説明

検体処理システム

【課題】複数の検体容器のそれぞれに対して個別に搬送処理を行うことができる検体処理システムを提供する
【解決手段】中心軸を上下方向に向けて配置された円板形状の基部と、その上方に基部よりも小さい外径で同軸上に形成され、検体容器を立位状態で保持する検体容器保持部とを有する検体容器ホルダ1と、検体容器ホルダ1を載置して搬送するコンベヤ19と、コンベヤ19上の検体容器ホルダ1の基部が通過する位置よりも上方であって、少なくとも検体容器保持部が通過する位置に設けられ、中心軸を上下方向に向けた円柱形領域の外周部に沿うように設けられた保持板とを備え、保持板の周方向への移動によって、コンベヤ19により搬送される検体容器ホルダ1の搬送の状態を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの検体の処理を行う検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿などの生体試料(以下、検体と称する)の定性・定量分析を行う臨床検査の現場においては、検査の省力化や高速化のために、自動分析装置に投入する検体の前処理や搬送を自動で実施する検体処理システムが用いられている。このような検体処理システムでは、検体容器などに収容されて投入された検体に対して種々の処理を実施しており、これらの処理に関する技術として、例えば、特許文献1(特開2011−33395号公報)には、試験管ラックに一列で立位状態に保持された複数本の試験管のうち、1本置きの複数本の試験管の栓体を同時に咬持した状態で、上方へ移動して開栓した後、残りの複数本の試験管の栓体を同時に咬持した状態で、上方へ移動して開栓する自動開栓装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−33395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の検体処理システムでは、上記従来技術のように複数の検体容器を保持したラックを搬送して検体の前処理等を行っている。しかしながら、近年は、複数の検体容器のそれぞれを個別に搬送して異なる分析処理を並列で行うことにより、分析技術の変化発展に対応し、更なる処理効率の向上を図ることが求められている。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、複数の検体容器のそれぞれに対して個別に搬送処理を行うことができる検体処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、中心軸を上下方向に向けて配置された円板形状の基部と、その上方に前記基部よりも小さい外径で同軸上に形成され、検体容器を立位状態で保持する検体容器保持部とを有する検体容器ホルダと、前記検体容器ホルダを載置して搬送する搬送路と、前記搬送路上の前記検体容器ホルダの基部が通過する位置よりも上方であって、少なくとも前記検体容器保持部が通過する位置に設けられ、中心軸を上下方向に向けた円柱形領域の外周部に沿うように設けられた保持板を備え、前記保持板の周方向への移動によって、前記搬送路により搬送される前記検体容器ホルダの搬送状態を制御するホルダ保持機構とを備えたものとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の検体容器のそれぞれに対して個別に搬送処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる搬送装置の代表的な構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ保持機構を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ保持機構のホルダ保持部を抜き出して示す側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ保持部と検体容器ホルダの位置及び大きさの関係を示す側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ保持部と検体容器ホルダの位置及び大きさの関係を示す上面図である。
【図6】検体容器ホルダの搬送の様子を示す図であり、ホルダ保持部に検体容器を取り込む搬入状態を示す斜視図である。
【図7】検体容器ホルダの搬送の様子を示す図であり、ホルダ保持部に検体容器を取り込む搬入状態を示す上面図である。
【図8】検体容器ホルダの搬送の様子を示す図であり、ホルダ保持部に検体容器を取り込んだ状態でホルダ保持部を回転する途中状態を示す斜視図である。
【図9】検体容器ホルダの搬送の様子を示す図であり、ホルダ保持部に検体容器を取り込んだ状態でホルダ保持部を回転する途中状態を示す上面図である。
【図10】検体容器ホルダの搬送の様子を示す図であり、ホルダ保持部から検体容器を搬出する搬出状態を示す斜視図である。
【図11】検体容器ホルダの搬送の様子を示す図であり、ホルダ保持部から検体容器を搬出する搬出状態を示す上面図である。
【図12】検体容器を保持した状態の検体容器ホルダを搬送する場合の搬送装置の代表的な構成を模式的に示す斜視図である。
【図13】ホルダ保持機構を抜き出して示す側面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る搬送装置の検体容器ホルダのみを搬送する場合の代表的な構成を模式的に示す斜視図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る搬送装置の検体容器ホルダのみを搬送する場合の代表的な構成を模式的に示す斜視図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る搬送装置の検体容器ホルダのみを搬送する場合の代表的な構成を模式的に示す斜視図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係る搬送装置の検体容器ホルダのみを搬送する場合の代表的な構成を模式的に示す上面図である。
【図18】本発明の一実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図18は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を概略的に示す図である。
【0011】
図18において、検体処理システムは、自動分析装置39で分析処理を行う血液や尿などの生体試料(以下、検体と称する)に対する前処理を行うものであり、検体が収容された検体容器の検体処理システムへの投入部である投入モジュール34と、投入された検体容器に遠心分離を施す遠心分離モジュール35と、遠心分離が施された検体容器の開栓を行う開栓モジュール36と、開栓された検体容器から他の検体容器(例えば、子検体容器)に検体を分注する分注モジュール38と、検体が分注された他の検体容器にラベリング(例えば、検体情報を示すバーコード(ラベル)の貼り付け)を行うラベラ37と、検体容器の閉栓を行う閉栓モジュール31と、閉栓された検体容器を収納する収納モジュール33と、検体が分注された他の検体容器をラベルに基づいて分類する分類モジュール32と、検体処理システムの各構成装置31〜38間の検体容器(後述の検体容器ホルダ1、検体容器17)の搬送、及び、自動分析装置への検体容器の搬送を行う搬送装置40と、検体処理システム全体の動作を制御する全体制御装置30とを備えている。
【0012】
