検体処理装置およびラック搬送方法
【課題】ユーザの作業負担をより軽減することが可能な検体処理装置およびラック搬送方法を提供する。
【解決手段】検体処理装置1は、3台の測定ユニット41と、塗抹標本作製装置5と、1〜10の保持位置で容器Tを保持可能なラックLを搬送する搬送ユニット31〜34と、ラックLに保持された容器Tを検出するバーコード読取部232と、搬送コントローラ6と、を備えている。搬送コントローラ6の制御部601は、ラックLにおける容器Tの保持位置に応じて、ラックLの搬送先となる測定ユニット41または塗抹標本作製装置5を決定する。これにより、ユーザが容器TをラックLのいずれかの保持位置にセットするだけで、容器Tが保持された保持位置に対応するユニット(装置)にラックLが搬送される。よって、ユーザにかかる作業負担を軽減しながら、所望のユニット(装置)にラックLを搬送することが可能となる。
【解決手段】検体処理装置1は、3台の測定ユニット41と、塗抹標本作製装置5と、1〜10の保持位置で容器Tを保持可能なラックLを搬送する搬送ユニット31〜34と、ラックLに保持された容器Tを検出するバーコード読取部232と、搬送コントローラ6と、を備えている。搬送コントローラ6の制御部601は、ラックLにおける容器Tの保持位置に応じて、ラックLの搬送先となる測定ユニット41または塗抹標本作製装置5を決定する。これにより、ユーザが容器TをラックLのいずれかの保持位置にセットするだけで、容器Tが保持された保持位置に対応するユニット(装置)にラックLが搬送される。よって、ユーザにかかる作業負担を軽減しながら、所望のユニット(装置)にラックLを搬送することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検体処理部と、容器を保持可能なラックをこれら複数の検体処理部に搬送する搬送ユニットとを備える検体処理装置およびラック搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器を保持したラックを複数の検体処理部に搬送する検体処理装置が知られている。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1には、複数の分析ユニットと、検体または洗浄液が収容された容器が載置されたラックを分析ユニットに搬送する搬送ラインと、ラックを搬送ラインに投入するラック投入部と、全体管理用コンピュータとを備えた自動分析装置が開示されている。この自動分析装置では、洗浄液が収容された容器が載置された洗浄用ラックの供給先を設定するための設定画面が全体管理用コンピュータに表示される。ユーザは、洗浄用ラックを自動分析装置に投入する前に操作部を操作し、設定画面を介して洗浄用ラックの供給先を設定する。その後、供給先として設定された分析ユニットに搬送ラインによって洗浄用ラックが搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−270869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の自動分析装置では、ユーザは操作部を操作して設定画面を介して洗浄用ラックの供給先となる分析ユニットを設定する必要がある。これにより、ユーザは、面倒な作業負担を強いられることとなる。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの作業負担をより軽減することが可能な検体処理装置およびラック搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、検体処理装置に関する。この態様に係る検体処理装置は、複数の検体処理部と、複数の保持位置で容器を保持可能なラックを前記複数の検体処理部のいずれかに搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されるラックに保持された容器を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて特定される、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、決定された検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本態様に係る検体処理装置によれば、ユーザがラックの何れかの保持位置に容器を載置するだけで、容器が載置された保持位置に対応する検体処理部に、ラックが搬送される。これにより、ユーザにかかる作業負担を軽減しながら、所望の検体処理部にラックを搬送することが可能となる。
【0009】
本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記ラックにおける容器の保持位置、および、前記複数の検体処理部の配置に基づいて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する構成とされ得る。こうすると、複数の検体処理部の配置に応じてラックの搬送先となる検体処理部が決定されるため、検体処理部の配置が変更されても、ラックを
目的の検体処理部に搬送することが可能となる。
【0010】
この場合に、前記複数の検体処理部は、前記搬送部によるラックの搬送方向に沿って配置され、前記複数の保持位置は、一列に並んでおり、前記制御部は、前記ラックにおける容器の保持位置、並びに、前記搬送方向に沿った前記複数の検体処理部の並び順および前記複数の保持位置の並び順に基づいて、前記搬送先となる検体処理部を決定する構成とされ得る。こうすると、何れの保持位置と何れの検体処理部とが対応しているかを、ユーザが容易に認識することができる。
【0011】
また、この場合に、前記制御部は、前記ラックの所定の保持位置から前記搬送方向の下流側へi番目の保持位置に容器が保持されている場合には、所定の検体処理部から前記搬送方向の下流側へi番目の検体処理部を、前記搬送先となる検体処理部として決定する構成とされ得る。こうすると、搬送方向の順に検体処理部と保持位置とが対応付けられているため、何れの保持位置と何れの検体処理部とが対応しているかを、ユーザが直感的に認識することができる。
【0012】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記ラックの第1保持位置および第2保持位置のそれぞれに容器が保持されている場合、前記第1保持位置に対応する前記第1検体処理部に前記ラックを搬送した後、前記第2保持位置に対応する前記第2検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する構成とされ得る。こうすると、1つのラックを用いて複数の検体処理部に連続して容器を供給することができる。
【0013】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部は、検体を収容するとともに当該検体の識別情報が付された容器を保持する第1ラック、および、検体処理動作とは異なる所定の動作に用いられる液体を収容した容器を保持する第2ラックを搬送可能であり、前記制御部は、前記搬送部により搬送されるラックを識別し、当該ラックが前記第1ラックである場合には、前記第1ラックに保持された容器に付された識別情報に基づいて、前記第1ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、前記搬送部により搬送されるラックが前記第2ラックである場合には、前記第2ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記第2ラックの搬送先となる検体処理部を決定する構成とされ得る。こうすると、検体を搬送する場合には、検体の識別情報に応じて搬送先を決定し、検体処理動作とは異なる所定の動作に用いられる液体を搬送する場合には、容器の保持位置に応じて搬送先を決定するため、ユーザにかかる作業負担をできるだけ軽減しながら、検体または液体を、対応する検体処理部に搬送することができる。
【0014】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記ラックに保持された容器内に、再検査を受ける検体、検体処理部の洗浄に用いられる洗浄液、検体処理部の精度管理に用いられる精度管理試料のいずれかが収容されている場合、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する構成とされ得る。こうすると、検体の再検査を行う場合のラックの搬送先を容易に指定することができるため、例えば、一回目の検査を行った検体処理部とは異なる検体処理部で再検査を行いたい場合に、容易にその検体処理部を搬送先に指定することができる。
【0015】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記搬送部により搬送されるラックを識別し、当該ラックが所定の検体処理部に対応付けられたラックである場合には、対応する前記検体処理部を搬送先として決定する構成とされ得る。こうすると、搬送されるラックを変更するだけでもラックの搬送先を指定することができるので、ユーザにかかる作業負担をさらに軽減することができる。
【0016】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックを識別
し、その識別結果に応じて、前記ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を決定する動作決定部をさらに備え、前記ラックの搬送先の検体処理部は、前記動作決定部により決定された動作内容に応じた動作を実行する構成とされ得る。こうすると、搬送するラックを変更するだけで検体処理部に実行させる動作内容を変更させることができるので、ユーザの作業負担をさらに軽減させることができる。
【0017】
なお、動作決定部は、前記搬送部を制御する前記制御部に含めても良く、あるいは、前記制御部とは別に前記検体処理部を制御する他の制御部がある場合は、当該他の制御部に含めても良い。前記搬送部を制御する前記制御部が前記検体処理部の制御をも行う場合、動作決定部は、前記搬送部を制御する前記制御部に含まれる。
【0018】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックは、検体処理部の洗浄に用いられる洗浄液を収容した容器を保持する洗浄用ラックを含み、前記動作決定部は、前記搬送部により搬送されるラックが前記洗浄用ラックであると識別した場合には、前記洗浄用ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を、前記洗浄液を用いた洗浄動作に決定する構成とされ得る。
【0019】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックは、検体処理部の精度管理に用いられる精度管理試料を収容した容器を保持する精度管理用ラックを含み、前記動作決定部は、前記搬送部により搬送されるラックが前記精度管理用ラックであると識別した場合には、前記精度管理用ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を、前記精度管理試料を用いた精度管理測定に決定する構成とされ得る。
【0020】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックには、当該ラックを識別するための識別情報が付され、検体処理装置は、前記搬送部により搬送されるラックの識別情報を読み取る読取部をさらに備える構成とされ得る。ここで、前記制御部は、前記読取部により読み取られた識別情報に基づいて、前記ラックを識別する構成とされ得る。こうすると、ラックの形状、色などによってラックの識別を行う場合に比べて、簡易にラックの識別を行うことができる。
【0021】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックには、当該ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容をユーザに提示するための情報提示部が設けられ得る。この場合、情報提示部は、たとえば、前記動作内容に応じた色をユーザに提示するよう構成され得る。こうすると、ユーザは、ラック搬送先の検体処理部に行わせたい動作内容に応じて、簡易にラックを選ぶことができる。
【0022】
本発明の第2の態様は、検体処理装置に関する。この態様に係る検体処理装置は、複数の検体処理部と、複数の保持位置で容器を保持可能なラックを前記複数の検体処理部のいずれかに搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されるラックに保持された容器を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて特定される、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する搬送制御手段と、を備える。
【0023】
本態様に係る検体処理装置によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【0024】
本発明の第3の態様は、ラック搬送方法に関する。この態様に係るラック搬送方法は、複数の容器を保持可能なラックにおいて容器が保持されている保持位置を特定し、特定された保持位置に応じて、複数の検体処理部の中から前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、決定された検体処理部に前記ラックを搬送する、各ステップを有する。
【0025】
本態様に係るラック搬送方法によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、ユーザの作業負担をより軽減することが可能な検体処理装置およびラック搬送方法を提供することができる。
【0027】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態に係る検体処理装置を上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。
【図2】実施の形態に係る容器およびラックの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る投入ユニットおよび送出ユニットを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図4】実施の形態に係る搬送ユニットを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図5】実施の形態に係る検体処理装置の各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【図6】実施の形態に係る搬送コントローラ、送出ユニットおよび投入ユニットの構成の概要を示す図である。
【図7】実施の形態に係る搬送ユニット、測定ユニットおよび情報処理ユニットの構成の概要を示す図である。
【図8】実施の形態に係る搬送ユニットおよび塗抹標本作製装置の構成の概要を示す図である。
【図9】実施の形態に係る特殊ラックのラックIDの構成を示す図である。
【図10】実施の形態に係る搬送コントローラの処理を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態に係る搬送コントローラのハードディスクに書き込まれる情報を論理的に示す図である。
【図12】実施の形態に係る“特殊ラックの搬送先決定”の処理を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係る特殊ラックに保持されている容器が、どのユニット(装置)に搬送されるかを説明する図である。
【図14】実施の形態に係る搬送コントローラおよび情報処理ユニットの処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る搬送ユニットおよび塗抹標本作製装置の処理を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態に係る搬送ユニットおよび塗抹標本作製装置の処理を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態に係る“特殊動作の決定”の処理を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態の変更例に係る色によって動作内容を識別可能なラックを示す図である。
【図19】実施の形態に係る検体処理装置の変更例において、特殊ラックに保持されている容器が、どのユニット(装置)に搬送されるかを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体処理装置に本発明を適
用したものである。本実施の形態に係る検体処理装置は、3台の測定ユニットと、1台の塗抹標本作製装置を備えている。3台の測定ユニットでは、血液分析が並行して行われ、その分析結果に基づき塗抹標本の作製が必要である場合に、塗抹標本作製装置により塗抹標本が作製される。
【0030】
以下、本実施の形態に係る検体処理装置について、図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、検体処理装置1を上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。本実施の形態に係る検体処理装置1は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送ユニット31〜34と、3台の測定ユニット41と、情報処理ユニット42と、塗抹標本作製装置5と、搬送コントローラ6から構成されている。また、本実施の形態の検体処理装置1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ7と通信可能に接続されている。
【0032】
回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23は、それぞれ、10本の容器Tが保持可能な複数のラックLが載置可能となるよう構成されている。
【0033】
図2は、容器TとラックLの構成を示す図である。同図(a)は、容器Tの外観を示す斜視図であり、同図(b)は、10本の容器Tが保持されているラックLの外観を示す斜視図である。なお、同図(b)には、ラックLが投入ユニット22に載置されるときの向き(図1の前後左右の方向)が併せて示されている。
【0034】
図2(a)を参照して、容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。バーコードラベルBL1には、容器IDを示すバーコードが印刷されている。
【0035】
図2(b)を参照して、ラックLには、10本の容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持することが可能となるよう、図示の如く保持位置1〜10に10個の保持部が形成されている。また、ラックLの後方側面には、図示の如く、バーコードラベルBL2が貼付されている。バーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。ラックIDは、6桁の情報(アルファベット、数字または記号)から構成されている。
【0036】
なお、容器Tには、検体の他に、洗浄液または精度管理試料が収容される場合がある。また、検体が収容されている容器Tについて、1回目の測定が終了した後、さらに2回目以降の測定が行われる場合がある。容器Tに、洗浄液または精度管理試料が収容されている場合と、2回目以降の測定を行う検体(以下、「再検用検体」という)が収容されている場合については、追って説明する。以下では、まず、容器Tに1回目の測定を行う検体(以下、「通常検体」という)が収容され、ラックLには通常検体を収容する容器Tのみが保持されている場合について説明する。
【0037】
