて、その前部に広いメンテナンス空間を確保し、このメンテナンス空間を大きく、かつ透明な前カバー143で覆う構造としている。この実施例の前カバー143は、前面を覆う透明な前面カバー156と、両側面を覆う透明な側面カバー157と、両端部に形成されるフレーム158と、前面下端部に形成される帯状のハンドルベース板155とを含んで構成する。
【0050】
そして、この前カバー143は、ハンドルベース板155を両側の側板148の前端部に合わせて形成し、この上部の前面カバー156は、前方に一端張り出し、上方に行くに従って凸円弧で、天板部146に連続させる形状としている。また、ハンドルベース板155に指で摘むことができる凸状の引っ掛けハンドル152を設けている。そして、このハンドルベース板155の両端部から細い不透明なフレーム158を天板まで伸ばした構造としている。
【0051】
このフレーム構造によれば、メンテナンス空間を前面カバー156と側面カバー157とを細いフレーム158で構成した立体感ある構造としているので、広い開放的な前カバー143を実現している。しかも、前カバー143の構造体を両側の角部に設け、これを細いフレーム158で隠蔽する構造としているので、強度的にも有利なものとしている。
【0052】
なお、隆起部154に対応した支持筺体149には、隆起部154に連続する飾り板154aを設けて、機能的にも意匠的にも特徴的な隆起部154を更に強調した形態としている。
【0053】
図4において、この実施例に係る検体処理システムでは、操作者の標準的な人体モデル(例えば、日本人の女性)をベースに装置全体の骨格寸法を設定している。この実施例では、前記人体モデルの立ち姿勢での作業性を考慮して第1基準ラインP1の高さH1を設定している。 この高さH1は、作頻度が高い、試験管1を引き出しに上部から投入する際に、人体モデルの操作者が使いやすい適切な高さに設定している。また、第2基準ラインP2の高さH2は、試験管1の高さ(長さ)を考慮して高さH1の高さより200mm前後低い高さに設定している。 更に、第1上部筺体141を備えた全体の高さが高い装置(検体収納装置100や分注装置40)の天板146までの高さH3を、前記人体モデルの目線の高さより低い高さに設定している。更にまた、状態表示ランプ部145に設けた確認スイッチ159の操作性を考慮して、前カバー143の前端部から確認スイッチ159までの長さD1を設定している。
【0054】
この実施例では、第1基準ラインP1の高さH1を920 mm、天板146までの高さH3を1450mm、長さD1を240mmに設定している。この寸法体系を備えたシステムであれば、標準的な人体モデルを備えた操作者が立ち姿勢で楽な操作を行うことができる。例えば、天板146が操作者の目線より低い位置に設けられているので、ラインを見回っている操作者から確認が容易である。また、天板146に設けた確認スイッチ159も無理なく操作できる。更に、メンテナンスを行う場合は、立ち姿勢で楽に前カバー143を開放して、内部の処理部のメンテナンスを行うこともできるし、更に、立ち姿勢からかがみ姿勢に移ることで引出部126や前面パネル121の操作も楽に行うことができる。なお、標準的な人体モデルは国々によって異なるので、例えば、各装置の下部に設定した脚部の高さにより設定することができる。
【0055】
次に、図5と図6を参照して、前カバー143を開閉可能に支持する回転軸部144と、この一対の回転軸部144の間に設けられる状態表示ランプ部145の具体的な構造を更に説明する。
【0056】
先ず、天板146を支持する支持筺体149は、その前部に前部支持筺体149aを備えている。この前部支持筺体149aは、板状の鋼材を門型に折り曲げて形成され、その上面に平坦部146aを設けるように、その下部を本体筐体120で支持される。
【0057】
平坦部146aの両側には、前方(図面上の前)に向かって開放される切欠部160が形成され、この切欠部160の両側にダンパー機構147を支持する台座161が設けられる。ダンパー機構147には前カバー143に取り付けられる支持アーム162が軸支され、その上部を回転軸カバー163で覆う構造としている。この開閉動作を図6(a)図で説明する。
【0058】
図6(a)図において、実線Aは、前カバー143を閉じた状態を示し、実線Bは、前カバー143を開いた状態を示し、破線はその中間段階を示している。また、(b)図では、回転軸部144の上部を覆う回転軸カバー163を取り付けた状態を示している。
【0059】
実線Aにおいては、支持アーム162は、回転軸Qから斜め後方の下部に向かって伸びて、再び前方に伸び、その端部を立ち上げて、その端部を前カバー143の後端部の下面部に取り付けられている。つまり、支持アーム162は、切欠部160を介して、第1上部筺体141の内側に張り出して設けられている。この状態において、前カバー143を開放、即ち、回転軸Qを中心に回転させると、支持アーム162は、(b)図に示すように、回転軸カバー163の先端部に接触しないように回転する。つまり、支持アーム162は、開閉動作で、回転軸カバー163に接触しないように、迂回した形状を備えている。
【0060】
この構造によれば、支持アーム162は、回転軸Qを覆う回転軸カバー163に切欠部を形成することなく前カバー143を開放することができる。
