説明

検体処理装置の管理システム、検体処理装置及び管理装置

【課題】 検体処理装置毎の個体差にかかわらず各検体処理装置を正確且つ容易に調整することができる検体処理装置の管理システム、検体処理装置及び管理装置を提供する。
【解決手段】
検体分析装置2に異常が発生したときに、検体分析装置2が管理サーバ5へ自己調整の承認を要求する。管理サーバ5は、自己調整の実行を許可するか否かを決定し、自己調整の実行の許可を決定した場合に、検体分析装置2へ自己調整の承認を通知する。自己調整の承認が通知されると、検体分析装置2は自己調整を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液及び尿等の検体を処理する検体処理装置の管理システム、検体処理装置及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血球計数装置、血液凝固測定装置、免疫測定装置、遺伝子増幅測定装置、尿定性分析装置、尿中有形成分分析装置、生化学分析装置、及び血液塗抹標本作成装置等の検体を処理する検体処理装置が知られている。かかる検体処理装置に異常が生じた場合には、保守担当の技術者による処置が必要となることがある。
【0003】
特許文献1には、自動分析装置に異常が発生した場合、報知用電子メールを作成し、担当者に宛てて当該報知用電子メールを送信する自動分析装置が開示されている。この自動分析装置から送信される電子メールには、分析中のデータ、分析条件などの情報がメッセージ又は添付ファイルとして含まれている。担当者はこの電子メールをパソコン、携帯電話又は形態情報端末等により読み出し、自動分析装置の状態及び発生した不具合の状況などを把握し、不具合に対応するための動作を自動分析装置に実行させるためのコマンドを含む前記報知用電子メールへの返信メールを送信する。自動分析装置1は、受信した返信メールからコマンドを抽出し、コマンドを実行することで前記不具合に対応するための動作を実行する。特許文献1には、不具合に対応するための動作として、分析再開、分析条件の安定後、再度初めから分析、カラム洗浄、気泡除去、前処理等が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−286663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された自動分析装置にあっては、担当者が不具合への対処を検討し、対処するための動作のコマンドを電子メールで送信する必要があり、担当者への負担が大きかった。また、自動分析装置には個体差が存在し、自動分析装置のそれぞれにおいて最適な設定値は異なるが、上述した特許文献1にあっては、遠隔地にいる担当者から当該不具合が発生している自動分析装置の固有の設定値を指定することは困難であり、自動分析装置毎に異なる設定値への調整が必要となる不具合から自動分析装置を復旧させることは困難であった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、検体処理装置毎の個体差にかかわらず各検体処理装置を正確且つ容易に調整することができる検体処理装置の管理システム、検体処理装置及び管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理装置の管理システムは、検体を処理する検体処理装置と、前記検体処理装置と通信可能に接続された管理装置と、を備える検体処理装置の管理システムであって、前記検体処理装置は、自己調整を実行する自己調整手段と、前記自己調整手段による自己調整を実行する前に、自己調整の承認を要求するための承認要求データを送信する第1通信部と、を具備し、前記管理装置は、前記検体処理装置から承認要求データを受信したときに、前記検体処理装置による自己調整の実行を許可するか否かを決定する決定手段と、前記決定手段により前記検体処理装置による自己調整の実行の許可が決定された場合に、自己調整が承認されたことを示す承認データを送信する第2通信部と、を具備し、前記検体処理装置は、前記管理装置から承認データを受信したときに、前記自己調整手段による自己調整を実行するように構成されている。
【0008】
この態様において、前記検体処理装置は、前記自己調整手段による自己調整を開始するためのイベントを検出するイベント検出手段をさらに具備し、前記第1通信部は、前記イベント検出手段によって前記イベントが検出された場合に、前記承認要求データを送信するように構成されていてもよい。
【0009】
上記態様において、前記検体処理装置は、検体処理装置の異常を検出する異常検出部をさらに具備し、前記イベント検出手段は、前記異常検出部による異常の検出を前記イベントとして検出するように構成されていてもよい。
【0010】
上記態様において、前記検体処理装置は、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類を判別する種類判別手段をさらに具備し、前記第1通信部は、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が第1の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記承認要求データを送信し、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が前記第1の種類とは異なる第2の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記承認要求データを送信しないように構成されており、前記検体処理装置は、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が第1の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記管理装置から承認データを受信したときに、前記自己調整手段による自己調整を実行し、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が第2の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記承認データを受信することなく、前記自己調整手段による自己調整を実行するように構成されていてもよい。
【0011】
上記態様において、前記検体処理装置は、前記検体処理装置の調整値を生成する調整値生成手段をさらに具備し、前記自己調整手段は、前記調整値生成手段によって生成された調整値に前記検体処理装置を自己調整するように構成されていてもよい。
【0012】
上記態様において、前記検体処理装置は、検体を測定する測定部と、測定結果を校正するための校正情報を記憶する記憶部と、前記測定部による測定結果を、前記記憶部に記憶された校正情報に基づいて変換する変換手段と、をさらに具備し、前記調整値生成手段は、前記測定部が校正情報作成用試料を測定することにより得られた測定結果に基づいて、前記検体処理装置の調整値として校正情報を生成するように構成されており、前記自己調整手段は、前記調整値生成手段により生成された校正情報を前記記憶部に記憶させることにより前記検体処理装置を自己調整するように構成されていてもよい。
【0013】
上記態様において、前記検体処理装置は、検体の測定に関する動作を行う位置調整可能な動作機構をさらに具備し、前記調整値生成手段は、前記検体処理装置の調整値として前記動作機構の位置調整量を生成するように構成されており、前記自己調整手段は、前記調整値生成手段により生成された位置調整量に基づいて前記動作機構の位置調整を行うことにより前記検体処理装置を自己調整するように構成されていてもよい。
【0014】
上記態様において、前記動作機構は、検体の測定のために特定の位置へ移動可能に構成されており、前記調整値生成手段は、前記動作機構を前記特定の位置に位置決めするための前記位置調整量を生成するように構成されていてもよい。
【0015】
上記態様において、前記動作機構は、検体又は試薬を吸引するための吸引位置へ移動して検体又は試薬を吸引し、検体又は試薬を吐出するための吐出位置へ移動して検体又は試薬を吐出する分注機構であってもよい。
【0016】
上記態様において、前記第1通信部は、前記検体処理装置を使用するユーザを特定するための特定情報を含む承認要求データを送信するように構成されており、前記決定手段は、前記検体処理装置から送信された前記承認要求データに含まれる特定情報に基づいて、前記検体処理装置による自己調整の実行を許可するか否かを決定するように構成されていてもよい。
【0017】
上記態様において、前記第1通信部は、前記調整値生成手段によって生成された調整値を含む承認要求データを送信するように構成されており、前記決定手段は、前記検体処理装置から送信された前記承認要求データに含まれる調整値に基づいて、前記検体処理装置による自己調整の実行を許可するか否かを決定するように構成されていてもよい。
【0018】
また、本発明の一の態様の検体処理装置は、管理装置と通信可能に接続され、検体を処理する検体処理装置であって、自己調整を実行する自己調整手段と、前記自己調整手段による自己調整を実行する前に、自己調整の承認を要求するための承認要求データを前記管理装置へ送信する通信部と、を備え、前記管理装置から自己調整が承認されたことを示す承認データを受信したときに、前記自己調整手段による自己調整を実行するように構成されている。
【0019】