図1に戻って、回収ユニット21は、後述する回収ラインを通って回収されたラックLを収容する。投入ユニット22は、ユーザが投入したラックLを収容し、収容しているラックLを送出ユニット23に送出する。送出ユニット23は、ラックLのラックIDおよび容器Tの容器IDを読み取るためのバーコード読取部232を備える。バーコード読取部232には、容器T検出用の光学センサ232s(図3参照)が設けられており、投入ユニット22から送出されたラックLがバーコード読取部232によるバーコード読取位置に到達したときに、光学センサ232sによって容器Tの有無が検出され、その後、バ
ーコードラベルBL2からラックIDが読み出され、バーコードラベルBL1から容器IDが読み出される。読み出されたラックIDは搬送コントローラ6に送信される。また、読み出された容器IDは、容器Tの保持位置番号に対応付けられて搬送コントローラ6へ送信される。ラックLのラックID、および、ラックLの保持位置に対応付けられた容器Tの容器IDを纏めて「ラック情報」という。また、送出ユニット23は、バーコードの読み取りが完了したラックLを搬送ユニット31に送出する。
【0038】
搬送ユニット31〜34は、ラックLの受け渡しが可能となるよう左右方向に互いに接続されている。搬送ユニット31の右端は、ラックLの受け渡しが可能となるよう送出ユニット23に接続されている。搬送ユニット31〜33は、図示の如く、それぞれ、3台の測定ユニット41の前方に配置されており、搬送ユニット34は、図示の如く、塗抹標本作製装置5の前方に配置されている。
【0039】
搬送ユニット31〜33には、図示の如く、それぞれに対応する測定ユニット41にラックLが搬送される場合と搬送されない場合とに分けて、2通りの搬送ラインが設定されている。すなわち、測定ユニット41で測定が行われる場合は、後方のコの字型の矢印で示された“測定ライン”に沿ってラックLが搬送される。測定ユニット41で測定が行われず、下流側(左側)で測定または塗抹標本の作製が行われる場合は、当該測定ユニット41をスキップするよう、中段の左向きの矢印で示された“供給ライン”に沿ってラックLが搬送される。また、搬送ユニット31〜33には、図示の如く、ラックLを回収ユニット21に搬送するための右向きの搬送ラインが設定されている。すなわち、下流側(左側)で測定または塗抹標本の作製が行われる必要がなくなったラックLは、前方の右向きの矢印で示された“回収ライン”に沿って搬送され、回収ユニット21に回収される。なお、搬送ユニット31〜33と同様、搬送ユニット34にも、図示の如く、測定ラインと、供給ラインと、回収ラインとが設定されている。
【0040】
3台の測定ユニット41は、それぞれ前方に配置された搬送ユニット31〜33の測定ライン上の所定の位置において、ラックLから容器Tを抜き出して、この容器Tに収容された検体を測定する。すなわち、測定ユニット41は、ラックLから抜き出した容器Tを測定ユニット41内に移動させて、この容器Tに収容されている検体を測定する。測定ユニット41内での測定が完了すると、測定ユニット41は、この容器Tを再び元のラックLの保持位置に戻す。
【0041】
情報処理ユニット42は、3台の測定ユニット41と通信可能に接続されており、3台の測定ユニット41の動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7と通信ネットワークを介して通信可能に接続されており、測定ユニット41で測定される検体の測定オーダをホストコンピュータ7に問い合わせる。すなわち、測定ユニット41内に移動された容器Tの容器IDが、測定ユニット41内のバーコードリーダ412(図7参照)により読み取られると、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7にこの検体の測定オーダの問い合わせを行う。しかる後、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7から受信した測定オーダに基づき、測定ユニット41の測定動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、測定ユニット41で行われた測定結果に基づいて分析を行う。
【0042】
塗抹標本作製装置5は、前方に配置された搬送ユニット34の測定ライン上の所定の位置において、容器Tに収容されている検体を吸引して、この検体の塗抹標本を作製する。なお、塗抹標本の作製の要否は、情報処理ユニット42で行われる分析結果に基づいて、搬送コントローラ6によって判定される。搬送コントローラ6により塗抹標本の作製が必要と判定されると、対象となる検体を収容するラックLは、搬送ユニット34の測定ラインに沿って搬送され、塗抹標本作製装置5において塗抹標本の作製が行われる。
【0043】
搬送コントローラ6は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送ユニット31〜34と通信可能に接続されており、各ユニットの駆動を制御する。また、搬送コントローラ6は、ホストコンピュータ7と通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。搬送コントローラ6は、送出ユニット23からラック情報を受信すると、ホストコンピュータ7へ測定オーダの問い合わせを行う。また、搬送コントローラ6は、送出ユニット23から送出されるラックLの搬送先を決定する。
【0044】
図3は、投入ユニット22と送出ユニット23を上側からみた場合の構成を示す平面図である。なお、同図において、回収ラインに沿ってラックLを右方向に搬送する部分については、便宜上、図示が省略されている。
【0045】
投入ユニット22の搬送路221上にラックLが投入されると、ラック送込機構222がラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、このラックLが搬送路221の後方位置に送られる。搬送路221の後方位置に位置付けられたラックLは、ラック送出機構223によってラックLの右側面が押されることにより、送出ユニット23の搬送路231の後方位置に送出される。搬送路231の後方位置において、バーコード読取部232により、ラック情報が読み取られる。
【0046】
次に、搬送路231の後方位置に位置付けられたラックLは、ラック送込機構233により、搬送路231の後方位置からラックLの前後方向の幅だけ前方に移動した位置に送られる。続いて、ラック送込機構234がラックLの後端に係合した状態で前方に移動し、このラックLが搬送路231の前方位置に送られる。搬送路231の前方位置に位置付けられたラックLは、ラック送出機構235によってラックLの右側面が押されることにより、左方向に移動される。
【0047】
この場合に、ラックLが、搬送路231の前方位置から僅かに左側に移動されて、ラックLのバーコードラベルBL2が、バーコード読取部236の前方に位置付けられると、バーコード読取部236によりラックIDが読み取られる。このときのラックLの位置を、以下、「ラックID読取位置」と称することにする。送出ユニット23は、バーコード読取部236によりラックIDを読み取ると、搬送コントローラ6に、このラックIDと共に送出要求を送信する。搬送コントローラ6は、受信したラックIDに基づいて、このラックLの搬送先となる測定ユニット41または塗抹標本作製装置5を決定する。しかる後、ラックID読取位置に位置付けられているラックLは、ラック送出機構235によってさらに左方向に押し出され、搬送ユニット31に送出される。
【0048】
図4は、搬送ユニット31〜33を上側から見た場合の構成を示す平面図である。搬送ユニット31〜33は、右テーブル310と、ラック搬送部320と、左テーブル330と、ラック搬送部340、350とを備えている。右テーブル310と、ラック搬送部320と、左テーブル330とにより、図1の測定ラインが構成される。また、ラック搬送部340により図1の供給ラインが構成され、ラック搬送部350により図1の回収ラインが構成される。なお、搬送ユニット31〜33は、同様の構成である。
【0049】
上流側(右側)から送出されたラックLに対する測定が、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で行われない場合、このラックLは、ラック搬送部340のベルト341a、341bにより、ラック搬送部340の右端から左端へと供給ラインに沿って直線的に送られる。ラック搬送部340の左端近傍には、透過型のセンサ344a、344bが設置されている。センサ344a、344bにより、ラック搬送部340の左端位置に位置付けられたラックLが検出される。
【0050】
次に、上流側(右側)から送出されたラックLに対する測定が、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で行われる場合、このラックLは、ラック搬送部340の右端位置に位置付けられる。すなわち、壁部342aが、図示の状態から供給ライン上に僅かに出るよう、ラック押出し機構342が後方に移動される。これにより、上流側から送出されたラックLは壁部342aに当たって停止する。また、ラック搬送部340の右端位置の近傍には、透過型のセンサ343a、343bが設置されている。センサ343a、343bにより、ラック搬送部340の右端位置に位置付けられたラックLが検出される。
【0051】
続いて、ラック押出し機構342がさらに後方に移動することにより、このラックLが右テーブル310の搬送路311の前端に押し出される。透過型のセンサ312a、312bにより、搬送路311上のラックLが検出されると、ラック送込機構313がラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、ラックLが後方に送られる。ラックLがラック搬送部320の右端位置まで送られると、ベルト321a、321bが駆動され、ラックLが左方向に送られる。
【0052】
その後、ラックLは、容器センサ322の位置へと到達する。容器センサ322は接触式のセンサである。容器センサ322の真下位置をラックLに保持された容器Tが通過すると、容器センサ322の接触片が容器Tにより屈曲されて、容器Tの存在が検出される。
【0053】
容器センサ322による容器Tの検出位置から容器T2つ分だけ左側の供給位置において、測定ユニット41のハンド部(図示せず)が、容器Tを把持してラックLから容器Tを取り出す。取り出された容器Tは、測定ユニット41内で測定に用いられた後、再びラックLに戻される。容器TがラックLへ戻されるまでの間、ラックLの搬送は待機される。
【0054】
こうして、ラックLに保持された容器Tのうち、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で処理を行う全ての容器Tの処理が終了すると、ラックLは、ベルト321a、321bによって、ラック搬送部320の左端位置まで送られる。しかる後、ラックLは、ラック押出し機構323により、左テーブル330の搬送路331の後端に押し出される。透過型のセンサ332a、332bにより、搬送路331上にあるラックLが検出されると、ラック送込機構333がラックLの後端に係合した状態で前方に移動する。これにより、ラックLが前方に送られる。
【0055】
左テーブル330の前方近傍には、透過型のセンサ334a、334bが設置されている。センサ334a、334bにより、左テーブル330の前方位置に位置付けられたラックLが検出される。
【0056】
続いて、左テーブル330の前方にあって、ラック搬送部340と350の間にある仕切り部352が開閉制御され、ラックLが、ラック搬送部340、350の何れかに位置付けられる。
【0057】
ラックLに保持されている何れかの容器Tについて、下流側にある測定ユニット41または塗抹標本作製装置5において測定等の処理が必要である場合、仕切り部352によりラック搬送部340、350が仕切られた状態で、ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部340の左端位置まで移動される。しかる後、このラックLは、ラック搬送部340のベルト341bによって下流側の搬送ユニットに送出される。
【0058】
他方、ラックLに保持されている容器Tについて、いずれも下流側にある測定ユニット41または塗抹標本作製装置5において測定等の処理が必要でない場合、仕切り部352
の上面が、ラック搬送部340のベルト341bの上面と同じ高さまで下げられ、ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部350の左端位置まで移動される。こうして、ラックLが、ラック送込機構333によって、左テーブル330からラック搬送部340を横切って、ラック搬送部350の左端位置まで移動される。ラック搬送部350の左端位置に位置付けられたラックLは、ラック搬送部350の左端位置近傍に設置された透過型のセンサ353a、353bにより検出される。しかる後、このラックLは、ラック搬送部350のベルト351により、回収ラインに沿って右方向に移動される。回収ラインに沿って搬送されたラックLは、回収ユニット21に収容される。
【0059】
なお、搬送ユニット34には、搬送ユニット31〜33と同様の構成に加えて、ラック搬送部320の右端近傍にバーコードリーダ343(図8参照)が設置されている。塗抹標本の作製が必要と判断された検体を含むラックLが、搬送ユニット34に搬送されると、このラックLは測定ラインに沿って搬送される。このとき、ラックLに保持されている容器Tの容器IDは、供給位置に到達する前に、バーコードリーダ343によって読み取られる。容器Tが供給位置に位置付けられると、容器Tから検体が吸引され、塗抹標本作製装置5において塗抹標本の作製が行われる。しかる後、このラックLは回収ラインに沿って、回収ユニット21に向けて右方向に搬送される。
【0060】
図5は、検体処理装置1の各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【0061】
ここで、搬送ユニット31〜33は、それぞれ、検体リレー部3a、検体供給部3bに分けて図示されている。具体的には、検体リレー部3aは、図4の左テーブル330と、ラック搬送部340、350を含む部分であり、隣り合う2台の搬送ユニットのうちの一方からラックLを受け取り、他方の搬送ユニットに搬送する。検体供給部3bは、図4の右テーブル310とラック搬送部320を含む部分であり、測定ユニット41による検体の測定のために、ラックLを供給位置に搬送する。
【0062】
集線装置11には、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、3台の検体リレー部3aと、搬送ユニット34と、搬送コントローラ6が、通信可能となるよう接続されている。集線装置12には、3台の検体リレー部3aと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置13には、3台の検体供給部3bと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置14には、3台の測定ユニット41と情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。
【0063】
図6は、搬送コントローラ6と、送出ユニット23と、投入ユニット22の構成の概要を示す図である。
【0064】
搬送コントローラ6は、制御部601と、通信部602と、ハードディスク603とを備える。また、制御部601はメモリ601aを備える。
【0065】
制御部601は、メモリ601aまたはハードディスク603に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、他のユニット(装置)を制御する。メモリ601aは、ハードディスク603に記憶されているコンピュータの読み出しに用いられる他、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、作業領域としても利用される。なお、制御部601に限らず、後述する他のユニット(装置)の制御部もメモリを備えている。
【0066】
通信部602は、Ethernet(登録商標)規格に基づいて外部の装置とデータ通信を行うための通信インターフェースを備え、集線装置11との間でデータ通信を行う。ハードデ
ィスク603には、他のユニット(装置)を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。また、ハードディスク603には、送出ユニット23から送出されるラックLの搬送先を決定するためのコンピュータプログラムと、後述するラックLの保持位置に対応する測定ユニット41または塗抹標本作製装置5を決定するためのコンピュータプログラムが記憶されている。また、ハードディスク603には、送出ユニット23から受信したラック情報と、ホストコンピュータ7に問い合わせた測定オーダが記憶される。
【0067】
送出ユニット23は、制御部237と、通信部238と、バーコード処理部239と、駆動部240と、センサ部241とを備える。
【0068】
制御部237は、搬送コントローラ6の制御部601に従って、制御部237内のメモリ(図示せず)に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、送出ユニット23内の各部を制御する。通信部238は、搬送コントローラ6の通信部602と同様に、集線装置11との間でデータ通信を行う。
【0069】
バーコード処理部239は、図3に示したバーコード読取部232、236を含んでいる。バーコード処理部239により読み取られたバーコード情報は、制御部237に出力される。駆動部240は、送出ユニット23に収容されたラックLを搬送するための機構と、この機構を駆動するためのステッピングモータを含んでいる。センサ部241は、送出ユニット23に収容されたラックLを検出するためのセンサを含んでいる。センサ部241は、検出信号を制御部237に出力する。
【0070】
投入ユニット22は、図示の如く、送出ユニット23からバーコード処理部239が除かれた構成となっている。なお、回収ユニット21(図示せず)も、投入ユニット22と同様の構成となっている。
【0071】
図7は、搬送ユニット31と、測定ユニット41と、情報処理ユニット42の構成の概要を示す図である。なお、同図には、便宜上、搬送ユニット31と測定ユニット41がそれぞれ1台のみ示されているが、搬送ユニット32、33と他の測定ユニット41も同様に構成される。
【0072】
搬送ユニット31は、図6の投入ユニット22に、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bが追加された構成となっている。
【0073】
通信部302aは、集線装置11と12との間でデータ通信を行い、通信部302bは、通信部302aと同様にして、集線装置13との間でデータ通信を行う。駆動部303aは、制御部301により制御され、駆動部303bは、通信部302bを介して、情報処理ユニット42により制御される。センサ部304aは、検出信号を制御部301に出力し、センサ部304bは、検出信号を、通信部302bを介して、情報処理ユニット42に出力する。
【0074】
通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bは、図5の検体供給部3bに含まれており、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304b以外の搬送ユニット31の各部は、図5の検体リレー部3aに含まれている。駆動部303aとセンサ部304aは、図4の左テーブル330と、ラック搬送部340、350上にあるラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。駆動部303bとセンサ部304bは、図4の右テーブル310とラック搬送部320上にあるラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。
【0075】
測定ユニット41は、通信部411と、バーコードリーダ412と、駆動部413と、