本実施の形態に係る搬送装置40は、後述する検体容器ホルダ1、及びその検体容器ホルダ1に保持された状態の検体容器17を前処理システム上および自動分分析装置39において適宜搬送するものである。以下、この搬送装置40について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
まず、搬送装置40において検体容器ホルダ1のみを搬送する場合について説明する。図1は、検体容器ホルダ1のみを搬送する場合の搬送装置40の代表的な構成を模式的に示す斜視図である。図2は、図1におけるホルダ保持機構10を抜き出して示す側面図であり、図3は図2におけるホルダ保持部4を抜き出して示す側面図である。また、図4及び図5は、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4とコンベヤ19上の検体容器ホルダ1の位置及び大きさの関係を示す模式図であり、図4は側面図、図5は図4におけるA−A線断面を含む上面図である。
【0014】
図1において、搬送装置40は、検体容器17(後の図12等参照)を保持するための検体容器ホルダ1の搬送路となるコンベヤ19と、コンベヤ19上の検体容器ホルダ1の流れを制御するホルダ保持機構10とから概略構成されている。なお、以下において、図1における上側および下側をそれぞれ搬送装置の下流側及び上流側と記載する。
【0015】
コンベヤ19は、図示しないフレームの上流側及び下流側の両端に回転自在に設けられたプーリ14(上流側のみ図示)と、この両端のプーリ14に掛け回されたベルト13と、下流側のプーリに連結した駆動モータ16と、ベルト13の両側に配置されベルト13上を搬送される検体容器ホルダ1の側方へのズレを抑制するホルダガイド15とを備えている。そして、駆動モータ16で下流側のプーリを駆動させることにより、上流側および下流側のプーリ14の間でベルト13が循環駆動され、ベルト13上に載置された検体容器ホルダ1がホルダガイド15に沿って下流側に搬送される。なお、ベルト13の上面が下流側に移動する場合を順方向駆動、ベルト13の上面が上流側に移動する場合を逆方向駆動とする。
【0016】
図4等に示すように、本実施の形態に係る検体容器ホルダ1は、中心軸を上下方向に向けて配置された円板形状の基部2と、その上方に基部2よりも小さい外径で同軸上に形成され、検体容器17を立位状態で保持する検体容器保持部3とから構成されている。
【0017】
基部2は、コンベヤ19の搬送面から搬送路上に配置されたホルダ保持部4(後述)の下端までの高さよりも低くなるよう形成されている。また、検体容器保持部3に保持する検体容器17を含む検体容器ホルダ1全体のコンベヤ19上での安定性を確保できる程度に重心が低くなるような重量を有して形成されている。基部2には、検体容器ホルダ1を識別する(即ち、検体容器キャリア3に保持された検体容器1を識別する)ための識別標識(例えば、RFID)が設けられており、搬送路上の検出器(図示せず)により識別可能となっている。
【0018】
検体容器保持部3は、上部に検体容器17を挿入するための開口部を有しており、内周には検体容器17を側方から保持するための複数の把持突起3aが配置されている。検体容器保持部3に情報から検体容器17を挿入することにより、把持突起3aに保持され、検体容器ホルダ1に検体容器17が立位状態で保持される。
【0019】
このように構成した複数の検体容器ホルダ1が搬送路であるコンベヤ19上に隙間無く並べて配置されると、各検体容器ホルダ1の基部2が側面で接触し、各検体容器ホルダ1の検体容器保持部3の間には隙間Bが形成される。
【0020】
図1〜図3において、ホルダ保持機構10は、ベース11と、搬送路であるコンベヤ19上に配置されたホルダ保持部4と、ホルダ保持部4を水平方向に回転駆動する駆動モータ9とを備えている。
【0021】
ホルダ保持部4は、中心軸を上下方向に向けベース11に回転自在に設けられた軸7と、軸7の下端に設けられた保持板ベース5と、軸7の中心軸を中心とする円柱形領域Cの外周部に沿うように保持板ベース5に設けられた保持板6とを備えており、駆動モータ9によって軸7を回転駆動させることにより、保持板6が円柱形領域Cの外周部に沿って周方向に移動する。駆動モータ9は、全体制御装置30からの制御信号に基づいて回転角度を制御することができる、例えば、ステッピング(パルス)モータである。保持板6は、円柱形領域Cの外周部に沿って周方向に延在するよう設けられており、円柱形領域Cの外周部の少なくとも対向する位置に存在するように配置されている。以下、保持板6の周方向端部間を開放部6aと称する。
【0022】
保持板ベース5の上方には、径方向外側に向かって方向検出用突起8a,8bを有するプレート8が、保持部ベース5に対して固定されている。また、ホルダ保持部4の周方向への回転に伴って方向検出用突起8a,8bが通過する位置には、センサ12が設けられベース11に固定されている。プレート8の方向検出用突起8a,8bは、軸7に対して対称の位置に配置されており、開放部6aが、コンベヤ19の上流側を向いたときに方向検出用突起8bがセンサ12を通過して検出され、下流側を向いたときに方向検出用突起8aがセンサ12を通過して検出されるように配置されている。センサ12による検出信号は全体制御装置30に送られる。
【0023】
ホルダ保持部4の保持板ベース5は、コンベヤ19の搬送面から搬送路上に載置された検体容器ホルダ1の上端までの高さよりも高くなるよう配置されている。また、ホルダ保持部4の開放部6aは、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3の直径よりも広く形成されている。
【0024】
図4及び図5に示すように、保持板6の内径、言い換えると、ホルダ保持部4の軸7での回転により保持板6が通過する円筒領域の内径は、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3の外径よりも大きく形成されている。また、保持板6の外径、言い換えると、ホルダ保持部4の軸7での回転により保持板6が通過する円筒領域の外径は、隣接して配置された複数の検体容器ホルダ1の1つの検体容器保持部3を内包する状態(図4、図5等の状態)において、隣り合う検体容器ホルダ1の検体容器保持部3の外周に接触しない大きさに形成されている。したがって、この状態(図4、図5等の状態)でホルダ保持部4を軸7で回転させると、保持板6の周方向の一端は隣接する検体容器ホルダ1の間に形成された隙間Bを通過するような形状となっている。
【0025】
ここで、本実施の形態の検体処理システム及び搬送装置の基本動作について説明する。
【0026】
図6〜図11は、本実施の形態の搬送装置における検体容器ホルダ1の搬送の様子を示す図である。図6及び図7は、ホルダ保持部に検体容器を取り込む搬入状態を示す図であり、図6は斜視図、図7は上面図である。また、図8及び図9は、ホルダ保持部に検体容器を取り込んだ状態でホルダ保持部を回転する途中状態を示す図であり、図8は斜視図、図9は上面図である。また、図10及び図11は、ホルダ保持部から検体容器を搬出する搬出状態を示す図であり、図10は斜視図、図11は上面図である。
【0027】
本実施の形態に係る検体処理システムは、全体制御装置30に自動分析装置39で分析処理を行う検体に対する前処理の指示が入力されると、搬送装置40により、投入モジュール34に投入された検体容器を、遠心分離モジュール35、開栓モジュール36、分注モジュール38、ラベラ37、閉栓モジュール31、収納モジュール33、分類モジュール32、及び、自動分析装置の間で搬送処理を行う。
【0028】