また、本発明の一の態様の管理装置は、検体を処理する検体処理装置と通信可能に接続された管理装置であって、前記検体処理装置から自己調整の承認を要求するための承認要求データを受信したときに、前記検体処理装置による自己調整の実行を許可するか否かを決定する決定手段と、前記決定手段により前記検体処理装置による自己調整の実行の許可が決定された場合に、自己調整が承認されたことを示す承認データを送信する通信部と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る管理システム、検体処理装置及び管理装置によれば、検体処理装置毎の個体差にかかわらず各検体処理装置を従来に比して正確且つ容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1に係る管理システムの構成を示す模式図。
【図2】実施の形態1に係る検体分析装置の構成を示す斜視図。
【図3】測定ユニットの内部を上方向から見たときの概略構成を示す平面図。
【図4】第1試薬分注ユニットの構成を示す側面図。
【図5】アーム部の一部の構成を示す斜視図。
【図6】測定ユニットの回路構成を示すブロック図。
【図7】情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】管理サーバの構成を示すブロック図。
【図9】実施の形態1に係る管理システムにおける校正動作の流れを示すフローチャート。
【図10】実施の形態1に係る管理システムにおけるピペットの位置調整動作の流れを示すフローチャート。
【図11】調整量検出処理の手順を示すフローチャート。
【図12】ピペットの位置ずれが生じていない場合のキュベットの画像を示す模式図。
【図13】ピペットの位置ずれが生じている場合のキュベットの画像の一例を示す模式図。
【図14】実施の形態2に係る検体処理装置における自己調整動作の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(実施の形態1)
[管理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る管理システム1の構成を示す模式図である。管理システム1は、病院又は検査センター等のユーザー施設に設置された検体分析装置2,2,…と、検体分析装置2の保守業務を行う検体分析装置2のメーカー等の保守サービス提供業者施設に設置された管理サーバ5とを備えている。検体分析装置2,2,…と管理サーバ5とは、インターネット又は専用回線等の通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続されている。また、管理サーバ5は、保守サービス提供業者の技術者に使用される複数のクライアント装置6とLANによってデータ通信可能に接続されている。
【0024】
<検体分析装置の構成>
図2は、本実施の形態に係る検体分析装置2の構成を示す斜視図である。検体分析装置2は、検体(血液)に含まれる成分を光学的に測定する測定ユニット3と、測定ユニット3による測定データを分析するとともに、測定ユニット3に操作指示を与える情報処理ユニット4とで構成されている。
【0025】
図3は、測定ユニット3の内部を上方向から見たときの概略構成を示す平面図である。測定ユニット3は、測定部10と、検出部40と、搬送部50とによって構成されている。
【0026】
測定部10は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、第1容器ラック13と、第2容器ラック14と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16と、テーブルカバー17と、第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25と、第1キャッチャユニット26と、第2キャッチャユニット27と、第3キャッチャユニット28と、試薬バーコードリーダ31と、キュベット搬送器32と、希釈液搬送器33と、キュベット口34と、廃棄口35、36を備えている。
【0027】
第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16は、円形状のテーブルであり、それぞれ、時計回り及び反時計回りの両方向に、独立して回転駆動される。これらのテーブルの回転駆動は、それぞれ、下面裏側に配された複数のステッピングモータ(図示せず)により行われる。
【0028】
第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12の上面には、図示の如く、それぞれ、5つの第1容器ラック13と5つの第2容器ラック14が着脱可能に配置されている。第1容器ラック13と第2容器ラック14には、試薬容器を保持するための保持部が形成されている。第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12に保持されている試薬容器のそれぞれには、試薬の種類、ロット番号、使用期限等の試薬情報が記録されたバーコードが印刷されたバーコードラベルが貼布されている。かかる試薬容器のバーコードは、バーコードリーダ31により読み取られる。
【0029】
キュベットテーブル15と加温テーブル16には、図示の如く、それぞれ、円周に沿って複数のキュベット保持孔15a、16aが形成されている。キュベット保持孔15a、16aにキュベットがセットされると、かかるキュベットは、それぞれ、キュベットテーブル15と加温テーブル16の回転に合わせて、円周位置を移動することとなる。また、加温テーブル16は、保持孔16aにセットされたキュベットを、所定の温度にて加温する。
【0030】
図4は、第1試薬分注ユニット23の構成を示す側面図である。第1試薬分注ユニット23は、図示の如く、駆動部23aと、アーム23bと、ピペット23cとを備えている。駆動部23aは、回転用モータ231と、昇降用モータ232と、回転用モータ231及び昇降用モータ232の動力を軸233に伝達する伝達機構234とを備えている。伝達機構234は、回転用モータ231の回転動力を減速して軸233に伝達するベルト伝動機構又はギヤ機構等、昇降用モータ232の回転動力を上下方向の直線動力に変換して軸233に伝達するベルト伝動機構又はラック・ピニオン機構等により構成されている。回転用モータ231の回転方向及び回転量はロータリーエンコーダ235によって、昇降用モータ232の回転方向及び回転量(つまり、ピペット23cの上下移動方向及び移動量)はロータリーエンコーダ236によってそれぞれ検出される。
【0031】
図5は、アーム部23bの一部の構成を示す斜視図である。この図には、上部カバー(2点鎖線で示す)が取り外されることによって内部が露出したアーム部23bが示されている。ピペットPは、アーム部23bに上下方向に移動(摺動)可能に支持されるとともに、下方への移動が所定に規制されている。また、ピペットPは、圧縮コイルバネからなる付勢部材171によって下方へ付勢されている。アーム部23bには、ピペットPとともに上下方向に移動可能な台座172が設けられ、この台座172上に検知部材173が取り付けられている。アーム部23bには回路基板174が立設され、この回路基板174に衝突検出用センサ170が取り付けられている。
【0032】
衝突検出用センサ170は、投光部と受光部とを有する透過型センサからなる。検知部材173には、衝突検出用センサ170の投受光部の間に配置される遮光板173aが設けられている。遮光板173aは、正常時に衝突検出用センサ170を遮光し、衝突検出用センサ170をオフ状態とする。ピペットPが下降して障害物に衝突すると、アーム部23bに対してピペットPが上昇し、台座172を介して遮光板173aも上昇するため、衝突検出用センサ170の遮光が解除される。これによって衝突検出用センサ170がオンとなった場合に、測定制御部140により、ピペットPが障害物に衝突したことが検出される。
【0033】
また、第1試薬分注ユニット23は、CCD等の撮像素子を備えるカメラ23dを備えている。カメラ23dは、アーム部23bの先端に取り付けられており、下方のピペットPを含む領域を撮像可能である。また、カメラ23dはアーム部23bに固定されているため、アーム部23bが移動したとしてもピペットPとの相対的な位置関係は変化せず、常にピッペットPの先端を含む領域を撮像するようになっている。
【0034】
なお、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25の構成は、第1試薬分注ユニット23の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0035】
図3に戻り、第1キャッチャユニット26は、アーム26bを支持する支持部26aと、伸縮可能なアーム26bと、把持部26cとで構成されている。支持部26aは、下面裏側に配されたステッピングモータ(図示せず)により回転駆動される。把持部26cは、アーム26bの先端に取り付けられており、キュベットを把持することができる。なお、第2キャッチャユニット27についても、第1キャッチャユニット26と同様の構成となっており、ステッピングモータ(図示せず)により回転される。
【0036】
第3キャッチャユニット28は、図示の如く、アーム28bを支持する支持部28aと、伸縮可能なアーム28bと、アーム28bの先端に取り付けられた把持部28cとで構成されている。支持部28aは、左右方向に配されたレールに沿って駆動される。把持部28cは、キュベットを把持することができる。
【0037】
キュベット搬送器32及び希釈液搬送器33は、レール上を左右方向に駆動する。また、キュベット搬送器32と希釈液搬送器33には、それぞれ、キュベット及び希釈液容器を保持するための孔が設けられている。
【0038】
キュベット口34には、常に新しいキュベットが供給される。新しいキュベットは、第1キャッチャユニット26及び第2キャッチャユニット27により、キュベット搬送器32のキュベットを保持する孔及びキュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされる。廃棄口35、36は、分析が終了し不要となったキュベットを廃棄するための孔である。