センサ部414とを備える。通信部411は、搬送ユニット31の通信部302bと同様にして、集線装置14との間でデータ通信を行う。バーコードリーダ412は測定ユニット41の内に設置されており、容器Tの容器IDを読み取る。駆動部413とセンサ部414は、容器Tを測定ユニット41内で搬送し、容器Tに収容される検体を測定するための機構を含んでいる。
【0076】
情報処理ユニット42は、図6の搬送コントローラ6と同様の構成(ハードディスクとメモリは図示せず)となっている。制御部421は、通信部422と集線装置13を介して、搬送ユニット31の駆動部303bを制御し、センサ部304bの検出信号を受信する。また、制御部421は、通信部422と集線装置14を介して、測定ユニット41の駆動部413を制御し、バーコードリーダ412によって読み取られた容器IDとセンサ部414の検出信号を受信する。
【0077】
図8は、搬送ユニット34と塗抹標本作製装置5の構成の概要を示す図である。搬送ユニット34は、図6の投入ユニット22にバーコードリーダ343が追加された構成となっている。塗抹標本作製装置5は、図6の投入ユニット22と同様の構成となっている。搬送ユニット34は、制御部341と、通信部342と、バーコードリーダ343と、駆動部344と、センサ部345とを含み、塗抹標本作製装置5は、制御部501と、通信部502と、駆動部503と、センサ部504とを含んでいる。
【0078】
搬送ユニット34の通信部342は、集線装置11との間でデータ通信を行う。通信部342は、塗抹標本作製装置5の通信部502と信号線により接続され、通信部502との間でもデータ通信を行う。塗抹標本作製装置5の制御部501は、通信部502を介して、搬送ユニット34から塗抹標本作製の指示を受信すると、搬送ユニット34の測定ライン上の供給位置にある容器Tから検体を吸引し、塗抹標本を作製する。
【0079】
ここで、本実施の形態のラックLには、上述したように、通常検体を収容する容器Tのみが保持される場合の他に、洗浄液、精度管理試料または再検用検体を収容する容器Tのみが保持される場合がある。なお、洗浄液は、測定ユニット41と塗抹標本作製装置5の所定部位の洗浄に用いられる液体である。精度管理試料は、所定の測定結果が得られるように調製された試料であり、測定ユニット41において通常の検体と同様に測定が行われたときに、所望の測定結果が得られるかを判定するために用いられる。精度管理試料の測定結果と、所望の測定結果を比較することにより、測定の行われた測定ユニット41の測定精度が分かる。
【0080】
本実施の形態では、通常検体を収容する容器Tのみを保持するラックL(以下、「通常ラック」という)とは別に、洗浄液を収容する容器Tのみが保持されるラックL(以下、「洗浄用ラック」という)と、精度管理試料を収容する容器Tのみが保持されるラックL(以下、「精度管理測定用ラック」という)と、再検用検体を収容する容器Tが保持されるラックL(以下、「再検用ラック」という)が用意されている。なお、これらのラックLは、通常ラックと同じ形状である。
【0081】
洗浄用ラックと、精度管理測定用ラックと、再検用ラック(以下、これら3つのラックを纏めて「特殊ラック」という)は、通常ラックと同様、送出ユニット23から送出される際に、搬送コントローラ6によって、搬送先となる測定ユニット41と塗抹標本作製装置5が決定される。搬送コントローラ6は、決定された搬送先にこのラックが搬送されるよう、搬送ユニット31〜34を制御する。
【0082】
洗浄用ラックが搬送先の測定ユニット41または塗抹標本作製装置5に搬送されると、搬送先において、この洗浄用ラックに保持されている洗浄液を収容する容器Tから洗浄液
が吸引され、洗浄が行われる。精度管理測定用ラックが搬送先の測定ユニット41に搬送されると、搬送先において、この精度管理測定用ラックに保持されている精度管理試料を収容する容器Tから精度管理試料が吸引され、精度管理試料の測定が行われる。再検用ラックが搬送先の測定ユニット41または塗抹標本作製装置5に搬送されると、搬送先において、通常検体の場合と同様の測定が行われる。
【0083】
図9は、特殊ラックのラックIDの構成を示す図である。
【0084】
図示の如く、ラックIDの上2桁が“SR”となっているラックLは、特殊ラックとして使用される。なお、ラックIDの上位2桁が“SR”以外となっているラックLは、通常ラックとして使用される。
【0085】
特殊ラックのラックIDの上から3番目の桁には、“S”、“R”、“Q”、“N”の何れかが書き込まれている。ここに“S”が書き込まれている場合、この特殊ラックは、洗浄動作後にそのユニット(装置)をシャットダウンさせる洗浄用ラック(以下、「シャットダウン洗浄用ラック」という)として使用される。ここに“R”が書き込まれている場合、この特殊ラックは、洗浄動作後にそのユニット(装置)をシャットダウンさせない(待機状態にする)洗浄用ラック(以下、「通常洗浄用ラック」という)として使用される。ここに“Q”または“N”が書き込まれている場合、この特殊ラックは、それぞれ、精度管理測定用ラックまたは再検用ラックとして使用される。
【0086】
特殊ラックのラックIDの下から3番目の桁には、“H”、“S”、“A”の何れかが書き込まれている。ここに“H”が書き込まれている場合、この特殊ラックの搬送対象は、測定ユニットのみとなる。ここに“S”が書き込まれている場合、この特殊ラックの搬送対象は、塗抹標本作製装置のみとなる。ここに“A”が書き込まれている特殊ラックの搬送対象は、全てのユニット(測定ユニットと塗抹標本作製装置)となる。
【0087】
特殊ラックのラックIDの下2桁には、“00”〜“09”の何れかが書き込まれている。ここに“00”が書き込まれている場合、この特殊ラックに保持されている容器Tの搬送先となるユニット(装置)は、容器Tのそれぞれの保持位置に応じて決定される。また、特殊ラックのラックIDの下2桁に“01”〜“09”の何れかが書き込まれている場合、容器Tの搬送先となるユニット(装置)は、この番号によって決定される。
【0088】
次に、図10ないし図17を参照して、ラックLの搬送制御について説明する。
【0089】
図10は、搬送コントローラ6の処理を示すフローチャートである。
【0090】
図10(a)を参照して、搬送コントローラ6の制御部601は、送出ユニット23の搬送路231の後端位置においてバーコード読取部232によって読み取られたラックID、および、ラックLの保持位置に対応付けられた容器Tの容器ID(ラック情報)を、送出ユニット23から受信するまで処理を待機させる(S11)。制御部601は、ラック情報を受信すると(S11:YES)、受信したラック情報を搬送コントローラ6のハードディスク603に記憶する(S12)。
【0091】
図11は、搬送コントローラ6のハードディスク603に書き込まれる情報を論理的に示す図である。図示の如く、図10のS11で受信したラック情報は、ラックIDと、このラックLの各保持位置に対応した容器IDとして、ハードディスク603に書き込まれる。なお、図11の例では、保持位置3、5〜10には、容器Tが保持されていない。
【0092】
図10(a)に戻って、次に、S11で受信したラック情報に基づいて、このラックL
が通常ラックまたは再検用ラックであるかを判定する(S13)。なお、制御部601は、図9に示したように、ラックIDの上2桁を参照して、このラックLが通常ラック、特殊ラックの何れであるかを判定し、上から3番目の桁を参照して、このラックLが、シャットダウン洗浄用ラック、通常洗浄用ラック、精度管理測定用ラック、再検用ラックの何れのラックであるかを判定する。
【0093】
このラックLが通常ラックまたは再検用ラックであると(S13:YES)、制御部601は、このラックLに保持されている検体を収容する各容器Tの測定データを、ホストコンピュータ7に問い合わせる(S14)。他方、このラックLが通常ラックでもなく再検用ラックでもない、すなわち、このラックLが洗浄用ラックまたは精度管理測定用ラックであると(S13:NO)、処理がS11に戻される。
【0094】
制御部601は、ホストコンピュータ7に測定オーダを問い合わせると(S14)、ホストコンピュータ7から測定オーダを受信するまで処理を待機させる(S15)。制御部601は、ホストコンピュータ7から測定オーダを受信すると(S15:YES)、受信した測定オーダを、ラック情報と合わせて搬送コントローラ6のハードディスク603に記憶し(S16)、処理がS11に戻される。
【0095】
なお、S14で受信される測定オーダは、図11に示すように、検体を収容する容器Tに対応して書き込まれる。図11の例では、保持位置1、2、4の容器Tに対して測定オーダが書き込まれる。
【0096】
このように、搬送コントローラ6において、ラックLごとに図10(a)のS11〜S16の処理が繰り返し行われる。
【0097】
図10(b)を参照して、搬送コントローラ6の制御部601は、送出ユニット23の搬送路231のラックID読取位置においてバーコード読取部236によって読み取られたラックIDを含む送出要求を受信するまで、処理を待機させる(S21)。制御部601は、ラックIDを含む送出要求を受信すると(S21:YES)、受信したラックIDに基づいて、図10(a)のS12で記憶したラック情報とS16で記憶した測定オーダを読み出す(S22)。なお、このラックLが通常ラックでも再検用ラックでもない場合、測定オーダは記憶されていないため、ラック情報のみが読み出される。
【0098】
続いて、制御部601は、このラックLが特殊ラックであるかを判定する(S23)。このラックLが特殊ラックであると(S23:YES)、制御部601は、“特殊ラックの搬送先決定”の処理を行う(S24)。“特殊ラックの搬送先決定”の処理については、追って図12を参照して説明する。他方、このラックLが特殊ラックでない、すなわち、通常ラックであると(S23:NO)、制御部601は、この通常ラックに保持されている各容器Tに対応する測定オーダに応じて、搬送先となる測定ユニット41または塗抹標本作製装置5を決定する(S25)。
【0099】
次に、制御部601は、送出ユニット23に対して、このラックLを、図3のラックID読取位置から搬送ユニット31に送出するように指示を送信し(S26)、処理がS21に戻される。
【0100】
なお、S24またはS25において、搬送先は、保持されている容器Tごとに決定され、図11に示すように、保持されている容器Tごとに書き込まれる。図11の例では、保持位置1、2、4の容器Tに対して搬送先が書き込まれている。
【0101】
このように、搬送コントローラ6において、ラックLごとに図10(b)のS21〜S
26の処理が繰り返し行われる。
【0102】
図12は、“特殊ラックの搬送先決定”の処理を示すフローチャートである。
【0103】
搬送コントローラ6の制御部601は、図10のS21で送出要求と共に受信したラックIDの下から3番目の桁を参照して、搬送対象のグループ(図9参照)を決定する(S101)。続いて、制御部601は、ラックIDの下2桁が“00”であるかを判定する(S102)。
【0104】
ラックIDの下2桁が“00”であると(S102:YES)、制御部601は、この特殊ラックに保持されている容器Tの搬送先を、容器Tの保持位置に応じて決定する(S103)。具体的には、搬送対象のグループ内のユニット(装置)を搬送方向の上流側(図1の右側)から順にU1、U2、U3、…とすると、保持位置1、2、3、…に保持されている容器Tの搬送先は、それぞれ、U1、U2、U3、…となる。
【0105】
他方、ラックIDの下2桁が“00”でないと(S102)、制御部601は、この特殊ラックに保持されている容器Tの搬送先を、ラックIDの下2桁の番号に応じて決定する(S104)。具体的には、搬送対象のグループ内のユニット(装置)を搬送方向の上流側(図1の右側)から順にU1、U2、U3、…とすると、この特殊ラックに保持されている全ての容器Tの搬送先は、ラックIDの下2桁の数字に対応したユニット(装置)(この数字が01ならU1、02ならU2、…、10ならU10)となる。
【0106】
このようにして、“特殊ラックの搬送先決定”の処理が終了する。
【0107】
ここで、上流側からユニット(装置)がどのような順で配置されているかの情報と、各ユニット(装置)を特定するための情報(以下、「構成情報」という)が、あらかじめ搬送コントローラ6のハードディスク603に記憶されている。搬送コントローラ6の制御部601は、起動時に構成情報を読み出してメモリ601aに展開し、上記S103、S104に示したように、容器Tの保持位置またはラックIDの下2桁に応じた搬送先を決定する。
【0108】
なお、送出ユニット23から送出されたラックLは、各保持位置の容器Tが搬送先において処理に供されるよう、搬送ユニット31〜34によって搬送される。このとき、搬送ユニット31〜34は、搬送コントローラ6の制御部601に従って、ラックLを搬送すると共に、図4に示した複数のセンサによって検出されるラックLの搬送位置を搬送コントローラ6に送信する。搬送されたラックLが、搬送先のユニット(装置)の手前側に位置する搬送ユニットの供給ライン右端位置に位置付けられると、このラックLは、ラック押出し機構342により、右テーブル310に押し出される。ラックLが右テーブル310に押し出された後の処理については、追って図14〜17を参照して説明する。
【0109】
図13は、特殊ラックに保持されている容器Tが、どのユニット(装置)に搬送されるかを説明する図である。ここで、同図(a)に示す如く、便宜上、図1に示した3台の測定ユニット41を、右からH1、H2、H3と、塗抹標本作製装置5をSP1と称することにする。図13(b)〜(g)は、それぞれ、ラックIDが各図に示すように設定されている場合の容器Tの搬送先を示す図である。また、同図(b)〜(g)に示す如く、各特殊ラックには、保持位置1、2、4、6、7に容器Tが保持されているものとする。
【0110】
同図(b)は、ラックIDが“SRRA00”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは通常洗浄用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は全てのユニット(装置)であり、容器Tの保持位置に応じて搬送先が決定されるこ
とが分かる。これにより、保持位置1、2、4に保持されている洗浄液を収容する容器Tの搬送先は、それぞれ、H1、H2、SP1に決定される。H3に対応する保持位置3には容器Tが保持されていないため、ラックLはH3に搬送されない。なお、ここでは、保持位置6、7に対応するユニット(装置)が存在しないため、保持位置6、7に保持されている容器Tは、何れのユニット(装置)にも搬送されない。
【0111】
同図(c)は、ラックIDが“SRRH00”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは通常洗浄用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は測定ユニットのみであり、容器Tの保持位置に応じて搬送先が決定されることが分かる。これにより、保持位置1、2に保持されている洗浄液を収容する容器Tの搬送先は、それぞれ、H1、H2に決定される。なお、この場合の搬送対象は測定ユニット(3台)のみであるため、ラックLの右から3つの保持位置1、2、3のみが、搬送対象を決定するのに有効な保持位置となる。このため、保持位置4、6、7に保持されている容器Tは、何れのユニット(装置)にも搬送されない。
【0112】
同図(d)は、ラックIDが“SRRS00”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは通常洗浄用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は塗抹標本作製装置のみであり、容器Tの保持位置に応じて搬送先が決定されることが分かる。これにより、保持位置1に保持されている容器Tの搬送先は、SP1に決定される。なお、この場合の搬送対象は塗抹標本作製装置(1台)のみであるため、ラックLの右から1つの保持位置1のみが、搬送対象を決定するのに有効な保持位置となる。このため、保持位置2、4、6、7に保持されている容器Tは、何れのユニット(装置)にも搬送されない。
【0113】
同図(e)は、ラックIDが“SRSA02”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLはシャットダウン洗浄用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は全てのユニット(装置)であり、ラックIDの下2桁が“02”であるため、このラックLの搬送先は搬送対象の2番目のユニット(装置)であることが分かる。これにより、ラックLに保持されている全ての容器Tの搬送先は、H2に決定される。なお、この場合のシャットダウンは、ラックLに保持されている最後の容器Tに収容されている洗浄液によって、洗浄が終了した後に行われる。すなわち、保持位置7、6、4、2、1の順に、容器T内の洗浄液が洗浄に使用され、保持位置1の容器T内の洗浄液が洗浄に使用された後、H2のシャットダウンが行われる。
【0114】
同図(f)は、ラックIDが“SRQH03”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは精度管理測定用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は測定ユニットのみであり、搬送先は搬送対象の3番目のユニット(装置)であることが分かる。これにより、ラックLに保持されている全ての容器Tの搬送先は、H3に決定される。
【0115】
同図(g)は、ラックIDが“SRNS01”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは再検用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は塗抹標本作製装置のみであり、搬送先は搬送対象の1番目のユニット(装置)であることが分かる。これにより、ラックLに保持されている全ての容器Tの搬送先は、SP1に決定される。
【0116】
図14(a)は、搬送コントローラ6の処理を示すフローチャートである。
【0117】
上述したように、ラックLは、搬送先のユニット(装置)に対応する搬送ユニットの供給ライン右端位置に位置付けられると、右テーブル310に押し出される。このとき、搬
送ユニットは、右テーブル310にラックLを押し出したことを示す通知(以下、「押し出し通知」という)を搬送コントローラ6に送信する。
【0118】
搬送コントローラ6の制御部601は、押し出し通知を受信すると(S31:YES)、右テーブル310に押し出されたラックLのラック情報と、測定オーダと、搬送先を、ハードディスク603から読み出す(S32)。
【0119】
続いて、制御部601は、押し出し通知を送信した搬送ユニットに対応するユニット(装置)で容器Tから吸引を行うか否かの情報(以下、「吸引要否」という)を決定する(S33)。吸引要否は、各容器Tの搬送先が、押し出し通知を送信した搬送ユニットに対応するユニット(装置)に一致している場合“要”となり、一致していない場合“不要”となる。
【0120】
図11を参照して、図示のラックLは、H2(右から2番目の測定ユニット41)に対応する搬送ユニット31の右テーブル310に押し出されたとする。このとき、保持位置2に保持されている容器Tの搬送先のみがH2であるため、保持位置2の吸引要否は“要”となり、保持位置2以外の吸引要否は“不要”となる。
【0121】
図14(a)に戻って、次に、制御部601は、情報処理ユニット42または搬送ユニット34に吸引指示を送信する(S34)。具体的には、制御部601は、搬送ユニット31〜33から押し出し通知を受信した場合、情報処理ユニット42に吸引指示を送信し、搬送ユニット34から押し出し通知を受信した場合、搬送ユニット34に吸引指示情報を送信する。吸引指示情報には、ラックLのラック情報と、各保持位置の容器Tについての吸引要否が含まれる。ここで、各保持位置の容器Tについての吸引要否は、ステップS33の決定に従う。また、このラックLが通常ラックまたは再検用ラックである場合、吸引指示情報には、容器Tに対応付けられた測定オーダが含まれる。