搬送装置40は、まず、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4の開放部6aが、コンベヤ19の上流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8bがセンサ12に検出された状態)とする。この状態で、コンベヤ19のベルト13を順方向に循環駆動させて、ホルダ保持機構10の上流側に検体容器ホルダ1を載置すると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。そして、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6の内周下流側に接触することにより、検体容器ホルダ1は基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。ホルダ保持機構10の上流側に、更に、複数の検体容器ホルダ1を載置すると、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する(図6及び図7参照)。
【0029】
続いて、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を回転させる。前述のように、保持板6は、円柱形領域Cの外周部の少なくとも対向する位置に存在するように配置されているので、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6の内周に接触した状態を維持しつつ、保持板6の周方向の一端が、ホルダ保持部4内部の検体容器ホルダ1とその上流側に隣接する検体容器ホルダ1の間に形成された隙間Bを通過する(図8及び図9参照)。
【0030】
そして、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4の開放部6aが、コンベヤ19の下流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8aがセンサ12に検出された状態)となると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4外に搬出される(搬出状態)。このとき、ホルダ保持部4の上流側の検体容器ホルダ1は、検体容器保持部3がホルダ保持部4外周の上流側に接触することにより、基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。また、ホルダ保持機構10の上流側に載置された複数の検体容器ホルダ1は、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する(図10及び図11参照)。
【0031】
続いて、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を回転させ、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4の開放部6aが、コンベヤ19の上流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8bがセンサ12に検出された状態)にすると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。
【0032】
以上のように、本実施の形態の搬送装置40は、コンベヤ19のベルト13上に載置された複数の検体容器ホルダ1を必要に応じて下流側に1つずつ搬出することにより、検体容器ホルダ1の流れを制御する。
【0033】
次に、搬送装置40において検体容器17を保持した状態での検体容器ホルダ1を搬送する場合について説明する。図12は、検体容器17を保持した状態の検体容器ホルダ1を搬送する場合の搬送装置40の代表的な構成を模式的に示す斜視図であり、図13は図12におけるホルダ保持機構10Aを抜き出して示す側面図である。
【0034】
図12において、搬送装置40は、検体容器17を保持した検体容器ホルダ1(以下、両方を合わせて単に検体容器ホルダ1と称する)の搬送路となるコンベヤ19と、コンベヤ19上の検体容器ホルダ1の流れを制御するホルダ保持機構10Aとから概略構成されている。
【0035】
コンベヤ19は、図示しないフレームの上流側及び下流側の両端に回転自在に設けられたプーリ14(上流側のみ図示)と、この両端のプーリ14に掛け回されたベルト13と、下流側のプーリに連結した駆動モータ16と、ベルト13の両側に配置されベルト13上を搬送される検体容器ホルダ1の側方へのズレを抑制するホルダガイド15とを備えている。そして、駆動モータ16で下流側のプーリを駆動させることにより、上流側および下流側のプーリ14の間でベルト13が循環駆動され、ベルト13上に載置された検体容器ホルダ1及び検体容器17がホルダガイド15に沿って下流側に搬送される。なお、ベルト13の上面が下流側に移動する場合を順方向駆動、ベルト13の上面が上流側に移動する場合を逆方向駆動とする。
【0036】
図13において、ホルダ保持機構10Aは、ベース11Aと、搬送路であるコンベヤ19上に配置されたホルダ保持部4Aと、ホルダ保持部4Aを水平方向に回転駆動する駆動モータ9とを備えている。
【0037】
ホルダ保持部4Aは、中心軸を上下方向に向けベース11に回転自在に設けられた軸7と、軸7の下端に設けられた保持板ベース5と、軸7の中心軸を中心とする円柱形領域Cの外周部に沿うように保持板ベース5に設けられた保持板6Aとを備えており、駆動モータ9によって軸7を回転駆動させることにより、保持板6Aが円柱形領域Cの外周部に沿って周方向に移動する。保持板6Aは、円柱形領域Cの外周部に沿って周方向に延在するよう設けられており、円柱形領域Cの外周部の少なくとも対向する位置に存在するように配置されている。
【0038】
ホルダ保持部4Aの保持板ベース5は、コンベヤ19の搬送面から搬送路上に載置された検体容器ホルダ1及び検体容器17の上端までの高さよりも高くなるよう配置されている。
【0039】
その他の構成及び基本動作は、検体容器ホルダ1のみを搬送するホルダ保持機構10の場合と同様であり、搬送装置40は、検体容器17を保持した状態でコンベヤ19のベルト13上に載置された複数の検体容器ホルダ1を必要に応じて下流側に1つずつ搬出することにより、検体容器17及び検体容器ホルダ1の流れを制御する。
【0040】
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
【0041】
血液や尿などの生体試料の定性・定量分析を行う臨床検査の現場においては、検査の省力化や高速化のために、自動分析装置に投入する検体の前処理や搬送を自動で実施する検体処理システムが用いられている。このような検体処理システムでは、検体容器などに収容されて投入された検体に対して種々の処理を実施しており、これらの処理に関する従来技術としては、例えば、試験管ラックに一列で立位状態に保持された複数本の試験管のうち、1本置きの複数本の試験管の栓体を同時に咬持した状態で、上方へ移動して開栓した後、残りの複数本の試験管の栓体を同時に咬持した状態で、上方へ移動して開栓する自動開栓装置に関する技術があった。従来の検体処理システムでは、上記従来技術のように複数の検体容器を保持したラックを搬送して検体の前処理等を行っている。しかしながら、近年は、複数の検体容器のそれぞれを個別に搬送して異なる分析処理を並列で行うことにより、分析技術の変化発展に対応し、更なる処理効率の向上を図ることが求められている。