【0039】
検出部40は、上面にキュベットを収容する20個の保持孔41が設けられており、下面裏側に検出部(図示せず)が配されている。保持孔41にキュベットがセットされると、検出部により、キュベット中の測定試料から光学的情報が検出される。
【0040】
搬送部50は、搬送路51と検体バーコードリーダ52を備えている。搬送路51の底面は、右側に分析前ラック保持領域、中央に搬送領域、左側に分析後ラック保持領域を有し、コの字型に形成されている。検体バーコードリーダ52は、搬送領域を搬送される検体ラック60に収容された検体容器61に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取る。
【0041】
図6は、測定ユニット3の回路構成を示すブロック図である。
【0042】
測定ユニット3は、制御部300と、試薬バーコードリーダ31と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、キュベットテーブルステッピングモータ313と、加温テーブルステッピングモータ314と、キャッチャユニットステッピングモータ部315と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、衝突検出用センサ部323と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332と、撮像部324とを有している。制御部300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、通信インターフェース305と、I/Oインターフェース306とを有する。
【0043】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302及びハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。ハードディスク304には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク304には、CPU301に測定ユニット3の各部を制御するための制御プログラムがインストールされている。また、通信インターフェース305により、情報処理ユニット4に対してデータの送受信が可能となる。
【0044】
また、CPU301は、I/Oインターフェースを介して、試薬バーコードリーダ31と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、衝突検出用センサ部323と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332とを制御する。
【0045】
試薬テーブルステッピングモータ部311は、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12のそれぞれを互いに独立して回転駆動させる複数のステッピングモータで構成されている。分注ユニットステッピングモータ部312は、前述した第1試薬分注ユニット23の回転用モータ231及び昇降用モータ232並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25それぞれの回転用モータ及び昇降用モータによって構成されている。これらの回転用モータ及び昇降用モータは、ステッピングモータである。
【0046】
キュベットテーブルステッピングモータ313は、キュベットテーブル15を回転駆動させるステッピングモータで構成されている。加温テーブルステッピングモータ314は、加温テーブル16回転駆動させるステッピングモータで構成されている。キャッチャユニットステッピングモータ部315は、第1キャッチャユニット26及び第2キャッチャユニット27のそれぞれを回転させる複数のステッピングモータで構成されている。
【0047】
試薬テーブルロータリーエンコーダ部321は、試薬テーブルステッピングモータ部311に含まれる複数のステッピングモータの回転方向及び回転量を各別に検出可能な複数のロータリーエンコーダにより構成されている。試薬テーブル原点センサ部331は、試薬テーブルステッピングモータ部311に含まれる複数のステッピングモータの回転位置が原点位置にあることを各別に検出する複数の原点センサにより構成されている。CPU301は、かかる試薬テーブルロータリーエンコーダ部321及び試薬テーブル原点センサ部331の出力信号を受け取ることにより、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12のそれぞれが、原点位置から時計方向又は反時計方向へ何度回転したかを認識することができる。
【0048】
分注ユニットロータリーエンコーダ部322には、前述した第1試薬分注ユニット23のロータリーエンコーダ235、236並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれのロータリーエンコーダによって構成されている。つまり、分注ユニットロータリーエンコーダ部322は、分注ユニットステッピングモータ部312に含まれる複数のステッピングモータの回転方向及び回転量を各別に検出可能な複数のロータリーエンコーダにより構成されている。分注ユニット原点センサ部332は、分注ユニットステッピングモータ部312に含まれる複数のステッピングモータの回転位置が原点位置にあることを各別に検出する複数の原点センサにより構成されている。CPU301は、かかる分注ユニットロータリーエンコーダ部322及び分注ユニット原点センサ部332の出力信号を受け取ることにより、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のアーム21b、22b、23b、24b、25bのそれぞれが、回転方向の原点位置から時計方向又は反時計方向へ何度回転したか、及び高さ方向の原点位置(基準高さ)から上方又は下方へどの程度移動したかを認識することができる。
【0049】
また、衝突検出用センサ部323は、前述した第1試薬分注ユニット23の衝突検出用センサ170並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれの衝突検出用センサによって構成されている。CPU301は、かかる衝突検出用センサ部323の出力信号を受け取ることにより、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のピペット21c、22c、23c、24c、25cのそれぞれが、障害物に衝突したか否かを認識することができる。
【0050】
また、撮像部324は、前述した第1試薬分注ユニット23のカメラ23d並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれのカメラによって構成されている。CPU301は、かかる撮像部324に含まれる各カメラの出力信号(画像信号)を受け取ることが可能である。
【0051】
図7は、情報処理ユニット4の構成を示すブロック図である。
【0052】
情報処理ユニット4は、パーソナルコンピュータからなっており、本体400と、入力部408と、表示部409とから構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410とを有する。
【0053】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402及びハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0054】
ハードディスク404には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク404には、コンピュータを本実施の形態に係る情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。
【0055】
また、ハードディスク404には、後述する検体測定データの校正に使用される検量線が測定項目毎に記憶されている。
【0056】
読出装置405は、CDドライブ又はDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウス及びキーボードからなる入力部408が接続されており、ユーザが入力部408を使用することにより、情報処理ユニット4にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、CRT又は液晶パネル等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また情報処理ユニット4は、通信インターフェース410により測定ユニット3、管理サーバ5及びクライアント装置6に対してデータの送受信が可能となる。
【0057】
<管理サーバの構成>
図8は、管理サーバ5の構成を示すブロック図である。
【0058】
管理サーバ5は、パーソナルコンピュータからなっており、本体500と、入力部508と、表示部509とから構成されている。本体500は、CPU501と、ROM502と、RAM503と、ハードディスク504と、読出装置505と、入出力インターフェース506と、画像出力インターフェース507と、通信インターフェース510とを有する。
【0059】
CPU501は、ROM502に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM502にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM503は、ROM502及びハードディスク504に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM503は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU501の作業領域としても利用される。