【0061】
図5に戻り、一方、状態表示ランプ部145は、平坦部146aに取り付けられる下部カバー164と、下部カバー164の上部をドーム状に覆う上部カバー165と、状態表示ランプ部145の内部に取り付けられるスイッチを含む基板166と複数の光源167とを含んで構成される。
【0062】
上部カバー165は、回転軸カバー163と同じ断面形状を備えたドーム状の形態を備えて、回転軸カバー163と並べて取り付けられる。この上部カバー165は、透光性のある乳白色の樹脂材料で形成され、その内側には、点線で示す複数の仕切りが回転軸Q方向に等間隔に配列され、その仕切られた空間に異なる光源色の光源147がそれぞれ設けられる。なお、仕切りは、透光性のない材料で形成することで、それぞれの異なる光源147の色をはっきり表示させることができる。 また、上部カバー165の外側の前部には、前記光源147に合わせて確認スイッチ159が設けられている。
【0063】
この実施例の状態表示ランプ部145は、アラームランプ、稼動ランプ、一時停止ランプ、停止ランプの役割を果たす4個の光源167を備えている。光源167としてはLEDランプを採用している。この状態表示ランプ部145は、各装置に設けられる図示しない制御装置から動作信号を受けて、基板166の回路が対応する光源167を発光させる。これらの発光は確認スイッチ159で制御することができる。
【0064】
この状態表示ランプ部145によれば、点灯しない状態では、回転軸部144と並んで、天板146の上面に張り出した隆起部154を構成する。そして、所定の制御信号が指示されると、状態表示ランプ部145の一部が、または複数が異なる色で点灯する。しかも、これらの点灯する部分は、物理的な仕切りがなく、明確に独立して点灯させることができるので、意匠的にも、視認性の面からも有効である。
【0065】
次に、図7と図8を参照して、引出部126の近傍に配置されるハンドルの使い勝手を説明する。先ず、図7(a)図において、この検体収納装置100では、複数のハンドルを第1基準ラインP1と第2基準ラインP2の間に設けて、意匠性や使い勝手を向上させている。即ち、この検体収納装置100では、第1基準ラインP1と第2基準ラインP2との間に設けた引出部126の軌道Z1を利用して、この引出部126の埋め込みハンドル127に加えて、前カバー143の引っ掛けハンドル152と、前面パネル121の手掛けハンドル125をコンパクトにまとめている。
【0066】
図8において、この実施例の引出部126は、引出機構部134を介して、装置前面に引き出すことができ、その引き出された上面には、試験管1を並べて装着できるトレー128が設けられている。この検体収納装置100では、引出部126が装置の中央に配置される。
【0067】
図7に戻り、そこで、この実施例では、引出部126の前面を構成する引出前パネル126aの前面に凹状の切欠部133を形成し、この切欠部133の上部に埋め込みハンドル127を形成する。一方、引出部126は、テーブル部SW部131の上部に並べて配置される。このテーブル部SW部131は、その前端部が斜めに傾斜して形成され、この傾斜面131aにスイッチ部132が設けられる。そして、引出部126の前端部は、斜めに傾斜した傾斜面131aの後方に位置するように設定している。
【0068】
先ず、この傾斜するテーブル部SW部131と、このテーブル部SW部131の後方に配置される引出部126の配置によれば、テーブル部SW部131に設けたスイッチ部132は傾斜面131aにより操作性が向上する。しかも、この操作の際、引出部126が後方に配置されているため、この引出部126がスイッチ部132の操作の際に邪魔になることがない。また、切欠部133に指を挿入する際にも、テーブル部SW部131の前端部が傾斜面131aのため、このテーブル部SW部131が邪魔になることがない。
【0069】
また、この実施例では、引出前パネル126aの前端部に合わせて、前カバー143のハンドルベース板155の前端部が設置される。ハンドルベース板155に設けられる引っ掛けハンドル152は、上部に空間が形成されるようにハンドルベース板155の前部の下端に設けられる。しかも、引っ掛けハンドル152は、横方向に長く、上下方向に薄い形状を備えている。このため、操作者は、この引っ掛けハンドル152を、ハンドルベース板155の上部の隙間と、引出部126の前部の空間を利用して摘んで保持して開放動作を行うことができる。これにより、ハンドルベース板155の上下方向の大きさを小さくすることができるから、前カバー143の中で引っ掛けハンドル152をコンパクトに設けて、目立たなくすることができる。
【0070】
また、引出部126の下方に配置される前面パネル121は、その上端部に手掛けハンドル125を設けている。断面がH型の形状を備えており、このH型の上端部は、後方が高く、前部が低く形成されている。したがって、利用者、断面H型の上部の凹み部に指を挿入して前面パネル121を開放することができる。この際、上部の凹み部に指を挿入する際には、奥まって配置される引出部126の前面の空間を利用することができるから、改めに、手掛けハンドル125の上部に指を挿入するための空間を形成する必要がないから全体をコンパクトにすることができる。
【0071】