【0042】
これに対し、本実施の形態においては、検体容器ホルダを載置して搬送する搬送路上の検体容器保持部が通過する位置に、中心軸を上下方向に向けた円柱形領域の外周部に沿うように設けられた保持板を備えたホルダ保持機構を備え、保持板の周方向への移動によって、搬送路により搬送される前記検体容器ホルダの下流側への搬送の可否を切り換えるように構成したので、複数の検体容器のそれぞれに対して個別に搬送処理を行うことができ、分析技術の変化発展に対応して処理効率の向上を図ることができる。
【0043】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0044】
本実施の形態は、コンベヤ19及びサブコンベヤ119のベルト13,113上に載置されて2方向から搬送されてくる複数の検体容器ホルダ1及び検体容器17を必要に応じて、選択的に、下流側に1つずつ搬出することにより、検体容器ホルダ1の流れを制御するように構成したものである。
【0045】
図14は、本実施の形態に係る搬送装置の検体容器ホルダのみを搬送する場合の代表的な構成を模式的に示す斜視図である。図中、第1の実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0046】
図14において、本実施の形態の搬送装置40は、検体容器17及びそれを保持するための検体容器ホルダ1の搬送路となるコンベヤ19と、コンベヤ19の側方から検体容器ホルダ1をコンベヤ19上に搬送するサブコンベヤ119と、コンベヤ19とサブコンベヤ119との合流部に設けられ検体容器ホルダ1の流れを制御するホルダ保持機構10とから概略構成されている。
【0047】
コンベヤ19は、図示しないフレームの上流側(図14中下側)及び下流側(図14中上側)の両端に回転自在に設けられたプーリ14(上流側のみ図示)と、この両端のプーリ14に掛け回されたベルト13と、下流側のプーリに連結した駆動モータ16と、ベルト13の両側に配置されベルト13上を搬送される検体容器ホルダ1の側方へのズレを抑制するホルダガイド15とを備えている。そして、駆動モータ16で下流側のプーリを駆動させることにより、上流側および下流側のプーリ14の間でベルト13が循環駆動され、ベルト13上に載置された検体容器ホルダ1がホルダガイド15に沿って下流側に搬送される。なお、ベルト13の上面が下流側に移動する場合を順方向駆動、ベルト13の上面が上流側に移動する場合を逆方向駆動とする。
【0048】
サブコンベヤ119は、図示しないフレームの上流側(図14中右側)及び下流側(図14中左側)の両端に回転自在に設けられたプーリ114(下流側のみ図示)と、この両端のプーリ114に掛け回されたベルト113と、上流側のプーリに連結した駆動モータ(図示せず)と、ベルト113の両側に配置されベルト113上を搬送される検体容器ホルダ1の側方へのズレを抑制するホルダガイド115とを備えている。サブコンベヤ119の下流端部は、コンベヤ19の側方(ホルダガイド15が部分的に取り除かれた部分)に対向して接近するよう配置されている。そして、駆動モータで上流側のプーリを駆動させることにより、上流側および下流側のプーリ114の間でベルト113が循環駆動され、ベルト113上に載置された検体容器ホルダ1がホルダガイド15に沿って下流側、すなわち、コンベヤ19側に搬送される。なお、ベルト113の上面が下流側に移動する場合を順方向駆動、ベルト113の上面が上流側に移動する場合を逆方向駆動とする。
【0049】
ホルダ保持機構10は、コンベヤ19とサブコンベヤ119との合流部に設けられており、ベース11と、搬送路であるコンベヤ19上のサブコンベヤとの合流部に配置されたホルダ保持部4と、ホルダ保持部4を水平方向に回転駆動する駆動モータ9とを備えている。
【0050】
その他の構成は、本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0051】
ここで、本実施の形態の搬送装置の基本動作について説明する。
【0052】
コンベヤ19に載置された検体容器ホルダ1を搬出する場合、搬送装置は、まず、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4の開放部6aが、コンベヤ19の上流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8bがセンサ12に検出された状態)とする。この状態で、コンベヤ19及びサブコンベヤ119のベルト13,113を順方向に循環駆動させて、コンベヤ19及びサブコンベヤ119におけるホルダ保持機構10の上流側に検体容器ホルダ1を載置すると、検体容器ホルダ1はベルト13,113により下流側に搬送される。
【0053】
このとき、コンベヤ19上に載置された検体容器ホルダ1は、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。そして、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6の内周下流側に接触することにより、検体容器ホルダ1は基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。ホルダ保持機構10の上流側に、更に、複数の検体容器ホルダ1を載置すると、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する。また、サブコンベヤ119上に載置された複数の検体容器ホルダ1は、ホルダ保持部4の内部に取り込まれた検体容器ホルダ1の基部2に下流側の検体容器ホルダ1の基部が接触し、ベルト113からの摩擦力に抗して停止する。
【0054】
続いて、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を上方からみて時計回り、即ち、開放部6aがサブコンベヤ119と反対側を向く方向に回転させる。保持板6は、円柱形領域Cの外周部の少なくとも対向する位置に存在するように配置されているので、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6の内周に接触した状態を維持しつつ、保持板6の周方向の一端が、ホルダ保持部4内部の検体容器ホルダ1とその上流側に隣接する検体容器ホルダ1の間に形成された隙間Bを通過する。
【0055】
そして、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4の開放部6aが、コンベヤ19の下流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8aがセンサ12に検出された状態)となると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4外に搬出される(搬出状態)。このとき、ホルダ保持部4の上流側の検体容器ホルダ1は、検体容器保持部3がホルダ保持部4外周の上流側に接触することにより、基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。また、コンベヤ19におけるホルダ保持機構10の上流側に載置された複数の検体容器ホルダ1は、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する。また、サブコンベヤ119におけるホルダ保持機構10の上流側に載置された複数の検体容器ホルダ1は、検体容器保持部3がホルダ保持部4外周の上流側に接触することにより、基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。