【0060】
ハードディスク504には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU501に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク504には、コンピュータを本実施の形態に係る管理サーバとして機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。
【0061】
読出装置505は、CDドライブ又はDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース506には、マウス及びキーボードからなる入力部508が接続されており、ユーザが入力部508を使用することにより、管理サーバ5にデータが入力される。画像出力インターフェース507は、CRT又は液晶パネル等で構成された表示部509に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部509に出力する。表示部509は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また管理サーバ5は、通信インターフェース510により検体分析装置2及びクライアント装置6に対してデータの送受信が可能となる。
【0062】
<クライアント装置の構成>
クライアント装置6は、パーソナルコンピュータからなっている。クライアント装置6の構成は、情報処理ユニット4としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムではなく、管理サーバにアクセスし、検体分析装置2の保守管理業務を行うために使用されるクライアント装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムがハードディスクにインストールされている他は、上述した情報処理ユニット4の構成と同一であるので、その説明を省略する。
【0063】
[管理システムの動作]
以下、本実施の形態に係る管理システムの動作について説明する。
【0064】
<検体毎の分析手順>
まず、検体分析装置2による検体の分析の手順について説明する。検体の分析手順は、検体の測定項目(PT,APTT等)によって異なる。検体の測定項目は、測定オーダにより指定される。検体分析装置2では、ユーザによる測定オーダの登録が可能であり、また図示しないホストコンピュータから測定オーダを受け付けることも可能である。つまり、ユーザが測定オーダを登録する場合は、ユーザが情報処理ユニット4の入力部408を操作することにより、測定オーダを検体分析装置2に入力する。ホストコンピュータから測定オーダを受け付ける場合には、予めユーザがホストコンピュータに測定オーダを登録しておく。
【0065】
複数の検体容器61を収容した検体ラック60が、ユーザによって搬送路51の分析前ラック保持領域にセットされる。検体ラック60は、分析前ラック保持領域において後方に移動された後、搬送領域において左方向に移動される。このとき、検体容器61に貼付されたバーコードラベルが、検体バーコードリーダ52により読み取られる。検体容器61のバーコードには検体IDが記録されており、情報処理ユニット4は、読み取られた検体IDをキーにして当該検体の測定オーダを通信ネットワークを介して接続された図示しないホストコンピュータから取得する。
【0066】
続いて、検体ラック60が、搬送領域の所定の場所に位置づけられる。搬送領域にて検体の吸引が終了すると、検体ラック60は、搬送領域において左方向に移動された後、分析後ラック保持領域において前方に移動される。
【0067】
第1検体分注ユニット21は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置53に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第1検体分注ユニット21によって吸引された検体は、キュベットテーブル15の前方位置にある検体吐出位置18に位置づけられたキュベット保持孔15aにセットされたキュベットに吐出される。
【0068】
第2検体分注ユニット22は、検体吸引位置19にあるキュベットに収容されている検体、又は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置54に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第2検体分注ユニット22よって吸引された検体は、キュベット搬送器32にセットされたキュベットに吐出される。なお、第2検体分注ユニット22は、希釈液搬送器33にセットされた希釈液を吸入することができる。この場合、検体分注ユニット22は、検体の吸引前に希釈液吸引位置37にて希釈液を吸引した後、検体吸引位置19又は54にて検体を吸引する。
【0069】
1つの検体について複数の測定項目を含む測定オーダが取得された場合、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされたキュベットから、測定項目数分のキュベットに検体が小分けされる。各キュベットは1つずつ測定項目に対応しており、キュベットに小分けされた検体は、当該キュベットに対応する測定項目について測定される。
【0070】
キュベット搬送器32は、収容したキュベットに検体が吐出(小分け)されると、所定のタイミングにて、レール上を右方向に駆動される。続いて、第1キャッチャユニット26により、キュベット搬送器32にセットされた検体を収容しているキュベットが把持され、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットされる。キュベットに収容された検体は、加温テーブル16において測定項目に応じた時間加温される。例えば、測定項目がPTの場合には、検体が3分間加温され、測定項目がAPTTの場合には、検体が1分間加温される。
【0071】
検体が加温された後、検体に試薬が混和される。測定項目によって、試薬と混合された検体が検出部40によって測定されるか、再度加温されるかが異なる。例えば、測定項目がPTの場合、加温された検体を収容するキュベットにPT試薬が分注され、その後検出部40において光学測定される。
【0072】
この場合、加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25により、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬が吸引され、試薬吐出位置39a又は39bにて試薬が吐出される。こうして試薬が吐出されると、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出部40の保持孔41にセットする。その後、検出部40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
【0073】
加温された検体に試薬が混和された後、再度加温される場合について説明する。このように検体を2回加温する測定項目の場合、加温テーブル16において検体が所定時間加温された後、第2キャッチャユニット27が、保持孔16aにセットされた当該検体を収容しているキュベットを把持し、試薬吐出位置38まで移動させる。ここで、第1試薬分注ユニット23は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬を吸引し、試薬吐出位置38にて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第2キャッチャユニット27は、かかるキュベットを攪拌した上で、再び加温テーブルのキュベット保持孔16aにセットする。
【0074】
加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、次に、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬を吸引し、試薬吐出位置39a又は39bにて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出部40の保持孔41にセットする。その後、検出部40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
【0075】
検出部40によって取得された測定データ(光学的情報)は、情報処理ユニット4へ送信される。情報処理ユニット4は、対応する測定項目の検量線データをハードディスク404から読み出し、検量線を用いて測定データを変換する。変換後の測定データが最終的な測定結果とされ、ハードディスク404に設けられた測定結果データベース(図示せず)に検体ID等の検体情報と対応付けて保存される。また、測定結果は表示部409に表示される。
【0076】
検出部40による検出が終了し不要となったキュベットは、第3キャッチャユニット28によって、把持されたまま、廃棄口35の真上まで移動させられ、廃棄口35に廃棄される。また、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aに保持されているキュベットについても、分析が終了し不要となると、キュベットテーブル15が回転され、第2キャッチャユニット27に近い場所に位置づけられる。第2キャッチャユニット27は、キュベット保持孔15aに保持されている不要となったキュベットを把持し、廃棄口36に廃棄する。
【0077】
<検体分析装置の校正動作>