【0122】
このように、搬送コントローラ6において、押し出し通知を受信するごとにS31〜S34の処理が繰り返し行われる。
【0123】
図14(b)は、情報処理ユニット42の処理を示すフローチャートである。
【0124】
情報処理ユニット42の制御部421は、搬送コントローラ6から吸引指示情報を受信すると(S41:YES)、この吸引指示情報の元となったラックLの位置付けられている搬送ユニットと、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41の動作制御を行う(S42)。
【0125】
ラックLが測定ラインに沿って搬送され、吸引指示に含まれる吸引要否が“要”となっている容器Tが、測定ユニット41内に移動されると、制御部421は、測定ユニット41内に移動された容器Tの容器IDを、バーコードリーダ412(図7参照)で読み取る(S43)。
【0126】
続いて、制御部421は、S41で受信した吸引指示情報に含まれるラックIDを参照して、この容器Tが保持されていたラックLが特殊ラックであるかを判定する(S44)。ラックLが特殊ラックであると(S44:YES)、制御部421は、“特殊動作の決定”の処理を行い(S45)、“特殊動作の決定”の処理(追って、図17を参照して説明)で決定された特殊動作内容に従って、測定ユニット41の動作制御を行う(S46)。他方、ラックLが特殊ラックでない、すなわち、通常ラックであると(S44:NO)、この容器Tに収容されている検体を測定するよう、測定ユニット41の動作制御を行う(S47)。
【0127】
次に、制御部421は、ラックLに保持されている吸引要否が“要”となっている全ての容器Tについて、処理が終了したかを判定する(S48)。全ての容器Tについて処理が終了していると(S48:YES)、処理がS41に戻される。他方、全ての容器Tについて処理が終了していないと(S48:NO)、全ての容器Tについての処理が終了するまで、S43〜S47の処理が行われる。
【0128】
このように、制御部421は、搬送コントローラ6から吸引指示情報を受信するごとにS41〜S48の処理を繰り返し行う。
【0129】
図15(a)は、搬送ユニット34の処理を示すフローチャートである。
【0130】
搬送ユニット34の制御部341は、搬送コントローラ6から吸引指示情報を受信すると(S51:YES)、搬送ユニット34の各部を制御して、この吸引指示情報の元となったラックLを測定ラインに沿って搬送する。
【0131】
吸引指示情報に含まれる吸引要否が“要”となっている容器Tがバーコードリーダ343(図8参照)の手前に位置付けられると、制御部341は、この容器Tの容器IDを、バーコードリーダ343で読み取る(S52)。制御部341は、吸引指示に含まれるラックIDと、S52で読み取った容器IDを塗抹標本作製装置5に送信する(S53)。
【0132】
続いて、制御部341は、ラックLに保持されている吸引要否が“要”となっている全ての容器Tについて、処理が終了したかを判定する(S54)。全ての容器Tについて処理が終了していると(S54:YES)、処理がS51に戻される。他方、全ての容器Tについて処理が終了していないと(S54:NO)、全ての容器Tについての処理が終了するまで、S52、S53の処理が行われる。
【0133】
このように、制御部341は、搬送コントローラ6から吸引指示情報を受信するごとにS51〜S54の処理を繰り返し行う。
【0134】
図15(b)は、塗抹標本作製装置5の処理を示すフローチャートである。
【0135】
塗抹標本作製装置5の制御部501は、搬送ユニット34からラックIDと容器IDを受信すると(S61:YES)、このラックLが特殊ラックであるかを判定する(S62)。このラックLが特殊ラックであると(S62:YES)、“特殊動作の決定”の処理(追って、図17を参照して説明)を行い(S63)、このラックLが特殊ラックでない、すなわち、通常ラックであると(S62:NO)、当該ラックLに対する動作の内容を通常の塗抹標本作製のための動作に決定して(S64)、処理がS61に戻される。
【0136】
図16(a)は、搬送ユニット34の処理を示すフローチャートである。
【0137】
搬送ユニット34の制御部341は、吸引要否が“要”の容器Tが供給位置に位置付けられたと判定すると(S71:YES)、この容器Tの吸引を行うよう、塗抹標本作製装置5に吸引指示を送信し(S72)、処理がS71に戻される。
【0138】
図16(b)は、塗抹標本作製装置5の処理を示すフローチャートである。
【0139】
塗抹標本作製装置5の制御部501は、搬送ユニット34から吸引指示を受信すると(S81:YES)、図15のS63またはS64で決定された動作内容に従って、塗抹標本作製装置5の動作制御を行う(S82)。すなわち、制御部501は、特殊動作を行う
場合、供給位置に位置付けられた容器T内の液体を吸引し、かかる液体を用いて、決定された特殊動作を行うよう、塗抹標本作製装置5の動作制御を行う。また、通常動作を行う場合、供給位置に位置付けられた容器T内の検体を吸引し、塗抹標本を作製するよう、塗抹標本作製装置5の動作制御を行う。しかる後に、処理がS81に戻される。
【0140】
図17は、“特殊動作の決定”の処理を示すフローチャートである。この処理は、図14のS45では、情報処理ユニット42の制御部421によって行われ、図15のS63では、塗抹標本作製装置5の制御部501によって行われる。
【0141】
“特殊動作の決定”の処理を行う制御部は、ラックIDを参照して、このラックLが精度管理測定用ラックであると判定すると(S201:YES)、このラックLに保持されている容器Tの特殊動作内容を精度管理測定に決定する(S202)。
【0142】
制御部は、このラックLが精度管理測定用ラックでなく(S201:NO)、シャットダウン洗浄用ラックであると判定すると(S203:YES)、このラックLに保持されている容器Tの特殊動作内容を、洗浄動作後に測定ユニット41または塗抹標本作製装置5をシャットダウンする動作(シャットダウン動作)に決定する(S204)。
【0143】
制御部は、このラックLがシャットダウン洗浄用ラックでなく(S203:NO)、通常洗浄用ラックであると判定すると(S205:YES)、このラックLに保持されている容器Tの特殊動作内容を通常の洗浄動作に決定する(S206)。
【0144】
制御部は、このラックLが通常洗浄用ラックでないと判定すると、すなわち、このラックLが再検用ラックであると判定すると(S205:NO)、このラックLに保持されている容器Tの特殊動作内容を検体の再検査に決定する(S207)。
【0145】
このようにして、“特殊動作の決定”の処理が終了する。
【0146】
以上、本実施の形態によれば、特殊ラックに容器Tが保持されている場合、保持されている容器Tの保持位置に応じて搬送先のユニット(装置)が決定される。これにより、ユーザは、ラックLの保持位置に容器Tをセットするだけで、セットした保持位置に対応するユニット(装置)に容器Tを搬送することができる。
【0147】
また、本実施の形態によれば、図13に示すように、ラックLに保持されている容器Tの保持位置と、ユニットの並び順とが対応付けられるため、ユーザは容器Tの搬送先を視覚的および直感的に把握することができる。
【0148】
また、本実施の形態によれば、ユニット(装置)の構成情報に基づいて、保持位置に応じた搬送先が決定される。このため、ユニット(装置)の配置を変更した場合でも、構成情報を変更するだけで、容器Tの保持位置と搬送先のユニット(装置)の対応付けを容易に修正することができる。
【0149】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0150】
たとえば、上記実施の形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する検体処理システムにも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体処理システムに本発明を適用することもできる。
【0151】
また、上記実施の形態では、搬送対象のグループ内のユニット(装置)を搬送方向の上流側(図1の右側)から順にU1、U2、U3、…とすると、保持位置1、2、3、…は、それぞれ、U1、U2、U3、…に対応付けられたが、これに限らず、保持位置10、9、8、…が、それぞれ、U1、U2、U3、…に対応づけられても良い。
【0152】
また、上記実施の形態では、情報処理ユニット42の制御部421が各測定ユニット41の動作制御を行ったが、これに限らず、搬送コントローラ6の制御部601が直接、各測定ユニット41の動作制御を行っても良い。
【0153】
また、上記実施の形態では、ラックLに貼付されたバーコードラベルBL2から読み出されたラックIDによりラックLの識別を行っているが、これに限らず、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、ラックLの形状、ラックLの色などによってラックLの識別を行っても良い。また、容器Tに貼付されたバーコードラベルBL1から読み出された容器IDにより、この容器Tが保持されているラックLの識別を行っても良い。
【0154】
なお、特殊ラックであること、および、その特殊ラックで行われる動作内容をユーザが認識可能とするための情報を、特殊ラックに持たせても良い。たとえば、特殊ラックで行われる動作内容に応じた色や標識等を、特殊ラックに付与するようにしても良い。
【0155】
図18は、色によって動作内容を識別可能なラックLを示す図である。
【0156】
図示のように、ラックLの上面には色が付されている。このラックLが、シャットダウン洗浄用ラックである場合と、通常洗浄用ラックである場合と、精度管理測定用ラックである場合と、再検用ラックである場合には、上面に付される色は、たとえば、それぞれ、黄色、青色、緑色、赤色とされる。こうすると、ユーザは、特殊ラックが搬送先に搬送されたとき、搬送先で実行される特殊動作内容を視覚的に識別することができる。なお、同図に示すように、ラックLの上面に色が付されることに替えて、ラックLの上面に、特殊動作内容を示すシールが貼付されるようにしても良い。
【0157】
また、上記実施の形態では、検体処理装置1に3台の測定ユニット41と1台の塗抹標本作製装5が含まれたが、これに限らず、検体処理装置1には、4台以上の搬送ユニットが含まれるようにしても良く、また、2台以上の塗抹標本作製装置が含まれるようにしても良い。
【0158】
図19は、検体処理装置1に4台の測定ユニットと2台の塗抹標本作製装置が含まれる場合に、特殊ラックLに保持されている容器Tが、どのユニット(装置)に搬送されるかを説明する図である。この場合の検体処理装置1には、同図(a)に示す如く、右から順に、測定ユニットH1、H2、H3、H4と、塗抹標本作製装置SP1、SP2が配置されている。この場合も、上記実施の形態と同様に、ラックIDと容器Tの保持位置から、同図(b)〜(g)に示すように各容器Tの搬送先が決定される。
【0159】
また、上記実施の形態では、“特殊動作の決定”の処理は、情報処理ユニット42の制御部421と塗抹標本作製装置5の制御部501によって行われたが、これに限らず、搬送コントローラ6の制御部601によって行われても良い。この場合、制御部601によって決定された特殊動作内容が、吸引指示情報に含まれるようにしても良い。
【0160】
また、上記実施の形態において、測定ユニット41と塗抹標本作製装置5の吸引動作が行われる前に、容器IDがラックLの種類に対応しているかを判定するようにしても良い。こうすると、たとえば、洗浄用ラックに洗浄液以外の液体を収容する容器Tが保持されている場合や、精度管理測定用ラックに精度管理試料以外の液体を収容する容器Tが保持
されている場合や、再検用ラックおよび通常ラックに検体以外の液体を収容する容器Tが保持されている場合に、吸引を中止(スキップ)させることができる。
【0161】
また、上記実施の形態では、上流側からユニット(装置)がどのような順で配置されているかの情報と、各ユニット(装置)を特定するための情報(構成情報)に基づいて、図12のS103、S104に示したように、保持位置に応じた搬送先が決定された。しかしながら、これに限らず、保持位置とユニット(装置)との対応関係が搬送コントローラ6のハードディスク603に記憶され、かかる対応関係に基づいて、保持位置に応じた搬送先が決定されるようにしても良い。
【0162】
また、上記実施の形態では、再検用検体を収容する容器Tは、再検用ラックを用いて搬送されたが、これに限らず、通常ラックに再検用検体を収容する容器Tを保持させても良い。この場合、当該通常ラックに対する動作が再検であることは、たとえば、搬送コントローラ6、情報処理ユニット42、またはその他のコンピュータを介して、ユーザにより設定される。こうすると、動作内容が再検であることの設定がユーザにおいて必要となるものの、上記実施の形態と同様、容器Tの保持位置によって搬送先が決定されるため、ユーザにかかる作業負担を軽減することができる。同様に、洗浄液や精度管理試料を収容する容器Tを通常ラックに保持させ、当該通常ラックに対する動作内容(通常洗浄、洗浄後シャットダウン、精度管理)はユーザが設定するようにしても良い。
【0163】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0164】
1 … 検体処理装置
232 … バーコード読取部
31〜34 … 搬送ユニット
41 … 測定ユニット
421 … 制御部
5 … 塗抹標本作製装置
501 … 制御部
601 … 制御部
L … ラック
T … 容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検体処理部と、容器を保持可能なラックをこれら複数の検体処理部に搬送する搬送ユニットとを備える検体処理装置およびラック搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器を保持したラックを複数の検体処理部に搬送する検体処理装置が知られている。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1には、複数の分析ユニットと、検体または洗浄液が収容された容器が載置されたラックを分析ユニットに搬送する搬送ラインと、ラックを搬送ラインに投入するラック投入部と、全体管理用コンピュータとを備えた自動分析装置が開示されている。この自動分析装置では、洗浄液が収容された容器が載置された洗浄用ラックの供給先を設定するための設定画面が全体管理用コンピュータに表示される。ユーザは、洗浄用ラックを自動分析装置に投入する前に操作部を操作し、設定画面を介して洗浄用ラックの供給先を設定する。その後、供給先として設定された分析ユニットに搬送ラインによって洗浄用ラックが搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−270869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の自動分析装置では、ユーザは操作部を操作して設定画面を介して洗浄用ラックの供給先となる分析ユニットを設定する必要がある。これにより、ユーザは、面倒な作業負担を強いられることとなる。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの作業負担をより軽減することが可能な検体処理装置およびラック搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、検体処理装置に関する。この態様に係る検体処理装置は、複数の検体処理部と、複数の保持位置で容器を保持可能なラックを前記複数の検体処理部のいずれかに搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されるラックに保持された容器を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて特定される、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、決定された検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本態様に係る検体処理装置によれば、ユーザがラックの何れかの保持位置に容器を載置するだけで、容器が載置された保持位置に対応する検体処理部に、ラックが搬送される。これにより、ユーザにかかる作業負担を軽減しながら、所望の検体処理部にラックを搬送することが可能となる。
【0009】
本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記ラックにおける容器の保持位置、および、前記複数の検体処理部の配置に基づいて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する構成とされ得る。こうすると、複数の検体処理部の配置に応じてラックの搬送先となる検体処理部が決定されるため、検体処理部の配置が変更されても、ラックを
目的の検体処理部に搬送することが可能となる。
【0010】
この場合に、前記複数の検体処理部は、前記搬送部によるラックの搬送方向に沿って配置され、前記複数の保持位置は、一列に並んでおり、前記制御部は、前記ラックにおける容器の保持位置、並びに、前記搬送方向に沿った前記複数の検体処理部の並び順および前記複数の保持位置の並び順に基づいて、前記搬送先となる検体処理部を決定する構成とされ得る。こうすると、何れの保持位置と何れの検体処理部とが対応しているかを、ユーザが容易に認識することができる。
【0011】
また、この場合に、前記制御部は、前記ラックの所定の保持位置から前記搬送方向の下流側へi番目の保持位置に容器が保持されている場合には、所定の検体処理部から前記搬送方向の下流側へi番目の検体処理部を、前記搬送先となる検体処理部として決定する構成とされ得る。こうすると、搬送方向の順に検体処理部と保持位置とが対応付けられているため、何れの保持位置と何れの検体処理部とが対応しているかを、ユーザが直感的に認識することができる。
【0012】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記ラックの第1保持位置および第2保持位置のそれぞれに容器が保持されている場合、前記第1保持位置に対応する前記第1検体処理部に前記ラックを搬送した後、前記第2保持位置に対応する前記第2検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する構成とされ得る。こうすると、1つのラックを用いて複数の検体処理部に連続して容器を供給することができる。
【0013】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部は、検体を収容するとともに当該検体の識別情報が付された容器を保持する第1ラック、および、検体処理動作とは異なる所定の動作に用いられる液体を収容した容器を保持する第2ラックを搬送可能であり、前記制御部は、前記搬送部により搬送されるラックを識別し、当該ラックが前記第1ラックである場合には、前記第1ラックに保持された容器に付された識別情報に基づいて、前記第1ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、前記搬送部により搬送されるラックが前記第2ラックである場合には、前記第2ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記第2ラックの搬送先となる検体処理部を決定する構成とされ得る。こうすると、検体を搬送する場合には、検体の識別情報に応じて搬送先を決定し、検体処理動作とは異なる所定の動作に用いられる液体を搬送する場合には、容器の保持位置に応じて搬送先を決定するため、ユーザにかかる作業負担をできるだけ軽減しながら、検体または液体を、対応する検体処理部に搬送することができる。