【0056】
そして、この状態(開放部6aがコンベヤ19における下流側を向いた状態)からコンベヤ19に載置された検体容器ホルダ1を搬出する場合は、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を上方からみて半時計回り、即ち、開放部6aがサブコンベヤ119と反対側を向く方向に回転させ、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4の開放部6aがコンベヤ19の上流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8bがセンサ12に検出された状態)にすると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。
【0057】
また、サブコンベヤ119に載置された検体容器ホルダ1を搬出する場合、搬送装置は、ホルダ保持部4内部に検体容器ホルダ1を内包しない状態で、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4の開放部6aが、サブコンベヤ119の側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8aがセンサ12に検出された状態から、上方から見て時計回りに90°回転した状態)とする。この状態で、サブコンベヤ119及びサブコンベヤ119のベルト13,113を順方向に循環駆動させて、コンベヤ19及びサブコンベヤ119におけるホルダ保持機構10の上流側に検体容器ホルダ1を載置すると、検体容器ホルダ1はベルト13,113により下流側に搬送される。
【0058】
このとき、サブコンベヤ119上に載置された検体容器ホルダ1は、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。そして、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6内周のコンベヤ19における下流側に接触することにより、検体容器ホルダ1は基部2に作用するコンベヤ19のベルト13からの摩擦力に抗して停止する。ホルダ保持機構10のサブコンベヤ119における上流側に、更に、複数の検体容器ホルダ1を載置すると、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト113からの摩擦力に抗して停止する。また、コンベヤ19上に載置された複数の検体容器ホルダ1は、ホルダ保持部4の内部に取り込まれた検体容器ホルダ1の基部2に下流側の検体容器ホルダ1の基部が接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する。
【0059】
続いて、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を上方からみて反時計回り、即ち、開放部6aがコンベヤ19の下流側を向く方向に回転させる。保持板6は、円柱形領域Cの外周部の少なくとも対向する位置に存在するように配置されているので、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6の内周に接触した状態を維持しつつ、保持板6の周方向の一端が、ホルダ保持部4内部の検体容器ホルダ1とそのサブコンベヤ119における上流側に隣接する検体容器ホルダ1の間に形成された隙間Bを通過する。
【0060】
そして、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4の開放部6aが、コンベヤ19の下流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8aがセンサ12に検出された状態)となると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4外に搬出される(搬出状態)。このとき、ホルダ保持部4の上流側の検体容器ホルダ1は、検体容器保持部3がホルダ保持部4外周の上流側に接触することにより、基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。また、コンベヤ19におけるホルダ保持機構10の上流側に載置された複数の検体容器ホルダ1は、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する。また、サブコンベヤ119におけるホルダ保持機構10の上流側に載置された複数の検体容器ホルダ1は、検体容器保持部3がホルダ保持部4外周の上流側に接触することにより、基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。
【0061】
そして、この状態(開放部6aがコンベヤ19における下流側を向いた状態)からサブコンベヤ119に載置された検体容器ホルダ1を搬出する場合は、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を上方からみて時計回り、即ち、開放部6aがサブコンベヤ119側を向く方向に90回転させ、ホルダ保持機構10におけるホルダ保持部4の開放部6aがサブコンベヤ119側を向いた状態にすると、検体容器ホルダ1はサブコンベヤ119のベルト113により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。
【0062】
以上のように、本実施の形態の搬送装置は、コンベヤ19及びサブコンベヤのベルト13,113上に載置された複数の検体容器ホルダ1を必要に応じて、選択的に、下流側に1つずつ搬出することにより、検体容器ホルダ1の流れを制御する。
【0063】
その他の動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0064】
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0066】
本実施の形態は、コンベヤ19のベルト13上に載置されて搬送されてくる複数の検体容器ホルダ1及び検体容器17を必要に応じて、コンベヤ19又はサブコンベヤ119の下流側の何れか一方に、選択的に、1つずつ搬出することにより、検体容器ホルダ1の流れを制御するように構成したものである。
【0067】
図15は、本実施の形態に係る搬送装置の検体容器ホルダのみを搬送する場合の代表的な構成を模式的に示す斜視図である。図中、第1の実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0068】
図15において、本実施の形態の搬送装置は、検体容器17及びそれを保持するための検体容器ホルダ1の搬送路となるコンベヤ19と、コンベヤ19の側方から検体容器ホルダ1を搬出するサブコンベヤ119と、コンベヤ19とサブコンベヤ119との分岐部に設けられ検体容器ホルダ1の流れを制御するホルダ保持機構210とから概略構成されている。なお、本実施の形態においては、図15における左側及び右側をそれぞれ、サブコンベヤ119の上流側及び下流側とする。
【0069】