次に、検体分析装置2の校正動作について説明する。図9は、本実施の形態に係る管理システムにおける検体分析装置の校正動作の流れを示すフローチャートである。検体分析装置2は、精度管理において精度管理用物質を測定し、測定結果が精度管理の限界範囲を外れる場合に、これを異常として検出し、この異常検出のイベントをCPU401が検出することを自己調整開始のトリガーとする。このように、検体分析装置2において異常が検出された場合(ステップS101)、情報処理ユニット4のCPU401は、ハードディスク404に記憶された当該検体分析装置2の認証ID及び発生した異常に関する異常情報を含む自己調整承認要求データを管理サーバ5へ送信する(ステップS102)。この異常情報には、異常の発生日時、異常の種類(上記の場合は、測定結果の連続異常)、異常に関するデータ(例えば測定結果)、及び当該異常と同時期に発生していたエラーの情報等が含まれる。
【0078】
管理サーバ5は、自己調整承認要求データを受信する(ステップS103)。管理サーバ5のCPU501は、受信した自己調整承認要求データに基づいて、自己調整の可否を判定する(ステップS104)。この自己調整の可否判定処理は、受信した認証IDが不正なものでないか否かを判定したり、ユーザが契約している保守サービスに検体分析装置の自己調整が含まれているかどうかをチェックすることにより行われる。自己調整が許可されない場合には(ステップS104においてNO)、CPU501は、クライアント装置6へ当該異常が発生した検体分析装置を特定する情報(装置ID、機種名、施設名等)及び異常の種類を示す情報又は不正アクセスが発生したことを示す情報等を含む通知データを送信し、技術者に異常の発生又は不正アクセスの発生を通知する(ステップS105)。これにより、異常発生の通知があった場合には、技術者がユーザに電話をかけたり、施設を訪問したりして、異常の解消のための処置が行われる。また、不正アクセス発生の通知があった場合には、技術者が保守サービス提供業者のセキュリティ部問等に連絡する等して、不正アクセスに対する必要な処置が行われる。
【0079】
ステップS104において、自己調整が許可された場合には(ステップS104においてYES)、CPU501は、自己調整の許可を示す自己調整許可データを検体分析装置2へ送信する(ステップS106)。この自己調整許可データには、自己調整の種類、即ち、検量線作成を示す情報、及び検量線を作成する測定項目を示す情報等の自己調整動作の実行に必要な情報が含まれている。
【0080】
情報処理ユニット4のCPU401は、自己調整許可データを受信したか否かを判定し(ステップS107)、自己調整許可データを受信しなかった場合には(ステップS107においてNO)、処理を終了する。一方、自己調整許可データを受信した場合には(ステップS107においてYES)、CPU401は、検量線作成処理を実行する(ステップS108)。
【0081】
ここで検量線作成処理について説明する。情報処理ユニット4は、表示部420に検量線作成の手順を説明するガイダンス情報を表示することが可能である。検量線作成処理においては、CPU401は、かかるガイダンス情報を表示部420に表示させる。ユーザは、このガイダンス情報の指示にしたがって、検量線作成作業を行う。
【0082】
まず、ガイダンス情報によって、ユーザにキャリブレータを準備することが指示される。キャリブレータは、検量線を作成する対象の測定項目についての測定値が既知の標準物質である。以下、キャリブレータのが保有している既知の測定値を「校正値」という。本実施の形態においては、検量線作成に校正値が異なる5つのキャリブレータが使用される。ユーザは、5つのキャリブレータを用意し、ガイダンス情報にしたがって、各キャリブレータを収容した5つの検体容器61を検体ラック60に保持させ、当該検体ラック60を搬送路51の分析前ラック保持領域にセットする。この状態で、ユーザはキャリブレータ測定の実行指示を情報処理ユニット4に与える。
【0083】
かかるキャリブレータ測定の実行指示が検体分析装置2に与えられると、上記の検体分析の手順と同様にして、自己調整許可データにおいて検量線作成が指示された測定項目について、測定ユニット3により各キャリブレータが測定される。検出部40により得られた測定データ(光学的情報)は、情報処理ユニット4に与えられる。
【0084】
情報処理ユニット4のCPU401は、測定ユニット40から与えられた各キャリブレータの測定値を、各キャリブレータの校正値へと変換するための検量線を作成する。CPU401は、認証ID、各キャリブレータの測定値、校正値及び作成された検量線を含む検量線変更承認要求データを管理サーバ5へ送信する(ステップS109)。
【0085】
管理サーバ5は、検量線変更承認要求データを受信する(ステップS110)。管理サーバ5のCPU501は、受信した検量線変更承認要求データに基づいて、検量線変更の可否を判定する(ステップS111)。この検量線変更の可否判定処理は、受信した認証IDが不正なものでないか否かを判定したり、ユーザが契約している保守サービスに検体分析装置の自己調整が含まれているかどうかをチェックしたりすることに加え、検量線変更要求データに含まれるキャリブレータの測定値が、当該キャリブレータの校正値に基づいて定まる許容範囲に収まっているか否かにより判断される。つまり、測定値が許容範囲内である場合には、検量線変更が許可され、測定値が許容範囲を逸脱する場合には、検量線変更が許可されない。
【0086】
検量線の変更が許可されない場合には(ステップS111においてNO)、CPU501は、クライアント装置6へ異常が発生した検体分析装置を特定する情報(装置ID、機種名、施設名等)及び異常の種類を示す情報又は不正アクセスが発生したことを示す情報等を含む通知データを送信し、技術者に異常の発生又は不正アクセスの発生を通知する(ステップS105)。これにより、異常発生の通知があった場合には、技術者がユーザに電話をかけたり、施設を訪問したりして、異常の解消のための処置が行われる。また、不正アクセス発生の通知があった場合には、技術者が保守サービス提供業者のセキュリティ部問等に連絡する等して、不正アクセスに対する必要な処置が行われる。
【0087】
ステップS111において、検量線変更が許可された場合には(ステップS111においてYES)、CPU501は、検量線変更の許可を示す検量線変更許可データを検体分析装置2へ送信し(ステップS112)、処理を終了する。
【0088】
情報処理ユニット4のCPU401は、検量線変更許可データを受信したか否かを判定し(ステップS113)、検量線変更許可データを受信しなかった場合には(ステップS113においてNO)、処理を終了する。一方、検量線変更許可データを受信した場合には(ステップS113においてYES)、CPU401は、ハードディスク404に記憶されている検量線を、ステップS108において作成した検量線に変更し(ステップS114)、処理を終了する。これにより、検体分析装置2の自己調整(検量線作成)が完了する。
【0089】
<ピペットの位置調整動作>
次に、検体分析装置2におけるピペットの位置調整動作について説明する。図10は、本実施の形態に係る管理システムにおけるピペットの位置調整動作の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは第1試薬分注ユニット23のピペット位置を調整する場合について説明するが、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25におけるピペット位置調整も同様の動作により調整される。
【0090】
検体分析装置2は、衝突検出用センサ部324により、ピペットがキュベットの壁等の障害物に衝突したことを検出可能である。第1試薬分注ユニット23のピペットPが、試薬吐出位置38に位置するキュベットに試薬を分注する場合、試薬容器から試薬を吸引したピペットPが上昇された後、駆動部23aによりアーム23bが回転され、ピペットPが試薬吐出位置38に位置決めされる。続いてピペットPが下方へ移動され、キュベット内にピペットPの先端が挿入されることになる。ここで、経時的なピペットPの位置ずれ等により、ピペットPが試薬吐出位置38に正確に位置決めされない場合には、ピペットPの下降の際にピペットPがキュベットの壁等に接触することになる。こうしたピペットPの障害物への衝突は、衝突検出用センサ170により検出される。
【0091】
このように、検体分析装置2において異常が検出された場合(ステップS201)、情報処理ユニット4のCPU401は、ハードディスク404に記憶された当該検体分析装置2の認証ID及び発生した異常に関する異常情報を含む自己調整承認要求データを管理サーバ5へ送信する(ステップS202)。この異常情報には、異常の発生日時、異常の種類(上記の場合は、第1試薬分注ユニット23のピペットの停止位置異常)、異常に関するデータ(例えば異常を検出したときにカメラ32dにより撮像された画像)、及び当該異常と同時期に発生していたエラーの情報等が含まれる。
【0092】
管理サーバ5は、自己調整承認要求データを受信する(ステップS203)。管理サーバ5のCPU501は、受信した自己調整承認要求データに基づいて、自己調整の可否を判定する(ステップS204)。この自己調整の可否判定処理は、受信した認証IDが不正なものでないか否かを判定したり、ユーザが契約している保守サービスに検体分析装置の自己調整が含まれているかどうかをチェックすることにより行われる。自己調整が許可されない場合には(ステップS204においてNO)、CPU501は、クライアント装置6へ当該異常が発生した検体分析装置を特定する情報(装置ID、機種名、施設名等)及び異常の種類を示す情報又は不正アクセスが発生したことを示す情報等を含む通知データを送信し、技術者に異常の発生又は不正アクセスの発生を通知する(ステップS205)。これにより、異常発生の通知があった場合には、技術者がユーザに電話をかけたり、施設を訪問したりして、異常の解消のための処置が行われる。また、不正アクセス発生の通知があった場合には、技術者が保守サービス提供業者のセキュリティ部問等に連絡する等して、不正アクセスに対する必要な処置が行われる。