【0014】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記ラックに保持された容器内に、再検査を受ける検体、検体処理部の洗浄に用いられる洗浄液、検体処理部の精度管理に用いられる精度管理試料のいずれかが収容されている場合、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する構成とされ得る。こうすると、検体の再検査を行う場合のラックの搬送先を容易に指定することができるため、例えば、一回目の検査を行った検体処理部とは異なる検体処理部で再検査を行いたい場合に、容易にその検体処理部を搬送先に指定することができる。
【0015】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記制御部は、前記搬送部により搬送されるラックを識別し、当該ラックが所定の検体処理部に対応付けられたラックである場合には、対応する前記検体処理部を搬送先として決定する構成とされ得る。こうすると、搬送されるラックを変更するだけでもラックの搬送先を指定することができるので、ユーザにかかる作業負担をさらに軽減することができる。
【0016】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックを識別
し、その識別結果に応じて、前記ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を決定する動作決定部をさらに備え、前記ラックの搬送先の検体処理部は、前記動作決定部により決定された動作内容に応じた動作を実行する構成とされ得る。こうすると、搬送するラックを変更するだけで検体処理部に実行させる動作内容を変更させることができるので、ユーザの作業負担をさらに軽減させることができる。
【0017】
なお、動作決定部は、前記搬送部を制御する前記制御部に含めても良く、あるいは、前記制御部とは別に前記検体処理部を制御する他の制御部がある場合は、当該他の制御部に含めても良い。前記搬送部を制御する前記制御部が前記検体処理部の制御をも行う場合、動作決定部は、前記搬送部を制御する前記制御部に含まれる。
【0018】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックは、検体処理部の洗浄に用いられる洗浄液を収容した容器を保持する洗浄用ラックを含み、前記動作決定部は、前記搬送部により搬送されるラックが前記洗浄用ラックであると識別した場合には、前記洗浄用ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を、前記洗浄液を用いた洗浄動作に決定する構成とされ得る。
【0019】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックは、検体処理部の精度管理に用いられる精度管理試料を収容した容器を保持する精度管理用ラックを含み、前記動作決定部は、前記搬送部により搬送されるラックが前記精度管理用ラックであると識別した場合には、前記精度管理用ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を、前記精度管理試料を用いた精度管理測定に決定する構成とされ得る。
【0020】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックには、当該ラックを識別するための識別情報が付され、検体処理装置は、前記搬送部により搬送されるラックの識別情報を読み取る読取部をさらに備える構成とされ得る。ここで、前記制御部は、前記読取部により読み取られた識別情報に基づいて、前記ラックを識別する構成とされ得る。こうすると、ラックの形状、色などによってラックの識別を行う場合に比べて、簡易にラックの識別を行うことができる。
【0021】
また、本態様に係る検体処理装置において、前記搬送部により搬送されるラックには、当該ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容をユーザに提示するための情報提示部が設けられ得る。この場合、情報提示部は、たとえば、前記動作内容に応じた色をユーザに提示するよう構成され得る。こうすると、ユーザは、ラック搬送先の検体処理部に行わせたい動作内容に応じて、簡易にラックを選ぶことができる。
【0022】
本発明の第2の態様は、検体処理装置に関する。この態様に係る検体処理装置は、複数の検体処理部と、複数の保持位置で容器を保持可能なラックを前記複数の検体処理部のいずれかに搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されるラックに保持された容器を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて特定される、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する搬送制御手段と、を備える。
【0023】
本態様に係る検体処理装置によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【0024】
本発明の第3の態様は、ラック搬送方法に関する。この態様に係るラック搬送方法は、複数の容器を保持可能なラックにおいて容器が保持されている保持位置を特定し、特定された保持位置に応じて、複数の検体処理部の中から前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、決定された検体処理部に前記ラックを搬送する、各ステップを有する。
【0025】
本態様に係るラック搬送方法によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、ユーザの作業負担をより軽減することが可能な検体処理装置およびラック搬送方法を提供することができる。
【0027】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態に係る検体処理装置を上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。
【図2】実施の形態に係る容器およびラックの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る投入ユニットおよび送出ユニットを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図4】実施の形態に係る搬送ユニットを上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図5】実施の形態に係る検体処理装置の各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【図6】実施の形態に係る搬送コントローラ、送出ユニットおよび投入ユニットの構成の概要を示す図である。
【図7】実施の形態に係る搬送ユニット、測定ユニットおよび情報処理ユニットの構成の概要を示す図である。
【図8】実施の形態に係る搬送ユニットおよび塗抹標本作製装置の構成の概要を示す図である。
【図9】実施の形態に係る特殊ラックのラックIDの構成を示す図である。
【図10】実施の形態に係る搬送コントローラの処理を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態に係る搬送コントローラのハードディスクに書き込まれる情報を論理的に示す図である。
【図12】実施の形態に係る“特殊ラックの搬送先決定”の処理を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係る特殊ラックに保持されている容器が、どのユニット(装置)に搬送されるかを説明する図である。
【図14】実施の形態に係る搬送コントローラおよび情報処理ユニットの処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る搬送ユニットおよび塗抹標本作製装置の処理を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態に係る搬送ユニットおよび塗抹標本作製装置の処理を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態に係る“特殊動作の決定”の処理を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態の変更例に係る色によって動作内容を識別可能なラックを示す図である。
【図19】実施の形態に係る検体処理装置の変更例において、特殊ラックに保持されている容器が、どのユニット(装置)に搬送されるかを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための検体処理装置に本発明を適
用したものである。本実施の形態に係る検体処理装置は、3台の測定ユニットと、1台の塗抹標本作製装置を備えている。3台の測定ユニットでは、血液分析が並行して行われ、その分析結果に基づき塗抹標本の作製が必要である場合に、塗抹標本作製装置により塗抹標本が作製される。
【0030】
以下、本実施の形態に係る検体処理装置について、図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、検体処理装置1を上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。本実施の形態に係る検体処理装置1は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送ユニット31〜34と、3台の測定ユニット41と、情報処理ユニット42と、塗抹標本作製装置5と、搬送コントローラ6から構成されている。また、本実施の形態の検体処理装置1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ7と通信可能に接続されている。
【0032】
回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23は、それぞれ、10本の容器Tが保持可能な複数のラックLが載置可能となるよう構成されている。
【0033】
図2は、容器TとラックLの構成を示す図である。同図(a)は、容器Tの外観を示す斜視図であり、同図(b)は、10本の容器Tが保持されているラックLの外観を示す斜視図である。なお、同図(b)には、ラックLが投入ユニット22に載置されるときの向き(図1の前後左右の方向)が併せて示されている。
【0034】
図2(a)を参照して、容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。バーコードラベルBL1には、容器IDを示すバーコードが印刷されている。
【0035】
図2(b)を参照して、ラックLには、10本の容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持することが可能となるよう、図示の如く保持位置1〜10に10個の保持部が形成されている。また、ラックLの後方側面には、図示の如く、バーコードラベルBL2が貼付されている。バーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。ラックIDは、6桁の情報(アルファベット、数字または記号)から構成されている。
【0036】
なお、容器Tには、検体の他に、洗浄液または精度管理試料が収容される場合がある。また、検体が収容されている容器Tについて、1回目の測定が終了した後、さらに2回目以降の測定が行われる場合がある。容器Tに、洗浄液または精度管理試料が収容されている場合と、2回目以降の測定を行う検体(以下、「再検用検体」という)が収容されている場合については、追って説明する。以下では、まず、容器Tに1回目の測定を行う検体(以下、「通常検体」という)が収容され、ラックLには通常検体を収容する容器Tのみが保持されている場合について説明する。
【0037】
図1に戻って、回収ユニット21は、後述する回収ラインを通って回収されたラックLを収容する。投入ユニット22は、ユーザが投入したラックLを収容し、収容しているラックLを送出ユニット23に送出する。送出ユニット23は、ラックLのラックIDおよび容器Tの容器IDを読み取るためのバーコード読取部232を備える。バーコード読取部232には、容器T検出用の光学センサ232s(図3参照)が設けられており、投入ユニット22から送出されたラックLがバーコード読取部232によるバーコード読取位置に到達したときに、光学センサ232sによって容器Tの有無が検出され、その後、バ
ーコードラベルBL2からラックIDが読み出され、バーコードラベルBL1から容器IDが読み出される。読み出されたラックIDは搬送コントローラ6に送信される。また、読み出された容器IDは、容器Tの保持位置番号に対応付けられて搬送コントローラ6へ送信される。ラックLのラックID、および、ラックLの保持位置に対応付けられた容器Tの容器IDを纏めて「ラック情報」という。また、送出ユニット23は、バーコードの読み取りが完了したラックLを搬送ユニット31に送出する。
【0038】
搬送ユニット31〜34は、ラックLの受け渡しが可能となるよう左右方向に互いに接続されている。搬送ユニット31の右端は、ラックLの受け渡しが可能となるよう送出ユニット23に接続されている。搬送ユニット31〜33は、図示の如く、それぞれ、3台の測定ユニット41の前方に配置されており、搬送ユニット34は、図示の如く、塗抹標本作製装置5の前方に配置されている。
【0039】
搬送ユニット31〜33には、図示の如く、それぞれに対応する測定ユニット41にラックLが搬送される場合と搬送されない場合とに分けて、2通りの搬送ラインが設定されている。すなわち、測定ユニット41で測定が行われる場合は、後方のコの字型の矢印で示された“測定ライン”に沿ってラックLが搬送される。測定ユニット41で測定が行われず、下流側(左側)で測定または塗抹標本の作製が行われる場合は、当該測定ユニット41をスキップするよう、中段の左向きの矢印で示された“供給ライン”に沿ってラックLが搬送される。また、搬送ユニット31〜33には、図示の如く、ラックLを回収ユニット21に搬送するための右向きの搬送ラインが設定されている。すなわち、下流側(左側)で測定または塗抹標本の作製が行われる必要がなくなったラックLは、前方の右向きの矢印で示された“回収ライン”に沿って搬送され、回収ユニット21に回収される。なお、搬送ユニット31〜33と同様、搬送ユニット34にも、図示の如く、測定ラインと、供給ラインと、回収ラインとが設定されている。
【0040】
3台の測定ユニット41は、それぞれ前方に配置された搬送ユニット31〜33の測定ライン上の所定の位置において、ラックLから容器Tを抜き出して、この容器Tに収容された検体を測定する。すなわち、測定ユニット41は、ラックLから抜き出した容器Tを測定ユニット41内に移動させて、この容器Tに収容されている検体を測定する。測定ユニット41内での測定が完了すると、測定ユニット41は、この容器Tを再び元のラックLの保持位置に戻す。
【0041】
情報処理ユニット42は、3台の測定ユニット41と通信可能に接続されており、3台の測定ユニット41の動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7と通信ネットワークを介して通信可能に接続されており、測定ユニット41で測定される検体の測定オーダをホストコンピュータ7に問い合わせる。すなわち、測定ユニット41内に移動された容器Tの容器IDが、測定ユニット41内のバーコードリーダ412(図7参照)により読み取られると、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7にこの検体の測定オーダの問い合わせを行う。しかる後、情報処理ユニット42は、ホストコンピュータ7から受信した測定オーダに基づき、測定ユニット41の測定動作を制御する。また、情報処理ユニット42は、測定ユニット41で行われた測定結果に基づいて分析を行う。
【0042】
塗抹標本作製装置5は、前方に配置された搬送ユニット34の測定ライン上の所定の位置において、容器Tに収容されている検体を吸引して、この検体の塗抹標本を作製する。なお、塗抹標本の作製の要否は、情報処理ユニット42で行われる分析結果に基づいて、搬送コントローラ6によって判定される。搬送コントローラ6により塗抹標本の作製が必要と判定されると、対象となる検体を収容するラックLは、搬送ユニット34の測定ラインに沿って搬送され、塗抹標本作製装置5において塗抹標本の作製が行われる。
【0043】
搬送コントローラ6は、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、搬送ユニット31〜34と通信可能に接続されており、各ユニットの駆動を制御する。また、搬送コントローラ6は、ホストコンピュータ7と通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。搬送コントローラ6は、送出ユニット23からラック情報を受信すると、ホストコンピュータ7へ測定オーダの問い合わせを行う。また、搬送コントローラ6は、送出ユニット23から送出されるラックLの搬送先を決定する。
【0044】
図3は、投入ユニット22と送出ユニット23を上側からみた場合の構成を示す平面図である。なお、同図において、回収ラインに沿ってラックLを右方向に搬送する部分については、便宜上、図示が省略されている。
【0045】
投入ユニット22の搬送路221上にラックLが投入されると、ラック送込機構222がラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、このラックLが搬送路221の後方位置に送られる。搬送路221の後方位置に位置付けられたラックLは、ラック送出機構223によってラックLの右側面が押されることにより、送出ユニット23の搬送路231の後方位置に送出される。搬送路231の後方位置において、バーコード読取部232により、ラック情報が読み取られる。
【0046】
次に、搬送路231の後方位置に位置付けられたラックLは、ラック送込機構233により、搬送路231の後方位置からラックLの前後方向の幅だけ前方に移動した位置に送られる。続いて、ラック送込機構234がラックLの後端に係合した状態で前方に移動し、このラックLが搬送路231の前方位置に送られる。搬送路231の前方位置に位置付けられたラックLは、ラック送出機構235によってラックLの右側面が押されることにより、左方向に移動される。
【0047】
この場合に、ラックLが、搬送路231の前方位置から僅かに左側に移動されて、ラックLのバーコードラベルBL2が、バーコード読取部236の前方に位置付けられると、バーコード読取部236によりラックIDが読み取られる。このときのラックLの位置を、以下、「ラックID読取位置」と称することにする。送出ユニット23は、バーコード読取部236によりラックIDを読み取ると、搬送コントローラ6に、このラックIDと共に送出要求を送信する。搬送コントローラ6は、受信したラックIDに基づいて、このラックLの搬送先となる測定ユニット41または塗抹標本作製装置5を決定する。しかる後、ラックID読取位置に位置付けられているラックLは、ラック送出機構235によってさらに左方向に押し出され、搬送ユニット31に送出される。
【0048】
図4は、搬送ユニット31〜33を上側から見た場合の構成を示す平面図である。搬送ユニット31〜33は、右テーブル310と、ラック搬送部320と、左テーブル330と、ラック搬送部340、350とを備えている。右テーブル310と、ラック搬送部320と、左テーブル330とにより、図1の測定ラインが構成される。また、ラック搬送部340により図1の供給ラインが構成され、ラック搬送部350により図1の回収ラインが構成される。なお、搬送ユニット31〜33は、同様の構成である。
【0049】