コンベヤ19は、図示しないフレームの上流側(図14中下側)及び下流側(図14中上側)の両端に回転自在に設けられたプーリ14(上流側のみ図示)と、この両端のプーリ14に掛け回されたベルト13と、下流側のプーリに連結した駆動モータ16と、ベルト13の両側に配置されベルト13上を搬送される検体容器ホルダ1の側方へのズレを抑制するホルダガイド15とを備えている。そして、駆動モータ16で下流側のプーリを駆動させることにより、上流側および下流側のプーリ14の間でベルト13が循環駆動され、ベルト13上に載置された検体容器ホルダ1がホルダガイド15に沿って下流側に搬送される。なお、ベルト13の上面が下流側に移動する場合を順方向駆動、ベルト13の上面が上流側に移動する場合を逆方向駆動とする。
【0070】
サブコンベヤ119は、図示しないフレームの上流側(図15中左側)及び下流側(図15中右側)の両端に回転自在に設けられたプーリ114(上流側のみ図示)と、この両端のプーリ114に掛け回されたベルト113と、下流側のプーリに連結した駆動モータ(図示せず)と、ベルト113の両側に配置されベルト113上を搬送される検体容器ホルダ1の側方へのズレを抑制するホルダガイド115とを備えている。サブコンベヤ119の上流端部は、コンベヤ19の側方(ホルダガイド15が部分的に取り除かれた部分)に対向して接近するよう配置されている。そして、駆動モータで下流側のプーリを駆動させることにより、上流側および下流側のプーリ114の間でベルト113が循環駆動され、ベルト113上に載置された検体容器ホルダ1がホルダガイド15に沿って下流側、すなわち、コンベヤ19と反対側に搬送される。なお、ベルト113の上面が下流側に移動する場合を順方向駆動、ベルト113の上面が上流側に移動する場合を逆方向駆動とする。
【0071】
ホルダ保持機構210は、コンベヤ19とサブコンベヤ119との分岐部に設けられており、ベース211と、搬送路であるコンベヤ19上のサブコンベヤ119との分岐部に配置されたホルダ保持部4と、ホルダ保持部4を水平方向に回転駆動する駆動モータ9と、ホルダ保持部4に保持された検体容器ホルダ1をサブコンベヤ119側に押し出す押出機構18とを備えている。
【0072】
押出機構18は、コンベヤ19の側方であって、ホルダ保持部4を挟んでサブコンベヤ119と反対側に設けられており、上下方向に向けた回転軸を偏心して設けた円板形状を有している。また、押出機構18は、その厚みが検体容器ホルダ1の基部2のよりも薄く形成されており、回転軸を図示しない駆動モータにより回転駆動することによって、コンベヤ19の側方からコンベヤ19上に突出し、ホルダ保持部4とベルト13の間から検体容器ホルダ1の基部2の側方に当接して、検体容器ホルダ1をサブコンベヤ119側に押し出す。
【0073】
その他の構成は、本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0074】
ここで、本実施の形態の搬送装置の基本動作について説明する。
【0075】
コンベヤ19において、ホルダ保持機構210より上流側に載置された検体容器ホルダ1をコンベヤ19の下流側に搬出する場合、搬送装置は、まず、ホルダ保持機構210におけるホルダ保持部4の開放部6aが、コンベヤ19の上流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8bがセンサ12に検出された状態)とする。この状態で、コンベヤ19及びサブコンベヤ119のベルト13,113を順方向に循環駆動させて、コンベヤ19におけるホルダ保持機構210の上流側に検体容器ホルダ1を載置すると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送される。
【0076】
このとき、コンベヤ19上に載置された検体容器ホルダ1は、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。そして、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6の内周下流側に接触することにより、検体容器ホルダ1は基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。ホルダ保持機構210の上流側に、更に、複数の検体容器ホルダ1を載置すると、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する。
【0077】
続いて、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を上方からみて時計回り、即ち、開放部6aがサブコンベヤ119と反対側を向く方向に回転させる。保持板6は、円柱形領域Cの外周部の少なくとも対向する位置に存在するように配置されているので、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6の内周に接触した状態を維持しつつ、保持板6の周方向の一端が、ホルダ保持部4内部の検体容器ホルダ1とその上流側に隣接する検体容器ホルダ1の間に形成された隙間Bを通過する。
【0078】
そして、ホルダ保持機構210におけるホルダ保持部4の開放部6aが、コンベヤ19の下流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8aがセンサ12に検出された状態)となると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4外に搬出される(搬出状態)。このとき、ホルダ保持部4の上流側の検体容器ホルダ1は、検体容器保持部3がホルダ保持部4外周の上流側に接触することにより、基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。また、コンベヤ19におけるホルダ保持機構210の上流側に載置された複数の検体容器ホルダ1は、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する。
【0079】
この状態(開放部6aがコンベヤ19における下流側を向いた状態)から、さらに、コンベヤ19の下流側に検体容器ホルダ1を搬出する場合は、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を上方からみて半時計回り、即ち、開放部6aがサブコンベヤ119と反対側を向く方向に回転させ、ホルダ保持機構210におけるホルダ保持部4の開放部6aがコンベヤ19の上流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8bがセンサ12に検出された状態)にすると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。
【0080】
また、コンベヤ19において、ホルダ保持機構210より上流側に載置された検体容器ホルダ1をサブコンベヤ119の下流側に搬出する場合、搬送装置は、まず、ホルダ保持機構210におけるホルダ保持部4の開放部6aが、コンベヤ19の上流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8bがセンサ12に検出された状態)とする。この状態で、コンベヤ19及びサブコンベヤ119のベルト13,113を順方向に循環駆動させて、コンベヤ19におけるホルダ保持機構210の上流側に検体容器ホルダ1を載置すると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送される。
【0081】