【0093】
ステップS204において、自己調整が許可された場合には(ステップS204においてYES)、CPU501は、自己調整の許可を示す自己調整許可データを検体分析装置2へ送信する(ステップS206)。この自己調整許可データには、自己調整の種類、即ち、第1試薬分注ユニット23のピペット位置調整を示す情報等の自己調整動作の実行に必要な情報が含まれている。
【0094】
情報処理ユニット4のCPU401は、自己調整許可データを受信したか否かを判定し(ステップS207)、自己調整許可データを受信しなかった場合には(ステップS207においてNO)、処理を終了する。一方、自己調整許可データを受信した場合には(ステップS207においてYES)、CPU401は、調整量検出処理を実行する(ステップS208)。
【0095】
ここで調整量検出処理について説明する。図11は、調整量検出処理の手順を示すフローチャートである。まずCPU401は、第1試薬分注ユニット23の駆動部23aを制御して、ピペットPを上限位置にまで上昇させた上で、アーム23bを回転させ、ピペットPを試薬吐出位置38まで移動させる(ステップS301)。この試薬吐出位置38の位置情報は、ハードディスク404にアーム23bの原点位置から試薬吐出位置38までの移動量(回転用モータ231のパルス数)として記憶されている。つまり、ステップS301においては、原点位置から設定されている移動量だけアーム23bを回転させることにより、試薬吐出位置38までピペットPが移動される。なお、位置調整を行うべき位置が試薬吐出位置38ではなく、試薬容器から試薬を吸引するための位置の場合には、当該位置にピペットPを位置決めすることになる。
【0096】
次にCPU401は、カメラ23dにより試薬吐出位置38にあるキュベットを撮像し、キュベットの画像を取得する(ステップS302)。このとき、キュベットが試薬吐出位置38にない場合には、第2キャッチャユニット27を駆動してキュベットを試薬吐出位置38に位置させておく。
【0097】
図12は、ピペットの位置ずれが生じていない場合のキュベットの画像を示す模式図であり、図13は、ピペットの位置ずれが生じている場合のキュベットの画像の一例を示す模式図である。カメラ23dは、常に撮像領域の左右方向中央にピペットPが位置するようにアーム部23bに取り付けられている。図12に示すように、ピペットの位置ずれが生じていない場合には、キュベットの幅方向の中心C1と、画像の左右方向の中心C0とは一致している。一方、図13に示すように、ピペットの位置ずれが生じている場合には、キュベットの幅方向の中心C1は、画像の左右方向の中心C0と一致していない。つまり、中心C0と中心C1の距離Dの分、ピペットPに位置ずれが生じている。また、画像の中心C0は、ピペットPの中心位置でもある。したがって、中心C0から中心C1へ向かう方向へ、距離Dの調整量でピペットの位置を調整すればよいことになる。
【0098】
CPU401は、画像処理によりキュベットの幅方向の中心C1を検出する(ステップS303)。具体的には、CPU401は、階調画像であるカメラ23dの画像(以下、「キュベット画像」という)の横方向に連なる所定の画素列について、画素データ(輝度値)を微分する。キュベットの壁の部分は、背景より輝度が高くなっている。よって、左から右へ向かって微分を行うと、背景とキュベットの左側の壁との境界において微分値が急激に高くなり、キュベットの右側の壁と背景との境界において微分値が急激に低くなる。CPU401は、所定の正の値の第1閾値によって、背景とキュベットの左側の壁との境界における微分値のピークを検出し、所定の負の値の第2閾値によって、キュベットの右側の壁と背景との境界における微分値のピークを検出する。さらにCPU401は、検出した両方のピーク位置の中間位置を求め、この位置をキュベットの幅方向の中心C1とする。
【0099】
なお、キュベットの幅方向の中心C1の位置を求めるための画像処理は上記のものに限られず、キュベット画像を2値化することでキュベットの壁の位置を検出したり、及びパターンマッチングによってキュベットの位置を検出したりしてもよい。
【0100】
次にCPU401は、検出した中心C1とキュベット画像の中心C0から、ピペットの位置の調整方向及び調整量を算出する(ステップS304)。具体的には、CPU401は、中心C0から中心C1へ向かう方向が右方向である場合には、アーム23bの回転方向において時計回り方向を調整方向とし、中心C0から中心C1へ向かう方向が左方向である場合には、アーム23bの回転方向において反時計回り方向を調整方向とする。また、ハードディスク404には、距離Dと回転用モータ231のパルス数との関係が記憶されており、CPU401は、中心C0とステップS303において検出された中心C1との距離Dから対応するパルス数を調整量として導出する。
【0101】
ステップS304の処理の後、CPU401は、メインルーチンにおける調整量検出処理の呼出アドレスへ処理をリターンする。
【0102】
調整量検出処理が終了した後、CPU401は、認証ID、並びに検出された調整方向及び調整量を含むピペット位置調整承認要求データを管理サーバ5へ送信する(ステップS209)。
【0103】
管理サーバ5は、ピペット位置調整承認要求データを受信する(ステップS210)。管理サーバ5のCPU501は、受信したピペット位置調整承認要求データに基づいて、ピペット位置調整の可否を判定する(ステップS211)。このピペット位置調整の可否判定処理は、受信した認証IDが不正なものでないか否かを判定したり、ユーザが契約している保守サービスに検体分析装置の自己調整が含まれているかどうかをチェックしたりすることに加え、ピペット位置調整要求データに含まれる調整量が、所定の許容範囲に収まっているか否かにより判断される。つまり、調整量が許容範囲内である場合には、ピペット位置調整が許可され、調整量が許容範囲を逸脱する場合には、ピペット位置調整が許可されない。
【0104】
ピペット位置の調整が許可されない場合には(ステップS211においてNO)、CPU501は、クライアント装置6へ異常が発生した検体分析装置を特定する情報(装置ID、機種名、施設名等)及び異常の種類を示す情報又は不正アクセスが発生したことを示す情報等を含む通知データを送信し、技術者に異常の発生又は不正アクセスの発生を通知する(ステップS205)。これにより、異常発生の通知があった場合には、技術者がユーザに電話をかけたり、施設を訪問したりして、異常の解消のための処置が行われる。また、不正アクセス発生の通知があった場合には、技術者が保守サービス提供業者のセキュリティ部問等に連絡する等して、不正アクセスに対する必要な処置が行われる。
【0105】
ステップS211において、ピペット位置調整が許可された場合には(ステップS211においてYES)、CPU501は、ピペット位置調整の許可を示すピペット位置調整許可データを検体分析装置2へ送信し(ステップS212)、処理を終了する。
【0106】
情報処理ユニット4のCPU401は、ピペット位置調整許可データを受信したか否かを判定し(ステップS213)、ピペット位置調整許可データを受信しなかった場合には(ステップS213においてNO)、処理を終了する。一方、ピペット位置調整許可データを受信した場合には(ステップS213においてYES)、CPU401は、ステップS208において検出された調整方向及び調整量にピペット位置を調整し(ステップS214)、処理を終了する。ステップS214においては、ハードディスク404に記憶されている試薬吐出位置38の位置情報を、ステップS208において検出された調整方向及び調整量によって更新することによってピペット位置の調整が行われる。つまり、アーム23bの原点位置から試薬吐出位置38までの回転用モータ231の回転方向と調整方向が同一の場合には、ハードディスク404に記憶されている位置情報(回転用モータ231のパルス数)に調整量を加え、アーム23bの原点位置から試薬吐出位置38までの回転用モータ231の回転方向と調整方向が反対の場合には、ハードディスク404に記憶されている位置情報から調整量を減ずることによりピペットの位置調整が行われる。これにより、検体分析装置2の自己調整(ピペット位置調整)が完了する。
【0107】
上記のごとく構成したことにより、本実施の形態に係る管理システムは、技術者が検体分析装置2を遠隔操作するためのコマンドを決定し、検体分析装置2へ送信するなど、複雑な操作を必要とせず、技術者の負担が従来に比して軽減される。また、検体分析装置2の個体差による調整量を自動的に検出し、この調整量によって検体分析装置2の自己調整が可能であるので、検体分析装置毎に適切な調整が可能となる。さらに、検体分析装置2が検体分析装置2の判断により勝手に自己調整を行ってしまうと、適切な調整が行われているか否かが分からず、測定結果の信頼性を確保することができない。本実施の形態に係る管理システムでは、管理サーバ5による承認を得なければ、検体分析装置2が自己調整を行うことができない構成としたので、検体分析装置2の調整が必要な場合にだけ自己調整を行うことができ、検体分析装置2の測定結果の信頼性が損なわれることがない。
【0108】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る管理システムの構成は、実施の形態1に係る管理システム1の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