上流側(右側)から送出されたラックLに対する測定が、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で行われない場合、このラックLは、ラック搬送部340のベルト341a、341bにより、ラック搬送部340の右端から左端へと供給ラインに沿って直線的に送られる。ラック搬送部340の左端近傍には、透過型のセンサ344a、344bが設置されている。センサ344a、344bにより、ラック搬送部340の左端位置に位置付けられたラックLが検出される。
【0050】
次に、上流側(右側)から送出されたラックLに対する測定が、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で行われる場合、このラックLは、ラック搬送部340の右端位置に位置付けられる。すなわち、壁部342aが、図示の状態から供給ライン上に僅かに出るよう、ラック押出し機構342が後方に移動される。これにより、上流側から送出されたラックLは壁部342aに当たって停止する。また、ラック搬送部340の右端位置の近傍には、透過型のセンサ343a、343bが設置されている。センサ343a、343bにより、ラック搬送部340の右端位置に位置付けられたラックLが検出される。
【0051】
続いて、ラック押出し機構342がさらに後方に移動することにより、このラックLが右テーブル310の搬送路311の前端に押し出される。透過型のセンサ312a、312bにより、搬送路311上のラックLが検出されると、ラック送込機構313がラックLの前端に係合した状態で後方に移動し、ラックLが後方に送られる。ラックLがラック搬送部320の右端位置まで送られると、ベルト321a、321bが駆動され、ラックLが左方向に送られる。
【0052】
その後、ラックLは、容器センサ322の位置へと到達する。容器センサ322は接触式のセンサである。容器センサ322の真下位置をラックLに保持された容器Tが通過すると、容器センサ322の接触片が容器Tにより屈曲されて、容器Tの存在が検出される。
【0053】
容器センサ322による容器Tの検出位置から容器T2つ分だけ左側の供給位置において、測定ユニット41のハンド部(図示せず)が、容器Tを把持してラックLから容器Tを取り出す。取り出された容器Tは、測定ユニット41内で測定に用いられた後、再びラックLに戻される。容器TがラックLへ戻されるまでの間、ラックLの搬送は待機される。
【0054】
こうして、ラックLに保持された容器Tのうち、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41で処理を行う全ての容器Tの処理が終了すると、ラックLは、ベルト321a、321bによって、ラック搬送部320の左端位置まで送られる。しかる後、ラックLは、ラック押出し機構323により、左テーブル330の搬送路331の後端に押し出される。透過型のセンサ332a、332bにより、搬送路331上にあるラックLが検出されると、ラック送込機構333がラックLの後端に係合した状態で前方に移動する。これにより、ラックLが前方に送られる。
【0055】
左テーブル330の前方近傍には、透過型のセンサ334a、334bが設置されている。センサ334a、334bにより、左テーブル330の前方位置に位置付けられたラックLが検出される。
【0056】
続いて、左テーブル330の前方にあって、ラック搬送部340と350の間にある仕切り部352が開閉制御され、ラックLが、ラック搬送部340、350の何れかに位置付けられる。
【0057】
ラックLに保持されている何れかの容器Tについて、下流側にある測定ユニット41または塗抹標本作製装置5において測定等の処理が必要である場合、仕切り部352によりラック搬送部340、350が仕切られた状態で、ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部340の左端位置まで移動される。しかる後、このラックLは、ラック搬送部340のベルト341bによって下流側の搬送ユニットに送出される。
【0058】
他方、ラックLに保持されている容器Tについて、いずれも下流側にある測定ユニット41または塗抹標本作製装置5において測定等の処理が必要でない場合、仕切り部352
の上面が、ラック搬送部340のベルト341bの上面と同じ高さまで下げられ、ラックLが、ラック送込機構333によりラック搬送部350の左端位置まで移動される。こうして、ラックLが、ラック送込機構333によって、左テーブル330からラック搬送部340を横切って、ラック搬送部350の左端位置まで移動される。ラック搬送部350の左端位置に位置付けられたラックLは、ラック搬送部350の左端位置近傍に設置された透過型のセンサ353a、353bにより検出される。しかる後、このラックLは、ラック搬送部350のベルト351により、回収ラインに沿って右方向に移動される。回収ラインに沿って搬送されたラックLは、回収ユニット21に収容される。
【0059】
なお、搬送ユニット34には、搬送ユニット31〜33と同様の構成に加えて、ラック搬送部320の右端近傍にバーコードリーダ343(図8参照)が設置されている。塗抹標本の作製が必要と判断された検体を含むラックLが、搬送ユニット34に搬送されると、このラックLは測定ラインに沿って搬送される。このとき、ラックLに保持されている容器Tの容器IDは、供給位置に到達する前に、バーコードリーダ343によって読み取られる。容器Tが供給位置に位置付けられると、容器Tから検体が吸引され、塗抹標本作製装置5において塗抹標本の作製が行われる。しかる後、このラックLは回収ラインに沿って、回収ユニット21に向けて右方向に搬送される。
【0060】
図5は、検体処理装置1の各ユニット(装置)の相互の接続関係を模式的に示す図である。
【0061】
ここで、搬送ユニット31〜33は、それぞれ、検体リレー部3a、検体供給部3bに分けて図示されている。具体的には、検体リレー部3aは、図4の左テーブル330と、ラック搬送部340、350を含む部分であり、隣り合う2台の搬送ユニットのうちの一方からラックLを受け取り、他方の搬送ユニットに搬送する。検体供給部3bは、図4の右テーブル310とラック搬送部320を含む部分であり、測定ユニット41による検体の測定のために、ラックLを供給位置に搬送する。
【0062】
集線装置11には、回収ユニット21と、投入ユニット22と、送出ユニット23と、3台の検体リレー部3aと、搬送ユニット34と、搬送コントローラ6が、通信可能となるよう接続されている。集線装置12には、3台の検体リレー部3aと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置13には、3台の検体供給部3bと、情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。集線装置14には、3台の測定ユニット41と情報処理ユニット42が通信可能となるよう接続されている。
【0063】
図6は、搬送コントローラ6と、送出ユニット23と、投入ユニット22の構成の概要を示す図である。
【0064】
搬送コントローラ6は、制御部601と、通信部602と、ハードディスク603とを備える。また、制御部601はメモリ601aを備える。
【0065】
制御部601は、メモリ601aまたはハードディスク603に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、他のユニット(装置)を制御する。メモリ601aは、ハードディスク603に記憶されているコンピュータの読み出しに用いられる他、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、作業領域としても利用される。なお、制御部601に限らず、後述する他のユニット(装置)の制御部もメモリを備えている。
【0066】
通信部602は、Ethernet(登録商標)規格に基づいて外部の装置とデータ通信を行うための通信インターフェースを備え、集線装置11との間でデータ通信を行う。ハードデ
ィスク603には、他のユニット(装置)を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。また、ハードディスク603には、送出ユニット23から送出されるラックLの搬送先を決定するためのコンピュータプログラムと、後述するラックLの保持位置に対応する測定ユニット41または塗抹標本作製装置5を決定するためのコンピュータプログラムが記憶されている。また、ハードディスク603には、送出ユニット23から受信したラック情報と、ホストコンピュータ7に問い合わせた測定オーダが記憶される。
【0067】
送出ユニット23は、制御部237と、通信部238と、バーコード処理部239と、駆動部240と、センサ部241とを備える。
【0068】
制御部237は、搬送コントローラ6の制御部601に従って、制御部237内のメモリ(図示せず)に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、送出ユニット23内の各部を制御する。通信部238は、搬送コントローラ6の通信部602と同様に、集線装置11との間でデータ通信を行う。
【0069】
バーコード処理部239は、図3に示したバーコード読取部232、236を含んでいる。バーコード処理部239により読み取られたバーコード情報は、制御部237に出力される。駆動部240は、送出ユニット23に収容されたラックLを搬送するための機構と、この機構を駆動するためのステッピングモータを含んでいる。センサ部241は、送出ユニット23に収容されたラックLを検出するためのセンサを含んでいる。センサ部241は、検出信号を制御部237に出力する。
【0070】
投入ユニット22は、図示の如く、送出ユニット23からバーコード処理部239が除かれた構成となっている。なお、回収ユニット21(図示せず)も、投入ユニット22と同様の構成となっている。
【0071】
図7は、搬送ユニット31と、測定ユニット41と、情報処理ユニット42の構成の概要を示す図である。なお、同図には、便宜上、搬送ユニット31と測定ユニット41がそれぞれ1台のみ示されているが、搬送ユニット32、33と他の測定ユニット41も同様に構成される。
【0072】
搬送ユニット31は、図6の投入ユニット22に、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bが追加された構成となっている。
【0073】
通信部302aは、集線装置11と12との間でデータ通信を行い、通信部302bは、通信部302aと同様にして、集線装置13との間でデータ通信を行う。駆動部303aは、制御部301により制御され、駆動部303bは、通信部302bを介して、情報処理ユニット42により制御される。センサ部304aは、検出信号を制御部301に出力し、センサ部304bは、検出信号を、通信部302bを介して、情報処理ユニット42に出力する。
【0074】
通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304bは、図5の検体供給部3bに含まれており、通信部302bと、駆動部303bと、センサ部304b以外の搬送ユニット31の各部は、図5の検体リレー部3aに含まれている。駆動部303aとセンサ部304aは、図4の左テーブル330と、ラック搬送部340、350上にあるラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。駆動部303bとセンサ部304bは、図4の右テーブル310とラック搬送部320上にあるラックLを、それぞれ搬送および検出するための機構を含んでいる。
【0075】
測定ユニット41は、通信部411と、バーコードリーダ412と、駆動部413と、
センサ部414とを備える。通信部411は、搬送ユニット31の通信部302bと同様にして、集線装置14との間でデータ通信を行う。バーコードリーダ412は測定ユニット41の内に設置されており、容器Tの容器IDを読み取る。駆動部413とセンサ部414は、容器Tを測定ユニット41内で搬送し、容器Tに収容される検体を測定するための機構を含んでいる。
【0076】
情報処理ユニット42は、図6の搬送コントローラ6と同様の構成(ハードディスクとメモリは図示せず)となっている。制御部421は、通信部422と集線装置13を介して、搬送ユニット31の駆動部303bを制御し、センサ部304bの検出信号を受信する。また、制御部421は、通信部422と集線装置14を介して、測定ユニット41の駆動部413を制御し、バーコードリーダ412によって読み取られた容器IDとセンサ部414の検出信号を受信する。
【0077】
図8は、搬送ユニット34と塗抹標本作製装置5の構成の概要を示す図である。搬送ユニット34は、図6の投入ユニット22にバーコードリーダ343が追加された構成となっている。塗抹標本作製装置5は、図6の投入ユニット22と同様の構成となっている。搬送ユニット34は、制御部341と、通信部342と、バーコードリーダ343と、駆動部344と、センサ部345とを含み、塗抹標本作製装置5は、制御部501と、通信部502と、駆動部503と、センサ部504とを含んでいる。
【0078】
搬送ユニット34の通信部342は、集線装置11との間でデータ通信を行う。通信部342は、塗抹標本作製装置5の通信部502と信号線により接続され、通信部502との間でもデータ通信を行う。塗抹標本作製装置5の制御部501は、通信部502を介して、搬送ユニット34から塗抹標本作製の指示を受信すると、搬送ユニット34の測定ライン上の供給位置にある容器Tから検体を吸引し、塗抹標本を作製する。
【0079】
ここで、本実施の形態のラックLには、上述したように、通常検体を収容する容器Tのみが保持される場合の他に、洗浄液、精度管理試料または再検用検体を収容する容器Tのみが保持される場合がある。なお、洗浄液は、測定ユニット41と塗抹標本作製装置5の所定部位の洗浄に用いられる液体である。精度管理試料は、所定の測定結果が得られるように調製された試料であり、測定ユニット41において通常の検体と同様に測定が行われたときに、所望の測定結果が得られるかを判定するために用いられる。精度管理試料の測定結果と、所望の測定結果を比較することにより、測定の行われた測定ユニット41の測定精度が分かる。
【0080】
本実施の形態では、通常検体を収容する容器Tのみを保持するラックL(以下、「通常ラック」という)とは別に、洗浄液を収容する容器Tのみが保持されるラックL(以下、「洗浄用ラック」という)と、精度管理試料を収容する容器Tのみが保持されるラックL(以下、「精度管理測定用ラック」という)と、再検用検体を収容する容器Tが保持されるラックL(以下、「再検用ラック」という)が用意されている。なお、これらのラックLは、通常ラックと同じ形状である。
【0081】
洗浄用ラックと、精度管理測定用ラックと、再検用ラック(以下、これら3つのラックを纏めて「特殊ラック」という)は、通常ラックと同様、送出ユニット23から送出される際に、搬送コントローラ6によって、搬送先となる測定ユニット41と塗抹標本作製装置5が決定される。搬送コントローラ6は、決定された搬送先にこのラックが搬送されるよう、搬送ユニット31〜34を制御する。
【0082】
洗浄用ラックが搬送先の測定ユニット41または塗抹標本作製装置5に搬送されると、搬送先において、この洗浄用ラックに保持されている洗浄液を収容する容器Tから洗浄液
が吸引され、洗浄が行われる。精度管理測定用ラックが搬送先の測定ユニット41に搬送されると、搬送先において、この精度管理測定用ラックに保持されている精度管理試料を収容する容器Tから精度管理試料が吸引され、精度管理試料の測定が行われる。再検用ラックが搬送先の測定ユニット41または塗抹標本作製装置5に搬送されると、搬送先において、通常検体の場合と同様の測定が行われる。
【0083】
図9は、特殊ラックのラックIDの構成を示す図である。
【0084】
図示の如く、ラックIDの上2桁が“SR”となっているラックLは、特殊ラックとして使用される。なお、ラックIDの上位2桁が“SR”以外となっているラックLは、通常ラックとして使用される。
【0085】
特殊ラックのラックIDの上から3番目の桁には、“S”、“R”、“Q”、“N”の何れかが書き込まれている。ここに“S”が書き込まれている場合、この特殊ラックは、洗浄動作後にそのユニット(装置)をシャットダウンさせる洗浄用ラック(以下、「シャットダウン洗浄用ラック」という)として使用される。ここに“R”が書き込まれている場合、この特殊ラックは、洗浄動作後にそのユニット(装置)をシャットダウンさせない(待機状態にする)洗浄用ラック(以下、「通常洗浄用ラック」という)として使用される。ここに“Q”または“N”が書き込まれている場合、この特殊ラックは、それぞれ、精度管理測定用ラックまたは再検用ラックとして使用される。
【0086】
特殊ラックのラックIDの下から3番目の桁には、“H”、“S”、“A”の何れかが書き込まれている。ここに“H”が書き込まれている場合、この特殊ラックの搬送対象は、測定ユニットのみとなる。ここに“S”が書き込まれている場合、この特殊ラックの搬送対象は、塗抹標本作製装置のみとなる。ここに“A”が書き込まれている特殊ラックの搬送対象は、全てのユニット(測定ユニットと塗抹標本作製装置)となる。
【0087】
特殊ラックのラックIDの下2桁には、“00”〜“09”の何れかが書き込まれている。ここに“00”が書き込まれている場合、この特殊ラックに保持されている容器Tの搬送先となるユニット(装置)は、容器Tのそれぞれの保持位置に応じて決定される。また、特殊ラックのラックIDの下2桁に“01”〜“09”の何れかが書き込まれている場合、容器Tの搬送先となるユニット(装置)は、この番号によって決定される。
【0088】
次に、図10ないし図17を参照して、ラックLの搬送制御について説明する。
【0089】
図10は、搬送コントローラ6の処理を示すフローチャートである。
【0090】
図10(a)を参照して、搬送コントローラ6の制御部601は、送出ユニット23の搬送路231の後端位置においてバーコード読取部232によって読み取られたラックID、および、ラックLの保持位置に対応付けられた容器Tの容器ID(ラック情報)を、送出ユニット23から受信するまで処理を待機させる(S11)。制御部601は、ラック情報を受信すると(S11:YES)、受信したラック情報を搬送コントローラ6のハードディスク603に記憶する(S12)。
【0091】
図11は、搬送コントローラ6のハードディスク603に書き込まれる情報を論理的に示す図である。図示の如く、図10のS11で受信したラック情報は、ラックIDと、このラックLの各保持位置に対応した容器IDとして、ハードディスク603に書き込まれる。なお、図11の例では、保持位置3、5〜10には、容器Tが保持されていない。
【0092】
図10(a)に戻って、次に、S11で受信したラック情報に基づいて、このラックL
が通常ラックまたは再検用ラックであるかを判定する(S13)。なお、制御部601は、図9に示したように、ラックIDの上2桁を参照して、このラックLが通常ラック、特殊ラックの何れであるかを判定し、上から3番目の桁を参照して、このラックLが、シャットダウン洗浄用ラック、通常洗浄用ラック、精度管理測定用ラック、再検用ラックの何れのラックであるかを判定する。
【0093】
このラックLが通常ラックまたは再検用ラックであると(S13:YES)、制御部601は、このラックLに保持されている検体を収容する各容器Tの測定データを、ホストコンピュータ7に問い合わせる(S14)。他方、このラックLが通常ラックでもなく再検用ラックでもない、すなわち、このラックLが洗浄用ラックまたは精度管理測定用ラックであると(S13:NO)、処理がS11に戻される。
【0094】
制御部601は、ホストコンピュータ7に測定オーダを問い合わせると(S14)、ホストコンピュータ7から測定オーダを受信するまで処理を待機させる(S15)。制御部601は、ホストコンピュータ7から測定オーダを受信すると(S15:YES)、受信した測定オーダを、ラック情報と合わせて搬送コントローラ6のハードディスク603に記憶し(S16)、処理がS11に戻される。
【0095】
なお、S14で受信される測定オーダは、図11に示すように、検体を収容する容器Tに対応して書き込まれる。図11の例では、保持位置1、2、4の容器Tに対して測定オーダが書き込まれる。
【0096】