このとき、サブコンベヤ119上に載置された検体容器ホルダ1は、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。そして、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6内周のコンベヤ19における下流側に接触することにより、検体容器ホルダ1は基部2に作用するコンベヤ19のベルト13からの摩擦力に抗して停止する。ホルダ保持機構210のサブコンベヤ119における上流側に、更に、複数の検体容器ホルダ1を載置すると、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト113からの摩擦力に抗して停止する。また、コンベヤ19上に載置された複数の検体容器ホルダ1は、ホルダ保持部4の内部に取り込まれた検体容器ホルダ1の基部2に下流側の検体容器ホルダ1の基部が接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する。
【0082】
続いて、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を上方からみて反時計回り、即ち、開放部6aがコンベヤ19の下流側を向く方向に回転させる。保持板6は、円柱形領域Cの外周部の少なくとも対向する位置に存在するように配置されているので、検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部4の保持板6の内周に接触した状態を維持しつつ、保持板6の周方向の一端が、ホルダ保持部4内部の検体容器ホルダ1とそのサブコンベヤ119における上流側に隣接する検体容器ホルダ1の間に形成された隙間Bを通過する。
【0083】
そして、ホルダ保持機構210におけるホルダ保持部4の開放部6aが、サブコンベヤ119の側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8bがセンサ12に検出された状態から、上方から見て反時計回りに90°回転した状態)とし、押出機構18を回転駆動させて検体容器ホルダ1をサブコンベヤ119側に押し出す。これにより、検体容器ホルダ1はサブコンベヤ119上に押し出されてベルト113により下流側に搬送される(搬出状態)。このとき、ホルダ保持部4のコンベヤ19における上流側の検体容器ホルダ1は、検体容器保持部3がホルダ保持部4外周の上流側に接触することにより、基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。また、コンベヤ19におけるホルダ保持機構210の上流側に載置された複数の検体容器ホルダ1は、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する。
【0084】
この状態(開放部6aがコンベヤ19における下流側を向いた状態)から、さらに、コンベヤ119の下流側に検体容器ホルダ1を搬出する場合は、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部4を上方からみて時計回りに回転させ、ホルダ保持機構210におけるホルダ保持部4の開放部6aがコンベヤ19の上流側を向いた状態(即ち、方向検出用突起8bがセンサ12に検出された状態)にすると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、ホルダ保持部4の開放部6aからホルダ保持部4の内部に取り込まれる(搬入状態)。
【0085】
その他の動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0086】
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0088】
本実施の形態は、コンベヤ19のベルト13上に載置され上流側から搬送されてくる複数の検体容器ホルダ1及び検体容器17を必要に応じて、下流側に複数の一定数量(本実施の形態では3つ)ずつ搬出することにより、検体容器ホルダ1の流れを制御するように構成したものである。
【0089】
図16は、本実施の形態に係る搬送装置の検体容器ホルダのみを搬送する場合の代表的な構成を模式的に示す斜視図であり、図17は部分断面を含む上面図である。図中、第1の実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0090】
図16において、本実施の形態の搬送装置は、検体容器17を保持するための検体容器ホルダ1の搬送路となるコンベヤ19と、コンベヤ19上の検体容器ホルダ1の流れを制御するホルダ保持機構310とから概略構成されている。なお、以下において、図16における上側および下側をそれぞれ搬送装置の下流側及び上流側と記載する。
【0091】
ホルダ保持機構310は、ベース11と、搬送路であるコンベヤ19上に配置されたホルダ保持部304と、ホルダ保持部304を水平方向に回転駆動する駆動モータ9とを備えている。
【0092】
ホルダ保持部304は、中心軸を上下方向に向けベース11に回転自在に設けられた軸7と、軸7の下端に設けられた保持板ベース305と、軸7の中心軸を中心とする円柱形領域Dの外周部に沿うように保持板ベース305に設けられた2つの保持板306a,306bとを備えており、駆動モータ9によって軸7を回転駆動させることにより、保持板306a,306bが円柱形領域Dの外周部に沿って周方向に移動する。駆動モータ9は、全体制御装置30からの制御信号に基づいて回転角度を制御することができる、例えば、ステッピング(パルス)モータである。
【0093】
ここで、ホルダ保持部304の2つの保持板306a,306bの詳細を説明する。図17に示すように、保持板306a,306bは、それぞれ、円柱形領域Dの外周部に沿って設けられた部分円柱形状を有しており、軸7を挟んで互いに反対側の位置に配置されている。正確には、保持板306a,306bの周方向に対向する端部対のうちの一方が円柱形領域Dの中心軸に対して対称の位置になるよう配置されている。したがって、軸7を中心としてホルダ保持部304が周方向に回転駆動される場合(すなわち、保持板306a,306bが周方向に移動される場合)、保持板306a,306bの一方がコンベヤ19上に位置する状態では他方はコンベア19の外に位置し、かつ、保持板306a,306bの一方がコンベヤ19上への侵入(又は退避)移動中は、他方は退避(又は侵入)移動中となる。なお、2つの保持板306a,306bのうち、コンベヤ19における上流側に配置されたものを保持板306a、下流側に配置されたものを保持板306bとする。
【0094】
保持板ベース305の上方には、径方向外側に向かって方向検出用突起(図示せず)を有するプレート308が、保持部ベース305に対して固定されている。また、ホルダ保持部304の周方向への回転に伴って方向検出用突起が通過する位置には、センサ12が設けられベース11に固定されている。プレート308の方向検出用突起は、保持板306a,306bの何れかがコンベヤ19上に位置したときにセンサ12を通過して検出されるように配置されている。センサ12による検出信号は全体制御装置30に送られる。
【0095】
ホルダ保持部304の保持板ベース305は、コンベヤ19の搬送面から搬送路上に載置された検体容器ホルダ1の上端までの高さよりも高くなるよう配置されている。
【0096】