次に、本実施の形態に係る管理システムの動作について説明する。
【0110】
図14は、本実施の形態に係る検体分析装置の自己調整動作の流れを示すフローチャートである。検体分析装置2によって異常が検出され、この異常検出のイベントがCPU401により検出されることが自己調整動作のトリガーとなる。異常には、上記の実施の形態1において説明したような精度管理異常及びピペットの駆動異常等が含まれる。
【0111】
このように、検体分析装置2において異常が検出された場合(ステップS401)、情報処理ユニット4のCPU401は、検出された異常の種類を判別する(ステップS402)。検体分析装置2において発生する異常には、検体の分析結果に大きく影響を及ぼす異常と、検体の分析結果にほとんど影響しない異常とが含まれている。例えば、精度管理結果の異常は、検量線を作成し直さなければならないことがあり、直接的に検体の分析結果に影響する。一方、ピペットの駆動不良、バーコードの読み取り異常、キャッチャの駆動異常のような機械的な配置・駆動に関する異常は、検体の分析結果にはほとんど影響することがない。ステップS402の処理においては、ステップS401において検出された異常が、検体の分析結果に大きな影響を及ぼす異常(以下、「第1種類の異常」という)であるか、検体の分析結果にほとんど影響を及ぼさない異常(以下、「第2種類の異常」という)であるかが判断される。さらに具体的には、ハードディスク404において、各エラーコードと対応付けて、第1種類の異常であるか、第2種類の異常であるかを示す情報が異常毎に記憶されており、異常が検出されたときにハードディスク404の上記情報が参照されて、検出された異常のエラーコードに第1種類の異常及び第2種類の異常の何れが対応しているかが特定される。
【0112】
ステップS402において、検出された異常の種類が第1の種類であると判定された場合には(ステップS402において「第1の種類」)、CPU401は、自己調整承認要求データを管理サーバ5へ送信する(ステップS403)。管理サーバ5は、当該自己調整承認要求データを受信し、自己調整を許可するか否かを判定する。自己調整を許可する場合には、管理装置5は自己調整許可データを検体分析装置2へ送信し、自己調整を許可しない場合には、異常が発生した旨又は不正アクセスが発生した旨を技術者に通知する。なお、管理サーバ5の動作は、実施の形態1において説明した管理サーバ5の動作と同様であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0113】
情報処理ユニット4のCPU401は、自己調整許可データを受信したか否かを判定し(ステップS404)、自己調整許可データを受信しなかった場合には(ステップS404においてNO)、処理を終了する。一方、自己調整許可データを受信した場合には(ステップS404においてYES)、CPU401は、自己調整処理を実行する(ステップS405)。この自己調整処理は、上記の第1の種類の異常を解消するための調整値を求める処理であり、例えば実施の形態1において説明した検量線を作成する処理である。
【0114】
自己調整処理を終了すると、CPU401は、認証ID及び自己調整処理により得られた調整値を含む変更承認要求データを管理サーバ5へ送信する(ステップS406)。管理サーバ5は、当該変更承認要求データを受信し、検体分析装置2において設定されている調整値から新たな調整値への変更を許可するか否かを判定する。調整値の変更を許可する場合には、管理装置5は変更許可データを検体分析装置2へ送信し、調整値の変更を許可しない場合には、異常が発生した旨又は不正アクセスが発生した旨を技術者に通知する。
【0115】
情報処理ユニット4のCPU401は、変更許可データを受信したか否かを判定し(ステップS407)、変更許可データを受信しなかった場合には(ステップS407においてNO)、処理を終了する。一方、変更許可データを受信した場合には(ステップS407においてYES)、ハードディスクに記憶されている調整値をステップS405の自己調整処理において取得された調整値へ変更し(ステップS409)、処理を終了する。
【0116】
次に、検出された異常が第2種類の異常である場合について説明する。ステップS402において、検出された異常の種類が第2の種類であると判定された場合には(ステップS402において「第2の種類」)、CPU401は、管理サーバ5へ自己調整の承認を要求することなく、自己調整処理を実行する(ステップS408)。この自己調整処理は、上記の第2の種類の異常を解消するための調整値を求める処理であり、例えば実施の形態1において説明したピペットの位置の調整量を検出する処理である。ステップS401において検出された異常がバーコードの読み取り異常の場合には、自己調整処理においてバーコードリーダ31の位置調整量が検出され、ステップS401において検出された異常がキャッチャの駆動異常の場合には、異常が発生したキャッチャユニットの把持部等の位置調整量が検出される。
【0117】
自己調整処理により調整値が取得されると、CPU401は、ハードディスクに記憶されている調整値をステップS405の自己調整処理において取得された調整値へ変更し(ステップS409)、処理を終了する。
【0118】
上記の如く構成することにより、本実施の形態に係る管理システムは、検体分析結果への影響が大きい自己調整については管理サーバ5による承認を必要とするため、慎重に自己調整を行うことが可能となる。また、検体分析結果への影響が小さい自己調整については管理サーバ5による承認を必要とせず、容易に自己調整を実行することができる。
【0119】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、自己調整機能を有する検体分析装置2を血液凝固測定装置としたが、これに限定されるものではない。血球計数装置、免疫分析装置、遺伝子増幅測定装置、生化学分析装置、尿定性分析装置、尿中有形成分分析装置、又は血液塗抹標本作成装置等の検体を処理する検体処理装置が自己調整を行う構成としてもよい。
【0120】
また、上記の実施の形態においては、異常検出のイベントをトリガーとして自己調整を開始する構成について述べたが、これに限定されるものではない。具体的には、操作者が検体分析装置に備えられた所定のコマンドキーを手動入力し、このコマンド入力のイベントを情報処理ユニット4のCPU401が検出することにより自己調整開始の指示を行なう構成としてもよく、検体分析装置が所定条件を満たすイベントが発生した場合(例えば、検体分析装置の分析動作回数が所定回数に達した場合、稼動時間が所定時間に達した場合、又は前回の自己調整実施から所定時間が経過した場合など)に情報処理ユニット4のCPU401が当該イベントを検出したときに、自己調整を開始する構成としてもよい。また、管理サーバ等の検体分析装置に接続された装置から自己調整開始を指示するコマンドを検体分析装置へ送信し、情報処理ユニット4のCPU401が当該コマンドを受信するというイベントを検出したときに自己調整を開始する構成としてもよい。
【0121】
また、上記の実施の形態においては、検体分析装置2の自己調整機能として、検量線の作成及び試薬又は検体を分注するピペットの位置調整を行う構成について述べたが、これに限定されるものではなく、他の機構の自己調整を行う構成であってもよい。例えば、第1キャッチャユニット〜第3キャッチャユニットのアームの先端にカメラを取り付け、把持部を撮像可能とし、把持部によるキュベットの把持不良が生じた場合に、当該カメラによってキュベットの把持不良が発生した把持部を撮像し、把持部の位置調整を行う構成としてもよい。また、バーコードリーダ31にステッピングモータ等のアクチュエータを設けて位置調整可能とし、バーコードリーダによるバーコード読取不良が発生した場合に、バーコードリーダの位置を自己調整する構成としてもよい。
【0122】
また、検量線の作成ではなく、自己調整機能を有する検体分析装置が血球計数装置又は尿中有形成分分析装置等、1組の校正値と測定値によって測定データを変換する構成のものの場合には、その変換定数を作成することにより自己調整を行う構成としてもよい。
【0123】
また、上記の実施の形態においては、管理サーバ5が自動的に自己調整の承認を行う校正について述べたが、これに限定されるものではなく、管理サーバ5からクライアント装置6へ検体分析装置2の自己調整の承認を要求するデータを送信し、クライアント装置6によって保守担当の技術者に自己調整の承認を要求し、技術者から承認が得られたときにクライアント装置6から検体分析装置2に自己調整の許可データを送信して、検体分析装置2に自己調整を実施させる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明に係る検体処理装置の管理システム、検体処理装置及び管理装置は、血液及び尿等の検体を処理する検体処理装置の管理システム、検体処理装置及び管理装置等として有用である。
【符号の説明】
【0125】
1 管理システム
2 検体分析装置
3 測定ユニット
23 第1試薬分注ユニット
23a 駆動部
23b アーム
23c ピペット
23d カメラ
4 情報処理ユニット
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 ハードディスク
410 通信インターフェース
5 管理サーバ
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 ハードディスク
510 通信インターフェース
6 クライアント装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を処理する検体処理装置と、
前記検体処理装置と通信可能に接続された管理装置と、
を備える検体処理装置の管理システムであって、