さて、この実施例のシステムでは、引出部126を備えない装置も存在する。そこで、このような装置においては、図の(b)図と(c)図の構成を採用する。
【0072】
(b)図において、引出部126がない場合は、第1基準ラインP1の上方に前カバー143が位置し、第1基準ラインP1の下方に前面パネル121が配置される。この場合、前カバー143の最前部と前面パネル121の最前部とは一致するようにすることで、ハンドルベース板155の前面と、掛けハンドル125の断面H型の後部が一致する。この構造によれば、斜めに傾いて形成される引っ掛けハンドル152の前部の空間を利用して、掛けハンドル125に指を挿入する。一方、掛けハンドル125の前部の空間を利用して、引っ掛けハンドル152を保持することができる。
【0073】
なお、この実施例では、(b)図に示すように、引出部126を備えない装置は、第1基準ラインP1を中心に上下の装置を組み合わせることを原則とするが、(c)図のように第2基準ラインP2を中心に組み合わせるようにしてもよい。この場合、(b)図と同様な作用効果を得ることができる。
【0074】
このように、この実施例に係る検体処理システムは、検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成するものであって、この検体処理システムは、床面に設置される本体筺体と、この本体筺体の上部に配置される処理部を覆うように、前記本体筺体の上部全体を覆う上部筺体(第1上部筺体)を備えた処理装置(検体収納装置100)を含んでおり、前記上部筺体は、この上部筺体の両側を構成する側板と、この上部筺体の上部を構成する天板と、この上部筺体の前部を覆うように開閉可能に前記天板に取り付けられる前カバーとを含んで構成し、前記天板の前部には隆起部が形成され、該隆起部に、前記前カバーの回転軸部と、状態表示ランプを設けるようにする。
【0075】
この場合、前記隆起部は、その両側にダンパー機構を含む回転軸部が配置され、この一対の回転軸部の間に状態表示ランプが配置され、前記状態表示ランプは、回転軸部の回転軸方向に複数の光源色が異なる光源を配置することができる。また、前記本体筺体の側板は、前記本体筺体から連続して形成される厚みのある主側板と、この主側板の内側から立ち上がって天板を支持する支持筺体とから構成され、前記支持筺体は透明な窓部を備えることができる。更に、前記前カバーは、透明な前面カバーと、透明な側面カバーと、該前カバーの先端部に取り付けられるハンドルベース部と、前記前面カバーの両側に形成される細いフレームとを含んで構成し、前記ハンドルベース部は、前記前カバーの最前部より後方に奥まって形成され、かつ、その前面に前方に張り出して形成される前カバーハンドル(引っ掛けハンドル154)を備えることができる。加えて、前記本体筺体は、前面上部に引出部、この引出部の下方に開閉パネルを備え、前記引出部は、その前面に引出ハンドル(埋め込みハンドル127)を備え、前記開閉パネル(前面パネル121)は、その上端部に凹状の開閉パネルハンドル(手掛けハンドル125)を備え、前記開閉パネルハンドルと前記前カバーハンドルは、上下の位置関係で前記引出部の軌道に隣接して配置され、前記引出ハンドルは、前記開閉パネルハンドルと前記前カバーハンドルの後方に配置することができる。
【符号の説明】
【0076】
1…試験管、
10…カップ供給装置、20…検体投入装置、30…ホルダーストッカ装置、40…分注装置、100…検体収納装置、110…搬送機構、120…本体筐体、121…前面パネル、122…両側板、123…第1本体筺体、124…第2本体筺体、125…手掛けハンドル、126…引出部、126a…引出前パネル、127…埋め込みハンドル、128…トレー、129…検体移動装置、130…背面板、131…テーブル部、131a…傾斜面、132…スイッチ部、133…切欠部、134…引出機構部、140…上部筺体、141…第1上部筺体、142…第2上部筺体、143…前カバー、144…回転軸部、145…状態表示ランプ部、146…天板、146a…平坦部、147…ダンパー機構、148…側板、149…支持筺体、149a…前部支持筺体、150…窓部、151…隙間、152…引っ掛けハンドル、153…背面板、154…隆起部、155…ハンドルベース板、156…前面カバー、157…側面カバー、158…フレーム、159…確認スイッチ、160…切欠部、161…台座、162…回転軸カバー、163…回転軸カバー、164…下部カバー、165…上部カバー、166…基板、167…光源、P1…第1基準ライン、P2…第2基準ライン、Q…回転軸、Z1…軌道、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成する検体処理システムにおいて、
該検体処理システムは、床面に設置される本体筺体と、この本体筺体の上部に配置される処理部を覆うように、前記本体筺体の上部全体を覆う上部筺体を備えた処理装置を含んでおり、
前記上部筺体は、この上部筺体の両側を構成する側板と、この上部筺体の上部を構成する天板と、この上部筺体の前部を覆うように開閉可能に前記天板に取り付けられる前カバーとを含んで構成し、
前記天板の前部には隆起部が形成され、
該隆起部に、前記前カバーの回転軸部と、状態表示ランプを設けた