このように、搬送コントローラ6において、ラックLごとに図10(a)のS11〜S16の処理が繰り返し行われる。
【0097】
図10(b)を参照して、搬送コントローラ6の制御部601は、送出ユニット23の搬送路231のラックID読取位置においてバーコード読取部236によって読み取られたラックIDを含む送出要求を受信するまで、処理を待機させる(S21)。制御部601は、ラックIDを含む送出要求を受信すると(S21:YES)、受信したラックIDに基づいて、図10(a)のS12で記憶したラック情報とS16で記憶した測定オーダを読み出す(S22)。なお、このラックLが通常ラックでも再検用ラックでもない場合、測定オーダは記憶されていないため、ラック情報のみが読み出される。
【0098】
続いて、制御部601は、このラックLが特殊ラックであるかを判定する(S23)。このラックLが特殊ラックであると(S23:YES)、制御部601は、“特殊ラックの搬送先決定”の処理を行う(S24)。“特殊ラックの搬送先決定”の処理については、追って図12を参照して説明する。他方、このラックLが特殊ラックでない、すなわち、通常ラックであると(S23:NO)、制御部601は、この通常ラックに保持されている各容器Tに対応する測定オーダに応じて、搬送先となる測定ユニット41または塗抹標本作製装置5を決定する(S25)。
【0099】
次に、制御部601は、送出ユニット23に対して、このラックLを、図3のラックID読取位置から搬送ユニット31に送出するように指示を送信し(S26)、処理がS21に戻される。
【0100】
なお、S24またはS25において、搬送先は、保持されている容器Tごとに決定され、図11に示すように、保持されている容器Tごとに書き込まれる。図11の例では、保持位置1、2、4の容器Tに対して搬送先が書き込まれている。
【0101】
このように、搬送コントローラ6において、ラックLごとに図10(b)のS21〜S
26の処理が繰り返し行われる。
【0102】
図12は、“特殊ラックの搬送先決定”の処理を示すフローチャートである。
【0103】
搬送コントローラ6の制御部601は、図10のS21で送出要求と共に受信したラックIDの下から3番目の桁を参照して、搬送対象のグループ(図9参照)を決定する(S101)。続いて、制御部601は、ラックIDの下2桁が“00”であるかを判定する(S102)。
【0104】
ラックIDの下2桁が“00”であると(S102:YES)、制御部601は、この特殊ラックに保持されている容器Tの搬送先を、容器Tの保持位置に応じて決定する(S103)。具体的には、搬送対象のグループ内のユニット(装置)を搬送方向の上流側(図1の右側)から順にU1、U2、U3、…とすると、保持位置1、2、3、…に保持されている容器Tの搬送先は、それぞれ、U1、U2、U3、…となる。
【0105】
他方、ラックIDの下2桁が“00”でないと(S102)、制御部601は、この特殊ラックに保持されている容器Tの搬送先を、ラックIDの下2桁の番号に応じて決定する(S104)。具体的には、搬送対象のグループ内のユニット(装置)を搬送方向の上流側(図1の右側)から順にU1、U2、U3、…とすると、この特殊ラックに保持されている全ての容器Tの搬送先は、ラックIDの下2桁の数字に対応したユニット(装置)(この数字が01ならU1、02ならU2、…、10ならU10)となる。
【0106】
このようにして、“特殊ラックの搬送先決定”の処理が終了する。
【0107】
ここで、上流側からユニット(装置)がどのような順で配置されているかの情報と、各ユニット(装置)を特定するための情報(以下、「構成情報」という)が、あらかじめ搬送コントローラ6のハードディスク603に記憶されている。搬送コントローラ6の制御部601は、起動時に構成情報を読み出してメモリ601aに展開し、上記S103、S104に示したように、容器Tの保持位置またはラックIDの下2桁に応じた搬送先を決定する。
【0108】
なお、送出ユニット23から送出されたラックLは、各保持位置の容器Tが搬送先において処理に供されるよう、搬送ユニット31〜34によって搬送される。このとき、搬送ユニット31〜34は、搬送コントローラ6の制御部601に従って、ラックLを搬送すると共に、図4に示した複数のセンサによって検出されるラックLの搬送位置を搬送コントローラ6に送信する。搬送されたラックLが、搬送先のユニット(装置)の手前側に位置する搬送ユニットの供給ライン右端位置に位置付けられると、このラックLは、ラック押出し機構342により、右テーブル310に押し出される。ラックLが右テーブル310に押し出された後の処理については、追って図14〜17を参照して説明する。
【0109】
図13は、特殊ラックに保持されている容器Tが、どのユニット(装置)に搬送されるかを説明する図である。ここで、同図(a)に示す如く、便宜上、図1に示した3台の測定ユニット41を、右からH1、H2、H3と、塗抹標本作製装置5をSP1と称することにする。図13(b)〜(g)は、それぞれ、ラックIDが各図に示すように設定されている場合の容器Tの搬送先を示す図である。また、同図(b)〜(g)に示す如く、各特殊ラックには、保持位置1、2、4、6、7に容器Tが保持されているものとする。
【0110】
同図(b)は、ラックIDが“SRRA00”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは通常洗浄用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は全てのユニット(装置)であり、容器Tの保持位置に応じて搬送先が決定されるこ
とが分かる。これにより、保持位置1、2、4に保持されている洗浄液を収容する容器Tの搬送先は、それぞれ、H1、H2、SP1に決定される。H3に対応する保持位置3には容器Tが保持されていないため、ラックLはH3に搬送されない。なお、ここでは、保持位置6、7に対応するユニット(装置)が存在しないため、保持位置6、7に保持されている容器Tは、何れのユニット(装置)にも搬送されない。
【0111】
同図(c)は、ラックIDが“SRRH00”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは通常洗浄用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は測定ユニットのみであり、容器Tの保持位置に応じて搬送先が決定されることが分かる。これにより、保持位置1、2に保持されている洗浄液を収容する容器Tの搬送先は、それぞれ、H1、H2に決定される。なお、この場合の搬送対象は測定ユニット(3台)のみであるため、ラックLの右から3つの保持位置1、2、3のみが、搬送対象を決定するのに有効な保持位置となる。このため、保持位置4、6、7に保持されている容器Tは、何れのユニット(装置)にも搬送されない。
【0112】
同図(d)は、ラックIDが“SRRS00”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは通常洗浄用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は塗抹標本作製装置のみであり、容器Tの保持位置に応じて搬送先が決定されることが分かる。これにより、保持位置1に保持されている容器Tの搬送先は、SP1に決定される。なお、この場合の搬送対象は塗抹標本作製装置(1台)のみであるため、ラックLの右から1つの保持位置1のみが、搬送対象を決定するのに有効な保持位置となる。このため、保持位置2、4、6、7に保持されている容器Tは、何れのユニット(装置)にも搬送されない。
【0113】
同図(e)は、ラックIDが“SRSA02”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLはシャットダウン洗浄用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は全てのユニット(装置)であり、ラックIDの下2桁が“02”であるため、このラックLの搬送先は搬送対象の2番目のユニット(装置)であることが分かる。これにより、ラックLに保持されている全ての容器Tの搬送先は、H2に決定される。なお、この場合のシャットダウンは、ラックLに保持されている最後の容器Tに収容されている洗浄液によって、洗浄が終了した後に行われる。すなわち、保持位置7、6、4、2、1の順に、容器T内の洗浄液が洗浄に使用され、保持位置1の容器T内の洗浄液が洗浄に使用された後、H2のシャットダウンが行われる。
【0114】
同図(f)は、ラックIDが“SRQH03”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは精度管理測定用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は測定ユニットのみであり、搬送先は搬送対象の3番目のユニット(装置)であることが分かる。これにより、ラックLに保持されている全ての容器Tの搬送先は、H3に決定される。
【0115】
同図(g)は、ラックIDが“SRNS01”である場合を示す図である。この場合のラックIDから、このラックLは再検用ラックであり、保持されている容器Tの搬送対象は塗抹標本作製装置のみであり、搬送先は搬送対象の1番目のユニット(装置)であることが分かる。これにより、ラックLに保持されている全ての容器Tの搬送先は、SP1に決定される。
【0116】
図14(a)は、搬送コントローラ6の処理を示すフローチャートである。
【0117】
上述したように、ラックLは、搬送先のユニット(装置)に対応する搬送ユニットの供給ライン右端位置に位置付けられると、右テーブル310に押し出される。このとき、搬
送ユニットは、右テーブル310にラックLを押し出したことを示す通知(以下、「押し出し通知」という)を搬送コントローラ6に送信する。
【0118】
搬送コントローラ6の制御部601は、押し出し通知を受信すると(S31:YES)、右テーブル310に押し出されたラックLのラック情報と、測定オーダと、搬送先を、ハードディスク603から読み出す(S32)。
【0119】
続いて、制御部601は、押し出し通知を送信した搬送ユニットに対応するユニット(装置)で容器Tから吸引を行うか否かの情報(以下、「吸引要否」という)を決定する(S33)。吸引要否は、各容器Tの搬送先が、押し出し通知を送信した搬送ユニットに対応するユニット(装置)に一致している場合“要”となり、一致していない場合“不要”となる。
【0120】
図11を参照して、図示のラックLは、H2(右から2番目の測定ユニット41)に対応する搬送ユニット31の右テーブル310に押し出されたとする。このとき、保持位置2に保持されている容器Tの搬送先のみがH2であるため、保持位置2の吸引要否は“要”となり、保持位置2以外の吸引要否は“不要”となる。
【0121】
図14(a)に戻って、次に、制御部601は、情報処理ユニット42または搬送ユニット34に吸引指示を送信する(S34)。具体的には、制御部601は、搬送ユニット31〜33から押し出し通知を受信した場合、情報処理ユニット42に吸引指示を送信し、搬送ユニット34から押し出し通知を受信した場合、搬送ユニット34に吸引指示情報を送信する。吸引指示情報には、ラックLのラック情報と、各保持位置の容器Tについての吸引要否が含まれる。ここで、各保持位置の容器Tについての吸引要否は、ステップS33の決定に従う。また、このラックLが通常ラックまたは再検用ラックである場合、吸引指示情報には、容器Tに対応付けられた測定オーダが含まれる。
【0122】
このように、搬送コントローラ6において、押し出し通知を受信するごとにS31〜S34の処理が繰り返し行われる。
【0123】
図14(b)は、情報処理ユニット42の処理を示すフローチャートである。
【0124】
情報処理ユニット42の制御部421は、搬送コントローラ6から吸引指示情報を受信すると(S41:YES)、この吸引指示情報の元となったラックLの位置付けられている搬送ユニットと、この搬送ユニットに対応する測定ユニット41の動作制御を行う(S42)。
【0125】
ラックLが測定ラインに沿って搬送され、吸引指示に含まれる吸引要否が“要”となっている容器Tが、測定ユニット41内に移動されると、制御部421は、測定ユニット41内に移動された容器Tの容器IDを、バーコードリーダ412(図7参照)で読み取る(S43)。
【0126】
続いて、制御部421は、S41で受信した吸引指示情報に含まれるラックIDを参照して、この容器Tが保持されていたラックLが特殊ラックであるかを判定する(S44)。ラックLが特殊ラックであると(S44:YES)、制御部421は、“特殊動作の決定”の処理を行い(S45)、“特殊動作の決定”の処理(追って、図17を参照して説明)で決定された特殊動作内容に従って、測定ユニット41の動作制御を行う(S46)。他方、ラックLが特殊ラックでない、すなわち、通常ラックであると(S44:NO)、この容器Tに収容されている検体を測定するよう、測定ユニット41の動作制御を行う(S47)。
【0127】
次に、制御部421は、ラックLに保持されている吸引要否が“要”となっている全ての容器Tについて、処理が終了したかを判定する(S48)。全ての容器Tについて処理が終了していると(S48:YES)、処理がS41に戻される。他方、全ての容器Tについて処理が終了していないと(S48:NO)、全ての容器Tについての処理が終了するまで、S43〜S47の処理が行われる。
【0128】
このように、制御部421は、搬送コントローラ6から吸引指示情報を受信するごとにS41〜S48の処理を繰り返し行う。
【0129】
図15(a)は、搬送ユニット34の処理を示すフローチャートである。
【0130】
搬送ユニット34の制御部341は、搬送コントローラ6から吸引指示情報を受信すると(S51:YES)、搬送ユニット34の各部を制御して、この吸引指示情報の元となったラックLを測定ラインに沿って搬送する。
【0131】
吸引指示情報に含まれる吸引要否が“要”となっている容器Tがバーコードリーダ343(図8参照)の手前に位置付けられると、制御部341は、この容器Tの容器IDを、バーコードリーダ343で読み取る(S52)。制御部341は、吸引指示に含まれるラックIDと、S52で読み取った容器IDを塗抹標本作製装置5に送信する(S53)。
【0132】
続いて、制御部341は、ラックLに保持されている吸引要否が“要”となっている全ての容器Tについて、処理が終了したかを判定する(S54)。全ての容器Tについて処理が終了していると(S54:YES)、処理がS51に戻される。他方、全ての容器Tについて処理が終了していないと(S54:NO)、全ての容器Tについての処理が終了するまで、S52、S53の処理が行われる。
【0133】
このように、制御部341は、搬送コントローラ6から吸引指示情報を受信するごとにS51〜S54の処理を繰り返し行う。
【0134】
図15(b)は、塗抹標本作製装置5の処理を示すフローチャートである。
【0135】
塗抹標本作製装置5の制御部501は、搬送ユニット34からラックIDと容器IDを受信すると(S61:YES)、このラックLが特殊ラックであるかを判定する(S62)。このラックLが特殊ラックであると(S62:YES)、“特殊動作の決定”の処理(追って、図17を参照して説明)を行い(S63)、このラックLが特殊ラックでない、すなわち、通常ラックであると(S62:NO)、当該ラックLに対する動作の内容を通常の塗抹標本作製のための動作に決定して(S64)、処理がS61に戻される。
【0136】
図16(a)は、搬送ユニット34の処理を示すフローチャートである。
【0137】
搬送ユニット34の制御部341は、吸引要否が“要”の容器Tが供給位置に位置付けられたと判定すると(S71:YES)、この容器Tの吸引を行うよう、塗抹標本作製装置5に吸引指示を送信し(S72)、処理がS71に戻される。
【0138】
図16(b)は、塗抹標本作製装置5の処理を示すフローチャートである。
【0139】
塗抹標本作製装置5の制御部501は、搬送ユニット34から吸引指示を受信すると(S81:YES)、図15のS63またはS64で決定された動作内容に従って、塗抹標本作製装置5の動作制御を行う(S82)。すなわち、制御部501は、特殊動作を行う
場合、供給位置に位置付けられた容器T内の液体を吸引し、かかる液体を用いて、決定された特殊動作を行うよう、塗抹標本作製装置5の動作制御を行う。また、通常動作を行う場合、供給位置に位置付けられた容器T内の検体を吸引し、塗抹標本を作製するよう、塗抹標本作製装置5の動作制御を行う。しかる後に、処理がS81に戻される。
【0140】
図17は、“特殊動作の決定”の処理を示すフローチャートである。この処理は、図14のS45では、情報処理ユニット42の制御部421によって行われ、図15のS63では、塗抹標本作製装置5の制御部501によって行われる。
【0141】
“特殊動作の決定”の処理を行う制御部は、ラックIDを参照して、このラックLが精度管理測定用ラックであると判定すると(S201:YES)、このラックLに保持されている容器Tの特殊動作内容を精度管理測定に決定する(S202)。
【0142】
制御部は、このラックLが精度管理測定用ラックでなく(S201:NO)、シャットダウン洗浄用ラックであると判定すると(S203:YES)、このラックLに保持されている容器Tの特殊動作内容を、洗浄動作後に測定ユニット41または塗抹標本作製装置5をシャットダウンする動作(シャットダウン動作)に決定する(S204)。
【0143】
制御部は、このラックLがシャットダウン洗浄用ラックでなく(S203:NO)、通常洗浄用ラックであると判定すると(S205:YES)、このラックLに保持されている容器Tの特殊動作内容を通常の洗浄動作に決定する(S206)。
【0144】
制御部は、このラックLが通常洗浄用ラックでないと判定すると、すなわち、このラックLが再検用ラックであると判定すると(S205:NO)、このラックLに保持されている容器Tの特殊動作内容を検体の再検査に決定する(S207)。
【0145】
このようにして、“特殊動作の決定”の処理が終了する。
【0146】
以上、本実施の形態によれば、特殊ラックに容器Tが保持されている場合、保持されている容器Tの保持位置に応じて搬送先のユニット(装置)が決定される。これにより、ユーザは、ラックLの保持位置に容器Tをセットするだけで、セットした保持位置に対応するユニット(装置)に容器Tを搬送することができる。
【0147】
また、本実施の形態によれば、図13に示すように、ラックLに保持されている容器Tの保持位置と、ユニットの並び順とが対応付けられるため、ユーザは容器Tの搬送先を視覚的および直感的に把握することができる。
【0148】
また、本実施の形態によれば、ユニット(装置)の構成情報に基づいて、保持位置に応じた搬送先が決定される。このため、ユニット(装置)の配置を変更した場合でも、構成情報を変更するだけで、容器Tの保持位置と搬送先のユニット(装置)の対応付けを容易に修正することができる。
【0149】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0150】
たとえば、上記実施の形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する検体処理システムにも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体処理システムに本発明を適用することもできる。
【0151】
また、上記実施の形態では、搬送対象のグループ内のユニット(装置)を搬送方向の上流側(図1の右側)から順にU1、U2、U3、…とすると、保持位置1、2、3、…は、それぞれ、U1、U2、U3、…に対応付けられたが、これに限らず、保持位置10、9、8、…が、それぞれ、U1、U2、U3、…に対応づけられても良い。
【0152】
また、上記実施の形態では、情報処理ユニット42の制御部421が各測定ユニット41の動作制御を行ったが、これに限らず、搬送コントローラ6の制御部601が直接、各測定ユニット41の動作制御を行っても良い。
【0153】