ホルダ保持部304の内径、言い換えると、ホルダ保持部304の軸7での回転により保持板306a,306bが通過する円筒領域(円柱形領域Dの外周)の内径は、コンベヤ19上に隣接して配置された複数(本実施の形態では3つ)の検体容器ホルダ1を一度に内包できる大きさに形成されている。また、保持板306の外径、言い換えると、ホルダ保持部304の軸7での回転により保持板306a,306bが通過する円筒領域の外径は、隣接して配置された複数(本実施の形態では3つ)の検体容器ホルダ1のうち下流側のものが保持板306bに内接する状態(図16、図17等の状態)において、隣り合う検体容器ホルダ1の検体容器保持部3の外周に接触しない大きさに形成されている。したがって、この状態(図16、図17等の状態)でホルダ保持部304を軸7で半時計回りに回転させると、保持板306aは隣接する検体容器ホルダ1の間に形成された隙間Bを通過するようになっている。
【0097】
その他の構成は、本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0098】
ここで、本実施の形態の搬送装置の基本動作について説明する。
【0099】
コンベヤ19に載置された複数の検体容器ホルダ1を3つずつ下流に搬出する場合、搬送装置は、まず、ホルダ保持機構310におけるホルダ保持部304の下流側の保持板306bがコンベヤ19上に位置する状態(即ち、方向検出用突起がセンサ12に検出された状態)とする。この状態で、コンベヤ19のベルト13を順方向に循環駆動させて、コンベヤ19におけるホルダ保持機構310の上流側に複数の検体容器ホルダ1を載置すると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送される。
【0100】
このとき、コンベヤ19上に載置された複数の検体容器ホルダ1は検体容器保持部3が保持板306bの内周側に接触することにより、検体容器ホルダ1は基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する(搬入状態)。また、各検体容器ホルダ1の基部2がそれぞれ下流側の検体容器ホルダ1の基部に接触し、ベルト13からの摩擦力に抗して停止する。
【0101】
続いて、駆動モータ9により軸7を中心としてホルダ保持部304を上方からみて反時計回りに回転させる。このとき、最も下流側の検体容器ホルダ1の検体容器保持部3がホルダ保持部304の下流側の保持板306aの内周に接触した状態を維持しつつ、上流側の保持板306aが、最も下流側の検体容器ホルダ1から数えて上流側に3つ目の検体容器ホルダ1と、その上流側に隣接する検体容器ホルダ1との間に形成された隙間Bに進入する。
【0102】
そして、ホルダ保持機構310におけるホルダ保持部304の保持板306aがコンベヤ19状に位置する状態(即ち、方向検出用突起がセンサ12に検出された状態)となると、3つの検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送される(搬出状態)。このとき、ホルダ保持部304の上流側の検体容器ホルダ1は、検体容器保持部3がホルダ保持部304の上流側の保持板306aに接触することにより、基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する。
【0103】
続いて、ホルダ保持機構310におけるホルダ保持部304の下流側の保持板306bがコンベヤ19上に位置する状態(即ち、方向検出用突起がセンサ12に検出された状態)にすると、検体容器ホルダ1はベルト13により下流側に搬送され、検体容器保持部3が保持板306bの内周側に接触することにより検体容器ホルダ1は基部2に作用するベルト13からの摩擦力に抗して停止する(搬入状態)。
【0104】
以上のように、本実施の形態の搬送装置は、コンベヤ19のベルト13上に載置された複数の検体容器ホルダ1を必要に応じて下流側に一定数量ずつ複数搬出することにより、検体容器ホルダ1の流れを制御する。
【0105】
その他の動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0106】
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0107】
1 検体容器ホルダ
2 基部
3 検体容器保持部
4,4A,304 ホルダ保持部
5,305 保持板ベース
6,306a,306b 保持板
7 軸
8,308 プレート
9 駆動モータ
10,10A,210,310 ホルダ保持機構
11,11A,211 ベース
12 センサ
13,113 ベルト
14,114 プーリ
15,115 ホルダガイド
16 駆動モータ
17 検体容器
18 押出機構
19 コンベヤ
30 全体制御装置
31 閉栓モジュール
32 分類モジュール
33 収納モジュール
34 投入モジュール
35 遠心分離モジュール
36 開栓モジュール
37 ラベラ
38 分注モジュール
39 自動分析装置
40 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を上下方向に向けて配置された円板形状の基部と、その上方に前記基部よりも小さい外径で同軸上に形成され、検体容器を立位状態で保持する検体容器保持部とを有する検体容器ホルダと、
前記検体容器ホルダを載置して搬送する搬送路と、
前記搬送路上の前記検体容器ホルダの基部が通過する位置よりも上方であって、少なくとも前記検体容器保持部が通過する位置に設けられ、中心軸を上下方向に向けた円柱形領域の外周部に沿うように設けられた保持板を備え、前記保持板の周方向への移動によって、前記搬送路により搬送される前記検体容器ホルダの搬送状態を制御するホルダ保持機構と
を備えたことを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の検体処理システムにおいて、
前記保持板は、前記円柱形領域の外周部の少なくとも対向する位置に存在するように、かつ、前記検体容器ホルダの検体容器保持部が通過可能な間隙を周方向に持つよう配置され、
前記保持板の周方向への移動によって、前記検体容器ホルダを前記円柱形領域の内部に取り込む搬入状態と、他の前記検体容器ホルダの前記円柱形領域への搬入を抑制しつつ、前記円柱形領域内部の検体容器ホルダの下流側への搬出を許可する搬出状態とを切り換える
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の検体処理システムにおいて、
前記保持板は、前記円柱形領域の外周部に沿って延在し、かつ、その周方向端部同士が前記検体容器ホルダの検体容器保持部が通過可能な間隙を持つように配置され、
前記保持板の周方向への移動によって、前記検体容器ホルダを前記円柱形領域の内部に取り込む搬入状態と、他の前記検体容器ホルダの前記円柱形領域への搬入を抑制しつつ、前記円柱形領域内部の検体容器ホルダの下流側への搬出を許可する搬出状態とを切り換える
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の検体処理システムにおいて、
前記保持板により画定される円柱形領域の内径は前記検体容器ホルダの基部外径の略整数倍であることを特徴とする検体処理システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の検体処理システムにおいて、
前記保持板を周方向に駆動するための回転駆動手段と、
前記保持板の周方向の存在位置を検出するための方向検出手段と、
前記方向検出手段からの検出結果に基づいて前記回転駆動手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする検体処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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