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
前記請求項1記載の検体処理システムにおいて、
前記隆起部は、その両側にダンパー機構を含む回転軸部が配置され、この一対の回転軸部の間に状態表示ランプが配置され、
前記状態表示ランプは、回転軸部の回転軸方向に複数の光源色が異なる光源が配列されている
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項3】
前記請求項1または2記載の検体処理システムにおいて、
前記本体筺体の側板は、前記本体筺体から連続して形成される厚みのある主側板と、この主側板の内側から立ち上がって天板を支持する支持筺体とから構成され、
前記支持筺体は透明な窓部を備えている
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項4】
前記請求項1から3記載の何れかの検体処理システムにおいて、
前記前カバーは、透明な前面カバーと、透明な側面カバーと、該前カバーの先端部に取り付けられるハンドルベース部と、前記前面カバーの両側に形成される細いフレームとを含んで構成し、
前記ハンドルベース部は、前記前カバーの最前部より後方に奥まって形成され、かつ、その前面に前方に張り出して形成される前カバーハンドルを備えている
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項5】
前記請求項4記載の検体処理システムにおいて、
前記本体筺体は、前面上部に引出部、この引出部の下方に開閉パネルを備え、
前記引出部は、その前面に引出ハンドルを備え、
前記開閉パネルは、その上端部に凹状の開閉パネルハンドルを備え、
前記開閉パネルハンドルと前記前カバーハンドルは、上下の位置関係で前記引出部の軌道に隣接して配置され、
前記引出ハンドルは、前記開閉パネルハンドルと前記前カバーハンドルの後方に配置されている
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項1】
検体搬送ラインに沿って様々な装置を配列して検体処理ラインを構成する検体処理システムにおいて、
該検体処理システムは、床面に設置される本体筺体と、この本体筺体の上部に配置される処理部を覆うように、前記本体筺体の上部全体を覆う上部筺体を備えた処理装置を含んでおり、
前記上部筺体は、この上部筺体の両側を構成する側板と、この上部筺体の上部を構成する天板と、この上部筺体の前部を覆うように開閉可能に前記天板に取り付けられる前カバーとを含んで構成し、
前記天板の前部には隆起部が形成され、
該隆起部に、前記前カバーの回転軸部と、状態表示ランプを設けた
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
前記請求項1記載の検体処理システムにおいて、
前記隆起部は、その両側にダンパー機構を含む回転軸部が配置され、この一対の回転軸部の間に状態表示ランプが配置され、
前記状態表示ランプは、回転軸部の回転軸方向に複数の光源色が異なる光源が配列されている
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項3】
前記請求項1または2記載の検体処理システムにおいて、
前記本体筺体の側板は、前記本体筺体から連続して形成される厚みのある主側板と、この主側板の内側から立ち上がって天板を支持する支持筺体とから構成され、
前記支持筺体は透明な窓部を備えている
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項4】
前記請求項1から3記載の何れかの検体処理システムにおいて、
前記前カバーは、透明な前面カバーと、透明な側面カバーと、該前カバーの先端部に取り付けられるハンドルベース部と、前記前面カバーの両側に形成される細いフレームとを含んで構成し、
前記ハンドルベース部は、前記前カバーの最前部より後方に奥まって形成され、かつ、その前面に前方に張り出して形成される前カバーハンドルを備えている
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項5】
前記請求項4記載の検体処理システムにおいて、
前記本体筺体は、前面上部に引出部、この引出部の下方に開閉パネルを備え、
前記引出部は、その前面に引出ハンドルを備え、
前記開閉パネルは、その上端部に凹状の開閉パネルハンドルを備え、
前記開閉パネルハンドルと前記前カバーハンドルは、上下の位置関係で前記引出部の軌道に隣接して配置され、
前記引出ハンドルは、前記開閉パネルハンドルと前記前カバーハンドルの後方に配置されている
ことを特徴とする検体処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図4】
【公開番号】特開2012−73203(P2012−73203A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220222(P2010−220222)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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