また、上記実施の形態では、ラックLに貼付されたバーコードラベルBL2から読み出されたラックIDによりラックLの識別を行っているが、これに限らず、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、ラックLの形状、ラックLの色などによってラックLの識別を行っても良い。また、容器Tに貼付されたバーコードラベルBL1から読み出された容器IDにより、この容器Tが保持されているラックLの識別を行っても良い。
【0154】
なお、特殊ラックであること、および、その特殊ラックで行われる動作内容をユーザが認識可能とするための情報を、特殊ラックに持たせても良い。たとえば、特殊ラックで行われる動作内容に応じた色や標識等を、特殊ラックに付与するようにしても良い。
【0155】
図18は、色によって動作内容を識別可能なラックLを示す図である。
【0156】
図示のように、ラックLの上面には色が付されている。このラックLが、シャットダウン洗浄用ラックである場合と、通常洗浄用ラックである場合と、精度管理測定用ラックである場合と、再検用ラックである場合には、上面に付される色は、たとえば、それぞれ、黄色、青色、緑色、赤色とされる。こうすると、ユーザは、特殊ラックが搬送先に搬送されたとき、搬送先で実行される特殊動作内容を視覚的に識別することができる。なお、同図に示すように、ラックLの上面に色が付されることに替えて、ラックLの上面に、特殊動作内容を示すシールが貼付されるようにしても良い。
【0157】
また、上記実施の形態では、検体処理装置1に3台の測定ユニット41と1台の塗抹標本作製装5が含まれたが、これに限らず、検体処理装置1には、4台以上の搬送ユニットが含まれるようにしても良く、また、2台以上の塗抹標本作製装置が含まれるようにしても良い。
【0158】
図19は、検体処理装置1に4台の測定ユニットと2台の塗抹標本作製装置が含まれる場合に、特殊ラックLに保持されている容器Tが、どのユニット(装置)に搬送されるかを説明する図である。この場合の検体処理装置1には、同図(a)に示す如く、右から順に、測定ユニットH1、H2、H3、H4と、塗抹標本作製装置SP1、SP2が配置されている。この場合も、上記実施の形態と同様に、ラックIDと容器Tの保持位置から、同図(b)〜(g)に示すように各容器Tの搬送先が決定される。
【0159】
また、上記実施の形態では、“特殊動作の決定”の処理は、情報処理ユニット42の制御部421と塗抹標本作製装置5の制御部501によって行われたが、これに限らず、搬送コントローラ6の制御部601によって行われても良い。この場合、制御部601によって決定された特殊動作内容が、吸引指示情報に含まれるようにしても良い。
【0160】
また、上記実施の形態において、測定ユニット41と塗抹標本作製装置5の吸引動作が行われる前に、容器IDがラックLの種類に対応しているかを判定するようにしても良い。こうすると、たとえば、洗浄用ラックに洗浄液以外の液体を収容する容器Tが保持されている場合や、精度管理測定用ラックに精度管理試料以外の液体を収容する容器Tが保持
されている場合や、再検用ラックおよび通常ラックに検体以外の液体を収容する容器Tが保持されている場合に、吸引を中止(スキップ)させることができる。
【0161】
また、上記実施の形態では、上流側からユニット(装置)がどのような順で配置されているかの情報と、各ユニット(装置)を特定するための情報(構成情報)に基づいて、図12のS103、S104に示したように、保持位置に応じた搬送先が決定された。しかしながら、これに限らず、保持位置とユニット(装置)との対応関係が搬送コントローラ6のハードディスク603に記憶され、かかる対応関係に基づいて、保持位置に応じた搬送先が決定されるようにしても良い。
【0162】
また、上記実施の形態では、再検用検体を収容する容器Tは、再検用ラックを用いて搬送されたが、これに限らず、通常ラックに再検用検体を収容する容器Tを保持させても良い。この場合、当該通常ラックに対する動作が再検であることは、たとえば、搬送コントローラ6、情報処理ユニット42、またはその他のコンピュータを介して、ユーザにより設定される。こうすると、動作内容が再検であることの設定がユーザにおいて必要となるものの、上記実施の形態と同様、容器Tの保持位置によって搬送先が決定されるため、ユーザにかかる作業負担を軽減することができる。同様に、洗浄液や精度管理試料を収容する容器Tを通常ラックに保持させ、当該通常ラックに対する動作内容(通常洗浄、洗浄後シャットダウン、精度管理)はユーザが設定するようにしても良い。
【0163】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0164】
1 … 検体処理装置
232 … バーコード読取部
31〜34 … 搬送ユニット
41 … 測定ユニット
421 … 制御部
5 … 塗抹標本作製装置
501 … 制御部
601 … 制御部
L … ラック
T … 容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体処理部と、
複数の保持位置で容器を保持可能なラックを前記複数の検体処理部のいずれかに搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されるラックに保持された容器を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて特定される、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、決定された検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する制御部と、を備える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記ラックにおける容器の保持位置、および、前記複数の検体処理部の配置に基づいて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検体処理装置において、
前記複数の検体処理部は、前記搬送部によるラックの搬送方向に沿って配置され、
前記複数の保持位置は、一列に並んでおり、
前記制御部は、前記ラックにおける容器の保持位置、並びに、前記搬送方向に沿った前記複数の検体処理部の並び順および前記複数の保持位置の並び順に基づいて、前記搬送先となる検体処理部を決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記ラックの所定の保持位置から前記搬送方向の下流側へi番目の保持位置に容器が保持されている場合には、所定の検体処理部から前記搬送方向の下流側へi番目の検体処理部を、前記搬送先となる検体処理部として決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記ラックの第1保持位置および第2保持位置のそれぞれに容器が保持されている場合、前記第1保持位置に対応する前記第1検体処理部に前記ラックを搬送した後、前記第2保持位置に対応する前記第2検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記搬送部は、検体を収容するとともに当該検体の識別情報が付された容器を保持する第1ラック、および、検体処理動作とは異なる所定の動作に用いられる液体を収容した容器を保持する第2ラックを搬送可能であり、
前記制御部は、前記搬送部により搬送されるラックを識別し、当該ラックが前記第1ラックである場合には、前記第1ラックに保持された容器に付された識別情報に基づいて、前記第1ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、前記搬送部により搬送されるラックが前記第2ラックである場合には、前記第2ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記第2ラックの搬送先となる検体処理部を決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記ラックに保持された容器内に、再検査を受ける検体、検体処理部の
洗浄に用いられる洗浄液、検体処理部の精度管理に用いられる精度管理試料のいずれかが収容されている場合、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記搬送部により搬送されるラックを識別し、当該ラックが所定の検体処理部に対応付けられたラックである場合には、対応する前記検体処理部を搬送先として決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックを識別し、その識別結果に応じて、前記ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を決定する動作決定部をさらに備え、
前記ラックの搬送先の検体処理部は、前記動作決定部により決定された動作内容に応じた動作を実行する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックは、検体処理部の洗浄に用いられる洗浄液を収容した容器を保持する洗浄用ラックを含み、
前記動作決定部は、前記搬送部により搬送されるラックが前記洗浄用ラックであると識別した場合には、前記洗浄用ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を、前記洗浄液を用いた洗浄動作に決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックは、検体処理部の精度管理に用いられる精度管理試料を収容した容器を保持する精度管理用ラックを含み、
前記動作決定部は、前記搬送部により搬送されるラックが前記精度管理用ラックであると識別した場合には、前記精度管理用ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を、前記精度管理試料を用いた精度管理測定に決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項12】
請求項9ないし11の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックには、当該ラックを識別するための識別情報が付されており、
前記搬送部により搬送されるラックの識別情報を読み取る読取部をさらに備え、
前記制御部は、前記読取部により読み取られた識別情報に基づいて、前記ラックを識別する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項13】
請求項9ないし12の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックには、当該ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容をユーザに提示するための情報提示部が設けられている、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の検体処理装置において、
情報提示部は、前記動作内容に応じた色をユーザに提示する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項15】
複数の検体処理部と、
複数の保持位置で容器を保持可能なラックを前記複数の検体処理部のいずれかに搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されるラックに保持された容器を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて特定される、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する搬送制御手段と、を備える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項16】
複数の容器を保持可能なラックにおいて容器が保持されている保持位置を特定し、
特定された保持位置に応じて、複数の検体処理部の中から前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、
決定された検体処理部に前記ラックを搬送する、
ことを特徴とするラック搬送方法。
【請求項1】
複数の検体処理部と、
複数の保持位置で容器を保持可能なラックを前記複数の検体処理部のいずれかに搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されるラックに保持された容器を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて特定される、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、決定された検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する制御部と、を備える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記ラックにおける容器の保持位置、および、前記複数の検体処理部の配置に基づいて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検体処理装置において、
前記複数の検体処理部は、前記搬送部によるラックの搬送方向に沿って配置され、
前記複数の保持位置は、一列に並んでおり、
前記制御部は、前記ラックにおける容器の保持位置、並びに、前記搬送方向に沿った前記複数の検体処理部の並び順および前記複数の保持位置の並び順に基づいて、前記搬送先となる検体処理部を決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記ラックの所定の保持位置から前記搬送方向の下流側へi番目の保持位置に容器が保持されている場合には、所定の検体処理部から前記搬送方向の下流側へi番目の検体処理部を、前記搬送先となる検体処理部として決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記ラックの第1保持位置および第2保持位置のそれぞれに容器が保持されている場合、前記第1保持位置に対応する前記第1検体処理部に前記ラックを搬送した後、前記第2保持位置に対応する前記第2検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記搬送部は、検体を収容するとともに当該検体の識別情報が付された容器を保持する第1ラック、および、検体処理動作とは異なる所定の動作に用いられる液体を収容した容器を保持する第2ラックを搬送可能であり、
前記制御部は、前記搬送部により搬送されるラックを識別し、当該ラックが前記第1ラックである場合には、前記第1ラックに保持された容器に付された識別情報に基づいて、前記第1ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、前記搬送部により搬送されるラックが前記第2ラックである場合には、前記第2ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記第2ラックの搬送先となる検体処理部を決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記ラックに保持された容器内に、再検査を受ける検体、検体処理部の
洗浄に用いられる洗浄液、検体処理部の精度管理に用いられる精度管理試料のいずれかが収容されている場合、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記制御部は、前記搬送部により搬送されるラックを識別し、当該ラックが所定の検体処理部に対応付けられたラックである場合には、対応する前記検体処理部を搬送先として決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックを識別し、その識別結果に応じて、前記ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を決定する動作決定部をさらに備え、
前記ラックの搬送先の検体処理部は、前記動作決定部により決定された動作内容に応じた動作を実行する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックは、検体処理部の洗浄に用いられる洗浄液を収容した容器を保持する洗浄用ラックを含み、
前記動作決定部は、前記搬送部により搬送されるラックが前記洗浄用ラックであると識別した場合には、前記洗浄用ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を、前記洗浄液を用いた洗浄動作に決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックは、検体処理部の精度管理に用いられる精度管理試料を収容した容器を保持する精度管理用ラックを含み、
前記動作決定部は、前記搬送部により搬送されるラックが前記精度管理用ラックであると識別した場合には、前記精度管理用ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容を、前記精度管理試料を用いた精度管理測定に決定する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項12】
請求項9ないし11の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックには、当該ラックを識別するための識別情報が付されており、
前記搬送部により搬送されるラックの識別情報を読み取る読取部をさらに備え、
前記制御部は、前記読取部により読み取られた識別情報に基づいて、前記ラックを識別する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項13】
請求項9ないし12の何れか一項に記載の検体処理装置において、
前記搬送部により搬送されるラックには、当該ラックの搬送先の検体処理部が実行する動作内容をユーザに提示するための情報提示部が設けられている、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の検体処理装置において、
情報提示部は、前記動作内容に応じた色をユーザに提示する、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項15】
複数の検体処理部と、
複数の保持位置で容器を保持可能なラックを前記複数の検体処理部のいずれかに搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されるラックに保持された容器を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて特定される、前記ラックにおける容器の保持位置に応じて、前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された検体処理部に前記ラックを搬送するよう前記搬送部を制御する搬送制御手段と、を備える、
ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項16】
複数の容器を保持可能なラックにおいて容器が保持されている保持位置を特定し、
特定された保持位置に応じて、複数の検体処理部の中から前記ラックの搬送先となる検体処理部を決定し、
決定された検体処理部に前記ラックを搬送する、
ことを特徴とするラック搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−247778(P2011−247778A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121992(P2010−121992)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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