前記検体処理装置は、
自己調整を実行する自己調整手段と、
前記自己調整手段による自己調整を実行する前に、自己調整の承認を要求するための承認要求データを送信する第1通信部と、
を具備し、
前記管理装置は、
前記検体処理装置から承認要求データを受信したときに、前記検体処理装置による自己調整の実行を許可するか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段により前記検体処理装置による自己調整の実行の許可が決定された場合に、自己調整が承認されたことを示す承認データを送信する第2通信部と、
を具備し、
前記検体処理装置は、前記管理装置から承認データを受信したときに、前記自己調整手段による自己調整を実行するように構成されている、
検体処理装置の管理システム。
【請求項2】
前記検体処理装置は、前記自己調整手段による自己調整を開始するためのイベントを検出するイベント検出手段をさらに具備し、
前記第1通信部は、前記イベント検出手段によって前記イベントが検出された場合に、前記承認要求データを送信するように構成されている、
請求項1に記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項3】
前記検体処理装置は、検体処理装置の異常を検出する異常検出部をさらに具備し、
前記イベント検出手段は、前記異常検出部による異常の検出を前記イベントとして検出するように構成されている、
請求項2に記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項4】
前記検体処理装置は、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類を判別する種類判別手段をさらに具備し、
前記第1通信部は、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が第1の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記承認要求データを送信し、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が前記第1の種類とは異なる第2の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記承認要求データを送信しないように構成されており、
前記検体処理装置は、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が第1の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記管理装置から承認データを受信したときに、前記自己調整手段による自己調整を実行し、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が第2の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記承認データを受信することなく、前記自己調整手段による自己調整を実行するように構成されている、
請求項2又は3に記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項5】
前記検体処理装置は、前記検体処理装置の調整値を生成する調整値生成手段をさらに具備し、
前記自己調整手段は、前記調整値生成手段によって生成された調整値に前記検体処理装置を自己調整するように構成されている、
請求項1乃至4の何れかに記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項6】
前記検体処理装置は、
検体を測定する測定部と、
測定結果を校正するための校正情報を記憶する記憶部と、
前記測定部による測定結果を、前記記憶部に記憶された校正情報に基づいて変換する変換手段と、
をさらに具備し、
前記調整値生成手段は、前記測定部が校正情報作成用試料を測定することにより得られた測定結果に基づいて、前記検体処理装置の調整値として校正情報を生成するように構成されており、
前記自己調整手段は、前記調整値生成手段により生成された校正情報を前記記憶部に記憶させることにより前記検体処理装置を自己調整するように構成されている、
請求項5に記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項7】
前記検体処理装置は、検体の測定に関する動作を行う位置調整可能な動作機構をさらに具備し、
前記調整値生成手段は、前記検体処理装置の調整値として前記動作機構の位置調整量を生成するように構成されており、
前記自己調整手段は、前記調整値生成手段により生成された位置調整量に基づいて前記動作機構の位置調整を行うことにより前記検体処理装置を自己調整するように構成されている、
請求項5に記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項8】
前記動作機構は、検体の測定のために特定の位置へ移動可能に構成されており、
前記調整値生成手段は、前記動作機構を前記特定の位置に位置決めするための前記位置調整量を生成するように構成されている、
請求項7に記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項9】
前記動作機構は、検体又は試薬を吸引するための吸引位置へ移動して検体又は試薬を吸引し、検体又は試薬を吐出するための吐出位置へ移動して検体又は試薬を吐出する分注機構である、
請求項8に記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項10】
前記第1通信部は、前記検体処理装置を使用するユーザを特定するための特定情報を含む承認要求データを送信するように構成されており、
前記決定手段は、前記検体処理装置から送信された前記承認要求データに含まれる特定情報に基づいて、前記検体処理装置による自己調整の実行を許可するか否かを決定するように構成されている、
請求項1乃至9の何れかに記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項11】
前記第1通信部は、前記調整値生成手段によって生成された調整値を含む承認要求データを送信するように構成されており、
前記決定手段は、前記検体処理装置から送信された前記承認要求データに含まれる調整値に基づいて、前記検体処理装置による自己調整の実行を許可するか否かを決定するように構成されている、
請求項4乃至9の何れかに記載の検体処理装置の管理システム。
【請求項12】
管理装置と通信可能に接続され、検体を処理する検体処理装置であって、
自己調整を実行する自己調整手段と、
前記自己調整手段による自己調整を実行する前に、自己調整の承認を要求するための承認要求データを前記管理装置へ送信する通信部と、
を備え、
前記管理装置から自己調整が承認されたことを示す承認データを受信したときに、前記自己調整手段による自己調整を実行するように構成されている、
検体処理装置。
【請求項13】
前記自己調整手段による自己調整を開始するためのイベントを検出するイベント検出手段をさらに備え、
前記通信部は、前記イベント検出手段によって前記イベントが検出された場合に、前記承認要求データを送信するように構成されている、
請求項12に記載の検体処理装置。
【請求項14】
検体処理装置の異常を検出する異常検出部をさらに備え、
前記イベント検出手段は、前記異常検出部による異常の検出を前記イベントとして検出するように構成されている、
請求項13に記載の検体処理装置。
【請求項15】
前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類を判別する種類判別手段をさらに備え、
前記通信部は、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が第1の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記承認要求データを送信し、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が前記第1の種類とは異なる第2の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記承認要求データを送信しないように構成されており、
前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が第1の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記管理装置から承認データを受信したときに、前記自己調整手段による自己調整を実行し、前記イベント検出手段によって検出されたイベントの種類が第2の種類であると前記種類判別手段によって判別された場合には、前記承認データを受信することなく、前記自己調整手段による自己調整を実行するように構成されている、
請求項13又は14に記載の検体処理装置。
【請求項16】
検体を処理する検体処理装置と通信可能に接続された管理装置であって、
前記検体処理装置から自己調整の承認を要求するための承認要求データを受信したときに、前記検体処理装置による自己調整の実行を許可するか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段により前記検体処理装置による自己調整の実行の許可が決定された場合に、自己調整が承認されたことを示す承認データを送信する通信部と、
を備える、
管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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